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JP7400331B2 - 熱伝導シートの製造方法 - Google Patents
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JP7400331B2 - 熱伝導シートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱伝導シートの製造方法に関するものである。
近年、パワー半導体(IGBTモジュールなど)や集積回路(IC)チップ等の電子部品は、高性能化に伴って発熱量が増大している。その結果、電子部品を用いた電子機器では、電子部品の温度上昇による機能障害対策を講じる必要が生じている。
ここで、一般に、温度上昇による機能障害対策としては、電子部品等の発熱体に対し、金属製のヒートシンク、放熱板、放熱フィン等の放熱体を取り付けることによって、放熱を促進させる方法が採られている。そして、放熱体を使用する際には、発熱体から放熱体へと熱を効率的に伝えるために、熱伝導性が高いシート状の部材(熱伝導シート)を介して発熱体と放熱体とを密着させている。そのため、発熱体と放熱体との間に挟み込んで使用される熱伝導シートには、高い熱伝導性と、高い柔軟性とを有することが求められている。また、熱伝導シートには、安全性の観点から、高い難燃性を発揮することも求められている。
そこで、例えば、特許文献1には、電子線(EB)架橋型オレフィン系樹脂と、熱伝導性フィラーとを含む熱伝導性樹脂組成物を圧縮成型した後、EB照射により架橋することにより、優れた熱伝導性を有するとともに耐熱性にも優れた熱伝導シート(放熱シート)を製造する方法が開示されている。
特開2012-54312号公報
しかし、シートの表面全体に電子線を直接照射した場合、電子線照射の影響によりシート表面において強く架橋反応が起こり、シート表面の分子鎖同士が収縮するため、当該表面に歪み、変形、しわより等(以下、まとめてしわより等という)が生じ(電子線が強く、また電子線吸収線量が多いほど表面の架橋反応が強く起こる)、シートの表面に凹凸ができ、ヒートシンク等の金属製被着体との間に空隙が生じ、熱抵抗の悪化、密着性の低下などが生じてしまうという問題があった。
そこで、本発明は、表面にしわより等が生じるのを抑制しつつ、シート強度および熱伝導性に優れる熱伝導シートを製造する技術を提供することを目的とする。
本発明者は上記目的を達成するため、鋭意検討を行った。そして、本発明者は、電子線架橋型樹脂と、熱伝導性充填材とを含むシートの少なくとも一方の表面に対し、電子線吸収線量が異なる領域が形成されるように電子線を照射すれば、シート表面にしわより等が生じるのを抑制しつつ、シート強度および熱伝導性に優れる熱伝導シートが得られることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明に係る熱伝導シートの製造方法は、電子線架橋型樹脂と熱伝導性充填材とを含む熱伝導シートの製造方法であって、前記方法は、電子線架橋型樹脂と熱伝導性充填材とを含むシートの少なくとも一方の表面に対し、電子線吸収線量が異なる領域が形成されるように電子線を照射する工程を含むことを特徴とする。このように、電子線架橋型樹脂と熱伝導性充填材とを含むシートの少なくとも一方の表面に対し、電子線吸収線量が異なる領域が形成されるように電子線を照射すれば、シート表面にしわより等が生じるのを抑制しつつ、シート強度および熱伝導性に優れる熱伝導シートを提供することができる。
ここで、前記電子線を照射する工程は、電子線の透過率の異なる部分がパターン状に配置されてなるマスク部材を介して前記表面に電子線を照射することを含むことが好ましい。上記方法によれば、熱伝導シートの少なくとも一方の表面に対し、電子線吸収線量が異なる領域を形成することが容易になる。
前記マスク部材のパターンが、矩形状の開口を複数有するメッシュ構造のパターン、または円形状の開口を複数有するパンチング構造のパターンであることが好ましい。このような構成とすることで、熱伝導シートの少なくとも一方の表面に対し、電子線吸収線量が異なる領域を形成することが容易になる。
また、前記マスク部材の前記開口の開口率が30%以上90%以下であることが好まく、35%以上85%以下であることがより好ましく、40%以上80%以下であることがさらに好ましい。開口率を上記範囲内とすれば、得られる熱伝導シートのしわより等の抑制と、シートと金属製被着体との密着性を保持したまま、シート強度とを高いレベルで両立させることができる。
前記電子線を照射する工程は、前記シートの前記表面における照射面当たりの照射線量が50kGy以上9000kGy以下となるように電子線を照射することを含むことが好ましい。シート表面における照射面当たりの電子線の照射線量を上記範囲内とすれば、得られる熱伝導シートのしわより等の抑制とシート強度とを高いレベルで両立させることができる。
ここで、電子線照射における照射線量は、照射線量で表記され、単位としてグレイ(Gy)が用いられる。これは、「1kg当たり1ジュールのエネルギーの吸収があるときの照射線量(1Gy)」となる。
この上記照射線量は、電子線の透過量からフィルム線量計が用いられる。つまり、フィルム線量計は、フィルムに電子線で発色する物質が含有されており、その線量測定用フィルムに電子線が照射されたことにより吸収エネルギーを得ると分光特性が変化し、フィルムが変色する。その変色した度合いと照射線量には相関関係があり、照射線量は、ある特定波長の吸光度を測定することで測定することができる。なお、本発明において、電子線の「照射線量」とは、ラジオクロミックフィルム線量計(Far West Technology製、FWT-60)を用いて測定した値を指す。
