JP7436726B2 - 痒みの予防又は改善剤 - Google Patents
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Description
TLQP-21は細胞膜上に存在するGPCR型受容体である補体因子C3a受容体に結合し、シグナルを惹起することが知られている(Cero C et al Structure. 2014 Dec 2;22(12):1744-1753)。ADモデルマウス及びAEWモデルマウスの作製過程において、並行してC3a受容体に拮抗する化合物をマウスに継続的に投与すると掻破行動が有意に減少することを確認し、これによりC3a受容体が難治性痒み抑制の標的になることを見出した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
1)C3a受容体拮抗剤を有効成分とする難治性痒みの予防又は改善剤。
2)C3a受容体拮抗剤を有効成分とする難治性痒みを呈する掻痒性皮膚疾患の予防又は改善剤。
3)下記の工程を含む、難治性痒みの予防又は改善剤の評価又は選択方法。
(1)被験物質のC3a受容体に対する拮抗作用を評価する工程、
(2)C3a受容体に対する拮抗作用を有する被験物質を難治性痒みの予防又は改善剤として評価又は選択する工程
4)下記の工程を含む、難治性痒みを呈する掻痒性皮膚疾患の予防又は改善剤の評価又は選択方法。
(1)被験物質のC3a受容体に対する拮抗作用を評価する工程、
(2)C3a受容体に対する拮抗作用を有する被験物質を難治性痒みを呈する掻痒性皮膚疾患の予防又は改善剤として評価又は選択する工程
本明細書において、「C3a受容体拮抗剤」は、競合的拮抗作用を有するものであってもよく、非競合的拮抗作用を有するものであってもよい。C3a受容体拮抗剤としては、低分子化合物、オリゴヌクレオチドやペプチドなどで構成されるアプタマー、中和抗体などの生物学的製剤などが含まれる。また、本明細書においては、C3a受容体の発現抑制剤であってもよい。
一方、一般式(2)で示される化合物の好ましい具体例としては、R1、R2、R3、R4が全て水素原子である、下記の構造式で示される化合物1(L-アルギニン, N2-[[5-(ジフェニルメチル)-2-チエニル]カルボニル])、又は、R1が水素原子、R2がメチル基、R3が塩素原子、R4が水素原子である、下記の構造式で示される化合物2(L-アルギニン, N2-[[5-[ビス(4-クロロフェニル)メチル]-3-メチル-2-チエニル]カルボニル])(Rowley, J. A. et al. Journal of Medicinal Chemistry, 2020;63(2):529-541)が挙げられる。
これらは既知化合物であり、既報(例えば、Rowley, J. A. et al. Journal of Medicinal Chemistry, 2020;63(2):529-541)に基づき化学合成することにより取得することができる。また、商業的に入手したものを用いてもよい。
前述したとおり、TLQP-21はC3a受容体に結合し、シグナルを惹起することが知られている。そして、C3aの受容体に拮抗することが公知の化合物で、C3a受容体拮抗作用が確認された(図6)化合物1又は化合物2を、ADモデルマウス及びAEWモデルマウスの作製過程においてマウスに継続的に投与したところ、化合物1又は化合物2を投与したモデルマウスでは掻破行動の有意な減少が認められた(図7及び図8)。この掻破行動の減少は、痒みの鎮静を表わす。このことから、C3a受容体は難治性痒み抑制の標的となることが明らかになった。従って、C3a受容体拮抗剤は、難治性痒みを抑制する作用を有し、C3a受容体拮抗剤は、難治性痒みの予防又は改善剤、難治性痒みを呈する掻痒性皮膚疾患の予防又は改善剤(以下、「難治性痒みの予防又は改善剤など」とも称す)となり得、またこれらを製造するために使用することができる。また、C3a受容体拮抗剤は、ヒトを含む動物に適用して、難治性痒みの予防又は改善のために、難治性痒みを呈する掻痒性皮膚疾患を予防又は改善するために使用することができる。さらに、C3a受容体拮抗作用を指標として難治性痒みの予防又は改善剤、難治性痒みを呈する掻痒性皮膚疾患の予防又は改善剤の探索が可能である。
