JP7363652B2 - 車両の前部構造 - Google Patents
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Description
ここで図3に示す高強度部位50Hと低強度部位50Lを説明する前に、まずフロントピラー5を構成するピラー本体部10及び窓枠部20の概要について説明する。図2及び図3に示すピラー本体部10は、車両前方へ張り出す縦板状の部位であり、側面視で下部側が概ね矩形に形成されているが、その上部側の前縁は前方に向けて大きく張り出している。このピラー本体部10の前側にはアッパーメンバ6が結合されており、ピラー本体部10の後部には、図示しないヒンジを介してフロントドア4が開閉支持されている。なおアッパーメンバ6は、図4に示すように、車両内側に位置する第一メンバ6aと、車両外側に位置する第二メンバ6bとを相互に結合した閉断面構造を有している。そしてアッパーメンバ6の両メンバ6a,6bの間にピラー本体部10の前部が嵌め込まれて固定されている。
また図2に示す窓枠部20は、窓用(図2では三角窓)の枠部であり、ピラー本体部10の後部から起立する縦枠部21と、ピラー本体部10の前部と縦枠部21の間に掛け渡されて斜め上方へ延びる前後一対の斜め枠部24,25とから構成されている。ここで縦枠部21は、上方に向かうにつれて次第に後方に傾斜し、斜め枠部(24,25)に対して上方且つ後方で結合されて合流している。このように縦枠部21と斜め枠部(24,25)の合流箇所Xを、ピラー本体部10の後端よりも後方に設けることで、縦枠部21を略鉛直方向に起立させた場合よりも三角窓の視認性の確保に資する構成となっている。また車両前突の際に、縦枠部21と斜め枠部(24,25)の合流箇所X(コーナー部分)に過度の曲げモーメントが作用することを防止又は低減することができる。
そして図3~図5に示すフロントピラー5では、後述する車両前突の際に、衝撃荷重Fによる変形が許容されない高強度部位50Hと、衝撃荷重Fによる変形が許容される低強度部位50Lとが車両前後方向から隣接するように設けられる。ここで高強度部位50Hは、フロントドア4を支持可能な所定の強度を備えており、本実施例では、フロントピラー5の少なくとも一部を強度(引張強度)に優れる素材で形成することで構成されている。また低強度部位50Lは、相対的に低強度とされることで車両前方から入力された衝撃荷重Fによる変形が可能であり、本実施例では、フロントピラー5の少なくとも一部を強度に劣る素材で形成することで構成されている。そして高強度部位50Hと低強度部位50Lの強度性の差は、強度の異なる素材を使用することで設けることができ、典型的には異種の金属を用いることができる。また各強度部位50H,50Lに同種の素材(例えば同種の金属)を用いる場合には、その素材の厚みを変更したりすることで強度に差を設けることができる。そしてフロントピラー5では、その性能を適切に確保する観点から、ピラー本体部10の後部及び窓枠部20の後部(縦枠部21,後側の斜め枠部25)が高強度部位50Hとされている。またフロントピラー5では、ピラー本体部10の前部及び窓枠部20の前部(前側の斜め枠部24)が低強度部位50Lとされている。
高強度部位50Hとしてのピラー本体部10の後部では、図4及び図5に示す後側のピラーアウタパネル15及び後側のピラーインナパネル11bが強度に優れる素材で形成されている。また低強度部位50Lとしてのピラー本体部10の前部では、前側のピラーアウタパネル12及び前側のピラーインナパネル11aが強度に劣る素材で形成されている。そしてピラー本体部10では、後側のピラーアウタパネル15の前面部16が、低強度部位50Lをなす前側のピラーアウタパネル12等との境をなすように配置される。すなわち本実施例では、後側のピラーアウタパネル15の前面部16が、ピラー本体部10における高強度部位50Hと低強度部位50Lの境界部(下側の境界部51)に相当する。
ここで図4及び図5を参照して、ピラー本体部10の後部には、その強度性を構造的に向上させる柱状のリインフォースメント30が配設されている(図4では、便宜上、リインフォースメントの外形を図示する)。このリインフォースメント30は、車両外側に開口する断面ハット状に形成され、後側のピラーアウタパネル15の前面部16と後面部17の間に渡されるように配設されている。そしてリインフォースメント30を、後側のピラーアウタパネル15の締結部15aの直上に固定することで、この締結部15a(フロントドア用のヒンジ)付近の車両前後方向の強度を構造的に高めておくことができる。