本発明の熱伝導シートの製造方法において、前記電子線架橋型樹脂は、常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂を含むことが好ましい。電子線を照射するシートに常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂を含有させれば、熱抵抗の上昇を抑えて十分に高い熱伝導性を有する熱伝導シートを得ることができる。また、電子線の照射に起因する表面のしわより等を抑制することができるので、シートの平滑性を保ったまま、シート強度を高めることができる。
なお、本発明において、「常温」とは23℃を指し、「常圧」とは1atm(絶対圧)を指す。
更に、本発明の熱伝導シートの製造方法において、得られる熱伝導シートの厚みが50μm以上600μm以下であることが好ましい。シートの厚みが上記範囲内であれば、得られる熱伝導シートを発熱体と放熱体との間に挟み込んで好適に使用することができる。
なお、本発明において、シートの「厚み」とは、デジマチックインジケーター(株式会社ミツトヨ製、ID-C112X)を用いて1/1000mmの精度で測定した値を指す。
本発明によれば、表面にしわより等が生じるのを抑制しつつ、シート強度および熱伝導性に優れる熱伝導シートを製造する技術を提供することができる。
マスク部材のパターンの一例であるメッシュ構造を示す模式図である。 マスク部材のパターンの一例であるパンチング構造を示す模式図である。 マスク部材のパターンの一例であるメッシュ構造を示す模式図である。 マスク部材のパターンの一例である長孔構造を示す模式図である。 マスク部材のパターンの一例であるスリット孔構造を示す模式図である。 マスク部材のパターンの一例である、円形状の開口と十文字状の開口を交互に設けた構造を示す模式図である 実施例8および9における熱抵抗試験を説明するための熱伝導シートの模式図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ここで、本発明の熱伝導シートの製造方法は、例えば、電子線架橋型樹脂と熱伝導性充填材とを含む熱伝導シートを製造する際に用いられる。そして、本発明の製造方法により製造した熱伝導シートは、例えば、発熱体に放熱体を取り付ける際に発熱体と放熱体との間に挟み込んで使用することができる。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
(熱伝導シートの製造方法)
本発明の熱伝導シートの製造方法は、電子線架橋型樹脂と、熱伝導性充填材とを含むシートの少なくとも一方の表面に対し、電子線吸収線量が異なる領域が形成されるように電子線を照射する工程(電子線照射工程)を含む。そして、本発明の熱伝導シートの製造方法では、照射工程において電子線が照射されるシートの電子線架橋型樹脂として、常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂を含有する電子線架橋型樹脂を使用することが好ましい。
なお、本発明の熱伝導シートの製造方法では、照射工程において電子線を照射されたシートをそのまま熱伝導シートとしてもよいし、電子線を照射したシートに対して更に後処理を施してなるシートを熱伝導シートとしてもよい。即ち、本発明の熱伝導シートの製造方法は、照射工程の後に、電子線が照射されたシートに対して後処理を施す後処理工程を更に含んでもよい。
そして、本発明の熱伝導シートの製造方法では、電子線架橋型樹脂と、熱伝導性充填材とを含むシートの少なくとも一方の表面に対し電子線吸収線量が異なる領域が形成されるように電子線を照射して、シートの表層部を電子線処理しているので、表面に歪み、変形、しわより等(以下まとめてしわより等という)が生じるのを抑制しつつ、シート強度および熱伝導性に優れる熱伝導シートを得ることができる。
<照射工程>
照射工程では、電子線架橋型樹脂と、熱伝導性充填材とを含むシートの少なくとも一方の表面に対し電子線吸収線量が異なる領域が形成されるように電子線を照射する。
[シート]
ここで、電子線を照射するシートとしては、電子線架橋型樹脂と、熱伝導性充填材とを含有し、任意に添加剤を更に含有するシートを用いることができる。
―電子線架橋型樹脂―
シートを構成する電子線架橋型樹脂としては、常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂を少なくとも用いることが好ましく、常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂と、常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂とを併用することがより好ましい。電子線架橋型樹脂として常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂を用いない場合には、得られる熱伝導シートの熱抵抗が上昇し、熱伝導性に優れる熱伝導シートを得ることができない。また、電子線架橋型樹脂として常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂と常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂とを併用すれば、得られる熱伝導シートのシート強度を高めることができる。
なお、本発明において、ゴムおよびエラストマーは、「樹脂」に含まれるものとする。
常温常圧下で液体の樹脂としては、常温常圧下で液体の熱可塑性樹脂および常温常圧下で液体の熱硬化性樹脂が挙げられる。
そして、常温常圧下で液体の熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。
また、常温常圧下で液体の熱硬化性樹脂としては、例えば、天然ゴム;ブタジエンゴム;イソプレンゴム;ニトリルゴム;水素化ニトリルゴム;クロロプレンゴム;エチレンプロピレンゴム;塩素化ポリエチレン;クロロスルホン化ポリエチレン;ブチルゴム;ハロゲン化ブチルゴム;ポリイソブチレンゴム;エポキシ樹脂;ポリイミド樹脂;ビスマレイミド樹脂;ベンゾシクロブテン樹脂;フェノール樹脂;不飽和ポリエステル;ジアリルフタレート樹脂;ポリイミドシリコーン樹脂;ポリウレタン;熱硬化型ポリフェニレンエーテル;熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル;などが挙げられる。
