JP7365566B2 - 非水電解液二次電池 - Google Patents
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Description
特許文献1には、正極集電体としての金属製芯体箔上と、正極合材未塗工部分(正極集電体露出部)を残しつつ金属製芯体箔上に設けられた正極活物質合剤層(正極合材層)と、正極合材未塗工部分に設けられた絶縁層と、を備える正極が開示されている。特許文献1では、このような絶縁層を設けることによって、正極および負極の内部短絡を防止することができると記載されている。
そこで、本発明は、上記課題を解決すべく創出されたものであり、その目的とするところは、非水電解液二次電池のハイレート性能の向上と安全性の向上とを両立し得る技術を提供することである。
上記正極は、正極集電体と、上記正極集電体が露出した正極集電体露出部を残して、該正極集電体の表面に配置された正極合材層と、上記正極合材層の所定の一の幅方向において、該正極合材層の一方の端部と上記正極集電体露出部との境界に沿って配置された、無機フィラーを含む絶縁層と、を備える。上記セパレータの表面における上記非水電解液の接触角は45°以上61°以下であり、かつ、上記絶縁層の表面における上記非水電解液の接触角は3.9°以上12°以下である。
かかる構成によると、ハイレート性能の向上と安全性の向上とが両立された非水電解液二次電池が提供される。
本明細書において数値範囲を示す「A~B」の表記は、A以上B以下を意味し、Aを上回るものでBを下回るものを包含する。
図示されるように、非水電解液二次電池100は、扁平形状の捲回電極体20と、扁平な角形の電池ケース(即ち外装容器)30と、非水電解液80とを備えている。以下、各々について説明する。
電池ケース30には、外部接続用の正極端子42および負極端子44と、電池ケース30の内圧が所定レベル以上に上昇した場合に、該内圧を開放するように設定された薄肉の安全弁36とが設けられている。また、電池ケース30には、図示されない注液孔が設けられており、非水電解液80は、この注液孔から電池ケース30に注入される。正極端子42は、正極集電板42aと電気的に接続されている。負極端子44は、負極集電板44aと電気的に接続されている。
非水溶媒の好適例は、例えば、カーボネート類、エステル類、エーテル類等の非プロトン性溶媒である。なかでも、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)等の環状カーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等の鎖状カーボネート、および、これらのカーボネートがフッ素化されたフッ素化鎖状またはフッ素化環状カーボネートを、1種または2種以上含むことが好ましい。
支持塩の好適例は、例えば、LiPF6、LiBF4等のリチウム塩である。
電解液中のリチウム塩の濃度は、例えば0.8~1.3mol/Lとすることができる。非水電解液80は、その他、被膜形成剤、過充電防止剤などの添加剤を含むことができる。
図1,2に示されるように、捲回電極体20は、長尺シート状の正極50と、長尺シート状の負極60と、長尺シート状のセパレータ70とを備えている。捲回電極体20は、正極50と、負極60とが、2枚のセパレータ70を介して重ね合わされて長手方向に捲回された形態を有する。
正極50は、正極集電体52上に配置された絶縁層56を備える。絶縁層56は、正極合材層54の端部に沿って配置されており、正極50の面方向において、正極合材層54と、正極集電体露出部52aとの間に位置している。絶縁層56は、Y方向において、正極合材層54と、正極集電体露出部52aとの境界に配置されている。絶縁層56は、正極集電体52の両面に配置されてもよく、片面に配置されてもよい。
正極集電体露出部52aには、正極集電板42aが接合されている。
図示されるように、正極合材層54は、本体部A1と、本体部A1よりも正極集電体露出部52aの近くに設けられ、正極合材層54のY1方向の端部(端部E2)を含む端部A2とを有している。
本体部A1は、正極集電体52の表面に形成されている。本体部A1は、厚みが略一定である。本体部A1の平均厚みは、特に限定されないが、概ね10μm~200μm、典型的には20μm~150μm、例えば40μm~100μmとすることができる。本体部A1は、正極合材層54の幅方向Yの中心を含んでいる。
