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JP7424010B2 - 中間転写体、及び、画像形成装置 - Google Patents
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JP7424010B2 - 中間転写体、及び、画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、中間転写体、及び、画像形成装置に係わる。
電子写真方式を利用した画像形成装置として、中間転写体を用いる中間転写方式の画像形成装置が知られている。中間転写方式の画像形成装置では、感光体上に形成されたトナー像が中間転写体に一次転写され、その後中間転写体上のトナー像が転写材上に二次転写される。中間転写体としては、無端状のベルトで形成された中間転写ベルトが広く用いられている。
中間転写方式の画像形成装置では、二次転写工程後に中間転写ベルト上にトナー(二次転写残トナー)が残留する。そのため、次の画像を中間転写ベルトに転写する前に中間転写ベルト上の二次転写残トナーを除去するクリーニング工程が必要となる。
中間転写ベルト上の二次転写残トナーを除去する方式としては、ブレードクリーニング方式が広く用いられている。ブレードクリーニング方式では、中間転写ベルトの表面の移動方向(以下「ベルト搬送方向」ともいう。)において、二次転写部の下流に配置されたクリーニング部材としてのブレ-ドで、中間転写ベルト上から二次転写残トナーを物理的に回収する。ブレ-ドとしては、一般に、ウレタンゴムなどの弾性体が用いられている。このブレ-ドは、中間転写ベルトの回転方向に対向する方向からエッジ部が中間転写ベルトに圧接される。
また、画像形成装置においては、高画質化のためにトナー像を中間転写ベルトから転写材へ転写する際の転写効率の向上が求められている。このため、中間転写体から転写材へのトナーの転写効率の向上と、クリーニング性の向上とを図るために、中間転写ベルトの表面の凹凸形状を制御する方法が提案されている。
例えば、中間転写ベルトの表面に、移動方向に沿って溝を形成して面内平均粗さを制御し、さらに、中間転写ベルトの表面層にフッ素含有粒子を含有させる構成が提案されている。(特許文献1参照)。
また、中間転写ベルトの表面層に微粒子による凹凸形状を形成し、微粒子の平均粒形や体積抵抗率を所定範囲に規定する構成が提案されている(特許文献2参照)。
特開2019-56942号公報 特開2018-155953号公報
上述の特許文献1に記載された中間転写ベルトの最表面に溝を掘る構成は、いわるゆプラトー面と呼ばれる構成であり、剛体同士の接触においては摩擦低減効果が知られている。しかし、中間転写ベルトと接触するブレ-ドがゴム系の弾性部材である場合には、溝に対して弾性部材が食い込む特性のために、十分な摩擦低減が得られにくく、動トルクが低減しにくい。
また、上述の特許文献2に記載された中間転写ベルトは、ゴム系弾性部材からなるブレードを用いる場合でも、ブレードが中間転写ベルトの表面の全域において完全接触しない。このため、中間転写ベルトを駆動させる際の動トルクを低減することができる。しかし、表面にμmオーダーの球状粒子を敷き詰めた構成であるため、中間転写ベルトにブレ-ドを接触させる場合は、接触部分の随所において0.1μm~5μmの隙間ができてしまい、トナーのクリーニング性や、トナーの外添剤のクリーニング性が安定せず、クリーニング不良が発生してしまう。
上述した問題の解決のため、本発明においては、動トルクの低減とクリーニング性の向上が可能な中間転写体、及び、画像形成装置を提供する。
本発明の中間転写体は、像担持体上に形成された潜像をトナーにより現像して得られたトナー像が転写される中間転写体であって、基層と、基層上に形成されたエネルギー線硬化性樹脂を含む表面層とを有する。そして、表面層は、表面に表面層の層内で完結する(長径/短径)比が3以下の局所凹部を複数有し、局所凹部の平均間隔をL(μm)としたときにLの値が0.5μm以上100μm以下である。
また、本発明の画像形成装置は、潜像が形成され、トナー像を担持可能な像担持体と、像担持体上に形成された潜像をトナーで現像する現像部と、現像部により現像されたトナー像が一次転写される中間転写体と、中間転写体上に担持されたトナー像を記録材に二次転写する転写部とを備える。そして、中間転写体が、基層と、基層上に形成されたエネルギー線硬化性樹脂を含む表面層とを有する。表面層は、表面に表面層の層内で完結する(長径/短径)比が3以下の局所凹部を複数有し、局所凹部の平均間隔をL(μm)としたときにLの値が0.5μm以上100μm以下である。
本発明によれば、動トルクの低減とクリーニング性の向上が可能な中間転写体、及び、画像形成装置を提供することができる。
画像形成装置の動作開始からの中間転写体の駆動トルクの計測例を示す図である。 画像形成装置の概略構成を示す図である。 中間転写ベルトの構成(断面)を示す図である。 評価用のブレ-ドの摩耗量を説明するための図である。 評価用のブレ-ドの摩耗量を説明するための図である。
以下、本発明を実施するための形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.中間転写体の概要
2.画像形成装置、及び、中間転写体の実施形態
〈1.中間転写体の概要〉
以下、本発明の実施形態の説明に先立ち、中間転写体の概要について説明する。
画像形成装置において、中間転写体は、像担持体上に形成された潜像をトナーにより現像して得られたトナー像が転写(一次転写)される。そして、中間転写体に転写されたトナー像が、記録材に対して転写(二次転写)される。
中間転写体は、一般的に、基層と、基層上に積層された表面層とを有し、表面層がトナー像の担持体となる。中間転写体に対してブレ-ドを用いてクリーニングを行う場合には、ブレ-ドの先端部分が表面層に当接することにより、表面層上のトナーを掻き取る。
しかしながら、上記の構成では、中間転写体の表面層とブレ-ドとが当接するため、クリーニング性に関する問題として、中間転写体の駆動トルク不良によるクリーニング条件の制約が発生する。特に、高温高湿(HH)環境において、この問題が顕在化しやすい。
また、ブレ-ドを用いて中間転写体のクリーニングを行う場合、中間転写体の駆動トルク不良(動トルクが大きすぎる)の問題がある。特に、硬化アクリル樹脂の表面層を持つ中間転写体は、この問題が発生しやすい。一般的に硬化アクリル樹脂の表面層を持つ中間転写体は、表面層の強度を強くして、耐摩耗性に優れた構成を作ることができるため、長寿命化に適している。このため、中間転写体に好ましく用いられている。
駆動トルク不良(動トルクが大きすぎる)については、表面層への粒子の添加などで、表面粗さを大きくすれば解決することが可能である。しかし、表面粗さを大きくした構成の場合は、表面層とブレ-ドとの当接状態(以下「ニップ状態」ともいう)が不安定になりやすい。これは、表面層の粗さがが大きい場合、トナー粒子や、外添剤のすり抜けやすいためである。このため、表面粗さを大きくした構成では、動トルクを低減できるものの、クリーニング性が安定しにくい。このように、中間転写体において、駆動トルクとクリーニング性との両立が難しい。
中間転写体において、駆動トルクとクリーニング性との両立させるために、材料的なアプローチも種々行われているが、必ずしも十分な効果には至っていない。このため、粗さ粒子に関係しない方法で、かつ、材料以外に注目したアプローチが必要となる。
[中間転写体の駆動トルク不良]
中間転写体の駆動トルク不良は、ブレ-ドの摩耗速度の増加や、動作時の鳴き(不快音)、ブレ-ドのめくれ、中間転写体のベルトの破損にもつながり、画像形成装置において特に影響が大きい問題である。
例えば、ブレ-ドの摩耗速度が増加しやすい条件の場合には、摩耗速度を抑制する方法としてブレ-ドの当接力を下げる構成も可能である。しかし、この場合には、ブレ-ドの摩耗量が小さい条件でもクリーニング不良を起こし始めるため、クリーニング性が低下しやすく、ブレ-ドの長寿命化ができない。この結果、硬化アクリル樹脂を用いた中間転写体の長寿命化の効果が、ブレ-ドの短寿命化によって、十分に活用できない。
中間転写体の駆動トルク不良は、動トルクが大きくなりすぎることに起因している。
例えば、動トルクが大きすぎる場合には、ブレードのゴムの摩耗速度が速くなってしまい、ブレード寿命が短くなることが問題となる。ゴムの摩耗速度が速いと、中間転写体を高耐久化しても、中間転写ユニット(中間転写体とクリーニング機構)としての高耐久化ができない。ブレ-ドの摩耗を抑制するためには、当接力を下げた構成にする必要があるが、この場合には必然的にクリーニング力が低下してしまう。このため、ブレード先端の摩耗量が少ない段階で拭き残しによる画像不良を起こしてしまい、ブレード寿命を十分に長くできない。
また、動トルクが大きすぎる場合には、ブレ-ドの接触部でスティックスリップを起こすことによる鳴き(不快音)が発生する場合や、ブレ-ドのめくれが発生する場合もある。
動トルクが大きすぎる場合は、ブレ-ドの先端の当接状態が非常に不安定になり、ミクロ的なスティックスリップが繰り返し発生しやすくなる。すなわち、スティックスリップによるブレ-ド先端の離間の間に、多量のトナーがすり抜ける恐れがあり、当接力に関係なくクリーニング性が低下する。特に、高温高湿(HH)環境では、クリーニング性能にとって不利な材料である「放電生成物(硝酸塩など)」が、中間転写体の表面に共存しており、放電生成物の効果によっても、クリーニング性が低下しやすくなる。
(動トルクの考察)
中間転写体とブレ-ドとを有する構成において、動トルクが大きくなりすぎる原因について、以下のように推測する。
中間転写体の表面層には、上述の特許文献1や特許文献2に記載された技術のような意図的な凹凸を形成していない場合にも、面内に極めてわずかな表面粗さの変動と認識される、非常に局所的な狭い凹部が高頻度で連続して形成されている。このため、この表面層にブレ-ドが当接すると、表面層の凹部に由来するわずかな振動がブレード先端に対して高周波数の状態で連続して発生する。このような状態は、下記(1)、(2)に説明するように、動トルクが大きくなりすぎる要因となる。
(1)[損失正接(tanδ)]による見方
ブレ-ドにゴム等の弾性部材が使用されている場合、高温環境、高周波振動という条件では、ゴムの粘弾性を示すパラメータのうち、動的粘弾性測定装置(DMA)で分析検知可能な損失正接(tanδ)[損失正接(tanδ)=損失弾性率/貯蔵弾性率]が増加する特徴がある。
ブレ-ドに使用されるゴム等の弾性体は、材料的に見た場合、高温、高周波条件におけるtanδ(=損失弾性率/貯蔵弾性率)の値が大きくなっている。弾性体の材料によって多少異なるが、DMAを用いてマスターカーブを書いた場合に、例えば、30℃、1000Hzでは、tanδの値は0.5以上のものが多い。tanδの値は、DMA分析結果をもとに、マスターカーブより算出することができる。
また、同じ温度でも、周波数が大きければ大きいほど、tanδの値がさらに増加する。なお、周波数が小さければ、tanδの増加の度合いは限定される。
さらに、30℃以上の場合では、温度が高ければ高いほど、tanδの値が増加する。特に、画像形成装置では、一般に機内温度が外気温よりも高温になりやすい。このため、ブレ-ドの温度が高くなりやすく、tanδの値も増加しやすい。
画像形成装置が動作する際、中間転写体の動作(回転駆動)には、無負荷状態での中間転写体の回転に必要なエネルギーの他に、ブレ-ドの当接による損失弾性に相当するエネルギー、いわゆる損失弾性率に相当する、ブレードのゴム由来の動トルクが発生する。このため、中間転写体が動作し続けるためには、ブレ-ドの当接による損失弾性率に相当するエネルギー(動トルク)を、中間転写体の回転駆動に必要な駆動トルクに対して余分に加え続ける必要がある。即ち、ブレ-ドの当接によるブレードのゴムの損失弾性率が大きくなればなるほど、損失弾性率に相当する動トルクが増加し、中間転写体の駆動トルクが増加してしまう。
さらに、ブレ-ドに掛かる周波数が大きいほど、周波数に対応するtanδの値が大きくなる。tanδの値が大きくなることにより、ブレ-ドの「振動吸収性」が大きくなる。そして、振動吸収性が大きくなることによりに、動トルクが増加するものと考えられる。このため、中間転写体の表面層の表面粗さに由来するわずかな振幅の振動であっても、対応する周波数のtanδとしては、大きな数値になるので、中間転写体の動作(回転駆動)を続けるためには、さらに余分のエネルギーをトルクとして加え続ける必要がある。この結果、中間転写体の駆動トルクがさらに大きくなってしまう。
