JP7407977B2 - 細胞培養制御装置およびこれを備えた細胞培養装置、細胞培養制御方法、細胞培養制御プログラム - Google Patents
細胞培養制御装置およびこれを備えた細胞培養装置、細胞培養制御方法、細胞培養制御プログラム Download PDFInfo
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Description
例えば、特許文献1には、細胞を培養するための培養容器と、培養容器内に気体を送気するための送気部と、培養容器内の気体を排気するための排気部と、培養容器内の圧力を調節するための圧力調節部と、を備えた細胞培養装置について開示されている。
通常、培養容器内で培養される細胞は、培地に含まれる栄養分を取り込んで増加し、培地に含まれる栄養分が減ってくると減少する。特に、細胞は、培地交換直後は、急激に増加した後、増加が鈍化し、減少に転じることが分かっている。
しかし、培養容器に入れられた細胞が、例えば、過密状態、過剰代謝状態にある場合、負の影響を及ぼす代謝物(乳酸等)が存在する場合等のように細胞に負荷が掛かる状態では、それ以上培養を継続しても細胞が適切に培養されないおそれがある。
本発明の課題は、細胞の状態に応じて次工程へ移行する時期を適切に判定することが可能な細胞培養制御装置およびこれを備えた細胞培養装置、細胞培養制御方法、細胞培養制御プログラムを提供することにある。
培養容器内の培地に含まれる栄養素には、例えば、グルコース、乳糖(ラクトース)、アミノ酸等が含まれる。
次工程へ進むか否かの判定は、例えば、現工程を終了して次の培養工程、後処理工程等へ進むか否かを判定する処理であって、細胞培養を終了させるか否かを判定する工程も含む。
栄養素の消費速度は、栄養素の消費量を微分処理して得られる数値であって、例えば、栄養素が減少する速度は細胞が増加する速度と相関がある。
なお、栄養素の消費量を微分処理して得られる値には、時間と栄養素の濃度との関係を示す関数を算術的に微分した値、あるいは、所定時間経過ごとに栄養素の濃度を測定して得られる経過時間ごとの変化量を含む。
この結果、細胞の状態に応じて次工程へ進むべき時期を適切に判定することができる。
第2の発明に係る細胞培養制御装置は、第1の発明に係る細胞培養制御装置であって、次工程移行判定部は、培地を交換または追加する前後における消費速度の差が所定値以上であった場合に、次工程へ進む判定を行う。
これにより、培地を交換または追加した後、細胞が正常であれば培地の交換または追加前から継続して消費速度が上昇していくところ、消費速度が所定値以上プラスあるいはマイナスに変化することを検出することで、細胞が異常な状態にあると判断し、次工程へ進むように促すことができる。
ここで、培地を交換または追加した直後にグルコースの消費速度が低下しているということは、例えば、培地の交換または追加によって細胞培養にマイナスの影響を及ぼす代謝物(例えば、乳酸等)が存在しない環境下でも細胞の過密状態(オーバーグロース)等によりグルコースの比消費速度が低下(細胞1個当たりの代謝が低下)している恐れがあることを意味している。
第4の発明に係る細胞培養制御装置は、第1の発明に係る細胞培養制御装置であって、消費速度算出部において算出された消費速度を微分処理して栄養素が消費される消費加速度を算出する消費加速度算出部を、さらに備えている。次工程移行判定部は、所定時間内に消費加速度算出部において算出された消費加速度が負になった場合に、次工程へ進む判定を行う。
第5の発明に係る細胞培養制御装置は、第2から第4の発明のいずれか1つに係る細胞培養制御装置であって、次工程移行判定部は、培地を交換または追加後の消費速度が所定値以上である場合に、次工程へ進む判定を行う。
第6の発明に係る細胞培養制御装置は、第1から第5の発明のいずれか1つに係る細胞培養制御装置であって、培養容器に培地を供給する注入ポンプと、培養容器から培地を排出する排出ポンプと、を制御して、培地の交換または追加を行う制御部を、さらに備えている。
第7の発明に係る細胞培養制御装置は、第6の発明に係る細胞培養制御装置であって、培地交換検出部は、培養容器に入れられた培地の交換または追加を行うために駆動されていた注入ポンプおよび排出ポンプが停止したことを検出して、培地の交換または追加が行われたことを検出する。
第8の発明に係る細胞培養制御装置は、第6または第7の発明に係る細胞培養制御装置であって、制御部は、予め設定された所定時間を経過すると、培地の交換または追加を行う。
