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JP7354882B2 - 押え金の取付構造 - Google Patents
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JP7354882B2 - 押え金の取付構造 - Google Patents

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Description

本発明は、押え棒に対して押え金が着脱可能に構成されたミシンにおける押え金の取付構造に関する。
一般的に、ミシンは、ミシン本体側に設けられた押え棒に対して、布等の被縫製物を押さえるための押え金が取り付けられる。その押え金は、普通縫いや刺しゅう縫い等の縫製加工の種類や、被縫製物の種類,厚み等に応じて適切な形状のものがあり、それら複数種類の押え金が、押え棒に対して交換可能な構成のミシンが存在する。従来は、それら押え棒と押え金とを、ねじ等を用いて共締めする構成が多く用いられていたが、交換作業に手間がかかるという問題があった。そこで、押え金の交換作業を容易化することを目的とした押え棒に対する押え金の取付構造が、下記特許文献に記載されている。
特許第4932102号公報 実開平3-103081号公報
上記特許文献1に記載の押え金の取付構造は、押え金を押え棒に対して引き上げるようにするだけで装着することができ、また、ボタンを押しながら押え金を引き下げることで取り外すことができるように構成されている。しかしながら、その取付構造は、各構成部品が複雑で特殊な形状のものとなっており、特に、押え金の取り付け部分が特殊な形状となっていることで、既存のミシンに対して適用することは難しい。また、押え金は、押え棒に対して、小さな爪が係合しているだけであるため、押え棒に対する押え金の取付が十分とは言い難い。また、上記特許文献2に記載の押え金の取付構造は、押え金に押え棒側に設けられた小さな爪が係合しているだけであるため、この取付構造も、押え棒に対する押え金の取付が十分とは言い難い。さらに言えば、上記特許文献1,2に記載の取付構造は、爪の係合に弾性材を用いているため、ミシンの作動による振動によって、その弾性力による係合が緩む虞がある。
本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、簡便な構成で容易に押え金の着脱をできるようにするとともに、押え金を押え棒に取り付けた状態において、押え金を確実に支持することが可能な押え金の取付構造を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明の押え金の取付構造は、
押え棒に対して押え金が着脱可能とされたミシンにおける押え金の取付構造であって、
前記押え棒と前記押え金との一方は、上下方向に延びる軸部と、該軸部の外周面から外側に向かって突出する凸部と、を有し、
前記押え棒と前記押え金との他方は、上下方向における前記一方側に開口する筒部と、該筒部における外周面に形成されて上下方向における前記一方側に開口するガイド溝と、前記筒部の外側に配されて第1状態と第2状態との間で動作可能に設けられた可動部材と、を有し、前記筒部に前記軸部を挿入させつつ、前記ガイド溝に前記凸部を挿入させることで、前記一方を抜き挿し可能とされており、
前記凸部が前記ガイド溝の最奥端に挿入された状態で前記可動部材が前記第1状態とされることで、前記可動部材が前記凸部を係止して前記凸部の前記ガイド溝内における移動を拘束し、前記押え金が前記押え棒に対して取り付けられ、
前記可動部材が前記第2状態とされることで、前記可動部材による前記凸部の係止が解除されて前記凸部の前記ガイド溝に沿った移動が許容され、前記押え金が前記押え棒に対して着脱可能とされることを特徴とする。
この構成の押え金の取付構造を採用したミシンは、押え金を押え棒に挿入して可動部材を第2状態から第1状態に動作させるだけで、押え金を押え棒に対して取り付けることができ、また、可動部材を第1状態から第2状態に動作させて押え金を引き抜くだけで、押え金を押え棒から取り外すことができる。つまり、この構成の押え金の取付構造は、押え金の押え棒に対する着脱を容易に行うことができる。また、この構成の取付構造は、押え金が押え棒に取り付けられた状態においては、凸部がガイド溝の最奥端の内周面と可動部材とによって、いずれの方向への移動も拘束されるため、押え金が押え棒から抜け落ちるような事態を回避することができ、押え金を押え棒に対して確実に支持させることができる。
この構成の取付構造において、軸部と筒部との形状は限定されず、断面円形状であっても、断面多角形状であってもよい。また、この構成の取付構造において、ガイド溝は、直線状のものに限定されない。例えば、軸部が円柱状に、筒部が円筒状に、それぞれ形成されて、軸線周りに相対回転可能な構成である場合には、ガイド溝は、湾曲する形状や屈折する形状とすることもできる。その場合には、相対回転させつつ押え金を抜き挿し可能な構成としたり、押え金を上下方向において直線的に挿し入れた後に相対回転させることで取り付け、相対回転させた後に上下方向において直線的に引く抜くことが可能な構成としたりすることもできる。
この構成の取付構造において、可動部材は、第1状態において、凸部をガイド溝の開口方向への移動を拘束する構成のものであり、例えば、第1状態において凸部の開口側に当接する構成のものを採用することができる。その可動部材は、第1位置(第1状態)と第2位置(第2状態)との間で直線的に移動可能に設けられていてもよく、第1回転位置(第1状態)と第2回転位置(第2状態)との間で回動可能に設けられていてもよい。また、筒部の外周面上において動作して、筒部の外周面より突出した凸部に当接可能な構成であってもよく、ガイド溝内に入り込んで凸部に当接可能な構成であってもよい。さらに、可動部材は、使用者によって動作させられるものに限定されない。例えば、可動部材は、付勢部材等によって第2状態から第1状態に向かうように付勢される構成とすることができ、そのような構成とすることで、凸部の移動を拘束した状態を維持することが可能な構成となる。
上記の構成において、前記軸部は、円柱形状とされるとともに、前記筒部は、円筒形状とされており、前記ガイド溝は、前記最奥端側が、前記筒部の外周面において周方向に延びる周方向溝部とされ、前記可動部材は、前記第1状態において前記凸部の周方向への移動を拘束する構成とすることができる。
この構成の取付構造は、周方向溝部の最奥に凸部が挿入されることで、凸部は上下方向の移動が拘束され、押え金は押え棒に対して軸線方向(上下方向)の移動が禁止される。つまり、押え棒から押え金が抜け落ちるような事態を回避することができる。また、可動部材は、凸部の周方向溝部内における移動を拘束するため、軸部と筒部との相対回転、つまり、押え金の押え棒に対する軸線周りの回転を拘束することができる。したがって、この構成の取付構造によれば、押え金を押え棒に対してより確実に支持させることができる。
