以下、本発明の詳細を説明する。
(合わせガラス用中間膜)
本発明に係る合わせガラス用中間膜(以下、「中間膜」と略記することがある)は、2層以上の構造を有する。
本発明に係る中間膜は、樹脂を含む第1の層と、上記第1の層の第1の表面に積層されており、かつ樹脂を含む第2の層とを備える。
本発明に係る中間膜では、上記第1の層と、上記第2の層とが、異なる樹脂を含む。「異なる樹脂」とは、2つの樹脂を比較したときに、種類の異なる構造単位の含有率が50モル%以上である樹脂を意味する。したがって、例えば、ポリ酢酸ビニル樹脂とポリビニルブチラール樹脂とは異なる樹脂である。また、例えば、アクリル樹脂とポリビニルブチラール樹脂とは異なる樹脂である。一方で、例えば、ポリビニルブチラール樹脂A(水酸基の含有率30.5モル%、アセチル化度1モル%、アセタール化度(ブチラール化度)68.5モル%)とポリビニルブチラール樹脂B(水酸基の含有率24モル%、アセチル化度12モル%、アセタール化度(ブチラール化度)64モル%)とは、異なる樹脂ではない。上記ポリビニルブチラール樹脂Aと上記ポリビニルブチラール樹脂Bとは、種類が同じである構造単位の含有率が50%以上であるため、本明細書においては、同じ樹脂であるとみなす。
本発明に係る中間膜では、上記第1の層のガラス転移温度が、上記第2の層のガラス転移温度よりも低く、上記第1の層の酸価が3mgKOH/g以上500mgKOH/g以下である。
本発明に係る中間膜では、該中間膜をクリアガラス2枚の間に挟み込んで合わせガラスXを得たときに、上記合わせガラスXのヘイズが0.5%以下である。
本発明に係る合わせガラス用中間膜では、上記の構成が備えられているので、異なる樹脂を含む層同士が積層されているにもかかわらず中間膜の層間剥離を抑えることができ、かつ、合わせガラスの透明性を高めることができる。本発明に係る合わせガラス用中間膜では、第1の層と第2の層とが異なる樹脂を含むにもかかわらず、第1の層と第2の層との界面における剥離を抑えることができ、かつ、合わせガラスの透明性を高めることができる。
また、本発明に係る合わせガラス用中間膜では、上記の構成が備えられているので、合わせガラスの遮音性を高めることができる。
上記中間膜は、2層以上の構造を有する。上記中間膜は、2層の構造を有していてもよく、3層の構造を有していてもよく、3層以上の構造を有していてもよい。
上記中間膜は、樹脂を含む第1の層と、樹脂を含む第2の層とを備える。第1の層の第1の表面に第2の層が積層されている。上記中間膜は、上記第1の層の上記第1の表面とは反対側の第2の表面に積層された第3の層を備えていてもよい。上記第3の層は、樹脂を含むことが好ましい。中間膜が第3の層を備えない場合に、上記第1,第2の層は、中間膜の表面層であってもよく、表面層でなくてもよい。中間膜が第3の層を備える場合に、上記第2,第3の層は、中間膜の表面層であってもよく、表面層でなくてもよい。上記第2の層の上記第1の層とは反対側の表面には、他の層が備えられていてもよい。上記第3の層の上記第1の層とは反対側の表面には、他の層が備えられていてもよい。上記第2の層及び上記第3の層は、中間膜の表面層であることが好ましい。
本発明の効果を発揮させる観点及び合わせガラスの遮音性を高める観点から、上記第1の層のガラス転移温度は、上記第2の層のガラス転移温度よりも低い。
本発明の効果を効果的に発揮させる観点及び合わせガラスの遮音性をより一層高める観点からは、上記第1の層のガラス転移温度と上記第2の層のガラス転移温度との差の絶対値は、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上、更に好ましくは35℃以上、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下である。
本発明の効果を効果的に発揮させる観点及び合わせガラスの遮音性をより一層高める観点からは、上記第1の層のガラス転移温度は、上記第3の層のガラス転移温度よりも低いことが好ましい。特に、上記第1の層と上記第3の層とが異なる樹脂を含み、上記第1の層のガラス転移温度が上記第3の層のガラス転移温度よりも低い場合には、第1の層と第3の層とが異なる樹脂を含むにもかかわらず、第1の層と第3の層との界面における剥離を抑えることができる。
本発明の効果を効果的に発揮させる観点及び合わせガラスの遮音性をより一層高める観点からは、上記第1の層のガラス転移温度と上記第3の層のガラス転移温度との差の絶対値は、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上、更に好ましくは35℃以上、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下である。
合わせガラスの遮音性をより一層高める観点からは、第1の層のガラス転移温度は、好ましくは-20℃以上、より好ましくは-15℃以上、更に好ましくは-10℃以上、特に好ましく-7℃以上、好ましくは20℃以下、より好ましくは10℃以下、更に好ましくは5℃以下、特に好ましく0℃以下である。
合わせガラスの遮音性をより一層高める観点からは、第2の層のガラス転移温度は、好ましくは20℃以上、より好ましくは25℃以上、更に好ましくは30℃以上、特に好ましく34℃以上、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下、更に好ましくは45℃以下、特に好ましく40℃以下である。
合わせガラスの遮音性をより一層高める観点からは、第3の層のガラス転移温度は、好ましくは20℃以上、より好ましくは25℃以上、更に好ましくは30℃以上、特に好ましく34℃以上、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下、更に好ましくは45℃以下、特に好ましく40℃以下である。
上記ガラス転移温度は、粘弾性測定により求められる。上記粘弾性測定は、具体的には、以下のようにして行われる。
試験片を、室温23±2℃、湿度25±5%の環境下に12時間保管する。次いで、粘弾性測定装置(例えばTAインスツルメント社製「ARES-G2」)を用いて、粘弾性を測定する。治具として直径8mmのパラレルプレートを用い、せん断モード、3℃/分の降温速度で100℃から-20℃まで温度を低下させる条件、並びに周波数1Hz及び歪1%の条件で測定する。
上記第1の層のtanδのピーク温度でのtanδは、好ましくは2.0以上、より好ましくは2.2以上、更に好ましくは2.4以上、特に好ましくは2.5以上、好ましくは10以下、より好ましくは8以下である。この場合には、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができる。
上記第1の層のtanδのピーク温度でのtanδは粘弾性測定により、以下のようにして測定することができる。
試験片を、室温23±2℃、湿度25±5%の環境下に12時間保管した直後に、動的粘弾性測定装置(例えば、アイティー計測制御社製「DVA-200」)を用いて、粘弾性を測定する。せん断モードで、3℃/分の昇温速度で-50℃から200℃まで温度を上昇させる条件、並びに周波数1Hz及び歪1%の条件で測定する。
上記ガラス転移温度及び上記第1の層のtanδのピーク温度でのtanδを測定する際には、中間膜自体を用いて、粘弾性測定を行ってもよい。この場合に、測定結果から、上記第1の層、第2の層、第3の層に由来するtanδのピーク等を読み取ってもよい。また、中間膜の各層間を剥離して、測定対象の層のガラス転移温度を測定してもよい。また、合わせガラスの場合は、液体窒素等で合わせガラスを冷却後に合わせガラス部材と中間膜とを剥離し、剥離した中間膜を用いて粘弾性測定を行ってもよい。
中間膜の層間剥離を抑える観点から、上記第1の層の酸価は3mgKOH/g以上500mgKOH/g以下である。上記第1の層の酸価が3mgKOH/g未満又は500mgKOH/gを超えると、中間膜の層間剥離が生じやすい。また、上記第1の層の酸価が500mgKOH/gを超えると、合わせガラスが白濁したり、押出機等の設備が腐食したりすることがある。
中間膜の層間剥離をより一層効果的に抑える観点からは、上記第1の層の酸価は、好ましくは15mgKOH/g以上、より好ましくは20mgKOH/g以上、好ましくは200mgKOH/g以下、より好ましくは150mgKOH/g以下である。
上記第1の層の酸価は、JIS K0070に記載の電位差滴定法に準拠して測定される。具体的には、以下のようにして測定することができる。
試料(第1の層)を溶媒(例えば、メチルエチルケトン:トルエン:メタノール=1:1:1(体積比))に溶解する。得られた溶液を、電位差滴定装置(例えば、京都電子工業社製「AT-710」、電極:京都電子工業社製「H-171、R-173」)及び0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液を用いて滴定し、得られた変曲点を滴定の終点とし、下記式より酸価を算出する。
酸価(mgKOH/g)=(V1-V0)×N×56.11×f/S
S:試料(第1の層)の質量(g)
V0:空試験での滴定量(ml)
V1:試料(第1の層)を用いたときの試験での滴定量(ml)
N:滴定液の濃度(0.1mol/L)
f:滴定液のファクター(f=1.002)
酸価測定用の試料(第1の層)は、第1の層を形成するための組成物を用いて作製してもよく、合わせガラス又は中間膜から第1の層を分離することにより得てもよい。合わせガラスから、酸価測定用の試料(第1の層)を得る方法としては、液体窒素等を用いて冷却して合わせガラス部材と中間膜とを剥離した後、中間膜における第1の層と第2の層(及び第3の層)とを剥離する方法等が挙げられる。中間膜から、酸価測定用の第1の層を得る方法としては、第1の層と第2の層(及び第3の層)とを剥離する方法等が挙げられる。
本発明に係る中間膜を、クリアガラス2枚の間に挟み込んで合わせガラスXが作製される。
上記合わせガラスXは、該合わせガラスXのヘイズを測定するために作製される。
合わせガラスXを作製するために用いられるクリアガラスの厚みは2mmであることが好ましい。
上記合わせガラスXは、以下のようにして作製されることが好ましい。
厚み2mmのクリアガラス2枚の間に中間膜を挟み、積層体を得る。得られた積層体をゴムバック内に入れ、2.6kPaの真空度で20分間脱気した後、脱気したままオーブン内に移し、更に90℃で30分間保持して真空プレスし、積層体を予備圧着する。オートクレーブ中で135℃及び圧力1.2MPaの条件で、予備圧着された積層体を20分間圧着し、縦25mm及び横300mmのサイズを有する合わせガラスXを得る。
なお、合わせガラスにおける中間膜を合わせガラス部材から剥離して、上記合わせガラスXを作製してもよい。
合わせガラスの透明性を高める観点から、上記合わせガラスXのヘイズは0.5%以下である。
合わせガラスの透明性をより一層高める観点からは、上記合わせガラスXのヘイズは、好ましくは0.4%以下、より好ましくは0.3%以下である。
上記合わせガラスXのヘイズは、JIS K6714に準拠して測定される。
本発明に係る中間膜を、厚さ2mmのクリアフロートガラス2枚の間に配置して、縦300mm及び横300mmのサイズを有する合わせガラスYを得る。得られた合わせガラスYについて下記の-20℃での耐衝撃性試験をしたときに、上記第1の層と上記第2の層との界面における剥離面積は、好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下、更に好ましくは30%以下である。上記剥離面積が上記上限以下であると、異なる樹脂を含む層同士が積層されているにもかかわらず中間膜の層間剥離を抑えることができる。なお、-20℃での耐衝撃性試験は、例えば、20℃での耐衝撃性試験や40℃での耐衝撃性試験よりも層間剥離がより一層生じやすい温度条件である。