第9の発明に係る細胞培養制御装置は、第1から第8の発明のいずれか1つに係る細胞培養制御装置であって、培地交換検出部は、栄養素の測定が一時停止された後、測定が再開される入力があった場合に、培地の交換または追加が行われたことを検出する。
第10の発明に係る細胞培養制御装置は、第1から第9の発明のいずれか1つに係る細胞培養制御装置であって、次工程移行判定部において次工程へ進むと判定されると、次工程へ進むように促すメッセージを表示する表示部を、さらに備えている。
第11の発明に係る細胞培養制御装置は、第1から第10の発明のいずれか1つに係る細胞培養制御装置であって、次工程移行判定部において次工程へ進むと判定されると、次工程へ進むように促す通知を送信する通信部を、さらに備えている。
第12の発明に係る細胞培養制御装置は、第1から第11の発明のいずれか1つに係る細胞培養制御装置であって、培養容器に入れられた培地に浸漬されたセンサと接続されており、栄養素の濃度を連続的に測定する測定部を、さらに備えている。
第13の発明に係る細胞培養制御装置は、第1から第12の発明のいずれか1つに係る細胞培養制御装置であって、培地交換検出部が、培養容器に入れられた培地の交換が行われたことを検出すると、消費量情報取得部は、培地に含まれる栄養素の濃度に基づいて栄養素の消費量を算出する。
第14の発明に係る細胞培養制御装置は、第1から第12の発明のいずれか1つに係る細胞培養制御装置であって、培地交換検出部が、培養容器に入れられた培地の追加が行われたことを検出すると、消費量情報取得部は、培地に含まれる栄養素の濃度と、培地の体積とに基づいて、栄養素の消費量を算出する。
第15の発明に係る細胞培養装置は、第1から第13の発明のいずれか1つに係る細胞培養制御装置と、細胞培養制御装置によって制御され、培養容器の培地を供給する注入ポンプと、細胞培養制御装置によって制御され、培養容器から培地を排出する排出ポンプと、を備えている。
第16の発明に係る細胞培養制御装置は、第14の発明に係る細胞培養制御装置と、細胞培養制御装置によって制御され、培養容器の培地を供給する注入ポンプと、を備えている。
第17の発明に係る細胞培養制御方法は、消費量情報取得ステップと、消費速度算出ステップと、培地交換検出ステップと、次工程移行判定ステップと、を備えている。消費量情報取得ステップでは、培養容器に入れられた培地に含まれる栄養素の濃度を連続的に測定した結果から栄養素の消費量を取得する。消費速度算出ステップでは、消費量情報取得ステップにおいて取得された栄養素の消費量を微分処理して栄養素が消費される消費速度を算出する。培地交換検出ステップでは、培養容器に入れられた培地の交換または追加が行われたことを検出する。次工程移行判定ステップでは、培地交換検出ステップにおいて培地の交換または追加が行われたことが検出されると、消費速度算出ステップにおいて算出された培地の交換または追加後の消費速度が所定の条件を満たすか否かに応じて、次工程へ進むか否かを判定する。
培養容器内の培地に含まれる栄養素には、例えば、グルコース、乳糖(ラクトース)、アミノ酸等が含まれる。
次工程へ進むか否かの判定は、例えば、現工程を終了して次の培養工程、後処理工程等へ進むか否かを判定する処理であって、細胞培養を終了させるか否かを判定する工程も含む。
栄養素の消費速度は、栄養素の消費量を微分処理して得られる数値であって、例えば、栄養素が減少する速度は細胞が増加する速度と相関がある。
なお、栄養素の消費量を微分処理して得られる値には、時間とグルコース濃度との関係を示す関数を算術的に微分した値、あるいは、所定時間経過ごとにグルコース濃度を測定して得られる経過時間ごとの変化量を含む。
この結果、細胞の状態に応じて次工程へ進むべき時期を適切に判定することができる。
第18の発明に係る細胞培養制御プログラムは、消費量情報取得ステップと、消費速度算出ステップと、培地交換検出ステップと、次工程移行判定ステップと、を備えている細胞培養制御方法をコンピュータに実行させる。消費量情報取得ステップでは、培養容器に入れられた培地に含まれる栄養素の濃度を連続的に測定した結果から栄養素の消費量を取得する。消費速度算出ステップでは、消費量情報取得ステップにおいて取得された栄養素の消費量を微分処理して栄養素が消費される消費速度を算出する。培地交換検出ステップでは、培養容器に入れられた培地の交換または追加が行われたことを検出する。次工程移行判定ステップでは、培地交換検出ステップにおいて培地の交換または追加が行われたことが検出されると、消費速度算出ステップにおいて算出された培地の交換または追加後の消費速度が所定の条件を満たすか否かに応じて、次工程へ進むか否かを判定する。
