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JP7348745B2 - 複合体の製造方法 - Google Patents
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JP7348745B2 - 複合体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複合体の製造方法に関する。より詳しくは、電子通信機器に備え付けられたり、電池周辺に配置されたりする放熱材を得るために好適に用いることができる複合体の製造方法、複合体、樹脂組成物、及び、放熱材に関する。
近年、電子通信機器が広く用いられており、また、小型携帯機器から自動車等大型用途まで多くの産業において、電池の重要性が急速に高まっている。ここで、電子通信機器や電池の使用時に発生する熱を充分に放熱することが必要であり、高い熱伝導率と充分な電気絶縁性を有する放熱材が研究・開発されている。このような放熱材としては、従来、電気絶縁性の樹脂材料に熱伝導性フィラーが混合されたものが用いられているが、熱伝導性フィラーとして、高い熱伝導率と充分な電気絶縁性とを両立した好適なものは未だ見出されていなかった。
このような熱伝導性フィラーとして、高い熱伝導率と充分な電気絶縁性とを有する窒化ホウ素を用いることが期待されている。しかし、窒化ホウ素は官能基をほとんど有さないため、樹脂との親和性が低く、樹脂への分散性が充分ではない。そのため、窒化ホウ素を樹脂中に混合しても、窒化ホウ素が有する熱伝導率と電気絶縁性とを充分に発揮できない問題がある。そこで、窒化ホウ素表面の改質等により、樹脂への分散性を高めるための方法が検討されている。
例えば、カーボン修飾窒化ホウ素であって、窒化ホウ素粒子表面にシート状カーボン層を有する、カーボン修飾窒化ホウ素が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2019-001701号公報
しかしながら、上述した特許文献1に記載のカーボン修飾窒化ホウ素は、特に原料の窒化ホウ素の種類によって、充分なカーボン修飾(カーボンとの複合化)がなされない場合があった。充分なカーボン修飾を可能とし、窒化ホウ素の樹脂中への分散性を優れたものとすることが望まれるところであった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、高い熱伝導率と充分な電気絶縁性とを両立した材料を好適に得ることができる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、高い熱伝導率と充分な電気絶縁性とを両立した材料を好適に得ることができる方法について種々検討し、高い熱伝導率と充分な電気絶縁性とを有する窒化ホウ素に着目し、窒化ホウ素の樹脂親和性を改善する方法を種々検討した。そして、本発明者らは、窒化ホウ素と酸化黒鉛とを混合して複合体を製造する際に、混合後の上澄み液のpHが6.5以下となるように窒化ホウ素と酸化黒鉛とを分散媒中で混合すると、特許文献1に記載の方法では酸化グラフェンと複合化できなかったような窒化ホウ素を用いた場合であっても、混合後の上澄み液の酸化黒鉛由来の着色が実質的に無くなるほどに、酸化黒鉛と窒化ホウ素とを高度に複合化することができ、窒化ホウ素の酸化黒鉛による修飾(酸化黒鉛との複合化)を充分に行うことができることを見出し、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、窒化ホウ素と酸化黒鉛とを混合して複合体を製造する方法であって、該製造方法は、混合後の上澄み液のpHが6.5以下となるように窒化ホウ素と酸化黒鉛とを分散媒中で混合する工程を含むことを特徴とする複合体の製造方法である。
本発明の複合体の製造方法により、窒化ホウ素と酸化黒鉛とを複合化することができ、高い熱伝導率と充分な電気絶縁性とを両立した樹脂親和性の複合体を得ることができる。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において段落に分けて記載される個々の本発明の好ましい特徴を2つ以上組み合わせた形態も、本発明の好ましい形態である。
<複合体の製造方法>
本発明の複合体の製造方法により得られる複合体は、酸化黒鉛と窒化ホウ素とが複合化されたものである。
以下では、先ず、本発明の複合体の製造方法における、混合後の上澄み液のpHが6.5以下となるように窒化ホウ素と酸化黒鉛とを分散媒中で混合する工程について説明する。その後、酸化黒鉛を得るための酸化工程、酸化工程と混合工程との間に行ってもよいその他の工程について説明する。
(窒化ホウ素と酸化黒鉛を分散媒中で混合する混合工程)
本発明の製造方法は、混合後の上澄み液のpHが6.5以下となるように窒化ホウ素と酸化黒鉛とを分散媒中で混合する工程を含む。
混合後の上澄み液のpHは、6以下であることが好ましく、5.5以下であることがより好ましく、4.5以下であることが更に好ましく、3.5以下であることが特に好ましい。該pHは、その下限値は特に限定されないが、1以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましく、2.5以上であることが更に好ましい。
本明細書中、窒化ホウ素と酸化黒鉛との混合後の上澄み液は、混合工程終了後、分散液を1時間静置した後の上澄み液である。また、pHは、25℃で、pHメーター・AS800(アズワン社製)を用いて測定されるものである。
また混合後の上澄み液の吸光度は、0.5以下であることが好ましく、0.2以下であることがより好ましく、0.1以下であることが更に好ましく、0.05以下であることが特に好ましい。このように混合後の上澄み液の吸光度が低いものであれば、酸化グラフェンが上澄み液中に実質的に残存しておらず、酸化グラフェンが窒化ホウ素の表面に吸着されていると言える。吸光度の下限値は、特に限定されないが、通常は0.001以上である。
吸光度は、混合工程終了後、分散液を1時間静置した後の上澄み液を用いて、実施例の方法により測定されるものである。
上記分散媒は、水系溶媒であることが好ましい。水系分散液は、水を含有していれば良く、その他に水と混和する有機分散媒を更に含有していてもよいが、有機分散媒を含有しないことが好ましい。
