JP7392659B2 - 封止組成物及び半導体装置 - Google Patents
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Description
一方で、半導体パッケージに使用される部材には、温度サイクルテストに対する耐久性も求められる。
例えば無機充填材を高充填させると、封止材の高熱伝導化が可能になるものの、弾性率が高くなることで温度サイクルテストに対する耐久性が低下する場合があり、封止材の高熱伝導化と低弾性率化とはトレードオフの関係にある。そのため、高熱伝導化と低弾性率化とを両立することが難しい場合がある。
<1>
エポキシ基当量が300g/eq以上であり、多官能フェノール樹脂硬化剤及びリン系硬化促進剤を用いて硬化させたときのガラス転移温度が40℃以下である第1のエポキシ樹脂と、
硬化剤と、
無機充填材と、
を含有する封止組成物。
<2>
前記無機充填材の含有率は、封止組成物全体に対して78体積%以上である<1>に記載の封止組成物。
<3>
融点又は軟化点が50℃以上である第2のエポキシ樹脂をさらに含有する<1>又は<2>に記載の封止組成物。
<4>
前記第1のエポキシ樹脂の含有率は、封止組成物に含有されるエポキシ樹脂の総量に対して20質量%以上である<1>~<3>のいずれか1つに記載の封止組成物。
<5>
前記第1のエポキシ樹脂の含有率は、封止組成物に含有されるエポキシ樹脂の総量に対して50質量%以下である<1>~<4>のいずれか1つに記載の封止組成物。
<6>
前記第1のエポキシ樹脂は、分子内に2つのエポキシ基を有する<1>~<5>のいずれか1つに記載の封止組成物。
<7>
前記第1のエポキシ樹脂は、分子内に下記構造式(1)で表される2価の連結基を有する<1>~<6>のいずれか1つに記載の封止組成物。
<8>
半導体素子と、前記半導体素子を封止してなる<1>~<7>のいずれか1つに記載の封止組成物の硬化物と、を含む半導体装置。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本開示の封止組成物は、エポキシ基当量が300g/eq以上であり、多官能フェノール樹脂硬化剤及びリン系硬化促進剤を用いて硬化させたときのガラス転移温度が40℃以下である第1のエポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、を含有する。
本開示の封止組成物は、上記第1のエポキシ樹脂を含有するため、高い熱伝導性を得つつ、室温(すなわち25℃)における弾性率(以下「室温弾性率」ともいう)及び高温(すなわち260℃)における弾性率(以下「高温弾性率」ともいう)の低い硬化物が得られる。
ここで、「多官能フェノール樹脂硬化剤」は1分子中に官能基(すなわち水酸基)を3以上有するフェノール樹脂である硬化剤であり、「リン系硬化促進剤」はリン原子を有する硬化促進剤である。
まず、測定対象であるエポキシ樹脂と、多官能フェノール樹脂硬化剤であるトリフェニルメタン型フェノール樹脂と、リン系硬化促進剤である有機ホスフィン化合物のキノン付加物と、を混合した混合物を175℃で6時間加熱することで、測定用硬化物を得る。なお、多官能フェノール樹脂硬化剤は、測定対象であるエポキシ樹脂のエポキシ基の数(すなわち総数)とフェノール樹脂の水酸基の数(すなわち総数)とが同程度になるように添加する。また、リン系硬化促進剤は、エポキシ樹脂と多官能フェノール樹脂硬化剤との合計100質量部に対しリン系硬化促進剤の含有量が3質量部~6質量部になるように添加する。
次に、得られた測定用硬化物を切断して10mgをはかり取り、DSC(Differential scanning calorimetry、示差走査熱量計)測定を行う。具体的には、示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社、品名「DSC Q100」)を用いて昇温速度10℃/分の条件にて測定し、得られたチャートの変曲点前後における接線の交点をガラス転移温度とする。
また、リン系硬化促進剤である上記有機ホスフィン化合物のキノン付加物としては、例えばトリブチルホスフィンとベンゾキノンの付加物を用いることができる。なお、本開示の封止組成物が硬化促進剤を含有する場合、封止組成物に含有される硬化促進剤の種類及び添加量は、それぞれ、上記測定用硬化物を得るために用いる硬化促進剤の種類及び添加量と同じであってもよく、異なっていてもよい。
以下、「多官能フェノール樹脂硬化剤及びリン系硬化促進剤を用いて硬化させたときのガラス転移温度」を、「硬化後ガラス転移温度」と称する場合がある。
