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JP7336183B2 - 電源装置 - Google Patents
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本発明は、電源装置に関し、詳しくは、蓄電装置と、第1,第2昇圧コンバータと、を備える電源装置に関する。
従来、この種の電源装置としては、第1,第2蓄電装置と、昇圧コンバータ(コンバータ)と、を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。昇圧コンバータは、上アームおよび下アームのスイッチング素子とリアクトルとを有し、第1蓄電装置と負荷(インバータ)との間で電圧の変更を伴って電力をやりとりする。第2蓄電装置は、負荷に対して昇圧コンバータと並列に接続されている。この装置では、第1蓄電装置から負荷へ供給される電力が目標要求電力となるように昇圧コンバータを制御しているときには、目標要求電力と負荷の消費電力との偏差に基づいて目標要求電力を補正する。これにより、負荷に比較的な大きな電圧が印加されることを抑制している。
特開2014-155297号公報
ところで、蓄電装置と、第1上アームおよび第1下アームの2つのスイッチング素子と第1リアクトルとを有し蓄電装置と電気負荷との間で電圧変換を伴って電力のやりとりを行なう第1昇圧コンバータと、第2上アームおよび第2下アームの2つのスイッチング素子と第2リアクトルとを有し蓄電装置と電気負荷との間で電圧変換を伴って電力のやりとりを行なう第2昇圧コンバータと、を備える電源装置では、負荷に供給する電圧が目標電圧となるように第1,第2昇圧コンバータのデューティ比の目標値である第1,第2目標デューティ比を演算し、第1,第2目標デューティ比を用いて第1,第2上アームおよび第1,第2下アームの4つのスイッチング素子を制御する。こうした制御では、第1,第2目標デューティ比の演算に比較的に長い時間を要すると、4つのスイッチング素子のスイッチングを開始させるタイミングが遅れて、制御が適正に行なわれず、負荷に仕様を超える比較的大きな電圧が印加されてしまうことがある。
本発明の電源装置は、負荷に比較的大きな電圧が印加されることを抑制することを主目的とする。
本発明の電源装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の電源装置は、
少なくとも1つのバッテリを有する蓄電装置と、
第1上アームおよび第1下アームの2つのスイッチング素子と第1リアクトルとを有し、前記蓄電装置と電気負荷との間で電圧変換を伴って電力のやりとりを行なう第1昇圧コンバータと、
第2上アームおよび第2下アームの2つのスイッチング素子と第2リアクトルとを有し、前記蓄電装置と前記電気負荷との間で電圧変換を伴って電力のやりとりを行なう第2昇圧コンバータと、
前記電気負荷に供給する電圧が目標電圧となるように第1,第2目標デューティ比を演算し、前記第1,第2目標デューティ比を用いて前記第1,第2上アームおよび前記第1,第2下アームの4つのスイッチング素子を制御する制御装置と、
を備える電源装置であって、
前記制御装置は、
前記第1,第2目標デューティ比の演算を開始してからの所定のタイミングから前記第1,第2目標デューティ比を設定するまでの残り時間を算出し、
前記第1,第2目標デューティ比の演算を実行している途中で前記残り時間を経過したときには、前記電気負荷に供給されている電圧を保持するように前記第1,第2上アームおよび前記第1,第2下アームの4つのスイッチング素子を制御する、
ことを要旨とする。
この本発明の電源装置では、第1,第2目標デューティ比の演算を開始してからの所定タイミングから第1,第2目標デューティ比を設定するまでの残り時間を算出し、第1,第2目標デューティ比の演算を実行している途中で残り時間を経過したときには、負荷に供給されている電圧を保持するように第1,第2上アームおよび第1,第2下アームの4つのスイッチング素子を制御する。これにより、第1,第2目標デューティ比の演算を実行している途中で残り時間を経過したときでも、負荷に比較的大きな電圧が印加されることを抑制できる。
