I. 発明の化合物
第1の態様において、本発明は、とりわけ、式(I):
[式中:
X1、X2、X3、およびX4は、各々独立して、CR6またはNである;ただし、X1、X2、X3またはX4うちの2個以下がNであり;
Q1、Q2、およびQ3は、独立して、N、O、NR5a、またはCR5bであり、破線の円形は芳香族環を形成する結合を意味する;ただし、Q1、Q2、およびQ3のうち少なくとも1個はCR5b以外の基であり;
Lは、独立して、共有結合または0~4個のR9で置換されるC1-4アルキレンであり;
Wは、独立して、O、-OCH2-または-CH2O-であり;
Y1は、独立して、OまたはNR7であり;
Y2は、独立して、
であり;
Y3は、独立して、OR4、NR8R4、または
で示される基である:ただし、Y1がOである場合、その時にはY3はOR4以外の基であり;
Y5は、独立して、OまたはNHであるか;
あるいは、-Y2-Y3はR4bであり;
R1は、独立して、シアノ、-C(O)OR11、-C(O)NR12aR12b、
であり;
R2は、各々独立して、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、アミノ、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルキル、C1-4ハロアルコキシ、C1-4アルキルアミノ、-(CH2)0-1-(C3-6シクロアルキル)、-(CH2)0-1-フェニル、または0~3個のRcで置換されるC1-6アルキルであり;
R3aは、独立して、水素、ハロ、ヒドロキシル、またはC1-4アルキルであり;
R3bは、独立して、水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、アミノ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、または0~2個のRaで置換されるC1-6アルキルであるか;
あるいはまた、R3aおよびR3bは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、C3-4カルボシクリルを形成し;
R4は-L1-R4aであり;
L1は、独立して、共有結合または0~4個のR9で置換されるC1-4アルキレンであり;
R4aは、独立して、C1-10アルキル、C1-10ハロアルキル、C1-10アルケニル、C3-8シクロアルキル、C6-10アリール、3ないし8員のヘテロシクリル、5ないし6員のヘテロアリールであり;ここで、該アルキル、アルケニル、アルキレン、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、およびヘテロアリールは、その各々が、それ自体または他の部分の一部として、独立して、0~3個のR10で置換され;
R4bは、独立して、C1-10アルキル、C1-10ハロアルキル、C1-10アルケニル、C3-8シクロアルキル、C6-10アリール、3ないし8員のヘテロシクリル、5ないし6員のヘテロアリールであり;ここで、該アルキル、アルケニル、アルキレン、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、およびヘテロアリールは、その各々が、それ自体または他の部分の一部として、独立して、0~3個のR10aで置換され;
R5aは、独立して、水素、C1-4ハロアルキル、-(CH2)0-1-(C3-6シクロアルキル)、-(CH2)0-1-フェニル、または0~3個のRaで置換されるC1-6アルキルであり;
R5bは、独立して、水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、アミノ、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルキル、C1-4ハロアルコキシ、C1-4アルキルアミノ、-(CH2)0-1-(C3-6シクロアルキル)、-(CH2)0-1-フェニル、または0~3個のRbで置換されるC1-6アルキルであり;
R6は、各々独立して、水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、アミノ、C1-4アルキルアミノ、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、または0~1個のRbで置換されるC1-6アルキルであり;
R7およびR8は、各々独立して、水素、C1-6アルキル、C1-4ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、または0~1個のRcで置換されるC1-6アルキルであり;
R9は、各々独立して、ハロ、オキソ、シアノ、ヒドロキシル、アミノ、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C3-6シクロアルキル、または0~3個のRaで置換されるC1-6アルキルであり;
R10およびR10aは、各々独立して、ハロ、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-4アルキルアミノ、C1-4ハロアルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、フェニル、または5ないし6員のヘテロアリール、0~3個のRbで置換されるC1-6アルキルであり;
R11、R12a、およびR12bは、各々独立して、水素、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、またはベンジルであり;
Raは、独立して、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルキル、またはC1-4ハロアルコキシであり;
Rbは、独立して、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、アミノ、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルキル、またはC1-4ハロアルコキシであり;
Reは、独立して、C1-4ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、または0~3個のRaで置換されるC1-6アルキルであり;
mは、0、1、または2の整数であり;および
qは、0、1、または2の整数である]
で示される化合物あるいはその立体異性体、互変異性体、または医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。
第1の態様の範囲内にある、式(I)の1の実施態様において、X1、X2、X3、およびX4がCR6であり;ここでR6は水素、ハロまたはC1-4アルキル、例えば、メチルである。
第1の態様の範囲内にある、もう一つ別の態様において、X1、X2、X3、およびX4は、独立して、CHまたはCR6aであるか;またはX1、X2、X3、およびX4のうちの1個はNであり、残りの基がCHまたはCR6aであるか;あるいはX1、X2、X3、およびX4のうちの2個はNであり、残りの基がCHまたはCR6aであって;R6aが、独立して、ハロ、ヒドロキシル、C1-6アルキル、C1-4ハロアルキル、またはC1-4アルコキシである。
第1の態様の範囲内にある、第2の態様において、
で示される部分は、独立して、
であり;
*はLとの結合点を意味し;および
R5aおよびR5bは請求項1にて定義されるとおりである。
第1または第2の態様の範囲内にある、第3の態様において、ここで:
で示される部分は、独立して、-OR4b、-NR7R4b、
である。
第1ないし第3の態様のいずれかの範囲内にある、第4の態様において、ここで、Lは共有結合またはC1-2アルキレンである。
第1ないし第3の態様のいずれかの範囲内にある、式(Ia)または(Ib)の1の実施態様において、ここで、Lは共有結合または-CH2-である。
第1ないし第4の態様のいずれかの範囲内にある、第5の態様において、ここで、R3aおよびR3bは、独立して、水素またはC1-4アルキルであるか;
あるいはまた、R3aおよびR3bは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、C3-4シクロアルキルを形成する。
第1ないし第5の態様のいずれかの範囲内にある、第6の態様において、ここで、R1はCO2Hである。
第1ないし第6の態様のいずれかの範囲内にある、第7の態様において、ここで、X1、X2、X3、およびX4は、独立して、CR6であるか;あるいはX1、X2およびX3はCR6であって、X4はNであるか;またはX2およびX3はCR6であって、X1およびX4はNであるか;またはX1およびX2はCR6であって、X3およびX4はNであり;およびR6は、独立して、水素、ハロ、ヒドロキシル、C1-6アルキル、C1-4ハロアルキル、またはC1-4アルコキシである。
第1ないし第7の態様のいずれかの範囲内にある、第8の態様において、ここで、X1、X2、X3、およびX4は、独立して、CR6であるか;またはX1、X2およびX3はCR6であって、X4はNであるか;またはX2およびX3はCR6であって、X1およびX4はNであり;
で示される部分は、独立して、
であり;
*はLとの結合点を意味し;
Lは、独立して、共有結合または-CH2-であり;
Wは、独立して、Oまたは-OCH2-であり;
で示される部分は、独立して、-OR4b、
であり;
R2は、各々独立して、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルキル、またはC1-4ハロアルコキシであり;
R4は、独立して、C3-6アルキル、-(CH2)0-1-C3-6シクロアルキル、-(CH(C1-2アルキル))-C3-6シクロアルキル、-(CH2)0-1-フェニル、または-(CH(C1-2アルキル))-フェニルであって、ここで該シクロアルキルおよびフェニルは、各々独立して、0~3個のR10で置換され;
R4bは、独立して、0~2個のR10aで置換される5ないし6員のヘテロアリールであり;
R5aは、独立して、C1-6アルキル、または-(CH2)0-1-(C3-6シクロアルキル)であり;
R5bは、独立して、水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルキル、C1-4ハロアルコキシ、または-(CH2)0-1-(C3-6シクロアルキル)であり;
R6は、各々独立して、水素、ハロ、ヒドロキシル、C1-6アルキル、C1-4ハロアルキル、またはC1-4アルコキシであり;
R7およびR8は、各々独立して、水素またはC1-2アルキルであり;
R10は、各々独立して、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、またはC1-6ハロアルコキシであり;
R10aは、各々独立して、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、-(CH2)0-3-C3-6シクロアルキル、フェニルまたは5ないし6員のヘテロアリールであり;
mは、0または1であり;および
qは、0または1である。
第1ないし第8の態様の範囲内にある、第9の態様において、ここで、
で示される部分は、独立して、
であり;
*はLとの結合点を意味し;
Lは、独立して、共有結合または-CH2-であり;
Wは、独立して、Oまたは-OCH2-であり;
で示される部分は、独立して、-OR4b、
であり;
R3aおよびR3bは、各々独立して、水素またはC1-4アルキルであるか;
あるいはまた、R3aおよびR3bは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、C3-4シクロアルキルを形成し;
R4は、独立して、C3-6アルキル、-(CH2)0-1-C3-6シクロアルキル、-(CH2)-フェニル、または-(CH(CH3))-フェニルであり;ここで該アルキル、シクロアルキル、およびフェニルは、各々独立して、0~2個のR10で置換され;
R4bは、独立して、
であり;
R6は、独立して、水素、ハロ、またはC1-4アルキルであり;
R7およびR8は、各々独立して、水素またはC1-2アルキルであり;
R10は、各々独立して、ハロまたはC1-4アルキルであり;および
R10aは、独立して、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、-(CH2)1-3-C3-6シクロアルキル、フェニル、またはピリジルである。
第1ないし第8のいずれか1つの態様の範囲内にある、もう一つ別の態様において、該化合物は、式(Ia):
で示される化合物あるいはその立体異性体、互変異性体、または医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
第10の態様において、本発明は、式(II):
[式中:
Lは、独立して、共有結合または-CH2-であり;
で示される部分は、独立して、-OR4b、
であり;
R4は、独立して、C3-6アルキル、-(CH2)0-1-C3-6シクロアルキル、-(CH2)-フェニル、または-(CH(CH3))-フェニルであり;
R4bは、独立して、
であり;
R6は、独立して、水素、ハロまたはC1-4アルキルであり;
R7およびR8は、各々独立して、水素またはメチルであり;
R10aは、独立して、C1-4アルキルまたはC1-4アルコキシである]
で示される化合物、あるいはその立体異性体、互変異性体、または医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。
本発明の一の実施態様において、化合物は、明細書中に記載のいずれか1つの実施例より、あるいはその立体異性体、互変異性体、またはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物より選択される。
1の実施態様において、本発明の化合物は、LPA1機能的アンタゴニストアッセイを用いて、<5000nMのhLPA1 EC50値を有し;もう一つ別の実施態様において、本発明の化合物は、<1000nMのhLPA1 EC50値を有し;もう一つ別の実施態様において、本発明の化合物は、<500nMのhLPA1 EC50値を有し;もう一つ別の実施態様において、本発明の化合物は、<200nMのhLPA1 EC50値を有し;もう一つ別の実施態様において、本発明の化合物は、<100nMのhLPA1 EC50値を有し;もう一つ別の実施態様において、本発明の化合物は、<50nMのhLPA1 EC50値を有する。
II.本発明の他の実施態様
いくつかの実施態様において、本発明の化合物、またはその医薬的に許容される塩は、少なくとも1つのLPA受容体のアンタゴニストである。いくつかの実施態様において、本発明の化合物、またはその医薬的に許容される塩は、LPA1のアンタゴニストである。いくつかの実施態様において、本発明の化合物、またはその医薬的に許容される塩は、LPA2のアンタゴニストである。いくつかの実施態様において、本発明の化合物、またはその医薬的に許容される塩は、LPA3のアンタゴニストである。
いくつかの実施態様において、本発明の化合物の活性代謝物、互変異性体、医薬的に許容される塩、もしくは溶媒和物から選択される化合物が、本明細書において提示される。
もう一つ別の実施態様において、本発明は、本発明の少なくとも1つの化合物、またはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、もしくは溶媒和物を含む組成物を提供する。
もう一つ別の実施態様において、本発明は、医薬的に許容される担体、および治療的に有効な量の少なくとも1つの本発明の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、もしくは溶媒和物を含む、医薬組成物を提供する。
もう一つ別の実施態様において、本発明は、本発明の化合物の製造方法を提供する。
もう一つ別の実施態様において、本発明は、本発明の化合物の製造のための中間体を提供する。
もう一つ別の実施態様において、本発明は、さらなる治療剤をさらに含む、医薬組成物を提供する。
もう一つ別の実施態様において、本発明は、LPA受容体介在性線維症に付随する症状の治療のための方法であって、治療的に有効な量の少なくとも1つの本発明の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、もしくは溶媒和物を、かかる治療が必要な患者に投与することを含む、方法を提供する。本明細書で用いられる「患者」なる語は、全ての哺乳動物種を含む。
もう一つ別の実施態様において、本発明は、リゾホスファチジン酸受容体1(LPA1)の調節不全に付随する疾患、障害、または症状の治療方法であって、治療的に有効な量の本発明の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、もしくは医薬的に許容される塩、もしくは溶媒和物を、患者に投与することを含む、その必要とする患者における治療方法を提供する。該方法の1の実施態様において、該疾患、障害、または症状は、病理学的線維症、移植片拒絶、がん、骨粗鬆症、または炎症性障害に関連付けられる。該方法の1の実施態様において、該病理学的線維症は、肺、肝臓、腎臓、心臓、皮膚、眼、または膵臓の線維症である。該方法の1の実施態様において、疾患、障害、または症状は、特発性肺線維症(IPF)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、慢性腎疾患、糖尿病性腎疾患、および全身性硬化症である。該方法の1の実施態様において、がんは、膀胱、血液、骨、脳、乳房、中枢神経系、頸部、結腸、子宮内膜、食道、胆嚢、生殖器、泌尿生殖器、頭部、腎臓、喉頭、肝臓、肺、筋肉組織、首部、口腔または鼻粘膜、卵巣、膵臓、前立腺、皮膚、脾臓、小腸、大腸、胃、精巣、または甲状腺のものである。
もう一つ別の実施態様において、本発明は、哺乳動物における線維症の治療方法であって、治療的に有効な量の本発明の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、もしくは医薬的に許容される塩、もしくは溶媒和物を、その必要な哺乳動物に投与することを含む、治療方法を提供する。該方法の1の実施態様において、該線維症は、特発性肺線維症(IPF)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、慢性腎疾患、糖尿病性腎疾患、および全身性硬化症である。
もう一つ別の実施態様において、本発明は、哺乳動物における肺線維症(特発性肺線維症)、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、腎線維症、急性腎傷害、慢性腎疾患、肝線維症(非アルコール性脂肪性肝炎)、皮膚線維症、腸線維症、乳がん、膵臓がん、卵巣がん、前立腺がん、神経膠芽腫、骨がん、結腸がん、腸がん、頭頸部がん、黒色腫、多発性骨髄腫、慢性リンパ性白血病、がん性疼痛、腫瘍転移、移植臓器拒絶反応、強皮症、眼線維症、加齢黄斑変性症(AMD)、糖尿病性網膜症、コラーゲン性血管疾患、アテローム性動脈硬化症、レイノー現象、または神経障害性疼痛の治療方法であって、治療的に有効な量の本発明の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、もしくは医薬的に許容される塩、もしくは溶媒和物を、その必要な哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。
本明細書で用いられる「治療する」または「治療」は、哺乳動物、特にヒトにおける病態の治療を含み、(a)該病態を阻害すること、すなわち進行を停止させること;および/または(b)該病態を軽減すること、すなわち該病態の退縮を生じさせることを包含する。本明細書で用いられる「治療する」または「治療」はまた、治療的に有効な量の少なくとも1つの本発明の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、もしくは溶媒和物を患者に投与することによって、病態のリスクを軽減および/または最小化するか、および/またはその再発のリスクを軽減するための、病態の予防的治療を含む。患者は、一般集団と比較して、臨床的病態を患うリスクが上昇することが知られている因子に基づいて、そのような予防的治療について選択されうる。予防的治療のためには、臨床的病態の症状が提示されていても、未だ提示されていなくてもよい。予防的治療は、(a)一次予防および(b)二次予防に分けることができる。一次予防は、臨床的病態が未だ提示されていない患者において、病態のリスクを減少または最小化するための治療として定義され、それに対して二次予防は、同じまたは同様の臨床的病態の再発または二次発生のリスクを最小化または減少させるものとして定義される。
本発明は、その精神または本質的な特性から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化され得る。本発明は、本明細書に記載される、本発明の好ましい態様の全ての組み合わせを包含する。本発明のありとあらゆる実施態様は、さらなる実施態様を説明するために、他の任意の実施態様と組み合わせてもよいことが理解される。実施態様の個々のそれぞれの要素は、それ自体で独立の実施態様であることもまた理解されるべきである。さらに、実施態様の任意の要素は、さらなる実施態様を説明するために、任意の実施態様からのありとあらゆる他の要素と組み合わせられることを意図する。
III.化学
明細書および添付した特許請求の範囲にわたって、示される化学式または名称は、異性体が存在する場合、その全ての立体異性体および光学異性体およびラセミ体を含むものとする。特記されない限り、全てのキラル(エナンチオマーおよびジアステレオマー)およびラセミ体は、本発明の範囲内にある。C=C二重結合、C=N二重結合、環系等の多くの幾何異性体もまた、化合物中に存在することができ、そのような全ての安定した異性体が本発明において考慮される。本発明の化合物のシスおよびトランス(またはE-およびZ-)幾何異性体が記載され、異性体の混合物として、または分離された異性体として、単離され得る。本化合物は、光学活性体またはラセミ体にて単離することができる。光学活性体はラセミ体の分割によって、または光学活性の出発物質から合成することによって、製造され得る。本発明の化合物、およびその中で製造される中間体を製造するために用いられる全ての方法は、本発明の一部であると考えられる。エナンチオマーまたはジアステレオマー生成物が合成される場合、それらは従来の方法、例えば、クロマトグラフィーまたは分別結晶によって分離され得る。方法の条件に応じて、本発明の最終生成物は、遊離形態(中性)または塩形態のいずれかで得られる。これらの最終生成物の遊離形態および塩のいずれも、本発明の範囲内にある。必要であれば、化合物の1の形態は、他の形態に変換され得る。遊離塩基または酸は塩に変換されてもよく;塩は遊離化合物またはもう一つ別の塩に変換されてもよく;本発明の異性体化合物の混合物は、個々の異性体に分離されてもよい。本発明の化合物、その遊離形態および塩は、水素原子が分子の他の部位に移動し、その結果として分子の原子間の化学結合が再配置される、多くの互変異性体で存在してもよい。全ての互変異性体は、それらが存在する限り、本発明に含まれると理解すべきである。
「立体異性体」なる語は、空間上の原子の配置が異なる同一の組成の異性体をいう。エナンチオマーおよびジアステレオマーは、立体異性体の例である。「エナンチオマー」なる語は、互いに鏡像であり、重ね合わせることができない一対の分子種の1つをいう。「ジアステレオマー」なる語は、鏡像でない立体異性体をいう。「ラセミ体」または「ラセミ混合物」なる語は、等モル量の2つのエナンチオマー種から構成される組成物をいい、該組成物は光学活性を欠く。
記号「R」および「S」は、キラル炭素原子の周りの置換基の配置を表す。異性体の記述子「R」および「S」は、核分子に対する原子配置を表すために、本明細書において記載されるように用いられ、文献(IUPAC Recommendations 1996, Pure and Applied Chemistry, 68:2193-2222 (1996))において定義されるように用いられることを意図する。
「キラル」なる語は、分子をその鏡像において重ね合わせることができないようにする、分子の構造特性をいう。「ホモキラル」なる語は、エナンチオマー的に純粋な状態をいう。「光学活性」なる語は、ホモキラル分子またはキラル分子の非ラセミ混合物が偏光面を回転させる程度をいう。
