JP7422997B2 - 粉液型義歯床用裏装材及び義歯床用裏装材調製用キット - Google Patents
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Description
なお、以下、本明細書においては特に断らない限り、数値x及びyを用いた「x~y」という表記は「x以上y以下」を意味するものとする。かかる表記において数値yのみに単位を付した場合には、当該単位が数値xにも適用されるものとする。また、本明細書において、「(メタ)アクリル系」並びに「(メタ)アクリレート」との用語は、夫々、「アクリル系」及び「メタクリル系」、並びに「アクリレート」及び「メタクリレート」の両者を意味する。
本発明の粉液型義歯床用裏装材は、非架橋樹脂紛体、ラジカル重合性単量体、及びラジカル重合開始剤が、前記非架橋樹脂紛体を含む粉末状の粉材と、前記ラジカル重合性単量体を含む液状の液材と、に分包された粉液型義歯床用裏装材において、前記粉材に含まれる前記非架橋樹脂紛体は、150μm以上の粒子を含まず、d10が1.8~50μmであり、d90が30~140μmで且つd10よりも20μm以上大きい、粒度分布を有することを特徴とする。
本発明の粉液型義歯床用裏装材を構成する2つの材の一方である粉材は、非架橋樹脂紛体を含む。
非架橋樹脂紛体は、粉材の主成分であり、後述する液材の主成分であるラジカル重合性単量体に可溶な非架橋樹脂からなる紛体をいう。具体的には、液材のラジカル重合性単量体に対する溶解性は、23℃のラジカル重合性単量体100質量部に非架橋樹脂紛体200質量部を混合して攪拌した際に、10質量部以上の当該非架橋樹脂紛体が溶解する紛体を意味する。粉材と液材を混合した際に、斯様な非架橋樹脂紛体を構成する粒子の少なくとも一部が、液材に溶解し、且つ溶解残滓の粒子は膨潤することにより混合物は増粘し、ラジカル重合性単量体の重合性が促進される。併せて、この成分の溶解残滓の粒子は、義歯床用裏装材の硬化体の靱性を高める作用も有する。
前記したように、前記液材及び前記粉材が夫々独立して安定に保管できるようにするために基本的には前記粉材に配合されるが、多成分系のラジカル重合開始剤を使用する場合には、一部成分を液材に配合することもある。
本発明の粉液型義歯床用裏装材の液材で使用するラジカル重合性単量体としては、歯科用として使用可能なラジカル重合性単量体が特に制限なく使用することができるが、重合性のよさ等から、(メタ)アクリレート系重合性単量体が好適に使用される。
本発明の粉液型の義歯床用裏装材には、前記成分の他にも必要に応じて、後述する各成分を配合してもよい。
粉材及び液材は、各々所定量の配合成分を計り取り、揺動ミキサー等の混練器又は混合器を用いて均一の性状になるまで混合することにより調製される。製造した粉材及び液材は各々容器に保存しておけばよい。保存に際しては、各材をボトルなどの比較的内容量の大きな容器内に保存し、使用時にこれら容器から夫々1回分の使用量に相当する量を計り取り、混合するようにしても良いし、1回分の使用量毎に小分けして保管し、使用時に当該小分けされた各材を容器から取り出して混合するようにしても良い。
本発明の義歯床用裏装材調製用キットは、本発明の粉液型義歯床用裏装材を用いて義歯床用裏装材を調製するためのキットであり、前記粉材と、前記液材と、シーラント材からなる内層と外装材からなる外層とを少なくとも含むヒートシール性積層フィルムで構成される、矩形又は略矩形の表裏一対の主面を有する袋体と、を含み、前記袋体は、前記表裏一対の主面の全ての周縁辺部がヒートシールされて気密且つ液密に封止されると共に、一対の互いに対向する周縁辺部間に設けられた弱化シール部により、その内部が2室に分割されており、前記粉材は前記2室の内の一方の室内に気密に封入され、前記液材は他方の室内に気密且つ液密に封入されており、前記キットの使用時において、前記袋体に押圧力を付加することにより前記弱化シール部を破断して、前記粉材と前記液材を混合可能としたことを特徴とする。
