図1に示す本開示の一実施形態によるモビリティサービスシステムは、多数のサービス車両SVの走行を運行マネージャ110によって管理し、サービス車両SVによるユーザUへの移動空間の提供を実現している。図1及び図2に示す運行マネージャ110は、運行管理のために、個々のサービス車両SVの運行ルートを生成し、生成した運行ルートを各サービス車両SVに提供する。サービス車両SVは、運行マネージャ110より取得する運行ルートに従い、例えば路線バスのように予め設定された運行ルートを定期的に走行し、ユーザUに移動手段を提供する。
モビリティサービスシステムには、運行マネージャ110及びサービス車両SVに加えて、モビリティサービス提供の対価を徴収する決算システム、交通情報配信サーバ170、気象情報配信サーバ190及び多数の充電ステーションCS等が関連している。これらの構成は、それぞれネットワークNWに接続されており、相互に通信可能である。以下、交通情報配信サーバ170、気象情報配信サーバ190、充電ステーションCS、サービス車両SV、及び運行マネージャ110の詳細を順に説明する。
交通情報配信サーバ170及び気象情報配信サーバ190は、クラウド上に設置された情報配信サーバである。交通情報配信サーバ170は、道路又はその近傍に設置された多数のトラフィックカウンタ等の計測器から、各道路を通過する車両の数及び車速等の情報、並びに道路近傍を往来するヒトの数及び移動速度等の情報をする。交通情報配信サーバ170は、実際に道路を走行した多数の車両から、位置情報及び車速情報等を収集する。交通情報配信サーバ170は、移動中の歩行者等が所持する携帯端末から、位置情報及び移動速度情報等を収集する。
交通情報配信サーバ170は、計測器及び各車両から収集した情報の分析に基づき、各道路区間における道路の混雑情報、渋滞情報及び通行止め情報等の道路情報を生成する。こうした道路情報の生成にあたり、交通情報配信サーバ170は、道路工事等に伴う交通規制情報を利用してもよい。さらに、交通情報配信サーバ170は、計測器及び各携帯端末から収集したヒトの往来に関連する情報の分析に基づき、道路近傍におけるヒトの流れ具合及び混在度合いを示した混雑マップを生成する。交通情報配信サーバ170は、生成した道路情報及び道路周辺の混雑マップを、ネットワークNWを通じて、運行マネージャ110及びサービス車両SV等に配信する。
気象情報配信サーバ190は、各地に設置された気象計測器から収集する計測情報に基づき、気象情報を生成する。気象情報には、外気温、湿度、気圧、風向、風量、日射量、路面からの輻射熱量、降雨量及び降雪等について、現在の観測値と所定時間(例えば10分)毎の予想値とが含まれている。気象情報としての観測値及び予測値は、所定距離(例えば数百m~1km程度)のメッシュ状に区切られた範囲毎、又は所定間隔で設定されたポイント毎に生成される。気象情報配信サーバ190は、生成した気象情報を、ネットワークNWを通じて、運行マネージャ110及びサービス車両SV等に配信する。
充電ステーションCSは、サービス車両SVに搭載される走行用のメインバッテリ22を充電するインフラ施設である。充電ステーションCSは、モビリティサービスの提供対象となる特定地域に、分散して設置されている。充電ステーションCSは、例えばショッピングモール、コンビニエンスストア及び公共施設等の各駐車場に設置されている。
充電ステーションCSには、サービス車両SVと直接的又は間接的に電気接続可能な充電器が設けられている。充電器は、電力網を通じて供給される交流電力、又は太陽光発電システム等から供給される直流電力を用いて、サービス車両SVに搭載されたメインバッテリ22を充電する。充電ステーションCSは、現在又は将来の充電器の空き状況を示す使用可否情報、及び充電器の充電能力を示す仕様情報等を、ネットワークNWを通じて、運行マネージャ110及びサービス車両SV等に提供する。
サービス車両SVは、運転者による運転操作がない状態で自律走行可能な自動運転車である。サービス車両SVには、自律走行を可能にするための構成として、外界センサ91、ロケータ92、DCM93、及びADコンピュータ90が搭載されている。さらに、サービス車両SVには、複数の消費ドメインDEc、給電ドメインDEs、充電システム50、及びエネルギマネージャ100が搭載されている。
外界センサ91は、歩行者及び他の車両等の移動物体、並びに路上の縁石、道路標識、道路標示、及び区画線等の静止物体を検出する。サービス車両SVには、例えばカメラユニット、ライダ、ミリ波レーダ、及びソナー等が外界センサ91として搭載されている。
ロケータ92は、衛星測位システムの複数の測位衛星から、測位信号を受信可能なアンテナを有している。ロケータ92は、受信した測位信号に基づき、サービス車両SVの位置を計測する。
DCM(Data Communication Module)93は、サービス車両SVに搭載される通信モジュールである。DCM93は、LTE(Long Term Evolution)及び5G等の通信規格に沿った無線通信により、サービス車両SVの周囲の基地局BSとの間で電波を送受信する。DCM93の搭載により、サービス車両SVは、ネットワークNWに接続可能なコネクテッドカーとなる。
AD(Automated Driving)コンピュータ90は、運行マネージャ110と連携し、運行ルートに基づくサービス車両SVの自律走行を実現させる。ADコンピュータ90は、処理部、RAM、記憶部、入出力インターフェース、及びこれらを接続するバス等を備えた車載コンピュータである。ADコンピュータ90は、運行マネージャ110によって送信された運行ルートを、DCM93を通じて取得する。
ADコンピュータ90は、外界センサ91より取得する物体情報、及びロケータ92より取得する位置情報等に基づき、サービス車両SVの周囲の走行環境を認識し、サービス車両SVを運行ルートに従って走行させるための予定走行経路を生成する。ADコンピュータ90は、予定走行経路に基づく走行を実現させる駆動、制動及び操舵の各制御量を演算し、各制御量を指示する制御コマンドを生成する。ADコンピュータ90は、生成した制御コマンドを、後述の運動マネージャ30へ向けて逐次出力する。