また、中間転写体の表面層の局所凹部における高さ変動が急峻な場合も、ブレ-ドの振幅が大きくなるため、損失弾性が大きくなり、動トルクがさらに悪化してしまう。
図1に、画像形成装置の動作開始からの、中間転写体の駆動トルクの計測例を示す。図1では、横軸が画像形成装置の動作開始からの経過時間、縦軸が駆動トルクの計測値である。図1に示すように、画像形成装置が動作を開始すると駆動トルクが上昇し、さらに、時間が経過するごとに、動作開始直後よりも駆動トルクが徐々に上昇し続けている。
また、図1に示す計測では、ブレードによる鳴き(不快音)が発生した時点で測定を中止している。即ち、時間経過によって駆動トルクが大きくなりすぎ、トルク不良が発生したために測定を中止している。
中間転写体の駆動トルクへの影響が、ブレ-ドによる静止摩擦係数だけに由来するのであれば、駆動トルクは画像形成装置の動作開始直後に大きく上昇し、動作開始から数秒後には駆動トルクが低下して安定化すると考えられる。しかし、図1に示すように、計測中で時間経過とともに駆動トルクが増加し続けている。従って、時間経過とともに駆動トルクが上昇し続ける現象は、静止摩擦係数とは関係なく、動作時の「中間転写体表面-ブレ-ド間の相互作用」に由来するものと考えられる。即ち、中間転写体を回転駆動することにより、表面層とブレ-ドと間で高周波数の振動が連続して発生し、動トルクが上昇し続けることによって中間転写体の駆動トルクが上昇し続けると考えられる。
(2)材料力学的な見方
ブレ-ドは、ゴム系の弾性部材で形成されている。ゴム系の弾性部材として、例えば、免振ゴム、耐震ゴムなどの商品が存在するように、ゴムは、固有振動数を大きく上回る高周波の振動について「振動を抑制しようとする性質」がある。具体的には、「外部振動の周波数/固有振動数」の比率(振動数比)が21/2倍(ルート2倍)を超えると、弾性部材による「振動を抑制しようとする性質」が働き、上記の振動数比が大きければ大きいほど実際の振動抑制率も大きくなる。一方、比率(振動数比)が21/2倍(ルート2倍)以下となった場合には、振動が抑制されずに、逆に振動が大きくなる。
ゴムの固有振動数は、温度が高いほど小さな値になる。ブレ-ドに用いるゴムの場合、材料によって違いはあるものの、30℃においては、500~5000Hzの固有振動数を持つものが多い。
このため、中間転写体の表面層の表面粗さによって発生するブレ-ドの上下振動の振動数の値によっては、高温環境では、「ブレ-ドの振動数/ゴムの固有振動数」の比率が、「21/2倍」を超えて、はるかに大きくなってしまう。この場合、わずかな振幅の上下振動であっても、表面層の凹部に由来するブレ-ドの振動を抑制するための作用として、ブレード先端が中間転写体の表面に対して強い相互作用をもたらす状態が続き、動トルクが増加する。即ち、ブレ-ドによる中間転写体の駆動動作への束縛力が桁外れに大きくなり、動トルクが増加する。
また、ゴムのような弾性部材の固有振動数は、高温であるほど低周波数側にシフトする特性が知られている。このため、高温であるほど、「振動抑制しようとする周波数」の帯域が広く、振動抑制率の値も大きくなってしまう。この結果、高温環境で動トルクが増加し、中間転写体の駆動トルクも増加してしまう。
(動トルク以外の要因)
中間転写体において、表面層に局所的な凹部が限りなく存在しない構造を考えると、凹部(粗さの変動)に由来するブレ-ドの振動が発生しない。このため、ブレ-ドの振動周波数の発生がなく、損失正接(tanδ)の議論もなく、これに由来する動トルクの増加も発生しない。
しかし、表面層に局所的な凹部が限りなく存在しない構造では、次の理由で、クリーニング性の不具合が発生する恐れがある。すなわち、局所的な凹部が限りなく存在しない場合、ブレ-ドの先端を構成する弾性部材が、中間転写体の表面層に対して限りなく原子レベルで真接触した状態が延々と続く構成となる。このため、真接触に由来する静止摩擦係数の異常な増加が起こりやすくなる。そして、静止摩擦係数の異常な増加が起こる場合、動作開始時の鳴きの発生(不快音)や、ブレードめくれの問題が発生する可能性がある。
また、表面層に局所的な凹部が限りなく存在しない構成であっても、代わりに凸部が存在すれば、真接触した状態が連続する構成を避けられる。しかし、中間転写体を硬化アクリル樹脂等の樹脂部材によって形成する場合、溶解又は軟化した樹脂を金型等に流し込んで中間転写体を作る製造プロセスが適用されるため、表面粗さを効果的に規制することが難しい。従って、凹部が限りなく存在せず、凸部が存在する構成を実現することが非常に難しい。
[ブレ-ドの振動制御]
上述のように、中間転写体の駆動トルク不良は、中間転写体の表面層の粗さに由来するブレ-ドの高周波振動によるものと考えられる。即ち、ブレ-ドの高周波振動を制御することにより、動トルクの上昇やブレ-ドによるクリーニング性の低下を抑制することができる。
ブレ-ドの高周波の振動を制御するためには、中間転写体の表面層に形成される凹部の形状、及び、凹部の間隔を所望の範囲に制御する。ブレ-ドの振動は、表面層の凹部に由来するため、凹部の形状と間隔を制御することにより、ブレ-ドの振動の周波数を所望の値に制御することができる。
具体的には、中間転写体が、表面層に(長径/短径)比が3以下の局所凹部を複数有する。そして、表面層の局所凹部の平均間隔をL(μm)としたときに、Lの値を0.5μm以上100μm以下に制御する。
中間転写体が表面層に(長径/短径)比が3以下の局所凹部を複数有することにより、局所凹部の連続によって、一定以上の強度でブレードの先端に「上下方向の衝撃振動」が連続で加わる。そして、中間転写体の局所凹部の平均間隔をLが上記範囲である場合、中間転写体の回転駆動の速度にもよるが、一般的な画像形成装置であれば中間転写体の局所凹部に由来するブレ-ドの上下方向の振動の周波数(Hz)の値は、1000以上200000以下となる。
ブレ-ドは、上下方向の振幅が数10nm単位の非常に小さな変化であっても、独立に存在する凹部のピーク間隔を上記範囲内とすることにより、ブレ-ドの衝撃吸収特性が一定範囲内に収束される。このため、ブレ-ドの振動による動トルクの増加が抑制されて、クリーニング不良、鳴き、及び、めくれ等の不具合を抑制できる。
ブレ-ドにおいて、中間転写体の局所凹部に由来する振動の周波数が200000Hz以下であれば、この周波数に相当するtanδの値も小さく、実際の振幅も小さい。tanδの値が小さいということは[損失正接(tanδ)=損失弾性率/貯蔵弾性率]の式からわかるように、中間転写体の駆動時においては、ブレ-ドを構成する弾性部材おける損失弾性率の絶対量が小さくなる。従って、損失弾性率に相当する余分な動トルクを低減することができる。
さらに、損失弾性率が小さい状態で中間転写体を連続駆動することにより、損失弾性に由来するゴム弾性力の瞬時低下の頻度も少なくなる。このため、ブレ-ドの当接力が安定し、クリーニング性が向上する。また、損失弾性率が小さく、ブレ-ドの当接による動トルクを小さくできるため、中間転写体の駆動トルクの制約を受けずに、必要に応じてクリーニング性を優先した構成を採用することも容易となる。
また、ブレ-ドにおいて、中間転写体の局所凹部に由来する振動の周波数が1000Hz以上であれば、中間転写体の表面層とブレ-ドとの間に、完全な真接触のできない点が一定以上の割合で混在することになる。このため、中間転写体の静止時においてブレ-ドと「真接触できない点」を含むことで、静止摩擦係数の必要以上な増加を防ぐことができる。この結果、画像形成装置の駆動の開始直後において、中間転写体とブレ-ドとの当接状態が安定しやすくなり、ブレ-ドのめくれ等が起こりにくい。
中間転写体の局所凹部に由来する振動の周波数が1000Hz未満の場合には、中間転写体の停止時において、表面層とブレ-ドとの接触部の全ての点で真接触した構成に近い状態になる可能性がある。このため、真接触に由来する静止摩擦係数の異常な増加が起こりやすくなり、動作開始時の鳴きの発生(不快音)や、ブレードめくれの問題が発生する可能性がある。
〈2.画像形成装置、及び、中間転写体の実施形態〉
画像形成装置の実施形態について説明する。図2に、画像形成装置の概略構成を示す。 図2に示す画像形成装置は、画像形成部である4個のトナー像形成部20Y,20M,20C,20Kと、転写体ユニット30と、転写部としての二次転写部7Aと、クリーニングユニット9と、定着部40とを備える。
画像形成部において、イエロー色(Y)のトナー像を形成するトナー像形成部20Yは、感光体1Y、帯電部2Y及び露光部3Yからなる潜像形成部、現像部4Y、潤滑剤塗布部5Y、一次転写部7Y並びにクリーニング部8Yを有する。マゼンタ色(M)のトナー像を形成するトナー像形成部20Mは、感光体1M、帯電部2M及び露光部3Mからなる潜像形成部、現像部4M、潤滑剤塗布部5M、一次転写部7M並びにクリーニング部8Mを有する。シアン色(C)のトナー像を形成するトナー像形成部20Cは、感光体1C、帯電部2C及び露光部3Cからなる潜像形成部、現像部4C、潤滑剤塗布部5C、一次転写部7C並びにクリーニング部8Cを有する。黒色(K)のトナー像を形成するトナー像形成部20Kは、感光体1K、帯電部2K及び露光部3Kからなる潜像形成部、現像部4K、潤滑剤塗布部5K、一次転写部7K並びにクリーニング部8Kを有する。
潤滑剤塗布部5Y,5M,5C,5Kは、それぞれ感光体1Y,1M,1C,1Kの表面にステアリン酸亜鉛等の潤滑剤を塗布する。なお、潤滑剤はトナーの成分としてトナー中に含有されていてもよく、潤滑剤塗布部5Y,5M,5C,5Kを設けない構成とすることも可能である。
転写体ユニット30は、中間転写体を構成する無端状のベルト部材である中間転写ベルト6と、中間転写ベルト6の内面側(第2面側)を支持する支持部材であるローラー6A,6B,6C,6D,6E,6Fで構成される。中間転写ベルト6は図示しないモータの駆動で回転するローラー6Fの駆動で、矢印W2(図中、時計回り)の方向に周回移動する。ローラー6Aは二次転写ローラー11Aに対向するバックアップローラーであり、ローラー6Aと二次転写ローラー11Aとにより二次転写部7Aが形成される。ローラー6Dは後に説明するように、中間転写ベルト6のベルト面に対して揺動し、中間転写ベルト6の主走査方向(用紙搬送方向に直交する方向)に対する片寄りを修正するステアリングローラーである。ローラー6A,6B,6C,6Eは、中間転写ベルト6のベルト面に対して固定されたローラーである。
一次転写部7Y,7M,7C,7Kは、それぞれ感光体1Y,1M,1C,1Kに対向して配置され、中間転写ベルト6をそれぞれ感光体1Y,1M,1C,1Kに押圧する転写ローラー11Y,11M,11C,11Kを有する。転写ローラー11Y,11M,11C,11Kはそれぞれ、導電性のゴムからなるローラー及び転写ローラーに転写電圧を印加する電源(図示せず)を有し、一次転写部7Y,7M,7C,7Kに転写電界を形成する。また、転写ローラー11Y,11M,11C,11Kは、中間転写ベルト6の内面側(第2面側)に対してばね等で付勢された支持部材である。
トナー像形成部20Y,20M,20C,20Kにおいて、矢印W1(図中、反時計回り)の方向に回転する感光体1Y,1M,1C,1K上に形成されたトナー像は、それぞれ一次転写部7Y,7M,7C,7Kと、転写ローラー11Y,11M,11C,11Kとにより中間転写ベルト6の外周面側(第1面側)の所定位置に重ね合わせるように順次一次転写される。これにより、中間転写ベルト6上には、トナー像形成部20Y,20M,20C,20Kにおいて形成されたトナー像が重なってカラートナー像が形成される。
中間転写ベルト6は、二次転写ローラー11Aによる二次転写部7Aで用紙Pと圧接する。中間転写ベルト6上の転写されたカラートナー像は、二次転写部7Aにおいて記録材に転写される。その用紙Pに一次転写で形成されたトナー像を転写(二次転写)する。用紙P上のカラートナー像が定着部40により定着される。二次転写ローラー11Aは導電性のゴム性の転写ローラー及び該転写ローラーに転写電圧を印加する電源(図示せず)を有し、二次転写部7Aに転写電界を形成する。
ローラー6Dは、回転軸の一方の軸端を中心として回転軸の他方の軸端が中間転写ベルト6のベルト面に対して変位する揺動運動により、中間転写ベルト6の幅方向における張力の分布を調整して、中間転写ベルト6の主走査方向の片寄りを修正する。即ち、ローラー6Dの一方の軸端は固定の支持部材(図示省略)によって支持され、他方の軸端は移動可能な支持部材(図示省略)によって支持されている。移動可能な支持部材は、図示しないモータ等からなる駆動部によって移動する。駆動部は中間転写ベルト6の片寄りを検知するセンサ(図示省略)の信号によって作動して移動可能な支持部材を移動させてステアリング動作を行う。このようなステアリング機構には周知の構成を用いることができる。