上記混合工程では、窒化ホウ素と酸化黒鉛とを分散媒中で混合する。なお、分散媒は、混合前の窒化ホウ素及び/又は酸化黒鉛の分散媒であってもよく、窒化ホウ素及び酸化黒鉛とは別に単独で混合したものであってもよく、これらの両方であってもよい。
また上記混合工程では、窒化ホウ素が入った容器に酸化黒鉛を添加してもよく、酸化黒鉛が入った容器に窒化ホウ素を添加してもよく、容器に対して窒化ホウ素及び酸化黒鉛を同時に添加してもよい。
酸化黒鉛、窒化ホウ素は、それぞれ、一括で添加してもよく、複数回に分けて添加してもよく、また連続的に添加してもよい。
また本明細書中、混合方法は、特に限定されず、公知の方法で適宜行うことが可能であるが、例えば、撹拌、振とうや超音波処理を行ったり、公知の分散機を用いたりして固形分を均一に分散させることが好ましい。
上記混合工程では、混合後の上澄み液のpHを調整するために、例えば酸を更に混合しても良い。酸としては、特に限定されず、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等の鉱酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、クエン酸等の有機酸等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。中でも、硫酸が好ましい。
酸は、そのまま添加しても構わないし、pH調整を容易にする等の目的で、適宜水系溶媒で希釈してから添加しても構わない。
酸は、pHを上述した好適な範囲内に調整することを目的として、適宜混合することができるが、分散液中、酸濃度が20~1000ppmであることが好ましく、50~500ppmであることがより好ましく、70~250ppmであることが更に好ましい。
上記混合工程において、酸を更に混合する場合、その混合順序は特に限定されないが、例えば窒化ホウ素の分散液に酸を添加しておき、その後、酸化黒鉛又はその水分散液を添加することが好ましい。
上記混合工程の時間は、特に限定されないが、例えば0.5分以上、300分以下混合することが好ましい。
上記混合工程における分散媒の温度は、分散媒が液体である限り特に限定されず、例えば10℃以上、80℃以下とすることができる。
上記混合工程における圧力条件は、加圧下であってもよく、常圧下であってもよく、減圧下であってもよい。
上記混合工程の後、ろ過、デカンテーション、遠心分離、分液抽出、水洗等の方法により複合体を精製する工程を行うことができる。これらの方法の中でも、好ましくはろ過、分液抽出であり、より好ましくはろ過である。
精製工程の後、複合体の乾燥工程を行ってもよいし、行わなくてもよいが、乾燥工程を行うことが好ましい。また、必要に応じて、複合体に対して粉砕工程・分級工程等を行ってもよい。
また混合工程又はそれ以降の工程と同時又はその前後に、複合体の熱処理を行うことも本発明の好ましい実施形態の一つである。熱処理を行うと複合体表面の酸化グラフェンを部分的に還元して還元型酸化グラフェンを得ることができる。
熱処理温度は、80℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましく、120℃以上であることが更に好ましい。また、熱処理温度は、500℃以下であることが好ましく、400℃以下であることがより好ましく、300℃以下であることが更に好ましい。
熱処理時間は、特に制限はないが、0.5~600分であることが好ましく、1~400分であることがより好ましく、5~300分であることが更に好ましい。
上記混合工程に用いる窒化ホウ素としては、六方晶、立方晶等のいずれの結晶構造のものも用いることができ、中でも、六方晶の窒化ホウ素が好ましい。また、窒化ホウ素の平均粒子径は、特に限定されないが、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは2μm以上であり、更に好ましくは3μm以上であり、一層好ましくは5μm以上であり、より一層好ましくは15μm以上であり、特に好ましくは20μm以上である。該平均粒子径は、好ましくは200μm以下であり、より好ましくは150μm以下であり、更に好ましくは100μm以下であり、特に好ましくは50μm以下である。
上記平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置により測定した体積基準の平均粒子径である。
上記混合工程に用いる窒化ホウ素は、超純水に分散させて10質量%水分散液としたときの上澄み液のpHが9以上であることが好ましい。該上澄み液のpHは、9.2以上であることがより好ましい。また、該上澄み液のpHは、12以下であることが好ましく、11以下であることがより好ましく、10以下であることが更に好ましい。
本明細書中、超純水に分散させて10質量%水分散液としたときの上澄み液は、10質量%水分散液となるように超純水に分散させた後、分散液を室温で24時間静置した後の上澄み液である。また、pHは、25℃で、pHメーター・AS800(アズワン製)を用いて測定されるものである。
なお、用いる超純水は比抵抗18MΩ・cm以上のものを言い、例えば18.2MΩ・cmのものを使用できる。
このような窒化ホウ素は、特許文献1に記載されるような従来技術では酸化黒鉛との複合化が困難であったところ、本発明の製造方法により、好適に、当該窒化ホウ素と酸化黒鉛とが複合化された複合体を得ることができる。
上記混合工程に用いる酸化黒鉛としては、グラフェン、黒鉛(グラファイト)等の黒鉛質の炭素材料を酸化することにより酸素が結合したもの(該炭素材料に酸素が結合したもの);黒鉛質の炭素材料を酸化した後、部分的に還元されたものであって、酸素が結合したもの(還元型酸化黒鉛);酸素が結合しているとともに種々の官能基を介して炭化水素鎖等の有機鎖及び/又は無機鎖が結合したもの(酸化黒鉛誘導体)が挙げられ、該酸素は黒鉛質の炭素材料に対しカルボキシル基、カルボニル基、水酸基、エポキシ基等の置換基として存在している。
