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JP7348466B2 - 高炉の操業方法及び銑鉄の製造方法 - Google Patents
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JP7348466B2 - 高炉の操業方法及び銑鉄の製造方法 - Google Patents

高炉の操業方法及び銑鉄の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高炉の操業方法及び銑鉄の製造方法に関する。
一般に、高炉の操業では、鉄源である、塊鉱石、焼結鉱やペレット等と、コークスとを高炉の炉頂から交互に装入する。高炉内では、鉄源で形成された鉱石層と、コークスによって形成されたコークス層が交互に積層する。そして、装入された鉄源が高炉内の還元ガス及びコークスに含まれる炭素によって還元されることで銑鉄が得られる。ここで、コークスは、鉄源を還元する還元材としての機能、燃料としての機能、及び炉内全体にガスを行き渡らせるための空隙を確保するためのスペーサーとしての機能を有する。
このような高炉における安定操業は、コストの低減とともに、非常に重要視される。例えば、以下の特許文献1には、安価な高結晶水鉱石を用いて圧力損失の増大を抑制しつつ安定に高炉操業を行う方法として、水素を含む物質を補助還元材として羽口から吹き込む高炉操業方法が開示されている。
また、例えば、特許文献2では、水素含有率の高い還元材を吹き込む高炉操業を行なう際に、安定操業を行うために、炉上部の炉壁を冷却するステーブ内に、常温超えの、合成油、鉱物油、石炭系タール又は燃焼ガスを熱媒体として流通させることで、炉上部の温度低下を抑制する高炉操業方法が開示されている。
特開2006-124769号公報 特開2009-221546号公報
ところで、コークスは、一般に高価であるため、コークス使用量を削減することで銑鉄の製造コストを削減することが望まれている。しかしながら、コークスの使用量を減らすと、コークスによるスペーサー機能が一部損なわれることにより、炉内の圧力損失が増大する。炉内の圧力損失が増大するとガスの流れが変動し、例えば、ガスが通気性の良い部分に偏って流通する吹き抜けが発生することがある。この吹き抜けにより、鉱石層とコークス層の積層状態が乱れ、鉄源の還元効率が低下する。また、圧力損失の増大によって一酸化炭素ガスによる鉄源の還元効率が低下し、炉内の温度が低下する。炉内の温度が低下すると、銑鉄の製造効率が低下する。さらに、炉内の温度が低下することで溶銑の温度が低下し、溶銑の粘度が高くなり、場合によっては出銑できなくなる。
コークス使用量を低減させつつ炉内の圧力損失を低減させる高炉の操業方法については十分に検討されておらず、従来知られた方法では十分に対応ができない。例えば、特許文献1に記載の高炉操業方法では、水素による還元反応は吸熱反応であるため、炉内の温度が低下する可能性がある。その結果、炉上部の比較的低温である低温領域が拡大する可能性がある。低温領域では、鉄源の一種として使用される焼結鉱が還元反応により粉化(還元粉化)するため、炉上部における低温領域が拡大すると、焼結鉱が還元粉化する領域が拡大することになる。その結果、炉上部において、空隙が小さくなり圧力損失が増大する可能性がある。また、焼結鉱が還元粉化する領域が拡大することで、鉄源やコークスの降下挙動が悪化する可能性がある。
特許文献2に記載の高炉操業方法では、炉上部の温度上昇の程度はステーブからの熱伝導によって決まるため、炉半径方向に温度分布が生じる。そのため、炉半径方向で焼結鉱の還元粉化量が変化する。炉半径方向における焼結鉱の還元粉化量が変化することでガスの流れが変動し、炉況不調となる可能性がある。このような問題は、低コークス比における操業においては、より顕著となる。また、特許文献2に記載の高炉操業方法では、ステーブへの熱媒体として、合成油、鉱物油、石炭系タール又は燃焼ガスを使用するため、ステーブ破損等が生じた際に、炉内もしくは炉外に熱媒体が噴出する可能性がある。そのため、安全性、環境、防災の観点から、上記の高炉操業方法には、改善の余地がある。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、低コークス比の操業条件において、より安定して継続した操業が可能な高炉の操業方法及び銑鉄の製造方法を提供することにある。
