JP7439791B2 - 分散液、形成物の製造方法、分散液の使用方法及び分散液の製造方法 - Google Patents
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Description
金属元素を含む繊維体及び/又はシェルが連結した自立構造を有し、そのサイズが1000μm以下である無機構造体粒子と、
前記無機構造体粒子を分散する溶媒と、
を備えたものである。
無機構造体粒子で表面が被覆された形成物の製造方法であって、
請求項1~7のいずれか1項に記載の分散液を対象物の表面に形成乾燥し該対象物の表面を前記無機構造体粒子で被覆させる被覆工程、を含むものである。
無機構造体粒子で対象物の表面を被覆させる分散液の使用方法であって、
請求項1~7のいずれか1項に記載の分散液を対象物の表面に形成乾燥し該対象物の表面を前記無機構造体粒子で被覆させるものである。
基材の表面に金属元素を含む層を蒸着して得られた該金属元素を含む繊維体及び/又はシェルが連結した自立構造体を1000μm以下の無機構造体粒子に解砕する解砕工程と、
前記無機構造体粒子を分散する溶媒に分散させる分散工程と、
を含むものである。
以下、本開示の一実施形態について図面を用いて説明する。本明細書で説明する本開示の分散液は、無機構造体粒子と、溶媒とを備えている。
樹脂残存率=(W-Wm)×100/(W0-Wm) ・・・(1)
次に、分散液の製造法について説明する。この製造方法は、上述した分散液を製造する方法である。この製造方法は、構造作製工程と、解砕工程と、分散工程とを含むものとしてもよい。なお、この製造方法において、無機構造体を別途作製して準備するものとして、無機構造体を作製する構造作製工程を省略するものとしてもよい。
構造作製工程では、上述した自立構造体としての無機構造体を作製する処理を行う。この工程では、基材の表面に金属元素を含む層を形成してこの金属元素を含む繊維体及び/又はシェルが連結した自立構造体を得る形成処理と、形成した自立構造体から基材を除去する除去処理とを含むものとしてもよい。無機構造体は、そのサイズが1000μmを超える大きさを有するものとしてもよく、例えば、そのサイズが5cm以上であるシート状であることが好ましい。この工程では、解砕工程の前に、基材の表面に金属元素を含む層を蒸着してこの金属元素を含む繊維体及び/又はシェルが連結した自立構造体を得るものとしてもよい。また、この処理では、樹脂により形成された基材としての不織布の片側の表面に金属元素を含む層を蒸着したのち、樹脂を溶解することにより半チューブ型の繊維体が3次元的に連結した、金属元素を含む柔軟性を有する自立構造体としての不織布構造体を得るものとしてもよい。このとき、基材としての樹脂は、例えば、樹脂を溶解する溶媒を用いて液中で溶解するものとしてもよい。あるいは、この処理では、樹脂により形成された基材としての不織布の両側の表面に金属元素を含む層を蒸着したのち、樹脂を除去することによりチューブ型の繊維体が3次元的に連結した、金属元素を含む柔軟性を有する自立構造体としての不織布構造体を得るものとしてもよい。このとき、基材としての樹脂は、例えば、樹脂を酸素雰囲気中で加熱し、除去するものとしてもよい。このような処理を行うことによって、例えば、図1に示すような構造を有する自立構造体を得ることができる。この工程では、直径が1nm以上10nm以下の金属元素を含むナノ粒子によって形成されている自立構造体を作製するものとしてもよい。
解砕工程では、基材の表面に金属元素を含む層を蒸着して得られた金属元素を含む繊維体及び/又はシェルが連結した自立構造体である無機構造体を1000μm以下の無機構造体粒子に解砕する処理を行う。解砕する方法は、特に限定されないが、例えば、乾燥状態で行ってもよいし、溶媒中で行ってもよい。この解砕処理では、例えば、ブレンダーによる混合粉砕、乳鉢粉砕、ボールミル粉砕などが挙げられる。このうち、ブレンダーによる溶液中での粉砕が好ましい。この方法では、無機構造体を温和な条件で解砕することができ、比較的大きな鱗片状の粒子が得られる。解砕条件としては、例えば、上述した濃度で溶媒に無機構造体を浸漬させ、5分以上48時間以下の範囲で、解砕処理を行うものとしてもよい。解砕時の固形物濃度は、より大きい方が好ましく、30質量%以上80質量%以下の範囲が好ましい。