実施例及び比較例で使用した原材料の略号、称号を以下に示す。
・PEMA1:球状ポリエチルメタクリレート粒子からなる紛体(体積平均粒子径35μm、重量平均分子量50万)
・PEMA2:球状ポリエチルメタクリレート粒子からなる紛体(体積平均粒子径10μm、重合平均分子量50万)
・PEMA3:球状ポリエチルメタクリレート粒子からなる紛体(体積平均粒子径70μm、重合平均分子量100万)
・PMMA-EMA1:球状(メチルメタクリレート-エチルメタクリレート)(体積平均粒子径40μm、重合平均分子量100万、共重合体組成50/50)粒子からなる紛体
・PMMA-EMA2:球状(メチルメタクリレート-エチルメタクリレート)(体積平均粒子径95μm、重合平均分子量100万、共重合体組成50/50)粒子からなる紛体。
有機過酸化物
・BPO:ベンゾイルパーオキサイド
・CQ:カンファーキノン
第3級アミン(芳香族アミン化合物)
・DMPT:N,N-ジメチル-p-トルイジン
・DEPT:p-トリルジエタノールアミン
・DMBE:p-ジメチルアミノ安息香酸エチル。
・AAEM:アセトアセトキシエチルメタクリレート(分子量214)
・HPR:2-(メタ)アクリロキシエチルプロピオネート(分子量186)
・ND:1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート(分子量296)
・MMA:メチルメタクリレート(分子量100)。
(A)非架橋樹脂紛体及び(B)ラジカル重合開始剤の有機過酸化物、α-ジケトンを表1及び表3(これら表中、各原料の欄の数値は、質量部を表す。)に示す量(質量部)を量りとり、揺動ミキサーにて3時間混合して粉材を調製した。参考までに、粉材として使用した(A)非架橋樹脂紛体全体の質量部に占めるポリエチルメタクリレートの質量部の割合(質量%)を表1及び表3中の「EMA率」の欄に示す。
(C)ラジカル重合性単量体及び(B)ラジカル重合開始剤の第3級アミンを、表1及び表3(これら表中、各原料の欄の数値は、質量部を表す。)示す量(質量部)を量りとり、3時間攪拌混合して液材を調製した。
上記した方法で調製された粉材及び液材を、以下に示す方法で調剤収容袋に収容することで義歯床用裏装材調製用キットを得た。
すなわち、最内層にポリエチレンのイージーピール層を有する積層フィルム(厚み120μm)を100mm×70mmに2枚切り出した。その後、周縁部5b、5c、5dを5mm幅のヒートシーラーを用いて、150℃で2秒間の熱融着を行った。次いで、粉材収容室3と液材収容室4の大きさが3.5:1の割合になるように、弱化シール部7を所定の温度(実施例1~15及び比較例1~5は100℃、後述の表5及び表6に示す温度)で2秒間の熱融着を行った。次いで、粉材収容室3に上記粉材を3.6g、液材収容室4に上記液を2.1g充填した。最後に、粉材収容室3及び液材収容室4に表2、表4に示す空隙率となる量の空気を混入させてから、周縁部5aを150℃で2秒間の熱融着を行い、図1に示す義歯床用裏装材調製用キットを得た。
空隙率(%)=空隙量/粉材収容室3の内容積×100
上記式における空隙量(cc)は、下記式に示されるように、予め測定しておいた粉材収容室3の内容積(cc)から混入される粉材及び液材の体積の合計を差し引いた体積(cc)で決定した。なお、粉材体積は粉材の重量を嵩密度で割った(粉材重量/嵩密度)値であり、液材体積は液材の重量を液比重で割った(液材重量/液比重)値である。
空隙量=収容室3の内容積-(粉材体積+液材体積) 。
義歯床用裏装材調製用キットの調剤収容袋(袋体)における弱化シール部を破断してから、二成分系歯科材料の二成分が全て均一に混ざるまでの時間を求め、これを混和時間とし、混和性を評価した。
2:20秒以内に混和が完了した
3:30秒以内に混和が完了した
4:31秒以上混和に時間を要した。若しくは二成分系歯科材料が完全に混ざらなかった。
