以下、実施形態に係る鉄道車両の速度測定システム、鉄道車両の速度測定装置及び鉄道車両の速度測定方法について説明する。図1及び図2は鉄道車両の速度測定システム30の全体構成を示す説明図である。図1では鉄道車両20を側面から視た図が示され、図2では鉄道車両20を正面から視た図が示される。
本システムが組込まれる鉄道車両の一例について説明する。鉄道車両20は軌道18を走行する。軌道18は、鉄道車両20を経路に沿って導く路である。ここでは、軌道18は、2つのレール18a、18aを含む。2つのレール18a、18aは、地上Gに枕木19等を介して並行状態で敷設されていてもよい。軌道は、モノレールのように1本のレールが鉄道車両を案内するものであってもよい。軌道は、高架橋等によって地上よりも上方位置に設けられていてもよい。軌道は、地下に掘られたトンネル内に設けられていてもよい。
鉄道車両20は、車体22と、台車24とを備える。台車24は、台車枠25と、複数の車輪28とを備える。台車枠25は、例えば、横梁25aと一対の側梁25bとを含む。横梁25aの両端に一対の側梁25bが並行姿勢で連結されている。台車枠25が車体22の下部に設けられている。複数の車輪28は、台車枠25の左右の側梁25bに車軸部を介して回転可能に支持されている。車軸部を支持する部分は軸箱と呼ばれることがある。なお、本実施形態において、鉄道車両20の進行方向を前側、後退方向を後ろ側ということがある。また、鉄道車両20から進行方向を見た場合を基準として左右という場合がある。重力方向において重力が加わる側を下側、その反対側を上側という場合がある。左右の車輪28は、軌道18の2つのレール18a、18aによって案内されつつ当該軌道18上を走行する。台車24は、車体22を下方から支持する。台車24が軌道18上を走行することで、車体22を含む鉄道車両20が軌道18に沿って走行する。鉄道車両20は、軌道18を走行する車両であればよく、電車、貨物列車の機関車、貨車、旅客列車の機関車、客車のいずれであってもよい。貨車又は客車は、機関車によって牽引される付随車であってもよいし、自身が動力を有する動力車であってもよい。機関車は、電気機関車であってもよいし、ディーゼル機関車等の内燃機関車であってもよい。
上記鉄道車両20を前提として、鉄道車両20の速度測定システム30の全体構成を説明する。速度測定システム30は、複数のRFID(Radio Frequency Identification)タグ34と、RFIDリーダ40と、速度演算部としての速度演算装置50とを備える。
複数のRFIDタグ34は、鉄道車両20の前後方向に沿って異なる2以上の位置に分散するように、当該鉄道車両20に設けられている。換言すれば、複数のRFIDタグ34は、鉄道車両20の前後方向に沿って異なる位置に設けられた少なくとも2つのRFIDタグ34を含む。
図1に示す例では、鉄道車両20の前後の台車24のそれぞれに、RFIDタグ34が設けられている。また、各台車24において、側梁25bの前部、後部及び前後方向中間部のそれぞれに、RFIDタグ34が設けられている。このため、RFIDタグ34は、鉄道車両20の前後方向において6つの異なる位置に分散している。RFIDタグ34が、鉄道車両20の前後方向において分散する位置の数は任意であり、2以上であればよい。RFIDタグ34は、鉄道車両20の前後方向において3つ以上の位置に分散していてもよい。
複数のRFIDタグ34は、鉄道車両20の幅方向において異なる位置に設けられたものを含んでもよい。図2に示す例では、一対の側梁25bのそれぞれにRFIDタグ34が設けられる。また、横梁25aの幅方向中間部にもRFIDタグ34が設けられる。このため、RFIDタグ34は、鉄道車両20の左部分、右部分、幅方向中間部のそれぞれに設けられる。
なお、上記記載は、複数のRFIDタグ34の一部が、鉄道車両20の前後方向において同じ位置に設けられること、及び、左右方向において同じ位置に設けられることを除く意図ではない。
RFIDリーダ40は、鉄道車両20が走行する軌道18側に設けられ、複数のRFIDタグ34からのタグ情報を読取るように構成される。ここで、RFIDリーダ40が軌道18側に設けられるとは、軌道18と当該軌道18を走行する鉄道車両20との関係で、軌道18側に設けられることをいう。このため、RFIDリーダ40は、鉄道車両20と一緒に動かない部分、例えば、レール18a又は枕木19が設置される地上、地上設備(人の乗降又は物の積み降ろしのための駅等)に設けられてもよい。
ここでは、RFIDリーダ40は、RFIDリーダ本体42と、アンテナ41とを備える。アンテナ41は、軌道18に沿ったいずれかの位置に設けられる。アンテナ41は、軌道18を走行する鉄道車両20に装着されたRFIDタグ34のタグ情報を無線通信にて読取り可能な位置に設けられればよい。鉄道車両20が軌道18に沿ってアンテナ41の近くを通過すると、RFIDリーダ本体42は、アンテナ41を通じて、鉄道車両20に装着されたRFIDタグ34からタグ情報を読取る。例えば、アンテナ41は、一対のレール18a間と、一対のレール18aの両外側に設けられていてもよい。これにより、鉄道車両20の左右部分、幅方向中間部に設けられたRFIDタグ34のタグ情報を読取り易い。複数のアンテナ41が設けられる場合、複数のアンテナ41は、軌道18の長手方向において同じ位置に設けられてもよい。これにより、複数のアンテナ41は、軌道18の長手方向に同じ位置でRFIDタグ34のタグ情報を読取ることができる。RFIDリーダ40が読取ったタグ情報は、速度演算装置50に与えられる。
RFIDリーダ40とRFIDタグ34とは、例えば、UHF(Ultra High Frequency)帯の電波を用いて通信を行ってもよい。この場合、鉄道車両20の通過経路から比較的遠距離(例えば2m)に設置されたRFIDリーダ40によってRFIDタグ34を読取ることができる。
