JP7434824B2 - 抗イムノコンプレックス抗体を用いた測定方法 - Google Patents
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(1)プレート等に抗イムノコンプレックス抗体を固定化する。
(2)標的ハプテンを含む試料と、酵素で標識した抗ハプテンン抗体を混合した後、(1)に添加する。
(3)過剰量の標識抗ハプテン抗体を洗浄し分離する。
(4)標識酵素に対する基質を添加し、酵素と基質の反応に由来するシグナルを検出する。
抗イムノコンプレックス抗体は、ハプテンと抗ハプテン抗体からなる免疫複合体に選択的に結合するため、試料中に含まれるハプテン量の増加に伴って、シグナルの増加が観測される。
(1)・抗ハプテンウサギモノクローナル抗体、及び
・抗イムノコンプレックス抗体、
(但し、一方は水不溶担体に固定化されており、他方は標識されている)
を用いた免疫測定方法であって、以下の(i)~(iii)の工程を含む方法:
(i)抗ハプテンウサギモノクローナル抗体と測定対象溶液中のハプテンとを、吸収抗体の共存下、反応させる工程、
(ii)抗イムノコンプレックス抗体を、ハプテン-抗ハプテンウサギモノクローナル抗体の免疫複合体と反応させる工程、
(iii)標識に由来するシグナルを検出する工程。
(2)抗イムノコンプレックス抗体がマウスモノクローナル抗体である、(1)に記載の方法。
(3)標識がアルカリホスファターゼである、(1)又は(2)に記載の方法。
(4)ハプテンがエストラジオールである、(1)~(3)のいずれかに記載の方法。
本発明におけるハプテンは、通常は競合法により測定されるような分子量の小さい物質であれば特に限定はなく、一例として、トリヨードサイロニン、チロキシン、3,5-ジヨード-L-チロニン等の甲状腺ホルモンや、エストロン、エストラジオール、エストリオール、プロゲステロン、コルチゾール等のステロイドホルモンがあげられる。特に本発明ではステロイドホルモンが好ましく、その中でもE2が更に好ましい。また甲状腺ホルモンの中ではチロキシンが好ましい。
測定対象溶液としては、測定対象のハプテンを含有するものであれば特に限定されるものではない。例えば人の血液(全血、血漿、血清等)、尿などの体液が好ましい。
本発明では、抗ハプテン抗体としてウサギモノクローナル抗体を用いる。その理由は、ウサギモノクローナル抗体は、マウスモノクローナル抗体と比較して、ハプテンに対して高い親和性を有するものが得られるからである。
抗イムノコンプレックス抗体は、ハプテンに対する抗体ではなく、ハプテンに対する抗体への抗体でもなく、ハプテンとそれに対する抗体との複合体に対する抗体である。本発明においては、抗イムノコンプレックス抗体はウサギモノクローナル抗体とハプテンの複合体に対する特異的な抗体を取得する観点から、ウサギ以外の動物種から得ることが好ましい。動物種としてはマウス、ラット、ヤギ、ヒツジなどを例示できる。本発明においては特にマウスから抗イムノコンプレックスモノクローナル抗体を取得することが好ましい。
本発明において水不溶性担体は特に限定されるものではないが、例えば、樹脂、ガラス、ポリスチレン、などの微粒子、粒子、ビーズ、プレート等が用いられる。水不溶性担体は、抗ハプテンウサギモノクローナル抗体及び抗イムノコンプレックス抗体のいずれか一方が固定化される。固定化の方法には特に限定はなく、また直接固定化してもよく又は間接的に(例えばアビジン-ビオチン結合等を介して)固定化してもよい。
本発明において標識は特に限定されるものではないが、例えば酵素、放射性同位元素、色素等が用いられる。酵素としては、好ましくはアルカリホスファターゼ等が使用できる。標識は、抗ハプテンウサギモノクローナル抗体及び抗イムノコンプレックス抗体の他方(水不溶性担体に固定化されない方)に結合される。標識の方法には特に限定はなく、また直接標識してもよく又は間接的に(例えばアビジン-ビオチン結合等を介して)標識してもよい。
交叉反応は、測定対象物質の類似物質(交叉反応性物質)が測定対象物質に対する抗体と反応することである。免疫測定試薬において交叉反応性の大きな測定系を使用した場合、交叉反応により測定結果が偽高値となる。通常競合法を用いて測定するハプテンを、抗イムノコンプレックス抗体を用いてサンドイッチ型のアッセイを行った場合、サンドイッチ型アッセイの方が、交叉反応性が大きくなる場合があることを、本発明者らは見出した。そしてこの点について本発明者らが検討した結果、サンドイッチ型アッセイを行う場合、競合法に比べて多くの抗ハプテン抗体を用いることが一因と考えられた。また、抗ハプテン抗体とハプテンとの免疫複合体、抗ハプテン抗体と交叉反応性物質との複合体の表面構造が同一であり、抗イムノコンプレックス抗体がどちらも認識してしまうことも原因として考えられた。
