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JP7375381B2 - 偏心弁装置およびその制御方法 - Google Patents
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JP7375381B2 - 偏心弁装置およびその制御方法 - Google Patents

偏心弁装置およびその制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、偏心弁装置およびその制御方法に関する。
従来、工場などの生産プロセスを構成する配管システムには、各種ガス、液体、粉体、およびそれらの混合物(以下、単に流体等という)の流れを制御するために、弁装置が組み込まれている。弁装置の弁体の開閉によって、配管内の流路が遮断または開放される。例えば、自動操作機能を備えた弁装置は、手動操作によらずに弁体の開閉を行うことができる。
一般に、自動操作機能を備えた弁装置は、流路に連通する開口部を有する略円筒状の弁箱と、弁箱内において開口部の周囲に装着されるリング状のシート部材と、弁箱内に回動可能に設けられ、かつ、シート部材に押し当てられることで流路を遮断する弁体と、弁体を回動する弁駆動部と、弁駆動部の駆動を制御する制御部とを備えている。
弁装置において、具体的な弁の種類としては種々のものが知られており、例えば、二重偏心弁や、ボールバルブなどの一重偏心弁がある。二重偏心弁は、弁体の回転軸がシート部材の軸線などに対して偏心した偏心構造を有しており、弁体とシート部材は、流路が開放された状態では接触しておらず、弁体が流路を閉じる位置付近でのみ接触する(特許文献1参照)。一方、ボールバルブでは、弁体とシート部材は常に接触しており、シート部材に押し当てられた状態で弁体の開閉が行われる。
特開2015-48856号公報
ところで、偏心弁において、閉弁状態では、弁体がシート部材を潰すことで弁体とシート部材の接触面に反発力が生じる。その結果、両者が密着して流体等の流れが遮断される。しかし、閉弁状態であるにもかかわらず、上流から下流に向かって弁体とシート部材の間を流体等が流れる、所謂シート漏れが生じる場合がある。シート漏れは、材料として流れる流体等の量が変わり、製品の品質に悪影響を及ぼすおそれがあるため望ましくない。そこで、弁体の全閉時には流体等の漏れ量を許容範囲内に収めることが求められている。
一般に、シート漏れには、シート部材と弁体との間に異物が噛み込まれることで生じるシート漏れと、シート部材のへたりや摩耗によって生じるシート漏れがある。前者のシート漏れは、弁体とシート部材の接触面に固形物の異物が付着することで発生するものであり、シート部材に恒久的な傷がつかなければ一時的な漏れである場合が多い。一方、後者のシート漏れは、シート部材の経時的な劣化によって発生するものであり、一度漏れが生じると継続的に漏れが生じるため、例えば、製品の品質などに対して多大な悪影響を及ぼすおそれがある。
また、へたりや摩耗によるシート漏れは、弁装置の内部で生じる事象であるので、外部から発生を直ちに察知することは困難である。特に、自動操作機能を備えた弁装置は、通常、手動点検できない狭い場所や、遠隔地、特殊な雰囲気環境に取り付けられる場合も多く見受けられる。そのため、発生から暫く時間が経過してからシート漏れが発見される場合が多く、エネルギーロスや資源ロス、歩留まりの低下などが生じるおそれがある。例えば、シート漏れを察知するための方法として、流量センサや振動センサなどの各種センサを設置し、そのセンサからの出力によって察知する方法が考えられる。しかし、この方法は、センサを設置するための費用が必要であることや、シート漏れの発生を判断するための閾値を設定することが容易でないなどの問題がある。そのため、へたりや摩耗によるシート漏れを、容易な手段で発生後直ちに検出できることや事前に予測できることが望まれている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、二重偏心弁を含む偏心弁において、へたりや摩耗によるシート漏れを精度良く検出または予測することができる偏心弁装置、およびその制御方法を提供することを目的とする。