速度演算装置50は、RFIDリーダ40により読取られた複数のRFIDタグ34のタグ情報に基づいて、鉄道車両20の速度を演算するように構成される。より具体的には、速度演算装置50は、RFIDリーダ40が複数のRFIDタグ34のそれぞれのタグ情報を読取った時間の差と、鉄道車両20における複数のRFIDタグ34間の距離とに基づいて、鉄道車両20の速度を演算する。つまり、RFIDリーダ40がタグ34のタグ情報を読取った時間は、RFIDタグ34、RFIDリーダ40及び速度演算装置50のいずれかが有する計時部(RTC(real time clock))によって特定され得る。また、複数のRFIDタグ34間の距離は、鉄道車両20に装着されたRFIDタグ34の位置が管理されていれば、既知の値とすることができる。そして、鉄道車両20の前後方向において異なる位置に装着されたRFIDタグ34の読取り時間差と、RFIDタグ34間の距離とが特定されれば、距離を時間差で除することによって、鉄道車両20の速度が求められる。
速度演算装置50は、演算された鉄道車両20の速度等に基づいて、発報すべきか否かを判定し、発報すべきと判定された際に、発報部60を通じて発報を行ってもよい。発報部60は、鉄道車両20から視認可能な位置に設けられてもよい。例えば、発報部60は、軌道18に沿った位置であって、RFIDリーダ40よりも鉄道車両20の進行方向下流側に設けられてもよい。発報部60は、運転台の周り等、鉄道車両20の運転手に発報可能な位置に設けられてもよい。発報部60は、鉄道システムの管理基地等、管理者に発報可能な位置に設けられてもよい。
本鉄道車両20の速度測定装置32が、上記RFIDリーダ40と速度演算部としての速度演算装置50とを備える装置であるとして把握されてもよい。
速度測定システム30の各部の一例についてより具体的に説明する。図3は速度測定システム30を示すブロック図である。
RFIDタグ34には、IDが割当てられている。RFIDタグ34は、自己のIDを含むタグ情報を電波にて送信可能に構成される。RFIDタグ34は、タグ制御部35と、アンテナ38と、記憶部37とを備えていてもよい。タグ制御部35は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサにより構成される。記憶部37は、EEPROM(electrically erasable and programmable read only memory)等の不揮発性メモリによって構成されている。記憶部37には、タグ制御プログラム、ID等が格納されている。タグ制御部35が、記憶部37に記憶されたタグ制御プログラムに記述された処理を実行する。これにより、RFIDタグ34は、自己のIDを含むタグ情報を送信する処理を実行する。RFIDタグ34は、RFIDリーダ40等からの電磁波によって給電されて動作するパッシブ型のタグであってもよいし、内蔵したバッテリを電源として動作するアクティブ型のタグであってもよい。
RFIDタグ34は、鉄道車両20における対象部位の変形、変位、温度等の状態を検知する状態検知機能付のタグであってもよい。この場合、RFIDタグは、状態検知を行うセンサからの出力に基づき鉄道車両20の状態検知を行い、その状態情報をタグ情報に含めて送信するとよい。センサは、RFIDタグ34に設けられていてもよいし、鉄道車両20に設けられ、RFIDタグ34に接続されるセンサであってもよい。RFIDタグ34が状態検知機能を有していれば、当該状態検知機能付きのRFIDタグ34を利用して、鉄道車両20の速度測定を低コストで行うことができる。
なお、鉄道車両20は、1つの車両であってもよいし、連結された複数の車両であってもよい。すなわち、速度測定に利用される複数のRFIDタグ34は、一体的に軌道18上を走行する1つ又は複数の車両に取付けられていればよい。
RFIDリーダ40は、上記したように、RFIDリーダ本体42と、アンテナ41とを備える。RFIDリーダ本体42は、CPU等のプロセッサ、記憶部等を備えるコンピュータによって構成される。記憶部には、読取制御プログラム等が格納されている。プロセッサが、記憶部に記憶された読取制御プログラムに記述された処理を実行し、タグ情報を読取る処理を実行する。例えば、RFIDリーダ40は、アンテナ41を通じて応答指令を断続的に無線送信する。断続的に送信される応答指令間の時間は一定であってもよい。アンテナ41からの応答指令を無線受信可能な位置にRFIDタグ34が1つ又は複数存在した場合、当該1つ又は複数のRFIDタグ34がタグ情報を無線にて返信する。これにより、RFIDリーダ40が1つ又は複数のRFIDタグ34のタグ情報を無線受信することができる。複数のRFIDタグ34が同時に返信する場合を想定し、RFIDリーダ40とRFIDタグ34との通信機能は、アンチコリジョン機能を有していてもよい。アンチコリジョンは、例えば、RFIDリーダ40が複数のRFIDタグ34に対して返信可能なスロットを指定して応答指令を発し、さらに、応答済のRFIDタグ34のIDを除外した応答指令を発することで、複数のRFIDタグ34からの返信タイミングをずらす処理である。アンチコリジョンとして、他の処理が採用されてもよい。いずれにせよ、アンテナ41から送信される無線信号を受信可能な位置にRFIDタグ34が存在している場合、RFIDリーダ40からアンテナ41を通じて応答指令が無線送信される毎に、RFIDリーダ40はアンテナ41を通じて1つ又は複数のRFIDタグ34からのタグ情報を一括して読取る。