同様に、C3a受容体は肥満細胞が関与しない痒み抑制の標的となることが明らかになった。従って、C3a受容体拮抗剤は、肥満細胞が関与しない痒みを抑制する作用を有し、C3a受容体拮抗剤は、肥満細胞が関与しない痒みの予防又は改善剤、肥満細胞が関与しない痒みを呈する掻痒性皮膚疾患の予防又は改善剤(以下、「肥満細胞が関与しない痒みの予防又は改善剤など」とも称す)となり得、またこれらを製造するために使用することができる。また、C3a受容体拮抗剤は、ヒトを含む動物に適用して、肥満細胞が関与しない痒みの予防又は改善のために、肥満細胞が関与しない痒みを呈する掻痒性皮膚疾患を予防又は改善するために使用することができる。さらに、C3a受容体拮抗作用を指標として肥満細胞が関与しない痒みの予防又は改善剤、肥満細胞が関与しない痒みを呈する掻痒性皮膚疾患の予防又は改善剤の探索が可能である。
ここで「使用」は、ヒト又は非ヒト動物における使用であり得、また治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。「非治療的」とは、医療行為を含まない概念、すなわち人間を手術、治療又は診断する方法を含まない概念、より具体的には医師又は医師の指示を受けた者が人間に対して手術、治療又は診断を実施する方法を含まない概念である。
痒みの部位は、例えば、全身、頭皮、顔、背中、腕、手の甲、指、脚などの広い範囲又は特定の部位が挙げられる。
本発明においては、難治性痒みの予防又は改善に適する。
「難治性痒み」とは、抗ヒスタミン薬(H1受容体拮抗薬)で寛解困難、あるいは痒みが解決されない痒みを意味する。難治性痒みとしては、例えば、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、皮脂欠乏性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、貨幣状湿疹、皮膚そう痒症、乾皮症、乾癬、結節性痒疹、慢性痒疹などの皮膚疾患に伴う痒み、類天疱瘡や皮膚筋炎などの自己免疫疾患に伴う痒み、あるいは腎不全、肝疾患、糖尿病、その他内科、内分泌疾患に伴う痒み、悪性リンパ腫や新生物に伴う痒み、神経障害に伴う痒みなどが挙げられる。
また、「改善」とは、症状又は状態の好転、症状又は状態の悪化の防止又は遅延、あるいは症状の進行の逆転、防止又は遅延をいう。
C3a受容体拮抗剤を含む医薬品の投与形態は任意であり、経口投与又は非経口投与が挙げられる。経口投与の剤形としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤などが挙げられる。非経口投与のための剤形としては、皮膚外用、経皮、経粘膜、経鼻、経腸、注射、坐剤、吸入、貼付などの各製剤が挙げられる。非経口投与の場合、好適な製剤形態は皮膚外用剤であり、具体的には、軟膏、乳化液、クリーム、乳液、ローション、ジェル、エアゾールなどの形態が挙げられる。
C3a受容体拮抗剤を含む化粧品の好ましい例としては、顔、ボディ用の化粧料(例えば、ローション、ゲル、クリーム、パックなど)、メークアップ用化粧料、顔又はボディ用の洗浄料などが挙げられる。
当該薬学的に又は化粧料に許容される担体としては、例えば、各種油剤、界面活性剤、ゲル化剤、緩衝剤、防腐剤、酸化防止剤、溶剤、分散剤、キレート剤、増粘剤、紫外線吸収剤、乳化安定剤、pH調整剤、色素、香料などが挙げられる。
当該他の有効成分、薬効成分、化粧成分としては、例えば、植物抽出物、殺菌剤、保湿剤、抗炎症剤、抗菌剤、角質溶解剤、清涼剤、抗脂漏剤、洗浄剤、メークアップ成分などが挙げられる。
また、本発明の難治性痒みの予防又は改善剤など、及び肥満細胞が関与しない痒みの予防又は改善剤などを投与又は使用する部位としては、痒みを感じる部位であれば特に限定されない。
また、難治性痒みを呈する掻痒性皮膚疾患の予防又は改善剤の評価又は選択方法は、(1)被験物質のC3a受容体に対する拮抗作用を評価する工程と、(2)C3a受容体に対する拮抗作用を有する被験物質を難治性痒みを呈する掻痒性皮膚疾患の予防又は改善剤として評価又は選択する工程、を含むものである。
