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JP7419922B2 - 多孔質フィルム及びその製造方法 - Google Patents
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JP7419922B2 - 多孔質フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多孔質フィルム及びその製造方法に関する。
良好な通気性を有する材料として多孔質フィルムがあるが、特にポリオレフィン系多孔質フィルムは、電池用セパレータ、電解コンデンサー、各種フィルター、防水透湿衣料、ろ過膜等の各種用途に用いられている。
従来、このようなポリオレフィン系多孔質フィルムは、溶融押出からの冷却固化工程において、ポリオレフィン系樹脂の結晶化を制御し、結晶化したオレフィン系樹脂の膜状物を延伸することで多孔化させる方法、異種固体がミクロ分散しているポリオレフィン成形体に延伸等の歪を与えることにより異種固体間に空孔を生じさせ多孔化する方法、あるいは異種ポリマー等の微粉体やパラフィン類、ワックス等をポリオレフィンにミクロ分散させた後にこれらを溶剤抽出する方法等で製造されている。
特許文献1及び2には、ポリプロピレンをマトリクスとし、マトリクスと部分相溶性を示すスチレン系熱可塑性エラストマーをドメインとして配合し、Tダイから溶融押出してキャストロールで溶融固化することで得たシート状物を二軸延伸することで多孔質フィルムを得る手法が示されている。これらは粉落ちがなく、突刺強度の高いフィルムが得られている。また、これらはスチレン系熱可塑性エラストマーの種類によって多孔構造の調整が可能である。例えばポリプロピレンとの部分相溶性が低いスチレン系熱可塑性エラストマーや、粘度の低いスチレン系熱可塑性エラストマーをドメインとして使うほどドメイン径が大きくなり、多孔構造の孔径を大きくすることができる。
特開2016-141786号公報 特開2017-036408号公報
しかしながら、透気性を向上させようとしてスチレン系熱可塑性エラストマーのドメイン径を大きくすると、Tダイから溶融押出させた樹脂がキャストロール上に密着しにくくなり、これを解消しようとするとフィルム外観の悪化が生じ、生産性に問題が起きることが分かった。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、透気性に優れると共に外観に優れた多孔質フィルムを提供することである。また、本発明が解決しようとする別の課題は、前記に加えて、スチレン系熱可塑性エラストマーの脱離によるキャストロールの汚染がなく、取扱い性に優れた多孔質フィルムを提供することである。
本発明者らは、上記課題を鑑み、ポリオレフィン系樹脂をマトリックス成分とし、スチレン系熱可塑性エラストマーをドメイン成分とする海島構造を有する多孔質フィルムの製造方法の改善について鋭意検討を行ったところ、シート両端部のみをキャストロールに密着させ、シート中央部はキャストロールと密着させない工程を具備する製法により、ドメイン成分として特にマトリクス成分との相溶性の乏しいスチレン系熱可塑性エラストマー樹脂を用いた場合であっても、Tダイから溶融押出をしてキャストロール上へ導き、均一な外観の延伸前シートを得る手法を見出し、外観の良好な多孔質フィルムを得ることに成功し、本発明を完成するに至った。
本発明は以下に関する。
<1> ポリオレフィン系樹脂及びスチレン系熱可塑性エラストマーを含有し、
前記スチレン系熱可塑性エラストマーが前記ポリオレフィン系樹脂のマトリクス中にドメインを形成する海島構造を有し、
フィルムの流れ(MD)方向の厚み変動率が平均厚みの4.5%以下である、多孔質フィルム。
<2> 前記多孔質フィルムが、層(A)及び層(B)の少なくとも2層を有し、
前記層(A)及び(B)は、いずれもポリオレフィン系樹脂及びスチレン系熱可塑性エラストマーを含有し、
前記層(A)中の前記スチレン系熱可塑性エラストマーの含有量が20質量%以下であり、かつ、前記層(B)中のスチレン系熱可塑性エラストマーの含有量が25質量%以上である、上記<1>に記載の多孔質フィルム。
<3> 前記スチレン系熱可塑性エラストマーは、主鎖の両末端がスチレン基である、上記<1>又は<2>に記載の多孔質フィルム。
<4> 前記ポリオレフィン系樹脂は、温度230℃、2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が0.5~18g/10分である、上記<1>~<3>のいずれか1つに記載の多孔質フィルム。
<5> 厚みが200μm以下である、上記<1>~<4>のいずれか1つに記載の多孔質フィルム。
<6> ポリオレフィン系樹脂及びスチレン系熱可塑性エラストマーを含有する樹脂組成物を溶融押出成形して延伸前シートを得る工程(I)と、前記延伸前シートを延伸して多孔質フィルムを得る工程(II)とを有し、
前記工程(I)において、前記樹脂組成物をシート状に溶融押出し、キャストロールに密着させる際に、前記シートの幅方向の両端部のみをキャストロールに密着させ、前記シートの幅方向の中央部はキャストロールと密着させない工程(I-a)を含む、多孔質フィルムの製造方法。