RFIDリーダ本体42が、時刻を刻む計時部42a(例えば、現在時間を刻むRTC)を有しており、RFIDリーダ40が受信したタグ情報を、計時部42aで計時された受信時間(読取り時間)と対応付けて速度演算装置50に与えるようにしてもよい。これにより、RFIDタグ34から読取られたタグ情報が、読取り時間と対応付けて処理され得る。RFIDタグ34から送信されるタグ情報に、当該RFIDタグ34に内蔵された計時部に基づく時間が含まれており、その時間に基づいてタグ情報の読取り時間が特定されてもよい。また、速度演算装置50に内蔵された計時部で計時された時間に基づいて、タグ情報の読取り時間が特定されてもよい。
速度演算装置50は、演算処理装置52、記憶部53及びRAM(Random access memory)等を備えるコンピュータによって構成されている。ここでは、速度演算装置50は、地上に設置され、RFIDリーダ40と有線形式で通信可能に接続される。演算処理装置52は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサにより構成される。記憶部53は、HDD(hard disk drive)、SSD(Solid-state drive)等の不揮発性記憶装置によって構成されている。記憶部53には、速度演算プログラム53a、タグ位置テーブル53b、読取りリスト53c、速度履歴53d、基準速度53e等が格納されている。演算処理装置52が記憶部53に記憶された速度演算プログラム53aに記述された処理を実行する。これにより、速度演算装置50は、RFIDリーダ40がRFIDタグ34のそれぞれのタグ情報を読取った時間の差と、鉄道車両20における複数のRFIDタグ34間の距離とに基づいて、鉄道車両20の速度を演算することができる。速度演算装置50の処理の一例については後にさらに詳述される。
タグ位置テーブル53bは、IDとRFIDタグ34の位置情報とを対応付けた情報である。RFIDタグ34の装着位置は、例えば、鉄道車両20におけるRFIDタグ34の設計上の装着位置又は作業時における装着位置として把握及び管理された情報から既知の値として把握される。RFIDタグ34の装着位置は、例えば、鉄道車両20を基準とする座標、特に、少なくとも鉄道車両20の前後方向に沿った座標軸上の位置として表現されてもよい。読取りリスト53cは、IDとRFIDタグ34の読取り時間とを対応付けた情報である。読取りリスト53cは、RFIDリーダ40が読み取ったタグ情報に含まれるID及びその読取り時間に基づいて生成される。速度履歴53dは、演算された鉄道車両20の速度の履歴情報である。速度履歴53dは、時間(読取り時間)及びIDのうちの少なくとも1つに、演算された速度を対応付けた情報であってもよい。別途IDと鉄道車両20とを対応付けたテーブル等が存在する場合、速度履歴53dは、鉄道車両20の特定情報に、演算された速度が対応付けられた情報であってもよい。基準速度53eは、軌道18における鉄道車両20の上限速度として、予め設定された値である。記憶部53には、IDと状態情報等を対応付けたIDリスト53fが格納されることもある。
速度演算装置50は、単一のコンピュータによって実現されていてもよいし、複数のコンピュータが連携することによって構成されていてもよい。これらの場合において、コンピュータの設置位置は特に限定されない。1つ又は複数のコンピュータが鉄道車両20に搭載されてもよいし、RFIDリーダ40が設置された設備近傍に設置されてもよいし、他の基地システムに設置されてもよい。これらの各箇所に、複数のコンピュータが分散して設置されてもよい。本システムが複数のコンピュータによって実現される場合、後述する各処理は、いずれのコンピュータによって実行されてもよい。
本実施形態では、速度測定システム30は、上記したように発報部60を備える。発報部60は、速度演算装置50によって演算された鉄道車両20の速度が警告条件に合致する場合に警告を発する。発報は、視覚的になされてもよい。発報部60の一例は、回転灯60aである。発報部60の他の例は、液晶表示装置である。発報部60は、固定箇所に設置される表示装置60bであってもよいし、持運び可能な表示装置60c(例えば、スマートフォン、タブレット端末装置)であってもよい。発報は、スピーカ、ブザー等の発音体によって聴覚的になされてもよい。
図4は速度演算装置50における処理例を示すフローチャートである。図5は読取りリスト53c及びタグ位置テーブル53bから速度を演算する処理を概念的に示す説明図である。
ステップS1では、速度演算装置50において、RFIDリーダ40からの出力に基づき、タグ情報の読取りの有無が判定される。軌道18におけるRFIDリーダ40の設置箇所近くを鉄道車両20が通過すると、当該鉄道車両20に装着されたRFIDタグ34のタグ情報がRFIDリーダ40によって読込まれる。読取り有りと判定されるまで、ステップS1の処理が繰返され、読取り有りと判定されると、次ステップS2に進む。
ステップS2では、読取られたタグ情報に含まれるIDが読取り時間と共に読取りリスト53cに登録される。
次ステップS3では、RFIDリーダ40近くを鉄道車両20が通過済か否かが判定される。例えば、RFIDリーダ40によるタグ情報の読取りが途絶えた時間が予め設定された所定時間以上又は所定時間を超えたか否かを判定し、読取りが途絶えた時間が所定時間以上又は所定時間を超えたときに鉄道車両20が通過済と判定してもよい。鉄道車両20が通過済か否かの判定は、別途軌道18の近くに設けられた車両検知センサ、例えば、光センサ等の出力に基づいてなされてもよい。通過済でないと判定されると、ステップS1に戻り、通過済と判定されると、ステップS4に進む。
