JP7415890B2 - 暗色粉分散液、暗色粉分散体ならびに着色層付基材 - Google Patents
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Description
また、当該遮光フィルムの使用用途によっては、耐湿熱性が求められる場合もあった。
暗色顔料と複合タングステン酸化物粒子と溶媒とを含み、
前記暗色顔料と前記複合タングステン酸化物粒子との質量比(暗色顔料質量/複合タングステン酸化物微粒子質量)の値が0.01以上5以下であることを特徴とする暗色粉分散液である。
暗色顔料は、遮光フィルムの着色層の暗色粉分散体に着色し、可視光透過率を下げる顔料である。
彩度c*=(a*2+b*2)1/2・・・・式1
そして好ましいことには、複合タングステン酸化物微粒子が、可視光線よりも近赤外線を吸収して遮蔽するため、本発明に係る暗色粉分散体を遮光フィルムに用いると、太陽光線に含まれる近赤外線を吸収し遮蔽して、室内に入り込むことを防ぎ、室温上昇を抑制する効果を得ることができる。
本発明に用いる複合タングステン酸化物微粒子について、(a)複合タングステン酸化物微粒子の性状、(b)複合タングステン酸化物微粒子の製造方法、の順に説明する。
複合タングステン酸化物微粒子が、一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、I、Ybの内から選択される1種以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.0<z/y≦3.0)で表記される組成を有するとき近赤外線吸収する特性を発揮し、近赤外線吸収微粒子となることから好ましい構成である。
一般式MxWyOz中のM元素、x、y、zの値およびその結晶構造は、近赤外線吸収微粒子の自由電子密度と密接な関係があり、近赤外線吸収特性に大きな影響を及ぼす。
ここで本発明者らは、当該タングステン酸化物へ、M元素(但し、M元素は、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、I、Ybの内から選択される1種以上の元素を添加して複合タングステン酸化物とすることで、当該複合タングステン酸化物中に自由電子が生成され、近赤外線領域に自由電子由来の吸収特性が発現し、波長1000nm付近の近赤外線吸収材料として有効なものとなり、且つ、当該複合タングステン酸化物は化学的に安定な状態を保ち、耐候性に優れた近赤外線吸収材料として有効なものとなることを知見したものである。さらに、M元素は、Cs、Rb、K、Tl,Ba、Cu、Al、Mn、Inが好ましいこと、なかでも、M元素がCs、Rbであると、当該複合タングステン酸化物が六方晶構造を取り易くなり、可視光線を透過し、近赤外線を吸収し遮蔽する特性を発揮する。
x/yの値が0.001以上であれば、十分な量の自由電子が生成され目的とする近赤外線吸収特性を得ることが出来る。そして、M元素の添加量が多いほど、自由電子の供給量が増加し、近赤外線吸収特性も上昇するが、x/yの値が1程度で当該効果も飽和する。また、x/yの値が1以下であれば、複合タングステン微粒子に不純物相が生成されるのを回避できるので好ましい。
一般式MxWyOzで示される複合タングステン微粒子において、z/yの値は2.0<z/y≦3.0であることが好ましく、より好ましくは2.2≦z/y≦3.0であり、さらに好ましくは2.6≦z/y≦3.0、最も好ましくは2.7≦z/y≦3.0である。このz/yの値が2.0を超えていれば、当該複合タングステン酸化物中に目的以外の化合物であるWO2の結晶相が現れるのを回避することが出来ると伴に、材料としての化学的安定性を得ることが出来るので、有効な近赤外線吸収材料として適用できるためである。一方、このz/yの値が3.0以下であれば当該タングステン酸化物中に必要とされる量の自由電子が生成され、効率よい近赤外線吸収材料となる。
