以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
[光走査システム]
まず、本実施形態の可動装置を適用した光走査システムについて、図1~図4に基づいて詳細に説明する。
図1には、光走査システムの一例の概略図が示されている。図1に示すように、光走査システム10は、制御装置11の制御に従って光源装置12から照射された光を可動装置13の有する反射面14により偏向して被走査面15を光走査するシステムである。
光走査システム10は、制御装置11,光源装置12、反射面14を有する可動装置13により構成される。
制御装置11は、例えばCPU(Central Processing Unit)およびFPGA(Field-Programmable Gate Array)等を備えた電子回路ユニットである。可動装置13は、例えば反射面14を有し、反射面14を可動可能なMEMS(Micro Electromechanical Systems)デバイスである。光源装置12は、例えばレーザを照射するレーザ装置である。なお、被走査面15は、例えばスクリーンである。
制御装置11は、取得した光走査情報に基づいて光源装置12および可動装置13の制御命令を生成し、制御命令に基づいて光源装置12および可動装置13に駆動信号を出力する。
光源装置12は、入力された駆動信号に基づいて光源の照射を行う。可動装置13は、入力された駆動信号に基づいて反射面14を1軸方向または2軸方向の少なくともいずれかに可動させる。
これにより、例えば、光走査情報の一例である画像情報に基づいた制御装置11の制御によって、可動装置13の反射面14を所定の範囲で2軸方向に往復可動させ、反射面14に入射する光源装置12からの照射光をある1軸周りに偏向して光走査することにより、被走査面15に任意の画像を投影することができる。なお、本実施形態の可動装置の詳細および制御装置による制御の詳細については後述する。
次に、光走査システム10一例のハードウェア構成について図2を用いて説明する。図2は、光走査システム10の一例のハードウェア構成図である。図2に示すように、光走査システム10は、制御装置11、光源装置12および可動装置13を備え、それぞれが電気的に接続されている。このうち、制御装置11は、CPU20、RAM21(Random Access Memory)、ROM22(Read Only Memory)、FPGA23、外部I/F24、光源装置ドライバ25、可動装置ドライバ26を備えている。
CPU20は、ROM22等の記憶装置からプログラムやデータをRAM21上に読み出し、処理を実行して、制御装置11の全体の制御や機能を実現する演算装置である。
RAM21は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の記憶装置である。
ROM22は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の記憶装置であり、CPU20が光走査システム10の各機能を制御するために実行する処理用プログラムやデータを記憶している。
FPGA23は、CPU20の処理に従って、光源装置ドライバ25および可動装置ドライバ26に適した制御信号を出力する回路である。
外部I/F24は、例えば外部装置やネットワーク等とのインタフェースである。外部装置には、例えば、PC(Personal Computer)等の上位装置、USBメモリ、SDカード、CD、DVD、HDD、SSD等の記憶装置が含まれる。また、ネットワークは、例えば自動車のCAN(Controller Area Network)やLAN(Local Area Network)、インターネット等である。外部I/F24は、外部装置との接続または通信を可能にする構成であればよく、外部装置ごとに外部I/F24が用意されてもよい。
光源装置ドライバ25は、入力された制御信号に従って光源装置12に駆動電圧等の駆動信号を出力する電気回路である。
可動装置ドライバ26は、入力された制御信号に従って可動装置13に駆動電圧等の駆動信号を出力する電気回路である。
制御装置11において、CPU20は、外部I/F24を介して外部装置やネットワークから光走査情報を取得する。なお、CPU20が光走査情報を取得することができる構成であればよく、制御装置11内のROM22やFPGA23に光走査情報を格納する構成としてもよいし、制御装置11内に新たにSSD等の記憶装置を設けて、その記憶装置に光走査情報を格納する構成としてもよい。
ここで、光走査情報とは、被走査面15にどのように光走査させるかを示した情報であり、例えば、光走査により画像を表示する場合は、光走査情報は画像データである。また、例えば、光走査により光書込みを行う場合は、光走査情報は書込み順や書込み箇所を示した書込みデータである。他にも、例えば、光走査により物体認識を行う場合は、光走査情報は物体認識用の光を照射するタイミングと照射範囲を示す照射データである。
制御装置11は、CPU20の命令および図2に示したハードウェア構成によって、次に説明する機能構成を実現することができる。
次に、光走査システム10の制御装置11の機能構成について図3を用いて説明する。図3は、光走査システムの制御装置の一例の機能ブロック図である。
図3に示すように、制御装置11は、機能として制御部30と駆動信号出力部31とを有する。
制御部30は、例えばCPU20、FPGA23等により実現され、外部装置から光走査情報を取得し、光走査情報を制御信号に変換して駆動信号出力部31に出力する。例えば、制御部30は、外部装置等から画像データを光走査情報として取得し、所定の処理により画像データから制御信号を生成して駆動信号出力部31に出力する。駆動信号出力部31は、光源装置ドライバ25、可動装置ドライバ26等により実現され、入力された制御信号に基づいて光源装置12または可動装置13に駆動信号を出力する。
駆動信号は、光源装置12または可動装置13の駆動を制御するための信号である。例えば、光源装置12においては、光源の照射タイミングおよび照射強度を制御する駆動電圧である。また、例えば、可動装置13においては、可動装置13の有する反射面14を可動させるタイミングおよび可動範囲を制御する駆動電圧である。
次に、光走査システム10が被走査面15を光走査する処理について図4を用いて説明する。図4は、光走査システムに係る処理の一例のフローチャートである。
ステップS11において、制御部30は、外部装置等から光走査情報を取得する。
ステップS12において、制御部30は、取得した光走査情報から制御信号を生成し、制御信号を駆動信号出力部31に出力する。
ステップS13において、駆動信号出力部31は、入力された制御信号に基づいて駆動信号を光源装置12および可動装置13に出力する。
