[0049] 光源装置に設けられた励起信号を補正するための制御システムが開示される。制御システムは、任意の種類の光源装置と共に使用されることがある。例えば、制御システムは、複数の光発振器を含む光源装置と共に使用されることがあり、各光発振器は、共通の光学素子又はシステムに向けて光のパルスを放射するように構成される。制御システムは、単一の光発振器を含む光源装置と共に使用されることがある。制御システムは、1つ又は複数の光発振器及び1つ又は複数の電力増幅器を含むマルチステージ光源と共に使用されることがある。
[0050] 図1Aを参照すると、システム100のブロック図が示されている。システム100は、光源装置110及び制御システム150を含む。光源装置110は、パルス出力光ビーム111を共通の光学素子138に提供する。共通の光学素子138は、例えば、(図2Aのビームコンバイナ218などの)ビームコンバイナ、光学サブシステム若しくは検出システム、又は(図2Aのスキャナ装置280などの)リソグラフィツールであり得る。光源装置110は、N個の光発振器112-1~112-Nを含み、Nは1より大きい整数である。N個の光発振器112-1~112-Nのそれぞれは、それぞれの利得媒質114-1~114-Nを含む。パルス光ビーム116-1~116-Nは、それぞれの利得媒質114-1~114-Nを繰り返し励起することによって生成される。光発振器112-1~112-Nのうちの1つ又は複数からのパルスは、出力光ビーム111を構成する。システム100は、光検出システム145も含み、これは、光を感知し、エネルギー特性信号146を生成するように構成される。エネルギー特性信号146は、感知された光のエネルギー特性に関係した情報を含む。エネルギー特性は、例えば、出力光ビーム111中の光パルスの光エネルギー、又は出力光ビーム111中の光パルスに関連したエネルギー誤差であり得る。
[0051] 制御システム150は、励起信号168を生成するか、又は別個のデバイス(図2Aの電圧源297など)によって励起信号168を生成させる、エネルギー制御モジュール160を含む。励起信号168が光発振器112-1~112-Nのうちの1つに印加されると、その光発振器は光のパルスを生成する。励起信号168及び出力光ビーム111中のパルスは、時間変動信号である。以下の考察では、励起信号168、パルス、及びエネルギー特性信号146の個々のインスタンスは、kでインデックス付けされることがあり、kは整数である。例えば、励起信号168のk番目のインスタンス(励起信号168(k))は、出力光ビーム111のパルスkを生成する。エネルギー制御モジュール160は、エネルギー特性信号146のインスタンスを受け取り、出力光ビーム111中のパルス毎に励起信号168のインスタンスを生成する。
[0052] 励起信号168の印加に応答して生成される光エネルギーの量は、励起信号168の特性に依存する。例えば、励起信号168は、電圧パルスの列であることがあり、励起信号168の特性は、電圧パルスの振幅及び/又は持続時間を含むことがある。エネルギー制御モジュール160は、励起信号168又は励起信号168の特性を決定する励起決定モジュール161を含む。以下の考察では、励起決定モジュール161及びその様々な実装形態は、励起信号168を生成するか又は決定するものとして説明される。しかしながら、実装形態によっては、励起決定モジュール161(又はその様々な実装形態のいずれか)は、信号168の特性を生成し、その特性は、その特性に基づいて信号168を生成する別の装置に提供される。例えば、励起信号168は、励起決定モジュール161によって提供される特性に基づいて別個の高電圧源によって生成される高電圧信号であり得る。
[0053] エネルギー制御モジュール160の例のブロック図が図1Bに示されている。エネルギー制御モジュール160は、比較器163、励起決定モジュール161、補正モジュール164、及び発振器選択モジュール162を含む。比較器163は、エネルギー特性信号146と目標エネルギー171(Eターゲットとも呼ばれる)との差である誤差信号166を決定する。目標エネルギー171は、システム100の許容可能な又は最適な性能に関連付けられている予め定義された光エネルギーである。励起決定モジュール161は、誤差信号166に基づいて励起信号168を決定する。補正モジュール164は、以下で更に考察するように、光発振器112-1~112-Nにおける差を考慮に入れるように励起信号168を補正する。発振器選択モジュール162は、発振器112-1~112-Nのいずれに励起信号168が印加されるのかを決定する。
[0054] 再び図1Aを参照すると、光発振器112-1~112-Nのそれぞれは、それぞれの効率特性又は伝達関数119-1~119-Nを有する。各伝達関数119-1~119-Nは、励起信号168の特性をそれぞれの光発振器112-1~112-Nによって生成される光出力の量と関係付ける。光発振器112-1~112-Nのハードウェア及び構成、及び/又は利得媒質114-1~114-Nの組成、圧力、温度、及び/又は密度の違いに起因して、伝達関数119-1~119-Nは一般的に同一ではない。図1Cは、伝達関数119-1及び119-2を示す。伝達関数119-1及び119-2は、それぞれ、光発振器112-1及び112-2に関連していることがある伝達関数の例である。図1Cの例では、伝達関数119-1及び119-2は、気体の利得媒質の電極に印加される電圧の量を、利得媒質によって応答して生成される光エネルギーと関係付ける。図1Cに示すように、伝達関数119-1及び119-2は同一ではない。
[0055] 図1C~図1Gに関して考察する例は、エネルギー制御モジュール160を含まない旧式の制御システムを使用するシナリオに関係している。更に、図1C~図1Gに関して考察する例は、出力光ビーム111の1つおきのパルスが光発振器112-1によって生成され、出力光ビーム111の残りのパルスが光発振器112-2によって生成される実装形態に関係している。言い換えると、パルスk-1が光発振器112-1によって生成される場合、パルスkは光発振器112-2によって生成される。1つおきのパルスkがN個の光発振器のうちの異なるものによって生成される動作モードは、「tic-tok」モードと呼ばれることがある。
[0056] 図1Cを参照すると、電圧V1は、光のパルスkを生成するために利得媒質114-1に印加される電圧である。パルスkのエネルギーは測定されて、旧式の制御システムに提供され、旧式の制御システムは、測定されたエネルギー及び目標エネルギー即ちEターゲット171に基づいて、パルスkのエネルギー誤差を決定する。旧式の制御システムは、利得媒質114-1に印加された場合にEターゲット171のエネルギーを有するパルスkを生成する電圧V2を決定する。しかしながら、電圧は、光発振器112-1の代わりに光発振器112-2に印加されるので、パルスkの光エネルギーは、Eターゲット171ではないE2になる。Eターゲット171又はその近傍に留まる代わりに、出力光ビーム111のパルスの光エネルギーは、光発振器112-1によって生成される光エネルギーと光発振器112-2によって生成される光エネルギーとの間で発振する。これは図1Dに示されており、図1Dは、エネルギー制御モジュール160を含まない旧式の制御システムが使用されている状況における、パルス数kの関数としての出力光ビーム111の出力エネルギー146のプロットである。光発振器112-1によって生成されるパルスのエネルギーは、円形の記号を用いて示されている。光発振器112-2によって生成されるパルスのエネルギーは、「x」の記号を用いて示されている。図1Eは、パルス数kの関数として、励起信号の電圧振幅を示す。図1Fは、パルス数kの関数として、出力光ビーム111中のパルスのエネルギー誤差を示す。図1Gは、パルス数kの関数として、ドーズ誤差(パーセンテージ)を示す。ドーズとは、出力光ビーム111が、露光時間又は特定の数のパルスに渡って単位面積当たりに送達する光エネルギーの量である。ドーズ誤差は、所望の又は目標のドーズと実際のドーズとの間の差である。システム100の性能は、ドーズ誤差が最小になる場合に向上する。パルス数1~39のドーズ誤差値は、図1Gには示されていない。
[0057] 図1D、図1F、及び図1Gに示すように、パルスエネルギー、エネルギー誤差、及びドーズ誤差は発振する。この発振は、伝達関数119-1及び119-2の違い、及び旧式の制御システムにおけるそれらの違いを考慮に入れた補正機構の欠如に起因する、エネルギー擾乱である。発振の周波数は、制御システムが出力光ビーム111をサンプリングする周波数に依存する。図1C~図1Gに関して考察する例では、制御システムは、各パルスにおいて出力光ビーム111をサンプリングし、発振は、制御システムのナイキスト周波数(これは、出力光ビーム111の繰り返し率の半分である)に等しい周波数を有する。
[0058] 従って、補正なしでは、伝達関数119-1と伝達関数119-2との不一致は、間違った結果又は最適ではない結果を引き起こすことがある。伝達関数119-1~119-Nの可変性に対処するための可能な方式の1つは、N個の光発振器のそれぞれに対して励起決定モジュール161の別個のインスタンスを実装することである。しかしながら、そのような方式は、コスト及び複雑さを増加させ、Nが増えるにつれて厄介になることがある。他方、制御システム150はエネルギー制御モジュール160を含み、エネルギー制御モジュール160は、補正モジュール164と、光発振器の伝達関数を推定するモデリングモジュールとを使用して、励起信号168を補正する。エネルギー制御モジュール160は、図1D、図1F、及び図1Gに示すものなどのエネルギー擾乱を除去又は低減する。
[0059] エネルギー制御モジュール160の様々な実装形態及び例について考察する前に、光源装置110の1つの可能な実装形態の概要が、図2A及び図2Bに関連して提供される。
[0060] 図2A及び図2Bを参照すると、システム200は、露光光ビーム(又は出力光ビーム)211をスキャナ装置280に提供する光源装置210を含む。制御システム250は、データ接続254を介して、光源装置210及び光源装置210に関連付けられた様々な構成要素に結合されている。データ接続254は、例えば、電気信号又は光信号としてデータ及び情報を運ぶ任意の種類の無線及び/又は有線の媒体である。光源装置210及び制御システム250は、それぞれ光源装置110及び制御システム150(図1)の実装形態である。
[0061] 制御システム250は、エネルギー制御モジュール260を組み込んでいる。エネルギー制御モジュール260は、エネルギー特性信号246に基づいて励起信号268を生成する。エネルギー特性信号246は、光検出システム245によって生成される。光検出システム245は、露光光ビーム211の光エネルギーを測定し、エネルギー特性信号246を生成することができる、任意の種類の光センサ又は検出器である。エネルギー特性信号246は、露光光ビーム211の1つ又は複数のパルスのエネルギーに関する情報を含む。
[0062] 光源装置210は、光発振器212-1~212-Nを含み、ここでNは1より大きい整数である。各光発振器212-1~212-Nは、それぞれの光ビーム216-1~216-Nを生成する。光発振器212-1の詳細については以下で考察する。光源装置210内の他のN-1個の光発振器は、同じ特徴又は類似の特徴を含む。
[0063] 光発振器212-1は放電チャンバ215-1を含み、放電チャンバ215-1はカソード213-1a及びアノード213-1bを封入する。放電チャンバ215-1は、気体の利得媒質214-1も含む。カソード213-1aとアノード213-1bとの電位差により、気体の利得媒質214-1中に電場が形成される。電位差は、カソード213-1a及び/又はアノード213-1bに電圧を印加するように電圧源297を制御することにより生成されることがある。図2Aの例では、電圧源297は、励起信号268によって制御される。励起信号268は、電圧源297に電圧信号268’を生成させ、その電圧信号268’を光発振器212-1~212-Nのうちの特定の1つ又は複数に印加させるのに十分な情報を含む。電圧信号268’は、励起信号268によって規定される振幅を有する。電圧源297は、電圧信号268’を適用して、特定の振幅の電圧を、次のパルスを生成することになる光発振器212-1~212-Nのうちの1つ又は複数のものの電極に印加する。例えば、光発振器212-1が次のパルスを生成することになっている場合、電圧信号268’はカソード213-1a及び/又はアノード213-1bに印加される。電場は、反転分布を引き起こし誘導放出を介して光のパルスの生成を可能にするのに十分なエネルギーを、利得媒質214-1に提供する。そのような電位差を繰り返し生成することにより、光ビーム216-1として放射されるパルス列が形成される。
