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JP7356940B2 - レンズ評価方法、レンズ設計方法、眼鏡レンズの製造方法およびレンズ評価プログラム - Google Patents
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JP7356940B2 - レンズ評価方法、レンズ設計方法、眼鏡レンズの製造方法およびレンズ評価プログラム - Google Patents

レンズ評価方法、レンズ設計方法、眼鏡レンズの製造方法およびレンズ評価プログラム Download PDF

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Description

本発明は、レンズ評価方法、レンズ設計方法、眼鏡レンズの製造方法およびレンズ評価プログラムに関する。
眼鏡装用者の要求に良好に適合する眼鏡レンズを提供すべく、眼鏡レンズの設計または製造にあたり、眼鏡レンズに関する波面の形状を特定するとともに、眼鏡装用者の個別的眼球モデルを確定し、これらに基づいて眼鏡レンズの面形状の最適化を図る技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第6209722号公報
眼鏡レンズのつくる波面の評価は、例えば、十分な数の光線の光路長を数値計算し、それと合わせて引き続きゼルニケ(Zernike)多項式で波面をフィットすることによって行うことができる。しかしながら、そのために膨大な計算負荷を必要としてしまうと、多くの処理時間や高機能のハードウエア資源等が必要となり、眼鏡レンズについての評価を迅速かつ容易に行う上では好ましくない。
本発明は、迅速かつ容易な処理を可能にしつつ、眼鏡レンズについての評価の適切化が図れる技術の提供を目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために案出されたものである。
本発明の第1の態様は、
眼鏡レンズの波面をフーリエ変換して得られたベクトル量に予め決められた所定のベクトル量を乗じた量を、前記眼鏡レンズの評価指標とする
レンズ評価方法である。
本発明の第2の態様は、
前記所定のベクトル量は、前記眼鏡レンズの局所的な評価範囲に対して、所定の多項式における所定の項の展開係数を得るための疑似逆行列をフーリエ変換したものである
第1の態様に記載のレンズ評価方法である。
本発明の第3の態様は、
前記所定のベクトル量は、前記眼鏡レンズの局所的な評価範囲に対して、所定の直交多項式における所定の項の展開係数を得るための疑似逆行列をフーリエ変換したものである
第1の態様に記載のレンズ評価方法である。
本発明の第4の態様は、
前記所定の項は、ゼルニケ多項式における所定の項である
第2または第3の態様に記載のレンズ評価方法である。
本発明の第5の態様は、
前記所定の項は、ゼルニケ多項式における所定の複数項の重み付け和である
第2または第3の態様に記載のレンズ評価方法である。
本発明の第6の態様は、
前記展開係数について、ゼルニケ多項式による展開をしたときの回転対称成分の各重み付けを1とする
第2から第5の態様のいずれか1態様に記載のレンズ評価方法である。
本発明の第7の態様は、
眼鏡レンズの波面をフーリエ変換して得られたベクトル量に予め決められた所定のベクトル量を乗じた量を、前記眼鏡レンズの評価指標として求める工程と、
前記評価指標を用いて眼鏡レンズの設計を行う工程と、
を備えるレンズ設計方法である。
本発明の第8の態様は、
眼鏡レンズの波面をフーリエ変換して得られたベクトル量に予め決められた所定のベクトル量を乗じた量を、前記眼鏡レンズの評価指標として求める工程と、
前記評価指標を用いて前記眼鏡レンズの光学特性の適否を判定する工程と、
を備える眼鏡レンズの製造方法である。
本発明の第9の態様は、
眼鏡レンズの波面をフーリエ変換して得られたベクトル量に予め決められた所定のベクトル量を乗じた量を、前記眼鏡レンズの評価指標とする手順