エポキシ樹脂としては、一般的に、フェノール化合物(フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等)及びナフトール化合物(α-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等)からなる群より選択される少なくとも1種と、アルデヒド化合物(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等)と、を酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したもの(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等);ビスフェノール(ビスフェノールA、ビスフェノールAD、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)及びビフェノール(アルキル置換又は非置換のビフェノール等)からなる群より選択される少なくとも1種のジグリシジルエーテル;フェノール・アラルキル樹脂のエポキシ化物;フェノール化合物とジシクロペンタジエン及びテルペン化合物からなる群より選択される少なくとも1種との付加物又は重付加物のエポキシ化物;多塩基酸(フタル酸、ダイマー酸等)とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ポリアミン(ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等)とエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酸(過酢酸等)で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;脂環族エポキシ樹脂;などが挙げられる。エポキシ樹脂は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
本開示の封止組成物は、必要に応じて、第1のエポキシ樹脂及び第2のエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂(以下「その他のエポキシ樹脂」ともいう)を含有してもよい。ただし、第1のエポキシ樹脂及び必要に応じて含有される第2のエポキシ樹脂の合計含有率は、封止組成物に含まれる全エポキシ樹脂の総量に対し、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、98質量%以上であることがさらに好ましい。
第1のエポキシ樹脂は、エポキシ基当量が300g/eq以上であり、かつ、硬化後ガラス転移温度が40℃以下であるエポキシ樹脂であれば特に限定されるものではない。
第1のエポキシ樹脂におけるエポキシ基当量は、300g/eq以上であり、高温弾性率を低減させる観点から350g/eq以上であることが好ましく、400g/eq以上であることがより好ましい。また、第1のエポキシ樹脂におけるエポキシ基当量は、熱時硬度の担保の観点から、600g/eq以下であることが好ましく、570g/eq以下であることがより好ましく、540g/eq以下であることがさらに好ましい。第1のエポキシ樹脂におけるエポキシ基当量は、高温弾性率の低減と熱時硬度の担保を両立する観点から、300g/eq~600g/eqであることが好ましく、350g/eq~570g/eqであることがより好ましく、400g/eq~540g/eqであることがさらに好ましい。
なお、上記エポキシ基は、グリシジル基、グリシジルオキシ基、グリシジルオキシカルボニル基、及びエポキシシクロアルキル基(エポキシシクロペンチル基、エポキシシクロヘキシル基、エポキシシクロオクチル基等)からなる群より選択される少なくとも一種の一部として、第1のエポキシ樹脂の分子中に含まれていてもよい。
なお、下記構造式(1)中、*は結合部を示す。
ここで、ゴム弾性骨格は、エポキシ樹脂にゴム弾性を付与する部分構造であり、ゴム弾性骨格の具体例としては、アルキレンオキシ基等が挙げられる。
また、柔軟骨格は、エポキシ樹脂の柔軟性を付与する部分構造であり、柔軟骨格の具体例としては、アルキレンオキシ基、長鎖アルキル基、シロキサン骨格等が挙げられる。
芳香環を含む骨格としては、ベンゼン環骨格、ナフタレン骨格のほか、ビフェニル骨格、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールAD骨格、ビスフェノールS骨格等が挙げられる。
また、封止組成物全体に対する第1のエポキシ樹脂の含有率は、0.2質量%~3質量%であることが好ましく、0.4質量%~1.5質量%であることがより好ましく、0.6質量%~1.1質量%であることがさらに好ましい。
第2のエポキシ樹脂は、第1のエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂であり、かつ、融点又は軟化点が50℃以上であるエポキシ樹脂であれば特に限定されるものではない。
ここで、エポキシ樹脂の融点は示差走査熱量測定(DSC)で測定される値とし、エポキシ樹脂の軟化点はJIS K 7234:1986に準じた方法(環球法)で測定される値とする。
なお、第2のエポキシ樹脂における融点又は軟化点は、封止組成物の成形性の観点から、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、70℃以上であることがさらに好ましい。また、第2のエポキシ樹脂における融点又は軟化点は、製造時の混練性の観点から、150℃以下であることが好ましく、130℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることがさらに好ましい。第2のエポキシ樹脂における融点又は軟化点は、封止組成物の成形性と製造時の混練性の観点から、50℃~150℃であることが好ましく、60℃~130℃であることがより好ましく、70℃~120℃であることがさらに好ましい。
