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JP7344946B2 - チェーンスライダの保持機構 - Google Patents
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本発明は、チェーンスライダの保持機構に関する。
自動二輪車において、チェーンがスイングアームに直接接触することを防止するため、スイングアームの前端の揺動支持部の近傍に、チェーンに対向させて上下一対のチェーンスライダを配設したものが知られている。例えば、特許文献1に記載のチェーンスライダでは、チェーンスライダのチェーンに対向する壁に突起部を形成すると共に側壁に溝部を設けている。これにより、チェーンがチェーンスライダの突起部に衝突した場合には、溝部を変形させることで衝撃力を吸収してスイングアームの変形や騒音発生を防止している。
特開平03-227787号公報
しかしながら、一般的にチェーンスライダは樹脂やゴムで形成されるため、車両の使用状況によっては破損しやすいという問題があった。特許文献1には、スイングアームのチェーンに対向する部分にチェーンスライダを配置することが記載されているが、チェーンスライダのスイングアームへの取付け部の破損防止に関する記載はない。
本発明は、チェーンスライダの破損を抑制可能なチェーンスライダの保持機構を提供する。
本発明は、
円筒状に形成された揺動支持部が前端に設けられたスイングアームの前端部を覆うチェーンスライダの保持機構であって、
前記チェーンスライダは、
前端が分割して形成された上部スライダ及び下部スライダと、
前記上部スライダの後端と前記下部スライダの後端とを連結するスライダ連結部と、を備え、
前記スイングアームは、前記下部スライダの前端が係合する第1係合部と、前記上部スライダの前端が係合する第2係合部と、を備え、
前記下部スライダは、
前記スイングアームの前記前端を覆う下部重合部と、
前記下部重合部に設けられ、前記第1係合部に固定される第1被係合部と、を有し、
前記上部スライダは、
前記揺動支持部の径方向で前記下部重合部重なり合う上部重合部と、
前記上部重合部に設けられ、前記第2係合部に固定される第2被係合部と、を有し、
前記第2係合部及び前記第2被係合部は、少なくとも2つ設けられる。
本発明によれば、上部スライダをスイングアームに2ヶ所で固定することで上部スライダのめくり上がりを防止すると共に、チェーンスライダに作用する負荷を分散してチェーンスライダの破損を防止できる。
本発明の一実施形態のチェーンスライダの保持機構を備える自動二輪車の後部側面図である。 スイングアーム及びスイングアームに取付けられたチェーンスライダの斜視図である。 スイングアームに取付けられたチェーンスライダの要部拡大図である。 図3のA―A断面図である。 チェーンスライダのスイングアームへの組み付けを説明するため図である。
以下、本発明のチェーンスライダの保持機構の一実施形態を、添付図面に基づいて説明する。なお、説明中の上、下、左、右、前、後、は自動二輪車に乗車した運転者を基準にした向きを示している。図中、前をFr、後をRr、左をL、右をR、上をU、下をD、として示す。
図1に示すように、自動二輪車の車体フレーム11には、エンジンEおよび変速機MからなるパワーユニットPが搭載されている。パワーユニットPよりも後方で車体フレーム11に設けられたピボットプレート12には、ピボット軸13を介してスイングアーム14が上下揺動可能に支持されている。スイングアーム14の後端部には、後輪WRが軸支され、車体フレーム11の後部およびスイングアーム14の中間部に設けられたブラケット40の間にはリヤクッション15が設けられる。
パワーユニットPの出力は、無端状のチェーン16を介して後輪WRに伝達される。パワーユニットPにおける変速機Mの出力軸17は、ピボット軸13よりも前方に配置され、該出力軸17に固定された駆動スプロケット18と、後輪WRに固定された被動スプロケット19とにチェーン16が巻き掛けられている。