-20℃での耐衝撃性試験:-20±2℃にて合わせガラスYを4時間以上保管する。保管後の合わせガラスYについて、JIS R3211又はJIS R3212に準拠して-20±2℃にて合わせガラスYの縦方向の中央の位置かつ横方向の中央の位置に、質量227±2g及び直径38mmの鋼球を高さ9.5mから落下させる。上記中間膜の上記第1の層と上記第2の層との界面における剥離面積を求める。
上記剥離面積は、例えば、以下の式により求めることができる。
剥離面積(%)=100-[(-20℃での耐衝撃性試験の実施後に第1の層と第2の層とが接着している面積)/(-20℃での耐衝撃性試験の実施前に第1の層と第2の層とが接着している面積)×100]
第1の層と第2の層とが接着している面積は、例えば、合わせガラスYを上部からデジタルカメラ等で撮影し、接着している部分と剥離している部分とを画像解析して面積を算出することにより求めることができる。
上記合わせガラスYは、-20℃での耐衝撃性試験を実施するために作製される。
上記合わせガラスYは、以下のようにして作製されることが好ましい。
厚さ2mmのクリアフロートガラス2枚の間に中間膜を挟み、積層体を得る。得られた積層体をゴムバック内に入れ、2.6kPaの真空度で20分間脱気した後、脱気したままオーブン内に移し、更に90℃で30分間保持して真空プレスし、積層体を予備圧着する。オートクレーブ中で135℃及び圧力1.2MPaの条件で、予備圧着された積層体を20分間圧着し、縦300mm及び横300mmのサイズを有する合わせガラスYを得る。
なお、合わせガラスにおける中間膜を合わせガラス部材から剥離して、上記合わせガラスYを作製してもよい。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図である。
図1に示す中間膜11は、2層以上の構造を有する多層の中間膜である。中間膜11は、合わせガラスを得るために用いられる。中間膜11は、合わせガラス用中間膜である。中間膜11は、第1の層1と、第2の層2と、第3の層3とを備える。中間膜11は、3層の構造を有する。第1の層1の第1の表面1aに、第2の層2が配置されており、積層されている。第1の層1の第1の表面1aとは反対の第2の表面1bに、第3の層3が配置されており、積層されている。第1の層1は中間層である。第2の層2及び第3の層3はそれぞれ、保護層であり、本実施形態では表面層である。第1の層1は、第2の層2と第3の層3との間に配置されており、挟み込まれている。従って、中間膜11は、第2の層2と第1の層1と第3の層3とがこの順で積層された多層構造(第2の層2/第1の層1/第3の層3)を有する。
なお、第2の層2の第1の層1とは反対側の表面、及び、第3の層3の第1の層1とは反対側の表面にはそれぞれ、他の層が配置されていてもよい。
以下、本発明に係る中間膜、上記第1の層、上記第2の層及び上記第3の層、並びに中間膜に用いられる各成分の詳細を説明する。
(樹脂)
上記中間膜は、樹脂(以下、樹脂(0)と記載することがある)を含む。上記第1の層は、樹脂(以下、樹脂(1)と記載することがある)を含む。上記第2の層は、樹脂(以下、樹脂(2)と記載することがある)を含む。上記第3の層は、樹脂(以下、樹脂(3)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記樹脂(1)と、上記樹脂(2)とは、異なる樹脂を含む。上記樹脂(1)と、上記樹脂(2)とは、異なる樹脂であってもよい。上記樹脂(1)と、上記樹脂(3)とは、同一の樹脂であってもよく、異なる樹脂を含んでいてもよく、異なる樹脂であってもよい。上記樹脂(2)と、上記樹脂(3)とは、同一の樹脂であってもよく、異なる樹脂を含んでいてもよく、異なる樹脂であってもよい。遮音性がより一層高くなることから、上記樹脂(1)と、上記樹脂(2)とは異なる樹脂であることが好ましく、上記樹脂(1)と、上記樹脂(3)とは、異なる樹脂であることが好ましい。上記樹脂(0)、上記樹脂(1)、上記樹脂(2)及び上記樹脂(3)はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記樹脂(0)、上記樹脂(1)、上記樹脂(2)、上記樹脂(3)としては、硬化樹脂(硬化物)、及び熱可塑性樹脂、並びにこれらの樹脂が変性された変性樹脂等が挙げられる。
上記硬化樹脂としては、光硬化性化合物及び湿気硬化性化合物等を硬化させた樹脂等が挙げられる。上記樹脂は、光硬化性化合物又は湿気硬化性化合物を硬化させた硬化物であってもよい。なお、上記光硬化性化合物又は湿気硬化性化合物を硬化させた硬化物が、熱可塑性樹脂となることもある。
上記光硬化性化合物又は上記湿気硬化性化合物は、(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物であることが好ましく、(メタ)アクリル重合体であることがより好ましい。上記樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物であることが好ましく、(メタ)アクリル重合体であることがより好ましい。
上記熱可塑性樹脂としては、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン-アクリル酸共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、脂肪族ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂、及び(メタ)アクリル樹脂(メタ)アクリロイル基を有する重合体)等が挙げられる。なお、ポリオキシメチレン(又はポリアセタール)樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂に含まれる。上記樹脂として、これら以外の熱可塑性樹脂を用いてもよい。上記熱可塑性樹脂は、熱可塑性エラストマーであってもよい。
なお、熱可塑性樹脂とは加熱すると軟化して可塑性を示し、例えば、室温(25℃)まで冷却すると固化する樹脂である。熱可塑性エラストマーとは、熱可塑性樹脂の中でも特に、加熱すると軟化して可塑性を示し、例えば、室温(25℃)まで冷却すると固化してゴム弾性を示す樹脂を意味する。
上記に例示した熱可塑性樹脂は、樹脂の分子構造や重合度等の調整によって熱可塑性エラストマーとなりうる。
遮音性をより一層高める観点からは、上記熱可塑性樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有する重合体であることが好ましく、(メタ)アクリル重合体であることがより好ましい。
耐貫通性をより一層高める観点からは、上記熱可塑性樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂、アイオノマー樹脂又はエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂であることが好ましく、ポリビニルアセタール樹脂であることがより好ましい。
<(メタ)アクリル重合体>
上記(メタ)アクリル重合体は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含む重合性組成物の重合体であることが好ましい。上記重合性組成物は、重合成分を含む。上記(メタ)アクリル重合体を効果的に作製するために、上記重合性組成物は、光反応開始剤を含んでいてもよい。上記重合性組成物は、光反応開始剤とともに、反応を促進するための助剤を含んでいてもよい。上記(メタ)アクリロイル基を有する化合物の代表例としては、(メタ)アクリル酸エステル及びアミド基を有するN置換アクリルアミド等が挙げられる。上記(メタ)アクリル重合体は、ポリ(メタ)アクリル酸エステルであることが好ましい。
上記重合成分は、環状エーテル構造を有する(メタ)アクリル酸エステル、脂環構造を有する(メタ)アクリル酸エステル、芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル、極性基を有する(メタ)アクリル酸エステル、側鎖の炭素数が6以下の非環式(メタ)アクリル酸エステル、又はアミド基を有するN置換アクリルアミドを含むことが好ましい。これらの好ましい(メタ)アクリル酸エステル又はアミド基を有するN置換アクリルアミドの使用により、本発明の効果を効果的に得ることができ、また、遮音性と発泡抑制性能との双方をバランスよく高めることができる。
上記環状エーテル構造を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレートグリシジル、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル;(3-メチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、(3-プロピルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、(3-ブチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)エチル(メタ)アクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)プロピル(メタ)アクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)ブチル(メタ)アクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)ペンチル(メタ)アクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)ヘキシル(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-イソブチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、(2-シクロヘキシル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアルコールアクリル酸多量体エステル;テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル-(メタ)アクリレート、2-{1-[(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ]-2-メチルプロピル}(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。本発明の効果を効果的に得る観点から、上記環状エーテル構造を有する(メタ)アクリル酸エステルは、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、又は環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレートであることが好ましい。
上記脂環構造を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、イソボロニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、ベンジルアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート等が挙げられる。
