JP7399752B2 - 圧電膜、圧電積層体、圧電素子および圧電積層体の製造方法 - Google Patents
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Description
ニオブ酸カリウムナトリウムからなる多結晶膜であり、
Mnを含み、
結晶の粒界に存在するMnが前記結晶の母相に存在するMnよりも多い圧電膜およびその関連技術が提供される。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態にかかる圧電膜を有する積層体(積層基板)10(以下、圧電積層体10とも称する)は、基板1と、基板1上に製膜された下部電極膜2と、下部電極膜2上に製膜された圧電膜(圧電薄膜)3と、圧電膜3上に製膜された上部電極膜4と、を備えている。
図3に、本実施形態におけるKNN膜3を有するデバイス30(以下、圧電デバイス30とも称する)の概略構成図を示す。圧電デバイス30は、上述の圧電積層体10を所定の形状に成形することで得られる素子20(KNN膜3を有する素子20、以下、圧電素子20とも称する)と、圧電素子20に接続される電圧印加部11aまたは電圧検出部11bと、を少なくとも備えている。電圧印加部11aは、下部電極膜2と上部電極膜4との間(電極間)に電圧を印加するための手段であり、電圧検出部11bは、下部電極膜2と上部電極膜4との間(電極間)に発生した電圧を検出するための手段である。電圧印加部11a、電圧検出部11bとしては、公知の種々の手段を用いることができる。
上述の圧電積層体10、圧電素子20、および圧電デバイス30の製造方法について、図4を用いて説明する。
温度(基板温度):100℃以上500℃以下、好ましくは200℃以上400℃以下
放電パワー:1000W以上1500W以下、好ましくは1100W以上1300W以下
雰囲気:アルゴン(Ar)ガス雰囲気
雰囲気圧力:0.1Pa以上0.5Pa以下、好ましくは0.2Pa以上0.4Pa以下
形成時間:30秒以上3分以下、好ましくは45秒以上2分以下
温度(基板温度):100℃以上500℃以下、好ましくは200℃以上400℃以下
放電パワー:1000W以上1500W以下、好ましくは1100W以上1300W以下
雰囲気:Arガス雰囲気
雰囲気圧力:0.1Pa以上0.5Pa以下、好ましくは0.2Pa以上0.4Pa以下
製膜時間:3分以上10分以下、好ましくは4分以上8分以下、より好ましくは5分以上6分以下
放電パワー:2000W以上2400W以下、好ましくは2100W以上2300W以下
雰囲気:Arガス+酸素(O2)ガス雰囲気
雰囲気圧力:0.2Pa以上0.5Pa以下、好ましくは0.2Pa以上0.4Pa以下
O2ガスに対するArガスの分圧(Ar/O2分圧比):30/1~20/1、好ましくは27/1~22/1
製膜温度:500℃以上600℃以下、好ましくは500℃以上600℃未満、より好ましくは550℃以上600℃未満
製膜速度:0.5μm/hr以上2μm/hr以下、好ましくは0.75μm/hr以上1.5μm/hr以下
温度(基板温度):室温以上300℃以下、好ましくは室温以上100℃以下
放電パワー:100W以上500W以下、好ましくは150W以上300W以下、より好ましくは200W以上250W以下
雰囲気:Arガス雰囲気
雰囲気圧力:0.05Pa以上0.5Pa以下、好ましくは0.05Pa以上0.2Pa以下
形成時間:30秒以上3分以下、好ましくは45秒以上2分以下
アニール温度(積層体の温度):600℃以上、好ましくは600℃以上800℃以下、より好ましくは650℃以上750℃以下
アニール時間:0.5時間以上12時間以下、好ましくは1時間以上6時間以下、より好ましくは2時間以上3時間以下
アニール雰囲気:大気又は窒素雰囲気
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果が得られる。
本実施形態は上述の態様に限定されず、以下のように変形することもできる。また、これらの変形例は任意に組み合わせることができる。なお、以下の変形例等の説明において「KNN膜3」という場合、Mnを含有するKNN膜を意味する場合、Mn非含有のKNN膜を意味する場合、これらの両方を意味する場合を含むものとする。