をコンピュータに実行させるレンズ評価プログラムである。
本発明によれば、迅速かつ容易な処理を可能にしつつ、眼鏡レンズについての評価の適切化が図れるようになる。
眼鏡装用者が感じるランドルト環の見え方の一具体例を示す説明図であり、(a)はPSFのばらつきが最小となる見え方の例を示す図、(b)は波面収差が最小となる見え方の例を示す図、(c)は空間周波数30CPDのコントラストが最高となる見え方の例を示す図である。 ゼルニケ多項式による形状分解の一具体例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係るレンズ評価方法の手順の一例を示すフロー図である。
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
(1)発明者の知見
まず、本実施形態の具体的な説明の前に、発明者の知見について説明する。
眼鏡装用者が利用する眼鏡レンズの光学特性には、その眼鏡装用者が感じる外界の見え方の好みが反映されることがある。例えば、眼鏡装用者によっては明るさ感(PSFおよび低周波のコントラストの良さ)重視の見え方を好む者や解像感(高周波のコントラストの良さ)重視の見え方を好む者等がおり、それぞれの好みに合わせた光学特性の眼鏡レンズを提供し得ることが望ましい。
具体的には、眼鏡装用者によっては、例えば、図1(a)に示すようにPSF(Point spread function)のばらつきが最小となるフォーカス位置での見え方を好む者、図1(b)に示すように波面収差が最小となるフォーカス位置での見え方を好む者、図1(c)に示すように空間周波数30CPDのコントラストが最高となるフォーカス位置での見え方を好む者等が存在する。眼鏡レンズを透して見たときに、図1(a)~(c)のどの見え方になるかについては、その眼鏡レンズによるフォーカス位置(結像位置)を推し量ればよい。
眼鏡レンズによるフォーカス位置(結像位置)は、度数のみならず、収差(特に球面収差)の量と物体の空間周波数にも依存することが知られている。したがって、眼鏡レンズのフォーカス位置を正しく推し量るためには、収差量や物体の空間周波数等を考慮する必要がある。
このことから、眼鏡レンズの見え方(すなわち、眼鏡レンズの光学特性)の評価については、度数のみならず収差量や物体の空間周波数等も考慮した結果が得られるようにすべく、既述のように、眼鏡レンズの波面およびゼルニケ多項式を活用することが考えられる。
眼鏡レンズの波面とは、眼鏡レンズを透過し瞳で径が規定される光束の波面のことをいう。
ゼルニケ多項式は、半径1の単位円の内部で定義された関数(直交多項式)である。具体的には、以下の(1)式によって表される。
Figure 0007356940000001
(1)式において、W(x,y)は座標x,yにおける波面、Z(x,y)はj番目のゼルニケ多項式、cはj番目のゼルニケ多項式に対応するゼルニケ係数、Jは展開に用いるゼルニケ多項式の数である。
このようなゼルニケ多項式によれば、全ての面形状は、ゼルニケ多項式の足し合わせで(近似的に)表現することができる。
具体的には、例えば、ある面形状について、図2に示すように、ゼルニケ多項式によって、0次収差からn(nは自然数)次収差まで形状分解をすることができる。
なお、図中において、中央付近の枠で囲われた各成分は回転対称成分を、それ以外の各成分は非回転対称成分を、それぞれ示している。また、図中において、回転対称成分に属する2次収差の成分は一般に度数誤差(デフォーカス)と呼ばれ、当該収差の係数は波面収差が最小となるフォーカス位置に対応する。回転対称成分に属する4次収差の成分は、球面収差に相当する成分である。回転対称成分に属する各成分の係数の総和は、PSFが最小となるフォーカス位置に対応する。
以上のような眼鏡レンズの波面およびゼルニケ多項式を活用すれば、眼鏡レンズの見え方の評価の適切化が図れるようになる。しかしながら、そのために膨大な計算負荷を必要としてしまうと、多くの処理時間や高機能のハードウエア資源等が必要となり、眼鏡レンズについての評価を迅速かつ容易に行う上では好ましくない。特に、眼鏡レンズが累進多焦点レンズである場合には、有効径内全域にわたり各計測点についての計算を都度行う必要があることから、負荷増大が非常に顕著となる。