上記酸化黒鉛は、グラフェンの炭素に酸素が結合した酸化グラフェンであることが好ましい。なお、酸化グラフェンには、グラフェンの炭素に酸素が結合したものであれば含まれ、グラフェンの炭素に酸素が結合したものを部分的に還元して得られる還元型酸化グラフェンや、炭素に酸素が結合しており、且つ各種の有機化合物や無機化合物等を用いて修飾された構造の酸化グラフェン誘導体も含まれる。該酸化グラフェン誘導体における修飾の形態は特に限定されず、例えば、酸化グラフェン表面の酸素を含有する官能基との反応により形成された結合(共有結合等)を介して有機鎖等が結合した形態、該官能基との水素結合により有機鎖等が結合している形態、酸化グラフェン表面の負電荷と静電的な結合により有機鎖等が結合している形態等が好ましい形態として挙げられる。また、末端に炭化水素基をもつ有機鎖が官能基を有するとともに、酸素が結合した酸化グラフェン誘導体もまた、本発明の好ましい一形態であり、例えば炭素に酸素が結合したグラフェンを、脂肪族又は芳香族のアルコール、アミン等を用いて修飾することにより得ることができる。
なお、一般的にグラフェンとは、sp結合で結合した炭素原子が、カーボンナノチューブ(CNT)のように筒形状を構成するように立体的に並ぶのではなく、平面的に並んだ1層からなるシートをいい、グラフェンシートが多数積層されたものはグラファイトといわれるが、本発明における酸化グラフェンには、炭素原子1層のみからなるシートだけではなく、2層~100層程度積層した構造を有するものも含まれる。該酸化グラフェンは、炭素原子1層のみからなるシートであるか、又は、2層~20層程度積層した構造を有するものであることが好ましい。
上記酸化黒鉛は、更に、硫黄含有基、窒素含有基等の官能基を有していてもよいが、全構成元素に対する炭素、水素、及び、酸素の構成元素としての含有率が95モル%以上であることが好ましく、96モル%以上であることがより好ましく、97モル%以上であることが更に好ましい。
上記酸化黒鉛は、炭素/酸素の原子数比(C/O比)が、40/60~90/10であることが好ましい。該C/O比は、45/55~85/15であることがより好ましく、50/50~80/20であることが更に好ましく、55/45~75/25であることが一層好ましく、60/40~70/30であることが特に好ましい。
上記C/O比は、実施例に記載の方法で測定されるものである。
上記混合工程に用いる酸化黒鉛は、1種のみであってもよく、上記平均粒子径、形状等のいずれかにおいて異なる2種以上のものを用いてもよい。
上記混合工程において窒化ホウ素と混合する酸化黒鉛の質量割合は、窒化ホウ素100質量%に対して、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることが更に好ましい。また、該質量割合は、窒化ホウ素100質量%に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下であることが更に好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
なお、上記分散媒は、例えば、酸化工程で得られた酸化黒鉛が分散してなる水系分散液であってもよい。該水系分散媒は、酸化工程直後の反応組成物であってもよく、その後の酸化黒鉛の精製工程で反応組成物から硫酸を除去したり、酸化反応停止(クエンチ)工程で反応組成物に水及び/又は過酸化水素水を添加したりした液であってもよいが、例えば精製工程で反応組成物から硫酸を除去し、硫酸濃度を1質量%以下に減少させた液であることが好ましい。
上記混合工程において用いる分散媒の量は、例えば、窒化ホウ素100質量部に対して、100質量部以上であることが好ましく、300質量部以上であることがより好ましく、500質量部以上であることが更に好ましい。また、該分散媒の量は、窒化ホウ素100質量部に対して、2000質量部以下であることが好ましく、1500質量部以下であることがより好ましく、1200質量部以下であることが更に好ましい。
(酸化黒鉛を得るための酸化工程)
本発明の製造方法は、更に、黒鉛を酸化する工程を含んでいても構わない。上記黒鉛を酸化する工程は、黒鉛が酸化されることになる限り、その方法は特に制限されず、Hummers法、Brodie法、Staudenmaier法等のいずれの方法における黒鉛の酸化方法を用いてもよく、Hummers法における酸化方法を採用した、黒鉛と硫酸とを含む混合液に過マンガン酸塩を添加する工程であってもよい。
上述した黒鉛を酸化する方法では、上記酸化工程は、通常、酸を用いて黒鉛を酸化する。
なお、本発明の製造方法は、混合工程に供される酸化黒鉛の水系分散液中に、酸化工程で用いた酸が残留した結果、混合工程において混合後の上澄み液のpHが6.5以下となるものであってもよい。
中でも、上記酸化工程が、黒鉛と硫酸とを含む混合液に過マンガン酸塩を添加する工程であることは、本発明の好適な実施形態の1つである。
また上記酸化工程において、硫酸の使用量は、黒鉛に対する硫酸の質量比(硫酸/黒鉛)が25~60となる量であることが好ましい。該質量比が25以上であることにより、酸化反応中に反応組成物(混合液)の高粘度化を充分に防止して酸化黒鉛を効率的に製造することができる。また、該質量比が60以下であることにより、廃液量を充分に少なくすることができる。
上記酸化工程に用いる黒鉛は、平均粒子径が3μm以上、80μm以下であることが好ましい。このような平均粒子径のものを用いることで、酸化反応をより効率的に進めることができる。黒鉛の平均粒子径は、より好ましくは3.2μm以上、70μm以下である。
上記平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置により測定した体積基準の平均粒子径を採用することが好ましい。
上記酸化工程に用いる黒鉛の形状は特に制限されず、微粉状、粉状、粒状、顆粒状、鱗片状、多面体状、ロッド状、曲面含有状等が挙げられる。
上記黒鉛と硫酸とを含む混合液中における黒鉛の含有量は、混合液100質量%に対して0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、1.5質量%以上であることが更に好ましく、2質量%以上であることが特に好ましい。該黒鉛の含有量は、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、7質量%以下であることが更に好ましく、6質量%以下であることが特に好ましい。
本発明の製造方法における酸化工程に用いる黒鉛は、1種のみであってもよく、上記平均粒子径、形状等のいずれかにおいて異なる2種以上のものを用いてもよい。