第1Mn層7または第2Mn層8のうちの少なくともいずれかの層を設ければよい。この場合、熱処理後のKNN膜3のMn濃度が0.2at%以上2.0at%以下となるように、第1Mn層7または第2Mn層8中のMn濃度等を調整する。本変形例においても、結晶粒界に存在するMnが母相に存在するMnよりも多いKNN膜3を得ることができ、上述の実施形態と同様の効果が得られる。しかしながら、KNN膜3の厚さ方向にわたって均一にMnを拡散させる観点から、第1Mn層7および第2Mn層8の両方を設けることが好ましい。
KNN膜3と上部電極膜4との間に密着層を設ける場合は、密着層を設ける前に、第2Mn層8を設けることが好ましい。第2Mn層8は、KNN膜3と密着層との間、つまりKNN膜3の上面と接するように設けることが好ましい。第2Mn層8を密着層と上部電極膜4との間に設けると、密着層によって、第2Mn層8からKNN膜3へのMnの拡散が阻害される場合があるからである。なお、KNN膜3と上部電極膜4との間に密着層を設ける際の条件は、上述の密着層6を設ける際の条件と同様の条件とすることができる。本変形例においても、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
KNN膜3を製膜する際、Mn粉末(又はMnO粉末等)を混合したターゲット材を用い、Mnが添加(ドープ)されたKNN膜(Mn含有KNN膜)を製膜してもよい。ターゲット材中におけるMn粉末(又はMnO粉末等)の混合比率は、第1Mn層7、第2Mn層8からMn含有KNN膜へと拡散されるMnを考慮し、熱処理後のKNN膜3中のMn濃度が0.2at%以上2.0at%以下となる比率とする。Mn含有KNN膜を製膜する際の条件は、上述の実施形態と同様の条件とすることができる。本変形例においても、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
圧電積層体10は、下部電極膜2を備えていなくてもよい。すなわち、圧電積層体10は、基板1と、基板1上に製膜され、結晶粒界に存在するMnが母相に存在するMnよりも多いKNN膜(圧電膜)3と、KNN膜3上に製膜された上部電極膜4(電極膜4)と、を備えて構成されていてもよい。
下部電極膜2とKNN膜3との間に、KNN膜3を構成する結晶の配向を制御する配向制御層を設けてもよい。第1Mn層7を設ける場合は、下部電極膜2と第1Mn層7との間に配向制御層を設けることが好ましい。また、変形例4に記載のように下部電極膜2を設けない場合は、基板1とKNN膜3との間(第1Mn層7を設ける場合は基板1と第1Mn層7との間)に配向制御層を設けることが好ましい。配向制御層は、例えば、SRO、LNO、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3、略称:STO)等の金属酸化物であって、下部電極膜2を構成する材料とは異なる材料を用いて形成することができる。配向制御層を構成する結晶は、基板1の表面に対して(100)面に優先配向していることが好ましい。
上述の実施形態や変形例では、第1Mn層7、第2Mn層8を設け、熱処理を行うことで、Mn非含有KNN膜3A(KNN膜3)へMnを拡散させる場合を例に説明した。しかしながら、本発明は、上述の実施形態や変形例に限定されない。例えば、第1Mn層7および第2Mn層8を設ける代わりに、あるいは、第1Mn層7および第2Mn層8のうち少なくともいずれかの層を設けることに加え、下部電極膜2および上部電極膜4(電極膜4)のうち少なくともいずれかの膜にMnを含ませてもよい。このとき、下部電極膜2の上面(KNN膜3と接する面)に近い側、好ましくは下部電極膜2の最上面にMnを含ませ、また上部電極膜4の下面(KNN膜3と接する面)に近い側、好ましくは上部電極膜4の最下面にMnを含ませることが好ましい。下部電極膜2および上部電極膜4に含ませるMn濃度は、熱処理後のKNN膜3のMn濃度を例えば0.2at%以上2.0at%以下とすることができる濃度とする。なお、本変形例において上部電極膜4にMnを含ませる場合、KNN膜3と上部電極膜4との間に密着層を設けないことが好ましい。上述したように、密着層によってKNN膜3へのMnの拡散が阻害される場合があるからである。その他の構成は、上述の実施形態や変形例と同様である。