また、肥満細胞が関与しない痒みの予防又は改善剤の評価又は選択方法は、(1)被験物質のC3a受容体に対する拮抗作用を評価する工程と、(2)C3a受容体に対する拮抗作用を有する被験物質を肥満細胞が関与しない痒みの予防又は改善剤として評価又は選択する工程、を含むものである。
さらに、肥満細胞が関与しない痒みを呈する掻痒性皮膚疾患の予防又は改善剤の評価又は選択方法は、(1)被験物質のC3a受容体に対する拮抗作用を評価する工程と、(2)C3a受容体に対する拮抗作用を有する被験物質を肥満細胞が関与しない痒みを呈する掻痒性皮膚疾患の予防又は改善剤として評価又は選択する工程、を含むものである。
被験物質のC3a受容体に対する拮抗作用を評価する方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
C3a受容体を有する細胞としては、肥満細胞等の白血球細胞、表皮細胞等の上皮細胞などが挙げられる。細胞は、天然の細胞、遺伝的に操作された組換え細胞又はそれらの培養物であってもよい。
C3a受容体を有する細胞への被験物質の接触は、培養培地又は緩衝液中で行われるが、公知のものを使用すればよい。
C3a受容体作動薬としては、公知のものを使用すれば良く、例えば、TLQP-21、C3a、α-シクロヘキシル-N-[1-[1-オキソ-3-(3-ピリジニル)プロピル]-4-ピペリジニル]-ベンゼンアセトアミドが挙げられる。
C3a受容体作動薬がC3a受容体に結合することによって発現する活性の測定は、当該分野で知られている任意の方法を用いることができ、例えば、カルシウムイメージング法、cAMP assay、TGFα Shedding assayなどが挙げられ、該活性を抑制する被験物質をC3a受容体に対する拮抗作用を有すると評価することができる。
例えば、より高濃度の被験物質添加群とより低濃度の被験物質添加群との間;被験物質添加群とプラセボ添加群との間;又は被験物質添加前後で、C3a受容体の活性化に伴うイオン流入や細胞内シグナル伝達などを指標にC3a受容体に対する拮抗作用を比較する。
被験物質のC3a受容体に対する拮抗作用は、そのIC50値(C3a受容体活性を50%阻害する被験物質濃度)により表すことができ、当該技術分野で認められているように、IC50値が低いほど阻害活性が高いことを示す。被験物質におけるIC50値は、1.0μM以下が好ましく、0.1μM以下がより好ましく、0.01μM未満がよりさらに好ましい。
C3a受容体に対する拮抗作用が認められる場合、当該被験物質を、難治性痒みや難治性痒みを呈する掻痒性皮膚疾患の予防又は改善剤として、肥満細胞が関与しない痒みや肥満細胞が関与しない痒みを呈する掻痒性皮膚疾患の予防又は改善剤として、評価又は選択することができる。
ヒトにおいては主観的な評価方法(visual analogue scale (VAS), numerical rating scale (NRS), verbal rating scale (VRS), 5D itch scale (5D)、白取のかゆみの重症度基準など)や客観的な評価方法(ビデオや音声記録、センサーによる解析、腕時計型デバイス等の各種ウェアラブルデバイスによる解析など)が難治性痒みの予防・改善効果又は難治性痒みを呈する掻痒性皮膚疾患に対する予防・改善効果、或いは肥満細胞が関与しない痒みの予防・改善効果又は肥満細胞が関与しない痒みを呈する掻痒性皮膚疾患に対する予防・改善効果の評価に有用である。
非ヒト動物としては、例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、ネコ、イヌ、サルなどが挙げられる。非ヒト動物への被験物質の投与形態は経口投与又は非経口投与のいずれでもよいが、好ましくは皮内投与、皮下投与、塗布、腹腔内投与、静脈内投与である。
非ヒト動物の掻破行動の観察は、目視による方法、ビデオ撮影などの動画解析や、MicroAct、SCLABA-Realなどの測定機器を用いた方法により行うことができる。
または、難治性痒みを有する又は難治性痒みを呈する掻痒性皮膚疾患を有するヒトや、肥満細胞が関与しない痒みを有する又は肥満細胞が関与しない痒みを呈する掻痒性皮膚疾患を有するヒトを被験者とし、被験物質を投与することによって、難治性痒み、難治性痒みを呈する掻痒性皮膚疾患に対する予防・改善効果、或いは肥満細胞が関与しない痒み、肥満細胞が関与しない痒みを呈する掻痒性皮膚疾患に対する予防・改善効果を評価することもできる。