こうした本発明の電源装置において、前記制御装置は、前記所定のタイミングと同一または前記所定のタイミングと異なる判定用タイミングから前記第1,第2目標デューティ比の演算が終了するまでに要する所要時間の最大値である最大時間と、前記判定用タイミングから前記第1,第2上アームおよび前記第1,第2下アームの4つのスイッチング素子の制御を開始すべき時刻までの判定用残り時間を算出し、前記最大時間が前記判定用残り時間より長いときには、前記電気負荷に供給されている電圧を保持するように前記第1,第2上アームおよび前記第1,第2下アームの4つのスイッチング素子を制御する。こうすれば、最大時間が判定用残り時間より長いときでも、負荷に比較的大きな電圧が印加されることを抑制できる。
こうした本発明の電源装置では、蓄電装置は、第1,第2バッテリを有し、前記第1昇圧コンバータは、前記第1バッテリと前記電気負荷との間で電圧変換を伴って電力のやりとりを行ない、前記第2昇圧コンバータは、前記第2バッテリと前記電気負荷との間で電圧変換を伴って電力のやりとりを行なってもよい。
本発明の一実施例としての電源装置20構成の概略を示す構成図である。 ECU50により実行される第1,第2昇圧コンバータ26,28のトランジスタT31,T32,T41,T42のスイッチング制御を説明するための機能ブロック図である。 ECU50により実行される昇圧制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 タイミング比較処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。 演算タイミングパルスPctを説明するための説明図である。 ステップS280で実行される電圧維持制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 キャリア(三角波)と図3,図4,図6の各処理が実行されている様子との一例を示す説明図である。 キャリア(三角波)と図3,図4,図6の各処理が実行されている様子との一例を示す説明図である。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としての電源装置20の構成の概略を示す構成図である。実施例の電源装置20は、図1に示すように、モータ(図示せず)を駆動するインバータ10に電力を供給するよう構成されており、第1,第2バッテリ22,24と、第1,第2昇圧コンバータ26,28と、電子制御ユニット(以下、「ECU」という)50と、を備える。
第1バッテリ22は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、第1低電圧側電力ライン23に接続されている。第2バッテリ24は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、第2低電圧側電力ライン25に接続されている。第1,第2バッテリ22,24は、ECU50によって管理されている。
第1昇圧コンバータ26は、インバータ10が接続された高電圧側電力ライン30と第1バッテリ22が接続された第1低電圧側電力ライン23とに接続されている。この第1昇圧コンバータ26は、上アームのトランジスタT31と下アームのトランジスタT32と、2つのダイオードD31,D32と、リアクトルL1と、を有する。トランジスタT31は、高電圧側電力ライン30の正極母線に接続されている。トランジスタT32は、トランジスタT31と、高電圧側電力ライン30および第1低電圧側電力ライン23の負極母線と、に接続されている。2つのダイオードD31,D32は、それぞれ、トランジスタT31,T32に逆方向に並列に接続されている。リアクトルL1は、トランジスタT31,T32の接続点と、第1低電圧側電力ライン23の正極母線と、に接続されている。第1昇圧コンバータ26は、ECU50によって、トランジスタT31,T32のデューティ比(スイッチングの1周期に対するオン時間の割合)が調節されることにより、第1低電圧側電力ライン23の電力を電圧の昇圧を伴って高電圧側電力ライン30に供給したり、高電圧側電力ライン30の電力を電圧の降圧を伴って第1低電圧側電力ライン23に供給したりする。
