以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
図1は、本願発明の一実施形態に係る灯具ユニット10を備えた車両用灯具100を示す側断面図である。また、図2は、灯具ユニット10を示す、図1のII方向矢視図であり、図3は、図2のIII-III線断面図である。さらに、図4は、灯具ユニット10を主要構成要素に分解して示す斜視図である。
これらの図において、Xで示す方向が「ユニット前方」であり、Yで示す方向が「ユニット前方」と直交する「左方向」(ユニット正面視では「右方向」)であり、Zで示す方向が「上方向」である。これら以外の図においても同様である。
車両用灯具100は、車両の前端部に設けられる路面描画用ランプであって、ランプボディ102と透光カバー104とで形成される灯室内に、灯具ユニット10がその前後方向(すなわちユニット前後方向)を車両前後方向と一致させるように光軸調整が行われた状態で収容された構成となっている。
灯具ユニット10は、空間光変調ユニット20と、光源側サブアッシー50と、レンズ側サブアッシー70と、これらを支持するブラケット40とを備えた構成となっている。
ブラケット40は、金属製(例えばアルミダイカスト製)の部材であって、ユニット前後方向と直交する鉛直面に沿って延びる鉛直面部40Aと、この鉛直面部40Aの下部領域においてユニット前方へ向けて延びる棚状部40Bとを備えている。
灯具ユニット10は、ブラケット40の鉛直面部40Aにおいて、図示しない取付構造を介してランプボディ102に支持されており、ランプボディ102に対して上下方向および左右方向に傾動し得るように構成されている。
空間光変調ユニット20は、空間光変調器30と、この空間光変調器30よりもユニット後方側に配置された支持基板22と、この支持基板22よりもユニット後方側に配置されたヒートシンク24とを備えている。なお、支持基板22は、ヒートシンク24よりも下方まで延びるように形成されている。
光源側サブアッシー50は、基板56に搭載された左右1対の光源(具体的には発光ダイオード)52と、各光源52からの出射光を空間光変調ユニット20へ向けて反射させるリフレクタ54とを備えている。その際、リフレクタ54の反射面は、各光源52からの出射光を投影レンズ72の後側焦点F(図1参照)に対して上方側に変位した位置に収束させるように構成されている。なお、基板56には、左右1対の光源52に給電するためのコネクタ58が搭載されている。
ブラケット40の棚状部40Bは、鉛直面部40Aからユニット前方へ向けて水平方向に延びた後に斜め下前方へ向けて傾斜して延びるように形成されており、その傾斜領域の上面に光源側サブアッシー50の基板56およびリフレクタ54が支持されている。なお、リフレクタ54の下端部には、ブラケット40の棚状部40Bへの取付けを行うための取付脚部54aがコネクタ58を囲むようにして形成されている。
レンズ側サブアッシー70は、ユニット前後方向に延びる光軸Axを有する投影レンズ72と、この投影レンズ72を支持するレンズホルダ74とを備えており、レンズホルダ74の後端部においてブラケット40に支持されている。
なお、ブラケット40の棚状部40Bの下方側には、各光源52の点灯によって発生する熱を放散させるためのヒートシンク80と冷却ファン82とが配置されている。ヒートシンク80は、ブラケット40と一体的に形成されており、ユニット後方へ向けて延びる複数の放熱フィン80aを備えている。冷却ファン82は、複数の放熱フィン80aのユニット後方側に配置されている。
本実施形態に係る灯具ユニット10は、リフレクタ54で反射した各光源52からの光を空間光変調器30および投影レンズ72を介してユニット前方へ向けて照射することにより、車両前方路面に文字や記号等を描画する配光パターン(すなわち路面描画用配光パターン)を精度良く形成し得る構成となっている。
これを実現するため、灯具ユニット10は、図示しない車載カメラからの映像信号に基づいて空間光変調器30を制御する制御回路(図示せず)が搭載された制御基板60を備えた構成となっている。
図1に示すように、制御基板60は、ヒートシンク24よりもユニット後方側に配置されており、図示しない支持部材を介して後述する電磁シールドカバー90等に支持されている。そして、制御基板60は、フレキシブルプリント配線板64を介して支持基板22と電気的に接続されている。すなわち、支持基板22には第1コネクタ62Aが搭載されており、制御基板60には第2コネクタ62Bが搭載されている。そして、U字形に延びるフレキシブルプリント配線板64の両端部が第1および第2コネクタ62A、62Bの開口部に対して下方側から挿入されている。
図5は、図1の要部詳細図である。