また、第2のエポキシ樹脂における硬化後ガラス転移温度は、特に限定されるものではなく、40℃より高いことが好ましく、成形性と室温弾性率低減の両立の観点から、80℃~200℃であることがより好ましく、120℃~180℃であることがさらに好ましい。
なお、上記エポキシ基は、グリシジル基、グリシジルオキシ基、グリシジルオキシカルボニル基、及びエポキシシクロアルキル基(エポキシシクロペンチル基、エポキシシクロヘキシル基、エポキシシクロオクチル基等)からなる群より選択される少なくとも一種の一部として、第1のエポキシ樹脂の分子中に含まれていてもよい。
なお、下記一般式(2)中、*は結合部を示し、R1~R8は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~12のアルキル基、又は炭素数4~18の芳香族基を示す。
また、前記一般式(2)中、R5~R8は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましく、水素原子がさらに好ましい。
また、封止組成物全体に対する第2のエポキシ樹脂の含有率は、1質量%~5質量%であることが好ましく、1.5質量%~4質量%であることがより好ましく、1.7質量%~3質量%であることがさらに好ましい。
無機充填材を除く封止組成物に占める全エポキシ樹脂の含有率は、40質量%~70質量%であることが好ましく、45質量%~64質量%であることがより好ましく、48質量%~55質量%であることがさらに好ましい。
封止組成物は、硬化剤を含有する。硬化剤の種類は特に限定されず、公知の硬化剤を使用することができる。
硬化剤としては、フェノール硬化剤、アミン硬化剤、酸無水物硬化剤、ポリメルカプタン硬化剤、ポリアミノアミド硬化剤、イソシアネート硬化剤、ブロックイソシアネート硬化剤等が挙げられる。硬化剤は、流動性を維持しつつ耐リフロー性に優れる封止組成物を得る観点から、フェノール硬化剤、アミン硬化剤、及び酸無水物硬化剤が好ましく、フェノール硬化剤がより好ましい。硬化剤は1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
一般式(3)中のb1~b5は、0~1の整数であることが好ましく、0であることがより好ましい
一般式(3)中のnは、1~7であることが好ましく、2~5であることがより好ましい。
硬化剤の融点又は軟化点は、エポキシ樹脂の融点又は軟化点と同様にして測定される値とする。
無機充填材は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
無機充填材を2種類以上併用する場合としては、成分、平均粒子径、形状等が異なる無機充填材を2種類以上用いる場合が挙げられる。
無機充填材の形状は特に制限されず、粉状、球状、繊維状等が挙げられる。封止組成物の成形時の流動性及び金型摩耗性の点からは、無機充填材の形状は球状であることが好ましい。
アルミナと併用可能なその他の無機充填材としては、球状シリカ、結晶シリカ等のシリカ、ジルコン、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、炭化珪素、窒化珪素、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニアなどが挙げられる。さらに、難燃効果のある無機充填材としては水酸化アルミニウム、硼酸亜鉛等が挙げられる。
無機充填材としてアルミナとシリカとが併用される場合、無機充填材に占めるアルミナの含有率は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、85質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることが特に好ましい。また、無機充填材に占めるアルミナの含有率は、99.6質量%以下であってもよい。
また、無機充填材の含有率は、高熱伝導性の観点から、封止組成物の全体に対して78体積%以上であることが好ましく、80体積%以上であることがより好ましい。無機充填材の含有率は、封止組成物の成形性及び流動性の観点から、封止組成物の全体に対して95体積%以下であることが好ましく、90体積%以下であることがより好ましく、85体積%以下であることがさらに好ましい。無機充填材の含有率は、高熱伝導性と封止組成物の成形性及び流動性とを両立する観点から、78体積%~90体積%が好ましく、78体積%~85体積%がより好ましく、80体積%~85体積%がさらに好ましい。
封止組成物の硬化物の熱伝導率は、無機充填材の平均粒子径が大きくなる程、高くなる傾向にある。
無機充填材の平均粒子径は、以下の方法により測定することができる。
封止組成物の流動性は、無機充填材の比表面積が小さくなる程、高くなる傾向にある。
本開示において、無機充填材の比表面積は、無機充填材として例えばアルミナが単独で用いられている場合にはアルミナの比表面積を、無機充填材としてアルミナとその他の無機充填材とが併用されている場合には無機充填材の混合物の比表面積をいう。
