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JP7399442B2 - 変動的慣性力付与装置及び変動的慣性力付与プログラム。 - Google Patents
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JP7399442B2 - 変動的慣性力付与装置及び変動的慣性力付与プログラム。 - Google Patents

変動的慣性力付与装置及び変動的慣性力付与プログラム。 Download PDF

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本発明は、流動体に変動的な慣性力を付与する変動的慣性力付与装置及び変動的慣性力付与プログラムに関する。
従来、流動体を用いて製品等を製造する場合に、品質や外観上の観点から流動体中に含まれる気泡の処理が必要となる場合があった。例えば、流動体を固化させる際に、流動体中に気泡が存在すると、固化体の内部や表面に空洞や窪みが生じ、その解消のための処理には手間やコストがかかっていた。
このような問題に関して、例えば、特許文献1には、電動機を連結又は内蔵する振動体と、鋤板と、この振動体と鋤板を連結する連結部とを有するコンクリートの気泡低減振動機が開示され、この気泡低減振動機を未硬化のコンクリートの型枠近傍に挿入し、振動させることでコンクリートの気泡を低減する方法が記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載されているような振動機では、コンクリートの粘性やセメントペーストと細骨材や粗骨材といった性状や形状或いは大小、比重が様々な混合形態による振動の散乱や乱反射による減衰等から振動が全体に行き渡らず、局所的にしか振動を与えることができないという問題があった。また、振動機を型枠近傍に挿入する作業には、労力や費用が過大に生じる。更に、そもそもとして、与えている振動条件では、被振体の消泡条件に合っておらず消泡することが出来ないという問題が有った。
また、特許文献2には、コンクリート成型品型枠を載置する型枠載置テーブルを形鋼等の枠組みによって構成し、同じく形鋼等の枠組みによって基台を構成し、この基台上に型枠載置テーブルをゴム等の緩衝部材を介在させて取り付け、型枠載置テーブルにコンクリート成型品型枠を載置固定する型枠固定装置を設け、この型枠固定装置から離れた型枠載置テーブルの部位に振動モータを装着してあるセメントコンクリート製品の成型用テーブルバイブレータが記載されている。
しかしながら、特許文献2に記載されているテーブルバイブレータは、消泡条件に適合しない単なる固定化された所定の振動しか与えることしかできず、コンクリート表面及び/又はコンクリート内部の気泡、所謂エントラップトエアを微細化させたり、消失させたり出来るものではなく、外観上消失できるまで微細化することはできないという問題があった。即ち、与えている振動条件では、被振体の消泡条件に合っておらず消泡することが出来ないという問題が有った。
また、特許文献3には、各種塗工機や印刷機で使用される、塗工材料やインキ等に含まれる気泡を除去するために用いられる脱泡装置であって、脱泡処理槽と該脱泡処理槽に接続された超音波振動子を備えた脱泡装置が記載されている。
しかしながら、音波、特に超音波を用いて消泡する技術にあっては、流動体が粘性流動体或いは比重や硬さ大きさや形状の異なる複数の物体を含有して成る混成流動体であって体積が十分に大きい場合、音波を入力している付近では予め設定した条件の波動を印加できるものの、音波入力源から離れるとこれに伴って音波が著しく減衰し、減衰波が設定条件から外れてしまい、不均一で、全体に満遍なく行き渡らず、結果として許容程度まで消泡し切れないという問題が有った。
特開2006-16868号公報 特開平5-318422号公報 特開2010-167386号公報
本発明は、このような従来の事情に鑑みて本発明者の鋭意研究により成されたものであり、流動体の表面及び内部の気泡を微細化し、美観が良く、高品質の製品を低コストで効率良く製造することを目的とする。
本発明の変動的慣性力付与装置は、気泡及び/又は空隙を含有する流動体を収容した容器を設置、固定するための設置台と、上記設置台に設置された上記容器内の上記流動体全体に対し、一様に変動的慣性力を付与する慣性力付与手段と、を有する変動的慣性力付与装置であって、上記慣性力付与手段は、地球の重力加速度の2倍(2G)以上の加速度による慣性力を付与することを特徴とする。
また、本発明の変動的慣性力付与装置は、慣性力付与手段によって流動体全体に付与する慣性力を規定する変動幅、単位時間当たりの変動数、加速度の何れか一つを一定に保ちながら、他を変化させる制御手段及び/又は駆動手段を有することを特徴とする。
また、本発明の変動的慣性力付与装置は、前記容器内の流動体の気泡の大きさ及び/又は流動体に付与されている加速度を検出する検出手段を有し、前記制御手段及び/又は駆動手段は、上記検出手段によって検出したの上記気泡の大きさ及び/又は上記加速度が所定状態であるとき、変動数、単位時間当たりの変動幅、加速度の何れか一つ以上を変化させることを特徴とする。
また、本発明の変動的慣性力付与装置は、慣性力付与手段による慣性力の付与開始時を起点に慣性力情報を計るカウンタを有し、制御手段及び/又は駆動手段は、カウンタによる慣性力情報が閾値を超えたとき、変動数、変動幅、加速度の何れか一つ以上を変化させることを特徴とする。
また、本発明の変動的慣性力付与装置は、慣性力情報が慣性力付与手段によって変動的慣性力を設置台に付与している時間及び/又は変動回数であることを特徴とする。
また、本発明の変動的慣性力付与装置は、慣性力付与手段が設置台を所定方向に往復動するように変動させる変動部であって、変動部に対して容器を着脱可能に固定できる固定手段を具え、固定手段は、容器を所定範囲内に固定するための立設部と、所定範囲内に配置された容器を変動方向に押圧しながら保持可能な保持部と、を有することを特徴とする。
また、本発明の変動的慣性力付与装置は、変動方向が鉛直方向又は水平方向であることを特徴とする。
また、本発明の変動的慣性力付与装置は、気泡を含有する流動体を収容した容器を設置する設置台と、設置台を所定方向に往復動させ、容器内の上記流動体に対し一様に変動的慣性力を付与する変動力付与手段としての変動部と、変動部に対して容器を着脱可能に固定できる固定手段と、を具え、固定手段は、容器を所定範囲内に固定するための立設部と、所定範囲内に配置された容器を変動方向に押圧しながら保持可能な保持部と、を有することを特徴とする。
また、本発明の変動的慣性力付与装置は、容器に収容された、気泡及び/又は空隙を含有する流動体に、一様に変動的慣性力を付与する慣性力有する変動的慣性力付与装置であって、上記慣性力付与手段は、地球の重力加速度の2倍(2G)以上の加速度による慣性力を付与することを特徴とする。
また、本発明の変動的慣性力付与プログラムは、気泡及び/又は空隙を含有する流動体を収容した容器を設置、固定するための設置台を有する慣性力付与装置に、上記流動体に対して地球の重力加速度の2倍(2G)以上の慣性力を付与し得、該慣性力を規定する変動幅、単位時間当たりの変動数、加速度の何れか一つ以上を一定に保ち、上記容器内に収容した流動体全体に対して一様に変動的慣性力を付与する慣性力付与ステップを実行させることを特徴とする。
また、本発明の変動的慣性力付与プログラムは、慣性力付与ステップが流動体に付与する慣性力を規定する変動幅、単位時間当たりの変動数、加速度の何れか一つを一定に保ちながら、他を変化させることを特徴とする。
また、本発明の変動的慣性力付与プログラムは、前記容器内の流動体の気泡の大きさ及び/又は流動体に付与されている加速度を検出する検出ステップを更に実行させ、前記慣性力付与ステップは、検出された上記気泡の大きさ及び/又は上記加速度が所定状態であるとき、変動数、単位時間当たりの変動幅、加速度の何れか一つ以上を変化させることを特徴とする。
また、本発明の変動的慣性力付与プログラムは、慣性力の付与開始時を起点に慣性力情報を計るステップを更に実行させ、慣性力情報が閾値を超えたとき、変動数、単位時間当たりの変動幅、加速度の何れか一つ以上を変化させることを特徴とする。
また、本発明の変動的慣性力付与プログラムは、慣性力情報が変動的慣性力を前記設置台に付与している時間及び/又は変動回数であることを特徴とする。
また、本発明の変動的慣性力付与プログラムは、設置台を所定方向に往復動させることで、変動的慣性力を付与することを特徴とする。
本発明によれば、簡易な構造によって、流動体の表面及び内部の気泡や空隙を微細化し、美観が良く、高品質の製品を低コストで効率良く製造することができる。