本明細書で用いられる「アルキル」または「アルキレン」なる語は、特定の数の炭素原子を有する、分岐鎖および直鎖の両方の飽和脂肪族炭化水素基を含むものとする。「アルキル」は一価飽和脂肪族基(エチルなど)を表すが、「アルキレン」は二価飽和脂肪族基(エチレンなど)を表す。例えば、「C1~C10アルキル」または「C1-10アルキル」は、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、およびC10アルキル基を含むものとする。「C1~C10アルキレン」または「C1-10アルキレン」は、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、およびC10アルキレン基を含むものとする。加えて、例えば、「C1~C6アルキル」または「C1-6アルキル」は、1~6個の炭素原子を有するアルキルを表し;「C1~C6アルキレン」または「C1-6アルキレン」は、1~6個の炭素原子を有するアルキレンを表し;「C1~C4アルキル」または「C1-4アルキル」は、1~4個の炭素原子を有するアルキルを表し;「C1~C4アルキレン」または「C1-4アルキレン」は、1~4個の炭素原子を有するアルキレンを表す。アルキル基は、非置換であるか、あるいは少なくとも1つの水素がもう一つ別の化学基で置換され得る。アルキル基の例としては、限定されないが、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(例えば、n-プロピルおよびイソプロピル)、ブチル(例えば、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル)、およびペンチル(例えば、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル)が挙げられる。「C0アルキル」または「C0アルキレン」が用いられる場合、それは直接結合を表すものとする。さらに、「アルキル」なる語は、それ自体で、またはアルキルアミノ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ハロアルコキシアルキル、およびハロアルコキシなどの、もう一つ別の基の一部として、1~4個の炭素原子、または1~6個の炭素原子、または1~10個の炭素原子を有するアルキルであり得る。
「ヘテロアルキル」は、1または複数の炭素原子が、O、N、またはSなどのヘテロ原子で置き換えられたアルキル基をいう。例えば、親分子基に結合したアルキル基の炭素原子が、ヘテロ原子(例えば、O、N、またはS)で置き換えられている場合、得られるヘテロアルキル基は、各々、アルコキシ基(例えば、-OCH3等)、アルキルアミノ(例えば、-NHCH3、-N(CH3)2等)、またはチオアルキル基(例えば、-SCH3)である。親分子に結合していないアルキル基の非末端炭素原子が、ヘテロ原子(例えば、O、N、またはS)で置き換えられている場合、得られるヘテロアルキル基は、各々、アルキルエーテル(例えば、-CH2CH2-O-CH3等)、アルキルアミノアルキル(例えば、-CH2NHCH3、-CH2N(CH3)2等)、またはチオアルキルエーテル(例えば,-CH2-S-CH3)である。アルキル基の末端の炭素原子がヘテロ原子(例えば、O、N、またはS)で置き換えられている場合、得られるヘテロアルキル基は、各々、ヒドロキシアルキル基(例えば、-CH2CH2-OH)、アミノアルキル基(例えば、-CH2NH2)、またはアルキルチオール基(例えば、-CH2CH2-SH)である。ヘテロアルキル基は、例えば、1~20個の炭素原子、1~10個の炭素原子、または1~6個の炭素原子を有し得る。C1-C6ヘテロアルキル基は、1~6個の炭素原子を有するヘテロアルキル基を意味する。
「アルケニル」または「アルケニレン」は、特定の数の炭素原子、および1または複数、好ましくは1~2個の、鎖の任意の安定な部位に生じうる炭素-炭素二重結合を有する、直鎖または分岐鎖のいずれかの配置の炭化水素鎖を含むものとする。例えば、「C2~C6アルケニル」または「C2-6アルケニル」(またはアルケニレン)は、C2、C3、C4、C5、およびC6アルケニル基を含むものとする。アルケニルの例としては、限定されないが、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセニル、5-ヘキセニル、2-メチル-2-プロペニル、および4-メチル-3-ペンテニルが挙げられる。
「アルキニル」または「アルキニレン」は、1または複数、好ましくは1~3個の、鎖の任意の安定な部位に生じうる炭素-炭素三重結合を有する、直鎖または分岐鎖配置のいずれかの炭化水素鎖を含むものとする。例えば、「C2~C6アルキニル」または「C2-6アルキニル」(またはアルキニレン)は、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、およびヘキシニルなどの、C2、C3、C4、C5、およびC6アルキニル基を含むものとする。
本明細書で用いられる「アリールアルキル」(別名、アラルキル)、「ヘテロアリールアルキル」、「カルボシクリルアルキル」、または「ヘテロシクリルアルキル」は、水素原子の1つが炭素原子、典型的には末端またはsp3炭素原子に結合した、非環式アルキル基をいい、各々、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、またはヘテロシクリル基で置換されている。典型的なアリールアルキル基としては、限定されないが、ベンジル、2-フェニルエタン-1-イル、ナフチルメチル、2-ナフチルエタン-1-イル、ナフトベンジル、2-ナフトフェニルエタン-1-イル等が挙げられる。アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、カルボシクリルアルキル、またはヘテロシクリルアルキル基は、4~20個の炭素原子、および0~5個のヘテロ原子を含むことができ、例えば、アルキル基は1~6個の炭素原子を含んでもよい。
本明細書で用いられる「ベンジル」なる語は、水素原子の1つがフェニル基で置き換えられているメチル基をいい、ここで、前記フェニル基は、所望により、1~5個の基、好ましくは1~3個の基、OH、OCH3、Cl、F、Br、I、CN、NO2、NH2、N(CH3)H、N(CH3)2、CF3、OCF3、C(=O)CH3、SCH3、S(=O)CH3、S(=O)2CH3、CH3、CH2CH3、CO2H、およびCO2CH3で置換されていてもよい。「ベンジル」はまた、式「Bn」で表すことができる。
「アルコキシ」または「アルキルオキシ」なる語は、-O-アルキル基をいう。「C1~C6アルコキシ」または「C1-6アルコキシ」(またはアルキルオキシ)は、C1、C2、C3、C4、C5、およびC6アルコキシ基を含むものとする。アルコキシ基の例としては、限定はされないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば、n-プロポキシ、およびイソプロポキシ)、およびt-ブトキシが挙げられる。同様に、「アルキルチオ」または「チオアルコキシ」は、硫黄架橋を介して結合した、所定の数の炭素原子を有する、上記で定義されたアルキル基;例えば、メチル-S-およびエチル-S-を表す。
本明細書で用いられる「アルカノイル」または「アルキルカルボニル」なる語は、単独で、または他の基の一部として、カルボニル基に結合したアルキルをいう。例えば、アルキルカルボニルは、アルキル-C(O)-で表されてもよい。「C1~C6アルキルカルボニル」(またはアルキルカルボニル)は、C1、C2、C3、C4、C5、およびC6アルキル-C(O)-基を含むものとする。
本明細書で用いられる「アルキルスルホニル」または「スルホンアミド」なる語は、単独で、または他の基の一部として、スルホニル基に結合したアルキルまたはアミドをいう。例えば、アルキルスルホニルは、-S(O)2R’によって表されうるが、スルホンアミドは、-S(O)2NRcRdによって表されうる。R’はC1~C6アルキルであり;RcおよびRdは、以下で「アミノ」について定義されるものと同じである。
本明細書で用いられる「カルバメート」なる語は、単独で、またはもう一つ別の基の一部として、アミド基に結合した酸素をいう。例えば、カルバメートはN(RcRd)-C(O)-O-によって表され、RcおよびRdは、以下で「アミノ」について定義されるものと同じである。
本明細書で用いられる「アミド」なる語は、単独で、またはもう一つ別の基の一部として、カルボニル基に結合したアミノをいう。例えば、アミドはN(RcRd)-C(O)-によって表され、RcおよびRdは、以下で「アミノ」について定義されるものと同じである。
「アミノ」なる語は、-NRc1Rc2として定義され、ここで、Rc1およびRc2は独立して、HまたはC1-6アルキルであるか;あるいはまた、Rc1およびRc2は、それらが結合する原子と一緒になって、ハロ、シアノ、ヒドロキシル、アミノ、オキソ、C1-6アルキル、アルコキシ、およびアミノアルキルから選択される、1または複数の基で所望により置換されていてもよい、3~8員のヘテロ環式環を形成する。Rc1またはRc2(あるいはそれらの両方)がC1-6アルキルである場合、アミノ基はまた、アルキルアミノと称され得る。アルキルアミノ基の例としては、限定されないが、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ等が挙げられる。1の実施態様において、アミノは-NH2である。
「アミノアルキル」なる語は、水素原子の1つがアミノ基で置き換えられているアルキル基をいう。例えば、アミノアルキルは、N(Rc1Rc2)-アルキレン-で表されてもよい。「C1~C6」または「C1-6アミノアルキル」(またはアミノアルキル)は、C1、C2、C3、C4、C5、およびC6アミノアルキル基を含むものとする。
本明細書で用いられる「ハロゲン」または「ハロ」なる語は、単独で、または他の基の一部として、塩素、臭素、フッ素、およびヨウ素をいい、塩素またはフッ素が好ましい。
「ハロアルキル」は、1または複数のハロゲンで置換された、特定の数の炭素原子を有する、分岐鎖および直鎖の両方の飽和脂肪族炭化水素基を含むものとする。「C1~C6ハロアルキル」または「C1-6ハロアルキル」(またはハロアルキル)は、C1、C2、C3、C4、C5、およびC6ハロアルキル基を含むものとする。ハロアルキルの例としては、限定されないが、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ペンタクロロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、およびヘプタクロロプロピルが挙げられる。ハロアルキルの例としてはまた、1または複数のフッ素原子で置換された、特定の数の炭素原子を有する、分岐鎖および直鎖の両方の飽和脂肪族炭化水素基を含むものとする、「フルオロアルキル」が挙げられる。本明細書で用いられる「ポリハロアルキル」なる語は、2~9個、好ましくは2~5個の、FまたはClなど、好ましくはFのハロ置換基を含む、ポリフルオロアルキル、例えば、CF3CH2、CF3、またはCF3CF2CH2などの、上記で定義される「アルキル」基をいう。
「ハロアルコキシ」または「ハロアルキルオキシ」は、酸素架橋を介して結合した、所定の数の炭素原子を有する、上記で定義されたハロアルキル基を表す。例えば、「C1~C6ハロアルコキシ」または「C1-6ハロアルコキシ」は、C1、C2、C3、C4、C5、およびC6ハロアルコキシ基を含むものとする。ハロアルコキシの例としては、限定されないが、トリフルオロメトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、およびペンタフルオロエトキシが挙げられる。同様に、「ハロアルキルチオ」または「チオハロアルコキシ」は、硫黄架橋を介して結合した、所定の数の炭素原子を有する、上記で定義されたハロアルキル基;例えば、トリフルオロメチル-S-、およびペンタフルオロエチル-S-を表す。本明細書で用いられる「ポリハロアルキルオキシ」なる語は、2~9個、好ましくは2~5個の、FまたはCl、好ましくはFなどのハロ置換基を含む、ポリフルオロアルコキシなどの、上記で定義された「アルコキシ」または「アルキルオキシ」基、例えば、CF3CH2O、CF3O、またはCF3CF2CH2Oをいう。
「ヒドロキシアルキル」は、1または複数のヒドロキシル(OH)で置換された、特定の数の炭素原子を有する、分岐鎖および直鎖の両方の飽和脂肪族炭化水素基を含むものとする。「C1~C6ヒドロキシアルキル」(またはヒドロキシアルキル)は、C1、C2、C3、C4、C5、およびC6ヒドロキシアルキル基を含むものとする。
「シクロアルキル」なる語は、モノ、ビ、またはポリ環系を含む、環化アルキル基をいう。「C3~C8シクロアルキル」または「C3-8シクロアルキル」は、単環式、二環式、および多環式環を含む、C3、C4、C5、C6、C7、およびC8シクロアルキル基を含むものとする。シクロアルキル基の例としては、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびノルボルニルが挙げられる。1-メチルシクロプロピルおよび2-メチルシクロプロピルなどの分岐鎖シクロアルキル基、並びにスピロおよび架橋シクロアルキル基は、「シクロアルキル」の定義に含まれる。
「シクロへテロアルキル」なる語は、モノ、ビ、またはポリ環系を含む、環化ヘテロアルキル基をいう。「C3~C7シクロヘテロアルキル」または「C3-7シクロヘテロアルキル」は、C3、C4、C5、C6、およびC7シクロヘテロアルキル基を含むものとする。シクロヘテロアルキル基の例としては、限定されないが、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、およびピペラジニルが挙げられる。ピペリジニルメチル、ピペラジニルメチル、モルホリニルメチル、ピリジニルメチル、ピリジジルメチル(pyridizylmethyl)、ピリミジルメチル、およびピラジニルメチルなどの、分岐鎖のシクロへテロアルキル基は、「シクロへテロアルキル」の定義内に含まれる。
本明細書で用いられる「炭素環」、「カルボシクリル」、または「炭素環式残基」は、任意の安定な3、4、5、6、7、または8員の単環式または二環式あるいは7、8、9、10、11、12、または13員の二環式または三環式炭化水素環を意味するものとし、これらのいずれかは、飽和、部分的に不飽和、不飽和、または芳香族であってもよい。そのような炭素環の例としては、限定はされないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロブテニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘプテニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、アダマンチル、シクロオクチル、シクロオクテニル、シクロオクタジエニル、[3.3.0]ビシクロオクタン、[4.3.0]ビシクロノナン、[4.4.0]ビシクロデカン(デカリン)、[2.2.2]ビシクロオクタン、フルオレニル、フェニル、ナフチル、インダニル、アダマンチル、アントラセニル、およびテトラヒドロナフチル(テトラリン)が挙げられる。上記で示されるように、架橋環はまた、炭素環の定義に含まれる(例えば、[2.2.2]ビシクロオクタン)。好ましい炭素環は、特記されない限り、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、およびインダニルである。「カルボシクリル」なる語が用いられる場合、「アリール」を含むものとする。架橋環は、1または複数の炭素原子が、2つの非隣接炭素原子を結合する場合に生じる。好ましい架橋は1または2個の炭素原子である。架橋は、常に単環式環を三環式環に変換することに注意されたい。環が架橋されると、環について列挙される置換基はまた、架橋上に存在するかもしれない。
さらに、「シクロアルキル」および「シクロアルケニル」を含む、本明細書において単独で、またはもう一つ別の基の一部として用いられる「カルボシクリル」なる語は、飽和または部分的に不飽和な(1または2個の二重結合を含む)、環を形成する合計で3~20個の炭素、好ましくは環を形成する3~10個の、または3~6個の炭素を含有する、単環式アルキル、二環式アルキル、および三環式アルキルを含む、1ないし3個の環を含有する環状炭化水素基を包含し、アリールについて記載されるように1または2個の芳香族環と縮合してもよく、それはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシル、およびシクロドデシル、シクロヘキセニル、
を包含し、これらの基のいずれも、所望により、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキル、シクロアルキル、アルキルアミド、アルカノイルアミノ、オキソ、アシル、アリールカルボニルアミノ、ニトロ、シアノ、チオール、および/またはアルキルチオなどの1~4個の置換基で、および/または任意のアルキル置換基で置換されてもよい。
本明細書で用いられる「二環式カルボシクリル」または「二環式炭素環基」なる語は、2つの縮合環を含み、炭素原子からなる安定した9または10員の炭素環式環系を意味するものとする。2つの縮合環のうち、1つの環は第二の環に縮合したベンゾ環であり;第二の環は飽和、部分的に不飽和、または不飽和である、5または6員炭素環である。二環式炭素環基は、任意の炭素原子でそのペンダント基と結合し、それで安定した構造がもたらされてもよい。本明細書で記載される二環式炭素環基は、得られる化合物が安定しているならば、いずれの炭素において置換されてもよい。二環式炭素環基の例としては、これらに限定はされないが、ナフチル、1,2-ジヒドロナフチル、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、およびインダニルが挙げられる。
本明細書において「アリール」なる語が、単独で、またはもう一つ別の基の一部として用いられる場合、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル、およびフェナントレニルを含む、単環式または多環式(二環式および三環式を含む)の芳香族炭化水素をいう。アリール基は周知であり、例えば、Lewis, R.J.編, Hawley’s Condensed Chemical Dictionary, 13th Edition, John Wiley & Sons, Inc., New York (1997)において記載される。1の実施態様において、「アリール」なる語は、環部分に、6~10個の炭素を含む単環式および二環式芳香族基(フェニル、または1-ナフチルおよび2-ナフチルを含むナフチルなど)を表す。例えば、「C6またはC10アリール」または「C6-10アリール」は、フェニルおよびナフチルをいう。特記されない限り、「アリール」、「C6またはC10アリール」、「C6-10アリール」、または「芳香族残基」は、非置換であっても、OH、OCH3、Cl、F、Br、I、CN、NO2、NH2、N(CH3)H、N(CH3)2、CF3、OCF3、C(=O)CH3、SCH3、S(=O)CH3、S(O)2CH3、CH3、CH2CH3、CO2H、およびCO2CH3から選択される、1~5個の基、好ましくは1~3個の基で置換されてもよい。
本明細書で用いられる「ベンジル」なる語は、メチル基の水素原子の1つがフェニル基で置き換えられているメチル基をいい、ここで該フェニル基は、所望により、1~5個の基、好ましくは1~3個のOH、OCH3、Cl、F、Br、I、CN、NO2、NH2、N(CH3)H、N(CH3)2、CF3、OCF3、C(=O)CH3、SCH3、S(=O)CH3、S(=O)2CH3、CH3、CH2CH3、CO2H、およびCO2CH3の基で置換されてもよい。
本明細書で用いられる「ヘテロ環」、「ヘテロシクリル」、または「ヘテロ環基」なる語は、飽和、または部分的に不飽和であり、炭素原子と、N、OおよびSから独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子とを含む、安定した3、4、5、6、または7員の単環式、または5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14員の多環式(二環式および三環式を含む)ヘテロ環式環;および上記で定義されるヘテロ環式環のいずれかが炭素環式、またはアリール(例えば、ベンゼン)環と縮合している任意の多環式基を含むことを意味するものとする。すなわち、「ヘテロ環」、「ヘテロシクリル」、または「ヘテロ環基」なる語は、ヘテロシクロアルキルおよびヘテロシクロアルケニルなどの、非芳香族炭素環系を包含する。窒素および硫黄ヘテロ原子は、所望により、酸化されていてもよい(すなわち、N→OおよびS(O)p、ここで、pは0、1または2である)。窒素原子は、置換されていても、置換されていなくてもよい(すなわち、NまたはNRであり、ここでRは、定義するとすれば、Hまたはもう一つ別の置換基である)。ヘテロ環式環は、任意のヘテロ原子または炭素原子でそのペンダント基と結合し、それで安定した構造がもたらされてもよい。本明細書に記載されるヘテロ環式環は、得られる化合物が安定である場合、炭素または窒素原子上で置換され得る。ヘテロ環中の窒素は所望により4級化されてもよい。ヘテロ環中のSおよびO原子の総数が1を超える場合、その時にはこれらのヘテロ原子は互いに隣接していないのが好ましい。ヘテロ環中のSおよびO原子の総数は1以下であることが好ましい。ヘテロシクリルの例としては、限定されないが、アゼチジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、ピペロニル、ピラニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、モルホリニル、ジヒドロフロ[2,3-b]テトラヒドロフランが挙げられる。
本明細書で用いられる「二環式ヘテロ環」または「二環式ヘテロ環基」なる語は、2つの縮合環を含み、炭素原子と、N、OおよびSから独立して選択される1、2、3、または4個のヘテロ原子とからなる、安定した9または10員のヘテロ環式環系を意味するものとする。2つの縮合環のうち、1つの環は、5員のヘテロアリール環、6員のヘテロアリール環、またはベンゾ環を含む、5または6員の単環式芳香環であり、それぞれが第二の環に縮合する。第二の環は、飽和、部分的に不飽和、または不飽和である5または6員の単環式環であり、5員のヘテロ環、6員のヘテロ環または炭素環を含む(但し、第二の環が炭素環である場合、第一の環はベンゾ環ではない)。
二環式ヘテロ環基は、任意のヘテロ原子または炭素原子でそのペンダント基に結合し、それで安定した構造がもたらされてもよい。本明細書において記載される二環式ヘテロ環基は、得られる化合物が安定している場合、炭素または窒素原子上で置換されうる。ヘテロ環中のSおよびO原子の総数が1を超える場合、その時にはこれらのヘテロ原子は互いに隣接しないのが好ましい。ヘテロ環中のSおよびO原子の総数は1以下であることが好ましい。二環式ヘテロ環式基の例は、限定されないが、1,2,3,4-テトラヒドロキノリニル、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリニル、5,6,7,8-テトラヒドロ-キノリニル、2,3-ジヒドロ-ベンゾフラニル、クロマニル、1,2,3,4-テトラヒドロ-キノキサリニル、および1,2,3,4-テトラヒドロ-キナゾリニルである。
架橋環はまた、ヘテロ環の定義に含まれる。1または複数の原子(すなわち、C、O、N、またはS)が2つの隣接しない炭素または窒素原子を連結する場合、架橋環が生じる。架橋環の例としては、これらに限定はされないが、1つの炭素原子、2つの炭素原子、1つの窒素原子、2つの窒素原子、および炭素-窒素基が挙げられる。架橋は常に、単環式環を三環式環に変換することに注意されたい。環が架橋されると、環について示される置換基はまた、架橋上にあるかもしれない。
本明細書で用いられる「ヘテロアリール」なる語は、少なくとも1つの、硫黄、酸素、または窒素などのヘテロ原子環員を含む、安定した単環式および多環式(二環式および三環式を含む)芳香族炭化水素を意味するものとする。ヘテロアリール基としては、限定されないが、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、フリル、キノリル、イソキノリル、チエニル、イミダゾリル、チアゾリル、インドリル、ピロリル、オキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンズチアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インダゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、イソチアゾリル、プリニル、カルバゾリル、ベンズイミダゾリル、インドリニル、ベンゾジオキソラニル、およびベンゾジオキサンが挙げられる。ヘテロアリール基は、置換または非置換である。窒素原子は、置換または非置換である(すなわち、NまたはNRであり、ここで定義されるとすれば、RはH、またはもう一つ別の置換基である)。窒素および硫黄ヘテロ原子は、所望により、酸化されていてもよい(すなわち、N→OおよびS(O)pであり、ここで、pは0、1、または2である)。
