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JP7340928B2 - 焼結用アルミナ粉末 - Google Patents
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JP7340928B2 - 焼結用アルミナ粉末 - Google Patents

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Description

本発明は、アルミナ粉末に関し、特に、焼結用アルミナ粉末に関する。
従来より、様々な用途に適したアルミナ粉末が提供されている。例えば特許文献1には、平均粒径0.02~0.5μmの球状アルミナ粉末と、セラミックス粉末(例えば、平均粒径3~40μmのアルミナ粉末)とを含む溶射用無機粉末が記載されている。
特許文献1では、セラミックス粉末の表面に球状アルミナ粉末を付着させ、その付着率が30%以上であると、無機粉末の流動性を著しく向上できるとされている。特許文献1では、無機粉末は、球状アルミナ粉末とセラミックス粉末とを混合機で混合して製造されている。
特開2007-8730号公報
特許文献1とは異なる用途として、アルミナ焼結体用のアルミナ粉末が提供されている。アルミナ粉末からアルミナ焼結体を製造する場合、まず、アルミナ粉末を加圧成形して成型体を形成する。得られた成型体を焼結することにより、アルミナ焼結体を製造することができる。
成型体を焼結すると、寸法が小さくなることがある。焼結により寸法が小さくなることは焼結収縮と呼ばれ、そのような焼結収縮が生じないことが望ましい。そのため、アルミナ粉末には、焼結収縮のしにくさ(本明細書では「寸法精度が良い」と呼ぶ)が求められる。
また、アルミナ粉末には、成型体の加圧成形の際に成型体が所望の成型体の形状を維持できるように、成形性が求められる。
さらに、アルミナ粉末には、成型体を焼結した際にアルミナ粉末中のアルミナ粒子が十分に結合するような焼結性が求められる。
粒径が比較的大きいアルミナ粒子(例えば、平均粒径が1μm以上のアルミナ粒子)は、寸法精度は良いが、成形性と焼結性は十分ではない。
一方、粒径が比較的小さいアルミナ粒子(例えば、平均粒径が1μm未満のアルミナ粒子)は、成形性と焼結性は良いが、寸法精度は悪い。
これらを解決するために、粒径の大きいアルミナ粒子と、粒径の小さいアルミナ粒子とを拡散混合したアルミナ混合粉末を用いると、寸法精度、成形性および焼結性を改善できる。
しかし、寸法精度、成形性および焼結性に加えて、緻密なアルミナ焼結体が得られるようなアルミナ粉末が求められている。拡散混合で得られたアルミナ混合粉末では、十分に緻密なアルミナ焼結体を得ることができない。
また、特許文献1のアルミナ粉末は溶射用途であるため、アルミナ焼結体用アルミナ粉末に求められる特性については検討されていない。
そこで、本発明は、緻密なアルミナ焼結体を製造できるアルミナ粉末を提供することを目的とする。
本発明の態様1は、
複数のアルミナ粒子を含むアルミナ粉末であって、
前記アルミナ粉末を圧力30MPaで加圧成形した成型体において、総細孔容積が0.20mL/g以下であり、細孔径1μm以上の細孔の累積細孔容積が総細孔容積の10%未満となるアルミナ粉末である。
本発明の態様2は、
粒径1μm以上100μm未満のアルミナ粒子を5~95体積%と、
粒径0.1μm以上1μm未満のアルミナ粒子を5~95体積%を含む態様1に記載のアルミナ粉末である。
本発明の態様3は、
前記複数のアルミナ粒子の粒度分布曲線は、粒径1μm未満の範囲と、粒径1μm以上の範囲のそれぞれに、少なくとも1本のピークを示す、態様1または2に記載のアルミナ粉末である。
本発明の態様4は、
有機物の含有量が、C量換算で1質量%未満である態様1~3のいずれか1つに記載のアルミナ粉末である。
本発明のアルミナ粉末は、緻密なアルミナ焼結体を製造できる。