培養容器内の培地に含まれる栄養素には、例えば、グルコース、乳糖(ラクトース)、アミノ酸等が含まれる。
次工程へ進むか否かの判定は、例えば、現工程を終了して次の培養工程、後処理工程等へ進むか否かを判定する処理であって、細胞培養を終了させるか否かを判定する工程も含む。
栄養素の消費速度は、栄養素の消費量を微分処理して得られる数値であって、例えば、栄養素が減少する速度は細胞が増加する速度と相関がある。
なお、栄養素の消費量を微分処理して得られる値には、時間とグルコース濃度との関係を示す関数を算術的に微分した値、あるいは、所定時間経過ごとにグルコース濃度を測定して得られる経過時間ごとの変化量を含む。
この結果、細胞の状態に応じて次工程へ進むべき時期を適切に判定することができる。
(発明の効果)
本発明に係る細胞培養制御装置によれば、細胞の状態に応じて次工程へ進むべき時期を適切に判定することができる。
本発明の一実施形態に係るPC(Personal Computer)(細胞培養制御装置)10およびこれを備えた細胞培養装置50について、図1~図8を用いて説明すれば以下の通りである。
(1)細胞培養装置50
本実施形態の細胞培養装置50は、図1に示すように、PC(細胞培養制御装置)10と、培養容器20と、センサ21と、注入ポンプ22と、培地貯蔵容器23と、排出ポンプ24と、廃液容器25と、を備えている。
なお、PC10の内部構成については、後段にて詳述する。
センサ21は、培養容器20に入れられた培地Xに浸漬された状態で配置されており、浸漬された部分に配置された測定電極(作用極、対極、参照極)を有している。そして、培地Xに浸漬されたセンサ21の各測定電極に所定の電圧が印加されることで、電気化学的に培地Xに含まれる特定の成分(グルコース等)の濃度を測定する。
グルコースの濃度は、保護膜を通して培地Xから透過してきたグルコースが、試薬層の酵素(例えば、GOx、GDH)との反応で酸化されてグルコノラクトンとなり、同時に生成されるレドックスメディエータの還元体、もしくは過酸化水素の酸化反応によって生じる電子を電流値に変換することで測定される。
培地貯蔵容器23は、培養容器20へ注入される培地Xを貯蔵する容器であって、グルコース等の栄養素を含む培地Xが貯蔵されている。
廃液容器25は、培養容器20において細胞培養によってグルコース等の栄養素が消費され、排出ポンプ24によって回収された培地Xを貯蔵する。
PC10は、細胞培養装置50に含まれるセンサ21によって培養容器20内の培地Xに含まれるグルコースの濃度を測定しつつ、細胞培養の状況(グルコースの消費状況)に応じて培地Xの交換を行うように注入ポンプ22および排出ポンプ24を制御する。
PC10は、図2に示すように、制御部11と、測定部(消費量情報取得部、測定部)12と、消費速度算出部13と、消費加速度算出部14と、培地交換検出部15と、次工程移行判定部16と、記憶部17と、入力部18と、表示部19とを備えている。
消費速度算出部13は、図2に示すように、制御部11と接続されており、測定部12において所定時間、連続的に測定されたグルコースの濃度から細胞Yによるグルコースの消費量を算出するとともに、グルコースの消費量を微分処理してグルコースの消費速度を算出する。
培地交換検出部15は、図2に示すように、制御部11と接続されており、培養容器20に入れられた培地Xの交換が行われ、その処理が終了したことを検出する。例えば、培地交換検出部15は、培養容器20に入れられた培地Xの交換を行うために駆動されていた注入ポンプ22および排出ポンプ24が停止したことを検出して、培地Xの交換が終了したことを検出する。
具体的には、次工程移行判定部16は、後述する次工程移行判定処理において、例えば、培地Xの交換が行われた後、培地Xを交換する前後における消費速度の差が所定値(例えば、1.0mM/h)以上であった場合に、次工程へ進む判定を行う(条件1)。
このため、条件1を満たすか否かに応じて次工程移行判定処理を実施することで、細胞に負荷が掛かっている状態になっていることを検出して、適切なタイミングで次工程へ移行するように促すことができる。