<7>製剤の有効成分として配合されたものである<1>~<6>のいずれかに記載の剤。
<8>製剤中のC3a受容体拮抗剤の含有量が、製剤の総量を基準として、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上であり、また、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下であり、また、好ましくは0.001~0.1質量%、より好ましくは0.005~0.05質量%である<1>~<7>のいずれかに記載の剤。
<9>製剤が医薬品製剤である<7>又は<8>に記載の剤。
<10>C3a受容体拮抗剤の投与量又は使用量が、非経口の場合、成人(60kg)1人当たり1回に、好ましくは0.1mg以上、より好ましくは1mg以上であり、また、好ましくは1000mg以下、より好ましくは100mg以下であり、また、好ましくは0.1mg~1000mg、より好ましくは1mg~100mgである<1>~<9>のいずれかに記載の剤。
<12>難治性痒みの予防又は改善に使用するためのC3a受容体拮抗剤。
<13>難治性痒みを予防又は改善するためのC3a受容体拮抗剤の非治療的使用。
<14>肥満細胞が関与しない痒みの予防又は改善剤を製造するためのC3a受容体拮抗剤の使用。
<15>肥満細胞が関与しない痒みの予防又は改善に使用するためのC3a受容体拮抗剤。
<16>肥満細胞が関与しない痒みを予防又は改善するためのC3a受容体拮抗剤の非治療的使用。
<18>難治性痒みを呈する掻痒性皮膚疾患の予防又は改善に使用するためのC3a受容体拮抗剤。
<19>難治性痒みを呈する掻痒性皮膚疾患を予防又は改善するためのC3a受容体拮抗剤の非治療的使用。
<20>難治性痒みを呈する掻痒性皮膚疾患が、好ましくはアトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、皮脂欠乏性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、貨幣状湿疹、皮膚そう痒症、乾皮症、乾癬、結節性痒疹、慢性痒疹、類天疱瘡又は皮膚筋炎であり、より好ましくはアトピー性皮膚炎又は乾皮症である<17>~<19>記載のC3a受容体拮抗剤又は使用。
<21>肥満細胞が関与しない痒みを呈する掻痒性皮膚疾患の予防又は改善剤を製造するためのC3a受容体拮抗剤の使用。
<22>肥満細胞が関与しない痒みを呈する掻痒性皮膚疾患の予防又は改善に使用するためのC3a受容体拮抗剤。
<23>肥満細胞が関与しない痒みを呈する掻痒性皮膚疾患を予防又は改善するためのC3a受容体拮抗剤の非治療的使用。
<26>C3a受容体拮抗剤を対象に投与又は適用する、難治性痒みを呈する掻痒性皮膚疾患の予防又は改善方法。
<27>難治性痒みを呈する掻痒性皮膚疾患が、好ましくはアトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、皮脂欠乏性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、貨幣状湿疹、皮膚そう痒症、乾皮症、乾癬、結節性痒疹、慢性痒疹、類天疱瘡又は皮膚筋炎であり、より好ましくはアトピー性皮膚炎又は乾皮症である<26>記載の方法。
<28>C3a受容体拮抗剤を対象に投与又は適用する、肥満細胞が関与しない痒みの予防又は改善方法。
<29>C3a受容体拮抗剤を対象に投与又は適用する、肥満細胞が関与しない痒みを呈する掻痒性皮膚疾患の予防又は改善方法。
<31>C3a受容体拮抗剤の投与量又は適用量が、非経口の場合、成人(60kg)1人当たり1回に、好ましくは0.1mg以上、より好ましくは1mg以上であり、また、好ましくは1000mg以下、より好ましくは100mg以下であり、また、好ましくは0.1mg~1000mg、より好ましくは1mg~100mgである<25>~<30>のいずれかに記載の方法。
(1)被験物質のC3a受容体に対する拮抗作用を評価する工程、