上述の実施形態や変形例では、第1Mn層7または第2Mn層8のうちの少なくともいずれかの層を設け、熱処理を行うことで、結晶粒界に存在するMnが母相に存在するMnよりも多いKNN膜3を作製する場合を例に説明した。しかしながら、本発明は、上述の実施形態や変形例に限定されない。例えば、上述の第1Mn層7および第2Mn層8のいずれの層も設けることなく、以下に説明する製法で上述の圧電積層体10を作製することもできる。
以上、本発明の実施形態を具体的に説明した。但し、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
本発明の一態様によれば、
ニオブ酸カリウムナトリウムからなる多結晶膜であり、
Mnを含み、
結晶の粒界に存在するMnが前記結晶の母相に存在するMnよりも多い圧電膜が提供される。
付記1の圧電膜であって、好ましくは、
200℃の温度下で前記圧電膜上に設けられた電極膜に対して300kV/cmの正又は負の電界を印加した際、少なくとも一方の電界印加条件における電界印加開始からリーク電流密度が30mA/cm2を超えるまでの時間が7600秒以上である。
付記1または2の圧電膜であって、好ましくは、
平均粒径が100nm以上である結晶粒で構成されている。
付記1~3のいずれかの圧電膜であって、好ましくは、
Mnの含有量が、前記多結晶膜中のニオブの量に対して0.2at%以上2.0at%以下の範囲内である。
本発明の一態様によれば、
基板と、
電極膜と、
ニオブ酸カリウムナトリウムからなる多結晶膜である圧電膜と、を備え、
前記圧電膜はマンガン(Mn)を含み、
前記圧電膜を構成する結晶の粒界に存在するMnが前記結晶の母相に存在するMnよりも多い圧電積層体が提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、
基板と、
前記基板上に製膜され、ニオブ酸カリウムナトリウムからなる多結晶膜である圧電膜と、
前記圧電膜上に製膜された電極膜と、を備え、
前記圧電膜はMnを含み、
前記圧電膜を構成する結晶の粒界に存在するMnが前記結晶の母相に存在するMnよりも多い圧電素子または圧電デバイスが提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、
基板と、
前記基板上に製膜された下部電極膜と、
前記下部電極膜上に製膜され、ニオブ酸カリウムナトリウムからなる多結晶膜である圧電膜と、
前記圧電膜上に製膜された上部電極膜と、を備え、
前記圧電膜はMnを含み、
前記圧電膜を構成する結晶の粒界に存在するMnが前記結晶の母相に存在するMnよりも多い圧電素子または圧電デバイスが提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、
基板上に、ニオブ酸カリウムナトリウムからなる多結晶膜である圧電膜を製膜する工程と、
前記圧電膜上にMnを含む層又はMnからなる層を設ける工程と、
前記Mnを含む層又は前記Mnからなる層上に電極膜を製膜する工程と、
前記基板と前記圧電膜と前記Mnを含む層又は前記Mnからなる層と前記電極膜とを備える積層体に対して熱処理を行う工程と、を有し、
前記熱処理を行う工程を実施することで、前記Mnを含む層又は前記Mnからなる層中のMnを前記圧電膜へと拡散させ、前記圧電膜を、Mnを含むとともに前記圧電膜を構成する結晶の粒界に存在するMnが前記結晶の母相に存在するMnよりも多い膜とする圧電積層体の製造方法が提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、
基板上に下部電極膜を製膜する工程と、
前記下部電極膜上に、ニオブ酸カリウムナトリウムからなる多結晶膜である圧電膜を製膜する工程と、
前記圧電膜上に上部電極膜を製膜する工程と、
前記基板と前記下部電極膜と前記圧電膜と前記上部電極膜とを備える積層体に対して熱処理を行う工程と、を有し、
前記圧電膜を製膜する工程を行う前に、前記圧電膜の下面と接するようにMnを含む層を設ける工程か、又は、前記圧電膜を製膜する工程を行った後に、前記圧電膜の上面と接するようにMnを含む層又はMnからなる層を設ける工程の少なくともいずれかを行い、
前記熱処理を行う工程を実施することで、前記Mnを含む層又は前記Mnからなる層中のMnを前記圧電膜へと拡散させ、前記圧電膜を、Mnを含むとともに前記圧電膜を構成する結晶の粒界に存在するMnが前記結晶の母相に存在するMnよりも多い膜とする圧電積層体の製造方法が提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、