混和後のペースト粘度上昇の指標となるペーストの流動性を「垂れ」として、次のように評価した。すなわち、混和終了後、混和物を0.5mL採取し、ガラス板上に貼り付けたプラスチックシート上に0.5mL吐出し、混和開始から1分後にガラス板を垂直に立て、5分間静置させた。その後、混和物が広がり、得られたペーストの長さを測り、3回測定の平均値を求め、垂れとした。
硬化体の表面性状の指標となる「硬化体表面のざらつき」を次のように評価した。すなわち、混和終了後、混和物をプラスチックフィルム上に吐出した。その後、混和開始から3分30秒後に、ヘラを用いて混和物を引き延ばした後、硬化させた。尚、硬化の仕方は使用するラジカル重合開始剤により異なり、化学重合触媒では37℃インキュベーターで30分放置することで、光重合触媒では歯科技工用光重合装置αライトV(MORITA社製)を用いて465~475nmの活性光(光出力密度100mW/cm2)を5分間照射することで硬化を行った。得られた硬化体の性状を以下の4つの基準により、評価を行った。なお、数値が小さい方が、評価が高い。
2:目視でざらつきが確認できるが、その頻度は低い(硬化体面積の半分未満)。
3:目視でざらつきが確認でき、その頻度も高い(硬化体面積の半分以上)。
4:目視でざらつきが全体的に確認され、触ると凹凸が明らかにわかる。
6mmφ×1mmの硬化体の表面に確認される気泡、及び微小の気泡の存在によって生じる空隙、または白化領域を拡大鏡にて観察し、全体に占める面積の割合を求めた。なお、該硬化体を作製する際にはいずれの混ぜ方においても、粉に対して液がいきわたったのを確認後、さらに5秒間混和して上記の大きさの穴を有するモールド等に適量を流し入れた。圧接しない状態で静置、硬化後、耐水研磨紙(800番)で表面を平面にした。気泡の混入具合を下記4段階の基準を用いて「気泡混入」を評価した。なお、気泡の少ない方が、評価が高い。
B:気泡が10%以上~20%未満
C:気泡が20%以上~30%未満
D:気泡が30%以上。
組成を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の方法により粉材及び液材を調製した。次いで、混和カップ内へ粉材3.6gと液材2.1gを計量し、ヘラを用いて開放状態で混和を行った(当該混和方法を、混和方法:Yとする)。
これに対し、比較例1は、非架橋樹脂粒子のd10、d90値が小さく本発明に満たない。そのため、混和性が不良であり、垂れの値も小さい。
比較例2は、(A)非架橋樹脂紛体の粒度分布にて、150μm以上の領域に粒子が存在している。そのため、硬化後の表面のざらつきが不良である。
比較例3は、(A)非架橋樹脂紛体のd10、d90値が大さく本発明に満たない。また、粒度分布にて、150μm以上の領域に粒子が存在している。そのため、混和性は良好であるものの垂れが大きく、粘度上昇が遅い。また、硬化後の表面のざらつきが不良である。
比較例4は、(B)ラジカル重合開始剤が未配合であり本発明に満たない。そのため、重合が進行せず、未硬化のままである。
表1に示した実施例6と同じ組成で粉材、液材を調製した。その後、弱化シール部を形成時のヒートシール条件を表5に示す条件に変更して熱融着する以外は同様にして義歯床用裏装材調製用キットを得、次のようにして、「弱化シール部の強度」の評価、「落下試験」及び「官能試験」を行った。評価結果を表5に示す。なお、実施例20は、弱化シール部のシール強度が好適な範囲から外れる実施例である。
製造された義歯床用裏装材調製用キットを23℃環境下で24時間保管した後に周辺部5aをハサミで切り取り、粉材収容袋粉と液材収容袋から上記粉材と液材を抜き取り、弱化シール部7からJISZ1707に準拠するように幅15mmの試験片を切り出した。なお、試験片の数は、調剤収容袋のサイズ(5b、5c=70mm)の都合上、切り出すことが可能な3つとした。試験片に付着した粉材および液材は溶剤を使用せずに拭き取り、試験片の準備を完了した。次に上記試験片を、島津小型卓上試験機(EZ-TEST CE、(株)島津製作所)を用いて、引っ張り速度300mm/min、23℃の環境下で、フィルム同士のヒートシール面に対して180℃の方向に引っ張り、試験片のフィルム間を剥離させ、剥離強度の最大値を測定した。そして、上記3つの試験片の剥離強度の最大値の平均値を弱化シール部7の強度(単位:N/15mm)とした。