分散工程では、無機構造体粒子を溶媒に分散させる処理を行う。この分散工程は、例えば、解砕工程と同時に行うものとしてもよい。この場合、自立構造体を溶媒に浸漬した状態で無機構造体粒子へ解砕すると共に、この溶媒に無機構造体粒子を分散させるものとすればよい。分散工程では、無機構造体粒子と溶媒とを混合するものとすればよい。また、分散工程では、添加成分を添加しないものとしてもよいし、添加成分を添加するものとしてもよい。添加成分は、例えば、結着材や分散剤などが挙げられ、上記説明した条件や材料を適宜用いることができる。
上述した分散液は、形成物の製造方法に用いることができる。ここで、形成物は、例えば、対象物の表面を無機構造体粒子で被覆したものとしてもよい。この無機構造体粒子で表面が被覆された形成物の製造方法は、上述した分散液を対象物の表面に形成乾燥し、この対象物の表面を無機構造体粒子で被覆させる被覆工程を含む。この被覆工程において、形成、乾燥を2回以上繰り返し行うものとしてもよい。また、この被覆工程において、分散液を対象物の表面に形成するに際して、分散液を対象物の表面に噴霧するものとしてもよい。この噴霧は、例えば、スプレー容器に分散液を入れ、このスプレー容器で分散液を噴霧するものとしてもよい。あるいは、この被覆工程では、分散液を対象物の表面に塗布するものとしてもよい。塗布の方法としては、例えば、スプレーのほかアプリケータロールなどのローラコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレイド方式、スピンコーティング、バーコータなどが挙げられ、これらのいずれかを用いてもよい。
次に、上述した分散液の使用方法は、例えば、無機構造体粒子で対象物の表面を被覆させる方法としてもよい。この使用方法は、例えば、上記分散液を対象物の表面に形成乾燥し、この対象物の表面を無機構造体粒子で被覆させる処理を行うものとしてもよい。この使用方法は、上述した形成物の製造方法と同様の処理を行うものとしてもよい。この分散液の使用方法を実行することにより、上述した形成物を製造することができる。
[実験例1,2]
PES製のメンブレーンフィルタ(商品名:ミリポアPES)を4cm角に切り出し、その表面に、スパッタ法を用いてPt膜を形成した(形成工程)。スパッタは、HITACHI社製MC1000イオンスパッタ装置を用い、メンブレーンフィルタの片側面に対してAr雰囲気中で行った。次いで、DMF及びNMPを用いてPESを除去し(除去工程)、Ptのみからなる自立構造を有する無機構造体を得た。これを実験例1とした。また、基材として、PVdF製のメンブレーンフィルタを用いた以外は、実験例1と同様にして、Ptのみからなる自立構造を有する無機構造体を得た。これを実験例2とした。
図4は、IrO2ナノワイヤー不織布(実験例3)の作製手順を示す説明図である。まず、PVPの8質量%メタノール溶液を1kV/cmで電界紡糸することで、直径が100~200nmのPVP樹脂ナノワイヤーからなる不織布を作製した。図4Aは、作製したPVPナノワイヤー不織布の写真である。次に、このPVPナノワイヤー不織布の片側の表面に、スパッタ法を用いてIrO2膜を形成した。IrO2膜は、酸素5%-アルゴン95%雰囲気下において、Irをスパッタすることにより形成した。図4Bは、IrO2をスパッタしたPVPナノワイヤー不織布の写真である。また、図4C及び図4Dは、それぞれ、IrO2膜を形成したPVPナノワイヤーのSEM写真及び模式図である。