図5に示すように、空間光変調器30は、デジタルマイクロミラーディバイス(DMD)であって、複数の反射素子(具体的には数十万個の微小ミラー)30Asがマトリクス状に配置された反射制御部30Aと、この反射制御部30Aを収容する筐体部30Bと、反射制御部30Aよりもユニット前方側に配置された状態で筐体部30Bに支持された透光板30Cとを備えた構成となっている。
空間光変調器30は、その反射制御部30Aが投影レンズ72の後側焦点Fにおいて光軸Axと直交する鉛直面上に位置するように配置されている。その際、反射制御部30Aの中心軸線Ax1は、光軸Axに対して上方側に変位した位置においてユニット前後方向に延びている。
そして、空間光変調器30は、その反射制御部30Aを構成する複数の反射素子30Asの各々の反射面の角度を制御することによって、各反射素子30Asに到達した各光源52からの光の反射方向を選択的に切り換え得る構成となっている。具体的には、各光源52からの光を投影レンズ72へ向かう光路R1の方向(図中実線で示す方向)に反射させる第1の角度位置と、投影レンズ72から外れた方向(すなわち配光パターンの形成に悪影響を及ぼさない方向)へ向かう光路R2の方向(図中2点鎖線で示す方向)に反射させる第2の角度位置とが選択されるようになっている。
図6は、反射制御部30Aの詳細構造を示す、図5の要部詳細図である。
図6に示すように、反射制御部30Aを構成する各反射素子30Asは、左右方向に延びる水平軸線回りに回動し得る構成となっており、第1の角度位置では、反射制御部30Aの中心軸線Ax1と直交する鉛直面に対して所定角度(例えば12°程度)下向きに回動に対して、リフレクタ54(図5参照)からの反射光をやや上向きの光(光路R1の光)としてユニット前方へ向けて反射させる一方、第2の角度位置では、中心軸線Ax1と直交する鉛直面に対して所定角度(例えば12°程度)上向きに回動に対して、リフレクタ54からの反射光をかなり上向きの光(光路R2の光)としてユニット前方へ向けて反射させるようになっている。
第1の角度位置と第2の角度位置との切換えは、各反射素子30Asを回動可能に支持する部材(図示せず)の近傍に配置された電極(図示せず)への通電を制御することによって行われるようになっている。そして、この通電が行われていない中立状態では、各反射素子30Asは、その反射面が中心軸線Ax1と直交する鉛直面に沿って互いに面一で配置されるように構成されている。
なお、図6においては、反射制御部30Aの中心軸線Ax1の近傍領域に位置する反射素子30Asが第1の角度位置にあり、その下方領域に位置する反射素子30Asが第2の角度位置にある状態を示している。
図5に示すように、支持基板22は、ユニット前後方向と直交する鉛直面(すなわち光軸Axおよび中心軸線Ax1と直交する鉛直面)に沿って延びるように配置されており、その前面には導電パターン(図示せず)が形成されている。そして、支持基板22は、空間光変調器30の筐体部30Bの周縁部をソケット26を介してユニット後方側から支持しており、これにより空間光変調器30が支持基板22と電気的に接続されるようになっている。
空間光変調器30は、ブラケット40の鉛直面部40Aとヒートシンク24とによってユニット前後方向両側から支持されている。
ヒートシンク24はユニット前後方向と直交する鉛直面に沿って延びるように配置されており、その前面には、ユニット前方へ向けて角柱状に突出する突起部24aが形成されるとともに、その後面にはユニット後方へ向けて延びる複数の放熱フィン24bが形成されている。そして、ヒートシンク24は、その突起部24aの先端面において空間光変調器30の筐体部30Bの中央部に当接するようになっている。
ブラケット40の鉛直面部40Aには、空間光変調器30の透光板30Cを囲む横長矩形状の開口部40Aaが形成されている。この開口部40Aaは、その全周にわたってユニット前方へ向けて拡がるように面取りされた内周面形状を有している。
また、ブラケット40の鉛直面部40Aの後面には、開口部40Aaを囲む3箇所の位置にユニット後方へ向けて円柱状に突出する突起部40Abが形成されており、さらその外周側には、ユニット後方へ向けて突出する環状フランジ部40Acが横長矩形状に延びるようにして形成されている。
ブラケット40の鉛直面部40Aは、3箇所の突起部40Abの先端面が空間光変調器30の筐体部30Bの前面に当接するようになっており、このとき環状フランジ部40Acが空間光変調器30を全周にわたって覆うようになっている。
図1に示すように、ブラケット40よりもユニット後方側には、光源52の点消灯の繰り返しによって発生するノイズから空間光変調器30を保護するための電磁シールドカバー90が配置されている。電磁シールドカバー90は、金属製(例えば鋼製)であって、空間光変調ユニット20および制御基板60をユニット後方側から覆うように配置された状態で、ブラケット40の鉛直面部40Aにネジ締め等によって固定されている。なお、電磁シールドカバー90は灯具ユニット10の一部を構成しているが、図4においては電磁シールドカバー90を取り外した状態で灯具ユニット10を示している。
