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JP7429660B2 - ボルト・ナットの防食工法 - Google Patents
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JP7429660B2 - ボルト・ナットの防食工法 - Google Patents

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Description

本発明は、ボルト・ナットの防食工法に関する。
従来から種々の構造物においてボルトおよびナットを使用して部材を結合する方法が採用されている。一般に、ボルトとナットとを結合した場合、ボルトのネジ部およびナットは、接合面から突出した状態になることから風雨に曝されやすく、錆が発生しやすいという問題があった。ボルトおよびナットの防食対策として、ボルトおよびナットに防食塗装を施す方法が行われている。しかしながら、ボルトおよびナットは複雑な構造をなしていることから、隙間から浸入した雨水が抜けにくく防食効果が短期間に失われるという問題があった。そこで、防食塗装に代わるボルトおよびナットの防食対策として、ボルトおよびナットの結合部を樹脂製の防食部材(キャップ)で被覆する手法が知られている(例えば、特許文献1および特許文献2を参照)。
特開平2-138488号公報 特許第5085798号公報
しかし、このような従来の手法では、作業者がボルトおよびナットの結合部1つずつに防食部材を取り付ける必要がある。例えば、橋梁等のように1カ所に多数のボルトおよびナットが使用されている場合には、作業者による防食部材の取り付け作業が繁雑になるという問題がある。また、ボルトおよびナットの結合部の構造物における配置等によっては、当該結合部に防食部材を被せるだけでは防食部材が外れてしまう虞がある。このため、作業者は、当該結合部に被せる前に、防食部材内に充填剤を入れる作業や防食部材に接着剤を塗布する作業等がさらに必要となる。したがって、上述のような従来の手法においては、防食部材の取り付け作業に膨大な時間を要したり、多数の作業者が必要となる虞がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、施工時間の短縮および作業負担の軽減を図るボルト・ナットの防食工法を提供することを目的とする。
(1)上記目的を達成するための一実施形態に係るボルト・ナットの防食工法は、被締結物の締結に使用される金属製のボルトおよび金属製のナットのうち前記被締結物から突出した部分を未硬化状態のゴムシートで被覆する被覆工程と、前記ゴムシートと前記被締結物との間の空気を抜き、前記被締結物から突出した部分の曲面に沿うように前記ゴムシートを変形させる脱気工程と、前記ゴムシートを硬化させる硬化工程と、を含む。
(2)別の実施形態に係るボルト・ナットの防食工法では、好ましくは、前記脱気工程は、少なくとも前記被締結物から突出した前記ボルトの脚部先端に密着して前記被締結物から突出した部分の曲面に沿うように前記ゴムシートを変形させても良い。
(3)別の実施形態に係るボルト・ナットの防食工法は、好ましくは、前記被締結物に密着可能なゴム状弾性体からなる枠体を、少なくとも前記ボルトおよび前記ナットによる締結部を囲うように配置する配置工程をさらに含み、前記脱気工程は、少なくとも前記被締結物から突出した前記ボルトの脚部先端と前記枠体とに密着するように前記ゴムシートを変形させても良い。
(4)別の実施形態に係るボルト・ナットの防食工法では、好ましくは、ゴムシートは、その可塑度を100~200の範囲としても良い。
(5)別の実施形態に係るボルト・ナットの防食工法では、好ましくは、前記ゴムシートは、シリコーンゴムシートであっても良い。
(6)別の実施形態に係るボルト・ナットの防食工法では、好ましくは、前記ゴムシートは、縮合反応型のシリコーンゴムシートであっても良い。
本発明によれば、施工時間の短縮および作業負担の軽減を図るボルト・ナットの防食工法を提供することができる。
図1は、被締結物の締結に使用されているボルトおよびナットに対して、第1実施形態に係るボルト・ナットの防食工法が施工された防食構造体の平面図を示す。 図2は、図1の平面図のA-A線断面図を示す。 図3は、第1実施形態に係るボルト・ナットの防食工法の主な工程のフローチャートを示す。 図4は、第1実施形態に係るボルト・ナットの防食工法を説明するための図を示す。 図5は、第1実施形態に係るボルト・ナットの防食工法の脱気工程後の状態の一例の写真を示す。 図6は、第1実施形態に係るボルト・ナットの防食工法の硬化工程後の状態の一例の一部を拡大した写真を示す。 図7は、被締結物の締結に使用されているボルトおよびナットに対して、第2実施形態に係るボルト・ナットの防食工法が施工された防食構造体の平面図を示す。 図8は、図7の平面図のB-B線断面図を示す。 図9は、第2実施形態に係るボルト・ナットの防食工法の主な工程のフローチャートを示す。 図10は、第2実施形態に係るボルト・ナットの防食工法を説明するための図を示す。 図11は、第2実施形態に係るボルト・ナットの防食工法を説明するための図を示す。 図12は、被締結物の締結に使用されているボルトおよびナットに対して、第1実施形態に係るボルト・ナットの防食工法が施工された防食構造体の一例の写真を示す。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている諸要素およびその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
(第1実施形態)
1.防食構造体の構成
図1は、被締結物の締結に使用されているボルトおよびナットに対して、第1実施形態に係るボルト・ナットの防食工法が施工された防食構造体の平面図を示す。図2は、図1の平面図のA-A線断面図を示す。