上記酸化工程が黒鉛と硫酸とを含む混合液に過マンガン酸塩を添加する工程である場合、上記酸化工程で添加する過マンガン酸塩としては、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸アンモニウム、過マンガン酸銀、過マンガン酸亜鉛、過マンガン酸マグネシウム、過マンガン酸カルシウム、過マンガン酸バリウム等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できるが、中でも過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウムが好ましく、過マンガン酸カリウムがより好ましい。
上記酸化工程が黒鉛と硫酸とを含む混合液に過マンガン酸塩を添加する工程である場合、上記酸化工程における上記過マンガン酸塩の全添加量は、上記混合液中の黒鉛量100質量部に対し、50~500質量部であることが好ましい。これにより、酸化黒鉛を安全かつ効率的に製造することができる。なお、酸化剤の全添加量を変化させることで、酸化黒鉛に導入される酸素原子の量を調節することができる。
上記酸化工程が黒鉛と硫酸とを含む混合液に過マンガン酸塩を添加する工程である場合、上記酸化工程では、過マンガン酸塩を一括で添加してもよく、複数回に分けて添加してもよく、また連続的に添加しても良いが、複数回に分けて添加するか連続的に添加することが好ましい。これにより、酸化反応が急激に進行することを抑えて反応の制御をよりしやすくすることができる。
上記過マンガン酸塩を複数回に分けて添加する場合、1回当たりの添加量は、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
上記酸化工程が黒鉛と硫酸とを含む混合液に過マンガン酸塩を添加する工程である場合、上記酸化工程では、上記混合液の温度を10~50℃の範囲内に維持しながら過マンガン酸塩を添加することが好ましい。このような温度範囲に維持することで、酸化反応を制御しながら充分に進行させることができる。
また上記酸化工程が黒鉛と硫酸とを含む混合液に過マンガン酸塩を添加する工程である場合、上記酸化工程は、上記混合液の温度変化を30℃以下に維持しながら過マンガン酸塩を添加する工程であることが好ましい。これにより、より安定的に酸化工程を行うことができる。
上記酸化工程が黒鉛と硫酸とを含む混合液に過マンガン酸塩を添加する工程である場合、上記酸化工程では、安定的に酸化工程を行う観点から、過マンガン酸塩を10分~10時間の間にわたって添加することが好ましい。
上記酸化工程は、公知の撹拌機等を用いて撹拌しながら行うことが好ましい。
上記酸化工程は、例えば空気中、又は、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中で行うことができる。また、上記酸化工程は、その圧力条件は特に限定されず、加圧条件下、常圧条件下、減圧条件下のいずれであってもよいが、例えば常圧条件下で行うことが好ましい。
上記酸化工程は、連続的に行ってもよいし、断続的に行ってもよい。
上記混合液は、黒鉛、硫酸、及び、必要に応じてその他の成分を混合して得ることができる。上記混合は、公知の方法で適宜行うことが可能であるが、例えば、超音波処理を行ったり、公知の分散機を用いたりして黒鉛を均一に分散させることが好ましい。
(酸化工程と混合工程との間に行ってもよいその他の工程)
本発明の炭素材料複合体の製造方法は、上述した黒鉛を酸化する工程と、上記混合工程との間に、熟成工程、酸化反応停止工程、精製工程、剥離工程等のその他の工程を含んでいてもよい。上述したように、例えば、精製工程で反応組成物から硫酸を除去し、硫酸濃度を1質量%以下に減少させた液を混合工程で水系分散液として用いることが好ましい。
上記熟成工程において、酸化工程で得られた反応組成物を熟成させる温度及び時間は適宜選択すればよいが、反応組成物を0~90℃の温度に維持することが好ましい。
また熟成させる時間は、0.1~24時間であることが好ましい。
上記酸化反応停止工程は、空気中で行ってもよく、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中で行ってもよい。また真空中で行っても良い。
上記酸化反応停止工程は、例えば、反応組成物の温度を5~15℃に設定し、反応組成物に水を添加し、次いで還元剤として過酸化水素水を添加したり、過酸化水素水のみを添加したりして行うことができる。また、反応組成物を、5~25℃に設定した、水又は過酸化水素水に添加して行ってもよい。
上記酸化反応停止工程の時間は、例えば0.01~5時間とすることができる。
上記精製工程により反応組成物から酸や水を適度に除去することで、酸や水の量を好適な範囲内に調節することができる。この工程は、遠心分離、静置沈降、ろ過等による固液分離工程と、得られた固形物に水、希塩酸等を加え再分散する工程、減圧濃縮等の濃縮工程を含んでもよい。また、これらの工程は1回のみで完了してもよいし、所望の精製度になるまで繰り返してもよい。処理液中の硫酸濃度が1質量%以下になるまで繰り返すことが好ましい。
また得られた酸化黒鉛を、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ディスパー、ラインミキサーやビーズミルを用いて機械的せん断力をかけるか、超音波を照射して、剥離させることが好ましい。
<複合体>
本発明は、超純水に分散させて10質量%水分散液としたときの上澄み液のpHが9以上の窒化ホウ素と、酸化黒鉛とを含んで構成されることを特徴とする複合体でもある。
本発明の製造方法により、超純水に分散させて10質量%水分散液としたときの上澄み液のpHが9以上の窒化ホウ素を用いた場合であっても、該窒化ホウ素と酸化黒鉛との複合体を得ることができる。
本発明の複合体は、ラマン分光計でマッピング測定した場合に、任意の測定点25点のうち少なくとも20点に酸化グラフェンに由来する1600cm-1付近の吸収がみられることが好ましい。このような本発明の複合体は、窒化ホウ素が酸化グラフェンにより充分に被覆されたものである。任意の測定点25点のうち、少なくとも23点に酸化グラフェンに由来する1600cm-1付近の吸収がみられることがより好ましく、少なくとも24点に酸化グラフェンに由来する1600cm-1付近の吸収がみられることが更に好ましく、すべての点に酸化グラフェンに由来する1600cm-1付近の吸収がみられることが特に好ましい。