PVPの4質量%メタノール溶液を1kV/cmで電界紡糸することで、直径が10~20nmのPVP樹脂ナノワイヤーからなる不織布を作製した。以下、このPVPナノワイヤー不織布を基材に用いた以外は実験例3と同様にして、IrO2ナノワイヤー不織布を得た。これを実験例4とした。
作製した実験例1~4の無機構造体に対して、走査型電子顕微鏡(SEM,HITACHI社製FE5500)を用いて微細構造の観察を行った。図5は、実験例1~3の観察結果であり、図5Aが実験例1の低倍率SEM像、図5Bが実験例1の高倍率SEM像である。また、図5Cが実験例2の低倍率SEM像、図5Dが実験例2の高倍率SEM像である。また、図5Eが実験例3の低倍率SEM像、図5Fが実験例3の高倍率SEM像である。図5A~図5Dより、以下のことがわかった。上記作製方法によれば、樹脂からなるメンブレーンフィルタの細孔構造がそのまま転写され、柔軟性があるPtからなる自立構造を有する無機構造体が得られた。この無機構造体は、直径が3~10nmのPtナノ粒子の凝集体からなっていることがわかった。また、図5E及び図5Fに示すように、上記作製方法によれば、樹脂製の不織布のナノ構造がそのまま転写され、柔軟性があるIrO2ナノワイヤー不織布が得られることがわかった。また、このIrO2ナノワイヤー不織布構造は、直径が3~10nmのIrO2ナノ粒子の凝集体からなることがわかった。
小型電界紡糸装置を用いて樹脂製不織布を作製し、小型卓上スパッタ装置(HITACHI社製MC1000イオンスパッタ装置)を用いてこの樹脂製不織布の表面に金属の自立構造を形成したのち、樹脂製不織布を除去し、無機構造体を得た。スパッタには、Pt、Au、Ag、Cu、Sn、Ru、Irの金属ターゲットを用い、得られた無機構造体をそれぞれを実験例5~11とした。テンプレートとして用いた直径100~200nmのPVPナノファイバー不織布は、PVPの10質量%メタノール溶液を1kV/cmで電界紡糸することで作製した。この表面に上記金属ターゲットでスパッタ蒸着したのち、鋳型として用いたPVPナノファイバー不織布を、0.5MのNaBH4溶液(溶媒:水とエタノールの1対1混合液)の中で30分撹拌することで除去した。なお、スパッタは、不活性雰囲気(Arガス)中で行った。
実験例5と同様に、直径100~200nmのPVPナノファイバー不織布の表面に、Niターゲットを用いてNi膜を100nm厚でスパッタ蒸着した。この蒸着体を、水溶液に浸漬することで、ナノワイヤー不織布状のNi構造体(Niナノ構造布)を得た。図10は、実験例12の不織布構造を有する無機構造体の写真であり、図10Aが10mm角のNiナノ構造布を純水に浮かべた写真であり、図10BがNiナノ構造布のSEM写真である。図10に示すように、Niを用いても、柔軟性があり、不織布の自立構造を有する無機構造体を作製することができることがわかった。
実験例12のNiナノ構造布を用いて、タンパク質(ペプチド)の分離回収を行うことを検討した。比較対象として、Niナノ粒子を用いたものを参考例1とした。Hisタグタンパク質は、CuやNi、Zn及びCoなどに吸着される特性を有する。この特性を用い、タンパク質を含む溶液に金属(構造体又は粒子)を加え、金属を除外した状態で溶液を分離することにより、目的のタンパク質を吸着した金属と、目的外タンパク質を含む溶液とを分離することができる。タンパク質の分離回収は、Hisタグを有する目的タンパク質と、Hisタグを有さない目的外タンパク質とを分離する試験を行った。図11は、無機構造体(Niナノ構造布)を用いたタンパク質の回収方法の説明図であり、図11Aがタンパク質を含む溶液中にNiナノ構造布を入れた図、図11BがNiナノ構造布を磁石で吸い寄せた図、図11Cが目的外タンパク質を含む溶液を分離する図、図11DがNiナノ構造布に新たな溶媒を加え目的タンパク質を再溶出する図である。図12は、Niナノ粒子を用いたタンパク質の回収方法の説明図であり、図12Aがタンパク質を含む溶液中にNiナノ粒子を入れた図、図12BがNiナノ粒子を磁石で吸い寄せた図、図12Cが図12Bで分離した溶液の図である。図12に示すように、Niナノ粒子を用いた場合は、目的タンパク質を吸着したNiナノ粒子を磁石を用いて除外し(図12B)、目的タンパク質をNiナノ粒子と共に回収することができる。しかしながら、分離液には、磁石に吸い寄せられないNiナノ粒子や、それに吸着した目的タンパク質も含むため、十分な分離を行うことができなかった。一方、Niナノ構造布を用いた場合は、まず、磁石を用いずにNiナノ構造布を回収することができ、更に、分離液にNiナノ粒子が残存することもなく、より簡便に、より確実に目的タンパク質を回収することができることがわかった。
