JP7370538B2 - 分離剤 - Google Patents
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Description
本発明は、目的物質に対する動的結合量(DBC)が向上した分離剤の提供を課題とする。
(1) 分離剤が含む単鎖抗体が元来含むリジン残基が、リジン残基以外のアミノ酸残基に置換されている。
(2) 分離剤が含むタンパク質のC末端に3以上のリジン残基を含むアミノ酸配列が含まれている。
(3)担体の表面と該3以上のリジン残基を含むアミノ酸配列におけるリジン残基が化学結合により結合している。
具体的には、下記の通りである。
該タンパク質は、
N末端から順に並ぶ、配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、及び配列番号3で表されるアミノ酸配列、又は、
N末端から順に並ぶ、配列番号3で表されるアミノ酸配列、配列番号17で表されるアミノ酸配列、及び配列番号1で表されるアミノ酸配列と、
そのC末端に3以上のリジン残基を含むアミノ酸配列とを含み、
該配列番号1で表されるアミノ酸配列、該配列番号2で表されるアミノ酸配列、該配列番号17で表されるアミノ酸配列、及び該配列番号3で表されるアミノ酸配列が含むすべてのリジン残基がリジン残基以外のアミノ酸残基に置換されているタンパク質であり、
該担体の表面と該3以上のリジン残基を含むアミノ酸配列におけるリジン残基とが化学結合によって結合している、分離剤である。
N末端から順に並ぶ、配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、及び配列番号3で表されるアミノ酸配列、又は、
N末端から順に並ぶ、配列番号3で表されるアミノ酸配列、配列番号17で表されるアミノ酸配列、及び配列番号1で表されるアミノ酸配列と、
そのC末端に3以上のリジン残基を含むアミノ酸配列とを含み、
該配列番号1で表されるアミノ酸配列、該配列番号2で表されるアミノ酸配列、該配列番号17で表されるアミノ酸配列、及び該配列番号3で表されるアミノ酸配列が含むすべてのリジン残基がリジン残基以外のアミノ酸残基に置換されているタンパク質である。
単鎖抗体は、当該技術分野では、低分子抗体の一つとして一本鎖Fv(single chain Fv, scFv)などと称されることがある。また、本明細書に記載される単鎖抗体にはウサギ由来の単鎖抗体もあるが、これは単鎖抗体がウサギ由来である場合の一例に過ぎず、本明細書に記載される単鎖抗体がウサギ由来の単鎖抗体に限定されるものではない。
本発明の第一の発明は、
担体とタンパク質とを含む分離剤であって、
該タンパク質は、
N末端から順に並ぶ、配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、及び配列番号3で表されるアミノ酸配列、又は、
N末端から順に並ぶ、配列番号3で表されるアミノ酸配列、配列番号17で表されるアミノ酸配列、及び配列番号1で表されるアミノ酸配列と、
そのC末端に3以上のリジン残基を含むアミノ酸配列とを含み、
該配列番号1で表されるアミノ酸配列、該配列番号2で表されるアミノ酸配列、該配列番号17で表されるアミノ酸配列、及び該配列番号3で表されるアミノ酸配列が含むすべてのリジン残基がリジン残基以外のアミノ酸残基に置換されているタンパク質であり、
該担体の表面と該3以上のリジン残基を含むアミノ酸配列におけるリジン残基とが化学結合によって結合している、分離剤である。
本発明の第一の発明に用いる担体は、水不溶性担体であることが好ましい。水不溶性担体としては、ガラスビーズ、シリカゲルなどの無機担体、架橋ポリビニルアルコール、架橋ポリアクリレート、架橋ポリアクリルアミド、架橋ポリスチレンなどの合成高分子や結晶性セルロース、架橋セルロース、架橋アガロース、架橋デキストランなどの多糖類からなる有機担体、さらにはこれらの組み合わせによって得られる有機-有機、有機-無機などの複合担体などが挙げられるが、中でも親水性担体は非特異吸着が比較的少なく、本発明の第一の発明に用いるタンパク質の選択性が良好であるため好ましい。ここでいう親水性担体とは、担体を構成する化合物を平板状にしたときの水との接触角が60度以下の担体を示す。この様な担体としてはセルロース、キトサン、デキストラン等の多糖類、ポリビニルアルコール、エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸グラフト化ポリエチレン、ポリアクリルアミドグラフト化ポリエチレン、ガラスなどが挙げられる。