[0064] パルス光ビーム216-1中のパルスの持続時間及び繰り返し率は、電極213-1a及び213-1bへの電圧の印加の持続時間及び繰り返し率によって決まる。パルスの繰り返し率は、例えば、約500~6,000Hzの間の範囲であり得る。実装形態によっては、繰り返し率は6,000Hzよりも大きいことがあり、例えば、12,000Hz以上であり得る。光発振器212-1から放射される各パルスは、例えば、約1ミリジュール(mJ)のパルスエネルギーを有し得る。露光光ビーム211は、時間的に互いに分離された1つ又は複数のバーストを含むことができる。各バーストは、1つ又は複数の光のパルスを含むことができる。実装形態によっては、1つのバーストは、数百個のパルス、例えば100~400個のパルスを含む。2つのバースト間の時間離隔は、2つのパルス間の時間離隔よりも大きい。
[0065] 気体の利得媒質214-1は、用途に必要とされる波長、エネルギー、及び帯域幅で光ビームを生成するのに適した任意のガスであり得る。気体の利得媒質214-1は、2種類以上のガスを含むことがあり、それらの様々なガスはガス構成成分と呼ばれる。エキシマ放射源の場合、気体の利得媒質214-1は、例えば、アルゴン若しくはクリプトンなどの貴ガス(希ガス)、又は例えばフッ素若しくは塩素などのハロゲンを含むことがある。利得媒質がハロゲンを含む実装形態では、利得媒質は、ヘリウム及び微量のキセノンなどの緩衝ガスも含むことがある。
[0066] 気体の利得媒質214-1は、深紫外(DUV)範囲内の光を放射する利得媒質であり得る。DUV光は、例えば、約100ナノメートル(nm)~約400nmの波長を含むことがある。気体の利得媒質214-1の具体的な例としては、約193nmの波長で光を放射するフッ化アルゴン(ArF)、約248nmの波長で光を放射するフッ化クリプトン(KrF)、又は約351nmの波長で光を放射する塩化キセノン(XeCl)が挙げられる。
[0067] 共振器が、放電チャンバ215-1の一方の側にあるスペクトル調整装置295-1と、放電チャンバ215-1の第2の側にある出力カプラ296-1との間に形成される。スペクトル調整装置295-1は、例えば、放電チャンバ215-1のスペクトル出力を微調整する回折格子及び/又はプリズムなどの回折光学部品を含むことがある。回折光学部品は、反射型又は屈折型であり得る。実装形態によっては、スペクトル調整装置295-1は、複数の回折光学素子を含む。例えば、スペクトル調整装置295-1は4つのプリズムを含むことがあり、それらのプリズムのうちの幾つかは光ビーム216-1の中心波長を制御するように構成され、他のものは光ビーム216-1のスペクトル帯域幅を制御するように構成される。
[0068] 光発振器212-1は、スペクトル分析装置298-1も含む。スペクトル分析装置298-1は、光ビーム216-1の波長を測定又は監視するのに使用されることがある測定システムである。図2Aに示す例では、スペクトル分析装置298-1は、出力カプラ296-1から光を受け取る。他の実装形態も可能である。例えば、スペクトル分析装置298-1は、出力カプラ296-1とスペクトル調整装置295-1との間にあることがあり、又は、スキャナ装置280内に配置されることがある。
[0069] 実装形態によっては、スペクトル分析装置298-1は、データを制御システム250に提供する。これらの実装形態では、制御システム250は、スペクトル分析装置298-1からのデータに基づいて、光ビーム216-1のスペクトル特性に関係した測定基準を決定し得る。例えば、制御システム250は、スペクトル分析装置298-1によって測定されたデータに基づいて、中心波長及び/又はスペクトル帯域幅を決定し得る。スペクトル特性は、装置298-1によって直接測定されることがあり、又は、スペクトル分析装置298-1からのデータに基づいて、制御システム250によって決定されることがある。中心波長は、光ビームのパワー重み付き平均波長である。スペクトル帯域幅は、光ビーム中の波長の広がり又は分布の測度である。スペクトル帯域幅は、半値全幅(FWHM)又は95%積分幅(E95)などの量によって特徴付けられることがある。FWHMは、最大強度の半分に含まれるスペクトル範囲である。E95は、スペクトル中の全エネルギーの95%を囲む間隔である。
[0070] 光源装置210は、流体導管289を介して放電チャンバ215-1の内部に流体結合されたガス供給システム290も含む。流体導管289は、流体の損失なく又は最小限の損失を伴って、ガス又は他の流体を運ぶことができる任意の導管である。例えば、流体導管289は、流体導管289内で運ばれている1種又は複数種の流体と反応しない材料で出来ているか又はコーティングされているパイプであり得る。ガス供給システム290は、利得媒質214-1で使用される1種又は複数種のガスを含むか及び/又はガスの供給を受け取るように構成されるチャンバ291を含む。ガス供給システム290は、ガス供給システム290が放電チャンバ215-1からのガスを除去するか又は放電チャンバ215-1へガスを注入できるようにするデバイス(ポンプ、弁、及び/又は流体スイッチなど)も含む。ガス供給システム290は、制御システム250に結合されている。ガス供給システム290は、例えば、補充手順を実施するように、制御システム250によって制御されることがある。
[0071] 他のN-1個の光発振器は、光発振器212-1と同様であり、類似の又は同一の構成要素及びサブシステムを有する。例えば、光発振器212-1~212-Nのそれぞれは、電極213-1a及び213-1bのような電極、スペクトル分析装置298-1のようなスペクトル分析装置、及び出力カプラ296-1のような出力カプラを含む。更に、電圧源297は、光発振器212-1~212-Nのぞれぞれの中の電極に電気的に接続されることがあり、又は、電圧源297は、N個の個別の電圧源を含む電圧システムとして実装されることがあり、N個の電圧源のそれぞれは、光発振器212-1~212-Nのうちの1つのものの電極に電気的に接続される。
[0072] 光源装置210は、ビーム制御装置217及びビームコンバイナ218も含む。ビーム制御装置217は、光発振器212-1~212-Nの気体の利得媒質とビームコンバイナ218との間にある。ビーム制御装置217は、光ビーム216-1~216-Nのいずれがビームコンバイナ218に入射するのかを決定する。ビームコンバイナ218は、ビームコンバイナ218に入射する1つの又は複数の光ビームから露光光ビーム211を形成する。例えば、ビームコンバイナ218は、ビームコンバイナ218に入射する全ての光ビームをスキャナ装置280に向け直すことがある。
[0073] 図示する例では、ビーム制御装置217は、単一の要素として表されている。しかしながら、ビーム制御装置217は、個別のビーム制御装置の集合として実装されることもある。例えば、ビーム制御装置217は、N個のシャッターの集合を含むことがあり、1つのシャッターが光発振器212-1~212-Nのそれぞれと関連付けられている。N個のシャッターのそれぞれは、機械式のシャッター又は電気光学式のシャッターであり得る。N個のシャッターのそれぞれは、それぞれの光ビーム216-1~216-Nを遮断する第1の状態と、それぞれの光ビーム216-1~216-Nを透過させる第2のセットと、を有する。
[0074] 光源装置210は、他の構成要素及びシステムを含むことがある。例えば、光源装置210は、ビーム準備システム299を含むことがある。ビーム準備システム299は、時間的にパルスストレッチャーと相互作用する各パルスを引き伸ばすパルスストレッチャー(図示せず)を含むことがある。ビーム準備システムは、例えば、反射型及び/又は屈折型の光学素子(例えば、レンズ及びミラーなど)及び/又はフィルタなどの、光に作用することができる他の構成要素を含むこともある。図示する例では、ビーム準備システム299は、露光光ビーム211の経路内に配置されている。しかしながら、ビーム準備システム299は、光リソグラフィシステム200内部の他の場所に配置されることもある。更に、他の実装形態も可能である。例えば、光源装置210は、ビーム準備システム299のN個のインスタンスを含むことがあり、それらのインスタンスのそれぞれは、ビームコンバイナ218とチャンバ215-1~215-Nのうちの1つとの間に配置され、光ビーム216-1~216-Nのうちの1つと相互作用するように配置される。別の例では、光源装置210は、光ビーム216-1~216-Nをビームコンバイナ218に向ける光学素子(ミラーなど)を含むことがある。
[0075] システム200は、スキャナ装置280も含む。スキャナ装置280は、成形された露光光ビーム211’でウェーハ282を露光する。成形された露光光ビーム211’は、露光光ビーム211を投影光学系281を通過させることによって、形成される。スキャナ装置280は、液浸システム又は乾式システムであり得る。スキャナ装置280は、露光光ビーム211がウェーハ282に届く前に通過する投影光学系281と、センサシステム又は計測システム270とを含む。ウェーハ282は、ウェーハホルダー283上に保持又は受け取られる。スキャナ装置280は、例えば、温度制御装置(空調装置及び/又は加熱装置など)、及び/又は様々な電気部品用の電源も含むことがある。
[0076] 露光時間(又は成形された露光光ビーム211’の特定のパルス数)に渡る単位面積当たりの、成形された露光光ビーム211’によってウェーハ282に送達されるエネルギーの量は、ドーズ又は露光エネルギーと呼ばれる。ドーズは、例えば、ジュール単位で表されることがある。ウェーハ282上の超小型電子フィーチャの形成は、ウェーハ282に届く適切なドーズ(「目標ドーズ」)に依存する。露光時間に渡りウェーハ282に届くエネルギーが少なすぎると(ドーズが低すぎ、目標ドーズに満たないと)、ウェーハ282の放射感応性材料は活性化されず、超小型電子フィーチャはウェーハ282上に形成されないか、又は不完全に形成される。露光時間に渡りウェーハ282に届くエネルギーが多すぎると(ドーズが高すぎ、目標ドーズを超えると)、ウェーハ282の放射感応性材料はスリットパターンの像の境界の外側に露光されることがあり、超小型電子フィーチャはウェーハ282上に不適切に形成される。従って、ドーズと目標ドーズとの差であるドーズ誤差を最小化又は低減することは、光リソグラフィシステム200の正確で効率的な性能にとって重要である。エネルギー制御モジュール260は、ドーズ誤差を低減又は除去する。
[0077] 計測システム270はセンサ271を含む。センサ271は、例えば、帯域幅、エネルギー、パルス持続時間、及び/又は波長などの、成形された露光光ビーム211’の特性を測定するように構成されることがある。センサ271は、例えば、ウェーハ282における成形された露光光ビーム211’の像を取得することができるカメラ若しくは他のデバイスであることがあり、又は、x-y平面内のウェーハ282での光エネルギーの量を示すデータを取得することができるエネルギー検出器であることがある。
[0078] 図2Aに示す実装形態では、計測システム270は、制御システム250に結合されていない。しかしながら、他の実装形態では、計測システム270は、制御システム250に結合されている。これらの実装形態では、計測システム270はデータを制御システム250に提供し、制御システム250は計測システム270にコマンドを発し得る。更に、実装形態によっては、センサ271はエネルギー特性信号246を生成し得る。更に、制御システム250は、スキャナ装置280の一部として実装されることがある。