本発明の偏心弁装置は、配管内の流路の遮断または開放を制御する偏心弁装置であって、上記偏心弁装置は、上記流路に連通する開口部を有する略円筒状の弁箱と、上記弁箱内において上記開口部の周囲に装着されるリング状のシート部材と、上記弁箱内に回動可能に設けられ、かつ、上記シート部材に押し当てられることで上記流路を遮断する弁体と、上記弁体を回動する弁駆動部と、上記弁駆動部の駆動を制御する制御部とを備え、上記弁体は、開弁状態では上記シート部材と接触せず、閉弁状態では上記シート部材と接触する構造であり、上記制御部は、上記弁駆動部の駆動パラメータに基づいて、上記シート部材と上記弁体間のシート漏れを判定する漏れ判定部を有することを特徴とするものである。
また、本発明の偏心弁装置において、上記制御部は、上記弁体を回動させて上記開弁状態から上記閉弁状態に変化させる過程において、上記弁体が上記シート部材に近接した所定位置で上記弁体の回動を一時停止する一時停止部を有し、上記漏れ判定部は、上記弁体の回動の一時停止後において、上記シート漏れを判定する。
本発明において、「近接した所定位置」とは、弁体がシート部材に接触しない位置であって、弁体とシート部材間の隙間を狭めて、弁体とシート部材に付着した異物を吹き飛ばす程度に流体等の流速を速めることができる位置である。また、本発明において、「シート漏れを判定する」とはシート漏れが実際に発生したことの判定に加えて、シート漏れの兆候の判定も含む。
また、本発明の偏心弁装置において、上記制御部は、上記弁体の回転角度に基づいて上記弁体が上記所定位置まで回動したことを判定する位置判定部を有し、上記一時停止部は、上記位置判定部が上記所定位置まで回動したと判定した場合に上記弁体の回動を一時停止させる。
また、本発明の偏心弁装置において、上記一時停止部は、上記弁体の回動を0.5秒~2秒停止させる。
また、本発明の偏心弁装置において、上記制御部は、上記駆動パラメータに基づいて上記弁駆動部の駆動トルクを算出するトルク算出部を有し、上記漏れ判定部は、上記トルク算出部により算出された上記駆動トルクが所定の閾値よりも小さい場合に上記シート漏れが生じたと判定する。
本発明の偏心弁装置の制御方法は、配管内の流路の遮断または開放を制御する偏心弁装置の制御方法であって、上記偏心弁装置は、上記流路に連通する開口部を有する略円筒状の弁箱と、上記弁箱内において上記開口部の周囲に装着されるリング状のシート部材と、上記弁箱内に回動可能に設けられ、かつ、上記シート部材に押し当てられることで上記流路を遮断する弁体と、上記弁体を回動する弁駆動部とを備え、上記弁体は、開弁状態では上記シート部材と接触せず、閉弁状態では上記シート部材と接触する構造であり、上記制御方法は、上記弁体を回動させて上記開弁状態から上記閉弁状態に変化させる過程において、上記弁体が上記シート部材に近接した所定位置で上記弁体の回動を一時停止するステップと、上記弁体の回動の一時停止後において、上記弁駆動部の駆動パラメータに基づいて、上記シート部材と上記弁体間のシート漏れを判定するステップとを有することを特徴とするものである。
以上により、本発明に係る偏心弁装置およびその制御方法によれば、へたりや摩耗によるシート漏れを精度良く検出または予測することができる。
本発明に係る偏心弁装置の全体の概略構成を示す説明図である。 図1の弁機構部の拡大断面図である。 弁体の全開状態を示す断面図である。 弁体の全閉状態を示す断面図である。 本発明に係る偏心弁装置のブロック図である。 弁体が全閉状態から全閉状態へ移行する際のトルク変化を示す図である。 弁体の閉弁動作の一時停止状態を示す説明図である。 シート漏れ検出の処理手順を示すフローチャートである。 算出されたトルクと閾値との関係を示す図である。 弁体が全開状態から全閉状態へ移行する際の流れを示すタイミングチャートである。
図1は、本発明に係る偏心弁装置の全体の概略構成を示す説明図であり、図2は、図1の弁機構部の拡大断面図である。なお、図1では、偏心弁装置の一部を断面図として示している。図1に示す偏心弁装置1は、流体等が流れる配管内の流路の途中に配置され、流路の遮断または開放を制御する装置である。
