JP7410388B2 - 塗装めっき鋼板 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、耐食性、耐アルカリ性や耐溶剤性などの耐洗浄剤性、皮膜密着性、塗料密着性および印刷密着性などの密着性、耐湿変色性や耐結露性などの耐水性に優れ、且つ加工性および摺動性にも優れるクロムフリー表面処理亜鉛系めっき鋼板が提案されている。
特許文献1には、上記鋼板を提供する技術として、分子内に特定の官能基を2個以上と、特定の親水性官能基を1個以上含有し、特定の分子量である有機ケイ素化合物(C)と、特定の構造単位を有する水系ウレタン樹脂(E)と、特定の構造を有するカチオン性フェノール樹脂(F)の3成分を特定の比率で含有する造膜成分(c)と、チタンフッ化水素酸(H)、ジルコンフッ化水素酸(I)、リン酸化合物(J)と、バナジウム(IV)化合物(K)の4成分を特定の比率で含有するインヒビター成分(d)と、ポリエチレンワックス(L)と、水性媒体と、からなり、pHが4~6である水系金属表面処理剤を塗布乾燥することにより、各成分を含有する複合皮膜を形成することが記載されている。
特許文献2には、上記鋼板を提供する技術として、次の技術が記載されている。
亜鉛系めっき鋼板を下地鋼板とし、該下地鋼板のめっき皮膜の上層に、ガラス転移温度Tgが0℃以上ポリウレタンとガラス転移温度Tgが-10℃以下のポリウレタンを所定の質量比で混合した水分散性ポリウレタンと、シリカと、ジルコニウム化合物と、シランカップリング剤とを含む化成処理剤を用いて化成処理層を形成する。更に、該化成処理層の上層に下塗り塗膜層と上塗り塗膜層とを形成する。これにより、化成処理層の臨界剥離強度が5mN以上と高くなり、環境に悪影響を及ぼすことなく、塗装鋼板の耐食性、特に端面耐食性が顕著に向上する。
特許文献3には、上記組成物を提供する技術として、特定の有機ケイ素化合物と、ヘキサフルオロ金属酸と、特定のカチオン性基を有するウレタン樹脂と、バナジウム化合物と、水性媒体を含有する下地処理組成物において、ウレタン樹脂のカチオン性基及び全アミン価が特定の値を有することで、加工密着性を十分に担保しながら優れた耐軒下耐食性を付与する下地処理層が得られることが記載されている。
特許文献4には、次の技術が記載されている。
水性組成物が水の他に、(a)少なくとも1種の加水分解可能な又は/及び少なくとも部分的に加水分解されたシラン、(b)少なくとも1種の金属キレート、(c)少なくとも1種の有機塗膜形成剤、並びに、(d)塗膜形成助剤として少なくとも1種の長鎖アルコール又は/及び(e)少なくとも1種の粒子形の無機化合物を含有させる。
清潔な、酸漬した、洗浄した又は/及び前処理した金属表面を水性組成物と接触させ、金属表面に塗膜を形成させる。塗膜を引き続き乾燥させ、部分的に又は完全に塗膜を緊密にし、場合により付加的に硬化させる。乾燥及び場合により硬化もさせた塗膜が、0.01~10μmの範囲の層厚を有する。
そのため、これら性能を満足する塗装めっき鋼板が要望されている。
鋼板と、
前記鋼板の片面または両面に設けられ、亜鉛を含有するめっき層と、
前記鋼板の片面に設けられた前記めっき層上、又は前記鋼板の両面に設けられた前記めっき層の少なくとも一方上に設けられた化成処理皮膜と、
前記化成処理皮膜上に設けられた1層以上の塗膜と、
を有し、
前記化成処理皮膜、および、前記化成処理皮膜に接する塗膜のいずれか、または両方に、シラノール基、ビニル基、ビニレン基、アリル基および硫黄含有基のいずれか一つ以上を有するカルボン酸誘導体を、前記化成処理皮膜固形分または前記化成処理皮膜に接する塗膜固形分に対して0.01質量%以上40質量%以下の濃度で含有する塗装めっき鋼板。
<2>
前記カルボン酸誘導体を、前記化成処理皮膜固形分または前記化成処理皮膜に接する塗膜固形分に対して0.5質量%以上40質量%以下の濃度で含有する<1>に記載の
塗装めっき鋼板。
<3>
前記めっき層が、アルミニウムを0.5質量%以上60質量%以下で含有し、残部が亜鉛及び不純物からなる<1>又は<2>に記載の塗装めっき鋼板。
<4>
前記めっき層が、更にマグネシウムを0.5質量%以上15質量%以下で含有する<3>に記載の塗装めっき鋼板。
<5>
前記化成処理皮膜に接する塗膜の平均膜厚が、4μm以上である<1>~<4>のいずれか1項に記載の塗装めっき鋼板。
<6>
前記化成処理皮膜に接する塗膜が、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、および、ウレタン樹脂のいずれか一つ以上を含む<1>~<5>のいずれか1項に記載の塗装めっき鋼板。
<7>
前記化成処理皮膜に接する塗膜が、バナジン酸塩、タングステン酸塩、けい酸塩、および、りん酸塩のいずれか一つ以上を含む<1>~<6>のいずれか1項に記載の塗装めっき鋼板。
<8>
前記化成処理皮膜が、シランカップリング剤、およびジルコニウム化合物のいずれか一つ以上を含む<1>~<7>のいずれか1項に記載の塗装めっき鋼板。
<9>
前記化成処理皮膜が、シリカ、りん酸及びその塩、ふっ化物、並びに、バナジウム化合物のいずれか一つ以上を含む<1>~<8>のいずれか1項に記載の塗装めっき鋼板。
<10>