さらに担体表面には、本発明の第一の発明で用いられるタンパク質における前記3以上のリジン残基を含むアミノ酸配列におけるリジン残基との化学結合反応に用いうる官能基が存在していると好都合である。これらの官能基の代表例としては、水酸基、アミノ基、アルデヒド基、カルボキシル基、チオール基、シラノール基、アミド基、エポキシ基、サクシニルイミド基、酸無水物基、ヨードアセチル基などが挙げられる。
担体表面と本発明の第一の発明で用いられるタンパク質を、該タンパク質における前記3以上のリジン残基を含むアミノ酸配列におけるリジン残基を介して化学結合させる方法(固定化方法)としては、該リジン残基のεアミノ基を介して化学結合させる方法が挙げられ、例えば、従来のカップリング法により担体に共有結合させる方法等が挙げられる。カップリング法としては、一般にタンパク質やペプチドを担体に固定化する場合に採用される方法が挙げられる。例えば、担体を臭化シアン、エピクロロヒドリン、ジグリシジルエーテル、トシルクロライド、トレシルクロライド、ヒドラジン、過ヨウ素酸ナトリウム等と反応させて活性化し(または、担体表面に反応性官能基を導入し)、リジン残基とカップリング反応を行う方法や、担体とリジン残基とが存在する系にカルボジイミドのような縮合試薬、または、グルタルアルデヒドのように分子中に複数の官能基を持つ試薬を加えて縮合、架橋することによる方法が挙げられる。ただし、分離剤の滅菌時または利用時に、リジン残基が担体より容易に脱離しない結合方法を用いることがより好ましい。また、リジン残基と担体との間に複数の原子からなるスペーサー分子を導入してもよいし、リジン残基を担体に直接固定化してもよい。
本発明の第一の発明に用いるタンパク質は、
N末端から順に並ぶ、配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、及び配列番号3で表されるアミノ酸配列、又は、
N末端から順に並ぶ、配列番号3で表されるアミノ酸配列、配列番号17で表されるアミノ酸配列、及び配列番号1で表されるアミノ酸配列と、
そのC末端に3以上のリジン残基を含むアミノ酸配列とを含み、
該配列番号1で表されるアミノ酸配列、該配列番号2で表されるアミノ酸配列、該配列番号17で表されるアミノ酸配列、及び該配列番号3で表されるアミノ酸配列が含むすべてのリジン残基がリジン残基以外のアミノ酸残基に置換されているタンパク質である。
前記配列番号3で表されるアミノ酸配列は、特許文献2、3に記載された単鎖抗体R3-26における軽鎖(L鎖)の可変領域(VLドメイン)のアミノ酸配列である。
前記配列番号2で表されるアミノ酸配列、前記配列番号17で表されるアミノ酸配列は、特許文献2、3に記載された単鎖抗体R3-26におけるVHドメインとVLドメインとを繋ぐリンカー配列である。
また、前記3以上のリジン残基を含むアミノ酸配列におけるリジン残基の個数は、好ましくは4以上、より好ましくは5以上であり、上限は、好ましくは1000以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは10以下である。また、リジン残基が複数付加されている場合には、各々のリジン残基は連続(隣接)している必要はなく、本発明の効果を奏することができれば、間にリジン残基以外のアミノ酸残基を含んでもよいが、連続(隣接)していることが好ましい。
前記3以上のリジン残基を含むアミノ酸配列は、好ましくは、連続する3以上のリジン残基のN末端側にAAAGGGGS(配列番号13)、C末端側にIEが存在するアミノ酸配列である。