ここで、培地Xを交換した直後にグルコースの消費速度が低下しているということは、例えば、培地交換によって細胞培養にマイナスの影響を及ぼす代謝物(例えば、乳酸等)が存在しない環境下でも細胞の過密状態(オーバーグロース)等によりグルコースの比消費速度が低下(細胞1個当たりの代謝が低下)している恐れがあることを意味している。
さらには、次工程移行判定部16は、後述する次工程移行判定処理において、例えば、培地Xの交換が行われた後、所定時間(例えば、2時間)内に消費加速度算出部14において算出された消費加速度が負になった場合に、次工程へ進む判定を行う(条件3)。
また、例えば、培養容器20に設置されたグルコース測定用のセンサ21の分解能が低い場合には、培地Xを交換後の消費速度が所定値以上である場合という条件4を、上記条件1~3と組み合わせて次工程へ進む判定を行ってもよい。
また、上記条件1~3は、いずれか1つが選択されて次工程移行判定処理が行われてもよいし、2つまたは3つの条件を組み合わせて次工程移行判定処理が行われてもよい。さらに、条件1~3は、それぞれ上述した第4条件と組み合わせて次工程移行判定処理が行われてもよい。
記憶部17は、図2に示すように、制御部11に接続されており、例えば、測定部12において連続的に測定されたグルコースの濃度および消費量、消費速度算出部13において算出された消費速度、消費加速度算出部14において算出された消費加速度等の情報を保存する。
表示部19は、例えば、PC10に搭載された液晶表示パネルであって、図2に示すように、制御部11に接続されており、測定部12における測定結果、細胞培養の状況、培地Xの交換、次工程へ移行するように促すメッセージ等に関する情報を表示する表示画面19aを有している。
なお、図3は、表示画面19aに表示される初期画面であって、細胞培養工程が行われる前の状態を示している。
細胞状態表示エリア30bは、現在の経過時間における培養容器20内の細胞Yの状態を表示する。
STOPボタン30eは、表示画面19aの左下のエリアに表示され細胞培養工程を停止する際に操作される入力ボタンであって、センサ21を用いたグルコース濃度の測定が停止される。
なお、図4に示す例では、細胞培養の開始から、24時間、72時間経過時に、培地交換(ME)が行われており、グラフ表示選択エリア30cにおいてグルコース濃度、消費速度、消費加速度が全て選択された状態を示している。
細胞培養工程の開始から96時間が経過した状態では、図4に示すように、実線で示されるグルコース濃度は、培地X交換(ME)の直後に最大となり細胞Yの培養が進むにつれて徐々に低下していく。
点線で示されるグルコースの消費加速度は、図4に示すように、2回目の培地交換(ME)までは、ほぼ0(mM/h/h)で推移し、2回目の培地交換(ME)後に少し上昇している。
次に、図5は、細胞培養工程が開始され、3回の培地交換(ME(Medium Exchange))が行われ、120時間が経過した際に表示される表示画面19aを示している。
なお、図5に示す例では、細胞培養の開始から、24時間、72時間、120時間経過時に、培地交換(ME)が行われており、図4と同様に、グラフ表示選択エリア30cにおいてグルコース濃度、消費速度、消費加速度が全て選択された状態を示している。
破線で示されるグルコースの消費速度は、図5に示すように、2回目の培地交換(ME)までは、0~0.1(mM/h)の間で推移し、2回目の培地交換(ME)後に徐々に上昇して、0.1(mM/h)を超えた後、100時間経過時にピークとなり120時間までに徐々に低下している。そして、グルコースの消費速度は、図5に示すように、120時間経過時に培地交換(ME)が行われた後、培地交換(ME)直前の0.1(mM/h)から0.25(mM/h)まで、0.1(mM/h)以上、急激に上昇している。
すなわち、図5に示す例では、後述する次工程移行判定処理において、例えば、培地交換(ME)が行われた後、消費速度が0.1(mM/h)以上であって、かつ培地交換(ME)の前後における消費速度の差Dが所定値(例えば、0.1mM/h)以上であった場合に、次工程へ進む判定を行う(条件1)。
次に、図6は、細胞培養工程が開始され、4回の培地交換(ME(Medium Exchange))が行われ、144時間が経過した際に表示される表示画面19aを示している。
また、図6に示すグラフは、図5の示すグラフの24時間経過後を示すものではなく、別の例を示している。
