JP7380550B2 - 純銅板 - Google Patents
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Description
本願は、2018年12月13日に日本に出願された特願2018-233347号、及び2019年3月29日に日本に出願された特願2019-068304号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
最近は、電子機器や電気機器等の大電流化にともない、電流密度の低減およびジュール発熱による熱の拡散のために、これら電子機器や電気機器等に使用される電気・電子部品の大型化、厚肉化が図られている。
セラミックス基板と銅板を接合する際には、接合温度が800℃以上とされることが多く、接合時にヒートシンクや厚銅回路を構成する銅材の結晶粒が粗大化してしまうおそれがあった。特に、導電性及び放熱性に特に優れた純銅からなる銅材においては、結晶粒が粗大化しやすい傾向にある。
この特許文献1においては、Sを0.0006~0.0015wt%の量で含有することにより、再結晶温度以上で熱処理しても、一定の大きさの結晶粒に調整可能であると記載されている。
さらに、結晶粒の粗大化を抑制するために、Sの含有量を増加させた場合には、熱間加工性が大きく低下してしまい、純銅材の製造歩留まりが大きく低下してしまうといった問題があった。
なお、結晶粒の成長を抑制する効果を結晶粒成長抑制効果とも言い、結晶粒の粗大化を抑制する効果を結晶粒粗大化抑制効果とも言う。
また、Pb,Se及びTeといった元素は、Cu中の固溶限が低く、粒界に偏析することによって結晶粒の粗大化を抑制する結晶粒成長抑制元素に該当する。このため、Pb,Se及びTeは、微量に含まれていてもよいが、これらの元素は、熱間加工性を大きく低下させる効果も有する。このため、これらPb,Se及びTeの合計含有量を10massppm以下に制限することにより、特にPbの含有量を3massppm以下とすることにより、熱間加工性を確保することができる。
さらに、圧延面における結晶粒の粒径が10μm以上とされているので、この純銅板を800℃以上に加熱した際に、結晶粒の粗大化、組織の不均一化が促進されてしまうことを抑制できる。なお、結晶粒の粒径は、結晶粒径とも言う。
また、圧延面における結晶粒のアスペクト比が2以下とされているので、加工度が低く、大きな歪が蓄積されていない。すなわち転位密度が低い。このため、転位密度による再結晶の駆動力が小さくなり、加熱後の結晶粒の粗大化をさらに抑制することが可能となる。ここでのアスペクト比の値は、長径を短径で割った値、つまり長径/短径で表す。
不可避不純物として含まれるおそれがあるMg,Sr,Ba,Ti,Zr,Hf,Yといった元素は、結晶粒成長抑制元素であるS,Se,Te,Pb等と化合物を生成することからこれら結晶粒成長抑制元素の作用を阻害するおそれがある。このため、これらMg,Sr,Ba,Ti,Zr,Hf,Yの合計含有量を10massppm以下に制限することにより、結晶粒成長抑制元素による結晶粒成長抑制効果を十分に発揮させることができ、加熱後においても、結晶粒の粗大化や不均一化を確実に抑制することが可能となる。
この場合、800℃で1時間保持の熱処理を行った後の結晶粒径が100μm以上300μm以下の範囲内とされているので、加熱後においても結晶粒の粗大化を確実に抑制することができる。
本発明の一態様に係る純銅板においては、800℃で加熱されてセラミックス基板と接合された後の結晶粒径が100μm以上300μm以下の範囲内であることが好ましい。
この場合、800℃で1時間保持の熱処理を行った後の最大結晶粒径dmaxと平均結晶粒径daveの比率dmax/daveが10以下とされているので、加熱後においても結晶粒が不均一になることを確実に抑制できる。
この場合、引張強度が500MPa以下であり、純銅板としての特性が確保されているので、大電流用途の電気・電子部品の素材として特に適している。
本実施形態である純銅板は、ヒートシンクや厚銅回路等の電気・電子部品の素材として用いられるものであり、前述の電気・電子部品を成形(形成)する際に、例えば純銅板は800℃以上で加熱されてセラミックス基板と接合されて使用されるものである。
さらに、本実施形態である純銅板においては、不可避不純物であるMg,Sr,Ba,Ti,Zr,Hf,Yの合計含有量が10massppm以下であることが好ましい。