防食構造体1は、被締結物50,51の締結に使用されているボルト20およびナット30に対して、第1実施形態に係るボルト・ナットの防食工法が施工された構造体である。防食構造体1は、被締結物50,51と、被締結物50,51を締結する金属製のボルト20および金属製のナット30と、ボルト20およびナット30のうち被締結物50,51から突出した部分を被覆する防食部材10を備える。ここで、金属は、鉄、鉄系合金(SUSを含む)等の特に制約のない錆びる可能性のある金属を意味する。被締結物は、例えば、橋梁、鉄塔、ビル、工場、住宅等の種々の建造物、建設機械、および加工機械等、ボルト20およびナット30により締結される構造物である。この実施形態では、2枚の板状部材を被締結物50,51として例示する。防食構造体1は、好ましくは、被締結物50,51とナット30との間に座金40を備える。また、防食構造体1は、好ましくは、被締結物50,51とボルト20の頭部21との間に座金40を備える。なお、防食構造体1は、座金40を備えていなくても良いし、被締結物50,51とナット30および頭部21のいずれか一方との間に座金40を備えていても良い。
この実施形態において、防食構造体1は、4組のボルト20およびナット30を備える(図1を参照)。ただし、防食構造体1は、少なくとも1組のボルト20およびナット30により被締結物50,51を締結していれば、ボルト20およびナット30の個数は特に制約されない。この実施形態において、防食部材10は、被締結物50,51から突出したボルト20の脚部22およびナット30を被覆する(図2を参照)。ただし、防食部材10は、被締結物50,51から突出したボルト20の頭部21側を被覆しても良い。また、ボルト20の脚部22の先端がナット30から突出していない場合等において、防食部材10は、ナット30のみを被覆しても良い。
防食部材10は、未硬化状態のゴムシート80(図4を参照)が被覆変形した後、硬化したゴムから構成される部材である。未硬化状態のゴムシートは、半硬化状態も含む。以後、未硬化状態のゴムシート80は、未硬化ゴム状シート80、未硬化ゴムシート80、或いは、単に、ゴムシート80とも称する。ゴム部材としては、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ニトリルゴム(NBR)あるいはスチレンブタジエンゴム(SBR)等の熱硬化性エラストマー; ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系、フッ素系等の熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの複合物等を用いるのが好ましい。特には耐紫外線性、耐オゾン性、耐寒性、耐熱性に優れたシリコーンゴムが好適である。以下に防食部材10を構成するシリコーンゴムについて詳細に説明する。
(1)シリコーンゴム
シリコーンゴムは、シロキサン結合(-Si-O-Si)を主骨格に持つゴム状弾性体である。この実施形態にて使用可能なシリコーンゴムは、付加硬化型、縮合反応型、UV硬化型、電子線硬化型等のいかなる硬化タイプで得られるものでも良く、特に、縮合反応型のシリコーンゴムであるのが好ましい。シリコーンゴムは、オルガノポリシロキサンを主剤として含む硬化性オルガノポリシロキサン組成物(シリコーンゴムコンパウンド)を硬化して得られるゴム状弾性体である。ここで、「主剤」とは、硬化性オルガノポリシロキサン組成物を構成する成分中、最も質量比率にて多い剤を意味する。オルガノポリシロキサンは、好ましくは、硬化性オルガノポリシロキサン組成物中に50質量%以上含まれているが、主剤であれば、50質量%未満でも良い。以下に、シリコーンゴムの硬化前の原料であるシリコーンゴムコンパウンドとして、付加硬化型および縮合反応型の硬化性オルガノポリシロキサン組成物の一例について説明する。
(付加硬化型)
付加硬化型の硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、付加硬化型の硬化性シリコーン組成物あるいは付加硬化型の硬化性シリコーンゴム組成物と称しても良い。付加硬化型の硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、例えば、主に以下の成分から構成できる。
(1-1)オルガノポリシロキサン
オルガノポリシロキサンは、付加硬化型の硬化性オルガノポリシロキサン組成物の主剤であり、一分子中に平均2個以上のアルケニル基を有する。オルガノポリシロキサンは、付加硬化型の硬化性オルガノポリシロキサン組成物のベースポリマーであって、下記平均組成式(I)で示される。
SiO(4-a)/2 ・・・(I)
式(I)中、Rは互いに同一又は異種の炭素数1~12,好ましくは1~10、より好ましくは1~8の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、aは1.5~2.8、好ましくは1.8~2.5、より好ましくは1.95~2.05の範囲の正数である。
アルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基およびヘプテニル基を挙げることができる。これらの中では、ビニル基を用いることが好ましい。また、本成分中、アルケニル基以外のケイ素原子に結合する有機基の例としては、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等)、アリール基(フェニル基、トリル基、キシリル基等)、ハロゲン化アルキル基(3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等)を挙げることができる。これらの中では、メチル基を用いることが好ましい。本成分の分子構造の例としては、直鎖状、一部分枝を有する直鎖状、分枝鎖状、網状、樹枝状を挙げることができる。