[クリーニングユニット]
記録材にトナー像を転写した後の中間転写ベルト6は、クリーニングユニット9によりクリーニングされる。クリーニングユニット9は、二次転写後の中間転写ベルト6をクリーニングする機構であり、中間転写ベルト6の外周面側(第1面側)に当接して異物を除去する除去部材により、中間転写ベルト6上の転写残トナー、紙粉、潤滑剤等を掻き取り除去する。
クリーニングユニット9は、図2に示すように、中間転写ベルト6の第1面側に配置されている。クリーニングユニット9は、クリーニングブレード91と、クリーニングブラシ92と、ケーシング93とを備える。
クリーニングブレード91は、所定方向(図中時計回り)に回動する中間転写ベルト6の表面に当接し、中間転写ベルト6の表面に付着したトナーを含む異物を除去する除去部材(第1の除去部材)である。クリーニングブレード91は、中間転写ベルト6と、中間転写ベルト6のベルト面に対して固定された支持部材(第1の支持部材)であるローラー6Bとが接触している領域内で、中間転写ベルト6が屈曲している状態の第1面側に当接している。クリーニングブレード91は、中間転写ベルト6の回動方向に対してカウンター方向に、クリーニングブレード91の先端(エッジ)を中間転写ベルト6の表面に当接させている。クリーニングブレード91の材質は、例えばウレタンゴムであるが、その他任意の弾性材料を用いてもよい。
クリーニングブラシ92は、クリーニングブレード91の中間転写ベルト6の回転方向上流側に配設されている。クリーニングブラシ92はローラー形状のブラシであり、中間転写ベルト6に当接して、中間転写ベルト6の表面に付着したトナーを含む異物を除去する。
ケーシング93は、クリーニングブレード91とクリーニングブラシ92とを支持する。また、ケーシング93は、クリーニングブレード91及びクリーニングブラシ92によって除去されたトナー等を収容する。
クリーニングユニット9は、クリーニングブレード91が中間転写ベルト6のベルト面に対して接触するように弾性的に支持されている。
クリーニングブレード91は、所定の厚さを有する一方向に長い板状部材である。このクリーニングブレード91は、略直交する2辺のうち長手方向の一辺がベルト搬送方向に略直交する方向(以下「スラスト方向」ともいう。)に沿って延在し、短手方向の一辺の一方の端部側が中間転写ベルト6に接触する。
クリーニングブレード91は、例えば、厚さが2mmであり、硬度がJISK6253規格で77度である。また、クリーニングブレード91の取り付け位置は、例えば、設定角θが24°、侵入量δが1.5mm、当接圧が0.6N/cmである。ここで、設定角θは、中間転写ベルト6とクリーニングブレード91(より詳細にはその自由端側の端面)との交点におけるローラー6Bの接線と、クリーニングブレード91(より詳細にはその厚さ方向に略直交する一方の表面)とがなす角度である。
また、クリーニングブレード91の当接圧は、0.4N/cm以上、0.8N/cm以下の範囲が好ましい。当接圧が上記範囲よりも小さいと、良好なクリーニング性能が得られないことがあり、上記範囲よりも大きいと中間転写ベルト6を回転駆動するための負荷が大きくなりすぎることがある。このように設定することで、高温高湿環境下(30℃/80%)でのクリーニングブレード91の捲れやスリップ音を抑制でき、良好なクリーニング性能を得ることができる。また、このように設定することで、低温低湿環境下(15℃/10%)でのクリーニング不良を抑制して、良好なクリーニング性能を得ることができる。クリーニングブレード91の当接圧は、クリーニングブレード91から中間転写ベルト6への押圧力(長手方向における線圧)で定義され、フィルム式加圧力測定システム(商品名:PINCH,ニッタ社製)を用いて測定される。
クリーニングブレード91のゴム硬度(JISK6253規格)は、65度以上、80度以下の範囲が好ましい。ゴム硬度が上記範囲よりも低いと、使用による摩耗量が増加して、耐久性が低下することがある。また、ゴム硬度が上記範囲よりも高いと弾性力が減少して、中間転写ベルト6との摩擦により欠けなどが発生することや、クリーニング対象物に対する表面追従性の不足によるクリーニング不具合を発生することがある。
なお、クリーニングブレード91における上記の各条件は、中間転写ベルト6の材料などに応じて適宜選定することができる。
[中間転写ベルト]
次に、中間転写ベルト6の構成について説明する。図3に、中間転写ベルト6のベルト搬送方向に略直交する方向における断面図を示す。図3に示すように、中間転写ベルト6は、基層61と表面層62とを有する。中間転写ベルト6は、無端ベルト状の形状である。ここで、「無端ベルト状の形状」とは、例えば、概念的(幾何学的)には一枚の長尺のシート状物の両端部を繋ぎ合わせて形成されるようなループ状の形状を意味する。中間転写ベルト6の実際の形状としては、シームレスのベルト状又は円筒状の形状とすることが好ましい。
基層61の層厚は、機械的強度、画質、製造コストなどを考慮し、50~250μmであることが好ましい。また、表面層62の層厚は、機械的強度、画質、製造コストなどを考慮し、1~5μmであることが好ましい。
(基層)
基層61は、中間転写ベルト6を構成する基本素材であり、中間転写ベルト6に所定の剛性を付与する。また、基層61は、表面層62を積層する際の加工条件や、中間転写ベルト6を製造する際の加工作業性、耐熱性、滑り性、その他の諸物性において優れたものであることが好ましい。
基層61は、例えば、樹脂と導電性フィラーを含む。樹脂に導電性フィラーを添加することにより、基層61に導電性を付与することができ、電気的な機能を持たせることができる。
基層61に用いられる樹脂としては、公知の樹脂を用いることできる。例えば、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテル、エーテルケトン等の樹脂、ポリフェニレンスルフィドを主成分とする樹脂等が挙げられる。
これらの中では、ポリイミド、ポリアミド及びポリアミドイミドが好ましい。中でもポリイミドがより好ましく、耐熱性、耐屈曲性、柔軟性、寸法安定性等の特性に優れており、画像形成装置における中間転写ベルトなどに好適に使用されている。ポリイミドは、例えば、酸無水物とジアミン化合物からポリアミック酸(ポリイミド前駆体)を合成し、当該ポリアミック酸を熱や触媒によってイミド化することにより得られる。ポリイミドの合成に使用される酸無水物としては、特に制限されないが、例えば、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ターフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、無水ピロメリット酸、オキシジフタル酸二無水物、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
また、ポリイミドの合成に使用されるジアミン化合物としては、特に制限されないが、例えば、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノトルエン、4,4′-ジアミノジフェニルメタン、4,4′-ジアミノジフェニルエーテル、3,4′-ジアミノジフェニルエーテル、3,3′-ジメチル-4,4′-ジアミノビフェニル、2,2′-ビス(トリフルオロメチル)-4,4′-ジアミノビフェニル、3,7-ジアミノ-ジメチルジベンゾチオフェン-5,5′-ジオキシド、4,4′-ジアミノベンゾフェノン、4,4′-ビス(4-アミノフェニル)スルフィド、4,4′-ジアミノベンズアニリド、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン等の芳香族ジアミン等が挙げられる。
導電性フィラーとしては、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ等の導電性炭素系物質、アルミニウム、銅合金等の金属または合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン-酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム-酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物等が挙げられる。これらの導電性フィラーは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記導電性フィラーとしては、導電性炭素系物質であるカーボンブラックが好ましい。上記カーボンブラックは、表面を酸化処理されたものであってもよい。
また、基層61は、必要に応じて、その他の材料を含むことができる。その他の材料としては、例えば、分散剤および滑材が挙げられる。
分散剤は、特に制限されない。例えば、樹脂としてポリフェニレンサルファイド(PPS)やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を用いる場合、分散剤は、樹脂との相溶性および導電性フィラーの分散性の観点から、好ましくはエチレングリシジルメタクリレート-アクリロニトリルスチレン共重合体である
ことが好ましい。
滑材としては、例えば、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス等の脂肪族炭化水素系、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、モンタン酸等の高級脂肪酸またはその金属塩などが挙げられる。これらの滑材は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
さらに、基層61には、弾性材料を添加することもできる。弾性材料としては、例えば、ポリウレタン、塩素化ポリイソプレン、NBR、クロロピレンゴム、EPDM、水素添加ポリブタジエン、ブチルゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(表面層)
表面層62は、感光体1Y,1M,1C,1Kから転写されたトナーを担持する。表面層62の表面には、複数の局所凹部63が形成されている。
表面層62は、樹脂を含む組成物によって形成される。この組成物は、活性エネルギー線を照射することにより硬化する樹脂、いわゆる活性エネルギー線硬化性樹脂を含む活性エネルギー線硬化性組成物であることが好ましい。また、活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線硬化性樹脂として、可視光線硬化性樹脂、及び、紫外線硬化性樹脂から選ばれる1種以上の樹脂を含むことが好ましい。また、活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線硬化性樹脂とともに上述の導電性フィラーやその他の材料を含んでもよい。
表面層62を構成する樹脂としては、特に制限されず、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリシロキサン樹脂、フッ素樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂など既存の樹脂を用いることができる。特に、表面層62は、架橋型の(メタ)アクリル樹脂を含むことが好ましい。架橋型の(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、単官能(メタ)アクリルモノマー、及び、多官能(メタ)アクリルモノマーから選ばれる1種以上の(メタ)アクリルモノマーが重合した重合体を含有することが好ましい。ここで、「(メタ)アクリルモノマー」とは、アクリルモノマー又はメタクリルモノマーを意味する。
(単官能(メタ)アクリルモノマー)
単官能(メタ)アクリルモノマー(「長鎖アルキル単官能モノマー」ともいう。)は、疎水性である長鎖アルキル基と、(メタ)アクリロイル基である官能基(反応性基)とを有する。
単官能(メタ)アクリルモノマーは、炭素が12個以上連続に連結したアルキル単官能モノマーであることが、導電性フィラーの分散性の点でより好ましい。炭素数の上限値としては、25以下であることが、入手しやすく、溶解性に優れる点で好ましい。