また、常温常圧下で固体の樹脂としては、常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂および常温常圧下で固体の熱硬化性樹脂が挙げられる。
そして、常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ(アクリル酸2-エチルヘキシル)、アクリル酸とアクリル酸2-エチルヘキシルとの共重合体、ポリメタクリル酸またはそのエステル、ポリアクリル酸またはそのエステルなどのアクリル樹脂;シリコン樹脂;フッ素樹脂;ポリエチレン;ポリプロピレン;エチレン-プロピレン共重合体;ポリメチルペンテン;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリ酢酸ビニル;エチレン-酢酸ビニル共重合体;ポリビニルアルコール;ポリアセタール;ポリエチレンテレフタレート;ポリブチレンテレフタレート;ポリエチレンナフタレート;ポリスチレン;ポリアクリロニトリル;スチレン-アクリロニトリル共重合体;アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂);スチレン-ブタジエンブロック共重合体またはその水素添加物;スチレン-イソプレンブロック共重合体またはその水素添加物;ポリフェニレンエーテル;変性ポリフェニレンエーテル;脂肪族ポリアミド類;芳香族ポリアミド類;ポリアミドイミド;ポリカーボネート;ポリフェニレンスルフィド;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリエーテルニトリル;ポリエーテルケトン;ポリケトン;ポリウレタン;液晶ポリマー;アイオノマー;などが挙げられる。
また、常温常圧下で固体の熱硬化性樹脂としては、例えば、天然ゴム;ブタジエンゴム;イソプレンゴム;ニトリルゴム;水素化ニトリルゴム;クロロプレンゴム;エチレンプロピレンゴム;塩素化ポリエチレン;クロロスルホン化ポリエチレン;ブチルゴム;ハロゲン化ブチルゴム;ポリイソブチレンゴム;エポキシ樹脂;ポリイミド樹脂;ビスマレイミド樹脂;ベンゾシクロブテン樹脂;フェノール樹脂;不飽和ポリエステル;ジアリルフタレート樹脂;ポリイミドシリコーン樹脂;ポリウレタン;熱硬化型ポリフェニレンエーテル;熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル;などが挙げられる。
~常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂~
ここで、常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂としては、例えば、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロペンテン-テトラフルオロエチレン3元共重合体、パーフルオロプロペンオキサイド重合体、テトラフルオロエチレン-プロピレン-フッ化ビニリデン共重合体などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
~常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂~
また、常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂としては、例えば、フッ化ビニリデン系フッ素樹脂、テトラフルオロエチレン-プロピレン系フッ素樹脂、テトラフルオロエチレン-パープルオロビニルエーテル系フッ素樹脂等、フッ素含有モノマーを重合して得られるエラストマーなどが挙げられる。より具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン-クロロフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン-パーフルオロジオキソール共重合体、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン-プロピレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレンのアクリル変性物、ポリテトラフルオロエチレンのエステル変性物、ポリテトラフルオロエチレンのエポキシ変性物およびポリテトラフルオロエチレンのシラン変性物等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
そして、常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂と、常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂とを併用する場合、電子線架橋型樹脂100質量%中における常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂の割合は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂の割合が上記下限値以上であれば、得られる熱伝導シートの熱伝導性を更に高めることができる。また、常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂の割合が上記上限値以下であれば、得られる熱伝導シートのシート強度を高めることができる。
―熱伝導性充填材―