端部A2のY方向の長さは、典型的には、本体部A1のY方向の長さよりも短い。
正極合材層54は、活物質以外の成分、例えば導電材、バインダ、リン酸リチウム等を含み得る。導電材としては、例えばアセチレンブラック(AB)等のカーボンブラックやその他(例、グラファイト等)の炭素材料を好適に使用し得る。バインダとしては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)等を使用し得る。
ここで開示される技術によると、正極合材層54の高さと、絶縁層56の高さとを好適な範囲に調整すると、正極合材層54に非水電解液をより効率よく含浸させることができる。
正極合材層54の高さH1は、図3に示されるように、正極集電体52の表面から、本体部A1の表面までの積層方向Xにおける長さである。高さH1は、本体部A1の平均厚みと同程度であり得る。絶縁層56の高さH2は、図示されるように、正極集電体52の表面から、絶縁層56の表面までのX方向における最大長さである。
正極合材層54の高さH1と絶縁層56の高さH2との比(H2/H1)は、非水電解液を効率よく正極合材層54に含浸させる観点から、1以下(例えば1未満)であり、好ましくは0.96以下である。上記比(H2/H1)は、例えば0.95以下、0.9以下、0.85以下、0.8以下、0.75以下とすることができる。比(H2/H1)をこのような範囲に設定することによって、非水電解液に対して正極合材層54(典型的には端部A2)の一部を露出させることができ、毛細管現象によって正極合材層54に非水電解液を含浸させることができる。一方、毛細管現象によって正極合材層54に効率よく電解液を流入させる観点からは、比(H2/H1)は、0.6以上(例えば0.62以上)とすることができ、0.65以上とすることが好ましく、0.7以上(例えば0.71以上)とすることがさらに好ましい。上記比(H2/H1)をかかる範囲内に設定することによって、より好適に本発明の効果を実現することができる。
絶縁層56は、無機フィラー以外の任意成分、例えばバインダや各種添加成分を含んでいてもよい。バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン系バインダ、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アクリル樹脂、スチレンブタジエンゴム(SBR)等を使用し得る。バインダは、正極合材層54のバインダと同じ種類であってもよく、異なる種類であってもよい。
絶縁層56の、非水電解液に対する濡れ性(即ち、上記接触角)をかかる範囲に設定することによって、正極合材層54への非水電解液の含浸効率を向上させることができる。また、かかる構成は、非水電解液二次電池100における、ハイレート性能の向上と安全性とを両立させることができる。
負極合材層64は、活物質以外の成分、例えばバインダや増粘剤等を含み得る。バインダとしては、例えばスチレンブタジエンラバー(SBR)等を使用し得る。増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)等を使用し得る。
非水電解液80に対するセパレータ70の濡れ性が大きすぎると、セパレータ70が非水電解液80を吸収するため、正極合材層54への非水電解液80の含浸が低減し得る。一方、非水電解液80に対するセパレータ70の濡れ性が小さすぎると、液だまりが生じて、正極合材層54への非水電解液80の含浸が低減し得る。非水電解液80に対するセパレータ70の濡れ性を適度な範囲に調整することによって、非水電解液二次電池100のハイレート性能を向上させることができる。
非水電解液二次電池100は、各種用途に利用可能である。好適な用途としては、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、ハイブリッド自動車(HV)等の車両に搭載される駆動用電源が挙げられる。リチウムイオン二次電池100は、典型的には複数個を直列および/または並列に接続してなる組電池の形態でも使用され得る。