基板上に、ニオブ酸カリウムナトリウムからなる多結晶膜である圧電膜を製膜する工程と、
前記圧電膜上に、Mnを含む電極膜を製膜する工程と、
前記基板と前記圧電膜と前記電極膜とを備える積層体に対して熱処理を行う工程と、を有し、
前記熱処理を行う工程を実施することで、前記電極膜中のMnを前記圧電膜へと拡散させ、前記圧電膜を、Mnを含むとともに前記圧電膜を構成する結晶の粒界に存在するMnが前記結晶の母相に存在するMnよりも多い膜とする圧電積層体の製造方法が提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、
基板上に下部電極膜を製膜する工程と、
前記下部電極膜上に、ニオブ酸カリウムナトリウムからなる多結晶膜である圧電膜を製膜する工程と、
前記圧電膜上に上部電極膜を製膜する工程と、
前記基板と前記下部電極膜と前記圧電膜と前記上部電極膜とを備える積層体に対して熱処理を行う工程と、を有し、
前記下部電極膜を製膜する工程で前記下部電極膜にMnを含ませるか、又は、前記上部電極膜を製膜する工程で前記上部電極膜にMnを含ませ、
前記熱処理を行う工程を実施することで、前記下部電極膜または前記上部電極膜中のMnを前記圧電膜へと拡散させ、前記圧電膜を、Mnを含むとともに前記圧電膜を構成する結晶の粒界に存在するMnが前記結晶の母相に存在するMnよりも多い膜とする圧電積層体の製造方法が提供される。
付記11の方法であって、好ましくは、
前記下部電極膜を製膜する工程では、前記下部電極膜の上面に近い側にMnを含ませ、かつ、前記上部電極膜を製膜する工程では、前記上部電極膜の下面に近い側にMnを含ませる。
3 圧電膜
10 圧電積層体
Claims (6)
- ニオブ酸カリウムナトリウムからなる多結晶膜であり、
Mnを、前記多結晶膜中のニオブの量に対して0.2at%以上2.0at%以下の範囲内で含み、
前記多結晶膜を構成する結晶は、(001)面方位に優先配向してなり、
前記結晶の粒界に存在するMnが前記結晶の母相に存在するMnよりも多い圧電膜。 - 200℃の温度下で、前記圧電膜上に設けられた電極膜に対して300kV/cmの正又は負の電界を印加した際、少なくとも一方の電界印加条件における電界印加開始からリーク電流密度が30mA/cm2を超えるまでの時間が7600秒以上である請求項1に記載の圧電膜。
- 平均粒径が100nm以上である結晶粒で構成されている請求項1または2に記載の圧電膜。
- 基板と、
電極膜と、
ニオブ酸カリウムナトリウムからなる多結晶膜である圧電膜と、を備え、
前記圧電膜はMnを、前記多結晶膜中のニオブの量に対して0.2at%以上2.0at%以下の範囲内で含み、
前記圧電膜を構成する結晶は(001)面方位に優先配向してなり、
前記圧電膜を構成する前記結晶の粒界に存在するMnが前記結晶の母相に存在するMnよりも多い圧電積層体。 - 基板と、
前記基板上に製膜され、ニオブ酸カリウムナトリウムからなる多結晶膜である圧電膜と、
前記圧電膜上に製膜された電極膜と、を備え、
前記圧電膜はMnを、前記多結晶膜中のニオブの量に対して0.2at%以上2.0at%以下の範囲内で含み、
前記圧電膜を構成する結晶は(001)面方位に優先配向してなり、
前記圧電膜を構成する前記結晶の粒界に存在するMnが前記結晶の母相に存在するMnよりも多い圧電素子。 - 基板上に、ニオブ酸カリウムナトリウムからなる多結晶膜である圧電膜を製膜する工程と、
前記圧電膜上にMnを含む層又はMnからなる層を設ける工程と、
前記Mnを含む層又は前記Mnからなる層上に電極膜を製膜する工程と、
前記基板と前記圧電膜と前記Mnを含む層又は前記Mnからなる層と前記電極膜とを備える積層体に対して熱処理を行う工程と、を有し、
前記熱処理を行う工程を実施することで、前記Mnを含む層又は前記Mnからなる層中のMnを前記圧電膜へと拡散させ、前記圧電膜を、Mnを含むとともに前記圧電膜を構成する結晶の粒界に存在するMnが前記結晶の母相に存在するMnよりも多い膜とする圧電積層体の製造方法。
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