次に、レンズ側サブアッシー70の具体的な構成について説明する。
図1~4に示すように、投影レンズ72は、光軸Ax上においてユニット前後方向に並んで配置された4つの第1、第2、第3および第4レンズ72A、72B、72C、72Dで構成されている。
最もユニット前方側に位置する第1レンズ72Aは、ユニット前方へ向けて膨らむ凸曲面を有する平凸レンズとして構成されており、ユニット前方側から2番目の第2レンズ72Bは、両凹レンズとして構成されており、ユニット前方側から3番目の第3レンズ72Cは、ユニット前方へ向けて膨らむ凸曲面を有する平凸レンズとして構成されており、最もユニット後方側に位置する第4レンズ72Dは、ユニット後方へ向けて膨らむ凸曲面を有する平凸レンズとして構成されている。
第1レンズ72Aは、樹脂製レンズ(具体的にはアクリル樹脂製レンズ)で構成されており、第2レンズ72Bは、樹脂製レンズ(具体的にはポリカーボネート樹脂製レンズ)で構成されており、第3および第4レンズ72C、72Dは、ガラス製レンズで構成されている。
第1および第2レンズ72A、72Bは、ユニット正面視において略同一サイズの矩形状(具体的には正方形)の外周形状を有しており、第3および第4レンズ72C、72Dは、ユニット正面視において第1および第2レンズ72A、72Bよりも大きい(具体的には第1および第2レンズ72A、72Bの外接円よりもやや大きい)円形の外周形状を有している。
第1~第4レンズ72A~72Dは、共通のレンズホルダ74に支持されている。
レンズホルダ74は、金属製(例えばアルミダイカスト製)の部材であって、その前部領域74Aは光軸Axを中心にして角筒状に延びるように形成されており、その後部領域74Bは光軸Axを中心にして円筒状に延びるように形成されている。
レンズホルダ74の後端部には、左右1対のフランジ部74Baが形成されている。そして、レンズホルダ74は、各フランジ部74Baにおいてネジ締めによりブラケット40の鉛直面部40Aに固定されている。
レンズホルダ74は、その後部領域74Bの下端部が切り欠かれており、その周囲には下方側へ突出する下方突出部74Bbが形成されている。
この下方突出部74Bbは、ブラケット40の棚状部40Bの水平面形状および傾斜面形状ならびにリフレクタ54の取付脚部54aの外周面形状に沿った下面形状を有している。そして、レンズホルダ74は、その下方突出部74Bbがブラケット40の棚状部40Bに載置された状態で、ブラケット40の鉛直面部40Aに固定されるようになっている。これにより、レンズホルダ74は、ブラケット40と投影レンズ72との間の空間を密閉した状態で配置されるようになっている。
レンズホルダ74には、ユニット前方側から金具76Aが装着されており、これにより第1および第2レンズ72A、72Bがレンズホルダ74に固定されている。
第1および第2レンズ72A、72Bの外周縁部には、鉛直方向に延びる左右1対の外周フランジ部72Aa、72Baがそれぞれ形成されている。
そして、第1および第2レンズ72A、72Bは、左右1対の外周フランジ部72Aa、72Baが重ね合わされた状態で、レンズホルダ74に対して、その前部領域74Aの前端面に支持されている。
前部領域74Aの前端面には、ユニット前方へ向けて延びる左右1対の位置決めピン74Aaが形成されている。各位置決めピン74Aaは、光軸Axを含む水平面よりもやや下方に位置している。
第1および第2レンズ72A、72Bの各々における左右1対の外周フランジ部72Aa、72Baには、レンズホルダ74の左右1対の位置決めピン74Aaと係合する左右1対の係合部72Ab、72Bbが形成されている。なお、左右1対の係合部72Ab、72Bbのうち、右側に位置する係合部72Ab、72Bbは係合孔として形成されており、左側に位置する係合部72Ab、72Bbは係合溝として形成されている。
そして、第1および第2レンズ72A、72Bの各々は、その左右1対の外周フランジ部72Aa、72Baの係合部72Ab、72Bbが左右1対の位置決めピン74Aaと係合することにより、レンズホルダ74に金具76Aが装着される際、光軸Axと直交する鉛直面内において位置決めがなされるようになっている。なお、金具76Aには、左右1対の位置決めピン74Aaを挿通させるための左右1対の挿通孔76Aaが形成されている。
図5に示すように、第3レンズ72Cは、その前面72Caを構成する凸曲面が非球面で構成されており、また、第4レンズ72Dは、その後面72Dbを構成する凸曲面が非球面で構成されている。その際、第3レンズ72Cの前面72Caを構成する凸曲面の方が、第4レンズ72Dの後面72Dbを構成する凸曲面よりも大きい曲率で形成されている。