ADコンピュータ90は、外界センサ91の前方カメラの撮像データ及びサービス車両SVに搭載された加速度センサの計測データ等の解析に基づき、サービス車両SVが走行した路面の路面情報を収集する。路面情報は、各道路区間の路面に生じた凹凸の状態、及び舗装の荒れ具合を示す情報である。ADコンピュータ90は、ロケータ92の位置情報と紐づけた状態で、生成した路面情報を、運行マネージャ110へ向けて送信する。
消費ドメインDEcは、メインバッテリ22等の電力の使用により、種々の車両機能を実現する車載機器群である。一つの消費ドメインDEcは、少なくとも一つのドメインマネージャを含んでおり、このドメインマネージャによって電力の消費を管理されるひと纏まりの車載機器群である。複数の消費ドメインDEcには、運転制御ドメインDDc及び空調制御ドメインが含まれている。
運転制御ドメインDDcは、サービス車両SVの走行を制御する消費ドメインDEcである。運転制御ドメインDDcには、モータジェネレータ31、インバータ32、ステア制御システム33、ブレーキ制御システム34、サスペンション制御システム35、及び運動マネージャ30が含まれている。
モータジェネレータ31は、サービス車両SVを走行させるための駆動力を発生させる駆動源である。インバータ32は、モータジェネレータ31による力行及び回生を制御する。インバータ32は、モータジェネレータ31による力行時において、メインバッテリ22より供給される直流電力を三相交流電力に変換し、モータジェネレータ31に供給する。インバータ32は、交流電力の周波数、電流、及び電圧を調節可能であり、モータジェネレータ31の発生駆動力を制御する。一方、モータジェネレータ31による回生時において、インバータ32は、交流電力を直流電力に変換し、メインバッテリ22に供給する。
ステア制御システム33は、サービス車両SVのステアリング機構と一体的に設けられている。ステア制御システム33は、サービス車両SVの操舵輪の操舵角を、アクチュエータの作動によって制御する。ブレーキ制御システム34は、サービス車両SVの各輪に設けられたブレーキ装置のブレーキ圧を制御するアクチュエータを有している。ブレーキ制御システム34は、アクチュエータの作動により、各輪に発生させる制動力を制御する。
サスペンション制御システム35は、サービス車両SVの各輪を支持する懸架装置と一体的に設けられている。サスペンション制御システム35は、個々の懸架装置と車体との間に介在し、ばね定数、車高及び減衰力等を、アクチュエータの作動によって調整する。一例として、サスペンション制御システム35は、各懸架装置と車体との間に介在させたエアスプリングの充填空気量をアクチュエータによって増減させ、ばね定数及び車高の調整を可能にする。またサスペンション制御システム35は、電動ポンプで発生させた油圧を利用して、車体を昇降可能な構成であってもよい。さらに、サスペンション制御システム35は、オイルダンパに設けられたオリフィス径をアクチュエータの作動によって増減させ、オリフィスを通過するオイルの流れを制御することにより、減衰力の調整を可能にしている。
運動マネージャ30は、ADコンピュータ90と電気的に接続された車載コンピュータである。運動マネージャ30は、駆動、制動及び操舵等の各制御量を示した制御コマンドを、ADコンピュータ90より取得する。運動マネージャ30は、制御コマンドに基づき、インバータ32、ステア制御システム33、ブレーキ制御システム34を統合的に制御し、予定走行経路をトレースするようにサービス車両SVを自律走行させる。
さらに、運動マネージャ30は、ADコンピュータ90にて緊急回避の実施が決定された場合、ADコンピュータ90より取得する制御コマンドに基づき、サービス車両SVの挙動を強制制御する。具体的に、運動マネージャ30は、ブレーキ制御システム34による急制動の実施、及びステア制御システム33による障害物の回避操舵等を、緊急回避行動として実行する。
また運動マネージャ30は、ADコンピュータ90と連携し、サービス車両SVの乗り心地を向上させる複数の制御を実施する。換言すれば、運動マネージャ30は、メインバッテリ22の電力を使用して、サービス車両SVの乗り心地、ひいては運行品質を確保する制御を実施する。
乗り心地向上のための一つ目の制御として、運動マネージャ30は、居室空間の縦揺れ及び横揺れを抑制するように、加減速制御及び操舵制御を実施する。具体的に、運動マネージャ30は、乗客に作用する前後方向及び左右方向の加速度の変動(ジャーク)を抑制するように、モータジェネレータ31及びステア制御システム33を統合制御する。
乗り心地向上(車体安定化)のための二つ目の制御として、運動マネージャ30は、サービス車両SVが強い横風(例えば、風速10m以上)を受けている場合に、ステア制御システム33及びサスペンション制御システム35の各アクチュエータを作動させる。具体的に、ステア制御システム33は、サービス車両SVを安定的に直進走行させるため、操舵輪の舵角を緻密に補正する制御を実施する。さらに、サスペンション制御システム35は、サービス車両SVの車体を風上側に傾けるようにエアスプリングに充填する空気量を調整し、車両姿勢を安定化させる。
乗り心地向上のための三つ目の制御として、運動マネージャ30は、サスペンション制御システム35と連携し、減衰力の最適化制御を行う。具体的に、サスペンション制御システム35は、ADコンピュータ90にて生成される路面情報及び加速度センサの計測データ等を用いて、路面入力に伴うヒーブ、ロール及びピッチ等の姿勢変化を感知する。サスペンション制御システム35は、感知した姿勢変化を相殺するように、各オイルダンパの減衰力を、能動的又は受動的に自動調整する。こうした制御により、路面の状態が悪くても、サービス車両SVの乗り心地は、良好な状態に維持される。