ステップS4では、読取りリスト53cに登録された複数のIDのなかから速度演算用の組合せを決定する。ここでは、1つの組合せは、2つのIDによって構成される。本実施形態では、速度演算用の組合せを1つ決定する場合を説明し、後の変形例で複数の組合せを決定する例を説明する。速度演算用の組合せは、特に限定されない。例えば、速度演算用の組合せは、予め設定された2つのIDであってもよいし、複数のIDのなかからランダムに抽出された2つのIDであってもよいし、読取り時間が最も早いIDと最も遅いIDとの組合せであってもよい。
次ステップS5では、速度演算用の組合せを構成する2つのIDについて、読取りリスト53cからのタグ読込時間を読込むと共に、タグ位置テーブル53bから座標を読込む。例えば、図5に示す例では、読取りリスト53cでは、各IDに読込時間が対応付けられており、タグ位置テーブル53bでは、各IDに座標(鉄道車両20における前後方向の座標)が対応付けられている。このため、読取りリスト53c及びタグ位置テーブル53bに基づいて、各IDに対して、読込時間及び座標が特定される。
次ステップS6では、速度演算を行う。ここでの速度演算は、速度演算用の2つのIDのそれぞれのタグ情報を読取った時間の差と、当該2つのRFIDタグ34間の距離とに基づいて、鉄道車両20の速度を演算する。速度演算用の2つのIDのそれぞれのタグ情報を読取った時間の差は、上記読取りリスト53cから読取られた2つのIDの読取り時間の一方から他方を減算することによって求められ得る。2つのRFIDタグ34間の距離は、RFIDタグ34の位置情報に基づいて算出される。ここでは、2つのRFIDタグ34間の距離は、タグ位置テーブル53bに基づく2つのIDの座標の一方から他方を減算することによって求められ得る。そして、RFIDタグ34間の距離を、RFIDタグ34の読取り時間差によって除することによって、鉄道車両20の速度が演算される。
例えば、図5において、IDが001と027とRFIDタグ34に基づいて速度演算を行う際には、一方のID(027)の座標から他方のID(001)の座標を減算することで、距離を求めることができる。ここでは、例えば、2590(cm)-0120(cm)=2470(cm)から、距離が2470(cm)であると求められる。また、一方のID(027)の読取り時間から他方のID(001)の読取り時間を減算することで、読取り時間差を求めることができる。ここでは、例えば、0083(s)-0005(s)=78(s)から、読取り時間差が78(s)であると求められる。そして、距離を時間差で除して、ここでは、2470/78=31.666・・・(cm/s)と演算することができる。上記演算結果は、鉄道車両20のうち2つのID(001と027)が装着された部分間がRFIDリーダ40の側方を通過する際の速度を示している。演算された速度は、表示部を通じた表示、速度履歴の保存、鉄道車両に対する警告等の処理に供される。
次ステップS7では、演算された速度が速度履歴53dとして登録される。
次ステップS8では、演算された速度が警告条件に合致するか否かが判定される。警告条件は、例えば、速度が予め定められた基準速度53e以上となる、又は基準速度53eを超えることである。速度が警告条件に合致しないと判定されると、ステップS10に進み、警告条件に合致すると判定されると、ステップS9に進む。
ステップS9では、発報部60を通じて警告処理を行う。警告処理は、例えば、発報部60を通じて注意を喚起する表示又は音を発生すること等によりなされる。処理後、ステップS10に進む。
ステップS10では、終了指令の有無が判定される。終了指令有りと判定されると、処理を終了し、終了指令無しと判定されると、ステップS1に戻って以降の処理を繰返す。ステップS1以降の処理が繰返されることにより、RFIDタグ34が装着された鉄道車両20がRFIDリーダ40の近くを通過する度に、当該鉄道車両20の速度が測定される。
本実施形態によると、RFIDリーダ40が複数のRFIDタグ34のそれぞれのタグ情報を読取った時間の差と、鉄道車両20における複数のRFIDタグ34間の距離とに基づいて、鉄道車両20の速度を演算する。このため、地上側に複数のRFIDリーダを設置し、それぞれのRFIDリーダによるRFIDタグの読取り時間及びRFIDリーダ間の距離に基づいて速度を求める場合と比較して、RFIDリーダ40の設置数を少なくすることができる。これにより、鉄道車両20に設けられた複数のRFIDタグ34を利用し、軌道18側の設備コストを低く抑えつつ鉄道車両20の速度を測定できる。なお、予備的な目的又は精度向上目的でRFIDリーダが複数設けられてもよい。
また、速度演算装置50は、鉄道車両20における複数のRFIDタグ34の位置情報(ここでは鉄道車両20の前後方向における座標)に基づいて2つのRFIDタグ34間の距離を演算する。このため、RFIDタグ34の全ての組合せについて、タグ間距離を管理把握しておかなくても、複数のRFIDタグ34間の距離を容易に求めることができる。
また、速度演算装置50にタグ位置テーブル53bが記憶されている。速度演算装置50は、このタグ位置テーブル53bに基づいて複数のRFIDタグ34間の距離を演算する。このため、RFIDタグ34に位置情報を登録しておかなくても、タグ位置テーブル53bを利用して、複数のRFIDタグ34間の距離を演算することができる。
また、速度演算装置50によって演算された速度が警告条件に合致する場合に、発報部60を通じて警告を発するため、演算された速度情報を鉄道車両20の運転、運行管理等に供することができる。例えば、速度が所定の上限速度以上となるか上限速度を上回った場合に、運転者等に警告を発することができる。