ヘテロアリールの例としてはまた、これらに限定はされないが、アクリジニル、アゾシニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンズオキサゾリル、ベンズオキサゾリニル、ベンズチアゾリル、ベンズトリアゾリル、ベンズテトラゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイミダゾリニル、カルバゾリル、4aH-カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H-1,5,2-ジチアジニル、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H-インダゾリル、イミダゾロピリジニル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H-インドリル、イサチノイル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソチアゾロピリジニル、イソキサゾリル、イソキサゾロピリジニル、メチレンジオキシフェニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾロピリジニル、オキサゾリジニルピリミジニル、オキシインドリル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチアニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾロピリジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾリル、ピリドイミダゾリル、ピリドチアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2-ピロリドニル、2H-ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H-キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、6H-1,2,5-チアジアジニル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、チアンスレニル、チアゾリル、チエニル、チアゾロピリジニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、トリアジニル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,5-トリアゾリル、1,3,4-トリアゾリル、およびキサンテニルが挙げられる。
5ないし10員のヘテロアリールの例としては、これらに限定はされないが、ピリジニル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、インドリル、テトラゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、チアジアジニル、チアジアゾリル、チアゾリル、トリアジニル、トリアゾリル、ベンズイミダゾリル、1H-インダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンズテトラゾリル、ベンズトリアゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、オキシインドリル、ベンズオキサゾリニル、ベンズチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、イサチノイル、イソキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、イソキサゾロピリジニル、キナゾリニル、キノリニル、イソチアゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、オキサゾロピリジニル、イミダゾロピリジニル、およびピラゾロピリジニルが挙げられる。5ないし6員のヘテロアリールの例としては、限定されないが、ピリジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、ピラジニル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、インドリル、テトラゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、チアジアジニル、チアジアゾリル、チアゾリル、トリアジニル、およびトリアゾリルが挙げられる。いくつかの実施態様において、ヘテロアリールは、ベンズチアゾリル、イミダゾールピリジニル、ピロロピリジニル、キノリニル、およびインドリルから選択される。
特記されない限り、「カルボシクリル」または「ヘテロシクリル」は、炭素環式環またはヘテロ環式環(アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、またはシクロヘテロアルキル環など)に縮合した、1~3個のさらなる環を含み、例えば、
であり、(可能である場合)利用可能な炭素または窒素原子を介して、水素、ハロ、ハロアルキル、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルケニル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキニル、シクロアルキル-アルキル、シクロヘテロアルキル、シクロヘテロアルキルアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アリールオキシアルキル、アリールアルコキシ、アルコキシカルボニル、アリールカルボニル、アリールアルケニル、アミノカルボニルアリール、アリールチオ、アリールスルフィニル、アリールアゾ、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アリールチオアルキル、アルコキシアリールチオ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アリールスルフィニル、アリールスルフィニルアルキル、アリールスルホニルアミノ、およびアリールスルホンアミノカルボニル、および/または本明細書に記載される任意のアルキル置換基から選択される、1、2、または3個の基で、所望により置換されてもよい。
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールなる語のいずれかが、もう一つ別の基の一部として用いられる場合、炭素原子および環員の数は、それ自体の用語において定義されたものと同じである。例えば、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルアミノ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシアルコキシ、ハロアルキルアミノ、アルコキシアルキルアミノ、ハロアルコキシアルキルアミノ、アルキルチオ等は、それぞれ独立して、1~4個の炭素原子、1~6個の炭素原子、1~10個の炭素原子等などの、「アルキル」なる語について定義されたものと同じである数の炭素原子を含有する。同様に、シクロアルコキシ、ヘテロシクリルオキシ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクリルアミノ、アラルキルアミノ、アリールアミノ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアルキルオキシ等は、それぞれ独立して、「シクロアルキル」、「ヘテロシクリル」、「アリール」、および「ヘテロアリール」なる語について定義されたものと同じ、3ないし6員、4ないし7員、6ないし10員、5ないし10員、5または6員等の環員を含む。
当該分野において用いられる慣例に従って、本明細書中の構造式において用いられる、
などの、太線を指す結合は、部分または置換基のコアまたは骨格構造との付着点である結合を表す。
当該分野において用いられる慣例に従って、
などの、構造式の波線または波状の結合は、X’、Y’、およびZ’が結合する炭素原子の不斉中心を表すために用いられ、一つだけの図表で、両方のエナンチオマーを表すものとする。すなわち、波線結合などを有する構造式は、
などの、個々のエナンチオマーのそれぞれ、並びにそれらのラセミ混合物を表す。波線または波状結合が二重結合(C=CまたはC=Nなど)の部分に結合している場合、それはシスまたはトランス(または、EおよびZ)幾何異性体、またはそれらの混合物を含む。
炭素環式またはヘテロ環式部分が、特定の結合点を示すことなく、異なる環原子を介して、指定される基質に結合する、またはその他の方法で付着し得る場合、その時には炭素原子を介するか、または、例えば三価の窒素原子に関わらず、すべての可能な点が意図されることを本明細書において理解する。例えば、「ピリジル」なる語は、2-、3-または4-ピリジルを意味し、「チエニル」なる語は、2-または3-チエニル等を意味する。
置換基への結合が、環内の2つの原子を接続する結合を横切って示される場合、そのような置換基は、環上の任意の原子に結合しうる。置換基が、所定の式の化合物の残りの部分に結合する原子を示すことなく、そのような置換基が列挙されている場合、その時にはかかる置換基はそのような置換基のいずれの原子を介しても結合し得る。置換基および/または可変基の組み合わせは、そのような組み合わせが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容される。
当業者であれば、本発明の化合物の置換基、および他の部分は、許容可能な安定な医薬組成物に製剤化することができる、薬学的に有用な化合物を提供するのに十分に安定している化合物を付与するために、選択されるべきであることを、理解するであろう。そのような安定性のある本発明の化合物は、本発明の範囲内に属すると考えられる。
「対イオン」なる語は、塩化物、臭化物、水酸化物、酢酸塩、および硫酸塩などの、負に帯電した種を表すために用いられる。「金属イオン」なる語は、ナトリウム、カリウム、またはリチウムなどのアルカリ金属イオンを、カルシウムなどのアルカリ土類金属を、ならびにマグネシウム、亜鉛およびアルミニウムをいう。
本明細書で言及される「置換」なる語は、(炭素原子またはヘテロ原子に結合した)少なくとも1つの水素原子が、水素でない基で置き換えられていること、但し、通常の原子価が維持され、置換によって安定した化合物が得られることを条件とすることを意味する。置換基がオキソ(すなわち=O)である場合、その時には原子上の2つの水素が置換される。オキソ置換基は芳香族基上に存在しない。環系(例えば、炭素環またはヘテロ環)がカルボニル基または二重結合で置換されていそうな場合、カルボニル基または二重結合は環の一部(すなわち内部)であることが意図される。本明細書で用いられる環二重結合は、2つの隣接する環原子の間に形成される二重結合(例えば、C=C、C=N、またはN=N)である。アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロヘテロアルキル、アルキレン、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、カルボシクリル、およびヘテロシクリルについて言及される「置換」なる語は、それぞれ、炭素またはヘテロ原子のいずれかに結合した、1または複数の水素原子が、各々独立して、1または複数の水素以外の置換基で置き換えられた、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロヘテロアルキル、アルキレン、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、カルボシクリル、およびヘテロシクリルを意味する。
本発明の化合物に窒素原子(例えば、アミン)が存在する場合、それらは酸化剤(例えば、mCPBAおよび/または過酸化水素)で処理することによってN-オキシドに変換され、本発明の他の化合物を得ることができる。そのため、示される窒素原子と請求される窒素原子は、示される窒素およびそのN-オキシド(N→O)誘導体の両方を含むと考えられる。
化合物のいずれかの構成または式中に、任意の可変基が複数回現れる場合、各出現でその定義は、他のそれぞれの場合におけるその定義とは独立している。そのため、例えば、基が0、1、2、または3個のR基で置換されると示されている場合、その時は該基は、それが0個のR基で置換される場合、非置換であるか、あるいは、3個までのR基で置換される場合、それぞれの場合において、Rは独立してRの定義から選択される。
また、置換基および/または可変基の組み合わせは、そのような組み合わせが安定な化合物をもたらす場合にのみ、許容可能である。
本明細書で用いられる「互変異性体」なる語は、平衡状態で一緒に存在し、分子内の原子または基の移動によって、容易に交換される、2つ以上の化合物の異性体のそれぞれをいう。例えば、1,2,3-トリアゾールは、上記で定義された2つの互変異性体の形態で存在することを、当業者は容易に理解するであろう:
そのため、本開示は、構造がそれらの一方のみを表す場合であっても、可能性のある全ての互変異性体を含むものとする。
「医薬的に許容される」なる語は、健全な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、および/または他の問題または合併症がなく、合理的な利益/リスクの割合に見合った、ヒトおよび動物の組織に接触させて用いるのに適切な、これらの化合物、材料、組成物、および/または剤形をいうのに本明細書にて用いられる。
本発明の化合物は、塩として存在することができ、これもまた本発明の範囲内である。医薬的に許容される塩が好ましい。本明細書で用いられる「医薬的に許容される塩」は、親化合物が、その酸または塩基の塩を製造することによって修飾される、本開示の化合物の誘導体をいう。本発明の医薬的に許容される塩は、塩基性または酸性部分を含有する親化合物から、従来の化学的方法によって合成することができる。一般に、そのような塩は、水または有機溶媒中で、または2つの混合液中(一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、または アセトニトリルなどの非水性溶媒が好ましい)で、それらの遊離酸または塩基の形態の化合物を化学量論量の適切な塩基または酸と反応させることによって、製造することができる。適切な塩の一覧が、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, Mack Publishing Company, Easton, PA (1990)(その内容を出典明示により本明細書の一部とする)に記載される。
本発明の化合物は、例えば、少なくとも1つの塩基性中心を有する場合、酸付加塩を形成することができる。これらは、例えば、鉱酸、例えば、硫酸、リン酸、またはハロゲン化水素酸などの強無機酸とで、1~4個の炭素原子のアルカンカルボン酸、例えば、置換されていない、または、例えばクロロ酢酸のようにハロゲンによって置換された酢酸など、飽和または不飽和ジカルボン酸、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、またはテレフタル酸など、ヒドロキシカルボン酸、例えば、アスコルビン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、またはクエン酸など、アミノ酸(例えば、アスパラギン酸、またはグルタミン酸、またはリシン、またはアルギニン)、または安息香酸などの有機カルボン酸とで、あるいは置換されていない、または、例えばハロゲンによって置換された(C1-C4)アルキルもしくはアリールスルホン酸、例えば、メチル-またはp-トルエンスルホン酸などの有機スルホン酸とで形成される。必要に応じて、さらに塩基性中心のある対応する酸付加塩を形成することもできる。少なくとも1つの酸基(例えば、COOH)を有する本発明の化合物はまた、塩基との塩を形成することができる。塩基との適切な塩は、例えば、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属塩、例えば、ナトリウム、カリウムまたはマグネシウム塩などの金属塩、あるいは、アンモニア、またはモルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピロリジン、モノ、ジまたはトリ低級アルキルアミン、例えば、エチル、tert-ブチル、ジエチル、ジイソプロピル、トリエチル、トリブチル、またはジメチル-プロピルアミン、またはモノ、ジまたはトリヒドロキシ低級アルキルアミン、例えば、モノ、ジ、またはトリエタノールアミンなどの有機アミンとの塩である。対応する内部塩が、さらに形成されうる。医薬用途には適合しないが、例えば、本発明の遊離化合物、またはその医薬的に許容される塩の単離または精製のために、利用することができる塩もまた、含まれる。
塩基性基を含む、本発明の化合物の好ましい塩としては、モノヒドロクロライド、水素サルフェート、メタンスルホネート、ホスフェート、ニトレート、またはアセテートが挙げられる。
酸性基を含む、本発明の化合物の好ましい塩としては、ナトリウム、カリウム、およびマグネシウム塩、および医薬的に許容される有機アミンが挙げられる。
さらに、本発明の化合物は、プロドラッグの形態を有し得る。インビボで変換されて、生理活性薬剤(すなわち、式Iの化合物)を提供するであろう任意の化合物は、本発明の範囲および精神の範囲内のプロドラッグである。プロドラッグの様々な形態は、当該分野において周知である。そのようなプロドラッグ誘導体の例としては、下記を参照のこと:
a) Bundgaard, H.編, Design of Prodrugs, Elsevier (1985), およびWidder, K.ら編, Methods in Enzymology, 112: 309-396, Academic Press (1985);
b) Bundgaard, H., Chapter 5, 「プロドラッグのデザインおよび用途(Design and Application of Prodrugs)」, A Textbook of Drug Design and Development, pp. 113-191, Krosgaard-Larsen, P.ら編, Harwood Academic Publishers (1991);
c) Bundgaard, H., Adv. Drug Deliv. Rev., 8: 1-38 (1992);
d) Bundgaard, H.ら, J. Pharm. Sci., 77: 285 (1988); および
e) Kakeya, N.ら, Chem. Pharm. Bull., 32: 692 (1984)。
本発明の化合物は、体内で加水分解され、本発明の化合物そのものを生成することによって、プロドラッグとして機能する、生理学的に加水分解可能なエステル、すなわち「プロドラッグエステル」を形成することができる、カルボキシ基を含む。本発明の化合物の生理学的に加水分解可能なエステルの例としては、C1~C6アルキル、C1~C6アルキルベンジル、4-メトキシベンジル、インダニル、フタリル、メトキシメチル、C1-6アルカノイルオキシ-C1-6アルキル(例えば、アセトキシメチル、ピバロイルオキシメチル、またはプロピオニルオキシメチル)、C1~C6アルコキシカルボニルオキシ-C1~C6アルキル(例えば、メトキシカルボニル-オキシメチル、またはエトキシカルボニルオキシメチル、グリシルオキシメチル、フェニルグリシルオキシメチル、(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソレン-4-イル)-メチル)、および例えば、ペニシリンおよびセファロスポリンの分野において用いられる、他の周知の生理学的に加水分解可能なエステルが挙げられる。そのようなエステルは、当該分野において既知の従来の技術によって製造され得る。「プロドラッグエステル」は、当業者に既知の操作を用いて、本発明の化合物のカルボン酸部分を、アルキルまたはアリールアルコール、ハライド、またはスルホネートのいずれかと反応させることによって、形成することができる。そのようなエステルは、当該分野において既知の従来の技術によって製造され得る。
プロドラッグの製造は当該分野において周知であり、例えば、King, F.D.編、Medicinal Chemistry: Principles and Practice, The Royal Society of Chemistry, Cambridge, UK (1994); Testa, B.ら、Hydrolysis in Drug and Prodrug Metabolism. Chemistry, Biochemistry and Enzymology, VCHA and Wiley-VCH, Zurich, Switzerland (2003); Wermuth, C.G.編、The Practice of Medicinal Chemistry, Academic Press, San Diego, CA (1999)において記載される。
本発明は、本発明の化合物において生じる全ての原子の同位体を含むものとする。同位体としては、同じ原子数を有するが、質量数の異なるそれらの原子が挙げられる。一般的な例として、限定されないが、水素の同位体として、重水素およびトリチウムが挙げられる。重水素は1個のプロトンおよび1個の中性子を核中に有し、通常の水素の2倍の質量を有する。重水素は「2H」または「D」などの記号によって表すことができる。本明細書における「重水素化」なる語は、それ自体で、または化合物もしくは基を修飾するために用いられ、炭素に結合した1または複数の水素原子を、重水素原子と置き換えることをいう。炭素の同位体としては、13Cおよび14Cが挙げられる。
同位体標識された本発明の化合物は、一般に、当業者に既知の従来の技術によって、または本明細書に記載されるものと類似の方法によって、他の場合に用いられる非標識試薬の代わりに同位体標識された適切な試薬を用いて、製造することができる。そのような化合物は、例えば、潜在的な医薬化合物の、標的タンパク質または受容体への結合能の決定において、または本発明の化合物の、インビボまたはインビトロでの生物学的な受容体への結合を画像化するための標体および試薬として、様々な潜在的な用途を有する。
「安定な化合物」および「安定な構造」は、反応混合物からの有用な純度までの単離、および有効な治療剤への製剤化に耐える、十分に頑強である化合物を指すことを意味する。本発明の化合物は、N-ハロ、S(O)2H、またはS(O)H基を含まないことが好ましい。
「溶媒和物」なる語は、本発明の化合物と、1または複数の有機または無機のいずれかの溶媒分子との物理的な会合を意味する。この物理的な会合としては、水素結合が挙げられる。特定の例では、例えば、1または複数の溶媒分子が結晶固体の結晶格子中に組み込まれている場合、溶媒和物は単離することができるであろう。溶媒和物中の溶媒分子は、規則的な配置および/または不規則な配置で存在しうる。溶媒和物は、化学量論量または非化学量論量のいずれかの溶媒分子を含み得る。「溶媒和物」は、溶液相および単離可能な溶媒和物の両方を含む。溶媒和物の例としては、これらに限定はされないが、水和物、エタノール和物、メタノール和物、およびイソプロパノール和物が挙げられる。溶媒化の方法は、一般に、当該分野において既知である。
略語
本明細書で用いられる略語は、以下のように定義される:「1x」は1回、「2x」は2回、「3x」は3回、「℃」はセルシウス度、「eq」は当量、「g」はグラム、「mg」はミリグラム、「L」はリットル、「mL」はミリリットル、「μL」はマイクロリットル、「N」は規定、「M」はモル、「mmol」はミリモル、「min」は分、「h」は時間、「rt」は室温、「RT」は保持時間、「RBF」は丸底フラスコ、「atm」は雰囲気、「psi」はポンド毎平方インチ、「conc.」は濃縮物、「RCM」は閉環メタセシス、「sat」または「sat’d」は飽和、「SFC」は超臨界流体クロマトグラフィー、「MW」は分子量、「mp」は融点、「ee」はエナンチオマー過剰率、「MS」または「Mass Spec」は質量スペクトロメトリー、「ESI」はエレクトロスプレーイオン化質量分析、「HR」は高分解能、「HRMS」は高分解能質量スペクトロメトリー、「LCMS」は液体クロマトグラフィー・質量スペクトロメトリー、「HPLC」は高圧液体クロマトグラフィー、「RP HPLC」は逆相HPLC、「TLC」または「tlc」は薄層クロマトグラフィー、「NMR」は核磁気共鳴分光法、「nOe」は核オーバーハウザー効果分光法、「
1H」はプロトン、「δ」はデルタ、「s」はシングレット、「d」はダブレット、「t」はトリプレット、「q」はカルテット、「m」はマルチプレット、「br」はブロード、「Hz」はヘルツ、並びに「α」、「β」、「γ」、「R」、「S」、「E」、および「Z」は、当業者に周知の立体化学的記号である。
IV.生物学
リゾリン脂質は、膜由来生理活性脂質メディエータである。リゾリン脂質としては、これらに限定はされないが、リゾホスファチジン酸(1-アシル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスフェート;LPA)、スフィンゴシン1-ホスフェート(S1P)、リゾホスファチジルコリン(LPC)、およびスフィンゴシルホスホリルコリン(SPC)が挙げられる。リゾリン脂質は、細胞の増殖、分化、生存、遊走、接着、浸潤、および形態形成などの、基本的な細胞の機能に影響する。これらの機能は、神経形成、血管形成、創傷治癒、免疫、および発がんなどの、多くの生物学的プロセスに影響を与える。