ステップ14において、光源装置12は、入力された駆動信号に基づいて光照射を行う。また、可動装置13は、入力された駆動信号に基づいて反射面14の可動を行う。光源装置12および可動装置13の駆動により、任意の方向に光が偏向され、光走査される。
なお、上記光走査システム10では、1つの制御装置11が光源装置12および可動装置13を制御する装置および機能を有しているが、光源装置用の制御装置および可動装置用の制御装置と、別体に設けてもよい。
また、上記光走査システム10では、一つの制御装置11に光源装置12および可動装置13の制御部30の機能および駆動信号出力部31の機能を設けているが、これらの機能は別体として存在していてもよく、例えば制御部30を有した制御装置11とは別に駆動信号出力部31を有した駆動信号出力装置を設ける構成としてもよい。なお、上記光走査システム10のうち、反射面14を有した可動装置13と制御装置11により、光偏向を行う光偏向システムを構成してもよい。
[画像投影装置]
次に、本実施形態の可動装置を適用した画像投影装置について、図5および図6を用いて詳細に説明する。
図5は、画像投影装置の一例であるヘッドアップディスプレイ装置500を搭載した自動車400の実施形態に係る概略図である。また、図6はヘッドアップディスプレイ装置500の一例の概略図である。
画像投影装置は、光走査により画像を投影する装置であり、例えばヘッドアップディスプレイ装置である。
図5に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置500は、例えば、自動車400のウインドシールド(フロントガラス401等)の付近に設置される。ヘッドアップディスプレイ装置500から発せられる投射光Lがフロントガラス401で反射され、ユーザーである観察者(運転者402)に向かう。これにより、運転者402は、ヘッドアップディスプレイ装置500によって投影された画像等を虚像として視認することができる。なお、ウインドシールドの内壁面にコンバイナを設置し、コンバイナによって反射する投射光によってユーザーに虚像を視認させる構成にしてもよい。
図6に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置500は、赤色、緑色、青色のレーザ光源501R,501G,501Bからレーザ光が出射される。出射されたレーザ光は、各レーザ光源に対して設けられるコリメートレンズ502,503,504と、2つのダイクロイックミラー505,506と、光量調整部507と、から構成される入射光学系を経た後、反射面14を有する可動装置13にて偏向される。そして、偏向されたレーザ光は、自由曲面ミラー509と、中間スクリーン510と、投射ミラー511とから構成される投射光学系を経て、スクリーンに投影される。なお、上記ヘッドアップディスプレイ装置500では、レーザ光源501R,501G,501B、コリメートレンズ502,503,504、ダイクロイックミラー505,506は、光源ユニット530として光学ハウジングによってユニット化されている。
上記ヘッドアップディスプレイ装置500は、中間スクリーン510に表示される中間像を自動車400のフロントガラス401に投射することで、その中間像を運転者402に虚像として視認させる。
レーザ光源501R,501G,501Bから発せられる各色レーザ光は、それぞれ、コリメートレンズ502,503,504で略平行光とされ、合成部となる2つのダイクロイックミラー505,506により合成される。合成されたレーザ光は、光量調整部507で光量が調整された後、反射面14を有する可動装置13によって二次元走査される。可動装置13で二次元走査された投射光Lは、自由曲面ミラー509で反射されて歪みを補正された後、中間スクリーン510に集光され、中間像を表示する。中間スクリーン510は、マイクロレンズが二次元配置されたマイクロレンズアレイで構成されており、中間スクリーン510に入射してくる投射光Lをマイクロレンズ単位で拡大する。
可動装置13は、反射面14を2軸方向に往復可動させ、反射面14に入射する投射光Lを二次元走査する。この可動装置13の駆動制御は、レーザ光源501R,501G,501Bの発光タイミングに同期して行われる。
以上、画像投影装置の一例としてのヘッドアップディスプレイ装置500の説明をしたが、画像投影装置は、反射面14を有した可動装置13により光走査を行うことで画像を投影する装置であればよい。例えば、机等に置かれ、表示スクリーン上に画像を投影するプロジェクタや、観測者の頭部等に装着される装着部材に搭載され、装着部材が有する反射透過スクリーンに投影、または眼球をスクリーンとして画像を投影するヘッドマウントディスプレイ装置等にも、同様に適用することができる。
また、画像投影装置は、車両や装着部材だけでなく、例えば、航空機、船舶、移動式ロボット等の移動体、あるいは、その場から移動せずにマニピュレータ等の駆動対象を操作する作業ロボットなどの非移動体に搭載されてもよい。
尚、ヘッドアップディスプレイ装置500は、特許請求の範囲に記載の「ヘッドアップディスプレイ」の一例である。また自動車400は、特許請求の範囲に記載の「車両」の一例である。
[光書込装置]
次に、本実施形態の可動装置13を適用した光書込装置について図7および図8を用いて詳細に説明する。
図7は、光書込装置600を組み込んだ画像形成装置の一例である。また、図8は、光書込装置の一例の概略図である。
図7に示すように、上記光書込装置600は、レーザ光によるプリンタ機能を有するレーザプリンタ650等に代表される画像形成装置の構成部材として使用される。画像形成装置において光書込装置600は、1本または複数本のレーザビームで被走査面15である感光体ドラムを光走査することにより、感光体ドラムに光書込を行う。
図8に示すように、光書込装置600において、レーザ素子などの光源装置12からのレーザ光は、コリメートレンズなどの結像光学系601を経た後、反射面14を有する可動装置13により1軸方向または2軸方向に偏向される。そして、可動装置13で偏向されたレーザ光は、その後、第一レンズ602aと第二レンズ602b、反射ミラー部602cからなる走査光学系602を経て、被走査面15(例えば感光体ドラムや感光紙)に照射し、光書込みを行う。走査光学系602は、被走査面15にスポット状に光ビームを結像する。また、光源装置12および反射面14を有する可動装置13は、制御装置11の制御に基づき駆動する。
このように上記光書込装置600は、レーザ光によるプリンタ機能を有する画像形成装置の構成部材として使用することができる。また、走査光学系を異ならせて1軸方向だけでなく2軸方向に光走査可能にすることで、レーザ光をサーマルメディアに偏向して光走査し、加熱することで印字するレーザラベル装置等の画像形成装置の構成部材として使用することができる。