(1) 焼結鉱を少なくとも含む鉄源とコークスとを装入し、気体還元材または液体還元材の少なくともいずれかを含む補助還元材と微粉炭とを吹き込むことで銑鉄を製造する高炉の操業方法であって、
前記焼結鉱の還元粉化指数は、24%以上34%以下であり、
前記微粉炭の使用量は、150kg/tp以上220kg/tp以下であり、
前記補助還元材の使用量は、10kg/tp以上50kg/tp以下であり、
前記焼結鉱の装入量は、前記鉄源の質量に対して、70質量%以上である、高炉の操業方法。
(2) 前記コークスの使用量は、300kg/tp以下である、請求項1に記載の高炉の操業方法。
(3) 焼結鉱を少なくとも含む鉄源とコークスとを高炉に装入し、気体還元材または液体還元材の少なくともいずれかを含む補助還元材と微粉炭とを前記高炉に吹き込むことで、前記鉄源を還元して銑鉄を得る銑鉄の製造方法であって、
前記焼結鉱の還元粉化指数は、24%以上34%以下であり、
前記微粉炭の使用量は、150kg/tp以上220kg/tp以下であり、
前記補助還元材の使用量は、10kg/tp以上50kg/tp以下であり、
前記焼結鉱の装入量は、前記鉄源の質量に対して、70質量%以上である、銑鉄の製造方法。
本発明によれば、低コークス比の操業条件において、より安定して継続した操業が可能な高炉の操業方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る高炉の操業方法が適用される高炉の一例を示す模式図である。 実施例における操業試験により得られた焼結鉱の還元粉化指数と、炉下部の圧力損失及び炉上部の圧力損失との関係を示すグラフ図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また、図中の各構成要素の比率、寸法は、実際の各構成要素の比率、寸法を表すものではない。
<1.高炉の概要>
(1.1.高炉の構造)
まず、本実施形態に係る高炉の操業方法及び銑鉄の製造方法の説明に先立ち、図1を参照して、本実施形態に係る高炉の操業方法及び銑鉄の製造方法が適用される高炉について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る高炉の操業方法及び銑鉄の製造方法が適用される高炉の一例を示す模式図である。
高炉1は、鉄源を還元して溶銑を製造する装置である。高炉1は、図1に示すように、炉体10、羽口11、送風本管12、送風管13、微粉炭吹き込みランス14、補助還元材吹き込みランス15、出銑口16、出滓口17、及び旋回シュート18を備える。
炉体10は、上端が開口した竪型の反応容器である。炉体10は、中空の鉄皮と、鉄皮の内面に張られた耐火物で形成される。炉体10の下方(炉床)には、溜まり部101が設けられる。炉体10の上端の開口部から、炉体10の内部に各種公知の方法で鉄源及びコークスが装入され、炉体10の内部で、鉄源が還元されて溶銑が生成する。生成した溶銑は、溜まり部101に貯留される。
羽口11は、炉体10の側面の下部側に設けられ、熱風炉(図示せず。)で生成された、酸素を含有する熱風を炉体10の内部に吹き込むための吹き込み口である。炉体10は、複数の羽口11を備えることができる。羽口11を通じて、熱風に加えて、後述する補助還元材及び微粉炭を羽口11から炉内に吹き込むことができる。
送風本管12は、炉体10を囲むように設けられる環状管であり、送風本管12には、送風管13が接続されている。送風本管12は、熱風炉から送られた熱風を送風管13に供給する。
送風管13は、送風本管12と羽口11に接続される。送風管13は、送風本管12から送られた熱風を、羽口11を通じて炉内に供給する。
なお、炉内に供給される熱風の温度は、熱風炉において蓄熱量や熱風供給量を制御することで調整される。なお、熱風に含まれる酸素の含有率は、熱風炉において空気と酸素を混合することで調整することができる。
微粉炭吹き込みランス14は、管状の形状を有しており、羽口11を通じて微粉炭を炉体10の内部に供給する。微粉炭吹き込みランス14は、例えば、送風管13の壁面から送風管13の内部に挿入される。微粉炭は、熱風とともに炉体10の内部に吹き込まれる。