当該複合タングステン酸化物微粒子の平均分散粒子径は、800nm以下1nm以上であることが好ましく、さらに好ましくは、200nm以下1nm以上である。複合タングステン酸化物微粒子の平均分散粒子径が、200nm以下であることが好ましいことは、暗色粉分散液中の複合タングステン酸化物微粒子においても同様である。これは、平均分散粒子径が200nm以下であれば、ヘイズを低く抑えることができるからである。平均分散粒子径は1nm以上であることが好ましく、より好ましくは10nm以上である。なお、平均分散粒子径は、動的光散乱法を原理とした大塚電子株式会社製ELS-8000等を用いて測定することができる。
一般式MxWyOzで表記される複合タングステン酸化物微粒子は、タングステン化合物出発原料を不活性ガス雰囲気または還元性ガス雰囲気中で熱処理して得ることができる。
まず、タングステン化合物出発原料について説明する。
タングステン化合物出発原料には、三酸化タングステン粉末、二酸化タングステン粉末、または酸化タングステンの水和物、または、六塩化タングステン粉末、またはタングステン酸アンモニウム粉末、または、六塩化タングステンをアルコール中に溶解させた後乾燥して得られるタングステン酸化物の水和物粉末、または、六塩化タングステンをアルコール中に溶解させたのち水を添加して沈殿させこれを乾燥して得られるタングステン酸化物の水和物粉末、またはタングステン酸アンモニウム水溶液を乾燥して得られるタングステン化合物粉末、金属タングステン粉末、から選ばれたいずれか1種類以上であることが好ましい。
まず、不活性ガス雰囲気中における熱処理条件としては、650℃以上が好ましい。650℃以上で熱処理された出発原料は、十分な近赤外線吸収力を有し熱線遮蔽微粒子として効率が良い。不活性ガスとしてはAr、N2等の不活性ガスを用いることがよい。
また、還元性雰囲気中における熱処理条件としては、出発原料を、まず還元性ガス雰囲気中にて100℃以上650℃以下で熱処理し、次いで不活性ガス雰囲気中にて650℃以上1200℃以下の温度で熱処理することが良い。この時の還元性ガスは、特に限定されないが、H2が好ましい。そして、還元性ガスとしてH2を用いる場合は、還元性雰囲気の組成として、例えば、Ar、N2等の不活性ガスにH2を体積比で0.1%以上を混合することが好ましく、さらに好ましくは0.2%以上混合したものである。H2が体積比で0.1%以上であれば効率よく還元を進めることができる。
水素で還元された出発原料粉末は、マグネリ相を含み、良好な熱線遮蔽特性を示す。従って、この状態でも熱線遮蔽微粒子として使用可能である。
本発明に係る暗色粉分散液は、上述した暗色顔料と複合タングステン酸化物とを適宜な溶媒中に混合・分散したものである。
本実施形態に係る暗色粉分散液に含まれる、暗色顔料と複合タングステン酸化物微粒子との配合割合(暗色顔料質量/複合タングステン酸化物微粒子質量)の値は0.01以上5以下、好ましくは0.05以上1以下、より好ましくは0.1以上0.2以下である。つまり、暗色顔料と複合タングステン酸化物微粒子とを所定比率で組み合わせることで、暗色顔料の黄色味や緑味を、複合タングステン酸化物微粒子の青味で補うことで、彩度の低い深い黒色を実現したものである。
そして、複合タングステン酸化物微粒子は、可視光線よりも近赤外線を吸収して遮蔽するため、本実施形態に係る暗色粉分散体を遮光フィルムに用いたり、着色層付基材に用いると、太陽光線に含まれる近赤外線を吸収し遮蔽して、室内や車内に入り込むことを防ぎ、温度の上昇を抑制することができる。
本発明に係る暗色粉分散液に用いる溶媒は、特に限定されるものではなく、塗布・練り込み条件、塗布・練り込み環境、さらに、無機バインダーや樹脂バインダーを含有させるときは、当該バインダーに合わせて適宜選択すれば良い。例えば、水、エタノ-ル、プロパノ-ル、ブタノ-ル、イソプロピルアルコ-ル、イソブチルアルコ-ル、ジアセトンアルコ-ルなどのアルコ-ル類、メチルエ-テル、エチルエ-テル、プロピルエ-テルなどのエ-テル類、エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン、イソブチルケトンなどのケトン類、トルエンなどの芳香族炭化水素類といった各種の有機溶媒が使用可能である。