本実施形態に係る流動体変動的慣性力付与装置を示す斜視図である。 本実施形態の治具の壁部を示す斜視図である。 本実施形態の治具の閉塞部を示す斜視図である。 収容容器を示す斜視図である。 変動的な慣性力を与える方向を説明するための概略図である。 気泡微細化の第一のメカニズムを模式的に表した概略図である。 気泡微細化の第二のメカニズムを模式的に表した概略図である。 気泡微細化の第三のメカニズムを模式的に表した概略図である。 実施例において条件を変えたときのコンクリートの気泡の状態を表した図である。 実施例において条件を変えたときのコンクリートの気泡の状態を表した図である。 実施例において条件を変えたときのコンクリートの気泡の状態を表した図である。 実施例において条件を変えたときのコンクリートの気泡の状態を表した図である。 実施例において条件を変えたときのコンクリートの気泡の状態を表した図である。 実施例の他の態様において条件を変えたときのコンクリートの気泡の状態を表した図である。 本実施形態に係る流動体変動的慣性力付与装置のシステム構成を示すブロック図である。 本実施形態に係る流動体変動的慣性力付与装置の加振処理を示すフローチャートである。 流動体変動的慣性力付与装置の加振処理の他の制御例を示すフローチャート 流動体変動的慣性力付与装置の治具の他の例を示す図である。 流動体変動的慣性力付与装置の治具の他の例を示す図である。
以下、本発明の変動的慣性力付与装置としての流動体変動的慣性力付与装置1について説明する。流動体変動的慣性力付与装置1は、流動体中の気泡を微細化及び/又は消泡するために流動体に変動的な慣性力を付与すべく、流動体を変動させるものである。図1は本実施形態に係る流動体変動的慣性力付与装置1を示す斜視図である。流動体変動的慣性力付与装置1は、流動体が収容される略直方体状の収容容器4(図4参照)が設置される設置台10、収容容器4を設置台10上に着脱可能に固定する治具12(固定手段)、設置台10を変動させる往復動アクチュエータ14等を有する。
図2は本実施形態の治具12の壁部16を示す斜視図、図3は本実施形態の治具12の閉塞部18を示す斜視図である。治具12は、収容容器の外周面を囲繞し得るように立設する壁面(立設部)により収容容器を所定範囲内に固定する機能と、収容容器を変動方向に押圧しながら保持し得る機能とを有するものである。
治具12は、設置台10の上面に立設された壁部16と、壁部16に接続される閉塞部18により構成される。治具12は、壁部16及び閉塞部18によって画定される範囲内に収容容器を固定する。また壁部16及び閉塞部18は、外部から治具12内を視認可能にするため、光透過性を有するアクリル、塩化ビニル等の合成樹脂の他、ガラス等の材料によって形成される。
壁部16は、図2に示すように、収容容器4の側面の内、三面を覆うように平面視略コ字型を有する。閉塞部18は、L字型に形成された板状部材であり、一端部から角部分までの側面部18aが設置台10に立設する向きに配置され壁部16の開放部分を塞ぐように壁部16に接続される。また閉塞部18は、他端部から角部分までの蓋部18bが壁部16の上端部に当接して壁部16の上方を閉塞する。
また、壁部16の内周面の対向する二面には、鉛直方向に延伸し、且つ側面部18aの側端部をスライド可能に挿嵌する凹状の溝16aが形成される。従って側面部18aの両側部をそれぞれ溝16aに挿嵌させ、閉塞部18を溝16aに沿って下端までスライドさせたとき、蓋部18bが壁部16に当接して閉塞部18と壁部16とが接続する。なお、溝16aは、側面部18aが圧入によってスライド可能に移動し得るように、幅狭で弾性を有する構成としてもよい。
往復動アクチュエータ14は、設置台10を鉛直方向に変動させる駆動源である。往復動アクチュエータ14は、上下の往復動ストロークで駆動ロッド14aを駆動する油圧シリンダを有する。勿論、往復動アクチュエータ14による往復動の方向は、鉛直方向に限定するものではなく、水平方向であってもよいことは言うまでもない。
なお、設置台10に対して配設する往復動アクチュエータ14の数は、単一に限らず複数であってもよく、往復動アクチュエータ14が有する駆動ロッド14aの数も単一に限らず複数であってもよい。また往復動アクチュエータ14は、油圧シリンダを用いるものに限られず、ソレノイドアクチュエータやリニアアクチュエータ等の他の種類のアクチュエータであってもよい。
図4は収容容器4を示す斜視図であり、収容容器4は、角筒状であって、光透過性を有して内部を視認可能に構成されたアクリル製の容器であり、治具12によって画定される収容範囲に収まる外形形状を有する。従って収容容器4は、治具12内で、外周面が壁部16及び閉塞部18の側面部18aにより囲繞され当接し得、上面が蓋部18bによって押圧されて固定される。
収容容器4は、コ字型の壁部16の開放された箇所に向かって水平方向に移動させることで、壁部16の内側に配置される。或いは収容容器4は、壁部16の上部開口側から鉛直方向下方に移動させることで、壁部16の内側に配置される。即ち壁部16によって囲まれる内側空間には、収容容器4を水平方向及び/又は鉛直方向に壁部16の面に沿って移動させて配置される。
治具12内に配置された収容容器4は、壁部16及び閉塞部18の側面部18aにより鉛直方向に直交する方向の移動が規制される。また収容容器4は、閉塞部18の蓋部18bにより鉛直方向の移動が規制される。従って収容容器4は、設置台10に対して略一体的に固定される。なお収容容器4の上面と蓋部18bとの直接接触を防止するために、蓋部18bと収容容器4との間にゴム等の弾性を有する弾性部材を介在させてもよい。その場合、蓋部18bに、或いは収容容器4の上面に弾性部材を直接設けてもよい。
なお、収容容器4は、角筒状に限定するものではなく、円筒状や、断面が楕円形状、長円形状、多角形状等の筒状であってもよい。また収容容器4及び治具12は、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル樹脂等の光透過性を有する他の樹脂材料や強化ガラス等によって構成してもよい。また強度等の観点から全面において内部が視認可能である必要はなく、少なくとも一部分で内部を視認し得るように、金属や他の樹脂を含んで形成してもよい。
また、治具12は、壁部16と閉塞部18とにより構成したが、これに限定するものではなく、例えば蝶番による開閉式の天板を有する箱型とし、天板を開いて内部に収容容器4を設置するようにしてもよい。この場合、天板を閉じたとき天板が収容容器4を押圧することで、従容容器4を天板と設置台10との間で挟んで保持する。
また、治具を複数のフレーム部材によって構成してもよい。その場合には少なくとも収容容器4の鉛直方向に直交する方向の移動を規制、及び鉛直方向の移動を規制し得るように、複数のフレーム部材を組み合わせる。治具を複数のフレーム部材で構成すれば、フレーム部材間から収容容器4の内部が視認可能となる。
なお、上述した流動体変動的慣性力付与装置1は、治具12を介して設置台10に収容容器4を固定したが、これに限定するものではなく、設置台10に収容容器4を直接固定してもよい。その場合は例えば収容容器4の底部に側面の外側方向に突出したフランジを形成し、また設置台10の上面から立ち上がる逆フック形状の係合部を形成する。そして少なくとも振動方向に沿った収容容器4の移動を規制し得るように、フランジと係合部とを係合させて、収容容器4を設置台10に直接固定する。勿論、固定方法はこれに限定するものではなく溶接や接着による方法であってもよく、適宜設定可能である。
次に、流動体全体に変動的な慣性力を付与した場合の流動体内部の気泡や空隙の微細化及び/又は消泡について説明する。流動体全体に変動的な慣性力を与えることにより、流動体内部及び表面に存在する気泡や空隙を外観上、及び品質上問題ない大きさにまで微細化及び/又は消泡することができる。被変動体である流動体に対して与える、変動的な慣性力としては、特に限定されるものではないが、流動体を不規則に或いはランダムに変位させ、変位の際の正の加速や負の加速(減速)、或いは、向きを変更する過程等において発生させ、流動体に作用させることが出来る。
流動体全体に対して変動的な慣性力を与える方法としては、流動体に対して規則的及び/又は変動的な慣性力を与えることでも実現することが可能であり、流動体の種類及び/又は微細化対象とする気泡の微細化前の大きさに応じて、規則的及び/又は変動的な慣性力の変動幅、単位時間当たりの反復数及び/又は変動数、繰り返し反復及び/又は変動させる時間又は変動回数等から選択される一つ以上の条件により反復的及び/又は変動的な慣性力を制御(或いは慣性力を規定)することを特徴とする。対象とする流動体全体に反復的及び/又は変動的な慣性力を与えることにより、流動体内部及び表面に存在する気泡を外観上、及び品質上問題ない大きさにまで微細化することができる。
流動体自体に慣性力を付与すること、特に繰り返し慣性力を付与することが重要なのであり、例えば、音源装置によって(超)音波を入射(照射)することが有効な訳ではない。音波の場合は、流動体を振動させる際、流動体自体が波動を伝搬する媒体となっているため、流動体を構成する物体の比重や粘性等の性状により、波動が減衰し、媒体が振動しなくなるので、結果として流動体も振動しないというメカニズムが生じてしまう。
また、流動体を構成するのが複数の物体である場合、それらの大きさの差や比重差、質量差等から音波の諸条件によって振動する物体としない物体とが出てしまい、流動体全体に亘って均等な作用を与えられず、流動体全体に亘って気泡を崩壊させる作用を印加できないという問題が有る。特に、被振体である流動体が、複数の多様な形状や質量、比重の固形物を含有する場合、それぞれの表面や境界面において、入力音波が散乱され、及び/又は粘性抵抗等によって減衰してしまい、流動体の体積全体に波動が行き渡らないという問題が有る。