前記化成処理皮膜が、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、およびエポキシ樹脂のいずれか一つ以上を含む<1>~<9>のいずれか1項に記載の塗装めっき鋼板。
<11>
前記塗装めっき鋼板に対して、板温20℃で、鋼板の圧延方向に、板厚の3倍の厚みを曲率半径とする曲げ加工を施した後、CCT-JASO M609に準拠した下記条件(1)で示される複合サイクル腐食試験を30サイクル行った腐食試験片について、
前記めっき層の曲げ方向の縦断面の観察により、
前記腐食試験片の曲げ加工部に形成されている、前記めっき層のクラック部を除く前記めっき層の任意の幅200μmの範囲において、
前記めっき層のクラック部を起点に、前記めっき層と前記化成処理皮膜に接している塗膜との間に形成している腐食生成物のうち、腐食生成物の厚みが2μm以上である領域の長さの合計が、
条件(2)を満たす<1>~<10>のいずれか1項に記載の塗装めっき鋼板。
-条件(1)-
(A)塩水噴霧処理:35℃で、2時間、5%塩化ナトリウム水溶液を噴霧する塩水噴霧
(B)乾燥処理:60℃で、4時間、乾燥する乾燥処理
(C)湿潤処理:50℃、95%RHで、2時間、湿潤する湿潤処理
ただし、(A)、(B)および(C)の順での処理が一サイクルとする。
-条件(2)-
前記腐食生成物の厚みが2μm以上である領域の長さの合計(μm)/200(μm)×前記めっき層のクラック部の個数<0.5
<12>
前記塗装めっき鋼板に対して、板温20℃で、鋼板の圧延方向に、板厚の3倍の厚みを曲率半径とする曲げ加工を施した後、CCT-JASO M609に準拠した下記条件(1)で示される複合サイクル腐食試験を15サイクル行った腐食試験片について、
前記めっき層の曲げ方向の縦断面の観察により、
前記腐食試験片の曲げ加工部に形成されている、前記めっき層のクラック部を除く前記めっき層の任意の幅200μmの範囲において、
前記めっき層のクラック部を起点に、前記めっき層と前記化成処理皮膜に接している塗膜との間に形成している腐食生成物のうち、腐食生成物の厚みが2μm以上である領域の長さの合計が、
条件(2)を満たす<1>~<10>のいずれか1項に記載の塗装めっき鋼板。
-条件(1)-
(A)塩水噴霧処理:35℃で、2時間、5%塩化ナトリウム水溶液を噴霧する塩水噴霧
(B)乾燥処理:60℃で、4時間、乾燥する乾燥処理
(C)湿潤処理:50℃、95%RHで、2時間、湿潤する湿潤処理
ただし、(A)、(B)および(C)の順での処理が一サイクルとする。
-条件(2)-
前記腐食生成物の厚みが2μm以上である領域の長さの合計(μm)/200(μm)×前記めっき層のクラック部の個数<0.5
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。
数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
「好ましい態様の組み合わせ」は、より好ましい態様である。
また、「亜鉛めっき層を有する鋼板」を「亜鉛めっき鋼板」、「亜鉛合金めっき層を有する鋼板」を「亜鉛合金めっき鋼板」、「亜鉛系めっき層を有する鋼板」を「亜鉛系めっき鋼板」とも称する。
鋼板と、
前記鋼板の片面または両面に設けられ、亜鉛を含有するめっき層と、
前記鋼板の片面に設けられた前記めっき層上、又は前記鋼板の両面に設けられた前記めっき層の少なくとも一方上に設けられた化成処理皮膜と、
前記化成処理皮膜上に設けられた1層以上の塗膜と、
を有する。
そして、本発明の塗装めっき鋼板は、化成処理皮膜、および、化成処理皮膜に接する塗膜のいずれか、または両方に、シラノール基、ビニル基、ビニレン基、アリル基および硫黄含有基のいずれか一つ以上を有するカルボン酸誘導体を、化成処理皮膜固形分または化成処理皮膜に接する塗膜固形分に対して0.5質量%以上40質量%以下の濃度で含有する。
本発明の塗装めっき鋼板は、次の知見により見出さされた。
なお、めっき層と下層塗膜との間には化成処理皮膜を形成しているが、化成処理皮膜は通常ナノメートルオーダーの膜厚であり、膜厚のむらなどが生じた場合、直接、めっき層と塗膜が接することもあるため、めっき層と下層塗膜との界面にも、腐食生成物が形成されることがある。
一般的なクロメートフリー化成処理と塗装を施した塗装めっき鋼板とクロメート化成処理と塗装を施した塗装めっき鋼板について、曲げ加工を行った塗装めっき鋼板を複合サイクル試験により腐食促進試験を行い、腐食試験後の断面観察を行った。その結果、本発明者らは、次の知見を得た。
一般的なクロメートフリー化成処理を施した場合、亜鉛めっき層を有する亜鉛めっき鋼板を原板とする塗装めっき鋼板(以下「塗装亜鉛めっき鋼板」)と、アルミニウム、マグネシウム等を含有する亜鉛合金めっき層を有する亜鉛合金めっき鋼板を原板とする塗装めっき鋼板(以下「塗装亜鉛合金めっき鋼板」)とでは加工部の腐食挙動に違いがある。
さらに、クロメート化成処理液中に含有するシリカ成分との結合性も高いことで、化成処理皮膜とめっき層及び塗膜との強固に結合し、化成処理皮膜とめっき層及び塗膜との結合を一層高めている。よって、クロメート化成処理のような加工部耐食性をクロメートフリー化成処理でも実現するためには、めっき成分と化成処理皮膜及びそれに接する塗膜の両方と高い結合を有する成分を導入することが有効である。
