特許文献1によれば、呼吸通路がUターン部を備えることにより、呼吸通路に侵入した異物が重力によってUターン部の頂部(底部)に溜まるため、容積変動室への異物の到達を防ぐことができるとしている。しかしながら、特許文献1の構造であると、軸が上下方向となった場合すなわち軸が鉛直方向に配置される場合、Uターン部は水平方向に延びることとなる。すると、重力による異物の滞留効果が得られず、容積変動室への異物の到達を防ぐことができない。
本発明は、このような課題に鑑み、配置される姿勢にかかわらず容積変動室への異物の到達を防ぐことができ、異物に起因する動作不良の発生を防止することが可能な電磁アクチュエータを提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明にかかる電磁アクチュエータの代表的な構成は、有底円筒のボディと、ボディの中に収納されたコイルアッシイと、コイルアッシイの中に摺動自在に支持されたプランジャと、プランジャの可動領域である容積変動室と、コイルアッシイに設けられた電気コネクタと、電気コネクタの近傍に配置された呼吸孔と、呼吸孔と連続しコイルアッシイの側面に沿って底面まで連通する第1油路と、ボディの底面に沿って第1油路の反対側に至る第2油路と、第2油路からコイルアッシイの側面に沿ってコイルアッシイの上端に至る第3油路と、第3油路からコイルアッシイの上面を通って容積変動室に連通する第4油路とを備えていることを特徴とする。
上記構成によれば、電磁アクチュエータを、軸が上下方向に向くように、すなわち縦配置した際には、第3油路は上下方向に向いた状態となる。これにより、呼吸孔から侵入した異物は第3油路において重力により沈下し、第2油路に蓄積される。このため、容積変動室への異物の到達を好適に防ぐことができる。
一方、電磁アクチュエータを、軸が水平方向に向くように、すなわち横配置した際には、第2油路が上下方向に向いた状態となる。これにより、呼吸孔から侵入した異物は第32油路において重力により沈下し、第1油路に蓄積される。このため、容積変動室への異物の到達を好適に防ぐことができる。したがって、上記構成によれば、配置される姿勢にかかわらず容積変動室への異物の到達を防ぐことができ、異物に起因する動作不良の発生を防止することが可能な電磁アクチュエータを提供することが可能である。
上記第2油路に配置されてコイルアッシイを押し上げる皿ばねを更に備えるとよい。かかる構成によれば、皿ばねによってコイルアッシイのがたつきを防ぎつつ、第2油路を確保することが可能となる。
本発明によれば、配置される姿勢にかかわらず容積変動室への異物の到達を防ぐことができ、異物に起因する動作不良の発生を防止することが可能な電磁アクチュエータを提供することができる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、本実施形態の電磁アクチュエータ100を説明する図であり、電磁アクチュエータ100の中央近傍での縦断面を図示している。図2は、図1の電磁アクチュエータ100のプランジャ140が容積変動室に移動した状態を示す図である。図3は、本実施形態の電磁アクチュエータ100の分解斜視図である。図3(a)は、電磁アクチュエータ100を斜め下方から観察した状態を示していて、図3(b)は電磁アクチュエータ100を斜め上方から観察した状態を示している。
図1では、電磁アクチュエータ100は、アクチュエータ軸102が上下方向(上下方向)に延びるように縦配置されている。図3(a)および(b)に示すように、本実施形態の電磁アクチュエータ100は、有底円筒のボディ110を有する。図1に示すように、ボディ110の中にはコイルアッシイ120が収納される。コイルアッシイ120は、電磁コイル122を内包している。
コイルアッシイ120には、電源(不図示)が接続される電気コネクタ104が設けられている。一方、ボディ110には、電気コネクタ104がはめ込まれる切り欠き112が形成されている。切り欠き112は電気コネクタ104の根元より大きく切りかかれている。コイルアッシイ120がボディ110に収納された際に電気コネクタ104が切り欠き112にはめ込まれると、電気コネクタ104と切り欠き112との間に隙間が形成される。この隙間によって、図1に示すように電気コネクタ104の近傍に呼吸孔130が設けられる。