図1は、実施の形態1に係るアルミナ粉末の模式図である。 図2は、アルミナ粒子の粒度分布曲線の一例である。 図3は、実施例および比較例で作成したアルミナ粒子の粒度分布曲線である。 図4は、実施例および比較例で作製した成型体試料についての細孔半径-累積細孔容積のグラフである。 図5は、実施例および比較例で作製した成型体試料を焼成して得られたアルミナ焼結体試料について、焼成温度-アルミナ焼結体密度のグラフである。 図6は、実施例および比較例で作製したアルミナ粉末試料の粒度分布曲線である。
<実施の形態1>
本発明のアルミナ粉末は、アルミナ焼結体を製造するのに使用される粉末であり、複数のアルミナ粒子を含んでいる。アルミナ焼結体は、アルミナ粉末を加圧成形して成型体を形成し、形成された成型体を焼結することにより製造できる。
本発明者らは鋭意検討した結果、アルミナ粉末を圧力30MPaで加圧成形した成型体において、総細孔容積が0.20mL/g以下であり、細孔径1μm以上の細孔の累積細孔容積が総細孔容積の10%未満という条件を満たすことのできるアルミナ粉末を用いてアルミナ焼結体を製造すると、従来よりも緻密なアルミナ焼結体が得られることを初めて見いだした。
なお、上記条件を満足するアルミナ粉末は、圧力30MPaで加圧成形した成型体のみならず、それ以外の圧力(例えば10MPa~1000MPa)で加圧成形した成型体であっても、従来よりも緻密なアルミナ焼結体が得られることが分かった。
上述した成型体を形成できるアルミナ粉末は、大粒径のアルミナ粒子と小粒径のアルミナ粒子とを解砕しながら混合することにより得られる。このような方法として、大粒径のアルミナ粒子と小粒径のアルミナ粒子とをジェットミルで混合する方法等が挙げられる。
図1は、本発明のアルミナ粉末10の模式図である。ジェットミルで混合された2種類のアルミナ粒子は、小粒径のアルミナ粒子11が、大粒径のアルミナ粒子12の表面に、十分な強さで結合されている。このように、小粒径のアルミナ粒子11が、大粒径のアルミナ粒子12の表面に十分な強さで結合した状態の粒子を、本明細書では「アルミナ複合粒子13」と称する。本明細書において「十分な強さで結合」とは、通常の操作(例えば、加圧成形用の金型への充填等)では、大粒径のアルミナ粒子から小粒径のアルミナ粒子は脱落しないことを意図している。
なお、アルミナ複合粒子13を水溶液中に分散させて、超音波の強度40Wで、5分以上の超音波振動を付与すると、多くのアルミナ複合粒子13では、小粒径のアルミナ粒子11が大粒径のアルミナ粒子12の表面から脱落する。
なお、特許文献1では、大粒径のアルミナ粒子と小粒径のアルミナ粒子は、混合機(ダブルコーンブレンダー)で拡散混合されている。このような拡散混合では、大粒径のアルミナ粒子と小粒径のアルミナ粒子とは単に接触した状態であり、互いに結合した状態にはなっていないと推測される。
本発明のアルミナ粉末10の特性を調べるための成型体の調製は、以下のように行う。
4gのアルミナ粉末10に、0.04gの水(アルミナ粉末10の1質量%に相当)を添加して混合(例えば、ビニル袋等の袋にアルミナ粉末と水を投入し、袋を封止して上下に強く振る拡散混合)する。得られた混合物を、ペレット成型用の金型(内径20mmの円筒形)に装填し、1軸プレス機にて30MPaで30秒加圧する。これによりアルミナ粉末ペレット(直径20mm、厚さ4~6mm)が得られる。このアルミナ粉末ペレットを120℃で4時間乾燥したものを、特性測定用の成型体とする。
細孔容積および細孔半径は、水銀圧入法(JIS R 1655:2003)により測定する。
水銀にかける圧力を増加させながら細孔に侵入する水銀の累積侵入量を測定する。得られた測定結果について、圧力を細孔半径に、累積侵入量を累積細孔容積にそれぞれ換算する。そして、換算値を用いて、細孔半径が100μmから0.0018μmまでの範囲について、累積細孔容積をプロットしてグラフを作成する。このグラフから、総細孔容積および所定の細孔半径における累積細孔容積等を読み取る。