上記極性基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、極性基として、水酸基、アミド基、アミノ基、イソシアネート基、カルボキシル基等を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
イソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、トリアリルイソシアヌレート及びその誘導体等が挙げられる。
カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリル酸、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート、2-アクリロイロキシエチルコハク酸等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステルは、(メタ)アクリロイル基を有する多価カルボン酸エステルであってもよい。該(メタ)アクリロイル基を有する多価カルボン酸エステルとしては、2-アクリロイルオキシエチルサクシネート等が挙げられる。
上記側鎖の炭素数が6以下の非環式(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
本発明の効果を効果的に得るために、上記重合成分100重量%中、側鎖の炭素数が8以上の非環式(メタ)アクリル酸エステルの含有量は、20重量%未満であることが好ましい。
上記アミド基を有するN置換アクリルアミドとしては、例えば、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、上記した化合物以外に、例えばジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、2-アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート、2-アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシルプロピルフタレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)クリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス[4-(アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)クリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(2-アクリロイルオキシエチル)フォスフェート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート及びその誘導体等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステル及びアミド基を有するN置換アクリルアミドはそれぞれ1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記(メタ)アクリル重合体は、上記の(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体であってもよく、上記の(メタ)アクリル酸エステルを含む重合成分の共重合体であってもよい。
上記光反応開始剤としては、具体的には、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-2-モルホリノ(4-チオメチルフェニル)プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-N,N-ジメチル-N-[2-(1-オキソ-2-プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4-ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、2-(3-ジメチルアミノ-2-ヒドロキシ)-3,4-ジメチル-9H-チオキサントン-9-オンメソクロリド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、トリフェニルメチリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート等が挙げられる。上記光反応開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光反応開始剤は、ベンジルジメチルケタール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、又はビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドであることが好ましい。
上記重合性組成物100重量%中、上記光反応開始剤の含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。上記光反応開始剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、光反応性及び保存安定性がより一層高くなる。
上記重合性組成物が光硬化性化合物を含む場合に、該光硬化性化合物を重合させるために、紫外線照射装置等の光硬化性装置を用いることが好ましい。上記紫外線照射装置としては、ボックスタイプの装置、及びベルトコンベヤタイプの装置等が挙げられる。また、上記紫外線照射装置に設置される紫外線ランプとしては、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、ケミカルランプ、メタルハライドランプ、エキシマランプ、UV-LED等が挙げられる。上記紫外線ランプは、ケミカルランプ、又はUV-LEDが好ましい。
上記光硬化性化合物に紫外線を照射する場合には、紫外線照射量(積算照射量)は、好ましくは500mJ以上、より好ましくは1000mJ以上、更に好ましくは1500mJ以上、特に好ましくは2000mJ以上である。上記紫外線照射量(積算照射量)は、好ましくは20000mJ以下、より好ましくは10000mJ以下、更に好ましくは8000mJ以下である。上記紫外線照射量(積算照射量)が上記下限以上であると未反応モノマーを減らすことができる。上記紫外線照射量(積算照射量)が上記上限以下であると樹脂の保存安定性が高くなる。また、上記紫外線照射の照射強度は、好ましくは0.1mW以上、より好ましくは0.5mW以上、更に好ましくは1mW以上、特に好ましくは2mW以上である。
<ポリ酢酸ビニル>
本発明の効果に優れることから、上記ポリ酢酸ビニルは、酢酸ビニルと、上記官能基を有するモノマーとを含む重合性組成物の重合体であることが好ましい。
上記官能基を有するモノマーとしては、3-メチル-3-ブテン-1-オール、エチレングリコールモノビニルエーテル、及びイソプロピルアクリルアミド等が挙げられる。上記官能基としてカルボキシル基を有するモノマーとしては、アクリル酸、及びイタコン酸等が挙げられる。
遮音性を効果的に高める観点からは、ポリ酢酸ビニルの重量平均分子量は、好ましくは25万以上、より好ましくは30万以上、更に好ましくは40万以上、特に好ましくは50万以上である。層間接着力を良好にする観点からは、ポリ酢酸ビニルの重量平均分子量は、好ましくは120万以下、より好ましくは90万以下である。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算での重量平均分子量を示す。
上記重合性組成物を重合させて上記ポリ酢酸ビニルを合成する方法は特に限定されない。この合成方法としては、溶液重合法、懸濁重合法、及びUV重合法等が挙げられる。
中間膜の透明性を高め、かつ、透明性が高められた中間膜において、遮音性及び層間接着力を効果的に高める観点からは、上記ポリ酢酸ビニルの合成方法は、溶液重合法であることが好ましい。
<ポリエステル樹脂>
上記ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
<ポリビニルアセタール樹脂>
上記ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)をアルデヒドによりアセタール化することにより製造できる。上記ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールのアセタール化物であることが好ましい。上記ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られる。上記ポリビニルアルコールのけん化度は、一般に70モル%~99.9モル%の範囲内である。
上記ポリビニルアルコール(PVA)の平均重合度は、好ましくは200以上、より好ましくは500以上、より一層好ましくは1500以上、更に好ましくは1600以上、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下、更に好ましくは3500以下、特に好ましくは3000以下である。上記平均重合度が上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記平均重合度が上記上限以下であると、中間膜の成形が容易になる。
上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠した方法により求められる。
上記ポリビニルアセタール樹脂に含まれるアセタール基の炭素数は特に限定されない。上記ポリビニルアセタール樹脂を製造する際に用いるアルデヒドは特に限定されない。上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数は3~5であることが好ましく、3又は4であることがより好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数が3以上であると、中間膜のガラス転移温度が充分に低くなる。
上記アルデヒドは特に限定されない。一般には、炭素数が1~10のアルデヒドが好適に用いられる。上記炭素数が1~10のアルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n-バレルアルデヒド、2-エチルブチルアルデヒド、n-ヘキシルアルデヒド、n-オクチルアルデヒド、n-ノニルアルデヒド、n-デシルアルデヒド及びベンズアルデヒド等が挙げられる。プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n-ヘキシルアルデヒド又はn-バレルアルデヒドが好ましく、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド又はイソブチルアルデヒドがより好ましく、n-ブチルアルデヒドが更に好ましい。上記アルデヒドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率(水酸基量)は、好ましくは15モル%以上、より好ましくは18モル%以上、好ましくは40モル%以下、より好ましくは35モル%以下である。上記水酸基の含有率が上記下限以上であると、中間膜の接着力がより一層高くなる。また、上記水酸基の含有率が上記上限以下であると、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱いが容易になる。
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率は、水酸基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記水酸基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度は、好ましくは0.01モル%以上、より好ましくは0.5モル%以上、好ましくは10モル%以下、より好ましくは2モル%以下である。上記アセチル化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセチル化度が上記上限以下であると、中間膜及び合わせガラスの耐湿性が高くなる。
上記アセチル化度は、アセチル基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記アセチル基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度(ポリビニルブチラール樹脂の場合にはブチラール化度)は、好ましくは55モル%以上、より好ましくは60モル%以上、好ましくは75モル%以下、より好ましくは71モル%以下である。上記アセタール化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセタール化度が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂を製造するために必要な反応時間が短くなる。
上記アセタール化度は、以下のようにして求める。先ず、主鎖の全エチレン基量から、水酸基が結合しているエチレン基量と、アセチル基が結合しているエチレン基量とを差し引いた値を求める。得られた値を、主鎖の全エチレン基量で除算してモル分率を求める。このモル分率を百分率で示した値がアセタール化度である。
なお、上記水酸基の含有率(水酸基量)、アセタール化度(ブチラール化度)及びアセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出することが好ましい。但し、ASTM D1396-92による測定を用いてもよい。ポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラール樹脂である場合は、上記水酸基の含有率(水酸基量)、上記アセタール化度(ブチラール化度)及び上記アセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出され得る。
以下、第1の層、第2の層及び第3の層に含まれる好適な樹脂の詳細について、更に具体的に説明する。
第1の層に含まれる樹脂(樹脂(1)):
上記樹脂(1)として、上述した樹脂を用いることができる。
上記第1の層は、酸価が5mgKOH/g以上500mgKOH/g以下である樹脂(以下、樹脂(1A)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記樹脂(1)は、上記樹脂(1A)を含むことが好ましい。上記樹脂(1)は、上記樹脂(1A)であってもよい。この場合には、第1の層の酸価を上述した範囲に容易に制御することができ、その結果、中間膜の層間剥離を効果的に抑えることができる。なお、上記樹脂(1)は、上記樹脂(1A)以外の樹脂を含んでいてもよい。
中間膜の層間剥離をより一層効果的に抑える観点からは、上記樹脂(1A)の酸価は、好ましくは200mgKOH/g以下、より好ましくは150mgKOH/g以下である。
上記樹脂(1)の酸価は、JIS K0070に記載の電位差滴定法に準拠して測定される。具体的には、以下のようにして測定することができる。
試料(樹脂(1))を溶媒(例えば、メチルエチルケトン:トルエン:メタノール=1:1:1(体積比))に溶解する。得られた溶液を、電位差滴定装置(例えば、京都電子工業社製「AT-710」、電極:京都電子工業社製「H-171、R-173」)及び0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液を用いて滴定し、得られた変曲点を滴定の終点とし、下記式より酸価を算出する。
酸価(mgKOH/g)=(V1-V0)×N×56.11×f/S
S:試料(樹脂(1))の質量(g)
V0:空試験での滴定量(ml)
V1:試料(樹脂(1))を用いたときの試験での滴定量(ml)
N:滴定液の濃度(0.1mol/L)
f:滴定液のファクター(f=1.002)
酸価測定用の試料(樹脂(1))は、樹脂(1)自体を用いてもよく、第1の層から樹脂(1)を分離して得てもよい。第1の層から樹脂(1)を分離する方法としては、以下の方法が挙げられる。第1の層を良溶媒(例えば、メチルエチルケトンやテトラヒドロフラン等)に溶解する。得られた溶液について貧溶媒(例えば、エタノールやメタノール等)で再沈殿を行った後、得られた高分量成分をさらに液体クロマトグラフィ等により第1の層の高分子量成分(樹脂)と低分子量成分(可塑剤等)とを分離して、試料(樹脂(1))である高分子量成分を得る。
上記第1の層100重量%中、上記樹脂(1A)の含有量は、好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上、好ましくは90重量%以下、より好ましくは80重量%以下、更に好ましくは75重量%以下である。上記樹脂(1A)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、第1の層の酸価を上述した範囲に容易に制御することができ、その結果、中間膜の層間剥離をより一層効果的に抑えることができる。
上記第1の層に含まれる樹脂100重量%中(樹脂(1)100重量%中)、上記樹脂(1A)の含有量は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。上記樹脂(1A)の含有量が上記下限以上であると、第1の層の酸価を上述した範囲に容易に制御することができ、その結果、中間膜の層間剥離をより一層効果的に抑えることができる。
上記第1の層は、カルボキシル基を有する樹脂を含むことが好ましい。上記樹脂(1)、上記樹脂(1A)は、カルボキシル基を有する樹脂を含むことが好ましい。この場合には、第1の層の酸価を上述した範囲に容易に制御することができ、その結果、中間膜の層間剥離を効果的に抑えることができる。なお、上記樹脂(1)及び上記樹脂(1A)は、上記カルボキシル基を有する樹脂であってもよい。また、上記カルボキシル基を有する樹脂は、上記樹脂(1A)とは異なっていてもよい。
上記カルボキシル基を有する樹脂100重量%中、カルボキシル基の含有率は、好ましくは4重量%以上、より好ましくは5重量%以上、好ましくは15重量%以下、より好ましくは13重量%以下である。上記カルボキシル基の含有率が上記下限以上及び上記上限以下であると、第1の層の酸価を上述した範囲に容易に制御することができ、その結果、中間膜の層間剥離をより一層効果的に抑えることができる。
上記カルボキシル基の含有率は、H-NMR等により測定することができる。
中間膜の層間剥離をより一層効果的に抑える観点、合わせガラスの透明性及び遮音性をより一層高める観点からは、上記カルボキシル基を有する樹脂は、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル重合体、又はカルボキシル基を有するポリ酢酸ビニルであることが好ましく、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル重合体であることがより好ましい。上記カルボキシル基を有する(メタ)アクリル重合体は、例えば、上記カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含む重合性組成物を硬化させることにより得ることができる。上記カルボキシル基を有するポリ酢酸ビニルは、例えば、酢酸ビニルと上記カルボキシル基を有するモノマーとを含む重合性組成物を用いて得ることができる。
上記第1の層100重量%中、上記カルボキシル基を有する樹脂の含有量は、好ましくは4重量%以上、より好ましくは5重量%以上、好ましくは15重量%以下、より好ましくは13重量%以下である。上記カルボキシル基を有する樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、第1の層の酸価を上述した範囲に容易に制御することができ、その結果、中間膜の層間剥離をより一層効果的に抑えることができる。
上記第1の層に含まれる樹脂100重量%中(樹脂(1)100重量%中)、上記カルボキシル基を有する樹脂の含有量は、好ましくは4重量%以上、より好ましくは5重量%以上、好ましくは15重量%以下、より好ましくは13重量%以下である。上記カルボキシル基を有する樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、第1の層の酸価を上述した範囲に容易に制御することができ、その結果、中間膜の層間剥離をより一層効果的に抑えることができる。
上記第1の層が2種類以上の樹脂を含む場合に、第1の層は、共連続構造及び海島構造等の相分離構造を有さないことが好ましい。
上記第1の層100重量%中、上記樹脂(1)の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、より一層好ましくは50重量%以上、更に好ましくは60重量%以上、特に好ましくは65重量%以上である。
第2,第3の層に含まれる樹脂(樹脂(2),樹脂(3)):
上記樹脂(2)及び上記樹脂(3)として、上述した樹脂を用いることができる。
中間膜の層間剥離を効果的に抑える観点、並びに合わせガラスの透明性及び遮音性を高める観点からは、上記樹脂(2)及び上記樹脂(3)はそれぞれ、上記熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、上記熱可塑性樹脂であることがより好ましい。
中間膜の層間剥離をより一層効果的に抑える観点、並びに合わせガラスの透明性及び遮音性をより一層高める観点からは、上記樹脂(2)は、上記ポリビニルアセタール樹脂であることが好ましく、上記樹脂(3)は、上記ポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。
中間膜の製造効率をより一層高める観点からは、上記樹脂(2)と上記樹脂(3)とは、同一の樹脂であることが好ましい。
上記第2の層に含まれる樹脂100重量%中(樹脂(2)100重量%中)、上記熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、より一層好ましくは50重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である。上記樹脂(2)の主成分(50重量%以上)は、上記熱可塑性樹脂であることが好ましい。
上記第2の層に含まれる熱可塑性樹脂100重量%中、上記ポリビニルアセタール樹脂の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、より一層好ましくは50重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である。上記第2の層の熱可塑性樹脂の主成分(50重量%以上)は、ポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。
上記第3の層に含まれる樹脂100重量%中(樹脂(3)100重量%中)、上記熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、より一層好ましくは50重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である。上記樹脂(3)の主成分(50重量%以上)は、上記熱可塑性樹脂であることが好ましい。