吸収抗体は、測定対象のハプテンにはほとんど反応せず、交叉反応性物質に特異的に反応する抗体である。測定対象ハプテンへの反応性は全くないことが好ましいが、測定感度に影響のでない範囲の弱い反応性を有していても問題ない。具体的には、吸収抗体の測定対象ハプテンへの反応性は、交叉反応性物質への反応性の約1/100以下であることが好ましい。
上述の工程(i)~(iii)は、この順に行われることが好ましいが、工程(i)(ii)を同時に行ってもよい。また工程(i)と(ii)の間や、工程(ii)と(iii)の間に他の工程が存在してもよい。例えば間に分離/洗浄工程を有することにより、測定感度を高めることができる。
本発明の方法では、自動分析系、例えば生物試料分析 Vol.39,No4(2016)に示されるような、全自動免疫測定装置を用いることが好ましい。例えば図1に示すような2つのセルを有する試薬カップを用いて以下のような自動分析を行うことが好ましい。
(10-2)試薬カップ、測定対象液を自動免疫測定装置にセットする。
(10-3)自動免疫測定装置において、ハプテンを含む測定対象溶液を試薬カップの水不溶性担体側に分注し、反応させる。この際、吸収抗体を共存させる。
(10-4)反応終了後、抗ハプテン抗体を固定化した水不溶性担体に未吸着の成分を洗い流す。
(10-5)試薬カップの酵素標識抗イムノコンプレックス抗体を、水不溶性担体側へ移す。
(10-6)反応終了後、抗ハプテン抗体を固定化した水不溶性担体に未吸着の成分を洗い流す。
(10-7)酵素の基質を添加して、酵素反応に由来する生成物の発光強度などを測定する。
以下、本発明の実施例をエストラジオール(E2)に対するウサギモノクローナル抗体と、それらの免疫複合体に対する抗イムノコンプレックスマウスモノクローナル抗体に関して詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
抗E2ウサギモノクローナル抗体は特開2009-240300号公報に記載の方法で取得した。
E2と抗E2ウサギモノクローナル抗体の免疫複合体に対する抗体(抗イムノコンプレックスマウスモノクローナル抗体)は特許第6031944号公報に記載の方法で取得した。
吸収抗体、即ちE2の類似物質であるEE2に対する抗体は以下に示す方法で取得した。
免疫動物としては、マウス5週齢メス6匹を使用した。抗原は1,3,5(10)-ESTRATRIEN-17α-ETHYNYL-3,17-beta-DIOL-6-ONE-6-CARBOXYMETHYLOXIME:BSA(STERALOIDS社製)を用い、抗原溶液とアジュバンドとを等量混合したエマルジョンを作製し、それをマウスに対して1週間間隔で4回免疫した。マウス1匹あたりの免疫量は抗原量として50μgを免疫した。またアジュバントは、初回の免疫ではフロイント完全アジュバントを、二回目以降の免疫ではフロイント不完全アジュバントをそれぞれ用いた。
以下に示すELISAで抗体価の上昇を確認した。
(3-2-1)
KLHに化学的に結合したEE2(KLH-EE2)を1μg/mLでELISAプレートに固定化後、1%のスキムミルク溶液でブロッキングした。
(3-2-2)
取得したマウスの抗血清を1000倍希釈の状態から希釈系列(2倍希釈)を作製し、ELISAプレートに固相化したKLH-EE2と反応させた。
(3-2-3)
B/F(Bound/Free)分離後、アルカリホスファターゼ(以下、ALPとする)標識抗体であるαMouseIgG-ALP(Merck社製)をプレートに添加して、プレート上のマウス抗体と反応させた。
(3-2-4)
未反応のALP標識抗体をB/F分離後、ALPの基質である4-メチルウンベリフェリルリン酸(4-MUP)をプレートに分注し、蛍光強度を測定することで検出し、抗体価の上昇したマウスを選別した。
(3-2)で選択したマウスから、以下に示す方法で抗体産生細胞を作製した。
(3-3-1)抗体価の上昇したマウスの脾臓を摘出し、定法に従い脾臓細胞を調製した。調製した脾臓細胞を電気融合法によりマウスミエローマ細胞(SP2/0)と融合させ、ハイブリドーマを作製した。
(3-3-2)融合後のハイブリドーマ浮遊液を10%FCS(Fetal calf serum)と1×HAT(siguma製)を含むE-RDF培地(極東製薬製)に懸濁後、マイクロタイタープレートにまいて8日間培養し、培養上清を取得した。