本発明の複合体の平均粒子径は、特に限定されないが、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは10μm以上であり、更に好ましくは15μm以上である。該平均粒子径が5μm未満であると、本発明の複合体を含む樹脂組成物としたときに、粒界が多くなるため熱伝導性が低下するおそれがある。また、該平均粒子径は、通常は200μm以下であり、好ましくは150μm以下である。該平均粒子径が200μmを超えると、本発明の複合体を含む樹脂組成物の作製時に複合体の沈降が発生しやすくなるおそれがある。
上記平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置により測定した体積基準の平均粒子径である。
なお、平均粒子径が上述のような範囲の粒子は、例えば、粒子を粉砕機等により粉砕する方法や、粒子をふるい等にかけて粒子径を選別する方法、これら方法の組み合わせのほか、粒子を製造する段階で調製条件を最適化し、所望の粒子径の粒子を得る方法等により製造することが可能である。
本発明の複合体は、上記窒化ホウ素と、酸化黒鉛とを含んで構成される。酸化黒鉛の質量割合は、上記窒化ホウ素100質量%に対して、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることが更に好ましい。また、該質量割合は、窒化ホウ素100質量%に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下であることが更に好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
本発明の複合体は、上記窒化ホウ素と、酸化黒鉛以外のその他の成分を含んでいてもよいが、本発明の複合体100質量%中、その他の成分の含有割合が5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。本発明の複合体が、上記その他の成分を実質的に含まないことが更に好ましい。
<樹脂組成物>
本発明は、本発明の複合体、及び、樹脂を含むことを特徴とする樹脂組成物でもある。
上記樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
本発明の複合体の量は、樹脂組成物中、1~80質量%であることが好ましく、5~70質量%であることがより好ましく、10~60質量%であることが更に好ましい。
また上記樹脂の量は、樹脂組成物中、20~99質量%であることが好ましく、30~95質量%であることがより好ましく、40~90質量%であることが更に好ましい。
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて更に硬化剤、架橋剤、重合開始剤、充填材、顔料等のその他の成分を含んでいてもよい。
本発明の複合体、及び、必要に応じてその他の成分を、上記樹脂中に、従来公知の方法で分散させることで、本発明の樹脂組成物を得ることができる。
なお、本発明の複合体は、酸化黒鉛が複合化していて、樹脂親和性に優れるため、樹脂中で好適に分散されるものである。
なお、本発明は、窒化ホウ素と酸化黒鉛との複合体、及び、樹脂を含む樹脂組成物を製造する方法であって、該製造方法は、混合後の上澄み液のpHが6.5以下となるように窒化ホウ素と酸化黒鉛とを分散媒中で混合する工程、及び、該混合工程で得られた複合体を樹脂中に分散させる工程を含む樹脂組成物の製造方法でもある。
<放熱材>
本発明は、本発明の樹脂組成物を用いて得られることを特徴とする放熱材でもある。
本発明の樹脂組成物を、塗布・乾燥したり、成形したりすることで、本発明の放熱材を得ることができる。乾燥・成形時に、必要に応じて加熱してもよい。
本発明の放熱材は、本発明の複合体が樹脂中に充分に分散されたものであり、優れた熱伝導率と充分な電気絶縁性とを充分に発揮できる。
本発明の放熱材は、特に、電子通信機器に備え付けられたり、電池周辺に配置されたりすることが好ましい。
なお、上記電池としては、例えば、リチウムイオン二次電池、固体高分子型燃料電池、金属-空気電池等であって、電気自動車に用いられるもの等が挙げられる。
なお、本発明は、放熱材を製造する方法であって、該製造方法は、混合後の上澄み液のpHが6.5以下となるように窒化ホウ素と酸化黒鉛とを分散媒中で混合する工程、該混合工程で得られた複合体を樹脂中に分散させる工程、及び、該混合工程で得られた樹脂組成物を用いて放熱材を得る工程を含む樹脂組成物の製造方法でもある。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
<合成例1>
(酸化グラフェン分散液の作製)
鱗片状黒鉛粉末Z-25(伊藤黒鉛工業株式会社製)10gを濃硫酸(富士フイルム和光純薬株式会社製)400gに分散させ、過マンガン酸カリウム(富士フイルム和光純薬株式会社製)35gを加えて30℃で8時間撹拌して反応させた。反応終了後、撹拌したイオン交換水2000gに反応液をゆっくりと注ぎ、次いで、30%過酸化水素水10gを投入した。上記混合液を遠心沈降させ、上澄み液を除去し、代わりにイオン交換水を添加して再分散させた。遠心分離、上澄み液除去、イオン交換水添加工程を4回繰り返して、精製済み酸化黒鉛水分散液を得た。
精製済み酸化黒鉛水分散液を、シャフトジェネレーターK-30(アズワン製)を装着したホモジナイザーHG-200(アズワン製)を用いて10000rpmで30分間撹拌して粒子を剥離させ、酸化グラフェン水分散液を得た。酸化グラフェン水分散液1gをアルミ皿に採取し、105℃送風オーブンで1時間加熱した際の蒸発残分は1.2質量%であった。酸化グラフェン水分散液を超純水(比抵抗18.2MΩ・cm、以下同様)で0.1質量%に希釈し、25℃で測定したpHは2.7であった。酸化グラフェン水分散液を超純水で100倍に希釈して、マイカ基板に塗布、乾燥して原子間力顕微鏡(AFM)で観察したところ、シートの最も長い部分の長さが2.5~15μm、厚さが1~2nmの分布を持つ像が確認できた。酸化グラフェン水分散液を50℃真空下48時間乾燥して得たサンプルをX線光電子分光計(XPS)で分析したところ、炭素/酸素は原子数比(C/O比)で64/36であった。X線回折(XRD)測定では、層間距離9.4Åに相当する2θ=9.4°の位置に強いピークが現れ、黒鉛構造(層間距離3.3~3.4Å)に帰属される2θ=27°付近にはピークは見られなかった。
<実施例1>
(酸化グラフェン被覆窒化ホウ素の作製)