図2も参照して、スイングアーム14は、後輪WRの両側で前後方向に平行に延びる矩形筒状の第1および第2アーム20,21と、第1および第2アーム20,21の前端に設けられ、円筒状に形成された揺動支持部22と、第1および第2アーム20,21の中間部間を連結するクロスメンバー23とから構成される。第1アーム20は、チェーン16が巻き掛けられる左側に設けられている。クロスメンバー23は、断面形状が四角形である角筒からなる。
第1アーム20には、後述するチェーンスライダ30に設けられた嵌合突起部33に対応する位置に、該嵌合突起部33が係合する不図示の係合孔が第1アーム20の上面20a及び下面20bにそれぞれ2か所、合計4か所設けられている。
4つの嵌合突起部33は、図5に示すように、第1アーム20の係合孔より僅かに小径の軸部33aと、該軸部33aより大径とされた大径部から先端に向かって次第に小径となるテーパーが設けられた係止部33bとを備える。軸部33a及び係止部33bには、径方向中心を通るスリット33cが設けられ、軸部33a及び係止部33bが縮径可能となっている。
嵌合突起部33は、後述する下部スライダ31の上面及び上部スライダ32の下面にそれぞれ2つずつ、合計4つ設けられている。なお、図5では、上部スライダ32の下面に設けられた1つの嵌合突起部33のみを示している。
また、図3~図5を参照して、揺動支持部22の前端部22aには、第1アーム20の延長線上に、チェーンスライダ30と係合するための固定部24が設けられている。固定部24は、矩形板状の第1係合部24aと、該第1係合部24aの両端が略90°折り曲げられて形成された一対の第2係合部24bとを備える。即ち、固定部24は、第2係合部24bが第1係合部24aの両端から前方に突出する略U字形に形成されている。固定部24は、第1係合部24aを揺動支持部22の前端部22aに溶接することで、容易に固定され得る。
各第2係合部24bは、側方から見て、前方に向かって延びる係合基部24b1と、係合基部24b1の先端部に設けられた略円形状の係合凸部24b2と、を有する。係合凸部24b2は、係合基部24b1よりも上下方向の幅が広くなっており、係合基部24b1と係合凸部24b2との間には、くびれ部24b3が設けられる。
第1アーム20には、チェーン16との干渉によるスイングアーム14の損傷を防止するためのチェーンスライダ30が、第1アーム20の下面20b及び上面20aを覆って装着されている。チェーンスライダ30は、第1アーム20の下面20bに配置される下部スライダ31と、第1アーム20の上面20aに配置される上部スライダ32と、を備え、下部スライダ31の後端と上部スライダ32の後端とが、板状のスライダ連結部34により連結されている。チェーンスライダ30は、樹脂で形成されたプラスチック、ゴム等からなり、素材が有する弾性(たわみ)によって下部スライダ31及び上部スライダ32の前端同士は、相互に近接、離反可能、即ち、開閉可能となっている。
下部スライダ31の前端は、揺動支持部22の前端部22aを下方から覆うように湾曲形成された下部重合部35を備える。下部重合部35は、第1係合部24aに係合する矩形孔である第1被係合部36を有する。
上部スライダ32の前端は、揺動支持部22の前端部22aを上方から覆うように湾曲形成された上部重合部37を備える。上部重合部37は、一対の第2係合部24bに係合する長孔である一対の第2被係合部38を有する。一対の第2被係合部38の間には、リブ状の補強部39が上部スライダ32の長手方向(車両の前後方向)に沿って設けられている。上部重合部37と下部重合部35は、径方向で重なり合って揺動支持部22の前端部22aを覆う。
次に、チェーンスライダ30のスイングアーム14への組付け手順について図2~図5を参照して説明する。
先ず、スライダ連結部34を中心として下部スライダ31の前端と上部スライダ32の前端とを開き(図5参照)、下部スライダ31を第1アーム20の下面20b側に配置すると共に、上部スライダ32を第1アーム20の上面20a側に配置する。このとき、チェーンスライダ30は、下部重合部35の裏面が、第2係合部24bより前方となる仮位置に位置させる。即ち、チェーンスライダ30の4つの嵌合突起部33は、第1アーム20の不図示の係合孔より前方に位置する。