また、上記の構成において、前記他方は、前記可動部材を前記第2状態から前記第1状態に向かって動作する方向に付勢する付勢部材を有する構成とすることができる。
この構成の取付構造は、付勢部材の付勢力によって、可動部材を第1状態で維持することができるため、可動部材によって凸部を確実に係止することができ、押え金を押え棒に対してより確実に支持させることができる。なお、付勢部材は、その種類や形状が特に限定されず、可動部材の形状や可動方法に応じて、適切なものを採用することができる。
上記構成において、前記押え金が前記押え棒に対して取り付けられる場合に、前記凸部が前記ガイド溝に入り込むのに伴って、前記凸部は、前記可動部材に当接し、前記可動部材を前記付勢部材の付勢力に抗して前記第1状態から前記第2状態へと動作させ、前記凸部が前記ガイド溝の最奥端に達すると、前記可動部材は前記付勢部材の付勢力によって前記第2状態から前記第1状態へと動作する構成とすることができる。
この構成の取付構造は、押え金を押え棒に対して取り付ける際に、凸部をガイド溝に合わせて押え金を押え棒に対して挿し込むだけで、可動部材を第1状態から第2状態へと退避させるとともに、凸部をガイド溝の最奥まで挿入することで、可動部材による凸部の係止が完了する。したがって、この構成の取付構造によれば、押え金の押え棒に対する取り付けをより容易に行うことができる。
また、上記構成において、前記凸部は、前記ガイド溝に挿入された状態において、先端が前記筒部の外周面より外側に突出するように構成され、前記可動部材は、前記筒部の軸線に平行でかつ前記凸部の先端に交差する平面上に拡がって、該平面上において動作可能に前記筒部に配された板状の部材である構成とすることができる。
この構成の取付構造は、可動部材が筒部の外側に配されていても、上記平面に直交する方向において、筒部から外側に突出する寸法は、板状とされた可動部材の厚み分のみである。そのため、この構成の取付構造は、当該押え棒および押え金に、他の部品が近接するようなミシンである場合に好適である。
上記構成において、前記ミシンが、被縫製物におけるミシン針の周囲を押える中押えと、その中押えの外側を押える外押えと、を備えており、前記押え棒と前記押え金とが、前記中押えを構成するものとされ、前記可動部材は、前記筒部と前記外押えとの間に配された構成とすることができる。
この構成の取付構造が採用されるミシンは、中押えと、被縫製物の搬送方向に交差する方向において中押えの外側を押える外押えと、を備える構成とされており、中押えと外押えとが近接して、詳しく言えば、搬送方向に、ミシン針,中押えおよび外押えが近接した状態で並んで配設される。つまり、この構成のミシンにおいては、中押えの搬送方向における両側にミシン針と外押えとが存在するため、それらとの間のスペースは狭く、中押えを構成する押え金の取付構造には、この構成の取付構造が特に好適である。
上記構成において、前記可動部材は、一端側の部分が、前記中押えと前記外押えとが並ぶ方向と交差する方向において前記外押えより外側に突出している構成とすることができる。
この構成の取付構造は、中押えと前記外押えとが並ぶ方向(被縫製物の搬送方向)と交差する方向において、可動部材の一端が突出しているため、使用者が可動部材の操作を行いやすくなっている。したがって、この構成の取付構造によれば、ミシン針や外押えが近接する構成のミシンであっても、中押えにおける押え金の押え棒に対する着脱を容易に行うことができる。
上記構成において、前記軸部は、円柱形状とされるとともに、前記筒部は、円筒形状とされており、
前記凸部は、前記ガイド溝に挿入された状態において、先端が前記筒部の外周面より外側に突出する構成とされ、
前記ガイド溝は、前記最奥端側に形成されて前記筒部の外周面において周方向に延びる周方向溝部と、上下方向に延びて一端が前記一方側に開口するとともに他端が前記周方向溝部に接続される縦溝部と、からなり、
前記可動部材は、自身の動作によって前記凸部を係止する係止部が概して前記縦溝部が延びる方向に移動する構成とされ、前記係止部が前記縦溝部の外側に重なる位置となる前記第1状態と、前記係止部が前記縦溝部から前記他端側に外れた位置となる前記第2状態と、の間で動作可能とされており、
前記他方は、前記可動部材を前記第2状態から前記第1状態に向かって動作する方向に付勢する付勢部材を有し、
前記押え金が前記押え棒に対して取り付けられる場合に、前記凸部が前記ガイド溝に入り込むのに伴って、前記凸部の先端は、前記可動部材の前記係止部に当接し、前記係止部を前記付勢部材の付勢力に抗して前記縦溝部の前記他端側に移動させ、前記凸部が前記周方向溝部に挿入されると、前記係止部は前記付勢部材の付勢力によって前記縦溝部の外側に重なる位置に移動する構成とすることができる。
この構成の取付構造は、先に述べた構成である、凸部のガイド溝への挿入に伴って可動部材を第1状態から第2状態へと退避させる構成が具体化されている。この構成の取付構造においては、凸部とガイド溝の縦溝部との位置を合わせた状態で、押え金を押え棒に対して上方に向かって挿し込んで、押え金を押え棒に対して軸線周りに回転させるだけで、押え金の押え棒に対する取り付けが完了するようになっている。なお、押え金を押え棒から取り外す際には、使用者の操作によって可動部材を第1状態から第2状態に動作させた状態で押え金を押え棒に対して軸線周りに回転させ、その後、下方に向かって引き抜くだけでよい。したがって、この構成の取付構造によれば、押え金の押え棒に対する着脱をより容易に行うことができる。
本発明によれば、簡便な構成で容易に押え金の着脱をできるようにするとともに、押え金を押え棒に取り付けた状態において、押え金を確実に支持することが可能な押え金の取付構造を提供することができる。
本発明の取付構造が採用された第1実施形態のミシンの斜視図 図1に示すミシン針,中押えおよび外押えを示す側面図 外押えの分解斜視図 本発明の取付構造が採用された中押えの前方からの視点における斜視図 中押えの後方からの視点における斜視図 中押えの背面図 中押えを取り外した状態を後方からの視点において示す中押えの斜視図 中押えを取り外した状態を示す中押えの背面図 中押え金の分解斜視図 中押え金のレバー部材を取り外した状態を示す背面図 レバー部材の斜視図 中押え金の中取付作業を説明するための図であり、位置決めピンがガイド溝に挿入し始めた状態を示す図 中押え金の取付作業を説明するための図であり、レバー部材を第2状態とされた状態を示す図 中押え金の取り付けが完了した状態(レバー部材が第1状態とされた状態)を示す図 中押え金の取り外し作業を説明するための図であり、使用者によってレバー部材が第2状態とされた状態を示す図 図1に示すミシン針,中押えおよび外押えを示す正面図 第2実施形態に係る押え金の取付構造を示す背面図 第3実施形態に係る押え金の取付構造を示す背面図
<第1実施形態>
i)ミシンの構成