単官能(メタ)アクリルモノマーは、分岐した構造をとっても良いが、炭素の連結数は、分子内で最長に連続した炭素鎖の連結炭素数として計算する。例えば、長鎖アルキル部位がエチルヘキシルの場合、長鎖アルキル部位の炭素数は8であるが、連続した炭素数は、炭素が6個連続に連結したアルキル単官能モノマーとして算出する。
なお、「連続に連結した」とは、炭素と炭素の結合の連続のことで、間に他の元素が入ってはならない。
単官能(メタ)アクリルモノマーに由来する構成物(成分)の含有量は、表面層の全体の体積(100体積部)に対して、1~30体積部の範囲内であることが好ましく、特に、5~20体積部の範囲内であることが好ましい。上記範囲内とすることで、導電性フィラーが良好に分散され、表面が平滑な中間転写ベルト6を得ることができる。
表面層62を構成する成分の分析方法は、一般的に用いられる方法を用いることができる。モノマーの組成比の分析方法としては、固体NMRや、成形物を加水分解後にNMRやGC-MSやLC-MSなどを用いて構造同定し、モル分率を求める手法を用いることができる。
また、各成分の体積割合の算出方法としては、上記のようにしてモル分率を求めた後に、比重をかけることで算出することができる。比重はメーカー値などの一般的な値を求めてもよい。
長鎖アルキル基の例には、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-オクチル、n-ノニル、n-デカニル、ラウリル、ミリスチル、パルミチル、セチル、ステアリル、ベヘニル、2-エチルヘキシル、イソオクチル、イソノニル、イソデカニル、イソラウリル、イソミリスチル、イソパルミチル、イソセチル、イソステアリル、2-デシルテトラデカニルなどが挙げられる。
(多官能(メタ)アクリルモノマー)
多官能(メタ)アクリルモノマーは、2官能以上の反応基を有したモノマーであり、5官能以上であることが、耐摩耗性が良好となる点で好ましい。多官能(メタ)アクリルモノマーは、モノマーの主成分とならなければならない。主成分とは、モノマーの体積割合で50%以上存在する。多官能(メタ)アクリルモノマーは、混合して用いてもよい。
多官能(メタ)アクリルモノマーとしては、公知の材料を用いることができる。例えば、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するもので、ビス(2-アクリロキシエチル)-ヒドロキシエチル-イソシアヌレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、1,10-デカンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、ジオキサングリコールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジアクリレート、アルコキシ化ビスフェノールAジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、アルコキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ウレタンアクリレートなどの2官能性単量体;トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ウレタンアクリレート、多価アルコールと多塩基酸及び(メタ)アクリル酸とから合成されるエステル(例えばトリメチロールエタン/コハク酸/アクリル酸=2/1/4モルから合成されるエステル)などの3官能以上の多官能単量体、などが挙げられるが、これに限らない。
表面層62は、他の添加剤をさらに含有していてもよい。添加剤は、例えば、硬化性組成物に添加することによって、表面層に適宜に添加される。当該他の添加物は、硬化性組成物に、表面層の製造に適当な物性を付与するために添加されてもよい。
当該他の添加剤の例には、重合開始剤、有機溶剤、光安定剤、紫外線吸収剤、触媒、着
色剤、帯電防止剤、滑剤、レベリング剤、消泡剤、重合促進剤、酸化防止剤、難燃剤、赤外線吸収剤、界面活性剤及び表面改質剤などが含まれる。
中間転写ベルト6は、例えば、上述した、単官能(メタ)アクリルモノマー及び多官能(メタ)アクリルモノマーを重合した重合体と、導電性フィラーと、必要に応じて添加物を含む表面層形成組成物を、基層上に塗布し、所定の光量となるように活性エネルギー線を照射することにより製造することができる。
表面層形成組成物には、表面層を構成する固形成分全体の体積(100体積部)に対して、5~20体積部の範囲内の単官能(メタ)アクリルモノマーを含有させることが好ましい。
(金属酸化物微粒子)
また、表面層62は、未処理の金属酸化物微粒子(以下、「未処理金属酸化物微粒子」ともいう)、及び、所定の表面修飾剤によって表面修飾が施された金属酸化物微粒子を含有することが、耐摩耗性の点で好ましい。
未処理金属酸化物微粒子は、遷移金属も含めた金属の酸化物であればよく、例えば、シリカ(酸化ケイ素)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化タンタル、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化イットリウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン、酸化セレン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化ゲルマニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化バナジウムなどが挙げられる。未処理金属酸化物微粒子は、強靱性付与及び耐久性付与の観点から、酸化チタン、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛又は酸化スズであることが好ましく、酸化アルミニウム(アルミナ)又は酸化スズであることがさらに好ましい。
未処理金属酸化物微粒子は、気相法、塩素法、硫酸法、プラズマ法、電解法などの一般的な製造方法で作製されたものを用いることができる。
未処理金属酸化物微粒子の数平均一次粒径は、1~300nmの範囲内であることが好ましく、3~100nmの範囲内であることがより好ましい。数平均一次粒径が1nm以上の場合、耐摩耗性が十分となる。また、数平均一次粒径が300nm以下の場合、分散性が良好となり、塗布液中で沈降しにくい。さらに、粒子が表面層の光硬化を阻害することなく、耐摩耗性が良好となる。
未処理金属酸化物微粒子の数平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡(日本電子製)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子は除いた)を自動画像処理解析装置(商品名:「LUZEX AP」、ニレコ社製、ソフトウェアバージョン Ver.1.32)を使用して算出した値とする。
また、表面修飾された金属酸化物微粒子を作製するための表面修飾剤は、特に限定されるものではなく、Siを含有することが好ましい。表面修飾量は、表面修飾後の金属酸化物微粒子を550℃で3時間熱処理し、その強熱残分を蛍光X線にて定量分析し、Si量から分子量換算で求められる。
表面修飾は、湿式メディア分散型装置を用いて行うことができる。湿式メディア分散型装置とは、容器内にメディアとしてビーズを充填し、さらに回転軸と垂直に取り付けられた撹拌ディスクを高速回転させることにより、金属酸化物微粒子の凝集粒子を粉砕及び分散する工程を実行できる装置である。湿式メディア分散型装置の構成は、未処理金属酸化物微粒子を十分に分散させ、かつ、表面修飾できる形式であれば特に問題はなく、例えば、縦型・横型、連続式・回分式など、種々の様式が採用できる。具体的にはサンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミルなどが使用できる。これらの分散型装置は、ボール、ビーズなどの粉砕媒体(メディア)を使用した衝撃圧壊、摩擦、剪断、ズリ応力などにより微粉砕、分散が行われる。分散型装置で用いるビーズとしては、ガラス、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、スチール、フリント石などを原材料としたボールが使用可能であるが、特にジルコニア製やジルコン製が好ましい。また、使用するビーズの大きさは、通常、直径1~2mm程度であるが、本形態においては0.3~1.0mm程度のビーズを使用することが好ましい。
湿式メディア分散型装置に使用するディスクや容器内壁には、ステンレス製、ナイロン製、セラミック製など種々の素材のものが使用できるが、ジルコニア又はシリコンカーバイドといったセラミック製の素材を採用することが好ましい。
以上のような湿式処理により、上記の表面修飾された金属酸化物微粒子を得ることができる。
以上のような金属酸化物微粒子(未処理、表面修飾)は、長鎖アルキル単官能モノマー及び多官能モノマーが重合した重合体100体積部に対して5~40体積部含まれることが好ましく、10~30体積部含まれることがより好ましい。金属酸化物微粒子の含有量が5~40体積部であれば、中間転写体の硬度が低くなり、転写性及び耐久性の低下を抑制することができる。また、表面層が脆く割れやすくなったり、製造時における塗布ムラの発生を抑制することができる。
(表面層の形状)
表面層62は、中間転写ベルト6の外周面となる表面において、点状の局所凹部を有する。局所凹部63は、深さ方向の長さが表面層62内で完結し、表面層62の下層の基層61等には到達しない。また、表面層62の表面での開口部の(長径/短径)比が3以下であり、開口部の(長径/短径)比が3を超えるような連続性のある溝等は除外される。
表面層62における局所凹部63は、以下の測定方法によって定義される。
表面層62を以下の測定条件で測定し、表面層62の三次元の形状データを取得する。そして、表面形状の三次元の形状データに対して所定のデータ処理を行った後、データの横方向(1024点方向)に平行になるように、測定データ(1視野)の中央の1か所から断面プロファイルを選び、高さ情報の曲線(断面曲線)を抽出する。そして、抽出した曲線において、連続する点における高さデータを比較することで、表面層62に形成されている局所凹部63を判定する。
(局所凹部の測定条件)
・キーエンス社製レーザー顕微鏡 VX-250
・対物レンズ150倍
・上限下限設定:手動
・明るさ設定:自動
・測定サイズ:1024点(周方向)×768点(長手方向)(96.6μm×71.3μm)
・ピッチ:0.08μm
(データ処理条件)
レーザー顕微鏡を用いた上記条件での測定により、表面層62の表面形状の三次元の形状データを表すトポグラフィー像を取得する。そして、取得したトポグラフィー像の高さデータに対して、以下のデータ処理を行う。
・傾き補正:面傾き補正自動
・フィルター:高さ情報について、3×3サイズ単純平均で1回フィルターを実行
(局所凹部の判定)
以上のデータ処理の後、レーザー顕微鏡の1視野(横1024点×縦768点)の中央で、横方向(中間転写体の周方向)に平行な向きでプロファイルを選び、高さ情報を有する1024点相当の断面曲線を取得する。この断面曲線には、抽出した1024点に相当する1024個の高さデータが含まれている。なお、周方向は中間転写体の搬送方向と平行な方向であり、長手方向は円筒状の中間転写体の軸方向と平行な方向である。
取得した断面曲線において、連続する5点x1、x2、x3、x4、x5を抽出し、抽出した各点xの高さデータを、それぞれy1、y2、y3、y4、y5(μm)とする。なお、x方向の点の間隔は、92.8nm間隔である。
抽出した5点x1、x2、x3、x4、x5について、各点の高さデータが次の式(1)~(4)の関係を満たす場合に、x3の位置を「局所凹部」として認定する。
・y2≦y1-0.01 ・・・式(1)
・y3≦y2-0.01 ・・・式(2)
・y4≧y3+0.01 ・・・式(3)
・y5≧y4+0.01 ・・・式(4)
上記の式では、x2地点の高さ(y2)がx1地点の高さ(y1)よりも0.01μm以上低く、さらに、x3地点の高さ(y3)がx2地点の高さ(y2)よりも0.01μm以上低いことを示す。また、x4地点の高さ(y4)がx3地点の高さ(y3)よりも0.01μm以上高く、さらに、x5地点の高さ(y5)がx4地点の高さ(y4)よりも0.01μm以上高いことを示す。