微粉炭吹き込みランス14は、所定の量の微粉炭が炉内に吹き込まれれば、特段制限されず、例えば、円管、角管、径が異なる管が同心状に配置された多重管等を用いることができる。
補助還元材吹き込みランス15は、管状の形状を有しており、羽口11を通じて水素を含有する補助還元材を炉体10の内部に供給する。補助還元材吹き込みランス15は、例えば、送風管13の壁面から送風管13の内部に挿入される。
補助還元材吹き込みランス15から吹き込まれた補助還元材は、炉内で熱分解して、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス及び水素ガスとなる。そのため、補助還元材吹き込みランス15の構造又は補助還元材の吹き込み方法による、炉内のガスの流れ、炉内温度変化又は鉄源の還元反応への影響は小さいと考えられる。従って、補助還元材吹き込みランス15は、設定された量の補助還元材が炉内に吹き込まれれば、特段制限されず、例えば、円管、角管、径が異なる管が同心状に配置された多重管等を用いることができる。
補助還元材吹き込みランス15が単管の場合は、補助還元材吹き込みランス15は、複数種類の還元材を混合した補助還元材を炉内に吹き込むことができる。また、補助還元材吹き込みランス15が多重管ランスの場合は、補助還元材吹き込みランス15の内部に形成される複数の空間のそれぞれに、それぞれ異なる還元材を供給することで、複数種類の補助還元材を同時に炉内に吹き込むことができる。
出銑口16は、溜まり部101に設けられ、鉄源の還元により生成された溶銑を出銑する。出銑口16は複数設けられ、溶銑を連続的または間歇的に出銑することができる。
出滓口17は、炉床の出銑口16より上方に設けられる。鉄源の還元により生成されたスラグは、出滓口17から排出される。出滓口17は複数設けられ、スラグを連続的または間歇的に出滓することができる。
旋回シュート18は、炉体10の上方に設けられ、鉄源及びコークスを炉体10の内部に装入する。鉄源及びコークスは、旋回シュート18の傾斜角度や回転速度が制御されることで、所望の炉内の所望の位置に装入される。
(1.2.炉内状況)
次に、還元反応中の炉体10の内部の状況について説明する。操業中の高炉1において、炉体10の内部には、炉頂から鉄源及びコークスが装入され、羽口11から酸素を含有する熱風、微粉炭及び補助還元材が吹き込まれている。熱風中の酸素によって、コークス、微粉炭及び補助還元材は燃焼し、一酸化炭素及び水素ガスを含む還元ガスが生成される。生成した還元ガスによって、鉄源に含まれるFeやFe等は還元され、炭素を4.5%程度含む溶銑が生成する。このようにして銑鉄が製造される炉体10の内部には、塊状帯20と、塊状帯20の下方に形成される融着帯30と、融着帯30の下方に形成される滴下帯40とが形成される。
塊状帯20は、旋回シュート18を用いて鉄源およびコークスが交互に装入されることにより、鉄源で構成される鉱石層201と、コークスで構成されるコークス層202とが交互に積層して形成される領域である。塊状帯20は、例えば、炉体10の炉頂から旋回シュート18によって鉄源とコークスとが交互に装入されて形成される。塊状帯20は、図1に示したように、炉内の上方に形成される。塊状帯20では、高炉の下方から上昇する還元ガスによって鉄源が還元される。塊状帯20における鉄源の還元反応は、500℃前後から始まり、900℃~1000℃程度でFeOまで還元される。塊状帯20の比較的低温の領域では、焼結鉱は、還元されて粉化することがある。
融着帯30は、塊状帯20の下方に存在する鉄源の還元が進行し、固体の鉄源と一度溶融した鉄源とが融着して半溶融状態となって存在する領域である。融着帯30では、還元ガス、及びコークスもしくは微粉炭に含まれる炭素により鉄源が還元される。融着帯30では、例えば、鉄源の還元途中に生成されるFeOとスラグ成分とが反応して半溶融状態となっている。複数の融着帯30の間には、滴下帯40から塊状帯20にガスが移動するための流路であるコークス層(コークススリット50)が存在する。炉下部の還元ガスは、コークススリット50を通じて塊状帯20に移動する。
滴下帯40は、主としてコークスによって形成されており、コークス間の空隙を溶銑と溶融スラグとが下方に向かって滴下する領域である。溶銑と溶融スラグは、溜まり部101に貯留される。