ここで「細孔半径0.0018μm以上の細孔の総細孔容積」(単に「総細孔容積」と称することもある)とは、細孔半径0.0018μm以上の細孔の容積の合計のことであり、グラフ上では、細孔半径0.0018μmにおける累積細孔容積に相当する。
「細孔半径1μm以上の細孔の累積細孔容積」(単に「1μm以上の累積細孔容積」と称することもある)とは、細孔半径1μm以上の細孔の容積の合計のことであり、グラフ上では、細孔半径1μmにおける累積細孔容積に相当する。
「総細孔容積に対する、細孔半径1μm以上の細孔の累積細孔容積の割合」(単に「1μm以上の細孔の割合」と称することもある)は、以下の式(1)から算出する。

1μm以上の細孔の割合=(1μm以上の累積細孔容積)÷(総細孔容積)×100(%)・・・(1)
アルミナ複合粒子13の大部分は、水溶液中に分散させて、超音波の強度40Wで、5分以上の超音波振動を付与することにより、小粒径のアルミナ粒子11と大粒径のアルミナ粒子12とに分離することができる。分離後の小粒径のアルミナ粒子11と大粒径のアルミナ粒子12について粒径を測定したときに、小粒径のアルミナ粒子11は粒径0.1μm以上1μm未満であり、大粒径のアルミナ粒子12は粒径1μm以上100μm未満であることが好ましい。小粒径のアルミナ粒子11の粒径は、0.2μm以上0.8μm未満であることがより好ましく、0.3μm以上0.7μm未満であることが特に好ましい。大粒径のアルミナ粒子12の粒径は、3μm以上50μm未満であることがより好ましく、10μm以上25μm未満であることが特に好ましい。
アルミナ粉末10には、小粒径のアルミナ粒子11と大粒径のアルミナ粒子12のそれぞれが、適切な量で含まれていることが望ましい。成型体を形成したときに、大粒径のアルミナ粒子12は、主に、成型体の骨格を形成する機能を有し、小粒径のアルミナ粒子11は、主に、大粒径のアルミナ粒子12の間の隙間を埋めて細孔の寸法を小さくする機能を有する。それらの機能をより効果的に発揮するためには、アルミナ複合粒子13を分離した後の小粒径のアルミナ粒子11と大粒径のアルミナ粒子12において、小粒径のアルミナ粒子11の含有量が5~95体積%、大粒径のアルミナ粒子12の含有量が5~95体積%であることが好ましい。小粒径のアルミナ粒子11の含有量は、8~70体積%であることがより好ましく、10~50体積%であることが特に好ましい。大粒径のアルミナ粒子12の含有量は、30~92体積%であることがより好ましく、50~90体積%であることが特に好ましい。
なお、アルミナ粉末10は、小粒径のアルミナ粒子11と大粒径のアルミナ粒子12のみを含むアルミナ複合粒子13のみから成ってもよく、当該アルミナ複合粒子13に加えて、小粒径のアルミナ粒子11および/または大粒径のアルミナ粒子12(互いに結合せずに単独の状態のままの粒子)を、本発明の効果を損なわない範囲で、少量含んでもよい。さらに、アルミナ複合粒子13と、小粒径のアルミナ粒子11および/または大粒径のアルミナ粒子12とに加えて、他のアルミナ粒子(例えば、粒径100μm以上のアルミナ粒子、および/または粒径0.1μm未満のアルミナ粒子)を、本発明の効果を損なわない範囲で、含んでもよい。
アルミナ粉末10に含まれる小粒径のアルミナ粒子11および大粒径のアルミナ粒子12の粒径および含有量は、上記超音波振動により小粒径のアルミナ粒子11と大粒径のアルミナ粒子12とを分離した後、レーザ回折分散法により測定する。まず、アルミナ粉末10を水溶液中に分散させて、振動強度40Wで5分以上、超音波振動を付与する。これにより、アルミナ複合粒子13のほぼ全てを大粒径のアルミナ粒子12と小粒径のアルミナ粒子11に分離することができる。その後、溶液中に分散した状態の大粒径のアルミナ粒子12および小粒径のアルミナ粒子11について、粒径をレーザ回折分散法で測定する。