第2昇圧コンバータ28は、高電圧側電力ライン30と第2バッテリ24に接続された第2低電圧側電力ライン25とに接続されている。この第2昇圧コンバータ28は、上アームのトランジスタT41と下アームのトランジスタT42と、2つのダイオードD41,D42と、リアクトルL2と、を有する。トランジスタT41は、高電圧側電力ライン30の正極母線に接続されている。トランジスタT42は、トランジスタT41と高電圧側電力ライン30および第2低電圧側電力ライン25の負極母線と、に接続されている。2つのダイオードD41,D42は、それぞれ、トランジスタT41,T42に逆方向に並列に接続されている。リアクトルL2は、トランジスタT41,T42の接続点と、第2低電圧側電力ライン25の正極母線と、に接続されている。第2昇圧コンバータ28は、ECU50によって、トランジスタT41,T42のデューティ比が調節されることにより、第2低電圧側電力ライン25の電力を電圧の昇圧を伴って高電圧側電力ライン30に供給したり、高電圧側電力ライン30の電力を電圧の降圧を伴って第2低電圧側電力ライン25に供給したりする。
高電圧側電力ライン30の正極母線と負極母線とには、平滑用のコンデンサ30aが取り付けられている。第1低電圧側電力ライン23の正極母線と負極母線とには、平滑用のコンデンサ23aが取り付けられている。第2低電圧側電力ライン25の正極母線と負極母線とには、平滑用のコンデンサ25aが取り付けられている。
ECU50は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。
ECU50には、第1,第2昇圧コンバータ26,28を駆動制御するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。ECU50に入力される信号としては、例えば、コンデンサ30aの端子間に取り付けられた電圧センサ30bからのコンデンサ30a(高電圧側電力ライン30)の電圧VH,コンデンサ23aの端子間に取り付けられた電圧センサ23bからのコンデンサ23a(第1低電圧側電力ライン23)の電圧VL1,コンデンサ25aの端子間に取り付けられた電圧センサ25bからのコンデンサ25a(第2低電圧側電力ライン25)の電圧VL2,第1,第2バッテリ22,24の端子間に設置された電圧センサからの第1,第2バッテリ22,24の電圧Vb1,Vb2なども挙げることができる。更に、第1低電圧側電力ライン23の正極母線に取り付けられた電流センサ33aからのリアクトルL1の電流IL1,第2低電圧側電力ライン25の正極母線に取り付けられた電流センサ43aからのリアクトルL2の電流IL2,第1,第2バッテリ22,24の出力端子に取り付けられた電流センサ22a,24aからの第1,第2バッテリ22,24の電流Ib1,Ib2なども挙げることができる。
ECU50からは、インバータ10の図示しないトランジスタへのスイッチング制御信号や第1,第2昇圧コンバータ26,28のトランジスタT31,T32,T41,T42へのスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。
ECU50は、電流センサ22a,24aからの第1,第2バッテリ22,24の電流Ib1,Ib2の積算値に基づいて蓄電割合SOC1,SOC2を演算している。ここで、蓄電割合SOC1,SOC2は、第1,第2バッテリ22,24の定格容量(全容量)Sr1,Sr2に対する第1,第2バッテリ22,24から放電可能な電力の容量の割合である。
こうして構成された実施例の電源装置20では、ECU50は、インバータ10が駆動する図示しないモータのトルク指令Tm*を設定し、モータがトルク指令Tm*で駆動されるようにインバータ10の各トランジスタのスイッチング制御を行なう。ECU50は、モータの目標駆動点(トルク指令Tm*,モータの回転数Nm)に基づいて、高電圧側電力ライン30の目標電圧VH*を設定し、高電圧側電力ライン30の電圧VHが目標電圧VH*となるように第1,第2昇圧コンバータ26,28のトランジスタT31,T32,T41,T42のスイッチング制御を行なう。
図2は、ECU50により実行される第1,第2昇圧コンバータ26,28のトランジスタT31,T32,T41,T42のスイッチング制御を説明するための機能ブロック図である。図2に例示した機能ブロック図に記載された各機能ブロックは、ECU50により実行される処理によって実現される。
ECU50は、電圧指令演算部100と、電圧制御演算部102,104と、電流制御演算部106,108と、キャリア生成部110と、駆動信号生成部112,114と、を備える。
電圧指令演算部100は、モータの目標駆動点(トルク指令Tm*,回転数Nm)などモータの駆動に関する情報が入力され、入力された目標駆動点に基づいて高電圧側電力ライン30の目標電圧VH*を設定する。