以上、高炉1およびその炉内状況について説明した。上述したように、高炉1の操業において、コークスは、還元ガスの流路として機能する。したがって、低コークス比の操業条件においては、還元ガスの流路が減少し、圧力損失が生じやすくなる。しかしながら、後述する本実施形態に係る高炉の操業方法及び銑鉄の製造方法においては、微粉炭および補助還元材の量を特定の範囲とし、さらに所定の還元粉化指数の焼結鉱を用いることにより、低コークス比の操業条件を採用した場合であっても圧力損失を抑制し、安定な高炉操業が可能である。
<2.高炉の操業方法及び銑鉄の製造方法>
次に、本実施形態に係る高炉の操業方法及び銑鉄の製造方法について説明する。なお、以下の説明においては、高炉1を用いて本実施形態に係る高炉の操業方法及び銑鉄の製造方法を説明するが、本実施形態に係る高炉の操業方法及び銑鉄の製造方法が適用される高炉は、上述した高炉1に限定されないことはいうまでもない。
本実施形態に係る高炉の操業方法は、焼結鉱を少なくとも含む鉄源とコークスとを装入し、気体還元材または液体還元材の少なくともいずれかを含む補助還元材と微粉炭とを吹き込むことで銑鉄を製造する方法である。そして、同方法において、焼結鉱の還元粉化指数は、24%以上34%以下であり、微粉炭の使用量は、150kg/tp以上220kg/tp以下であり、補助還元材の使用量は、10kg/tp以上50kg/tp以下である。また、本実施形態に係る銑鉄の製造方法は、上記高炉の操業方法により銑鉄を得る方法である。
本実施形態においては、鉄源及びコークスは、旋回シュート18を用いて交互に装入される。また、微粉炭及び補助還元材は、それぞれ、微粉炭吹き込みランス14および補助還元材吹き込みランス15より、羽口11を通じて炉体10の内部に供給される。そして、微粉炭及び補助還元材の使用量を上述した範囲とした上で、所定の焼結鉱を鉄源として用いることにより、低コークス比の操業条件であっても、安定した高炉操業を実現する。以下、これらの各材料について説明する。
(2.1.鉄源)
高炉1を用いて銑鉄を製造するための鉄源は、少なくとも焼結鉱を含む。焼結鉱は、粉鉱にコークスと石灰石とを混合して焼結することにより得られる。
本実施形態において、焼結鉱としては、還元粉化指数(RDI:Reduction disintegration index)が24~34%のものを使用する。RDIは、高炉の低温還元帯を模した条件での鉄鉱石の粉化の度合いを示す指数である。RDIが24%未満であると、焼結鉱の被還元性(RI:Reduction index)が小さくなり、炉体10の内部の還元ガスによる焼結鉱の還元が抑制される。そのため、融着帯30の厚みが厚くなり、炉下部においてガスの圧力損失が増大し、その結果、炉内の状況が変動し、操業が不安定となる。一方で、RDIが34%を超えると、炉上部で焼結鉱が粉化して炉上部におけるガスの圧力損失が増大し、塊状帯20の積層状態が乱れ、鉄源の還元効率が低下する可能性がある。焼結鉱のRDIは、好ましくは、24%以上32%以下である。
RDIは、例えば、JIS 8720:2009 鉄鉱石-低温還元粉化試験方法に準拠した方法で評価することができる。詳細には、所定の粒度を有する焼結鉱を静置状態で一酸化炭素と窒素とで構成されるガスを用いて、550℃の温度で30分間等温還元を行う。還元後の焼結鉱を100℃以下の温度に冷却し、所定の回転ドラムを用いて合計900回転動する。その後、公称目開き2.8mmの篩を用いてふるい分けを行う。RDIは、還元反応前の焼結鉱の質量に対する、篩通過分の質量で表される。
焼結鉱のRDIは、公知の方法を用いて調整することができる。RDIは、例えば、粉鉱、粉コークス、及び石灰石を混合、焼成して焼結鉱を製造する際に、粉コークスの量を変更することで調整することができる。
焼結鉱のRIは、特に限定されないが、例えば、64%以上69%以下であり、好ましくは、66%以上69%以下である。上記範囲のRIを有する焼結鉱を使用することで、炉体10の内部の還元ガスによる焼結鉱の還元性を維持しつつ、焼結鉱の粉化による、圧力損失の増大を抑制することが可能となる。
RIは、例えば、JIS 8713:2009 鉄鉱石-被還元性試験方法に準拠した方法で評価することができる。詳細には、容器に入れて天秤につるした測定試料を、一酸化炭素及び窒素の混合ガスを用いて900℃の温度で180分間等温還元を行う。RIは、還元前測定試料中に鉄と結合していた酸素の質量に対する還元によって除去された酸素の質量の比率として求められる。