[0079] 制御システム250は、電子処理モジュール251、電子ストレージ252、及びI/Oインターフェース253を含む。電子処理モジュール251は、汎用の又は特殊用途のマイクロプロセッサなどの、コンピュータプログラムの実行に適した1つ又は複数のプロセッサ、及び任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ又は複数のプロセッサを含む。一般的に、電子プロセッサは、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、又はその両方から命令及びデータを受け取る。電子処理モジュール251は、任意の種類の電子プロセッサを含むことがある。電子処理モジュール251の1つ又は複数の電子プロセッサは、命令を実行し、電子ストレージ252に格納されたデータにアクセスする。1つ又は複数の電子プロセッサは、電子ストレージ252にデータを書き込むこともできる。
[0080] 電子ストレージ252は、RAMなどの揮発性メモリ、又は不揮発性メモリであり得る。実装形態によっては、電子ストレージ252は不揮発性及び揮発性の部分又は構成要素を含む。電子ストレージ252は、制御システム250の動作に使用されるデータ及び情報を格納し得る。例えば、電子ストレージ252は、光ビーム216-1~216-N、露光光ビーム211、及び/又は成形された露光光ビーム211’の仕様情報を格納し得る。仕様情報には、例えば、目標エネルギー、波長、及び/又はスペクトル帯域幅が含まれることがある。
[0081] 電子ストレージ252は、制御システム250が光リソグラフィシステム200内の他の構成要素及びサブシステムと相互作用するようにする命令(例えば、コンピュータプログラムの形態での)も格納し得る。例えば、この命令は、エネルギー制御モジュール260を実施する命令を含む。電子ストレージ252は、発振器選択モジュール(図1Bの発振器選択モジュール162など)の動作を管理するルール、情報、又は命令も格納する。発振器選択モジュール162は、N個の光発振器212-1~212-Nのいずれが特定の時間に励起信号268を受け取るのかを制御する、事前定義されたルール又はレシピに基づいて、実装されることがある。電子ストレージ252は、光リソグラフィシステム200、スキャナ装置280、及び/又は光源装置210から受け取った情報も格納し得る。
[0082] I/Oインターフェース253は、制御システム250が、データ及び信号を、オペレータ、光源装置210、スキャナ装置280、及び/又は別の電子デバイス上で実行されている自動化プロセスと交換できるようにする、任意の種類のインターフェースである。例えば、電子ストレージ252に格納されたルール又は命令を編集することができる実装形態では、編集は、I/Oインターフェース253を介して行われることがある。I/Oインターフェース253は、表示装置、キーボード、並びに、パラレルポート、USB(Universal Serial Bus)接続、及び/又は例えばイーサネットなどの任意の種類のネットワークインターフェースなどの通信インターフェース、のうちの1つ又は複数を含むことがある。I/Oインターフェース253は、例えば、IEEE802.11、Bluetooth、又は近距離無線通信(NFC)接続を介して、物理的な接触なしでの通信を可能にすることもある。
[0083] 制御システム250は、データ接続254を介して光源装置210に結合される。データ接続254は、物理的ケーブル、又は他の物理的なデータ導管(IEEE802.3に基づくデータ伝送をサポートするケーブルなど)、無線データ接続(IEEE802.11又はBluetoothを介してデータを提供するデータ接続など)、又は有線及び無線のデータ接続の組み合わせ、であり得る。データ接続を介して提供されるデータは、任意の種類のプロトコル又はフォーマットを介して設定されることがある。データ接続254は、通信インターフェースにおいて光源装置210に接続されている。通信インターフェースは、データを送受信することができる任意の種類のインターフェースであり得る。例えば、データインターフェースは、イーサネットインターフェース、シリアルポート、パラレルポート、又はUSB接続のうちのいずれかであり得る。実装形態によっては、データインターフェースは、無線データ接続を介したデータ通信を可能にする。例えば、データインターフェースは、IEEE811.11送受信機、Bluetooth、又はNFC接続であり得る。制御システム250は、光源装置210内部のシステム及び/又は構成要素に接続されていることがある。例えば、制御システム250は、光発振器212-1~212-Nのそれぞれに直接接続されていることがある。
[0084] 図2Bも参照すると、投影光学系281は、スリット284と、マスク285と、レンズシステム286を含む投影対物系とを含む。レンズシステム286は、1つ又は複数の光学素子を含む。露光光ビーム211は、スキャナ装置280に入り、スリット284に当たり、露光光ビーム211の少なくとも一部は、スリット284を通過して、成形された露光光ビーム211’を形成する。図2A及び図2Bの例では、スリット284は矩形であり、露光光ビーム211を細長い矩形の形状の光ビームに成形し、これが成形された露光光ビーム211’になる。マスク285は、成形された光ビームのどの部分がマスク285によって透過され、どの部分がマスク285によって遮断されるのかを決定するパターンを含む。ウェーハ282上の放射感応性材料の層を露光光ビーム211’で露光することにより、ウェーハ282上に超小型電子フィーチャが形成される。マスク上のパターンのデザインは、望まれる特定の超小型電子回路フィーチャによって決まる。
[0085] 光発振器212-1~212-Nのそれぞれは、異なる伝達関数に関連付けられている。励起信号368’を受け取る光発振器212-1~212-Nのうちの1つ又は複数は、用途に応じて時間とともに変化する。図3A~3F、図4A~4F、及び図5A~5Dに関して考察するように、エネルギー制御モジュール260は、伝達関数のばらつきを補正する。
[0086] 図3Aは、エネルギー制御モジュール360のブロック図である。エネルギー制御モジュール360は、制御システム150又は制御システム250(図2A)の一部として実装されることがある。例えば、エネルギー制御モジュール360は、エネルギー制御モジュール160又はエネルギー制御モジュール260として使用されることがある。エネルギー制御モジュール360は、システム200に関して考察される。
[0087] エネルギー制御モジュール360は、第1の比較器363、遅延モジュール367、励起決定モジュール361、補正モジュール364、発振器選択モジュール362、及び第2の比較器365を含む。
[0088] 第1の比較器363は、例えば、引き算などの比較機能を実施する。第1の比較器363は、エネルギー特性信号346及びEターゲット371の値を受け取る。エネルギー特性信号346は、エネルギー検出システム245などのエネルギー検出システムによって生成される。エネルギー特性信号346は、パルスkの直前のパルスであるパルスk-1の光エネルギーの量の示度を含む。Eターゲット371は、露光光ビーム211中の光パルスの目標の又は所望の光エネルギーの値である。Eターゲット371の値は、電子ストレージ252に格納され、エネルギー制御モジュール360によってアクセスされることがある。Eターゲット371の値、及び/又はエネルギー特性信号346の光エネルギーの量の示度は、第1の比較器363によって受け取られる前に、処理されることがある。例えば、Eターゲット371の値がエネルギーの単位(ジュール)のものであり、エネルギー特性信号246の光エネルギーの量の示度がエネルギーの単位(ワット)のものである場合、示度は、第1の比較器363で受け取られる前に、エネルギーの単位に変換される。第1の比較器363は、パルスk-1のエネルギーの量とEターゲット371との差であるエネルギー誤差366を決定する。
[0089] エネルギー誤差366は、励起決定モジュール361に提供される。励起決定モジュール361は、エネルギー誤差366に基づいて励起信号368の特性を決定する(エネルギー誤差366は、エネルギー特性信号346のエネルギーの量の示度に基づいている)。励起信号368は、補正モジュール364に提供される。補正モジュール364は、励起信号368に基づいて、補正された励起信号368’を決定する。
[0090] 発振器選択モジュール362は、チャンバ選択器374を含み、チャンバ選択器374は、N個の光発振器212-1~212-Nのいずれが補正された励起信号368’を受け取るのかを決定する。チャンバ選択器374は、例えば、kをMで割る割り算演算のリマインダーを返す剰余機能を実施することがあり、ここで、Mは、光パルスを生成するのに利用できるN個の光発振器の数を表す整数である。Mは、例えば2であるか、Nであるか、又はN以下の任意の数であり得る。例えば、チャンバ選択器374が剰余機能として実装されM=2である場合、チャンバ選択器374は、偶数kのインデックス番号を有するパルスについては0を返し、奇数kのインデックス番号を有するパルスについては1を返す。これらの実装形態では、チャンバ選択器374が0を返す場合、発振選択モジュール362は補正された励起信号368’を光発振器212-1に提供する。チャンバ選択器374が1を返す場合、発振選択モジュール362は補正された励起信号368’を光発振器212-2に提供する。チャンバ選択器374の他の実装形態も可能である。更に、M個の光発振器のうちの2つ以上が、補正された励起信号368’を同時に受け取ることがある。
[0091] 補正された励起信号368’を受け取るN個の光発振器212-1~212-Nのうちの1つ又は複数は、時間とともに変化する。補正モジュール364は、光発振器212-1~212-Nの伝達関数のばらつきを考慮に入れるように励起信号368を補正する。
[0092] 例えば、図3Bを参照すると、補正モジュール364は、ノッチフィルタ364であり得る。時間領域では、ノッチフィルタ364は式(1)で示すように表されることがある。
y(k)=x(k-1)-y(k-1) 式(1)
ここで、kは2よりも大きい整数であり、パルス数を表し、x(フィルタ364の入力)は励起信号368であり、y(フィルタ364の出力)は補正された励起信号368’である。kの値はパルスの各バーストの開始時に1にリセットされる。
[0093] 図3Bは、ノッチフィルタ364の周波数応答(周波数の関数としての振幅)の例を示す。ノッチフィルタ364は、周波数帯域f内の周波数を有する信号を拒絶し、周波数帯域fの外側の周波数を有する信号を透過させる。ノッチフィルタ364は、周波数f0で最小量の信号を透過させる。ノッチフィルタ364の周波数f0及び周波数帯域fは、露光光ビーム211に2つ以上の光発振器からの光のパルスを使用することに起因して発生し得るエネルギー擾乱を排除するように構成される。例えば、上述のように、補正モジュール364を含まない方式では、発振器選択モジュール362が、N個の光発振器212-1~212-Nのうちの2つの間で交互になるように構成される場合、露光光ビーム211のパルスのエネルギーは、個々の光発振器の繰り返し率に等しい周波数で発振する。この発振は、露光光ビーム211のパルスのエネルギーが全て実質的に同じエネルギー量を有するように、ノッチフィルタ364によって取り除かれる。
[0094] 図3C~図3Fは、エネルギー制御モジュール360のシミュレーション結果を示す。図3Cは、パルス数kの関数としてのパルスエネルギー346(ミリジュール単位)のプロットである。N個の光発振器のうちの第1のもの212-1によって生成されるパルスのパルスエネルギーは、「o」の記号を用いて示されている。N個の光発振器のうちの第2のもの212-2によって生成されるパルスのパルスエネルギーは、「x」の記号を用いて示されている。目標エネルギー371は、直線によって示されている。パルス数1及び2でのx及びo記号を除いて、図3Cのx及びo記号(212-1及び212-2)は、線(371)と実質上重なる。図3Dは、パルス数kの関数としての、ノッチフィルタ364の出力である補正された励起信号368’のプロットである。図3Eは、パルス数kの関数としてのエネルギー誤差366のプロットである。パルス数1及び2でのx及びo記号を除いて、図3Eのx及びo記号(212-1及び212-2)は、線(371)と実質上重なる。図3Fは、パルス数kの関数としてのドーズ誤差のプロットである。図3Fでは、パルス数1~39については、ドーズ誤差値は示されていない。図3Fに示すドーズ誤差は、目標ドーズのパーセンテージとして提供される。図3D及び図3Eに示すように、バースト中の最初の数パルス(約10パルス)の後、パルスエネルギーは全てのパルスで実質的に同じになる。図3Fに示すように、バーストの開始から約40パルスの後、ドーズ誤差はゼロになる。これは、図1Dに示すデータとは対照的である(図1Dは、エネルギー制御モジュール360を含まない旧式のシステムからのシミュレーション結果を示す)。上述のように、図1Dは、補正モジュールが使用されていない状況でのパルス数の関数としてのパルスエネルギーのプロットを示す。従って、ノッチフィルタ364は、より低いドーズ誤差又はドーズ誤差の除去、及びより安定したドーズをもたらし、それによって、エネルギー制御モジュール360を含むリソグラフィシステムの全体的な性能を向上させる。