電圧制御演算部102,104は、高電圧側電力ライン30の目標電圧VH*と電圧VHとが入力され、電圧VHを目標電圧VH*にするための第1,第2昇圧コンバータ26,28のトータル目標電流IL*を設定する。電圧制御演算部102は、トータル目標電流IL*に第1昇圧コンバータ26(リアクトルL1)の分配比D1を乗じて、リアクトルL1の目標電流IL1*を演算する。電圧制御演算部102は、トータル目標電流IL*に第2昇圧コンバータ28(リアクトルL2)の分配比D2(=1-D1)を乗じて、リアクトルL2の目標電流IL2*を演算する。分配比D1,D2は、それぞれトータル目標電流IL*のうち第1,第2昇圧コンバータ26,28(リアクトルL1,L2)を介して第1,第2低電圧側電力ライン23,25と高電圧側電力ライン30との間でやりとりされる電流の割合である。
電流制御演算部106は、目標電流IL1*と第1昇圧コンバータ26のリアクトルL1の電流IL1とを入力し、電流IL1が目標電流IL1*となるように、第1昇圧コンバータ26のトランジスタT31,T32の目標デューティ比D1*を演算する。
電流制御演算部108は、目標電流IL2*と第2昇圧コンバータ28のリアクトルL2の電流IL2とを入力し、電流IL2が目標電流IL2*となるように、第2昇圧コンバータ28のトランジスタT41,T42の目標デューティ比D2*を演算する。
キャリア生成部110は、モータの回転数Nmに基づくキャリア周波数Fcの三角波のキャリアを生成する。
駆動信号生成部112は、目標デューティ比D1*とキャリア周波数Fcとを用いてPWM信号を生成し、生成したPWM信号を用いてトランジスタT31,T32をスイッチング制御する。駆動信号生成部114は、目標デューティ比D2*とキャリア周波数Fcとを用いてPWM信号を生成し、生成したPWM信号を用いてトランジスタT41,T42をスイッチング制御する。
ECU50は、基本的には、キャリアの半周期Thalf毎のタイミング(キャリアの波形で山または谷となるタイミング)までに目標デューティ比D1*,D2を設定し、目標デューティ比D1*,D2*を設定した次のキャリアの半周期Thalfの期間で目標デューティ比D1*とキャリア周波数Fcとを用いてPWM信号を生成し、生成したPWM信号を用いて第1,第2昇圧コンバータ26,28のトランジスタT31,T32,T41,T42のスイッチング制御を実行する。
次に、本実施例の電源装置の動作、特に、図2に例示した機能ブロックでの演算に比較的長い時間を要したときの動作について説明する。
図3は、ECU50により実行される昇圧制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。昇圧制御ルーチンは、キャリアの1周期毎に実行される。
昇圧制御ルーチンが開始されると、ECU50は、必要な情報を入力する処理を実行する(ステップS100)。入力する情報としては、モータの目標駆動点(トルク指令Tm*,回転数Nm)や電圧センサ30bにより検出された電圧VHなどを挙げることができる。
続いて、入力された目標駆動点に基づいて高電圧側電力ライン30の目標電圧VH*を設定する(ステップS110)。
次に、目標電圧VH*と電圧VHとを比較し(ステップS120)、電圧制御演算1(ステップS130)とタイミング比較処理(ステップS140)とを実行する。
ステップS130の電圧制御演算1では、電圧VHを目標電圧VH*にするための第1,第2昇圧コンバータ26,28のトータル目標電流IL*を演算し、トータル目標電流IL*に第1昇圧コンバータ26(リアクトルL1)の分配比D1を乗じて、リアクトルL1の目標電流IL1*を演算する。
ステップS140のタイミング比較処理は、電圧制御演算1と共に同時に実行が開始される。図4は、タイミング比較処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。タイミング比較処理ルーチンが実行されると、ECU50は、演算タイミングパルスPctの立ち上がりエッジを検出しているか否かを判定する処理を実行する(ステップS300)。演算タイミングパルスPctは、このルーチンと同時に実行が開始される演算処理Ap(ここでは、電圧制御演算1)が開始されると立ち上がり、演算処理Apが終了したら立ち下がるパルスである。図5は、演算タイミングパルスPctを説明するための説明図である。図中、演算タイミングパルスPct(1)~Pct(3)は、タイミング比較処理ルーチンを繰り返す毎に生成されるパルスの一例である。演算処理Apは、外乱などの影響により、同じ演算であってもその都度演算に要する時間が異なる。したがって、図5に示すように、演算の開始タイミングtsart(演算タイミングパルスPctの立ち上がりエッジ)が同一でも、演算の終了タイミングtend(1)~tend(3)(演算タイミングパルスPctの立ち下がりエッジ)にはずれが生じる。