そして、例として扁平形状の捲回電極体20を備える角形の非水電解液二次電池100について説明した。しかしながら、非水電解液二次電池は、積層型電極体を備える非水電解液二次電池として構成することもできる。また、非水電解液二次電池は、円筒形、ラミネート型等として構成することもできる。また、ここで開示される技術は、リチウムイオン二次電池以外の非水電解質二次電池にも適用可能である。
なお、非水電解液二次電池100の構築方法については、その一例を下記実施例に示している。
<<実施例1:接触角の大きさの検討>>
<1.サンプル電池の構築>
サンプル電池として、例1~13にかかる非水電解液二次電池を構築した。
-例1-
正極活物質としてのリチウムニッケルコバルトマンガン含有複合酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2:NCM)と、導電助剤としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、NCM:AB:PVdF =90:8:2の質量比で配合し、溶媒としてのN-メチル-2-ピロリドン(NMP) と混練することで正極ペーストを調製した。
無機フィラーとしてのベーマイトと、バインダとしてのPVdFとを、NMP中で混合して、絶縁層ペーストを調製した。
正極集電体として、厚さ12μmの長尺のアルミニウム箔を用意した。該アルミニウム箔の両面に、ダイコーターを用いて上記正極ペーストと、絶縁層ペーストとを同時に塗工し、乾燥し、プレスした。かかる塗工は、アルミニウム箔の長尺方向に沿って行い、該アルミニウム箔には、幅方向の一の端部に沿って、正極合材層を形成しない未塗工部を設けた。このようにして、正極集電体と、正極合材層と、絶縁層とを備えた正極を用意した。絶縁層の表面に、サンプル電池構築後に、絶縁層の表面における非水電解液の接触角が3.9°となるように、非水電解液をはじく性質の撥液剤を塗布した。
次いで、正極および負極を、セパレータを介在させつつ交互に積層して捲回し、押しつぶして捲回電極体を作製した。捲回電極体と外部端子(正極端子、負極端子)とを電気的に接続した後、非水電解液とともに電池ケース内に収容した。電池ケースを密閉して、例1にかかるサンプル電池を構築した。なお、非水電解液として、有機混合溶媒(EC:EMC:DMC=3:3:4)に支持塩(LiPF6)を約1mol/Lの濃度で溶解させたものを使用した。
絶縁層の表面に、サンプル電池構築後に、絶縁層の表面における非水電解液の接触角が表1に示す接触角となるように撥液剤を塗布した。セパレータ表の面に、サンプル電池構築後に、該セパレータの表面における非水電解液の接触角が表1に示す接触角となるように撥液剤を塗布した。それ以外は、例1にかかるサンプル電池の構築において使用した材料および手順によって、例2~12にかかるサンプル電池を構築した。
無機フィラーとしてのベーマイトと、バインダとしてのPVdFとをNMP中で混合して、絶縁層ペーストを調製した。このような絶縁層ペーストを、セパレータにおいて正極と対向する一面であって、正極合材層と対向する部分に、グラビアロールにより塗布して乾燥することによって、かかるセパレータの表面上に、絶縁層を形成した。セパレータとして、サンプル電池構築後に、該セパレータの表面における非水電解液の接触角が11°となるセパレータ(従来品)を使用した。また、例13においては、絶縁層は、正極合材層の所定の一の幅方向の一方の端部に沿って配置されなかった。それ以外は、例1にかかるサンプル電池の構築において使用した材料および手順によって、例13にかかるサンプル電池を構築した。
上記各例にかかるサンプル電池に対して、初期充電を行った。
具体的には、25℃において、電圧が4.2Vとなるまで1/3Cのレートで定電流充電した後、電流が1/50Cとなるまで定電圧充電した。次に、電圧が3.0Vとなるまで1/3Cのレートで定電流放電した。なお、「1C」とは、正極活物質の理論容量から予測される電池容量(Ah)を1時間で充電できる電流値を意味する。
次いで、サンプル電池に対してハイレート充放電を繰り返すサイクル試験を実施した。
まず、25℃に設定された恒温槽内にサンプル電池を配置し、SOC(state of charge)を60%に調整した。次に、下記のパルス充電とパルス放電との組み合わせを1サイクルとした充放電サイクルを所定サイクル数行った。そして、初期(1サイクル目)のIV抵抗を100%として、上記所定サイクル数の後のサンプル電池のIV抵抗を「ハイレート抵抗増加率」として算出した。結果を表1の該当欄に示す。