図1に示すように、偏心弁装置1は、弁体22を有する弁機構部2と、弁機構部2を駆動する弁駆動部3と、弁駆動部3の駆動を制御する制御部4とを備える。弁機構部2および弁駆動部3は、弁棒35によって連結されており、弁駆動部3の駆動を弁機構部2に伝達可能になっている。偏心弁装置1は、弁体22の姿勢を、全開位置や、全閉位置、任意の位置(例えば全閉直前の位置など)に保持できる機能を有している。
制御部4は、周知のCPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータを主体として構成されている。なお、図1や図5では、便宜上、制御部4を弁駆動部3と区別して記載しているが、弁駆動部3内部にもマイコンが内蔵されており、後述する制御部4の機能の全部または一部を、弁駆動部3のマイコンに持たせてもよい。
弁機構部2は、略円筒状の弁箱21と、弁箱21内に回動可能に設けられる弁体22と、弁箱21内に装着されるリング状のシート部材23と、シート部材23を支持する支持部材24とを備える。弁機構部2は、流体等の配管の途中に設置され、弁箱21の上流側と下流側にはそれぞれ配管(図示省略)が接続される。流体等は、図1の矢印方向に流れる。弁機構部2において弁体22が回動することで、弁箱21内の流路が遮断または開放されて、上流側から下流側への流体等の流れを遮断または開放することができる。
図2に示すように、弁箱21は、上流側の流路と下流側の流路を連通する開口部211を有する。開口部211の周囲には、弁箱21の内周面が縮径するように径方向内側に張り出した段部214が形成されており、その段部214にシート部材23が装着されている。シート部材23は、弁箱21の上流側端部から挿入された支持部材24によって支持されている。弁箱21の上部には、内周面と外周面とが貫通し、弁棒35が挿入される装着孔212が形成されている。装着孔212は、弁箱21の軸方向と直交する向きで形成され、弁棒35が回転可能に挿入されている。また、弁箱21の下部には、ピン25が嵌り込むピン溝213が形成されている。
弁箱21内において、弁棒35の端部には弁体22が連結されており、弁棒35の回転に伴って弁体22が回動する。弁棒35の回転軸と弁体22の回転軸は一致している。なお、図2では、弁体22が開口部211を塞いでいる全閉状態を示している。
弁体22は、略円盤状の弁部221と、支持部222、223を有している。弁部221の上流側端面は、シール面を構成しており、円盤中央部の平面と円盤周縁部の曲面で形成されている。該曲面は、上流側に向かって凸状に形成されている。支持部222は弁棒35に接続されており、支持部223はピン25に接続されている。弁体22は、ステンレス鋼などの金属材料により形成される。
シート部材23は、中空円形のシートリング231とゴムリング232を有している。シートリング231の弁体22との対向面は、シール面を構成している。シートリング231のシール面の背面側には、凹溝が形成され、その凹溝にゴムリング232が嵌め込まれている。シートリング231は、例えばポリテトラフルオロエチレン樹脂などの樹脂で形成される。この樹脂には、炭素繊維やガラス繊維などの繊維状補強材が配合されていてもよい。また、ゴムリング232には、例えば、四フッ化エチレン-パーフルオロメチルビニルエーテルゴム(FFKM)などのフッ素ゴムや、ニトリルブタジエンゴム(NBR)などを使用できる。図2に示すような閉弁状態では、弁体22の弁部221が押し当てられることで、シート部材23のシール面と弁体22のシール面とが密着する。
続いて、弁機構部2の動作について、図3および図4を用いて説明する。図3および図4は、図2の弁機構部を弁棒側から見た一部断面図である。各図に示すように、弁体22は二重偏心構造を有している。具体的には、シートリング231の軸線に対して、弁体22の回転軸Oが距離Y偏心するとともに、シートリング231のシール面に対して、弁体22の回転軸Oが距離X偏心している。