また、焼結鉱の平均粒径は、18mm以上25mm以下であることが好ましい。上記の範囲の平均粒径を有する焼結鉱を使用することで、還元粉化による圧力損失の影響を低減しつつ、補助還元材の吹込みに伴う水素ガスの還元効果を高めることが出来る。
焼結鉱の組成は、T.Fe(鉄の含有率)が高いことが好ましい。上記組成を有する焼結鉱を使用することで、補助還元材の吹込みに伴う水素ガスの還元効果を高めることが出来る。
焼結鉱の装入量は、装入する鉄源の質量に対して、70質量%以上であることが好ましい。焼結鉱の装入量を、装入する鉄源の質量に対して、70質量%以上とすることで、装入する鉄源全体の被還元能力を維持できるため、補助還元材の吹込みに伴う水素ガスの還元効果を高めることが出来る。
また、本実施形態において、鉄源は、さらに、塊状の鉄鉱石である塊鉱石、及び/又は粉鉱を造粒して得られるペレットを含んでいてもよい。
(2.2.還元材)
上述したように、本実施形態において、コークス、微粉炭及び補助還元材を還元材として用いる。還元材は、炉体10内において、熱分解により分解され、一酸化炭素ガス及び水素ガスを発生させる。そして、これら一酸化炭素ガスおよび水素ガスにより、鉄源が還元される。
銑鉄製造量1トン当たりの還元材の使用量である還元材比(RAR:Reduction Agent Ratio)は、コークス比(CR:Coal ratio)と、銑鉄製造量1トン当たりの微粉炭の使用量である微粉炭比(PCR:Pulverized coal ratio)と、補助還元材の使用量の合計量とすることができる。還元材比は、鉄源の性状、コークスの性状、微粉炭の性状、補助還元材の種類、高炉設備等に応じて、適宜変更することが可能であるが、還元材比は、例えば、500kg/tpを基準として±2%の範囲内とすることが好ましい。以下、各還元材について説明する。
[2.2.1.コークス]
本実施形態において、コークス比は、特に限定されず、任意の範囲、例えば230kg/tp以上350kg/tp以下の範囲で用いることができる。しかしながら、本実施形態においては、コークス比は、300kg/tp以下であることが好ましい。コークス比を300kg/tp以下とすることで、銑鉄の製造コストを削減することが可能となる。一般に、コークス比が減少すると、比較的空隙率の高いコークス層の厚みが薄くなるため、通気性が低下し、炉内のガスの圧力損失が増大する。コークスの装入量を減らした場合、例えば、融着帯30では、コークススリット50が狭くなるため、圧力損失が増大することがある。しかしながら、本実施形態に係る高炉の操業方法においては、焼結鉱のRDIを24%以上34%以下とし、微粉炭比を150kg/tp以上220kg/tp以下とし、補助還元材の使用量を10kg/tp以上50kg/tp以下とすることで、コークス比が300kg/tp以下であっても安定して高炉を操業することが可能となる。好ましくは、コークス比は、230kg/tp以上300kg/tp以下である。
また、好ましくは、コークスの平均粒径は、40mm以上60mm以下である。上記の範囲の平均粒径を有するコークスを使用することで、より効果的に炉内全体にガスを行き渡らせることが可能となる。
[2.2.2.微粉炭]
微粉炭比は、150kg/tp以上220kg/tp以下とする。当該範囲の微粉炭を炉内に吹き込むことで、コークス比を低減しつつ、未燃チャーの生成が抑制される。微粉炭比が150kg/tp未満である場合、装入された鉄源を還元するためにコークス比を増加する必要が生じる。微粉炭比が220kg/tpを超えると、未燃チャーが増加して圧力損失が増大し、炉況不調に陥る。微粉炭比は、好ましくは、190kg/tp以上220kg/tp以下である。当該範囲の微粉炭を炉内に吹き込むことで、補助還元材を最低限の10kg/tp吹き込むことでコークス比を300kg/tp以下とすることができる。なお、微粉炭の大きさは、微粉炭吹き込みランス14を用いて羽口11を通じて炉内に吹込むことができる大きさであれば、特段制限されない。
[2.2.3.補助還元材]