以上のことを踏まえ、本願発明者は、鋭意検討を重ねた結果、高速演算による迅速かつ容易な処理を可能にしつつ、眼鏡レンズについての評価(特に、眼鏡レンズの見え方に大きな影響を及ぼすデフォーカス、球面収差、PSF等の評価)の適切化が図れる技術に想到するに至った。以下、かかる技術について、本実施形態において具体的に説明する。
(2)高速演算の概要
上述したように、ゼルニケ多項式は、(1)式によって表される。(1)式に基づいて、評価対象となる眼鏡レンズの各座標点に対して波面の収差を求めるためには、ゼルニケ係数c(の大きさ)が分からなければならない。
ゼルニケ係数cを求めるためには、ゼルニケ係数cを未知として、各ゼルニケ多項式Z(x,y)(すなわち関数f)に未知の係数を掛けて和算し、測定形状とのフィッティング演算(最小二乗法等)を行って算出する手法を用いることが考えられる。この定式化にあたっては、疑似逆行列を利用する。疑似逆行列とは、逆行列を持てない行列に対して、数学的操作を施して、逆行列のようにしたものである。一般逆行列とも呼ばれ、例えば逆行列を非正方・非正則行列に拡張したものが相当する。
ここで、疑似逆行列をさらに詳しく説明するために、局所的な波面とゼルニケ係数との関係について考える。例えば、局所的な波面Wとゼルニケ多項式Zとゼルニケ係数cとがW=cZで表される関係にある場合、これに数学的処理を施すと、c=(ZZ)-1Wの関係が得られ、これで1組のゼルニケ係数cが求まる。右肩の「T」は行列の転置を表す。また、「-1」は逆行列を表す。このようなc=(ZZ)-1Wの関係において、「(ZZ)-1」の部分が疑似逆行列に相当する。以下、かかる疑似逆行列を単に「M」と表記することもある。
より具体的には、ゼルニケ係数と局所的な波面との関係、すなわちゼルニケ展開は、下記の(2)式で与えられる。
Figure 0007356940000002
(2)式において、Cは各ゼルニケ係数を成分数だけ並べたベクトル量、W(x,y)は波面データ全体を表すWからx,yを中心とする局所のデータ点数分をベクトルとして抜き出したもの、Zは各点、各成分のゼルニケ多項式を表す(局所のデータ点数×成分数)の行列である。
上記の(2)式による計算を、眼鏡レンズのあらゆる地点に対して行うことを考える。その場合に、疑似逆行列につき(ZZ)-1=Mとすれば、(局所のデータ点数×成分数)の行列Mを予め計算しておいて使い回すことで、(2)式を下記の(3)式のように置換することができる。
Figure 0007356940000003
(3)式によれば、行列Mを使い回すことで、一地点あたりの計算量を減らすことができるが、(局所のデータ点数×成分数)の分の計算量を要してしまう。そのため、眼鏡レンズの全地点に対して行うと、(全地点のデータ点数×局所のデータ点数×成分数)の計算量が必要になってしまう。ここで、全地点のデータ点数は、二次元データなので、一方向データ数kの二乗である。また、局所のデータ点数は、局所領域が全領域の〇〇割の面積といった与えられかたをすることから、全地点のデータ点数に比例する。これらのことを考慮すると、一成分あたりの計算量は、一方向データ数kの四乗に比例する。
この点につき、本実施形態においては、以下のような手法により、計算量の削減を図る。
眼鏡レンズのあらゆる地点でのゼルニケ展開は、以下の(4)式のような畳み込みと見做すことができる。
Figure 0007356940000004
フーリエ空間においては、畳み込みは関数同士の積として表すことができる。本実施形態においても、このことを利用する。つまり、以下の(5)式に示すように、フーリエ変換したMと、フーリエ変換したWとの積を、フーリエ逆変換することで、Cが得られるようになる。
Figure 0007356940000005