ステップS300で演算タイミングパルスPctの立ち上がりエッジを検出できないときには、演算タイミングパルスPctの立ち上がりエッジを検出するまで待つ。そして、演算タイミングパルスPctの立ち上がりエッジを検出したときには、タイムスタンプを取得して、取得したタイムスタンプを立ち上がり時刻trとして保持する(ステップS310)。
続いて、立ち上がり時刻trから次に目標デューティ比D1*,D2*を設定するまでの残り時間T1を演算する(ステップS320)。上述したように、目標デューティ比D1*,D2*は、キャリアの半周期Thalf毎のタイミング(キャリアの波形で山または谷となるタイミング)までに設定する必要がある。そのため、ステップS110では、立ち上がり時刻trから次にキャリアの波形が山または谷になる時刻tcpまでの時間を残り時間T1として演算する。
次に、演算タイミングパルスPctの立ち下がりエッジを検出したか否かを判定する(ステップS330)。立ち下がりエッジを検出しないときには、残り時間T1が経過したか否かを判定する(ステップS360)。残り時間T1が経過していないときには、ステップS330の処理へ戻り、演算タイミングパルスPctの立ち下がりエッジを検出するか、残り時間T1が経過するまで、ステップS330,S360の処理を繰り返す。
立ち下がりエッジを検出したときには、タイムスタンプを取得して、取得したタイムスタンプを立ち下がり時刻tfとして保持する(ステップS340)。
続いて、立ち下がり時刻tfから次に目標デューティ比D1*,D2*を設定するまでの残り時間T2を演算する(ステップS350)。ここでは、立ち下がり時刻trから次にキャリアの波形が山または谷になる時刻tcpまでの時間を残り時間T2として演算する。
そして、このルーチンと同時に実行が開始される演算処理Apが終了して目標デューティ比D1*,D2*を設定するまでに要する時間の最大値である最大時間Tmを取得する(ステップS380)。最大時間Tmは、演算処理Apが終了してから目標デューティ比D1*,D2*を設定するまでに実行される各演算(演算処理Apが電圧制御演算1の場合には、後述する電圧制御演算2,電流制御演算1,電流制御演算2)の所要時間の和として演算される。各演算の所要時間は、ECU50の図示しないメモリに保持されている。各演算の所要時間は、大きい値に更新される度に更新されて保持される。
続いて、残り時間T2が最大時間Tmよりも大きいか否かを判定する(ステップS390)。残り時間T2が最大時間Tmより大きいときには、次にキャリアの波形が山または谷になる時刻tcpまでに各演算を終了して目標デューティ比D1*,D2*を設定できる、即ち、目標デューティ比D1*,D2*の設定が時刻tcpに間に合うと判定して(ステップS400)、タイミング比較処理ルーチンを終了する。ステップS390で、残り時間T2が最大時間Tm以下のときには、次にキャリアの波形が山または谷になる時刻tcpまでに各演算を終了できず目標デューティ比D1*,D2*を設定できない、即ち、目標デューティ比D1*,D2*の設定が時刻tcpに間に合わないと判定して(ステップS410)、タイミング比較処理ルーチンを終了する。
ステップS330,S360で立ち下がりエッジを検出しない状態で残り時間T1が経過したときには、演算処理Apに比較的長い時間を要しており目標デューティ比D1*,D2*の設定が時刻tcpに間に合わないと判断して、残り時間T2を値0に設定して(ステップS370)、ステップS380以降の処理を実行し、タイミング比較処理ルーチンを終了する。このとき、残り時間T2を値0に設定しているから、残り時間T2が最大時間Tm以下となる。したがって、目標デューティ比D1*,D2*の設定が時刻tcpに間に合わないと判定される(ステップS410)。
図3に例示した昇圧制御ルーチンにおいて、こうしてステップS140のタイミング比較処理が終了すると、タイミング比較処理の結果に基づいて、目標デューティ比D1*,D2*の設定が時刻tcpに間に合うか否か(演算処理が間に合うか否か)を判定する(ステップS150)。