第3レンズ72Cは、その外周縁部に一定幅の外周フランジ部72Ccが全周にわたって形成されており、第4レンズ72Dは、その外周縁部に一定幅の外周フランジ部72Dcが全周にわたって形成されている。第3および第4レンズ72C、72Dは同一の外形形状を有している。
第3レンズ72Cの後面72Cbを構成する平面と第4レンズ72Dの前面72Daを構成する平面との間には、円環状に形成された金属製のスペーサ76Bが配置されている。
レンズホルダ74は、その後部領域74Bの前端部74Bcにおいて第3および第4レンズ72C、72Dを位置決めした状態で支持するように構成されている。
すなわち、前端部74Bcの内面側には、光軸Axと直交する鉛直面に沿って光軸Axを中心にして円環状に延びる環状面74Bc1と、光軸Axを中心にしてユニット前後方向に延びる円筒面74Bc2とが形成されている。また、環状面74Bc1と円筒面74Bc2との接続部には、環状面74Bc1に沿って延びる環状溝部74Bc3が形成されている。
そして、第3および第4レンズ72C、72Dは、その外周フランジ部72Cc、72Dcにおいてスペーサ76Bを挟んだ状態で、円筒面74Bc2内にユニット後方側から収容されており、第3レンズ72Cの外周フランジ部72Ccがレンズホルダ74の環状面74Bc1にユニット後方側から当接するとともに、第4レンズ72Dの外周フランジ部72Dcが板バネ78によってユニット前方側へ向けて弾性的に押圧されることによって、レンズホルダ74に対して位置決めされている。
図4に示すように、板バネ78は、光軸Axを中心にして円環状に延びるように形成されている。そして、板バネ78の周方向の4箇所には弾性押圧部78aが形成されており、また、その左右2箇所には係止部78bが形成されている。
4箇所の弾性押圧部78aは、光軸Axを含む鉛直面に関して左右対称の配置および形状で形成されている。各弾性押圧部78aは、板バネ78の一部をユニット前方側へ斜めに切り起こすことによって周方向に帯状に延びるように形成されている。
2箇所の係止部78bは、光軸Axを含む鉛直面に関して左右対称の配置および形状で形成されている。各係止部78bは、板バネ78の外周縁部をユニット後方側へ折り曲げることによって形成されており、その中心部には、ユニット後方へ向けて光軸Axから離れる方向に切り起こされた切り起こし部78b1が形成されている。
一方、レンズホルダ74の後部領域74Bには、その前端近傍部位の左右2箇所に貫通孔74Bdが形成されている。各貫通孔74Bdは、光軸Axの左右両側において縦長矩形状に形成されている。
そして、板バネ78は、左右1対の係止部78bの切り起こし部78b1がレンズホルダ74の左右1対の貫通孔74Bdに係止されるようになっている。このとき、板バネ78は、4箇所の弾性押圧部78aが第4レンズ72Dの外周フランジ部72Dcにユニット後方側から当接した状態で弾性変形することによって、第4レンズ72Dを第3レンズ72Cおよびスペーサ76Bと共にユニット前方側へ向けて弾性的に押圧するようになっている。
図7は、灯具ユニット10のレンズ側サブアッシー70を組み付ける際の様子を示す、図3と略同様の図である。
図7に示すように、まず、第3レンズ72Cを、レンズホルダ74の後部領域74Bの内部空間にユニット後方側から挿入し、その外周フランジ部72Ccをレンズホルダ74の円筒面74Bc2内において環状面74Bc1に当接させる。
次に、スペーサ76Bおよび第4レンズ72Dを、レンズホルダ74の後部領域74Bの内部空間にユニット後方側から順次挿入し、スペーサ76Bを第3レンズ72Cの後面72Cbに当接させると共に、第4レンズ72Dの前面72Daをスペーサ76Bに当接させる。
その後、板バネ78を、レンズホルダ74の後部領域74Bの内部空間にユニット後方側から挿入し、左右1対の係止部78bの切り起こし部78b1をレンズホルダ74の左右1対の貫通孔74Bdに係止する。その際、板バネ78は、4箇所の弾性押圧部78aが第4レンズ72Dの外周フランジ部72Dcにユニット後方側から当接した状態で弾性変形する。
これにより、第3および第4レンズ72C、72Dは、スペーサ76Bを挟んだ状態で、レンズホルダ74の円筒面74Bc2内に位置決めされた状態となる。
図1に示すように、投影レンズ72は、その光軸Axが空間光変調器30の反射制御部30Aの中心軸線Ax1に対して下方側に変位しているので、反射制御部30Aから投影レンズ72に到達した光は、水平方向に対してやや下向きの光として投影レンズ72からユニット前方へ向けて照射され、これにより車両前方路面に路面描画用配光パターンを形成するようになっている。