[0095] 図4Aは、エネルギー制御モジュール460のブロック図である。エネルギー制御モジュール460は、エネルギー制御モジュール160の別の実装形態である。エネルギー制御モジュール460は、第1の比較器363、遅延モジュール367、励起決定モジュール461、発振器選択モジュール362、第2の比較器365、補正モジュール464、及び第3の比較器469を含む。励起決定モジュール461は、エネルギー誤差366に基づいて励起信号468を決定する。図4Bは、励起決定モジュール461のブロック図である。励起決定モジュール461は、モデリングモジュール473を含む。モデリングモジュール473は、N個の伝達関数モデル475-1~475-Nを含み、モデル475-1~475-Nのそれぞれは、光発振器212-1~212-Nのそれぞれのものと関連付けられている。モデル475-1~475-Nのそれぞれは、N個の光発振器212-1~212-Nのそれぞれのものと関連付けられた伝達関数219-1~219-Nを推定する。モデリングモジュール473はモデル選択器474を含み、モデル選択器474は、k番目のパルスを生成する光発振器に関連付けられたモデルを選択する。モデル選択器474は、チャンバ選択器374に類似しており、同じ態様で実装されることがある。
[0096] 補正モジュール464は、カルマンフィルタとして実装される。補正モジュール464(又はカルマンフィルタ464)は、エネルギー誤差366及び励起信号468を使用して、出力信号464’を決定する。出力信号464’は、比較器469に提供される。比較器469は、出力信号464’及び励起信号368に基づいて、補正された励起信号468’を決定する。式2~8は、補正モジュール464の実装に関係している。
ここで、kは露光光ビーム211中のパルス数を表す1以上の整数であり、Error(k)はk番目のパルスのエネルギー誤差366であり、dedv(Chamber(k))は露光光ビーム211中のk番目のパルスを生成するのに使用される光発振器に関連付けられたモデリングモジュール473内のモデルであり、HVcommand(k)はk番目のパルスを生成するために印加される励起信号である。
K_S(k)=K_P_pred(k)+R 式(3)
ここで、Rは調整パラメータであり、K_P_predは式(8)で与えられる。カルマンフィルタ464の利得はK_Kであり、式4に従って決定される。
カルマンフィルタ464を実装するのに使用される残りの数式は以下の通りである。
K_X_post(k)=K_X_pred(:,k)+K_K(k)*K_e(k) 式(5)
K_P_post(k)=(1-K_K(k))*K_P_pred(k)*(1-K_K(k)*C’)+K_K(k)*R*K_K(k)’ 式(6)
ここで、Cはカルマンフィルタの調整パラメータであり、この実装では1に等しい。
K_X_pred(k+1)=A*K_X_post(k) 式(7)
K_P_pred(k+1)=A*K_P_post(k)*A’+Q 式(8)
ここで、A=-1であり、Qはカルマンファイラー464の調整パラメータである。より具体的には、Qはプロセスノイズの共分散であり、Rは観測ノイズの共分散である。しかしながら、Q及びRは、それらの共分散を推定するのが困難である場合に、調整パラメータとして実装されることがある。
[0097] カルマンフィルタ464の出力464’はK_P_predであり、これは、式8に基づいて決定される。第3の比較器469は、以下のように、露光光ビーム211のk番目のパルスに対する補正された励起信号468’を決定する。
HVSP(k)=HVCommand(k)+HVDefault-K_P_pred(k) 式(9)
ここで、HSVP(k)は、露光光ビーム211中のk番目のパルスを生成するために、選択された光発振器に印加される補正された励起信号468’であり、HVCommand(k)は、k番目のパルスに対して励起決定モジュール361によって決定された未補正の励起信号368であり、HVDefaultは、光発振器212-1~212-Nの公称励起信号を推定するパラメータであり、K_P_pred(:、:、k)は、k番目のパルスについてのカルマンフィルタ464の出力464’である。HVDefaultの値は、電子ストレージ252に格納され、エネルギー制御モジュール460によって読み出されることがある。HVDefaultの値は、電圧の大きさであることがあり、例えば、100ボルトよりも大きな値であり得る。
[0098] 図4C~図4Fは、発振器選択モジュール362が、第1の光発振器212-1と第2の光発振器212-2とにパルス毎に交互に、補正された励起信号468’を提供する実装形態に対して、エネルギー制御モジュール460を使用する場合のシミュレーション結果を示す。言い換えると、露光光ビーム211の1つおきのパルスが第1の光発振器212-1によって生成され、残りのパルスは第2の光発振器212-2によって生成される。図4C~4Fに示すデータは、パルスのバーストについてのものであり、ここで、パルスはkによってインデックス付けされ、kは整数値であり、バーストはパルスk=1で開始する。
[0099] 図4Cは、露光光ビーム211のパルスのバーストの、パルス数kの関数としてのエネルギー信号446を示す。図4Cでは、第1の光発振器212-1によって生成されるパルスのエネルギーは、円形の記号で示されており、第2のチャンバによって生成されるパルスのエネルギーは、「x」の記号で示されている。目標エネルギーは、要素番号471によって表されている。目標エネルギー471は、短い破線の形式で示されている一定の値である。図4Cに示すように、パルスは2つの異なる光発振器212-1及び212-2によって生成されているものの、最初の数パルスの後、露光光ビーム211中のパルスのエネルギーは、目標エネルギー471とほぼ等しくなる(図4Cのx及びo記号(212-1及び212-2)は、線(471)と実質的に重なる)。従って、補正モジュール464が使用されていない状況(図1Dに示すような)と比べると、補正モジュール464の使用は、経時的により安定したパルスエネルギーを有する露光光ビーム211をもたらす。
[0100] 図4Dは、パルス数kの関数としての補正された励起信号468’を示す。第1の光発振器212-1に印加される電圧は、白抜きの丸印で示されている。第2の光発振器212-1に印加される電圧は、「x」の記号を用いて示されている。図4Eは、パルス数kの関数としてのエネルギー誤差366を示す。第1の光発振器212-1によって生成されるパルスのエネルギー誤差は、白抜きの丸印を用いて示されている。第2の光発振器212-1によって生成されるパルスのエネルギー誤差は、「x」の記号を用いて示されている。図4Eに示すように、第1の光発振器212-1及び第2の光発振器212-2によって生成されるパルスのエネルギー誤差は、ほぼゼロに急速に収束する(その後、図4Eのx及びo記号(212-1及び212-2)は実質的に重なる)。図4Fは、パルス数kの関数として、ドーズ誤差を示す。図4Fに示すように、ドーズ誤差は、約55パルスの後では無視できる。パルス数1~39のドーズ誤差値は、図4Fには示されていない。
[0101] 図5Aは、エネルギー補正モジュール560のブロック図である。エネルギー補正モジュール560は、エネルギー補正モジュール560(図1A)の別の実装形態である。エネルギー補正モジュール560は、光発振器212-1~212-Nのうちの2つ以上が、露光光ビーム211のパルスを生成するために使用されるので発生する、パルス毎のエネルギー擾乱又はエネルギー変動を、フィードフォワード方式を使用して除去又は低減する。
[0102] エネルギー補正モジュール560は、遅延モジュール367、励起決定モジュール561、及び発振選択モジュール362を含む。励起決定モジュール561は、補正された励起信号568’を決定し、補正された励起信号568’を光発振器選択モジュール362に提供する。図5Bは、励起モジュール561のブロック図である。励起決定モジュール561は、フィードバックコントローラ587を含む。図5Bの例では、フィードバックコントローラ587は、比例・積分・微分(PID)コントローラであり、このPIDコントローラは、誤差信号366を受け取り、モデルモジュール473中のモデル475-1~475-Nのうちの1つに印加される出力を生成する。PIDコントローラは、比例利得580、積分利得581、及び積分器582を含む。この例ではPIDコントローラが考察されているが、フィードバックコントローラ587としては任意のフィードバックコントローラを使用することができる。
[0103] モデル選択器474は、露光光ビーム211のk番目のパルスを生成する光発振器と関連付けられたモデルを選択する。モデルモジュール473の出力は、利得584と積分器585とを含む第2の積分モジュールに提供される。フィードフォワード補正信号567は、積分器585に提供される。フィードフォワード補正信号567は、図1Dに示したものなどのエネルギー擾乱を除去、低減、又は拒絶する。フィードバック信号567は、それぞれの光発振器212-1~212-Nの様々な利得媒質214-1~214-Nの間のエネルギー差を補正する。
[0104] 補正された励起信号568’は、式(10)に示すように決定される。
ここで、kは1以上の整数であり、露光光ビーム211中のパルスのパルス数を表し、Chkは、露光光ビーム211中のk番目のパルスを生成する光発振器212-1~212-Nであり、dedv(Chk)は、k番目のパルスを生成するのに使用される光発振器212-1~212-Nの伝達関数をモデル化するモデル475-1~475-Nである。V*及びE*は、モデリングの一部として決定される。各モデル475-1~475-Nは、印加される電圧が変化した場合の、それぞれの光発振器212-1~212-Nによって生成されるエネルギーの対応する変化を表す。V*は、光発振器212-1~212-Nのうちの1つのものの電極に印加される実際の電圧であり、E*は、その電圧の印加の結果として生成される、対応する測定されたエネルギーである。実装形態によっては、電圧及びエネルギー値に低域通過フィルタを適用して、E*及びV*の値からノイズを低減又は除去する。より具体的な例を提供するために、光発振器212-1のE*は、次式によって決定されることがある。
E*=LPF(E(1),E(3),E(5)...,E(l)) 式(11)
また、光発振器212-1のV*は、次式によって決定されることがある。
V*=LPF(V(1),V(3),V(5)...,V(l)) 式(12)
ここで、LPFは、任意の種類の低域通過フィルタ関数(移動平均など)であり、E(l)は露光光ビーム211中のl番目のパルスの測定されたエネルギーであり、V(l)はl番目のパルスを生成するために光発振器212-1に印加される電圧である。式11及び12の例では、光源装置210は、「tic-toc」モードで動作し、光発振器212-1が露光光ビーム211の奇数番号のパルスを生成し、光発振器212-2が露光光ビーム211の偶数番号のパルスを生成する。光発振器212-2(又は別の光発振器)のV*及びE*は、その光発振器に適した電圧及びエネルギー値を使用して、式11及び12に基づいて決定される。