配列番号1で表されるアミノ酸配列と実質的に同等のアミノ酸配列とは、配列番号1で表されるアミノ酸配列ではないが、本発明の効果を奏することができるアミノ酸配列であり、VHドメインのCDR領域を除いたアミノ酸配列を比較して、次第に好ましくなる順に、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上の相同性を有するアミノ酸配列である。
このようなアミノ酸配列としては、例えば、配列番号18(相同性:79.3%)、配列番号19(相同性:79.3%)、配列番号20(相同性:88.6%)、配列番号21(相同性:86.2%)、配列番号22(相同性:81.6%)、配列番号23(相同性:81.8%)、配列番号24(相同性:80.5%)、配列番号25(相同性:81.6%)が挙げられる。また、これらの各アミノ酸配列と、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の相同性を有するアミノ酸配列も、配列番号1で表されるアミノ酸配列と実質的に同等のアミノ酸配列に含まれる。
配列番号3で表されるアミノ酸配列と実質的に同等のアミノ酸配列とは、配列番号3で表されるアミノ酸配列ではないが、本発明の効果を奏することができるアミノ酸配列であり、VLドメインのCDR領域を除いたアミノ酸配列を比較して、次第に好ましくなる順に、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上の相同性を有するアミノ酸配列である。
このようなアミノ酸配列としては、例えば、配列番号26(相同性:78.0%)、配列番号27(相同性:89.0%)、配列番号28(相同性:86.4%)、配列番号29(相同性:81.3%)、配列番号30(相同性:87.9%)、配列番号31(相同性:85.7%)、配列番号32(相同性:82.4%)、配列番号33(相同性:92.3%)が挙げられる。また、これらの各アミノ酸配列と、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の相同性を有するアミノ酸配列も、配列番号3で表されるアミノ酸配列と実質的に同等のアミノ酸配列に含まれる。
配列番号1で表されるアミノ酸配列と実質的に同等のアミノ酸配列として配列番号18、配列番号3で表されるアミノ酸配列と実質的に同等のアミノ酸配列として配列番号26(相同性スコア値:718、同一性:78.70%)、
配列番号1で表されるアミノ酸配列と実質的に同等のアミノ酸配列として配列番号19、配列番号3で表されるアミノ酸配列と実質的に同等のアミノ酸配列として配列番号27(相同性スコア値:762、同一性:84.30%)、
配列番号1で表されるアミノ酸配列と実質的に同等のアミノ酸配列として配列番号20、配列番号3で表されるアミノ酸配列と実質的に同等のアミノ酸配列として配列番号28(相同性スコア値:807、同一性:87.50%)、
配列番号1で表されるアミノ酸配列と実質的に同等のアミノ酸配列として配列番号21、配列番号3で表されるアミノ酸配列と実質的に同等のアミノ酸配列として配列番号29(相同性スコア値:737、同一性:80.90%)、
配列番号1で表されるアミノ酸配列と実質的に同等のアミノ酸配列として配列番号22、配列番号3で表されるアミノ酸配列と実質的に同等のアミノ酸配列として配列番号30(相同性スコア値:763、同一性:84.80%)、
配列番号1で表されるアミノ酸配列と実質的に同等のアミノ酸配列として配列番号23、配列番号3で表されるアミノ酸配列と実質的に同等のアミノ酸配列として配列番号31(相同性スコア値:766、同一性:83.80%)、
配列番号1で表されるアミノ酸配列と実質的に同等のアミノ酸配列として配列番号24、配列番号3で表されるアミノ酸配列と実質的に同等のアミノ酸配列として配列番号32(相同性スコア値:740、同一性:81.50%)、
配列番号1で表されるアミノ酸配列と実質的に同等のアミノ酸配列として配列番号25、配列番号3で表されるアミノ酸配列と実質的に同等のアミノ酸配列として配列番号33(相同性スコア値:744、同一性:87.10%)である。