プランジャ140は、コイルアッシイ120の中に摺動自在に支持されている。アクチュエータ軸102がボディ110に圧入固定されていて、アクチュエータ軸102の外径とプランジャ140の内径が摺動する。電磁コイル122が励磁されるとプランジャ140がキャップ150に引き寄せられて移動する。プランジャ140が移動するとプッシャ142を押し、プッシャ142がロッド144を押して移動させる。
ボディ110の開口110a(図3(b)参照)には、キャップ150が取り付けられる。図1に示すように、キャップ150の内側は、プランジャ140から離れる方向に窪んでいる(図3(a)参照)。これにより、プランジャ140の可動領域となる容積変動室160が形成される。
ボディ110とコイルアッシイ120との間には、流体が通過する油路が形成される。詳細には、油路は、図1に示す第1油路172、第2油路174、第3油路176および第4油路178を含んで構成される。第1油路172は、呼吸孔130と連続し、コイルアッシイ120の側面120aに沿って延び、コイルアッシイ120の底面120bまで連通している(図3(a)参照)。第2油路174は、ボディ110の底面110bに沿って延び、第1油路172の反対側に至る。
第3油路176は、第2油路174からコイルアッシイ120の側面120aに沿って延び、コイルアッシイ120の上端に至る(図3(b)参照)。第4油路178は、逆L字状であり、第3油路176からコイルアッシイ120の上面120cを通って容積変動室160に連通する。
電磁コイル122に電流が流れると磁場が発生する。この磁場によって引き寄せられることにより、図2に示すようにプランジャ140が容積変動室160に移動する。すると、容積変動室160内の流体は、図2で破線の矢印で示すように、第4油路178および第3油路176、並びに図3(a)に示す第2油路174および第1油路172をこの順に通過し、呼吸孔130から外部に排出される。
電磁コイル122への電流の流れが停止すると、磁場が消滅する。これにより、プランジャ140は下方へ移動し、容積変動室160から抜け出て図1に示す初期位置に戻る。すると、呼吸孔130から流れ込んだ流体は、図1で破線の矢印で示すように、第1油路172および第2油路174、並びに第3油路176および第4油路178をこの順に通過し、容積変動室160に到達する。
このとき、本実施形態では、アクチュエータ軸102が上下方向に向くように電磁アクチュエータ100が縦配置される場合、第3油路176は上下方向に向いた状態となる。これにより、呼吸孔130から流入する流体に混ざって侵入した異物10は第3油路176において重力により沈下する。このため、容積変動室160への異物の到達を好適に防ぐことができる。
図4は、電磁アクチュエータ100を横配置した状態を示す図である。図4では、電磁アクチュエータ100は、呼吸孔130を下側にして、アクチュエータ軸102が水平方向に延びるように横配置されている。これにより、第2油路174が上下方向に向いた状態となる。このため、呼吸孔130から流入する流体に混ざって侵入した異物10は第2油路において重力により沈下する。したがって、容積変動室160への異物の到達を好適に防ぐことができる。
上記説明したように、本実施形態の電磁アクチュエータ100によれば、縦向きに配置される場合には第3油路176において、横向きに配置される場合には第2油路174において、流体中の異物10を沈殿させることができる。これにより、配置される姿勢にかかわらず容積変動室160への異物10の到達を防ぐことができる。したがって、異物10に起因する動作不良の発生を防止することが可能である。
また図1および図4に示すように、本実施形態の電磁アクチュエータ100では、コイルアッシイ120を押し上げる皿ばね180が第2油路174に配置される。図3(a)および(b)に示すように、皿ばね180は円環状である。このように第2油路174に皿ばね180を配置することにより、コイルアッシイ120のがたつきを防ぎつつ、第2油路174を良好に確保することが可能となる。
なお、第2油路174および第3油路176の容積は、容積変動室160の容積よりも大きいことが好ましい。これにより、プランジャ140が図2に示す位置から図1に示す位置まで戻った際に、図1に示す第3油路176の下端や図2に示す第2油路174の下端に溜まった異物10の吸い込みを防ぐことができる。したがって、容積変動室160への異物の混入をより好適に防止することが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。