実験例5と同様に、PVPを含むメタノール溶液を電界紡糸してPVP不織布を作製し、IrO2のターゲットを用いてスパッタ処理を行い、IrO2ナノ構造布を作製した。PVPを8質量%含むメタノール溶液と、PVPを16質量%含むメタノール溶液と、をそれぞれ1kV/cmの電場及び1mL/hの液供給速度で電界紡糸してPVP不織布を得た。得られたIrO2ナノ構造布をそれぞれ実験例13,14とした。図14は、水電解用のPVP8質量%ナノワイヤー不織布の繊維径分布図及びSEM写真である。図15は、水電解用のPVP16質量%ナノワイヤー不織布の繊維径分布図及びSEM写真である。PVPを8質量%含むメタノール溶液では、平均繊維径が約300nmであり、図14に示すファイバー径分布を有する不織布が得られた。また、PVPを16質量%含むメタノール溶液では、平均繊維径が約500nmであり、図15に示すファイバー径分布を有する不織布が得られた。
実験例13、14のIrO2ナノ構造布を用いて、水の電解処理を検討した。比較対象として、バルクのイリジウム金属を参考例1とした。
PVPを8質量%含むメタノール溶液を電界紡糸して作製したPVP不織布を基材として、実験例5と同様に、Cuナノ構造布、Agナノ構造布及びAg-Cuナノ構造布を作製し、それぞれを実験例15~17とした。実験例17では、Agターゲットを用いPVP不織布上にAgを形成したのち、Cuターゲットを用い、先に形成したAg上にCuを形成するという処理を3回行った(3層構造)。
実験例15~17のナノ構造布の光吸収特性を評価した。比較対象として、バルクのAg金属を参考例2とした。島津製作所製、紫外・可視・近赤外分光光度計UV-3600・ISR-3100により、200nm~850nmの波長域にて試料を測定することにより、光吸収特性を評価した。図18は、実験例15~17、参考例2のUV-Visスペクトルである。図18には、各構造布の写真を挿入した。図18に示すように、参考例2のバルクのAg金属に比べ、実験例15~17のナノ構造布は高い吸光度を示し、光吸収特性がより向上することが明らかとなった。なかでも、AgとCuとを積層堆積させて作製した実験例17のAg-Cuナノ構造布では、特に高い吸光度を示した。
次に、実験例15~17、参考例2の吸収した光を熱に変換する光熱変換特性を評価した。実験例15~17のナノ構造布に疑似太陽光を照射したときの温度をK型熱電対を用いて測定することによって、光熱変換特性を評価した。朝日分光製ソーラーシミュレーター(HAL-302)を用い、光強度1kW・m-2にて疑似太陽光照射を行った。図19は、実験例15~17、参考例2の疑似太陽光照射下における温度測定結果である。参考例2の測定結果は30℃であり、実験例15~17の測定結果は、それぞれ55℃、65℃及び73℃であった。図19に示すように、Agナノ構造布、Cuナノ構造布及びAg-Cuナノ構造布では、バルクAgに比べ高い温度を示し、Ag-Cuナノ構造布においては太陽光照射によって73℃まで加熱された。このように、ナノ構造布では、光熱変換特定がより高いことが明らかとなった。