また、これらの各アミノ酸配列と、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の相同性を有するアミノ酸配列も、それぞれ、配列番号1で表されるアミノ酸配列と実質的に同等のアミノ酸配列、配列番号3で表されるアミノ酸配列と実質的に同等のアミノ酸配列に含まれる。
配列番号2で表されるアミノ酸配列と実質的に同等のアミノ酸配列とは、配列番号2で表されるアミノ酸配列ではないが、本発明の効果を奏することができるアミノ酸配列であり、配列番号2で表されるアミノ酸配列と、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の相同性を有するアミノ酸配列である。
このことは、配列番号17で表されるアミノ酸配列、前記3以上のリジン残基を含むアミノ酸配列であっても同様である。
また、配列番号3で表されるアミノ酸配列においては、本発明の効果を奏することができる限り、その1~複数個のアミノ酸が、置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列であってもよい。1~複数個とは、次第に好ましくなる順に、1~12個、1~10個、1~5個、1~3個である。
また、配列番号2で表されるアミノ酸配列においては、本発明の効果を奏することができる限り、その1~複数個のアミノ酸が、置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列であってもよい。1~複数個とは、次第に好ましくなる順に、1~3個、1~2個、1個である。
また、配列番号17で表されるアミノ酸配列においては、本発明の効果を奏することができる限り、その1~複数個のアミノ酸が、置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列であってもよい。1~複数個とは、次第に好ましくなる順に、1~3個、1~2個、1個である。
また、前記3以上のリジン残基を含むアミノ酸配列においては、本発明の効果を奏することができる限り、その1~複数個のアミノ酸が、置換、欠失、挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列であってもよい。1~複数個とは、次第に好ましくなる順に、1~[前記3以上のリジン残基を含むアミノ酸配列のアミノ酸残基数の10%]個、1~[前記3以上のリジン残基を含むアミノ酸配列のアミノ酸残基数の5%]個、1~[前記3以上のリジン残基を含むアミノ酸配列のアミノ酸残基数の2.5%]個、1~[前記3以上のリジン残基を含むアミノ酸配列のアミノ酸残基数の1%]個、1個である。尚、端数は繰り上げるものとする。
保存的変異の代表的なものは、保存的置換である。保存的置換とは、置換部位が芳香族アミノ酸である場合には、Phe、Trp、Tyr間で、置換部位が疎水性アミノ酸である場合には、Leu、Ile、Val間で、極性アミノ酸である場合には、Gln、Asn間で、塩基性アミノ酸である場合には、Lys、Arg、His間で、酸性アミノ酸である場合には、Asp、Glu間で、ヒドロキシル基を持つアミノ酸である場合には、Ser、Thr間でお互いに置換する変異である。
保存的置換としては、具体的には、AlaからSer又はThrへの置換、ArgからGln、His又はLysへの置換、AsnからGlu、Gln、Lys、His又はAspへの置換、AspからAsn、Glu又はGlnへの置換、CysからSer又はAlaへの置換、GlnからAsn、Glu、Lys、His、Asp又はArgへの置換、GluからGly、Asn、Gln、Lys又はAspへの置換、GlyからProへの置換、HisからAsn、Lys、Gln、Arg又はTyrへの置換、IleからLeu、Met、Val又はPheへの置換、LeuからIle、Met、Val又はPheへの置換、LysからAsn、Glu、Gln、His又はArgへの置換、MetからIle、Leu、Val又はPheへの置換、PheからTrp、Tyr、Met、Ile又はLeuへの置換、SerからThr又はAlaへの置換、ThrからSer又はAlaへの置換、TrpからPhe又はTyrへの置換、TyrからHis、Phe又はTrpへの置換、及び、ValからMet、Ile又はLeuへの置換が挙げられる。