LPAは、特定のGタンパク質共役型受容体(GPCR)のセットを介して自己分泌および傍分泌の様式で作用する。LPAがその同族のGPCR(LPA1、LPA2、LPA3、LPA4、LPA5、LPA6)に結合することによって、細胞内シグナル伝達経路を活性化し、様々な生物学的応答が生じる。
LPAなどのリゾリン脂質は、主な対応するリン脂質(例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、およびスフィンゴミエリン)と比較して、量的に少量の脂質種である。LPAは生物学的なエフェクター分子としての役割を有し、これらに限定されないが、血圧、血小板活性化、および平滑筋収縮に対する効果、ならびに細胞成長、細胞円形化、神経突起退縮、およびアクチンストレスファイバー形成、および細胞遊走を含む、種々の細胞作用などの様々な生理学的作用を有する。LPAの効果は、主に受容体介在によるものである。
LPAによるLPA受容体(LPA1、LPA2、LPA3、LPA4、LPA5、LPA6)の活性化は、一連の下流のシグナル伝達カスケードを介在する。これらとしては、限定はされないが、分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)活性化、アデニル酸シクラーゼ(AC)阻害/活性化、ホスホリパーゼC(PLC)活性化/Ca2+動員、アラキドン酸放出、Akt/PKB活性化、並びに低分子量GTPアーゼ、Rho、ROCK、Rac、およびRasの活性化が挙げられる。LPA受容体の活性化によって影響される他の経路は、これらに限定はされないが、環状アデノシン一リン酸(cAMP)、細胞分裂周期42/GTP結合タンパク質(Cdc42)、プロトオンコジンセリン/スレオニンタンパク質キナーゼRaf(c-RAF)、プロトオンコジンチロシンタンパク質キナーゼSrc(c-src)、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)、限局性接着キナーゼ(FAK)、グアニンヌクレオチド交換因子(GEF)、グリコーゲン合成酵素キナーゼ3b(GSK3b)、c-junアミノ末端キナーゼ(JNK)、MEK、ミオシン軽鎖II(MLC II)、核因子kB(NF-kB)、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体活性化、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)、タンパク質キナーゼA(PKA)、タンパク質キナーゼC(PKC)、ras関連C3ボツリヌストキシン基質1(RAC1)が挙げられる。実際の経路および実現された終点は、受容体の使用、細胞型、受容体またはシグナル伝達タンパク質の発現量、およびLPA濃度などの様々な変数に依存する。ほとんど全ての哺乳動物の細胞、組織、および臓器は、いくつかのLPA受容体サブタイプを共発現しており、これはLPA受容体シグナルが協同的な様式であることを示す。LPA1、LPA2、およびLPA3は、高いアミノ酸配列類似性を共有する。
LPAは、活性化血小板、活性化脂肪細胞、神経細胞、および他の細胞型から産生される。血清LPAは、モノアシルグリセロールキナーゼ、ホスホリパーゼA1、分泌型ホスホリパーゼA2、およびオートタキシンを含むリゾホスホリパーゼD(lysoPLD)に関連する多くの酵素経路によって産生される。LPA分解には、数種の酵素:リゾホスホリパーゼ、脂質リン酸ホスファターゼ、およびエンドフィリンなどのLPAアシルトランスフェラーゼが関与する。ヒト血清中のLPA濃度は、1~5μMであると推定される。血清LPAは、アルブミン、低密度リポタンパク質、または他のタンパク質に結合し、これが迅速な分解からLPAを保護する可能性がある。1-パルミトイル(16:0)、1-パルミトレオイル(16:1)、1-ステアロイル(18:0)、1-オレオイル(18:1)、1-リノレオイル(18:2)、および1-アラキドニル(20:4)LPAを含む、アシル鎖長および飽和度が異なるLPA分子種が天然にて存在する。量的に少ないアルキルLPAは、アシルLPAと同様の生物学的活性を有し、異なるLPA種が効能の可変したLPA受容体サブタイプを活性化する。
LPA受容体
LPA1(以前はVZG-1/EDG-2/mrec1.3と称された)は、3種類のGタンパク質、Gi/o、Gq、およびG12/13と共役する。これらのGタンパク質の活性化を通して、LPAはLPA1を介して、これらに限定はされないが、細胞増殖、血清応答因子(SRE)活性化、分裂活性化因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)活性化、アデニリルシクラーゼ(AC)阻害、ホスホリパーゼC(PLC)活性化、Ca2+動員、Akt活性化、およびRho活性化を含む、一連の細胞性応答を誘導する。
LPA1の幅広い発現が成体マウスにおいて観測され、精巣、脳、心臓、肺、小腸、胃、脾臓、胸腺、および骨格筋において明確に存在する。同様に、ヒトの組織はまたLPA1を発現し、脳、心臓、肺、胎盤、結腸、小腸、前立腺、精巣、卵巣、膵臓、脾臓、腎臓、骨格筋、および胸腺においても存在する。
LPA2(EDG-4)はまた、3種類のGタンパク質、Gi/o、Gq、およびG12/13と共役し、LPA誘導性細胞シグナル伝達を媒介する。LPA2の発現は、成体マウスの精巣、腎臓、肺、胸腺、脾臓、および胃において、ならびにヒトの精巣、膵臓、前立腺、胸腺、脾臓、および末梢血白血球において観察される。LPA2の発現は、様々ながん細胞株においてアップレギュレートされ、3’非転写領域において変異を有する、いくつかのヒトLPA2転写変種が観察された。マウスにおけるLPA2の標的欠失は、明らかな表現型異常性を示していないが、マウス胚性線維芽細胞(MEF)の初代培養において、正常なLPAシグナル伝達(例えば、PLC活性化、Ca2+動員、およびストレスファイバー形成)の有意な消失が示された。lpa1(-/-)、lpa2(-/-)二重欠損(double-null)マウスの生成によって、二重欠損MEFにおいて、細胞増殖、AC阻害、PLC活性化、Ca2+動員、JNKおよびAkt活性化、およびストレスファイバー形成を含む、多くのLPA誘導性応答が存在しないか、または大きく減少していることが明らかとなった。これらの全ての応答は、AC阻害を除いて(LPA1(-/-)MEFにおいて、AC阻害はほとんど消失している)、LPA1(-/-)またはLPA2(-/-)MEFのいずれかにおいて部分的に影響するだけである。LPA2は、少なくともいくつかの細胞型において、正常なLPA介在性シグナル伝達応答に寄与する(Choiら、Biochemica et Biophysica Acta 2008, 1781, p531-539)。
LPA3(EDG-7)は、Gi/oおよびGqと共役する能力を有するが、G12/13とは共役しない点で、LPA1およびLPA2と異なり、飽和アシル鎖を有するLPA種に対する応答性がはるかに低い。LPA3は、PLC活性化、Ca2+動員、AC阻害/活性化、およびMAPK活性化を含む、多面的なLPA誘導性シグナル伝達を介在し得る。神経芽腫細胞におけるLPA3の過剰発現は神経突起の伸長に至り、その一方でLPA1またはLPA2の過剰発現は、LPAによって刺激された場合に神経突起収縮および細胞円形化をもたらす。LPA3の発現は、成体マウスの精巣、腎臓、肺、小腸、心臓、胸腺、および脳において観察される。ヒトにおいては、心臓、膵臓、前立腺、精巣、肺、卵巣、および脳(前頭皮質、海馬、および扁桃体)において見られる。
LPA4(p2y9/GPR23)は、LPA1、LPA2、およびLPA3と比較して異なる配列であり、血小板活性化因子(PAF)受容体に近い類似性を有する。LPA4は、LPA誘導性のCa2+動員およびcAMP蓄積、およびAC活性化のためのGタンパク質Gsとの機能的カップリング、並びに他のGタンパク質へのカップリングを介在する。LPA4遺伝子は卵巣、膵臓、胸腺、腎臓および骨格筋にて発現する。
LPA5(GPR92)はGPCRのプリンクラスター(purinocluster)の一員であり、構造的にLPA4と最も密接に関連付けられる。LPA5はヒトの心臓、胎盤、脾臓、脳、肺および腸において発現する。LPA5はまた、消化管のCD8+リンパ球コンパートメントにおいて極めて高い発現を示す。
LPA6(p2y5)はGPCRのプリノクラスターの一員であり、構造的にLPA4と最も密接に関連付けられる。LPA6はG12/13-Rhoシグナル伝達経路に共役したLPA受容体であり、ヒトの毛包の内根鞘において発現される。
具体的生物学的活性
創傷治癒
正常な創傷治癒は、細胞、可溶化因子およびマトリックス成分が一緒になって傷害を修復するように作用する点で、一連の事象を高度に協調させることで起こる。治癒応答は、4つの広範で重複するフェーズ-止血、炎症、細胞増殖およびリモデリングで起こるものとして記載され得る。多くの成長因子およびサイトカインが創傷部位に放出され、創傷治癒の工程が始まり、継続される。
創傷した場合、損傷した血管が血小板を活性化する。活性化された血小板は生体活性メディエータを放出することによりその後の修復工程にて極めて重要な役割を果たし、細胞増殖、細胞遊走、血液凝固および血管形成を誘発する。LPAは活性化された血小板より放出されるかかるメディエータの一つであり;これが内皮細胞、平滑筋細胞、線維芽細胞およびケラチノサイトなどの周囲の細胞での分裂促進/遊走作用と共に血小板凝集を誘発する。
LPAのマウスの皮膚創傷への局所的塗布は、二次的炎症を患うことなく、細胞増殖/遊走を増加させることにより、修復プロセス(傷口を塞ぎ、新たな上皮を厚くさせる)を促進する。
成長因子およびサイトカインによる皮膚線維芽細胞の活性化は、それらをその後で該創傷の端からフィブリン凝結で形成される一時的なマトリックスに遊走させ、すると線維芽細胞が増殖し、特徴的な皮膚細胞外マトリックス(ECM)を分泌し、組織化することにより真皮を復元し始める。創傷内にある線維芽細胞数の増加およびECMの連続的沈降は、小さな牽引力を新たに形成された肉芽組織に負荷することにより、マトリックスの剛性を高める。形質転換成長因子β(TGFβ)と結びついた機械的ストレスの増加は、α-平滑筋アクチン(α-SMA)発現を、その後の線維芽細胞の筋線維芽細胞への形質転換を誘発する。筋線維芽細胞は、筋線維芽細胞の収縮を介し、ECM成分の産生を通して肉芽組織のリモデリングを促進する。
LPAは、増殖、遊走、分化および収縮を含む、創傷治癒における線維芽細胞の多くの重要な機能を制御する。線維芽細胞の増殖は開放創を埋めるために創傷治癒にて必要とされる。反対に、線維症は、ECMおよび炎症誘発性サイトカインを積極的に合成する筋線維芽細胞の強い増殖および蓄積により特徴付けられる。LPAは、上皮および内皮細胞(EC)、マクロファージ、ケラチノサイトおよび線維芽細胞などの、創傷治癒にて重要な細胞型の増殖を亢進または抑制することができる。LPA誘発の細胞増殖にLPA1が果たす役割は、ヌルマウスのLPA1受容体より単離された線維芽細胞のLPA刺激性増殖が弱められるとの観察により提供された(Millsら、Nat Rev. Cancer 2003, 3:582-591)。LPAは、線維芽細胞の接着、遊走、分化および収縮に対して不可欠である、細胞骨格の変化を誘発する。
線維症
組織傷害は一連の複雑な宿主創傷-治癒応答を開始する;うまくいけば、これらの応答は正常な組織構造および機能を回復する。そうでなければ、これらの応答は組織線維化および機能喪失に繋がり得る。
器官および組織の大部分では、線維症の発症には多くの事象および因子が関与する。線維症の発症に関与する分子として、蛋白またはペプチド(線維化促進性サイトカイン、ケモカイン、メタロプロテイナーゼ等)およびリン脂質が挙げられる。線維症の発症に関連付けられるリン脂質として、血小板活性化因子(PAF)、ホスファチジルコリン、スフィンゴシン-1ホスフェート(S1P)およびリゾホスファチジン酸(LPA)が挙げられる。
多くの筋ジストロフィーは、進行性の筋力の低下および筋肉組織の萎縮、および広範な線維化により特徴付けられる。培養された筋芽細胞のLPA治療は結合組織成長因子(CTGF)の発現を有意に誘発することが明らかにされた。CTGFはその後でコラーゲン、フィブロネクチンおよびインテグリン発現を誘発し、これらの筋芽細胞の脱分化を誘発する。種々の細胞型のLPAでの治療は再現可能で高レベルのCTGFの誘発を誘導する(J.P.Pradereら、LPA1 receptor activation promotes renal interstitial fibrosis、J. Am. Soc. Nephrol., 18(2007)3110-3118;N.Wiedmaierら、Int. J. Med. Microbiol., 298(3-4):231-243, 2008)。CTGFは線維化促進性サイトカインであり、TGFβと並行して下流にシグナル伝達する。
歯肉線維腫症の発症と関連付けられる、歯肉上皮細胞によるCTGF発現が、LPA治療により増幅されることが判明した(A.Kantarciら、J. Pathol. 210 (2006) 59-66)。
LPAは肝線維症の進行と関連付けられる。インビトロにて、LPAは星細胞および肝細胞増殖を誘発する。これらの活性化された細胞は肝臓におけるECMの蓄積に関与する主たる細胞型である。さらには、LPAの血漿中レベルは、齧歯類でのCCl4誘発性肝線維症の間に、あるいはヒトでのC型肝炎ウイルス誘発性肝線維症の間に上昇する(N. Watanabeら、Plasma lysophosphatidic acid level and serum autotaxin activity are increased in liver injury in rats in relation to its severity、Life Sci.、81 (2007) 1009-1015;N. Watanabeら、J. Clin. Gastroenterol. 41 (2007) 616-623)。
ブレオマイシンを注射したウサギおよび齧歯類での気管支肺胞洗浄液中のリン脂質濃度の上昇が報告されている(K. Kurodaら、Phospholipid concentration in lung lavage fluid as biomarker for pulmonary fibrosis, Inhal. Toxicol. 18 (2006) 389-393;K. Yasudaら、Lung 172 (1994) 91-102)。
LPAは心疾患および心筋リモデリングと関連付けられる。血清中LPAレベルは患者の心筋梗塞後に向上し、LPAはラットにおける心臓線維芽細胞増殖およびコラーゲン産生を刺激する(Chenら、FEBS Lett. 2006 Aug 21; 580(19):4737-45)。
肺線維症
肺での傷害に対する異常な創傷治癒応答は線維性肺疾患の病理発生に起因する。特発性肺線維症(IPF)などの線維性肺疾患は、高い死亡率および罹患率と関連付けられる。
LPAは肺線維症における線維芽細胞動員の重要なメディエータである。LPAおよびLPA1は肺線維症にて重要な病因的役割を果たす。線維芽細胞の化学誘引物質の活性は肺線維症の患者の肺にて重要な役割を果たす。LPA1受容体刺激の線維化促進作用はLPA1受容体を介した血管漏出および線維芽細胞動員の増加(共に線維化促進事象である)により説明される。LPA-LPA1経路は、IPFにおいて線維芽細胞遊走および血管漏出の仲介にて一の役割を有する。最終結果がこの線維性症状を特徴付ける異常な治癒工程である。
LPA1受容体はIPFの患者より得られる線維芽細胞で最も多く発現されるLPA受容体である。さらには、IPFの患者より得られるBALは二元的LPA1-LPA3 受容体アンタゴニストであるKi16425により遮断されるヒト胎児肺線維芽細胞の走化性を誘発した。ブレオマイシン誘発性肺傷害のマウス実験にて、暴露されていない対照と比べてLPAレベルが気管支肺胞洗浄サンプルにて高いことが明らかにされた。LPA1ノックアウトマウスは、ブレオマイシン攻撃の後に、線維芽細胞の蓄積および血管漏出が減少し、線維症より保護される。IPFのヒト対象にて、健康な対照と比べて、高レベルのLPAが気管支肺胞洗浄のサンプルより観察された。これらのサンプル中の線維芽細胞走化性活性の向上はKi16425により阻害され、このことは線維芽細胞遊走がLPA-LPA受容体(複数でも可)経路により媒介されることを示した(Tagerら、Nature Medicine, 2008, 14, 45-54)。
LPA-LPA1経路は肺線維症における線維芽細胞動員および血管漏出にて極めて重要である。
潜在的TGF-βのavβ6インテグリンによる活性化は肺傷害および線維症の発症にて重大な役割を果たす(Mungerら、Cell, 96, 319-328, 1999)。LPAはヒト肺上皮細胞でのavβ6を介したTGF-β活性化を誘発する(Xuら、Am. J. Pathology、2009, 174, 1264-1279)。LPA誘発のavβ6を介したTGF-β活性化はLPA2受容体により媒介される。LPA2受容体の発現は、正常なヒト肺組織と比べて、IPF患者の肺線維症の領域にある上皮細胞および間葉細胞にて増大する。LPA-LPA2経路は肺線維症のTGF-β経路の活性化に寄与する。いくつかの実施態様にて、LPA2を阻害する化合物は肺線維症の治療にて効能を示す。いくつかの実施態様にて、LPA1とLPA2の両方を阻害する化合物は、LPA1またはLPA2の一方だけを阻害する化合物と比べて、肺線維症の治療にて効能の改善を示す。
腎線維症
LPAとLPA1は腎線維症の病因と関連付けられる。LPAは糸球体メサンギウム細胞の増殖および収縮の両方に対して効果を有し、かくして増殖性糸球体腎炎と関連付けられる(C.N. Inoueら、Clin. Sci.(Colch.), 1999, 96:431-436)。腎線維症[片側尿管閉塞(UUO)]の動物実験にて、腎LPA受容体が、基本条件下、LPA2>LPA3=LPA1>>LPA4の発現順で発現されることが判明した。この実験は、腎炎、線維芽細胞の活性化および細胞外マトリックスの尿細管間質における蓄積を含む、腎線維症の発症を促進された様式にて模倣するものである。UUOはLPA1-受容体発現を有意に誘発する。これは腎移植片の訓化培地における腎臓LPA産生(3.3倍増)に匹敵する。対側腎はLPA放出およびLPA受容体発現にて有意な違いを示さなかった。このことは線維症におけるLPAの作用についての前提条件がリガンド(LPA)の産生およびその受容体の一(LPA1受容体)の誘発と合致することを示す(J.P. Pradereら、Biochimica et Biophysica. Acta, 2008, 1781, 582-587)。
LPA1受容体がノックアウトとされたマウス(LPA1(-/-))にて、腎線維症の発症が有意に抑えられた。LPA受容体アンタゴニストであるKi16425で処理されたUUOマウスは、LPA1(-/-)マウスとプロフィールが酷似した。
LPAは単球/マクロファージの腹腔内蓄積に関与し得、LPAはヒト線維芽細胞の初代培養での線維化促進性サイトカインCTGFの発現を誘発しうる(J.S. Kohら、J. Clin. Invest., 1998, 102, 716-727)。
マウス上皮腎細胞系、MCTのLPA処理は、線維化促進性サイトカインCTGFの発現にて迅速な増加を誘発した。CTGFはUUO誘発性の尿細管間質線維症(TIF)にて極めて重要な役割を果たし、TGFβの線維化促進性活性と関連付けられる。この誘発はLPA-受容体アンタゴニストであるKi16425と一緒に共同して処理することによりほぼ完全に抑制された。一の態様において、LPAの腎臓における線維化促進性活性は、CTGFの誘発を含め、腎細胞に対してLPAの直接的作用をもたらす。
肝線維症
LPAは肝臓の疾患および線維症と関連付けられる。血漿中LPAレベルおよび血清中オートトキシン(LPA産生に関与する酵素)は、線維症の増加との相関関係において、肝炎患者にて、および肝傷害の動物実験にて高かった。LPAはまた、肝細胞機能を制御する。LPA1およびLPA2受容体はマウス肝星細胞により発現され、LPAは肝筋繊維芽細胞の遊走を刺激する。
眼線維症
LPAは眼の創傷治癒に関与する。LPA1およびLPA3受容体は、正常なウサギの角膜上皮細胞、ケラトサイトおよび内皮細胞で検出可能であり、LPA1およびLPA3発現が傷害後の角膜上皮細胞にて増加する。
LPAおよびその同族体はウサギの眼の房水および涙腺液中に存在し、これらのレベルはウサギの角膜傷害実験にて増加する。
LPAはウサギ角膜内皮および上皮細胞にてアクチンストレス線維形成を誘発し、角膜線維芽細胞の収縮を促進する。LPAはまたヒト網膜着色化上皮細胞の増殖を刺激する。
心線維症
LPAは心筋梗塞および心線維症と関連付けられる。血清中LPAレベルは心筋梗塞(MI)後の患者で増加し、LPAはラットの心線維芽細胞による細胞増殖およびコラーゲン産生(線維症)を刺激する。LPA1およびLPA3の両方の受容体はヒト心組織にて高度に発現される。
線維症の治療
一の態様において、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩は、哺乳類における線維症を治療または予防するのに使用される。一の態様において、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩は、哺乳類における器官または組織の線維症の治療に用いられる。一の態様において、哺乳類における線維症の症状を予防する方法であって、一または複数の線維症の症状を発症する危険のある哺乳類に治療的に有効な量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を投与することを特徴とする、方法が提供される。一の態様において、哺乳類は器官または組織の線維症の危険性を高めることが知られている、一または複数の環境条件に曝されてきた。一の態様において、哺乳類は、肺、肝臓または腎臓の線維症の危険性を高めることが分かっている一または複数の環境条件に曝されてきた。一の態様において、哺乳類は器官または組織の線維症を発症する遺伝性素因を有する。一の態様において、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩は、傷害後の瘢痕を防止または最小とするのに哺乳類に投与される。一の態様において、傷害は手術を包含する。
本願明細書にて使用される「線維症」または「線維化障害」なる語は、細胞および/またはフィブロネクチンおよび/またはコラーゲンの異常な蓄積、および/または線維芽細胞の動員の増加に付随する症状をいい、限定されるものではないが、心臓、腎臓、肝臓、関節、肺、胸膜組織、腹膜組織、皮膚、角膜、網膜、筋骨格および消化管などの個々の器官または組織の線維症を包含する。
線維症に関与する例示としての疾患、障害または症状は、限定されるものではないが、線維症に伴う肺疾患、例えば、特発性肺線維症、関節リウマチ、強皮症、紅斑性狼瘡、特発性線維化肺胞炎、放射線誘発性線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、強皮症、慢性喘息、ケイ肺症、アスベスト誘発性肺または胸膜線維症、急性肺傷害および急性呼吸窮迫(細菌性肺炎誘発性、外傷誘発性、ウイルス性肺炎誘発性、呼吸器誘発性、非肺敗血症誘発性および誤嚥誘発性の呼吸窮迫を含む);傷害/線維症(腎線維症)に付随する慢性腎症、例えば、狼瘡および強皮症などの全身性炎症疾患に続発する糸球体腎炎、糖尿病、糸球体腎炎、巣状分節状糸球体硬化症、IgA腎障害、高血圧症、同種移植片およびアルポート;腸線維症、例えば、強皮症および放射線誘発性腸線維症;肝線維症、例えば、肝硬変、アルコール誘発性肝線維症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、胆管傷害、原発性胆汁性肝硬変、感染またはウイルス誘発性肝線維症(例えば、慢性HCV感染)および自己免疫肝炎;頭頸部線維症、例えば、放射線誘発性頭頸部線維症;角膜瘢痕、例えば、レーシック(LASIK)(レーザー光によるインサイチュでの角膜曲率形成術)、角膜移植および線維柱帯切除術;肥厚性瘢痕およびケロイド、例えば、火傷誘発性または外科性の瘢痕およびケロイド;ならびに他の線維性疾患、例えば、サルコイドーシス、強皮症、脊髄傷害/線維症、骨髄線維症、血管性再狭窄、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、ヴェグナー肉芽腫、混合性結合組織疾患およびペイロニー疾患を包含する。
一の態様において、次の限定されない例示としての疾患、障害または症状:アテローム性動脈硬化症、血栓症、心疾患、血管炎、瘢痕組織の形成、再狭窄、静脈炎、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、肺高血圧症、肺線維症、肺炎、腸の癒着、膀胱線維症および膀胱炎、鼻腔線維症、副鼻腔炎、好中球により媒介される炎症、および線維芽細胞により媒介される線維症の一つを患っている哺乳類は、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩を用いる療法より利益を受けるであろう