<7> 前記工程(I-a)において、前記シート両端部のみをタッチローラーでキャストロールに密着させる、上記<6>に記載の多孔質フィルムの製造方法。
<8> 前記キャストロールの速度が1.5m/分以上である、上記<6>又は<7>に記載の多孔質フィルムの製造方法。
本発明の多孔質フィルムは、前記ポリオレフィン系樹脂のマトリクス中に前記スチレン系熱可塑性エラストマーがドメインを形成する海島構造を有しており、フィルムの流れ(MD)方向の厚み変動率が平均厚みの4.5%以下であり、透気性に優れると共に、厚み均一性に優れ外観に優れる。
また、本発明の多孔質フィルムの製造方法によれば、シート両端部のみをキャストロールに密着させ、シート中央部はキャストロールと密着させない工程を具備することで、透気性に優れると共に外観に優れた多孔質フィルムを得ることができる。
図1は、本発明の製造方法において、シートの両端部のみをキャストロールに密着させる工程を示す説明図である。 図2は、図1においてタッチローラーによりシート両端部をキャストロールに密着させる工程を示す拡大断面図である。
以下、本発明の実施形態の一例としての多孔質フィルム及びその製造方法について詳細に説明するが、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
<多孔質フィルム>
本発明の多孔質フィルム(以下、「本フィルム」とも称する。)は、少なくともポリオレフィン系樹脂及びスチレン系熱可塑性エラストマーを含有する樹脂組成物(以下「本組成物」とも称する)から形成されるものであり、前記スチレン系熱可塑性エラストマーが前記ポリオレフィン系樹脂のマトリクス中にドメインを形成する海島構造を有し、フィルムの流れ(MD)方向の厚み変動率が平均厚みの4.5%以下である。
本発明者らは、前記スチレン系熱可塑性エラストマーが前記ポリオレフィン系樹脂のマトリクス中にドメインを形成する際、透気性を向上させようとしてスチレン系熱可塑性エラストマーのドメイン径を大きくすると、Tダイから溶融押出した樹脂のキャストロールへの密着性が悪く、フィルムの流れ(MD)方向の厚み変動率が悪化し、延伸多孔化に耐えられない外観不良を引き起こすという課題があることを見出した。また、本発明者らは、前記キャストロールへの密着性改善のために延伸前シート全幅を密着させようとすると、MD方向に長い形状の空気を噛み込み、更なる外観不良を引き起こすという課題があることも見出した。
なお、外観不良が改善された本フィルムを得るためには、延伸前シートを得る工程において、本組成物をシート状に溶融押出してキャストロールに密着させる際、前記シート両端部のみをキャストロールに密着させ、前記シート中央部はキャストロールと密着させない手法を採用することがとりわけ好ましい。
「延伸前シートの幅方向の両端部」とは、延伸前シートの両端からそれぞれ20cm以内の範囲に相当する部分であることが好ましく、延伸前シートの両端からそれぞれ10cm以内の範囲に相当する部分であることがより好ましい。前記「延伸前シートの幅方向の両端部」が延伸前シートの両端からそれぞれ20cm以内であれば、製品として採取できるフィルムの幅を広くすることができる。
なお、「延伸前シートの幅方向の中央部」とは、延伸前シートの幅方向の両端部以外の範囲のことを指す。すなわち、延伸前シートの両端からそれぞれ20cmを超える範囲に相当する部分であることが好ましく、延伸前シートの両端からそれぞれ10cmを超える範囲に相当する部分であることがより好ましい。
本シートの流れ(MD)方向の厚み変動率は、平均厚みの4.5%以下であり、好ましくは4.0%以下である。なお、前記厚み変動率は、後述する実施例に記載の方法に準拠して得られる値である。
次に、本組成物を構成する成分について詳細に説明する。
(ポリオレフィン系樹脂)
ポリオレフィン系樹脂としては、例えばホモポリプロピレン(プロピレン単独重合体)、又はプロピレンとエチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン若しくは1-デセン等のα-オレフィンとのランダム共重合体又はブロック共重合体等が挙げられる。
また、ポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)等が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂のアイソタクチックペンタッド分率は、好ましくは80~99モル%、より好ましくは83~98モル%、更に好ましくは85~97モル%である。アイソタクチックペンタッド分率は立体規則性を示し、アイソタクチックペンタッド分率が低すぎると、延伸により十分な多孔化が達成できないおそれがある。一方、アイソタクチックペンタッド分率の上限については現時点において工業的に得られる上限値で規定しているが、将来的に工業レベルで更に規則性の高い樹脂が開発された場合においてはこの限りではない。
アイソタクチックペンタッド分率は、任意の連続する5つのプロピレン単位で構成される炭素-炭素結合による主鎖に対して側鎖である5つのメチル基がいずれも同方向に位置する立体構造あるいはその割合を意味する。メチル基領域のシグナルの帰属は、A.Zambelli et al.,Macromol.,8,687(1975)に準拠する。