このことは、配列番号2で表されるアミノ酸配列、配列番号17で表されるアミノ酸配列、配列番号3で表されるアミノ酸配列、前記3以上のリジン残基を含むアミノ酸配列であっても同様である。
また、単鎖抗体R3-26のアミノ酸配列と実質的に同等のアミノ酸配列からなるタンパク質も、特許文献2、3に記載された方法により取得することができるし、単鎖抗体R3-26のアミノ酸配列を、公知の遺伝子工学的手法やタンパク質工学的手法等により改変して取得することもできる。
いずれについても、結果的に、単鎖抗体R3-26、又は単鎖抗体R3-26のアミノ酸配列と実質的に同等のアミノ酸配列からなるタンパク質が得られればよく、その手法は限られない。
さらに、本発明の第一の発明に用いるタンパク質は、単鎖抗体R3-26のアミノ酸配列、又は単鎖抗体R3-26のアミノ酸配列と実質的に同等のアミノ酸配列を、公知の遺伝子工学的手法やタンパク質工学的手法等により改変して取得できるが、結果的に、目的のアミノ酸配列からなるタンパク質が得られればよく、その手法は限られない。
担体へのタンパク質の固定量や流速等の条件が同一である場合において、本発明の第一の発明に係る分離剤の動的結合量(DBC)は、単鎖抗体R3-26のアミノ酸配列における元来のリジン残基を介して担体の表面に該単鎖抗体を結合させた分離剤の動的結合量(DBC)よりも小さくない、すなわち、大きい又は同一である。
本発明の第一の発明に係る分離剤の動的結合量(DBC)は、例えば、[流速1.0 mL/minにおける10% DBC (mg/mL)] / [カラムへのタンパク質の固定化量(mg)]の値として、単鎖抗体R3-26のアミノ酸配列における元来のリジン残基を介して担体の表面に該単鎖抗体を結合させた分離剤のそれの、好ましくは1.00倍以上、より好ましくは1.20倍以上、さらに好ましくは1.40倍以上、よりさらに好ましくは1.60倍以上である。
本発明の第一の発明に係る分離剤の動的結合量(DBC)は、公知の方法で測定することができ、例えば、実施例に記載される方法で測定することができる。
本発明の第二の発明は、本発明の第一の発明に係る分離剤を用いて、二種以上の水溶性物質の混合液から前記タンパク質が結合する水溶性物質を分離する方法である。
二種以上の水溶性物質のうちの一種は、好ましくはヒト血清由来IgGポリクローナル抗体であり、より好ましくは、そのサブタイプである、ヒト血清由来IgG1ポリクローナル抗体、ヒト血清由来IgG2ポリクローナル抗体、ヒト血清由来IgG3ポリクローナル抗体、及びヒト血清由来IgG4ポリクローナル抗体からなる群から選択される一以上の抗体である。
本発明の第二の発明に係る方法は、水溶性物質を分離するのに適した条件で行う以外は、担体に抗体を固定した通常のアフィニティークロマトグラフィーと同様の操作により、試料の分析や、試料からの前記タンパク質が結合する水溶性物質の分離ができる。
本発明の他の態様は、
N末端から順に並ぶ、配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、及び配列番号3で表されるアミノ酸配列、又は、
N末端から順に並ぶ、配列番号3で表されるアミノ酸配列、配列番号17で表されるアミノ酸配列、及び配列番号1で表されるアミノ酸配列と、
そのC末端に3以上のリジン残基を含むアミノ酸配列とを含み、
該配列番号1で表されるアミノ酸配列、該配列番号2で表されるアミノ酸配列、該配列番号17で表されるアミノ酸配列、及び該配列番号3で表されるアミノ酸配列が含むすべてのリジン残基がリジン残基以外のアミノ酸残基に置換されているタンパク質である。
したがって、本態様に係るタンパク質は、ヒト血清由来IgGポリクローナル抗体に結合する活性を有している。さらに、そのサブタイプである、ヒト血清由来IgG1ポリクローナル抗体、ヒト血清由来IgG2ポリクローナル抗体、ヒト血清由来IgG3ポリクローナル抗体、及びヒト血清由来IgG4ポリクローナル抗体からなる群から選択される一以上の抗体に結合する活性を有している。