そのためには、従来の塗装亜鉛めっき鋼板に加え、塗装亜鉛合金めっき鋼板においても、アルミニウム、マグネシウム等のめっき成分とも、高い結合性を有する成分として、カルボン酸誘導体が有効であり、かつ化成処理皮膜及び化成処理皮膜に接する塗膜との結合を高める成分として、シラノール基、ビニル基、ビニレン基、アリル基、および硫黄含有基のいずれか一つ以上を有していることで、アルミニウム、マグネシウム等を含む塗装亜鉛合金めっき鋼板における加工部耐食性をクロメート化成処理と同等に高め、塗装亜鉛めっき鋼板においても従来のクロメートフリー処理に比べ加工部耐食性を高められる。
一方、クロメート化成処理では同様の界面での腐食は見られず、クロメートフリー化成処理における特有の挙動と考えられた。
鋼板は、めっき層が形成される対象の鋼板である。鋼板は、特に限定されるものではない。鋼板としては、例えば、極低C型(フェライト主体組織)、Al-k型(フェライト中にパーライトを含む組織)、2相組織型(例えば、フェライト中にマルテンサイトを含む組織、フェライト中にベイナイトを含む組織)、加工誘起変態型(フェライト中に残留オーステナイトを含む組織)、微細結晶型(フェライト主体組織)等のいずれの型の鋼板を用いてもよい。
亜鉛系めっき層(亜鉛を含有するめっき層)は、亜鉛と共に、不純物を含むめっき層を対象とする。具体的には、亜鉛系めっき層としては、亜鉛めっき層、亜鉛-アルミニウム-マグネシウムめっき層、亜鉛-アルミニウム-マグネシウム-シリコンめっき層、亜鉛-アルミニウムめっき層、亜鉛-アルミニウム-シリコンめっき層等が挙げられる。
具体的には、亜鉛系めっき層は、アルミニウムを0.5質量%以上60質量%以下で含有し、残部が亜鉛及び不純物からなるめっき層が好ましく、アルミニウムを0.5質量%以上60質量%以下、更にマグネシウムを0.5質量%以上15質量%以下で含有し、残部が亜鉛及び不純物からなるめっき層がより好ましい。
亜鉛、アルミニウム、マグネシウムのいずれも含む亜鉛合金めっき層としては、亜鉛-アルミニウム-マグネシウムめっき層、亜鉛-アルミニウム-マグネシウム-シリコンめっき層が例示され、各成分の割合によって、Zn-6%Al-3%Mgめっき層、Zn-11%Al-3%Mg-0.2%Siめっき層、Zn-55%Al-2%Mg-1.6%Siめっき層、これらめっき層に微量のNi、Cr、Ti等を含有するめっき層等が種々存在する。
亜鉛系めっき層の付着量が、15g・m-2未満であると、付着量が小さすぎて不めっき部分が発生し、めっきによる防食効果が発揮されないことがある。また、亜鉛系めっき層の付着量が140g・m-2超であると、耐食性は高いが、めっきが黒く変色する現象は発生しにくい。
カルボン酸誘導体は、シラノール基、ビニル基、ビニレン基、アリル基および硫黄含有基のいずれか一つ以上を有するカルボン酸誘導体が適用される。
シラノール基を有するカルボン酸誘導体は、化成処理皮膜中又は化成処理皮膜に接する下層塗膜中の反応基と重合したり、シラノール基同士が自己縮合したシロキサン結合となることで、分子同士を連結する。また、シラノール基を有するカルボン酸誘導体は、めっき層及び鋼板の金属、並びに、その酸化物の水酸基と脱水縮合することで結合する。そのため、めっき層と下層塗膜との間の界面結合力の向上に寄与する。
1)スルフィド(-S-)を有する基(例えば、チオフェン環基、ジチイン環基、チアゾリル基、又はこれらの縮合環基)
2)ジスルフィド(-S-S-)を有する基
3)チオール基(-SH)
4)アルキルチオ基(-SR:R=アルキル基)
5)アリールチオ基(-SAr:Ar=アリール基)
6)チオカルボン酸基(チオ酢酸、チオプロピオン酸、チオグリコール酸等)、チオカルボン酸のアルキルエステル基、チオカルボン酸の塩)
カルボン酸誘導体の含有量が0.01質量%未満であると、めっき層と下層塗膜との間の界面結合性の向上を十分に高められない場合がある。
カルボン酸誘導体の含有量が40質量%超であると、カルボン酸誘導体の含有量が高すぎて他成分の割合が低くなり、耐食性以外の性能を十分に得ることが難しくなる場合がある。
より好ましくは、カルボン酸誘導体の含有量は、化成処理皮膜においては1質量%以上30質量%以下、下層塗膜においては0.5質量%以20質量%以下である。さらに好ましくは、カルボン酸誘導体の含有量は、化成処理皮膜においては1質量%以上20質量%以下、下層塗膜においては0.5質量%以上10質量%以下である。
化成処理皮膜は、めっき鋼板表面に付着した油分などの不純物及び表面酸化物を脱脂工程及び洗浄工程で取り除いた後、化成処理により形成する。
特に、化成処理皮膜が、シランカップリング剤、およびジルコニウム化合物のいずれか一つ以上を含むと、皮膜に架橋構造を形成し、さらにめっき表面との結合も強化するため、皮膜の密着性やバリア性を高めることができる。
また、化成処理皮膜が、シリカ、りん酸及びその塩、ふっ化物、並びに、バナジウム化合物のいずれか一つ以上を含むと、インヒビターとして、めっきや鋼表面に沈殿皮膜や不動態皮膜を形成することで、耐食性を向上することができる。