本発明の押え金の取付構造(以下、単に「取付構造」と呼ぶ場合がある)が採用された第1実施形態のミシン10を、図1から図16を参照しつつ説明する。本ミシン10は、ミシン本体11と、そのミシン本体11から垂下する状態で保持されたミシン針12,中押え13および外押え14とを備えている。それらミシン針12,中押え13および外押え14は、図2に示すように、布等の被縫製物を搬送する方向に並んで配設されている。なお、以下の説明では、被縫製物を挿入する側を前側(正面側)、被縫製物が送られる側を後側(背面側)として説明を行うこととする。また、各図面の一部において、前方および後方をFおよびBの矢印でそれぞれ示し、上方および下方をUおよびDの矢印でそれぞれ示し、正面視における左方および右方をLおよびRの矢印でそれぞれ示す。
中押え13は、ミシン針12を上下方向に挿通可能な挿通孔13Aを有し、ミシン針12を被縫製物に挿し込む際にその周囲を押えるためのものである。また、外押え14は、被縫製物を搬送方向に送るべくその被縫製物における中押え13の外側、詳しく言えば、搬送方向に交差する方向における中押え13の両脇を押えることが可能なものである。それら中押え13および外押え14の両者は、普通縫いや刺しゅう縫い等の縫製加工の種類や、被縫製物の種類,厚み等に応じて複数種類の押え金が用意されており、それら複数種類の押え金を交換可能なものとされている。つまり、中押え13は、ミシン本体11側に設けられた中押え棒20と、その中押え棒20に対して着脱可能な中押え金21とを含んで構成されるとともに、外押え14は、ミシン本体11側に設けられた外押え棒30と、その外押え棒30に対して着脱可能な外押え金31と、を含んで構成される。そして、本発明の押え金の取付構造は、中押え13に採用されており、中押え棒20に対して中押え金21を取り付けるための構造となっている。
ii)外押えの構成
本発明の取付構造が採用された中押え13について説明する前に、まず、外押え14の構成について、図2および図3を参照しつつ、簡単に説明することとする。図3に示すように、外押え14は、外押え棒30に対して、外押え金31だけでなく、作業者の指等がミシン針12に接触するのを防止するためのガード部材32も着脱可能な構成となっている。まず、外押え棒30は、従来の取付構造である、押え棒に対して押え金をネジ33によって締結する構造を改良する形で構成されている。そのため、外押え14における外押え棒30の軸体34は、従来の取付構造における押え棒として機能するミシン側軸体35と、そのミシン側軸体35の下端に固定されてミシン側軸体35を下方に延伸する延伸部材36と、によって構成されている。なお、ミシン側軸体35に対する延伸部材36の固定は、従来の取付構造において押え金を締結するために使用されていたネジ33を用いて締結されている。また、外押え棒30は、軸体34に対して、軸回りに回転可能かつ軸方向に移動可能に挿通された2つの円環状の部材である回転体37とロック部材38とを含んで構成される。軸体34の下端、詳しく言えば、延伸部材36の下端には、径方向に延び出したフランジ部39が形成されており、回転体37およびロック部材38を保持することができるようになっている。また、延伸部材36の下端には、左右に二分割する切れ込み36Aが形成されている。
一方、外押え金31は、下端側が被縫製物を押える部分である押え部40とされ、上端側が外押え棒30に支持される部分である被支持部41とされる。先にも述べたように、外押え金は、本体部の形状が互いに異なる複数種類のものから交換可能となっているが、本実施形態においては、外押え金31の押え部40は、幅(左右方向の寸法)が比較的小さく、先端側(前方側)が二股に分かれてそれぞれの先端が上方に反り上がった形状のものとされている。なお、中押え13の中押え金21の押え部は、図1に示したように、外押え金31の押え部40における二股に分かれた部分の内側に配されるようになっている。
また、複数種類の押え金における被支持部の形状は、同一形状とされている。その被支持部41は、左右の各々に板面を有する概して長方形の板状とされており、上述した外押え棒30の下端から切れ込み36Aに嵌め入れることが可能となっている。そのような構成から、外押え金31は外押え棒30に対して相対回転不能に係合するようになっている。また、被支持部41が切れ込み36Aに嵌め入れられた状態において、被支持部41の上端には、軸体34の外周面から外側に突出する突出部41Aとなっている。
そして、回転体37は、特定の回転位置において、被支持部41の突出部41Aを通過できるようになっており、つまり、被支持部41を切れ込み36Aに嵌め込んだ状態において、回転体37を、突出部41Aの下方に位置させることができる。そして、その位置で回転体37を回転させると、突出部41Aは、回転体37の上面に当接する状態となり、外押え金31は外押え棒30に対して支持されることとなる。つまり、外押え金31を外押え棒30に取り付けた状態となるが、その状態においては突出部41Aの下に回転体37が存在するため、外押え棒30は外押え金31を確実に支持することができる。なお、ロック部材37は、図2に示したように、回転体37に外押え金31を支持させた状態において、それら回転体37と外押え金31の突出部41Aとの両者に係合することで、回転体37の回転を禁止して、外押え棒30に対して外押え金31の取り付けた状態でロックすることができるようになっている。ちなみに、ガード部材32は、軸体34のフランジ部39に凹所39Aが形成されており、その凹所39Aを利用して、フランジ部39と回転体37とによって挟持される構成となっている。
iii)中押えの構成
次に、本発明の取付構造が採用された中押え13について詳しく説明する。中押え13は、先に説明したように、中押え棒20に対して、中押え金21が着脱可能な構成となっている。中押え棒20は、上下方向に延びる軸部50と、その軸部50の外周面から径方向外側に向かって突出する凸部としての位置決めピン51と、を有している。軸部50は、下端側がそれより上方側の部分50Aより外径が僅かに小さな小径部50Bとされており、位置決めピン51は、その小径部50Bの上下方向における中間において、前方に向かって突出して形成されている。