加えて運動マネージャ30は、運行品質を向上させる別の制御として、サスペンション制御システム35のアクチュエータの作動により、ユーザUの乗降支援を実施する。詳記すると、運動マネージャ30は、サスペンション制御システム35と連携し、ユーザUの乗降するタイミングで、路面に対して車体を下げるニーリングを実施する。こうしたニーリングにより、居室空間の床面高さが一時的に下げられることによれば、例えば車椅子で利用するユーザUの利便性向上が実現される。
以上の運動マネージャ30は、運転制御ドメインDDcのドメインマネージャとして機能し、運転制御ドメインDDcの各構成による電力の消費を総合的に管理する。運動マネージャ30は、運転制御ドメインDDcについて、瞬間的な電力の使用上限と、特定期間での電力量の消費上限とを、エネルギマネージャ100から取得する。運動マネージャ30は、使用上限及び消費上限を超えないように、制御対象の各構成にて使用される電力及び電力量を制御する。運動マネージャ30は、使用上限及び消費上限を超えそうな場合、乗り心地向上のための制御から順に停止させ、走行のための機能による電力消費を優先する。尚、上記の特定期間は、例えば一つの運行ルートの走行開始から走行完了までの期間である。
空調制御ドメインは、サービス車両SVの居室空間の空気調和と、メインバッテリ22の温度調整とを実施する消費ドメインDEcである。空調制御ドメインには、HVAC(Heating, Ventilation, and Air Conditioning)41、温調システム42、及び熱マネージャ40が含まれている。HVAC41は、一台のサービス車両SVに対して、複数設置されていてもよい。
HVAC41は、メインバッテリ22からの供給電力を利用して、居室空間の暖房、冷房及び換気等を行う電動式の空調装置である。HVAC41は、冷凍サイクル装置、送風ファン、電気ヒータ及びエアミックスダンパ等を備えている。HVAC41は、冷凍サイクル装置のコンプレッサ、電気ヒータ及びエアミックスダンパ等を制御し、暖気及び冷気を生成可能である。HVAC41は、送風ファンの作動により、生成した暖気又は冷気を、空調風として、居室空間に供給する。
温調システム42は、メインバッテリ22、モータジェネレータ31及びインバータ32等の冷却又は昇温を行うシステムである。温調システム42は、冷却回路、電動ポンプ及び液温センサを備えている。冷却回路は、メインバッテリ22、モータジェネレータ31及びインバータ32等の電動走行系の各構成を巡るように設置された配管を主体として構成される。電動ポンプは、冷却回路の配管内に充填されたクーラントを循環させる。液温センサは、クーラントの温度を計測する。温調システム42は、HVAC41によって昇温又は冷却させたクーラントの循環により、電動走行系の温度を所定の温度範囲内に維持させる。
熱マネージャ40は、HVAC41及び温調システム42の作動を制御する車載コンピュータである。熱マネージャ40は、居室空間の空調設定温度と、居室空間に設置された温度センサの計測温度とを比較し、HVAC41の空調作動を制御する。熱マネージャ40は、液温センサの計測結果を参照し、HVAC41及び温調システム42の温調作動を制御する。
以上の熱マネージャ40は、熱ドメインのドメインマネージャとして機能し、HVAC41及び温調システム42のそれぞれによる電力の消費を総合的に管理する。熱マネージャ40は、熱ドメインについて、瞬間的な電力の使用上限と、特定期間での電力量の消費上限とを、エネルギマネージャ100から取得する。熱マネージャ40は、使用上限及び消費上限を超えないように、HVAC41及び温調システム42にて使用される電力及び電力量を制御する。
給電ドメインDEsは、消費ドメインDEcへの電力供給を可能にする車載機器群である。給電ドメインDEsは、消費ドメインDEcと同様に、少なくとも一つのドメインマネージャを含んでいる。給電ドメインDEsは、充電回路21、メインバッテリ22、サブバッテリ23、及びバッテリマネージャ20を備えている。
充電回路21は、バッテリマネージャ20との協働により、各消費ドメインDEc及び各バッテリ22,23間での電力の流れを統合的に制御するジャンクションボックスとして機能する。充電回路21は、メインバッテリ22及びサブバッテリ23からの電力供給と、メインバッテリ22及びサブバッテリ23への充電とを実施する。
メインバッテリ22は、電力を充放電可能な二次電池である。メインバッテリ22は、多数の電池セルを含む組電池を備えている。電池セルは、例えばニッケル水素電池、リチウムイオン電池、及び全固体電池等のいずれかである。メインバッテリ22に蓄えられた電力は、主にサービス車両SVの走行、居室空間の空調、及び電動走行系の温調等に用いられる。
サブバッテリ23は、メインバッテリ22と同様に、電力を充放電可能な二次電池である。サブバッテリ23は、例えば鉛蓄電池である。サブバッテリ23のバッテリ容量は、メインバッテリ22のバッテリ容量よりも少ない。サブバッテリ23に蓄えられた電力は、主にDCM93等のサービス車両SVの補機類によって使用される。
バッテリマネージャ20は、給電ドメインDEsのドメインマネージャとして機能する車載コンピュータである。バッテリマネージャ20は、充電回路21から各消費ドメインDEcに供給される電力を管理する。バッテリマネージャ20は、メインバッテリ22及びサブバッテリ23についての残量情報を、エネルギマネージャ100に通知する。
充電システム50は、給電ドメインDEsに電力を供給し、メインバッテリ22の充電を可能にする。充電システム50には、充電ステーションCSにて、外部の充電器が電気的に接続される。充電システム50は、充電ケーブルを通じて供給される充電用の電力を、充電回路21に出力する。普通充電を行う場合、充電システム50は、普通充電用の充電器から供給される交流電力を直流電力に変換し、充電回路21に供給する。一方、急速充電を行う場合、充電システム50は、急速充電用の充電器から供給される直流電力を、充電回路21に出力する。充電システム50は、急速充電用の充電器と通信する機能を有しており、充電器の制御回路と連携して、充電回路21に供給する電圧を制御する。