ポリオレフィン系樹脂のMw/Mnは、好ましくは1.5~10.0、より好ましくは2.0~8.0、更に好ましくは2.0~6.0である。Mw/Mnは分子量分布を示すパラメータであり、Mw/Mnが小さいほど分子量分布が狭いことを意味する。Mw/Mnが1.5以上とすることで、十分な押出成形性が得られ、工業的に大量生産が可能である。一方、Mw/Mnが10.0以下とすることで、十分な機械的強度を確保することができる。
Mw/MnはGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって測定される。
ポリオレフィン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、特に制限されるものではないが、好ましくは0.5~18g/10分、より好ましくは1.0~15g/10分、更に好ましくは1.5~12g/10分である。MFRを0.5g/10分以上とすることで、成形加工時において十分な溶融粘度を有し、高い生産性を確保することができる。また、上記の範囲内で粘度の低い、すなわちMFRの高いポリプロピレン系樹脂を用いる方が厚み変動率を小さくすることもできる。一方、MFRを18g/10分以下とすることで、強度を十分に有することができる。
なお、MFRはJIS K7210-1(2014年)に準拠して、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定している。
本発明における多孔質フィルムに用いられるポリオレフィン系樹脂は、ホモポリプロピレン系樹脂を用いることが好ましい。ホモポリプロピレン系樹脂を選択することで、多孔質フィルムの機械的強度を十分に確保できる。
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、商品名「ノバテックPP」、「WINTEC」(日本ポリプロ株式会社製);「ノティオ」、「タフマーXR」(三井化学株式会社製);「ゼラス」、「サーモラン」(三菱ケミカル株式会社製);「住友ノーブレン」、「タフセレン」(住友化学株式会社製);「プライムPP」、「プライムTPO」(株式会社プライムポリマー製);「Adflex」、「Adsyl」、「HMS-PP(PF814)」(サンアロマー株式会社製);「バーシファイ」、「インスパイア」(ダウ・ケミカル社製)等の市販されている商品を使用できる。
<スチレン系熱可塑性エラストマー>
本発明においては、ポリオレフィン系樹脂にスチレン系熱可塑性エラストマーを添加し、前記ポリオレフィン系樹脂のマトリクス中に前記スチレン系熱可塑性エラストマーがドメインを形成する海島構造を形成することにより、効率的に微細で均一性の高い多孔構造を有する多孔質フィルムを得ることができ、空孔の形状や孔径を制御しやすくなる。
スチレン系熱可塑性エラストマーとは、スチレン成分を基材とした熱可塑性エラストマーの1種で、軟質成分(例えばブタジエン成分)と硬質成分(例えばスチレン成分)との連続体からなる共重合体であり、具体的には、その共重合体の炭素の二重結合を単結合にするため水素添加されたものがある。
また、前記共重合体の種類としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体が挙げられる。
また、ブロック共重合体としては、線状ブロック構造や放射状枝分れブロック構造等が挙げられ、本発明においてはいずれの構造のものを用いてもよいが、マトリクスとなるポリオレフィン系樹脂の中で明確なドメインを形成させるためには、ブロック共重合体又はグラフト共重合体が好ましい。
スチレン系熱可塑性エラストマーの中でも、温度230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR)が1g/10分以下のスチレン系熱可塑性エラストマーが特に好ましい。
ポリオレフィン系樹脂組成物中に分散した前記スチレン系熱可塑性エラストマーは、樹脂との粘度差によって、その形状が変化するが、前記MFR範囲内のスチレン系熱可塑性エラストマーを使用すると、その形状が球状になりやすい。
球状分散したドメインは、アスペクト比が大きなドメインとは異なり、その後の延伸工程によって得られる多孔構造の均一性が高くなりやすく、物性安定性に優れるので好ましい。
さらに、前記MFR範囲内のスチレン系熱可塑性エラストマーを使用すれば、延伸工程時において、高い弾性率を有するマトリックスと低い弾性率のドメイン界面部分に応力が集中しやすくなるため、開孔起点が生じやすく、多孔化しやすいという利点がある。
また、スチレン系熱可塑性エラストマーのスチレン含有量は、好ましくは10~40質量%、より好ましくは10~35質量%である。スチレン系熱可塑性エラストマー中のスチレン含有量が10質量%以上であれば、効果的にポリオレフィン系樹脂中にドメインを形成することができ、スチレン含有量が40質量%以下であれば過度に大きなドメイン形成を抑制することができる。