図3は、弁体22の全開状態を示しており、弁体22の弁部221は、流路に対して直交する方向を向いている。このとき、弁体22は、シート部材23とは接触していない。この全開状態から、弁体22は、弁部221が流路の上流側を向くように回動する。弁体22は、全開状態を0度、全閉状態を90度として、0度から90度の回転角度θで回動する。図4は、弁体22の全閉状態を示しており、弁体22の弁部221は、流路の上流方向を向いている。弁体22がシート部材23と密着することで流路が遮断される。弁体22の開閉速度は適宜設定でき、一般に、全開状態から全閉状態までの所要時間は1秒以上である。
図4の全閉状態ではシート部材23は、弁体22に押し付けられることで弾性変形する。シート部材23が変形する量(シート幅代)は、一般にシート部材23の断面幅の1/500~1/1000程度である。偏心弁の場合、シート部材は、弁体が開閉するたびに繰り返し変形する。この弁体の開閉回数に略比例して、シート部材が削れ、シート部材の潰れる量が小さくなっていき、最終的にシート漏れが生じるおそれがある。シート漏れのおそれがあっても、重大な影響がない場合、生産プロセスは停止することはなくそのまま運転が継続されるが、エネルギーロスなどが生じる。また、生産プロセスに重大な影響を及ぼす場合には、生産プロセスを緊急停止しなければならず、多大な損失が生じる。
本発明に係る偏心弁装置1は、弁体22が開弁状態から閉弁状態へ移行する際の弁駆動部の駆動パラメータに基づいて、漏れ判定を行うことでシート漏れを検出または予測することができる。これにより、容易な手段でシート漏れの検出を行うことができる。さらに、本発明において、シート部材のへたりや摩耗によって生じるシート漏れを対象としており、異物の噛み込みによるシート漏れと区別して検出するため、弁体の閉弁動作を一時停止させることが好ましい。具体的には、閉弁動作の際に、弁体がシート部材に接触する直前で弁体を一旦停止させて、シート部材と弁体の間を流れる流体等の流速を一時的に速く保つことで、各シート面に付着した異物を吹き飛ばす工程を設ける。これにより、異物の噛み込みにより駆動パラメータが受ける影響を排除でき、シート部材のへたりや摩耗によるシート漏れをより精度よく検出することができる。
図5は、本発明に係る偏心弁装置の一例を示すブロック図である。偏心弁装置1は、弁機構部2と、弁駆動部3と、制御部4とを備えており、弁機構部2の具体的な構成は上述のとおりである。また、偏心弁装置1は、駆動パラメータを検出する各センサ51、52、53を有しており、各センサは、制御部4に接続されている。各センサの検出結果は随時、制御部4に入力され、開閉動作中に連続で検出、記憶できる構成となっている。また、制御部4は、各種演算機能も有している。なお、本発明において、駆動パラメータは、弁駆動部3の駆動状態を示すパラメータであり、例えば、モータ部33のモータ回転速度や、モータ電流値、モータ電圧値、駆動トルク、回転角度θを含むものである。本発明では、シート漏れの検出に弁駆動部3の駆動パラメータを用いているため、流量センサや振動センサといった別途のセンサが必須とはならず、容易な手段でシート漏れの検出を行うことができる。
弁駆動部3は、電源回路部31と、モータ回路部32と、モータ部33と、減速機(ギアボックス)34と、弁棒35と、電流センサ53とを備えている。モータ回路部32は、電源回路部31に接続され、制御部4の制御信号に基づいて、モータ部33に流れる電流を調整する。モータ部33は、ブラシレスモータからなり、モータ回路部32から流れる電流に基づいて出力軸を回転させる。図1の構成では、主力軸の回転速度を減速機34にて減速して、弁棒35を回転させる。
図5において、制御部4は、位置判定部41と、一時停止部42と、トルク算出部43と、漏れ判定部44とを有する。各部における処理は、主に弁体22が開弁状態から閉弁状態へ移行する際に実行される。
位置判定部41は、弁体22がシート部材23に近接した所定位置まで回動したことを判定する。近接した所定位置は、弁体22がシート部材23に接触しない位置であって、弁体22とシート部材23との間の隙間が狭まり、弁体22とシート部材23に付着した異物を吹き飛ばす程度に流体等の流速を速めることができる位置である。例えば、弁部221のシール面とシートリング231のシール面との間の距離d(図7参照)が約0.5mmとなった位置である。