さらに、当該溶媒には、樹脂のモノマーやオリゴマーを用いてもよい。さらには、スチレン樹脂などをトルエンに溶解した液状樹脂、プラスチック用の液状の可塑剤を用いてもよい。
また、上述した溶媒の混合物を用いてもよい。
暗色粉分散液中における微粒子の分散安定性を一層向上させるために、各種の分散剤、界面活性剤、カップリング剤などの添加も勿論可能である。また、溶媒に水や水溶性の有機物を用いる場合は、必要に応じて酸やアルカリを添加して、当該分散液のpH調整をしてもよい。
本実施形態に係る水酸基を備えた高分子分散剤としては、水酸基を備えたアクリル樹脂(アクリルポリオールということもある)、水酸基を有するアクリル・スチレン共重合体などが挙げられる。
当該水酸基を備えた高分子分散剤には、アクリルポリオール類や、東亜合成社製のUHシリーズ等の市販品が挙げられる。
本実施形態に係るカルボキシル基を備えた高分子分散剤としては、カルボキシル基をを備えたアクリル樹脂やアクリル・スチレン共重合体等が挙げられる。
カルボキシル基を備えた高分子分散剤には、酸価が1以上の市販のアクリル樹脂や、東亜合成社製のUCシリーズやUFシリーズ等が挙げられる。
暗色粉分散液を製造する際の分散方法は、暗色顔料と複合タングステン酸化物微粒子を分散液中へ均一に分散する方法であればよく、例えば、ビ-ズミル、ボ-ルミル、サンドミル、ペイントシェーカー、超音波ホモジナイザ-など用いることができる。
後述する「(4)暗色粉分散体」や「(5)着色層付基材」において耐湿熱性が求められる場合、当該耐湿熱性の向上の為、それらの製造に用いる暗色粉分散液ヘ、さらに添加剤を添加することも好ましい構成である。
尤も、これら金属不活剤や金属塩の作用については未解明な点も多く、前記以外の作用が働いている可能性も考えられる為、前記作用に限定されるわけではない。
シュウ酸誘導体であるN,N´-ビス[2-[2-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)エチルカルボニルオキシ]エチル]オキサミド、N´-ベンジリデンヒドラジド、オキサリル-ビス(ベンジリデンヒドラジド)等を好ましく挙げることが出来る。
また、金属塩の具体例としては、乳酸塩である乳酸マグネシウム、乳酸アルミニウム、乳酸カルシウム等や、炭酸塩である炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム(炭酸水酸化マグネシウム)、炭酸ストロンチウム等、を好ましく挙げることが出来る。
溶媒は、特に限定されるものではなく、暗色粉分散系や、暗色粉分散体、着色層付基材に合わせて適宜選択すれば良い。例えば、水、エタノ-ル、プロパノ-ル、ブタノ-ル、イソプロピルアルコ-ル、イソブチルアルコ-ル、ジアセトンアルコ-ルなどのアルコ-ル類、メチルエ-テル、エチルエ-テル、プロピルエ-テルなどのエ-テル類、エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、トルエンなどの芳香族炭化水素類といった各種の有機溶媒が使用可能である。さらに、当該溶媒として、樹脂のモノマーやオリゴマーを用いてもよい。さらには、スチレン樹脂などをトルエンに溶解した液状樹脂、プラスチック用の液状の可塑剤を用いてもよい。
また、上述した溶媒の混合物を用いてもよい。
調製された粉砕液を暗色粉分散液に添加する際は、例えば、超音波処理を5分間~10分間行うことで、粉砕液を暗色粉分散液ヘ均一に分散させることが好ましい。
本発明に係る暗色粉分散体は、上述した暗色顔料と複合タングステン酸化物微粒子とを適宜な固体媒体中に分散して得られる。
具体的には、暗色粉分散液に固体媒体を構成する樹脂を添加し、暗色粉分散体形成用分散液(塗工液)を得る。そして、適宜な基材表面へ、当該暗色粉分散体形成用分散液をコーティングし、溶媒を蒸発等の所定の方法で除去して樹脂を硬化させれば、基材表面に暗色粉分散体が着色層として設けられた着色層付基材が得られる。