[0105] 図5C及び図5Dは、発振器選択モジュール362が、フィードフォワードエネルギー補正モジュール560を使用して、パルス毎に、第1の光発振器212-1と第2の光発振器212-Nとの間で交互になるように構成されるシナリオについての、シミュレーション結果を示す。図5Cは、パルス数kの関数として、露光光ビーム211のパルスエネルギーを示す。第1の光発振器212-1によって生成されるパルスのエネルギーは、円形の記号を用いて示されている。第2の光発振器212によって生成されるパルスのエネルギーは、「x」の記号を用いて示されている。目標エネルギー371は、点線で表されており、露光光ビーム211中の全てのパルスについて一定である。比較のために、全てのk個のパルスを生成するためにN個の光発振器のうちの1つのみが使用された状況での、露光光ビーム211中の光エネルギーが、592とラベル付けされた実線で示されている。図5Cに示すように、露光光ビーム211中のパルスのエネルギーは、露光光ビーム211が単一の光発振器を用いて生成されたか又はパルス毎に第1の光発振器212-1と第2の光発振器212-2との間で交互に作動されたかに関わらず、約12パルスの後で、目標エネルギー371に近づくか又は等しくなる。
[0106] 図5Dは、パルス数kの関数として、光発振器に印加される電圧を示す。図5Dでは、第1の光発振器212-1に印加される電圧は円で示されており、第2の光発振器212-2に印加される電圧は、「x」の記号を用いて示されている。円及び「x」を用いて示されるデータは、エネルギー補正モジュール560を含んだシステムからのシミュレーションデータを表す。更に、第1の光発振器212-1と第2の光発振器212-2との間で切り替わるのではなく、代わりに光発振器212-2のみを使用して露光光ビーム211を生成する方式が、実線の形式で示されており、参照番号589とラベル付けされている。エネルギー補正モジュール560が使用される場合、印加される電圧信号の振幅が変化する。変動する電圧は、伝達関数の差及び図5Cに示す実質的に一定のパルスエネルギーの結果を考慮に入れる。更に、第2の光発振器212-2に印加するためのエネルギー補正モジュール560によって決定される電圧は、単一の発振器方式で第2の光発振器212-2に印加される電圧と実質的に等しい。これは、「x」の記号(これは、光発振器212-2についてエネルギー補正モジュール560が決定した電圧を表す)が、露光光ビーム211中の全てのパルスを生成するために光発振器212-2が使用される状況において決定される電圧と等しいか又は非常に近くなることから、明らかである。エネルギー補正モジュール560及びフィードフォワード補正信号567により、単一の光発振器が使用されるシナリオと同じ性能結果で、N個の光発振器212-1~212-Nのうちの2つ以上を使用して露光光ビーム211を生成することが可能になる。フィードフォワード補正信号567は、パルス毎にN個の光発振器212-1~212-Nのうちの異なるものの間で切り替わるのを考慮に入れるために、各パルスについて印加される電圧を補正、調整、又は変換する。従って、エネルギー補正モジュール560は、露光光ビーム211が、より高い繰り返し率を有するか、複数の別個の中心波長を有する(光発振器212-1~212-Nの中心波長が意図的に異なる場合)か、及び/又は単一の光発振器では達成するのが不可能若しくは困難な他の特性を有するのを可能にする。
[0107] 図6は、プロセス600のフローチャートである。プロセス600は、図1A及び図2Aに関して考察したような光源装置内のN個の光発振器のうちの1つに印加するための補正された入力信号を決定する。プロセス600は、制御システム150(図1A)又は制御システム250(図2A)によって実施されることがある。制御システム150及び制御システム250は、光源装置210の一部として、又はスキャナ装置280の一部として、又は光源装置210及びスキャナ装置280からは分離しているが光源装置210及び/又はスキャナ装置280と通信しているように、実装されることがある。
[0108] エネルギー誤差366が決定される(610)。エネルギー誤差366は、目標エネルギー371から測定されたエネルギー(例えば、エネルギー特性信号246によって提供される)を引くことによって、決定されることがある。エネルギー誤差366は、露光光ビーム211中の各パルスkの値を有する。従って、エネルギー誤差366(k)は、露光光ビーム211中のk番目のパルスのエネルギー誤差である。上述のように、露光光ビーム211中のk番目のパルスは、発振器選択モジュール362に従って、光発振器212-1~212-Nのうちの特定の1つ又は複数によって生成される。
[0109] エネルギー誤差366に基づく入力信号が受け取られる(620)。入力信号は、例えば、励起決定モジュール361(図3A)、励起決定モジュール461及びカルマンフィルタ464(図4A)、又は励起決定モジュール561(図5A)において受け取られる。入力信号は、スキャナ装置280によって生成されることがある。これらの実装形態では、制御システム250の少なくとも一部は、スキャナ装置250の一部として実装される。スキャナ装置280は、エネルギー特性信号246を提供する。これらの実装形態では、検出器245が、ウェーハ282の近くに配置されることがあり、及び/又は、計測センサ271がエネルギー特性信号246を提供し得る。制御システム250の少なくとも一部をスキャナ装置280の一部として実装すると、より高品質の入力信号がもたらされ、破損しにくい装置が得られることがある。他方では、制御システム250は、様々なスキャナ装置で使用することができる独立型のデバイス又は光学装置を提供するように、光学装置210中に実装されることがある。更に、制御システム250は、スキャナ装置280及び光学装置210とは別に実装されることがある。
[0110] 入力信号に基づいて、補正された入力信号が決定される(630)。入力信号は、ノッチフィルタ364(図3A)又はカルマンフィルタ464(図4A)によってフィルタリングされることがある。実装形態によっては、補正された入力信号は、図5Aに示すようなフィードフォワード技術を使用して決定される。
[0111] 補正された入力信号は、k番目のパルスを生成しなかった光発振器212-1~212-Nのうちの1つに印加されて、露光光ビーム211の(k+1)番目のパルスを生成する(640)。(k+1)番目のパルスのエネルギーは、補正のおかげで、k番目のパルスのエネルギーと実質的に同じになる。
[0112] 上記の例は、光源装置がN個の光発振器を含み、Nは1より大きい整数であり、N個の光発振器のそれぞれは、共通の光学素子に向けてパルス光ビームを放射するように構成される用途に関係している。しかしながら、制御モジュール160、360、460、及び560は、装置内の1つ又は複数の光発振器の伝達関数が変動する任意の光源装置で使用するように適用可能であり、これは、光源装置の動作中に異なる光発振器の間で切り替わることに起因して伝達関数が変動するか否か、又は異なる条件下で同じ光発振器を使用することに起因して伝達関数が変動するか否かには関わりない。例えば、制御モジュール160、360、460、又は560は、単一の光発振器を含む光源装置(図8の光源装置810など)に、又は、主発振器(MO)電力増幅器(PA)構成で構成された2つの光発振器を含む光源装置(図10の光源装置1010など)に、適用されることがある。
[0113] 図7A~図7Cは、単一の光発振器を含む従来のシステムの例を示す。伝達関数(供給される励起エネルギーの関数として単一の光発振器によって生成される光エネルギー)は、放射されるパルス光ビームの波長と共に変化する。図7Aは、パルスの中心波長が第1の波長(λ1)である場合の光発振器の効率である、伝達関数719_1と、パルスの中心波長が第2の波長(λ2)である場合の光発振器の効率である、伝達関数719_2と、を含む。伝達関数719_1及び719_2は、光発振器の励起機構に印加される電圧を、光発振器によって生成される光のパルスの光エネルギーに関係付ける。伝達関数719_1及び719_2は両方とも線形であるが、異なる傾き及び異なるy切片を有する。
[0114] 以下の考察は、モジュール160、360、460、560、1160、又は1260などの制御モジュールが使用されない、従来のシステムに関する。光発振器は、第1の波長(λ1)で光のパルスを生成するのと第2の波長(λ2)で光のパルスを生成するのとの間で交互になって、第1の波長にあるスペクトルピーク及び第2の波長にあるスペクトルピークを有するパルス光ビームを生成する。このシステムは、波長に関わらず全てのパルスについて目標エネルギー771を維持しようと務める。k番目のパルスは、エネルギーE1及び中心波長λ2を有する。k番目のパルスが生成された後、k+1番目のパルスの中心波長がλ1になるように、光学素子が作動される。従来の方式は、k+1番目のパルスを生成するための光発振器に印加する電圧を、伝達関数719_2に基づいて目標エネルギー771に関連付けられた電圧である電圧V1として、決定する。しかしながら、伝達関数719_2は、中心波長が第1の波長(λ1)であるパルスを生成するように光発振器が構成される場合、光発振器の構成の効率を正確に表してはいない。従って、第2のパルスは、目標エネルギー771の代わりにエネルギーE2を有する。
[0115] 図7Bは、パルス数の関数として、パルスエネルギーを示す。図示するように、従来の方式は伝達関数719_1と719_2との間の不一致に対処するための補正機構を欠いているせいで、パルスのエネルギーは、ナイキスト周波数(これは、波長がパルス毎に変化する例では、出力光ビームの繰り返し率の半分になる)で発振する。図7Cは、パルス数の関数としてのドーズ不均衡である。エネルギー不均衡は、比較的に高い(約10%の)ドーズ不均衡値をもたらす。
[0116] エネルギー制御モジュール1160(図11A)及び1260(図12A)は、波長が単一の光発振器で変更されるときの伝達関数の変化を考慮に入れるために使用されることがある。エネルギー制御モジュール1160及び1260について考察する前に、パルス毎に波長を変化させるように構成された光源装置の例について考察する。
[0117] 図8を参照すると、システム800は、露光ビーム(又は出力光ビーム)816をスキャナ装置280に提供する光源装置810を含む。システム800は、制御システム250も含む。制御システム250は、光源装置810及び光源装置810に関連付けられた様々な構成要素に結合されている。
[0118] 光源装置810は、光発振器812を含む。光発振器812は、出力光ビーム816を生成する。光発振器812は、図2Aに関して上述したN個の光発振器212のどれとも同じである。光発振器812の様々な構成要素は、光発振器212-1と同じ参照番号を用いてラベル付けされている。
[0119] 共振器が、放電チャンバ215-1の一方の側にあるスペクトル調整装置895と、放電チャンバ215-1の第2の側にある出力カプラ296-1との間に形成される。スペクトル調整装置895は、例えば、放電チャンバ215-1のスペクトル出力を微調整する回折格子、ミラー、及び/又はプリズムなどの分散光学部品を含むことがある。分散光学部品は、反射型又は屈折型であり得る。(図9Aに示すような)一部の実装形態では、スペクトル調整装置895は、複数の分散型光学素子を含む。例えば、スペクトル調整装置895は4つのプリズムを含むことがあり、それらのプリズムのうちの幾つかは光ビーム816の中心波長を制御するように構成され、他のものは光ビーム816のスペクトル帯域幅を制御するように構成される。スペクトル調整装置895内のプリズム又は他の構成要素のうちの1つ又は複数を調整することにより、出力光ビーム816の中心波長及び/又は帯域幅が変更される。異なる中心波長を生み出す様々な構成要素の位置又は設定の固有の組み合わせのそれぞれは、スペクトル調整装置895の構成と呼ばれる。
[0120] 図9Aも参照すると、スペクトル調整装置995のブロック図が示されている。スペクトル調整装置995は、スペクトル調整装置895として光源装置810で使用されることがある。
[0121] スペクトル調整装置995は、光ビーム816と光学的に相互作用するように配置された一組の光学フィーチャ又はコンポーネント921、922、923、924、925を含む。制御システム250は、それぞれの光学コンポーネント921、922、923、924、925に物理的に結合された1つ又は複数の作動システム921A、922A、923A、924A、925Aに接続されている。作動システム921A、922A、923A、924A、925Aは、シャフト(シャフト926Aなど)を含むことがあり、このシャフトは、そのシャフトに結合されたコンポーネントを回転させる。作動システム921A、922A、923A、924A、925Aは、例えば、制御システム250と通信するための且つ電力を受け取るための電子インターフェース及びモーターなどの電子機器及び機械装置も含む。