尚、充電システム50は、レンジエクステンダーとしての内燃機関と、発電用のモータジェネレータとを備えていてもよい。こうした充電システム50は、例えばサービス車両SVの走行中等、充電器と接続されていない状態においても、メインバッテリ22の残量減少に応じて、充電回路21に充電用の電力を供給できる。
図2及び図3に示すエネルギマネージャ100は、各消費ドメインDEcによる電力の使用を統合的に管理する車載コンピュータ100aである。車載コンピュータ100aは、処理部11、RAM12、記憶部13、入出力インターフェース14、及びこれらを接続するバス等を備えている。処理部11は、RAM12と結合された演算処理のためのハードウェアである。処理部11は、RAM12へのアクセスにより、後述する各機能部の機能を実現させる種々の処理を実行する。記憶部13は、不揮発性の記憶媒体を含む構成である。記憶部13には、処理部11によって実行される種々のプログラム(エネルギ管理プログラム等)が格納されている。
エネルギマネージャ100は、記憶部13に記憶されたエネルギ管理プログラムを処理部11によって実行することで、電力調停処理(図4参照)等の実行に関連する複数の機能部を備える。具体的に、エネルギマネージャ100は、計画取得部71、緊急回避情報取得部72、及び調停実行部73を備える。
計画取得部71は、運行マネージャ110より送信される運行ルート及び基準上限(後述する)を、ネットワークNW及びDCM93を通じて取得する(図4 S11参照)。計画取得部71は、取得した運行ルート及び基準上限を、調停実行部73に提供する。
緊急回避情報取得部72は、ADコンピュータ90にて緊急回避の実施が決定された場合に、ADコンピュータ90より出力される緊急回避情報を取得する。緊急回避情報取得部72は、緊急回避情報を取得した場合に、緊急回避が行われることを調停実行部73に通知する。
調停実行部73は、運行ルートに従う運行にて、サービス車両SVの各消費ドメインDEcに供給される電気エネルギを、基準上限を超えない範囲で調停する。調停実行部73は、バッテリマネージャ20より、給電ドメインDEsの余力情報を取得する(図4 S12参照)。余力情報は、給電ドメインDEsが供給可能な電気エネルギについて、現在のストック及びフローの各上限値を示す情報である。調停実行部73は、計画取得部71より提供された運行ルートに基づき、運行中における各消費ドメインDEcの電力消費のパターンをシミュレートする(図4 S14参照)。
調停実行部73は、計画取得部71より通知される基準上限と、バッテリマネージャ20より取得する余力情報とに基づき、シミュレーション結果を参照しつつ、各消費ドメインDEcの使用上限及び消費上限を設定する(図4 S15参照)。調停実行部73は、使用上限の合計が給電ドメインDEsの出力の上限値を超えないように、各使用上限を設定する。各給電ドメインDEsに割り当てられた使用上限は、走行中に動的に変更されてよい。調停実行部73は、消費上限の合計がメインバッテリ22の残量及び基準上限の両方を超えないように、各消費上限を設定する。
調停実行部73は、設定した使用上限及び消費上限を、対応する消費ドメインDEcのドメインマネージャに通知する。以上により、各ドメインマネージャは、使用上限及び消費上限を超えないように、ドメイン内の車載機器群を制御する。尚、調停実行部73は、ドメインマネージャからの要求に基づき、使用上限及び消費上限を再調整可能である。
調停実行部73は、緊急回避行動を可能にするサブ機能部として、緊急回避制御部74を有している。緊急回避制御部74は、緊急回避処理(図5参照)の継続的な実施により、ADコンピュータ90及び運動マネージャ30による緊急回避の実行期間にて、メインバッテリ22の電力を、運転制御ドメインDDcに優先的に供給させる。緊急回避制御部74は、余力情報及び消費上限を参照し、メインバッテリ22に蓄積された電気エネルギの一部を、緊急回避の実行に必要な緊急回避エネルギとして、消費上限とは別に確保する(図4 S13参照)。加えて緊急回避制御部74は、緊急回避の実行期間にて、各消費ドメインDEcに適用される使用上限(以下、「緊急時上限」)を設定する。緊急回避の実行に伴い、運転制御ドメインDDcの緊急時上限は、通常時の使用上限よりも引き上げられ、給電ドメインDEsの出力上限に近い値とされる。一方で、運転制御ドメインDDcを除く消費ドメインDEcの緊急時上限は、通常時の使用上限よりも低くされ、ゼロに近い値に設定される。
緊急回避制御部74は、緊急回避情報取得部72にて緊急回避情報が取得されない場合(図5 S21:NO参照)、特定の作動を開始しない。一方で、緊急回避制御部74は、緊急回避情報取得部72にて緊急回避情報が取得されると(図5 S21:YES参照)、予め設定した緊急時上限を読み込む(図5 S22参照)。そして、緊急回避制御部74は、各消費ドメインDEcのドメインマネージャに、緊急時上限を通知する(図5 S23参照)。
以上により、各ドメインマネージャは、既に通知されていた通常時の使用上限を、緊急時上限に切り替える。その結果、緊急回避の実行に関連する運転制御ドメインDDcは、使用上限の最大限の引き上げにより、緊急回避エネルギの使用を許可された状態となる。このように、運転制御ドメインDDcへの給電が優先的に行われることで、緊急回避行動に関連するステア制御システム33及びブレーキ制御システム34の制御が、滞りなく実行される。