図8は、車両用灯具10からの照射光によって車両前方25mの位置に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成される配光パターンを透視的に示す図である。
図8に示す配光パターンは路面描画用配光パターンPAであって、図示しない他の車両用灯具からの照射光によって形成されるロービーム用配光パターンPLと共に形成されるようになっている。
路面描画用配光パターンPAについて説明する前に、ロービーム用配光パターンPLについて説明する。
このロービーム用配光パターンPLは、左配光のロービーム用配光パターンであって、その上端縁にカットオフラインCL1、CL2を有している。
このカットオフラインCL1、CL2は、灯具正面方向の消点であるH-Vを鉛直方向に通るV-V線よりも右側の対向車線側部分が水平カットオフラインCL1として形成されるとともにV-V線よりも左側の自車線側部分が斜めカットオフラインCL2として形成されており、両者の交点であるエルボ点EはH-Vの0.5~0.6°程度下方に位置している。
路面描画用配光パターンPAは、周囲への注意喚起を促すための路面描画を行う配光パターンであって、車両前方路面において文字や記号等の描画を行う配光パターンとして形成されている。図8に示す路面描画用配光パターンPAは、車両正面方向を向いた矢印形状の配光パターンとして形成されている。
路面描画用配光パターンPAは、空間光変調器30の反射制御部30Aを構成する複数の反射素子30Asのうちの一部(例えば矢印形状に設定された領域に位置する反射素子30As)からの反射光を投影レンズ72へ向かわせることにより形成されるようになっている。
夜間の車両走行時に、このような矢印形状の路面描画用配光パターンPAを形成することにより、例えば車両前方の交差点に自車が近づいていることを周囲に報知して注意喚起を促すようになっている。
図8において2点鎖線で示す領域Z1が、種々の路面描画用配光パターンPAが形成され得る範囲を示している。この領域Z1はV-V線を中心とする矩形状の領域であって、その上端縁はH-Vを水平方向に通るH-H線の下方近傍に位置している。
次に本実施形態の作用について説明する。
本実施形態に係る灯具ユニット10は、マトリクス状に配置された複数の反射素子30Asを備えた空間光変調器30で反射した光源52からの光(すなわちマトリクス状に配置された複数の発光制御素子からの光)を、投影レンズ72を介してユニット前方へ向けて照射するように構成されているので、空間光変調器30において反射光の空間的な分布を制御することにより、種々の路面描画用配光パターンPAを精度良く形成することができる。
その際、投影レンズ72は、ユニット前後方向に並んで配置された4つの第1~第4レンズ72A、72B、72C、72Dで構成されるとともに、これらが共通のレンズホルダ74に支持された構成となっているので、レンズ相互間の位置関係精度を十分に確保することができ、これにより所期の光学特性を得ることが容易に可能となる。
その上で、4つの第1~第4レンズ72A~72Dは、最もユニット後方側に位置する第4レンズ72Dがユニット後方へ向けて膨らむ凸曲面を有する平凸レンズ(第1平凸レンズ)で構成されるとともに、そのユニット前方側に隣接する第3レンズ72Cがユニット前方へ向けて膨らむ凸曲面を有する平凸レンズ(第2平凸レンズ)で構成されているので、最もユニット後方側に位置するレンズを両凸レンズで構成した場合と略同等のレンズ機能を持たせることができる。
しかも、このように両凸レンズの代わりに第3レンズ72C(第2平凸レンズ)および第4レンズ72D(第1平凸レンズ)を採用することにより、その製造コスト低減を図ることができる。
すなわち、本実施形態においては、第3および第4レンズ72C、72Dの各々がガラス製レンズで構成されているが、凸曲面側のレンズ面(すなわち第3レンズ72Cの前面72Caおよび第4レンズ72Dの後面72Db)のみを金型で成形すれば足りるので、これらを精度良く製造することが容易に可能となる。
このように本実施形態によれば、マトリクス状に配置された複数の反射素子30Asからの反射光を、投影レンズ72を介してユニット前方へ向けて照射するように構成された灯具ユニット10において、コスト低減を図った上で投影レンズ72の光学特性を維持することができる。
特に本実施形態においては、第4レンズ72Dがガラス製レンズで構成されているので、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、最もユニット後方側に位置する第4レンズ72Dは、複数の反射素子30Asからの反射光による輻射熱や光源52周辺で発生してレンズホルダ74の内部空間に籠った熱等の影響を受けやすいが、これをガラス製レンズで構成することにより熱変形が発生してしまうのを未然に防止することができる。そしてこれにより投影レンズ72の光学特性を維持する効果を高めることができる。