位置判定部41による位置判定は、具体的には、エンコーダなどの角度センサ52によって検出された回転角度θに基づいて行われる。回転角度θ(図7参照)が所定角度(例えば、60度や70度)になった場合に、位置判定部41は、弁体22が所定位置まで回動したと判定する。
一時停止部42は、位置判定部41が所定位置まで回動したと判定した場合に、弁体22の閉弁動作を一時停止する。具体的には、モータ回路部32からモータ部33への電力の供給を遮断して、弁駆動部3の駆動を停止させる。一時停止の時間は、特に限定されず、弁体22の開閉速度や、配管の径サイズ、流体等の種類などによって適宜設定される。一時停止の時間は、例えば0.5秒~2秒である。
トルク算出部43は、回転センサ51によって検出されるモータ部33の回転速度や、電流センサ53によって検出されるモータ電流値などの駆動パラメータに基づいて、弁駆動部3の駆動トルクを算出する。駆動トルクの算出は、公知の方法に従って行うことができる。
漏れ判定部44は、弁駆動部3の駆動パラメータに基づいて、シート部材23と弁体22間のシート漏れを判定する。例えば、図5の構成では、トルク算出部43で算出された駆動トルクと所定の閾値とに基づいてシート漏れを判定する。
ここで、弁体22の駆動トルクは、全開状態から全閉状態に至るまでに約10倍以上変化する。図6は、弁体22の回転角度θが0度(全開状態)から90度(全閉状態)まで変化した場合のトルク変化を示している。図6では、正常時、異物の噛み込みによるシート漏れ時、摩耗によるシート漏れ時の3つのパターンのトルク変化を示している。
図6に示すように、いずれのパターンも、回転角度θが60度付近まではトルクが低値で安定しており、回転角度θが60度を超えた付近からトルクが上昇し始め、回転角度θが90度に到達するまでトルクが上昇している。二重偏心弁の構造上、シート部材23と弁体22の接触は全閉位置近辺のみであり、例えばボールバルブに比べると、特に60度付近までの角度域でのトルクは安定している。
異物の噛み込みによるシート漏れの場合は、正常の場合に比べて、立ち上がりが早く、かつ、トルク値も大きくなる。例えば、流体等が、粉体、スラリーなどの固形物の異物を含む場合には、弁体22とシート部材23の各シール面に異物が付着しやすく、これらの間に異物が入り込むと、閉弁動作が過負荷となるため、正常時に比べてトルクが大きくなる。一方、摩耗によるシート漏れの場合は、正常の場合に比べて、トルクが小さくなる傾向がある。例えば、シート部材にへたりや摩耗が生じると、多くの場合、閉弁時におけるシート部材の反発力が減少するため、正常時に比べてトルクが小さくなる。このように、事象に基づくトルク変化の違いを考慮することで、へたりや摩耗によるシート漏れをより精度良く検出することができる。
具体的には、漏れ判定部44は、算出された駆動トルクが所定の閾値よりも小さい場合にシート漏れが生じたと判定する。上記所定の閾値は、シート漏れ量とトルクとの相関を予め実験によって取得しておき、それに基づいて設定することができる。また、漏れ判定部44におけるその他の判定方法として、算出された駆動トルクと過去値(例えば、前回の閉弁時に算出されたトルク)との差分が、一定以上になった場合にシート漏れが生じたと判定する方法も採用できる。過去値には、例えば過去100回分の平均値などが用いられる。
また、図5の構成では、トルク算出部43によって算出された駆動トルクに基づいてシート漏れを判定したが、モータ部33の駆動トルクを検出可能なトルクセンサを有する偏心弁装置では、該トルクセンサで検出された駆動トルクに基づいて漏れ判定を行うこともできる。また、駆動トルク以外の駆動パラメータに基づいて、漏れ判定を行ってもよい。例えば、モータ電流値はモータ部33の駆動トルクとほぼ相関関係にあるため、モータ電流値を漏れ判定に用いることができる。