(5)式において、F-1[ ]は、[ ]内の関数のフーリエ逆変換である。F[W]は、波面Wのフーリエ変換である。F[M]は、行列Mのフーリエ変換であり、予め決められた所定のベクトル量の一例に相当する。ここでいう所定のベクトル量とは、多項式の所定の項の展開係数を得るための疑似逆行列をフーリエ変換したベクトルの量を意味するものであり、数学的に表現すると、上述のように、例えば行列Mをフーリエ変換したF[M]が相当することになる。
フーリエ変換は、O記法(オーダー記法)によれば、O(NlogN)の計算量であることが知られている。したがって、(5)式のように、フーリエ変換を用いた高速ゼルニケ展開は、nlognに比例した計算量となり、例えば、最小二乗法等によってゼルニケ展開を行う場合に比べると、大幅な計算量の削減が実現可能となる。
つまり、本実施形態においては、眼鏡レンズについての評価にあたり、その眼鏡レンズの波面Wのフーリエ変換F[W]に、予め決められた所定のベクトル量である行列Mのフーリエ変換F[M]を乗じた量を求め、その量に基づいて当該評価を行うようにする。したがって、大幅な計算量の削減が実現可能となり、評価のための計算負荷増大を抑制できるので、当該評価を迅速かつ容易に行う上で非常に好ましいものとなる。
(3)眼鏡レンズの評価手順
次に、上述した手法の高速演算を用いて眼鏡レンズについての評価を行う手順、すなわち本実施形態に係るレンズ評価方法の手順の一例について説明する。
以下に説明するレンズ評価方法の手順は、コンピュータ装置を用いて行われるものとする。すなわち、CPU(Central Processing Unit)等を有する演算部、フラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)等のメモリ、入出力インタフェース等といったハードウエア資源を備えて構成されたコンピュータ装置を用いつつ、メモリに予めインストールされた所定プログラムを演算部に実行させることにより、以下に説明する手順によるレンズ評価が行われる。
図3は、本実施形態に係るレンズ評価方法の手順の一例を示すフロー図である。
図例のように、本実施形態に係るレンズ評価方法の手順は、前処理(ステップ10、以下ステップを「S」と略す。)と、繰り返し処理(S20)とに大別される。
前処理(S10)では、まず、評価対象となる眼鏡レンズを装用予定の眼鏡装用者について、その眼鏡装用者の見え方の好みを把握する(S11)。具体的には、眼鏡装用者が、例えば、PSFのばらつきが最小となるフォーカス位置での見え方を好む者であるか、波面収差が最小となるフォーカス位置での見え方を好む者であるか、空間周波数30CPDのコントラストが最高となるフォーカス位置での見え方を好む者であるか等を把握する。眼鏡装用者の見え方の好みの把握は、例えば、コンピュータ装置の入出力インタフェースに接続された表示画面に図1に示すような各画像を出力して眼鏡装用者に視認させた上で、その眼鏡装用者がどのような見え方を好むかを入出力インタフェースから情報入力させることによって行えばよい。
眼鏡装用者の見え方の好みを把握した後は、続いて、眼鏡装用者が装用予定の眼鏡レンズについて、その眼鏡レンズの度数に球面度数をどの程度加味するかを決定する(S12)。具体的には、眼鏡装用者の見え方の好みの把握結果に基づいて、眼鏡レンズの波面の面形状に関するゼルニケ多項式の重み付け和評価における各項のゼルニケ係数cの重み付け量を決定する。ゼルニケ係数cの重み付け量を決定することで、そのゼルニケ多項式によって特定される面形状は、眼鏡装用者の見え方の好みが反映されたものとなる。
そして、ゼルニケ係数cの重み付け量を決定した後は、その決定結果をメモリに保存しておく(S13)。具体的には、ゼルニケ係数cの重み付け量を決定して得られる行列Mを、予め計算してメモリ内の所定記憶領域に保存しておく。これにより、メモリから読み出すことで、(局所のデータ点数×成分数)の行列Mを使い回すことが可能となる。
なお、メモリに保存する行列Mは、異なる重み付け量のものが複数種類存在していてもよい。