これに対して、流動体の物理的及び/又は化学的属性及び/又は微細化対象とする気泡の物理的及び/又は化学的属性に応じて、変動的な慣性力の変動幅、単位時間当たりの変動数、繰り返し変動させる時間又は変動回数、加速度から選択される一つ以上の条件により変動的な慣性力を制御することにより、気泡を小細化又は消失させるのに適した慣性力を気泡周辺に加え、気泡自体に生じる慣性力との差から流動体の表面及び内部の気泡を微細化する。これにより、美観が良く、高品質の製品を効率良く製造することができる。勿論、流動体に印加する慣性力としては、必ずしも往復的なものでなければならないというものではなく、規則的な慣性力の他、不規則的なものであっても規則性と不規則性の中間的なものであってもよい。
変動的な慣性力を与える手段は、特に限定されないが、例えば、回転方向を繰り返し交番させる回転系における遠心力によって変動する慣性力を得るように構成されるものであってもよく、或いは、揺動や振動によることができる。ここでは振動により変動的な慣性力を与える場合について説明する。この場合、変動的な慣性力の変動幅は振幅に、単位時間当たりの変動数は振動数に、繰り返し変動させる時間は振動時間にそれぞれ相当する。
尚、流動体とは、内部に気泡が保持される程度の粘性を有する、液体、粉体や粒体若しくは粉粒体等を有する流動性を示す固体、又は液体と固体の混合物を言う。流動体は、例えば、シャーベット状、ゼリー状、ペースト状、ゲル状、スラリー状、粘性流体、複数の物体が混合されて成るものやこれらの混合物等である。複数の物体が混合されて成るものにおいては、複数の物体は、それぞれ性状、形状、大小、比重、硬度、存在比等が多様な形態で混合されて成るものであってもよく、或いは均整の取れたものであっても良い。また、ペースト状を成す流動体としては、液体と気体との混合系が粉体乃至顆粒状或いは顆粒状より大きな固形物等の形態の固体によって囲繞された形態を成す所謂ペンデュラー状、及び/又は、内部に気泡が存在して成る液体を粉体乃至顆粒状等の形態の固体が囲繞した形態を成す所謂フェニキュラー状、及び/又は、気泡を含有しない液体が粉体乃至顆粒状等の形態の固体に囲繞された形態を成す所謂キャピラリー状の要素体を含有して成る混成状態のもの、不規則状態のものであってもよい。気泡が内部に保持されてしまうような高粘性の流動体や混合物として成る流動体が好適である。
本実施形態においては、流動体が自身における反応により固化するものに対して適用することができる。気泡が含まれている状態で流動体を固化すると、固化体内部の気泡がそのまま空洞や窪みとして残存してしまうため、本実施形態に係る流動体変動的慣性力付与装置1を適用することにより、流動体中の気泡を外観上、及び品質上問題ない大きさにまで微細化することにより、固化された場合であっても、固化体内部に大きな空洞として残存したり、表面に窪みが生じることを解消することができる。尚、ここで品質とは、気泡の微細化後或いは消泡後の流動体若しくは固化体の性状を規定する強度や剛性、弾性、質量分布、稠密性、均質性等のうち、要求される特性であって、特に、要求される特性が要求水準を満たすように、気泡の微細化或いは消泡がなされることが好ましい。
流動体を固化させる場合、固化反応の開始直後に振動を与えることが好ましい。流動体の固化がある程度進んでしまうと、気泡が空洞として固定化されてしまい、その解消が困難となる。また、過剰に振動を与え過ぎた場合、例えば、流動体が比重の異なる複数の成分から構成されている場合には、各成分が分離する恐れがあるため好ましくない。
変動的な慣性力としての振動は、流動体の全体に対してほぼ均一に行き渡るように与えることが好ましい。均一に振動を与える方法としては、流動体を収容する収容容器4全体を振動させる方法が挙げられる。上述したような、特許文献1に記載の振動機では、局所的にしか振動を与えることができず、また、流動体が粘性体のような場合には、全体にまで振動を与えたり、揺動させることができず、十分に気泡を消失させることができないため、振動や揺動は対象とする流動体全体に対して均一に与えることが好ましい。
図5は、本実施形態に係る流動体変動的慣性力付与装置によって、変動的な慣性力を与える方向を説明するための概略図である。変動的な慣性力は、流動体20に対しての鉛直方向、即ち図5に示すz軸方向に対して与えることが好ましい。鉛直方向に対しては、重力がかかっているため、重力と同方向に対して変動的な慣性力を与えることにより、より効率的に気泡22を微細化して消失させることができる他、気泡を鉛直方向上方に移動させて外部に追いやることも可能である。また、数トン~数十トン規模の大量の流動体20に対して変動的な慣性力を与える場合にも、鉛直方向に対して変動的な慣性力を与える構成の方が、水平方向に対して変動的な慣性力を与える構成に比べて、地面を利用して反力を取ることが可能となって収容容器4の制御がより容易となる。但し、変動的な慣性力の方向は、鉛直方向に限るものではなく、図5のx軸方向又はy軸方向、或いはx軸とy軸を組み合わせた方向であってもよい。また慣性力は、鉛直方向に加えて、上記水平方向にも作用するものであってもよい。更に、鉛直方向及び/又は水平方向の変動的慣性力の印加に加えて、被加振体を鉛直面内回転、又は、水平面内回転をさせてもよい。この場合、流動体を構成する複数の成分や物体の分離を低減することができる。また、流動体に対する慣性力の印加方法としては、一軸方向に沿った加速の変動によるもののみ成らず、流動体全体を規則的又は不規則的に回転方向を変動させながら回転させることで変動する遠心力を作用させるように構成してもよい。
次に気泡が微細化されるメカニズムを図6~8を用いて以下に説明する。尚、図6~8中、変動的慣性力方向は、図5のz軸と一致し、また、上下方向も図5の上下方向と一致している。また、流動体を単調的且つ往復的な運動によって変動的な慣性力を印加させたものとして説明しているが、運動は単調的且つ往復的な運動に限らない。
図6は、気泡微細化の第一のメカニズムを模式的に表した概略図である。流動体中の気泡20は、流動体と気泡との界面に作用する張力Fs(以下、「界面張力」と称する)等が加わって形成されている。従って、気泡及び気泡を取り巻く流動体に変動的な慣性力を加えることにより、変動的な慣性力の向きが変わるときに、気泡を取り巻く流動体を構成する要素体の質量に比例して作用する慣性力Fi(特に、界面周辺に存在する流動体を構成する要素体に作用する慣性力をここでは界面慣性力と称すことがある。)によって気泡に圧力が作用する。詳細に説明すると、単調的且つ往復的な運動に合わせた流動体の上下運動は、上向きの加速移動、上向きの減速移動、下向きの移動向きの変更、下向きの加速移動、下向きの減速移動、上向きの移動向きの変更を繰り返し行うことになるが、このような加速と減速を繰り返す移動の中で気泡20に慣性力Fiが加えられる(図6(A))。この際、慣性力Fiの大きさが界面張力Fs若しくは後述の崩壊抵抗力よりも大きくなるような変動的慣性力を加えることにより、気泡20を変形させることができ(図6(B))、最終的には、流動体中に存在する或る一つの気泡20を複数の気泡20A、20Bに分断させ、小細化することができる(図6(C))。この小細化を繰り返すことによって、流動体中の気泡が外観上及び品質上問題ない大きさにまで微細化されることで、流動体中の気泡を肉眼で見えない状態として消失させることができる。
このように、変動的な慣性力の印加により、気泡と流動体との質量差からもたらされる慣性力差によって気泡を崩壊させ、更に二次の気泡分裂、三次の気泡分裂、・・・のように高次の気泡分裂へと分裂を促進し、これに伴って、気泡を微細化させて行き、所望レベルのサイズまで到達させることで消失効果を得る。このとき、気泡の総体積は、高次気泡分裂化の前後でそれほど変化せず、気泡は流動体中に微細化して残存していても良い。従って、所定レベル以下に高次気泡分裂化を進行させた結果生じる微細気泡は、例えば、直径約25~250μm程度のエントレインドエア化させることが可能である。
図7は、気泡微細化の第二のメカニズムを模式的に表した概略図である。気泡微細化の第二のメカニズムは、流動体が粉体乃至顆粒状等の形態の固体を含有する場合に、主に機能する。例えば、コンクリートの製造のようにセメントペースト、細骨材及び粗骨材等を含む場合である。便宜的に、コンクリートに対する気泡の微細化を例に説明するが、勿論、流動体変動的慣性力付与装置1に適用する流動体はこれに限定するものではない。