一の態様において、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩は、器官または組織線維症に罹った哺乳類、あるいは器官または組織線維症を発症した素因のある哺乳類に、線維症を治療するのに使用される一または複数の他の薬剤と共に投与される。一の態様において、一または複数の薬剤はコルチコステロイドを包含する。一の態様において、一または複数の薬剤は免疫抑制剤を包含する。一の態様において、一または複数の薬剤はB細胞アンタゴニストを包含する。一の態様において、一または複数の薬剤はウテログロビンを包含する。
一の態様において、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩は、哺乳類における皮膚科障害を治療するのに使用される。本明細書にて使用される「皮膚科障害」なる語は皮膚障害をいう。かかる皮膚科障害は、以下に限定されないが、アトピー性皮膚炎、水疱障害、結合組織病(collagenoses)、乾癬、強皮症、乾癬性病変、皮膚炎、接触皮膚炎、湿疹、蕁麻疹、酒さ、強皮症、創傷治癒、瘢痕、肥厚性瘢痕、ケロイド、川崎病、酒さ、シェーグレン-ラルソ症候群、蕁麻疹などの、皮膚の増殖性または炎症性障害を包含する。一の態様において、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩は全身性硬化症を治療するのに使用される。
疼痛
LPAは組織傷害の後に放出されるため、LPA1は神経因性疼痛の発症にて重要な役割を果たす。LPA2またはLPA3と異なり、LPA1は後根神経節(DRG)および後根神経単位の両方で発現される。LPA1についてのアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(AS-ODN)およびLPA1ヌルマウスを用いて、LPA誘発の機械異痛および痛覚過敏がLPA1依存性形式にて媒介されることを見出した。LPA1および下流のRho-ROCKの活性化が神経因性疼痛のシグナル伝達の開始にて一の役割を果たす。クロストリジウム・ボツリヌスC3エキソ酵素(BoTXC3、Rho阻害剤)またはY-27632(ROCK阻害剤)での前処理は神経損傷マウスにて異痛および痛覚過敏を完全に除去した。LPAはまた、BoTXC3により妨げられる、後根の脱髄を誘発した。傷害による後根の脱髄はLPA1ヌルマウスまたはAS-ODN注入の野生型マウスにて観察されなかった。LPAシグナル伝達は蛋白キナーゼCγ(PKCγ)および電位開口型カルシウムチャンネルα2δ1サブユニット(Caα2δ1)などの重要な神経因性疼痛マーカーをLPA1およびRho依存性形式にて誘発するようである(M.Inoueら、Initiation of neuropathic pain requires lysophosphatidic acid receptor signaling, Nat. Med. 10 (2004) 712-718)。
一の態様において、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩は、哺乳動物における疼痛の治療に使用される。一の態様において、疼痛は急性疼痛または慢性疼痛である。もう一つ別の態様において、疼痛は神経因性疼痛である。
一の態様において、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩は、線維筋痛の治療にて使用される。一の態様において、線維筋痛は収縮(随意収縮)筋にて線維性瘢痕組織の形成から生じる。線維症は組織と結合し、血流を阻害して疼痛をもたらす。
がん
リゾリン脂質受容体のシグナル伝達はがんの病因にて一の役割を果たす。リゾホスファチジン酸(LPA)およびそのGタンパク質共役型受容体(GPCR)LPA1、LPA2および/またはLPA3は、いくつかの型のがんの発症にて一の役割を果たす。がんの発生、進行および転移は、細胞の増殖および成長、細胞の生存および抗アポトーシス、細胞の遊走、外来細胞の所定の細胞層および/または器官への侵入、および血管形成の促進を含む、いくつかの同時および連続的なプロセスと関連する。これらの各プロセスを生理学および病態生理学の条件下にてLPAシグナル伝達によって制御することで、特にLPA受容体またはATX/リゾPLDのレベルでがんを治療するためにLPAシグナル伝達経路を調節する治療的有用性の可能性が強調される。オートタキシン(ATX)は、ヒトメラノーマ細胞の訓化培地より最初に単離された転移促進酵素であり、血管形成および細胞の成長、遊走、生存およびLPAの産生を介する分化の促進を含む、多種多様な生物活性を刺激する(Mol Cancer Ther, 2008; 7(10):3352-62)。
LPAは、独自のGPCRを介してシグナルを伝達し、複数の下流にあるエフェクター経路の活性化をもたらす。かかる下流にあるエフェクター経路はがんにて一の役割を果たす。LPAおよびそのGPCRは主要な発がん性シグナル伝達経路を介してがんと結びつけられる。
LPAは細胞の運動性および浸潤性を高めることにより腫瘍形成の一因となる。LPAは卵巣がんの発症または進行と関連付けられる。LPAは卵巣がん患者の腹水中に有意な濃度(2-80μM)で存在する。卵巣がん細胞は、卵巣上皮がんの前駆細胞である正常な卵巣表面上皮細胞と比べて、多量のLPAを構成的に産生する。高レベルのLPAはまた、対照と比べて、初期段階の卵巣がんの患者からの血漿でも検出される。LPA受容体(LPA2およびLPA3)はまた、正常な卵巣表面上皮細胞と比べて、卵巣がん細胞にて過剰に発現される。LPAは卵巣がん細胞におけるCox-2mRNAの転写活性化および転写後強化を介してCox-2発現を刺激する。Cox-2により産生されるプロスタグランジンは多くのヒトがんと関連付けられ、Cox-2活性の薬理学的阻害は結腸がんの発症を弱め、家族性腺腫様ポリープのある患者の腺腫の大きさおよび数を減少させる。LPAはまた、前立腺がん、乳がん、メラノーマ、頭頚部がん、結腸がん(結腸直腸がん)、甲状腺がん、および他のがんの発症または進行と関連付けられる(Gardellら、Trends in Molecular Medicine, 12 No.2, p65-75, 2006;Ishiiら、Annu. Rev. Biochem, 73, 321-354, 2004;Millsら、Nat. Rev. Cancer, 3, 582-591, 2003;Murphら、Biochim. Biophys. Acta, 1781, 547-557, 2008)。
LPAに対する細胞応答はリゾホスファチジン酸受容体を介して媒介される。例えば、LPA受容体は膵臓がん細胞系の遊走とそれによる浸潤の両方を媒介し:LPA1およびLPA3のアンタゴニスト(Ki16425)およびLPA1特異的siRNAは膵臓がん患者から由来のLPAおよび腹膜水(腹水)に応答してインビトロ遊走を効果的に遮断し;加えて、Ki16425は腹膜転移性の膵臓がん細胞系のLPA誘発性および腹水誘発性浸潤活性を遮断した(Yamadaら、J. Biol. Chem., 279, 6595-6605, 2004)。
結腸直腸がん細胞系はLPA1のmRNAの有意な発現を示し、細胞移動および血管形成因子の産生によりLPAに応答する。LPA受容体の過剰発現は甲状腺がんの病理発生にて一の役割を有する。LPA3は元々は前立腺がん細胞よりクローンされ、前立腺がん細胞の自己分泌増殖を誘発するLPAの能力と一致する。
LPAは多種のがんにおけるがんの進行にて刺激的役割を有する。LPAは前立腺がんの細胞系より産生され、その増殖を誘発する。LPAは、LPA1のシグナル伝達を介してヒト大腸がんDLD1細胞の増殖、遊走、接着、および血管形成因子の分泌を誘発する。他のヒト大腸がん細胞系(HT29およびWiDR)にて、LPAは血管形成因子の細胞増殖および分泌を強化する。他の大腸がんの細胞系にて、LPA2およびLPA3受容体の活性化は細胞の増殖をもたらす。LPA代謝の遺伝的または薬理学的操作、受容体シグナル伝達の特異的遮断、および/または下流のシグナル伝達経路の阻害は、がん治療の方法を提示する。
LPAおよび他のリン脂質が卵巣がん細胞系におけるインターロイキン-8(IL-8)の発現を刺激することが報告されている。いくつかの実施態様において、卵巣がんにおける高濃度のIL-8は、各々、化学療法に対する不十分な初期応答、および不良な予後と相関関係にある。動物実験にて、IL-8および血管内皮増殖因子(VEGF)などの他の増殖因子の発現は、高い腫瘍形成能、腹水形成、血管形成、および卵巣がん細胞の浸潤性と関連付けられる。いくつかの態様において、IL-8は卵巣がんにおけるがん進行、薬物耐性、およい予後の重要な調節因子である。いくつかの実施態様において、本発明の化合物は卵巣がん細胞系におけるIL-8発現を阻害または軽減する。
一の態様において、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩はがんの治療に使用される。一の態様において、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩は悪性および良性増殖性疾患の治療に使用される。一の態様において、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩は、腫瘍細胞の増殖、がん腫、胸膜中皮腫(Yamada、Cancer Sci., 2008, 99(8), 1603-1610)または腹膜中皮腫の浸潤および転移、がん疼痛、骨転移(Boucharabaら、J. Clin. Invest., 2004, 114(12), 1714-1725;Boucharabaら、Proc. Natl. Acad. Sci., 2006, 103(25), 9643-9648)を予防または軽減するのに用いられる。一の態様にて、哺乳動物のがんを治療する方法であって、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩および第二治療剤を該哺乳動物に投与し、該第二治療剤が抗がん剤であるところの方法が提供される。
本願明細書にて使用される「がん」なる語は、制御されない方法で増殖し、ある場合には、転移(拡散)する傾向がある、細胞の異常増殖をいう。がんの型は、限定されないが、固形腫瘍(膀胱、腸、脳、乳房、子宮内膜、心臓、腎臓、肺、リンパ組織(リンパ腫)、卵巣、膵臓または他の内分泌器官(甲状腺)、前立腺、皮膚(メラノーマまたは基底細胞がん)の腫瘍など)または血液腫瘍(白血病など)を包含し、転移した、またはしていない、該疾患のいずれの段階をも包含する。
がんのさらなる例として、限定されないが、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄白血病、副腎皮質がん、肛門がん、虫垂がん、星状細胞腫、非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍、基底細胞がん、胆管がん、膀胱がん、骨がん(骨肉腫および悪性線維性組織球腫)、脳幹神経膠腫、脳腫瘍、脳および脊髄腫瘍、乳がん、気管腫瘍、バーキットリンパ腫、子宮頸がん、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸がん、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞性リンパ腫、胚芽腫、子宮内膜がん、上衣芽細胞腫、上衣腫、食道がん、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、眼がん、網膜芽細胞腫、胆嚢がん、胃がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、消化管間質細胞腫瘍、胚細胞腫瘍、神経膠腫、有毛細胞白血病、頭頸部がん、肝細胞(肝臓)がん、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、眼内黒色腫、膵島細胞腫瘍(膵内分泌部)、カポジ肉腫、腎臓がん、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭がん、白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、有毛細胞白血病、肝臓がん、非小細胞性肺がん、小細胞肺がん、バーキットリンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ腫、ワルデンストロムマクログロブリン血症、髄芽腫、髄様上皮腫、黒色腫、中皮腫、口腔がん、慢性骨髄性白血病、骨髄性白血病、多発性骨髄腫、鼻咽頭がん、神経芽腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞性肺がん、口腔がん、口腔咽頭がん、骨肉腫、骨原発悪性線維組織球腫、卵巣がん、上皮性卵巣がん、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、膵臓がん、乳頭腫、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、中間型松果体実質腫瘍、松果体芽腫およびテント上原始神経外胚葉性腫瘍、下垂体腫瘍、形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫、胸膜肺芽腫、原発性中枢神経系リンパ腫、前立腺がん、直腸がん、腎細胞(腎臓)がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、肉腫、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、カポジ肉腫、セザリー症候群、皮膚がん、小細胞肺がん、小腸がん、軟部組織肉腫、扁平上皮がん、胃がん、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、T細胞リンパ腫、精巣腫瘍、咽喉がん、胸腺腫および胸腺がん、甲状腺がん、尿道がん、子宮がん、子宮肉腫、膣がん、外陰がん、ワルデンストロムマクログロブリン血症、ウィルムス腫瘍が挙げられる。
卵巣がん患者の腹水および乳がん患者の滲出液中のLPAおよびベシクルの高い濃度は、それが早期診断マーカ、予後指標または療法に対する応答の指標であり得ることを示す(Millsら、Nat. Rev. Cancer., 3, 582-591, 2003;Sutphenら、Cancer Epidemiol. Biomarkers Prev. 13, 1185-1191, 2004)。LPA濃度は、腹水サンプル中で、対応した血漿サンプル中よりも一貫して高い。
呼吸器およびアレルギー障害
一の態様にて、LPAは呼吸器疾患の病理発生の一因である。一の態様にて、呼吸器疾患は喘息である。LPAの炎症誘発性作用は、マスト細胞の脱顆粒化、平滑筋細胞の収縮およびサイトカインの樹状細胞からの放出を包含する。気道平滑筋細胞、上皮細胞および肺線維芽細胞はすべてLPAに対して反応を示す。LPAはIL-8のヒト気管支上皮細胞からの分泌を誘発する。IL-8は喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺サルコイドーシスおよび急性呼吸窮迫症候群の患者からのBAL液中に高濃度で見受けられ、IL-8が喘息の気道炎症および気道リモデリングを悪化させることがわかった。LPA1、LPA2およびLPA3受容体はすべてLPA誘発性IL-8産生に寄与することが明らかにされた。LPAにより活性化される複数のGPCRに関するクローニング研究により、肺にあるLPA1、LPA2およびLPA3についてのmRNAの存在が明らかにされた(J.J.A., Contosら、Mol. Pharmacol. 58, 1188-1196, 2000)。
LPAの傷害部位で活性化された血小板からの放出、および線維芽細胞の増殖および収縮を促進するその能力は、LPAの創傷修復のメディエータとしての特徴である。気道疾患との関連で、喘息は、不当な気道「修復」工程が気道の構造的「リモデリング」をもたらす、炎症疾患である。喘息では、気道細胞が、アレルゲン、汚染物質、他の吸入環境因子、細菌およびウイルスを含む、種々の損傷原因に起因して、喘息の特徴である慢性炎症をもたらす、継続的な損傷を受ける。
一の態様において、喘息の個体では、LPAを含む、正常な修復メディエータの放出が過剰であるか、または修復メディエーターの作用が不当に長く、不適切な気道リモデリングが生じる。喘息の場合に観察されるリモデリングされた気道の主たる構造的特徴は、網状薄膜(気道上皮細胞の真下にある基底膜様構造)の肥厚、筋線維芽細胞の数の増加および活性化、平滑筋層の肥厚化、粘液腺の数および粘液分泌の増加、および気道壁の至る所での結合組織および毛細血管床における変化を包含する。一の態様にて、LPAは気道におけるこれらの構造変化に寄与する。一の態様にて、LPAは喘息における急性気道過敏性と関連付けられる。リモデリングされた喘息気道の内腔は気道壁の肥厚化のため狭く、かくして空気の流れは減少する。一の態様において、LPAは喘息気道の長期的な構造的リモデリングおよび急性過敏性に寄与する。一の態様において、LPAは喘息の急性増悪の主たる特徴である過敏性に寄与する。
LPAにより媒介される細胞応答に加えて、これらの応答に導くLPAのシグナル伝達経路の成分のいくつかは喘息と関連している。EGF受容体のアップレギュレーションはLPAにより誘発され、喘息の気道においても認められる(M. Amishimaら、Am. J. Respir. Crit. Care Med. 157, 1907-1912, 1998)。慢性炎症は喘息の病因であり、LPAにより活性化される転写因子のいくつかは炎症と関連していることが明らかにされている(Edigerら、Eur. Respir. J, 21:759-769, 2003)。
一の態様において、LPAにより刺激される線維芽細胞の増殖および収縮ならびに細胞外マトリックス分泌は、慢性気管支炎、肺気腫および間質性肺疾患に存在する細気管支周囲線維症などの他の気道疾患の線維増殖性特徴に起因する。肺気腫はまた、肺胞壁の軽度の線維症とも関連付けられ、その特徴は肺胞傷害を修復しようとすることにあると考えられる。もう一つ別の態様において、LPAは線維性間質性肺疾患および閉塞性細気管支炎にて一の役割を果たしており、それではコラーゲンおよび筋線維芽細胞の両方が増している。もう一つ別の態様において、LPAは慢性閉塞性肺疾患を構成する種々の症候群のいくつかと関連付けられる。
LPAのインビボでの投与は、気道過敏性、掻痒-スクラッチ応答、好酸球および好中球の浸潤および活性化、血管リモデリングおよび侵害受容性屈筋応答を誘発する。LPAはまた、マウスおよびラットのマスト細胞からのヒスタミン放出を誘発する。急性アレルギー反応にて、ヒスタミンは、平滑筋収縮、血漿滲出および粘液産生などの種々の応答を誘発する。血漿滲出は、その漏出およびその後の気道壁浮腫が気道過敏性を発症する一因であるため、気道にて重要な要素である。血漿滲出は、アレルギー性眼障害における結膜腫脹およびアレルギー性鼻炎の鼻づまりに進展する(Hashimotoら、J Pharmacol Sci 100, 82-87, 2006)。一の態様にて、LPAにより誘発される血漿の滲出は、一または複数のLPA受容体を介するマスト細胞からのヒスタミン放出により媒介される。一の態様にて、LPA受容体は、LPA1および/またはLPA3を包含する。一の態様において、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩は哺乳類における種々のアレルギー性障害の治療にて使用される。一の態様において、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩は哺乳類における呼吸器系疾患、障害または病態の治療にて使用される。一の態様において、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩は、哺乳類における喘息の治療にて使用される。一の態様において、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩は哺乳類における慢性喘息の治療にて使用される。
本願明細書にて使用される「呼吸器系疾患」なる語は、鼻、喉、咽頭、耳管、気管、気管支、肺、関連する筋肉(例えば、隔膜筋および肋間筋)および神経などの呼吸と関連する器官に影響を及ぼす疾患をいう。呼吸器系疾患は、限定されないが、喘息、成人呼吸窮迫症候群およびアレルギー性(外因性)喘息、非アレルギー性(内因性)喘息、急性重度喘息、慢性喘息、臨床喘息、夜間喘息、アレルゲン誘発性喘息、アスピリン感受性喘息、運動誘発性喘息、等炭酸ガス過換気、小児発症喘息、成人発症喘息、咳変異型喘息、職業喘息、ステロイド耐性喘息、季節性喘息、季節性アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、例えば慢性気管支炎または気腫、肺高血圧症、間質性肺線維症および/または気道炎症および嚢胞性線維症、および低酸素症を包含する。
本願明細書にて使用される「喘息」なる語は、原因の如何を問うことなく(内因性、外因性またはその両方;アレルギー性または非アレルギー性)気道狭窄に伴う、肺気流の変化に特徴付けられる肺障害をいう。喘息なる語は原因を示す一または複数の形容詞と一緒に使用されてもよい。
一の態様において、本願発明では、哺乳類における慢性閉塞性肺疾患の治療または予防における本発明の化合物の使用であって、有効量の少なくとも1つの本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩を少なくとも1回は該哺乳類に投与することを特徴とする使用が提示される。加えて、慢性閉塞性肺疾患は、限定されるものではないが、慢性気管支炎または気腫、肺高血圧症、間質性肺線維症および/または気道炎症、および嚢胞性線維症を包含する。
神経系
神経系はLPA1を発現するための主要な遺伝子座であり;そこで神経系は脳の発達を通して空間的かつ時間的に制御される。オリゴデンドロサイト、中枢神経系(CNS)のミエリン形成細胞は、哺乳動物にてLPA1を発現する。加えて、シュワン細胞、末梢神経系のミエリン形成細胞も、シュワン細胞の生存および形態の制御に関与する、LPA1を発現する。これらの観察により、ニューロン新生、細胞生存およびミエリン形成における、受容体介在のLPAシグナル伝達のための重要な機能が同定される。
抹消神経系細胞株をLPAに暴露することで、アクチン細胞骨格のポリマー化によって部分的に媒介される、細胞円形化をもたらすそれらの工程が速やかに後退する。一の態様において、血液脳関門が損傷を受け、血清成分が脳に漏れ出す場合に、LPAは病的な状態で神経変性を引き起こす(Moolenaar、Curr. Opin. Cell Biol. 7:203-210, 1995)。大脳皮質から由来の不死化CNS神経芽細胞系もまた、Rhoの活性化およびアクトミオシンの相互作用を介して、LPAの暴露に対して後退応答を示す。一の態様において、LPAは虚血後の神経損傷と関連付けられる(J. Neurochem., 61, 340, 1993;J. Neurochem., 70: 66, 1998)。
一の態様にて、哺乳動物における神経系障害の治療または予防にて使用されるための本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩が提供される。本願明細書にて使用される「神経系障害」なる語は、以下に限定されないが、アルツハイマー病、悩浮腫、悩虚血、脳卒中、多発性硬化症、ニューロパシー、パーキンソン病、マリファナまたは外科的外傷後に見られる障害(外科的手術後の認知機能障害および脊髄または悩幹傷害を含む)、ならびに変性椎間板疾患および坐骨神経痛などの障害の神経学的態様を含む、悩、脊髄または末梢神経系の構造または機能を改変する症状をいう。
一の態様にて、哺乳動物におけるCNS障害の治療または予防にて使用されるための本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩が提供される。CNS障害は、以下に限定されないが、多発性硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病、脳卒中、悩虚血、網膜虚血、術後認知機能障害、片頭痛、末梢神経障害/神経因性疼痛、脊髄傷害、悩浮腫および頭部傷害を包含する。
心疾患障害