従って、上記の式(1)~(4)を満たす場合には、x1~x5の地点において、x1地点からx3地点まで連続して高さが低下し、x3地点からx5地点まで連続して高さが上昇する。即ち、上記の式(1)~(4)を満たす場合には、x3地点を境に高さが下降から上昇に転じ、x3地点が局所凹部の凹部ピークとなる。
次に、1つの断面曲線の全範囲(1024箇所の点)において、上記の判定を行い、断面曲線に含まれる局所凹部(凹部ピーク)の数をカウントする。さらに、異なる位置(視野)において、レーザー顕微鏡の1視野(横1024点×縦768点)から断面曲線(1024点相当)を取得して、上記と同様の方法で、断面曲線のに含まれる局所凹部の数をカウントする。
このような複数個所の視野において断面曲線を取得し、この断面曲線のに含まれる局所凹部の数をカウントする処理を複数回、好ましくは、10個の視野(N=10)において行うことにより、すべての視野内で検出された局所凹部の合計カウント数を求める。
なお、表面層62の凹部がランダムに存在する(長径/短径)比が3以下の局所凹部のピークか、(長径/短径)比が3を超える連続性のある溝ピークかの判断は、例えば、等高線図のデータを表示し、これの解析することにより行うことができる。
(局所凹部の平均間隔L)
上述の方法で全視野内の局所凹部(凹部ピーク)の合計カウント数を求めた後、合計カウント数を全視野の合計幅(例えば、上記条件では966μm)で割り算することにより、局所凹部の平均間隔をL(μm)を求めることができる。
中間転写ベルト6の表面層62において、局所凹部の平均間隔L(μm)は、0.5μm以上、100μm以下である。
局所凹部の平均間隔Lを上記範囲内とすることにより、上述のようにクリーニングブレードに一定以上の強度で加わる「上下方向の衝撃振動」の周波数(Hz)を、1000Hz以上200000Hz以下とすることができる。
周波数を200000Hz以下とすることにより、この周波数に相当するtanδの値を小さくすることができ、クリーニングブレード91を構成する弾性部材おける損失弾性率を小さくすることができる。従って、動トルクを低減することができる。
また、周波数を1000Hz以上とすることにより、表面層62とクリーニングブレード91とが真接触となる状態を防ぐことができ、静止摩擦係数の上昇を抑制することができる。この結果、画像形成装置の駆動の開始時の表面層62とクリーニングブレード91との当接状態を安定させ、クリーニングブレードのめくれ等を抑制することができる。
また、局所凹部の平均間隔L(μm)は、2μm以上75μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましい。上記範囲内とすることにより、動トルクの深刻な悪化や、クリーニングブレード91による鳴きやめくれ等を抑制することができる。
上述の説明では、局所凹部を平均間隔L(μm)で規定しているが、局所凹部は中間転写ベルト6を回転駆動させた際の出現頻度で規定することもできる。即ち、中間転写ベルト6において表面層62に形成される局所凹部は、中間転写ベルト6の回転方向における出現頻度が、5μ秒以上1m秒以下であることが好ましく、20μ秒以上500μ秒以下であることがより好ましい。この出現範囲であると、クリーニングブレード91の上下方向の衝撃振動の周波数(Hz)を、1000~200000Hz程度とすることができる。
(弾性層)
中間転写ベルト6は、基層61と表面層62との間に弾性体で構成される弾性層を有していてもよい。弾性層は、公知の構成のものを使用できる。弾性層は、弾性体よりなり、その構成材料としては、例えば、ゴム、エラストマー、樹脂などが挙げられる。特に、架橋系のゴム材料が含有されることが、圧縮永久歪みなどの観点から好ましい。
架橋系のゴム材料としては、例えば、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、エピクロルヒドリンゴム(ECO)などが挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いてもよい。
弾性層の層厚は、機械的強度、画質、製造コストなどを考慮し、200~500μmであることが好ましい。
[中間転写ベルトの製造方法]
以上のような構成を有する中間転写ベルトの製造方法については、特に限定されないが、例えば、以下の方法で作製することができる。なお、以下の製造方法において使用する原料やその含有量等は、前述のとおりである。
(工程1)樹脂、及び、必要に応じて導電性フィラーを含む、基層形成組成物を押出成形して基層61を形成する(基層の形成工程)。
(工程2)樹脂及び導電性フィラーを含む表面層形成組成物を、工程(1)で得られた基層61の外面に形成し、表面層62を形成する(表面層の形成工程)。
以下、各工程について説明する。
(工程1;基層の形成工程)
例えば、ポリアミド樹脂を含む基層61は、ポリアミド樹脂、導電性フィラー及び導電剤、必要に応じて無機フィラーを含む基層形成組成物を押出成形することによって製造することができる。例えば、次のようにして製造できる。基層61としてポリイミド樹脂を用いる場合はその前駆体であるポリアミック酸溶液を用いることもできる。
まず、ポリアミド樹脂、導電性フィラー等を混合し、基層形成組成物を調製する。これらの材料の混合には、公知の混合機を適用可能であり、例えば二軸押出機を用いることができる。二軸押出機を用いる場合、バレル温度約160~250℃で加熱混練して十分に分散混合することが好ましい。
次に、上記基層形成組成物について、押出成形を行う。押出成形には、公知の押出成形方法を適用でき、例えば単軸押出機と押出成型用のサーキュラーマンドレルダイを用いることができる。得られる基層61の厚さは、サーキュラーマンドレルのリップ幅及び押出成型条件を適宜設定して調節することができる。吐出後のチューブの形状を精度よく保持するために、ダイ出口にエアーリング等のマンドレルを使用してもよい。また、二軸押出機の先端にサーキュラーマンドレルダイを設置することにより、一度に無端ベルトを成形することも可能である。押出成形により、基層61は連続したチューブとして得られるので、中間転写ベルトとして使用する場合には、必要な幅で切断(横断)して使用できる。
(工程2:表面層の形成工程)
まず、単官能(メタ)アクリルモノマーや、多官能(メタ)アクリルモノマーを重合した重合体(活性エネルギー線硬化性樹脂)と、必要に応じて導電性フィラーや添加物とを含む表面層形成組成物(活性エネルギー線硬化性組成物)を調製する。
表面層形成組成物中には必要に応じて、有機溶剤、光安定剤、紫外線吸収剤、触媒、着色剤、帯電防止剤、滑剤、レベリング剤、消泡剤、重合促進剤、酸化防止剤、難燃剤、赤外線吸収剤、界面活性剤、表面改質剤などの添加成分を含ませることができる。
有機溶剤は表面層形成組成物の均一溶解性、分散安定性、さらには無端ベルト状基体との密着性および被膜の平滑性、均一性などの面から、表面層形成組成物中に配合して用いられ、有機溶剤として特に限定されるものではなく、上記性能を満足するものであればよい。具体的には、アルコール系、炭化水素系、ハロゲン化炭化水素系、エーテル系、ケトン系、エステル系、多価アルコール誘導体などの有機溶剤を挙げることができる。
表面層形成組成物の調製方法としては、例えば、活性エネルギー線硬化型組成物および表面処理が施された導電性フィラーを溶剤に固形分濃度3~10質量%の割合で添加し、例えば湿式メディア分散型装置により分散する方法が挙げられる。湿式メディア分散型装置としては、例えば、縦型・横型、連続式・回分式など、種々の様式が採用できる。具体的にはサンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミルなどが使用できる。これらの分散型装置は、ボール、ビーズなどの粉砕媒体(メディア)を使用して衝撃圧壊、摩擦、専断、ズリ応力などにより微粉砕、分散が行われる。
分散型装置で用いるビーズとしては、ガラス、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、スチール、フリント石などを原材料としたボールが使用可能であるが、特にジルコニア製やジルコン製のものが好ましい。また、ビーズの大きさとしては、通常、直径1mmから2mm程度のものを使用するが、0.3mmから1.0mm程度のものを用いるのが好ましい。
湿式メディア分散型装置に使用するディスクや容器内壁には、ステンレス製、ナイロン製、セラミック製など種々の素材のものが使用できるが、特にジルコニアまたはシリコンカーバイドといったセラミック製のディスクや容器内壁が好ましい。
分散の終点は、分散液を、PETフィルム上にワイヤーバーで塗布した液を自然乾燥後、405nmの光透過率の1時間前との変化率が3%以下となる分散状態が好ましい。さらに望ましくは、1%以下が好ましい。
以上の様な分散処理により、表面層形成組成物を得ることができる。
表面層形成組成物に含有される重合開始剤は、光などの活性エネルギー線によって活性エネルギー線硬化型組成物を重合させることができるものであれば特に限定されずに用いることができる。
重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、硫黄化合物、アゾ化合物、パーオキサイド化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、オキシムエステル系化合物などの光重合開始剤を用いることができる。
具体的には、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アセトイン、ブチロイン、トルオイン、ベンジル、ベンゾフェノン、p-メトキシベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、α,α-ジメトキシ-α-フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4’-ビス(ジメチルアミノベンゾフェノン)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドなどの硫黄化合物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス-2,4-ジメチルバレロなどのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイドなどのパーオキサイド化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイドなどのホスフィンオキサイド系化合物;1,2-オクタンジオン,1-[(4-フェニルチオ)フェニル]-,2-(O-ベンゾイルオキシム)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)などのオキシムエステル系化合物などが挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらのうち、光安定性、光開裂の高効率性、表面硬化性、硬化樹脂との相溶性、低揮発性および低臭気性、無機フィラー含有の場合における反応性の高さの観点から、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド、1,2-オクタンジオン,1-[(4-フェニルチオ)フェニル]-,2-(O-ベンゾイルオキシム)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)を用いることが好ましい。
表面層形成組成物における重合開始剤の含有割合は、1~10質量%であることが好ましく、硬化性に優れ、得られる特定の表面層62に十分な硬度が得られながら基層61への高い密着性が得られるという理由から、2~8質量%であることがより好ましく、3~6質量%であることがさらに好ましい。
表面層形成組成物は、塗布性(作業性)が良好となるという理由から、溶剤を含有することが好ましい。
溶剤としては、具体的には、例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが挙げられる。
表面層形成組成物の粘度は、10~100cP(0.01~0.1Pa・s)であることが好ましい。
表面層形成組成物の固形分濃度は、3~10質量%であることが好ましい。なお、表面層形成組成物において、固形分は、導電性フィラー、並びに、多官能(メタ)アクリレート、ポリウレタンアクリレートおよび低表面エネルギー基を有する重合性成分を含む。