本成分のオルガノポリシロキサンとしては、例えば、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、(CHSiO1/2で示されるシロキサン単位と(CH(CH=CH)SiO1/2で示されるシロキサン単位とSiO4/2で示されるシロキサン単位とからなるオルガノポリシロキサン、これらのオルガノポリシロキサンのメチル基の少なくとも一部をアルキル基(エチル基、プロピル基等)、アリール基(フェニル基、トリル基等)、ハロゲン化アルキル基(3,3,3-トリフルオロプロピル基等)から選ばれる置換基で置換したオルガノポリシロキサン、これらのオルガノポリシロキサンのビニル基の少なくとも一部をアルケニル基(アリル基、プロペニル基等)で置換したオルガノポリシロキサン、および、これらのオルガノポリシロキサンの2種以上の混合物を用いることができる。
(1-2)水素化オルガノポリシロキサン
水素化オルガノポリシロキサンは、付加硬化型の硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化剤として作用するものであり、1分子中に平均2個以上のケイ素原子結合水素を有する。水素化オルガノポリシロキサンは、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとも称する。水素化オルガノポリシロキサンは、下記平均組成式(II)で示され、1分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上、より好ましくは3~100個、更に好ましくは4~50個のケイ素原子結合水素原子(SiH基)を有するものが好適に用いられる。
SiO(4-b-c)/2 ・・・(II)
式(II)中、Rは互いに同一又は異種の炭素数1~12、好ましくは1~10、より好ましくは1~8の非置換又は置換の一価炭化水素基である。また、bは0.7~2.1、cは0.001~1.0で、かつb+cは0.8~3.0を満足する正数である。
本成分中のケイ素に結合する有機基の例としては、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等)、アリール基(フェニル基、トリル基、キシリル基等)、ハロゲン化アルキル基(3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等)を挙げることができる。上記の中では、メチル基を用いることが好ましい。本成分の分子構造の例としては、直鎖状、一部分枝を有する直鎖状、分枝鎖状、網状、樹枝状を挙げることができる。
本成分の水素化オルガノポリシロキサンとしては、例えば、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ポリメチルハイドロジェンシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、環状ポリメチルハイドロジェンシロキサン、(CHHSiO1/2で示されるシロキサン単位とSiO4/2で示されるシロキサン単位とからなるオルガノポリシロキサン、これらのオルガノポリシロキサンのメチル基の少なくとも一部をアルキル基(エチル基、プロピル基等)、アリール基(フェニル基、トリル基等)、ハロゲン化アルキル基(3,3,3-トリフルオロプロピル基等)で置換したオルガノポリシロキサン、および、これらのオルガノポリシロキサンの2種以上の混合物を用いることができる。これらの中では、得られる硬化物の機械的特性(特に伸び)が向上することから、分子鎖両末端にのみケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンと分子鎖側鎖にケイ素原子結合を有するオルガノポリシロキサンとの混合物を用いることが好ましい。
付加硬化型の硬化性オルガノポリシロキサン組成物における本成分の含有量は、(1-1)成分中のアルケニル基に対する本成分中のケイ素原子結合水素原子のモル比が0.01~20の範囲内となる量であり、0.1~10の範囲内となる量であることが好ましく、0.1~5の範囲内となる量であることが一層好ましい。上記のような範囲としたのは、本成分の含有量が上記範囲の下限以上であると、シリコーンゴムが十分に硬化しやすくなる傾向があるからであり、一方、上記範囲の上限以下では、硬化した接着シートの機械的特性がより高くなる傾向があるからである。また、本成分として、分子鎖両末端にのみケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンと分子鎖側鎖にケイ素原子結合を有するオルガノポリシロキサンとの混合物を用いる場合には、前者のオルガノポリシロキサンの含有量は、(1-1)成分中のアルケニル基に対する本成分中のケイ素原子結合水素原子のモル比が0.01~10の範囲内となる量であることが好ましく、0.1~10の範囲内となる量であることが一層好ましく、0.1~5の範囲内となる量であることがより一層好ましい。また、後者のオルガノポリシロキサンの含有量は、(1-1)成分中のアルケニル基に対する本成分中のケイ素原子結合水素原子のモル比が0.5~20の範囲内となる量であることが好ましく、0.5~10の範囲内となる量であることが一層好ましく、0.5~5の範囲内となる量であることが一層好ましい。
(1-3)硬化触媒
硬化触媒は必須ではないが、好ましい例としてヒドロシリル化反応用白金系触媒を挙げることができる。ヒドロシリル化反応用白金系触媒の例としては、白金微粉末、白金黒、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、白金とジケトンの錯体、塩化白金酸とオレフィン類の錯体、塩化白金酸とアルケニルシロキサンとの錯体、および、これらを担体(アルミナ、シリカ、カーボンブラック等)に担持させたものを挙げることができる。これらの中では、触媒活性の高さから、塩化白金酸とアルケニルシロキサンとの錯体を用いることが好ましい。また、塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体を用いることが一層好ましい。本成分の配合量は、(1-1)成分100万質量部に対して、白金金属原子として1~1000質量部の範囲内にあることが好ましく、1~100質量部の範囲内にあることが一層好ましい。