無機充填材の比表面積(BET比表面積)は、JIS Z 8830:2013に準じて窒素吸着能から測定することができる。評価装置としては、QUANTACHROME社:AUTOSORB-1(商品名)を用いることができる。BET比表面積の測定を行う際には、試料表面及び構造中に吸着している水分がガス吸着能に影響を及ぼすと考えられることから、まず、加熱による水分除去の前処理を行うことが好ましい。
前処理では、0.05gの測定試料を投入した測定用セルを、真空ポンプで10Pa以下に減圧した後、110℃で加熱し、3時間以上保持した後、減圧した状態を保ったまま常温(25℃)まで自然冷却する。この前処理を行った後、評価温度を77Kとし、評価圧力範囲を相対圧(飽和蒸気圧に対する平衡圧力)にて1未満として測定する。
(硬化促進剤)
封止組成物は、硬化促進剤をさらに含有してもよい。硬化促進剤の種類は特に制限されず、公知の硬化促進剤を使用することができる。
硬化促進剤としては、具体的には、1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、1,5-ジアザ-ビシクロ[4.3.0]ノネン、5,6-ジブチルアミノ-1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7等のシクロアミジン化合物;シクロアミジン化合物に無水マレイン酸、1,4-ベンゾキノン、2,5-トルキノン、1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルベンゾキノン、2,6-ジメチルベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-5-メチル-1,4-ベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-1,4-ベンゾキノン、フェニル-1,4-ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂などのπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン化合物;3級アミン化合物の誘導体;2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物;イミダゾール化合物の誘導体;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4-メチルフェニル)ホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン化合物;有機ホスフィン化合物に無水マレイン酸、上記キノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有するリン化合物;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート、2-エチル-4-メチルイミダゾールテトラフェニルボレート、N-メチルモルホリンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩;テトラフェニルボロン塩の誘導体;トリフェニルホスホニウム-トリフェニルボラン、N-メチルモルホリンテトラフェニルホスホニウム-テトラフェニルボレート等のホスフィン化合物とテトラフェニルボロン塩との付加物;などが挙げられる。硬化促進剤は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
封止組成物は、イオントラップ剤をさらに含有してもよい。
本開示において使用可能なイオントラップ剤は、半導体装置の製造用途に用いられる封止材において、一般的に使用されているイオントラップ剤であれば特に制限されるものではない。イオントラップ剤としては、下記一般式(4)又は下記一般式(5)で表される化合物等が挙げられる。
(一般式(4)中、aは0<a≦0.5であり、uは正数である。)
BiOb(OH)c(NO3)d (5)
(一般式(5)中、bは0.9≦b≦1.1、cは0.6≦c≦0.8、dは0.2≦d≦0.4である。)
イオントラップ剤は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
封止組成物は、カップリング剤をさらに含有してもよい。カップリング剤の種類は、特に制限されず、公知のカップリング剤を使用することができる。カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。カップリング剤は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
なお、封止組成物は、上記カップリング剤として、炭素数6以上の鎖状炭化水素基がケイ素原子に結合した構造を有するシラン化合物(以下「特定シラン化合物」ともいう)を含有してもよい。