しかも本実施形態においては、第3レンズ72Cもガラス製レンズで構成されているので、投影レンズ72の光学特性を維持する効果をさらに高めることができる。
また本実施形態においては、第3レンズ72Cと第4レンズ72Dとの間に円環状のスペーサ76Bが配置されているので、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、投影レンズ72として、第3レンズ72Cと第4レンズ72Dとが直接面接触した状態で配置された構成とした場合には、灯具ユニット10に振動荷重等が作用したとき、第3レンズ72Cと第4レンズ72Dとが擦れ合ってレンズ面に損傷が発生してしまうおそれがある。
これに対して、第3レンズ72Cと第4レンズ72Dとの間に円環状のスペーサ76Bが配置された構成とすれば、第3レンズ72Cと第4レンズ72Dとの位置関係を維持した上で、レンズ面に損傷が発生してしまうのを未然に防止することができる。
さらに本実施形態においては、レンズホルダ74における周方向の2箇所に貫通孔74Bdが形成されており、また、レンズホルダ74の内部空間における第4レンズ72Dよりもユニット後方側の位置には、2箇所の貫通孔74Bdに係止された状態で第4レンズ72Dをユニット前方側へ向けて弾性的に押圧する板バネ78が配置されているので、第3および第4レンズ72C、72Dをユニット前後方向に関して確実に位置決めすることができる。
また本実施形態においては、第3および第4レンズ72C、72Dの外径が第1および第2レンズ72A、72Bの外径よりも大きい値に設定されているので、樹脂製レンズで構成された第1および第2レンズ72A、72Bに対して熱による影響が及ばないようにすることが一層容易に可能となる。
しかも本実施形態においては、第3および第4レンズ72C、72Dが円形の外形形状を有するとともに第1および第2レンズ72A、72Bが矩形の外形形状を有しているので、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、ユニット前方側に位置する第1および第2レンズ72A、72Bとして矩形の外形形状を有する構成とすることにより、灯具ユニット10の意匠性を高めることが容易に可能となる。その際、第1および第2レンズ72A、72Bは樹脂製レンズで構成されているので、矩形の外形形状を有する構成とすることが容易に可能である。一方、ガラス製レンズで構成された第3および第4レンズ72C、72Dは円形の外形形状を有しているので、その製造を容易に行うことでき、これにより灯具ユニット10のコスト低減を図ることができる。
また、第3および第4レンズ72C、72Dは、レンズホルダ74の後部領域74Bの前端部74Bc(すなわち第1および第2レンズ72A、72Bよりも外周側に突出している部位)においてレンズホルダ74に固定されているので、第3および第4レンズ72C、72Dの位置決めを容易に行うことができる。
さらに、空間光変調器30は、マトリクス状に配置された複数の発光制御素子として、光源52からの光を反射させる複数の反射素子30Asを備えており、各反射素子30Asの角度位置として投影レンズ72へ向けて反射させる第1の角度位置と投影レンズ72から外れた方向へ向けて反射させる第2の角度位置とを選択的に採り得るように構成されたデジタルマイクロミラーディバイスとして構成されており、また、レンズホルダ74は、金属製部材で構成されており、かつ、第2の角度位置にある反射素子30Asからの反射光を遮光するように構成されており、このためレンズホルダ74を介して第3および第4レンズ72C、72Dに熱が伝わりやすいので、本実施形態の構成を採用することが特に効果的である。
また本実施形態においては、4つの第1~第4レンズ72A~72Dのうち第1および第2レンズ72A、72Bが樹脂製レンズで構成されているが、第1レンズ72Aは平凸レンズとして構成されており、第2レンズ72Bは両凹レンズとして構成されているので、多少の熱変形等が生じたとしても両者間で光学特性の変化が略相殺されることとなる。したがって、第3および第4レンズ72C、72Dを熱変形等が生じにくいガラス製レンズで構成することにより、投影レンズ72としての所期の光学特性を維持することが容易に可能となる。
上記実施形態においては、第3および第4レンズ72C、72Dの各々がガラス製レンズで構成されているものとして説明したが、これらを樹脂製レンズで構成することも可能である。
このように第3および第4レンズ72C、72Dの各々を樹脂製レンズで構成した場合には、これらを単一の両凸レンズで構成した場合に比して中央部分の厚肉が略半減するので、成形時のヒケが生じにくくなる。したがって、第3および第4レンズ72C、72Dの製造コスト低減を図った上で、投影レンズ72としての光学特性を維持することができる。