前記スチレン系熱可塑性エラストマーの具体的な種類としては、特に制限されるものではないが、例えばスチレン-ブタジエンブロック共重合体(SBR)、水素添加スチレン-ブタジエンブロック共重合体(SEB)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-ブタジエン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SBBS)、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-イソプレンブロック共重合体(SIR)、スチレン-エチレン-プロピレンブロック共重合体(SEP)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン-エチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEEPS)等が挙げられる。
また、効率的に本組成物中にスチレン系熱可塑性エラストマーを分散させるためには、前記スチレン系熱可塑性エラストマーの中でも、ポリオレフィン系樹脂(A)との相溶性が高い、エチレン成分(水添ブタジエン成分)、エチレン・プロピレン成分(水添イソプレン成分)、ブチレン成分が含有されているものが好ましく、中でもSEP、SEPS、SEBSがより好ましく、更には両末端がスチレン重合体となるSEPS、SEBSが特に好ましい。
(本組成物中の他の成分)
本組成物中には、その性質を損なわない程度に添加剤、例えば結晶核剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤、帯電防止剤、加水分解防止剤、滑剤、難燃剤等の各種添加剤を適宜配合してもよい。また、その性質を損なわない程度に他の樹脂を含んでもよい。
さらに、本発明の樹脂組成物には、本発明を損なわない範囲で必要に応じてコロナ処理、プラズマ処理、印刷、コーティング、蒸着等の表面加工、更にはミシン目加工等を施すことができ、用途に応じて本発明の多孔質フィルムを数枚重ねて使用することも可能である。
前記ポリオレフィン系樹脂とスチレン系熱可塑性エラストマーとの間で延伸により多孔化させる際に、ポリオレフィン系樹脂の剛性を高めることが空隙形成に有効であると考えられることから、本組成物中に結晶核剤が含まれていてもよい。
例えば前記結晶核剤としては、ジベンジリデンソルビトール(新日本理化株式会社製、商品名「ゲルオールMD」)、「アデカスタブNA-11」、「アデカスタブNA-27」、「アデカスタブNA-902」、「アデカスタブNA-21」、「アデカスタブNA-71」(左記5種ともに株式会社ADEKA製)、ステアリン酸マグネシウムとシリカの混合物を含むマスターバッチ(大日精化工業株式会社製、商品名「ハイサイクルマスター」)、2-ヒドロキシ-2-オキソ-4,6,10,12-テトラ-tert-ブチル-1,3,2-ジベンゾ[d,g]ペルヒドロジオキサホスファロシンのナトリウム塩を含むマスターバッチ(株式会社ADEKA製、商品名「アデカスタブM-701」)等が利用できる。
その他、α晶核剤としては、無機系核剤としてシリカ、タルク、炭酸カルシウムが挙げられる。有機系核剤(カルボン酸金属塩タイプ)としてはステアリン酸カルシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸アルミニウム塩、アルミニウムジベンゾエート、カリウムベンゾエート、リチウムベンゾエート、ソジウムβ・ナフタレートソジウムシクロヘキシサンカルボキシレート、ピメリン酸金属塩、ロジン酸金属塩等が挙げられる。また、ベンジリデンソルビトール及びその誘導体タイプ、リン酸エステル金属塩もある。さらには、ポリマータイプとしては、ポリ-3-メチルブテン-1、ポリビニルシクロアルカン、ポリビニルトリアルキルシラン、EPR、ケブラー繊維、リン酸2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ナトリウム等が挙げられる。
本組成物中におけるα晶核剤の含有量の下限は、好ましくは0.001質量%、より好ましくは0.005質量%、更に好ましくは0.01質量%である。0.001質量%未満の場合、α晶の形成が不十分となる可能性がある。α晶の含有量の上限は、好ましくは10質量%、より好ましくは5質量%、更に好ましくは2質量%である。10質量%を超える場合、製膜工程や二次加工工程等でのα晶核剤のブリードやプレートアウト、粉落ち等が生じるおそれがある上にコストとしても高くなる可能性がある。
(本フィルムの構成)
本フィルムは、単層構成であっても多層構成であってもよいが、粉落ち等によるキャストロールの汚染防止の観点から、ポリオレフィン系樹脂及びスチレン系熱可塑性エラストマーを含有する層(A)及び層(B)の少なくとも2層を有する多層構成であることがとりわけ好ましい。
より具体的には、ポリオレフィン系樹脂及びスチレン系熱可塑性エラストマー含有する層を少なくとも2層有する構成とすることが好ましく、中でも少なくとも前記層を3層有する構成とすることがより好ましい。
また、前記ポリオレフィン系樹脂及びスチレン系熱可塑性エラストマー含有する一方の層(A)中の前記スチレン系熱可塑性エラストマーの含有量が20質量%以下であり、かつ、前記ポリオレフィン系樹脂及びスチレン系熱可塑性ラストマー含有する他方の層(B)中の前記スチレン系熱可塑性エラストマーの含有量が25質量%以上であることが好ましい。かかる構成とすることで製造工程においてロール等の設備がスチレン系熱可塑性エラストマーにより汚染されにくい利点がある。