上記光書込装置に適用される反射面14を有した可動装置13は、ポリゴンミラー等を用いた回転多面鏡に比べ駆動のための消費電力が小さいため、光書込装置の省電力化に有利である。また、可動装置13の振動時における風切り音は回転多面鏡に比べ小さいため、光書込装置の静粛性の改善に有利である。光書込装置は回転多面鏡に比べ設置スペースが圧倒的に少なくて済み、また可動装置13の発熱量もわずかであるため、小型化が容易であり、よって画像形成装置の小型化に有利である。
[物体認識装置]
次に、上記本実施形態の可動装置を適用した物体認識装置について、図9および図10を用いて詳細に説明する。
図9は、物体認識装置の一例であるライダ(LiDAR;Laser Imaging Detection and Ranging)装置を搭載した自動車の概略図である。また、図10はライダ装置の一例の概略図である。
物体認識装置は、対象方向の物体を認識する装置であり、例えばライダ装置である。
図9に示すように、ライダ装置700は、例えば自動車701に搭載され、対象方向を光走査して、対象方向に存在する被対象物702からの反射光を受光することで、被対象物702を認識する。
図10に示すように、光源装置12から出射されたレーザ光は、発散光を略平行光とする光学系であるコリメートレンズ703と、平面ミラー704とから構成される入射光学系を経て、反射面14を有する可動装置13で1軸もしくは2軸方向に走査される。そして、投光光学系である投光レンズ705等を経て装置前方の被対象物702に照射される。光源装置12および可動装置13は、制御装置11により駆動を制御される。被対象物702で反射された反射光は、光検出器709により光検出される。すなわち、反射光は入射光検出受光光学系である集光レンズ706等を経て撮像素子707により受光され、撮像素子707は検出信号を信号処理回路708に出力する。信号処理回路708は、入力された検出信号に2値化やノイズ処理等の所定の処理を行い、結果を測距回路710に出力する。
図11は、光源装置12であるレーザ光源の構成例を示す図である。光源装置12であるレーザ光源は、たとえば、「レイヤー」と呼ばれるレーザ素子グループが複数、同一面内に配置されたVCSELアレイ12Aで形成されている(面発光レーザアレイ)。以下の説明では、光源装置12であるレーザ光源の各レイヤーを形成する「面発光レーザ素子」を「発光素子」と略称する。VCSELアレイ12Aはレイヤー121-1~121-mを有し、各レイヤー121は、複数の発光素子1221~122n(以下、適宜「発光素子122」と総称する)を有する。
発光素子122は、同一基板上に集積可能な素子であり、各発光素子122の光軸はVCSELアレイ12Aの配置面と直交する。
各レイヤー121の発光タイミングは、光源装置ドライバ25によって、それぞれ独立に制御されている。また、各レイヤー121は、そのレイヤー121内に含まれる複数の発光素子122が同時に発光するように制御されている。
図11では、複数のレイヤー121が一次元的に配置されているが、複数のレイヤー121が2次元的に配置されたVCSELアレイ12Aを用いてもよい。各レイヤー121の発光素子122は、所定のピッチで細密配置またはハニカム状に配置されているが、この配置例に限定されない。発光素子122の開口の形状も六角形に限定されない。VCSELアレイ12Aのレイヤー121の数、レイヤー121内の発光素子122の数、発光領域の大きさ等は、ライダ装置700に必要とされる角度分解能、走査範囲、検出距離等によって、適宜設計される。
測距回路710は、光源装置12がレーザ光を発光したタイミングと、光検出器709でレーザ光を受光したタイミングとの時間差、または受光した撮像素子707の画素ごとの位相差によって、被対象物702の有無を認識し、さらに被対象物702との距離情報を算出する。
反射面14を有する可動装置13は多面鏡に比べて破損しづらく、小型であるため、耐久性の高い小型のレーダ装置を提供することができる。このようなライダ装置は、例えば車両、航空機、船舶、ロボット等に取り付けられ、所定範囲を光走査して障害物の有無や障害物までの距離を認識することができる。
図9は、ライダ装置700を搭載した移動体である自動車701の概略図である。ライダ装置700は自動車701のフロントガラスの上方、前座席の天井などに取り付けられる。ライダ装置700は、たとえば自動車701の進行方向に向かって光走査して、進行方向に存在する被対象物702からの反射光を受光することで、被対象物702を認識する。ライダ装置700の投光部は、例えば、MLAなどの光学素子であらかじめレーザ光の発散角を抑制して光走査することにより、可動装置13などの走査部での光損失が低減され、高い角度分解能でレーザ光を遠方まで投光することができる。
ライダ装置700の搭載位置は、自動車701の上部前方に限定されず、側面や後方に搭載されてもよい。ライダ装置700は、車両だけではなく、航空機、ドローンなどの飛行体、ロボット等の自律移動体など、任意の移動体に適用可能である。実施形態の投光部1の構成を採用することで、広い範囲で物体の存在とその位置を検知することができる。
上記物体認識装置では、一例としてのライダ装置700の説明をしたが、物体認識装置は、反射面14を有した可動装置13を制御装置11で制御することにより光走査を行い、光検出器により反射光を受光することで被対象物702を認識する装置であればよく、上述した実施形態に限定されるものではない。
例えば、手や顔を光走査して得た距離情報から形状等の物体情報を算出し、記録と参照することで対象物を認識する生体認証や、対象範囲への光走査により侵入物を認識するセキュリティセンサ、光走査により得た距離情報から形状等の物体情報を算出して認識し、3次元データとして出力する3次元スキャナの構成部材などにも同様に適用することができる。
[レーザヘッドランプ]
次に、上記本実施形態の可動装置を自動車のヘッドライトに適用したレーザヘッドランプ50について、図12を用いて説明する。図12は、レーザヘッドランプ50の構成の一例を説明する概略図である。
レーザヘッドランプ50は、制御装置11と、光源装置12bと、反射面14を有する可動装置13と、ミラー51と、透明板52とを有する。
光源装置12bは、青色のレーザ光を発する光源である。光源装置12bから発せられた光は、可動装置13に入射し、反射面14にて反射される。可動装置13は、制御装置11からの信号に基づき、反射面をXY方向に可動し、光源装置12bからの青色のレーザ光をXY方向に二次元走査する。
可動装置13による走査光は、ミラー51で反射され、透明板52に入射する。透明板52は、表面又は裏面を黄色の蛍光体により被覆されている。ミラー51からの青色のレーザ光は、透明板52における黄色の蛍光体の被覆を通過する際に、ヘッドライトの色として法定される範囲の白色に変化する。これにより自動車の前方は、透明板52からの白色光で照明される。
可動装置13による走査光は、透明板52の蛍光体を通過する際に所定の散乱をする。これにより自動車前方の照明対象における眩しさは緩和される。