箱詰めされた義歯床用裏装材調製用キットにおける調剤収容袋の弱化シール部が、輸送時の衝撃で破断するか、耐衝撃性について評価を行った。すなわち、義歯床用裏装材調製用キットを製造後、23℃環境下で24時間保管した後に高さ1m位置から床置きした段ボール箱に連続10回落下させて、調剤収容袋の弱化シール部が破断しているか確認を行った。試験は10個の調剤収容袋に対して実施し、破断した数を評価した。
義歯床用裏装材調製用キット使用時における調剤収容袋の弱化シール部の破断の容易さについて評価を行った。製造後23℃環境下で24時間保管した義歯床用裏装材調製用キットについて、異なる3人の試験者が前記混和方法Xと同様に操作した際の、弱化シール部の破断の容易さについて以下の判定基準に従い評価を行った。
2:弱化シール部を破断することができる
3:弱化シール部が硬く、破断ができない
破断の容易さは、使用時の操作の容易さを示す。そのため値が小さいほど容易に破断ができることを示す。
2 袋本体
4 液材収容室
5 周縁部
7 弱化シール部(仕切壁)
8 粉材
9 液材
Claims (5)
- 非架橋樹脂紛体、ラジカル重合性単量体、及びラジカル重合開始剤が、前記非架橋樹脂紛体を含む粉末状の粉材と、前記ラジカル重合性単量体を含む液状の液材と、に分包された粉液型義歯床用裏装材において、
前記粉材に含まれる前記非架橋樹脂紛体は、150μm以上の粒子を含まず、d10が1.8μm以上、50μm以下であり、d90が30μm以上、140μm以下で且つd10よりも20μm以上大きい、粒度分布を有し、
前記非架橋樹脂紛体がポリエチルメタクリレート紛体、ポリメチルメタクリレート紛体、及びメチルメタクリレートとエチルメタクリレートの共重合体の紛体を含む混合紛体であり、当該混合紛体に占める前記エチルメタクリレート紛体の割合が55質量%以上、100質量%以下である、
ことを特徴とする前記粉液型義歯床用裏装材。 - 前記ラジカル重合開始剤が有機過酸化物とアミン化合物との組み合わせ及び/又はα-ジケトンと還元剤との組み合わせからなり、前記有機過酸化物及び/又はα-ジケトンが前記粉材に含まれ、前記アミン化合物及び/又は還元剤が前記液剤に含まれる、請求項1に記載の粉液型義歯床用裏装材。
- 前記粉材に含まれる前記ラジカル重合性単量体の分子量が150以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の粉液型義歯床用裏装材。
- 請求項1乃至3の何れかに記載の粉液型義歯床用裏装材を用いて義歯床用裏装材を調製するための義歯床用裏装材調製用キットであって、
前記粉材と、前記液材と、シーラント材からなる内層と外装材からなる外層とを少なくとも含むヒートシール性積層フィルムで構成される、矩形又は略矩形の表裏一対の主面を有する袋体と、を含み、
前記袋体は、前記表裏一対の主面の全ての周縁辺部がヒートシールされて気密且つ液密に封止されると共に、一対の互いに対向する周縁辺部間に設けられた弱化シール部により、その内部が2室に分割されており、
前記粉材は前記2室の内の一方の室内に気密に封入され、前記液材は他方の室内に気密且つ液密に封入されており、
前記キットの使用時において、前記袋体に押圧力を付加することにより前記弱化シール部を破断して、前記粉材と前記液材を混合可能とした、
ことを特徴とする前記義歯床用裏装材調製用キット。 - 前記弱化シール部のシール強度が3(N/15mm)以上、20(N/15mm)以下であることを特徴とする請求項4に記載の義歯床用裏装材調製用キット。
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