パルス充電:電流=10C、充電時間= 80秒
パルス放電:電流= 2C、放電時間= 400秒
上記各例にかかるサンプル電池に対して、過充電試験を行った。
具体的には、サンプル電池に対し、まず、25℃の温度環境下にて、4.2Vまで1/3Cでのレートで定電流充電して5分間休止したのち、3.0Vまで1/3Cのレートで定電流放電するコンディショニング処理を施した。各サンプル電池の電池ケースの外側中心に熱電対を取付けた。次いで、-10℃の温度環境下において、10Cの定電流で、サンプル電池を25Vまで過充電した。そして、正極と負極とを導通させてサンプル電池をシャットダウンさせた。サンプル電池のシャットダウンから30秒後の、電池の発熱による温度上昇率(ΔT)を測定して、各サンプル電池の過充電耐性を評価した。
結果を表1の該当欄に示す。なお、ΔTが10℃未満であったサンプル電池について、過充電耐性有り、と評価した。ΔTが10℃以上であったサンプル電池について、過充電耐性無し、と評価した。表1においては、「〇」は過充電耐性有り、「×」は過充電耐性無し、を示している。
<1.サンプル電池の構築>
-例14~18-
セパレータとして、PP/PE/PPの三層構造の多孔性ポリオレフィンシートを用意した。セパレータの表面に、サンプル電池構築後に、該セパレータの表面における非水電解液の接触角が61°となるように、非水電解液をはじく性質の撥液剤を塗布した。
セパレータとして上記の材料を使用した。正極ペーストおよび絶縁層ペーストを正極集電体としてのアルミ箔に、絶縁層高さおよび正極合材層高さの比が表2に示される値となるように塗布された。また、絶縁層の表面に、サンプル電池構築後に、絶縁層の表面における非水電解液の接触角が12°となるように、非水電解液をはじく性質の撥液剤を塗布した。それ以外は、例1にかかるサンプル電池の構築において使用した材料および手順によって、例14~18にかかるサンプル電池を構築した。
上記実施例1と同様の方法で、例14~18にかかるサンプル電池のハイレート抵抗増加率(%)を測定した。そして、例18にかかるサンプル電池のハイレート抵抗増加率(%)に対する、例14~17にかかるサンプル電池のハイレート抵抗増加率(%)の比を、「ハイレート抵抗増加比」として算出した。結果を表2の該当欄に示す。
表2に示されるように、例14~18を比較すると、絶縁層の高さが、正極合材層よりも低いと、ハイレート抵抗増加率が減少する傾向にあることが確認された。また、例15~17にみられるように、上記高さ比が0.71~0.90の範囲内であると、ハイレート抵抗増加率の減少効果をより好ましく実現し得ることが確認された。
なお、詳細なデータは示していないが、例14~18にかかるサンプル電池は、いずれも良好な過充電耐性を有することが確認されている。
30 電池ケース
32 ケース本体
34 蓋体
36 安全弁
42 正極端子
42a 正極集電板
44 負極端子
44a 負極集電板
50 正極
52 正極集電体
52a 正極集電体露出部
54 正極合材層
56 絶縁層
60 負極
62 負極集電体
62a 負極集電体露出部
64 負極合材層
70 セパレータ
80 非水電解液
100 非水電解液二次電池
X 方向
Y 方向
H1 正極合材層の高さ
H2 絶縁層の高さ
A1 本体部
A2 端部
S 傾斜面
Claims (1)
- 正極および負極がセパレータを介在させつつ交互に積層された構造の電極体と、非水電解液とを備える非水電解液二次電池であって、
前記正極は、
正極集電体と、
前記正極集電体が露出した正極集電体露出部を残して、該正極集電体の表面に配置された正極合材層と、
前記正極合材層の所定の一の幅方向において、該正極合材層の一方の端部と前記正極集電体露出部との境界に沿って配置された、無機フィラーを含む絶縁層と、
を備え、
前記セパレータの表面における前記非水電解液の接触角は56°以上61°以下であり、かつ、前記絶縁層の表面における前記非水電解液の接触角は3.9°以上12°以下である、非水電解液二次電池。
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