図1及び図2に示すように、運行マネージャ110は、運行管理センタCToに設置されている。運行管理センタCToは、モビリティサービスを提供するサービス事業者によって運営される施設である。運行マネージャ110は、サービス車両SVの運行を管理する運行管理装置として機能する。運行マネージャ110は、図2及び図6に示すように、少なくとも一台のサーバ装置110aを主体とした演算システムである。
サーバ装置110aは、処理部111、RAM112、記憶部113、入出力インターフェース114、及びこれらを接続するバス等を備えている。処理部111は、RAM112と結合された演算処理のためのハードウェアである。処理部111は、RAM112へのアクセスにより、運行管理に関連する種々の処理を実行する。記憶部113は、不揮発性の記憶媒体を含む構成である。記憶部113には、処理部111によって実行される種々のプログラム(運行管理プログラム等)が格納されている。
運行マネージャ110は、記憶部113に記憶された運行管理プログラムを処理部111によって実行することで、本開示の運行管理方法を実現させる複数の機能部を備える。具体的に、運行マネージャ110は、運行管理プログラムに基づき、ユーザ情報取得部121、配信情報取得部122、交通情報取得部123、情報共有部124及び運行シミュレーション部130等の機能部を備える。
ユーザ情報取得部121は、ネットワークNW及び基地局BSを通じて、ユーザ情報を取得する。ユーザ情報は、モビリティサービスの利用を希望するユーザUにより、ユーザ端末UTに入力された情報である。ユーザ情報には、ユーザUを識別するID情報と、乗車場所、降車場所、及び乗車予定時刻(又は乗車予定時間帯)等のユーザUの希望する利用条件等が少なくとも含まれている。乗車場所及び降車場所は、一例として、サービス車両SVの定期運行ルート上の地点から選択される。ユーザUは、例えばスマートフォン、タブレット端末、及びパーソナルコンピュータ等をユーザ端末UTとして使用し、ユーザ情報を入力可能である。
尚、ユーザUは、特定の場所及び時刻に、ヒトではなく集配物Pを運ぶ目的で、サービス車両SVを利用できる。また、一人のユーザUにより、複数人分の搭乗予約が実施されてもよい。この場合、ユーザ情報には、サービス車両SVに搭乗する搭乗者の人数を示す情報がさらに含まれる。
配信情報取得部122は、気象情報配信サーバ190から、ネットワークNWを通じて、気象情報を取得する。配信情報取得部122は、気象情報のうちで、特にサービス車両SVに作用する走行抵抗に関連する気象情報を、周辺環境情報として取得する。周辺環境情報は、各道路区間の風向及び風量(又は風速)等の気象情報を少なくとも含んでいる。風光及び風量等の気象情報は、サービス車両SVに採用する走行抵抗のうちで、主に空気抵抗に関連する。配信情報取得部122は、周辺環境情報として取得した気象情報を、運行シミュレーション部130に提供する。
交通情報取得部123は、交通情報配信サーバ170から、ネットワークNWを通じて、道路情報及び混雑マップを取得する。道路情報のうちで、道路の混雑情報等は、サービス車両SVに作用する走行抵抗(主に加速抵抗等)に関連する情報となる。一方、ヒトの流れを示す混雑マップの情報は、上述の気象情報と同様に、サービス車両SVの走行抵抗(主に加速抵抗等)に関連する周辺環境情報となる。交通情報取得部123は、道路情報及び周辺環境情報としての混雑マップを、運行シミュレーション部130に提供する。
情報共有部124は、各サービス車両SVと運行マネージャ110との間の情報共有を可能にする機能部である。情報共有部124は、運行ルートをサービス車両SVに送信する機能に加えて、サービス車両SVから送信される路面情報を取得する機能を有している。情報共有部124は、取得した路面情報を路面情報データベース125に保存する。路面情報データベース125は、記憶部113に設けられた記憶領域であり、各道路区間の路面情報を蓄積する。路面情報データベース125に保存された路面情報は、サービス車両SVに作用する走行抵抗(主に転がり抵抗等)に関連する道路情報の一つとして、運行シミュレーション部130によって参照される。
運行シミュレーション部130は、サービス車両SVの運行ルートを生成する機能部である。運行ルートは、サービス車両SVの目的地、経由地、各地点間の移動経路、及び各地点への到着時刻等を規定する情報である。運行シミュレーション部130は、運行ルート生成のためのサブ機能部として、ルート設定部131及び消費推定部132を有している。
ルート設定部131は、地図データベース126に格納された地図データを参照可能である。地図データベース126は、記憶部113に設けられた記憶領域であり、モビリティサービスの提供対象となる特定地域の詳細な地図データを記憶している。地図データベース126は、記憶している地図データを、ネットワークNWを通じて最新の情報に更新可能である。
ルート設定部131は、ユーザ情報取得部121にて取得されるユーザ情報に基づき、モビリティサービスを利用する各ユーザUの利用条件、具体的には、乗車場所、降車場所及び乗車予定時刻等を把握する。ルート設定部131は、地図データベース126に格納された地図データを参照し、運行ルートの候補となる複数の候補ルートを探索する。複数の候補ルートには、一つの基準ルートと、基準ルートに対して一部の走行区間を変更した補正ルートとが含まれている。基準ルートは、各サービス車両SVに対し予め設定された定期運行のルートである。補正ルートは、乗車場所及び降車場所等の各ユーザUの利用条件を満たしつつ、少なくとも一部について、基準ルートとは異なる道路区間を走行するよう設定されるルートである。
消費推定部132は、複数の候補ルートに関連する道路情報及び周辺環境情報を用いて、各候補ルートに従う運行でサービス車両SVが消費する消費エネルギを推定する。サービス車両SVがBEV(Battery Electric Vehicle)である場合、消費エネルギは、実質的に、各候補ルートに従う走行でサービス車両SVが消費するメインバッテリ22の電気エネルギである。消費推定部132は、各候補ルートの走行に伴って逐次消費される消費エネルギ(単位は「kW」)の予測推移と、各候補ルートの走行により消費される消費エネルギの総量(単位は「kWh」又は「J」)の予測値とを算出する。