(1-4)充填剤
充填剤は、付加硬化型の硬化性オルガノポリシロキサン組成物の機械的強度を向上させるために添加する方が好ましいものであり、通常、シリコーンゴムの配合に用いられる公知の化合物を用いることができる。本成分としては、例えば、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、焼成シリカ、粉砕石英、および、これらのシリカの粉末を有機ケイ素化合物(オルガノアルコキシシラン、オルガノハロシラン、オルガノシラザン等)で表面処理した粉末を挙げることができる。特に、硬化体の機械的強度を十分に向上させるためには、本成分としてBET比表面積が50m/g以上であるシリカ粉末を用いることが好ましい。
付加硬化型の硬化性オルガノポリシロキサン組成物において、本成分の添加は任意であるが、硬化したシリコーンゴムの機械的強度を向上させるためには、本成分の配合量が(1-1)成分100質量部に対して1~1000質量部の範囲内にあることが好ましく、1~400質量部の範囲内にあることが一層好ましい。また、付加硬化型の硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、その他任意の成分として、例えば、ヒュームド酸化チタン、ケイ藻土、酸化鉄、酸化アルミニウム、アルミノケイ酸塩、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム等の無機質充填剤および有機充填剤を含有していてもよい。付加硬化型の硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、これらの充填剤の表面を前記の有機ケイ素化合物で処理した充填剤を含有していても良い。充填剤の配合量は、目的や充填剤の種類により選択することができるが、(1-1)成分に対して1~90体積%の範囲内にあり、5~60体積%の範囲内にあることが好ましい。
(1-5)その他
さらに、付加硬化型の硬化性オルガノポリシロキサン組成物には、その硬化性を調整するために、アセチレン系化合物(3-メチル-1-ブチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、3-フェニル-1-ブチン-3-オール等)、エンイン化合物(3-メチル-3-ペンテン-1-イン、3,5-ジメチル-3-ヘキセン-1-イン等)、1分子中にビニル基を5質量%以上持つオルガノシロキサン化合物(1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルビニルシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルビニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等)、その他の硬化抑制剤(ベンゾトリアゾール等のトリアゾール類、フォスフィン類、メルカプタン類、ヒドラジン類等)を含有することが好ましい。これらの含有量は限定されないが、(1-1)成分100質量部に対して0.001~5質量部の範囲内にあることが好ましい。
付加硬化型の硬化性オルガノポリシロキサン組成物を調製する方法は限定されず、必要に応じてその他任意の成分を混合することにより調製することができるが、予め(1-1)成分と(1-3)成分とを加熱混合して調製したベースコンパウンドに、残余の成分を添加することが好ましい。なお、その他任意の成分を添加する場合、ベースコンパウンドを調製する際に添加してもよく、また、その他任意の成分が加熱混合により変質する場合には、(1-2)成分や(1-4)成分を添加する際に添加してもよい。また、ベースコンパウンドを調製する際、前記の有機ケイ素化合物を添加して、(1-3)成分の表面をin-situ処理してもよい。
(縮合反応型)
縮合反応型の硬化性シリコーンゴム組成物は、例えば、主に以下の成分から構成できる。
(1-6)オルガノポリシロキサン
オルガノポリシロキサンは、縮合反応型の硬化性シリコーンゴム組成物の主剤成分であり、好ましくは、下記の化学式(1)または化学式(2)により表されるジオルガノポリシロキサンである。化学式は、平均組成式と称しても良い。
Figure 0007429660000001
Figure 0007429660000002
上記の化学式(1),(2)において、Rは一価の炭化水素基である。Rとしては、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2-エチルブチル基、オクチル基等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル基、シクロペンチル基等)、アルケニル基(ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘプテニル基、ヘキセニル基、アリル基等)、アリール基(フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ジフェニル基等)、アラルキル基(ベンジル基、フェニルエチル基等)、および、上記炭化水素基の炭素原子に結合している水素原子の少なくとも一部をハロゲンやシアノ基等で置換したもの(クロロメチル基、トリフルオロプロピル基、2-シアノエチル基、3-シアノプロピル基等)から選択される一または複数の炭化水素基を挙げることができる。Rの炭素数としては、1~12であることが好ましく、1~10であることが一層好ましい。上記の化学式(1),(2)においては、Aは酸素原子または-(CH-(mは1~8)で表されるポリメチレン基(メチレン基を含む)である。Aは、酸素原子またはエチレン基であることが好ましい。