純銅板は、99.96mass%以上のCuと、2massppm以下のPと、を含み、更にPb,Se及びTeから選択される1種以上を、それらの合計含有量が10massppm以下で含み、残部が不可避不純物である。純銅板は、さらに2massppm以上20massppm以下のSを含むことが好ましい。純銅板は、さらにMg,Sr,Ba,Ti,Zr,Hf,及びYから選択される1種以上を、それらの合計量が10massppm以下で含むことが好ましい。
上記のCu以外の元素に関しては、不可避不純物として含まれる場合も、意図的に含まれる場合も、それらの含有量は上述した範囲である。また、Cu以外の元素は、不可避不純物であると言うこともできる。残部としての不可避不純物は、上記の含有量が特定されている元素以外の元素であると言うこともできる。
さらに、本実施形態である純銅板においては、圧延面における結晶粒のアスペクト比が2以下であることが好ましい。
また、本実施形態である純銅板においては、800℃で1時間保持の熱処理後の結晶粒径が100μm以上300μm以下の範囲内であることが好ましい。
本実施形態である純銅板においては、800℃以上で加熱されてセラミックス基板と接合された後の結晶粒径が100μm以上300μm以下の範囲内であることが好ましい。
さらに、本実施形態である純銅板においては、800℃で1時間保持の熱処理後の、50mm×50mmの範囲における最大結晶粒径dmaxと平均結晶粒径daveの比率dmax/daveが10以下であることが好ましい。
また、本実施形態である純銅板においては、引張強度が500MPa以下であることが好ましい。
結晶粒の粒径、結晶粒のアスペクト比、熱処理後の結晶粒径、及び熱処理後の最大結晶粒径dmaxと平均結晶粒径daveは、後述する実施例に記載の評価方法で測定される値である。
大電流用途の電気・電子部品においては、通電時の発熱を抑制するために、導電性及び放熱性に優れていることが要求されており、導電性及び放熱性に特に優れた純銅を用いることが好ましい。
そこで、本実施形態である純銅板においては、Cuの純度を99.96mass%以上に規定している。
なお、Cuの純度は99.965mass%以上であることが好ましく、99.97mass%以上であることがさらに好ましい。また、Cuの純度の上限に特に制限はないが、99.999mass%を超える場合には、特別な精錬工程が必要となり、製造コストが大幅に増加するため、99.999mass%以下とすることが好ましい。
不可避不純物として含まれるPは、銅中の酸素を無害化する元素として広く用いられている。しかしながら、Pを一定以上(特定の量以上)含有する場合には、酸素だけではなく、結晶粒界に存在する結晶粒成長抑制元素の作用を阻害する。このため、高温に加熱した際に、結晶粒成長抑制元素が十分に作用せず、結晶粒の粗大化及び不均一化が発生するおそれがある。
そこで、本実施形態においては、Pの含有量を2massppm以下に制限している。
なお、Pの含有量は、1.5massppm以下とすることが好ましく、1massppm以下とすることがさらに好ましい。Pの含有量を0.001massppm未満にすることは、コスト高になるだけである。このため、Pの含有量は、好ましくは0.001massppm以上であり、さらに好ましくは0.005ppm以上であり、より好ましくは0.01massppm以上である。
Pb,Se及びTeは、Cu中の固溶限が低く、粒界に偏析することによって、結晶粒の粗大化を抑制する作用を有するとともに、熱間加工性を大きく低下させる元素である。
このため、本実施形態においては、熱間加工性を確保するために、Pb,Se及びTeの合計含有量を10massppm以下に制限している。
なお、熱間加工性をより向上させる場合には、Pb,Se及びTeの合計含有量を9massppm以下とすることが好ましく、8massppm以下とすることがさらに好ましい。特にPbの含有量については、良好な熱間加工性を確保するためにも、3massppm以下とすることが好ましく、2.5massppm以下とすることがさらに好ましい。Pb,Se及びTeの合計含有量を0.01massppm未満とすると、結晶粒径成長の抑制効果が小さくなり、コスト高になる。このため、Pb,Se及びTeの合計含有量を0.01massppm以上とすることが好ましい。
Sは、結晶粒界移動を抑制することによって、結晶粒の粗大化を抑制する作用を有するとともに、熱間加工性を低下させる元素である。