次いで、下部スライダ31の前端、上部スライダ32の前端の順で閉じ、下部重合部35と上部重合部37を重ね合わせる。これにより、第1被係合部36と一対の第2被係合部38が径方向で重なる。そして、下部スライダ31と上部スライダ32の前端が閉じた状態のチェーンスライダ30を後方に移動させて、第1係合部24aを第1被係合部36に挿入させると共に、一対の第2係合部24bを一対の第2被係合部38にそれぞれ挿入して、チェーンスライダ30の4つの嵌合突起部33を、それぞれ第1アーム20の不図示の4つの係合孔に一致させて位置させる。
そして、4つの嵌合突起部33をそれぞれ上方及び下方から押圧する。4つの嵌合突起部33は、スリット33cの作用により縮径して嵌合突起部33の軸部33aが第1アーム20の不図示の係合孔に係合することで、チェーンスライダ30がスイングアーム14に位置決め固定される。
これにより、図3及び図4に示すように、第1係合部24aは、全周が第1被係合部36で囲まれて第1被係合部36内に収容されると共に、前面が上部重合部37により閉鎖されるので、泥水や砂が侵入しにくくなり、チェーンスライダ30の摩耗が抑制される。
また、第2係合部24b及び第2被係合部38が複数(本実施形態では2つ)あるので、上部スライダ32のめくり上がりを防止できる。さらに、上部スライダ32のめくり上がりによる上部スライダ32及び下部スライダ31の重なり部の隙間発生を防止でき、下部スライダ31のめくれによる第1被係合部36の破断を抑制できる。
また、各第2係合部24bは、先端部に係合基部24b1よりも上下方向の幅が広い係合凸部24b2を有するので、上部スライダ32のめくり上がりが発生するとき、第2被係合部38が係合基部24b1と係合凸部24b2との間のくびれ部24b3にひっかかることで、上部スライダ32のめくり上がりが抑制される。
また、複数の第2係合部24bが左右に間隔を開けて上部スライダ32に取付けられるので、チェーンスライダ30に作用する負荷が分散されて第1被係合部36及び第2被係合部38の破断を抑制できる。また、第1係合部24aと第2係合部24bは一体であるため、スイングアーム14と1か所で溶接することができ、作業工数および製造コストが削減される。
また、上部スライダ32は、隣り合う第2被係合部38の間に補強部39を有するので、上部スライダ32のねじれが抑制され、第2被係合部38の破断を防止できる。
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
また、本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
(1) スイングアーム(スイングアーム14)の前端部(前端部22a)を覆うチェーンスライダ(チェーンスライダ30)の保持機構であって、
前記チェーンスライダは、
前端が分割して形成された上部スライダ(上部スライダ32)及び下部スライダ(下部スライダ31)と、
前記上部スライダの後端と前記下部スライダの後端とを連結するスライダ連結部(スライダ連結部34)と、を備え、
前記スイングアームは、前記上部スライダの前端と前記下部スライダの前端とを固定する第1係合部(第1係合部24a)及び第2係合部(第2係合部24b)を備え、
前記下部スライダは、
前記スイングアームの前記前端を覆う下部重合部(下部重合部35)と、
前記下部重合部に設けられ、前記第1係合部に固定される第1被係合部(第1被係合部36)と、を有し、
前記上部スライダは、
前記下部重合部に重なり合う上部重合部(上部重合部37)と、
前記上部重合部に設けられ、前記第2係合部に固定される第2被係合部(第2被係合部38)と、を有し、
前記第2係合部及び前記第2被係合部は、少なくとも2つ設けられる、チェーンスライダの保持機構。
チェーンスライダは前端が分割されているため、使用状況によっては上部スライダが上にめくり上がろうとするので、第2被係合部が破断しやすい。また、上部スライダがめくり上がることによって上部スライダと下部スライダの重なり合う部分に隙間が生じるので、下部スライダも下側にめくれやすくなり、第1被係合部も破断しやすい。(1)によれば、第2係合部とそれに固定される第2被係合部とが複数あるので上部スライダのめくり上がりを防止できる。また、2ヶ所で固定することで負荷が分散されて第2被係合部の破断を抑制できる。