標的とするリゾリン脂質受容体の欠失後に観察される心血管表現型は、血管の発達および成熟、アテローム硬化型プラークの形成および心拍数の維持におけるリゾリン脂質のシグナル伝達について重要な役割を示す(Ishii, I.ら、Annu. Rev. Biochem. 73, 321-354, 2004)。血管形成、既存の脈管構造からの新たな毛細血管網の形成は、通常、創傷治癒、組織増殖および虚血性傷害後の心筋血管形成において引き起こされる。ペプチド成長因子(例えば、血管内皮成長因子(VEGF))およびリゾリン脂質は、血管内皮細胞(VEC)および周辺性血管平滑筋細胞(VSMC)の協調的な増殖、遊走、接着、分化および集合を制御する。一の態様にて、血管形成を媒介するプロセスの制御不全は、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、腫瘍成長、関節リウマチおよび糖尿病性網膜症をもたらす(Osborne, N.およびStainier, D.Y.、Annu. Rev. Physiol. 65, 23-43, 2003)。
リゾリン脂質受容体により惹起される下流のグナル伝達経路には、細胞の遊走および接着にて重要である、Rac-依存性葉状仮足形成体(例えば、LPA1)およびRho-依存性ストレス線維形成体(例えば、LPA1)を包含する。血管内皮の機能不全はそのバランスを血管拡張から血管収縮にシフトし、アテローム性動脈硬化症の危険因子である高血圧症および血管リモデリングをもたらしうる(Maguire, J.J.ら、Trends Pharmacol. Sci. 26, 448-454, 2005)。
LPAは、その全体の進行に加えて、アテローム性動脈硬化症の初期段階(バリア機能不全および内皮の単球接着)および後期段階(血小板活性化および動脈内血栓形成)の両方に寄与する。その初期段階にて、多くの供給源からのLPAが病変にて蓄積し、血小板にて発現するその同族のGPCR(LPA1およびLPA3)を活性化する(Siess, W.、Biochim. Biophys. Acta 1582, 204-215, 2002; Rother, E.ら、Circulation 108, 741-747, 2003)。これは血小板形状の変化および凝集を引き起こし、動脈内血栓形成を、潜在的には心筋梗塞および脳卒中をもたらす。そのアテローム発生の活性の支持にて、LPAはまた、VSMCへのマイトジェンおよびモトジェン(motogen)、ならびに内皮細胞およびマクロファージのアクチベータでもあり得る。一の態様において、心血管疾患の哺乳動物は、血栓および新生内膜プラーク形成を防止するLPA受容体アンタゴニストから利益を受ける。
一の態様において、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩は、哺乳動物における心血管疾患を治療または予防するのに使用される。
本願明細書にて使用される「心血管疾患」なる語は、限定されるものではないが、不整脈(心房または心室あるいはその両方)、アテローム性動脈硬化症およびその後遺症;狭心症;心律動障害;心筋虚血;心筋梗塞;心臓または血管動脈瘤;血管炎、脳卒中;手足、器官または組織の末梢閉塞性動脈疾患;悩、心臓、または他の器官または組織の虚血後の再灌流傷害;内毒素性、外科性または外傷性ショック;高血圧症、心臓弁膜症、心不全、異常血圧;ショック;血管収縮(片頭痛に付随する血管収縮を含む);血管異常、炎症、単一の器官または組織に限定される機能不全を含む、心臓または血管あるいはその両方に影響を及ぼす疾患をいう。
一の態様において、本発明にて、血管収縮、アテローム性動脈硬化症およびその後遺症の心筋虚血、心筋梗塞、大動脈瘤、血管炎および脳卒中を予防または治療する方法であって、有効量の少なくとも1つの本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩、あるいは本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物または医薬を哺乳動物に少なくとも一回投与することを含む方法が提供される。
一の態様において、本発明にて、心筋虚血および/またはエンドトキシンショックの後の心臓再灌流傷害を軽減する方法であって、有効量の少なくとも1つの本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩を哺乳動物に少なくとも一回投与することを含む方法が提供される。
一の態様において、本発明にて、哺乳動物における血管の収縮を軽減する方法であって、有効量の少なくとも1つの本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩を哺乳動物に少なくとも一回投与することを含む方法が提供される。
一の態様において、本発明にて、哺乳動物の血圧の上昇を低下または予防する方法であって、有効量の少なくとも1つの本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩を哺乳動物に少なくとも一回投与することを含む方法が提供される。
炎症
LPAはT-/B-リンパ球およびマクロファージなどの免疫細胞の活性/機能を調節することにより免疫学的応答を制御することが明らかにされた。活性化されたT細胞にて、LPAはLPA1を介してIL-2産生/細胞増殖を活性化する(Gardellら、Trends in Molecular Medicine, Vol.12 No.2 Feb. 2006)。LPA誘発性炎症応答遺伝子の発現はLPA1およびLPA3により媒介される(Biochem Biophys Res Commun. 363(4):1001-8, 2007)。加えて、LPAは炎症細胞の走化性を制御する(Biochem. Biophys. Res. Commun., 1993, 15; 193(2):497)。免疫細胞のLPAに応答する増殖およびサイトカイン分泌活性(J. Imuunol., 1999, 162, 2049)、LPAに応答する血小板凝集活性、単球における遊走活性の促進化、線維芽細胞におけるNF-kBの活性化、フィブロネクチンの細胞表面との結合性の強化などが知られている。かくして、LPAは種々の炎症/免疫疾患と関連付けられる。
一の態様において、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩は哺乳動物における炎症を治療または予防するのに使用される。一の態様において、LPA1および/またはLPA3のアンタゴニストは哺乳動物の炎症/免疫障害の治療または予防にて有用であることが分かる。一の態様において、LPA1のアンタゴニストは本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩である。
炎症/免疫障害の例として、乾癬、関節リウマチ、血管炎、炎症性腸疾患、皮膚炎、骨関節炎、喘息、炎症筋疾患、アレルギー性鼻炎、膣炎、間質性膀胱炎、強皮症、湿疹、同種または異種移植片(器官、骨髄、幹細胞および他の細胞ならびに組織)拒絶反応、対宿主移植片疾患、エリトマトーゼス、炎症疾患、I型糖尿病、肺線維症、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、甲状腺炎(例えば、橋本および自己免疫甲状腺炎)、重症筋無力症、自己免疫溶血性貧血、多発性硬化症、嚢胞性線維症、慢性再発性肝炎、原発性胆嚢肝硬変、アレルギー性結膜炎およびアトピー性皮膚炎が挙げられる。
他の疾患、障害または症状
一の態様によれば、本発明は、臨床的に明らかになった後に、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩を哺乳動物に投与することで、LPA依存性またはLPA介在性疾患または症状を治療、予防、反転、停止またはその進行を遅らせるか、あるいは、LPA依存性またはLPA介在性疾患または症状に付随するか、または関連する徴候を治療する方法である。特定の実施態様において、対象は投与の際に既にLPA依存性またはLPA介在性疾患または症状に罹っているか、またはLPA依存性またはLPA介在性疾患または症状を発症する危険がある。
特定の態様において、哺乳動物におけるLPA1の活性は、直接または間接的に、(少なくとも1回の)治療的に有効な量の少なくとも1つの本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩の投与により調節される。かかる調節は、限定されるものではないが、LPA1の活性を低下および/または阻害することを包含する。付加的な態様において、哺乳動物におけるLPAの活性は、直接または間接的に、(少なくとも1回の)治療的に有効な量の少なくとも1つの本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩の投与により、低下および/または阻害を含め、調節される。かかる調節は、限定されるものではないが、LPA受容体の量および/または活性を低下および/または阻害することを包含する。一の態様において、LPA受容体はLPA1である。
一の態様において、LPAは膀胱より単離される膀胱平滑筋細胞に対して収縮作用を有し、前立腺誘発の上皮細胞の成長を促進する(J. Urology, 1999, 162, 1779-1784; J. Urology, 2000, 163, 1027-1032)。もう一つ別の態様において、LPAはインビトロにて尿路および前立腺を収縮し、インビボにて尿道内圧を増加させる(WO 02/062389)。
特定の態様にて、哺乳動物に有効量の少なくとも1つの本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩を少なくとも1回投与することを含む、好酸球および/または好塩基球および/または樹状細胞および/または好中球および/または単球および/またはT-細胞の動員を予防または治療する方法である。
特定の態様にて、哺乳動物に治療的に有効な量の少なくとも1つの本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩を少なくとも1回投与することを含む、例えば間質性膀胱炎を含む、膀胱炎の治療方法である。
一の態様によれば、本発明に記載の方法は、対象に治療的に有効な量の本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩を投与することにより、患者がLPA依存性またはLPA介在性疾患または症状に罹っているかどうかを診断または決定し、該患者がその治療に応答するかどうかを決定することを含む。
本明細書にて提供される一の態様にて、LPA1のアンタゴニストである、本発明の化合物、ならびにその医薬的に許容される塩、医薬的に許容されるプロドラッグ、および医薬的に許容される溶媒和物であり、以下に限定されないが、肺線維症、腎線維症、肝線維症、瘢痕、喘息、鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、肺高血圧症、間質性肺線維症、関節炎、アレルギー、乾癬、炎症性腸疾患、成人呼吸窮迫症候群、心筋梗塞、動脈瘤、脳卒中、がん、疼痛、増殖性障害および炎症症状を含む、1または複数のLPA依存性またはLPA介在性症状または疾患を患っている患者を治療するのに使用される。いくつかの実施態様にて、LPA依存性症状または疾患は、絶対的にまたは相対的に過度のLPAが存在、および/または観察される、症状または疾患を包含する。
上記したいずれかの態様にて、LPA依存性またはLPA介在性疾患または症状は、以下に限定されないが、器官線維症、喘息、アレルギー性障害、慢性閉塞性肺疾患、肺高血圧症、肺または胸膜線維症、腹膜線維症、関節炎、アレルギー、がん、心血管疾患、成人呼吸窮迫症候群、心筋梗塞、動脈瘤、脳卒中およびがんを包含する。
一の態様において、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩は、レーザー支援インサイチュ角膜レーシック(LASIK)または白内障手術などの角膜手術により惹起される角膜感度低下、角膜変性により惹起される角膜感度低下、およびそれにより惹起されるドライアイ症状を改善するのに使用される。
一の態様において、本明細書にて、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩の、哺乳動物における眼炎症およびアレルギー性結膜炎、春季カタル結膜炎および乳頭状結膜炎の治療または予防での使用であって、該哺乳動物に、有効量の少なくとも1つの本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩を少なくとも1回投与することを含む、使用が提示される。
一の態様において、本明細書にて、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩の、哺乳動物におけるドライアイのシューグレン病または炎症疾患の治療または予防での使用であって、該哺乳動物に、有効量の少なくとも1つの本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩を少なくとも1回投与することを含む、使用が提示される。
一の態様において、LPAおよびLPA受容体(例えば、LPA1)は骨関節炎の病理発生に関与している(Kotaniら、Hum. Mol. Genet., 2008, 17, 1790-1797)。一の態様において、本明細書にて、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩の、哺乳動物における骨関節炎の治療または予防での使用であって、該哺乳動物に、有効量の少なくとも1つの本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩を少なくとも1回投与することを含む、使用が提示される。
一の態様において、LPA受容体(例えば、LPA1、LPA3)は関節リウマチの病理発生に寄与する(Zhaoら、Mol. Pharmacol., 2008, 73(2), 587-600)。一の態様において、本明細書にて、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩の、哺乳動物における関節リウマチの治療または予防での使用であって、該哺乳動物に、有効量の少なくとも1つの本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩を少なくとも1回投与することを含む、使用が提示される。
一の態様において、LPA受容体(例えば、LPA1)は脂肪生成に寄与する(Simonら、J. Biol. Chem., 2005, vol. 280, no.15, p.14656)。一の態様において、本明細書にて、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩の、哺乳動物における脂肪組織形成の促進での使用であって、該哺乳動物に、有効量の少なくとも1つの本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩を少なくとも1回投与することを含む、使用が提示される。
a.インビトロアッセイ
本発明の化合物のLPA1阻害剤としての有効性は、LPA1機能性アンタゴニストアッセイにて以下のように決定され得る:
ヒトLPA1を過剰に発現するチャイニーズハムスター卵巣細胞を、DMEM/F12培地(Gibco、カタログ番号11039)のポリ-D-リシンコートの384ウェルマイクロプレート(Greiner bio-one、カタログ番号781946)にて一夜プレート培養した(15,000細胞/ウェル)。一夜培養した後、細胞をカルシウムインジケータ色素(AAT Bioquest Inc、カタログ番号34601)と一緒に37℃で30分間ローディングさせた。次に該細胞をアッセイの前に30分間室温で平衡とさせた。DMSOに可溶化させた試験化合物をLabcyte Echoアコースティックディスペンスを用いて384ウェル非結合性表面プレート(Corning、カタログ番号3575)に移し、アッセイ緩衝液[カルシウム/マグネシウムを含む1x HBSS(Gibco、カタログ番号14025-092)、20mM HEPES(Gibco、カタログ番号15630-080)、および0.1%脂肪酸フリーBSA(Sigma、カタログ番号A9205)]で希釈し、0.5%DMSOの最終濃度にした。希釈した化合物をFDSS6000(Hamamatsu)により0.08nM~5μMの範囲にある最終濃度で該細胞に添加し、次に室温で20分間インキュベートし、その際にLPA(Avanti Polar Lipidsカタログ番号857130C)を10nMの最終濃度で添加し、細胞を刺激した。化合物のIC50値は、LPA単独で誘導されるカルシウムフラックスを50%阻害する試験化合物の濃度として定義された。IC50値は4-パラメータロジスティック方程式(GraphPad Prism, San Diego, CA)にデータを適合させることによって決定された。
b.インビボアッセイ
血漿ヒスタミン評価によるLPA攻撃
LPA攻撃の2時間前に、CD-1メスマウスに化合物を経口投与する。次いで、該マウスに、0.1%BSA/PBS中のLPA(0.15mL、2μg/μL)を、尾静脈(IV)を介して投与する。LPA攻撃したちょうど2分後に、マウスを断頭により殺し、体幹の血液を集める。これらのサンプルをまとめて遠心分離に付し、個々の75μLのサンプルをヒスタミンアッセイの時まで-20℃で凍結させる。
血漿ヒスタミン解析を、標準的なEIA(酵素免疫アッセイ)法によって行った。血漿サンプルを解凍し、PBS中0.1%BSAで1:30に希釈した。製造元によって概説される、ヒスタミン解析のためのEIAプロトコルに従った(Histamine EIA, Oxford Biomedical Research, EA#31)。
アッセイにおいて用いられるLPAは、以下のように処方される:LPA(1-オレオイル-2-ヒドロキシ-sn-グリセロ-3-ホスフェート(ナトリウム塩)、857130P、Avanti Polar Lipids)は、0.1%BSA/PBS中に2μg/μLの総濃度で調製される。13mgのLPAを秤量し、6.5mLの0.1%BSAを加え、ボルテックスに付し、透明な溶液が得られるまで約1時間にわたって超音波処理する。
V.医薬組成物、製剤、および組み合わせ
いくつかの実施態様において、治療にて有効な量の本発明の化合物、またはその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物が提供される。いくつかの実施態様において、医薬組成物はまた、少なくとも1つの医薬的に許容される不活性成分を含む。
いくつかの実施態様において、治療にて有効な量の本発明の化合物、またはその医薬的に許容される塩、および少なくとも1つの医薬的に許容される不活性成分を含む医薬組成物が提供される。一の態様において、医薬組成物は静脈内注射、皮下注射、経口投与、吸入、経鼻投与、局所投与、眼投与または耳投与用に処方される。いくつかの実施態様において、医薬組成物は錠剤、丸剤、カプセル、液体、吸入剤、経鼻スプレー溶液、坐薬、懸濁液、ゲル、コロイド、分散液、懸濁液、液剤、エマルジョン、軟膏、ローション、点眼薬または点耳薬である。
いくつかの実施態様において、医薬組成物はさらに、コルチコステロイド(例えば、デキサメサゾンまたはフルチカゾン)、免疫抑制剤(例えば、タクロリムス&ピメクロリムス)、鎮痛剤、抗癌剤、抗炎症剤、ケモカイン受容体アンタゴニスト、気管支拡張剤、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト(例えば、モンテルカストまたはザフィルルカスト)、ロイコトリエン形成阻害剤、モノアシルグリセロールキナーゼ阻害剤、ホスホリパーゼA1阻害剤、ホスホリパーゼA2阻害剤、およびリゾホスホリパーゼD(リゾPLD)阻害剤、オートタキシン阻害剤、うっ血除去剤、抗ヒスタミン剤(例えば、ロラタジン(loratidine))、粘液溶解薬、抗コリン作動剤、鎮咳剤、去痰薬、抗感染剤(例えば、フシジン酸、特にアトピー性皮膚炎用)、抗真菌剤(例えば、クロトリアゾール、特にアトピー性皮膚炎用)、抗IgE抗体治療剤(例えば、オマリズマブ)、β-2アドレナリン作動性アゴニスト(例えば、アルブテロールまたはサルメテロール)、DPアンタゴニストなどの他の受容体で作用する他のPGD2アンタゴニスト、PDE4阻害剤(例えば、シロミラスト)、サイトカイン産生を調節する薬剤、例えば、TACE阻害剤、Th2サイトカインIL-4&IL-5の活性を調節する(例えば、モノクローナル抗体&可溶性受容体を遮断する)薬剤、PPARγアゴニスト(例えば、ロシグリタゾンおよびピオグリタゾン)、5-リポキシゲナーゼ阻害剤(例えば、ジロートン)から選択される、1または複数のさらなる治療活性薬剤を含む。
いくつかの実施態様において、医薬組成物はさらに、ピルフェニドン、ニンテダニブ、サリドマイド、カルルマブ、FG-3019、フレソリムマブ、インターフェロンアルファ、レシチン化スーパーオキシドジスムターゼ、シムツズマブ、タンジセルチブ、トラロキヌマブ、hu3G9、AM-152、IFN-ガンマ-1b、IW-001、PRM-151、PXS-25、ペントキシフィリン/N-アセチル-システイン、ペントキシフィリン/ビタミンE、サルブタモール硫酸塩、[Sar9,Met(O2)11]-サブスタンスP、ペントキシフィリン、メルカプタミン酒石酸塩、オベチコール酸、アラムコール、GFT-505、エイコサペンタエン酸エチル、メトホルミン、メトレレプチン、ムロモナブ-CD3、オルチプラズ、IMM-124-E、MK-4074、PX-102、RO-5093151から選択される、1または複数のさらなる抗線維化剤を含む。いくつかの実施態様において、LPA依存性またはLPA介在性の疾患または症状のヒトに、本発明の化合物、またはその医薬的に許容される塩を投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施態様において、ヒトは、本発明の化合物、またはその医薬的に許容される塩以外の、1または複数のさらなる治療活性剤を既に投与されている。いくつかの実施態様において、該方法はさらに、本発明の化合物、またはその医薬的に許容される塩以外の、1または複数のさらなる治療活性剤を投与することを含む。
いくつかの実施態様において、本発明の化合物、またはその医薬的に許容される塩以外の、1または複数のさらなる治療活性剤は:コルチコステロイド(例えば、デキサメサゾンまたはフルチカゾン)、免疫抑制剤(例えば、タクロリムス&ピメクロリムス)、鎮痛剤、抗がん剤、抗炎症剤、ケモカイン受容体アンタゴニスト、気管支拡張剤、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト(例えば、モンテルカストまたはザフィルルカスト)、ロイコトリエン形成阻害剤、モノアシルグリセロールキナーゼ阻害剤、ホスホリパーゼA1阻害剤、ホスホリパーゼA2阻害剤、およびリゾホスホリパーゼD(リゾPLD)阻害剤、オートタキシン阻害剤、うっ血除去剤、抗ヒスタミン剤(例えば、ロラタジン)、粘液溶解剤、抗コリン作動剤、鎮咳剤、去痰薬、抗感染剤(例えば、フシジン酸、特にアトピー性皮膚炎の治療用)、抗真菌剤(例えば、クロトリアゾール、特にアトピー性皮膚炎用)、抗IgE抗体治療剤(例えば、オマリズマブ)、β-2アドレナリンアゴニスト(例えば、アルブテロールまたはサルメテロール)、DPアンタゴニストなどの他の受容体に作用する、他のPGD2アンタゴニスト、PDE4阻害剤(例えば、シロミラスト)、サイトカイン産生を調節する薬剤、例えばTACE阻害剤、Th2サイトカインIL-4&IL-5の活性を調節する(例えば、モノクローナル抗体&可溶性受容体を阻害する)薬剤、PPARγアゴニスト(例えば、ロシグリタゾンおよびピオグリタゾン)、5-リポキシゲナーゼ阻害剤(例えば、ジロートン)から選択される。
いくつかの実施態様において、本発明の化合物、またはその医薬的に許容される塩以外の、1または複数のさらなる治療活性剤は、ピルフェニドン、ニンテダニブ、サリドマイド、カルルマブ、FG-3019、フレソリムマブ、インターフェロンアルファ、レシチン化スーパーオキシドジスムターゼ、シムツズマブ、タンジセルチブ、トラロキヌマブ、hu3G9、AM-152、IFN-ガンマ-1b、IW-001、PRM-151、PXS-25、ペントキシフィリン/N-アセチル-システイン、ペントキシフィリン/ビタミンE、サルブタモール硫酸塩、[Sar9,Met(O2)11]-サブスタンスP、ペントキシフィリン、メルカプタミン酒石酸塩、オベチコール酸、アラムコール、GFT-505、エイコサペンチルエチルエステル、メトホルミン、メトレレプチン、ムロモナブ-CD3、オルチプラズ、IMM-124-E、MK-4074、PX-102、RO-5093151から選択される、他の抗線維化剤である。
いくつかの実施態様において、本発明の化合物、またはその医薬的に許容される塩以外の1または複数のさらなる治療活性薬は、ACE阻害剤、ラミプリル、AIIアンタゴニスト、イルベサルタン、抗不整脈薬、ドロネダロン、PPARαアクティベーター、PPARγアクティベーター、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、プロスタノイド、エンドセリン受容体アンタゴニスト、エラスターゼ阻害剤、カルシウムアンタゴニスト、ベータ遮断剤、利尿剤、アルドステロン受容体アンタゴニスト、エプレレノン、レニン阻害剤、rhoキナーゼ阻害剤、可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)アクティベーター、sGC増感剤、PDE阻害剤、PDE5阻害剤、NOドナー、ジギタリス薬、ACE/NEP阻害剤、スタチン、胆汁酸再取り込み阻害剤、PDGFアンタゴニスト、バソプレシンアンタゴニスト、水利尿薬、NHE1阻害剤、第Xa因子アンタゴニスト、第XIIIa因子アンタゴニスト、抗凝血剤、抗血栓性、血小板阻害剤、線維素形成促進剤、トロンビン活性化線維素溶解阻害剤(TAFI)、PAI-1阻害剤、クマリン、ヘパリン、トロンボキサンアンタゴニスト、セロトニンアンタゴニスト、COX阻害剤、アスピリン、治療抗体、GPIIb/IIIaアンタゴニスト、ERアンタゴニスト、SERM、チロシンキナーゼ阻害剤、RAFキナーゼ阻害剤、p38MAPK阻害剤、ピルフェニドン、マルチキナーゼ阻害剤、ニンテダニブ、ソラフェニブから選択される。