シートを構成する熱伝導性充填材としては、特に限定されることなく、例えば、アルミナ粒子、酸化亜鉛粒子、無機窒化物粒子、炭化ケイ素粒子、酸化マグネシウム粒子および粒子状炭素材料などの粒子状材料、並びに、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維、有機繊維を炭化して得られる炭素繊維、およびそれらの切断物などの繊維状材料を用いることができる。中でも、熱伝導性充填材としては、粒子状炭素材料、無機窒化物粒子などの粒子状材料およびカーボンナノチューブ(CNT)などの繊維状炭素ナノ材料、からなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
なお、熱伝導性充填材は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
そして、シートが含有する熱伝導性充填材の量は、特に限定されることなく、例えば、上述した電子線架橋型樹脂100質量部当たり5質量部以上200質量部以下とすることができる。
~粒子状材料~
粒子状材料としては、特に制限されることはなく、例えば、人造黒鉛、鱗片状黒鉛、薄片化黒鉛、天然黒鉛、酸処理黒鉛、膨張性黒鉛、膨張化黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック;無機窒化物粒子、アルミナ粒子、酸化亜鉛粒子、炭化ケイ素粒子、酸化マグネシウム粒子などを用いることができる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を任意の比率で併用してもよい。
これらの中でも、膨張化黒鉛および無機窒化物粒子からなる群から少なくとも一種を用いることが好ましい。膨張化黒鉛または無機窒化物粒子を用いれば、熱伝導シートの熱伝導性をより向上させることができる。
膨張化黒鉛は、例えば、鱗片状黒鉛などの黒鉛を硫酸などで化学処理して得た膨張性黒鉛を、熱処理して膨張させた後、微細化することにより得ることができる。そして、膨張化黒鉛としては、例えば、EC1500、EC1000、EC500、EC300、EC100、EC50(いずれも商品名、伊藤黒鉛工業株式会社製)等が挙げられる。
無機窒化物粒子としては、例えば、窒化ホウ素粒子、窒化アルミニウム粒子、窒化ケイ素粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で併用してもよい。
これらの中でも、熱伝導シートに対する電気絶縁性および熱伝導性の付与の点で、窒化ホウ素粒子が好ましい。
ここで、窒化ホウ素粒子の市販品の具体例としては、例えば、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製の「PT」シリーズ(例えば、「PT-110」);昭和電工社製の「ショービーエヌUHP」シリーズ(例えば、「ショービーエヌUHP-1」);Dangdong Chemical Engineering Institute Co.,Ltd.社製の「HSL」、「HS」;などが挙げられる。
ここで、熱伝導性充填材における粒子状材料の含有割合は、電子線架橋型樹脂100質量%中、40質量%であることが好ましく、70質量%であることがより好ましく、130質量以下であることが好ましく、100質量%以下がより好ましい。粒子状材料の含有割合が上記範囲であれば、熱伝導性と被着体への密着性に優れるからである。
そして、粒子状熱伝導性充填材の体積平均粒子径は、0.1μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、300μm以下であることが好ましく、250μm以下であることがより好ましい。粒子状熱伝導性充填材の体積平均粒子径が上記範囲内であれば、熱伝導シートの熱伝導性を向上させることができる。
なお、体積平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒子径測定装置(株式会社堀場製作所社製、LA-960シリーズ)を用いて測定することができる。
~繊維状材料~
繊維状材料として好適に使用し得る、CNTを含む繊維状炭素ナノ材料は、CNTのみからなるものであってもよいし、CNTと、CNT以外の繊維状の炭素ナノ材料との混合物であってもよい。
なお、繊維状炭素ナノ材料中のCNTとしては、特に限定されることなく、単層カーボンナノチューブおよび/または多層カーボンナノチューブを用いることができるが、CNTは、単層から5層までのカーボンナノチューブであることが好ましく、単層カーボンナノチューブであることがより好ましい。
更に、上述した繊維状炭素ナノ材料としては、特に限定されることなく、CNT製造用の触媒層を表面に有する基材上に、原料化合物およびキャリアガスを供給して、化学的気相成長法(CVD法)によりCNTを合成する際に、系内に微量の酸化剤(触媒賦活物質)を存在させることで、触媒層の触媒活性を飛躍的に向上させるという方法(スーパーグロース法;国際公開第2006/011655号参照)に準じて製造したCNTを含む繊維状炭素ナノ材料を用いることが好ましい。なお、以下では、スーパーグロース法により得られるカーボンナノチューブを「SGCNT」と称することがある。
ここで、スーパーグロース法により製造したSGCNTを含む繊維状炭素ナノ材料は、SGCNTのみから構成されていてもよいし、SGCNTに加え、例えば、非円筒形状の炭素ナノ構造体等の他の炭素ナノ構造体が含まれていてもよい。
熱伝導性充填材が、繊維状材料を含む場合には、熱伝導性充填材における繊維状材料の含有割合は、0.001質量%以上であることが好ましく、0.005質量%以上であることがより好ましく、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。繊維状材料の含有割合が上記下限値以上であれば、伝熱パスを良好に形成できるため、熱伝導シートの熱伝導性をより高めることができる。また、繊維状材料の含有割合が上記上限値以下であれば、繊維状材料の配合により熱伝導シートの柔軟性が低下するのを抑制し、熱伝導シートと被着体(発熱体、放熱体)との間の密着性を高めて、熱伝導シートに優れた熱伝導性を発揮させることができる。