また図3及び図4を参照して、ピラー本体部10の前部には、その変形を助長する脆弱部(31,32)が前後に形成されている。前側の脆弱部31は、低強度部位50Lをなす前側のピラーインナパネル11aの前部に設けられた前上ビード部31aで構成されている。また後側の脆弱部32は、前側のピラーインナパネル11aの後部に設けられた後上ビード部32aで構成されている。そして各上ビード部31a,32aは、前側のピラーインナパネル11aを局部的に左側(車幅方向)へ盛り上がらせる方向に変形させて形成され、前側のピラーインナパネル11aを縦断するように上下に直線的に延設されている。さらに本実施例では、アッパーメンバ6の第一メンバ6aに、前下ビード部31bと後下ビード部32bが形成されている。そして図3を参照して、前下ビード部31bは、第一メンバ6aを上下に縦断するように形成されて、前上ビード部31aと一連となるように配置されている。また後下ビード部32bは、第一メンバ6aを上下に縦断するように形成されて、後上ビード部32aと一連となるように配置されている。
高強度部位50Hとしての窓枠部20の後部では、図5~図7を参照して、その縦枠部21の各パネル22,23と、後側の斜め枠部25の各パネル26,27とが強度に優れる素材で形成されている。これら縦枠部21の各パネル22,23と後側の斜め枠部25の各パネル26,27とは、上述した後側のピラーアウタパネル15及び後側のピラーインナパネル11bと同等の強度を有し、典型的に同種の金属で形成することができる。また低強度部位50Lとしての窓枠部20の前部では、その前側の斜め枠部24のサイメンアウタパネルを除く各パネル(図示省略)が、強度に劣る素材で形成されており、上述した前側のピラーアウタパネル12及び前側のピラーインナパネル11aと同等の強度を有している。そして窓枠部20では、前側の斜め枠部24の後端側と後側の斜め枠部25の前端側とが、車両前後方向から連結され、これらの境に見切り線29が設けられている。すなわち本実施例では、前側の斜め枠部24と後側の斜め枠部25の見切り線29が、各斜め枠部24,25における高強度部位50Hと低強度部位50Lの境界部(上側の境界部52)に相当する。なお前側の斜め枠部24と後側の斜め枠部25の断面寸法(サイメンアウタパネルを除いた断面寸法)は同等でもよいが、変形が予定されている前側の斜め枠部24の断面寸法を相対的に小さくして視界を確保しておくこともできる。
図5を参照して、後側のピラーアウタパネル15の前面部16は、ピラー本体部10における各強度部位50H,50Lの下側の境界部51に相当する。また前側の斜め枠部24と後側の斜め枠部25の見切り線29は、各斜め枠部24,25における各強度部位50H,50Lの上側の境界部52に相当する。そしてフロントピラー5では、下側の境界部51である前面部16と、上側の境界部52である見切り線29とを、車両前後方向において位置合わせして形成している。こうして上下の各境界部51,52を位置合わせすることで、後述するように、フロントピラー5の衝撃伝達性と衝撃吸収性をより適切に両立させることが可能となる。
図1及び図2に示す車両2では、前突事故の状況を再現するために微小ラップ衝突試験が行なわれることがあり、同試験では、立木や電柱を模した障害物(図示省略)に車両2を衝突させる。そして微小ラップ衝突では、車両2の前部の左側(又は右側)に入力された衝撃荷重Fを左側(又は右側)のフロントピラー5で受け止めることとなる。この種の構成では、フロントピラー5の衝撃伝達性と衝撃吸収性をより適切に両立させて、フロントドア4の開閉性をより確実に確保することが望ましい。
図5及び図8を参照して、フロントピラー5では、その衝撃吸収性を確保するために、ピラー本体部10の前部及び窓枠部20の前部が低強度部位50Lとされている。そして図5に示す窓枠部20では、車両前突の際に、低強度部位50Lとしての前側の斜め枠部24が、上側の境界部52(見切り線29)を基点に車両内側に折れ変形して衝撃荷重Fを吸収する(図5の矢線F1を参照)。また図8に示すピラー本体部10では、低強度部位50Lとしての前部が、下側の境界部51(後側のピラーアウタパネル15の前面部16)を基点に、車両内側に折れつつ後方に潰れ変形して衝撃荷重Fを吸収する(図8の矢線F2を参照)。そして本実施例では、図5に示すようにピラー本体部10と各斜め枠部24,25とにおいて、低強度部位50Lと高強度部位50Hの各境界部51,52が位置合わせされている。このため前側の斜め枠部24及びピラー本体部10の前部は、高強度部位50Hに極力邪魔されることなく、スムーズに変形していくことができる。こうしてピラー本体部10の前部及び窓枠部20の前部が変形して衝撃荷重Fを吸収することにより、後述する高強度部位50Hへの衝撃荷重Fの過度の伝達を抑制することができる。