得られた測定結果から、縦軸を頻度、横軸を粒径としてプロットした粒度分布曲線(例えば、図2)を作成する。この粒度分布曲線において、1μm未満の範囲にあるピーク位置を、小粒径のアルミナ粒子11の粒径、1μm以上の範囲にあるピーク位置を、大粒径のアルミナ粒子12の粒径とする。
アルミナ粒子の粒度分布曲線には、粒径1μm未満の範囲と、粒径1μm以上の範囲のそれぞれに、少なくとも1本のピークが現れることが好ましい。つまり、粒度分布曲線の粒径1μm未満の範囲と、粒径1μm以上の範囲とにピークが明確に現れる程度に、アルミナ粉末10は、大粒径のアルミナ粒子12と、小粒径のアルミナ粒子11とを含有している。このことは、大粒径のアルミナ粒子12の平均粒径と、小粒径のアルミナ粒子11の平均粒径が十分に異なっており、かつ、それぞれのアルミナ粒子が十分な量で含まれていることを意味する。その結果、アルミナ粉末10は、大粒径のアルミナ粒子12による成型体の骨格を形成する機能と、小粒径のアルミナ粒子11による成型体中の細孔寸法の縮小という機能とを、より明確に発揮することができる。大粒径のアルミナ粒子12の平均粒径は、小粒径のアルミナ粒子の平均粒径の5倍以上であることが好ましい。
小粒径のアルミナ粒子11および大粒径のアルミナ粒子12の含有量は、別の粒度分布曲線から求めることができる。
上述したレーザ回折分散法で得られた粒径の測定結果から、縦軸を体積基準の累積分布、横軸を粒径としてプロットした粒度分布曲線(例えば、図3)を作成する。この粒度分布曲線において、(粒径1μmの累積分布値)-(粒径0.1μmの累積分布値)を小粒径の含有量とし、(粒径100μmの累積分布値)-(粒径1μmの累積分布値)を大粒径の含有量とする。
アルミナ粉末10は、有機物の含有量が少ない方が好ましい。有機物が含まれていると、アルミナ粉末10から形成した成型体を焼成したときに、有機物が分解されてCOが生成する。分解された有機物が存在していた箇所は、焼成後にアルミナ焼結体の中に細孔となる。
そこで、有機物の含有量は、C量換算で1質量%未満であることが好ましい。これにより、アルミナ焼結体の内部の細孔を低減することができる。
なお、「C量換算(炭素量換算)」とは、有機物の含有量を、有機物を燃焼させた後のC(炭素)量として表記することを意味する。有機物の含有量(C量換算)の測定には、酸素循環燃焼・TCD検出方式のNCH定量装置 スミグラフNCH-22F型(住化分析センター製)を使用する。測定条件として、反応温度を850℃で炭素成分をCOに変換し、還元温度600℃で還元した後、TCDガスクロマトグラフで検出定量する。この時、分離はポーラスポリマー充填カラムを用いて行う。
次に、アルミナ粉末10の製造方法について説明する。
本発明のアルミナ粉末10は、比表面積が1.5m/g以上15m/g未満の第1のアルミナ粒子と、比表面積が0.01m/g以上1.5m/g未満の第2のアルミナ粒子とを、解砕しながら混合する工程を含む方法により製造することができる。このような方法として、第1のアルミナ粒子と第2のアルミナ粒子とをジェットミルにより混合する工程(混合工程)を含む方法が挙げられる。
以下に、混合工程の一例を説明する。
(1)アルミナ粒子の準備
比表面積が1.5m/g以上の第1のアルミナ粒子と、比表面積が1.5m/g未満の第2のアルミナ粒子を準備する。第1のアルミナ粒子は、比表面積が1.5m/g以上15m/g未満が好ましく、2m/g以上10m/g未満がより好ましい。第2のアルミナ粒子は、比表面積が0.01m/g以上1.5m/g未満が好ましく、0.03m/g以上1.0m/g未満がより好ましい。
(2)予備混合
第1のアルミナ粒子および第2のアルミナ粒子を袋に投入して封止し、袋を振ることにより、第1のアルミナ粒子と第2のアルミナ粒子とを予備混合して、混合物を得る。予備混合を行うと、第1のアルミナ粒子の一部が、第2のアルミナ粒子の表面に弱い力で付着する。