図6は速度演算装置50における変形例に係る処理例を示すフローチャートである。図6では、3つ以上のRFIDタグ34が鉄道車両20に装着されていることを前提に、速度演算装置50が、当該3つ以上のRFIDタグの複数の組合せに対して、鉄道車両20の速度を演算する例が示される。複数の組合せに対して演算された複数の速度に基づき、平均速度が演算されてもよいし、速度変化が演算されてもよい。図6では平均速度が演算される場合が示される。なお、3つ以上のRFIDタグ34が鉄道車両20に装着されている場合としては、3つ以上のRFIDタグ34の全てが鉄道車両20の前後方向において異なる位置に装着されている場合、及び、3つ以上のRFIDタグ34が鉄道車両20の前後方向に沿って異なる2以上の位置に分散し、かつ、少なくとも2つのRFIDタグ34が鉄道車両20の前後方向において同じ位置(例えば、左右位置)に装着されている場合を含む。
図6に示す処理が図4に示す処理と異なるのは、図4においてはRFIDタグ34の1つの組合せに関する速度を求めていたのに対して、図6においてはRFIDタグ34の複数の組合せに関する速度を求める点である。図6に示す処理について、図4に示す処理との相違点を中心に説明する。図6に示す処理では、図4に示すステップS1からS3と同様の処理がなされ、ステップS3において通過済と判定されると、図4におけるステップS4の代りに、ステップS21に進む。
ステップS21では、読取りリスト53cに登録された複数のIDのなかから速度演算用の複数の組合せを決定する。1つの組合せは、2つのIDによって構成される。本変形例では、速度演算用の組合せを複数決定する。複数の組合せは如何なる処理によって決定されてもよい。例えば、複数の組合せは、複数のIDによって生成可能な全組合せであってもよい。複数の組合せは、予め設定された複数の組合せであってもよい。複数の組合せは、複数のIDから2つのIDをランダムに抽出することを繰返し、かつ、同じ組合せとなるものを排除することによって決定されてもよい。なお、複数のIDのうちの一部がRFIDリーダ40による読取りエラーとなる場合が生じ得る。このような場合には、次のような処理がなされてもよい。例えば、2つのIDによる組合せを決定した後、決定された2つのIDのうちの片方もしくは両方が読取りエラーと判定された場合に、当該組合せを除外して、別の2つのIDによる組合せを決定してもよい。または、予め読取りエラーとなったIDについては、組合せを決定するための抽出の対象IDから除外しておいてもよい。速度演算用の組合せが複数決定されると、次ステップS5に進む。
ステップS5及びS6では、決定された速度演算用の複数のIDの組合せのうちの1つについて、図4で説明したのと同様に、鉄道車両20の速度を演算する。速度演算がなされると、図4に示すステップS7の代りに、ステップS22に進む。
ステップS22では、ステップS21において決定された複数の組合せの全てについて、速度演算が終了したか否かが判定される。速度の演算が終了していないと判定されると、ステップS5に戻り、速度の演算が終了していない組合せについて、速度の演算を行う処理を繰返す。速度の演算が終了したと判定されると、ステップS23に進む。
ステップS23では、演算された複数の速度に基づき、鉄道車両20の平均速度を演算する。すなわち、複数の速度の総和を求め、その総和を組合せ数で除する。これにより、平均速度が求められる。演算された複数の速度に基づく処理は、平均速度を演算する処理でなくてもよい。例えば、後に示すように、複数の速度は、鉄道車両20の速度変化を示すデータとして処理されてもよい。
ステップS23の処理後、図4に示すステップS7からS10に示す処理がなされる。
本変形例によると、3つ以上のRFIDタグ34の複数の組合せに対して、鉄道車両20の速度を演算するため、鉄道車両の速度精度の向上を図ることが可能となる。或いは、速度変化を求めるが可能となる。
例えば、3つ以上のRFIDタグ34の複数の組合せに対して、鉄道車両20の複数の速度を求め、複数の速度の平均値を求めることで、鉄道車両20の速度精度の向上を図ることができる。つまり、RFIDタグ34がRFIDリーダ40の通信可能領域に入ると、RFIDリーダ40はRFIDタグ34の読取りを行うことができる。しかしながら、周辺状況(鉄道車両20の実速度、加減速状況、天候)、RFIDリーダ40に対するRFIDタグ34の取付状態(姿勢等)、通信可能領域に入ったRFIDタグ34の数等に応じて、RFIDリーダ40がRFIDタグ34を読取る際における、RFIDリーダ40に対するRFIDタグ34の相対的な位置は変動し得る。3つ以上のRFIDタグ34の複数の組合せに対して鉄道車両20の複数の速度を求め、複数の速度の平均値を求めると、RFIDリーダ40に対するRFIDタグ34の相対的な位置ずれは、相互に打消し合うことになる。このため、演算された速度の平均値に対しては、RFIDリーダ40に対するRFIDタグ34の相対的な位置変動の影響は抑制され、鉄道車両20の速度精度の向上が図られる。
また、複数のRFIDタグ34が鉄道車両20の前後方向において異なる3つ以上の位置に分散していると、RFIDリーダ40が各RFIDタグ34を読取る条件(時間、位置等)で読み取ることになる。このため、複数の速度の平均値を求める際に、RFIDリーダ40に対するRFIDタグ34の相対的な位置ずれが、相互に打消され易くなり、鉄道車両20の速度精度の向上が図られる。
また、3つ以上のRFIDタグ34は、鉄道車両20の幅方向において異なる位置に設けられていると、RFIDリーダ40は、鉄道車両20の幅方向において異なる条件(RFIDリーダ40に対するRFIDタグ34の取付状態(姿勢等))でRFIDタグ34を読取ることになる。このため、複数の速度の平均値を求める際に、RFIDリーダ40に対するRFIDタグ34の相対的な位置ずれが、相互に打消され易くなり、鉄道車両20の速度精度の向上が図られる。