可動装置13を自動車のヘッドライトに適用する場合、光源装置12b及び蛍光体の色は、それぞれ青及び黄色に限定されない。例えば、光源装置12bを近紫外線とし、透明板52を、光の三原色の青色、緑色及び赤色の各蛍光体を均一に混ぜたもので被覆してもよい。この場合でも、透明板52を通過する光を白色に変換でき、自動車の前方を白色光で照明することができる。
[ヘッドマウントディスプレイ]
次に、上記本実施形態の可動装置を適用したヘッドマウントディスプレイ60について、図13~図14を用いて説明する。ここでヘッドマウントディスプレイ60は、人間の頭部に装着可能な頭部装着型ディスプレイで、例えば、眼鏡に類する形状とすることができる。ヘッドマウントディスプレイを、以降ではHMDと省略して示す。
図13は、HMD60の外観を例示する斜視図である。図13において、HMD60は、左右に1組ずつ略対称に設けられたフロント60a、及びテンプル60bにより構成されている。フロント60aは、例えば、導光板61により構成することができ、光学系や制御装置等は、テンプル60bに内蔵することができる。
図14は、HMD60の構成を部分的に例示する図である。なお、図14では、左眼用の構成を例示しているが、HMD60は右眼用としても同様の構成を有している。
HMD60は、制御装置11と、光源ユニット530と、光量調整部507と、反射面14を有する可動装置13と、導光板61と、ハーフミラー62とを有している。
光源ユニット530は、上述したように、レーザ光源501R、501G、及び501Bと、コリメートレンズ502、503、及び504と、ダイクロイックミラー505、及び506とを、光学ハウジングによってユニット化したものである。光源ユニット530において、レーザ光源501R、501G、及び501Bからの三色のレーザ光は、合成部となるダイクロイックミラー505及び506で合成される。光源ユニット530からは、合成された平行光が発せられる。
光源ユニット530からの光は、光量調整部507により光量調整された後、可動装置13に入射する。可動装置13は、制御装置11からの信号に基づき、反射面14をXY方向に可動し、光源ユニット530からの光を二次元走査する。この可動装置13の駆動制御は、レーザ光源501R、501G、501Bの発光タイミングに同期して行われ、走査光によりカラー画像が形成される。
可動装置13による走査光は、導光板61に入射する。導光板61は、走査光を内壁面で反射させながらハーフミラー62に導光する。導光板61は、走査光の波長に対して透過性を有する樹脂等により形成されている。
ハーフミラー62は、導光板61からの光をHMD60の背面側に反射し、HMD60の装着者63の眼の方向に出射する。ハーフミラー62は、例えば、自由曲面形状を有している。走査光による画像は、ハーフミラー62での反射により、装着者63の網膜に結像する。或いは、ハーフミラー62での反射と眼球における水晶体のレンズ効果とにより、装着者63の網膜に結像する。またハーフミラー62での反射により、画像は空間歪が補正される。装着者63は、XY方向に走査される光で形成される画像を、観察することができる。
62はハーフミラーであるため、装着者63には、外界からの光による像と走査光による画像が重畳して観察される。ハーフミラー62に代えてミラーを設けることで、外界からの光をなくし、走査光による画像のみを観察できる構成としてもよい。
[パッケージング]
次に、本実施形態の可動装置のパッケージングについて図15を用いて説明する。
図15は、パッケージングされた可動装置の一例の概略図である。
図15に示すように、可動装置13は、パッケージ部材801の内側に配置される取付部材802に取り付けられ、パッケージ部材801の一部を透過部材803で覆われて、密閉されることでパッケージングされる。さらに、パッケージ内は窒素等の不活性ガスが密封されている。これにより、可動装置13の酸化による劣化が抑制され、さらに温度等の環境の変化に対する耐久性が向上する。
以上に説明した光偏向システム、光走査システム、画像投影装置、光書込装置、物体認識装置、レーザヘッドランプ、及びヘッドマウントディスプレイに使用される本実施形態の可動装置の詳細について、以下で図面を参照しながら説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
実施形態の説明では、第1軸を回動の中心とした光走査を副走査とし、第2軸を回動の中心とした光走査を主走査とする。また実施形態の用語における回動、揺動、可動は同義であるとする。さらに、矢印により示した方向のうち、X方向は第1軸と平行な方向、Y方向は第2軸と平行な方向、Z方向はXY平面と直交する方向とする。なお、Z方向は「積層方向」の一例である。
〔第1の実施形態〕
第1の実施形態における光偏向器について、図16に基づき説明する。本実施形態における光偏向器201は、可動装置13、駆動回路221、変位量検出部222、温度検出部223、振幅検出部224、周波数検出部225、及び演算部226を有している。尚、駆動回路221は、圧電アクチュエータ103を駆動するための駆動信号を生成するため、駆動信号生成部と記載する場合がある。
図17は、本実施形態における可動装置13の構造を示す。本実施形態における可動装置13は、光を反射する反射面14を有し可動するミラー部101、トーションバーのばね部102、駆動力を発生させる圧電アクチュエータ103、ばね部102のねじれを検出する圧電センサ104、枠状の固定部105等を有している。圧電アクチュエータ103及び圧電センサ104は、カンチレバー部106の表面に設けられており、圧電アクチュエータ103と、圧電センサ104は並行に配置されている。本願においては、ミラー部101を反射部と記載する場合がある。
より詳細には、ミラー部101の両側の-X方向及び+X方向に、ミラー部101に接続されたばね部102が各々設けられている。各々のばね部102は、X方向に長く形成されており、各々のばね部102の一方の端部が、ミラー部101と接続されており、他方の端部が、カンチレバー部106と接続されている。各々のカンチレバー部106は、Y方向に長く形成されており、カンチレバー部106の中央部分において、ばね部102の他方の端部が接続されている。カンチレバー部106は、Y方向の両端において枠状の固定部105と接続されている。
従って、ばね部102及びカンチレバー部106により形成される支持部107により、ミラー部101が支持されている。本実施形態では、カンチレバー部106の表面に設けられている圧電アクチュエータ103に電圧を印加することにより、カンチレバー部106が振動し、この振動がばね部102のねじれに変換され、ミラー部101を回動軸となる第1軸を中心に回動する。
即ち、本実施形態における可動装置13では、駆動回路221から入力される駆動信号を受けてミラー部101を揺動させることができる。ここで、駆動信号は正弦波であり、駆動信号の周波数を、可動装置13のばね部102における固有の共振周波数f0に近い周波数とすることにより、可動装置13におけるミラー部101の振れ角を大きくすることができる。尚、本願においては、振れ角を揺動角と記載する場合がある。