袋に投入する第1のアルミナ粒子と第2のアルミナ粒子の配合比は、質量比で、20:80~80:20であることが好ましく、30:70~70:30であることがより好ましい。
(3)ジェットミル混合
混合物をジェットミル混合することにより、アルミナ粉末10が得られる)。
ジェットミルで混合すると、混合中に、第1のアルミナ粒子と第2のアルミナ粒子が衝突する。そのときに、第1のアルミナ粒子は解砕されて、アルミナ粉末10における「小粒径のアルミナ粒子11」となり、第2のアルミナ粒子は解砕されて、アルミナ粉末10における「大粒径のアルミナ粒子12」となる。また、小粒径のアルミナ粒子11は、大粒径のアルミナ粒子12の表面に強く結合するようになる。
このようにして得られたアルミナ粉末10を、圧力30MPaで成型体を加圧成形すると、総細孔容積が0.20mL/g以下であり、細孔径1μm以上の細孔の累積細孔容積が総細孔容積の10%未満の成型体を得ることができる。
なお、アルミナ粒子としては、第1のアルミナ粒子および第2のアルミナ粒子の他に、他のアルミナ粒子(例えば、粒径100μm以上のアルミナ粒子、および/または粒径0.1μm未満のアルミナ粒子)を含んでもよい。他のアルミナ粒子(これを「第3のアルミナ粒子」と称する)は、第1のアルミナ粒子および第2のアルミナ粒子と共にジェットミルで混合することが好ましい。例えば、「(1)アルミナ粒子の準備」において、第1のアルミナ粒子および第2のアルミナ粒子だけでなく、第3のアルミナ粒子も準備し、「(2)予備混合」において、第3のアルミナ粒子を、第1のアルミナ粒子および第2のアルミナ粒子と共に袋に入れて予備混合して、第1のアルミナ粒子、第2のアルミナ粒子および第3のアルミナ粒子の混合物を得る。そして、「(3)ジェットミル混合」では、得られた混合物をジェットミルで混合することにより、アルミナ粉末10を得ることができる。
(1)アルミナ粉末試料の製造
実施例1、2および比較例1~4で使用したアルミナ粉末の製造条件を以下に記載する。また、表1に、実施例1~2、比較例1~4における第1のアルミナ粒子と第2のアルミナ粒子の配合比、および混合方法を記載した。なお、表1の混合方法の欄において、「JM混合」とは、ジェットミル粉砕機を用いて混合したことを意味し、「-」は、混合を行っていないことを意味する。
アルミニウムアルコキシドの加水分解法により得られた高純度水酸化アルミニウムに、平均粒径が0.25μmのα-アルミナ種粒子を混合し、塩化水素雰囲気で焼成することで、比表面積が4.8m/gの第1のアルミナ粒子を得た。アルミニウムアルコキシドの加水分解法により得られた高純度水酸化アルミニウムを塩化水素雰囲気で焼成することで、比表面積が0.2m/gの第2のアルミナ粒子を得た。第1のアルミナ粒子と第2のアルミナ粒子を質量比20:80の割合で配合してビニル袋に投入し、ビニル袋を封止した後に上下に強く振って拡散混合させた。その後に、ジェットミル粉砕機(日本ニューマチック工業株式会社製水平型ジェットミル粉砕機 PJM-280SP)で粉砕しながら混合することで実施例1のアルミナ粉末試料P1を作製した。
(実施例2)
実施例2は、第1のアルミナ粒子と第2のアルミナ粒子の混合比以外は、実施例1と同様である。
第1のアルミナ粒子と第2のアルミナ粒子を質量比30:70の割合で配合してビニル袋に投入し、ビニル袋を封止した後に上下に強く振って拡散混合させた。その後、得られた混合物を、ジェットミル粉砕機(日本ニューマチック工業株式会社製水平型ジェットミル粉砕機 PJM-280SP)で粉砕しながら混合して、実施例2のアルミナ粉末試料P2を作製した。
(比較例1)
第1のアルミナ粒子と、第2のアルミナ粒子のそれぞれを、別個に、ジェットミル粉砕機(日本ニューマチック工業株式会社製水平型ジェットミル粉砕機 PJM-380SP)で粉砕した。粉砕後の第1のアルミナ粒子と第2のアルミナ粒子とを、質量比20:80で配合してビニル袋に投入し、ビニル袋を封止した後に上下に強く振って拡散混合させて、比較例1のアルミナ粉末試料P3を作製した。