図7に基づいて鉄道車両20に設けられた4つのRFIDタグ34の読取り時間に基づいて鉄道車両20の速度及び平均速度を演算する処理例について説明する。2つの台車24が鉄道車両20の前後に設けられる。前後の台車24のそれぞれの前後の軸箱にRFIDタグ34が設けられるとする。つまり、鉄道車両20に4つのRFIDタグ34が設けられる。4つのRFIDタグ34の前から後方に向けて、1、2、3、4の番号が割振られるとする。以下では、RFIDタグ34を区別する場合に、RFIDタグ34(1)、34(2)、34(3)、34(4)と記する場合がある。RFIDタグ34(1)、34(2)、34(3)、34(4)の座標(鉄道車両20の前後方向の座標)を、鉄道車両20の前端部を起点として、X1、X2、X3、X4とし、読取り時間をt1、t2、t3、t4とする。以下の説明において、RFIDタグ34(a)とRFIDタグ34(a)との間の速度をvabと表記することとする。
この場合、RFIDタグ34(1)、34(2)間の速度v12=(x2-x1)/(t2-t1)であり、RFIDタグ34(1)、34(3)間の速度v13=(x3-x1)/(t3-t1)であり、RFIDタグ34(1)、34(4)間の速度v14=(x4-x1)/(t4-t1)であり、RFIDタグ34(2)、34(3)間の速度v23=(x3-x2)/(t3-t2)であり、RFIDタグ34(2)、34(4)間の速度v24=(x4-x2)/(t4-t2)であり、RFIDタグ34(3)、34(4)間の速度v34=(x4-x3)/(t4-t3)となる。
また、平均速度VAVGは、(v12+v13+v14+v23+v24+v34)/6となる。
複数の速度が演算される場合、図8に示すように、演算された複数の速度が演算に用いられた2つのIDのうちの早い方の読取り時間(遅い方の読取り時間、又は、2つの読取り時間の平均値であってもよい)における鉄道車両20の速度であるとして、複数の速度が鉄道車両20の速度変化を示すデータとして生成されてもよい。これにより、鉄道車両20の速度変化が容易に把握される。この速度変化のデータから、鉄道車両20の加速度が把握される。
この場合において、図6に示すステップS8における警告条件が、加速度が一定範囲を脱していることとして規定されてもよい。例えば、所定加速度を超えている場合(或いは所定加速度以上)、又は、所定加速度未満(或いは所定加速度以下)である場合に警告を発するようにしてもよい。これにより、鉄道車両が急加速された場合、或いは、急減速された場合に、警告を発することができる。
また、複数の速度が演算される場合、図9に示すように、時間に対する速度を示す複数の離散データに基づいて近似式f(t)を求める補間処理を行うようにしてもよい。補間処理は、ラグランジュ補間、スプライン補間、最小2乗近似法等を採用した各種アルゴリズムによって実現され得る。
上記実施形態では、RFIDタグ34の位置が速度演算装置50における記憶部53にタグ位置テーブル53bとして登録されている例が説明された。しかしながら、図10に示す変形例に示すRFIDタグ134のように、当該RFIDタグ134の記憶部137にID137a及び位置情報137bが登録されていてもよい。位置情報137bは、鉄道車両20においてRFIDタグ134が取付けられた位置を示す情報である。RFIDリーダ40が、RFIDタグ134のタグ情報を読取る際、IDと位置情報とを読取ることで、上記実施形態と同様に、複数のRFIDタグ134間の距離を演算し、鉄道車両20の速度を演算することができる。
上記実施形態における説明に拘らず、RFIDリーダ40の設置位置は、走行する鉄道車両20に設けられRFIDタグ34を読取り可能な位置であれば、特に限定されない。例えば、RFIDリーダ40は、鉄道車両20が低速で走行する箇所の近くに設けられていてもよい。
図11では、軌道18が分岐軌道110、終端停車位置112を含む例が示される。分岐軌道110は、軌道が複数の軌道に分岐する部分であり、ポイントと称される部分を含む。終端停車位置112とは、鉄道車両20が軌道18の終端113の手前で停車する位置である。また、図11には、軌道18に沿って設けられる駅114が示される。駅114は、人が鉄道車両20に乗り降りするか、物を積み降ろしするための設備である。
RFIDリーダ140aは、分岐軌道110を通過する鉄道車両20に設けられたRFIDタグ34を読取る位置に設けられている。ここでは、鉄道車両20が分岐元となる軌道部分から分岐先軌道に走行することを前提に、RFIDリーダ140aは分岐元となる軌道部分の側方に設けられている。そして、鉄道車両20が分岐軌道110を走行する際に、鉄道車両20がRFIDリーダ140aの側方を通過し、RFIDリーダ140aが鉄道車両20に設けられたRFIDタグ34を読取る。この場合において、発報部160aは、RFIDリーダ140aよりも鉄道車両20の進行方向下流側に設けられているとよい。これにより、鉄道車両20が分岐軌道110を通過する際に、速度演算装置50によって速度が測定される。また、測定された速度が警告条件に合致しているか否かが判定され、警告条件に合致している場合に、発報部160aを通じて警告が発報される。警告条件は、分岐軌道110における曲率半径等に応じて適宜設定される。
また、RFIDリーダ140bは、軌道18の終端停車位置112に向けて走行する鉄道車両20に設けられたRFIDタグ34を読取る位置に設けられている。ここでは、RFIDリーダ140bは、終端停車位置112の手前であって軌道18の側方位置に設けられている。このため、鉄道車両20が終端停車位置112に向けて走行する際に、RFIDリーダ140bは、鉄道車両20に設けられたRFIDタグ34を読取る。この場合において、発報部160bが、RFIDリーダ140bよりも鉄道車両20の進行方向下流側に設けられているとよい。これにより、鉄道車両20が終端停車位置112に向けて走行する際に、速度演算装置50によって速度が測定される。また、測定された速度が警告条件に合致しているか否かが判定され、警告条件に合致している場合に、発報部160bを通じて警告が発報される。警告条件は、鉄道車両20が終端113を超えずに停車できる徐行速度であり、鉄道車両20の重量、連結数等に応じて設定される。