―添加剤―
シートに任意に配合し得る添加剤としては、特に限定されることなく、例えば、難燃剤、可塑剤、MgO等の受酸剤、靭性改良剤、吸湿剤、接着力向上剤、濡れ性向上剤、イオントラップ剤などが挙げられる。
そして、添加剤の配合量は、所期の効果が得られる範囲内で適宜に調節することができる。
―シートの調製方法―
電子線架橋型樹脂と、熱伝導性充填材とを含むシートは、特に限定されることなく、任意のシート形成方法を用いて調製することができる。
中でも、電子線架橋型樹脂と、熱伝導性充填材とを含むシートは、上述した電子線架橋型樹脂と熱伝導性充填材とを含み、任意に添加剤を更に含有し得る複合材料を加圧してシート状に成形し、複合材料シートを得る工程と、複合材料シートを厚み方向に複数枚積層して、或いは、複合材料シートを折畳または捲回して、積層体を得る工程と、積層体を、積層方向に対して45°以下の角度でスライスし、シートを得る工程とを経て製造することが好ましい。上述した工程を経て製造されたシートは、積層体を構成していた複合材料シートのスライス片が並列接合されてなる構成を有しており、熱伝導性充填材が厚み方向に配向するため、厚み方向の熱伝導率に優れているからである。
ここで、得られる熱伝導シートの熱抵抗の低減およびハンドリング性の向上の観点からは、電子線架橋樹脂と熱伝導性充填材とを含むシートの厚みは、50μm以上300μm以下であることが好ましい。なお、上記シートに電子線を照射して得られる熱伝導シートは、通常、シートと同じ厚みを有している。そして、当該熱伝導シートは、発熱体と放熱体との間に挟み込んで好適に使用することができる。
[電子線の照射]
上述したシートへの電子線の照射は、特に限定されることなく、例えば酸素濃度1000質量ppm以下の低酸素濃度環境下において、電子線照射装置を用いて行うことが好ましい。低酸素濃度環境は、チャンバー内を減圧する方法やチャンバーに窒素を導入する方法で準備することができるが、チャンバーに窒素を導入する方法が生産効率上好ましい。
ここで、電子線は、シートの少なくとも一方の表面に照射すればよい。また、電位線の照射距離は、5mm以上20mm以下であることが好ましい。さらに、搬送速度は5mm/s以上100mm/s以下であることが好ましい。搬送速度は、早い方が生産効率を向上させるため好ましいが、電子線照射線量を同じにする場合、ビーム電流を高くする必要がある。しかし単にビーム電流を高くするだけでは、しわより等が発生し、好ましくない場合がある。そこで、搬送を複数回実施することで、比較的弱い加速電圧とビーム電流で、しわよりを抑制することができる。しかしながら、生産効率を向上させる観点からは、通常、搬送回数は少ない方が好ましい。そのため、ビーム電流と搬送速度とを調整して、しわより等の発生を抑制することがより好ましい。
また、本発明において、電子線を照射する工程はシートの少なくとも一方の表面に対し、電子線吸収線量が異なる領域が形成されるように電子線を照射する工程を含む。ここで、電子線の「吸収線量」とは、マスク上に照射する量ではなくシート表面に実際に当たる量をいう。
シートの少なくとも一方の面に対し電子線吸収線量が異なる領域が形成されるように電子線を照射する方法は、特段限定されないが、例えば、電子線の透過率の異なる部分がパターン状に配置されてなるマスク部材をシートの上に載置(積層)し、当該マスク部材を介して電子線を照射する方法を採用すればよい。電子線吸収線量が異なる領域は、場所ごとに電子線の照射線量を変更することにより形成することも可能であるが、上述したようにマスク部材を使用すれば、一定の照射線量で電子線を照射しつつ電子線吸収線量が異なる領域を容易に形成することができる。
電子線吸収線量が異なる領域が形成されるように電子線を照射することで、電子線の照射に起因する表面のしわより等を抑制することができるので、シートの平滑性を保ったままシート強度を高めることができる
そして、電子線の照射線量は、照射面当たり、50kGy以上であることが好ましく、100kGy以上であることがより好ましく、1000kGy以上であることが更に好ましく、2000kGy以上であることが特に好ましく、9000kGy以下であることが好ましく、8000kGy以下であることがより好ましく、6000kGy以下であることがさらに好ましい。電子線の照射線量が上記下限値以上であれば、得られる熱伝導シートの強度を十分に高めることができる。また、電子線の照射線量が上記上限値以下であれば、得られる熱伝導シートの表面のしわより等を抑制することができる。
また、電子線は線状に照射されるため、照射線量を均一にするためシートを一定速度で搬送する。電子線の照射線量は、加速電圧とビーム電流で決まる。
ここで、加速電圧は、50kV以上が好ましく、70kV以上がさらに好ましく、250kV以下が好ましく、200kV以下がさらに好ましい。また、ビーム電流は、1.0mA以上が好ましく、1.7mAがさらに好ましく、15mA以下が好ましく、12mA以下がさらに好ましい。
なお、シートの両面に電子線を照射する場合には、少なくとも一方の表面(照射面)に対する照射線量が上記範囲内であれば、他方の表面(照射面)に対する照射線量は上記範囲外であってもよいが、シートの両方の表面(照射面)に対する照射線量が上記範囲内であることが好ましい。
[マスク部材]
マスク部材は、電子線透過率の異なる部分をパターン状に配置した板状またはシート状の部材とすることができる。ここで、電子線透過率の異なる部分は、例えば、電子線透過率が高い「高透過部分」と、電子線を透過しない「非透過部分」または電子線透過率が「高透過部分」よりも低い「低透過部分」とで構成することができる
マスク部材のパターンは、例えば、電子線を透過しない金属を用いて、矩形状の開口を複数有するメッシュ構造のパターン、または円形状の開口を複数有するパンチング構造のパターンとすることができる。ここで、開口を、例えば、「高透過部分」としてパターン状に設け、それ以外の部分を「非透過部分」として形成することができる。