ここで、消費推定部132にて推定される消費エネルギには、走行によって消費される走行消費エネルギと、走行以外の用途で消費される非走行消費エネルギとが含まれている。走行消費エネルギは、運転制御ドメインDDcによって消費される電気エネルギである。一方で、非走行消費エネルギは、サービス車両SVにて、運転制御ドメインDDc以外の消費ドメインDEcにより消費される電気エネルギである。
走行消費エネルギは、サービス車両SVに作用する走行抵抗(走行負荷)が増えるに従って大きくなる。走行消費エネルギには、サービス車両SVの移動のために消費されるエネルギに加えて、乗り心地等のサービス車両SVの運行品質確保に消費されるエネルギも含まれる。
消費推定部132は、ルート設定部131にて探索された各候補ルートについて、総距離、走行ルートの勾配、停止回数、及び各区間の走行速度等を、地図データ及び道路情報等に基づき把握する。消費推定部132は、ユーザ情報に基づくユーザUの乗降予定から、各道路区間におけるサービス車両SVの予想重量を把握する。消費推定部132は、把握した上記の情報に基づき、走行消費エネルギを推定する。
さらに、イベント等で混雑したエリアを走行する場合、サービス車両SVは、低速での走行を強いられる。故に、消費推定部132は、周辺環境情報として取得される混雑マップに基づき、混雑エリアを通過する道路区間については、低速走行及び加減速実施に伴う電気エネルギの追加消費分を、走行消費エネルギに加算する。
消費推定部132は、各候補ルートについて、路面情報データベース125を参照し、ルート上の路面情報を把握する。消費推定部132は、各道路区間の路面情報に基づき、荒れた路面を通過する道路区間については、転がり抵抗の増加に伴う電気エネルギの追加消費分を、走行消費エネルギに加算する。さらに、荒れた路面を走行する場合、サスペンション制御システム35の乗り心地向上制御に消費される電気エネルギが増加する。そのため、消費推定部132は、荒れた路面を通過する道路区間について、乗り心地向上制御の実施に伴う電気エネルギの追加消費分を、走行消費エネルギにさらに加算する。
消費推定部132は、各候補ルートについて、周辺環境情報として取得され気象情報を参照し、ルート上の風向及び風量を把握する。消費推定部132は、各道路区間の気象情報に基づき、空気抵抗の増加に伴う電気エネルギの追加消費分を、走行消費エネルギに加算する。さらに、サービス車両SVに対する横風が強くなるほど、車体安定化のため、ステア制御システム33及びサスペンション制御システム35にて消費される電気エネルギが増加する。そのため、消費推定部132は、横風を強く受ける道路区間について、車体安定化のための制御実施に伴う電気エネルギの追加消費分を、走行消費エネルギにさらに加算する。
さらに、消費推定部132は、ユーザUによるサービス車両SVの利用態様に応じて、走行消費エネルギを増減させる。一例として、多くのユーザUの立ち乗りが想定される場合、ユーザUの転倒防止のために、サスペンション制御システム35の乗り心地向上制御に消費される電気エネルギが増加し得る。故に、消費推定部132は、ユーザUの増加に合わせて、想定重量の増加分以上に、走行消費エネルギを多く推定する。
また消費推定部132は、ユーザUが居室空間内で所定の作業を実施する場合、当該作業に応じた良好な乗り心地を提供するため、走行消費エネルギを多く推定可能である。加えて消費推定部132は、車椅子での乗降するユーザUが利用である場合、サスペンション制御システム35にてニーリングのために消費される電気エネルギを、走行消費エネルギに加算できる。
非走行消費エネルギは、例えば空調制御ドメインにて、居室空間及びメインバッテリ22等の温度調整に消費される電気エネルギである。消費推定部132は、各候補ルートについて、走行時間、ユーザUの乗降経過に基づく居室空間の想定温度変化、ルート周辺の外気温、湿度及び日射量等の気象情報、現在の居室空間の温度等を把握する。消費推定部132は、把握したこれらの情報に基づき、サービス提供中に空調に消費される非走行消費エネルギを推定する。尚、メインバッテリ22の温調に使用される電気エネルギは、上記の基準消費エネルギとして推定されてもよい。
ルート設定部131は、消費推定部132にて推定された候補ルート毎の消費エネルギを相互に比較し、複数の候補ルートの中から、消費エネルギの少ない候補ルートを優先して運行ルートに採用する。詳記すると、ルート設定部131は、消費エネルギのピーク値がサービス車両SVの出力上限を超える候補ルートを、採用対象から除外する。そして、ルート設定部131は、各候補ルートの消費エネルギの総量に実質的な差異がない場合、基準ルートを選択する。一方、基準ルートよりも消費エネルギの少ない補正ルートが存在する場合、ルート設定部131は、基準ルートから補正ルートに採用対象を切り替える。以上により、ルート設定部131は、消費エネルギの総量が最も少ない候補ルートを、原則的に運行ルートとして採用する。
ルート設定部131は、採用した運行ルートに基づき、消費推定部132のシミュレーション結果を参照し、運行ルートに紐づく基準上限を設定する。基準上限は、運行ルートの走行に伴い、サービス車両SVにて消費される消費エネルギ(電気エネルギ)の上限を示す電力量(単位は「kWh」)の値である。換言すれば、基準上限は、サービス車両SVにおいて、消費を許容される電力量の上限枠である。一例として、基準上限は、過去のサービス車両SVの運行時に実際に消費された電力量の平均値又は中央値に、所定のマージンを加算した値に設定される。基準上限は、運行ルートと共にサービス車両SVのエネルギマネージャ100に提供される。
以上の運行マネージャ110にて実施されるルート設定処理の詳細を、図7に基づき、図6及び図2を参照しつつ、さらに説明する。ルート設定処理は、モビリティサービスの提供期間にて、運行マネージャ110によって繰り返し実施される。