上記第3の層に含まれる熱可塑性樹脂100重量%中、上記ポリビニルアセタール樹脂の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、より一層好ましくは50重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である。上記第3の層の熱可塑性樹脂の主成分(50重量%以上)は、ポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。
(可塑剤)
上記中間膜は、可塑剤を含むことが好ましい。上記第1の層は、可塑剤(以下、可塑剤(1)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第2の層は、可塑剤(以下、可塑剤(2)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第3の層は、可塑剤(以下、可塑剤(3)と記載することがある)を含むことが好ましい。可塑剤の使用により、各層間の接着力がより一層高くなる傾向がある。またポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との併用により、耐衝撃性及び耐貫通性により一層優れ、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含む層の合わせガラス部材又は他の層に対する接着力が適度に高くなる。上記可塑剤は特に限定されない。上記可塑剤(1)と上記可塑剤(2)と上記可塑剤(3)とは同一であってもよく、異なっていてもよい。上記可塑剤(1)、上記可塑剤(2)及び上記可塑剤(3)はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記可塑剤としては、一塩基性有機酸エステル及び多塩基性有機酸エステル等の有機エステル可塑剤、並びに有機リン酸可塑剤及び有機亜リン酸可塑剤などの有機リン酸可塑剤等が挙げられる。有機エステル可塑剤が好ましい。上記可塑剤は液状可塑剤であることが好ましい。
上記一塩基性有機酸エステルとしては、グリコールと一塩基性有機酸との反応によって得られたグリコールエステル等が挙げられる。上記グリコールとしては、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びトリプロピレングリコール等が挙げられる。上記一塩基性有機酸としては、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2-エチル酪酸、ヘプチル酸、n-オクチル酸、2-エチルヘキシル酸、n-ノニル酸及びデシル酸等が挙げられる。
上記多塩基性有機酸エステルとしては、多塩基性有機酸と、炭素数4~8の直鎖又は分岐構造を有するアルコールとのエステル化合物等が挙げられる。上記多塩基性有機酸としては、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等が挙げられる。
上記有機エステル可塑剤としては、トリエチレングリコールジ-2-エチルプロパノエート、トリエチレングリコールジ-2-エチルブチレート、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジ-n-オクタノエート、トリエチレングリコールジ-n-ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ-n-ヘプタノエート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート、エチレングリコールジ-2-エチルブチレート、1,3-プロピレングリコールジ-2-エチルブチレート、1,4-ブチレングリコールジ-2-エチルブチレート、ジエチレングリコールジ-2-エチルブチレート、ジエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート、ジプロピレングリコールジ-2-エチルブチレート、トリエチレングリコールジ-2-エチルペンタノエート、テトラエチレングリコールジ-2-エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリレート、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ヘキシルシクロヘキシル、アジピン酸ヘプチルとアジピン酸ノニルとの混合物、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ヘプチルノニル、セバシン酸ジブチル、油変性セバシン酸アルキド、及びリン酸エステルとアジピン酸エステルとの混合物等が挙げられる。これら以外の有機エステル可塑剤を用いてもよい。上述のアジピン酸エステル以外の他のアジピン酸エステルを用いてもよい。
上記有機リン酸可塑剤としては、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート及びトリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
上記可塑剤は、下記式(1)で表されるジエステル可塑剤であることが好ましい。
上記式(1)中、R1及びR2はそれぞれ、炭素数2~10の有機基を表し、R3は、エチレン基、イソプロピレン基又はn-プロピレン基を表し、pは3~10の整数を表す。上記式(1)中のR1及びR2はそれぞれ、炭素数5~10の有機基であることが好ましく、炭素数6~10の有機基であることがより好ましい。
上記可塑剤は、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)、トリエチレングリコールジ-2-エチルブチレート(3GH)又はトリエチレングリコールジ-2-エチルプロパノエートを含むことが好ましい。上記可塑剤は、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート又はトリエチレングリコールジ-2-エチルブチレートを含むことがより好ましく、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエートを含むことが更に好ましい。
上記第1の層において、上記樹脂(1)100重量部に対する上記可塑剤(1)の含有量を、含有量(1)とする。上記含有量(1)は、好ましくは10重量部以上、より好ましくは20重量部以上、更に好ましくは30重量部以上、特に好ましくは35重量部以上、好ましくは100重量部以下、より好ましくは80重量部以下、更に好ましくは70重量部以下、特に好ましくは65重量部以下である。上記含有量(1)が上記下限以上であると、中間膜の層間剥離をより一層効果的に抑えることができ、また、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができる。上記含有量(1)が上記上限以下であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。
上記第2の層において、上記樹脂(2)100重量部に対する上記可塑剤(2)の含有量を、含有量(2)とする。上記含有量(2)は、好ましくは20重量部以上、より好ましくは25重量部以上、更に好ましくは30重量部以上、好ましくは45重量部以下、より好ましくは40重量部以下、更に好ましくは37重量部以下である。上記含有量(2)が上記下限以上であると、中間膜の層間剥離をより一層効果的に抑えることができ、また、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができる。上記含有量(2)が上記上限以下であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記含有量(2)が上記上限以下であると、曲げ剛性がより一層高くなる。
上記第3の層において、上記樹脂(3)100重量部に対する上記可塑剤(3)の含有量を、含有量(3)とする。上記含有量(3)は、好ましくは20重量部以上、より好ましくは25重量部以上、更に好ましくは30重量部以上、好ましくは45重量部以下、より好ましくは40重量部以下、更に好ましくは37重量部以下である。上記含有量(3)が上記下限以上であると、中間膜の層間剥離をより一層効果的に抑えることができ、また、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができる。上記含有量(3)が上記上限以下であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記含有量(3)が上記上限以下であると、曲げ剛性がより一層高くなる。
上記含有量(1)と上記含有量(2)とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。上記含有量(1)と上記含有量(3)とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。合わせガラスの遮音性を高める観点からは、上記含有量(1)と上記含有量(2)とは同一であるか、又は、上記含有量(1)は上記含有量(2)よりも多いことが好ましく、上記含有量(1)は上記含有量(2)よりも多いことがより好ましい。合わせガラスの遮音性を高める観点からは、上記含有量(1)と上記含有量(3)とは同一であるか、又は、上記含有量(1)は上記含有量(3)よりも多いことが好ましく、上記含有量(1)は上記含有量(3)よりも多いことがより好ましい。
合わせガラスの遮音性をより一層高める観点からは、上記含有量(2)と上記含有量(1)との差の絶対値、並びに上記含有量(3)と上記含有量(1)との差の絶対値はそれぞれ、好ましくは5重量部以上、より好ましくは10重量部以上、更に好ましくは15重量部以上である。上記含有量(2)と上記含有量(1)との差の絶対値、並びに上記含有量(3)と上記含有量(1)との差の絶対値はそれぞれ、好ましくは80重量部以下、より好ましくは75重量部以下、更に好ましくは70重量部以下である。
(遮熱性物質)
上記中間膜は、遮熱性物質を含んでいてもよい。上記第1の層は、遮熱性物質を含んでいてもよい。上記第2の層は、遮熱性物質を含んでいてもよい。上記第3の層は、遮熱性物質を含んでいてもよい。上記遮熱性物質は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記遮熱性物質は、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物の内の少なくとも1種の成分Xを含むか、又は、遮熱粒子を含んでいてもよい。この場合に、上記遮熱性物質は、上記成分Xと上記遮熱粒子との双方を含んでいてもよい。
上記成分Xは特に限定されない。成分Xとして、従来公知のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物を用いることができる。
上記成分Xとしては、フタロシアニン、フタロシアニンの誘導体、ナフタロシアニン、ナフタロシアニンの誘導体、アントラシアニン及びアントラシアニンの誘導体等が挙げられる。上記フタロシアニン化合物及び上記フタロシアニンの誘導体はそれぞれ、フタロシアニン骨格を有することが好ましい。上記ナフタロシアニン化合物及び上記ナフタロシアニンの誘導体はそれぞれ、ナフタロシアニン骨格を有することが好ましい。上記アントラシアニン化合物及び上記アントラシアニンの誘導体はそれぞれ、アントラシアニン骨格を有することが好ましい。