変動的慣性力の印加により、流動体30は、印加する単調的且つ往復的な運動のピークとピークの中間位置において、具体的には、流動体30が上向きの移動から下向きの移動へと移動向きを変えて下向きの加速を開始して流動体30の自由落下の速度と一致した時に、瞬間的に無重力に近い状態となる。このとき、流動体30を構成する大径の粗骨材31a及び小径の粗骨材31b(粗骨材31)と、粗骨材31間に存在する細骨材32と、これら粗骨材31と細骨材32の間に介在するセメントペースト33との間に作用していた重力による摩擦力がほぼゼロになる(図7(A))。次の瞬間、変動的慣性力のピーク(流動体30の運動方向が下向きから上向きに移動方向を変更する位置)に達すると、これら粗骨材31、細骨材32、セメントペースト33は、互いが接触した分布としての再配置が成される。この過程で、互いの間に作用する摩擦力は、徐々に最大値に向かって変動するため、途中経過では緩い摩擦力、即ち、固相的ではなく、液相的な流動状態で、より位置エネルギー状態の低い安定状態に向かって流下する(図7(B))。この流下は、気泡34周辺では流動体30から気泡34内へのセメントペースト33や細骨材32を中心とした流れ込みとして生じることになり、流れ込まれる気泡34は埋まる方向にシフトし、流れ込まれる流動体30側では気泡34内に在った気体との入れ替わりが生じることになる。このような流動体/気体交換流動は、一つの気泡34に対して一カ所で起これば、元々の気泡は崩壊すると共に、気体はより上方へと変位することになり、結果として気泡34が上方に移動したようになる。また、一つの気泡34に対する流動体/気体交換流動が複数カ所で生じると、元々一つの気泡34は、より小さな複数の気泡に分裂したように、各々上方に変位する。このように連鎖的に流動崩壊を繰り返すことで、気泡は微細化されるか、又は、最上部まで到達して、流動体30を抜け切るかする。
図8は、気泡微細化の第三のメカニズムを模式的に表した概略図である。上述した流動体40中の気泡微細化の第一のメカニズム及び第二のメカニズムでは消失されない気泡41が存在し得る。しかしながら、このような気泡41は、粗骨材を含まないモルタルの場合には殆ど存在しない。従って、気泡41生成の主因は、粗骨材42の存在によって生成されると考えられる。つまり、気泡41は粗骨材42に近接されて存在し得、幾つかの粗骨材42に囲まれた空隙が存在して、それら粗骨材42に空気がトラップされることで構成されると考えられる。このような構成の気泡42は、密度が比較的近い粗骨材42同士が寄り集まって且つそれら粗骨材42と密度の近いモルタル(細骨材43とセメントペースト44)をバインダー材として集合体を成している。このことから気泡41は、第一のメカニズム及び第二のメカニズムでは崩壊しない、或いは著しく崩壊し難いものと考えられる。このような構成の気泡41が消失するメカニズムとしては、気泡41を構成する粗骨材42に対して、固有振動数の共振振動を印加することが有効である。
現実的には、第一メカニズム、第二メカニズム、第三メカニズムを複合した形態として気泡は微細化して行くと考えられるが、ここで、変動的慣性力を付与する条件の設定について更に詳しく説明する。以下では、主に上記第一のメカニズムを念頭に説明するが、第二、第三のメカニズムにも適用可能な部分については適宜置き換えて理解しても良い。上述したように、気泡を微細化するためには、気泡に働く気泡の状態を維持しようとする力(以下、「気泡の崩壊抵抗力」と称する)よりも、大きな力、即ち慣性力を振動や衝撃、遠心力(ただし、定常的な遠心力のような慣性力を印加しても気泡を崩壊させることが出来ないことが少なくない。そこで、角速度を加速度的に変化させるなどして非定常状態とすることが好ましい。)等により気泡に与える必要がある。
気泡の崩壊抵抗力は、流動体の粘性、比重、構成要素の質量、気泡のサイズ、気泡の界面張力、気泡の内圧、骨材等の固体を含んだ固液混合の流動体の場合にあっては固体間の係合によってトラップされる気体の存在性と固体による気体の囲繞度合い等をパラメータとするものである。従って、対象とする流動体の種類及び/又は気泡のサイズ、形状、形態等により、適宜設定又は推測することが可能である。流動体変動的慣性力付与装置1においては、気泡の崩壊抵抗力を超える力が気泡に加わるように変動的慣性力を制御する。
与える変動的慣性力の波形については特に限定されないが、一例として、単振動が現実的且つ効率的である。この場合、例えば、時刻tにおける図5のz軸上の振動の波の変位をf(t)とすると、
で表すことが出来る。ここで、Aは振幅、ωは振動数に対応した角振動数、tは振動時間である。従って、振幅、振動数(或いは波長)、振動時間から選択される一つ以上の条件により振動を制御することができる。重力存在下で気泡が崩壊せずに存在していることを考慮すると、少なくとも1[G](地球の重力加速度の略1倍)を超える加速度、望ましくは数G程度以上の加速度が気泡や空隙及び/又は気泡や空隙の周辺に加わるように振動を与えることが好ましい。
尚、流動体に対して振動を加えて変動的な慣性力を付与する際の時刻tにおける加速度をG(t)とし、地球上の重力加速度をG≒9.8[m/秒/秒]とするとき、これを基準とした加速度G(t)[G]は、特に限定されるものではないが、
の関係を満たすように設定することが効果的且つ効率的で好ましい。また、時刻tにおける振幅をA(t)[mm]、角振動数をω(t)=2πν[rad/秒](ここで、ν[Hz]は振動数である。)とすると、加速度G(t)[G]は、
と表される。これより、振動数ν(t)は、
と表される。振動数ν(t)を決定する際、例えば、G(t)=5/2・G[G]と設定すると、振動数ν(t)は、
と得られる。ここで、時刻t=0のときの振幅をA>0、適宜設定される任意の比例定数を-A<0としたとき、仮に、振幅A(t)を、時間経過と共に減少するものとして、
で与えられるものとすると、(数6)式より、振動数ν(t)は、
であるから、角振動数ω[rad/秒]は、
で与えられる。従って、振動数ν又は角振動数ωは、(数7)式又は(数8)式より、時間tの増大に伴って増大することが解る。このように、加速度G(t)を時間に依存しない定数として設定しても時間の経過に伴って振幅を小さくして行く場合には、振動数や角振動数は時間の経過に伴って増大するように設定することが要請されるといえる。従って、加速度G(t)を時間経過に伴って増大するように設定しようとする場合、振動数νや角振動数ωとしては、時間経過に伴って(数7)式や(数8)式に示されるよりも著しく増大することが解る。
振幅は、特に限定されるものではないが、例えば、気泡の直径の10分の1程度以上であって、好ましくは気泡の直径と略同等程度以下の幅とすることができる。振幅がこの範囲より小さ過ぎたり又は大き過ぎたりすると、流動体に加わる慣性力が不十分となって気泡を崩壊させる力が弱くなり、気泡を微小化する力が十分に加わらなくなったり、或いは、過剰な加振エネルギーを加えることになり、エネルギー的にも非効率であって、流動体の構成要素を分離させてしまう可能性が生じるなど不合理となる。尚、流動体が、比重の異なる複数の材料の混合体である場合、過剰な振動を加えると、成分が分離する恐れがある。振動を加えることによって、気泡は次第に分裂し、微小化して行くため、時間の経過に沿って振幅を次第に小さくして行ってもよい。
ところで、被振体である流動体全体の系に対する慣性力が一定であれば、系内の至る所に作用する単位面積当たりの力、即ち面圧は概ね一定とみなせる。従って、大径の気泡は、表面積が大きく、気泡全表面として受ける力は比較的大きくなる一方、小径の気泡では、表面積が小さく、気泡全表面積として受ける力は比較的小さくなる。つまり、小径気泡は、大径気泡に比して崩壊し難くなる。よって、流動体に慣性力を作用させて気泡が細分化して行く過程で、慣性力のもととなる加速度を上昇させ、結果として慣性力を増大させて行くことが好ましいといえる。この際、振幅をターゲットとする気泡サイズに合わせて、漸次低下させるとすれば、その分、振動数を増大させることで加速度を増加させることが出来る。
また、振動数(周波数)により振動を制御することができる。周波数は特に限定されないが、例えば、数十Hz程度の振動を与えてもよい。周波数が大き過ぎると、流動体が比重の異なる複数の成分から構成されている場合に、各成分が分離する恐れがあるため好ましくない。また、上述したように、振動を与えると気泡は次第に小さくなって行くため、(数2)式乃至(数8)式に示した通り、それに合わせて振動数を次第に大きくして行くように設定してもよい。
また、振動時間又は振動回数により振動を制御することができる。振動時間も特に限定されるものではないが、例えば、数十秒から数分の範囲とすることができる。流動体が固化する場合には、固化反応が終了するまでの間に気泡の微細化が完了するように振動条件を設定する必要がある。勿論、揺動させている間は、固化が進行しない流動体も存在するので、この場合は適宜の時間で加振すればよい。また、一定時間を超えて振動させても条件によっては、消泡せず残存し続ける気泡が有り得て、その場合、投入するエネルギーのロスに繋がることになるため、所要の時間程度で停止することが好ましい。
更に、本発明の一態様では、上述した以外の条件を更に設定して振動を制御してもよい。例えば、流動体を加熱或いは冷却することにより、内部の気泡の界面張力や気泡内圧を変化させ、微小化し易いように振動を制御することもできる。或いは、振動時に加圧又は減圧しても良い。また、振動時において、流動体に対してインパルス及び/又はインパクトを印加することで衝撃を加えてもよい。流動体に対して衝撃を加えた場合には、流動体中の気泡は、撃力的な圧力を受けるため、より崩壊し易くなる。インパルスについては、流動体に加える振動を、矩形波や鋸波のような波形の振動とすることで発生させることが可能である。この他、衝撃波を印加するようにしてもよい。インパクトについては、流動体と共に振動する物が、被振状態の流動体と相対変位する物との間において衝突を起こすようにシステムを構成することでも実現可能である。