図7には、閉弁動作において弁体22が一時停止した状態を示している。図7に示すように、弁体22は、シートリング231と弁部221が接触する直前の位置で一時停止している。この状態では、弁部221のシール面とシートリング231のシール面との距離dが小さくなることで、シートリング231周りの流体等の流速が上がり、弁部221およびシートリング231に付着した異物を除去できる。これにより、その後の弁部221とシートリング231の接触で生じる摩擦力は、異物に影響されない純粋な摩擦力となるため、へたりや摩耗に伴うシール性の低下を精度よく検出できる。
続いて、閉弁動作時の制御部4のシート漏れの検出処理について説明する。この検出処理は、所定時間毎に繰り返し実施される。
図8は、シート漏れ検出の処理手順を示すフローチャートである。図8のスタートからエンドに至るまでの処理は、所定時間毎に繰り返し実施される。まず、ステップS11において、上位制御装置などから弁体を閉じる指令(閉指令)が入力されているか否かを判定する。ステップS11がYesの場合、ステップS12へ進み、ステップS11がNoの場合、この処理を一旦終了する。
ステップS12では、一時停止フラグがオフであるか否かを判定する。後述するように、一時停止フラグは弁体22が一時停止した後にオンとなる。ステップS12がYesの場合、ステップS13へ進み、モータ部33を駆動させる。モータ部33の駆動により弁体22が全閉状態へ向けて回動する。ステップS14では、モータ部33の駆動に関する駆動パラメータを取得する。具体的には、モータ電流値やモータ回転速度を取得する。続くステップS15では、取得されたモータ電流値およびモータ回転速度に基づいて駆動トルクを算出する。
ステップS16では、駆動トルクが正常範囲であるか否かを判定する。具体的には、ステップS15で算出された駆動トルクが所定の閾値よりも小さいか否かを判定する。所定の閾値は、流路を流れる流体等の種類や流速によって適宜設定される。図6で示したように、一般に、弁体22がシート部材に接触する回転角度(例えば、回転角度θが60度)を超えるまではトルクは低値で安定している。そのため、トルクが急上昇するなどして所定の閾値以上となった場合には、異物の噛み込みなどの異常が発生したと考えられる。駆動トルクが正常範囲でないと判定した場合(ステップS16がNoの場合)、ステップS28に進み、エラー処理を実行する。エラー処理としては、警報アラームの発報や警報ランプの点灯などを行う。なお、エラー処理として、モータ部の駆動を停止して閉弁動作を中断するようにしてもよい。
ステップS16がYesの場合、ステップS17に進み、弁体22が所定位置まで回動したか否かを判定する。具体的には、角度センサ52で検出された回転角度θが所定角度になったか否かを判定する。弁体22が所定位置にまで到達していない場合(ステップS17がNoの場合)、この処理を一旦終了する。なお、図8において、ステップS17がNoの場合に、ステップS13~ステップS17の処理を繰り返し実行するループを設けてもよい。
弁体22の閉弁動作が進み、弁体が所定位置まで回動すると(ステップS17:Yes)、モータ部33の駆動を停止する(ステップS18)。その後、モータ部33は所定時間経過するまで停止され、所定時間経過した後(ステップS19:Yes)、一時停止フラグをオンにして(ステップS20)、この処理を一旦終了する。なお、ステップS17の処理を実行する部分が位置判定部に相当し、ステップS18およびステップS19の処理を実行する部分が一時停止部に相当する。また、本発明における一時停止は、弁体の動作が完全に停止する場合に限らず、弁体の動作が停止していると擬制できる程度に減速する場合も含む。例えば、減速時の弁体の動作速度は、減速前(一時停止前)の弁体の動作速度の1/20程度に設定される。
一時停止フラグがオンとなり、ステップS12が否定されると、ステップS21に進み、モータ部33を再び駆動させる。これにより閉弁動作が再開される。続くステップS22では、弁体が全閉位置であるか否かを判定する。具体的には、角度センサ52で検出された回転角度θが90度であるか否かを判定する。ステップS22がNoの場合、駆動パラメータを取得して(ステップS25)、駆動トルクを算出する(ステップS26)。ステップS25およびステップS26の処理は、ステップS14およびステップS15の処理と同様である。