S101では、運行ルートの提供対象となるサービス車両SVのエネルギ利用可能量を取得し、S102に進む。サービス車両SVがBEVである場合、エネルギ利用可能量は、メインバッテリ22の残量情報であり、具体的には、SOC(States Of Charge,%)の値又は残りの電力量(単位は「kWh」)を示す値である。尚、サービス車両SVが内燃機関を搭載した車両の場合、エネルギ利用可能量には、燃料残量を示す情報が含まれている。
S102では、ユーザUの利用条件を含むユーザ情報を取得し、S103に進む。S103では、S102にて取得した利用条件を満たす内容で、複数の候補ルートを探索し、S104に進む。S104では、S103にて生成した複数の候補ルートに関連する道路情報を取得し、S105に進む。S105では、S103にて生成した複数の候補ルートに関連する周辺環境情報を取得し、S106に進む。
S106では、S104にて取得した道路情報、及びS105にて取得した周辺環境情報に基づき、各候補ルートを採用した場合に消費される消費エネルギをシミュレートし、S107に進む。S106では、消費エネルギの予測推移と、消費エネルギの総量とを、候補ルート毎に算出する。
S107では、S103にて探索された複数の候補ルートの中から、S106にて算出された消費エネルギの比較に基づき、運行ルートとして採用する一つを決定し、S108に進む。S107では、S101にて取得したバッテリ残量を下回る候補ルートのうちで、消費エネルギの総量が最も少ない一つを、運行ルートとして採用する。尚、全ての候補ルートの消費エネルギの総量が現在のバッテリ残量を超えている場合、運行マネージャ110は、サービス車両SVに充電ステーションCSでの充電を指示する。
S108では、S107にて採用を決定した運行ルートに基づき、サービス車両SVにて消費される消費エネルギの基準上限を設定し、S109に進む。S109では、S107にて採用を決定した運行ルートと、S108にて設定した基準上限とを、提供対象となるサービス車両SVへ向けて送信し、一連のルート設定処理を終了する。S109にて送信される運行ルートは、サービス車両SVにて、ADコンピュータ90及びエネルギマネージャ100に取得される。
ここまで説明した本実施形態では、サービス車両SVにて消費される消費エネルギの推定に、走行抵抗に関連する道路情報だけでなく、走行抵抗に関連する周辺環境情報が用いられる。故に、周辺環境の変化に起因する消費エネルギの変動を予め考慮したうえで、消費エネルギを少なくできると推定される運行ルートが設定され得る。その結果、運行ルートに従って走行するサービス車両SVの消費エネルギのばらつきが低減可能になる。
加えて本実施形態では、採用された運行ルートに基づき、サービス車両SVの消費エネルギの基準上限が設定される。そして、エネルギマネージャ100は、運行ルートに従う運行にて、基準上限を超えない範囲で、各消費ドメインDEcの消費エネルギを調停する。こうしうた基準上限に基づく電力調停によれば、運行完遂に伴い、サービス車両SVにて消費されるエネルギのばらつきは、いっそう低減され易くなる。
また本実施形態のエネルギマネージャ100は、基準上限とは別に、緊急回避エネルギを確保する。そして、ADコンピュータ90が緊急回避を実行する場合、運転制御ドメインDDcによる緊急回避エネルギの使用が許可される。以上のように、緊急回避の実行に際し、運転制御ドメインDDcに優先的に電力が供給されれば、エネルギ不足に起因して、緊急回避行動が遅延する事態は、未然に防がれ得る。
さらに本実施形態の運転制御ドメインDDcは、通常走行において、サービス車両SVに生じる前後方向の加速度の変動を抑制するように、走行を制御する。以上のように、前後方向のジャークを抑制する走行制御によれば、良好な乗り心地の提供と、エネルギ消費の低減とが、効果的に両立され得る。
加えて本実施形態では、ユーザUによって入力された利用条件を満たす内容で、複数の候補ルートが探索される。以上によれば、モビリティサービスの利便性を損ねることなく、サービス車両SVによるエネルギ消費ばらつきが低減可能になる。
また本実施形態では、候補ルート上の気象情報が周辺環境情報として取得され、ルート設定部131は、気象要因によるエネルギ消費の増加分が少ない候補ルートを優先的に運行ルートに採用する。このように、候補ルートの選択に気象情報を活用すれば、外的な要因による消費エネルギのばらつきは、いっそう低減され易くなる。
さらに本実施形態のモビリティサービスにて運用されるサービス車両SVは、メインバッテリ22からの供給電力によって走行するBEVである。そして、運行に必要な電気エネルギの少ない候補ルートが、運行ルートに採用される。以上によれば、電気エネルギの消費ばらつきが低減されるため、想定外の電欠のリスクも低減され得る。その結果、BEVを使用したモビリティサービスの提供であっても、定期的な運行が、安定的に継続可能になる。
さらに本実施形態では、運行マネージャ110の選択した運行ルートが、サービス車両SVのADコンピュータ90に提供される。そして、ADコンピュータ90は、運動マネージャ30と連携し、運行ルートに従った自律走行を実施する。以上のように、サービス車両SVが自律走行可能な車両であれば、運転者の運転傾向に起因する消費エネルギのばらつきは、実質的に生じない。したがって、運行ルートに従って走行するサービス車両SVの消費エネルギのばらつきは、いっそう低減可能になる。
尚、上記実施形態では、メインバッテリ22が「バッテリ」に相当し、ADコンピュータ90が「自律走行システム」に相当する。また、配信情報取得部122及び交通情報取得部123が共に「環境情報取得部」に相当し、交通情報取得部123及び情報共有部124が共に「道路情報取得部」に相当する。さらに、各処理部11,111が「プロセッサ」に相当し、サーバ装置110a及び車載コンピュータ100aがそれぞれ「コンピュータ」に相当し、運行マネージャ110が「運行管理装置」に相当する。