一方、中押え金21は、図9に示すように、押え金の主体となる本体部材60と、その本体部材60に対して回動可能に保持された可動部材としてのレバー部材61と、本体部材60とレバー部材61との間に配された付勢部材としてのトーションばね62と、を含んで構成される。なお、中押え13は、従来の取付構造を改良する形で構成されている。中押えに採用されていた従来の取付構造は、軸線方向に延びるスリットが形成された円筒部に中押え棒20の軸部50(詳しくは、小径部50B)を挿入した状態で、円筒部を縮径して固定することで、中押え金を中押え棒に取り付ける構造であった。そのため、本体部材60は、図9および図10に示すように、軸線方向(上下方向)に延びるスリット65Aが形成された円筒部(筒部)65と、その円筒部65におけるスリット65Aの両脇の部分から外側(搬送方向に直交する方向、具体的には右側、図10における左側)に向かって張り出した一対の張出部66,67と、円筒部65の下端から延び出して側面視で概してL字形状の被縫製物を押えるための押え部68と、からなる。つまり、従来の取付構造を詳しく説明すれば、従来の取付構造は、一対の張出部66,67をネジによって締め付け、それら一対の張出部66,67の間隔を狭めて円筒部65を縮径することで、中押え棒に対して中押え金を取り付ける構造とされていた。なお、以下の説明において、中押え金21が中押え棒20に取り付けられた状態において、一対の張出部66,67のうち、相対的に前側に位置するものを前側張出部66と、後側に位置するものを後側張出部67と、それぞれ呼ぶ場合がある。
本実施形態においては、中押え金21は、円筒部65を縮径させる構造ではなく、中押え棒20の小径部50Bを円筒部65に挿入させつつ、中押え棒20が有する位置決めピン51を、円筒部65の外周面に形成されたガイド溝69に挿入させることで、中押え棒20に対して抜き差し可能な構成となっている。そのガイド溝69は、円筒部65の板厚方向に貫通形成されて概して軸線方向に延び、一端が上側(中押え棒20側)に開口するスリット状のものである。詳しく言えば、ガイド溝69は、開口69Aから軸線に沿って下方に延びる縦溝部70と、その縦溝部70の下端から円筒部65の周方向に延びる周方向溝部71と、からなる。図10に示すように、縦溝部70は、円筒部65における軸線の後方から左側(図10における右側)にずれた位置に形成されており、周方向溝部71は、縦溝部70の下端から右方(図10における左方)に向かって延びている。周方向溝部71の右側の端部、つまり、ガイド溝69の最奥端69Bは、内周面に位置決めピン51が当接した状態において、その位置決めピン51が、円筒部65の後方に位置するように形成されている。ちなみに、位置決めピン51がガイド溝69に入り込んだ状態においては、位置決めピン51は、ガイド溝69から外側に、換言すれば、円筒部65の外周面より外側にまで突出する程度の高さを有するものとなっている。
また、本実施形態においては、中押え金21は、本体部材60のその形状を利用して、レバー部材61が組み付けられている。具体的には、本体部材60における一対の張出部66,67には、ネジを締結するための締結孔が形成されていたが、その部分に貫通孔66A,67Aが形成されている。つまり、それら貫通孔66A,67Aは、互いに対向する方向、換言すれば、前後方向(搬送方向)に貫通するものとなっている。そして、それら一対の張出部66,67の貫通孔66A,67Aを挿通して軸部材80が前側張出部66側から挿入され、その軸部材80の先端が、後側張出部67側に配されたレバー部材61の嵌合部81(図11参照)に嵌め入れられる。そのような構成により、レバー部材61は、軸部材80を回動軸として回動可能なものとなっている。
レバー部材61は、図11に示すように、板状の部材である。そのレバー部材61は、図4から図6に示すように、本体部材60に組み付けられた状態において、板面が上下左右に拡がる形で保持される。つまり、上記の嵌合部81は、レバー部材61の前側の板面61Aから前方に突出する形で設けられている。また、レバー部材61は、図6および図9に示すように、本体部材60に組み付けられた状態において左側(図6における右側)の部分が、左端ほど高さが小さくなる形状とされるとともに、左端近傍に下方に向かって凹んだ凹所82が形成されている。その凹所82は、中押え棒20の位置決めピン51の外径より僅かに大きな幅で、下縁側が円弧形状のものとなっている。換言すれば、レバー部材61は、左端側が、上方に向かって延び出した突出部83を有する鈎形状と考えることもできる。なお、以下の説明において、レバー部材61における軸部材80より左側の部分を作動部61Bと、右側の部分を操作部61Cと、それぞれ呼ぶこととする。
上記のレバー部材61と本体部材60との間に、トーションばね62が配されている。具体的には、図10に示すように、本体部材60の後側張出部67の後側を向く面には、貫通孔67Aを広げる形で、トーションばね62の一端側を嵌め入れるばね取付溝85が形成されている。そのばね取付溝85は、貫通孔67Aに内径より大きくされトーションばね62のコイル部62Aを嵌め入れる円溝部85Aと、トーションばね62の上方側に延び出した一端62Bを嵌め入れる延出溝部85Bと、からなる。一方、レバー部材61には、図11に示すように、前面61Aの嵌合部81の周囲に、トーションばね62の他端側を嵌め入れるばね取付溝86が形成されている。そのばね取付溝86は、トーションばね62のコイル部62Aを嵌め入れる円溝部86Aと、トーションばね62の下方側に延び出した他端62Cを嵌め入れる延出溝部86Bと、からなる。
それら本体部材60のばね取付溝85とレバー部材61のばね取付溝86とに、トーションばね62が嵌め入れられることで、レバー部材61は、図10に示した状態とされる(回転位置に位置させられる)。そして、レバー部材61は、トーションばね62によって、背面視で反時計回りに回転する方向(図10の白抜矢印の方向,左回り)に付勢されることになる。この状態においては、レバー部材61における作動部61Bの先端、詳しく言えば、突出部83の上端が、ガイド溝69の縦溝部70に対して、外側(後方)の上下方向における中間に位置することになる。なお、使用者は、レバー部材61の操作部61Cを上方に向かって持ち上げるように操作することで、トーションばね62の付勢力に抗ってレバー部材61を背面視で時計回り(図10において右回り)に回動させ、突出部83を下方に移動させることができる(図15参照)。また、使用者がレバー部材61から手を離せば、レバー部材61は、トーションばね62の付勢力によって、図10に示した状態に戻されることになる。
iv)中押え金の着脱作業
次に、中押え金21の中押え棒20に対する着脱作業について、図8,図12から図14を参照しつつ詳しく説明する。なお、本ミシン10は、中押え金21と外押え金31とは、基本的に対をなすものとなっており、それら中押え金21および外押え金31の両者を同時に交換することになる。そのため、それらを取り付ける際には、外押え金31を取り付けた後、中押え金21を取り付ける作業が行われる。逆に、両者を取り外す場合には、中押え金21を取り外した後、外押え金31を取り外す作業が行われる。つまり、外押え金31の着脱作業は、中押え金21が取り付けられていない状態で行われるため、比較的スペースに余裕があるものの、中押え金21の着脱作業は、外押え金31が取り付けられていることで、図1および図2に示すように、作業スペースが制限されることとなる。