六方晶窒化ホウ素粉末HS(平均粒子径:20μm、丹東市化工研究所有限責任公司 Dandong Chemical Engineering Institute Co., Ltd 製)20gと超純水180gを十分混合して分散させた。この混合物を24時間静置したときの上澄みのpHは9.5(測定温度25℃、以下同様)であった。これに超純水で濃硫酸を100倍希釈して作製した1%硫酸を3.50g添加して撹拌した。次いで、撹拌を継続したまま、合成例1で作製した1.2質量%酸化グラフェン水分散液を3.33g(酸化グラフェンとして0.040g)添加した。さらに10分間撹拌を継続した。その後撹拌を停止して1時間静置した。この時の上澄みのpHは3.0であった。
目視で確認したところ、上澄み液は無色透明であった。酸化グラフェン水分散液は濃厚なものは黒、希薄なものでも茶色の着色があることから、酸化グラフェンは上澄み液には実質的に含まれておらず、ほとんどすべてが窒化ホウ素に吸着して沈降したことが分かる。また、1時間静置したときの上澄みを光路長10mmの石英角型セルに入れて紫外可視分光光度計(UV-VIS)で測定したところ波長400nmの吸光度は0.018と低かった。
反応混合液をろ過面積9.62cmのポリテトラフルオロエチレン製ろ紙PF-050(アドバンテック社製)を用いて吸引ろ過したところ、1分以内に液の全量が通過した。酸化グラフェンはアスペクト比が大きいため、少量でも液中に残存するとろ過速度が遅くなることが知られており、この結果は反応系にフリーの酸化グラフェンがほとんど存在しないことを意味する。ろ紙上に残った含水固形物量は29.7gであった。含水固形物を50℃真空下で48時間乾燥させたところ19.9gのクリーム色の粉体を得た。粉体中には少量の凝集塊が含まれるが、ポリエチレン製のへらで軽くおさえることにより解砕できた。解砕物は目開き106μmのふるいにかけると99%以上がふるいを通過した。ふるいを通過した粉体をラマン分光計でマッピング測定したところ、測定点25点のすべてに酸化グラフェンに由来する1600cm-1の吸収がみられ、窒化ホウ素表面全体を酸化グラフェンが被覆していることが確認できた。ふるいを通過した複合体の平均粒子径は21μmであった。
<実施例2>
1%硫酸量を1.31gにした以外は実施例1と同様にして酸化グラフェン被覆窒化ホウ素粉体を作製した。酸化グラフェンを添加して撹拌し、撹拌停止の1時間後に測定した上澄みのpHは5.3であった。上澄み液は無色透明であり、UV-VISで測定した波長400nmの吸光度は0.048と低かった。ろ過では、1分以内に液の全量が通過し、ろ紙上に残った含水固形物量は29.6gであった。乾燥後19.8gのクリーム色粉体が得られた。粉体中には少量の凝集塊が含まれるが、ポリエチレン製のへらで軽くおさえることにより解砕できた。解砕物は目開き106μmのふるいにかけると99%以上がふるいを通過した。ふるいを通過した粉体をラマン分光計でマッピング測定したところ、測定点25点のすべてに酸化グラフェンに由来する1600cm-1の吸収がみられ、窒化ホウ素表面全体を酸化グラフェンが被覆していることが確認できた。ふるいを通過した複合体の平均粒子径は20μmであった。
<比較例1>
1%硫酸量を0.47gにした以外は実施例1と同様にして酸化グラフェン被覆窒化ホウ素粉体を作製した。酸化グラフェンを添加して撹拌し、撹拌停止の1時間後に測定した上澄みのpHは7.9であった。上澄み液は茶色く着色しており、UV-VISで測定した波長400nmの吸光度は0.665と高かった。ろ過では、液の全量が通過するまで5分を要した。これらはいずれも上澄み液中にフリーの酸化グラフェンが残存することを意味し、すなわち窒化ホウ素への吸着が不十分であることを示す。ろ過後ろ紙上に残った含水固形物量は29.6gであった。乾燥後19.9gのクリーム色粉体が得られた。粉体中には少量の凝集塊が含まれるが、ポリエチレン製のへらで軽くおさえることにより解砕できた。解砕物は目開き106μmのふるいにかけると99%以上がふるいを通過した。ふるいを通過した粉体をラマン分光計でマッピング測定したところ、測定点25点のうち15点のみに酸化グラフェンに由来する1600cm-1の吸収がみられ、窒化ホウ素表面のうち一部が酸化グラフェンで被覆されていないことが確認できた。ふるいを通過した複合体の平均粒子径は21μmであった。
<比較例2>
1%硫酸を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして酸化グラフェン被覆窒化ホウ素粉体を作製した。酸化グラフェンを添加して撹拌し、撹拌停止の1時間後に測定した上澄みのpHは8.9であった。上澄み液は濃い茶色に着色しており、UV-VISで測定した波長400nmの吸光度は2.038と高かった。ろ過では、液の全量が通過するまで10分を要した。これらはいずれも上澄み液中にフリーの酸化グラフェンが残存することを意味し、すなわち窒化ホウ素への吸着が不十分であることを示す。ろ過後ろ紙上に残った含水固形物量は29.1gであった。乾燥後19.8gのクリーム色粉体が得られた。粉体中には少量の凝集塊が含まれるが、ポリエチレン製のへらで軽くおさえることにより解砕できた。解砕物は目開き106μmのふるいにかけると99%以上がふるいを通過した。ふるいを通過した粉体をラマン分光計でマッピング測定したところ、測定点25点のうち8点のみに酸化グラフェンに由来する1600cm-1の吸収がみられ、窒化ホウ素表面のうち大部分が酸化グラフェンで被覆されていないことが確認できた。ふるいを通過した複合体の平均粒子径は20μmであった。
<実施例3>
六方晶窒化ホウ素粉末HSL(平均粒子径:35μm、丹東市化工研究所有限責任公司 Dandong Chemical Engineering Institute Co., Ltd 製)20gと超純水180gを十分混合して分散させた。この混合物を24時間静置したときの上澄みのpHは9.6であった。これに超純水で濃硫酸を100倍希釈して作製した1%硫酸を3.55g添加して撹拌した。次いで、撹拌を継続したまま、合成例1で作製した1.2質量%酸化グラフェン水分散液を3.33g(酸化グラフェンとして0.040g)添加した。さらに10分間撹拌を継続した。その後撹拌を停止して1時間静置した。この時の上澄みのpHは2.9であった。