従って、駆動回路221から入力される駆動信号により、圧電アクチュエータ103に力が発生し、ばね部102が変形すると、圧電センサ104からは検知信号が出力される。検知信号はミラー部101の振れ角を示す信号である。変位量検出部222は、この検知信号の信号強度を検出する。このとき検知信号の信号強度が強いとミラー部101の振れ角が大きいという状態を表し、弱いとミラー部101の振れ角が小さいという状態を表す。
また、温度検出部223は可動装置13の近傍に配置され、可動装置13における圧電アクチュエータ103の周囲温度を検出する。振幅検出部224は圧電アクチュエータ103に入力される駆動信号の駆動振幅を検出する。周波数検出部225は圧電アクチュエータ103に入力される駆動信号の駆動周波数を検出する。
演算部226は、温度検出部223、振幅検出部224、周波数検出部225において検出した温度情報である周囲温度(T)、駆動振幅情報である駆動振幅(A)、駆動周波数情報である駆動周波数(f)より、適切な補正係数c(T、A、f)を演算する。更に、補正係数c(T、A、f)を、変位量検出部222の出力に乗算する。これにより、圧電センサ104の出力信号と実際のミラー部101の振れ角との間にある誤差を補正し、振れ角情報として出力する。本実施形態においては、周波数検出部225において検出された駆動周波数を含むことにより、より正確な補正を行うことができる。補正係数c(T、A、f)は、例えば、下記の数1に示されるような、温度(T)と駆動振幅(A)、駆動周波数(f)の一次関数の多項式を用いた演算により算出してもよいが、必ずしもこの限りではない。例えば、周囲温度(T)、駆動振幅(A)、駆動周波数(f)の非線形関数を用いた演算により算出するものであってもよい。尚、a0、a1、a2は係数であり、a3は定数である。
固定部105は、図17に示されるように、枠状に一体で形成されたものであってもよいが、図18に示されるように、固定部105の一部に開口部105aを設けることにより、固定部105が分離されているものであってもよい。ミラー部101が設けられている部分において、第1軸に対して直交する方向、即ち、±Y方向に、開口部105aを設けることにより、ミラー部101において反射された光が、枠状の固定部105により遮断されることを防ぐことができる。
更に、図19に示されるように、可動装置は、ミラー部101を支持する支持部108は、複数のカンチレバー部109がミアンダ状に形成された折り返しばね構造であってもよい。各々のカンチレバー部109は、Y方向に長く形成されており、各々のカンチレバー部109の表面には、圧電アクチュエータ103及び圧電センサ104が設けられている。また、ミラー部101と折り返しばね構造の支持部108との接続位置、支持部108と固定部105との接続位置は、図19に示される位置に限定されるものではなく、他の位置であってもよい。
図20は、図19に示される可動装置において、図18の場合と同様に、固定部105に開口部105aを設け、固定部105が分離されている構造のものである。
次に、本実施形態における光偏向器のミラー部101の振れ角と、圧電センサ104の出力の最大値について説明する。
図21は、本実施形態における光偏向器において、可動装置13の共振周波数f0近傍におけるミラー部101のミラー振れ角の周波数特性(ミラー振れ角特性)と、変位量検出部222が検出する圧電センサ104の出力の周波数特性(検知信号特性)を示す。尚、各々の信号は共振周波数f0における値によって規格化されている。
ミラー部101の振れ角と、圧電センサ104の検知出力は、比例関係にあることが好ましく、ミラー振れ角特性と検知信号特性は、周波数の影響を受けることなく重なっていることが好ましい。しかしながら、実際に測定すると、図21に示されるように、ミラー振れ角特性と検知信号特性には、ずれが生じる。これは、圧電アクチュエータ103への駆動信号供給や、圧電センサ104からの出力信号における寄生抵抗、寄生容量により、高周波側での信号減衰が起こることが原因の一つとして考えられる。従って、このような状態では、ミラー部101の振れ角が同じであっても、周波数により圧電センサ104の出力は異なる値を示すため、可動装置のミラー部101の振れ角を正確に把握することができない。
本実施形態における光偏向器では、周波数検出部225を設け、演算部226において、周波数検出部225で得られた周波数情報を含めて補正を行うことにより、可動装置13のミラー部101の振れ角を正確に得ることができる。これにより、光偏向器の状態を正確に把握することができる。
以上より、第1の実施形態における光偏向器では、反射面14を有するミラー部101と、ミラー部101の周囲の固定部105と、一端がミラー部101に接続され、他端が固定部105に接続されている。ミラー部101を支持する支持部107等と、圧電駆動によりミラー部101を固定部105に対して所定の回動軸を中心に揺動させる圧電アクチュエータ103と、を備える。圧電アクチュエータ103の周囲に配置され、圧電アクチュエータ103の変位量を検出する検出部となる圧電センサ104と、圧電アクチュエータ103の周囲温度を測定する温度検出部223と、を有する。圧電アクチュエータ駆動信号の駆動振幅を検出する振幅検出部224と、圧電アクチュエータ駆動信号の駆動周波数を検出する周波数検出部225とを有する。変位量情報と、温度情報と、圧電駆動信号の振幅情報及び周波数情報に基づいて、ミラー部101の振れ角を算出する演算部226を有している。これにより、本実施形態における光偏向器では、圧電センサ104の出力信号に対し、駆動振幅、駆動周波数、周囲温度から算出する補正係数に基づいた補正を行うことができる。よって、圧電センサ104の出力から光偏向器のミラー部101の振れ角を正確に算出し、光偏向器の状態を正確に把握することが可能となる。
〔第2の実施形態〕
次に、第2の実施形態における光偏向器について、図22に基づき説明する。本実施形態における光偏向器202は、可動装置13、駆動回路221、変位量検出部222、温度検出部223、演算部226、振幅情報取得部227及び周波数情報取得部228を有する。
振幅情報取得部227は、駆動回路221によって生成される駆動信号の振幅情報、即ち、振幅情報を駆動回路221から取得し、その情報に基づき演算部226へ補正係数を出力する。また、周波数情報取得部228は、駆動回路221によって生成される駆動信号の周波数情報、即ち、周波数情報を駆動回路221から取得し、その情報に基づき演算部226へ補正係数を出力する。