補助還元材としては、気体還元材又は液体還元材の少なくともいずれかがが用いられる。補助還元材は、熱風とともに炉体10の内部に吹き込まれる。補助還元材には、例えば、表1に示したように、水素原子を構成原子として含有する物質が用いられ、灰分を生じない物質が用いられることが好ましい。補助還元材には、例えば、炭化水素を含む材料が用いられることが好ましい。気体還元材としては、例えば、メタン、エタンやプロパン等を含む、天然ガスや都市ガス、水素やメタンを含むコークス炉ガス、又は一酸化炭素と水素を多く含む石炭ガス化ガス等を用いることができる。また、気体還元材には、水素ガスを用いることもできる。液体還元材としては、例えば、重油、タール等を用いることができる。
Figure 0007348466000001
補助還元材の使用量は、10kg/tp以上50kg/tp以下とする。当該範囲の補助還元材を炉内に吹き込むことで、補助還元材の分解によって発生する水素ガスが鉄源の還元に供するため、融着帯30が薄層化する。その結果、炉下部における圧力損失の増大が抑制される。補助還元材の使用量が10kg/tp未満であると、補助還元材による鉄源の還元が促進されないために融着帯30が薄層化されず、炉下部におけるガスの圧力損失を低減することができない。補助還元材の使用量が50kg/tpより多く、かつ、後述する微粉炭比が150kg/tp以上である場合、炭化水素を多く含む補助還元材では、炉内の酸素は炭化水素と優先的に反応する。そのため、微粉炭の燃え残りであるいわゆる未燃チャーが発生し、この未燃チャーが炉内に滞留する。炉内における未燃チャーの滞留により、炉下部におけるガスの圧力損失が増大し、炉況不調に陥る。補助還元材の使用量は、好ましくは、20kg/tp以上40kg/tp以下である。当該範囲の補助還元材を炉内に吹き込むことで、微粉炭の燃焼効率を向上させることができる。
鉄源の還元に寄与する水素ガスは、補助還元材の熱分解、及び炉体10の内部の湿分の熱分解によって発生する。炉体10の内部の水素ガス量は、銑鉄製造量1トン当たり、10kg/tp以上22kg/tp以下とすることが好ましい。水素は、一酸化炭素と比較して、鉄源を還元する速度が大きい。そのため、10kg/tp以上の水素を炉内に導入することで、鉄源の還元過程で生成される比較的低融点のFeOが減少する。これにより、融着帯30の上端が高温領域(言い換えると、炉の下方)にシフトするため、融着帯30が存在する領域が狭くなる。従って、10kg/tp以上の水素を炉内に導入することで、炉下部の圧力損失の増大を抑制することが出来る。炉体10の内部の水素ガス量を22kg/tp以下とすることで、焼結鉱の還元粉化領域の拡大を抑制することができ、炉上部における圧力損失の増大を抑制することが可能となる。なお、補助還元材として水素ガスが吹き込まれる場合は、当該水素ガスが炉体10の内部の水素ガスに含まれる。
以上、上述した本実施形態に係る高炉の操業方法及び銑鉄の製造方法によれば、低コークス比の操業条件において、より安定して継続した操業が可能となる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、あくまでも本発明の一例であって、本発明を限定するものではない。
5000m級の内容積を有する高炉の操業試験を行った。操業試験は、表2に示した条件で行った。本操業試験では、鉄源として、焼結鉱、塊鉱石及びペレットを用いた。焼結鉱の平均粒径は、20mmであり、塊鉱石の平均粒径は23mmであり、ペレットの平均粒径は、18mmであった。操業試験に用いた焼結鉱、塊鉱石及びペレットの割合は、それぞれ75質量%、15質量%及び10質量%であった。また、焼結鉱のRDIは、焼結鉱を製造する際に、使用する粉コークスの量を変えることで調整した。また、補助還元材には、都市ガスを使用した。操業試験に使用した都市ガスの元素分析を行ったところ、この都市ガスには、75.9質量%のCと、24.1質量%のHが含まれていた。微粉炭及び都市ガスは、それぞれ単管の吹き込みランスを用いて、羽口から炉内に吹き込んだ。
表2中、酸素富化率は、熱風炉から高炉に吹き込まれる熱風中の酸素濃度と大気中の酸素濃度の差を示す。酸素富化率は、基準操業例では4.8%であり、比較例1では10.5%、比較例2~比較例5及び実施例1~実施例6では、20.0%とした。
RDIは、JIS 8720:2009 鉄鉱石-低温還元粉化試験方法に基づいて評価した。また、RIは、JIS 8713:2009 鉄鉱石-被還元性試験方法に基づいて評価した。