層(A)を構成する組成物の組成比において、ポリオレフィン系樹脂が80~95質量%であってスチレン系熱可塑性エラストマーが5~20質量%であることが好ましく、ポリオレフィン系樹脂が80~90質量%であってスチレン系熱可塑性エラストマーが10~20質量%であることがより好ましい。
層(A)を構成する組成物中におけるポリオレフィン系樹脂の含有量が95質量%以下、かつ、スチレン系熱可塑性エラストマーの含有量が5質量%以上であることによって、延伸による多孔化が生じやすくなる。一方、前記組成物中のポリオレフィン系樹脂が80質量%以上、かつ、スチレン系熱可塑性エラストマーの含有量が20質量%以下であることによって、前記組成物中のスチレン系熱可塑性エラストマーによるキャストロールの汚染を防ぎやすくなる。
層(B)を構成する組成物の組成比において、ポリオレフィン系樹脂が55~75質量%であってスチレン系熱可塑性エラストマーが25~45質量%であることが好ましく、ポリオレフィン系樹脂が60~75質量%であり、スチレン系熱可塑性エラストマーが25~40質量%であることがより好ましい。
層(B)を構成する組成物中におけるポリオレフィン系樹脂の含有量が75質量%以下、かつ、スチレン系熱可塑性エラストマーの含有量が25質量%以上であることによって、延伸による多孔化が生じやすくなり、十分な空気層を確保することができる。一方、前記組成物中のポリオレフィン系樹脂が55質量%以上、かつ、スチレン系熱可塑性エラストマーの含有量が45質量%以下であることによって、前記組成物中のスチレン系熱可塑性エラストマー同士が凝集をしにくくなり、延伸による多孔化が生じやすくなる。
さらに、同様の観点から、前記ポリオレフィン系樹脂及びスチレン系熱可塑性エラストマー含有する表裏層及び中間層を有し、前記表裏層中の前記スチレン系熱可塑性エラストマーの含有量が20質量%以下であり、前記中間層中の前記スチレン系熱可塑性エラストマーの含有量が25質量%以上である構成を有することが最も好ましい。
本フィルムの厚みは特に制限されるものではないが、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下、更に好ましくは100μm以下であり、そして、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、更に好ましくは20μm以上である。厚みが10μm以上であれば、フィルムとして十分な強度を保持することができる。
<多孔質フィルムの製造方法>
本発明の多孔質フィルムの製造方法(以下、「本製法」とも称する。)は、ポリオレフィン系樹脂及びスチレン系熱可塑性エラストマーを含有する樹脂組成物を溶融押出成形して延伸前シートを得る工程(I)と、前記延伸前シートを延伸して多孔質フィルムを得る工程(II)とを有する。
<工程(I)>
まず、工程(I)において、ポリオレフィン系樹脂の融点以上、分解温度未満の温度条件下で押出機等を用いて溶融・混錬した後、成形することによって、延伸前の無孔シートを得る。前記無孔シートの成形方法としては、例えばTダイ成形が挙げられる。
また、混練物を冷却しながらシートに成形する際、キャストロールの温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上、更に好ましくは120℃以上である。キャストロールを100℃以上とすることで、ポリオレフィン系樹脂の結晶化が促進され、延伸による多孔化が促進される。したがって、キャストロールの温度を100℃以上とし、高い結晶化度の延伸前シートを得ることが好ましい。
前記キャストロールの速度は、好ましくは1.2m/分以上、より好ましくは1.5m/分以上、更に好ましくは2.0m/分以上である。キャストロールの速度を1.2m/分以上とすることで生産性を向上できる。
<工程(I-a)>
また、本製法では、前記工程(I)において、前記樹脂組成物をシート状に溶融押出し、キャストロールに密着させる際に、前記シートの幅方向の両端部のみをキャストロールに密着させ、前記シートの幅方向の中央部はキャストロールと密着させない工程(I-a)を含む。
シートの両端部のみをキャストロールに密着させ、前記シートの幅方向の中央部はキャストロールと密着させないことで、キャストロールとシート状樹脂との間に、流れ(MD)方向に長い形状の空気を噛む虞がなく、厚み均一性が高く、かつ、外観に極めて優れた多孔質フィルムを製造することができる。
工程(I-a)において、シートの両端部のみをキャストロールに密着させる手段は特に限定されないが、溶融樹脂をキャストロールに押し付ける作用の強さの観点から、タッチローラーを用いることが好ましい。
工程(I-a)について、図1及び2を参照して更に詳細に説明する。図1は、本発明の製造方法において、シートの両端部のみをキャストロールに密着させる工程を示す説明図である。図2は、図1においてタッチローラーによりシート両端部をキャストロールに密着させる工程を示す拡大断面図である。