破線で示されるグルコースの消費速度は、図6に示すように、2回目の培地交換(ME)までは、0~0.1(mM/h)の間で推移し、2回目の培地交換(ME)後に徐々に上昇して、0.1(mM/h)を超えた後、130時間経過時にピークとなり144時間までに徐々に低下している。そして、グルコースの消費速度は、図6に示すように、144時間経過時に培地交換(ME)が行われた後、0.3(mM/h)から0.2(mM/h)付近まで急激に下降している。
図6に示す例では、後述する次工程移行判定処理において、例えば、培地交換(ME)が行われた後、消費速度が0.1(mM/h)以上であって、かつ培地Xを交換した直後よりも所定時間(例えば、2時間)内に消費速度が小さくなった場合に、次工程へ進む判定を行う(条件2)。
なお、消費加速度は、後述する次工程移行判定処理において、所定の条件を満たしているか否かに応じて、次工程へ移行するように促すか否かの判定が行われる。
このとき、細胞状態表示エリア30bには、図6に示すように、後述する次工程移行判定処理による判定の結果として、細胞の状態を「消費速度が低下しています。次工程へ進んでください」と表示される。
<次工程移行判定処理>
本実施形態の細胞培養装置50では、以上のような構成により、PC10の制御部11が、培養容器20内の培地Xに含まれるグルコースの消費速度が所定の条件を満たすか否かに応じて、現工程から次工程へ進むか否かを判定する。
すなわち、図7に示すように、ステップS11では、表示部19の表示画面19aに表示されたSTARTボタン30dが押下されて細胞培養が開始されると、測定部12がセンサ21を用いて、1分経過ごとに培養容器20内のグルコース濃度を連続的に測定する。
次に、ステップS13では、ステップS12において所定時間(1時間(60点))以上、測定したと判定されたため、制御部11が、直近のグルコース消費量の移動平均(例えば、60点)を算出し、グルコースの消費量の平均値の時系列データに追加する。
次に、ステップS15では、消費加速度算出部14が、グルコースの消費速度を微分処理して、消費速度を示すグラフの勾配、つまり、グルコースの消費加速度を算出する。
次に、ステップS16では、培地交換検出部15が、予め設定された所定の培地交換(ME)の時間(例えば、図5に示す例では、24時間、72時間、120時間経過時)であるか否かを判定する。ここで、所定の培地交換時間であると判定された場合には、ステップS17へ進み、所定の培地交換時間ではないと判定された場合には、図8のフローチャートへ進む。
培養容器20内の培地Xの交換は、制御部11が、培養容器20に設置された注入ポンプ22および排出ポンプ24を駆動させて、自動的に行われる。
なお、培養容器20内の培地Xの交換は、表示部19の表示画面19aに培地交換を促すメッセージ等を表示することで、例えば、ピペット等を用いて使用者に手動で行わせてもよい。
ここで、培養容器20内の培地交換が完了するまで繰り返し判定が行われ、培地交換検出部15が、培地交換が完了していると判定すると、ステップS22へ進む。
次に、ステップS23では、ステップS22において、培地交換が完了してから所定時間(例えば、2時間)が経過したと判定されたため、次工程移行判定部16が、所定時間(2時間)内におけるグルコースの消費速度が所定の条件を満たすか否かを判定する。
ここで、上記条件1,4を共に満たしている場合には、次工程移行判定部16は、ステップS24へ進み、上記条件1,4のいずれか1つでも満たしていない場合には、ステップS26へ進む。
次に、ステップS25では、表示画面19aに表示されたメッセージを見た使用者によって、表示画面19aに表示されたSTOPボタン30eが押下され、次工程への移行処理が行われる。
一方、ステップS26では、ステップS23において、次工程移行判定部16が、上記条件1,4のいずれか1つを満たしていないと判定されたため、他の条件2,4を満たしていないかを判定する。
なお、この条件2の代わりに、図6において点線で示されているグルコースの消費加速度が培地交換後、所定時間(例えば、2時間)内にマイナスになっている(条件3)ことで、次工程移行判定処理が行われてもよい。
(実施形態2)
本発明の他の実施形態に係るPC(Personal Computer)(細胞培養制御装置)210およびこれを備えた細胞培養装置250について、図10および図11を用いて説明すれば以下の通りである。
なお、その他の構成についてはほぼ同様であることから、説明の便宜上、同様の機能を持つ構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