図20に示す水蒸発量測定装置60を用いて水の蒸発速度を測定した。水蒸発量測定装置60は、ナノ構造布61と、支持体62と、収容部63と、天秤64とを備えている。ナノ構造布61は、Ag及びCuのうち1以上を含み、光を吸収し熱へ変換する光熱変換材である。支持体62は、吸水性を有すると共に断熱性を有し、第1面でナノ構造布61と接触すると共に第2面で収容部63に収容された液体と接触する部材である。ここでは、支持体62は、発泡スチロール材とした。収容部63は、上面が開放された容器であり、液体(水)を収容する。天秤64は、収容部63を載置し、収容部63の質量を測定するものである。天秤64は、メトラー・トレド製XSE205DUVとした。この水蒸発量測定装置60のナノ構造布61に光を照射すると、ナノ構造布61が光を熱に変換し、支持体62から供給される水を蒸発させる。水蒸発量測定装置60では、天秤64により経時的に質量を測定することにより、水の蒸発量を測定することができる。図21は、Ag-Cuナノ構造布である実験例17の時間に対する水蒸発量の関係図である。実験例17では、1.4kg・m-2h-1の蒸発速度が得られた。この蒸発速度は、過去に報告された文献(Sci.Adv.08 Apr 2016,Vol.2,No4,e1501227,Nature Communications volume 5, Article number: 4449 (2014),Adv.Energy Materials,Vol.8,Issue 4,Feb.5,2018,1701028,Nature Photonics volume 10, pages 393-398 (2016))による強度1kW・m-2(1sun)の太陽光照射により得られた1kg・m-2h-1の蒸発速度よりも高い値であった。また、照射された太陽光が全て水の蒸発に利用されたと仮定した理論蒸発速度は、1.39~1.47kg・m-2h-1に計算される。Ag-Cuナノ構造布は高い光熱変換特性を有することが明らかとなった。
上述したように、ナノ構造を有する無機構造体は、様々な機能を発現することが明らかとなった。また、対象物へ無機構造体を転写する際に非常に熟練性を要したため、より容易に対象物の表面を無機構造体で被覆することができる方法について検討した。ここでは、その一例として、実験例3と同様の工程により作製した無機構造体を用いて、分散液を作製した。Au、Cu、Ir、Pt及びPt/TiO2を原料としてそれぞれ用い、0.1mg/cm2、面積25cm2の無機構造体を作製した。この無機構造体を500mLの水と共に、ブレンダー(カプセルカッター Belle Life 0.6L)に入れ、5分間撹拌し、シート状の無機構造体を粒子状に解砕し、溶媒である水に分散させた。得られた分散液をスプレーボトルに入れ、対象物に塗布、乾燥した。使用時の分散液の固形分は、5g/Lの濃度であった。
図22は、実験例3の無機構造体を解砕分散する一例の説明図であり、図22Aがブレンダーでの処理写真、図22Bが得られた分散液の写真、図22Cが分散液を噴霧する写真、図22Dが噴霧された対象物の写真である。ここでは、対象物の一例としてペーパーを示した。図22に示すように、ブレンダーで撹拌することによって、無機構造体粒子を分散させた分散液を簡便に得られることがわかった。図23は、上記作製した分散液から実験例3の無機構造体粒子を採取して観察した観察結果であり、図23Aが粒子の光学顕微鏡による低倍率写真、図23Bが高倍率写真、図23CがSEM写真、図23Dが解砕前の無機構造体シートの光学顕微鏡による低倍率写真、図23Eが高倍率写真である。図23に示すように、無機構造体粒子は、そのサイズが数100μm程度であり、図23D,Eに示す無機構造体シートの構造を保持していることが確認された。無機構造体粒子のサイズは、粒子の最長長さとした。この無機構造体粒子は、繊維体がシート状に形成された無機構造体シートを解砕したものであり、厚さに対して幅方向の長さが極端に大きい鱗片状の粒子からなるものであった。この分散液では、5視野で得られた無機構造体粒子の平均サイズは、200μmであった。なお、無機構造体粒子は、スプレーノズルのサイズよりも小さくなるよう解砕することが好ましいものと推察された。この分散液は、特別な結着材や分散剤、表面活性剤などの他の添加成分を含んでいないが、スプレー可能であった。