または、電子線を透過させる非金属を用いて、マスク部材でパターン形成してもよい。
または、電子線透過率の異なる2種以上の素材をそれぞれ「高透過部分」と「非透過部分」または「低透過部分」として組み合わせてパターンを形成してもよい。または、「高透過部分」としての肉薄部と「低透過部分」としての肉厚部で構成した凹凸形状のパターンとしてもよい。
ここで、マスク部材として非金属を用いる場合、マスク部材の高透過部分における電子線透過率は50%以上100%未満とすることが好ましい。また、マスク部材の低透過部分における電子線透過率は、10%以上50%未満とすることが好ましい。
なお、本発明において、電子線透過率とは、マスク部材を設置しなかったときの電子線吸収線量を100%とし、マスク部材を設置したときの電子線吸収線量で割り返した値を指し、電子線吸収線量計により測定した値を指す。
マスク部材に用いる金属としては、特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼材(SUS)、鉄、アルミ、銅、を用いることができる。
また、マスク部材に用いる非金属としては、例えば、厚さ1~20μm程度の樹脂フィルム、粘着剤、接着剤、樹脂不織布等、電子線を適度に透過させる任意のものが挙げられる。
図1~図6に、マスク部材のパターンの好適な構成例を例として示すが、本発明のマスク部材のパターンはこれらに限定されない。
図1~図6に示すように、マスク部材の開口(高透過部分)は、例えば、スリット(長孔)形状、円形状(楕円も含む)、矩形状等とすることができる。また、低透過部分は、例えば、メッシュ状、格子状とすることができる。
また、シート上に、円形状、矩形状、ひし形のパターンのマスク部材を転写して電子線照射したのちに除去すると、図1~図6とは逆のパターンで吸収線量の異なる領域を形成することができる。
例えば、マスク部材のパターンは、図2に示すような、円形状の開口を複数配列して設けたパンチング構造とすることができる。各開口の直径は3φ以上20φ以下であることが好ましく、開口の間隔は1mm以上5mm以下であることが好ましい。実際のマスク部材のパターンは、電子材料の熱伝導シートとして用いられる被着体の大きさにより要求される熱特性や密着性、シート強度に合わせて逐次設計することが好ましい。
例えば、マスク部材のパターンは、図1、図3に示すような、矩形状の開口を複数設けた構造とすることができる。矩形には、例えば、正方形、長方形、ひし形等が含まれる。
例えば、マスク部材のパターンは、図4、図5に示すような、スリット(長孔)形状の開口を複数設けた構造とすることができる。図4において、各開口はその短手方向において千鳥状に配置され、図5において、各開口はその長手方向に千鳥状に配置されている。スリット形状は、特に、シート強度を強めたい方向と開口の長手方向とを一致させてパターンを形成することが可能となる点で、好適に用いることができる。
さらに、マスク部材のパターンは、例えば、図6に示すような、円形状の開口と十文字状の開口を交互に設けた構造とすることもできる。
マスク部材は、線材を編んだメッシュ構造として形成することができる。メッシュ構造は、例えば、平織り金網、綾織り金網等を用いて構成することができる。
マスク部材において、開口(高透過部分)の開口率は50%以上90%以下であることが好ましい。マスク部材の開口率を上記範囲内とすれば、得られる熱伝導シートにおけるしわより等の抑制とシート強度とを高いレベルで両立させることができる。
マスク部材に高透過部分と非透過部分または低透過部分とを設けることで、マスク部材の高透過部分においては電子線吸収線量が高く、非透過部分または低透過部分においては電子吸収線量が高透過部分よりも低くなるので、熱伝導シート表面における電子線吸収線量に差異を設けることができる。マスク部材の高透過部分と非透過部分または低透過部分の形状によって電子線吸収線量にパターン状の差異を設けることができるため、マスク部材のパターンと近似するパターンを有する電子線吸収線量が異なる領域がシート表面に転写形成される。ここで、マスク部材の高透過部分に相当するシート上の領域を電子線高吸収線量領域とよび、マスク部材の非透過部分または低透過部分に相当するシート上の領域を電子線低吸収線量領域とよぶ。
また、マスク部材をシート表面から離間させた状態で電子線を照射してもよい。その場合、マスク部材とシートとの距離は、0.1mm以上1mm以下とすることが好ましい。上記下限値以上とすることにより、マスク部材とシートが接触することを防ぎ、上記上限値以下とすることにより、マスク部材のパターンをより正確に転写することができる。
このように、上記のマスク部材を介してシート表面上に電子線を照射すれば、当該表面上に電子線吸収線量が異なる領域を容易に形成することができる。つまり、マスク部材のパターンがほぼ転写された、電子線吸収線量の異なる領域をシート表面上に容易に形成することができる。そして、シート上に電子線吸収線量の異なる領域が上記のパターンで形成されるように電子線を照射することにより、得られる熱伝導シートにおけるしわより等を抑制しつつ、シート強度を高めることができる。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」および「部」は、特に断らない限り、質量基準である。また、実施例および比較例において、シートの厚み、熱伝導シートの熱抵抗値、しわより性、および引張強度は、下記の方法で測定および評価した。
<熱伝導シートの厚み>
熱伝導シートの厚み(総膜厚)は、デジマチックインジケーター(株式会社ミツトヨ製、ID-C112X)を用いて、1/1000mmの精度で測定した。
<熱抵抗値>
熱伝導シートの熱抵抗値は、樹脂材料熱抵抗試験器(株式会社日立テクノロジーアンドサービス社製)を用いて測定した。ここで、1.0cm角の略正方形に切り出した熱伝導シートを試料とし、試料温度50℃において、比較的低圧である0.30MPaを加えたときの熱抵抗値(℃/W)と、試料温度50℃において、比較的高圧である0.80MPaを加えたときの熱抵抗値(℃/W)とをそれぞれ測定し、以下の基準で評価した。