そして、PC210は、図11に示すように、上記実施形態1と同様に、制御部11が、センサ21に接続された測定部12を用いて、培地Xに含まれるグルコースの濃度を連続的に測定する。
これにより、PC210では、培地交換検出部15において培養容器20に入れられた培地Xの交換が完了したことを検出し、次工程移行判定部16が、上述した条件1~4等を満たすと判定すると、制御部11が、次工程へ移行するように促すメッセージ等を表示部19の表示画面19aに表示させる。
本発明の他の実施形態に係るPC(Personal Computer)(細胞培養制御装置)310およびこれを備えた細胞培養装置350について、図14から図16を用いて説明すれば以下の通りである。
すなわち、本実施形態の細胞培養装置350は、培養容器320に対して新たな培地Xを追加していくために、図14に示すように、排出ポンプ、排出口および廃液容器を備えていない点で、上記実施形態1の構成とは異なっている。
具体的には、本実施形態の細胞培養装置350では、PC310が、所定時間が経過するごとに、培養容器320内の培地Xを新しい培地Xに交換する(入れ替える)代わりに、新しい培地Xを培養容器320へ追加するように制御を行う。
このとき、新たな培地Xを追加した直後のグルコース濃度は、上記実施形態1のように培地Xの交換ごとに初期濃度まで回復することなく、図15(b)に示すように、100%回復することなく徐々に低下していく。
つまり、培養容器310内の培地Xを交換するのではなく、培地Xを追加していく場合には、グルコースの濃度変化は、グルコース濃度だけでなく、培地Xの体積にも依存する。
よって、上記実施形態1で説明した図7のフローチャートは、図17に示すように、ステップS12の後に、ステップS31において、グルコース濃度と培地Xの体積からグルコース消費量を算出する。
次に、ステップS13では、グルコース消費量を微分して消費速度を算出する。
次に、ステップS14では、消費速度算出部13が、グルコースの消費量を微分処理して、消費量の平均値を示すグラフの勾配、つまり、グルコースの消費速度を算出する。
次に、ステップS36では、培地交換検出部15が、予め設定された所定の培地追加であるか否かを判定する。ここで、所定の培地追加時間であると判定された場合には、ステップS37へ進み、所定の培地追加時間ではないと判定された場合には、図8のフローチャートへ進む。
これにより、上述した実施形態と同様に、細胞の状態に応じて適切な時期に次工程へ移行して、細胞の品質を維持することができる。
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
上記実施形態では、細胞培養制御装置および方法として、本発明を実現した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、上述した細胞培養制御装置の方法をコンピュータに実行させる細胞培養制御プログラムとして本発明を実現してもよい。
(B)
上記実施形態では、次工程へ進むように促すメッセージ等を表示する表示部19を備えたPC10を、細胞培養制御装置として用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
また、例えば、表示部にメッセージを表示する代わりに、音声や光、振動等で次工程へ進むべき時期であることを使用者に報知する構成であってもよい。
上記実施形態では、図2に示すように、PC10が、グルコースの消費速度をさらに微分処理して消費加速度を算出する消費加速度算出部14を備えている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、上述した条件1~4のうち、条件1または2を用いて次工程移行判定処理を実施する場合には、消費加速度は判定条件に用いられないため、消費加速度算出部のない構成であってもよい。
上記実施形態では、図8に示すように、上述した条件1,4(ステップS23)および条件2,4(ステップS26)を満たすか否かの判定をともに実施する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、図12に示すように、ステップS26を削除して、ステップS21~ステップS25までの処理によって、次工程移行判定処理が実施されてもよい。
(E)