以上のような前処理(S10)を経た後に、繰り返し処理(S20)を行うことになる。繰り返し処理(S20)にあたっては、まず、評価対象となる眼鏡レンズの波面を特定する(S21)。波面の特定は、その手法が特に限定されることはなく、例えば波動光学的な計算を利用したシミュレーション処理によって行うことができる。
評価対象となる眼鏡レンズの波面を特定した後は、続いて、特定した眼鏡レンズの波面について、ゼルニケ展開を行う(S22)。
具体的には、まず、局所的なゼルニケ展開を解くための行列Mをメモリから読み出す。行列Mは、ゼルニケ多項式の項数を一つに纏める疑似逆行列に相当する。そのため、ここで行列Mを読み出して使い回すことで、ゼルニケ多項式の各項について考慮する手間を省くことができる。
行列Mを読み出したら、特定した眼鏡レンズの波面をフーリエ変換するとともに、読み出した行列Mをフーリエ変換する。そして、(5)式に示すように、フーリエ空間において、波面のフーリエ変換と行列Mのフーリエ変換とを乗じた上で、これらの積をフーリエ逆変換する。これにより、波面Wと行列Mの畳み込み((4)式参照)と同等の結果、すなわち評価対象となる眼鏡レンズのあらゆる地点でのゼルニケ展開の結果が得られる。このとき、実際に畳み込みを行うのではなく、フーリエ空間を利用した計算処理を行うので、畳み込みの分のループを1回の計算処理で済ますことができ、畳み込みを行う場合に比べると大幅な計算量の削減が実現可能となる。
その後は、ゼルニケ展開の結果に基づいて、評価対象となる眼鏡レンズについて、眼鏡装用者の好みを考慮した度数分布を評価する(S23)。このときの評価指標は、眼鏡レンズの波面のゼルニケ展開の結果を用いる。すなわち、眼鏡レンズの波面のフーリエ変換(すなわち、眼鏡レンズの波面をフーリエ変換して得られたベクトル量)に予め決められた所定のベクトル量の一例である行列Mのフーリエ変換を乗じた量、さらに詳しくはこれらの積をフーリエ逆変換して得られる量を、評価指標として用いる。
具体的には、ゼルニケ展開して得られた結果を評価指標として用い、評価対象となる眼鏡レンズについて、光学特性の一つである度数分布の適否を判定する。適否の判定は、度数分布が予め決められた判定基準に合致するか否かによって行えばよい。例えば、判定基準に合致すれば適切な度数分布であると判定し、判定基準に合致しなければ不適切な度数分布であると判定する。ここで判定される度数分布は、ゼルニケ展開して得られた結果を評価指標として用いるので、眼鏡レンズによるフォーカス位置(結像位置)が度数のみならず収差量や物体の空間周波数等も考慮されたものとなる。したがって、その判定結果は、眼鏡装用者が感じる見え方の好みが反映されたものとなり、その結果として眼鏡レンズについての評価の適切化を図ることができる。
なお、面形状が異なる眼鏡レンズについて、改めてレンズ評価を行う場合には、再び上述した繰り返し処理(S20)を行うようにすればよい。
以上のような手順を経て、本実施形態では、眼鏡レンズについてのレンズ評価を行う。つまり、本実施形態に係るレンズ評価方法は、
「眼鏡レンズの波面をフーリエ変換して得られたベクトル量に予め決められた所定のベクトル量を乗じた量を、前記眼鏡レンズの評価指標とする
レンズ評価方法。」であると言える。
また、本実施形態に係るレンズ評価方法の手順は、既述のように、コンピュータ装置を用いて行われる。その場合に、コンピュータ装置にレンズ評価方法の手順を実行させるための所定プログラムは、当該コンピュータ装置にインストール可能なものであれば、当該コンピュータ装置で読み取り可能な記録媒体(例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等)に格納されて提供されるものであってもよいし、インターネットや専用回線等のネットワークを通じて外部から提供されるものであってもよい。このようにしてコンピュータ装置にインストールされる所定プログラムは、
「眼鏡レンズの波面をフーリエ変換して得られたベクトル量に予め決められた所定のベクトル量を乗じた量を、前記眼鏡レンズの評価指標とする手順
をコンピュータに実行させるレンズ評価プログラム。」であると言える。
(4)眼鏡レンズの設計方法等