このように、流動体の種類及び/又は気泡の大きさに応じて、振幅、振動数、振動時間から選択される一つ以上の条件により振動を制御する。気泡が振動により分裂して一定以上、サイズが小さな気泡となった場合、それまでの振幅、振動数では小さくなった気泡を更に微小化することはできないことがある。従って、振動時間の経過に応じて振幅と振動数を同時に制御し、小さなサイズの気泡に対しても、気泡の崩壊抵抗力を十分に超えるような加速度Gが加わるようにしても良い。
更に、サイズの異なる複数の気泡を効率的に微小化する為、或いは所望の合成波形を得る為に、複数の振動波を合成した振動を加えてもよい。即ち、複数の異なる直径d,d,・・・,dnを有する気泡のそれぞれに対して、最適な振幅A,A,・・・,An及び振動数ω,ω,・・・,ωnの組み合わせを用いて、合成波f(t)を、
と設定してもよい。このような合成波により振動を与えることにより、様々なサイズの気泡に対して、同時的に短時間で気泡を効率的に微細化することが出来る。また、その極限(すなわち、(数9)式においてn→∞)に近づけたものであってもよい。
以上の説明の通り、本発明の一実施形態に係る気泡の微細化方法においては、被振体である流動体に対して、慣性力F(t)を所定条件の振動として与えることが可能であり、振動条件としては振動数ν(t)(又は角振動数ω(t))、振幅A(t)、振動時間t等が考えられ、また振動数ν(t)(又は角振動数ω(t))及び振幅A(t)として有効な視点として、これら振動数ν(又は角振動数ω)と振幅Aから計算され地球の重力加速度1[G]を超えるものとして設定されることが好ましい加速度G(t)があり、この加速度G(t)こそが変動的な慣性力F(t)、例えば、向きが上下反転する慣性力F(t)を規定することが可能である。この慣性力F(t)と慣性力F(t)を与える時間tとの関係としてみると、被振体である流動体に対して、慣性力F(t)を加えるべき時間tは、必要且つ十分な所定時間τを超える必要がある。勿論、所定時間τを著しく超えることは、反ってエネルギーロスになるので、所定時間τを超えた辺りで停止することが好ましい。ここで、振動系における時間tの本質的意味合いは、振動が、振動数ν(t)で時間t=0からt=τまでの間継続した場合、何回の振動が生じたか、即ち、流動体に対して慣性力が作用する、振動の上端と下端に何度到達したかを与えるパラメータになっているということであり、従って流動体に対しては、一回の振動当たりに、上端と下端で慣性力が合わせて二回作用するので、或るサイズの気泡Bを対象とした振幅Aに対する振動数νのときの加速度をG(G(t)>1[G])とし、且つ、対象とする気泡Bが分断されて細分化されるに足る必要十分な時間をτとするとき、
と考えることも可能である。ただしここで、Nは無次元の目安値であり、各サイズの気泡Bに対して、1[G]を超える加速度による慣性力を十分な回数印加しているかをその総和から勘案するための指標である。
以上述べてきた通りに被振体である流動体に繰り返し慣性力を印加することで、流動体中の殆どの気泡は細分化され、このような細分化が繰り返されることで気泡の微細化が実現される。所要域まで微細化がなされることで、流動体中の気泡は、美観上或いは品質上問題無い必要十分なレベルまで微細化され、或いは消泡される。しかしながら、以上の手段を以てしても微細化されない気泡が有り得る。このような微細化されずに残存し得る気泡の類は、特に、被振体である流動体が、ペースト状の流動体中に細骨材や粗骨材を含んで成る場合において希に見受けられるものである。この種の気泡(以下、残存性気泡と称す。)の構成と崩壊法について以下に述べる。
上述したように残存性気泡は、特に、粗骨材のような比較的大きな複数の固形物に囲繞され、それら粗骨材間にペーストが介在することで形成されることが少なくない(第三のメカニズム)。この場合、残存性気泡を取り巻く粗骨材は、1[G]を十分に超える慣性力を与えても各粗骨材間の相対位置が崩れず、残存性気泡を生じる。そこで、このような状態下に在る残存性気泡を崩壊させて細分化させるためには、それら残存性気泡を取り巻く粗骨材をそれぞれ揺動させて変位させたり、相対位置関係を変えさせるなどして、粗骨材が成す構造(以下、気泡捕捉構造と称す。)を破壊する必要がある。
そこで、残存性気泡を取り巻く粗骨材ηの質量をmηとすると、粗骨材ηの固有振動数νηは、例えば、
と表され、この固有振動数νηに相当する振動Vを被振体である流動体に対して入力することで、流動体中に存在する質量がmηと近い粗骨材が、外部からの強制振動Vと共振を生じ、他の質量のペーストや細骨材、又は粗骨材等と異なって激しく揺動することになり、中でも残存性気泡を取り巻く粗骨材が成す気泡捕捉構造の一部である粗骨材ηを大きく揺動させることで、残存性気泡の界面付近に存在する要素体である粗骨材の質量に比例した界面慣性力を作用させ、気泡捕捉構造を崩壊させることが出来、結果として、この気泡捕捉構造によって形成されていた残存性気泡も崩壊させることが可能である。
ここで、(数11)式におけるkは、流動体を構成するペーストや細骨材、粗骨材等による気泡捕捉構造における相互の関係性による粘弾性等に由来するものであり、流動体の系内でほぼ一様であると仮定すると、これは予め実験等によって判明させ得、その値を既知のものとすれば、固有振動数νηは、流動体中の各要素体ηの各々の質量mηの平方根の逆数に比例するものとして事前の計測等により知り得、粗骨材のような物の場合には、固有振動数νηは比較的小さな値となり、細骨材のような物の場合には比較的大きな値となる。従って、大きな気泡から細分化を進めることが効率的であることから、流動体に印加する固有振動数νηとしては、流動体中に存在する要素体のうち、より大きな粗骨材からをターゲットとして対応する値を設定して、漸次、ターゲットとなる粗骨材をより軽い物に推移させて、強制振動Vとして入力する振動数を遷移させて行くことが好ましい。この際、入力させる強制振動Vは必ずしも流動体に慣性力を与えている振動の方向に沿っていなければならないというものではなく、この方向に平行であっても直交していても、或いは、傾斜していてもよい。尚、ここでの骨材は、具材や部材、強化材、廃材等と読み換えてもよいことはいうまでもない。
流動体変動的慣性力付与装置1は、プレキャスト製品、例えば、プレキャストコンクリートの製造において用いることができる。従来、コンクリートの製造時においては、成型時のエントラップトエア等の混入により固化した際にコンクリートの表面又は内部に窪み又は空洞となって残ってしまい、特にコンクリート表面の窪みは、製品の外観上好ましくないため、例えば、コンクリート表面に手作業で化粧処理等を施しており、手間や費用が著しくかかっていた。
そこで、流動体(生コンクリート)全体に変動的慣性力を与えることで、流動体中の気泡を微細化して消失させることができるため、コンクリート表面の気泡も微細化して外観上問題ない状態にまですることができる。また、適切な振幅や振動数、振動時間を設定することで、短時間で効率的に気泡を消失させることができる。更に、流動体変動的慣性力付与装置1によれば、気泡を球形と仮定した際の気泡直径が0.025mm~0.25mm程度であるとされるエントレンドエアに対しては悪影響を及ぼすことなく、1mm以上の目立つサイズの気泡を微細化して消失させることが可能である。
勿論、流動体変動的慣性力付与装置1は、コンクリートの製造以外にも適用することができる。また流動体の種類、配合割合、製造量等によって何ら限定されるものではなく、流動体はその種類に応じて用いる装置、器具に対して適宜変動的な慣性力(振動)を与えることができるような構成を加えれば良い。
上述したコンクリートは、セメントに水や充填剤(充填材)や通常の骨材等を加えて硬化させ得るコンクリートの他にも、ローマンコンクート、繊維補強コンクリートやポリマーコンクリート等のコンクリートをも含む。また、細骨材のみを使用したモルタルや、骨材を使用しないセメントペーストをも含む。骨材としては、コンクリートに通常用いられる物や従来公知の物であればどのようなものでもよく、砂、砂利、砕石、破砕ガラス、がれき、人工材等や廃棄物等を用いることが可能である。更にセメントも、特に限定されるものではなく、例えば、ポルトランドセメント、ローマンセメント、レジンセメント等を使用することができる。