ステップS27では、駆動トルクが正常範囲であるか否かを判定する。具体的には、ステップS26で算出された駆動トルクと所定の閾値とに基づいて判定する。ここで、算出値と閾値との関係を図9に示す。閾値は正常時のトルクよりも低めに設定されており、通常は、算出値よりも低くなる。閾値の設定は、特に限定されないが、正常時(例えば出荷時)のトルクに対して10%低い値などに設定される。図8のステップS27では、例えば、各回転角度の時点で算出された駆動トルクが、その回転角度における所定の閾値よりも小さいか否かが判定される。駆動トルクが所定の閾値よりも小さいと判定した場合(ステップS27がNoの場合)、ステップS28に進み、エラー処理を実行する。
駆動トルクが正常範囲であると判定した場合(ステップS27がYesの場合)、この処理を一旦終了する。そして、駆動トルクが正常範囲のまま閉弁動作が進み、弁体22が全閉位置に到達して、ステップS22が肯定されると、モータ部33の駆動を停止して(ステップS23)、一時停止フラグをオフにして(ステップS24)、一連の処理を終了する。なお、ステップS26の処理を実行する部分がトルク算出部に相当し、ステップS27の処理を実行する部分が漏れ判定部に相当する。
以上、図8では、閉弁動作時の制御部4における処理を示したが、本発明の制御方法はこれに限定されるものではない。例えば、ステップS17で判定する所定位置を、流体等の流速や粘度、温度などに応じて可変にしてもよい。具体的には、流体等の流速が速いほど、流体等の粘度が大きいほど、流体等の温度が低いほど、弁体を一時停止させる位置を開弁側にシフトさせてもよい。また、弁体の一時停止時間(ステップS19)も、流体等の流速や粘度、温度などに応じて可変にしてもよい。具体的には、流体等の流速が速いほど、流体等の粘度が大きいほど、流体等の温度が低いほど、一時停止時間を短くする側にシフトさせてもよい。これにより、弁体などの振動やエロ―ジョンを抑えることができる。
また、図8では、駆動トルクが正常範囲でないと判定した場合(ステップS27がNoの場合)、直ちにエラー処理(ステップS28)を行ったが、異物による異常トルクの可能性を確実に排除するため、エラー処理前に、クリーニング動作を行い、クリーニング動作後に算出された駆動トルクに基づいて再度漏れ判定を行ってもよい。クリーニング動作としては、例えば、上述の一時停止状態と、その一時停止状態から僅かに開弁した状態を一定間隔で複数回繰り返す動作などがある。クリーニング動作によって、弁体とシート部材との間の摩擦に伴い発生するトルクをより正確に算出できる。その結果、漏れ判定の精度を一層高めることができる。
また、図8では、弁体の一時停止後において、駆動トルクに基づいてシート漏れを判定した。つまり、偏心弁装置1によって、シート漏れの発生を検出する構成を示したが、同様の構成でシート漏れの予測も行うことができる。この場合、例えば、ステップS27で用いる閾値を、シート漏れ検出の場合よりも高く設定することで、シート漏れが発生する直前の段階(シート漏れの兆候)を判定できる。その判定結果に基づくことでシート漏れ時期を予測することができる。また、随時算出した駆動トルクの推移から、シート漏れの発生時期を判定することも可能である。
図10は、弁体22が全開状態から全閉状態へ移行する際の流れを示すタイミングチャートである。全開状態において、時刻t1にて弁体の閉指令が出されると、モータ部が起動して閉弁動作が開始される。時間の経過に伴って、回転角度θが大きくなる。この際、トルクは低値で安定している。時刻t2にて、弁体が所定位置まで回動すると、モータ部が停止して閉弁動作が一旦停止される。一時停止時間ta経過後、モータ部が起動して閉弁動作が再開される(時刻t3)。開弁動作が進み、シート部材と弁体が接触することに伴ってトルクが上昇していく。時刻t4にて、全閉状態になると、モータ部が停止して、閉弁動作が完了する。時刻t3~時刻t4の間は、駆動トルクに基づいて、随時シート漏れの判定が行われる。
上記実施形態では、本発明に係る偏心弁装置として、二重偏心弁について説明したが、弁の開閉時に二重偏心弁と同様のトルク変化を示す偏心弁にも、本発明を適用できる。