吸収抗体はEE2と強く反応し、E2との反応性は低いことが好ましい。そこで本発明における吸収抗体のスクリーニングでは、E2の存在下でもEE2と選択的に反応する抗体を選別すればよい。具体的には、以下に示すELISAでスクリーニングを行った。
(3-4-1)
KLH-EE2を1μg/mLでELISAプレートに固定化後、1%のスキムミルク溶液でブロッキングした。
(3-4-2)
培養上清をE2の存在下、又は非存在下でそれぞれELISAプレートに固相化したKLH-EE2と反応させた。
(3-4-3)
B/F分離後、ALP標識抗体であるαMouseIgG-ALP(Merck社製)をプレートに添加して、プレート上のマウス抗体と反応させた。
(3-4-4)
未反応のALP標識抗体をB/F分離後、ALPの基質である4-メチルウンベリフェリルリン酸(4-MUP)をプレートに分注し、蛍光強度を測定することで検出し、E2の存在下でEE2と反応する抗体を生産するハイブリドーマを選別した。
(3-4)で選別した吸収抗体生産ハイブリドーマを、10%FCSを含むE-RDF培地(極東製薬製)で培養し、培養上清を得た。培養上清に存在する抗体を硫安沈殿により濃縮し、Tskgel Ether-5pwカラムを用いて精製し、吸収抗体を得た。
自動分析は全自動化学発光酵素免疫測定装置(AIA-CL2400、東ソー(株)製)を用いて以下の方法で行った。
2つのセルを有するカップを用いて、自動分析に用いる試薬カップを作製した。(以下、中身に即して、カップの一方のセルを微粒子側のセル、他方のセルをコンジュゲート側のセルと呼ぶ。)
抗E2ウサギモノクローナル抗体を固定化した微粒子を含む溶液に、吸収抗体を10μg/mLになるよう添加し、微粒子側のセルに分注した。コンジュゲート側のセルには、アルカリホスファターゼ標識した抗イムノコンプレックス抗体と、特許文献1を参考に、β-エストラジオール-6-オン6-(O-カルボキシメチルオキシム)を含む溶液を分注した。溶液を凍結乾燥し、アルミシールをし、E2測定用試薬カップとした。
全自動化学発光酵素免疫測定装置(AIA-CL2400、東ソー(株)製)に(4-1)で作製したE2測定用試薬カップをセットし、E2濃度既知のサンプル6種(cal1~cal6)の測定を行い、検量線を作成した。測定結果を図2に示す。E2の濃度に応じて発光強度が大きくなることが確認され、吸収抗体存在条件下で、抗イムノコンプレックス抗体を用いたE2の自動分析系を構築できたことを確認した。
EE2を10ng/mLに調整した溶液を用いて、(4-1)で作製したE2測定用試薬カップ及び、AIA-CL2400を用いて発光強度を測定した。また、(4-2)で作成した検量線から交叉反応率を計算した。結果を表1に示す。
以下、実施例1で作製したE2測定用試薬カップ中に吸収抗体を含まない場合を比較例として説明する。
実施例1(4-1)と同様にして、但し吸収抗体を添加せずに、比較用カップを製造した。
AIA-CL2400に(1)で作製した比較用カップをセットし、E2濃度既知のサンプル6種(cal1~cal6)の測定を行い、検量線を作成した。測定結果を図3に示す。図2(実施例1)と比較して、吸収抗体の有無で検量線の形に大きな変化はないことが確認された。
(1)で作製した比較用カップとEE2を10ng/mLに調整した溶液を用いて、AIA-CL2400で測定した。(2)で作成した検量線から交叉反応率を計算した。
実施例1及び比較例1で測定した交叉反応率を表1に示す。
Claims (3)
- ・抗ハプテンウサギモノクローナル抗体、及び
・抗イムノコンプレックス抗体、
但し、一方は水不溶担体に固定化されており、他方は標識されている
を用いた免疫測定方法であって、以下の(i)~(iii)の工程を含み:
(i)抗ハプテンウサギモノクローナル抗体と測定対象溶液中のハプテンとを、吸収抗体の共存下、反応させる工程、
(ii)抗イムノコンプレックス抗体を、ハプテン-抗ハプテンウサギモノクローナル抗体の免疫複合体と反応させる工程、
(iii)標識に由来するシグナルを検出する工程
かつ、ハプテンがエストラジオールであり、吸収抗体がエチニルエストラジオールに対する抗体である方法。 - 抗イムノコンプレックス抗体がマウスモノクローナル抗体である、請求項1に記載の方法。
- 標識がアルカリホスファターゼである、請求項1又は2に記載の方法。
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