上記の化学式(1),(2)において、nは(1-6)成分の25℃における動粘度を100~1000000cm/sの範囲内とする任意の数である。当該動粘度は、500~500000cm/sの範囲内とすることが一層好ましい。
上記の化学式(1),(2)において、Bは加水分解性基である。Bとしては、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、ケトオキシム基(ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基等)、アシルオキシ基(アセトキシ基等)、アルケニルオキシ基(イソプロペニルオキシ基、イソブテニルオキシ基等)を挙げることができる。なお、上記の化学式(1),(2)におけるxは2または3である。
上記(1-6)成分は、公知の方法(例えば、環状シロキサンまたは線状オリゴマーと酸触媒または塩基触媒とを用いた平衡反応による方法)により製造することができる。
なお、(1-6)成分であるジオルガノポリシロキサンに分岐構造を導入する場合には、常法として、重合中にSiO3/2単位およびSiO4/2単位のうち少なくとも一方を含むシランまたはシロキサンをジオルガノポリシロキサンがゲル化しない程度に添加する方法を用いることができる。(1-6)成分については、汚れを低減するため、洗浄等により低分子シロキサンを除去してから用いることが好ましい。
(1-7)架橋剤
架橋剤としては、加水分解性基を1分子中に2個以上、好ましくは3個以上有するシラン、または、当該シランの部分加水分解縮合物を用いる。加水分解性基の例としては、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等)、ケトオキシム基(ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基等)、アシルオキシ基(アセトキシ基等)、アルケニルオキシ基(イソプロペニルオキシ基、イソブテニルオキシ基等)、アミノ基(N-ブチルアミノ基、N,N-ジエチルアミノ基等)、アミド基(N-メチルアセトアミド基等)を挙げることができる。これらの中では、アルコキシ基、ケトオキシム基、アシルオキシ基、アルケニルオキシ基を用いることが好ましい。架橋剤の配合量は、(1-6)成分100質量部に対して1~50質量部の範囲内にあることが好ましく、2~30質量部の範囲内にあることが一層好ましく、5~20質量部の範囲内にあることがより一層好ましい。
(1-8)硬化触媒
硬化触媒は必須ではないが、硬化触媒を用いることにより、硬化性シリコーンゴム組成物の硬化を促進することができる。硬化触媒の例としては、アルキル錫エステル化合物(ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクトエート等)、チタン酸エステルまたはチタンキレート化合物(テトライソプロポキシチタン、テトラn-ブトキシチタン、テトラキス(2-エチルヘキソキシ)チタン、ジプロポキシビス(アセチルアセトナ)チタン、チタニウムイソプロポキシオクチレングリコール等)、その他の適切な有機金属化合物(ナフテン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、亜鉛-2-エチルオクトエート、鉄-2-エチルヘキソエート、コバルト-2-エチルヘキソエート、マンガン-2-エチルヘキソエート、ナフテン酸コバルト、アルコキシアルミニウム化合物等)、アミノアルキル基置換アルコキシシラン(3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等)、アミン化合物またはその塩(ヘキシルアミン、リン酸ドデシルアミン等)、第4級アンモニウム塩(ベンジルトリエチルアンモニウムアセテート等)、アルカリ金属の低級脂肪酸塩(酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、シュウ酸リチウム等)、のアルカリ金属の低級脂肪酸塩、ジアルキルヒドロキシルアミン(ジメチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン等)、グアニジル基を有するシランまたはシロキサン(テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルメチルジメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン等)を挙げることができる。これらは、1種のみで用いてもよいし、2種以上の混合物として用いてもよい。硬化触媒の配合量は、(1-6)成分100質量部に対して0~20質量部の範囲内にあることが好ましく、0.001~10質量部の範囲内にあることが一層好ましく、0.01~5質量部の範囲内にあることがより一層好ましい。
(1-9)充填剤
充填剤は、必須ではないが、補強等の目的で好適に用いることができる。充填剤の例としては、補強剤(ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、これらのシリカの表面を有機珪素化合物で疎水化処理したシリカ、石英粉末、タルク、ゼオライト、ベントナイト等)、繊維質充填剤(アスベスト、ガラス繊維、有機繊維等)、塩基性充填剤(炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、セライト等)を挙げることができる。これらの中では、シリカ、炭酸カルシウムおよびゼオライトを用いることが好ましく、表面を疎水化処理したヒュームドシリカおよび炭酸カルシウムを用いることが一層好ましい。上記充填剤の配合量は、目的や充填剤の種類により選択することができるが、(1-6)成分に対して1~90体積%の範囲内にあり、5~60体積%の範囲内にあることが好ましい。
(1-10)接着性付与成分