また、RFIDリーダ140cは、駅114における停車位置に向けて走行する鉄道車両20に設けられたRFIDタグ34を読取る位置に設けられている。ここでは、RFIDリーダ140cは、軌道18のうち駅に対応する部分における進入口部分の側方位置に設けられている。このため、鉄道車両20が駅114の停車位置に向けて走行する際に、RFIDリーダ140cは、鉄道車両20に設けられたRFIDタグ34を読取る。この場合において、発報部160cが、RFIDリーダ140cよりも鉄道車両20の進行方向下流側に設けられているとよい。これにより、鉄道車両20が駅114の停車位置に向けて走行する際に、速度演算装置50によって速度が測定される。また、測定された速度が警告条件に合致しているか否かが判定され、警告条件に合致している場合に、発報部160cを通じて警告が発報される。警告条件は、鉄道車両20が駅114を超えずに停車できる徐行速度であり、鉄道車両20の重量、連結数等に応じて設定される。
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
本開示は、下記各態様を含む。
第1の態様は、鉄道車両の前後方向に沿って異なる2以上の位置に分散するように前記鉄道車両に設けられた複数のRFIDタグと、前記鉄道車両が走行する軌道側に設けられ、前記複数のRFIDタグからのタグ情報を読取るRFIDリーダと、前記RFIDリーダが前記複数のRFIDタグのそれぞれの前記タグ情報を読取った時間の差と、前記鉄道車両における前記複数のRFIDタグ間の距離とに基づいて、前記鉄道車両の速度を演算する速度演算部と、を備える鉄道車両の速度測定システムである。これにより、RFIDリーダが鉄道車両に設けられた複数のRFIDタグのそれぞれのタグ情報を読取った時間の差と、鉄道車両における複数のRFIDタグの距離とに基づいて、鉄道車両の速度を演算する。このため、軌道側において、RFIDリーダの設置数を少なくできる。これにより、鉄道車両に設けられた複数のRFIDタグを利用し、軌道側の設備コストを低く抑えつつ鉄道車両の速度を測定できる。
第2の態様は、第1の態様に係る鉄道車両の速度測定システムであって、前記速度演算部は、前記鉄道車両における前記複数のRFIDタグの位置情報に基づいて前記鉄道車両における前記複数のRFIDタグ間の距離を演算する、鉄道車両の速度測定システムである。これにより、鉄道車両における複数のRFIDタグの位置情報に基づいて、複数のRFIDタグ間の距離を容易に演算できる。
第3の態様は、第2の態様に係る鉄道車両の速度測定システムであって、前記複数のRFIDタグのIDと前記鉄道車両における前記複数のRFIDタグの位置情報とを対応付けたタグ位置テーブルを記憶した記憶部をさらに備え、前記速度演算部は、前記タグ位置テーブルに基づいて前記鉄道車両における前記複数のRFIDタグ間の距離を演算する、鉄道車両の速度測定システムである。これにより、RFIDタグに位置情報を登録しておかなくても、タグ位置テーブルを利用して、複数のRFIDタグ間の距離を演算することができる。
第4の態様は、第1から第3のいずれか1つの態様に係る鉄道車両の速度測定システムであって、前記複数のRFIDタグは、前記RFIDタグを3つ以上含み、前記速度演算部は、前記3つ以上のRFIDタグの複数の組合せに対して、前記鉄道車両の速度を演算する、鉄道車両の速度測定システムである。これにより、演算された複数の速度に基づき、鉄道車両の速度変化を求めることが可能となる。あるいは、演算された複数の速度に基づき精度のよい速度を求めることが可能となる。
第5の態様は、第4の態様に係る鉄道車両の速度測定システムであって、前記速度演算部は、前記3つ以上のRFIDタグの複数の組合せに対して求められた前記鉄道車両の速度の平均速度を演算する、鉄道車両の速度測定システムである。RFIDリーダがRFIDタグを検出する位置はばらつく恐れがある。平均速度を、鉄道車両の速度とすることで、RFIDリーダに対するRFIDタグの検出位置のばらつきが打消され、当該鉄道車両の速度を精度よく測定できる。
第6の態様は、第4又は第5の態様に係る鉄道車両の速度測定システムであって、前記3つ以上のRFIDタグは、前記鉄道車両の前後方向に沿って異なる3以上の位置に分散するように前記鉄道車両に設けられている、鉄道車両の速度測定システムである。これにより、鉄道車両の前後方向において異なる3つ以上の位置に対応するRFIDタグからのタグ情報の読取り時間及びタグ間距離等に基づいて、鉄道車両の速度が複数求められる。特に、鉄道車両の速度の平均速度を演算した場合には、鉄道車両の前後方向におけるRFIDリーダに対するRFIDタグの検出位置のばらつきが打消される。
第7の態様は、第4から第6のいずれか1つの態様に係る鉄道車両の速度測定システムであって、前記3つ以上のRFIDタグは、前記鉄道車両の幅方向において異なる位置に設けられたものを含む。これにより、鉄道車両の幅方向において異なる位置で、鉄道車両の速度が複数求められる。特に、鉄道車両の速度の平均速度を演算した場合には、鉄道車両の幅方向におけるRFIDリーダに対するRFIDタグの検出位置のばらつきが打消される。
第8の態様は、第4から第7のいずれか1つの態様に係る鉄道車両の速度測定システムであって、前記速度演算部は、前記3つ以上のRFIDタグの複数の組合せに対して演算された前記鉄道車両の速度に基づき、前記鉄道車両の速度変化情報を出力する、鉄道車両の速度測定システムである。これにより、鉄道車両の速度変化を測定することができる。