このため、本実施形態においてSの含有量を2massppm以上とした場合には、Sによる結晶粒粗大化抑制効果を十分に奏功せしめることができ、加熱後においても結晶粒の粗大化を確実に抑制することが可能となる。一方、Sの含有量を20massppm以下に制限した場合には、熱間加工性を確保することが可能となる。
なお、Sの含有量の下限は、2.5massppm以上であることが好ましく、3massppm以上であることがさらに好ましい。また、Sの含有量の上限は、17.5massppm以下であることが好ましく、15massppm以下であることがさらに好ましい。
不可避不純物として含まれるMg,Sr,Ba,Ti,Zr,Hf,Yは、結晶粒の粗大化を抑制する結晶粒成長抑制元素(S,Se,Te,Pb等)と化合物を生成し、結晶粒成長抑制元素の作用を阻害するおそれがある。
このため、加熱後の結晶粒の粗大化を確実に抑制するためには、Mg,Sr,Ba,Ti,Zr,Hf,Yの合計含有量を10massppm以下とすることが好ましい。
なお、Mg,Sr,Ba,Ti,Zr,Hf,Yの合計含有量は、7.5massppm以下であることが好ましく、5massppm以下であることがさらに好ましい。Mg,Sr,Ba,Ti,Zr,Hf,Yの合計含有量を0.01massppm未満とすることは、コスト高になるだけである。このため、Mg,Sr,Ba,Ti,Zr,Hf,Yの合計含有量を0.01massppm以上とすることが好ましい。
上述した元素以外のその他の不可避的不純物としては、Ag,B,Bi,Ca,Sc,希土類元素(Y、Scを除く),V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Re,Fe,Ru,Os,Co,Rh,Ir,Ni,Pd,Pt,Au,Zn,Cd,Hg,Al,Ga,In,Ge,Sn,As,Sb,Tl,Be,N,C,Si,Li,H,O等が挙げられる。これらの不可避不純物は、導電率を低下させるおそれがあることから、これらの不可避不純物の総量を0.035mass%以下とすることが好ましい。
本実施形態である純銅板において、圧延面における結晶粒の粒径が微細であると、この純銅板を例えば800℃以上に加熱した際に、再結晶が進行しやすく、結晶粒の粗大化、組織の不均一化が促進されてしまうおそれがある。
このため、結晶粒の粗大化をさらに抑制するためには、圧延面における結晶粒の粒径を10μm以上とすることが好ましい。
なお、圧延面における結晶粒の粒径は、15μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがさらに好ましい。圧延面における結晶粒の粒径は、より好ましくは25μm以上、さらには30μm以上、もっとも好ましくは40μm超えである。結晶粒径を300μm超えにすることは、コスト高になる。また800℃で1時間保持後の結晶粒径が300μmを超えることになる。このため、圧延面における結晶粒の粒径は、好ましくは300μm以下であり、より好ましくは270μm以下であり、さらに好ましくは250μm以下である。
結晶粒のアスペクト比は、材料の加工度を示す指標であり、アスペクト比が高いほど加工度が高くなり、材料に蓄積された転位密度が高くなる、すなわち歪エネルギーが高くなる。ここで、材料に蓄積された歪エネルギーが高いと、再結晶を起こす際の駆動力が高くなり、加熱時に結晶粒が粗大化しやすくなる。
このため、結晶粒の粗大化をさらに抑制するためには、圧延面における結晶粒のアスペクト比を2以下とすることが好ましい。ここでのアスペクト比の値は、後述する結晶粒のアスペクト比の測定方法によって算出した長径を、同じく後述する測定方法によって算出した短径で割った値、つまり長径/短径の平均値で表す。
なお、圧延面における結晶粒のアスペクト比は、1.9以下であることが好ましく、1.8以下であることがさらに好ましい。圧延面における結晶粒のアスペクト比の実質的な下限は0.5である。
本実施形態である純銅板において、800℃で1時間保持の熱処理後の結晶粒径が100μm以上300μm以下の範囲内である場合には、800℃以上に加熱した場合であっても、結晶粒が粗大化することを確実に抑制でき、セラミックス基板に接合される厚銅回路やヒートシンクの素材として特に適している。
なお、800℃で1時間保持の熱処理後の結晶粒径の下限は110μm以上であることが好ましく、120μm以上であることがさらに好ましい。また、800℃で1時間保持の熱処理後の結晶粒径の上限は290μm以下であることが好ましく、280μm以下であることがさらに好ましい。