目視で確認したところ、上澄み液は無色透明であった。酸化グラフェン水分散液は濃厚なものは黒、希薄なものでも茶色の着色があることから、酸化グラフェンは上澄み液には実質的に含まれておらず、ほとんどすべてが窒化ホウ素に吸着して沈降したことが分かる。また、1時間静置したときの上澄みを光路長10mmの石英角型セルに入れて紫外可視分光光度計(UV-VIS)で測定したところ波長400nmの吸光度は0.037と低かった。
反応混合液をろ過面積9.62cmのポリテトラフルオロエチレン製ろ紙PF-050(アドバンテック社製)を用いて吸引ろ過したところ、1分以内に液の全量が通過した。酸化グラフェンはアスペクト比が大きいため、少量でも液中に残存するとろ過速度が遅くなることが知られており、この結果は反応系にフリーの酸化グラフェンがほとんど存在しないことを意味する。ろ紙上に残った含水固形物量は30.5gであった。含水固形物を50℃真空下で48時間乾燥させたところ19.8gのクリーム色の粉体を得た。粉体中には少量の凝集塊が含まれるが、ポリエチレン製のへらで軽くおさえることにより解砕できた。解砕物は目開き125μmのふるいにかけると99%以上がふるいを通過した。ふるいを通過した粉体をラマン分光計でマッピング測定したところ、測定点25点のすべてに酸化グラフェンに由来する1600cm-1の吸収がみられ、窒化ホウ素表面全体を酸化グラフェンが被覆していることが確認できた。ふるいを通過した複合体の平均粒子径は36μmであった。
<実施例4>
1%硫酸量を1.44gにした以外は実施例3と同様にして酸化グラフェン被覆窒化ホウ素粉体を作製した。酸化グラフェンを添加して撹拌し、撹拌停止の1時間後に測定した上澄みのpHは3.4であった。上澄み液は無色透明であり、UV-VISで測定した波長400nmの吸光度は0.087と低かった。ろ過では、1分以内に液の全量が通過し、ろ紙上に残った含水固形物量は30.3gであった。乾燥後19.6gのクリーム色粉体が得られた。粉体中には少量の凝集塊が含まれるが、ポリエチレン製のへらで軽くおさえることにより解砕できた。解砕物は目開き125μmのふるいにかけると99%以上がふるいを通過した。ふるいを通過した粉体をラマン分光計でマッピング測定したところ、測定点25点のすべてに酸化グラフェンに由来する1600cm-1の吸収がみられ、窒化ホウ素表面全体を酸化グラフェンが被覆していることが確認できた。ふるいを通過した複合体の平均粒子径は36μmであった。
<実施例5>
1%硫酸量を0.47gにした以外は実施例3と同様にして酸化グラフェン被覆窒化ホウ素粉体を作製した。酸化グラフェンを添加して撹拌し、撹拌停止の1時間後に測定した上澄みのpHは4.8であった。上澄み液はほぼ無色透明であり、UV-VISで測定した波長400nmの吸光度は0.334と低かった。ろ過では、1分で液の全量が通過し、ろ紙上に残った含水固形物量は30.0gであった。乾燥後19.8gのクリーム色粉体が得られた。粉体中には少量の凝集塊が含まれるが、ポリエチレン製のへらで軽くおさえることにより解砕できた。解砕物は目開き125μmのふるいにかけると99%以上がふるいを通過した。ふるいを通過した粉体をラマン分光計でマッピング測定したところ、測定点25点のすべてに酸化グラフェンに由来する1600cm-1の吸収がみられ、窒化ホウ素表面全体を酸化グラフェンが被覆していることが確認できた。ふるいを通過した複合体の平均粒子径は35μmであった。
<比較例3>
1%硫酸を添加しなかったこと以外は実施例3と同様にして酸化グラフェン被覆窒化ホウ素粉体を作製した。酸化グラフェンを添加して撹拌し、撹拌停止の1時間後に測定した上澄みのpHは6.8であった。上澄み液は濃い茶色に着色しており、UV-VISで測定した波長400nmの吸光度は1.164と高かった。ろ過では、液の全量が通過するまで11分を要した。これらはいずれも上澄み液中にフリーの酸化グラフェンが残存することを意味し、すなわち窒化ホウ素への吸着が不十分であることを示す。ろ過後ろ紙上に残った含水固形物量は30.1gであった。乾燥後19.9gのクリーム色粉体が得られた。粉体中には少量の凝集塊が含まれるが、ポリエチレン製のへらで軽くおさえることにより解砕できた。解砕物は目開き125μmのふるいにかけると99%以上がふるいを通過した。ふるいを通過した粉体をラマン分光計でマッピング測定したところ、測定点25点のうち16点のみに酸化グラフェンに由来する1600cm-1の吸収がみられ、窒化ホウ素表面のうち一部が酸化グラフェンで被覆されていないことが確認できた。ふるいを通過した複合体の平均粒子径は35μmであった。
参考例1
六方晶窒化ホウ素粉末UHP-2(平均粒子径:11μm、昭和電工株式会社製)20gと超純水180gを十分混合して分散させた。この混合物を24時間静置したときの上澄みのpHは8.6であった。混合物を撹拌しつつ、合成例1で作製した1.2質量%酸化グラフェン水分散液を3.33g(酸化グラフェンとして0.040g)添加した。さらに10分間撹拌を継続した。その後撹拌を停止して1時間静置した。この時の上澄みのpHは4.5であった。
目視で確認したところ、上澄み液は無色透明であった。酸化グラフェン水分散液は濃厚なものは黒、希薄なものでも茶色の着色があることから、酸化グラフェンは上澄み液には実質的に含まれておらず、ほとんどすべてが窒化ホウ素に吸着して沈降したことが分かる。また、1時間静置したときの上澄みを光路長10mmの石英角型セルに入れて紫外可視分光光度計(UV-VIS)で測定したところ波長400nmの吸光度は0.018と低かった。
反応混合液をろ過面積9.62cmのポリテトラフルオロエチレン製ろ紙PF-050(アドバンテック社製)を用いて吸引ろ過したところ、1分以内に液の全量が通過した。酸化グラフェンはアスペクト比が大きいため、少量でも液中に残存するとろ過速度が遅くなることが知られており、この結果は反応系にフリーの酸化グラフェンがほとんど存在しないことを意味する。ろ紙上に残った含水固形物量は29.7gであった。含水固形物を50℃真空下で48時間乾燥させたところ19.9gのクリーム色の粉体を得た。粉体中には少量の凝集塊が含まれるが、ポリエチレン製のへらで軽くおさえることにより解砕できた。解砕物は目開き90μmのふるいにかけると99%以上がふるいを通過した。ふるいを通過した粉体をラマン分光計でマッピング測定したところ、測定点25点のすべてに酸化グラフェンに由来する1600cm-1の吸収がみられ、窒化ホウ素表面全体を酸化グラフェンが被覆していることが確認できた。ふるいを通過した複合体の平均粒子径は11μmであった。
参考例2