流動体変動的慣性力付与装置1は、所謂コンクリート二次製品の製造に好適に利用可能である。例えば、杭、管、平板、擁壁、床版、床板、壁高欄、コンクリートブロック、ボックスカルバート、アーチカルバート、カルバート、ヒューム管(鉄筋コンクリートを用いた管)、フリューム、ケーブルトラフ、共同溝、カーテンウォール(幕壁、帳壁)、外壁、コンクリート橋、橋げた、トンネルセグメント(シールドトンネル)、配水管、排水管、貯蔵槽、水槽、排水桝、街渠桝、放射性廃棄物の容器、核シェルター、電柱、舗装(道路)、側溝、側溝蓋、マンホール、組立マンホール、マンホール蓋、ボックスマンホール、境界ブロック、縁石、車止めブロック、根固ブロック、インターロッキングブロック、植生ブロック、防護柵、矢板、防音材、消波ブロック、護岸ブロック、マクラギ、オブジェ(像)の製造に適用可能である。また、上述の例の他にも様々な製品、例えば、型枠を用いて成型する製品(プレキャスト製品)等の製造に好適に適用可能である。例えば、人造石や人工大理石、タイル、陶器、磁器、側溝部材、蓋、便器、墓石、鳥居、銅像、仏像、石膏像や石膏製品、ガラス製品、鉄系やアルミニウム系、銅系等の各種金属の鋳物等やダイキャスト製品等、流動体を固化成型して製造するもの等あらゆるものに適用可能である。流動体変動的慣性力付与装置1を適用して気泡を除去することで、外観を良くするだけでなく、空洞の発生による強度の低下を防止し、品質の高い製品を提供することができる。
更に、流動体変動的慣性力付与装置1は、例えば、エポキシ樹脂のような二液混合系の樹脂、シリコーン、ゴム、口紅やマスカラ等の化粧品、石鹸、色鉛筆、ペンキ等の塗料、シーリング剤、潤滑剤、導電剤といった化学製品にも適用可能である。即ち、必ずしも固化するもののみに限られず、気泡が内部に保持される程度の粘性を有するものに対しても適用可能である。
更に、流動体変動的慣性力付与装置1は、工業製品だけではなく、食品の製造工程に対して適用することも可能である。例えば、豆乳ににがりを添加して豆腐を製造する場合のように、材料を混合して固化させるものなどに適用することが可能であり、固化した際に混入した気泡による窪みや空洞が無く、表面がきめ細かく外観上優れた豆腐等の食品を提供することができる。豆腐の他にも、かまぼこ等の練り物、こんにゃく、飴、はちみつ等の食品の製造にも適用可能である。気泡を除去することで、外観を良くするだけでなく、体積と質量の分布の均等化の向上を図ることが出来、また気泡の混入による酸化劣化を防止するなど、品質の高い製品を提供することができる。
以下、流動体変動的慣性力付与装置1について、実施例を用いて更に具体的に説明するが、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
流動体として生コンクリートを選択した場合の供試体の製作手順と加振手順及び記録撮影まとめ手順を以下に説明する。勿論、先に述べた通り、本発明は、実施例における流動体の種類、配合割合、製造量等によって何ら限定されるものではなく、流動体はその種類等に応じてISO、JIS等の規格、作業手順書、プロトコル、レシピ等に従って適宜作製すればよい。また、加振手順及び記録手順についてもあくまで一例である。
[手順1]
セメント、細骨材、粗骨材、水を、表1に示す重量比でよく混練し、生コンクリートとした。
[手順2]
直径100mm、高さ100mmの円筒状のコンクリート供試体成形型枠(収容容器4)を、専用の型枠ホルダに入れた。
[手順3]
収容容器4の中に、事前によく混練した生コンクリートを所要重量の約2kgだけ注入した。
[手順4]
注入した生コンクリートを突き棒によってよく均すというのが従来の手順であるが、突き棒でかき混ぜて均すという工程を適用すると、混ぜ方によって気泡が残ったり、残らなかったりする上、残った気泡の大きさの相違に対しても影響を及ぼして定量化を困難にすると共に、気泡の微小化を計測する上で、かき混ぜによって元々の気泡が消泡化され過ぎる場合、気泡の微細化効果や消泡効果を測るという目的を果たせなくなるので、突き棒によるかき混ぜ工程は非実施とした。そこで、手順4としては、収容容器4内に注入された流動体である生コンクリートに対して、発泡スチロール片を、収容容器4と専用の型枠ホルダとの間に挟み込んで、専用の型枠ホルダの外側面を木槌を用いて叩くことで間接的に微小な衝撃振動を加え収容容器4内に生コンクリートが概ね行き渡るようにした。
[手順5]
この未硬化状態で供試体とした。振動等を印加する際には、流動体変動的慣性力付与装置1の設置台10上に供試体を収容容器4ごと配設して治具12を介して設置台10に対して固定した。
[手順6]
この状態で、予め設定された振動条件に沿って供試体に対して鉛直方向の単振動を印加した。
[手順7]
振動後は、速やかに治具12から流動体を収容容器4ごと取り外して、非振動系にて必要十分な養生期間だけ静置した。
[手順8]
脱型の際には、モールドを台の上に置いて、型枠のハーフカットに沿って、型枠を割きつつ、供試体を型枠から脱型した。
[手順9]
脱型された供試体は、回転ステージの中心上に配置され、水平面内において回転ステージを所定の回転角度毎に回転させながら都度、供試体の周面を正面からの定点から写真撮影し、全周相当分以上に亘って写真を撮って記録した。
[手順10]
各試験体毎に全周分撮影された画像の内、最も大きな気泡がより多く残存している位相からの周面画像を各振動条件毎に表に整理した。
時間一定とし、振動数10、20、30Hzの各振動数条件に対して、全振幅を1.0~5.0mmまで0.5mm刻みで加振した。その結果を図9にまとめた。図9から解る通り、1[G]以下或いは1[G]に近い振動条件では、気泡は殆ど微細化されず、元のまま残存する。また、所定以上の加速度を印加している場合には、元々存在していた筈の大きなサイズの気泡が無く、他方、細分化された比較的小さな気泡が残存している。尚、ここでの振幅は、全振幅(peak to peak)を意味し、所謂通常の意味の振幅の二倍に相当する。
次に、図9において比較的綺麗に気泡が微細化された条件である振動数20Hzと30Hzにおける全振幅3.5mmの振動条件に対して、それぞれ振動時間を30秒から60秒まで30秒間隔で、60秒から300秒までを60秒刻みで加振した。その結果を図10にまとめた。図10から解る通り、20Hzのものでは、30秒時点で残存しているサイズの気泡は、その後の60秒から300秒までほぼ均等に残存していることが解る。つまり、或る一定の振幅、一定の加速度で、これに対応した一定の振動数の振動を印加し続けても元々存在していたより大きな(加振前にターゲットとされた比較的大きな)サイズの気泡は一様に消泡しているものの、より小さな或るサイズ以下の気泡は残存し得ることが解る。
次いで、図9において比較的綺麗に気泡が微細化された条件である振動数30Hzにおける全振幅3.5mmの振動条件を30秒間加振した前行程のものに対して、更に続けて全振幅を0.4mmに低下させつつ、振動数は30Hzから262Hzまで適宜の値での設定とした後工程でも30秒間加振した。その結果を図11にまとめた。図11から解る通り、部分的に幾分か微細化若しくは消泡化されているようにも見受けられるものの実際には、前工程において残存していたサイズの気泡が後工程の後にも残存していると考えられる。つまり、加振する際の振幅が、気泡サイズに比して過小な場合には、著しく大きな振動数若しくは加速度の振動を印加しても微細化されたり、消泡されたりしないということが解る。
更に、図9において比較的綺麗に気泡が微細化された条件である振動数20Hzにおける全振幅3.5mm、即ち加速度2.8[G]の振動条件であって、図10において十分な振動時間、即ち180秒間に亘って加振した振動条件を前行程としたものに対して、更に続けて加速度が2.8[G]で一定となる振動条件で、全振幅を1.8mmから1.0mmまで0.2mm刻みで低下させて後工程として追加120秒間加振した。その結果を図12にまとめた。図12から解る通り、前工程と後工程とでは加速度は何れも1[G]よりも適度に大きな2.8[G]と設定され、後工程の振幅としては前行程の半分程度に設定され、その結果として、前工程で残存していたであろう無加振状態に存在していた最大サイズの気泡より細分化されはしたが、細分化された気泡として残存していたサイズの気泡が、後工程の後には、ほぼ一様に更なる細分化が進行し、微細化されたことが解る。他方、他の工程を経た何れの供試体にも共通して、更なる微細な気泡が残存していることが解る。つまり、振幅が1.0mm~1.8mmの間程度の振動条件では反応しない程、小さなサイズの気泡が残存しているといえる。これらの微細な気泡を更に微細化するためには、更に振幅が小さく、加速度は一定以上となる振動を印加すればよい。
尚、図12において、後工程における振幅1.8mmの供試体における比較的大きなサイズの気泡は、当該前工程と後工程の後にも残存している気泡であって残存性気泡であり、このような微細化されずに残存し得る気泡の類は、特に、被振体である流動体が、ペースト状の流動体中に細骨材や粗骨材を含んで成る場合において希に見受けられるものである。この種の残存性気泡を崩壊させるには、残存性気泡を囲繞する骨材、特に粗骨材が形成する気泡捕捉構造の破壊が効果的であり、そのためには、気泡捕捉構造の要素たる粗骨材の固有振動数の振動を印加して、共振させることが好ましい。