いくつかの実施態様において、本発明の化合物、またはその医薬的に許容される塩以外の、1または複数のさらなる治療活性薬剤は:グリムリン(Gremlin)-1 mAb、PA1-1 mAb、プロメディオール(Promedior)(PRM-151;組換えヒトペントラキシン-2);FGF21、TGFβアンタゴニスト、αvβ6&αvβパンアンタゴニスト;FAK阻害剤、TG2阻害剤、LOXL2阻害剤、NOX4阻害剤、MGAT2阻害剤、GPR120アゴニストから選択される。
本明細書に記載される医薬製剤は、これらに限定はされないが、経口、非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内)、鼻腔内、バッカル、局所または経皮投与経路などの、多数の投与経路によって、様々な方法で対象に投与される。本明細書に記載される医薬製剤としては、これらに限定はされないが、分散水溶液、自己乳化型分散剤、固溶液、リポソーム分散液、エアロゾル、固形剤形、散剤、即時放出製剤、徐放製剤、即溶性製剤、錠剤、カプセル、丸剤、遅延放出製剤、持続放出製剤、パルス放出製剤、多粒子製剤、ならびに速放性および徐放性製剤の混合物が挙げられる。
いくつかの実施態様において、本発明の化合物、またはその医薬的に許容される塩は、経口投与される。
いくつかの実施態様において、本発明の化合物、またはその医薬的に許容される塩は、局所投与される。そのような実施態様において、本発明の化合物、またはその医薬的に許容される塩は、溶液、懸濁液、ローション、ゲル、ペースト、シャンプー、スクラブ、ラブ(rub)、スメア、薬用スティック、医療用バンデージ、香油、クリームまたは軟膏などの、様々な局所投与可能な組成物に製剤化される。そのような医薬用化合物は、可溶化剤、安定化剤、張性増加剤、緩衝液および防腐剤を含みうる。一の態様において、本発明の化合物、またはその医薬的に許容される塩は、皮膚に局所投与される。
もう一つ別の態様において、本発明の化合物、またはその医薬的に許容される塩は、吸引によって投与される。一の実施態様において、本発明の化合物、またはその医薬的に許容される塩は、肺のシステムを直接標的とする吸引によって投与される。
もう一つ別の態様において、本発明の化合物、またはその医薬的に許容される塩は、鼻腔内投与のために処方される。そのような製剤としては、経鼻スプレー、経鼻ミストなどが挙げられる。
もう一つ別の態様において、本発明の化合物、またはその医薬的に許容される塩は、点眼薬として処方される。
もう一つ別の態様において、少なくとも1つのLPA受容体の活性が、疾患または症状の病理および/または徴候に寄与する、疾患、障害、または症状を治療するための医薬の製造における、本発明の化合物、またはその医薬的に許容される塩の使用である。この態様の一の実施態様において、LPAはLPA1、LPA2、LPA3、LPA4、LPA5およびLPA6から選択される。一の態様において、LPA受容体はLPA1である。一の態様において、疾患または症状は、本明細書において特定される任意の疾患または症状である。
上記の態様のいずれかにおいて、さらなる実施態様は、(a)有効量の本発明の化合物、またはその医薬的に許容される塩が、哺乳動物に全身投与され;および/または(b)有効量の化合物が哺乳動物に経口投与され;および/または(c)有効量の化合物が哺乳動物に静脈投与され;および/または(d)有効量の化合物が吸入によって投与され;および/または(e)有効量の化合物が経鼻投与によって投与され;および/または(f)有効量の化合物が哺乳動物に注射によって投与され;および/または(g)有効量の化合物が哺乳動物に局所投与され;および/または(h)有効量の化合物が眼投与され;および/または(i)有効量の化合物が哺乳動物に直腸投与され;および/または(j)有効量が哺乳動物に非全身投与または局所投与されるものである。
上記の態様のいずれかにおいて、有効量の化合物の単回投与を含むさらなる実施態様であって、(i)化合物が一度に投与され;(ii)化合物が哺乳動物に1日の間に複数回投与され;(iii)継続的に;または(iv)連続的に哺乳動物に投与される、さらなる実施態様を含む。
上記の態様のいずれかにおいて、有効量の化合物の複数回投与を含むさらなる実施態様であって、(i)化合物が単一用量にて連続的または間欠的に投与され;(ii)複数回投与の間の時間が、6時間毎であり;(iii)化合物が8時間毎に哺乳動物に投与され;(iv)化合物が12時間毎に哺乳動物に投与され;(v)化合物が24時間毎に哺乳動物に投与される、さらなる実施態様を含む。さらなるまたは別の実施態様において、該方法は、化合物の投与を一時的に中断するか、または投与される化合物の用量を一時的に減らす休薬日を含み;休薬日の終わりに、化合物の投与が再開される。一の実施態様において、休薬日の長さは2日から1年の間で変化する。
治療的に有効な量の本発明の化合物、またはその医薬的に許容される塩を、治療が必要な哺乳動物に投与することを含む、該哺乳動物におけるLPAの生理学的活性を阻害する方法も提供される。
一の態様において、治療的に有効な量の本発明の化合物、またはその医薬的に許容される塩を含む、哺乳動物における、LPA依存性またはLPA介在性の疾患または病状を治療するための医薬が提供される。
いくつかの場合において、LPA依存性またはLPA介在性の疾患または症状の治療のための医薬の製造における、本発明の化合物、またはその医薬的に許容される塩の使用が、本明細書において開示される。
いくつかの場合において、LPA依存性またはLPA介在性の疾患または症状の治療または予防における、本発明の化合物、またはその医薬的に許容される塩の使用が、本明細書において開示される。
一の態様において、治療的に有効な量の本発明の化合物、またはその医薬的に許容される塩を投与することを含む、哺乳動物におけるLPA依存性またはLPA介在性の疾患または症状の、治療または予防のための方法である。
一の態様において、LPA依存性またはLPA介在性の疾患または症状としては、これらに限定はされないが、臓器または組織の線維症、瘢痕、肝疾患、皮膚疾患、がん、心血管疾患、呼吸器疾患または症状、炎症性疾患、消化管疾患、腎臓病、尿路関連疾患、下部尿路の炎症性疾患、排尿障害、頻尿、膵臓疾患、動脈閉塞、脳梗塞、脳出血、疼痛、末梢神経障害、および線維筋痛症が挙げられる。
一の態様において、LPA依存性またはLPA介在性の疾患または症状は、呼吸器疾患または症状である。いくつかの実施態様において、呼吸器疾患または症状は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺線維症、肺動脈性肺高血圧症または急性呼吸窮迫症候群である。
いくつかの実施態様において、LPA依存性またはLPA介在性の疾患または症状は、特発性肺線維症;医原性薬剤誘発性線維症、職業および/または環境誘発性線維症を含む異なる病因の他のびまん性実質性肺疾患、肉芽腫性疾患(サルコイドーシス、過敏性肺炎)、コラーゲン血管疾患、肺胞タンパク質症、ランゲルハンス細胞肉芽腫症、リンパ脈管筋腫症、遺伝性疾患(ハーマンスキー・パドラック症候群、結節性硬化症、神経線維腫症、代謝蓄積症、家族性間質性肺疾患);放射線誘発肺線維症;慢性閉塞性肺疾患(COPD);強皮症;ブレオマイシン誘発性肺線維症;慢性喘息;珪肺症;アスベスト誘発性肺線維症;急性呼吸窮迫症候群(ARDS);腎線維症;尿細管間質線維症;糸球体腎炎;巣状分節性糸球体硬化症;IgA腎症;高血圧;アルポート;腸線維症;肝線維症;肝硬変;アルコール誘発性肝線維症;毒物/薬物誘発性肝線維症;ヘモクロマトーシス;非アルコール性脂肪性肝炎(NASH);胆管損傷;原発性胆汁性肝硬変;感染誘発性肝線維症;ウイルス誘発性肝線維症;および自己免疫性肝炎;角膜瘢痕化;肥厚性瘢痕;デュプイトラン病、ケロイド、皮膚線維症;皮膚強皮症;脊髄損傷/線維症;骨髄線維症;血管の再狭窄;アテローム性動脈硬化症;動脈硬化症;ウェゲナー肉芽腫症;ペイロニー病、慢性リンパ性白血病、腫瘍転移、移植臓器拒絶反応、子宮内膜症、新生児呼吸窮迫症候群および神経障害性疼痛より選択される。
一の態様において、LPA依存性またはLPA介在性の疾患または症状が、本明細書に記載される。
一の態様において、治療的に有効な量の本発明の化合物、またはその医薬的に許容される塩を、治療が必要な哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における臓器線維症の治療または予防のための方法が提供される。
一の態様において、臓器線維症は肺線維症、腎線維症、または肝線維症を含む。
一の態様において、治療的に有効な量の本発明の化合物、またはその医薬的に許容される塩を、治療が必要な哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における肺機能を改善させる方法が提供される。一の態様において、哺乳動物は肺線維症であると診断されている。
一の態様において、本明細書で開示される化合物は、哺乳動物における特発性肺線維症(通常型間質性肺炎)を治療するために用いられる。
いくつかの実施態様において、本明細書で開示される化合物は、哺乳動物におけるびまん性実質間質性肺疾患:医原性薬物誘発性、職業性/環境性(農夫肺)、肉芽腫性疾患(サルコイドーシス、過敏性肺炎)、コラーゲン性血管疾患(強皮症など)、肺胞タンパク質症、ランゲルハンス細胞肉芽腫症、リンパ脈管筋腫症、ハーマンスキー・パドラック症候群、結節性硬化症、神経線維腫症、代謝蓄積障害、家族性間質性肺炎を治療するために用いられる。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される化合物は、哺乳動物における慢性的拒絶反応に関連する、移植後の線維症:肺移植についての閉塞性細気管支炎を治療するために用いられる。
いくつかの実施態様において、本明細書において開示される化合物は、哺乳動物の皮膚線維症:皮膚強皮症、デュピュイトラン疾患、ケロイドを治療するために用いられる。
一の態様において、本明細書において開示される化合物は、哺乳動物における肝硬変を伴う、または伴わない肝線維症:毒物/薬物誘発性(ヘモクロマトーシス)、アルコール性肝疾患、ウイルス性肝炎(B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、HCV)、非アルコール性肝疾患(NAFLD、NASH)、代謝および自己免疫疾患を治療するために用いられる。
一の態様において、本明細書において開示される化合物は、哺乳動物における腎線維症:尿細管間質線維症、糸球体硬化症を治療するために用いられる。
LPA依存性の疾患または症状の治療に関わる上記のいずれかの態様において、さらなる実施態様は、本発明の構造を有する化合物、またはその医薬的に許容される塩の投与に加えて、少なくとも1つのさらなる薬剤を投与することを含む。様々な実施態様において、それぞれの薬剤は、同時にを含む、任意の順番で投与される。
本明細書において開示される任意の実施態様において、哺乳動物はヒトである。
いくつかの実施態様において、本明細書において提供される化合物はヒトに投与される。
いくつかの実施態様において、本明細書において提供される化合物は経口投与される。
いくつかの実施態様において、本明細書において提供される化合物は、少なくとも1つのLPA受容体のアンタゴニストとして用いられる。いくつかの実施態様において、本明細書において提供される化合物は、少なくとも1つのLPA受容体の活性を阻害するために、または少なくとも1つのLPA受容体の活性を阻害することから利益が得られるであろう、疾患または症状を治療するために用いられる。一の態様において、LPA受容体はLPA1である。
他の実施態様において、本明細書にて提供される化合物は、LPA1活性の阻害のための医薬の製造に用いられる。
包装材料、該包装材料の中にある本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩、および該化合物もしくは組成物、またはその医薬的に許容される塩、互変異性体、医薬的に許容されるN-オキシド、薬学的に活性な代謝物、医薬的に許容されるプロドラッグ、もしくは医薬的に許容される溶媒和物が、少なくとも1つのLPA受容体の活性を阻害するために、または少なくとも1つのLPA受容体の活性の阻害から利益が得られるであろう、疾患もしくは症状の1または複数の徴候の治療、予防、もしくは改善のために用いられることを示すラベルを含む、製品が提供される。
VI. スキームに関する一般的な合成
本発明の化合物は、有機合成の分野における当業者に既知の多くの方法によって合成することができる。本発明の化合物は、有機化学合成の分野において既知の合成方法と共に、以下に記載される方法を用いて、または当業者に理解されるそれらの変形によって、合成することができる。好ましい方法としては、これらに限定はされないが、以下に記載されるものが挙げられる。反応は、利用される試薬および材料に適切な、および変換を行うのに適切な溶媒または溶媒の混合物中で行われる。分子上に存在する官能基は、提案される変換と一致するべきであることが、有機合成の分野の当業者に理解されるであろう。このことは、時に、所望する本発明の化合物を得るために、合成工程の順番を修飾する、または一の特定の工程スキームを他のものに優先して選択する判断を必要とするであろう。
この分野の任意の合成経路の計画においてもう一つ別の主として考慮することは、本発明において記載される化合物中に存在する、反応性官能基の保護に用いるための保護基の賢明な選択であることもまた理解されるであろう。当業者に対して多くの代替方法を説明する、権威ある報告物がGreeneら(Protective Groups in Organic Synthesis, Fourth Edition, Wiley-Interscience (2006))である。
本発明の化合物は、以下のスキームおよび実施例にて記載の例示的なプロセス、ならびに当業者によって使用される関連する公開文献に記載の操作によって製造され得る。これらの反応のための例示的な試薬および操作は、本明細書にて、実施例の後に、および実施例の中に示される。下記のプロセスの保護および脱保護は当該分野にて周知の操作により実施され得る(例えば、Wuts, P.G.M.、Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis, 5th Edition, Wiley (2014) を参照のこと)。有機合成の一般的方法および官能基の変換は、Trost, B.M.ら編、Comprehensive Organic Synthesis: Selectivity, Strategy & Efficiency in Modern Organic Chemistry, Pergamon Press, New York, NY (1991); Smith, M.B.ら、March’s Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure. 7th Edition, Wiley, New York, NY (2013); Katritzky, A.R.ら編、Comprehensive Organic Functional Group Transformations II, 2nd Edition, Elsevier Science Inc., Tarrytown, NY (2004); Larock, R.C.、Comprehensive Organic Transformations, 2nd Edition, Wiley-VCH, New York, NY (1999)、ならびにそれらの中の参考文献に記載される。
スキーム1はO-カルバモイル トリアゾール アリール(ヘテロアリール)オキシ-シクロヘプチル酸 13の合成を記載する。臭化ビニルマグネシウムのシクロヘプテノン 1への(例えば、CuBrによる触媒作用での)共役付加反応によって3-ビニルシクロヘプタノン 2が得られる。シクロヘプタノン 2の(例えば、NaBH4を用いる)還元は3-ビニルシクロヘプタノール 3をジアステレオマーの混合物として提供する。ジハロ(好ましくは、ジブロモ)フェニルまたはアジン(例えば、ピリジン)誘導体 4を適宜(例えば、テトラヒドロピラニルエーテルとして)保護されたプロパルギルアルコール 5と薗頭条件下(例えば、Alper,P.ら、WO 2008097428)でカップリングさせ、対応するブロモ-アリールまたはブロモ-ヘテロアリール保護のプロパルギルアルコール 6を得る。アルキン 6とアルキルアジド R5N3との熱反応(適切な触媒と共にまたは無しで;Qian,Y.ら、J. Med. Chem.,2012,55,7920-7939またはBoren,B.C.ら、J. Am. Chem. Soc.,2008,130,8923-8930)により対応する位置異性体の保護されたヒドロキシルメチル-トリアゾールが得られ、それから所望のトリアゾールの位置異性体 7が単離され得る。ブロモアリール-またはブロモヘテロアリール-トリアゾール 7と、ビス(ピナコラト)ジボロンを適切なパラジウム触媒(例えば、Ishiyama,T.ら、J. Org. Chem. 1995,60,7508-7510)の存在下で反応させ、対応するピナコールボロネート 8を得、次にそれを過酸化水素で酸化させ、対応するフェノールまたはヒドロキシヘテロアレン 9(Fukumoto,S.ら、WO 2012137982)を得る。フェノール/ヒドロキシヘテロアレン 9をシクロヘプタノール 3と光延反応条件下(Kumara Swamy,K.C.、Chem. Rev.,2009,109,2551-2651)で反応させ、対応するトリアゾールシクロヘプチルエーテル 10を得る。トリアゾールシクロヘプチルエーテル 10のビニル基を(例えば、RuCl3/NaIO4で、Carlsen,P.H.J.ら、J. Org. Chem.,1981,46,3936-3938)酸化的切断に付し、対応するカルボン酸を得、次にそれを適宜保護してトリアゾールシクロヘプチルエステル 11を得る。シクロヘプチルトリアゾール 11を脱保護してトリアゾールアルコール 12を得、ついでそれを適切な塩基の存在下でクロロギ酸4-ニトロフェニルと反応させてトリアゾール 4-ニトロフェニル カルボネート 13を得る。該トリアゾール 4-ニトロフェニル カルボネート 13を次に適切な塩基の存在下でアミン 14と反応させて対応するトリアゾールカルバメートを得、次にそれを脱保護に付して所望のトリアゾール-カルバメートシクロヘプチル酸 15を得る。
スキーム1
R5a=CH3である、具体的な例のアナログ 15の場合(スキーム1A)、トリメチルシリルアジド(Qian,Y.ら、J. Med. Chem.,2012,55,7920-7939)が保護されたアリールプロパルギルアルコール 6との環付加反応において使用される。この環付加は、加熱、あるいは好ましくは、遷移金属触媒のいずれかの条件下(例えば、Boren、B.C.ら、J. Am. Chem. Soc.,2008,130,8923-8930;Ramasamy,S.ら、Org. Process Res. Dev.,2018,22,880-887)で起こり、所望のトリアゾール 位置異性体16が主生成物として得られる。該トリメチルシリル基は、その後で標準的な脱シリル化条件下(例えば、Qian,Y.ら、J. Med. Chem.,2012,55,7920-7939にあるようにBu4NF)で除去され、トリアゾール 17が得られる。このトリアゾール 中間体を、その後で(スキーム1にて記載されるような一般的な合成スキームを用いて)トリアゾール カルバメートシクロヘプチル酸 15(R5a=CH3)へと変形させる。
スキーム1A
スキーム2はN-カルバモイル トリアゾール-アリールオキシ シクロヘプチル酸 20の合成を記載する。トリアゾールアルコール 12をトリアゾール酸 18に酸化する(例えば、重クロム酸ピリジニウムを用いて直接的に酸に、またはアルデヒドを介する2工程操作を通して酸化する[スワーン酸化またはデス-マーチン・ペルヨージナン、つづいてNaClO2で酸に酸化する、例えば、Lindgren,B.O.、Acta Chem. Scand. 1973,27,888])。酸18をアルコール R4-OHの存在下にて(例えば、(PhO)2PON3で)クルチウス転位に付し、トリアゾール NH-カルバメート 19を得る。該トリアゾール NH-カルバミン酸エステル 19を脱保護してシクロヘプチルトリアゾール NH-カルバモイル酸 20を得る。
スキーム2
スキーム3はトリアゾール N-カルバモイル-アリールオキシシクロヘプチル酸 24の合成を記載する。シクロヘプチルエステルトリアゾールアルコール 12を臭素化剤(例えば、PBr3またはCBr4/Ph3P)と反応させ、対応するブロミド 21を得る。ブロミド 21をNaN3(または別の適切なアジド試薬)との置換反応に付して対応するアジドを得、それを還元(例えば、Ph3P/H2Oでのシュタウディンガー還元)に供し、トリアゾールアミン 22を得る。アミン 22を適切なクロロホルメート 23(または対応する4-ニトロフェニルカルボネート)と適切な塩基の存在下で反応させ、対応するNH-カルバメートを得る。このトリアゾール N-H カルバミン酸エステルをエステル脱保護に付し、所望のトリアゾール-カルバメートシクロヘプチル酸 24を得る。
スキーム3
スキーム4は、1)アミノ-アジン トリアゾール アリールオキシシクロヘプチル酸 27、および2)オキシ-アジン トリアゾール アリールオキシシクロヘプチル酸 29の合成であって、ここでA1、A2およびA3のうち1つはNであり、他の2つはCRである、合成を記載する。シクロヘプチル トリアゾールアミン 22を、適切な塩基の存在下で、または遷移金属触媒のアミノ化(Lim,C.-H.ら、J. Am. Chem. Soc.,2018,140,7667-7673)を介してハロ-アジン 25と反応させ、トリアゾールアミノ-アジン 26を得、次にそれをエステル脱保護に供し、所望のアミノ-アジン トリアゾール アリールオキシシクロヘプチル酸 27を得る。シクロヘプチル トリアゾールアルコール 12を、適切な塩基の存在下で、または遷移金属触媒のC-Oクロスカップリング(Maligres,P.E.ら、Angew. Chem. Int. Ed.,2012,51,9071-9074)を介してハロ-アジン 25と反応させ、トリアゾール オキシ-アジン 28を得、次にそれをエステル脱保護に供し、オキシ-アジン トリアゾール アリールオキシシクロヘプチル酸 29を得る。
スキーム4
スキーム5は、1)アミノ-アゾール トリアゾール アリールオキシシクロヘプチル酸 32、および2)オキシ-アゾール トリアゾール アリールオキシシクロヘプチル酸 34の合成であって、ここでA4、A5、A6およびA7はNまたはCRである、合成を記載する。シクロヘプチル トリアゾールアミン 22を、適切な塩基の存在下で、または遷移金属触媒のアミノ化を介して適切なハロ-アゾール 30と反応させ、トリアゾール アミノ-アゾール 31を得、次にそれをエステル脱保護に供し、所望のアミノ-アゾール トリアゾール アリールオキシシクロヘプチル酸 32を得る。シクロヘプチル トリアゾールアルコール 12を、適切な塩基の存在下で、または遷移金属触媒のC-Oクロスカップリングを介して、適切なハロ-アゾール 30と反応させ、トリアゾール オキシ-アゾール 33を得、次にそれをエステル脱保護に供し、オキシ-アゾール トリアゾール アリールオキシシクロヘプチル酸 34を得る。
スキーム5
以下の実施例は、例示として、本発明の部分的範囲および個々の実施態様として提供されるものであり、発明の範囲を制限することを意図としない。略語および化学記号は、特記されない限り、その一般的かつ慣習的意義を有する。特記されない限り、本明細書に記載の化合物は、本明細書に開示のスキームおよび他の方法を用いて製造され、単離され、かつ特徴付けられるか、またはその同じスキームまたは方法を用いて製造されてもよい。
必要に応じて、反応は乾燥窒素(またはアルゴン)の環境下で行われた。無水反応の場合、EMからのDRISOLV(登録商標)溶媒を利用した。他の反応では、試薬等級またはHPLC等級の溶媒を利用した。特記されない限り、商業的に入手可能な試薬はすべて入手したそのままで使用された。
マイクロ波反応は、マイクロ波(2.5GHz)照射の下で、マイクロ波反応容器中、400W Biotage Initiator装置を用いて実施された。
HPLC/MSおよび分取/分析性HPLC方法は実施例の特徴付けまたは精製に利用された。