接着性付与成分は必須ではないが好適に用いられる。接着性付与成分の例としては、アミノ基含有オルガノアルコキシシラン(γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等)、エポキシ基含有オルガノアルコキシシラン(γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等)、メルカプト含有オルガノアルコキシシラン(γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等)、アミノ基含有オルガノアルコキシシランとエポキシ基含有オルガノアルコキシシランとの反応混合物を挙げることができる。接着性付与成分の配合量は、(1-6)成分100質量部に対して0.1~5質量部の範囲内にあることが好ましい。
シリコーンゴムの硬化前の配合物は、その可塑度が100~200の範囲に調整されることが好ましい。100以下では自重による変形でシート状態を維持することができず、ボルト・ナットの位置に合わせて配置することが困難となる。また200を超えると吸引してもゴムが曲面や凹凸に追従しにくくなる。なお、この実施形態において、「可塑度」は、25℃におけるウイリアムス可塑度である。ウイリアムス可塑度は、平行版可塑度計(ウイリアムスプラストメーター)を使用し、JIS K 6249「未硬化および硬化シリコーンゴムの試験方法」に規定の測定方法に準じて測定されるものである。未硬化状態のゴムシート80は、その厚さが1~5mmが好ましく、1.5~2.5mmがより好ましい。また、未硬化状態のゴムシート80は、上述のシート状のシリコーンゴムコンパウンドと、例えば、ウレタン硬化シート等の他の材質のシートとが2層以上に積層されたラミネート体であっても良い。
2.ボルト・ナットの防食工法
図3は、第1実施形態に係るボルト・ナットの防食工法の主な工程のフローチャートを示す。図4は、第1実施形態に係るボルト・ナットの防食工法を説明するための図を示す。図5は、第1実施形態に係るボルト・ナットの防食工法の脱気工程後の状態の一例の写真を示す。図6は、第1実施形態に係るボルト・ナットの防食工法の硬化工程後の状態の一例の一部を拡大した写真を示す。なお、図4は、防食工法の各工程を図2と同視の図にて示したものである。
この実施形態に係るボルト・ナットの防食工法は、被締結物50,51の締結に使用されているボルト20およびナット30に対して施工することにより上述の防食構造体1を形成する工法である。この実施形態に係るボルト・ナットの防食工法は、被覆工程(S110)、脱気工程(S120)および硬化工程(S130)を含む。以下、各工程について説明する。
2.1 被覆工程(S110)
被覆工程は、被締結物50,51の締結に使用されるボルト20およびナット30のうち被締結物50,51から突出した部分を未硬化状態のゴムシート80で被覆する工程である(図4のaおよびbを参照)。被覆工程は、好ましくは、被締結物50,51から突出したボルト20の脚部22、ナット30および座金40をゴムシート80で被覆する。より具体的には、被覆工程は、被締結物50,51から突出した4つのボルト20の脚部22の先端に被せるようにゴムシート80を載置する。このとき、被覆工程では、被締結物50,51を包むように、ゴムシート80の外周端部を被締結物50,51のボルト20の頭部21側の面に密着させることが好ましい(図4のbを参照)。ただし、被覆工程において、ゴムシート80が上述の被締結物50,51を包む形態をとらず、ゴムシート80の外周端部が被締結物50,51のボルト20の脚部22側の面に密着していても良い。また、被覆工程において、ゴムシート80と被締結物50,51との間には、後述の脱気工程(S120)において使用する真空ポンプの吸引管90が配置されていることが好ましい。
2.2 脱気工程(S120)
脱気工程は、未硬化状態のゴムシート80と被締結物50,51との間の空気を抜き、ボルト20およびナット30のうち被締結物50,51から突出した部分の曲面に沿うように未硬化状態のゴムシート80を変形させる工程である。より具体的には、被締結物50,51から突出した4つのボルト20の脚部22の先端に被せるようにゴムシート80が載置された状態(図4のbを参照)で、真空ポンプを用いて吸引管90からゴムシート80と被締結物50,51との間の空気を抜く。これにより、未硬化状態のゴムシート80は、被締結物50,51から突出したボルト20の脚部22の先端に密着して被締結物50,51から突出した部分の曲面に沿うように変形する(図4のcおよび図5を参照)。この実施形態では、被覆工程(S110)においてゴムシート80が被締結物50,51を包むように被覆しているため(図4のbを参照)、脱気工程により変形したゴムシート80は、被締結物50,51のボルト20の頭部21側の面にも密着する(図5を参照)。脱気工程は、真空ポンプを用いて吸引管90からゴムシート80と被締結物50,51との間の空気を抜いた後に、吸引管90をゴムシート80と被締結物50,51との間から引き抜き、吸引管90が配置されていた空間の空気を抜くことが好ましい。なお、脱気工程は、ゴムシート80と被締結物50,51との間の空気を抜くことが可能な方法であれば真空ポンプによる脱気に制約されず、例えば、バッテリー式吸引ポンプ、手動ポンプ、コンプレッサー等を用いて脱気しても良い。
2.3 硬化工程(S130)
硬化工程は、脱気工程(S120)により変形させた未硬化状態のゴムシート80を硬化させる工程である。硬化工程は、好ましくは、シリコーンゴムコンパウンドからなるゴムシート80を硬化する工程である(図4のdを参照)。硬化条件は、一般的な外気温度下(10~30℃)に放置することで硬化して完了するが、より促進的に効果時間を短縮させたい場合は、シリコーンゴムの反応型によってその条件は異なる。例えば付加反応型のオルガノポリシロキサン組成物を用いる場合には、ヒーター類を用いて50~100℃に加熱しても良い。さらに可能であれば二次加硫として180~250℃で2~10時間加熱させても良い。また縮合反応型の硬化性オルガノポリシロキサン組成物を用いる場合には、霧吹き、加湿器、加温加湿器などを使用して人工的に湿度を上げても良い。UV硬化型若しくは電子線硬化型の硬化性オルガノポリシロキサン組成物を用いる場合には、上記混合物を入れた成形型80の内部に紫外線あるいは電子線を照射することによって、シリコーンゴムを得ることができる。この結果、被締結物50,51の締結に使用されるボルト20およびナット30のうち被締結物50,51から突出した部分を被覆するようにシリコーンゴムシートからなる防食部材10が形成され、ボルト・ナットの防食工法の施工が完了する。この実施形態において、未硬化状態のゴムシート80は、縮合反応型の硬化性オルガノポリシロキサン組成物からなるゴムシートである。例えば、脱気工程により変形された未硬化状態のゴムシート80(図5を参照)は、室温にて1週間放置することにより硬化して、図6に示す防食部材10を形成する。