ステップS150で演算処理が間に合うときには、続いて、電圧制御演算2(ステップS160)とタイミング比較処理(ステップS170)とを実行する。
ステップS160の電圧制御演算2では、電圧VHを目標電圧VH*にするための第1,第2昇圧コンバータ26,28のトータル目標電流IL*を演算し、トータル目標電流IL*に第2昇圧コンバータ28(リアクトルL1)の分配比D2を乗じて、リアクトルL2の目標電流IL2*を演算する。
ステップS170のタイミング比較処理は、ステップS140と同様の処理で、ステップS160の電圧制御演算2と同時に実行が開始される。ステップS170のタイミング比較処理は、図4に例示したタイミング比較処理ルーチンにおいて演算処理ApをステップS160の電圧制御演算2として実行される。
こうしてステップS170のタイミング比較処理が終了すると、タイミング比較処理の結果に基づいて、目標デューティ比D1*,D2*の設定が時刻tcpに間に合うか否か(演算処理が間に合うか否か)を判定する(ステップS180)。
ステップS180で演算処理が間に合うときには、続いて、電流センサ33a,43aから電流IL1,IL2を入力して(ステップS190)、電流制御演算1(ステップS200)とタイミング比較処理(ステップS210)とを実行する。
ステップS200の電流制御演算1では、目標電流IL1*と入力した電流IL1とを比較し、電流IL1が目標電流IL1*となるように、第1昇圧コンバータ26のトランジスタT31,T32の目標デューティ比D1*を演算する。
ステップS210のタイミング比較処理は、ステップS140と同様の処理で、ステップS200の電流制御演算1と同時に実行が開始される。ステップS210のタイミング比較処理は、図4に例示したタイミング比較処理ルーチンにおいて演算処理ApをステップS200の電流制御演算1として実行される。
こうしてステップS210のタイミング比較処理が終了すると、タイミング比較処理の結果に基づいて、目標デューティ比D1*,D2*の設定が時刻tcpに間に合うか否か(演算処理が間に合うか否か)を判定する(ステップS220)。
ステップS220で演算処理が間に合うときには、続いて、電流制御演算2(ステップS230)とタイミング比較処理(ステップS240)とを実行する。
ステップS230の電流制御演算2では、目標電流IL2*と入力した電流IL2とを比較し、電流IL2が目標電流IL2*となるように、第2昇圧コンバータ28のトランジスタT41,T42の目標デューティ比D2*を演算する。
ステップS240のタイミング比較処理は、ステップS140と同様の処理で、ステップS230の電流制御演算2と同時に実行が開始される。ステップS240のタイミング比較処理は、図4に例示したタイミング比較処理ルーチンにおいて演算処理ApをステップS230の電流制御演算1として実行される。
こうしてステップS240のタイミング比較処理が終了すると、タイミング比較処理の結果に基づいて、目標デューティ比D1*,D2*の設定が時刻tcpに間に合うか否か(演算処理が間に合うか否か)を判定する(ステップS250)。
ステップS250で演算処理が間に合うときには、目標デューティ比D1*,D2*とキャリア周波数Fcとを用いてPWM信号を生成し、生成したPWM信号を用いてトランジスタT31,T32,T41,T42をスイッチング制御して(ステップS260)、昇圧制御ルーチンを終了する。このように、昇圧制御ルーチンでは、第1,第2昇圧コンバータ26,28のトランジスタT31,T32,T41,T42の目標デューティ比D1*,D2*を演算するために、各ステップが順に実行される。そして、目標デューティ比D1*,D2*の設定が時刻tcpに間に合うときには、目標デューティ比D1*,D2*とキャリア周波数Fcとを用いてPWM信号を生成し、生成したPWM信号を用いてトランジスタT31,T32,T41,T42をスイッチング制御するから、インバータ10に仕様を超えた比較的大きな電圧が印加されるのを抑制できる。
ステップS150,S180,S220,S250で演算処理が間に合わないときには、演算処理を継続するとインバータ10に仕様を超えた比較的大きな電圧が印加される可能性があると判断して、現在の処理を中断して(ステップS270)、続いて、電圧維持制御を実行して(ステップS280)、昇圧制御ルーチンを終了する。