特許文献2、3を参考にして、N末端から順に並ぶ、配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、及び配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質(特許文献2、3に記載された単鎖抗体R3-26)と、そのC末端側に配列番号4で表されるリンカーアミノ酸配列とを含むタンパク質をコードしたDNA(配列番号9)から該タンパク質を発現するためのベクターを構築した。
この、N末端から順に並ぶ、配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、及び配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質と、そのC末端側の配列番号4で表されるリンカーアミノ酸配列とからなるアミノ酸配列とからなるアミノ酸配列を配列番号5とする。
尚、構築した発現ベクターは、N末端にペリプラズム移行シグナル(pelB Leader signal) 配列、前記配列番号4で表されるリンカーアミノ酸配列のC末端側にヒスチジンタグ(6×His-tag)が融合された形で発現される。発現後、タンパク質はペリプラズムに移行し、pelB Leader signal配列はシグナルペプチダーゼによって切断される。
製造例1で用いた配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質を次のように改変した。改変タンパク質を「R3-26 repCK+K」と称し、そのアミノ酸配列を配列番号6とする。
・配列番号2で表されるアミノ酸配列においては、アミノ酸残基の置換をしなかった。
・配列番号3で表されるアミノ酸配列においては、IMGTナンバリングで指定される22位のリジン残基をアスパラギン残基に、IMGTナンバリングで指定される51位のリジン残基をアルギニン残基に、IMGTナンバリングで指定される77位のリジン残基をセリン残基に、IMGTナンバリングで指定される96位のシステイン残基をセリン残基に置換した。
・配列番号4で表されるアミノ酸配列においては、N末端側からC末端側の順に、AAAGGGGSKIE(配列番号14)とした。
尚、R3-26 repCK+Kのアミノ酸配列をコードするDNAの塩基配列を配列番号10とする。
製造例1で用いた配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質を次のように改変した。改変タンパク質を「R3-26 repCK+K3」と称し、そのアミノ酸配列を配列番号7とする。
尚、R3-26 repCK+K3のアミノ酸配列をコードするDNAの塩基配列を配列番号11とする。
製造例1で用いた配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質を次のように改変した。改変タンパク質を「R3-26 repCK+K5」と称し、そのアミノ酸配列を配列番号8とする。
尚、R3-26 repCK+K5のアミノ酸配列をコードするDNAの塩基配列を配列番号12とする。
Sensor Chip: human IgG1-coupled CM5
Running buffer: PBST
Binding time: 180 sec
Dissociation time: 600-800 sec
Elution: 10mM Glycine, pH1.5
Mode: Single cycle kinetics mode
以上の結果より、アミノ酸配列の改変は、その生産性と解離定数KDに示される結合能とに顕著な低下を招かないことが分かった。
製造例1と同様の手順に従って進め、限外ろ過により回収したタンパク質溶液の溶媒を0.5M NaClを含む0.2M炭酸水素ナトリウムバッファー(pH8.3)に置換した。
HiTrap NHS-activated HPカラム1mL(GE Healthcare)に、精製したタンパク質を供給し、該タンパク質が含むリジン残基のアミノ基を介して固定化した。未反応のNHSエステルはトリスヒドロキシメチルアミノメタンを加えてブロックした。カラムへの前記タンパク質の固定化量は4.0mgとした。