(比較例2)
比較例2は、粉砕後の第1のアルミナ粒子と第2のアルミナ粒子の混合比以外は、比較例1と同様である。
第1のアルミナ粒子と、第2のアルミナ粒子のそれぞれを、別個に、ジェットミル粉砕機(日本ニューマチック工業株式会社製水平型ジェットミル粉砕機 PJM-380SP)で粉砕した。粉砕後の第1のアルミナ粒子と第2のアルミナ粒子とを、質量比30:70で配合してビニル袋に投入し、ビニル袋を封止した後に上下に強く振って拡散混合させて、比較例1のアルミナ粉末試料P4を作製した。
(比較例3)
第2のアルミナ粒子のみを、ジェットミル粉砕機(日本ニューマチック工業株式会社製水平型ジェットミル粉砕機 PJM-380SP)で粉砕して、比較例3のアルミナ粉末試料P5を作製した。つまり、比較例3では、第1のアルミナ粒子は配合せず、混合も行わなかった。
(比較例4)
第1のアルミナ粒子のみを、ジェットミル粉砕機(日本ニューマチック工業株式会社製水平型ジェットミル粉砕機 PJM-380SP)で粉砕して、比較例3のアルミナ粉末試料P6を作製した。つまり、比較例4では、第2のアルミナ粒子は配合せず、混合も行わなかった。
Figure 0007340928000001

(2)アルミナ粉末試料の粒度分布測定
アルミナ粉末試料P1~P6について、粒度分布を測定した。
粒度分布測定は、レーザ粒度分布測定装置〔マイクロトラック・ベル(株)製「マイクロトラックMT3300EXII」〕を用いて行った。測定するアルミナ粉末を0.2質量%のヘキサメタ燐酸ソーダ水溶液(以下「分散液」とも称する)に少量添加し、装置内蔵の超音波に40Wで5分間かけて、アルミナ粒子を分散させた。なお、アルミナの屈折率は1.76とした。
実施例1および2のアルミナ粉末試料P1およびP2は、アルミナ複合粒子13(小粒径のアルミナ粒子11と大粒径のアルミナ粒子12が結合した粒子)を含んでいた。アルミナ複合粒子13は、分散液を添加しても分離しなかったが、超音波分散を行うことによって、小粒径のアルミナ粒子11と大粒径のアルミナ粒子12とに分離した。
比較例1および2のアルミナ粉末試料P3およびP4において、小粒径のアルミナ粒子11と大粒径のアルミナ粒子12が互いに接触していた。分散液を添加すると、アルミナ粉末P3およびP4において互いに接触している粒子は、容易に、小粒径のアルミナ粒子11と大粒径のアルミナ粒子12とに分離した。
比較例3のアルミナ粉末試料P5は、大粒径のアルミナ粒子12のみから成っていた。それらの粒子は互いに接触しているのみなので、分散液を添加すると、容易に分離した。
比較例4のアルミナ粉末試料P6は、小粒径のアルミナ粒子11のみから成っていた。それらの粒子は互いに接触しているのみなので、分散液を添加すると、容易に分離した。
レーザ回折法により得られた、縦軸を頻度、横軸を粒径とした粒度分布において、1μm未満の範囲にあるピーク位置を、小粒子の粒径、1μm以上の範囲にあるピーク位置を、大粒子の粒径とした。また、図3に示す粒度分布曲線は、レーザ回折法により得られた、縦軸を体積基準の累積分布、横軸を粒径とした粒度分布であり、この粒度分布において、(粒径1μmの累積分布値)-(粒径0.1μmの累積分布値)を小粒径の含有量(体積%)とし、(粒径100μmの累積分布値)-(粒径1μmの累積分布値)を大粒径の含有量(体積%)とした。
(3)測定用の成型体試料の作製
アルミナ粉末試料P1~P6の特性を調べるために、測定用の成型体試料を作製した。
各アルミナ粉末試料を4g取り分け、そこに0.04gの水(アルミナ粉末試料の1質量%に相当)を添加して、ビニル袋に投入し、ビニル袋を封止した後に上下に強く振って拡散混合させた。得られた混合物を、ペレット成型用の金型(内径20mmの円筒形)に装填し、1軸プレス機にて30MPaで30秒加圧する。これによりアルミナ粉末ペレット(直径20mm、厚さ4~6mm)が得られる。このアルミナ粉末ペレットを120℃で4時間乾燥して、測定用の成型体試料を得た。
