JP7340928B2 - 焼結用アルミナ粉末 - Google Patents
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Description
特許文献1では、セラミックス粉末の表面に球状アルミナ粉末を付着させ、その付着率が30%以上であると、無機粉末の流動性を著しく向上できるとされている。特許文献1では、無機粉末は、球状アルミナ粉末とセラミックス粉末とを混合機で混合して製造されている。
また、アルミナ粉末には、成型体の加圧成形の際に成型体が所望の成型体の形状を維持できるように、成形性が求められる。
さらに、アルミナ粉末には、成型体を焼結した際にアルミナ粉末中のアルミナ粒子が十分に結合するような焼結性が求められる。
一方、粒径が比較的小さいアルミナ粒子(例えば、平均粒径が1μm未満のアルミナ粒子)は、成形性と焼結性は良いが、寸法精度は悪い。
これらを解決するために、粒径の大きいアルミナ粒子と、粒径の小さいアルミナ粒子とを拡散混合したアルミナ混合粉末を用いると、寸法精度、成形性および焼結性を改善できる。
また、特許文献1のアルミナ粉末は溶射用途であるため、アルミナ焼結体用アルミナ粉末に求められる特性については検討されていない。
複数のアルミナ粒子を含むアルミナ粉末であって、
前記アルミナ粉末を圧力30MPaで加圧成形した成型体において、総細孔容積が0.20mL/g以下であり、細孔径1μm以上の細孔の累積細孔容積が総細孔容積の10%未満となるアルミナ粉末である。
粒径1μm以上100μm未満のアルミナ粒子を5~95体積%と、
粒径0.1μm以上1μm未満のアルミナ粒子を5~95体積%を含む態様1に記載のアルミナ粉末である。
前記複数のアルミナ粒子の粒度分布曲線は、粒径1μm未満の範囲と、粒径1μm以上の範囲のそれぞれに、少なくとも1本のピークを示す、態様1または2に記載のアルミナ粉末である。
有機物の含有量が、C量換算で1質量%未満である態様1~3のいずれか1つに記載のアルミナ粉末である。
本発明のアルミナ粉末は、アルミナ焼結体を製造するのに使用される粉末であり、複数のアルミナ粒子を含んでいる。アルミナ焼結体は、アルミナ粉末を加圧成形して成型体を形成し、形成された成型体を焼結することにより製造できる。
なお、上記条件を満足するアルミナ粉末は、圧力30MPaで加圧成形した成型体のみならず、それ以外の圧力(例えば10MPa~1000MPa)で加圧成形した成型体であっても、従来よりも緻密なアルミナ焼結体が得られることが分かった。
なお、アルミナ複合粒子13を水溶液中に分散させて、超音波の強度40Wで、5分以上の超音波振動を付与すると、多くのアルミナ複合粒子13では、小粒径のアルミナ粒子11が大粒径のアルミナ粒子12の表面から脱落する。
4gのアルミナ粉末10に、0.04gの水(アルミナ粉末10の1質量%に相当)を添加して混合(例えば、ビニル袋等の袋にアルミナ粉末と水を投入し、袋を封止して上下に強く振る拡散混合)する。得られた混合物を、ペレット成型用の金型(内径20mmの円筒形)に装填し、1軸プレス機にて30MPaで30秒加圧する。これによりアルミナ粉末ペレット(直径20mm、厚さ4~6mm)が得られる。このアルミナ粉末ペレットを120℃で4時間乾燥したものを、特性測定用の成型体とする。
水銀にかける圧力を増加させながら細孔に侵入する水銀の累積侵入量を測定する。得られた測定結果について、圧力を細孔半径に、累積侵入量を累積細孔容積にそれぞれ換算する。そして、換算値を用いて、細孔半径が100μmから0.0018μmまでの範囲について、累積細孔容積をプロットしてグラフを作成する。このグラフから、総細孔容積および所定の細孔半径における累積細孔容積等を読み取る。
「細孔半径1μm以上の細孔の累積細孔容積」(単に「1μm以上の累積細孔容積」と称することもある)とは、細孔半径1μm以上の細孔の容積の合計のことであり、グラフ上では、細孔半径1μmにおける累積細孔容積に相当する。