タンパク質を固定した上記カラムをクロマトグラフィーシステムAKTA Purifier UPC 10 (GH Healthcare)にセットし、PBSで平衡化した。そこへ1mg/mLに調製したヒト血清由来IgGポリクローナル抗体(WAKO)を1mL/minの流速で供給し続け、破過曲線を得た。得られた破過曲線の10%破過点の溶出容量から10%動的結合量(DBC)を算出した。
カラムへのタンパク質の固定化量を5.0mgとしたこと以外は、参考例1-1と同様にした。
タンパク質として、製造例2で製造したタンパク質「R3-26 repCK+K」を用いたこと以外は参考例1-1と同様にした。
タンパク質として、製造例3で製造したタンパク質「R3-26 repCK+K3」を用い、その固定化量を5.0mgとしたこと以外は参考例1-1と同様にした。
タンパク質として、製造例4で製造したタンパク質「R3-26 repCK+K5」を用い、その固定化量を5.0mgとしたこと以外は参考例1-1と同様にした。
表2に結果をまとめた。尚、表中の参考例の結果は、参考例1-1と参考例1-2の結果の平均値である。
参考例よりも実施例1-1、実施例1-2の方が固定化タンパク質の量あたりのDBC値が大きかった。一方、参考例よりも比較例1の方が固定化タンパク質の量あたりのDBC値が小さかった。
以上の結果は、担体の表面と化学結合によって結合するリジン残基数が1では、担体上での目的物質の捕捉効率は向上しないが、3以上とすることで、担体上での目的物質の捕捉効率が向上することを示している。
カラムへのタンパク質の固定化量を幅広い量としたこと以外は、参考例1-1と同様にした。
製造例4で製造したタンパク質「R3-26 repCK+K5」の、カラムへの固定化量を幅広い量としたこと以外は、参考例1-1と同様にした。
図1に結果を示す。図中の破線は、得られたプロットの近似直線である。
この結果から、幅広い固定化量範囲で、実施例2の方が参考例2よりも目的物質の捕捉効率が高いことが分かった。
Claims (3)
- 担体とタンパク質とを含む分離剤であって、
該タンパク質が、単鎖抗体(scFv)であり、
該scFvは、
N末端から順に並ぶ、配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、及び配列番号3で表されるアミノ酸配列、又は、
N末端から順に並ぶ、配列番号3で表されるアミノ酸配列、配列番号17で表されるアミノ酸配列、及び配列番号1で表されるアミノ酸配列と、
そのC末端に3以上のリジン残基を含むアミノ酸配列とを含み、
該配列番号1で表されるアミノ酸配列、該配列番号2で表されるアミノ酸配列、該配列番号17で表されるアミノ酸配列、及び該配列番号3で表されるアミノ酸配列が含むすべてのリジン残基が、ヒスチジン残基、アルギニン残基、セリン残基、スレオニン残基、アスパラギン残基及びグルタミン酸残基から成る群から選択される少なくとも1種のアミノ酸残基に置換されているscFvであり、
該担体の表面と該3以上のリジン残基を含むアミノ酸配列におけるリジン残基とが化学結合によって結合している、分離剤。 - 請求項1に記載の分離剤を用いて、二種以上の水溶性物質の混合液から前記タンパク質が結合する水溶性物質を分離する方法。
- N末端から順に並ぶ、配列番号1で表されるアミノ酸配列、配列番号2で表されるアミノ酸配列、及び配列番号3で表されるアミノ酸配列、又は、
N末端から順に並ぶ、配列番号3で表されるアミノ酸配列、配列番号17で表されるアミノ酸配列、及び配列番号1で表されるアミノ酸配列と、
そのC末端に3以上のリジン残基を含むアミノ酸配列とを含み、
該配列番号1で表されるアミノ酸配列、該配列番号2で表されるアミノ酸配列、該配列番号17で表されるアミノ酸配列、及び該配列番号3で表されるアミノ酸配列が含むすべてのリジン残基が、ヒスチジン残基、アルギニン残基、セリン残基、スレオニン残基、ア
スパラギン残基及びグルタミン酸残基から成る群から選択される少なくとも1種のアミノ酸残基に置換されている単鎖抗体(scFv)。
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