本実施形態である純銅板において、800℃で1時間保持の熱処理後の50mm×50mmの範囲における最大結晶粒径dmaxと平均結晶粒径daveの比率dmax/daveが10以下である場合には、800℃以上に加熱した場合であっても、結晶粒が不均一化することを確実に抑制でき、セラミックス基板に接合される厚銅回路やヒートシンクの素材として特に適している。
なお、800℃で1時間保持の熱処理後の50mm×50mmの範囲における最大結晶粒径dmaxと平均結晶粒径daveの比率dmax/daveは9以下であることが好ましく、8以下であることがさらに好ましい。最大結晶粒径dmaxと平均結晶粒径daveの比率dmax/daveの下限は、好ましくは1.03超えであり、より好ましくは1.05超えである。
本実施形態である純銅板においては、引張強度を500MPa以下とすることにより、純銅板としての特性が確保され、大電流用途の電気・電子部品の素材として特に適している。
なお、純銅板の引張強度は、475MPa以下であることが好ましく、450MPa以下であることがさらに好ましく、400MPa以下であることがさらに好ましく、350MPa以下であることが最も好ましい。純銅板の引張強度の下限は、特に制限はないが、100MPa以上であることが好ましい。
まず、Pの含有量が0.001massppm以下になるように精製した銅原料を溶解し、銅溶湯を製出する。なお、銅原料としては、例えば、純度が99.99mass%以上の4NCu、純度が99.999mass%以上の5NCuを用いることが好ましい。
なお、Sを添加する場合には、S単体やCu-S母合金等を用いることができる。なお、Cu-S母合金を製造する際にも、純度が99.99mass%以上の4NCu、純度が99.999mass%以上の5NCuを用いることが好ましい。
また、溶解工程では、水素濃度の低減のため、H2Oの蒸気圧が低い不活性ガス雰囲気(例えばArガス)による雰囲気溶解を行い、溶解時の保持時間は最小限に留めることが好ましい。
そして、成分調整された銅溶湯を鋳型に注入して鋳塊を製出する。なお、量産を考慮した場合には、連続鋳造法または半連続鋳造法を用いることが好ましい。
次に、組織の均一化のために、熱間加工を実施する。
熱間加工温度については、特に制限はないが、500℃以上1000℃以下の範囲内とすることが好ましい。
また、熱間加工の総加工率は50%以上とすることが好ましく、60%以上とすることがさらに好ましく、70%以上であることがより好ましい。
さらに、熱間加工後の冷却方法については、特に制限はないが、空冷又は水冷を行うことが好ましい。
また、熱間加工工程S02における加工方法は、特に限定はなく、例えば圧延、押出、溝圧延、鍛造、プレス等を採用することができる。最終形状が板、条の場合には圧延を採用することが好ましい。
次に、熱間加工工程S02後の銅素材に対して、冷間加工を実施して所定の形状に加工する。なお、この冷間加工工程S03における温度条件は特に限定はないが、-200℃以上200℃以下の範囲で行うことが好ましい。また、この冷間加工工程S03における加工率は、最終形状に近似するように適宜選択されることになるが、生産性を向上させるためには、加工率を30%以上とすることが好ましい。
また、冷間加工工程S03における加工方法に特に限定はなく、例えば圧延、押出、溝圧延、鍛造、プレス等を採用することができる。最終形状が板、条の場合には圧延を採用することが好ましい。
次に、冷間加工工程S03後の銅素材に対して、再結晶を目的とした熱処理を行う。ここで、再結晶粒の粒径は10μm以上であることが望ましい。再結晶粒が微細であると、その後に800℃以上に加熱した際に、結晶粒の粗大化、組織の不均一化が促進されてしまうおそれがある。
再結晶熱処理工程S04の熱処理条件は、特に限定しないが、200℃以上900℃以下の範囲の熱処理温度で、1秒以上10時間以下の範囲で保持することが好ましい。
例えば350℃では6h(6時間)の熱処理、700℃では1h(1時間)の熱処理、850℃では5秒の熱処理などが挙げられる。
また、再結晶組織の均一化のために、冷間加工工程S03と再結晶熱処理工程S04を2回以上繰り返して行っても良い。
次に、材料強度を調整するために、再結晶熱処理工程S04後の銅素材に対して調質加工を行ってもよい。なお、材料強度を高くする必要がない場合は、調質加工を行わなくてもよい。
調質加工の加工率は特に限定しないが、材料強度を調整するために0%超え50%以下の範囲内で実施することが好ましい。また、圧延面の結晶粒のアスペクト比を2.0以下とする場合には、加工率を40%以下に制限することが好ましい。