「総細孔容積に対する、細孔半径1μm以上の細孔の累積細孔容積の割合」(単に「1μm以上の細孔の割合」と称することもある)は、以下の式(1)から算出する。
1μm以上の細孔の割合=(1μm以上の累積細孔容積)÷(総細孔容積)×100(%)・・・(1)
上述したレーザ回折分散法で得られた粒径の測定結果から、縦軸を体積基準の累積分布、横軸を粒径としてプロットした粒度分布曲線(例えば、図3)を作成する。この粒度分布曲線において、(粒径1μmの累積分布値)-(粒径0.1μmの累積分布値)を小粒径の含有量とし、(粒径100μmの累積分布値)-(粒径1μmの累積分布値)を大粒径の含有量とする。
そこで、有機物の含有量は、C量換算で1質量%未満であることが好ましい。これにより、アルミナ焼結体の内部の細孔を低減することができる。
本発明のアルミナ粉末10は、比表面積が1.5m2/g以上15m2/g未満の第1のアルミナ粒子と、比表面積が0.01m2/g以上1.5m2/g未満の第2のアルミナ粒子とを、解砕しながら混合する工程を含む方法により製造することができる。このような方法として、第1のアルミナ粒子と第2のアルミナ粒子とをジェットミルにより混合する工程(混合工程)を含む方法が挙げられる。
以下に、混合工程の一例を説明する。
比表面積が1.5m2/g以上の第1のアルミナ粒子と、比表面積が1.5m2/g未満の第2のアルミナ粒子を準備する。第1のアルミナ粒子は、比表面積が1.5m2/g以上15m2/g未満が好ましく、2m2/g以上10m2/g未満がより好ましい。第2のアルミナ粒子は、比表面積が0.01m2/g以上1.5m2/g未満が好ましく、0.03m2/g以上1.0m2/g未満がより好ましい。
(2)予備混合
第1のアルミナ粒子および第2のアルミナ粒子を袋に投入して封止し、袋を振ることにより、第1のアルミナ粒子と第2のアルミナ粒子とを予備混合して、混合物を得る。予備混合を行うと、第1のアルミナ粒子の一部が、第2のアルミナ粒子の表面に弱い力で付着する。
袋に投入する第1のアルミナ粒子と第2のアルミナ粒子の配合比は、質量比で、20:80~80:20であることが好ましく、30:70~70:30であることがより好ましい。
(3)ジェットミル混合
混合物をジェットミル混合することにより、アルミナ粉末10が得られる)。
ジェットミルで混合すると、混合中に、第1のアルミナ粒子と第2のアルミナ粒子が衝突する。そのときに、第1のアルミナ粒子は解砕されて、アルミナ粉末10における「小粒径のアルミナ粒子11」となり、第2のアルミナ粒子は解砕されて、アルミナ粉末10における「大粒径のアルミナ粒子12」となる。また、小粒径のアルミナ粒子11は、大粒径のアルミナ粒子12の表面に強く結合するようになる。
実施例1、2および比較例1~4で使用したアルミナ粉末の製造条件を以下に記載する。また、表1に、実施例1~2、比較例1~4における第1のアルミナ粒子と第2のアルミナ粒子の配合比、および混合方法を記載した。なお、表1の混合方法の欄において、「JM混合」とは、ジェットミル粉砕機を用いて混合したことを意味し、「-」は、混合を行っていないことを意味する。
実施例2は、第1のアルミナ粒子と第2のアルミナ粒子の混合比以外は、実施例1と同様である。
第1のアルミナ粒子と第2のアルミナ粒子を質量比30:70の割合で配合してビニル袋に投入し、ビニル袋を封止した後に上下に強く振って拡散混合させた。その後、得られた混合物を、ジェットミル粉砕機(日本ニューマチック工業株式会社製水平型ジェットミル粉砕機 PJM-280SP)で粉砕しながら混合して、実施例2のアルミナ粉末試料P2を作製した。
第1のアルミナ粒子と、第2のアルミナ粒子のそれぞれを、別個に、ジェットミル粉砕機(日本ニューマチック工業株式会社製水平型ジェットミル粉砕機 PJM-380SP)で粉砕した。粉砕後の第1のアルミナ粒子と第2のアルミナ粒子とを、質量比20:80で配合してビニル袋に投入し、ビニル袋を封止した後に上下に強く振って拡散混合させて、比較例1のアルミナ粉末試料P3を作製した。
比較例2は、粉砕後の第1のアルミナ粒子と第2のアルミナ粒子の混合比以外は、比較例1と同様である。