樹脂は、特に限定されず、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂等、公知の有機樹脂を使用することができる。めっき鋼板との密着性を更に高めるためには、分子鎖中に強制部位や極性官能基をもつ樹脂(ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等)の少なくとも一つを使用することが好ましい。樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤としては、前述のシラノール基を有するカルボン酸誘導体以外の化合物であり、種々のシラン化合物を用いることができる。
シランカップリング剤としては、例えば、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリエトキシシラン、γ-クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、γ-アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ-アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ-アニリノプロピルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、オクタデシルジメチル〔3-(トリメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル〔3-(メチルジメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル〔3-(トリエトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル〔3-(メチルジエトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、γ-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシランなどが挙げられる。
これらの中でも、シランカップリング剤として、グリシジルエーテル基を有するシランカップリング剤(例えば、グリシジルエーテル基を有するγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等)を使用すると、下層塗膜の加工密着性が特に向上する。更に、トリエトキシタイプのシランカップリング剤を使用すると、下地処理剤の保存安定性を向上させることができる。これは、トリエトキシシランが水溶液中で比較的安定であり、重合速度が遅いためであると考えられる。
シランカップリング剤は1種で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ジルコニウム化合物としては、特に限定されないが、例えば、ジルコニウムノルマルプロピレート、ジルコニウムノルマルブチレート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムモノアセチルアセトネート、ジルコニウムビスアセチルアセトネート、ジルコニウムモノエチルアセトアセテート、ジルコニウムアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテート、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムモノステアレート、炭酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモ二ウム、炭酸ジルコニウムカリウム、炭酸ジルコニウムナトリウム等が挙げられる。
ジルコニウム化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤及びジルコニル塩の含有量は、皮膜中に5質量%以上80質量%以下で含有することが好ましい。より好ましくは、20質量%以上70質量%である。含有量が5質量%未満であると、基材との密着性や耐食性の向上効果が得られない場合があり、80質量%超であると、加工性が低下する場合がある。
シリカとは、微細な粒径を持つために水中に分散させた場合に安定に水分散状態を維持できるシリカを総称して言うものである。シリカは、塗装めっき鋼板の耐食性を向上させるとともに、下層塗膜の密着性を向上させるのに有効である。
シリカとしては、特に制限はないが、例えば、一次粒子径が5~50nmのコロイダルシリカ、ヒュームドシリカ等のシリカ微粒子であることが好ましい。シリカとしては、例えば、「スノーテックスN」、「スノーテックスC」、「スノーテックスUP」、「スノーテックスPS」(いずれも日産化学工業製)、「アデライトAT-20Q」(旭電化工業製)など市販のシリカゲル、又はアエロジル#300(日本アエロジル製)などの粉末シリカ、などを用いることができる。シリカは、必要とされる性能に応じて、適宜選択すればよい。
シリカは1種で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
りん酸及びその塩としては、例えば、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸等のリン酸類及びそれらの塩;リン酸三アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のアンモニウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)等のホスホン酸類及びそれらの塩;フィチン酸等の有機リン酸類及びそれらの塩等が挙げられる。なお、りん酸の塩として、アンモニウム塩以外の塩としては、Na、Mg、Al、K、Ca、Mn、Ni、Zn、Fe等との金属塩が挙げられる。