次に、調整した表面層形成組成物を、基層61上に塗布する。具体的には、基層61の外面に表面層形成組成物をコーティングする。コーティング方法としては、公知のスプレーコート法、ディップコート法及びフローコート法等のいずれを用いても良い。
次に、基層61上に塗布した表面層形成組成物に対して、所定の光量となるように活性エネルギー線を照射し、表面層形成組成物を硬化させる。活性エネルギー線の照射は、表面層形成組成物の組成、開始剤の種類等に応じて、使用する活性エネルギー線の波長や強度を選択する。
活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、γ線などで、活性エネルギー線硬化性樹脂を活性化させるエネルギー源であれば制限なく使用できるが、可視光線、紫外線、電子線が好ましい。特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で可視光線、又は、紫外線が好ましく、特に紫外線が好ましい。紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れも使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプなどを用いることができる。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプまたはシンクロトロン放射光なども用いることができる。スポット状の活性エネルギー線を照射するには紫外線レーザーを使用することが好ましい。
また、電子線も同様に使用できる。電子線としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器から放出される50keVから1000keV、好ましくは100keVから300keVのエネルギーを有する電子線を挙げることができる。
照射条件はそれぞれの光源によって異なるが、照射光量は、硬化ムラ、硬度、硬化時間、硬化速度などを考慮し、100mJ/cm以上が好ましく、さらに好ましくは、120~200mJ/cmであり、特に好ましくは、150~180mJ/cmである。
照射光量は、UIT250(ウシオ電機(株)製)で測定した値を示す。
活性エネルギー線の照射時間は0.5秒間から5分間が好ましく、硬化効率、作業効率などからさらに好ましくは、3秒間から2分間である。
活性エネルギー線照射時の雰囲気は、空気雰囲気で問題なく硬化可能であるが、硬化ムラ、硬化時間などを考慮すると雰囲気中の酸素濃度は、5%以下、特に1%以下であることが好ましい。該雰囲気にするには窒素ガスなどを導入することが有効である。
酸素濃度は、雰囲気ガス管理用酸素濃度計「OX100」(横河電機(株)製)で測定することができる。
さらに、オーブン等の加熱炉に入れ、表面層塗液の溶媒を乾燥させることにより、基層61上に表面層62を定着させる。例えば、乾燥処理は、重合性成分の重合の前後、およびその重合中のいずれにおいて行われてもよく、これらを組み合わせて適宜選択することができる。具体的には、表面層形成組成物の塗膜の流動性がなくなる程度まで一次乾燥した後、重合性成分の重合を行い、その後、さらに表面層中の揮発性物質の量を規定量にするために二次乾燥を行うことが好ましい。
塗膜の乾燥方法は、溶剤の種類、形成すべき表面層の層厚などよって適宜選択することができるが、乾燥温度は、例えば40~100℃であることが好ましく、より好ましくは60℃程度である。乾燥時間は、例えば1~5分間であることが好ましく、より好ましくは3分間程度である。
(局所凹部の調整方法)
中間転写ベルト6において、表面層62が(メタ)アクリル樹脂によって形成される場合は、例えば熱可塑性樹脂の場合に比べて局所凹部ができやすく、上記の規定値以上の局所凹部63が形成されやすい。(メタ)アクリル樹脂に局所凹部ができるメカニズムとしては、下記の(1)~(6)で説明するように、複数のメカニズムが考えられる。
(1)~(3)は、(メタ)アクリル樹脂の効果反応に起因する局所凹部の発生メカニズムである。(4)は、表面層形成組成物の塗布方式に起因する局所凹部の発生メカニズムである。(5)、(6)は、画像形成装置や中間転写ベルト6の構成に起因する局所凹部の発生メカニズムである。
即ち、下記の各条件を調整することにより、局所凹部の発生数を制御することができる。これにより、表面層62に形成される局所凹部の形態を上記規定内に調整することができる。
(1)(メタ)アクリル樹脂は、硬化反応によって結合角が変わる構成であり、しかも、モノマー時に比べて結合距離が短くなる(収縮する)構成である。このため、硬化後の(メタ)アクリル樹脂は、内部の結合ひずみができやすい。内部の結合ひずみの程度が大きい部分において、局所凹部が発生しやすい。さらに、結合ひずみが発生している部分は、中間転写ベルト6のハンドリング時の応力や、中間転写ベルト6の曲げによる応力によって結合が切れてしまうため、微細なクラック化により局所凹部が発生しやすい。
(2)(メタ)アクリル樹脂は、硬化反応によって、原材料のC=C結合のうちで、特にπ結合が切断され、代わりにσ結合が形成される特徴から、炭素原子に関する結合角が変わる構成であり、しかも、モノマー時に比べて結合距離が短くなる(収縮する)構成である。このため、例えば、金型等によって表面粗さを制御する方法や、ディンプル加工による表面粗さの制御を行う方法を適用しても、硬化後の(メタ)アクリル樹脂では、結合収縮によって狙い通りの粗さ形状を再現することが難しい。すなわち、局所凹部が形成される。
(3)(メタ)アクリル樹脂を活性エネルギー線を用いて硬化させる場合、硬化反応が常温近傍で進行し、熱硬化反応に比べて極めて速い速度(秒~分オーダー)で反応するため、内部の結合ひずみを緩和するためのエージング機構が働きにくい。このため、わずかな結合ひずみの悪化であっても、局所凹部が発生しやすい。
(4)塗布液方式の場合には、塗布液が乾燥するときの(メタ)アクリル樹脂の挙動のずれによって、目視不可能なレベルのゆず肌(凹凸面)が発生する。この凹凸面が局所凹部の原因になることがある。
(5)画像形成装置において、中間転写ベルト6は、少なくとも2本のローラーによって張られた構成が採用されている。このような構成では、中間転写ベルト6がローラーと接する部分において、中間転写ベルト6の外周側、即ち表面層62側が引き伸ばされるような外力が加わる。このため、わずかな「局所凹部」であっても、中間転写ベルト6の使用開始からの時間経過によって局所凹部が拡大する。
(6)画像形成装置において、中間転写ベルト6にクリーニングブレード91を設置する構成では、クリーニングブレード91の当接力の設定の都合から、中間転写ベルト6とローラーとが接する範囲内に、クリーニングブレード91が当接するように配置される。
この構成の場合、クリーニングブレード91の当接力が、表面層62を外側から剪断する圧力として作用する。このため、中間転写ベルト6の使用開始からの時間経過によって局所凹部が拡大する。
上記で説明したような局所凹部の数は、以下の方法を用いて制御、又は、調整することができる。ただし、初期的な局所凹部を完全になくすことは、製造コストの問題だけでなくて、表面粗さが皆無な状態に限りなく近づいた構成を意味する。このため、静止摩擦係数が大きくなりすぎることによって初期トルクが増加するおそれがある。したがって適切な範囲となるように、局所凹部の数を調整することが重要である。
(方法1)
形成された局所凹部に対し、適切な表面研磨を行うことにより、局所凹部の数を制御する(減少させる)ことができる。例えば、ダイヤモンド、シリコンカーバイド、アルミナなどの研磨剤を用いて、乾式または湿式で研磨をすることにより、局所凹部の数を調整することができる。乾式研磨を行うには、例えば、ラッピングフィルム(住友スリーエム社)などの商品を用いる方法で行うことができる。湿式研磨を行うには、研磨剤のナノ粒子を含んだ分散液を用いる方法で行うことができる。
表面研磨を行う方法は、初期的な局所凹部のすべて、すなわち上記(1)~(6)のメカニズムで発生した局所凹部の調整に対応することができる。初期的な局所凹部の数を低減することができるため、結果として耐久による局所凹部の増加速度も低減させることができる。
(方法2)
硬化反応の速度が、実用上可能な範囲でなるべく遅くなるように、材料および硬化条件の選定を工夫する。例えば、立体障害の大きい2官能以上のモノマーを併用すれば、反応速度を遅くすることができる。硬化反応が遅ければ、硬化によるひずみの蓄積が少なくなるため、上記(1)~(3)のメカニズムで発生する局所凹部の発生を制御することできる。初期的な硬化ひずみが少なくなるので、上記(5)~(6)のメカニズムで発生する耐久履歴による局所凹部の増加速度も抑制される。
(方法3)
硬化反応を行う雰囲気の温度を常温より高く設定する。この方法では、多少ではあるがエージング機構が働き、硬化によるひずみの蓄積が少なくなり、上記(1)~(3)のメカニズムで発生する局所凹部の発生を制御することできる。初期的な硬化ひずみが少なくなるので、上記(5)~(6)のメカニズムで発生する耐久履歴による局所凹部の増加速度も抑制される。
雰囲気の温度を高く設定するのと同時に、硬化に用いるエネルギー光線の波長に関する吸光係数の大きい顔料を併用してもよい。この場合にも、上記と同様の効果を得ることができる。
(方法4)
表面層62の厚さを、2μm以下に調整する。厚さを調整することにより、表面層62の内部ひずみが小さくなり、上記(1)~(3)のメカニズムで発生する局所凹部の発生を制御することできる。初期的な硬化ひずみが少なくなるので、上記(5)~(6)のメカニズムで発生する耐久履歴による局所凹部の増加速度も抑制される。ただし、表面層62の厚さが薄過ぎ、例えば1μm未満の場合には、表面層62による耐久性増加の効果が損なわれる恐れがあるため、耐久性を損なわない厚さに制御することが好ましい。
(方法5)
ゆず肌の発生を抑制するために、主溶媒と類似の極性を持ち、主溶媒より10~30℃沸点の高い副溶媒を、全溶媒に対して3~30%の体積で含有させた溶媒を用いる。このような溶媒を用いることにより、溶媒蒸発速度が適度に調整され、ゆず肌の発生を抑制することができる。ゆず肌を抑制することにより、上記(4)のメカニズムで発生する局所凹部の発生を制御することできる。また、初期的な局所凹部の発生数が抑制されるので、上記(5)~(6)のメカニズムで発生する耐久履歴による局所凹部の増加速度も抑制される。
(方法6)
中間転写ベルト6の構成の途中に水平のバックアップ部材を配置することにより、クリーニングブレード91の当接位置を、中間転写ベルト6が屈曲している位置ではなく、中間転写ベルト6が水平に配置された位置にする。これにより、上記(5)~(6)のメカニズムで発生する局所凹部の拡大を抑制することができる。
実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〈1.基材の作製〉
[基層(1)の製造方法:PPS(ポリフェニレンサルファイド)]
まず、下記の材料を準備した後、各材料を130℃で8時間乾燥した。
・ポリフェニレンサルファイド(「E2180」、東レ社製):100体積部
・導電フィラー(カーボンブラック(「ファーネス#3030B」、三菱ケミカル社製):16体積部
・グラフト共重合体(「モディパーA4400」、日油社製):1体積部
・滑材(モンタン酸カルシウム):0.2体積部
乾燥終了後、上記材料を単軸押出機に投入し、溶融混練して樹脂混合物とした。単軸押出機の先端にはスリット状でベルト形状の吐出口を有する環状ダイスが取り付けてあり、混練された上記樹脂混合物を、ベルト形状に押し出した。押し出されたシームレスベルト形状の樹脂混合物を、吐出先に設けた円筒状の冷却筒に外挿させて冷却し、固化することによりシームレス円筒状の基材を得た。得られた基材は、厚さ120μm、周長750mm、幅359mmであった。以上の方法により、シームレス円筒状(無端ベルト状)の中間転写ベルトの基層(1)を作製した。
[基層(2)の製造方法:PI(ポリイミド)]
3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp-フェニレンジアミン(PDA)とからなるポリアミド酸のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶液(「ユーワニスS」、宇部興産社製、固形分18質量%)に、乾燥した酸化処理カーボンブラック(「SPECIAL BLACK4」、Degussa社製、pH3.0、揮発分14.0%)をポリイミド系樹脂固形分100質量部に対して、23質量部になるよう添加した。得られた混合物を2分割し、次に、衝突型分散機「GeanusPY」(シーナス製)を用い、圧力200MPa、最小面積が1.4mmで衝突させて混合し、この分割と混合をさらに6回繰り返してカーボンブラック入りポリアミド酸溶液を得た。