図6は、ステップS280で実行される電圧維持制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。電圧維持制御ルーチンが実行されると、ECU50は、現在の時刻がキャリアの波形が山または谷になる時刻tcpであるか否かを判定する処理を実行する(ステップS500)。現在の時刻が時刻tcpでないときには、現在の時刻が時刻tcpとなるまで、ステップS500を繰り返す。キャリアの波形が山または谷になるタイミングtcpは、目標デューティ比D1*,D2*を設定するタイミングであることから、ステップS500を繰り返す処理は、現在時刻が目標デューティ比D1*,D2*を設定するタイミングとなるまで待つ処理となっている。
ステップS500で現在の時刻が時刻tcpとなると、電流センサ33a,43aにより検出された電流IL1,IL2を目標電流IL1*,IL2*に設定し(ステップS510)、図3に例示した昇圧制御ルーチンのステップS200と同様の処理で電流制御演算1(ステップS520)を実行し、図3に例示した昇圧制御ルーチンのステップS230と同様の処理で電流制御演算2(ステップS530)を実行する。ステップS510で電流IL1,IL2を目標電流IL1*,IL2*に設定している。したがって、ステップS520,S530は、リアクトルL1,L2に流れる電流IL1,IL2が維持されて、高電圧側電力ライン30の電圧VHが維持されるように、第1,第2昇圧コンバータ26,28のトランジスタT31,T32,T41,T42の目標デューティ比D1*,D2*を演算する処理となっている。
こうして目標デューティ比D1*,D2*を設定すると、目標デューティ比D1*,D2*とキャリア周波数Fcとを用いてPWM信号を生成し、生成したPWM信号を用いてトランジスタT31,T32,T41,T42をスイッチング制御して(ステップS540)、電圧維持制御ルーチンを終了する。こうした処理により、電圧VHを現在の電圧で維持することができる。
図7~図8は、キャリア(三角波)と図3,図4,図6の各処理が実行されている様子との一例を示す説明図である。図7に示すように、例えば、目標電流IL1*と電流IL1との比較に時間を要して電流制御演算1を実行中に残り時間T1が経過する場合がある。この場合、図4のタイミング比較処理ルーチンのステップS410で目標デューティ比D1*,D2*の設定が時刻tcpに間に合わないと判定され、図3のステップS280で電圧維持制御を実行される。これにより、電圧VHを現在の電圧で維持することができるから、インバータ10に仕様より大きい比較的大きな電圧が印加されることが抑制できる。
また、図8に示すように、例えば、電流制御演算1の演算を終了した時刻tendでの残り時間T2が最大時間Tm未満となることがある。この場合、図4のタイミング比較処理ルーチンのステップS410で目標デューティ比D1*,D2*の設定が時刻tcpに間に合わないと判定され、図2のステップS280で電圧維持制御を実行される。これにより、電圧VHを現在の電圧で維持することができるから、インバータ10に仕様より大きい比較的大きな電圧が印加されることが抑制できる。
以上説明した実施例の電源装置20によれば、目標デューティ比D1*,D2*の演算を開始してからの所定のタイミング(ステップS140,S170,S210,S240の演算を開始したタイミング、立ち上がり時刻tr)から次に目標デューティ比D1*,D2*を設定すべき時刻tcpまでの残り時間T1を算出し、目標デューティ比D1*,D2*の演算を実行している途中で残り時間T1を経過したときには、インバータ10に供給されている電圧を保持するようにトランジスタT31,T32,T41,T42をスイッチング制御するから、インバータ10に比較的大きな電圧が印加されることを抑制できる。
実施例の電源装置20では、演算タイミングパルスPctの立ち上がり時刻trから時刻tcpまでの残り時間T1を算出し、目標デューティ比D1*,D2*の演算を実行している途中で残り時間T1を経過したときには、残り時間T2を値0に設定して、インバータ10に供給されている電圧を保持するようにトランジスタT31,T32,T41,T42をスイッチング制御している。しかしながら、残り時間T1は、演算タイミングパルスPctの立ち上がり時刻trから時刻tcpまでの時間に限定されるわけではない。残り時間T1は、例えば、立ち上がり時刻trより少し後のタイミングから次に目標デューティ比D1*,D2*を設定するまでの時間など、目標デューティ比D1*,D2*の演算を開始してからの所定のタイミングから次の時刻tcpまでの時間とすればよい。