りん酸及びその塩は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
りん酸及びその塩の含有量が、20質量%超であると、皮膜が脆くなり、塗装めっき鋼板を成形加工する際の皮膜の加工追従性が低下する場合がある。
ふっ化物としては、例えば、ジルコンフッ化アンモニウム、ケイフッ化アンモニウム、チタンフッ化アンモニウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、チタンフッ化水素酸、ジルコンフッ化水素酸などが挙げられる。
ふっ化物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
バナジウム化合物としては、例えば、五酸化バナジウム、メタバナジン酸、メタバナジン酸アンモニウム、メタバナジン酸ナトリウム、オキシ三塩化バナジウム等の5価のバナジウム化合物を還元剤で2~4価に還元したバナジウム化合物;三酸化バナジウム、二酸化バナジウム、オキシ硫酸バナジウム、オキシ蓚酸バナジウム、バナジウムオキシアセチルアセトネート、バナジウムアセチルアセトネート、三塩化バナジウム、リンバナドモリブデン酸、硫酸バナジウム、二塩化バナジウム、酸化バナジウム等の酸化数4~2価のバナジウム化合物等が挙げられる。
バナジウム化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
化成処理剤の製造方法は特に限定されないが、例えば、各々の皮膜形成成分を混合し、ディスパーで攪拌し、溶解もしくは分散する方法が挙げられる。各々の皮膜形成成分の溶解性、又は分散性を向上させるために、必要に応じて、公知の親水性溶剤等を添加してもよい。化成処理剤中には、その性能が損なわれない範囲内で、pH調整のために酸、アルカリ等を添加してもよい。
化成処理剤の塗布方法は、特に限定されず、一般に公知の塗装方法、例えば、ロールコート、エアースプレー、エアーレススプレー、浸漬などを利用する方法が可能である。
加熱乾燥温度としては、50~250℃がよい。50℃未満では、水分の蒸発速度が遅く充分な成膜性が得られないので、防錆力が不足することがある。250℃を超えると、有機物であるシランカップリング剤のアルキル部分が熱分解等のため変性を起こし、密着性や耐食性が低下することがある。加熱温度は70~160℃がより好ましい。
加熱乾燥方法は、特に制限はなく、熱風、誘導加熱、近赤外線、直火等を単独又は組み合わせた方法が挙げられる。例えば、熱風乾燥を利用する場合、加熱乾燥時間は1秒~5分が好ましい。
めっき鋼板片面あたりの化成処理皮膜の付着量は、固形分にして10~1000mg/m2が好ましい。10mg/m2未満では充分な加工密着性と耐食性が確保されず、1000mg/m2を超えると加工密着性が低下することがある。
めっき鋼板片面あたりの化成処理皮膜の付着量は、より好ましくは20~800mg/m2、最も好ましくは50~600mg/m2である。
塗膜は、化成処理皮膜の上に形成する、1層以上の膜である。塗膜は、塗装めっき鋼板片面につき1~3層設けることが多い。塗膜が2層以上の複層の場合は、化成処理皮膜に接する塗膜(下層塗膜)は特にプライマー塗膜と呼ばれることもあり、塗膜と化成処理皮膜との密着性及び耐食性の担保を目的とすることが多い。一方、上層の塗膜は、着色による意匠性やバリア性、その他の表面機能性の担保を目的とすることが多い。なお、ここで示す塗膜とは、特に断らない限りは、化成処理皮膜と接する塗膜を示すものとする。
樹脂は、特に限定されるものではない。例えば、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ふっ素樹脂が挙げられる。
樹脂としては、これら樹脂を、ブチル化メラミン樹脂、メチル化メラミン樹脂、ブチルメチル混合メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート樹脂、又はこれらの混合系の架橋剤成分により架橋させた樹脂も挙げられる。
樹脂としては、電子線硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂なども挙げられる。
これらの中でも、バインダー樹脂としては、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、および、ウレタン樹脂のいずれか一つ以上が好ましい。
これらのバインダー樹脂は単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。
顔料としては、防錆顔料、着色顔料、体質顔料とに大別される。
防錆顔料として、バナジン酸塩、タングステン酸塩、けい酸塩、りん酸塩等が挙げられる。
着色顔料としては、公知の無機及び有機着色顔料が挙げられる。無機着色顔料としては酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、カオリンクレー、カーボンブラック、酸化鉄等が挙げられる。有機着色顔料としてはハンザエロー、ピラゾロンオレンジ、フタロシアニン、アゾ系顔料等が挙げられる。