(2)C3a受容体に対する拮抗作用を有する被験物質を難治性痒みの予防又は改善剤として評価又は選択する工程
(1)被験物質のC3a受容体に対する拮抗作用を評価する工程、
(2)C3a受容体に対する拮抗作用を有する被験物質を難治性痒みを呈する掻痒性皮膚疾患の予防又は改善剤として評価又は選択する工程
<35>C3a受容体を有する細胞が、好ましくは白血球細胞又は上皮細胞であり、より好ましくは肥満細胞又は表皮細胞である<34>記載の方法。
<36>C3a受容体作動薬が、好ましくはTLQP-21、C3a又はα-シクロヘキシル-N-[1-[1-オキソ-3-(3-ピリジニル)プロピル]-4-ピペリジニル]-ベンゼンアセトアミドである<34>又は<35>記載の方法。
<37>C3a受容体作動薬がC3a受容体に結合することによって発現する活性の測定が、好ましくはカルシウムイメージング法、cAMP assay又はTGFα Shedding assayによって行われる<34>~<36>のいずれかに記載の方法。
<38>前記(2)の工程の後、さらに、C3a受容体作動薬と被験物質を投与した非ヒト動物の掻破行動を測定することによって難治性痒みの予防又は改善効果、あるいは難治性痒みを呈する掻痒性皮膚疾患に対する予防又は改善効果を評価する工程を含む、<32>~<37>のいずれかに記載の方法。
<39>前記(2)の工程の後、さらに、難治性痒み又は難治性痒みを呈する掻痒性皮膚疾患を有するヒト被験者に被験物質を投与することによって難治性痒みの予防又は改善効果、あるいは難治性痒みを呈する掻痒性皮膚疾患に対する予防又は改善効果を評価する工程を含む、<32>~<38>のいずれかに記載の方法。
(1)被験物質のC3a受容体に対する拮抗作用を評価する工程、
(2)C3a受容体に対する拮抗作用を有する被験物質を肥満細胞が関与しない痒みの予防又は改善剤として評価又は選択する工程
(1)被験物質のC3a受容体に対する拮抗作用を評価する工程、
(2)C3a受容体に対する拮抗作用を有する被験物質を肥満細胞が関与しない痒みを呈する掻痒性皮膚疾患の予防又は改善剤として評価又は選択する工程
<43>C3a受容体を有する細胞が、好ましくは白血球細胞又は上皮細胞であり、より好ましくは肥満細胞又は表皮細胞である<42>記載の方法。
<44>C3a受容体作動薬が、好ましくはTLQP-21、C3a又はα-シクロヘキシル-N-[1-[1-オキソ-3-(3-ピリジニル)プロピル]-4-ピペリジニル]-ベンゼンアセトアミドである<42>又は<43>記載の方法。
<45>C3a受容体作動薬がC3a受容体に結合することによって発現する活性の測定が、好ましくはカルシウムイメージング法、cAMP assay又はTGFα Shedding assayによって行われる<42>~<44>のいずれかに記載の方法。<46>前記(2)の工程の後、さらに、C3a受容体作動薬と被験物質を投与した非ヒト動物の掻破行動を測定することによって肥満細胞が関与しない痒みの予防又は改善効果、あるいは肥満細胞が関与しない痒みを呈する掻痒性皮膚疾患に対する予防又は改善効果を評価する工程を含む、<40>~<45>のいずれかに記載の方法。
<47>前記(2)の工程の後、さらに、肥満細胞が関与しない痒み又は肥満細胞が関与しない痒みを呈する掻痒性皮膚疾患を有するヒト被験者に被験物質を投与することによって肥満細胞が関与しない痒みの予防又は改善効果、あるいは肥満細胞が関与しない痒みを呈する掻痒性皮膚疾患に対する予防又は改善効果を評価する工程を含む、<40>~<46>のいずれかに記載の方法。
1.実験動物
動物は雄性C57BL/6Jマウス及び雄性NC/Ngaマウスを使用した。
乾皮症モデル(AEWモデル):毛刈りしたC57BL/6Jマウス皮膚にアセトン及びジエチルエーテルの1:1(v/v)混合液を浸み込ませた脱脂綿を当て、15秒間静置した。その後直ちに水を浸み込ませた脱脂綿を30秒間当てた。この処置を2回/日(朝・夕)で7日間繰り返し実施することでAEWモデルマウスを作製した。対照として、水を浸み込ませた脱脂綿のみを30秒当てたコントロールマウスを作製した。各群n=7を本解析に使用した。
コントロールマウスとして、ダニ寄生のないSPFで飼育された同系統のマウスを使用した。各群n=8を本解析に使用した。