振幅情報取得部227、周波数情報取得部228はともに、駆動信号そのものから値を検出する必要はなく、各々の設定値を駆動回路221から入力することで、補正係数を算出する。演算部226は振幅情報取得部227、周波数情報取得部228、及び温度検出部223から入力される情報に基づき適切な補正係数を演算し、変位量検出部222の出力に乗算する。これにより、圧電アクチュエータ103の出力信号と、実際のミラー部101の振れ角との間の誤差を補正する。
尚、本実施形態における可動装置13、変位量検出部222、温度検出部223に関しては、第1の実施形態と同様である。
以上より、第2の実施形態は、反射面14を有するミラー部101と、ミラー部101を支持する1または2個の固定部105と、一端がミラー部101に、他端が固定部105の連結された支持部107と、を有する。また、圧電駆動によりミラー部101を固定部105に対して所定の軸周りに揺動させる圧電アクチュエータ103とを備え、圧電アクチュエータ103の周囲に配置され、圧電アクチュエータ103の変位量を検出する検出部となる圧電センサ104と、を有する。圧電アクチュエータ103の周囲温度を測定する温度検出部223と、駆動回路221から振幅情報を取得する振幅情報取得部227と、駆動回路221から周波数情報を取得する周波数情報取得部228と、を有する。変位量情報と、温度情報と、圧電駆動信号の振幅情報及び周波数情報に基づいて、ミラー部101の振れ角を算出する演算部226を有している。これにより、本実施形態における光偏向器では、圧電センサ104の出力信号に対し、駆動信号の振幅、周波数、周囲温度から算出する補正係数に基づいた補正を行うことができる。よって、駆動周波数の影響があっても、圧電センサ104の出力からミラー部101の振れ角を正確に算出し、光偏向器202の状態をより正しく取得することができる。本実施形態は、駆動信号の振幅、周波数情報を駆動信号そのものから検出するものではなく、設定情報から取得するため、簡易な回路で精度よく補正を実施することができる。
〔第3の実施形態〕
次に、第3の実施形態における光偏向器203について、図23に基づき説明する。本実施形態における光偏向器203は、可動装置13、駆動回路221、変位量検出部222、温度検出部223、振幅検出部224、周波数検出部225、演算部226、及び駆動振幅制御部229を有している。
駆動振幅制御部229は、外部から入力されるミラー部101の振れ角設定値と、演算部226によって算出されるミラー部101の振れ角情報から求められる振れ角最大値とを比較する。そして、ミラー部101の振れ角がミラー振れ角設定値と等しくなるように駆動回路221の振幅を変更し、ミラー部101の振れ角を制御する。制御にあたってはPID(Proportional-Integral-Differential)制御等の手法が一般的に知られている。PID制御は、入力値の制御を出力値と目標値との偏差、その積分、および微分の3つの要素によって行う方法である。
尚、本実施形態における可動装置13、変位量検出部222、温度検出部223、振幅検出部224、周波数検出部225、演算部226の動作は、第1の実施形態と同じである。
以上より、第3の実施形態は、反射面14を有するミラー部101と、ミラー部101を支持する1または2個の固定部105と、を有する。一端がミラー部101に、他端が固定部105にそれぞれ連結され、圧電駆動によりミラー部101を固定部105に対して所定の軸周りに揺動させる圧電アクチュエータ103とを備える。圧電アクチュエータ103へ駆動信号を入力する駆動回路221と、駆動回路221の駆動振幅を設定する駆動振幅制御部229と、圧電アクチュエータ103の変位量を検出する検出部となる圧電センサ104と、を有する。圧電アクチュエータ103の周囲温度を測定する温度検出部223と、圧電アクチュエータ駆動信号の駆動振幅を検出する振幅検出部224と、圧電アクチュエータ駆動信号の駆動周波数を検出する周波数検出部225とを有する。変位量情報と温度情報と圧電駆動信号の振幅情報及び周波数情報に基づいて、ミラー部101の振れ角を算出する演算部226を有している。このような構成とすることで、圧電センサ104の出力信号に対し、駆動振幅、駆動周波数、周囲温度から算出させる補正係数に基づいた補正を行うことができる。よって、駆動周波数の影響があっても、圧電センサ104の出力から光偏向器のミラー部101の振れ角を正確に算出し、算出して得られた振れ角に基づきミラー部101の振れ角が所望の振れ角となるように制御することができる。
〔第4の実施形態〕
次に、第4の実施形態における光偏向器204について、図24に基づき説明する。本実施形態における光偏向器204は、可動装置13、駆動回路221、変位量検出部222、温度検出部223、演算部226、振幅情報取得部227、周波数情報取得部228及び駆動振幅制御部229を有している。
駆動振幅制御部229は、外部から入力されるミラー部101の振れ角設定値と、演算部226によって算出されるミラー部101の振れ角情報から求められる振れ角最大値とを比較する。そして、ミラー部101の振れ角がミラー振れ角設定値と等しくなるように駆動回路221の振幅を変更し、ミラー部101の振れ角を制御する。制御にあたってはPID制御等の手法が一般的に知られている。
以上より、第4の実施形態は、反射面14を有するミラー部101と、ミラー部101を支持する1または2個の固定部105と、を有する。一端がミラー部101に、他端が固定部105にそれぞれ連結され、圧電駆動によりミラー部101を固定部105に対して所定の軸周りに揺動させる圧電アクチュエータ103とを備える。圧電アクチュエータ103へ駆動信号を入力する駆動回路221と、駆動回路221の駆動振幅を設定する駆動振幅制御部229と、圧電アクチュエータ103の周囲に配置され、圧電アクチュエータ103の変位量を検出する変位量検出部222と、を有する。圧電アクチュエータ103の周囲温度を測定する温度検出部223と、駆動回路221から振幅情報を取得する振幅情報取得部227と、駆動回路221から周波数情報を取得する周波数情報取得部228とを有する。変位量情報と温度情報と振幅情報及び周波数情報に基づいて、ミラー部101の振れ角を算出する演算部226を有している。このような構成とすることで、圧電センサ104の出力信号に対し、振幅、周波数、周囲温度から算出する補正係数に基づいた補正を行うことができる。これにより、駆動周波数の影響があっても、圧電センサ104の出力から光偏向器のミラー部101の振れ角を正確に算出し、算出して得られた振れ角に基づきミラー部101の振れ角が所望の振れ角となるように制御することができる。本実施形態は、駆動信号の振幅、周波数情報を駆動信号そのものから検出することなく、設定情報から取得することができるため、簡易な回路で精度よく補正を実施することができる。
尚、上記以外の内容については、第2の実施形態と同様である。
〔第5の実施形態〕
次に、第5の実施形態について説明する。本実施形態は、第1から第4の実施形態における光偏向器に適用可能な可動装置であり。具体的には、図25に示されるように、本実施形態における可動装置300は、第1軸、及び第2軸回りに回動可能な両持ちタイプ(両端支持梁)の可動装置である。