体質顔料としては、例えば、タルク、クレー、シリカ、マイカ、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。
これらの中でも、耐食性の向上の観点から、顔料としては、防錆顔料が好ましい。つまり、下層塗膜は、バナジン酸塩、タングステン酸塩、けい酸塩、および、りん酸塩のいずれか一つ以上を含むことが好ましい。
タングステン酸塩としては、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カルシウム、タングステン酸アンモニウム、タングステン酸リチウム、タングステン酸マグネシウム等が挙げられる。
けい酸塩としては、けい酸ナトリウム、けい酸カリウム、けい酸リチウム、カルシウムイオン交換シリカ等が挙げられる。
りん酸塩としては、りん酸二水素ナトリウム、りん酸二水素カリウム、りん酸水素二カリウム、トリポリりん酸ナトリウム、トリポリりん酸アルミニウム、トリポリりん酸マグネシウム、りん酸二水素ナトリウム一水和物、りん酸二水素ナトリウム二水和物、次亜りん酸カルシウム等が挙げられる。
塗膜の膜厚は、4μm以上(例えば4~50μm)が好ましい。塗膜の膜厚とは、塗膜が複層の場合、複層の合計の膜厚を意味する。
ただし、塗膜が複層の場合、下層塗膜(化成処理皮膜に接する塗膜)は4~15μmが好ましい。膜厚が4μm未満であると、十分な耐食性および耐薬品性が得られないことがある。一方、膜厚が15μmを超えると、加工性が低下することがある。耐食性、耐薬品性、および加工性の良好なバランスの観点から、下層塗膜の膜厚は、4~10μmの範囲がより好ましい。
また、下層塗膜よりも上層の塗膜の膜厚は5~30μmが好ましい。膜厚が5μm未満では耐薬品性や耐食性が低下することが懸念されるばかりでなく、色の隠蔽性が低下し、意匠性が十分に得られないことがある。また、膜厚が30μmを超えると加工性が悪くなる。上層の塗膜の厚みは、10~25μmであることがより好ましい。
なお、上層の塗膜が複層の場合、上層の塗膜の膜厚とは、各塗膜の膜厚を意味する。
塗膜は、塗布液を塗布後、塗布膜を乾燥及び硬化して形成する。
塗膜の塗布方法としては、特に制限はなく、例えば、浸漬法、カーテンフロー法、ロールコート法、バーコート法、静電法、刷毛塗り法、T-ダイ法、ラミネート法、スプレー法などが挙げられる。また、ウェット・オン・ウェットコート法、多層同時コート法も挙げられる。
加熱及び硬化は、熱風、近赤外線、遠赤外線、高周波誘導加熱、これらの複合による加熱法など、任意の方法が適用可能である。
塗装めっき鋼板は、次の特性(耐食特性)を有することが好ましい。
塗装めっき鋼板に対して、板温20℃で、鋼板の圧延方向に、板厚の3倍の厚みを曲率半径とする曲げ加工を施した後、CCT-JASO M609に準拠した下記条件(1)で示される複合サイクル腐食試験を30サイクル又は15サイクル行った腐食試験片について、
めっき層の曲げ方向の縦断面の観察により、
腐食試験片の曲げ加工部に形成されている、めっき層のクラック部を除くめっき層の任意の幅200μmの範囲において、
めっき層のクラック部を起点に、めっき層と化成処理皮膜に接している塗膜との間に形成している腐食生成物のうち、腐食生成物の厚みが2μm以上である領域の長さの合計が、条件(2)を満たす特性。
(A)塩水噴霧処理:35℃で、2時間、5%塩化ナトリウム水溶液を噴霧する塩水噴霧
(B)乾燥処理:60℃で、4時間、乾燥する乾燥処理
(C)湿潤処理:50℃、95%RHで、2時間、湿潤する湿潤処理
ただし、(A)、(B)および(C)の順での処理が一サイクルとする。
腐食生成物の厚みが2μm以上である領域の長さの合計(μm)/200(μm)×めっき層のクラック部の個数<0.5
また、腐食生成物の厚みが2μm以上である領域の長さの合計(μm)は、「めっき層のクラック部を除くめっき層の任意の幅200μm」において、めっき層と下層塗膜との間に形成されている、厚み2μm以上の腐食生成物が形成されている領域の長さの合計((図1中、c+d+e=長さの合計参照)を示す。
また、めっき層と化成処理皮膜に接している塗膜との間に形成している腐食生成物が、クラック部から連続して形成せずに断片的に形成していたり、領域によって厚みが異なる場合、条件(2)における「腐食生成物の厚みが2μm以上である領域の長さの合計(μm)」は、厚みが2μm以上である腐食性生物の領域の長さのみを合計したものとする。
さらに、めっき層と化成処理皮膜に接している塗膜との間に形成している腐食生成物は、通常、塗装亜鉛系合金めっき鋼板においてみられる腐食挙動であるが、腐食が進行すると塗装亜鉛めっき鋼板と同様、めっき層全体も腐食する。つまり、条件(2)における「腐食生成物の厚みが2μm以上である領域の長さの合計(μm)」は、めっき層が完全に腐食していない領域の直上に生成している腐食性生物を示している。
なお、耐食特性のその他条件については、後述する実施例で示す通りである。
ここで、図1中、Aは基準となる任意のめっき層のクラック部の上端縁部、Bは基準となる任意のめっき層のクラック部に隣接するめっき層のクラック部の上端縁部を示す。