本発明に係る暗色粉分散体を着色層として、透明ガラス基材や透明フィルム基材といった透明基材表面に設ければ、着色層付基材とすることができる。透明ガラス基材には、ソーダライムガラスなどの板ガラス、透明フィルム基材には、PETフィルムのような樹脂フィルムを用いることができる。
もちろん、2枚以上の透明基材で暗色粉分散体を挟んで、着色層付基材としてもよい。
まず、評価方法について、(1)可視光透過率と近赤外透過率、(2)L*、a*、b*表色系の特性と彩度c*、(3)分散平均粒子径、の順に説明する。
試料の可視光透過率と近赤外透過率とは、分光光度計(日立製作所製UH4150)で測定した。そして、可視光透過率と近赤外透過率はISO9050に準拠して波長750nmから1500nmにおいて測定した。
試料のL*、a*、b*表色系の特性は、分光光度計(日立製作所製UH4150)で測定した。彩度c*は次式2で算出した。
彩度c*=(a*2+b*2)1/2・・・・式2
なお、L*、a*、b*表色系の特性は、次の手順で測定した。
試料の分光透過率(透過率の波長依存性)を測定する。
測定された分光透過率をJIS Z 8701 1999に基づいて、D65光源・10°の視野でのX10、Y10、Z10の色味値に変換する。
変換されたX10、Y10、Z10の色味値をJIS Z 8781-4 2013に基づいて、L*、a*、b*に変換する。
平均分散粒子径は、動的光散乱法を原理とした大塚電子株式会社製ELS-8000等を用いて測定した。
(a)暗色粉分散液の調製
暗色粉分散液として、Cu-Fe-Mn複合酸化物顔料の分散液の調製について説明する。
Cu-Fe-Mn複合酸化物顔料(大日精化製ダイピロキサイドTMブラック#3550)100質量部と、溶媒としてMIBK800質量部と、分散剤a(アミンを含有する基とアクリル主鎖を有する分散剤、アミン価42mgKOH/g)100質量部とを容器に入れ、0.3mmジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーにて20時間粉砕した。そして、平均分散粒子径100nmのCu-Fe-Mn複合酸化物顔料の分散液を得た。
Cu-Cr複合酸化物顔料(大日精化製ダイピロキサイドブラック#9510)100質量部と、溶媒としてMIBK800質量部と、分散剤a100質量部とを容器に入れ、0.3mmジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーにて20時間粉砕した。そして、平均分散粒子径150nmのCu-Fe-Mn複合酸化物顔料の分散液を得た。
複合タングステン酸化物微粒子分散液として、Cs0.33WO3粒子分散液の調製について説明する。
Cs0.33WO3粒子(住友金属鉱山製)100質量部と、溶媒としてMIBK300質量部と、分散剤a100質量部とを容器に入れ、0.3mmジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーにて20時間粉砕した。そして、平均分散粒子径30nmのCs0.33WO3粒子分散液を得た。
Cu-Fe-Mn複合酸化物顔料の分散液100質量部とCs0.33WO3粒子分散液100質量部とを混合して、実施例1~3に係る暗色粉分散液を調製した。
Cu-Fe-Mn複合酸化物顔料の分散液20質量部とCs0.33WO3粒子分散液100質量部とを混合して、実施例4~7に係る暗色粉分散液を調製した。
Cu-Fe-Mn複合酸化物顔料の分散液10質量部とCs0.33WO3粒子分散液100質量部とを混合して、実施例8、10~12に係る暗色粉分散液を調製した。
Cu-Cr複合酸化物顔料の分散液20質量部とCs0.33WO3粒子分散液100質量部とを混合して、実施例9に係る暗色粉分散液を調製した。
Cs0.33WO3粒子分散液100質量部のみをもって、比較例1~5に係る暗色粉分散液とした。
Cu-Fe-Mn複合酸化物顔料の分散液100質量部のみをもって、比較例6~8に係る暗色粉分散液とした。
尚、当該乳酸マグネシウム(関東化学製)は3水和物であったので、水和水込みの乳酸マグネシウムとしての添加量は800質量部となった。