(4)成型体試料の細孔分布測定
成型体試料を120℃で4時間乾燥した後、オートポアIV9520(micromeritics社製)を用いて、水銀圧入法(JIS R 1655:2003)により測定した。細孔半径が100μmから0.0018μmまでの範囲で測定を行った。測定結果に基づいて、横軸を細孔半径、縦軸を累積細孔容積としたグラフをプロットした。プロットしたグラフを図4に示す。
細孔半径1μmにおける累積細孔容積(細孔半径1μm以上の細孔の累積細孔容積)を、「1μm以上の累積細孔容積(A)」とした。
0.0018μmにおける累積細孔容積(細孔半径0.0018μm以上の細孔の総細孔容積)を、「総細孔容積(B)」とした。
「1μm以上の細孔の割合(A/B×100)」(細孔半径1μm以上の細孔の割合)は、以下の式(1)から算出した。

1μm以上の細孔の割合=(1μm以上の累積細孔容積)÷(総細孔容積)×100(%)・・・(1)
アルミナ粉末試料P1~P6の各々から成形された成型体試料C1~C6について、1μm以上の累積細孔容積(A)、総細孔容積(B)、および1μm以上の細孔の割合(A/B×100)の測定結果を表2に記載した。
Figure 0007340928000002
(5)アルミナ焼結体の嵩密度の測定
アルミナ粉末試料P1~P6の各々から成形された成型体試料C1~C6を、それぞれ6個準備して、成型体およびアルミナ焼結体の嵩密度を測定した。
各成型体試料C1~C6について準備した6個の成型体試料のうち5つは、異なる焼成温度(1100℃、1200℃、1300℃、1400℃、および1500℃)で焼成した。焼成温度まで昇温速度200℃/時で昇温した後、その焼成温度で5時間保持して、アルミナ焼結体試料を得た。
6個の成型体試料のうち1つは、焼成前の成型体試料とした。
アルミナ焼結体試料および焼成前の成型体試料について、嵩密度を測定した。
アルミナ焼結体試料の嵩密度は、アルキメデス法(JIS R 1634:1998)により測定した。
焼成前の成型体試料の嵩密度は、次のように算出した。まず、成型体試料の質量を、電子天秤で計測した。次に、成型体試料の厚みと直径をノギスで測定して、体積を算出した。質量を体積で割ることで、焼成前の成型体試料の嵩密度を求めた。
焼成前の成型体試料およびアルミナ焼結体試料の嵩密度を表3および図5に示す。
焼成前の成形体の嵩密度が高い(つまり、成形体の時点で粒子が密に詰まっている)と、焼結後に収縮しにくい。本実施例では、焼成前の成型体試料の嵩密度が2.50g/cm以上を合格とした。
また、アルミナ焼結体は十分な強度を有するためには、アルミナ焼結体の嵩密度がある程度高い嵩密度が必要となる。本実施例では、1500℃焼結のアルミナ焼結体試料の嵩密度が2.80g/cm以上を合格とした。
Figure 0007340928000003
(6)アルミナ粒子の粒度分布曲線の測定
実施例1~2および比較例1~2のアルミナ粉末について、レーザ粒度分布測定装置〔日機装(株)製「マイクロトラック:MT-3300」〕を用いて、レーザ回折法により粒度分布を測定した。粒度分布曲線を図6に示す。
実施例1~2および比較例1~4について、以下に考察する。
実施例1のアルミナ粉末試料P1および実施例2のアルミナ粉末試料P2は、第1のアルミナ粒子と第2のアルミナ粒子を、ジェットミル混合により混合して製造した。そのため、得られたアルミナ粉末試料P1を圧力30MPaで加圧成形した成型体試料C1、およびアルミナ粉末試料P2を圧力30MPaで加圧成形した成型体試料C2は、いずれも、総細孔容積が0.20mL/g以下であり、細孔径1μm以上の細孔の累積細孔容積が総細孔容積の10%未満の条件を満たしていた。
成型体試料C1および成型体試料C2を焼結すると、嵩密度の高いアルミナ焼結体試料が得られた。このように、実施例1のアルミナ粉末試料P1または実施例2のアルミナ粉末試料P2を用いることにより、緻密なアルミナ焼結体を製造できることがわかった。