実施例の電源装置20では、図3に例示するタイミング比較処理ルーチンでは、ステップS340~ステップS410で、最大時間Tmと残り時間T2とを算出し、最大時間Tmが残り時間T2より長いときには、ステップS410で目標デューティ比D1*,D2*の設定が時刻tcpに間に合わないと判定している。しかしながら、最大時間Tm,残り時間T2を算出しないものとして、ステップS340,S350,S370~S390を実行しないものとしてもよい。この場合、ステップS330,S360で残り時間T1が経過する前に立ち下がりエッジを検出したときにはステップS400を実行して目標デューティ比D1*,D2*の設定が時刻tcpに間に合うと判定し、ステップS330,S360で立ち下がりエッジを検出する前に残り時間T1が経過したときには、ステップS410を実行して目標デューティ比D1*,D2*の設定が時刻tcpに間に合わないと判定してもよい。
実施例の電源装置20では、第1,第2バッテリ22,24の2つのバッテリを備えているものとしたが、蓄電装置として1つのバッテリのみを備えるものとしてもよい。この場合、第1,第2昇圧コンバータ26,28は、1つのバッテリとインバータ10との間に並列に接続すればよい。
実施例の電源装置20では、蓄電装置として第1,第2バッテリ22,24の2つのバッテリを備えているものとしたが、2つのバッテリに代えて2つのキャパシタを備えていてもよい。また、2つのバッテリに代えて1つのバッテリと1つのキャパシタとを備えていてもよい。
実施例の電源装置20では、電気負荷としてインバータ10へ電圧(電力)を供給しているが、電気負荷としては、電圧(電力)が供給されて作動する装置であれば如何なるものとしても構わない。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、第1,第2バッテリ22,24が「蓄電装置」に相当し、第1昇圧コンバータ26が「第1昇圧コンバータ」に相当し、第2昇圧コンバータ28が「第2昇圧コンバータ」に相当し、ECU50が「制御装置」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、電源装置の製造産業などに利用可能である。
10 インバータ、20 電源装置、22 第1バッテリ、22a,33a,43a 電流センサ、23 第1低電圧側電力ライン、23a,25a,30a コンデンサ、23b,25b,30b 電圧センサ、24 第2バッテリ、25 第2低電圧側電力ライン、26 第1昇圧コンバータ、28 第2昇圧コンバータ、30 高電圧側電力ライン、50 電子制御ユニット(ECU)、100 電圧指令演算部、102,104 電圧制御演算部、106,108 電流制御演算部、110 キャリア生成部、112.114 駆動信号生成部、D31,D32,D41,D42 ダイオード、L1,L2 リアクトル、T31,T32,T41,T42 トランジスタ。

Claims (1)

  1. 少なくとも1つのバッテリを有する蓄電装置と、
    第1上アームおよび第1下アームの2つのスイッチング素子と第1リアクトルとを有し、前記蓄電装置とインバータとの間で電圧変換を伴って電力のやりとりを行なう第1昇圧コンバータと、
    第2上アームおよび第2下アームの2つのスイッチング素子と第2リアクトルとを有し、前記蓄電装置と前記インバータとの間で電圧変換を伴って電力のやりとりを行なう第2昇圧コンバータと、
    前記インバータに供給する電圧が前記インバータにより駆動されるモータのトルク指令と回転数とからなる目標駆動点に基づく目標電圧となるように第1,第2目標デューティ比を演算し、前記第1,第2目標デューティ比を用いて前記第1,第2上アームおよび前記第1,第2下アームの4つのスイッチング素子を制御する制御装置と、
    を備える電源装置であって、
    前記制御装置は、
    前記第1,第2目標デューティ比の演算を開始してからの所定のタイミングから前記第1,第2目標デューティ比を設定するまでの残り時間を算出し、
    前記第1,第2目標デューティ比の演算を実行している途中で前記残り時間を経過したときには、前記目標電圧に拘わらず前記インバータに供給されている電圧を保持するように前記第1,第2上アームおよび前記第1,第2下アームの4つのスイッチング素子を制御する、
    電源装置。
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