[0122] 光学コンポーネント921は、分散型光学素子、例えば回折格子、ミラー、及び/又はプリズムである。図9Aの例では、光学コンポーネント921は、回折面902を含む反射型回折格子である。光学コンポーネント922、923、924、及び925は、屈折型光学素子であり、例えばプリズムであり得る。光学コンポーネント922、923、924、及び925は、光学倍率OM965を有するビーム拡大器901を形成する。ビーム拡大器901を通る光ビーム816のOM965は、ビーム拡大器901に入ってくる光ビーム816の横幅Wiに対する、ビーム拡大器901を出てゆく光ビーム816の横幅Woの比率である。
[0123] 回折格子921の表面902は、光ビーム816の波長を反射及び回折する材料でできている。プリズム922、923、924、及び925のそれぞれは、光ビーム816がプリズムの本体を通過する際に光ビーム816を分散させ向け直すように作用するプリズムである。プリズム922、923、924、及び925のそれぞれは、光ビーム816中の波長を透過させる材料でできている。例えば、光ビーム816がDUV範囲内にある場合、プリズム922、923、924、及び925は、DUV範囲内の光を透過する材料(例えば、フッ化カルシウムなど)でできている。
[0124] プリズム925は、回折格子921から最も遠くに配置され、プリズム922は回折格子921の最も近くに配置されている。光ビーム816は、開口部955を通ってスペクトル調整装置に入り、その後プリズム925、プリズム924、プリズム923、及びプリズム922を(この順序で)通って進む。光ビーム816が連続するプリズム925、924、923、922を通過するたびに、光ビーム816は光学的に拡大され、次の光学コンポーネントに向けて向け直される(ある角度で屈折する)。プリズム925、924、923、及び922を通過した後、光ビーム816は表面902で反射する。光ビーム816は、その後プリズム922、プリズム923、プリズム924、及びプリズム925を(この順序で)通過する。連続するプリズム922、923、924、925を通過するたびに、光ビーム816は、開口部955に向けて進むにつれて光学的に圧縮される。プリズム922、923、924、及び925を通過した後、光ビーム816は開口部955を通ってスペクトル調整装置995を出てゆく。スペクトル調整装置995を出た後、光ビーム816はチャンバ215-1を通過し、ビームの一部分が出力カプラ296-1で反射してチャンバ215-1及びスペクトル調整装置995に戻る。
[0125] 光ビーム816のスペクトル特性は、光学コンポーネント921、922、923、924、及び/又は925の相対的な向きを変更することにより、調整されることがある。図9Bを参照すると、ページの平面に垂直な軸の周りでのプリズムP(これは、プリズム922、923、924、又は925のいずれかであり得る)の回転により、その回転したプリズムPの入射表面H(P)に光ビーム816が当たる入射角が変わる。更に、その回転したプリズムPを通る光ビーム816の2つの局所的な光学的特性、即ち光学倍率OM(P)及びビーム屈折角δ(P)は、その回転したプリズムPの入射平面H(P)に当たる光ビーム816の入射角の関数になる。プリズムPを通る光ビーム816の光学倍率OM(P)は、そのプリズムPに入ってくる光ビーム816の横幅Wi(P)に対する、そのプリズムPを出てゆく光ビーム816Aの横幅Wo(P)の比率である。
[0126] ビーム拡大器901内部のプリズムPのうちの1つ又は複数における光ビーム816の局所的な光学倍率OM(P)が変化すると、ビーム拡大器901を通る光ビーム816の光学倍率OM965の全体的な変化が引き起こされる。更に、ビーム拡大器901内部のプリズムPのうちの1つ又は複数を通る局所的なビーム屈折角δ(P)が変化すると、回折格子921の表面902での光ビーム816Aの入射角962(図9A)の全体的な変化が引き起こされる。光ビーム816の波長は、光ビーム816が回折格子921の表面902に当たる入射角962(図9A)を変更することにより、調整されることがある。光ビーム816のスペクトル帯域幅は、光ビーム816の光学倍率965を変更することにより、調整されることがある。
[0127] 従って、光ビーム816のスペクトル特性は、それぞれのアクチュエータ921A、922A、923A、924A、925Aを介して回折格子921、及び/又はプリズム922、923、924、925のうちの1つ又は複数の向きを制御することにより、変更又は調整されることがある。スペクトル調整装置の他の実装形態も可能である。
[0128] 再び図8を参照すると、光ビーム816のスペクトル特性は、スペクトル調整装置895に加えて又はその代わりに、他の方法で調整されることがある。従って、光源装置810の他の構成要素が、スペクトル調整装置895の機能を実施し得る。例えば、光ビーム816のスペクトル帯域幅及び中心波長などのスペクトル特性は、チャンバ215-1の気体の利得媒質の圧力及び/又はガス濃度を制御することにより、調整されることがある。光源装置810がエキシマ放射源である実装形態の場合、光ビーム816のスペクトル特性(例えば、スペクトル帯域幅又は中心波長)は、チャンバ215-1内の、例えばフッ素、塩素、アルゴン、クリプトン、キセノン、及び/又はヘリウムの圧力及び/又は濃度を制御することにより、調整されることがある。
[0129] 気体の利得媒質819の圧力及び/又は濃度は、ガス供給システム890を用いて制御可能である。ガス供給システム890は、流体導管889を介して放電チャンバ815の内部に流体結合されている。流体導管889は、流体の損失なく又は最小限の損失を伴って、ガス又は他の流体を運ぶことができる任意の導管である。例えば、流体導管889は、流体導管889内で運ばれている1種又は複数種の流体と反応しない材料で出来ているか又はコーティングされているパイプであり得る。ガス供給システム890は、利得媒質819で使用される1種又は複数種のガスを含むか及び/又はガスの供給を受け取るように構成されるチャンバ891を含む。ガス供給システム890は、ガス供給システム890が放電チャンバ815からのガスを除去するか又は放電チャンバ815へガスを注入できるようにするデバイス(ポンプ、弁、及び/又は流体スイッチなど)も含む。ガス供給システム890は、制御システム250に結合されている。
[0130] 図10は、DUVシステムの別の例示的な構成を示す。図10は、スキャナ装置280に提供されるパルス光ビーム1016を生成する光源装置1010を含むフォトリソグラフィシステム1000のブロック図である。フォトリソグラフィシステム1000は、制御システム250も含む。制御システム250は、光源装置1010の主発振器1012_1に結合されている。実装形態によっては、制御システム250は、スキャナ装置280にも結合されている。
[0131] 光源装置1010は、シード光ビーム1018を電力増幅器(PA)1012_2に提供する主発振器(MO)1012_1を含む、2ステージレーザーシステムである。PA1012_2は、MO1012_1からシード光ビーム1018を受け取り、シード光ビーム1018を増幅して、スキャナ装置280で使用するための光ビーム1016を生成する。例えば、実装形態によっては、MO1012_1は、1パルスあたり約1ミリジュール(mJ)のシードパルスエネルギーを有するパルスシード光ビームを放射することがあり、これらのシードパルスは、PA1012_2によって約10~15mJまで増幅されることがある。
[0132] MO1012_1は、2つの細長い電極1013a_1及び1013b_1、ガス混合物である利得媒質1019_1、並びに電極1013a_1と1013b_1との間でガス混合物を循環させるためのファン(図示せず)を有する、放電チャンバ1015_1を含む。共振器が、放電チャンバ1015_1の一方の側にあるライン狭隘化モジュール1095と、放電チャンバ1015_1の第2の側にある出力カプラ1096との間に形成される。
[0133] 放電チャンバ1015_1は、第1のチャンバ窓1063_1及び第2のチャンバ窓1064_1を含む。第1のチャンバ窓1063_1及び第2のチャンバ窓1064_1は、放電チャンバ1015_1の両側にある。第1のチャンバ窓1063_1及び第2のチャンバ窓1064_1は、DUV範囲内の光を透過し、DUV光が放電チャンバ1015_1に出入りするのを可能にする。
[0134] ライン狭隘化モジュール1095は、放電チャンバ1015_1のスペクトル出力を微調整する回折格子又はプリズム(図9Aに示すような)などの光学素子を含むことがある。光源装置1010は、出力カプラ1096から出力光ビームを受け取るライン中心分析モジュール1068、及びビーム結合光学システム1069も含む。ライン中心分析モジュール1068は、シード光ビーム1018の波長を測定又は監視するのに使用されることがある測定システムである。ライン中心分析モジュール1068は、光源装置1010内の他の場所に配置されることがあるか、又は、光源装置1010の出力部に配置されることがある。
[0135] 利得媒質1019_1であるガス混合物は、用途に必要とされる波長及び帯域幅で光ビームを生成するのに適した任意のガスであり得る。エキシマ放射源の場合、ガス混合物は、例えば、アルゴン若しくはクリプトンなどの貴ガス(希ガス)、例えばフッ素若しくは塩素などのハロゲン、及びヘリウムなどの緩衝ガスとは別の微量のキセノンを含むことがある。ガス混合物の具体的な例としては、約193nmの波長で光を放射するフッ化アルゴン(ArF)、約248nmの波長で光を放射するフッ化クリプトン(KrF)、又は約351nmの波長で光を放射する塩化キセノン(XeCl)が挙げられる。従って、この実装形態では、光ビーム1016及び1018は、DUV範囲内の波長を含む。エキシマ利得媒質(ガス混合物)は、細長い電極1013a_1、1013b_1に電圧を印加することにより、高電圧放電で、短い(例えばナノ秒の)電流パルスを伴ってポンピングされる。
[0136] PA1012_2は、MO1012_1からシード光ビーム1018を受け取り、シード光ビーム1018を放電チャンバ1015_2を通してビーム回転光学素子1092に向ける、ビーム結合光学システム1069を含み、ビーム回転光学素子1092は、シード光ビーム1018が放電チャンバ1015_2に送り返されるにように、シード光ビーム1018の方向を修正又は変更する。ビーム回転光学素子1092及びビーム結合光学システム1069は、循環する閉ループの光路を形成し、この光路では、リング増幅器への入力が、ビーム結合光学システム1069においてリング増幅器の出力と交差する。
[0137] 放電チャンバ1015_2は、一対の細長い電極1013a_2、1013b_2、利得媒質1019_2、及び電極1013a_2と1013b_2との間で利得媒質1019_2を循環させるためのファン(図示せず)を含む。利得媒質1019_2を形成するガス混合物は、利得媒質1019_1を形成するガス混合物と同じであり得る。
[0138] 放電チャンバ1015_2は、第1のチャンバ窓1063_2及び第2のチャンバ窓1064_2を含む。第1のチャンバ窓1063_2及び第2のチャンバ窓1064_2は、放電チャンバ1015_2の両側にある。第1のチャンバ窓1063_2及び第2のチャンバ窓1064_2は、DUV範囲内の光を透過し、DUV光が放電チャンバ1015_2に出入りするのを可能にする。
[0139] 利得媒質1019_1又は1019_2が、それぞれ電極1013a_1、1013b_1、又は1013a_2、1013b_2に電圧を印加することによりポンピングされると、利得媒質1019_1及び/又は1019_2が光を放射する。電圧が一定の時間間隔で電極に印加されると、光ビーム1016はパルス化される。従って、パルス光ビーム1016の繰り返し率は、電極に電圧が印加される率によって決まる。パルスの繰り返し率は、様々な用途について、約500~6,000Hzの範囲であり得る。実装形態によっては、繰り返し率は6,000Hzよりも大きいことがあり、例えば、12,000Hz以上であることがあるが、他の実装形態では他の繰り返し率が用いられることがある。