以上、実施例1~12、比較例1~8に係る暗色粉分散液の配合比率を表1に記載する。
実施例1~12、比較例1~8に係る暗色粉分散体形成用分散液(塗工液)を、それぞれ厚さ50μmのPETフィルムにNo.4~No.10バーコータで塗布して塗布膜を得た。得られた塗布膜から溶媒を蒸発乾燥させた後(70℃、1分間加熱)、高圧水銀ランプを用いて紫外線照射して塗布膜を硬化させてPETフィルムの表面に暗色粉分散体を設けた。なお、当該設けられた暗色粉分散体は着色層であり、PETフィルムの表面に着色層を形成し試料フィルムとしたので、実施例1~12、比較例1~8に係る着色層付基材を調製したこととなる。
調製された実施例1~12、比較例1~8に係る着色層付基材について、彩度c*、可視光透過率と近赤外透過率とを測定した。その結果を表1に示す。尚、彩度、可視光透過率、近赤外透過率の測定においては、基材のPETフィルムを含めた値を測定した。
実施例8、10~12に係る着色層付基材(試料フィルム)について、温度85℃、相対湿度90%の環境下における透過スペクトルの変化を測定し、その後、当該透過スペクトルから計算される波長1000nmにおける吸光度の経時変化を評価した。
まず作製した試料フィルムの波長200nmから2600nmの範囲における透過スペクトルを測定し、波長1000nmにおける透過率を求めた。その後、温度85℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽に試料フィルムを投入した。
当該試料フィルムの投入後、所定日数が経過したら試料フィルムを取り出し、上述の波長範囲において透過スペクトルを測定し、波長1000nmにおける透過率を求めた。その後、試料フィルムを上述の温湿条件の恒温恒湿槽に再び投入し、所定日数が経過したら再び試料フィルムを取り出し、波長1000nmにおける透過率を求めることを繰り返した。
そして、当該波長1000nmにおける透過率を、次式3を用いて吸光度に換算し、試験開始時からの吸光度の変化率を求めた。
実施例8、10~12に係る着色層付基材の、試験開始時から所定の経過日数後の、試料フィルムにおける吸光度の変化率の値を表2に示し、試験開始時から所定の経過日数後の、試料フィルムにおける吸光度の変化率の状態を図1に示す。
尚、図1において、縦軸は、波長1000nmにおける吸光度の変化率であり、横軸は、経過日数である。
そして、実施例8係る試料フィルムのデータは短破線、実施例10係る試料フィルムのデータは実線、実施例11係る試料フィルムのデータは一点鎖線、実施例12係る試料フィルムのデータは長破線で示した。
吸光度=-log(透過率)・・・・式3
可視光透過率40%を目論んだ配合である実施例1、比較例3、比較例6とを比べると、可視光透過率の実測値は、いずれも40%程度である。一方、彩度c*は、実施例1が低いことが判明した。
同様に、可視光透過率30%を目論んだ配合である実施例3、比較例2、比較例7とを比べると、可視光透過率の実測値は、いずれも30%程度である。一方、彩度c*は、実施例3が低いことが判明した。
同様に、可視光透過率20%を目論んだ配合である実施例7、比較例8とを比べると、可視光透過率の実測値は、いずれも20%程度である。一方、彩度c*は、実施例7が低いことが判明した。
同様に、可視光透過率65%を目論んだ配合である実施例4、比較例5とを比べると、可視光透過率の実測値は、いずれも65%程度である。一方、彩度c*は、実施例4が低いことが判明した。
実施例8と実施例10とを比較すると、吸光度の経時変化率は実施例10の方が小さいことが判明した。これは添加剤である炭酸塩中の炭酸イオンが、着色層付基材中の金属イオンを捕捉することにより、Cs0.33WO3粒子の劣化を抑制したためと推定される。
同様に、実施例8と実施例11とを比較すると、吸光度の経時変化率は実施例11の方が小さいことが判明した。これは添加剤である乳酸マグネシウム中の乳酸イオンが、着色層付基材中の金属イオンを捕捉することにより、Cs0.33WO3粒子の劣化を抑制したためと推定される。