操業安定性の評価は、炉上部におけるガスの圧力損失及び炉下部におけるガスの圧力損失を測定することで行った。詳細には、炉上部における圧力損失及び炉下部における安定な圧力損失を測定できた場合、操業安定性を良好(○)とし、炉上部における圧力損失または炉下部における圧力損失が安定せずに変動した場合、操業安定性を不良(×)とした。以上を合わせて表2に示す。
Figure 0007348466000002
まず、基準操業例として、RDIが38%の焼結鉱を使用し、PCRを200kg/tp、RARを500kg/tp及びCRを300kg/tpとして高炉を操業した。基準操業例では、補助還元材の吹き込みは行わなかった。基準操業例では、炉上部の圧力損失及び炉下部の圧力損失は、それぞれ40.8kPa及び73.5kPaであり、操業安定性は良好となった。
比較例1では、RDIが38%の焼結鉱を使用し、PCRを基準操業例で用いた200kg/tpから250kg/tpに増量し、CRを基準操業例で用いた300kg/tpから250kg/tpに減量して高炉を操業した。比較例1では、基準操業例と同様に、補助還元材の吹き込みは行わなかった。比較例1では、炉上部の圧力損失は、46.3kPaであったが、炉下部では圧力損失値が変動し、操業安定性は不良となった。比較例1では、CRを250kg/tpに減量したことにより、融着帯のコークススリットの幅が狭くなったためであると考えられる。
比較例2では、RDIが38%の焼結鉱を使用し、PCRを220kg/tp、都市ガス使用量を50kg/tpとし、CRを基準操業例で用いた300kg/tpから230kg/tpに減量して高炉を操業した。都市ガスを吹き込んだことから、炉内の水素ガス量(InputH)は11.8kg/tpであった。比較例2では、炉下部の圧力損失は77.1kPaであったが、炉上部では圧力損失値が変動し、操業安定性は不良となった。比較例2では、都市ガス由来の水素ガスによって鉄源の還元が促進され、融着帯の存在領域が狭くなったために、炉下部における圧力損失の変動は生じなかったと考えられる。一方で、InputHが増加したことにより、炉上部において焼結鉱の還元粉化が促進され、圧力損失が変動したと考えられる。
比較例3では、RDIが36%の焼結鉱を使用し、PCRを220kg/tp、都市ガス使用量を50kg/tp、CRを230kg/tpとして操業を実施した。比較例3では、炉下部の圧力損失は78.2kPaであったが、炉上部では圧力損失値が変動し、操業安定性は不良となった。RDIが36%の焼結鉱を用いた場合でも、都市ガス由来の水素ガスによって鉄源の還元が促進され、融着帯の存在領域が狭くなったために、炉下部における圧力損失の変動は生じなかったと考えられる。一方で、焼結鉱のRDIが36%であっても、炉上部において焼結鉱の還元粉化が促進されたため、炉上部の圧力損失が増大したと考えられる。
実施例1~実施例6、比較例4及び比較例5は、比較例3における焼結鉱のRDIを変更した操業試験例である。詳細には、表2に示したように、実施例1~実施例6、比較例4及び比較例5のいずれも、PCRを220kg/tp、都市ガス使用量を50kg/tp、CRを230kg/tpとした。また、焼結鉱のRDIを、実施例1では34%、実施例2では32%、実施例3では30%、実施例4では28%、実施例5では26%、実施例6では24%、比較例4では22%、比較例5では20%とした。実施例7は、PCRを200kg/tp、都市ガス使用量を50kg/tp、CRを250kg/tpとし、焼結鉱のRDIを、24%とした。
実施例1では、炉上部の圧力損失及び炉下部の圧力損失は、それぞれ47.8kPa及び79.8kPaであり、操業安定性は良好となった。実施例2では、炉上部の圧力損失及び炉下部の圧力損失は、それぞれ45.1kPa及び81.5kPaであり、操業安定性は良好となった。実施例3では、炉上部の圧力損失及び炉下部の圧力損失は、それぞれ42.3kPa及び83.5kPaであり、操業安定性は良好となった。実施例4では、炉上部の圧力損失及び炉下部の圧力損失は、それぞれ40.2kPa及び85.7kPaであり、操業安定性は良好となった。実施例5では、炉上部の圧力損失及び炉下部の圧力損失は、それぞれ38.5kPa及び88.8kPaであり、操業安定性は良好となった。実施例6では、炉上部の圧力損失及び炉下部の圧力損失は、それぞれ36.5kPa及び91.5kPaであり、操業安定性は良好となった。実施例1~実施例6では、低いRDIの焼結鉱を使用することで、炉上部における焼結鉱の還元粉化が高炉の安定操業が可能な程度に抑制されつつ、補助還元材由来の水素ガスによって鉄源の還元が促進されて融着帯の領域が狭くなったために、良好な操業安定性となったと考えられる。