まず、中押え金21を中押え棒20に対して取り付ける際には、図8に示すように、中押え金21を、それのガイド溝69を中押え棒20の位置決めピン51に合わせる。そして、中押え金21を上昇させて、中押え棒20の小径部50Bを円筒部65に挿入させつつ、位置決めピン51をガイド溝69の縦溝部70に挿入させる。位置決めピン51をガイド溝69の縦溝部70に挿入させると、図12に示すように、位置決めピン51は、レバー部材61の突出部83に当接する。さらに、中押え金21を上昇させると、位置決めピン51は突出部83を本体部材60に対して下方に押し下げること、つまり、レバー部材61をトーションばね62の付勢力に抗って(図12に示す白抜矢印の方向に)回動させることになる。
図13に示すように、位置決めピン51が縦溝部70の下端まで到達すると、突出部83は、ガイド溝69から下方に外れた位置まで移動させられる。なお、この状態においては、レバー部材61には、トーションばね62によって図12示した状態に戻る方向(図13に示す白抜矢印の方向)の付勢力、換言すれば、突出部83が上昇する方向の付勢力が作用している。次いで、中押え金21を中押え棒20に対して(図13に示す黒矢印の方向に)回転させ、位置決めピン51を周方向溝部71に挿入させる。
位置決めピン51がガイド溝69の最奥端69Bに達すると、位置決めピン51は、レバー部材61の突出部83の上方から外れることになる。先に説明したように、レバー部材61には突出部83を上昇させる方向の付勢力が作用しており、位置決めピン51が突出部83の上方から外れると、その付勢力によって突出部83が上昇するようにレバー部材61が回動し、図14に示すように、位置決めピン51は、レバー部材61の凹所82に嵌ることになるである。この状態においては、位置決めピン51は、ガイド溝69の内周面と、レバー部材61の凹所82の内周面とで挟まれ、位置決めピン51におけるガイド溝69の開口69A側には突出部83が当接している。そのため、位置決めピン51がガイド溝69を抜ける方向の移動、つまり、中押え金21が中押え棒20に対する回転が拘束されるようになっている。したがって、中押え金21が中押え棒20に対して取り付けられた状態となるのである。
続いて、中押え金21を中押え棒20から取り外す作業について説明する。まず、中押え金21を中押え棒20から取り外す際には、図15に示すように、使用者は、レバー部材61の操作部61Cを上昇させて、突出部83を下方に移動させる。それにより、レバー部材61の突出部83による位置決めピン51の係止が解除される。そして、使用者は、中押え金21を中押え棒20に対して回転させ、位置決めピン51をガイド溝69の縦溝部70の位置に合わせ、中押え金21を中押え棒20から下方に引き抜くことで、中押え金21を中押え棒20から取り外すことができる。
v)本取付構造の効果
以上のように、本実施形態に係る取付構造において、中押え棒(押え棒と押え金との一方)20は、上下方向に延びる軸部50と、軸部50の外周面から外側に向かって突出する位置決めピン(凸部)51と、を有している。また、中押え金(押え棒と押え金との他方)21は、上下方向における中押え棒20側に開口する円筒部(筒部)65と、円筒部65における外周面に形成されて上下方向における中押え棒20側に開口するガイド溝69と、円筒部65の外側に配されて第1状態と第2状態との間で動作可能に設けられたレバー部材(可動部材)61と、を有し、円筒部65に軸部50を挿入させつつ、ガイド溝69に位置決めピン51を挿入させることで、中押え棒20を抜き挿し可能とされている。そして、本実施形態に係る取付構造は、位置決めピン51がガイド溝69の最奥端69Bに挿入された状態でレバー部材61が第1状態(図14に示す状態)とされることで、レバー部材61が位置決めピン51を係止して位置決めピン51のガイド溝69内における移動を拘束し、中押え金21が中押え棒20に対して取り付けられ、また、レバー部材61が第2状態(図15に示す状態)とされることで、レバー部材61による位置決めピン51の係止が解除されて位置決めピン51のガイド溝69に沿った移動が許容され、中押え金21が中押え棒20に対して着脱可能とされる。
この構成の押え金の取付構造を採用した本実施形態のミシン10は、中押え金21を中押え棒20に挿入してレバー部材61を第2状態から第1状態に動作させるだけで、中押え金21を中押え棒20に対して取り付けることができ、また、レバー部材61を第1状態から第2状態に動作させて中押え金21を中押え棒20からを引き抜くだけで、中押え金21を中押え棒20から取り外すことができる。つまり、本取付構造は、中押え金21の中押え棒20に対する着脱を容易に行うことができる。また、本取付構造は、中押え金21が中押え棒20に取り付けられた状態においては、位置決めピン51がガイド溝69の最奥端69Bの内周面とレバー部材61とによって、いずれの方向への移動も拘束されるため、中押え金21が中押え棒20から抜け落ちるような事態を回避することができ、中押え金21を中押え棒20に対して確実に支持させることができる。
また、本実施形態に係る取付構造において、軸部50は、円柱形状とされるとともに、円筒部65は、円筒形状とされており、ガイド溝69は、最奥端69B側が円筒部65の外周面において周方向に延びる周方向溝部71とされ、レバー部材61は、第1状態において位置決めピン51の周方向への移動を拘束する構成とされている。この構成により、本取付構造は、周方向溝部71の最奥に位置決めピン51が挿入されることで、位置決めピン51は上下方向の移動が拘束され、中押え金21は中押え棒20に対して軸線方向(上下方向)の移動が禁止される。つまり、中押え棒20から中押え金21が抜け落ちるような事態を回避することができる。また、レバー部材61は、位置決めピン51の周方向溝部71内における移動を拘束するため、軸部50と円筒部65との相対回転、つまり、中押え金21の中押え棒20に対する軸線周りの回転を拘束することができる。したがって、本取付構造によれば、中押え金21を中押え棒20に対してより確実に支持させることができる。さらに、本取付構造は、位置決めピン51がガイド溝69の最奥に挿入されることで、中押え金21の中押え棒20に対する回転位置が定まることになり、ミシン針12および外押え金31に対する中押え金21の相対位置も定まることになる。したがって、従来の取付構造のように、ミシン針12および外押え14に対して、中押え金21の回転方向の位置の調整を行う必要がなく、押え金21,31の交換作業が容易になるとともに、交換作業に要する時間の短縮を図ることができる。
また、本実施形態に係る取付構造において、中押え金21は、レバー部材61を第2状態から第1状態に向かって付勢するトーションばね(付勢部材)62を有している。この構成によれば、トーションばね62の付勢力によって、レバー部材61を第1状態で維持することができるため、レバー部材61によって位置決めピン51を確実に係止することができ、中押え金21を中押え棒20に対してより確実に支持させることができる。