NMR(核磁気共鳴)スペクトルは、典型的には、BrukerまたはJEOL製400MHzおよび500MHz装置にて、指示される溶媒を用いて得られた。すべての化学シフトは、内部標体として溶媒共鳴したテトラメチルシランからのppmの単位で報告される。1H NMRスペクトルがd6-DMSO中で収集された実施例においては、水抑制シーケンスがしばしば利用される。このシーケンスは、プロトン全体のインテグレーションに影響を及ぼすであろう、一般に3.30-3.65ppmの間の同じ領域にて、水シグナルおよび任意のプロトンピークを効果的に抑制する。
1H NMRスペクトルデータは、典型的には、次のように:化学シフト、多重度(s=一重項、brs=ブロードな一重項、d=二重項、dd=二重項の二重項、t=三重項、q=四重項、sep=七重項、m=多重項、app=明らかな)、カップリング定数(Hz)、および積分値(インテグレーション)を用いて報告される。
HPLCなる語は、以下の1つの方法を用いる、島津製高性能液体クロマトグラフィー装置をいう。
HPLC-1:サンファイア(Sunfire)C18カラム(4.6x150mm)3.5μm、B:Aの勾配を12分間にわたって10から100%とし、ついで100%Bで3分間保持する
移動相A:水:CH3CN(95:5)中0.05%TFA
移動相B:CH3CN:水(95:5)中0.05%TFA
TFAバッファーのpH=2.5;流速:1mL/分;波長:254nm、220nm
HPLC-2:エックスブリッジ・フェニル(XBridge Phenyl)(4.6x150mm)3.5μm、B:Aの勾配を12分間にわたって10から100%とし、ついで100%Bで3分間保持する
移動相A:水:CH3CN(95:5)中0.05%TFA
移動相B:CH3CN:水(95:5)中0.05%TFA
TFAバッファーのpH=2.5;流速:1mL/分;波長:254nm、220nm
HPLC-3:キラルパック(Chiralpak)AD-H、4.6x250mm、5μm
移動相:30%EtOH-ヘプタン(1:1)/70%CO2;
流速=40mL/分、100バール、35℃;波長:220nm
HPLC-4:ウォーターズ・アクイティー(Waters Acquity)UPLC BEH C18、2.1x50mm、1.7-μm粒子;
移動相A:5:95 CH3CN:水+10mM NH4OAc;
移動相B:95:5 CH3CN:水+10mM NH4OAc;
温度:50℃;勾配:3分間にわたって0-100%Bとし、次に100%Bで0.75分間保持する;流れ:1.11mL/分;検出:UV(220nm)
HPLC-5:ウォーターズ・アクイティーUPLC BEH C18、2.1x50mm、1.7-μm粒子;
移動相A:5:95 CH3CN:水+0.1%TFA;
移動相B:95:5 CH3CN:水+0.1%TFA;
温度:50℃;勾配:3分間にわたって0-100%Bとし、次に100%Bで0.75分間保持する;流れ:1.11mL/分;検出:UV(220nm)
中間体1. メチル 3-((6-(5-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-2-メチルピリジン-3-イル)オキシ)シクロヘプタン-1-カルボキシレート
中間体1A. 3-ビニルシクロヘプタン-1-オン
シクロヘプタ-2-エノン(1.45g、13.16ミリモル)のTHF(65.8ml)中溶液に、CuBr・SMe2複合体(0.27g、1.3ミリモル)をAr下の室温にて添加し、該反応物を室温15分間撹拌し、次に-40℃に冷却した。臭化ビニルマグネシウム(19.7mL、THF中1M溶液;19.7ミリモル)をシリンジポンプを介して-40℃で1時間にわたって添加した。該反応混合物を-40℃で1時間撹拌し、次に-40℃でNH4Cl飽和水溶液でクエンチさせた。該混合物を室温まで加温させ、EtOAc(50mLx2)で抽出した。有機抽出液を合わせ、乾燥(Na2SO4)させ、真空下で濃縮した。該粗生成物をクロマトグラフィー(80g SiO2 ISCOカラム;20分間に及ぶヘキサン中0%~50%EtOAcの連続的勾配に供する)に付し、標記化合物(800mg、5.79ミリモル、収率44.0%)を得た。1H NMR(400MHz、CDCl3) δ 5.89-5.74(m,1H)、5.10-4.94(m,2H)、2.61-2.49(m,4H)、2.46-2.35(m,1H)、2.03-1.86(m,3H)、1.72-1.60(m,1H)、1.52-1.40(m,2H)
中間体1B. 3-ビニルシクロヘプタン-1-オール
中間体1A(500mg、3.62ミリモル)のTHF(10mL)およびH2O(10mL)中溶液に、NaBH4(547mg、14.5ミリモル)を23℃でゆっくりと添加し、反応物を室温で一夜撹拌した。10%KHSO4水溶液(10mL)を該反応混合物にゆっくりと添加し、次にそれをEtOAc(2x30mL)で抽出した。有機抽出液を合わせ、乾燥(Na2SO4)させ、真空下で濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(12g SiO2;10分間に及ぶヘキサン中0-60%EtOAcの連続的勾配に供し、次に10分間に及ぶヘキサン中60-100%EtOAcの連続的勾配に供する)に付し、標記化合物(500mg、3.57ミリモル、収率99%)を得た。1H NMR(400MHz、CDCl3) δ 5.94-5.74(m,1H)、5.07-4.83(m,2H)、4.09-3.81(m,1H)、2.53-2.10(m,1H)、2.04-1.90(m,1H)、1.84-1.68(m,3H)、1.64-1.46(m,4H)、1.42-1.18(m,3H)
1C. 2-メチル-6-(1-メチル-5-(((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-3-((3-ビニルシクロヘプチル)オキシ)ピリジン
(E)-ジアゼン-1,2-ジイルビス(ピペリジン-1-イルメタノン)(1.40g、5.65ミリモル)の1,4-ジオキサン(10mL)中溶液に、nBu3P(1.4mL、5.65ミリモル)を添加した。得られた混合物を室温で5分間撹拌し、ついで2-メチル-6-(1-メチル-5-(((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)ピリジン-3-オール(WO2017/223016の実施例1Cにて記載される操作に従って合成される;860mg、2.83ミリモル)および中間体1B(396mg、2.83ミリモル)の1,4-ジオキサン(28mL)中溶液に、室温で30分間にわたって添加した。該反応混合物を75℃で16時間加熱し、次に室温に冷却した。該混合物を濾過し、その濾過ケーキをDCM(10mL)で濯ぎ;濾液を合わせ、真空下にて濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(40g SiO2;10分間に及ぶヘキサン中0-60%EtOAcの連続的勾配に供し、次に10分間に及ぶヘキサン中60-100%EtOAcの連続的勾配に供する)に付し、標記化合物(1.11g、2.60ミリモル、収率92%)を得た。1H NMR(400MHz;CDCl3) δ 7.94(dd,J=8.6、2.4Hz,1H)、7.13(dd,J=12.8、8.6Hz,1H)、5.77-5.95(m,1H)、5.23-5.42(m,2H)、4.95-5.06(m,1H)、4.92(dq,J=10.3、1.3Hz,1H)、4.78(t,J=3.5Hz,1H)、4.38-4.65(m,1H)、4.16(s,3H)、3.91(ddd,J=11.3、7.8、3.1Hz,1H)、3.46-3.63(m,1H)、2.46-2.52(m,3H)、2.15(brs,2H)、1.63-1.98(m,10H)、1.40-1.58(m,5H)
中間体1
中間体1C(1.0g、2.34ミリモル)のMeCN(5mL)中溶液に、NaIO4(2.0g、9.38ミリモル)のH2O(5mL)中溶液およびRuCl3(0.025g、0.117ミリモル)を連続して添加した。該反応混合物を室温で1時間撹拌し、次に真空下で濃縮した。残渣を分取用HPLC(C18 30x100mmカラム;検出(220nm);流速=40mL/分;10分間に及ぶ0%B~100%Bの連続的勾配に供し、さらに100%Bで2分間保持する、ここでA=90:10:0.1 H2O:MeCN:TFA、B=90:10:0.1 MeCN:H2O:TFA)に付して精製し、その粗酸生成物を透明な油として得た。粗酸(0.30g、0.832ミリモル)の1:1 DCM/MeOH(各5mL)中溶液に、TMSCHN2(0.50mL、Et2O中2M溶液、1.00ミリモル)を0℃で添加した。該反応混合物を室温で一夜撹拌し、次に真空下で濃縮した。該粗生成物をクロマトグラフィー(SiO2;ヘキサン中0%から100%EtOAcに20分間に及ぶ連続勾配)に付し、標記化合物(190mg、2工程にわたって20%)を得た。1H NMR(400MHz、CDCl3) δ 8.25-8.03(m,1H)、7.26-7.12(m,1H)、4.93-4.81(m,2H)、4.76-4.35(m,1H)、4.11-4.06(m,3H)、3.73-3.66(m,3H)、2.92-2.81(m,1H)、2.62-2.44(m,4H)、2.47-2.37(m,1H)、2.30-2.13(m,1H)、2.04-1.95(m,1H)、1.95-1.71(m,5H)、1.68-1.52(m,2H)
中間体2. 4-(5-((3-(メトキシカルボニル)シクロヘプチル)オキシ)-6-メチルピリジン-2-イル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-カルボン酸
中間体1(47mg、0.13ミリモル)のMeCN(0.5mL)中溶液に、NaIO4(107mg、0.502ミリモル)のH2O(0.5mL)中溶液およびRuCl3(1.3mg、6.3マイクロモル)を添加した。該反応混合物を室温で1時間撹拌し、次に真空下で濃縮した。残渣を分取用HPLC(C18 30x100mmカラム;検出(220nm);流速=40mL/分;10分間に及ぶ0%B~100%Bの連続的勾配に供し、さらに100%Bで2分間保持する、ここでA=90:10:0.1 H2O:MeCN:TFA、B=90:10:0.1 MeCN:H2O:TFA)に付して精製し、標記化合物(37mg、0.095ミリモル、収率76%)を透明な油として得た。LCMS[M+H]+=389.2
実施例1. (±)-3-((6-(5-(((ベンジル(メチル)カルバモイル)オキシ)メチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-2-メチルピリジン-3-イル)オキシ)シクロヘプタン-1-カルボン酸(シス&トランスジアステレオマーの混合物)
1A. メチル 3-((2-メチル-6-(1-メチル-5-((((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)オキシ)メチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)ピリジン-3-イル)オキシ)シクロヘプタン-1-カルボキシレート
中間体1(95mg、0.25ミリモル)およびピリジン(0.062mL、0.76ミリモル)のDCM(2mL)中溶液に、クロロギ酸4-ニトロフェニル(102mg、0.507ミリモル)を添加した。該反応混合物を室温で18時間撹拌し、次に濾過した。真空下で濃縮して標記化合物(90mg、0.17ミリモル、収率66%)を明黄色の油として得た。LCMS[M+H]+=540.2
1B. メチル 3-((6-(5-(((ベンジル(メチル)カルバモイル)オキシ)メチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-2-メチルピリジン-3-イル)オキシ)シクロヘプタン-1-カルボキシレート
化合物1A(27mg、0.050ミリモル)のTHF(1mL)中溶液に、N-メチル-1-フェニルメタナミン(7.3mg、0.060ミリモル)を、つづいてiPr2NEt(0.022mL、0.12ミリモル)を添加した。該反応混合物を室温で18時間撹拌し、次に真空下で濃縮した。該粗生成物をクロマトグラフィー(4g SiO2;14分間にわたってヘキサン中0%~100%EtOAcの連続的勾配に供する)に付し、標記化合物(25mg、0.17ミリモル、収率96%)を明黄色の油として得た。LCMS[M+H]+=522.3
実施例1
実施例1Bの化合物(25mg、0.048ミリモル)のTHF(1mL)中溶液に、水性2M LiOH(0.1mL、0.20ミリモル)を添加した。該反応混合物を室温で18時間撹拌し、次に真空下で濃縮した。残渣をH2O(1mL)に溶かし、そのpHを1N HCl水溶液で約3に調節し、EtOAc(2x1mL)で抽出した。有機抽出液を合わせ、ブライン(1mL)で洗浄し、乾燥(MgSO4)させ、真空下で濃縮した。該粗生成物を分取用LC/MS(カラム:ウォーターズ・エックスブリッジ(Waters XBridge)C18、19x200mm、5-μm粒子;ガードカラム:ウォーターズ・エックスブリッジ C18、19x10mm、5-μm粒子;移動相A:5:95 MeCN:H2O+0.1%TFA;移動相B:95:5 MeCN:H2O+0.1%TFA;勾配:20分間にわたって50-90%Bとし、次に100%Bで5分間保持する;流れ:20mL/分)に付して精製した。所望の生成物を含有するフラクションを合わせ、遠心蒸発によって真空下で濃縮し、標記化合物(27mg、0.043ミリモル、収率89%)のTFA塩を得た。LCMS[M+H]+=508.3;1H NMR(CDCl3) δ 8.07-8.19(m,1H)、8.03(t,J=9.8Hz,1H)、7.79(t,J=8.9Hz,1H)、7.32-7.41(m,3H)、7.21(brd,J=7.5Hz,1H)、7.12(brd,J=7.3Hz,1H)、5.41(s,1H)、4.73-4.92(m,1H)、4.44-4.61(m,2H)、4.24(s,1H)、3.89(s,2H)、2.91-3.07(m,3H)、2.75(d,J=9.0Hz,3H)、2.42-2.45(m,1H)、1.99-2.45(m,4H)、1.46-1.97(m,6H);hLPA1 IC50=16nM
実施例2~5は、N-メチル-1-フェニルメタナミンの代わりに1-シクロブチル-N-メチルメタナミンが実施例1Aとの反応において使用されることを除き、実施例1の合成について記載されるのと同じ合成シーケンスおよび同じ中間体を用いることにより製造された。これらの4種の化合物は、個々に、分取用HPLC(カラム:フェノメネックス・ルナ(Phenomenex Luna)C18 30x250mm、5-μm粒子;移動相A:5:95 MeCN:H2O+0.1%TFA;移動相B:95:5 MeCN:H2O+0.1%TFA;勾配:25分間にわたって0-83%Bとし、次に100%Bで2分間保持する;流れ:40mL/分に付して精製した。所望の生成物を含有するフラクションを合わせ、遠心蒸発によって真空下で濃縮し、シスおよびトランスの個々のラセミ型の化合物を得た。該ラセミ型のシスおよびトランス化合物をさらに、キラル分取用SFC(カラム:キラルパック OJ-H、30x250mm、5-μm粒子;移動相:10%MeOH+0.1%DEA/60%CO2;85mL/分、150バール、40℃)により個々のエナンチオマーに分離した。所望の生成物を含有するフラクションを合わせ、遠心蒸発によって真空下で濃縮し、個々のエナンチオマーを得た。
実施例2. トランス異性体-エナンチオマー1(先に溶出するエナンチオマー;絶対立体化学は決定されていない;2つの可能性のある絶対配置のうちの1つとして任意に描写する)(1S,3S)-3-((6-(5-((((シクロブチルメチル)(メチル)カルバモイル)オキシ)メチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-2-メチルピリジン-3-イル)オキシ)シクロヘプタン-1-カルボン酸
LCMS[M+H]+=486.1;1H NMR(500MHz、CD3CN) δ 7.89(brd,J=8.5Hz,1H)、7.64-7.33(m,1H)、5.60(brs,2H)、4.77(brs,1H)、4.09(brd,J=7.5Hz,3H)、3.27(brd,J=7.2Hz,2H)、3.15(brd,J=7.2Hz,2H)、2.86-2.72(m,4H)、2.26-2.15(m,1H)、2.12-2.07(m,1H);hLPA1 IC50=9.5nM
実施例3. トランス異性体-エナンチオマー2(後に溶出するエナンチオマー;絶対立体化学は決定されていない;2つの可能性のある絶対配置のうちの1つとして任意に描写する)(1R,3R)-3-((6-(5-((((シクロブチルメチル)(メチル)カルバモイル)オキシ)メチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-2-メチルピリジン-3-イル)オキシ)シクロヘプタン-1-カルボン酸
LCMS[M+H]+=486.1;1H NMR(500MHz、CD3CN) δ 7.89(brd,J=8.5Hz,1H)、7.64-7.33(m,1H)、5.60(brs,2H)、4.77(brs,1H)、4.09(brd,J=7.5Hz,3H)、3.27(brd,J=7.2Hz,2H)、3.15(brd,J=7.2Hz,2H)、2.86-2.72(m,4H)、2.26-2.15(m,1H)、2.12-2.07(m,1H);hLPA1 IC50=108nM
実施例4. シス異性体-エナンチオマー1(先に溶出するエナンチオマー;絶対立体化学は決定されていない;2つの可能性のある絶対配置のうちの1つとして任意に描写する)(1S,3R)-3-((6-(5-((((シクロブチルメチル)(メチル)カルバモイル)オキシ)メチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-2-メチルピリジン-3-イル)オキシ)シクロヘプタン-1-カルボン酸
LCMS[M+H]+=486.1;1H NMR(600MHz、CD3CN) δ 7.91(brs,1H)、7.54-7.30(m,1H)、5.58(brs,2H)、4.58(brs,1H)、4.10(brd,J=6.2Hz,3H)、3.27(brd,J=6.6Hz,1H)、3.17(brd,J=6.9Hz,1H)、2.80(brd,J=13.8Hz,3H)、2.62-2.53(m,1H)、2.53-2.41(m,2H)、2.39(brs,1H)、2.36(brd,J=14.2Hz,1H)、1.83(brd,J=4.4Hz,2H)、1.82-1.66(m,4H)、1.62-1.46(m,3H);hLPA1 IC50=19nM
実施例5. シス異性体-エナンチオマー2(後に溶出するエナンチオマー;絶対立体化学は決定されていない;2つの可能性のある絶対配置のうちの1つとして任意に描写する)(1R,3S)-3-((6-(5-((((シクロブチルメチル)(メチル)カルバモイル)オキシ)メチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-2-メチルピリジン-3-イル)オキシ)シクロヘプタン-1-カルボン酸
LCMS[M+H]+=486.1;1H NMR(600MHz、CD3CN) δ 7.91(brs,1H)、7.54-7.30(m,1H)、5.58(brs,2H)、4.58(brs,1H)、4.10(brd,J=6.2Hz,3H)、3.27(brd,J=6.6Hz,1H)、3.17(brd,J=6.9Hz,1H)、2.80(brd,J=13.8Hz,3H)、2.62-2.53(m,1H)、2.53-2.41(m,2H)、2.39(brs,1H)、2.36(brd,J=14.2Hz,1H)、1.83(brd,J=4.4Hz,2H)、1.82-1.66(m,4H)、1.62-1.46(m,3H);hLPA1 IC50=296nM
表1において列挙される化合物は、実施例1の合成について記載されるのと同じ合成シーケンスおよび同じ中間体を用いることにより製造された。
実施例15. (±)-3-((6-(5-(((6-エチルピリミジン-4-イル)オキシ)メチル)-1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-2-メチルピリジン-3-イル)オキシ)シクロヘプタン-1-カルボン酸(シス&トランスジアステレオマーの混合物)
中間体1(10mg、0.027ミリモル)の1,4-ジオキサン(1.5mL)中溶液に、0℃でNaH(10.6mg、0.27ミリモル)を添加した。該混合物を室温で10分間撹拌し、その後で4-クロロ-6-エチルピリミジン(7.6mg、0.053ミリモル)を添加した。該混合物をマイクロ波反応器にて120℃で1時間撹拌し、次に室温に冷却した。水(1mL)を添加し、該混合物を室温で1時間撹拌し、次に真空下で濃縮した。該粗生成物を分取用HPLC(C18 30x100mmカラム;検出(220nm);流速=40mL/分;10分間に及ぶ0%B~100%Bの連続的勾配に供し、さらに100%Bで2分間保持する、ここでA=90:10:0.1 H2O:MeCN:TFA、B=90:10:0.1 MeCN:H2O:TFA)に付して精製し、標記化合物(8.7mg、収率88%)を透明な油として得た。1H NMR(500MHz、DMSO-d6) δ 8.81-8.64(m,1H)、8.00-7.77(m,1H)、7.56-7.36(m,1H)、6.92-6.72(m,1H)、6.13-5.92(m,2H)、4.83-4.52(m,1H)、4.20-4.01(m,3H)、2.76-2.59(m,3H)、2.31-2.16(m,3H)、2.18-2.07(m,1H)、2.09-1.84(m,2H)、1.82-1.38(m,7H)、1.27-1.06(m,3H);LCMS、[M+H]+=467.3;hLPA1 アンタゴニスト IC50=32nM
表2において列挙される化合物は、実施例15の合成について記載されるのと同じ合成シーケンスおよび同じ中間体を用いることにより製造された。
実施例22. (±)-3-((2-メチル-6-(1-メチル-5-((((R)-1-フェニルエトキシ)カルボニル)アミノ)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)ピリジン-3-イル)オキシ)シクロヘプタン-1-カルボン酸(シス&トランスジアステレオマーの混合物)
中間体2(8mg、0.021ミリモル)、(PhO)2PON3(6.8mg、0.025ミリモル)、(R)-1-フェニルエタン-1-オール(2.8mg、0.023ミリモル)およびEt3N(3.7μL、0.027ミリモル)のトルエン(1mL)中混合物を80℃で4時間撹拌し、次に室温に冷却し、真空下にて濃縮した。該粗生成物をクロマトグラフィー(4g SiO2;14分間にわたってヘキサン中0%~100%EtOAcの連続的勾配に供する)に付し、N-カルバメート トリアゾールエステルの粗生成物(9mg、0.018ミリモル、収率86%)を明黄色の油として得た。LCMS[M+H]+=508.3;この材料はさらに精製することなく次の工程にて使用された。
該粗製N-カルバメート トリアゾールエステルをTHF(1mL)および水性2M LiOH(0.044mL、0.089ミリモル)に溶かし、該反応混合物を室温で18時間撹拌し、次に真空下で濃縮した。残渣をH2O(1mL)に溶かし、そのpHを1N HCl水溶液で約3に調節し、EtOAc(2x1mL)で抽出した。有機抽出液を合わせ、ブライン(1mL)で洗浄し、乾燥(MgSO4)させ、真空下で濃縮した。該粗生成物を分取用LC/MS(カラム:ウォーターズ・エックスブリッジ C18、19x200mm、5-μm粒子;ガードカラム:ウォーターズ・エックスブリッジ C18、19x10mm、5-μm粒子;移動相A:5:95 MeCN:H2O+0.1%TFA;移動相B:95:5 MeCN:H2O+0.1%TFA;勾配:20分間にわたって50-90%Bとし、次に100%Bで5分間保持する;流れ:20mL/分)に付して精製した。所望の生成物を含有するフラクションを合わせ、遠心蒸発によって真空下で濃縮し、標記化合物(7.7mg、収率70%)を得た。LCMS[M+H]+=494.3;1H NMR(500MHz、CDCl3) δ 7.99-8.10(m,1H)、7.90(d,J=9.2Hz,1H)、7.63(dd,J=8.9、4.1Hz,1H)、7.37(brd,J=4.6Hz,4H)、7.32(dt,J=4.4、2.2Hz,1H)、5.81(q,J=6.5Hz,1H)、4.55-4.93(m,1H)、3.95-4.07(m,3H)、2.84-2.94(m,1H)、2.59-2.73(m,4H)、2.20-2.42(m,1H)、2.11-2.20(m,2H)、1.94-2.06(m,1H)、1.75-1.95(m,4H)、1.63-1.72(m,1H)、1.60(brd,J=6.6Hz,3H);hLPA1 IC50=53nM
表3において列挙される化合物は、実施例22の合成について記載されるのと同じ合成シーケンスおよび同じ中間体を用いることにより製造された。