比較例4では、炉上部の圧力損失は35.2kPaであったが、炉下部では圧力損失値が変動し、操業安定性は不良となった。比較例5では、炉上部の圧力損失は34.0kPaであったが、炉下部では圧力損失値が変動し、操業安定性は不良となった。比較例4及び比較例5では、焼結鉱の還元粉化が抑制されたため、炉上部の圧力損失は低減されたと考えられる。一方で、比較例4及び比較例5で用いた焼結鉱のRDIはそれぞれ22%及び20%であり、実施例6で用いた焼結鉱のRDIより小さなRDIを有する焼結鉱を用いた。これにより、比較例4および比較例5では、RDIの減少に伴い焼結鉱のRIは小さくなったため、水素ガスによる焼結鉱の還元が抑制され、炉下部の圧力損失が増大し、操業不安定となったと考えられる。
実施例7では、炉上部の圧力損失及び炉下部の圧力損失は、それぞれ34.9kPa及び89.4kPaであり、操業安定性は良好となった。実施例7では、RDIが24%の焼結鉱を使用することで、炉上部における焼結鉱の還元粉化が高炉の安定操業が可能な程度に抑制されつつ、補助還元材由来の水素ガスによって鉄源の還元が促進されて融着帯の領域が狭くなったために、良好な操業安定性となったと考えられる。
図2に、操業試験で得られた焼結鉱のRDIと、炉上部の圧力損失及び炉下部の圧力損失との関係を示す。図2は、実施例1~実施例6及び比較例1~比較例4における、炉上部の圧力損失及び炉下部の圧力損失をプロットしたものである。
図2に示したように、焼結鉱のRDIが減少するにしたがって、炉下部の圧力損失は増大し、RDIが24%未満では、炉況不調となった。また、焼結鉱のRDIが増加するにしたがって、炉上部の圧力損失は増大し、焼結鉱のRDIが34%より大きい場合は、炉況不調となった。焼結鉱のRDIが24%以上34%以下の範囲で、安定して高炉を操業することが可能であることが分かった。
以上説明したように、本発明によれば、低コークス比の操業条件において、より安定して継続した高炉の操業が可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 高炉
10 炉体
11 羽口
12 送風本管
13 送風管
14 微粉炭吹き込みランス
15 補助還元材吹き込みランス
16 出銑口
17 出滓口
18 旋回シュート
20 塊状帯
30 融着帯
40 滴下帯
50 コークススリット
101 溜まり部
201 鉱石層
202 コークス層

Claims (3)

  1. 焼結鉱を少なくとも含む鉄源とコークスとを装入し、気体還元材または液体還元材の少なくともいずれかを含む補助還元材と微粉炭とを吹き込むことで銑鉄を製造する高炉の操業方法であって、
    前記焼結鉱の還元粉化指数は、24%以上34%以下であり、
    前記微粉炭の使用量は、150kg/tp以上220kg/tp以下であり、
    前記補助還元材の使用量は、10kg/tp以上50kg/tp以下であり、
    前記焼結鉱の装入量は、前記鉄源の質量に対して、70質量%以上である、高炉の操業方法。
  2. 前記コークスの使用量は、300kg/tp以下である、請求項1に記載の高炉の操業方法。
  3. 焼結鉱を少なくとも含む鉄源とコークスとを高炉に装入し、気体還元材または液体還元材の少なくともいずれかを含む補助還元材と微粉炭とを前記高炉に吹き込むことで、前記鉄源を還元して銑鉄を得る銑鉄の製造方法であって、
    前記焼結鉱の還元粉化指数は、24%以上34%以下であり、
    前記微粉炭の使用量は、150kg/tp以上220kg/tp以下であり、
    前記補助還元材の使用量は、10kg/tp以上50kg/tp以下であり、
    前記焼結鉱の装入量は、前記鉄源の質量に対して、70質量%以上である、銑鉄の製造方法。
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