上記鎖状炭化水素基は、分岐していてもよく、置換基を有していてもよい。なお、本開示において、鎖状炭化水素基の炭素数とは、分岐又は置換基の炭素を含まない炭素数を意味する。鎖状炭化水素基は、不飽和結合を含んでいても含んでいなくてもよく、不飽和結合を含まないことが好ましい。
また、カップリング剤の含有率は、無機充填材100質量部に対して、0.01質量部以上であってもよく、0.02質量部以上であってもよい。カップリング剤の含有量は無機充填材100質量部に対して5質量部以下であることが好ましく、2.5質量部以下であることがより好ましい。カップリング剤の含有量は、流動性とパッケージの成形性とを両立する観点から、無機充填材100質量部に対して0.05質量部~2.0質量部が好ましく、0.1質量部~1.5質量部がより好ましく、0.2質量部~1.0質量部がさらに好ましい。
封止組成物は、離型剤をさらに含有してもよい。離型剤の種類は特に制限されず、公知の離型剤を使用することができる。具体的には、離型剤としては、高級脂肪酸、カルナバワックス、モンタンワックス、ポリエチレン系ワックス等が挙げられる。離型剤は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
封止組成物が離型剤を含有する場合、離型剤の含有率は、エポキシ樹脂と硬化剤の合計量に対して、10質量%以下であることが好ましく、その効果を発揮させる観点からは、0.5質量%以上であることが好ましい。
封止組成物は、着色剤(カーボンブラック等)を含有してもよい。また、封止組成物は、改質剤(シリコーン、シリコーンゴム等)を含有してもよい。着色剤及び改質剤は、それぞれ、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
封止組成物が導電性粒子を含有する場合、導電性粒子の含有率は、エポキシ樹脂と硬化剤の合計量に対して3質量%以下であることが好ましい。
封止組成物は、必要に応じて、さらにその他添加剤を含んでもよい。
その他添加剤としては、難燃剤、陰イオン交換体、可塑剤等が挙げられる。また、組成物には、必要に応じて当技術分野で周知の各種添加剤を添加してもよい。
封止組成物の作製方法は特に制限されず、公知の方法により行うことができる。例えば、所定の配合量の原材料の混合物をミキサー等によって充分混合した後、熱ロール、押出機等によって混練し、冷却、粉砕等の処理を経ることによって封止組成物を作製することができる。封止組成物の状態は特に制限されず、粉末状、固体状、液体状等であってよい。
本開示の半導体装置は、半導体素子と、前記半導体素子を封止してなる本開示の封止組成物の硬化物と、を含む。
下記に示す成分を表1に示す配合割合(質量部)で予備混合(ドライブレンド)した後、二軸ニーダーで混練し、冷却粉砕して粉末状の封止組成物を製造した。
なお、表1に示す成分の詳細は以下の通りである。
エポキシ樹脂A1-1:第1のエポキシ樹脂、三菱ケミカル株式会社、エポキシ基当量「440g/eq」、硬化後ガラス転移温度「-57℃」、分子内に2つのエポキシ基、ゴム弾性骨格、及び前記構造式(1)で表される2価の連結基を有するエポキシ樹脂
エポキシ樹脂A1-2:第1のエポキシ樹脂、三菱ケミカル株式会社、エポキシ基当量「489g/eq」、硬化後ガラス転移温度「31℃」、分子内に2つのエポキシ基、柔軟骨格、芳香環を含む骨格、及び前記構造式(1)で表される2価の連結基を有するエポキシ樹脂
エポキシ樹脂A1-3:第1のエポキシ樹脂、三菱ケミカル株式会社、エポキシ基当量「501g/eq」、硬化後ガラス転移温度「19℃」、分子内に2つのエポキシ基を有するエポキシ樹脂
エポキシ樹脂A2:第2のエポキシ樹脂、三菱ケミカル株式会社、品名「YX4000H」、エポキシ基当量「192g/eq」、硬化後ガラス転移温度「150℃」、軟化点「107℃」、ビフェニル型エポキシ樹脂
なお、測定用硬化物の作製において、多官能フェノール樹脂硬化剤は、測定対象であるエポキシ樹脂のエポキシ基の数(すなわち総数)とフェノール樹脂の水酸基の数(すなわち総数)とが同程度になるように添加し、リン系硬化促進剤は、エポキシ樹脂と多官能フェノール樹脂硬化剤との合計100質量部に対しリン系硬化促進剤の含有量が3質量部~6質量部になるように添加した。
また、ガラス転移温度の測定は、得られた測定用硬化物を切断して、10mgをはかり取り、示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社、品名「DSC Q100」)を用いて昇温速度10℃/分の条件にて測定を行い、得られたチャートの変曲点前後における接線の交点をガラス転移温度とした。
硬化剤B1:トリフェニルメタン型フェノール樹脂、エア・ウォーター株式会社、品名「HE910-09」、水酸基当量「92~104g/eq」、軟化点「75~85℃」
硬化促進剤C1:リン系硬化促進剤(トリブチルホスフィンとベンゾキノンの付加物)
(D)カップリング剤
カップリング剤D1:8-メタクリロキシオクチルトリメトキシシラン、信越化学工業株式会社、品名「KBM-5803」
(E)離型剤
離型剤E1:モンタンワックス、クラリアント社、品名「HW-E」
(F)着色剤
顔料F1:カーボンブラック、三菱ケミカル株式会社、商品名「MA600」
(G)添加剤
添加剤G1:トリフェニルホスフィンオキシド
(H)改質剤