図25に示されるように、可動装置300は、可動部110と、第1駆動梁120a及び120bと、固定部140と、電極端子150とを有する。また可動部110は、反射面14を含む反射部112と、支持部113と、トーションバー115a及び115bと、第2駆動梁116a及び116bとを有する。
反射部112は、シリコン層等から形成される。但しこれに限定されるものではなく、酸化材料や無機材料、有機材料等で構成してもよい。反射面14は、反射部112の正のZ方向の面上に形成される。反射面14は、アルミニウム、金、銀等を含む金属薄膜やその多層膜を用いて、図示されているように、円形状に形成される。
反射部112の負のZ方向の面には、反射部112を補強するための不図示のリブが設けられている。リブは、シリコン支持層及び酸化シリコン層等で形成され、リブを設けることで、可動時に生じる反射部112及び反射面14の変形歪が抑制されている。
トーションバー115a及び115bは、Y方向に延在し、Y方向において反射部112を挟み込むように形成される。トーションバー115aの一端は反射部112に接続され、トーションバー115bの一端は反射部112に接続されている。反射部112は、トーションバー115a及び115bにより支持されている。
トーションバー115aの他端は、第2駆動梁116aに接続され、トーションバー115bの他端は、第2駆動梁116bに接続されている。弾性梁である第2駆動梁116a及び116bには、正のZ方向の面に圧電部が設けられている。第2駆動梁116aは、電極端子150からレイアウトされる不図示の電気配線を通して駆動電圧が印加されると、屈曲変形してトーションバー115aにねじれを生じさせる。
同様に、第2駆動梁116bは、電極端子150からレイアウトされる不図示の電気配線を通して駆動電圧が印加されると、屈曲変形してトーションバー115bにねじれを生じさせる。
このようなトーションバー115a及び115bのねじれが回動力となり、反射部112は、第2軸回りに回動する。
一方、支持部113は、反射部112と、トーションバー115a及び115bと、第2駆動梁116a及び116bとを四方から囲むように形成されている。支持部113は、第2駆動梁116a及び116bに接続され、第2駆動梁116a及び116bを支持拘束する。また支持部113は、第2駆動梁116a及び116bを介して、間接的に反射部112と、トーションバー115a及び115bとを支持している。
支持部113の図中の左下角には接続部114aが形成され、支持部113は、接続部114aを介して第1駆動梁120aに接続している。接続部114aは、第1駆動梁120aとの接続箇所から正のX方向に延在して、第1駆動梁120aと支持部113とを接続している。
また支持部113の図中の右上角には接続部114bが形成され、支持部113は、接続部114bを介して第1駆動梁120bに接続している。接続部114bは、第1駆動梁120bとの接続箇所から負のX方向に延在して、第1駆動梁120bと支持部113とを接続している。
第1駆動梁120aと第1駆動梁120bは、X方向の両側から支持部113を挟み込むようにして支持する。
第1駆動梁120aは、複数の折り返し部と連結部を有し、複数の弾性梁が連結されたミアンダ構造を含んでいる。折り返し部により形成される弾性梁の正のZ方向の面には、それぞれ圧電部が設けられている。第1駆動梁120aの接続部114aと接続していない側の端部は、固定部140に接続され、固定部140は第1駆動梁120aを固定(支持拘束)する。
同様に第1駆動梁120bは、複数の折り返し部と連結部を有し、複数の弾性梁が連結されたミアンダ構造を含む。折り返し部により形成される弾性梁の正のZ側の面には、それぞれ圧電部が設けられている。第1駆動梁120bの接続部114bと接続していない側の端部は、固定部140に接続され、固定部140は第1駆動梁120bを固定(支持拘束)する。尚、第1駆動梁120a及び120bは、「1対の駆動梁」の一例である。
図25に示すように、固定部140は、4つの枠辺を有する長方形状の枠構造をしており、4つの枠辺により、可動部110、並びに第1駆動梁120a及び120bを四方から囲んでいる。
一方、第1駆動梁120a及び120bに設けられた圧電部には、電極端子150からレイアウトされる不図示の電気配線を通して駆動電圧が印加される。
ここで、第1駆動梁120aが有する複数の弾性梁うち、最も反射部112に距離が近いものから数えて偶数番目の弾性梁に設けられた圧電部を圧電駆動部群130Aとする。また第1駆動梁120bが有する複数の弾性梁のうち、最も反射部112に距離が近いものから数えて奇数番目の弾性梁に設けられた圧電部を同様に圧電駆動部群130Aとする。圧電駆動部群130Aは、駆動電圧が各圧電部に対して同時に印加されると、同一方向に屈曲変形する。この変形を回動力として、可動部110が第1軸回りに回動する。
また、第1駆動梁120aが有する弾性梁のうち、最も反射部112に距離が近いものから数えて奇数番目の弾性梁に設けられた圧電部を圧電駆動部群130Bとする。また第1駆動梁120bが有する弾性梁のうち、最も反射部112に距離が近いものから数えて偶数番目の弾性梁を同様に圧電駆動部群130Bとする。圧電駆動部群130Bは、駆動電圧が各圧電部に対して同時に印加されると、同一方向に屈曲変形する。この変形を回動力として、可動部110が、圧電駆動部群130Aによる回動とは逆方向に第1軸回りに回動する。
第1駆動梁120a及び120bでは、圧電駆動部群130A及び130Bが有する複数の圧電部を同時に屈曲変形させることで、屈曲変形による回動量を累積させ、可動部110の第1軸回りの振れ角度を大きくすることができる。電圧を印加された時の圧電駆動部群130Aによる可動部110の回動量と、電圧を印加された時の圧電駆動部群130Bによる可動部110の回動量が釣り合っている時は、振れ角はゼロとなる。
ここで、可動装置13を形成する基板(ウエハ)には、SOI(Silicon On Insulator)基板等の半導体を用いることができる。半導体製造技術で加工することで、可動装置13の各構成要素を一体的に形成することができる。なお、第1駆動梁120a及び120b、並びに第2駆動梁116a及び116bの形成は、SOI基板を成形した後に行ってもよいし、SOI基板の成形中に行ってもよい。
<可動装置の駆動方法>
次に、可動装置13の駆動方法の一例を、図25を参照して説明する。第2軸回りの回動のために、反射部112と、トーションバー115a及び115bと、第2駆動梁116a及び116bからなる一体構造の共振周波数で、第2駆動梁116a及び116bに駆動電圧が印加される。共振周波数は、20kHz等である。