六方晶窒化ホウ素粉末Platelets-012(平均粒子径:11μm、3M社製)20gと超純水180gを十分混合して分散させた。この混合物を24時間静置したときの上澄みのpHは8.6であった。混合物を撹拌しつつ、合成例1で作製した1.2質量%酸化グラフェン水分散液を3.33g(酸化グラフェンとして0.040g)添加した。さらに10分間撹拌を継続した。その後撹拌を停止して1時間静置した。この時の上澄みのpHは4.0であった。
目視で確認したところ、上澄み液は無色透明であった。酸化グラフェン水分散液は濃厚なものは黒、希薄なものでも茶色の着色があることから、酸化グラフェンは上澄み液には実質的に含まれておらず、ほとんどすべてが窒化ホウ素に吸着して沈降したことが分かる。また、1時間静置したときの上澄みを光路長10mmの石英角型セルに入れて紫外可視分光光度計(UV-VIS)で測定したところ波長400nmの吸光度は0.030と低かった。
反応混合液をろ過面積9.62cmのポリテトラフルオロエチレン製ろ紙PF-050(アドバンテック社製)を用いて吸引ろ過したところ、1分以内に液の全量が通過した。酸化グラフェンはアスペクト比が大きいため、少量でも液中に残存するとろ過速度が遅くなることが知られており、この結果は反応系にフリーの酸化グラフェンがほとんど存在しないことを意味する。ろ紙上に残った含水固形物量は31.7gであった。含水固形物を50℃真空下で48時間乾燥させたところ19.6gのクリーム色の粉体を得た。粉体中には少量の凝集塊が含まれるが、ポリエチレン製のへらで軽くおさえることにより解砕できた。解砕物は目開き90μmのふるいにかけると99%以上がふるいを通過した。ふるいを通過した粉体をラマン分光計でマッピング測定したところ、測定点25点のすべてに酸化グラフェンに由来する1600cm-1の吸収がみられ、窒化ホウ素表面全体を酸化グラフェンが被覆していることが確認できた。ふるいを通過した複合体の平均粒子径は11μmであった。
参考例3
六方晶窒化ホウ素粉末XGP(平均粒子径:30μm、デンカ株式会社製)20gと超純水180gを十分混合して分散させた。この混合物を24時間静置したときの上澄みのpHは8.9であった。混合物を撹拌しつつ、合成例1で作製した1.2質量%酸化グラフェン水分散液を3.33g(酸化グラフェンとして0.040g)添加した。さらに10分間撹拌を継続した。その後撹拌を停止して1時間静置した。この時の上澄みのpHは4.5であった。
目視で確認したところ、上澄み液は無色透明であった。酸化グラフェン水分散液は濃厚なものは黒、希薄なものでも茶色の着色があることから、酸化グラフェンは上澄み液には実質的に含まれておらず、ほとんどすべてが窒化ホウ素に吸着して沈降したことが分かる。また、1時間静置したときの上澄みを光路長10mmの石英角型セルに入れて紫外可視分光光度計(UV-VIS)で測定したところ波長400nmの吸光度は0.042と低かった。
反応混合液をろ過面積9.62cmのポリテトラフルオロエチレン製ろ紙PF-050(アドバンテック社製)を用いて吸引ろ過したところ、1分以内に液の全量が通過した。酸化グラフェンはアスペクト比が大きいため、少量でも液中に残存するとろ過速度が遅くなることが知られており、この結果は反応系にフリーの酸化グラフェンがほとんど存在しないことを意味する。ろ紙上に残った含水固形物量は29.1gであった。含水固形物を50℃真空下で48時間乾燥させたところ19.9gのクリーム色の粉体を得た。粉体中には少量の凝集塊が含まれるが、ポリエチレン製のへらで軽くおさえることにより解砕できた。解砕物は目開き125μmのふるいにかけると99%以上がふるいを通過した。ふるいを通過した粉体をラマン分光計でマッピング測定したところ、測定点25点のすべてに酸化グラフェンに由来する1600cm-1の吸収がみられ、窒化ホウ素表面全体を酸化グラフェンが被覆していることが確認できた。ふるいを通過した複合体の平均粒子径は30μmであった。
<実施例9>
1.2質量%酸化グラフェン水分散液の添加量を8.33g(酸化グラフェンとして0.100g)にした以外は実施例1と同様にして、酸化グラフェン被覆窒化ホウ素粉体を作製した。酸化グラフェンを添加して撹拌し、撹拌停止の1時間後に測定した上澄みのpHは3.0であった。上澄み液は無色透明であり、UV-VISで測定した波長400nmの吸光度は0.025と低かった。ろ過では、1分以内に液の全量が通過し、ろ紙上に残った含水固形物量は30.6gであった。乾燥後19.7gのクリーム色粉体が得られた。粉体中には少量の凝集塊が含まれるが、ポリエチレン製のへらで軽くおさえることにより解砕できた。解砕物は目開き106μmのふるいにかけると99%以上がふるいを通過した。ふるいを通過した粉体をラマン分光計でマッピング測定したところ、測定点25点のすべてに酸化グラフェンに由来する1600cm-1の吸収がみられ、窒化ホウ素表面全体を酸化グラフェンが被覆していることが確認できた。ふるいを通過した複合体の平均粒子径は22μmであった。
上述した各実施例で得られた複合体は、窒化ホウ素表面全体を酸化グラフェンが被覆していることから、樹脂中への分散性に優れるものであり、複合体、及び、樹脂を含む樹脂組成物において、複合体が有する特性(例えば、熱伝導性)を充分に発揮できると考えられる。例えば、該樹脂組成物を、塗布・乾燥したり、成形したりすることで、高品質な放熱材を好適に得ることができると考えられる。

Claims (4)

  1. 窒化ホウ素と酸化黒鉛とを混合して複合体を製造する方法であって、
    該製造する方法は、超純水に分散させて10質量%水分散液としたときの上澄み液のpHが9以上の窒化ホウ素と、酸化黒鉛とを、混合後の上澄み液のpHが6.5以下となるように分散媒中で混合する工程を含むことを特徴とする複合体の製造方法。
  2. 超純水に分散させて10質量%水分散液としたときの上澄み液のpHが9以上の窒化ホウ素と、酸化黒鉛とを含んで構成される複合体であって、
    該複合体は、ラマン分光計でマッピング測定した場合に、任意の測定点25点のうち少なくとも20点に酸化グラフェンに由来する1600cm -1 付近の吸収がみられることを特徴とする複合体。
  3. 請求項2に記載の複合体、及び、樹脂を含むことを特徴とする樹脂組成物。
  4. 請求項3に記載の樹脂組成物を用いて得られることを特徴とする放熱材。
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