上記成分Xは、バナジウム原子又は銅原子を含有していてもよい。上記成分Xは、バナジウム原子を含有していてもよく、銅原子を含有していてもよい。上記成分Xは、バナジウム原子又は銅原子を含有するフタロシアニン及びバナジウム原子又は銅原子を含有するフタロシアニンの誘導体の内の少なくとも1種であってもよい。
上記中間膜は、遮熱粒子を含んでいてもよい。上記第1の層は、遮熱粒子を含んでいてもよい。上記第2の層は、遮熱粒子を含んでいてもよい。上記第3の層は、上記遮熱粒子を含んでいてもよい。上記遮熱粒子は遮熱性物質である。遮熱粒子の使用により、赤外線(熱線)を効果的に遮断できる。上記遮熱粒子は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記遮熱粒子として、金属酸化物粒子を用いることができる。上記遮熱粒子として、金属の酸化物により形成された粒子(金属酸化物粒子)を用いることができる。
可視光よりも長い波長780nm以上の赤外線は、紫外線と比較して、エネルギー量が小さい。しかしながら、赤外線は熱的作用が大きく、赤外線が物質に吸収されると熱として放出される。このため、赤外線は一般に熱線と呼ばれている。上記遮熱粒子の使用により、赤外線(熱線)を効果的に遮断できる。なお、遮熱粒子とは、赤外線を吸収可能な粒子を意味する。
上記遮熱粒子の具体例としては、アルミニウムドープ酸化錫粒子、インジウムドープ酸化錫粒子、アンチモンドープ酸化錫粒子(ATO粒子)、ガリウムドープ酸化亜鉛粒子(GZO粒子)、インジウムドープ酸化亜鉛粒子(IZO粒子)、アルミニウムドープ酸化亜鉛粒子(AZO粒子)、ニオブドープ酸化チタン粒子、ナトリウムドープ酸化タングステン粒子、セシウムドープ酸化タングステン粒子、タリウムドープ酸化タングステン粒子、ルビジウムドープ酸化タングステン粒子、錫ドープ酸化インジウム粒子(ITO粒子)、錫ドープ酸化亜鉛粒子、珪素ドープ酸化亜鉛粒子等の金属酸化物粒子や、六ホウ化ランタン(LaB6)粒子等が挙げられる。これら以外の遮熱粒子を用いてもよい。
(金属塩)
上記中間膜は、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の内の少なくとも1種の金属塩(以下、金属塩Mと記載することがある)を含んでいてもよい。なお、アルカリ土類金属とは、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、及びRaの6種の金属を意味する。上記第1の層は、上記金属塩Mを含んでいてもよい。上記第2の層は、上記金属塩Mを含んでいてもよい。上記第3の層は、上記金属塩Mを含んでいてもよい。上記金属塩Mの使用により、中間膜とガラス板などの合わせガラス部材との接着性又は中間膜における各層間の接着性を制御することが容易になる。上記金属塩Mは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記金属塩Mは、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択された少なくとも1種の金属を含んでいてもよい。
また、上記金属塩Mとして、炭素数2~16の有機酸のアルカリ金属塩、及び炭素数2~16の有機酸のアルカリ土類金属塩を用いることができる。上記金属塩Mは、炭素数2~16のカルボン酸マグネシウム塩、又は、炭素数2~16のカルボン酸カリウム塩を含んでいてもよい。
上記炭素数2~16のカルボン酸マグネシウム塩及び上記炭素数2~16のカルボン酸カリウム塩としては、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム、プロピオン酸マグネシウム、プロピオン酸カリウム、2-エチル酪酸マグネシウム、2-エチルブタン酸カリウム、2-エチルヘキサン酸マグネシウム及び2-エチルヘキサン酸カリウム等が挙げられる。
(紫外線遮蔽剤)
上記中間膜は、紫外線遮蔽剤を含んでいてもよい。上記第1の層は、紫外線遮蔽剤を含んでいてもよい。上記第2の層は、紫外線遮蔽剤を含んでいてもよい。上記第3の層は、紫外線遮蔽剤を含んでいてもよい。紫外線遮蔽剤の使用により、中間膜及び合わせガラスが長期間使用されても、可視光線透過率がより一層低下し難くなる。上記紫外線遮蔽剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記紫外線遮蔽剤には、紫外線吸収剤が含まれる。上記紫外線遮蔽剤は、紫外線吸収剤であることが好ましい。
上記(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含む重合性組成物が光硬化性化合物を含む場合に、該光硬化性化合物を重合させるときに紫外線吸収剤を光開始剤よりも少ない量(重合を阻害しない量)で含有させて重合させてもよく、該光硬化性化合物を光開始剤で重合させた後に別工程にて紫外線吸収剤を含有させてもよい。
上記紫外線遮蔽剤としては、例えば、金属原子を含む紫外線遮蔽剤、金属酸化物を含む紫外線遮蔽剤、ベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤(ベンゾトリアゾール化合物)、ベンゾフェノン構造を有する紫外線遮蔽剤(ベンゾフェノン化合物)、トリアジン構造を有する紫外線遮蔽剤(トリアジン化合物)、マロン酸エステル構造を有する紫外線遮蔽剤(マロン酸エステル化合物)、シュウ酸アニリド構造を有する紫外線遮蔽剤(シュウ酸アニリド化合物)及びベンゾエート構造を有する紫外線遮蔽剤(ベンゾエート化合物)等が挙げられる。
上記金属原子を含む紫外線遮蔽剤としては、例えば、白金粒子、白金粒子の表面をシリカで被覆した粒子、パラジウム粒子及びパラジウム粒子の表面をシリカで被覆した粒子等が挙げられる。紫外線遮蔽剤は、遮熱粒子ではないことが好ましい。
上記金属酸化物を含む紫外線遮蔽剤としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化セリウム等が挙げられる。さらに、上記金属酸化物を含む紫外線遮蔽剤に関して、表面が被覆されていてもよい。上記金属酸化物を含む紫外線遮蔽剤の表面の被覆材料としては、絶縁性金属酸化物、加水分解性有機ケイ素化合物及びシリコーン化合物等が挙げられる。
上記絶縁性金属酸化物としては、シリカ、アルミナ及びジルコニア等が挙げられる。上記絶縁性金属酸化物は、例えば5.0eV以上のバンドギャップエネルギーを有する。
上記ベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤としては、例えば、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「TinuvinP」)、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin320」)、2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin326」)、及び2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin328」)等が挙げられる。
上記ベンゾフェノン構造を有する紫外線遮蔽剤としては、例えば、オクタベンゾン(BASF社製「Chimassorb81」)等が挙げられる。
上記トリアジン構造を有する紫外線遮蔽剤としては、例えば、ADEKA社製「LA-F70」及び2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール(BASF社製「Tinuvin1577FF」)等が挙げられる。
上記マロン酸エステル構造を有する紫外線遮蔽剤としては、2-(p-メトキシベンジリデン)マロン酸ジメチル、テトラエチル-2,2-(1,4-フェニレンジメチリデン)ビスマロネート、2-(p-メトキシベンジリデン)-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル4-ピペリジニル)マロネート等が挙げられる。
上記マロン酸エステル構造を有する紫外線遮蔽剤の市販品としては、Hostavin B-CAP、Hostavin PR-25、Hostavin PR-31(いずれもクラリアント社製)が挙げられる。
上記シュウ酸アニリド構造を有する紫外線遮蔽剤としては、N-(2-エチルフェニル)-N’-(2-エトキシ-5-t-ブチルフェニル)シュウ酸ジアミド、N-(2-エチルフェニル)-N’-(2-エトキシ-フェニル)シュウ酸ジアミド、2-エチル-2’-エトキシ-オキサルアニリド(クラリアント社製「SanduvorVSU」)などの窒素原子上に置換されたアリール基などを有するシュウ酸ジアミド類が挙げられる。
上記ベンゾエート構造を有する紫外線遮蔽剤としては、例えば、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート(BASF社製「Tinuvin120」)等が挙げられる。
(酸化防止剤)
上記中間膜は、酸化防止剤を含んでいてもよい。上記第1の層は、酸化防止剤を含んでいてもよい。上記第2の層は、酸化防止剤を含んでいてもよい。上記第3の層は、酸化防止剤を含んでいてもよい。上記酸化防止剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤等が挙げられる。上記フェノール系酸化防止剤はフェノール骨格を有する酸化防止剤である。上記硫黄系酸化防止剤は硫黄原子を含有する酸化防止剤である。上記リン系酸化防止剤はリン原子を含有する酸化防止剤である。
上記フェノール系酸化防止剤としては、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、ステアリル-β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’-メチレンビス-(4-メチル-6-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス-(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス-(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス-(2-メチル-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,3-トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェノール)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,3’-t-ブチルフェノール)ブチリックアッシドグリコールエステル及びビス(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルベンゼンプロパン酸)エチレンビス(オキシエチレン)等が挙げられる。これらの酸化防止剤の内の1種又は2種以上が好適に用いられる。
上記リン系酸化防止剤としては、トリデシルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリノニルフェニルホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(デシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチル-6-メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸、及び2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチル-1-フェニルオキシ)(2-エチルヘキシルオキシ)ホスホラス等が挙げられる。これらの酸化防止剤の内の1種又は2種以上が好適に用いられる。