また、必要に応じて、残留ひずみの除去のために、調質加工後にさらに熱処理を行ってもよい。
また、Pb,Se及びTeといった元素は、Cu中の固溶限が低く、粒界に偏析することによって結晶粒の粗大化を抑制する。このため、Pb,Se及びTeは、結晶粒成長抑制元素に該当するため、微量に含まれていてもよい。しかし、これらの元素は、熱間加工性を大きく低下させる。このようにPb,Se及びTeは、熱間加工性を低下させる元素であるため、Pb、Se及びTeの合計含有量を10massppm以下に制限することで、熱間加工性を確保することができる。
さらに、本実施形態において、800℃で1時間保持の熱処理後の、50mm×50mmの範囲における最大結晶粒径dmaxと平均結晶粒径daveの比率dmax/daveが10以下である場合には、加熱後においても結晶粒が不均一になることを確実に抑制できる。
例えば、上述の実施形態では、純銅板の製造方法の一例について説明したが、純銅板の製造方法は、実施形態に記載したものに限定されることはなく、既存の製造方法を適宜選択して製造してもよい。
帯溶融精製法により、Pの含有量を0.001massppm以下に精製して、純度が99.999mass%以上の銅原料を準備した。また上記銅原料と純度99mass%以上の各種元素(Pb,Se,Te,S,Mg,Sr,Ba,Ti,Zr,Hf,Y)を用いて各種元素のCu-1mass%母合金(1mass%の各種元素を含むCu母合金)を作製した。
以上により、純度が99.999mass%以上の銅原料と、各種元素のCu-1mass%母合金を準備した。
得られた銅溶湯を、断熱材鋳型に注湯して、0.5℃/sec.の冷却速度で冷却して鋳塊を製出した。なお、鋳塊の大きさは、厚さ:約25mm×幅:約60mm×長さ:約150~200mmとした。
熱間圧延後の銅素材を切断するとともに表面の酸化被膜を除去するために表面研削を実施した。このとき、その後の冷間圧延、調質圧延の圧延率を考慮して、最終厚さが表3,4に示すものとなるように、冷間圧延に供する銅素材の厚さを調整した。
次に、冷間圧延後の銅素材に対して、表3,4に記載された条件により、再結晶熱処理を実施した。
そして、再結晶熱処理後の銅素材に対して、表3,4に記載された条件で調質圧延を行い、表3,4に示す厚さで幅60mmの特性評価用条材を製造した。
加工性の評価として、前述の熱間圧延、冷間圧延時における耳割れの有無を観察した。目視で耳割れが全く認められなかったか、あるいはほとんど認められなかったものを「A」と評価した。長さ1mm未満の小さな耳割れが発生したものを「B」と評価した。長さ1mm以上3mm未満の耳割れが発生したものを「C」と評価した。長さ3mm以上の大きな耳割れが発生したものを「D」と評価した。
なお、耳割れの長さとは、圧延材の幅方向の端部から幅方向の中央部に向かう耳割れの長さのことである。
特性評価用条材からJIS Z 2201に規定される13B号試験片を採取し、JIS Z 2241により引張強度を測定した。
なお、試験片は、引張試験の引張方向が特性評価用条材の圧延方向に対して平行になるように採取した。
特性評価用条材から幅10mm×長さ60mmの試験片を採取し、4端子法によって電気抵抗を求めた。また、マイクロメータを用いて試験片の寸法の測定を行い、試験片の体積を算出した。そして、測定した電気抵抗値と体積とから、導電率を算出した。なお、試験片は、その長手方向が特性評価用条材の圧延方向に対して平行になるように採取した。
得られた特性評価用条材から20mm×20mmのサンプルを切り出し、SEM-EBSD(Electron Backscatter Diffraction Patterns)測定装置によって、以下のように平均結晶粒径を測定した。
圧延面を、耐水研磨紙、ダイヤモンド砥粒を用いて機械研磨を行った。次いで、圧延面を、コロイダルシリカ溶液を用いて仕上げ研磨を行った。その後、走査型電子顕微鏡を用いて、試料表面の測定範囲内の個々の測定点(ピクセル)に電子線を照射した。後方散乱電子線回折による方位解析により、隣接する測定点間の方位差が15°以上となる測定点間を大角粒界とし、隣接する測定点間の方位差が15°未満を小角粒界とした。大角粒界を用いて、結晶粒界マップを作成した。そしてJIS H 0501の切断法に準拠し、結晶粒界マップに対して、縦、横の方向に所定長さの線分を所定の間隔で5本ずつ引いた。完全に切られる結晶粒数を数え、その切断長さの平均値を熱処理前の結晶粒径として算出した。
圧延面における結晶粒のアスペクト比は、以下のように測定した。