次いで、図9において比較的綺麗に気泡が微細化された条件である振動数30Hzにおける全振幅3.5mm、即ち加速度6.3[G]の振動条件を180秒間加振した前行程のものに対して、更に続けて全振幅を前行程における振幅の半分程度である1.8mmに低下させつつ、加速度を6.3[G]を保持する条件として振動数は42Hzと設定した後工程にて120秒間加振した。その結果を図13にまとめた。図13から解る通り、前工程と後工程とでは加速度は何れも1[G]よりも十分に大きな6.3[G]と設定され、後工程の振幅としては前行程の半分程度に設定され、その結果として、前工程で残存していたであろう無加振状態に存在していた最大サイズの気泡より細分化されはしたが、細分化された気泡として残存していたサイズの気泡が、後工程の後には、ほぼ一様に更なる細分化が進行し、微細化されたことが解る。勿論、つぶさに表面を観れば、十分に微細化が進行した結果として残された微細化気泡が見て取れる。この残存している微細化気泡のサイズは0.7mm未満であり、コンクリート製品としては十分に許容されるものである。また、図12や図13の結果からも判る通り、適正な振動条件であるということを前提として、振動時間の経過に伴って振動条件、即ち、振幅をターゲット気泡サイズに合わせて縮小して行きつつ、加速度を一定以上に保持するように振動数を遷移させて行くことが効果的であると言える。
また、別の実施例として、セメントと細骨材と水のみから成り、粗骨材を含まない流動体を直方体状の型枠に注入し、その直後に全振幅2.0mm、振動数30Hzの鉛直方向の振動を収容容器ごと入力して加振した結果を図14にまとめた。本実施例においては、流動体中に粗骨材が無いことから所定時間以上加振し続けると、殆ど見えない程度にまで気泡が微細化されて消泡化されることが解る。
図15は本実施形態に係る流動体変動的慣性力付与装置1のシステム構成を示すブロック図である。流動体変動的慣性力付与装置1は、各部を統括的に制御する制御部50を具える。制御部50には、往復動アクチュエータ14、記憶部52、計測部54、入力部56、表示部58が接続される。記憶部52は、例えばランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リード・オンリー・メモリ(ROM)、若しくはフラッシュメモリのような半導体メモリ素子、ハードディスク等のような記憶デバイスであり、往復動アクチュエータ14による振動の設定(振幅、振動数、加速度、振動方向、振動回数、波形、振動時間等)、流動体中の気泡の大きさの閾値、往復動アクチュエータ14の振動に伴う慣性力情報(振動回数、振動時間等)の閾値等を記憶する。
検出部54は、収容容器4内の流動体の物理状態の検出を行い、ここでは流動体中の気泡の大きさの検出を行う。従って検出部54は、外側から収容容器4内の流動体を撮影可能なカメラ、撮影された画像から気泡を検知して該気泡の大きさを解析する演算回路等を有して成る。なお物理状態は、流動体に作用する加速度の大きさとしてもよく、その場合検出部54は、収容容器4に設置される加速度センサから出力される加速度に基づいて流動体に作用する加速度を検出する。
入力部56は、操作者の操作を受付け、その操作内容をCPU50に出力する。入力部56は、キーボード、マウス、レバー、ディスプレイと一体的に設けられるタッチセンサ及び/又は音声入力を行うためのマイクロフォン等である。
表示部58は、操作画面や、メニュー画面等の各種画面を表示するディスプレイであり、具体的には例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid CrystalDisplay)、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等である。また表示部58と共に音声案内を出力するスピーカを設けてもよい。
次に図16のフローチャートを参照して流動体変動的慣性力付与装置1による加振制御(変動的慣性力付与の制御)について説明する。流動体変動的慣性力付与装置1の制御部50は、記憶部52から振動の設定を読み出し、当該設定に応じて振動し得るように、往復動アクチュエータ14を介して設置台10を加振する(ステップS1)。なお記憶部52から振動の設定を読み出す代わりに、入力部56に振動の設定を入力させてもよい。その場合、制御部50は、表示部58に変動幅、変動数の入力欄と、変動の入力を促す案内等を表示し、入力部56による入力を受け付ける。
また往復動アクチュエータ14による変動は、上述の実施例から変動的な慣性力によって流動体に1[G]を超える加速度を付与するようにその変動幅及び/又は変動数が設定される。これにより、設置台10が鉛直方向に変動、即ち往復動し、設置台10に固定された収容容器4が鉛直方向に往復動する。収容容器4に収容されている流動体には、鉛直方向の往復動により全体に亘って一様に変動的な慣性力が付与され、流動体中の気泡を微細化若しくは消泡する。
制御部50は、検出部54によって収容容器4内の流動体中の気泡を検出する(ステップS2)。制御部50は、検出した各気泡の大きさの計測を行い、閾値以上の大きさの気泡が存在しているか否かを判定する(ステップS3)。制御部50は、閾値以上の大きさの気泡が存在するとき(ステップS3、Yes)、ステップS2に戻り流動体中の気泡の大きさの検出を継続する。
制御部50は、閾値以上の大きさの気泡が存在しないとき(ステップS3、No)、存在している気泡の大きさに基づいて往復動アクチュエータ14の駆動制御を行い、変動の設定を変更する(ステップS4)。即ち、制御部50は、検出した気泡の大きさが記憶部52に記憶している気泡の大きさの閾値未満のとき、変動の設定を変更する。これは、気泡の大きさが所定の大きさに細泡化されると、そのまま加振し続けても気泡の大きさが変わらなくなるためである。
従って、気泡の大きさが閾値未満となったとき、加速度を一定以上に保持しながら、変動数及び/又は変動幅を変更する。このときの変更は、変動数を低下させ変動幅を増加させる場合と、変動数を増加させ変動幅を縮小させる場合の何れでも良いが、上述した図12、図13の結果から変動幅を縮小して変動数を増加させるようにすることが好ましい。制御部50は、上記ステップS1~S4の動作を検出される気泡が所望の大きさ以下となるまで、繰り返し、気泡が所望の大きさ以下になったとき、加振処理を終了する。
なお、制御部50は、加速度が変化し得るように変動を制御してもよい。従って変動数を一定に保持しながら、加速度及び/又は変動幅を変化させてもよく、或いは変動幅を一定に保持しながら、加速度及び/又は変動数を変化させてもよい。なお加速度を1[G](地球上の重力加速度の一倍)以下にすると、気泡の微細化又は消泡が起こらないことから、加速度は1[G]を超えるように設定する。また、制御部50による制御は、気泡の大きさだけでなく、異常な動作や流動体の異常な動き、例えば、流動体を構成する成分の分離や異常な流動等を監視して制御するように構成することが好ましい。異常な現象が検出された場合には、変動数や変動幅、加速度等を変更したり、或いは、変動自体を停止するなどして対処するように設定してもよい。
制御部50は、流動体が外側から内部の気泡を視認可能な程度に透明度が高い場合、上記のように計測部54によって流動体中の気泡の大きさを計測し、気泡の大きさに応じて変動を設定する、フィードバック制御を行うことで、流動体中の気泡を所望の大きさ未満に確実に微細化或いは消泡させることができる。従って美観が良く、高品質の製品を低コストで効率良く製造することができる。
なお、フィードバック制御を用いないで加動制御を行っても良い。例えば慣性力情報としての変動時間を計り、変動時間に応じて変動の設定を変更するようにしてもよい。図17に示すフローチャートを参照して変動時間による加動制御について説明する。制御部50は、記憶部52から変動の設定を読み出し、当該設定に応じて変動し得るように、往復動アクチュエータ14を介して設置台10を加動する(ステップSA1)。なお記憶部52から変動の設定を読み出す代わりに、入力部56に変動の設定を入力させてもよい。
制御部50は、計時機能によって変動台10の加動開始時からの変動時間を計り(ステップSA2)、変動時間が閾値(例えば30秒)となったか否かを判定する(ステップSA3)。制御部50は、変動時間が閾値未満のとき(ステップSA3、No)、変動時間が閾値となったか否かの判定を継続する。
制御部50は、変動時間が閾値となったとき(ステップSA3、Yes)、変動の設定を変更する(ステップSA4)。従って、変動時間の経過によって加速度を一定以上に保持しながら、変動数及び/又は変動幅を変更する。また制御部50は、変動の設定変更後、所定時間変動を行って加動制御を終了する。
なお、変動時間と変動の設定との関係は、適宜設定し得るものであって流動体の種類、性状、微細化による気泡の大きさ等によって設定すればよい。なお生コンクリート中の気泡の微細化又は消泡においては、上述した図9~図14等及びその説明において示した加速度、変動数、変動幅、変動時間等を考慮して設定することが好ましい。
また、上記のフィードバック制御を用いない加動制御では、変動時間を適用した場合を例に説明したが、これに限定するものではなく変動回数を計り変動回数が閾値(例えば、変動回数を600回に設定する)となったとき、変動の変更を行うようにしてもよい。また、加動制御において、収容容器に加速度センサを設けておき、制御部50が加速度センサによって測定された加速度を監視しながら、加振制御を行うようにしてもよい。例えば設定された加速度と計測された加速度とに差異が生じたとき、計測された加速度が設定された加速度となるように加動制御を行う。