第1のアルミナ粒子と、第2のアルミナ粒子のそれぞれを、別個に、ジェットミル粉砕機(日本ニューマチック工業株式会社製水平型ジェットミル粉砕機 PJM-380SP)で粉砕した。粉砕後の第1のアルミナ粒子と第2のアルミナ粒子とを、質量比30:70で配合してビニル袋に投入し、ビニル袋を封止した後に上下に強く振って拡散混合させて、比較例1のアルミナ粉末試料P4を作製した。
第2のアルミナ粒子のみを、ジェットミル粉砕機(日本ニューマチック工業株式会社製水平型ジェットミル粉砕機 PJM-380SP)で粉砕して、比較例3のアルミナ粉末試料P5を作製した。つまり、比較例3では、第1のアルミナ粒子は配合せず、混合も行わなかった。
第1のアルミナ粒子のみを、ジェットミル粉砕機(日本ニューマチック工業株式会社製水平型ジェットミル粉砕機 PJM-380SP)で粉砕して、比較例3のアルミナ粉末試料P6を作製した。つまり、比較例4では、第2のアルミナ粒子は配合せず、混合も行わなかった。
(2)アルミナ粉末試料の粒度分布測定
アルミナ粉末試料P1~P6について、粒度分布を測定した。
粒度分布測定は、レーザ粒度分布測定装置〔マイクロトラック・ベル(株)製「マイクロトラックMT3300EXII」〕を用いて行った。測定するアルミナ粉末を0.2質量%のヘキサメタ燐酸ソーダ水溶液(以下「分散液」とも称する)に少量添加し、装置内蔵の超音波に40Wで5分間かけて、アルミナ粒子を分散させた。なお、アルミナの屈折率は1.76とした。
比較例1および2のアルミナ粉末試料P3およびP4において、小粒径のアルミナ粒子11と大粒径のアルミナ粒子12が互いに接触していた。分散液を添加すると、アルミナ粉末P3およびP4において互いに接触している粒子は、容易に、小粒径のアルミナ粒子11と大粒径のアルミナ粒子12とに分離した。
比較例3のアルミナ粉末試料P5は、大粒径のアルミナ粒子12のみから成っていた。それらの粒子は互いに接触しているのみなので、分散液を添加すると、容易に分離した。
比較例4のアルミナ粉末試料P6は、小粒径のアルミナ粒子11のみから成っていた。それらの粒子は互いに接触しているのみなので、分散液を添加すると、容易に分離した。
アルミナ粉末試料P1~P6の特性を調べるために、測定用の成型体試料を作製した。
各アルミナ粉末試料を4g取り分け、そこに0.04gの水(アルミナ粉末試料の1質量%に相当)を添加して、ビニル袋に投入し、ビニル袋を封止した後に上下に強く振って拡散混合させた。得られた混合物を、ペレット成型用の金型(内径20mmの円筒形)に装填し、1軸プレス機にて30MPaで30秒加圧する。これによりアルミナ粉末ペレット(直径20mm、厚さ4~6mm)が得られる。このアルミナ粉末ペレットを120℃で4時間乾燥して、測定用の成型体試料を得た。
成型体試料を120℃で4時間乾燥した後、オートポアIV9520(micromeritics社製)を用いて、水銀圧入法(JIS R 1655:2003)により測定した。細孔半径が100μmから0.0018μmまでの範囲で測定を行った。測定結果に基づいて、横軸を細孔半径、縦軸を累積細孔容積としたグラフをプロットした。プロットしたグラフを図4に示す。
細孔半径1μmにおける累積細孔容積(細孔半径1μm以上の細孔の累積細孔容積)を、「1μm以上の累積細孔容積(A)」とした。
0.0018μmにおける累積細孔容積(細孔半径0.0018μm以上の細孔の総細孔容積)を、「総細孔容積(B)」とした。
「1μm以上の細孔の割合(A/B×100)」(細孔半径1μm以上の細孔の割合)は、以下の式(1)から算出した。
1μm以上の細孔の割合=(1μm以上の累積細孔容積)÷(総細孔容積)×100(%)・・・(1)
アルミナ粉末試料P1~P6の各々から成形された成型体試料C1~C6を、それぞれ6個準備して、成型体およびアルミナ焼結体の嵩密度を測定した。
各成型体試料C1~C6について準備した6個の成型体試料のうち5つは、異なる焼成温度(1100℃、1200℃、1300℃、1400℃、および1500℃)で焼成した。焼成温度まで昇温速度200℃/時で昇温した後、その焼成温度で5時間保持して、アルミナ焼結体試料を得た。