(2) (1)に記載のチェーンスライダの保持機構であって、
前記少なくとも2つの前記第2係合部は、前記第1係合部を介して一体に形成され、
前記第1係合部と前記スイングアームとは、溶接で固定される、チェーンスライダの保持機構。
(2)によれば、複数の第2係合部は第1係合部を介して一体に形成されるため、複数の第2係合部は間隔を開けて上部スライダに取付けられる。したがって、チェーンスライダへの負荷が分散されて第1被係合部及び第2被係合部の破断を抑制できる。また、第1係合部と第2係合部は一体で形成されているため、スイングアームとの溶接点が1か所でよい。それゆえ、作業工数および製造コストを削減できる。
(3) (2)に記載のチェーンスライダの保持機構であって、
前記第1係合部は、前記第1被係合部の内部に収容される、チェーンスライダの保持機構。
(3)によれば、第1係合部及び第2係合部が一体に形成されているので第1被係合部への収容が容易になる。また、第1係合部の全部が第1被係合部の内部に収容されるので、泥水や砂が侵入しにくくなり、チェーンスライダの摩耗が抑制される。さらに、第1係合部には、第1被係合部を内部に収容するための貫通孔を設ければよいので、第1被係合部の肉厚を薄くする等の加工が不要で、第1被係合部の剛性を確保することができる。
(4) (1)~(3)のいずれかに記載のチェーンスライダの保持機構であって、
前記上部スライダは、隣り合う前記第2被係合部の間に補強部(補強部39)を有する、チェーンスライダの保持機構。
(4)によれば、上部スライダは、隣り合う第2被係合部の間に補強部を有するので、上部スライダのねじれが抑制され、第2被係合部のめくり上がりによる破断を防止できる。
14 スイングアーム
22a 前端部
24a 第1係合部
24b 第2係合部
30 チェーンスライダ
31 下部スライダ
32 上部スライダ
34 スライダ連結部
35 下部重合部
36 第1被係合部
37 上部重合部
38 第2被係合部
39 補強部

Claims (4)

  1. 円筒状に形成された揺動支持部(22)が前端に設けられたスイングアーム(14)の前端部(22a)を覆うチェーンスライダ(30)の保持機構であって、
    前記チェーンスライダは、
    前端が分割して形成された上部スライダ(32)及び下部スライダ(31)と、
    前記上部スライダの後端と前記下部スライダの後端とを連結するスライダ連結部(34)と、を備え、
    前記スイングアームは、前記下部スライダの前端が係合する第1係合部(24a)と、前記上部スライダの前端が係合する第2係合部(24b)と、を備え、
    前記下部スライダは、
    前記スイングアームの前記前端を覆う下部重合部(35)と、
    前記下部重合部に設けられ、前記第1係合部に固定される第1被係合部(36)と、を有し、
    前記上部スライダは、
    前記揺動支持部の径方向で前記下部重合部重なり合う上部重合部(37)と、
    前記上部重合部に設けられ、前記第2係合部に固定される第2被係合部(38)と、を有し、
    前記第2係合部及び前記第2被係合部は、少なくとも2つ設けられる、チェーンスライダの保持機構。
  2. 請求項1に記載のチェーンスライダの保持機構であって、
    前記少なくとも2つの前記第2係合部は、前記第1係合部を介して一体に形成され、
    前記第1係合部と前記スイングアームとは、溶接で固定される、チェーンスライダの保持機構。
  3. 請求項2に記載のチェーンスライダの保持機構であって、
    前記第1係合部は、前記第1被係合部の内部に収容される、チェーンスライダの保持機構。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載のチェーンスライダの保持機構であって、
    前記上部スライダは、隣り合う前記第2被係合部の間に補強部(39)を有する、チェーンスライダの保持機構。
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