なお、上述した実施形態においては、変動を振動に、加動を加振に、変動数を振動数に、変動幅を振幅に読み替えてもよく、また、治具を壁部16と閉塞部18とで構成した場合を例に説明したが、これに限定するものではない。例えば図18(a)に示すように設置台10の中央部を囲むように配設した四本の円柱62と、各円柱62間を架け渡すように架設される着脱可能な固定板64によって治具60を構成してもよい。また固定板64の下面に押さえ部64aを配設する。押さえ部64aは、樹脂製やゴム製等の弾性を有し、固定板64の面方向に沿った下方に突出する。
この治具60を具えた場合、収容容器4を載置台10に載置するとき、先ず固定板64を取り外して四本の円柱62に囲まれる上部空間を開放し、上部空間を介して収容容器4を円柱62に囲まれる空間の中央部に載置する。或いは水平方向に沿って円柱62間を通して円柱62に囲まれる空間の中央部に載置する。そして固定板64を架設することで、押さえ部64aが収容容器4を下方、即ち設置台10側に押し付ける。従って収容容器4は、設置台10と固定板64との間で挟持され固定される。
なお、円柱62の数は、四本に限定するものではなく適宜設定可能であり、固定板64の設置方法についても適宜設定可能である。例えば、図18(b)に示すように、載置台10に三本の円柱部62を配設すると共に、何れかの円柱部62間に不図示の連結板を設置し、固定板64と連結板とを蝶番66を介して連結して、治具を構成してもよい。このように固定板64を開閉可能に配設してもよい。
また治具は、収容容器4の上面を押さえて固定するものに限定しない。例えば図19に示すように、収容容器4が下端部にリブ4aを具える場合、治具70は、リブ4aに係合して収容容器4の上下方向に移動を規制するものであればよい。即ち、治具70は、載置台10に固定され、鉛直方向に立設する立設部72と、立設部72の先端に形成される係止爪74とを具える。
係止爪74は、先端部が載置台10の外周面の面方向内向きに突出する。従って、係止爪74と載置台10との間には、リブ4aを嵌入させ得る空間が形成される。その空間にリブ4aを嵌入することで収容容器4は、治具70に係合されて鉛直方向(振動方向)の移動が規制されて固定される。勿論、収容容器4のリブ4aの位置は、下端部に限定するものではなく、上端部や、下端部と上端部との間等、適宜設定可能である。また治具70は、リブ4aの高さ方向の位置に相当するように、立設部72の高さ方向の長さが設定される。
なお、変動的な慣性力を規定する変動数、変動幅及び加速度の何れか一つを所定に保ちながら、他を変更させた場合を例に説明したが、勿論、これに限定されるものではない。即ち変動数、変動幅、加速度の内、二つの要素を所定に保つようにしてもよい。この場合においては、二つの要素が決まると残る要素も決まり、変動数、変動幅、加速度全てが一定に保持されることとなる。
1…流動体変動的慣性力付与装置、4…収容容器、10…設置台、12,60,70…治具、14…往復動アクチュエータ、14a…駆動ロッド、16…壁部、16a…溝、18…閉塞部、18a…側面部、18b…蓋部、20,30,40…流動体、22,34,41…気泡、31,42…粗骨材、32,43…細骨材、33,44…セメントペースト、50…制御部、52…記憶部、54…計測部、56…入力部、58…表示部、62…円柱部、64…固定板、64a…押さえ部、66…蝶番、72…立設部、74…係止片。

Claims (14)

  1. 気泡及び/又は空隙を含有する流動体を収容した容器を設置、固定するための設置台と、
    上記設置台に設置された上記容器内で、上記流動体全体に鉛直方向、鉛直方向と水平方向の合成方向、及び/又は鉛直面内の回転方向に、一様に変動的慣性力を付与する慣性力付与手段と、
    を有する変動的慣性力付与装置であって、
    上記慣性力付与手段は、1.0~5.0mmの範囲内の全振幅で、地球の重力加速度の2倍(2G)以上の加速度による慣性力を付与することを特徴とする変動的慣性力付与装置。
  2. 前記慣性力付与手段によって前記流動体全体に付与する慣性力を規定する変動幅、単位時間当たりの変動数、加速度の何れか一つを一定に保ちながら、他を変化させる制御手段及び/又は駆動手段を有することを特徴とする請求項1に記載の変動的慣性力付与装置。
  3. 前記容器内の流動体の気泡の大きさ及び/又は流動体に付与されている加速度を検出する検出手段を有し、
    前記制御手段及び/又は駆動手段は、上記検出手段によって検出したの上記気泡の大きさ及び/又は上記加速度が所定状態であるとき、変動数、単位時間当たりの変動幅、加速度の何れか一つ以上を変化させることを特徴とする請求項に記載の変動的慣性力付与装置。
  4. 前記慣性力付与手段による慣性力の付与開始時を起点に慣性力情報を計るカウンタを有し、
    前記制御手段及び/又は駆動手段は、上記カウンタによる慣性力情報が閾値を超えたとき、変動数、変動幅、加速度の何れか一つ以上を変化させることを特徴とする請求項2に記載の変動的慣性力付与装置。
  5. 前記慣性力情報は、前記慣性力付与手段によって変動的慣性力を前記設置台に付与している時間及び/又は変動回数であることを特徴とする請求項4に記載の変動的慣性力付与装置。
  6. 前記慣性力付与手段は、前記設置台を所定方向に往復動するように変動させる変動部であって、
    上記変動部に対して前記容器を着脱可能に固定できる固定手段を具え、
    上記固定手段は、
    前記容器を所定範囲内に固定するための立設部と、
    上記所定範囲内に配置された容器を変動方向に押圧しながら保持可能な保持部と、を有することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の変動的慣性力付与装置。
  7. 気泡を含有する流動体を収容した容器を設置する設置台と、
    上記設置台を所定方向に往復動させ、上記容器内で上記流動体に鉛直方向、鉛直方向と水平方向の合成方向、及び/又は鉛直面内の回転方向に一様に変動的慣性力を付与する変動力付与手段としての変動部と、
    上記変動部に対して上記容器を着脱可能に固定できる固定手段と、を具え、
    上記変動部は、地球の重力加速度の2倍(2G)以上の加速度による変動的慣性力を付与し、
    上記固定手段は、
    上記容器を所定範囲内に固定するための立設部と、
    上記所定範囲内に配置された上記容器を変動方向に押圧しながら保持可能な保持部と、を有することを特徴とする変動的慣性力付与装置。
  8. 容器に収容された、気泡及び/又は空隙を含有する流動体に上記容器内で鉛直方向、鉛直方向と水平方向の合成方向、及び/又は鉛直面内の回転方向に一様に変動的慣性力を付与する慣性力付与手段を有する変動的慣性力付与装置であって、
    上記慣性力付与手段は、1.0~5.0mmの範囲内の全振幅で、地球の重力加速度の2倍(2G)以上の加速度による慣性力を付与することを特徴とする変動的慣性力付与装置。
  9. 気泡及び/又は空隙を含有する流動体を収容した容器を設置、固定するための設置台を有する慣性力付与装置に、
    上記流動体に対して地球の重力加速度の2倍(2G)以上の慣性力を付与し得、該慣性力を規定する変動幅、単位時間当たりの変動数、加速度の何れか一つ以上を一定に保ち、上記容器内で流動体全体に鉛直方向、鉛直方向と水平方向の合成方向、及び/又は鉛直面内の回転方向に一様に変動的慣性力を付与する慣性力付与ステップを実行させることを特徴とする変動的慣性力付与プログラム。
  10. 前記慣性力付与ステップは、前記流動体に付与する慣性力を規定する変動幅、単位時間当たりの変動数、加速度の何れか一つを一定に保ちながら、他を変化させることを特徴とする請求項9に記載の変動的慣性力付与プログラム。
  11. 前記容器内の流動体の気泡の大きさ及び/又は流動体に付与されている加速度を検出する検出ステップを更に実行させ、
    前記慣性力付与ステップは、検出された上記気泡の大きさ及び/又は上記加速度が所定状態であるとき、変動数、単位時間当たりの変動幅、加速度の何れか一つ以上を変化させることを特徴とする請求項9又は10に記載の変動的慣性力付与プログラム。
  12. 前記慣性力の付与開始時を起点に慣性力情報を計るステップを更に実行させ、
    上記慣性力情報が閾値を超えたとき、変動数、単位時間当たりの変動幅、加速度の何れか一つ以上を変化させることを特徴とする請求項9乃至11の何れかに記載の変動的慣性力付与プログラム。
  13. 前記慣性力情報は、変動的慣性力を前記設置台に付与している時間及び/又は変動回数であることを特徴とする請求項12に記載の変動的慣性力付与プログラム。
  14. 前記設置台を所定方向に往復動させることで、変動的慣性力を付与することを特徴とする請求項9乃至13の何れかに記載の変動的慣性力付与プログラム。

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