同様に、実施例8と実施例12とを比較すると、吸光度の経時変化率は実施例12の方が小さいことが判明した。これは添加剤のサリチル酸誘導体が、着色層付基材中の金属イオンを捕捉することにより、Cs0.33WO3粒子の劣化を抑制したためと推定される。
以上より、暗色顔料として、Cu-Fe-Mn複合酸化物顔料、複合タングステン酸化物微粒子と、媒体である樹脂等との混合物である暗色粉分散体に対し、サリチル酸誘導体や金属塩を添加することにより、当該暗色粉分散体の吸光度の変化を抑制、つまり耐湿熱性を向上させることが出来ることが判明した。
Claims (12)
- 暗色顔料と複合タングステン酸化物粒子と溶媒とを含み、
前記暗色顔料と前記複合タングステン酸化物粒子との質量比(暗色顔料質量/複合タングステン酸化物微粒子質量)の値が0.01以上5以下であり、
前記暗色顔料が、Cu-Fe-Mn複合酸化物顔料、Cu-Cr複合酸化物顔料、Cu-Cr-Mn複合酸化物顔料、Cu-Cr-Mn-Ni複合酸化物顔料、Cu-Cr-Fe複合酸化物顔料、Fe-Cr複合酸化物顔料、Co-Cr-Fe複合酸化物顔料から選択される1種類以上の暗色顔料であり、
前記複合タングステン酸化物粒子が、一般式MxWyOz(但し、Mは、Cs、Rb、K、Tl、Naの内から選択される1種以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.0<z/y≦3.0)で表記される複合タングステン酸化物粒子であることを特徴とする暗色粉分散液。 - 前記複合タングステン酸化物微粒子が六方晶の結晶構造を含むことを特徴とする請求項1に記載の暗色粉分散液。
- 前記暗色顔料が、平均分散粒子径200nm以下の粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の暗色粉分散液。
- 前記暗色粉分散液が、金属不活剤または金属塩から選択される1種類以上を含む請求項1から3のいずれかに記載の暗色粉分散液。
- 前記溶媒が、水、有機溶媒、油脂、液状樹脂、プラスチック用の液状の可塑剤、または、これらの混合物から選択されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の暗色粉分散液。
- 暗色顔料と複合タングステン酸化物粒子と固体媒体とを含み、
前記暗色顔料と前記複合タングステン酸化物粒子との質量比(暗色顔料質量/複合タングステン酸化物微粒子質量)の値が0.01以上5以下であり、
前記暗色顔料が、Cu-Fe-Mn複合酸化物顔料、Cu-Cr複合酸化物顔料、Cu-Cr-Mn複合酸化物顔料、Cu-Cr-Mn-Ni複合酸化物顔料、Cu-Cr-Fe複合酸化物顔料、Fe-Cr複合酸化物顔料、Co-Cr-Fe複合酸化物顔料から選択される1種類以上の暗色顔料であり、
前記複合タングステン酸化物粒子が、一般式MxWyOz(但し、Mは、Cs、Rb、K、Tl、Naの内から選択される1種以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.0<z/y≦3.0)で表記される複合タングステン酸化物粒子であることを特徴とする暗色粉分散体。 - 前記複合タングステン酸化物微粒子が六方晶の結晶構造を含むことを特徴とする請求項6に記載の暗色粉分散体。
- 前記暗色顔料が、平均分散粒子径200nm以下の粒子であることを特徴とする請求項6または7に記載の暗色粉分散体。
- 前記分散体が、金属不活剤または金属塩から選択される1種類以上を含む請求項6から8のいずれかに記載の暗色粉分散体。
- 前記固体媒体が樹脂であることを特徴とする請求項6から9のいずれかに記載の暗色粉分散体。
- 透明基材の少なくとも一方の表面に着色層が設けられ、前記着色層が請求項6から10のいずれかに記載の暗色粉分散体であることを特徴とする着色層付基材。
- 前記透明基材が、透明フィルム基材または透明ガラス基材であることを特徴とする請求項11に記載の着色層付基材。
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