上記実施形態では、次工程移行判定部16が、上述した条件1~4のうち、条件1,4または条件2,4を満たす場合に、次工程移行判定処理を実施する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
(F)
上記実施形態では、条件1~4において、所定時間(例えば、2時間)、消費速度が所定値以上(例えば、1.0mM/h)、消費速度の差が所定値以上(例えば、1.0mM/h以上)という閾値がそれぞれ設定されている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
(G)
上記実施形態では、センサ21に接続された測定部12において、培地Xに含まれるグルコースの濃度を測定・取得する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
(H)
上記実施形態では、培地Xを交換する時期として、24時間、72時間、120時間、144時間経過時(1日、3日、5日、6日経過時)が設定された例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
また、数時間、数分等、上記実施形態よりも短いスパンで培地交換が行われるように設定されていてもよい。そして、その短いスパンでの培地交換が行われるごとに、次工程へ進むか否かの判定が行われてもよい。
(I)
上記実施形態では、次工程へ進むように促すメッセージとともに、現工程を終了させるボタン(STOPボタン30e)を表示部19に表示する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
(J)
上記実施形態では、本発明の細胞培養制御装置がPC10の中に設けられている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
(K)
上記実施形態では、培地Xに含まれる栄養素として、グルコースの濃度を消費量情報として測定する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
11 制御部
12 測定部(消費量情報取得部、測定部)
13 消費速度算出部
14 消費加速度算出部
15 培地交換検出部
16 次工程移行判定部
17 記憶部
18 入力部
19 表示部
19a 表示画面
20 培養容器
21 センサ
22 注入ポンプ
22a 注入口
23 培地貯蔵容器
24 排出ポンプ
24a 排出口
25 廃液容器
30a グラフ表示エリア
30b 細胞状態表示エリア
30c グラフ表示選択エリア
30d STARTボタン
30e STOPボタン
50 細胞培養装置
110 PC(細胞培養制御装置)
111 通信部
210 PC(細胞培養制御装置)
250 細胞培養装置
310 PC(細胞培養制御装置)
320 培養容器
350 細胞培養装置
D 差
X 培地
Y 細胞
Claims (18)
- 培養容器に入れられた培地に含まれる栄養素の濃度を連続的に測定した結果から前記栄養素の消費量を取得する消費量情報取得部と、
前記消費量情報取得部において取得された前記栄養素の消費量を微分処理して前記栄養素が消費される消費速度を算出する消費速度算出部と、
前記培養容器に入れられた前記培地の交換または追加が行われたことを検出する培地交換検出部と、
前記培地交換検出部において前記培地の交換または追加が行われたことが検出されると、前記消費速度算出部において算出された前記培地の交換または追加後の前記消費速度が所定の条件を満たすか否かに応じて、次工程に進むか否かを判定する次工程移行判定部と、
を備えている細胞培養制御装置。 - 前記次工程移行判定部は、前記培地を交換または追加する前後における前記消費速度の差が所定値以上であった場合に、前記次工程へ進む判定を行う、
請求項1に記載の細胞培養制御装置。 - 前記次工程移行判定部は、所定時間内に前記培地を交換または追加した直後よりも前記消費速度が小さくなった場合に、前記次工程へ進む判定を行う、
請求項1に記載の細胞培養制御装置。 - 前記消費速度算出部において算出された前記消費速度を微分処理して前記栄養素が消費される消費加速度を算出する消費加速度算出部を、さらに備え、
前記次工程移行判定部は、所定時間内に前記消費加速度算出部において算出された前記消費加速度が負になった場合に、前記次工程へ進む判定を行う、
請求項1に記載の細胞培養制御装置。 - 前記次工程移行判定部は、前記培地を交換または追加後の前記消費速度が所定値以上である場合に、前記次工程へ進む判定を行う、