また、10は鋼板、12はめっき層、14は化成処理皮膜、16Aは下層塗膜、16Bは下層塗膜上に有する塗膜(上層塗膜)、18は腐食性生物を示す。
表1に示す、両面に亜鉛系めっき層を有する亜鉛系めっき鋼板を準備した。亜鉛系めっき鋼板には、板厚0.5mmの軟鋼板を使用した。亜鉛系めっき鋼板は、表面をアルカリ脱脂処理、水洗乾燥して使用した。
化成処理皮膜を形成するための化成処理剤は、表2から表5および表15から表16に示すカルボン酸誘導体と、表6に示す樹脂、表7に示すシランカップリング剤、表8に示すジルコニウム化合物、表9に示すシリカ、表10に示すりん酸及びその塩、表11に示すふっ化物、表12に示すバナジウム化合物を、表17に示す配合量(乾膜濃度=化成処理膜の固形分に対する質量%)で配合し、分散機を用いて攪拌することで調製した。
次いで、前記(1)で準備した亜鉛系めっき鋼板の両面に片面あたり100mg/m2の付着量になるようにロールコーターで、化成処理剤を塗装し、100℃の鋼板到達温度で乾燥させることで化成処理皮膜を形成した。
なお、表17中の化成処理皮膜の各成分の含有量(乾膜の濃度)は、皮膜固形分に対する質量%である。
塗膜を形成するための塗布液は、表2から表5および表15から表16に示すカルボン酸誘導体と、表13に示す樹脂、表14に示す顔料を、表17に示す配合量(乾膜濃度=塗膜の固形分に対する質量%)で配合し、分散機を用いて攪拌することで調製した。
次いで、前記(2)で準備した、化成処理皮膜を有する亜鉛系めっき鋼板の両面に所定の膜厚になるようにロールコーターで、塗布液を塗装し、220℃の鋼板到達温度で乾燥させることで塗膜を形成した。
なお、塗膜が2層の場合は、さらに化成処理皮膜に接する塗膜(下層塗膜)上に、日本ペイントコーティングス社製FLC100塗料を15μmになるようにロールコーターで塗装し、230℃の基板到達温度で乾燥させることで塗膜を形成した。
なお、表17中の塗膜の各成分の含有量(乾膜の濃度)は、塗膜固形分に対する質量%である。
上記(3)で得られた塗装めっき鋼板から試験板を採取し、試験板について、下記に示す評価方法および評価基準にて評価した。
試験板(50×100mmサイズ)の端面をテープシールし、鋼板にカッターナイフで鋼板素地まで疵がつくようにクロスカットを入れた後、CCT-JASO M609に準拠した複合サイクル腐食試験を60サイクル実施した。試験後の試験板のクロスカットからのめっきの白錆幅の最大値を測定し、下記の評価基準で評価した。
評点5:白錆幅が2mm未満
評点4:白錆幅が2mm以上4mm未満
評点3:白錆幅が4mm以上6mm未満
評点2:白錆幅が6mm以上8mm未満
評点1:白錆幅が8mm以上
試験板(50×100mmサイズ)の端面をテープシールした後、試験板中央に6mmのエリクセン押し出しを行い、CCT-JASO M609に準拠した複合サイクル腐食試験を60サイクル実施した。試験後の試験板のエリクセン加工により押し出された円形部におけるめっき白錆割合を測定し、下記の評価基準で評価した。
評点5:白錆の面積割合が20%未満
評点4:白錆の面積割合が20%以上30%未満
評点3:白錆の面積割合が30%以上40%未満
評点2:白錆の面積割合が40%以上50%未満
評点1:白錆の面積割合が50%以上
板温20℃で、鋼板の圧延方向(L方向)に、試験板を、同じ板厚の試験板が6枚重ねられた積層鋼板に挟むようにして板厚の3倍の厚みを曲率半径とするU字曲げ加工を施した。
次に、曲げ加工を施した試験板の端部をシールした後、折り曲げ面を鉛直上向きになるように固定した。そして、その状態で、試験板に対して、CCT-JASO M609に準拠し、既述した条件(1)に示す複合サイクル腐食試験を30サイクル又は15サイクル実施した。
次に、試験板のめっき層の曲げ方向の縦方向(つまり、めっき層の曲げ方向、かつ、めっき層の厚み方向に沿った方向)に沿って切断した。
次に、切断した試験板の縦断面(つまり、めっき層の曲げ方向、かつ、めっき層の厚み方向に沿った方向に沿って切断した断面)を走査型電子顕微鏡及びエネルギー分散型X線分析により元素分析し、めっき層、化成処理皮膜、塗膜と共に、腐食生成物を同定した。
次に、めっき層のクラック部を除くめっき層の任意の幅200μmの範囲において、腐食生成物の厚みが2μm以上である領域の長さの合計を測定した。そして、既述の条件(2)の左辺(腐食生成物の厚みが2μm以上である領域の長さの合計(μm)/200(μm)×めっき層のクラック部の個数)を下記基準で評価した。
評点5:条件(2)の左辺が0.2未満
評点4:条件(2)の左辺が0.2以上0.3未満
評点3:条件(2)の左辺が0.3以上0.4未満
評点2:条件(2)の左辺が0.4以上0.5未満
評点1:条件(2)の左辺が0.5以上
また、条件(1)に示す複合サイクル腐食試験を15サイクル実施した結果は、表17の「条件(2)<0.5(15cycle)」の欄に表記する。
Claims (12)
- 鋼板と、
前記鋼板の片面または両面に設けられ、亜鉛を含有するめっき層と、
前記鋼板の片面に設けられた前記めっき層上、又は前記鋼板の両面に設けられた前記めっき層の少なくとも一方上に設けられた化成処理皮膜と、
前記化成処理皮膜上に設けられた1層以上の塗膜と、
を有し、