A:0.21以下
B:0.21超0.30未満
C:0.30以上0.40未満
D:0.40以上
<引張強度>
引張強度(シート強度)は、次のように測定した。まず、熱伝導シートをJIS K6251に準拠してダンベル2号にて打ち抜き成型し、試料片を作製した。引張試験機(島津製作所社製、商品名AG-IS20kN)を用い、試料片の両末端から1cmの箇所をつまみ、温度25℃で、試料片の表面から出る法線に対して垂直な方向(MD方向またはTD方向)に、500mm/分の引張速度で引っ張り、MD方向引張強度(MPa)およびTD方向引張強度(MPa)をそれぞれ測定し、以下の基準で評価した。
A:1.5以上
B:1.0以上1.5未満
C:0.5以上1.0未満
D:0.5未満
<しわより性>
電子線照射後のシートのしわより性は、電子線照射1日後の熱伝導シートの表面全体におけるしわよりの程度を目視観察により検査した。得られた検査結果に基づき、以下の基準で評価した。
A:しわよりなし
B:シート端部に弱いしわよりあり
C:シート端部に多数の強いしわ、全体に緩やかなしわよりあり
D:シート全体に多数の強いしわ、全体にうねりがあり平らにできない
(実施例1)
<シートの準備>
カーボンナノチューブ(日本ゼオン社製、単層カーボンナノチューブ、比表面積:600m2/g)を400mg量り取り、溶媒としてのメチルエチルケトン2L中に混ぜ、ホモジナイザーにより2分間撹拌し、粗分散液を得た。次に、湿式ジェットミル(株式会社常光社製、製品名:「JN-20」)を使用し、得られた粗分散液を湿式ジェットミルの0.5mmの流路に100MPaの圧力で2サイクル通過させて、カーボンナノチューブをメチルエチルケトンに分散させた。そして、固形分濃度0.20質量%の分散液を得た。
その後、得られた分散液をキリヤマろ紙(No.5A)を用いて減圧ろ過し、シート状の易分散性カーボンナノチューブ集合体を得た。
次に、常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂(ダイキン工業株式会社製、商品名:「ダイエルG-101」)を70部と、常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂(スリーエムジャパン株式会社製、商品名:「ダイニオンFC-2211」、ムーニー粘度:27ML1+4、100℃)を30部と、熱伝導性充填材である膨張化黒鉛(伊藤黒鉛工業株式会社製、商品名:「EC300」、体積平均粒子径:50μm、短軸方向の平均粒子径:10~20μm)90部および上述で得られた易分散性カーボンナノチューブ集合体0.5部とを、加圧ニーダー(日本スピンドル社製)を用いて、温度150℃にて20分間撹拌混合した。次に、得られた混合物を解砕機に投入して、10秒間解砕することにより、複合材料を得た。
次いで、得られた複合材料50gを、サンドブラスト処理を施した厚み50μmのPETフィルム(保護フィルム)で挟み、ロール間隙550μm、ロール温度50℃、ロール線圧50kg/cm、ロール速度1m/分の条件にて圧延成形(一次加圧)し、厚み0.5mmの複合材料シートを得た。
続いて、得られた複合材料シートを縦150mm×横150mm×厚み0.5mmに裁断し、複合材料シートの厚み方向に300枚積層し、更に、温度120℃、圧力0.1MPaで3分間、積層方向にプレス(二次加圧)することにより、高さ約150mmの積層体を得た。
その後、二次加圧された積層体の側面を0.3MPaの圧力で押し付けながら、木工用スライサー(株式会社丸仲鐵工所製、商品名:「超仕上げかんな盤スーパーメカS」)を用いて、積層方向に対して0°の角度で(換言すれば、積層された複合材料シートの主面の法線方向に)スライスすることにより、縦150mm×横150mm×厚み0.10mmのシートを得た。
<熱伝導シートの製造>
上記シートに、図1に示すようなパターンを有する金網メッシュ(長谷川金網社製、20メッシュ、線径0.20mm、目開き1.39mm、開口率71.0%)を載置(積層)し、低エネルギー電子線照射装置(浜松ホトニクス社製、型番:L12978)を用いて、管電圧70kV、管電流5.19mA、搬送速度15mm/sでシートを移動させ、搬送回数を往復で計2回として電子線がシート上に均一に照射されるようにし、照射距離10mm、酸素濃度1000ppmの条件で、電子線照射(各照射面の照射線量:1000kGy)を実施した。また、裏側にも同様にして、両面に電子線を照射した。
そして、得られた熱伝導シートの熱抵抗値、引張強度、およびしわより性を上記の通り測定して評価した。結果を表1に示す。
(実施例2)
熱伝導シートの製造時に、搬送回数を往復で計6回とし、各照射面の照射線量を3000kGyに変更した他は、実施例1と同様にしてシートおよび熱伝導シートを製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
熱伝導シートの製造時に、搬送回数を往復で計12回とし、各照射面の照射線量を6000kGyに変更した他は、実施例1と同様にしてシートおよび熱伝導シートを製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
熱伝導シートの製造時に、搬送回数を往復で計18回とし、各照射面の照射線量を9000kGyに変更した他は、実施例1と同様にしてシートおよび熱伝導シートを製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
シートの準備時に、膨張化黒鉛「EC300」90部に代えて、膨張化黒鉛「EC100」(伊藤黒鉛工業株式会社製、体積平均粒子径:200μm、短軸方向の平均粒子径:10~20μm)50部を用い、スライス膜厚を150μmに調整して熱伝導シートを製造し、熱伝導シートの製造時に、搬送回数を往復で計4回とし、各照射面の照射線量を2000kGyに変更した他は、実施例1と同様にして熱伝導シートを製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