上述の特性評価用条材の圧延面について、上記の結晶粒径の測定と同様にSEM-EBSD(Electron Backscatter Diffraction Patterns)測定装置を用いて、結晶粒界マップを作成した。その結晶粒界マップに対して、圧延方向(RD方向)に5本の線分と、圧延方向に垂直な方向(幅方向、TD方向)に5本の線分を所定の間隔で引いた。完全に切られる結晶粒数を数え、そのRD方向の粒径を長径とし、TD方向の粒径を短径とした。詳細には、RD方向の線分のうち、1個の結晶粒の輪郭で切断される線分の長さ(線分と結晶粒の輪郭との2つの交点間の距離)をその結晶粒の長径とした。TD方向の線分のうち、1個の結晶粒の輪郭で切断される線分の長さをその結晶粒の短径とした。それぞれの結晶粒の長径と短径の比(長径/短径)を求め、その平均値をアスペクト比として算出した。
上述の特性評価用条材から試験片を採取し、800℃で1時間保持の熱処理を実施した。この試験片より、50mm×50mmのサンプルを切り出し、圧延面を鏡面研磨、エッチングを行った。光学顕微鏡にて、圧延方向が写真の横になるように圧延面を撮影した。観察部位の中で最も結晶粒が微細であり、かつ約1000×1000μm2の視野内が均一な粒度で形成される部位を選び、約1000×1000μm2で結晶粒の観察および結晶粒径の測定を行った。JIS H 0501の切断法に従い、写真の縦、横の方向に所定長さの線分を所定の間隔で5本ずつ引いた。完全に切られる結晶粒数を数え、その切断長さの平均値を熱処理後の結晶粒径(平均結晶粒径dave)として算出した。
上述のように、熱処理を施した試験片から採取したサンプルについて、50mm×50mmの範囲内において、双晶を除き、最も粗大な結晶粒の長径と短径の平均値(すなわち、長径と短径との和を2で割った値)を最大結晶粒径dmaxとした。最も粗大な結晶粒とは、50mm×50mmの範囲において、結晶粒の長径と短径の平均値が最大となる結晶粒である。長径は、結晶粒の輪郭上の2点を結ぶ線分のうち最長の線分の長さである。短径は、長径に垂直に線を引いた時に粒界(結晶粒の輪郭)によって切断される線分のうち最長の線分の長さである。この最大結晶粒径と上述の平均結晶粒径daveとの比dmax/daveが10以下を「〇」(good)と評価し、dmax/daveが10を超えた場合を「×」(bad)と評価した。
比較例2、3は、Pb,Se及びTeの合計含有量が本実施形態の範囲よりも多いため、800℃、1時間保持の熱処理後の粒径のばらつきが大きくなった。
Claims (6)
- セラミックス基板と接合するための純銅板であって、
Cuの純度が99.96mass%以上で残部が不可避不純物とされるとともに、Pの含有量が2massppm以下、かつ、結晶成長抑制元素であるPb、Se及びTeの合計含有量が0.01massppm以上10massppm以下の範囲内、Seの含有量が0.2massppm以上とされ、
Sの含有量が2massppm以上20massppm以下の範囲内とされており、
厚さが0.5mm以上とされており、
圧延面における結晶粒の粒径が10μm以上であり、圧延面における結晶粒のアスペクト比が2以下であることを特徴とする純銅板。 - 不可避不純物として含まれるMg,Sr,Ba,Ti,Zr,Hf,Yの合計含有量が10massppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の純銅板。
- 800℃で1時間保持の熱処理を行った後の結晶粒径が100μm以上300μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の純銅板。
- 800℃で加熱されてセラミックス基板と接合された後の結晶粒径が100μm以上300μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の純銅板。
- 800℃で1時間保持の熱処理を行った後の、50mm×50mmの範囲における最大結晶粒径dmaxと平均結晶粒径daveの比率dmax/daveが10以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の純銅板。
- 引張強度が500MPa以下であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の純銅板。
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