上記酸化防止剤の市販品としては、例えばBASF社製「IRGANOX 245」、BASF社製「IRGAFOS 168」、BASF社製「IRGAFOS 38」、住友化学工業社製「スミライザーBHT」、堺化学工業社製「H-BHT」、並びにBASF社製「IRGANOX 1010」等が挙げられる。
(他の成分)
上記中間膜、上記第1の層、上記第2の層及び上記第3の層はそれぞれ、必要に応じて、カップリング剤、分散剤、界面活性剤、難燃剤、帯電防止剤、金属塩以外の接着力調整剤、耐湿剤、蛍光増白剤及び赤外線吸収剤等の添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
(合わせガラス用中間膜の他の詳細)
上記中間膜の厚みは特に限定されない。実用面の観点、並びに合わせガラスの耐貫通性及び曲げ剛性を充分に高める観点からは、中間膜の厚みは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.25mm以上、好ましくは3mm以下、より好ましくは1.5mm以下である。中間膜の厚みが上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性及び曲げ剛性がより一層高くなる。中間膜の厚みが上記上限以下であると、中間膜の透明性がより一層良好になる。
中間膜の厚みをTとする。上記第1の層の厚みは、好ましくは0.005T以上、より好ましくは0.01T以上、更に好ましくは0.02T以上、好ましくは0.17T以下、より好ましくは0.15T以下、より好ましくは0.13T以下、より好ましくは0.1T以下、更に好ましくは0.08T以下である。上記厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、広い温度範囲に渡り遮音性がより一層高くなる。
上記第2の層及び上記第3の層の各厚みは、0.01T以上、更に好ましくは0.02T以上、好ましくは0.17T以下、より好ましくは0.15T以下、より好ましくは0.13T以下、より好ましくは0.1T以下、更に好ましくは0.08T以下である。上記厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、広い温度範囲に渡り遮音性がより一層高くなる。
上記中間膜は、厚みが均一な中間膜であってもよく、厚みが変化している中間膜であってもよい。上記中間膜の断面形状は矩形であってもよく、楔形であってもよい。
中間膜は、巻かれて、中間膜のロール体とされてもよい。ロール体は、巻き芯と、該巻き芯の外周に巻かれた中間膜とを備えていてもよい。
上記中間膜の一端と他端との距離は、好ましくは3m以下、より好ましくは2m以下、特に好ましくは1.5m以下であり、好ましくは0.5m以上、より好ましくは0.8m以上、特に好ましくは1m以上である。
本発明に係る中間膜の製造方法は特に限定されない。本発明に係る中間膜の製造方法としては、例えば、各層を形成するための各樹脂組成物を用いて各層をそれぞれ形成した後に、得られた各層を積層する方法、並びに各層を形成するための各樹脂組成物を押出機を用いて共押出することにより、各層を積層する方法等が挙げられる。連続的な生産に適しているため、押出成形する製造方法が好ましい。
中間膜の製造効率が優れることから、上記第2の層と上記第3の層とに、同一のポリビニルアセタール樹脂が含まれていることが好ましい。中間膜の製造効率が優れることから、上記第2の層と上記第3の層とに、同一のポリビニルアセタール樹脂及び同一の可塑剤が含まれていることがより好ましい。中間膜の製造効率が優れることから、上記第2の層と上記第3の層とが同一の樹脂組成物により形成されていることが更に好ましい。
上記中間膜は、両側の表面の内の少なくとも一方の表面に凹凸形状を有することが好ましい。上記中間膜は、両側の表面に凹凸形状を有することがより好ましい。上記の凹凸形状を形成する方法としては特に限定されず、例えば、リップエンボス法、エンボスロール法、カレンダーロール法、及び異形押出法等が挙げられる。定量的に一定の凹凸模様である多数の凹凸形状のエンボスを形成することができることから、エンボスロール法が好ましい。
(合わせガラス)
本発明に係る合わせガラスは、第1の合わせガラス部材と、第2の合わせガラス部材と、上述した合わせガラス用中間膜とを備える。本発明に係る合わせガラスでは、上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材との間に、上述した合わせガラス用中間膜が配置されている。
本発明に係る合わせガラスは、第1の合わせガラス部材と、第2の合わせガラス部材と、2層以上の構造を有する合わせガラス用中間膜とを備える。本発明に係る合わせガラスでは、上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材との間に、上記合わせガラス用中間膜が配置されている。本発明に係る合わせガラスでは、上記中間膜は、樹脂を含む第1の層と、上記第1の層の第1の表面に積層されており、かつ樹脂を含む第2の層とを備える。本発明に係る合わせガラスでは、上記中間膜において、上記第1の層と上記第2の層とが、異なる樹脂を含み、上記第1の層のガラス転移温度が、上記第2の層のガラス転移温度よりも低く、上記第1の層の酸価が3mgKOH/g以上500mgKOH/g以下であることが好ましい。本発明に係る合わせガラスでは、ヘイズが0.5%以下であることが好ましい。
本発明に係る合わせガラスでは、上記の構成が備えられているので、異なる層に異なる樹脂を含むにもかかわらず中間膜の層間剥離を抑えることができ、かつ、合わせガラスの透明性を高めることができる。
合わせガラスの透明性をより一層高める観点からは、上記合わせガラスのヘイズは、好ましくは0.4%以下、より好ましくは0.3%以下である。
上記合わせガラスのヘイズは、JIS K6714に準拠して測定される。
上記合わせガラスについて下記の-20℃での耐衝撃性試験をしたときに、上記第1の層と上記第2の層との界面における剥離面積は、好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下、更に好ましくは30%以下である。なお、-20℃での耐衝撃性試験は、例えば、20℃での耐衝撃性試験や40℃での耐衝撃性試験よりも層間剥離がより一層生じやすい温度条件である。
-20℃での耐衝撃性試験:-20±2℃にて合わせガラスを4時間以上保管する。保管後の合わせガラスについて、JIS R3211又はJIS R3212に準拠して-20±2℃にて合わせガラスの縦方向の中央の位置かつ横方向の中央の位置に、質量227±2g及び直径38mmの鋼球を高さ9.5mから落下させる。上記中間膜の上記第1の層と上記第2の層との界面における剥離面積を求める。
上記-20℃での耐衝撃性試験で用いられる合わせガラスは、縦300mm、横300mmのサイズを有する合わせガラスであることが好ましい。
上記剥離面積は、例えば、上述の式により求めることができる。
図2は、図1に示す合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスの一例を模式的に示す断面図である。
図2に示す合わせガラス31は、第1の合わせガラス部材21と、第2の合わせガラス部材22と、中間膜11とを備える。中間膜11は、第1の合わせガラス部材21と第2の合わせガラス部材22との間に配置されており、挟み込まれている。
中間膜11の第1の表面11aに、第1の合わせガラス部材21が積層されている。中間膜11の第1の表面11aとは反対の第2の表面11bに、第2の合わせガラス部材22が積層されている。第2の層2の外側の表面2aに第1の合わせガラス部材21が積層されている。第3の層3の外側の表面3aに第2の合わせガラス部材22が積層されている。
上記第1の合わせガラス部材は、第1のガラス板であることが好ましい。上記第2の合わせガラス部材は、第2のガラス板であることが好ましい。
上記第1,第2の合わせガラス部材としては、ガラス板及びPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等が挙げられる。上記合わせガラスには、2枚のガラス板の間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスだけでなく、ガラス板とPETフィルム等との間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスも含まれる。上記合わせガラスは、ガラス板を備えた積層体であり、少なくとも1枚のガラス板が用いられていることが好ましい。上記第1の合わせガラス部材及び上記第2の合わせガラス部材がそれぞれ、ガラス板又はPETフィルムであり、かつ上記合わせガラスは、上記第1の合わせガラス部材及び上記第2の合わせガラス部材の内の少なくとも一方として、ガラス板を備えることが好ましい。上記第1,第2の合わせガラス部材の双方がガラス板であることが特に好ましい。
上記ガラス板としては、無機ガラス及び有機ガラスが挙げられる。上記無機ガラスとしては、フロート板ガラス、熱線吸収板ガラス、熱線反射板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、線入り板ガラス及びグリーンガラス等が挙げられる。上記有機ガラスは、無機ガラスに代わる合成樹脂ガラスである。上記有機ガラスとしては、ポリカーボネート板及びポリ(メタ)アクリル樹脂板等が挙げられる。上記ポリ(メタ)アクリル樹脂板としては、ポリメチル(メタ)アクリレート板等が挙げられる。
上記第1の合わせガラス部材及び上記第2の合わせガラス部材の各厚みは、好ましくは1mm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。また、上記合わせガラス部材がガラス板である場合に、該ガラス板の厚みは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.7mm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。上記合わせガラス部材がPETフィルムである場合に、該PETフィルムの厚みは、好ましくは0.03mm以上、好ましくは0.5mm以下である。
上記合わせガラスの製造方法は特に限定されない。例えば、上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材との間に、中間膜を挟んで、押圧ロールに通したり、又はゴムバッグに入れて減圧吸引したりして、上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材と中間膜との間に残留する空気を脱気する。その後、約70℃~110℃で予備接着して積層体を得る。次に、積層体をオートクレーブに入れたり、又はプレスしたりして、約120℃~150℃及び1MPa~1.5MPaの圧力で圧着する。このようにして、合わせガラスを得ることができる。上記合わせガラスの製造時に、中間膜における各層を積層してもよい。