トーションバー115aの一端が接続された第2駆動梁116aの圧電部は、上部電極、及び下部電極を通じて駆動電圧が印加されると変形する。圧電部の変形により、第2駆動梁116aは屈曲変形し、トーションバー115aがねじれる。
同様に、トーションバー115bの一端が接続された第2駆動梁116bの圧電部は、上部電極、及び下部電極を通じて駆動電圧が印加されると変形する。圧電部の変形により、第2駆動梁116bは屈曲変形し、トーションバー115bがねじれる。
トーションバー115a及び115bのねじれが回動力となり、反射部112は第2軸回りに往復回動する。第2駆動梁116a及び116bに印加される駆動電圧の波形は、正弦波等である。反射部112は、正弦波の駆動電圧波形の周期で共振駆動し、往復回動する。
第1軸回りの回動においては、圧電駆動部群130Aに印加される駆動電圧の波形は、例えばノコギリ波状の波形を含む。また駆動電圧の周波数は、60Hz等である。駆動電圧の波形は、電圧値が極小値から次の極大値まで増加する立ち上がり期間の時間幅をTr、電圧値が極大値から次の極小値まで減少する立ち下がり期間の時間幅をTfとすると、例えば、Tr:Tf=9:1となる比率があらかじめ設定されている。このとき、一周期に対するTrの比率を駆動電圧のシンメトリという。
圧電駆動部群130Bに印加される駆動電圧の波形は、同様に、ノコギリ波状等の波形を含む。また駆動電圧の周波数は、60Hz等である。駆動電圧の波形は、例えば、Tf:Tr=9:1となる比率があらかじめ設定されている。
また、圧電駆動部群130Aに印加される駆動電圧の波形の周期と、圧電駆動部群130Bに印加される駆動電圧の波形の周期は、同一となるように設定されている。
上記の駆動電圧のノコギリ波状の波形は、正弦波の重ね合わせによって生成される。ここで本実施形態では、駆動電圧の波形としてノコギリ波状の波形を用いる例を示したが、これに限定されるものではない。ノコギリ波状の波形の頂点を丸くした波形の駆動電圧や、ノコギリ波状の波形の直線領域を曲線とした波形の駆動電圧等、可動装置のデバイス特性に応じて波形を変えてもよい。
駆動電圧を印加された場合の第1駆動梁120a及び120bの動作は上述の通りで、圧電駆動部群130A及び130Bの屈曲変形により、可動部110が第1軸回りに往復回動する。
<可動装置の断面形状>
次に、可動装置13の断面形状を、図26を参照して説明する。図26は、図25において第1軸に沿って切断した断面図である。
図26は、第1駆動梁120a及び120b、可動部110、並びに固定部140の断面構造を示している。
第1駆動梁120a及び120bは、シリコン層303と、シリコン層303の正のZ方向側の面上に形成された圧電駆動部群130A及び130Bとを有している。
シリコン層303は、圧電駆動部群130A及び130Bの変形に応じて変形する弾性体であり、SOI基板のシリコン層で構成される。
圧電駆動部群130A及び130Bは、シリコン層303の正のZ方向の面上に順に形成された下部電極311と、圧電材料312と、上部電極313とを含んでいる。下部電極311及び上部電極313は、金(Au)又は白金(Pt)等の金属薄膜で構成され、圧電材料312は、圧電材料であるPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等から構成される。
圧電駆動部群130A及び130Bに含まれる各圧電駆動部は、何れも上記と同様の層構成を含んでいる。なお、圧電駆動部群130A及び130BをSiO2(酸化シリコン)のような絶縁層で覆い、その正のZ方向に電気配線を施してもよい。
次に、可動部110は、支持層351と、支持層351の正のZ方向の面に積層された層間膜352と、層間膜352の正のZ方向の面に積層された可動層353とを有している。
支持層351は、SOI基板の単結晶シリコンや、或いは無機材料、有機材料等で構成され、層間膜352は、酸化シリコン等で構成される。また可動層353は、第2駆動梁116a及び116bの変形に応じて変形する弾性体であり、SOI基板のシリコン層等で構成される。ここで、支持層351には、図26に示すように、反射面14の負のZ方向側にある反射面支持層351aと、支持部113の負のZ方向側にある支持部支持層351bとが含まれている。
次に、固定部140は、固定支持層361と、固定支持層361の正のZ方向の面に積層された層間膜362と、層間膜362の正のZ方向の面に積層されたシリコン層363とを有する。
固定支持層361は、SOI基板の単結晶シリコンや、或いは無機材料、有機材料等で構成され、層間膜362は、酸化シリコン等で構成される。またシリコン層363は、SOI基板のシリコン層で構成される。
なお、上記のシリコン層303及び363と、可動層353は、SOI基板のシリコン層に限定されるものではなく、酸化剤や無機材料、有機材料等で構成されてもよい。また支持層351及び固定支持層361は、無機材料、有機材料等で構成されてもよい。
ところで、可動部110における第2駆動梁116a及び116b(図25参照)は、梁状部材と、該梁状部材に上部電極、圧電部材、下部電極を有し、少なくとも上部電極、圧電部材、下部電極が絶縁層で覆われている。また、絶縁層は駆動梁が駆動すると圧電部材と共に伸縮する。
さらに、第2駆動梁116aの中央部分はトーションバー115aと接続されており、第2駆動梁116aの両端は、可動枠(支持部113)に接続されており、上部電極と下部電極の少なくとも一方の電極の第2駆動梁116aの一端の側の先端の角が面取形状(例えば円弧形状やテーパ形状)になっている。
同様に、第2駆動梁116bの中央部分はトーションバー115bと接続されており、第2駆動梁116bの両端は、可動枠(支持部113)に接続されており、上部電極と下部電極の少なくとも一方の電極の第2駆動梁116bの一端の側の先端の角が面取形状(例えば円弧形状やテーパ形状)になっている。
なお、本実施形態では、第2駆動梁116a及び116bを、それぞれの両端が支持部113に接続する両持ち梁構造とする例を示したが、図27に示されるように、第2駆動梁116a及び116bを片持ち梁構造としてもよい。片持ち梁構造においては、第2駆動梁116aの一端は支持部113に接続し、他端はトーションバー115aに接続する。また第2駆動梁116bの一端は支持部113に接続し、他端はトーションバー115bに接続する。
片持ち梁構造とした場合には、第2駆動梁116a及び116bに設けられた上部電極と下部電極の少なくとも一方は、トーションバーに接続している側の先端の角部が円弧形状またはテーパ形状に形成される。より好ましくは、上部電極と下部電極の両方が同じく円弧形状またはテーパ形状に形成される。
以上の構成により、第2駆動梁116a及び116bの駆動に伴う絶縁耐力の低下が発生しても、沿面放電を抑制することが可能となり、可動装置13の耐久性の向上が図られる。
以上、本発明の実施形態の例について記述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。