上記実施形態においては、灯具ユニット10を車両正面方向へ向けた状態で車両前方路面に路面描画用配光パターンPAを形成可能とするために、投影レンズ72の光軸Axに対して空間光変調器30の中心軸線Ax1が上方側に変位しているものとして説明したが、中心軸線Ax1と光軸Axとが一致している構成を採用することも可能である。
上記実施形態においては、灯具ユニット10が車載用の灯具ユニットであるものとして説明したが、車載用以外の用途(例えば、路面に対して真上の方向から描画を行うように構成された街路灯ユニット等の用途)に用いることも可能である。
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
まず、上記実施形態の第1変形例について説明する。
図9(a)は、本変形例に係る灯具ユニットの要部を示す、図5と略同様の図である。
図9(a)に示すように、本変形例の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、投影レンズ172の構成が上記実施形態の場合と一部異なっている。
すなわち、本変形例の投影レンズ172も、最もユニット後方側に位置する第4レンズ172Dが、ユニット後方へ向けて膨らむ凸曲面状の後面172Dbを有する平凸レンズ(第1平凸レンズ)として構成されるとともに、そのユニット前方側に隣接する第3レンズ172Cが、ユニット前方へ向けて膨らむ凸曲面状の前面172Caを有する平凸レンズ(第2平凸レンズ)として構成されているが、本変形例においては第3レンズ172Cが樹脂製レンズで構成されている点で上記実施形態の場合と異なっている。
また、本変形例の投影レンズ172は、第3レンズ172Cの後面172Cbの外周縁部に突起部172Cdが形成されている点でも上記実施形態の場合と異なっている。この突起部172Cdは、光軸Axを中心にして円環状に延びる平板状突起部として形成されている。そして、この突起部172Cdの後面が第4レンズ172Dの前面172Daに当接することによって、第3レンズ172Cと第4レンズ172Dとの間隔を規定するようになっている。
このため本変形例においては、上記実施形態のスペーサ76Bに相当する部材が存在していない。
なお、本変形例の第4レンズ172Dは、上記実施形態の第4レンズ72Dと同様の構成を有している。
本変形例の構成を採用した場合においても、上記実施形態の場合と同様の作用効果を得ることができる。
その上で、本変形例の構成を採用することにより、第3レンズ172Cの軽量化を図ることができ、また、その形状自由度を高めることができる。
そして本変形例においては、第3レンズ172Cに突起部172Cdが一体的に形成されているので、上記実施形態のスペーサ76Bを廃止することができ、これにより、部品点数を増やすことなく、第3レンズ172Cと第4レンズ172Dとの位置関係を維持した上で、レンズ面に損傷が発生してしまうのを未然に防止することができる。
次に、上記実施形態の第2変形例について説明する。
図9(b)は、本変形例に係る灯具ユニットの要部を示す、図5と略同様の図である。
図9(b)に示すように、本変形例の投影レンズ272も、上記第1変形例の投影レンズ172と同様、第3レンズ272Cが樹脂製レンズで構成されており、第4レンズ272Dがガラス製レンズで構成されている。
そして本変形例においても、第3レンズ272Cの後面272Cbの外周縁部には突起部272Cdが一体的に形成されているが、本変形例の突起部272Cdは、半球状突起部として周方向に等間隔をおいて複数箇所に形成されている。
本変形例の構成を採用した場合においても、上記第1変形例の場合と同様の作用効果を得ることができる。
次に、上記実施形態の第3変形例について説明する。
図10は、本変形例に係る灯具ユニット310を備えた車両用灯具300を示す側断面図であり、図11は、灯具ユニット310を主要構成要素に分解して示す、図4と同様の図である。
図10、11に示すように、本変形例の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、レンズ側サブアッシー370の構成が上記実施形態の場合と一部異なっている。
すなわち、本変形例のレンズ側サブアッシー370も、ユニット前後方向に延びる光軸Axを有する投影レンズ72と、これを支持するレンズホルダ374とを備えた構成となっているが、レンズホルダ374の構成が上記実施形態の場合と一部異なっている。
具体的には、本変形例においてはレンズホルダ374が樹脂製(例えばポリカーボネート樹脂製)の部材で構成されている点で上記実施形態の場合と異なっている。