工程(I-a)では、Tダイ1のリップ2から押し出された溶融樹脂シート10をキャストロール3に密着させる。その際、タッチローラー4によりシート10の幅方向の両端部11及び12のみをキャストロール3に密着させる。シートの幅方向の中央部13はキャストロール3とは密着させない。タッチローラー4によりシート10の幅方向の両端部11及び12のみをキャストロール3に密着させることで、シート10がキャストロール3に密着して十分なシート幅を確保することができ、厚み均一性に優れ外観に優れた多孔質フィルムを得ることができる。そして、シートの幅方向の中央部13がキャストロール3と密着しないことで、空気の噛み込みやキャストロールを汚すことがなく、生産性良く多孔質フィルムを得ることができる。
<工程(II)>
次に、得られた延伸前シートを一軸延伸又は二軸延伸する。一軸延伸は、縦一軸延伸であってもよいし、横一軸延伸であってもよい。二軸延伸は、同時二軸延伸であってもよいし、逐次二軸延伸であってもよい。
透気性を有する本フィルムを作製するには、各延伸工程で延伸条件を選択すればよく、多孔構造を制御しやすい逐次二軸延伸を採用することがより好ましい。
なお、シートの流れ方向(MD)への延伸を「縦延伸」といい、流れ方向に対して垂直方向(TD)への延伸を「横延伸」という。
逐次二軸延伸を用いる場合、多孔構造の制御が比較的容易であり、機械強度や収縮率等の他の諸物性とのバランスがとりやすい。
また、延伸温度は、使用する樹脂組成物の組成、結晶融解ピーク温度、結晶化度等によって適時選択すればよい。
縦延伸は低温で行うことが望ましく、具体的な延伸温度は、好ましくは0~50℃、より好ましくは5~40℃である。縦延伸温度が50℃以下であれば、延伸時に高い弾性率を有するマトリックスと低い弾性率のドメイン界面部分に応力が集中しやすくなり、ボイド形成に伴う白化が進行するため好ましい。一方、0℃以上であれば、延伸時の破断が抑制できるため好ましい。
低温での縦延伸倍率は、好ましくは1.1~5.0倍、より好ましくは1.2~4.0倍、更に好ましくは1.3~3.0倍である。高温での延伸倍率を1.1倍以上とすることで白化が進行して、延伸による多孔化が十分起こっていることが示唆される。また、5.0倍以下とすることで、空孔の変形は抑制され、十分に白化した多孔質フィルムを得ることができる。
また、縦延伸は、上記低温での延伸に続き、高温で延伸する二段階延伸工程としてもよい。具体的な高温での延伸温度は、好ましくは60~155℃、より好ましくは70~140℃、更に好ましくは80~130℃である。高温での縦延伸温度を60℃以上とすることで延伸時の破膜を抑制することができる。一方、155℃以下とすることで、低温での延伸で形成されたボイドが閉塞してしまうことを抑制できる。
高温での縦延伸倍率は、好ましくは1.5~7.0倍、より好ましくは1.8~6.0倍、更に好ましくは2.0~5.0倍である。高温での延伸倍率を1.5倍以上とすることで低温での縦延伸で形成されたボイドを拡大することができる。また、7.0倍以下とすることで、延伸破膜を抑えることができる。
次に、横延伸の温度は、好ましくは100~155℃、より好ましくは110~150℃である。前記横延伸温度が規定された範囲内であることによって、縦延伸時に生じた空孔が拡大されて多孔層の空孔率を増加することができ、十分な断熱性を有することができる。
横延伸倍率は、任意に選択できるが、好ましくは1.1~10倍、より好ましくは1.5~8.0倍、更に好ましくは1.5~5.0倍である。規定した横延伸倍率で延伸することによって、縦延伸時に生じた空孔を変形することなく、十分な空孔率を有することができる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の多孔質フィルムについて、更に詳しく説明するが、本発明は何ら制限を受けるものではない。
(1)厚み(膜厚)
目量1/1000mmのダイアルゲージを用いて無作為に10点測定して、その平均値を厚みとした。
(2)フィルムの流れ(MD)方向の厚み変動率
二軸延伸フィルムの幅方向における中央部から幅5cm×長さ1m以上のサンプルを切り出した。卓上厚み計(ロータリーキャリパー計、「RC-1」、明産株式会社製)を用いて、1.2mmの間隔で厚み値を測定し、二軸延伸フィルムの流れ方向における長さ1m分の連続厚みを測定した。この連続厚みデータから厚みの平均値と標準偏差を算出し、以下の数式により厚み変動率を決定した。
(3)25℃での透気抵抗
25℃の空気雰囲気下にて、JIS P8117:2009に準拠して透気抵抗を測定した。測定機器として、デジタル型王研式透気度専用機(旭精工株式会社製)を用いた。
(4)空孔率
測定試料の実質量W1を測定し、樹脂組成物の密度に基づいて空孔率が0%の場合の質量W0を計算し、これらの値から下記式に基づいて空孔率を算出した。
空孔率(%)={(W0-W1)/W0}×100
(ポリプロピレン系樹脂(A))
・A-1
ポリプロピレン(「ノバテックPP FY6HA」、MFR:2.4g/10分、日本ポリプロ株式会社製)
(スチレン系熱可塑性エラストマー(B))
・B-1
スチレン-エチレン・プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS、グレード名「SEPTON2005」、スチレン含有量:20質量%、MFR:流動せず測定不可、株式会社クラレ製)
(結晶核剤(C))
・C-1
1,3:2,4-ビス-O-(4-メチルベンジリデン)-D-ソルビトール