シートの準備時に、常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂「ダイニオンFC-2211」を用いずに、常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂「ダイエルG-101」を100部用いた他は、実施例2と同様にしてシートおよび熱伝導シートを製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例7)
シートの準備時に、膨張化黒鉛「EC300」90部に代えて、電気絶縁性を有する熱伝導性充填材としての窒化ホウ素粒子(Dangdong Chemical Engineering Institute Co.,Ltd.社製、商品名:「HSL」、体積平均粒子径:36μm、電子顕微鏡観察における長軸方向の平均粒子径:30μm、短軸方向の平均粒子径:0.5~3μm、六方晶窒化ホウ素粒子)90部を用いた他は、実施例2と同様にしてシートおよび熱伝導シートを製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例8)
熱伝導シートの製造時に、図2に示すような円形状の開口が千鳥状に配列した形状パターンを有するパンチングメタル(石川金網社製、φ10、間隔0.5mm、開口率64%)を用いた他は、実施例2と同様にして、熱伝導シートを製造した。また、熱抵抗試験において、図7に示すように、熱伝導シート表面上の電子線照射部分(電子線高吸収線量領域)が左端に来るようにして10mm角の略正方形に熱伝導シートを切り出し(図7)、熱抵抗を測定した。熱抵抗測定時の電子線高吸収線量領域の総面積は、全体の50%であった。
(実施例9)
実施例8において、熱伝導シート表面上の電子線照射部分(電子線高吸収線量領域領域)を、図7に示すように、3つの円を跨ぐようにして熱伝導シートを10mm角の略正方形に切り出し(図7)、熱抵抗を測定した。熱抵抗測定時の電子線高吸収線量領域の総面積は、全体の30%であった。
(比較例1)
熱伝導シートの製造時に、金網メッシュを用いなかった他は、実施例1と同様にしてシートおよび熱伝導シートを製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
熱伝導シートの製造時に、パンチングメタルを用いず、電子線を片面にのみ照射した他は、実施例8と同様にしてシートおよび熱伝導シートを製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
熱伝導シートの製造時に、金網メッシュを用いなかった他は、実施例3と同様にしてシートおよび熱伝導シートを製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例4)
熱伝導シートの製造時に、金網メッシュを用いなかった他は、実施例4と同様にしてシートおよび熱伝導シートを製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例5)
実施例1と同様にしてシートを製造し、金網メッシュを用いた電子線の照射を行わずに、そのまま熱伝導シートとした。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0007400331000001
表1に示すように、マスク部材としての金属メッシュおよびパンチングメタルを介して電子線を照射した実施例1~9では、マスク部材を用いずに電子線を照射した比較例1~4と比較すると、しわより等の発生が良好に抑制され、シート強度および熱抵抗値の低下もほとんどみられないことがわかる。また、電子線を照射しなかった比較例5では、電子線を照射した実施例1~9と比較すると、シート強度が低い。つまり、本発明の実施例1~9において、電子線照射に起因するシート表面のしわより等の発生を抑制しつつ、シート強度および熱伝導性に優れる熱伝導シートが得られていることがわかる。
本発明によれば、表面にしわより等が生じるのを抑制しつつ、シート強度および熱伝導性に優れる熱伝導シートを得ることができる。

Claims (7)

  1. 電子線架橋型樹脂と熱伝導性充填材とを含む熱伝導シートの製造方法であって、
    電子線架橋型樹脂と熱伝導性充填材とを含むシートの少なくとも一方の表面に対し、電子線吸収線量が異なる領域が形成されるように電子線を照射する工程を含み、
    前記電子線を照射する工程は、電子線の透過率の異なる部分がパターン状に配置されてなるマスク部材を介して前記表面に電子線を照射することを含む、熱伝導シートの製造方法。
  2. 前記マスク部材のパターンが、矩形状の開口を複数有するメッシュ構造様のパターンである、請求項に記載の方法。
  3. 前記マスク部材のパターンが、円形状の開口を複数有するパンチング構造様のパターンである、請求項に記載の方法。
  4. 前記マスク部材は、前記開口の開口率が30%以上90%以下である、請求項またはに記載の方法。
  5. 前記マスク部材を介して前記表面に電子線を照射する工程は、前記シートの前記表面における照射面当たりの照射線量が50kGy以上9000kGy以下となるように電子線を照射することを含む、請求項の何れかに記載の熱伝導シートの製造方法。
  6. 前記電子線架橋型樹脂は、常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂を含む、請求項1~の何れかに記載の方法。
  7. 前記熱伝導シートの厚みが50μm以上600μm以下である、請求項1~の何れかに記載の方法。
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