一方、本変形例のレンズホルダ374も、上記実施形態のレンズホルダ74と同様、前部領域374Aが光軸Axを中心にして角筒状に延びるように形成されるとともに、後部領域374Bが光軸Axを中心にして円筒状に延びるように形成されており、その後部領域374Bの前端部374Bcにおいて第3および第4レンズ72C、72Dを位置決めした状態で支持するように構成されている。
レンズホルダ374の後部領域374Bには、その前端近傍部位の3箇所(具体的には光軸Axの真上の位置と光軸Axの左右両側における光軸Axよりもやや下方の位置)に貫通孔374Bdが形成されている。各貫通孔374Bdは、矩形状に形成されており、各貫通孔374Bd内には、ユニット前方側へ向けて内周側に傾斜して延びる係合片374Bd1がレンズホルダ374と一体的に形成されている。
そして、第3および第4レンズ72C、72Dは、その外周フランジ部72Cc、72Dcにおいてスペーサ76Bを挟んだ状態で、前端部374Bcの円筒面374Bc2内にユニット後方側から収容されており、第3レンズ72Cの外周フランジ部72Ccがレンズホルダ374の環状面374Bc1にユニット後方側から当接した状態で、各係合片374Bd1が第4レンズ72Dの外周フランジ部72Dcと係合することによって、レンズホルダ374に対して位置決めされている。
図12は、灯具ユニット310のレンズ側サブアッシー370を組み付ける際の様子を示す、図7と同様の図である。なお、図12(a)、(b)は、光軸Axおよび左右2箇所の貫通孔374Bdの各々を含む断面位置での断面形状を示している。
図12に示すように、第3レンズ72C、スペーサ76Bおよび第4レンズ72Dを、レンズホルダ374の後部領域374Bの内部空間にユニット後方側から順次挿入すると、各係合片374Bd1が第3レンズ72C、スペーサ76Bおよび第4レンズ72Dの各々との当接によって外周側に弾性変形し、これらがレンズホルダ374の環状面374Bc1に当接する位置まで挿入されたときに各係合片374Bd1が第4レンズ72Dと係合する。
これにより、第3および第4レンズ72C、72Dは、スペーサ76Bを挟んだ状態で、レンズホルダ374の円筒面374Bc2内に位置決めされた状態となる。
本変形例の構成を採用した場合においても、上記実施形態の場合と同様の作用効果を得ることができる。
しかも、本変形例のレンズホルダ374は樹脂製の部材で構成されており、その後部領域374Bにおける前端近傍部位の3箇所には係合片374Bd1がレンズホルダ374と一体的に形成されているので、上記実施形態の板バネ78が不要となり、これにより部品点数を増やすことなく第3および第4レンズ72C、72Dをユニット前後方向に関して確実に位置決めすることができる。
次に、上記実施形態の第4変形例について説明する。
図13は、本変形例に係る灯具ユニット410を示す、図5と略同様の図である。
図13に示すように、本変形例に係る灯具ユニット410は、レンズ側サブアッシー470の構成については上記実施形態の場合と同様であるが、上記実施形態の空間光変調ユニット20および光源側サブアッシー50の代わりに光源ユニット500を備えている点で上記実施形態の場合と大きく異なっている。
光源ユニット500は、マイクロLED510が支持部材520に支持された構成となっている。マイクロLED510は、マトリクス状に配置された複数の発光素子512が基板514に支持された構成となっている。複数の発光素子512は、白色で発光する1000個程度の発光ダイオードで構成されており、これらが個別に発光し得る構成となっている。
マイクロLED510は、投影レンズ72の後側焦点Fにおいて光軸Axと直交する鉛直面上に位置するように配置されている。その際、マイクロLED510は、その中心軸線Ax1が、上記実施形態の場合と同様、光軸Axに対して上方側に変位した状態でユニット前後方向に延びるように配置されている。
本変形例のレンズ側サブアッシー470も、投影レンズ72がレンズホルダ474に支持された構成となっているが、レンズホルダ474の後端部において支持部材520の外周縁部520aに支持された構成となっている点で上記実施形態の場合と異なっている。
そして、本変形例に係る灯具ユニット410は、マイクロLED510を構成する複数の発光素子512の各々からの出射光が投影レンズ72に直接入射する構成となっている。
本変形例の構成を採用した場合においても、レンズ側サブアッシー470として、投影レンズ72がレンズホルダ474に対して上記実施形態の場合と同様の構成で支持されているので、上記実施形態の場合と同様の作用効果を得ることができる。
なお、上記実施形態およびその変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
また本願発明は、上記実施形態およびその変形例に記載された構成に限定されるものではなく、これ以外の種々の変更を加えた構成が採用可能である。