(他の実施形態)
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
上記実施形態の変形例1において、運行マネージャ110の機能は、サーバ装置110a及び車載コンピュータ100aの両方に分散実装されている。一例として、運行ルートに対応する基準上限を設定する処理は、エッジ側となる車載コンピュータ100a(エネルギマネージャ100)によって実施される。こうした変形例1では、サーバ装置110a及び車載コンピュータ100aの両方が、「運行管理装置」に相当する。
上記実施形態の変形例2において、エネルギマネージャ100の機能は、車載コンピュータ100a及びサーバ装置110aの両方に分散実装されている。一例として、基準上限とは別枠で緊急回避エネルギを確保する処理は、センタ側となるサーバ装置110a(運行マネージャ110)によって実施される。
尚、緊急回避エネルギの確保は、サービス車両SVの詳細な現在状態を把握可能なエネルギマネージャ100にて実施されるのが望ましい。また、基準上限の設定及び緊急回避エネルギの確保等は、実施されなくてもよい。
上記実施形態の変形例3では、バッテリ残量と基準上限との差分が確保されるべき緊急回避エネルギ未満となる場合、エネルギマネージャ100は、緊急回避エネルギが確保可能なように、運行マネージャ110より取得する基準上限を、より低い値に補正する。そして、エネルギマネージャ100は、補正後の基準上限が満たされるように、各消費ドメインDEcに割り当てる消費上限を設定する。
上記実施形態の変形例4では、サービス車両SVの定期運行ルートが存在しない。変形例4において、ルート設定部131は、ユーザ情報に基づき、ユーザUの利用条件を満たすような運行ルートを、適宜設定する。以上のモビリティサービスにおいても、周辺環境情報を利用したルート選択によれば、消費エネルギのばらつき低減が実現される。
上記実施形態の変形例5では、走行抵抗に関連する周辺環境情報(気象情報)として、ルート上の降雨量を示す情報が利用される。変形例5において、消費推定部132は、降雨に伴う走行速度の低下、スリップ抑制、及び窓曇りの抑制等に起因するエネルギ消費の増加分を推定する。そして、ルート設定部131は、降雨要因による消費エネルギの増加分が少ない候補ルートを、優先して運行ルートに採用する。以上の変形例5のように、消費エネルギの推定に利用する周辺環境情報は、適宜変更されてよい。
上記実施形態の変形例6では、走行用のバッテリを搭載せず、内燃機関を主な動力源とするエンジン車両や、内燃機関及びモータジェネレータの混合動力によって走行するハイブリッド車両等が、サービス車両SVとして使用される。
上記実施形態の変形例7では、ドライバの手動運転によって走行する手動運転車や、運行管理センタCToに駐在するオペレータによって遠隔操作される半自動運転車が、サービス車両SVとして使用される。サービス車両SVが手動運転車である場合、運行ルートは、ドライバへの経路案内に利用される。
さらに、サービス車両SVのサイズ及び乗車定員等の車両仕様は、適宜変更されてよい。また、異なる仕様のサービス車両SVが、一つの運行マネージャ110によって運用されてよい。さらに、サービス車両SVは、メインバッテリ22の容量や乗車定員を増やすため、例えば八輪車及び六輪車等の大型車両であってよい。
上記実施形態の運転制御ドメインDDcは、モータジェネレータ31、ステア制御システム33、及びサスペンション制御システム35等のアクチュエータ作動により、電力の消費とトレードオフで、乗り心地の改善を実現させていた。こうした乗り心地改善のための具体的なアクチュエータ制御は、適宜変更されてよい。
上記実施形態のエネルギマネージャ100は、使用上限及び消費上限の両方を用いて、電力調停を実施していた。しかし、電力調停に用いられる上限は、使用上限及び消費上のいずれか一方であってもよい。さらに、エネルギマネージャ100に提供される基準上限は、特定期間での電力量の消費上限を規定する値ではなく、瞬間的な電力の使用上限を規定する値であってもよい。尚、上記実施形態にて例示した電力及び電力量の各単位は、適宜変更されてよい。
上記実施形態にて、車載コンピュータ100a又はサーバ装置110a等によって提供されていた各機能は、ソフトウェア及びそれを実行するハードウェア、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの複合的な組合せによっても提供可能である。さらに、こうした機能がハードウェアとしての電子回路によって提供される場合、各機能は、多数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路によっても提供可能である。
上記実施形態の各処理部11,111は、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)等の演算コアを少なくとも一つ含む構成であってよい。さらに、処理部11,111は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)及び他の専用機能を備えたIPコア等をさらに含む構成であってよい。
上記実施形態の各記憶部13,113として採用され、本開示の充電マネージメント方法を実現させるプログラムを記憶する記憶媒体の形態は、適宜変更されてよい。例えば記憶媒体は、回路基板上に設けられた構成に限定されず、メモリカード等の形態で提供され、スロット部に挿入されて、コンピュータのバスに電気的に接続される構成であってよい。さらに、記憶媒体は、コンピュータへのプログラムのコピー基となる光学ディスク及びのハードディスクドライブ等であってもよい。
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。