本発明の偏心弁装置は、生産工場の生産プロセス配管に取り付けられた二重偏心弁を含む偏心弁において、へたりや摩耗によるシート漏れを精度良く検出または予測することができるので、安全で効率的なメンテナンスが可能であり、生産プロセスの総合的なロスを低減できる。また、シート漏れが生じる前にバルブを交換することも可能であり、設備の安定運転に貢献し、設備保守やメンテナンスに関わる作業性の低減を図ることができる。
1:偏心弁装置
2:弁機構部
21:弁箱
211:開口部
212:装着孔
213:ピン溝
214:段部
22:弁体
221:弁部
222:支持部
223:支持部
23:シート部材
231:シートリング
232:ゴムリング
24:支持部材
25:ピン
3:弁駆動部
31:電源回路部
32:モータ回路部
33:モータ部
34:減速機
35:弁棒
4:制御部
41:位置判定部
42:一時停止部
43:トルク算出部
44:漏れ判定部
51:回転センサ
52:角度センサ
53:電流センサ

Claims (5)

  1. 配管内の流路の遮断または開放を制御する偏心弁装置であって、
    前記偏心弁装置は、前記流路に連通する開口部を有する略円筒状の弁箱と、前記弁箱内において前記開口部の周囲に装着されるリング状のシート部材と、前記弁箱内に回動可能に設けられ、かつ、前記シート部材に押し当てられることで前記流路を遮断する弁体と、前記弁体を回動する弁駆動部と、前記弁駆動部の駆動を制御する制御部とを備え、
    前記弁体は、開弁状態では前記シート部材と接触せず、閉弁状態では前記シート部材と接触する構造であり、
    前記制御部は、前記弁駆動部の駆動パラメータに基づいて、前記シート部材と前記弁体間のシート漏れを判定する漏れ判定部を有し、
    前記制御部は、前記弁体を回動させて前記開弁状態から前記閉弁状態に変化させる過程において、前記弁体が前記シート部材に近接した所定位置で前記弁体の回動を一時停止する一時停止部を有し、
    前記漏れ判定部は、前記弁体の回動の一時停止後において、前記シート漏れを判定することを特徴とする偏心弁装置。
  2. 前記制御部は、前記弁体の回転角度に基づいて前記弁体が前記所定位置まで回動したことを判定する位置判定部を有し、
    前記一時停止部は、前記位置判定部が前記所定位置まで回動したと判定した場合に前記弁体の回動を一時停止させることを特徴とする請求項記載の偏心弁装置。
  3. 前記一時停止部は、前記弁体の回動を0.5秒~2秒停止させることを特徴とする請求項または請求項記載の偏心弁装置。
  4. 前記制御部は、前記駆動パラメータに基づいて前記弁駆動部の駆動トルクを算出するトルク算出部を有し、
    前記漏れ判定部は、前記トルク算出部により算出された前記駆動トルクが所定の閾値よりも小さい場合に前記シート漏れが生じたと判定することを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項記載の偏心弁装置。
  5. 配管内の流路の遮断または開放を制御する偏心弁装置の制御方法であって、
    前記偏心弁装置は、前記流路に連通する開口部を有する略円筒状の弁箱と、前記弁箱内において前記開口部の周囲に装着されるリング状のシート部材と、前記弁箱内に回動可能に設けられ、かつ、前記シート部材に押し当てられることで前記流路を遮断する弁体と、前記弁体を回動する弁駆動部とを備え、
    前記弁体は、開弁状態では前記シート部材と接触せず、閉弁状態では前記シート部材と接触する構造であり、
    前記制御方法は、前記弁体を回動させて前記開弁状態から前記閉弁状態に変化させる過程において、前記弁体が前記シート部材に近接した所定位置で前記弁体の回動を一時停止するステップと、前記弁体の回動の一時停止後において、前記弁駆動部の駆動パラメータに基づいて、前記シート部材と前記弁体間のシート漏れを判定するステップとを有することを特徴とする偏心弁装置の制御方法。
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