上述した手順のレンズ評価方法は、眼鏡レンズの設計方法に適用することが可能である。つまり、上述した手順で求めた評価指標を用いて眼鏡レンズの設計を行うようにしてもよい。このようにすれば、眼鏡装用者の見え方の好みを反映させた眼鏡レンズを設計することができる。つまり、本実施形態においては、
「眼鏡レンズの波面をフーリエ変換して得られたベクトル量に予め決められた所定のベクトル量を乗じた量を、前記眼鏡レンズの評価指標として求める工程と、
前記評価指標を用いて眼鏡レンズの設計を行う工程と、
を備えるレンズ設計方法。」によって、眼鏡レンズの設計を行うようにしてもよい。
このようなレンズ設計方法によれば、以下のような処理を実現することが可能である。例えば、ゼルニケ多項式において、球面収差の項についてのゼルニケ係数をCSA、行列をMSAとし、デフォーカスの項についてのゼルニケ係数をCdefocus、行列をMdefocusとする(図2参照)。この場合、本来であれば、それぞれに関して、W×MSA=CSAおよびW×Mdefocus=Cdefocusの二つの式が成り立つ。これに対して、上述のレンズ設計方法によれば、フーリエ空間を利用した計算処理を行うので、W×(MSA+Mdefocus)=CSA+Cdefocusという一つの式に纏めることが可能である。このことは、ゼルニケ係数の重み付け量を適宜調整する場合であっても、一つの式での対応が可能であることを意味する。例えば、ゼルニケ係数の重み付け量をCSAは0.5、Cdefocusは1とする場合であれば、W×(0.5×MSA+1×Mdefocus)=0.5×CSA+1×Cdefocusという一つの式での対応が可能である。したがって、レンズ設計の際に必要となる計算処理について、高い汎用性や自由度等を確保することができ、レンズ設計者にとって非常に利便性が優れたものとなる。
また、上述した手順のレンズ評価方法は、眼鏡レンズの製造方法に適用することが可能である。つまり、眼鏡レンズの製造にあたり、上述した手順で求めた評価指標を用いて、眼鏡レンズの光学特性の適否を判定するようにしてもよい。このようにすれば、眼鏡装用者の見え方の好みを反映させた眼鏡レンズを製造することができる。つまり、本実施形態においては、
「眼鏡レンズの波面をフーリエ変換して得られたベクトル量に予め決められた所定のベクトル量を乗じた量を、前記眼鏡レンズの評価指標として求める工程と、
前記評価指標を用いて前記眼鏡レンズの光学特性の適否を判定する工程と、
を備える眼鏡レンズの製造方法。」によって、眼鏡レンズの製造を行うようにしてもよい。
(5)本実施形態による効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果が得られる。
本実施形態においては、眼鏡レンズの波面をフーリエ変換して得られたベクトル量に予め決められた所定のベクトル量を乗じた量を、その眼鏡レンズの評価指標とする。そして、その評価指標として、ゼルニケ展開して得られた結果を用いる。そのため、その評価指標を用いた評価は、眼鏡レンズによるフォーカス位置(結像位置)が、度数のみならず、収差量や物体の空間周波数等も考慮されたものとなる。したがって、本実施形態における眼鏡レンズのレンズ評価は、眼鏡装用者が感じる見え方の好みが反映されたものとなり、その結果として眼鏡レンズについての評価の適切化を図ることができる。
しかも、本実施形態においては、ゼルニケ展開にあたり、眼鏡レンズの波面をフーリエ変換して得られたベクトル量に予め決められた所定のベクトル量を乗じた量を求める。そして、所定のベクトル量として、疑似逆行列をフーリエ変換したものを用いる。つまり、実際に畳み込みを行うのではなく、フーリエ空間を利用した計算処理を行う。したがって、大幅な計算量の削減が実現可能となり、評価のための計算負荷増大を抑制できる。膨大な計算負荷を必要としなければ、多くの処理時間や高機能のハードウエア資源等を必要とすることもないので、眼鏡レンズの評価を迅速かつ容易に行う上で非常に好ましいものとなる。