また図5及び図8を参照して、フロントピラー5では、その衝撃伝達性を確保するために、ピラー本体部10の後部及び窓枠部20の後部が高強度部位50Hとされている。このため車両前突時の衝撃荷重Fは、高強度部位50Hとしてのピラー本体部10の後部と窓枠部20の後部(縦枠部21)で受けられて、ルーフパネル7等の車両ボディに伝達されることとなる。このときピラー本体部10の後部と縦枠部21が相対的に強度性に優れて変形しにくいことから、フロントドア4の開閉性を確保しつつ、衝撃荷重Fを車両ボディ3に伝達することが可能となる。そして図5に示すようにピラー本体部10と各斜め枠部24,25とにおいて、低強度部位50Lと高強度部位50Hの各境界部51,52が位置合わせされている。このためピラー本体部10の後部と縦枠部21とは、低強度部位50Lに極力邪魔されることなく、衝撃荷重Fを車両ボディにより確実に伝達することができる。さらに後側のピラーアウタパネル15の締結部15aの直上にはリインフォースメント30が配設されているため、この締結部15aが変形するといった事態を極力回避でき、フロントドア4の開閉性をより適切に確保することが可能となっている。そして高強度部位50Hとしての後側の斜め枠部25とピラー本体部10の後部とによって、ウインドガラスWGを適切に保持することができ、このウインドガラスWGが大幅に剥がれるといった事態を防止又は低減することができる。
3 車両ボディ
4 フロントドア
5 フロントピラー
6 アッパーメンバ
6a 第一メンバ
6b 第二メンバ
7 ルーフパネル
10 ピラー本体部
11 ピラーインナパネル
11a 前側のピラーインナパネル
11b 後側のピラーインナパネル
11H 貫通孔
12 前側のピラーアウタパネル
13 前端面部
13a 前端フランジ
14 (前側のピラーアウタパネルの)後端
15 後側のピラーアウタパネル
15a 締結部
16 前面部
16a 前部フランジ
17 後面部
17a 後部フランジ
20 窓枠部
21 縦枠部
22 縦インナパネル
22a 第一フランジ部
22b 第三フランジ部
23 縦アウタパネル
23a 第二フランジ部
23b 第四フランジ部
24 前側の斜め枠部
25 後側の斜め枠部
26 斜インナパネル
26a 第五フランジ部
26b 第七フランジ部
27 斜アウタパネル
27a 第六フランジ部
27b 第八フランジ部
28 サイメンアウタパネル
29 見切り線
30 リインフォースメント
31 前側の脆弱部
31a 前上ビード部
32 後側の脆弱部
32a 後上ビード部
31b 前下ビード部
32b 後下ビード部
50H 高強度部位
50L 低強度部位
51 下側の境界部(ピラー本体部における高強度部位と低強度部位の境界部)
52 上側の境界部(斜め枠部における高強度部位と低強度部位の境界部)
FG フロントガラス
WG ウインドガラス
X 合流箇所
Claims (3)
- フロントドアを支持するピラー本体部の上部に窓用の窓枠部を有するフロントピラーと、前記フロントピラーの前部に結合された状態で車両前後方向に延びるアッパーメンバとを備え、前記ピラー本体部の前部上側は、アッパーメンバ側に張り出すように設けられていると共に、前記窓枠部は、前記ピラー本体部から上方へ起立する縦枠部と、前記ピラー本体部の前部と前記縦枠部との間に掛け渡された斜め枠部とを有している車両の前部構造において、
前記ピラー本体部と前記窓枠部には、各々、前記フロントドアを支持するために所定の強度を備えた高強度部位と、前記高強度部位よりも低強度とされることにより車両前方から入力された荷重による変形が可能な低強度部位とが車両前後方向から隣接するように設けられており、
前記ピラー本体部における前記高強度部位と前記低強度部位の境界部と、前記窓枠部の前記斜め枠部における前記高強度部位と前記低強度部位の境界部とが、車両前後方向において位置合わせされた状態で形成されており、
前記ピラー本体部の前部上側に設けられた低強度部位と前記アッパーメンバとには、各々、車両前方から入力された荷重による変形を助長する脆弱部が上下方向に延びるように形成されていると共に、前記ピラー本体部の低強度部位の脆弱部と前記アッパーメンバの脆弱部とは、車両前後方向において位置合わせされることで上下方向に一連となるように配置されている車両の前部構造。 - 前記脆弱部の少なくとも一つは、前記低強度部位を構成する縦板状の前記ピラー本体部を車幅方向に盛り上がらせる方向に変形させて形成されたビード部であり、
前記ビード部は、前記ピラー本体部に対して上下方向に延設されている請求項1に記載の車両の前部構造。 - 前記低強度部位は、前記高強度部位の車両前側に隣接して設けられている請求項1又は2に記載の車両の前部構造。
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2020
- 2020-04-14 JP JP2020072370A patent/JP7363652B2/ja active Active
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