得られたカーボンブラック入りポリアミド酸溶液を円筒状金型の内周面に、ディスペンサーを介して0.5mmに塗布し、当該金型を1500rpmで15分間回転させて、均一な厚さを有する上記溶液の展開層を作製した。さらに上記金型を250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間当て、次に、当該金型を150℃で60分間加熱した。次に、2℃/分の昇温速度で360℃まで昇温し、さらに360℃で30分間加熱して、溶媒の除去、脱水閉環、その際に生成した水の除去、およびイミド転化反応の完結を図った。その後、金型を室温まで冷却し、生成した樹脂製のベルトを金型の内周面から剥がした。以上の方法により、厚さ100μm、周長750mm、幅359mmの無端ベルト状のPI製の基層(2)を作製した。
[基層(3)の製造方法:PAI(ポリアミドイミド)]
ポリアミドイミドワニス(「バイロマックス(登録商標)HR-11NN」、東洋紡株式会社製)963.86gと、カーボンナノファイバー分散液(「AMC(登録商標)」、宇部興産株式会社製)36.145gとを混合し、数回分に分けて自転公転ミキサー(「AR-250」、株式会社シンキー製)で脱泡して、塗布液を作製した。上記ポリアミドイミドワニスの溶媒はNMPであり、含まれるポリアミドイミド樹脂の重量平均分子量は7.2万であり、含まれるポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は1.9万である。また、上記カーボンナノファイバー分散液の分散質(カーボンナノファイバー)の濃度は5.0質量%であり、分散媒はNMPであり、カーボンナノファイバーの平均粒径は11nmである。
得られた塗布液を、円筒状の金型の外周面にディスペンサーで塗布後、回転させ均一な塗膜を得た。金型の外側より60℃の熱風を30分間当て、次に、当該金型を150℃で60分間加熱し、次に、250℃で60分間焼成した。その後、2℃/分の速度で上記金型を室温(25℃)まで冷却し、生成した樹脂製のベルトを金型から剥がした。以上の方法により、厚さ80μm、周長750mm、幅359mmの無端ベルト状のPAI製の基層(3)を作製した。
〈2.表面層を作るための塗布液の作製〉
[表面層を作るための塗布液の作成方法:フィラーの表面処理]
(フィラー(1)の表面処理)
まず、フィラー(1)として、酸化チタン(MT-150B、テイカ社製)を準備した。そして、フィラー(1)粒子100体積部と、シランカップリング剤KBM-503(信越化学工業株式会社製)40体積部と、トルエンとメタノールをこの順での体積比1:2で混合した混合液400体積部とを混合し、湿式メディア分散型装置を使用して90分間分散した。次に、上記混合液を除去し、得られた粉体を150℃で10分間乾燥した。以上の方法により、表面処理されているフィラー(1)を得た。
(フィラー(2)の表面処理)
まず、フィラー(2)として、チタンブラック(13M-T、三菱マテリアル電子化成社製)を準備した。そして、フィラー(2)粒子100体積部と、シランカップリング剤KBM-503(信越化学工業株式会社製)25体積部と、トルエンとメタノールをこの順での体積比1:2で混合した混合液400体積部とを混合し、湿式メディア分散型装置を使用して120分間分散した。次に、上記混合液を除去し、得られた粉体を150℃で10分間乾燥した。以上の方法により、表面処理されているフィラー(2)を得た。
(フィラー(3)の表面処理)
まず、フィラー(3)として、酸化スズ(S-2000、三菱マテリアル電子化成社製)を準備した。そして、フィラー(3)粒子100体積部と、シランカップリング剤KBM-503(信越化学工業株式会社製)15体積部と、トルエンとメタノールをこの順での体積比1:2で混合した混合液400体積部とを混合し、湿式メディア分散型装置を使用して90分間分散した。次に、上記混合液を除去し、得られた粉体を150℃で10分間乾燥した。以上の方法により、表面処理されているフィラー(3)を得た。
[表面層形成組成物の作製方法:塗布液の作製]
(塗布液(1)の作製)
以下のように、モノマー、フィラー、溶媒などの組成材料の配合を行い、モノマー、フィラー、溶媒が混合した状態で超音波ホモジナイザー(US-150E、日本精機製作所製)によるフィラーの分散を行い、塗布液(1)を作製した。
・ジペンタエリスリトールヘキサ(プロピレンオキソド変性)アクリレート:10質量部
・ジオキサングリコールジアクリレート:27.5質量部
・1,9-ノナンジオールアクリレート:5質量部
・4-tert-ブチルシクロヘキシルアクリレート:3質量部
・Irgacure OXE002:2.5質量部
・Omnirad TPO H:1質量部
・フィラー(1):44質量部
・フィラー(2):6質量部
・メチルイソブチルケトン:140質量部
・2-ペンタノン:40質量部
・1-メトキシ-2-プロパノール:20質量部
(塗布液(2)の作製)
以下のように、モノマー、フィラー、溶媒などの組成材料の配合を行い、モノマー、フィラー、溶媒が混合した状態で超音波ホモジナイザー(日本精機製作所製 US-150E)による分散を行い、塗布液(2)を作製した。
・ジペンタエリスリトールヘキサ(カプロラクトン変性)アクリレート(DPCA-60、日本化薬社製):12質量部
・2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジアクリレート:22質量部
・ポリエチレングリコール(400)ジメタクリレート:6質量部
・2-エチルヘキシルアクリレート:3.5質量部
・Irgacure OXE002:2.5質量部
・Omnirad 369E:1.5質量部
・Karayad EPA(日本化薬社製):0.5質量部
・フィラー(1):44質量部
・フィラー(3):8質量部
・メチルエチルケトン:150質量部
・2-ペンタノン:25質量部
・2-ブタノール:25質量部
(塗布液(3)の作製)
以下のように、モノマー、フィラー、溶媒などの組成材料の配合を行い、モノマー、フィラー、溶媒が混合した状態で超音波ホモジナイザー(US-150E、日本精機製作所製)による分散を行い、塗布液(3)を作製した。
・ジペンタエリスリトールヘキサ(エチレンオキシド変性)アクリレート(DPEA-12、日本化薬社製):38質量部
・ラウリルアクリレート:2.5質量部
・Irgacure OXE002:4質量部
・Karayad EPA(日本化薬社製):0.5質量部
・フィラー(3):55質量部
・2-ペンタノン:180質量部
・メチルエチルケトン:20質量部
〈3.中間転写ベルトの作製〉
上述の基層(1)~(3)、及び、塗布液(1)~(3)を用いて、下記の方法で試料1~12の中間転写ベルトを作製した。
[中間転写ベルトの作製:試料1]
基層(1)の表面に対し、コロナ放電装置(春日電機社製)を用いて表面の親水化処理を行い、表面の純水接触角を30°以上50°以下の範囲内に収束させた。純水接触角の確認条件は下のとおりである。
・環境:室温(23℃)、相対湿度65%
・装置:接触角計(製品名:「CA-D型」、協和界面科学株式会社製)
・方法:ランダムに5点を選んで測定を行い、5点の測定値の平均値を接触角とする。
次に、基材(1)の外周面上に表面層形成組成物の塗布液(1)を、浸漬塗布方法(塗布液(循環)供給量:1L/分)によって、乾燥膜厚が3.4μmとなるように塗布し、表面層形成組成物の塗膜を形成した。次に、形成した塗膜を40℃、5分間の熱風乾燥により乾燥させた後、塗膜に活性エネルギー線として紫外線を下記の照射条件で照射し、塗布液(1)中のモノマーをラジカル重合させた。以上の方法により、塗膜が当該重合によって硬化した一体物で構成されている表面層(1)を基層(1)上に有する中間転写ベルトを作製した。なお、紫外線の照射は、光源を固定し、樹脂基層の外周面上に塗膜が形成された前駆体を周速度60mm/秒で回転しながら行った。
(紫外線の照射条件)
・光源の種類:365nm LED光源(SPX-TA;アイグラフィックス社)
・照射口から塗膜の表面までの距離:30mm
・雰囲気:窒素(酸素濃度 200ppm以下)
・照射光量:3.3J/cm
・照射時間(前駆体の回転時間):240秒間
次に、形成した中間転写ベルトの表面層に対し、下記の(1)~(6)の順番で研磨を行い、表面粗さの制御を行った。このようにして、試料1の中間転写ベルトを作製した。
(1)アルミナ粒子含有ラッピングフィルム(スリーエム社研磨フィルム #4000)
(2)ダイヤモンドラッピングフィルム(スリーエム社研磨フィルム #7000)
(3)ダイヤモンドラッピングフィルム(スリーエム社研磨フィルム #10000)
(4)多結晶ダイヤモンドスラリー(1次粒径100nm)
(5)多結晶ダイヤモンドスラリー(1次粒径50nm)
(6)ナノダイヤモンドスラリー(1次粒径5nm)による仕上げ研磨を実施
上記において研磨材の切り替えは、いずれの場合も、研磨15分おきに表面層の確認を行い、表面層の表面形状(表面粗さ)に変化がなくなっていることを確認した後に行った。最終的に表面粗さの変化がなくなったのを確認し、試料1の中間転写ベルトの完成を判断した。
[中間転写ベルトの作製:試料2~12]
上述の試料1の中間転写ベルトと同様の方法を用いて、使用する基層(1)~(3)及び塗布液(1)~(3)を、表1に示す組み合わせとして、試料2~12の中間転写ベルトを作製した。
〈評価方法〉
上記方法で作製した試料1~12の中間転写ベルトについて、下記の方法で局所凹部の確認、表面粗さの測定を行った。さらに、下記の方法で劣化加速試験を行った後、駆動トルクの評価、及び、クリーニング性の評価を行った。
[表面層の局所凹部の確認]
作成した試料1の中間転写ベルトについて、表面層の局所凹部の確認を行った。
中間転写ベルトの表面層の表面に対し、任意の10か所(N=10)の視野においてレーザー顕微鏡による計測を行い、計測結果に基づいて局所凹部の平均個数をカウントした。レーザー顕微鏡の計測条件、カウント条件は以下の通りである。
(レーザー顕微鏡の計測条件)
・装置:キーエンス社製レーザー顕微鏡 VX-250
・対物レンズ倍率:150倍
・上限下限設定:手動(高さ成分をその都度確認してから設定)
・明るさ設定:自動
・測定サイズ:1024点(周方向)×768点(円筒状の中間転写体の長手方向)
・ピッチ:0.08μm
(局所凹部計測のための事前のデータ処理条件)
・傾き補正:面傾き補正自動
・フィルター:高さ情報について、3×3サイズ単純平均で1回フィルターを実行
以上の処理の後、横方向(周方向)にプロファイルを選び、レーザー顕微鏡の中央の視野で、合計1024点の断面曲線を得て、次のように判定した。
断面曲線は、(x1,)(x2,)、・・・、(x1024,1024)のように、横方向に等間隔で1024組の座標データから成り立っている。
n(nは、1以上1024以下の整数)番目の位置の座標情報(xn,)から、n+4番目までの座標情報(xn+4,n+4)における高さ情報の値のy、yn+1、yn+2、yn+3、yn+4(単位nm)に注目したときに、次の(1)~(4)関係が成り立つ場合、xn+2位置に「局所凹部」が存在するものと認定する。
(1)yn+1≦y-0.01
(2)yn+2≦yn+1-0.01
(3)yn+3≧yn+2+0.01
(4)yn+4≧yn+3+0.01
最終的に、上記方法でランダムに存在する凹部ピークについて注目して局所凹部の数をカウントし、N=10(10視野で各1通りの、合計10通りの断面曲線)で判定する。ランダムに存在する凹部ピークか、連続性のある溝ピークかどうかについては、次のように判定した。
すなわち、今回計測に用いたレーザー顕微鏡では、1024×768点相当の範囲における高さデータについて、等高線図を表示をすることができる。この表示をもとに、今回計測した凹部ピークが、長軸/短軸比が3以下のランダムに存在する独立した凹部ピークであるか、溝状の連続凹部(長軸/短軸比が3を超える)であるのかを確認した。
(局所凹部の平均間隔L)
次に、局所凹部の数を10視野で合計して、最後に、10視野の合計の幅(966μm)で割り算することにより、局所凹部の相互の平均距離を算出することができる。
[表面粗さ計による表面粗さ計測]
中間転写体の表面層の表面において、任意の5点を抽出し、回転方向に沿った表面粗さの計測を下記の条件で行い、表面層の算術平均粗さ(Ra)、及び、十点平均粗さ(RzJIS)を測定した。