請求項2から4のいずれか1項に記載の細胞培養制御装置。 - 前記培養容器に前記培地を供給する注入ポンプと、前記培養容器から前記培地を排出する排出ポンプと、を制御して、前記培地の交換または追加を行う制御部を、さらに備えている、
請求項1から5のいずれか1項に記載の細胞培養制御装置。 - 前記培地交換検出部は、前記培養容器に入れられた前記培地の交換または追加を行うために駆動されていた前記注入ポンプおよび前記排出ポンプが停止したことを検出して、前記培地の交換または追加が行われたことを検出する、
請求項6に記載の細胞培養制御装置。 - 前記制御部は、予め設定された所定時間を経過すると、前記培地の交換または追加を行う、
請求項6または7に記載の細胞培養制御装置。 - 前記培地交換検出部は、前記栄養素の測定が一時停止された後、前記測定が再開される入力があった場合に、前記培地の交換または追加が行われたことを検出する、
請求項1から8のいずれか1項に記載の細胞培養制御装置。 - 前記次工程移行判定部において前記次工程へ進むと判定されると、前記次工程へ進むように促すメッセージを表示する表示部を、さらに備えている、
請求項1から9のいずれか1項に記載の細胞培養制御装置。 - 前記次工程移行判定部において前記次工程へ進むと判定されると、前記次工程へ進むように促す通知を送信する通信部を、さらに備えている、
請求項1から10のいずれか1項に記載の細胞培養制御装置。 - 前記培養容器に入れられた前記培地に浸漬されたセンサと接続されており、前記栄養素の濃度を連続的に測定する測定部を、さらに備えている、
請求項1から11のいずれか1項に記載の細胞培養制御装置。 - 前記培地交換検出部が、前記培養容器に入れられた前記培地の交換が行われたことを検出すると、
前記消費量情報取得部は、前記培地に含まれる前記栄養素の濃度に基づいて前記栄養素の消費量を算出する、
請求項1から12のいずれか1項に記載の細胞培養制御装置。 - 前記培地交換検出部が、前記培養容器に入れられた前記培地の追加が行われたことを検出すると、
前記消費量情報取得部は、前記培地に含まれる前記栄養素の濃度と、前記培地の体積とに基づいて、前記栄養素の消費量を算出する、
請求項1から12のいずれか1項に記載の細胞培養制御装置。 - 請求項1から13のいずれか1項に記載の細胞培養制御装置と、
前記細胞培養制御装置によって制御され、前記培養容器の前記培地を供給する注入ポンプと、
前記細胞培養制御装置によって制御され、前記培養容器から前記培地を排出する排出ポンプと、
を備えた細胞培養装置。 - 請求項14に記載の細胞培養制御装置と、
前記細胞培養制御装置によって制御され、前記培養容器の前記培地を供給する注入ポンプと、
を備えた細胞培養装置。 - 培養容器に入れられた培地に含まれる栄養素の濃度を連続的に測定した結果から前記栄養素の消費量を取得する消費量情報取得ステップと、
前記消費量情報取得ステップにおいて取得された前記栄養素の消費量を微分処理して前記栄養素が消費される消費速度を算出する消費速度算出ステップと、
前記培養容器に入れられた前記培地の交換または追加が行われたことを検出する培地交換検出ステップと、
前記培地交換検出ステップにおいて前記培地の交換または追加が行われたことが検出されると、前記消費速度算出ステップにおいて算出された前記培地の交換または追加後の前記消費速度が所定の条件を満たすか否かに応じて、次工程へ進むか否かを判定する次工程移行判定ステップと、
を備えている細胞培養制御方法。 - 培養容器に入れられた培地に含まれる栄養素の濃度を連続的に測定した結果から前記栄養素の消費量を取得する消費量情報取得ステップと、
前記消費量情報取得ステップにおいて取得された前記栄養素の消費量を微分処理して前記栄養素が消費される消費速度を算出する消費速度算出ステップと、
前記培養容器に入れられた前記培地の交換または追加が行われたことを検出する培地交換検出ステップと、
前記培地交換検出ステップにおいて前記培地の交換または追加が行われたことが検出されると、前記消費速度算出ステップにおいて算出された前記培地の交換または追加後の前記消費速度が所定の条件を満たすか否かに応じて、次工程へ進むか否かを判定する次工程移行判定ステップと、
を備えている細胞培養制御方法をコンピュータに実行させる細胞培養制御プログラム。
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