[0140] 出力光ビーム1016は、スキャナ装置280に到達する前に、ビーム準備システム1099を通って向けられることがある。ビーム準備システム1099は、ビーム1016の様々なパラメータ(帯域幅又は波長など)を測定する帯域幅分析モジュールを含むことがある。ビーム準備システム1099は、時間的に出力光ビーム1016の各パルスを引き伸ばすパルスストレッチャーも含むことがある。ビーム準備システム1099は、例えば、反射型及び/又は屈折型の光学素子(例えば、レンズ及びミラーなど)、フィルタ、及び光学開口部(自動シャッターを含む)などの、ビーム1016に作用することができる他の構成要素を含むこともある。
[0141] DUV光源装置1010は、DUV光源装置1010の内部1078と流体連通しているガス管理システム1090も含む。
[0142] 図11Aは、エネルギー制御モジュール1160のブロック図である。エネルギー制御モジュール1160は、エネルギー制御モジュール360(図3A)と似ているが、エネルギー制御モジュール1160は発振器選択モジュール362を含まず、またエネルギー制御モジュール1160は補正モジュール364の代わりに補正モジュール1164を含む点が異なる。エネルギー制御モジュール1160は、サーボ制御モジュール1172も含む。エネルギー制御モジュール1160は、単一の光発振器1112と共に使用するように構成されたエネルギー制御モジュール360の実装形態である。エネルギー制御モジュール1160は、制御システム150又は制御システム250の一部として実装されることがある。単一の光発振器1112は、より大きなシステム(システム800など)内の唯一の光発振器であることがあり、又は、単一の光発振器1112は、ステージ付きシステム(システム1000など)内の2つ以上の光発振器のうちの1つであることがあり、又は、光発振器1112は、システム100などのシステム内のN個の光発振器のうちの1つであり得る。光発振器1112の出力は、光ビーム816などの光ビームである。
[0143] エネルギー制御モジュール1160は、第1の比較器363、遅延モジュール367、励起決定モジュール361、及び第2の比較器365を含む。これらの構成要素については、図3Aに関して詳細に考察されている。第1の比較器363は、エネルギー特性信号1146(これは、前のパルスのエネルギーである)とエネルギー目標1171との比較に基づいて誤差信号1166を決定する。誤差信号1166は、電圧誤差1176を決定する励起決定モジュール361に提供される。電圧誤差1176は、励起信号1168を決定するサーボ制御モジュール1172に提供される。電圧コマンド1176(又はVservo)は、式(13)を使用して決定される。
ここで、kはパルス数をインデックス付けする整数であり、e(k)はk番目のパルスのエネルギー誤差1166であり、D(k)はk番目のパルスの累積エネルギー誤差又はドーズ誤差であり、KEはエネルギー誤差に関係した調整パラメータ又は利得であり、KHはドーズ誤差に関係した調整パラメータ又は利得であり、dEdV(k)は、光発振器1112がk番目のパルスを生成するときの光発振器1112の伝達関数である。
[0144] エネルギー制御モジュール1160は、式(14)で表されるノッチフィルタを実装する補正モジュール1164も含む。
ここで、GNはKH/KEであり、kはパルス数をインデックス付けする整数であり、Vsp(k+1)はk+1番目のパルスに対する補正された励起信号1168’である。
[0145] エネルギー制御モジュール1160では、補正モジュール1164は、光発振器1112の伝達関数のばらつきを考慮に入れるように励起信号1168を補正する。出力光ビーム816中のパルスのスペクトル特性が意図的に全て同じではないので、伝達関数は変化する。例えば、各パルスの中心波長が、パルス毎に変化し、パルスを生成する前にスペクトル調整装置895の構成を変化させることがある。中心波長は、2つの値(第1の波長及び第2の波長)の間で交互になって、第1の波長にあるスペクトルピーク及び第2の波長にあるスペクトルピークを有するパルス光ビームを形成することがあり、ここで、これらのピークは、第1の波長と第2の波長との差であるスペクトル距離だけ互いに離れている。第1の波長と第2の波長との間の波長では、パルス光ビーム中に光は殆ど又は全くない。
[0146] 補正された励起信号1168’が光発振器1112に印加されて、光発振器1112の効率の変動が補正される。励起信号1168’を補正することにより、エネルギー制御モジュール1160は、たとえ中心波長が一定でなくても、パルス光ビーム816中のパルスのエネルギーが、目標エネルギーで実質的に一定になるか、又は目標エネルギーの許容可能な差の中になるようにする。
[0147] 図11B及び図11Cは、式14に基づいて実装されたノッチフィルタの例のプロットである。図11Bは、周波数の関数としてノッチフィルタの大きさを示し、図11Cは、周波数の関数としてノッチフィルタの位相を示す。ノッチフィルタは、ナイキスト周波数1135(光発振器1112によって生成される光の繰り返し率の半分)で最大の大きさを有する。その結果、組み合わされたコントローラ(サーボ制御モジュール1172及び補正モジュール1164)の閉ループ感度は、ナイキスト周波数において抑制され(非常に低い大きさを有し)、従って、ナイキスト周波数でのエネルギー擾乱はノッチフィルタによって抑制される。
[0148] 図11D~図11Fは、測定結果の例を示す。図11D~図11Fのそれぞれにおいて、x軸は同じである。図11Dは、パルス数の関数として、ドーズ誤差(%)を示す。図11Eは、パルス数の関数として、2つの波長におけるドーズ変動又はドーズ不均衡(%)を示す。図11Fは、パルス数の関数として、エネルギー変動又はエネルギーシグマ(%)を示す。パルスの第1の四半分(SFIとラベル付けされている)は、単焦点イメージング(SFI)モードで生成された。SFIモードでは、パルスの公称中心波長はパルス毎に一定のままであり、意図的に変更はされない。パルスの第2の四半分及び第4の四半分(Aとラベル付けされている)は、ノッチフィルタを含まず、エネルギー制御モジュール1160を使用しなかった旧式のコントローラを用いた、多焦点イメージング(MFI)モードで生成された。MFIモードでは、中心波長はパルス毎に変更される。パルスの第3の四半分(Bとラベル付けされている)は、エネルギー制御モジュール1160を用いてMFIモードで生成された。図示するように、エネルギー制御モジュール1160は、ドーズ変動(図11E)及びエネルギー変動(図11F)の性能を改善した。ドーズ誤差(図11D)は、エネルギー制御モジュール1160を使用した場合には、低周波数に対するノッチフィルタの影響に起因して、僅かに劣化している。しかしながら、ドーズ誤差は十分に仕様の範囲内であり、ドーズ変動及びエネルギー変動の改善は、ドーズ誤差における僅かな劣化より重要である。
[0149] 図12Aは、エネルギー制御モジュール1260のブロック図である。エネルギー制御モジュール1260は、光発振器1112によって生成される光ビームのスペクトル特性を変化させるためにスペクトル調整装置895の構成を意図的に変更するのに起因して発生する、パルス毎のエネルギー擾乱又はエネルギー変動を、フィードフォワード方式を使用して除去又は低減する。エネルギー制御モジュール1260は、エネルギー制御モジュール560(図5A)と似ているが、エネルギー制御モジュール1260は発振器選択モジュール362を含まない点が異なる。エネルギー制御モジュール1260は、制御システム150又は制御システム250の一部として実装されることがある。エネルギー制御モジュール1260は、単一の光発振器1112と共に使用するように構成されたエネルギー制御モジュール260の実装形態である。
[0150] エネルギー補正モジュール1260は、遅延モジュール367及び励起決定モジュール1261を含む。遅延モジュール367の出力は、エネルギー誤差1266であり、これは、エネルギー特性信号1246(これは、前のパルスのエネルギーである)とエネルギー目標1271との差の測度である。励起決定モジュール1261は、補正された励起信号1268’を決定し、補正された励起信号1268’を光発振器1112に提供する。
[0151] 図12Bは、励起モジュール1261のブロック図である。励起決定モジュール1261は、図12Bには図示されていないが上述され図5Bに示されている、フィードバックコントローラ587を含むことがある。励起決定モジュール1261は、1つの伝達関数1219_1~1219_Nを選択する伝達関数選択器1274を含む。伝達関数1219_1~1219_Nのそれぞれは、特定の波長に対する光発振器1112の伝達関数であり、伝達関数1219_1~1219_Nのそれぞれは、スペクトル調整装置895の特定の構成に関連付けられている。スペクトル選択装置895は、N個の異なる構成を有し、そのそれぞれは、出力光ビーム816の異なるスペクトルパラメータ(例えば、中心波長又は帯域幅)と関連付けられている。Nは、ゼロよりも大きな整数であり、特定の用途に関連したスペクトル調整装置895の可能な構成の全てにインデックスを付ける。スペクトル調整装置895のN個の構成のそれぞれは、光発振器812のそれぞれの伝達関数1219_1~1219_Nに関連付けられている。例えば、伝達関数1219_1~1219_Nのうちの特定の1つに関連付けられたNのインデックス値は、スペクトル調整装置895のその構成によって生成される中心波長及び伝達関数を規定するデータと共に、ルックアップテーブル又はデータベースに格納されることがある。伝達関数1219_1~1219_Nは、スペクトル調整装置895のN個の構成のうちの1つに関連して、電子ストレージ252に格納されることがある。伝達関数1219_1~1219_Nは、製造業者によってN個の構成と関連付けられることがあり、又は、システム800のオペレータによって提供されることがある。
[0152] 伝達関数選択器1274は、伝達関数1219_1~1219_Nのうちのいずれが、光発振器1112から放射される出力光ビームのk番目のパルスを生成する構成と関連付けられるのかを決定する。伝達関数選択器1274は、図3Aに関して考察した剰余機能と同様の剰余機能を実装することにより、伝達関数1219_1~1219_Nの中から選択することができ、ここで、Mは光パルスを生成するように交互になるか又は循環するスペクトル調整装置895のN個の構成の数を表す整数である。別の例では、光発振器1112によって生成される光パルスの中心波長は、所定のレシピに従ってパルス毎に変化する。例えば、光発振器1112及びスペクトル調整装置895は、中心波長が4つの所定の波長の間を順番に循環するように制御されることがある。従って、伝達関数選択器1274は、第2及び第6のパルスに対しては伝達関数1219_2を選択し、第3及び第7のパルスに対しては伝達関数1219_3を選択し、以下同様である。
[0153] 誤差信号1266は、選択された伝達関数に提供され、選択された伝達関数の出力は利得584に提供され、その後積分器585に提供される。フィードフォワード補正信号567は、積分器585に提供される。フィードフォワード補正信号567は、図7Bに示したものなどのエネルギー擾乱を除去、低減、又は拒絶する。信号567は、光発振器1112の動作中にスペクトル調整装置895の構成を変更することによって引き起こされるエネルギー差を補正し、補正された励起信号1268’を決定する。補正された励起信号1268’(V(k))は、式(15)に基づいて決定される。
ここで、kは1以上の整数であり、光発振器1112によって出力される光ビーム中のパルスのパルス数を表し、λkは光発振器によって生成されるk番目のパルスの波長であり、Eはエネルギー値であり、Vは電圧値であり、dedv(λk)はk番目のパルスの波長の生成に対応する光発振器の伝達関数1219_1~1219_Nである。V*及びE*は、それぞれ未処理の電圧値及びエネルギー値の移動平均である。