このようなボルト・ナットの防食工法では、簡易な方法で、近傍に締結されている複数組のボルト20およびナット30に対して、一度の施工で防食部材10を取り付けることができる。よって、被締結物50,51に締結されている複数のボルト20およびナット30の締結部1つずつに対して防食部材を取り付ける従来の手法に比べて、施工時間の短縮および作業負担の軽減を図ることができる。また、このようなボルト・ナットの防食工法では、防食部材10が被締結物50,51上も被覆するため、ボルト20およびナット30のうち被締結物50,51から突出した部分に加えて、被締結物50,51に対しても防食対策をとることができる。なお、このボルト・ナットの防食工法により形成される防食構造体1は、シリコーンゴムテープ等を用いて防食部材10の端部を被締結物50,51に接着させても良い。これにより、外部から異物(水等)が防食部材10と被締結物50,51との間に入らないように防食部材10の周囲を封止することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るボルト・ナットの防食工法について説明する。先の実施形態と共通する部分については同じ符号を付して重複した説明を省略する。
1.防食構造体の構造
図7は、被締結物の締結に使用されているボルトおよびナットに対して、第2実施形態に係るボルト・ナットの防食工法が施工された防食構造体の平面図を示す。図8は、図7の平面図のB-B線断面図を示す。
防食構造体1aは、被締結物50,51の締結に使用されているボルト20およびナット30に対して、第2実施形態に係るボルト・ナットの防食工法が施工された構造体である。防食構造体1aは、防食構造体1(図1および図2を参照)と類似の構造を有するが、枠体60をさらに備える点において、防食構造体1と異なる。
枠体60は、被締結物50,51に密着可能なゴム状弾性体からなる部材である。ゴム状弾性体としては、被締結物50,51に密着可能な材料であれば特に制約されないが、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ニトリルゴム(NBR)あるいはスチレンブタジエンゴム(SBR)等の熱硬化性エラストマー; ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系、フッ素系等の熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの複合物等を用いるのが好ましい。上記材料の候補の内では、特に、ゴム弾性や耐熱、耐寒性、圧縮永久歪に優れ、酸化防止剤や可塑剤、軟化剤を含まずブリード汚染の心配が殆どないシリコーンゴムが好ましい。また、ゴム状弾性体は、シリカ等のフィラーを含有していても良い。また、ゴム状弾性体は、その内部に孔を有する多孔体(発泡体)でも良い。
枠体60は、少なくともボルト20およびナット30による締結部を囲うように配置される。枠体60は、好ましくは、1つの防食部材10により被覆される複数の締結部を囲い、吸引時に未硬化ゴムシートがバランス良く収縮してなるべく均等な厚みで被覆されるように適宜設計され、配置される。この実施形態において、枠体60は、4組のボルト20およびナット30による4つの締結部を囲うように、被締結物50,51の外周に沿って配置される矩形環状の部材である(図7を参照)。なお、枠体60は、矩形環状の部材に制約されず、少なくともボルト20およびナット30による締結部を囲うように配置可能な形状であれば、例えば、円環状、多角形環状等であっても良い。防食構造体1aは、少なくとも被締結物50,51から突出したボルト20の脚部22の先端と枠体60とに密着するように防食部材10が配置される。
2.ボルト・ナットの防食工法
図9は、第2実施形態に係るボルト・ナットの防食工法の主な工程のフローチャートを示す。図10および図11は、第2実施形態に係るボルト・ナットの防食工法を説明するための図を示す。なお、図10および図11は、防食工法の各工程を図8と同視の図にて示したものである。
この実施形態に係るボルト・ナットの防食工法は、被締結物50,51の締結に使用されているボルト20およびナット30に対して施工することにより上述の防食構造体1aを形成する工法である。この実施形態に係るボルト・ナットの防食工法は、第1実施形態に係るボルト・ナットの防食工法(図3を参照)と類似の工程を含むが、被覆工程(S110)の前に配置工程(S210)を含む点において、第1実施形態に係るボルト・ナットの防食工法と異なる。
配置工程(S210)は、少なくともボルト20およびナット30による締結部を囲うように枠体60を配置する工程である。この実施形態において、配置工程(S210)は、4組のボルト20およびナット30による4つの締結部を囲うように、被締結物50,51の外周に沿って枠体60を配置する(図10のeを参照)。そして、第1実施形態に係るボルト・ナットの防食工法(図3および図4を参照)と同様に、被覆工程(S110)、脱気工程(S120)および硬化工程(S130)を行うことにより、防食構造体1aが形成される(図9、図10および図11を参照)。