また、本実施形態に係る取付構造は、中押え金21が中押え棒20に対して取り付けられる場合に、位置決めピン51がガイド溝69に入り込むのに伴って、位置決めピン51は、レバー部材61に当接し、レバー部材61をトーションばね62の付勢力に抗して第1状態から第2状態へと動作させ、位置決めピン51がガイド溝69の最奥端69Bに達すると、レバー部材61はトーションばね62の付勢力によって第2状態から第1状態へと動作する構成とされている。このような構成により、本取付構造は、中押え金21を中押え棒20に対して取り付ける際に、位置決めピン51をガイド溝69に合わせて中押え金21を中押え棒20に対して上昇させるだけで、レバー部材61を第1状態から第2状態へと退避させるとともに、位置決めピン51をガイド溝69の最奥まで挿入することで、レバー部材61による位置決めピン51の係止が完了する。そして、本取付構造によれば、図14に示すように、上方に向かって付勢されたレバー部材61によって周方向溝部71の内周面との間で位置決めピン51を挟持しているため、周方向溝部71内でのガタつきも抑えることができる。また、位置決めピン51は、凹所82内に嵌り込むため、レバー部材61に対する周方向の移動が拘束され、中押え金21の中押え棒20に対して回転する方向のガタつきも抑えることができる。以上のように、本取付構造によれば、中押え金21を中押え棒20に対して、容易に取り付けることができるとともに、ガタつきを抑えて確実に支持させることができる。
上記の構成をより具体的に言えば、本実施形態に係る取付構造において、ガイド溝69は、周方向溝部71と、上下方向に延びて一端が前記中押え棒20側に開口するとともに他端が周方向溝部71に接続される縦溝部70と、からなり、また、レバー部材61は、自身の動作によって位置決めピン51を係止する係止部として機能する突出部83が概して縦溝部70が延びる方向に移動する構成とされ、突出部83が縦溝部70の外側に重なる位置となる第1状態と、突出部83が縦溝部70から下方側に外れた位置となる第2状態と、の間で動作可能とされている。そして、本取付構造は、中押え金21が中押え棒20に対して取り付けられる場合に、位置決めピン51がガイド溝69に入り込むのに伴って、位置決めピン51は、レバー部材61の突出部83に当接し、突出部をトーションばね62の付勢力に抗して縦溝部70の下方側に移動させ、位置決めピン51が周方向溝部71に挿入されると、突出部83はトーションばね62の付勢力によって縦溝部70の外側に重なる位置に移動する構成とされている。したがって、本取付構造は、先にも説明したように、位置決めピン51とガイド溝69の縦溝部70との位置を合わせた状態で、中押え金21を中押え棒20に対して上昇させて中押え金21に中押え棒20を挿し込んで、中押え金21を中押え棒20に対して軸線周りに回転させるだけで、中押え金21の中押え棒20に対する取り付けが完了するようになっている。また、中押え金21を中押え棒20から取り外す際には、使用者の操作によってレバー部材61を第1状態から第2状態に動作させた状態で中押え金21を中押え棒20に対して軸線周りに回転させ、その後、下方に向かって引き抜くだけでよい。したがって、本取付構造によれば、中押え金21の中押え棒20に対する着脱を容易に行うことができるのである。
また、本実施形態に係る取付構造において、図5等に示すように、位置決めピン51は、ガイド溝69に挿入された状態において、先端が円筒部65の外周面より外側に突出する構成とされ、レバー部材61は、円筒部65の軸線に平行でかつ位置決めピン51の先端に交差する平面上に拡がって、その平面上において動作可能に円筒部65に配された板状の部材とされている。この構成により、本取付構造は、レバー部材61が円筒部65の外側に配されていても、図2に示すように、円筒部65から外側に突出する寸法は、板状とされたレバー部材61の厚み分のみである。そのため、本取付構造は、中押え13に近接して外押え14が位置しているが、本体部材60(円筒部65)における外押え14側に、レバー部材61を配することが可能となっているのである。
また、本実施形態に係る取付構造において、図16に示すように、レバー部材61は、本体部材60と外押え14との間に配されて、操作部61Cが、本体部材60および外押え14より右側に突出した状態で保持されている。この構成により、本実施形態のミシン10が、本取付構造が採用された中押え13が外押え14に近接する構成であっても、レバー部材61の操作部61Cが外側に突出しているため、使用者がレバー部材61の操作を行いやすくなっており、中押え13における中押え金21の中押え棒20に対する着脱(本実施形態においては、取付時はレバー部材61の操作は不要)を容易に行うことができる。
<第2実施形態>
上記第1実施形態に係る取付構造においては、ガイド溝69が周方向溝部71と縦溝部70とから構成されていたが、ガイド溝の形状は、それに限定されない。第2実施形態のミシンは、第1実施形態のミシン10とほぼ同一の構成であり、中押え100の中押え金101の形状のみ、第1実施形態のミシン10を構成する中押え金21と相違する。そのため、第1実施形態のミシン10と同一の構成要素については、同一の符号を付し、その説明は省略するものとする。また、第2実施形態のミシンについては、本発明の取付構造である、中押え棒20に対する中押え金101の取付構造部分についてのみ、図17に示し、その図17を参照しつつ説明する。
第2実施形態に係る中押え100は、第1実施形態に係る中押え棒20に対して、中押え金101が着脱可能な構成となっている。中押え金101は、第1実施形態に係る中押え金21と同様に、押え金の主体となる本体部材110と、その本体部材110に対して回動可能に保持された可動部材としてのレバー部材111と、本体部材110とレバー部材111との間に配された付勢部材としてのトーションばね112と、を含んで構成される。また、本体部材110は、第1実施形態に係る本体部材60と同様に、軸線方向(上下方向)に延びるスリットが形成された円筒部(筒部)115と、その円筒部115におけるスリットの両脇の部分から外側(搬送方向に直交する方向、図17における左側)に向かって張り出した一対の張出部116と、円筒部115の下端から延び出して側面視で概してL字形状の被縫製物を押えるための押え部117と、からなる。
また、本体部材110の円筒部115には、ガイド溝118が形成されているものの、その形状が、第1実施形態に係るガイド溝69のように屈折する形状とは異なり、湾曲した形状となっている。より詳しく言えば、下に凸な曲線を描き、ガイド溝118の最奥端118Aは、ほぼ周方向に向く形状となっている。なお、そのガイド溝118の最奥端118Aは、第1実施形態に係るガイド溝69の最奥端69Bと同じ位置とされる。つまり、中押え棒20の位置決めピン51がガイド溝118の最奥まで挿入された場合に、中押え金101の中押え棒20に対する回転位置が定まるようになっている。