比較例1のアルミナ粉末試料P3、および比較例2のアルミナ粉末試料P4は、第1のアルミナ粒子と第2のアルミナ粒子を、拡散混合により混合して製造した。そのため、得られたアルミナ粉末試料P3を圧力30MPaで加圧成形した成型体試料C3、およびアルミナ粉末試料P4を圧力30MPaで加圧成形した成型体試料C4は、いずれも、細孔半径1μm以上の細孔が多く、「細孔径1μm以上の細孔の累積細孔容積が総細孔容積の10%未満」の条件を満たさなかった。その結果、成型体試料C3および成型体試料C4を焼結すると、嵩密度が低いアルミナ焼結体試料となった。
比較例3のアルミナ粉末試料P5は、第2のアルミナ粒子だけを含んでおり、第1のアルミナ粒子を含まなかった。アルミナ粉末試料P5を圧力30MPaで加圧成形した成型体試料C5は、細孔半径1μm以上の細孔が多く、総細孔量も多かった。そのため、「総細孔容積が0.20mL/g以下」の条件も、「細孔径1μm以上の細孔の累積細孔容積が総細孔容積の10%未満」の条件も満たさなかった。
比較例4のアルミナ粉末試料P5は、第1のアルミナ粒子だけを含んでおり、第2のアルミナ粒子を含まなかった。アルミナ粉末試料P6を圧力30MPaで加圧成形した成型体試料C5は、総細孔量が多かった。そのため、「総細孔容積が0.20mL/g以下」の条件を満たさなかった。
図6に示す粒度分布曲線については、実施例1~2、比較例1~2のいずれのアルミナ粉末においても、粒径1μm未満の範囲と、粒径1μm以上の範囲のそれぞれに、少なくとも1本のピークが確認された。
このように、圧力30MPaで加圧成形した成型体の総細孔容積が0.20mL/g以下であり、細孔径1μm以上の細孔の累積細孔容積が総細孔容積の10%未満の条件を満たすアルミナ粉末を用いることにより、緻密なアルミナ焼結体を製造することができる。
10 アルミナ粉末
11 小粒径のアルミナ粒子
12 大粒径のアルミナ粒子
13 アルミナ複合粒子

Claims (6)

  1. 複数のアルミナ粒子を含むアルミナ粉末であって、
    前記複数のアルミナ粒子はアルミナ複合粒子を含み、
    前記アルミナ複合粒子を分離後のアルミナ粒子は、
    粒径1μm以上100μm未満のアルミナ粒子を5~95体積%と、
    粒径0.1μm以上1μm未満のアルミナ粒子を5~95体積%を含み、
    前記アルミナ粉末は、比表面積が1.5m /g以上15m /g未満の第1のアルミナ粒子と、比表面積が0.01m /g以上1.5m /g未満の第2のアルミナ粒子とを、質量比で20:80~30:70の割合で混合して作製されたものであり、
    前記アルミナ粉末を圧力30MPaで加圧成形した成型体において、総細孔容積が0.20mL/g以下であり、細孔径1μm以上の細孔の累積細孔容積が総細孔容積の10%未満となるアルミナ粉末。
  2. 前記アルミナ粉末を圧力30MPaで加圧成形した成型体において、総細孔容積が0.157mL/g未満である、請求項1記載のアルミナ粉末。
  3. 前記アルミナ粉末を圧力30MPaで加圧成形した成型体において、総細孔容積が0.130~0.133mL/gである、請求項1または2に記載のアルミナ粉末。
  4. 前記アルミナ複合粒子を分離後のアルミナ粒子は、
    粒径1μm以上100μm未満のアルミナ粒子を50~90体積% と、
    粒径0.1μm以上1μm未満のアルミナ粒子を10~50体積%を含む、
    請求項1~3のいずれか1項に記載のアルミナ粉末。
  5. 分離後のアルミナ粒子の粒度分布曲線は、粒径1μm未満の範囲と、粒径1μm以上の範囲のそれぞれに、少なくとも1本のピークを示す、請求項1~4のいずれか1項に記載のアルミナ粉末。
  6. 有機物の含有量が、C量換算で1質量%未満である請求項1~5のいずれか1項に記載のアルミナ粉末。
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