この実施形態において、被覆工程(S110)は、被締結物50,51から突出した4つのボルト20の脚部22の先端および枠体60上に被せるようにゴムシート80を載置する(図10のfおよびgを参照)。このとき、被覆工程(S110)では、第1実施形態と同様に、被締結物50,51を包むように、ゴムシート80の外周端部を被締結物50,51のボルト20の頭部21側の面に密着させることが好ましい(図10のgを参照)。ただし、被覆工程(S110)において、ゴムシート80が上述の被締結物50,51を包む形態をとらず、ゴムシート80の外周端部が枠体60上に密着していても良い。また、この実施形態において、脱気工程(S120)は、被締結物50,51から突出した4つのボルト20の脚部22の先端および枠体60に被せるようにゴムシート80が載置された状態(図10のgを参照)で、真空ポンプを用いて吸引管90からゴムシート80と被締結物50,51との間の空気を抜く。これにより、未硬化状態のゴムシート80は、被締結物50,51から突出したボルト20の脚部22の先端と枠体60とに密着して被締結物50,51から突出した部分の曲面に沿うように変形する(図11のhを参照)。そして、硬化工程(S130)において、脱気工程(S120)により変形させた未硬化状態のゴムシート80が硬化される(図11のiを参照)。この結果、被締結物50,51の締結に使用されるボルト20およびナット30のうち被締結物50,51から突出した部分と枠体60とを被覆するようにシリコーンゴムシートからなる防食部材10が形成され、第2実施形態に係るボルト・ナットの防食工法の施工が完了する。
第2実施形態に係るボルト・ナットの防食工法においても、第1実施形態に係るボルト・ナットの防食工法と同様の効果を奏する。一般に、種々の建造物、建設機械および加工機械等の被締結物50,51のうち防食工法が施工される面は、風雨に曝されやすいため、埃や水分等の汚れが付着しやすい。この場合、当該汚れにより被締結物50,51と防食部材10との接着強度が低下する虞がある。第2実施形態に係るボルト・ナットの防食工法では、被締結物50,51上に枠体60を配置し、防食部材10がボルト20の脚部22の先端と枠体60とに密着して被締結物50,51上を被覆する。このため、被締結物50,51上に汚れが付着している場合であっても、防食部材10が枠体60とより確実に接着することができるため、防食部材10が外れる虞を抑制し、より効果的に防食対策をとることができる。
次に、第1実施形態に係るボルト・ナットの防食工法の具体例について説明する。なお、以下の具体例では、第1実施形態に係るボルト・ナットの防食工法について説明するが、第2実施形態に係るボルト・ナットの防食工法についてもほぼ同様である。
図12は、被締結物の締結に使用されているボルトおよびナットに対して、第1実施形態に係るボルト・ナットの防食工法が施工された防食構造体の一例の写真を示す。
図12に示す防食構造体1は、被締結物50,51の締結に使用されているボルト20およびナット30に対して、第1実施形態に係るボルト・ナットの防食工法が施工されてから3か月間大気暴露された状態の構造体である。図12に示す防食構造体1は、3か月間大気暴露された状態であっても錆が発生していない。よって、第1実施形態に係るボルト・ナットの防食工法は、被締結物50,51の締結に使用されているボルト20およびナット30に対する防食対策として有効な方法である。
3.その他の実施形態
上述のように、本発明の好適な各実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されることなく、種々変形して実施可能である。
第2実施形態において、枠体60は、1つの防食部材10により被覆される複数組のボルト20およびナット30により締結される複数の締結部の外周を囲う環状の一部材で構成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、枠体60は、当該外周を囲うように複数のゴム状弾性体が一定間隔を空けて環状に並んで構成されていても良い。
本発明は、例えば、橋梁、鉄塔、ビル、工場、住宅等の種々の建造物、建設機械、および加工機械等に使用されるボルトおよびナットに利用可能である。
20・・・ボルト、22・・・脚部、30・・・ナット、50,51・・・被締結物、60・・・枠体、80・・・未硬化状態のゴムシート。

Claims (5)

  1. 被締結物に密着可能なゴム状弾性体からなる枠体を、少なくとも前記被締結物の締結に使用される金属製のボルトおよび金属製のナットによる締結部を囲うように配置する配置工程と、
    前記ボルトおよび前記ナットのうち前記被締結物から突出した部分を未硬化状態のゴムシートで被覆する被覆工程と、
    前記ゴムシートと前記被締結物との間の空気を抜き、前記被締結物から突出した部分の曲面に沿うように前記ゴムシートを変形させる脱気工程と、
    前記ゴムシートを硬化させる硬化工程と、
    を含み、
    前記脱気工程は、少なくとも前記被締結物から突出した前記ボルトの脚部先端と前記枠体とに密着するように前記ゴムシートを変形させることを特徴とするボルト・ナットの防食工法。
  2. 前記脱気工程は、少なくとも前記被締結物から突出した前記ボルトの脚部先端に密着して前記被締結物から突出した部分の曲面に沿うように前記ゴムシートを変形させることを特徴とする請求項1に記載のボルト・ナットの防食工法。
  3. 前記ゴムシートは、その可塑度を100~200の範囲とすることを特徴とする請求項1または2に記載のボルト・ナットの防食工法。
  4. 前記ゴムシートは、シリコーンゴムシートであることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のボルト・ナットの防食工法。
  5. 前記ゴムシートは、縮合反応型のシリコーンゴムシートであることを特徴とする請求項に記載のボルト・ナットの防食工法。
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