マウス頸椎より後根神経節を摘出した。摘出した組織はポリトロンホモジナイザーによりホモジナイズし、QIAGEN社のRNeasy Mini Kitを用いてtotal RNAを精製した。
RNA-seq:AEWモデルマウス及びそのコントロールマウスから精製したtotalRNAを用いた。逆転写にはSuperScript VILO(Thermo fisher scientific社)を使用し、以降の処理は、Thermo fisher scientific社のIon AmpliSeq標準プロトコルに則った。シーケンスはIon S5 systemを使用した。結果を図1に示す。図1に示すように、AEWモデルにおいて、一定シーケンス量当たりのVgf発現は、コントロールマウスと比較してStudent’s t-testによりp<0.05で、有意に増加していた。
1.実験動物
マウスは雄性C57BL/6Jマウスを使用した。
マウスTLQP-21(Tocris Bioscience、配列:TLQPPASSRRRHFHHALPPAR、以下同じ)は15nmol/20μL、30nmol/20μLとなるように調製した。溶媒は生理食塩水とした。これを毛刈りしたC57BL/6Jマウスの後頚部皮内に20μL投与した。注射後のマウスは直ちに掻破行動測定を開始し、開始後30分間の測定値を解析した。
TLQP-21投与後の掻破行動の測定にはMicroAct(ニューロサイエンス)を使用した。結果を図4に示す。連続した一回の掻き動作の合計値をEventsと表記し、その中の掻き動作回数の合計値をBeatsとして表記した。
1.実験動物
マウスは肥満細胞欠損マウスとしてWBB6F1/Kit-Kit W /Kit W-v 系統、野生型対照マウスとしてWBB6F1+/+系統を使用した。いずれも雄性マウスを使用した。
マウスTLQP-21(Tocris Bioscience)は20nmol/20μLとなるように調製した。溶媒は生理食塩水とした。これを毛刈りしたWBB6F1/Kit-Kit W /Kit W-v 系統及びWBB6F1+/+系統の後頚部皮内に20μL投与した。注射後のマウスは直ちに掻破行動測定を開始し、開始後30分間の測定値を解析した。
TLQP-21投与後の掻破行動の測定にはMicroAct(ニューロサイエンス)を使用した。結果を図5に示す。連続した一回の掻き動作の合計値をEventsと表記した。
1.評価サンプル
C3a受容体拮抗剤(アンタゴニスト)として、既報(Rowley, J. A. et al. Journal of Medicinal Chemistry, 2020;63(2):529-541)に基づいて合成した、前記の化合物1又は化合物2を使用した。下記の評価に際して、化合物1及び化合物2はDMSOで溶解し、適宜HBSSで希釈した。
以下に従って評価に必要な発現ベクターを導入した、ヒト胎児腎細胞293(Human Embryonic Kidney cells 293:HEK293)を使用した。
無血清DMEM培地に対し、C3a受容体発現ベクター、GNA16発現ベクター、PEI-MAX(PolyScience社)溶液を順次添加して良く混和させた後に室温で20分間放置し、トランスフェクション溶液を調製した。
6ウェル細胞培養プレートに播種したHEK293に、調製したトランスフェクション溶液を添加し、18時間以上培養してHEK293に発現ベクターを導入した。培養後、培地を除去し、PBSで1回洗浄し、0,05%Trypsin/EDTA(Gibco社)で細胞を剥離し、以下のCa2+-flux assayに供した。