そのような構成から、本実施形態において、中押え金101を中押え棒20に取り付ける際には、中押え金101を中押え棒20に対して軸線周りに円筒部115の軸線周りに回転させつつ上昇させることで、位置決めピン51をガイド溝118の最奥まで挿入させることができる。
なお、本実施形態に係るレバー部材111は、第1実施形態に係るレバー部材61と同様に、本体部材110の外側に回動可能に保持されるとともに、トーションばね112によって背面視で反時計回りに、換言すれば、作動部120(レバー部材111の左側部分、図17における右側部分)が上昇させられる方向に付勢されている。また、レバー部材111は、第1実施形態に係るレバー部材61と僅かに形状は異なるものの、そのレバー部材61と同様に、本体部材110に保持された状態において作動部120が、先端(図17における右側端部)ほど高さが小さくなる形状とされるとともに、先端近傍に下方に向かって凹んだ凹所121が形成されている。そのような形状から、作動部120の先端には、上方に向かって突出する突出部122が形成されていると考えることもできる。
中押え金101を中押え棒20に取り付ける前の状態においては、レバー部材111の作動部120の突出部122がガイド溝118の外側に重なる位置に位置している。そして、中押え金101が中押え棒20に対して取り付けられる場合、位置決めピン51がガイド溝118に入り込むのに伴って、位置決めピン51は、レバー部材111の突出部122に当接し、レバー部材111をトーションばね112の付勢力に抗して回動させるのであり、突出部122がガイド溝118の下方側の外れた位置まで移動した状態(第2状態)となる。さらに、位置決めピン51がガイド溝118に入り込んでガイド溝118の最奥端118Aに達すると、レバー部材111はトーションばね112の付勢力によって回動させられ、図17に示した状態(第1状態)とされる。この状態において、位置決めピン51は、ガイド溝118の開口側に、レバー部材111の突出部122が当接しており、そのガイド溝118の開口側への移動が禁止されるのである。また、中押え金101を中押え棒20から取り外す際には、使用者の操作によってレバー部材111を第1状態から第2状態に動作させた状態で中押え金101を中押え棒20に対して軸線周りに回転させつつ、下方に向かって引き抜くだけでよい。
以上のように、本実施形態に係る取付構造においても、第1実施形態に係る取付構造と同様に、中押え金101の中押え棒20に対する着脱を容易に行うことができるようになっている。
<第3実施形態>
上記2つの実施形態に係る取付構造においては、中押え棒20が、上下方向に延びる軸部50と、軸部50の外周面から外側に向かって突出する位置決めピン(凸部)51と、を有するものとされ、中押え金21,101が、上下方向における中押え棒20側に開口する円筒部(筒部)65,115と、円筒部65,115における外周面に形成されて上下方向における中押え棒20側に開口するガイド溝69,118と、円筒部65,115の外側に配されて第1状態と第2状態との間で動作可能に設けられたレバー部材(可動部材)61,111と、を有するものとされていた。それに対し、第3実施形態に係る取付構造は、上記2つの実施形態に係る取付構造と同様に中押え150に適用されているものの、図18に示すように、取付構造の上下を反転させたような構造、換言すれば、中押え棒151の取付部の構造と中押え金152の取付部の構造とが、上記2つの実施形態に係る取付構造における中押え棒の取付部の構造と中押え金の取付部の構造とを入れ替えたような構造となっている。
具体的に言えば、まず、中押え金(押え棒と押え金との一方)152は、上下方向に延びる軸部160と、軸部160の外周面から外側に向かって突出する位置決めピン(凸部)161と、を有するものとされる。また、中押え棒(押え棒と押え金との他方)151が、上下方向における中押え金152側(下側)に開口する円筒部(筒部)165と、円筒部165における外周面に形成されて上下方向における中押え金152側に開口するガイド溝166と、円筒部165の外側に配されて第1状態と第2状態との間で動作可能に設けられたレバー部材(可動部材)167と、を有するものとされている。なお、レバー部材167は、付勢部材によって図18における時計回り方向に付勢されており、作動部168の先端側に形成された突出部168Aが下方に向かう方向に付勢されている。
したがって、第3実施形態に係る取付構造は、中押え金152の位置決めピン161を、中押え棒151のガイド溝166の縦溝部166Aの回転位置に合わせて、中押え金152を上昇させると、レバー部材167の突出部168Aに当接して突出部168Aをガイド溝166の上方側に退避させることができる。そして、中押え金152を中押え棒151に対して回転させて、位置決めピン161をガイド溝166の周方向溝部166Bに挿入することで、レバー部材167の突出部168Aは、付勢部材の付勢力によって下方に移動させられ、位置決めピン161を係止することができる。以上のように、第3実施形態に係る取付構造も、第1実施形態に係る取付構造と同様に、中押え金152を中押え棒151に対して上昇させて中押え金152を中押え棒151に挿し込んで、中押え金152を中押え棒151に対して軸線周りに回転させるだけで、中押え金152の中押え棒151に対する取り付けが完了する。また、中押え金152を中押え棒151から取り外す場合には、使用者がレバー部材167の操作部169を下方に移動させて突出部168Aをガイド溝166から上方に退避させた状態で中押え金152を中押え棒151に対して回転させ、その後、中押え金152を下方に引き抜くだけである。
以上のように、第3実施形態に係る取付構造は、上記2つの実施形態に係る取付構造と同様に、中押え金152の中押え棒151に対する着脱を容易に行うことができるようになっている。なお、上記2つの実施形態に係る取付構造は、従来の取付構造を改良する形で構成されていたため、複数種類ある押え金に対して可動部材を取り付ける必要があったが、第3実施形態に係る取付構造は、中押え棒151にレバー部材167が設けられており、押え金の形状が単純な形状となって、押え金の製造時間やコストを低減することができる。
<他の実施形態>
本発明は上記3つの実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。例えば、次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記3つの実施形態において、円柱状の軸部を円筒状の筒部に挿入する構造とされていたが、それに限定されない。例えば、軸部と筒部とが断面多角形状とされて、相対回転不能に嵌合する構成とすることもできる。この構成の場合には、ガイド溝は、直線状のものとなるが、可動部材が、凸部のガイド溝における開口側への移動を拘束するものであればよい。