(粗さ測定条件)
・装置:東京精密社製 サーフコム1400D
・粗さ規格:JIS-‘01規格準拠
・測定長さ:8.0mm
・カットオフ波長:0.08mm
・測定レンジ:±64.0μm
・測定速度:0.15mm
・粗さ測定で用いた針の針先の直径:2μm
[劣化加速試験]
Bizhub C658(コニカミノルタ製)において、純正の中間転写ユニットに装着されている中間転写ベルトを、試料1~12の各中間転写ベルトに取り換え、さらに、クリーニングブレードを装着しない構成にした以外は、純正の装置と同様に組み立てを行い、各試料の劣化加速用の中間転写ユニットを作製した。
次に、Bizhub C658(コニカミノルタ製)と同等の構成を有する、中間転写テスターを作製した。中間転写テスターは、試料1~12の中間転写ベルトを含んだ劣化加速用の中間転写ユニットを装着し、20℃50%RHの環境において、中間転写ベルトの表面の移動速度が600mm/秒になるように駆動を開始して、60分間連続で回転を行った。
[評価1:駆動トルクの評価]
Bizhub C658(コニカミノルタ製)(システム速度=290mm/sec)と同等の相当の構成を有する、トルク評価用中間転写テスターを作製した。トルク評価用中間転写テスターの作製においては、駆動モーターの近傍に、ひずみゲージ(共和電業者製 DPM-911)の取り付けを行い、駆動電流の変化をもとに駆動トルクを算出できる構成を用いた。ひずみデータのサンプリングレートは、5ミリ秒間隔で行った。
上述の劣化加速試験を行った各試料1~12の中間転写ベルトを含む中間転写ユニットにおいて、Bizhub C658用のクリーニングブレードを、正規と同等の構成で取り付けを行った。この中間転写ユニットについて、以下の条件でトルク評価を行った。
(トルク評価前のセットアップ条件)
中間転写ベルトの全周の表面にわたって、Bizhub C658用のイエロートナーを、4g/mの条件で塗布
・環境:HH(30℃85%RH)
・中間転写体の駆動速度:290mm/秒
・駆動時間:15秒
・データサンプリング:50m秒間隔
トルク算出については、駆動開始3秒後~10秒後の間の全てのデータの平均値を採用した。
駆動開始から10秒以内に、中間転写体の破損、トルク増加による動作の瞬時停止、および、ブレードめくれによる動作停止を発生した場合は、直ちに試験を停止して、「動作停止による問題外の不合格」として判断した。
本評価の合否を判定するためのリファレンスとして、Bizhub C658の純正の中間転写ユニットの新品を用いて、純正の中間転写ユニットで測定したときの値を用いた。各試料の計測値は、純正の中間転写ユニット(リファレンス)の計測値に対するトルク比を算出して、以下のA~Eの基準で判定を行った。
(評価基準)
・トルク比1(100%)未満:優秀「A」
・トルク比1(100%)以上、1.2(120%)以下:合格「B」
・トルク比1.2(120%)より上、1.4(140%)以下:不合格「C」
・トルク比1.4(140%)より上:問題外の不合格「D」
・鳴き、動作停止、動作の瞬時停止に至った場合:動作不良「E」
[評価2:中間転写体のクリーニング性の評価]
試料1~12の中間転写ベルトについて、下記の方法でクリーニング評価を行った。なお、以下のクリーニング性の評価は、上述の駆動トルク評価において、「D」以外の結果(A、B、C)が得られた試料(試料1~9)に対してのみ実施した。
(クリーニング評価に用いる専用ブレードの作製)
Bizhub C658の中間転写体のクリーニングブレードについて、そのうちの画像領域内の4か所に、摩耗幅が10、20、30、40μmになるように、ラッピングフィルム(住友スリーエム社製、研磨剤:アルミナ)で研磨して、クリーニング評価用の専用ブレードを作製した。研磨の最初は#8000で粗研磨を行い、最後の仕上げ研磨として#15000を使用した。
クリーニング評価用の専用ブレードについて、図4及び図5に示す。図4及び図5は、クリーニングブレード91の先端部91A(中間転写ベルトと当接する部分)が図面上側を向いた状態を表している。図4に示すクリーニングブレード91は、初期状態(先端部91Aが摩耗していない状態)であり、図5に示すクリーニングブレード91は、先端部91Aが摩耗した状態である。クリーニングブレード91の先端部91Aの摩耗幅は、先端部91Aにおける両側面91Bの間の平坦面の間の距離91Cによって定義した。
上述の駆動トルクの評価(評価1)で用い試料1~9の中間転写ベルトを含む中間転写ユニットについて、クリーニングを、上記の専用ブレードに交換した。この、専用ブレード含有の中間転写ユニットを用いて、下記の方法で試料1~9の中間転写ベルトのクリーニング性の評価を行った。評価の環境は、30℃85%RH(高温高湿(HH))である。
(クリーニング性の評価)
評価用のBizhub C658と、上記の専用ブレード含有の中間転写ユニットと、正規品のBizhub C658用中間転写ユニット(以後、正規品の中間転写ユニットと略記する)とを評価環境に導入して、12時間以上調湿を行った。
次に、正規品の中間転写ユニットをBizhub C658に装着して、初期化操作と、画像安定化操作を連続で行い、直後に「安定化OFF」への切り替えを行った。安定化OFF状態に切り替えたことで、クリーニング評価のための専用の設定変更後も、そのままの条件で印刷を継続する事ができる。
次に、Bizhub C658に装着されている2次転写ローラーを外して、試料1~9の中間転写ベルトを含む中間転写ユニットに交換した。この状態で、A3のブルー色(マゼンタとシアンの複合色)のベタ画像を1枚印刷した。
次に、2次転写ローラーを再装着して、2枚目の画像として、A3のイエロー色のハーフトーン(濃度50%)画像を1枚印刷した。
クリーニングが適正な場合には、最初のブルー色のベタ画像において拭き残しがないので、2枚目の画像において、ブルー由来の色が転写されない。もしも、クリーニングが不合格の場合には、最初のブルー色のベタ画像において拭き残しがあるため、2枚目の画像において、ブルー由来の色が転写される。
クリーニング評価用ブレードには、10μm、20μm、30μm、40μmの4通りの摩耗部が含まれているため、研磨済みのクリーニング評価用ブレードが配置されたそれぞれの場所で拭き残しを発生するかどうかを確認することで、中間転写ベルトに対するクリーニング性を評価する。
クリーニング性の評価は、以下のA~Eの基準で判定した。
・A:摩耗量のいずれの部位でも、拭き残しなし(クリーニング良好)
・B:摩耗量40μm部のみ拭き残しあり(クリーニング合格)
・C:摩耗量30μm部、40μm部で拭き残しあり。20μm部では拭き残しなし(クリーニング合格下限)
・D:摩耗量20μm部、30μm部、40μm部で拭き残しあり(不合格)
・E:摩耗量10μm部、20μm部、30μm部、40μm部の全てで拭き残しあり(問題外)
試料1~12の中間転写ベルトにおける基層(1)~(3)、塗布液(1)~(3)の組み合わせ、各試料の局所凹部の確認結果(カウント数、平均間隔L)、表面粗さ、クリーニング性、及び、駆動トルクの評価結果を表1に示す。
Figure 0007424010000001
上記表1に示すように、中間転写ベルトの表面層における局所凹部の平均距離Lが、0.5μm以上100μm以下である試料1~9の中間転写ベルトは、駆動トルク、及び、クリーニング性のいずれの評価も良好な結果が得られた。
特に、試料4,5及び試料8,9は、局所凹部の平均距離Lが5μm以上50μm以下であり、特に10μm以下の小さい値となっている。このため、駆動トルクが(リファレンスに対する相対値)が90~91%と、他の試料に比べて小さい。また、試料3は、局所凹部の平均距離Lが50μm以下であるが、46.00μmと大きいため、試料4,5及び試料8,9に比べて駆動トルクが(リファレンスに対する相対値)が92%とわずかに大きい。
一方、局所凹部の平均距離Lが100μmを超える試料10は、駆動トルクの測定において、クリーニングブレードのめくれが発生したため中間転写ベルトを安定して駆動することができなかった。これは、局所凹部の数が少ないために、中間転写ベルトの表面層とクリーニングブレードとが真接触状態となり、静止摩擦係数の異常な増加が発生したためと考えられる。
また、局所凹部の平均距離Lが0.5μm未満の試料11,12は、駆動トルク(リファレンスに対する相対値)が140%を超えている。これは、表面層における局所凹部の数が多すぎるため、クリーニングブレードにおいて非常に大きな動トルクが発生したためと考えられる。さらに、動トルクが過剰なため、クリーニングブレードの接触部でのスティックスリップの発生による鳴き(不快音)が発生した。
また、試料1~12は、表面粗さ計による粗さ測定結果(Ra、RzJIS)と、上記の駆動トルク、及び、クリーニング性の一連の評価結果との相関が得られていない。表1に示すように、試料1~12の表面粗さ(Ra、RzJIS)は、局所凹部の確認結果にかかわらず、いずれも似た数字しか得られていない。これは、表面粗さ計の測定においては、先端径が2μmの針を用いており、先端径が2μm未満の針による評価も不可能であることから、原理的に数10nm単位の局所凹部の検知が不可能であり、特徴のない計測結果になったものと思われる。
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明の構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
1C,1K,1M,1Y 感光体、2C,2K,2M,2Y 帯電部、3C,3K,3M,3Y 露光部、4C,4K,4M,4Y 現像部、5C,5K,5M,5Y 潤滑剤塗布部、6 中間転写ベルト、6A,6B,6D,6E,6F ローラー、7A 二次転写部、7C,7K,7M,7Y 一次転写部、8C,8K,8M,8Y クリーニング部、9 クリーニングユニット、11A 二次転写ローラー、11Y,11M,11C,11K 転写ローラー、20C,20K,20M,20Y トナー像形成部、30 転写体ユニット、40 定着部、61 基層、62 表面層、63 局所凹部、91 クリーニングブレード、91A 先端部、91B 両側面、91C 距離、92 クリーニングブラシ、93 ケーシング

Claims (7)

  1. 像担持体上に形成された潜像をトナーにより現像して得られたトナー像が転写される中間転写体であって、
    基層と、前記基層上に形成されたエネルギー線硬化性樹脂を含む表面層と、を有し、
    前記表面層は、表面に前記表面層の層内で完結する(長径/短径)比が3以下の局所凹部を複数有し、
    前記局所凹部の平均間隔をL(μm)としたときに、Lの値が2μm以上75μm以下である
    中間転写体。
  2. 前記表面層は、前記エネルギー線硬化性樹脂として架橋型の(メタ)アクリル樹脂を含む
    請求項1に記載の中間転写体。
  3. 前記エネルギー線硬化性樹脂として、可視光線硬化性樹脂、及び、紫外線硬化性樹脂から選ばれる1種以上を含む
    請求項1又は2に記載の中間転写体。
  4. 前記架橋型の(メタ)アクリル樹脂は、単官能(メタ)アクリルモノマー、及び、多官能(メタ)アクリルモノマーから選ばれる1種以上の(メタ)アクリルモノマーが重合してなる重合体である
    請求項2に記載の中間転写体。
  5. 潜像が形成され、トナー像を担持可能な像担持体と、
    前記像担持体上に形成された潜像をトナーで現像する現像部と、
    前記現像部により現像された前記トナー像が一次転写される中間転写体と、
    前記中間転写体上に担持された前記トナー像を記録材に二次転写する転写部と、を備え、
    前記中間転写体が、
    基層と、前記基層上に形成されたエネルギー線硬化性樹脂を含む表面層と、を有し、
    前記表面層は、表面に前記表面層の層内で完結する、(長径/短径)比が3以下の局所凹部を複数有し、
    前記局所凹部の平均間隔をL(μm)としたときに、Lの値が2μm以上75μm以下である
    画像形成装置。
  6. 前記中間転写体上のトナーを除去するためのクリーニング部を備え、
    前記クリーニング部が、前記中間転写体の表面に当接するクリーニングブレードを有する
    請求項5に記載の画像形成装置。
  7. 前記クリーニングブレードは、前記中間転写体が屈曲する位置に当接されている
    請求項6に記載の画像形成装置。
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