Poly-L-Ornithine Solution(富士フィルム和光純薬社)でプレコーティングした96-well Black Polystyrene Microplate(Thermo fisher scientific社)に、前記のC3a受容体応答評価用細胞を播種した。C3a受容体刺激時の細胞内Ca2+濃度の測定は、Calcium Kit-Fluo4(DOJINDO社)を用いた。キットのマニュアルに従って調製したLoading bufferを添加し、37℃で1時間静置することでCa2+蛍光指示薬Fluo-4を細胞内へ取り込ませた。HBSSで1回洗浄後、C3a受容体拮抗剤(アンタゴニスト)である化合物1又は化合物2を溶解したRecording bufferを添加した。尚、コントロール(Control)にはRecording bufferを添加した。15分経過後にマウスTLQP-21溶液を添加してC3a受容体刺激を行い、刺激に伴うCa2+の流入を細胞内蛍光強度(Ex:494nm、Em:525nm)として経時的に測定し、マウスTLQP-21溶液に代えてHBSSを添加した測定値(ブランク)を減算した値を測定値とした。尚、C3a受容体拮抗剤(アンタゴニスト)溶液及びマウスTLQP-21溶液は、蛍光強度測定時の終濃度が、それぞれ10nM及び1μMとなるように適宜希釈して濃度を調整して添加した。C3a受容体応答評価用細胞へのC3a受容体拮抗剤(アンタゴニスト)溶液及びTLQP-21溶液の添加、並びに蛍光強度の測定は、自動分注機能を備えた蛍光プレートリーダーを用いて実施した。マウスTLQP-21溶液添加後3分間経時的に測定した蛍光強度の積分値を図6に示す。
1.実験動物
7週齢の雌性NC/Ngaマウスを使用した。
ADモデルマウスの作製:頸背部の剃毛を行い、イソフルラン麻酔下でダニアレルゲン配合軟膏:ビオスタAD(株式会社ビオスタ)を頸背部及び耳介部に100mg塗布し、初回感作を行った。1回目のダニアレルゲン配合軟膏塗布から4日後、イソフルラン麻酔下で頸背部及び耳介部に150μLの4%(w/v)SDS水溶液及びダニアレルゲン配合軟膏を100mg塗布した。以後、3~4日に1回の頻度で同様の作業を4回行い、AD様皮膚炎を誘導した。
C3a受容体拮抗剤(アンタゴニスト)として、前記実施例4でC3a受容体拮抗作用が確認された化合物1又は化合物2を使用した。化合物1又は化合物2を20%ポリエチレングリコール400を含む生理食塩水で溶解し、200μLを頸背部に皮下投与した。コントロール群には前記溶媒のみを同量投与した。C3a受容体拮抗剤(アンタゴニスト)溶液の濃度は、化合物1は0.5mg/mL、化合物2は0.05mg/mLと設定した。サンプル投与は2回目のダニアレルゲン配合軟膏塗布日から開始し、週3回実施した。
最後のダニアレルゲン配合軟膏塗布から4日後、サンプルの最終投与後に3時間の掻破行動測定を行った。掻破行動の測定にはMicroAct(ニューロサイエンス)を使用した。結果を図7に示す。
1.実験動物
動物は雄性C57BL/6Jマウスを使用した。
AEWモデルの作製:頸背部の剃毛を行い、アセトン及びジエチルエーテルの1:1(v/v)混合液を浸み込ませた脱脂綿を当て、15秒間静置した。その後直ちに水を浸み込ませた脱脂綿を30秒間当てた。この処置を2回/日(朝・夕)で7日間繰り返し実施した。
C3a受容体拮抗剤(アンタゴニスト)として、前記実施例4でC3a受容体拮抗作用が確認された化合物1又は化合物2を使用した。化合物1又は化合物2を20%ポリエチレングリコール400を含む生理食塩水で溶解し、200μLを頸背部に皮下投与した。コントロール群には前記溶媒のみを同量投与した。C3a受容体拮抗剤(アンタゴニスト)溶液の濃度は、化合物1は0.5mg/mL、化合物2は0.05mg/mLと設定した。サンプル投与は1回目のAEW処置後から開始し、1日1回の頻度で8日間実施した。
最後のAEW処置から16時間後、サンプルの最終投与後に3時間の掻破行動測定を行った。掻破行動の測定にはMicroAct(ニューロサイエンス)を使用した。結果を図8に示す。
Claims (4)
- TLQP-21とC3a受容体との結合に対する拮抗作用を指標とする、難治性痒みの予防又は改善剤の評価又は選択方法。
- TLQP-21とC3a受容体との結合に対する拮抗作用を有する被験物質を難治性痒みの予防又は改善剤として評価又は選択する方法。
- TLQP-21とC3a受容体との結合に対する拮抗作用を指標とする、難治性痒みを呈する掻痒性皮膚疾患の予防又は改善剤の評価又は選択方法。
- TLQP-21とC3a受容体との結合に対する拮抗作用を有する被験物質を難治性痒みを呈する掻痒性皮膚疾患の予防又は改善剤として評価又は選択する方法。
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