前記化成処理皮膜、および、前記化成処理皮膜に接する塗膜のいずれか、または両方に、シラノール基、ビニル基、ビニレン基、及びアリル基のいずれか一つ以上を有するカルボン酸誘導体を、前記化成処理皮膜固形分または前記化成処理皮膜に接する塗膜固形分に対して0.01質量%以上40質量%以下の濃度で含有する塗装めっき鋼板。 - 前記カルボン酸誘導体を、前記化成処理皮膜固形分または前記化成処理皮膜に接する塗膜固形分に対して0.5質量%以上40質量%以下の濃度で含有する請求項1に記載の
塗装めっき鋼板。 - 前記めっき層が、アルミニウムを0.5質量%以上60質量%以下で含有し、残部が亜鉛及び不純物からなる請求項1又は請求項2に記載の塗装めっき鋼板。
- 前記めっき層が、更にマグネシウムを0.5質量%以上15質量%以下で含有する請求項3に記載の塗装めっき鋼板。
- 前記化成処理皮膜に接する塗膜の平均膜厚が、4μm以上である請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の塗装めっき鋼板。
- 前記化成処理皮膜に接する塗膜が、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、および、ウレタン樹脂のいずれか一つ以上を含む請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の塗装めっき鋼板。
- 前記化成処理皮膜に接する塗膜が、バナジン酸塩、タングステン酸塩、けい酸塩、および、りん酸塩のいずれか一つ以上を含む請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の塗装めっき鋼板。
- 前記化成処理皮膜が、シランカップリング剤、およびジルコニウム化合物のいずれか一つ以上を含む請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の塗装めっき鋼板。
- 前記化成処理皮膜が、シリカ、りん酸及びその塩、ふっ化物、並びに、バナジウム化合物のいずれか一つ以上を含む請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の塗装めっき鋼板。
- 前記化成処理皮膜が、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、およびエポキシ樹脂のいずれか一つ以上を含む請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の塗装めっき鋼板。
- 前記塗装めっき鋼板に対して、板温20℃で、鋼板の圧延方向に、板厚の3倍の厚みを曲率半径とする曲げ加工を施した後、CCT-JASO M609に準拠した下記条件(1)で示される複合サイクル腐食試験を30サイクル行った腐食試験片について、
前記めっき層の曲げ方向の縦断面の観察により、
前記腐食試験片の曲げ加工部に形成されている、前記めっき層のクラック部を除く前記めっき層の任意の幅200μmの範囲において、
前記めっき層のクラック部を起点に、前記めっき層と前記化成処理皮膜に接している塗膜との間に形成している腐食生成物のうち、腐食生成物の厚みが2μm以上である領域の長さの合計が、
条件(2)を満たす請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の塗装めっき鋼板。
-条件(1)-
(A)塩水噴霧処理:35℃で、2時間、5%塩化ナトリウム水溶液を噴霧する塩水噴霧
(B)乾燥処理:60℃で、4時間、乾燥する乾燥処理
(C)湿潤処理:50℃、95%RHで、2時間、湿潤する湿潤処理
ただし、(A)、(B)および(C)の順での処理が一サイクルとする。
-条件(2)-
前記腐食生成物の厚みが2μm以上である領域の長さの合計(μm)/200(μm)×前記めっき層のクラック部の個数<0.5 - 前記塗装めっき鋼板に対して、板温20℃で、鋼板の圧延方向に、板厚の3倍の厚みを曲率半径とする曲げ加工を施した後、CCT-JASO M609に準拠した下記条件(1)で示される複合サイクル腐食試験を15サイクル行った腐食試験片について、
前記めっき層の曲げ方向の縦断面の観察により、
前記腐食試験片の曲げ加工部に形成されている、前記めっき層のクラック部を除く前記めっき層の任意の幅200μmの範囲において、
前記めっき層のクラック部を起点に、前記めっき層と前記化成処理皮膜に接している塗膜との間に形成している腐食生成物のうち、腐食生成物の厚みが2μm以上である領域の長さの合計が、
条件(2)を満たす請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の塗装めっき鋼板。
-条件(1)-
(A)塩水噴霧処理:35℃で、2時間、5%塩化ナトリウム水溶液を噴霧する塩水噴霧
(B)乾燥処理:60℃で、4時間、乾燥する乾燥処理
(C)湿潤処理:50℃、95%RHで、2時間、湿潤する湿潤処理
ただし、(A)、(B)および(C)の順での処理が一サイクルとする。
-条件(2)-
前記腐食生成物の厚みが2μm以上である領域の長さの合計(μm)/200(μm)×前記めっき層のクラック部の個数<0.5
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