以上のように、本実施形態によれば、迅速かつ容易な処理を可能にしつつ、眼鏡レンズについての評価の適切化が図れるようになる。
(6)変形例等
以上に本発明の実施形態を説明したが、上述した開示内容は、本発明の例示的な実施形態を示すものである。すなわち、本発明の技術的範囲は、上述の例示的な実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
上述の実施形態では、眼鏡レンズの波面をフーリエ変換して得られたベクトル量に乗じる所定のベクトル量として行列Mのフーリエ変換を例示しているが、そのベクトル量は以下のようなものであってもよい。例えば、所定のベクトル量は、眼鏡レンズの局所的な評価範囲に対して、所定の多項式における所定の項の展開係数を得るための疑似逆行列をフーリエ変換したものであってもよい。また、例えば、ベクトル量は、眼鏡レンズの局所的な評価範囲に対して、所定の直交関数における所定の項の展開係数を得るための疑似逆行列をフーリエ変換したものであってもよい。例えば、スタイルズ・クロフォード効果を考慮した重み付き円形領域において直交する多項式等を用いてもよい。
また、例えば、上記の多項式または直交多項式において、所定の項は、ゼルニケ多項式における所定の項であってもよいし、ゼルニケ多項式における所定の複数項の重み付け和であってもよい。
また、例えば、上記の多項式または直交多項式における展開係数について、ゼルニケ多項式による展開をしたときの回転対称成分(図2参照)の各重み付けを1とするようにしてもよい。回転対称成分の各重み付けを1とすれば、PSF最小となるデフォーカス位置が算出可能となる。ただし、有意な量を持たない成分の重みは省略してもよい。
また、例えば、上記の多項式または直交多項式における展開係数について、乱視度数の評価にも適用してもよい。2階対称成分の各重み付けを1とすれば、PSF最小位置にもとづいた断面によるデフォーカス位置の乖離が算出可能となる。ただし、有意な量を持たない成分の重みは省略してもよい。

Claims (9)

  1. 眼鏡レンズの波面をフーリエ変換して得られたベクトル量に予め決められた所定のベクトル量を乗じた量を、前記眼鏡レンズの評価指標とする
    レンズ評価方法。
  2. 前記所定のベクトル量は、前記眼鏡レンズの局所的な評価範囲に対して、所定の多項式における所定の項の展開係数を得るための疑似逆行列をフーリエ変換したものである
    請求項1に記載のレンズ評価方法。
  3. 前記所定のベクトル量は、前記眼鏡レンズの局所的な評価範囲に対して、所定の直交多項式における所定の項の展開係数を得るための疑似逆行列をフーリエ変換したものである
    請求項1に記載のレンズ評価方法。
  4. 前記所定の項は、ゼルニケ多項式における所定の項である
    請求項2または3に記載のレンズ評価方法。
  5. 前記所定の項は、ゼルニケ多項式における所定の複数項の重み付け和である
    請求項2または3に記載のレンズ評価方法。
  6. 前記展開係数について、ゼルニケ多項式による展開をしたときの回転対称成分の各重み付けを1とする
    請求項2から5のいずれか1項に記載のレンズ評価方法。
  7. 眼鏡レンズの波面をフーリエ変換して得られたベクトル量に予め決められた所定のベクトル量を乗じた量を、前記眼鏡レンズの評価指標として求める工程と、
    前記評価指標を用いて眼鏡レンズの設計を行う工程と、
    を備えるレンズ設計方法。
  8. 眼鏡レンズの波面をフーリエ変換して得られたベクトル量に予め決められた所定のベクトル量を乗じた量を、前記眼鏡レンズの評価指標として求める工程と、
    前記評価指標を用いて前記眼鏡レンズの光学特性の適否を判定する工程と、
    を備える眼鏡レンズの製造方法。
  9. 眼鏡レンズの波面をフーリエ変換して得られたベクトル量に予め決められた所定のベクトル量を乗じた量を、前記眼鏡レンズの評価指標とする手順
    をコンピュータに実行させるレンズ評価プログラム。
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