製造例1
ポリプロピレン系樹脂(A-1)70質量%、スチレン系熱可塑性エラストマー(B-1)29.9質量%、ポリプロピレン系樹脂用の結晶核剤(C-1)0.1質量%を混合して、二軸押出機にて230℃で溶融混錬し、ストランドダイから押出して水槽にて冷却したのち、ストランドをペレタイザーにてカットすることで樹脂組成物(X-1)のペレットを得た。
製造例2
ポリプロピレン系樹脂(A-1)70質量%、スチレン系熱可塑性エラストマー(B-1)30質量%を混合して、二軸押出機にて230℃で溶融混錬し、ストランドダイから押出して水槽にて冷却したのち、ストランドをペレタイザーにてカットすることで樹脂組成物(X-2)のペレットを得た。
製造例3
ポリプロピレン系樹脂(A-1)85質量%、スチレン系熱可塑性エラストマー(B-1)15質量%を混合して、二軸押出機にて230℃で溶融混錬し、ストランドダイから押出して水槽にて冷却したのち、ストランドをペレタイザーにてカットすることで樹脂組成物(X-3)のペレットを得た。
実施例1
前記樹脂組成物(X-1)及び(X-3)のペレットを別々の単軸押出機に投入し、230℃で溶融させ、いずれも30μmカットのファイバー焼結タイプのろ材を通した上で、(X-1)を20kg/hの押出量で中間層に、(X-3)を3kg/hの押出量で表裏層になるように、2種3層構成のTダイに流し込み、幅500mm、開度2.4mmのリップから0.43m/分の流速でシート状の溶融樹脂を押出し、2.5m/分の周速で回転する127℃に加熱されたハードクロムメッキで処理されたキャストロールの上に落とした。
そこでシート状の溶融樹脂がキャストロールに着地した直後にシート両端部を、直径5cmの非駆動のタッチロールで幅3cmの範囲を押さえたところ、シート両端部のみをキャストロールに密着させることができた。シート両端部以外はキャストロールに沿うだけで隙間なく密着することがないようにしたため、キャストロールの汚れは生じず、外観の均一な延伸前シートを得ることができた。延伸前シートをルテニウム染色して透過型電子顕微鏡で観察したところ、ポリプロピレン系樹脂を海、スチレン系熱可塑性エラストマーを島とする海島構造を確認した。
延伸前シートを縦延伸機にて20℃に設定したロールにおいて、ドロー比100%(縦延伸倍率2.0倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、120℃に設定したロール間において、更にドロー比100%(縦延伸倍率2.0倍)を掛けて高温延伸を行った。縦延伸後のフィルムは、フィルムテンター設備(京都機械株式会社製)にて、145℃の温度で横方向に4.0倍延伸した後、155℃で熱処理を行い、多孔質フィルムを得た。この多孔質フィルムの厚みは98μm、透気抵抗は24秒/100mL、空孔率は76%であり、流れ(MD)方向の厚み変動率は平均厚みの3.8%であった。
比較例1
前記樹脂組成物(X-1)及び(X-2)のペレットを別々の単軸押出機に投入し、230℃で溶融させ、いずれも30μmカットのファイバー焼結タイプのろ材を通した上で、(X-1)を26kg/hの押出量で中間層に、(X-2)を3kg/hの押出量で表裏層になるように2種3層構成のTダイに流し込み、幅500mm、開度2.4mmのリップから0.54m/分の流速でシート状の溶融樹脂を押出し、2.5m/分の周速で回転する127℃に加熱されたハードクロムメッキで処理されたキャストロールの上に落とし、延伸前シートを得ようとした。
しかし、シート状の溶融樹脂に含まれるスチレン系熱可塑性エラストマーのブリードアウトによりキャストロールが汚れてしまい、また、平滑な延伸前シートも得られず、延伸ができなかった。
比較例2
前記樹脂組成物(X-1)及び(X-3)のペレットを別々の単軸押出機に投入し、230℃で溶融させ、いずれも30μmカットのファイバー焼結タイプのろ材を通した上で、(X-1)を17kg/hの押出量で中間層に、(X-3)を2.5kg/hの押出量で表裏層になるように2種3層構成のTダイに流し込み、幅500mm、開度2.4mmのリップから0.36m/分の流速でシート状の溶融樹脂を押出し、2.5m/分の周速で回転する127℃に加熱されたハードクロムメッキで処理されたキャストロールの上に落とし、延伸前シートを得ようとした。
しかし、表裏層に含まれるスチレン系熱可塑性エラストマーの含有量が比較例1より少ないため、シート状の溶融樹脂がキャストロールに密着しなくなった。シート状の溶融樹脂によりキャストロールがスチレン系熱可塑性エラストマーで汚れてしまうことはなかったが、シート状の溶融樹脂がキャストロールに密着せずに滑ってしまい、ネックインしてシート幅が大きく狭まってしまった。そのため、延伸を行っても厚みの制御ができず、かつ、テンターのクリップでチャックすることが困難であることは明白であったため、延伸をかけることができなかった。したがって、延伸可能な延伸前シートを得られず、多孔質フィルムを得られなかった。
比較例3