改質剤H1:シリコーン、東レ・ダウコーニング株式会社、品名「BY16-876」
フィラI1:シリカ粒子、球状、比表面積「190m2/g~230m2/g」
フィラI2:アルミナ粒子、球状、平均粒子径「0.7μm」
フィラI3:アルミナ粒子、球状、平均粒子径「10μm」
実施例及び比較例で作製した封止組成物の特性を、次の特性試験により評価した。評価結果を下記表1に示す。
上記で得られた封止組成物を用いて、トランスファ成形機により、金型温度175℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒で成形し、直径50mm×厚み3mmの円板形状である試験片を作製した。成形後直ちにショアD型硬度計(高分子計器株式会社、アスカー、タイプDデュロメータ)を用いて硬化物の熱時硬度を測定した。
上記で得られた封止組成物を用いて、トランスファ成形機により、金型温度175℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件で、127mm×12.7mm×4mmの形状の試験片を作製した。その後、後硬化を175℃で6時間の条件で行った。評価装置として、テンシロン(A&D社)を用い、JIS-K-7171(2016)に準拠した3点支持型曲げ試験を、25℃及び260℃においてそれぞれ行い、試験片の曲げ弾性率を求めた。
なお、曲げ弾性率Eは下記式にて定義され、25℃における測定によって得られた曲げ弾性率を「室温弾性率」、260℃における測定によって得られた曲げ弾性率を「高温弾性率」とする。
下記式中、Eは曲げ弾性率(MPa)、Pはロードセルの値(N)、yは変位量(mm)、lはスパン=64mm、wは試験片幅=12.7mm、hは試験片厚さ=4mmである。
上記で得られた封止組成物を用いてトランスファ成形機により、金型温度175℃~180℃、成形圧力7MPa、硬化時間300秒の条件で熱伝導率評価用の試験片を作製した。次いで、成形した試験片について、厚さ方向の熱拡散率を測定した。熱拡散率の測定はレーザーフラッシュ法(装置:LFA467 nanoflash、NETZSCH社)にて行った。パルス光照射は、パルス幅0.31(ms)、印加電圧247Vの条件で行った。測定は雰囲気温度25℃±1℃で行った。また上記試験片の密度は電子比重計(AUX220、株式会社島津製作所)を用いて測定した。比熱は、各材料の比熱の文献値と配合比率より算出した封止組成物の理論比熱を用いた。
次いで、式(6)を用いて比熱及び密度を熱拡散率に乗算することによって,熱伝導率の値を得た。
λ=α×Cp×ρ・・・式(6)
(式(6)中、λは熱伝導率(W/(m・K))、αは熱拡散率(m2/s)、Cpは比熱(J/(kg・K))、ρは密度(kg/m3)をそれぞれ示す。)
結果を表1に示す。
表1の評価結果から明らかなように、第1のエポキシ樹脂を含有する実施例1~5の封止組成物は、第1のエポキシ樹脂を含有しない比較例1の封止組成物に比較して、室温弾性率及び高温弾性率の低い硬化物が得られている。また、実施例1~5の封止組成物の硬化物の熱伝導率は、比較例1の封止組成物の硬化物の熱伝導率と同等又はそれよりも高い値となっている。また、実施例1~5の封止組成物は、比較例1の封止組成物に比較して、室温弾性率及び高温弾性率を低減しつつ、熱時硬度が維持されている。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に取り込まれる。
Claims (6)
- エポキシ基当量が300g/eq以上であり、多官能フェノール樹脂硬化剤及びリン系硬化促進剤を用いて硬化させたときのガラス転移温度が40℃以下である第1のエポキシ樹脂と、
前記第1のエポキシ樹脂以外の樹脂であり融点又は軟化点が50℃以上である第2のエポキシ樹脂と、
硬化剤と、
無機充填材と、
を含有し、
前記第1のエポキシ樹脂の含有率は、封止組成物に含有されるエポキシ樹脂の総量に対して10質量%以上であり、
前記無機充填材の含有率は、前記封止組成物全体に対して78体積%以上である、封止組成物。 - 前記第1のエポキシ樹脂の含有率は、封止組成物に含有されるエポキシ樹脂の総量に対して20質量%以上である請求項1に記載の封止組成物。
- 前記第1のエポキシ樹脂の含有率は、封止組成物に含有されるエポキシ樹脂の総量に対して50質量%以下である請求項1又は請求項2に記載の封止組成物。
- 前記第1のエポキシ樹脂は、分子内に2つのエポキシ基を有する請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の封止組成物。
- 前記第1のエポキシ樹脂は、分子内に下記構造式(1)で表される2価の連結基を有する請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の封止組成物。
(上記構造式(1)中、*は結合部を示す。) - 半導体素子と、前記半導体素子を封止してなる請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の封止組成物の硬化物と、を含む半導体装置。
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