また、対象物に噴霧乾燥したあとは、対象物の表面から容易には剥がれることはなかった。これは、ナノ構造を有する無機構造体粒子が対象物の表面に相互作用し、強固に結着するためであると推察された。このように、対象物へ結着させる成分などを含むことなく、対象物の表面を無機構造体粒子で被覆させることができることがわかった。なお、分散液は、結着材や分散剤、表面活性剤などの添加成分を含むものとしても、対象物の表面を被覆することが可能であることも、容易に予想された。このように、ナノ構造を有する無機構造体粒子をブレンダーで粉砕して溶媒に分散させて分散液を作製し、これを希釈してスプレーボトルに導入して吹き付けるという簡便な処理によって、複雑な凹凸表面を有するような対象物であっても、極めて容易にその表面を無機構造体で被覆することができることが明らかとなった。
Claims (12)
- 金属元素を含む繊維体及び/又はシェルが連結した自立構造を有し、そのサイズが1000μm以下である無機構造体粒子と、
前記無機構造体粒子を分散する溶媒と、を備え、
前記無機構造体粒子は、前記自立構造として半チューブ型の前記繊維体が3次元的に連結した柔軟性を有する不織布構造を有する、分散液。 - 前記無機構造体粒子は、樹脂により形成され前記自立構造を支持する支持部を有している、請求項1に記載の分散液。
- 前記無機構造体粒子は、直径が1nm以上10nm以下の前記金属元素を含むナノ粒子によって形成されている、請求項1又は2に記載の分散液。
- 前記無機構造体粒子は、Pt、Au、Ag、Ru、Ir、Cu、Sn、Ni、Cr及びZnのうち1以上の前記金属元素を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の分散液。
- 結着材及び分散剤を含まない、請求項1~4のいずれか1項に記載の分散液。
- 結着材及び/又は分散剤を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の分散液。
- 無機構造体粒子で表面が被覆された形成物の製造方法であって、
請求項1~6のいずれか1項に記載の分散液を対象物の表面に形成乾燥し該対象物の表面を前記無機構造体粒子で被覆させる被覆工程、を含む形成物の製造方法。 - 無機構造体粒子で対象物の表面を被覆させる分散液の使用方法であって、
請求項1~6のいずれか1項に記載の分散液を対象物の表面に形成乾燥し該対象物の表面を前記無機構造体粒子で被覆させる、分散液の使用方法。 - 基材の表面に金属元素を含む層を蒸着して得られた該金属元素を含む繊維体及び/又はシェルが連結した自立構造体を1000μm以下の無機構造体粒子に解砕する解砕工程と、
前記無機構造体粒子を分散する溶媒に分散させる分散工程と、
前記解砕工程の前に、基材の表面に金属元素を含む層を蒸着して該金属元素を含む繊維体及び/又はシェルが連結した自立構造体を得る構造作製工程と、を含み、
前記構造作製工程では、樹脂により形成された基材としての不織布の片側の表面に前記金属元素を含む層を蒸着したのち前記樹脂を溶解することにより半チューブ型の前記繊維体が3次元的に連結した該金属元素を含む柔軟性を有する前記自立構造体としての不織布構造体を得る、分散液の製造方法。 - 前記解砕工程では、前記自立構造体を前記溶媒に浸漬した状態で無機構造体粒子へ解砕すると共に該溶媒に該無機構造体粒子を分散させる、請求項9に記載の分散液の製造方法。
- 前記解砕工程では、直径が1nm以上10nm以下の前記金属元素を含むナノ粒子によって形成されている前記自立構造体を用いる、請求項9又は10に記載の分散液の製造方法。
- 前記解砕工程では、Pt、Au、Ag、Ru、Ir、Cu、Sn、Ni、Cr及びZnのうち1以上の前記金属元素を含む前記自立構造体を用いる、請求項9~11のいずれか1項に記載の分散液の製造方法。
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