前記樹脂組成物(X-1)及び(X-3)のペレットを別々の単軸押出機に投入し、230℃で溶融させ、いずれも30μmカットのファイバー焼結タイプのろ材を通した上で、(X-1)を17kg/hの押出量で中間層に、(X-3)を2.5kg/hの押出量で表裏層になるように2種3層構成のTダイに流し込み、幅500mm、開度2.4mmのリップから0.36m/分の流速でシート状の溶融樹脂を押出し、2.5m/分の周速で回転する、127℃に加熱されたハードクロムメッキで処理されたキャストロールの上に落とし、直径60μmのワイヤーを用いて電気密着法によりシート全幅を密着させて延伸前シートを得ようとした。
しかし、シート状の溶融樹脂とキャストロールとの間に部分的に空気を噛み込んでしまって、シート状の溶融樹脂をキャストロールに均一に密着させられず、延伸可能な延伸前シートを得られず、多孔質フィルムを得られなかった。
表1の結果において、以下の判断基準により評価した。
(キャストロールの汚れ防止性)
◎:清拭されたキャストロール上にシーティングを始めて1時間を超えてもキャストロールの汚れが確認されない。
○:清拭されたキャストロール上にシーティングを始めて5分間を超えて1時間以内でキャストロールの汚れが確認される。
×:清拭されたキャストロール上にシーティングを始めて5分間以内でキャストロールの汚れが確認される。
(シート幅確保)
◎:500mm幅のTダイに対し、400mm以上の幅の延伸前シートが得られる。
×:500mm幅のTダイに対し、400mm未満の幅の延伸前シートしか得られない。
(延伸前シートの外観の均一性)
◎:外観上の欠陥が延伸前シートに見られない。
×:大きさや発生頻度が一定でないシート表面の凹凸や表面荒れ等の外観上の欠陥が延伸前シートにみられ、延伸を行っても破膜することが予見できる。
比較例1~3では、透気性に優れると共に外観に優れた多孔質フィルムを得ることができなかった。比較例1では、シート状の溶融樹脂に含まれるスチレン系熱可塑性エラストマーがキャストロールを汚してしまった。また、平滑な延伸前シートを得られなかった。比較例2では、シートの表裏層のスチレン系熱可塑性エラストマーの添加量を削減したが、キャストロールに密着しないために十分なシート幅を確保できず、外観に優れた多孔質フィルムを得ることはできなかった。比較例3では、電気密着法によりシート全幅を密着させてみたところ、シート状の溶融樹脂とキャストロールとの間に空気を噛み込んでしまい、シートの性状が不均一で外観が悪くなってしまった。
これらに対し、実施例1では、透気性に優れると共に、厚み均一性に優れ外観に優れた多孔質フィルムを得ることができた。特に、シート端部のみをキャストロールに密着させることで延伸前シートの幅を十分に確保でき、また、シート端部以外はキャストロールに密着させないことで空気の噛み込みやキャストロールを汚すといったこともなかった。以上により、延伸前シートの性状が良くなり、厚み均一性に優れ外観に優れた多孔質フィルムを得ることができた。さらに、表裏層のスチレン系エラストマー含有量を20質量%以下にすることで、キャストロールの汚染を更に低減することができた。
1 Tダイ
2 リップ
3 キャストロール
4 タッチローラー
10 シート
11、12 シートの幅方向の両端部
13 シートの幅方向の中央部

Claims (8)

  1. ポリオレフィン系樹脂及びスチレン系熱可塑性エラストマーを含有し、
    前記スチレン系熱可塑性エラストマーが前記ポリオレフィン系樹脂のマトリクス中にドメインを形成する海島構造を有し、
    フィルムの流れ(MD)方向の厚み変動率が平均厚みの4.5%以下である、多孔質フィルム。
  2. 前記多孔質フィルムが、層(A)及び層(B)の少なくとも2層を有し、
    前記層(A)及び(B)は、いずれもポリオレフィン系樹脂及びスチレン系熱可塑性エラストマーを含有し、
    前記層(A)中の前記スチレン系熱可塑性エラストマーの含有量が20質量%以下であり、かつ、前記層(B)中のスチレン系熱可塑性エラストマーの含有量が25質量%以上である、請求項1に記載の多孔質フィルム。
  3. 前記スチレン系熱可塑性エラストマーは、主鎖の両末端がスチレン基である、請求項1又は2に記載の多孔質フィルム。
  4. 前記ポリオレフィン系樹脂は、温度230℃、2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が0.5~18g/10分である、請求項1~3のいずれか1つに記載の多孔質フィルム。
  5. 厚みが200μm以下である、請求項1~4のいずれか1つに記載の多孔質フィルム。
  6. ポリオレフィン系樹脂及びスチレン系熱可塑性エラストマーを含有する樹脂組成物を溶融押出成形して延伸前シートを得る工程(I)と、前記延伸前シートを延伸して多孔質フィルムを得る工程(II)とを有し、
    前記工程(I)において、前記樹脂組成物をシート状に溶融押出し、キャストロールに密着させる際に、前記シートの幅方向の両端部のみをキャストロールに密着させ、前記シートの幅方向の中央部はキャストロールと密着させない工程(I-a)を含む、多孔質フィルムの製造方法。
  7. 前記工程(I-a)において、前記シート両端部のみをタッチローラーでキャストロールに密着させる、請求項6に記載の多孔質フィルムの製造方法。
  8. 前記キャストロールの速度が1.5m/分以上である、請求項6又は7に記載の多孔質フィルムの製造方法。
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