(2)上記3つの実施形態において、可動部材は、本体部材(筒部)に対して回動可能に設けられていたが、それに限定されない。例えば、可動部材は、第1位置(第1状態)と第2位置(第2状態)との間で直線的に移動可能に設けることもできる。この可動部材は、上記のようにガイド溝が直線状のものである場合に、そのガイド溝に直交する方向に移動可能なものとし、第1位置において凸部のガイド溝における開口側に当接するように構成することで、凸部の開口側への移動を確実に拘束することができる。
(3)上記3つの実施形態において、凸部の先端が筒部の外周面から外側に突出しており、可動部材は、その凸部の先端に当接することで、凸部のガイド溝内の移動を拘束するものとされていたが、それに限定されない。例えば、可動部材は、第1状態において、ガイド溝内に入り込んで凸部に当接することで、凸部のガイド溝内の移動を拘束する構成とすることもできる。
(4)上記3つの実施形態において、可動部材は、付勢部材によって第2状態から第1状態に向かって付勢する付勢部材が設けられていたが、付勢部材は設けられず、使用者の操作によって、第2状態から第1状態に切り替えられる構成であってもよい。
(5)上記3つの実施形態に係る取付構造は、外押えおよび中押えを備えたミシンにおいて、中押えにおける中押え金の取付構造に採用されていたが、外押えにおける外押え金の取付構造に採用することもできる。また、ミシンが単一の押えを備えるものとされ、その単一の押えにおける押え金の取付構造に採用することもできる。
10…ミシン、11…ミシン本体、12…ミシン針、13…中押え、14…外押え、20…中押え棒〔押え棒〕、21…中押え金〔押え金〕、50…軸部、51…位置決めピン〔凸部〕、60…本体部材、61…レバー部材〔可動部材〕、62…トーションばね〔付勢部材〕、65…円筒部〔筒部〕、69…ガイド溝、69A…開口、69B…最奥端、70…縦溝部、71…周方向溝部、83…突出部〔係止部〕、100…中押え、101…中押え金〔押え金〕、110…本体部材、111…レバー部材〔可動部材〕、112…トーションばね〔付勢部材〕、115…円筒部〔筒部〕、118…ガイド溝、118A…最奥端、122…突出部〔係止部〕、150…中押え、151…中押え棒〔押え棒〕、152…中押え金〔押え金〕、160…軸部、161…位置決めピン〔凸部〕、165…円筒部〔筒部〕、166…ガイド溝、166A…縦溝部、166B…周方向溝部、167…レバー部材〔可動部材〕、168A…突出部〔係止部〕

Claims (6)

  1. 押え棒に対して押え金が着脱可能とされたミシンにおける押え金の取付構造であって、
    前記押え棒と前記押え金との一方は、上下方向に延びる軸部と、該軸部の外周面から外側に向かって突出する凸部と、を有し、
    前記押え棒と前記押え金との他方は、上下方向における前記一方側に開口する筒部と、該筒部における外周面に形成されて上下方向における前記一方側に開口するガイド溝と、前記筒部の外側に配されて第1状態と第2状態との間で動作可能に設けられた可動部材と、を有し、前記筒部に前記軸部を挿入させつつ、前記ガイド溝に前記凸部を挿入させることで、前記一方を抜き挿し可能とされており、
    前記凸部が前記ガイド溝の最奥端に挿入された状態で前記可動部材が前記第1状態とされることで、前記可動部材が前記凸部を係止して前記凸部の前記ガイド溝内における移動を拘束し、前記押え金が前記押え棒に対して取り付けられ、
    前記可動部材が前記第2状態とされることで、前記可動部材による前記凸部の係止が解除されて前記凸部の前記ガイド溝に沿った移動が許容され、前記押え金が前記押え棒に対して着脱可能とされ
    前記凸部は、前記ガイド溝に挿入された状態において、先端が前記筒部の外周面より外側に突出する構成とされ、
    前記可動部材は、前記筒部の軸線に平行でかつ前記凸部の先端に交差する平面上に拡がって、該平面上において動作可能に前記筒部に配された板状の部材であり、
    前記ミシンが、被縫製物におけるミシン針の周囲を押える中押えと、その中押えの外側を押える外押えと、を備えており、
    前記押え棒と前記押え金とが、前記中押えを構成するものとされ、
    前記可動部材は、前記筒部と前記外押えとの間に配された押え金の取付構造。
  2. 前記可動部材は、一端側の部分が、前記中押えと前記外押えとが並ぶ方向と交差する方向において前記外押えより外側に突出している請求項1に記載の押え金の取付構造。
  3. 前記軸部は、円柱形状とされるとともに、前記筒部は、円筒形状とされており、
    前記ガイド溝は、前記最奥端側が、前記筒部の外周面において周方向に延びる周方向溝部とされ、
    前記可動部材は、前記第1状態において前記凸部の周方向への移動を拘束する構成とされた請求項1または請求項2に記載の押え金の取付構造。
  4. 前記他方は、前記可動部材を前記第2状態から前記第1状態に向かって動作する方向に付勢する付勢部材を有する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の押え金の取付構造。
  5. 前記押え金が前記押え棒に対して取り付けられる場合に、前記凸部が前記ガイド溝に入り込むのに伴って、前記凸部は、前記可動部材に当接し、前記可動部材を前記付勢部材の付勢力に抗して前記第1状態から前記第2状態へと動作させ、前記凸部が前記ガイド溝の最奥端に達すると、前記可動部材は前記付勢部材の付勢力によって前記第2状態から前記第1状態へと動作する構成とされた請求項4に記載の押え金の取付構造。
  6. 前記軸部は、円柱形状とされるとともに、前記筒部は、円筒形状とされており、
    前記凸部は、前記ガイド溝に挿入された状態において、先端が前記筒部の外周面より外側に突出する構成とされ、
    前記ガイド溝は、前記最奥端側に形成されて前記筒部の外周面において周方向に延びる周方向溝部と、上下方向に延びて一端が前記一方側に開口するとともに他端が前記周方向溝部に接続される縦溝部と、からなり、
    前記可動部材は、自身の動作によって前記凸部を係止する係止部が概して前記縦溝部が延びる方向に移動する構成とされ、前記係止部が前記縦溝部の外側に重なる位置となる前記第1状態と、前記係止部が前記縦溝部から前記他端側に外れた位置となる前記第2状態と、の間で動作可能とされており、
    前記他方は、前記可動部材を前記第2状態から前記第1状態に向かって動作する方向に付勢する付勢部材を有し、
    前記押え金が前記押え棒に対して取り付けられる場合に、前記凸部が前記ガイド溝に入り込むのに伴って、前記凸部の先端は、前記可動部材の前記係止部に当接し、前記係止部を前記付勢部材の付勢力に抗して前記縦溝部の前記他端側に移動させ、前記凸部が前記周方向溝部に挿入されると、前記係止部は前記付勢部材の付勢力によって前記縦溝部の外側に重なる位置に移動する構成とされた請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の押え金の取付構造。
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