上記中間膜及び上記合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に使用できる。上記中間膜及び上記合わせガラスは、これらの用途以外にも使用できる。上記中間膜及び上記合わせガラスは、車両用又は建築物用の中間膜及び合わせガラスであることが好ましく、車両用の中間膜及び合わせガラスであることがより好ましい。上記中間膜及び上記合わせガラスは、自動車のフロントガラス、サイドガラス、リアガラス又はルーフガラス等に使用できる。上記中間膜及び上記合わせガラスは、自動車に好適に用いられる。上記中間膜は、自動車の合わせガラスを得るために好適に用いられる。
以下に実施例及び比較例を掲げて本発明を更に詳しく説明する。本発明はこれら実施例のみに限定されない。
用いたポリビニルアセタール樹脂では、アセタール化に、炭素数4のn-ブチルアルデヒドが用いられている。ポリビニルアセタール樹脂に関しては、アセタール化度(ブチラール化度)、アセチル化度及び水酸基の含有率はJIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定した。なお、ASTM D1396-92により測定した場合も、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法と同様の数値を示した。
以下の材料を用意した。
(樹脂)
ポリビニルアセタール樹脂(ポリビニルブチラール樹脂(PVB)、平均重合度1700、水酸基の含有率30.5モル%、アセチル化度1モル%、アセタール化度(ブチラール化度)68.5モル%)
(メタ)アクリル重合体(1)~(4)、(X1):
下記の表1に示す配合組成を有する重合性組成物を、2枚の片面離型処理されたPETシート(ニッパ社製、厚み50μm)に挟み込んで、厚み1mmとなるように重合性組成物層を形成した。なお、2枚のPETシートの周囲にスペーサを配置した。ケミカルランプを用いて、3mWで照射量3000mJ/cm2で紫外線を重合性組成物層に照射することにより、重合性組成物を反応により硬化させて、(メタ)アクリル重合体(1)~(4)、(X1)を得た。
ポリ酢酸ビニル(1):
還流冷却器、滴下漏斗、温度計及び窒素導入口を備えるガラス製重合容器を用意した。この重合容器内に、酢酸ビニルモノマー100重量部を入れ、60℃に加熱及び攪拌して重合容器内を窒素置換した。次に、下記の表2に示す配合組成を、4時間かけて滴下し、滴下終了後1時間重合させて、ポリ酢酸ビニル(1)を含む溶液を得た。この溶液を110℃のオーブンで3時間乾燥させることにより、ポリ酢酸ビニル(1)を得た。ポリ酢酸ビニル(1)では、カルボン酸に由来する構造単位の割合は、4重量%であった。
ポリ酢酸ビニル(X1)、(X2):
還流冷却器、滴下ロート、温度計及び窒素導入口を備えるガラス製重合容器を用意した。この重合容器内に、イオン交換水270重量部と、ポリビニルアルコール(ケン化度88%、重合度300)0.1重量部とを入れ、加熱及び撹拌して、ポリビニルアルコールを溶解させた。次に、上記重合容器内の温度を58℃にして、下記の表2に示す配合組成を添加し、6時間重合させ、ポリ酢酸ビニル(X1)、(X2)の粒子を得た。
また、得られた(メタ)アクリル重合体及びポリ酢酸ビニルについて、(メタ)アクリル重合体100重量%中のカルボキシル基の含有率、ポリ酢酸ビニル100重量%中のカルボキシル基の含有率をH-NMRにより求めた。
(可塑剤)
トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)
ジブチルアジペート(DBA)
(金属塩M)
Mg混合物(2-エチル酪酸マグネシウムと酢酸マグネシウムとの50:50(重量比)混合物)
(紫外線遮蔽剤)
Tinuvin326(2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、BASF社製「Tinuvin326」)
(酸化防止剤)
BHT(2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール)
(実施例1)
第1の層を形成するための組成物の作製:
以下の成分を配合し、ミキシングロールで充分に混練し、第1の層を形成するための組成物を得た。
(メタ)アクリル重合体(1)100重量部
トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)55重量部
第2の層及び第3の層を形成するための組成物の作製:
以下の成分を配合し、ミキシングロールで充分に混練し、第2の層及び第3の層を形成するための組成物を得た。
ポリビニルアセタール樹脂(PVB)100重量部
トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)31重量部
得られる第2,第3の層中で70ppmとなる量の金属塩M(Mg混合物)
得られる第2,第3の層中で0.2重量%となる量の紫外線遮蔽剤(Tinuvin326)
得られる第2,第3の層中で0.2重量%となる量の酸化防止剤(BHT)
中間膜の作製:
第1の層を形成するための組成物と、第2の層及び第3の層を形成するための組成物とを、共押出機を用いて共押出しすることにより、第2の層(厚み350μm)/第1の層(厚み100μm)/第3の層(厚み350μm)の積層構造を有する中間膜(厚み800μm)を作製した。
合わせガラスの作製:
JIS R3202に準拠した幅25mm、長さ300mm及び厚さ2mmのクリアフロートガラス2枚の間に中間膜を挟み、積層体を得た。得られた積層体をゴムバック内に入れ、2.6kPaの真空度で20分間脱気した後、脱気したままオーブン内に移し、更に90℃で30分間保持して真空プレスし、積層体を予備圧着した。オートクレーブ中で135℃及び圧力1.2MPaの条件で、予備圧着された積層体を20分間圧着し、合わせガラス(1)を得た。また、縦300mm及び横300mm及び厚さ2mmのクリアフロートガラスを用いたこと以外は合わせガラス(1)と同様にして、合わせガラス(2)を得た。
得られた合わせガラス(1)は、上記合わせガラスXに相当し、得られた合わせガラス(2)は、上記合わせガラスYに相当する。
(実施例2~5及び比較例1~3)
樹脂の種類、可塑剤の種類及び含有量を表3,4に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、中間膜、合わせガラス(1)、合わせガラス(2)を得た。
(評価)
(1)第1の層の酸価
得られた中間膜の第1の層と、第2の層及び第3の層とを剥離して、試料(第1の層)を得た。試料(第1の層)を溶媒(メチルエチルケトン:トルエン:メタノール=1:1:1(体積比))に溶解した。JIS K0070に記載の電位差滴定法に準拠して、得られた溶液を、電位差滴定装置(京都電子工業社製「AT-710」、電極:京都電子工業社製「H-171、R-173」)及び0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液を用いて滴定し、得られた変曲点を滴定の終点とした。上述の式を用いて第1の層の酸価を算出した。
(2)第1の層に含まれる樹脂の酸価
得られた(メタ)アクリル重合体(1)~(4)、(X1)、ポリ酢酸ビニル(1)、(X1),(X2)をそれぞれ溶媒(メチルエチルケトン:トルエン:メタノール=1:1:1(体積比))に溶解した。JIS K0070に記載の電位差滴定法に準拠して、得られた溶液を、電位差滴定装置(京都電子工業社製「AT-710」、電極:京都電子工業社製「H-171、R-173」)及び0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液を用いて滴定し、得られた変曲点を滴定の終点とした。上述の式を用いて各樹脂の酸価を算出した。
(3)第1の層、第2の層及び第3の層のガラス転移温度(Tg)
上記中間膜を作製した方法と同様にして第1の層及び第2の層をそれぞれ作製した。この第1の層を任意に切断し、重ね合わせることによって、厚みが0.5mmの試験片(1)を用意し、また、この第2の層を任意に切断し、重ね合わせることによって、厚みが0.5mmの試験片(2)を用意した。試験片(1)及び試験片(2)を、室温23±2℃、湿度25±5%の環境下に12時間保管した。次いで、粘弾性測定装置(TAインスツルメント社製「ARES-G2」)を用いて、粘弾性を測定した。治具として直径8mmのパラレルプレートを用い、せん断モード、3℃/分の降温速度で100℃から-20℃まで温度を低下させる条件、並びに周波数1Hz及び歪1%の条件で測定した。なお、第2の層と第3の層とは同一組成であるため、第2の層のガラス転移温度と第3の層のガラス転移温度は、同一である。
(4)第1の層のtanδのピーク温度でのtanδ
上記中間膜を作製した方法と同様にして第1の層を作製した。この第1の層を任意に切断し、重ね合わせることによって、厚みが0.5mmの試験片(1)を用意した。試験片(1)を、室温23±2℃、湿度25±5%の環境下に12時間保管した直後に、動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御社製「DVA-200」)を用いて、粘弾性を測定した。せん断モードで、3℃/分の昇温速度で-50℃から200℃まで温度を上昇させる条件、並びに周波数1Hz及び歪1%の条件で測定した。
(5)-20℃での耐衝撃性試験
-20±2℃にて合わせガラス(2)を4時間以上保管した。保管後の合わせガラス(2)について、JIS R3211又はJIS R3212に準拠して-20±2℃にて合わせガラス(2)の縦方向の中央の位置かつ横方向の中央の位置に、質量227±2g及び直径38mmの鋼球を高さ9.5mから落下させた。上記中間膜の上記第1の層と上記第2の層との界面における剥離面積を上述の式を用いて求めた。
[-20℃での耐衝撃性試験の判定基準]
○○:剥離面積が0%以上10%以下
○:剥離面積が10%を超え50%以下
×:剥離面積が50%を超える
(6)合わせガラスのヘイズ(透明性)
得られた合わせガラス(1)のヘイズを、JIS K6714に準拠して測定した。
(7)一次損失係数(20℃での遮音性)
得られた合わせガラス(1)をダンピング試験用の振動発生機(振研社製「加振機G21-005D」)により加振した。そこから得られた振動特性を機械インピーダンス測定装置(リオン社製「XG-81」)にて増幅し、振動スペクトルをFFTスペクトラムアナライザー(リオン社製「FFTアナライザー SA-01A2」)により解析した。
上記一次損失係数から、遮音性を以下の基準で判定した。
[遮音性の判定基準]
○○:一次損失係数が0.45以上
○:一次損失係数が0.4以上0.45未満
×:一次損失係数が0.4未満
詳細及び結果を下記の表1~4に示す。なお、表中、金属塩M、紫外線遮蔽剤及び酸化防止剤の記載は省略した。
表1に示す成分の詳細は以下の通りである。
IBOA:イソボルニルアクリレート(日本触媒社製)
CTFA(♯200):環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート(大阪有機化学工業社製、ビスコート#200)
Aac:アクリル酸(日本触媒社製)
BA:アクリル酸n-ブチル(日本触媒社製)
4HBA:4-ヒドロキシブチルアクリレート(大阪有機化学工業社製)
M5300:ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート(東亜合成株式会社製)
CHA:シクロヘキシルアクリレート(大阪有機化学工業社製、ビスコート#155)
HPA:ヒドロキシプロピルアクリレート(大阪有機化学工業社製)
IRGACURE 184:2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(BASF社製)