[0154] 図12C~図12Fは、シミュレーションデータの例を示す。図12C及び図12Dは、MFIモードで動作する旧式システムに関し、ここで、旧式システムは、エネルギー制御モジュール1260を含んでいない。図12E及び図12Fは、MFIモードで動作するシステムに関し、ここで、システムは、エネルギー制御モジュール1260を含んでいる。図12C及び図12Eは、パルス数の関数として、パルスエネルギーを示す。図12Eに示すように、エネルギー制御モジュール1260を有するシステムは、たとえパルスの中心波長が一定ではなくても、一定のパルスエネルギーを維持する。他方では、旧式システム(図12C)によって生成されるパルスエネルギーは、ナイキスト周波数で発振する。
[0155] 図12D及び図12Fは、パルス数の関数として、ドーズ不均衡を示す。ドーズ不均衡は、エネルギー制御モジュール1260を含むシステムの場合、はるかに小さくなる。
[0156] これらの及び他の実装形態は、特許請求の範囲内である。例えば、エネルギー制御モジュール460は、光発振器によって生成されるパルスの中心波長がパルス毎に意図的に変化するように、単一の光発振器(光発振器111など)が動作するシステム内に実装されることがある。エネルギー制御モジュール460が単一の光発振器と共に使用される実装形態では、発振器選択モジュール362は使用されない。更に、モジュール475_1~475_Nの代わりに伝達関数1219_1~1219_Nが使用される。
[0157] 本発明の他の態様が、番号が付けられた以下の条項に記載される。
[0157] 1.深紫外(DUV)光リソグラフィ用のシステムであって、
N個の光発振器を含む光源装置であって、Nは2以上の整数であり、N個の光発振器のそれぞれは、励起信号に応答して光のパルスを生成するように構成される、光源装置と、
光源装置に結合された制御システムであって、入力信号に基づいて、N個の光発振器のうちの第1のものに対する補正された励起信号を決定するように構成され、入力信号は、N個の光発振器のうちの別のものによって生成された光のパルスのエネルギー特性を含む、制御システムと、
を含むシステム。
[0157] 2.制御システムが補正された励起信号を決定するように構成されることは、制御システムが入力信号にフィルタを適用してフィルタリングされた入力信号を生成するように構成されることを含み、励起信号はフィルタリングされた入力信号である、条項1に記載のシステム。
[0157] 3.フィルタは、第1の周波数帯域内の周波数を有する情報を伝達し、第1の周波数帯域の外側の周波数を有する情報を実質的に遮断する、ノッチフィルタを含む、条項2に記載のシステム。
[0157] 4.光源装置は露光光ビームを生成し、
N個の光発振器のそれぞれは、ある繰り返し率で光のパルスを放射し、
N個の光発振器の全ては、同じ繰り返し率を有し、
露光光ビームは、互いに時間的に分離した、N個の光発振器のそれぞれからの光のパルスを含む、条項3に記載のシステム。
[0157] 5.フィルタは、入力信号及びエネルギー誤差値に基づいて出力を生成し、制御システムは、フィルタの出力及び初期入力信号に基づいて、補正された入力信号を決定するように構成される、条項3に記載のシステム。
[0157] 6.フィルタはカルマンフィルタを含む、条項5に記載のシステム。
[0157] 7.制御システムは、補正された入力信号を決定する前に、初期入力信号にフィードフォワード補正を適用するように更に構成される、条項3に記載のシステム。
[0157] 8.フィードフォワード補正信号は、生成される光のパルスのエネルギーとN個の光増幅器のうちの第1のものの励起量との間の第1のモデル化された関係、及び、生成される光のパルスのエネルギーとN個の光増幅器のうちの第2のものの励起量との間の第2のモデル化された関係に基づいて決定される、条項7に記載のシステム。
[0157] 9.N個の光発振器のそれぞれにおける励起機構は一組の電極を含み、第1のモデル化された関係は、N個の光増幅器のうちの第1のものの電極に印加される電圧量を、生成される光のパルスのエネルギーと関係付ける線形関係を含み、第2のモデル化された関係は、N個の光増幅器のうちの第1のものの電極に印加される電圧量を、生成される光のパルスのエネルギーと関係付ける線形関係を含む、条項8に記載のシステム。
[0157] 10.光源装置から露光光ビームを受け取るように構成されたスキャナ装置を更に含み、制御システムは、スキャナ装置が補正された励起信号をN個の光発振器のうちの第1のものに提供するように、スキャナ装置の一部として実装される、条項9に記載のシステム。
[0157] 11.N個の光発振器のいずれかから光のパルスを受け取り、受け取った光のパルスを露光光ビームとしてスキャナ装置に向けるように構成されたビームコンバイナを更に含む、条項1に記載のシステム。
[0157] 12.エネルギー特性は、スキャナ装置で得られた光エネルギー測定値に基づく測定基準を含む、条項11に記載のシステム。
[0157] 13.エネルギー特性はエネルギー誤差を含む、条項1に記載のシステム。
[0157] 14.N個の光発振器のうちのその他のものによって生成される光のパルスが、露光光ビームの第1の光のパルスであり、励起信号の印加に応答してN個の光発振器のうちの第1のものによって形成される光のパルスが、露光光ビームの第2のパルスであり、第2のパルスと第1のパルスは連続したパルスである、条項1に記載のシステム。
[0157] 15.深紫外(DUV)光リソグラフィ用の方法であって、
N個の光発振器のうちの第1のものから放射され、スキャナ装置によって受け取られる光のパルスのエネルギー量に基づいてエネルギー誤差を決定することであって、Nは2以上の整数であり、エネルギー誤差は、光のパルスのエネルギー量と目標エネルギーとの差であることと、
初期入力信号を受け取ることであって、初期入力信号はエネルギー誤差に基づいていることと、
初期入力信号に基づいて、補正された入力信号を決定することと、
補正された入力信号を、N個の光発振器のうちの第2のものの励起機構に印加することと、
を含む方法。
[0157] 16.補正された入力信号を初期入力信号に基づいて決定することは、初期入力信号をフィルタリングすることを含む、条項15に記載の方法。
[0157] 17.初期入力信号をフィルタリングすることは、初期入力信号にノッチフィルタを適用することを含む、条項16に記載の方法。
[0157] 18.初期入力信号をフィルタリングすることは、初期入力信号及びエネルギー誤差をカルマンフィルタに提供することを含む、条項16に記載の方法。
[0157] 19.初期入力信号をフィルタリングすることは、初期入力信号にフィードフォワード補正を適用することを含む、条項16に記載の方法。
[0157] 20.初期入力信号は、N個の光発振器のうちの複数のものによって生成された露光光ビームを受け取るように構成されたスキャナ装置から受け取られる、条項16に記載の方法。
[0157] 21.システムであって、
光源装置であって、
励起信号に応答して光のパルスを生成するように構成された光発振器、及び
光のパルスのスペクトル特性を制御するように構成されたスペクトル調整装置、を含む光源装置と、
光源装置に結合された制御システムであって、スペクトル調整装置の構成の変化を考慮に入れるように、引き続いて生成される光のパルスのエネルギーを調整する補正された励起信号を決定するように構成された制御システムと、
を含むシステム。
[0157] 22.光発振器は、複数の伝達関数に関連付けられており、各伝達関数は、スペクトル調整装置の特定の構成と関連付けられており、
制御システムは、引き続きの光のパルスを生成するのに使用されるスペクトル調整装置の特定の構成に関連付けられた伝達関数に基づいて、補正された励起信号を決定するように構成される、条項21に記載のシステム。
[0157] 23.スペクトル調整装置は、少なくとも1つのプリズムを含み、各伝達関数は、少なくとも1つのプリズムの異なる位置に関連付けられている、条項22に記載のシステム。
[0157] 24.スペクトル特性は、光のパルスの中心波長を含む、条項23に記載のシステム。
[0157] 25.スペクトル調整装置の各構成は、スペクトル特性の特定の値と関連付けられている、条項21に記載のシステム。
[0157] 26.スペクトル調整装置の各構成は、光のパルスの中心波長及び帯域幅の特定の値と関連付けられている、条項25に記載のシステム。
[0157] 27.光源装置は、光発振器からシード光ビームを受け取る電力増幅器を更に含み、システムは、深紫外(DUV)リソグラフィシステムで使用するように構成される、条項21に記載のシステム。
[0157] 28.方法であって、
第1の構成状態にあるスペクトル調整装置と関連付けられた光発振器に第1の励起信号を提供して、スペクトル特性の第1の値を有する第1の光のパルスを生成することと、
スペクトル調整装置を第2の構成状態に調整することと、
スペクトル調整装置が第2の構成状態にあるときに、第1の光のパルスのエネルギー特性及び光発振器の伝達関数に基づいて、補正された励起信号を決定することと、
スペクトル調整装置が第2の構成状態にある間に光発振器に補正された励起信号を提供して、スペクトル特性の第2の値を有する第2の光のパルスを生成することと、
を含む方法。
[0157] 29.第2の光のパルスは、エネルギー特性の第2の値を有し、第2の値は、エネルギー特性の第1の値と実質的に等しい、条項28に記載の方法。
[0157] 30.光源装置を制御して、あるスペクトル距離だけ分離した少なくとも2つのスペクトルピークを有するパルス光ビームを生成する方法であって、
光源装置から第1の光のパルスを生成することであって、第1の光のパルスは第1の波長及びエネルギー特性の第1の値を有することと、
光源装置の少なくとも1つの構成要素を調整することであって、少なくとも1つの構成要素は、光源装置から放射される光のスペクトル特性を制御するように構成されることと、
補正された励起信号を決定することと、
光源装置からの第2の光のパルスを生成するために少なくとも1つの構成要素を調整した後で、補正された励起信号を光源装置に印加することであって、第2の光のパルスは第2の波長及びエネルギー特性の第1の値を有し、パルス光ビームは少なくとも第1の光のパルス及び第2の光のパルスを含み、スペクトル距離は第1の波長と第2の波長との差であることと、
を含む方法。
[0157] 31.光源装置は唯一の光発振器を含み、光源装置の少なくとも1つの構成要素を調整することは、唯一の光発振器のスペクトル調整装置を第1の構成状態から第2の構成状態に調整することを含み、
唯一の光発振器は、複数の伝達関数に関連付けられており、伝達関数のそれぞれは、スペクトル調整装置の特定の構成状態に対応しており、
補正された励起信号は、スペクトル調整装置の第2の構成状態に対応する伝達関数に基づいて決定される、条項30に記載の方法。
[0157] 32.スペクトル調整装置を調整することは、分散型光学素子を作動させることを含む、条項31に記載の方法。
[0157] 33.光源装置はN個の光発振器を含み、そのそれぞれは、励起エネルギー及び生成エネルギーに関係する伝達関数に関連付けられており、N個の光発振器のうちの第1のものが第1の光のパルスを生成し、
光源装置の少なくとも1つの構成要素を調整することは、N個の光発振器のうちの第2のものが第2の光のパルスを生成するように、N個の光発振器のうちの第1のものからN個の光発振器のうちの第2のものに切り替えることを含み、
補正された励起信号は、N個の光発振器のうちの第2のものの伝達関数に基づいて決定される、条項30に記載の方法。
[0157] 34.光源装置用の制御モジュールであって、
光源装置に、光源装置からの第1の光のパルスを生成させ、第1の光のパルスは第1の波長及びエネルギー特性の第1の値を有し、
光源装置の少なくとも1つの構成要素を調整し、少なくとも1つの構成要素は、光源装置から放射される光のスペクトル特性を制御するように構成され、
補正された励起信号を決定し、
光源装置からの第2の光のパルスを生成するために少なくとも1つの構成要素が調整された後で、補正された励起信号を光源装置に印加し、第2の光のパルスは第2の波長及びエネルギー特性の第1の値を有し、パルス光ビームは少なくとも第1の光のパルス及び第2の光のパルスを含み、スペクトル距離は第1の波長と第2の波長との差である、
ように構成される、制御モジュール。
[0158] 本開示の幅及び範囲は、上述した例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲及びその均等物によってのみ、定義されるべきである。