第9の態様は、第4から第8のいずれか1つの態様に係る鉄道車両の速度測定システムであって、前記速度演算部によって演算された前記鉄道車両の速度が警告条件に合致する場合に警告を発する発報部をさらに備える。これにより、鉄道車両の速度が警告条件に合致する場合に警告を発することができる。
第10の態様は、第1から第9のいずれか1つの態様に係る鉄道車両の速度測定システムであって、前記軌道は分岐軌道を含み、前記RFIDリーダは、前記分岐軌道を通過する前記鉄道車両に設けられたRFIDタグを読取る位置に設けられているものである。これにより、鉄道車両が分岐軌道を通過する際に、鉄道車両の速度を測定することができる。
第11の態様は、第1から第9のいずれか1つの態様に係る鉄道車両の速度測定システムであって、前記RFIDリーダは、前記軌道の終端停車位置に向けて走行する鉄道車両に設けられたRFIDタグを読取る位置に設けられているものである。これにより、鉄道車両が終端停車位置に向けて走行する際に、鉄道車両の速度を測定することができる。
第12の態様に係る鉄道車両の速度測定装置は、鉄道車両が走行する軌道側に設けられ、前記鉄道車両の前後方向に沿って異なる2以上の位置に分散するように前記鉄道車両に設けられた複数のRFIDタグからのタグ情報を読取るRFIDリーダと、前記RFIDリーダが前記複数のRFIDタグのそれぞれの前記タグ情報を読取った時間の差と、前記鉄道車両における前記複数のRFIDタグ間の距離とに基づいて、前記鉄道車両の速度を演算する速度演算部と、を備える。この場合、RFIDリーダが鉄道車両に設けられた複数のRFIDタグのそれぞれのタグ情報を読取った時間の差と、鉄道車両における複数のRFIDタグの距離とに基づいて、鉄道車両の速度を演算する。このため、軌道側において、RFIDリーダの設置数を少なくできる。これにより、鉄道車両に設けられた複数のRFIDタグを利用し、軌道側の設備コストを低く抑えつつ鉄道車両の速度を測定できる。
第13の態様は、第12の態様に係る鉄道車両の速度測定装置であって、前記速度演算部は、前記鉄道車両における前記複数のRFIDタグの位置情報に基づいて前記鉄道車両における前記複数のRFIDタグ間の距離を演算する、鉄道車両の速度測定装置である。これにより、鉄道車両における複数のRFIDタグの位置情報に基づいて、複数のRFIDタグ間の距離を容易に演算できる。
第14の態様は、第12又は第13の態様に係る鉄道車両の速度測定装置であって、前記速度演算部は、前記鉄道車両に設けられた3つ以上の前記RFIDタグの複数の組合せに対して、前記鉄道車両の速度を演算する、鉄道車両の速度測定装置である。これにより、演算された複数の速度に基づき、鉄道車両の速度変化を求めることが可能となる。あるいは、演算された複数の速度に基づき、精度のよい速度を求めることが可能となる。
第15の態様は、第14の態様に係る鉄道車両の速度測定装置であって、前記速度演算部は、前記3つ以上のRFIDタグの複数の組合せに対して求められた前記鉄道車両の速度の平均速度を演算する、鉄道車両の速度測定装置である。これにより、RFIDリーダがRFIDタグを検出する位置はばらつく恐れがある。平均速度を、鉄道車両の速度とすることで、RFIDリーダに対するRFIDタグの検出位置のばらつきが打消され、当該鉄道車両の速度を精度よく求めることができる。
第16の態様は、第14又は第15の態様に係る鉄道車両の速度測定装置であって、前記RFIDリーダは、前記鉄道車両の前後方向に沿って異なる3以上の位置に分散するように前記鉄道車両に設けられている前記3つ以上のRFIDタグの前記タグ情報を読取る、鉄道車両の速度測定装置である。鉄道車両の前後方向において異なる位置で、鉄道車両の速度が複数求められる。特に、鉄道車両の速度の平均速度を演算した場合には、鉄道車両の前後方向におけるRFIDリーダに対するRFIDタグの検出位置のばらつきが打消される。
第17の態様は、第14から第16のいずれか1つの態様に係る鉄道車両の速度測定装置であって、前記速度演算部は、前記3つ以上のRFIDタグの複数の組合せに対して演算された前記鉄道車両の速度に基づき、前記鉄道車両の速度変化情報を出力するものである。これにより、鉄道車両の速度変化を測定することができる。
第18の態様に係る鉄道車両の速度測定方法は、(a)鉄道車両に設けられた複数のRFIDタグからのタグ情報を読取るステップと、(b)前記複数のRFIDタグのそれぞれの前記タグ情報を読取った時間の差と、前記鉄道車両における前記複数のRFIDタグ間の距離とに基づいて、前記鉄道車両の速度を演算するステップと、を備える。この場合、鉄道車両に設けられた複数のRFIDタグのそれぞれのタグ情報を読取った時間の差と、鉄道車両における複数のRFIDタグの距離とに基づいて、鉄道車両の速度を演算する。このため、軌道側において、RFIDタグを読取る装置を簡素化できる。これにより、鉄道車両に設けられた複数のRFIDタグを利用し、軌道側の設備コストを低く抑えつつ鉄道車両の速度を測定できる。
第19の態様は、第18の態様に係る鉄道車両の速度測定方法であって、前記ステップ(b)において、前記鉄道車両に設けられた3つ以上の前記RFIDタグの複数の組合せに対して、前記鉄道車両の速度を演算する。これにより、演算された複数の速度に基づき、鉄道車両の速度変化を求めることが可能となる。あるいは、演算された複数の速度に基づき、精度のよい速度を求めることが可能となる。
第20の態様が、第19の態様に係る鉄道車両の速度測定方法であって、前記ステップ(b)において、前記3つ以上のRFIDタグの複数の組合せに対して求められた前記鉄道車両の速度の平均速度を演算する。RFIDタグを検出する位置はばらつく恐れがある。平均速度を、鉄道車両の速度とすることで、RFIDタグの検出位置のばらつきが打消され、当該鉄道車両の速度を精度よく求めることができる。