6個の成型体試料のうち1つは、焼成前の成型体試料とした。
アルミナ焼結体試料の嵩密度は、アルキメデス法(JIS R 1634:1998)により測定した。
焼成前の成型体試料の嵩密度は、次のように算出した。まず、成型体試料の質量を、電子天秤で計測した。次に、成型体試料の厚みと直径をノギスで測定して、体積を算出した。質量を体積で割ることで、焼成前の成型体試料の嵩密度を求めた。
焼成前の成形体の嵩密度が高い(つまり、成形体の時点で粒子が密に詰まっている)と、焼結後に収縮しにくい。本実施例では、焼成前の成型体試料の嵩密度が2.50g/cm3以上を合格とした。
また、アルミナ焼結体は十分な強度を有するためには、アルミナ焼結体の嵩密度がある程度高い嵩密度が必要となる。本実施例では、1500℃焼結のアルミナ焼結体試料の嵩密度が2.80g/cm3以上を合格とした。
実施例1~2および比較例1~2のアルミナ粉末について、レーザ粒度分布測定装置〔日機装(株)製「マイクロトラック:MT-3300」〕を用いて、レーザ回折法により粒度分布を測定した。粒度分布曲線を図6に示す。
実施例1のアルミナ粉末試料P1および実施例2のアルミナ粉末試料P2は、第1のアルミナ粒子と第2のアルミナ粒子を、ジェットミル混合により混合して製造した。そのため、得られたアルミナ粉末試料P1を圧力30MPaで加圧成形した成型体試料C1、およびアルミナ粉末試料P2を圧力30MPaで加圧成形した成型体試料C2は、いずれも、総細孔容積が0.20mL/g以下であり、細孔径1μm以上の細孔の累積細孔容積が総細孔容積の10%未満の条件を満たしていた。
成型体試料C1および成型体試料C2を焼結すると、嵩密度の高いアルミナ焼結体試料が得られた。このように、実施例1のアルミナ粉末試料P1または実施例2のアルミナ粉末試料P2を用いることにより、緻密なアルミナ焼結体を製造できることがわかった。
11 小粒径のアルミナ粒子
12 大粒径のアルミナ粒子
13 アルミナ複合粒子
Claims (6)
- 複数のアルミナ粒子を含むアルミナ粉末であって、
前記複数のアルミナ粒子はアルミナ複合粒子を含み、
前記アルミナ複合粒子を分離後のアルミナ粒子は、
粒径1μm以上100μm未満のアルミナ粒子を5~95体積%と、
粒径0.1μm以上1μm未満のアルミナ粒子を5~95体積%を含み、
前記アルミナ粉末は、比表面積が1.5m 2 /g以上15m 2 /g未満の第1のアルミナ粒子と、比表面積が0.01m 2 /g以上1.5m 2 /g未満の第2のアルミナ粒子とを、質量比で20:80~30:70の割合で混合して作製されたものであり、
前記アルミナ粉末を圧力30MPaで加圧成形した成型体において、総細孔容積が0.20mL/g以下であり、細孔径1μm以上の細孔の累積細孔容積が総細孔容積の10%未満となるアルミナ粉末。 - 前記アルミナ粉末を圧力30MPaで加圧成形した成型体において、総細孔容積が0.157mL/g未満である、請求項1記載のアルミナ粉末。
- 前記アルミナ粉末を圧力30MPaで加圧成形した成型体において、総細孔容積が0.130~0.133mL/gである、請求項1または2に記載のアルミナ粉末。
- 前記アルミナ複合粒子を分離後のアルミナ粒子は、
粒径1μm以上100μm未満のアルミナ粒子を50~90体積% と、
粒径0.1μm以上1μm未満のアルミナ粒子を10~50体積%を含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載のアルミナ粉末。 - 分離後のアルミナ粒子の粒度分布曲線は、粒径1μm未満の範囲と、粒径1μm以上の範囲のそれぞれに、少なくとも1本のピークを示す、請求項1~4のいずれか1項に記載のアルミナ粉末。
- 有機物の含有量が、C量換算で1質量%未満である請求項1~5のいずれか1項に記載のアルミナ粉末。
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