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JP7442372B2 - 速硬性モルタル組成物 - Google Patents
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JP7442372B2 - 速硬性モルタル組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、速硬性モルタル組成物、特に断面修復材および舗装用注入材として有用な速硬性モルタル組成物に関する。
各種の原因により劣化したコンクリート構造物を補修する工法として、断面修復工法が広く知られている。断面修復工法は、コンクリートの劣化した部分をはつり等によって取り除き、取り除いた断面部分を断面修復材で修復する工法である。本工法に用いる断面修復材としては、セメントと細骨材とを含むモルタル組成物が使用される。断面修復工法の態様に合わせ、左官工法用の断面修復材、吹付け工法用の断面修復材、充填工法用の断面修復材、プレパックト工法用の断面修復材が使用される。一方、緊急を要する補修工事において使用される断面修復材としては、工事期間を短くするために、モルタル組成物を早期に硬化させるための速硬性混和材が含まれている速硬性モルタル組成物も使用されている。
また、道路、港湾施設、空港の滑走路などの舗装を構築する方法として、PC舗装やRC舗装が知られている。PC舗装は、路盤の上にPC(プレストレストコンクリート)舗装板を配置して、そのPC舗装板と路盤の間隙に裏込めグラウト材を注入する舗装である。RC舗装は、PC舗装板の代わりに、RC(鉄筋コンクリート)舗装板を用いる舗装である。さらに、重交通道路の舗装として、半たわみ性舗装が知られている。半たわみ性舗装とは、空隙率の大きな開粒度アスファルト混合物に、セメントミルクを注入する舗装である。PC舗装やRC舗装で使用される裏込めグラウト材および半たわみ性舗装で使用されるセメントミルク等の原料として用いられる舗装用注入材としても、セメントと細骨材とを含むモルタル組成物が利用されることがある。この舗装用注入材として用いられるモルタル組成物は、通常、夜間に工事を行って、翌朝には交通開放するために、セメントを早期に硬化させるための速硬性混和材が含まれている速硬性モルタル組成物である。
速硬性モルタル組成物の速硬性混和材として、カルシウムアルミネートと無機硫酸塩とを組合せた混和材が知られている。しかし、このカルシウムアルミネートと無機硫酸塩とを組合せた速硬性混和材は、モルタル組成物の硬化を促進する作用が強く、この速硬性混和材を含むモルタル組成物は、水を加えてからモルタル組成物が凝結を開始するまでの時間(凝結開始時間)が短く、可使時間を十分に確保できないという問題があった。このため、カルシウムアルミネートと無機硫酸塩とを組合せた速硬性混和材では、モルタル組成物の凝結開始時間を調整するために、凝結調整剤を加えることが行なわれている。凝結調整剤としては、無機炭酸塩、オキシカルボン酸、アルミン酸ナトリウムが用いられている。
特許文献1には、カルシウムアルミネート対無機硫酸塩の重量比が1対0.5~3からなる急硬成分を15~35重量%含有してなる急硬セメントを主成分とし、内割重量で、アルミン酸ナトリウム0.2~3%、無機炭酸塩0.2~5%、およびオキシカルボン酸類0.1~2%を含有してなる超速硬セメント組成物が開示されている。
特許文献2には、速硬性混和材とセメント鉱物と骨材と再乳化粉末樹脂と繊維とを含むコンクリート断面修復材が開示されている。この特許文献2には、速硬性混和材の凝結調整剤としてアルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類を用い、これら凝結調整剤の粒度構成を、平均粒径45μmを越えかつ90μm以下の第1粒子10~45質量%と、平均粒径90μmを越えかつ150μm以下の第2粒子30~70質量%と、平均粒径150μmを越えかつ500μm以下の第3粒子5~30質量%とを含み、かつ前記第2粒子を前記第1粒子より多く含むとともに前記第3粒子より多く含むようにすることが開示されている。
特許文献3には、速硬性混和材とセメント鉱物と砂と再乳化粉末樹脂とを含む舗装用注入材が開示されている。この特許文献3には、速硬性混和材の凝結調整剤としてアルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類を用い、これら凝結調整剤の粒度構成を、平均粒径45μmを越えかつ90μm以下の第1粒子10~45質量%と、平均粒径90μmを越えかつ150μm以下の第2粒子30~70質量%と、平均粒径150μmを越えかつ500μm以下の第3粒子5~30質量%とを含み、かつ前記第2粒子を前記第1粒子より多く含むとともに前記第3粒子より多く含むようにすることが開示されている。
特許文献4には、速硬性混和材を混合した超速硬モルタル組成物について、3ヶ月程度の期間保存したときの凝結時間の変動を抑え、初期強度発現性を長期間良好に維持するための技術として、カルシウムアルミネートからなるクリンカーと、凝結調整剤(無機炭酸塩、オキシカルボン酸、アルミン酸ナトリウムおよび硫酸ナトリウムのうちの1つ以上)とを混合粉砕して、カルシウムアルミネートの平均粒子径が8μm以上100μm以下の範囲内にあり、凝結調整剤の平均粒子径が5μm以下になるようにすることが開示されている。
特公平3-41420号公報 特開2008-273762号公報 特開2008-274580号公報 特許第6183571号公報
速硬性混和材に添加される凝結調整剤の一つであるアルミン酸ナトリウムは、カルシウムアルミネートと無水石膏を含む速硬性混和材に添加して使用した場合において初期強度を高める作用(アルカリ刺激剤としての作用効果)と、その硬化体表面に析出する白斑の発生を抑制する作用(初期水和反応におけるカルシウム成分とアルミニウム成分の最適化)とを有する。しかしながら、アルミン酸ナトリウムは著しい潮解性を示し、保存中に吸湿して溶解し、その作用が失われることによって上記の作用を発揮できなくなる場合があった。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、長期間にわたって安定して、初期強度が高く、かつ白斑の発生が抑制された硬化体を得ることができる速硬性モルタル組成物を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の発明者は鋭意検討を行なった結果、モルタル組成物中の速硬性混和材に含まれるカルシウムアルミネートとして、Alに対するCaOの含有量がモル比で1.5以上2.0以下の範囲内にあって、ガラス化率が80%以上のものを用い、かつアルミン酸ナトリウムの代わりにミョウバンを加えることによって、モルタル組成物の初期強度を高める作用と、白斑の発生を防止する作用を長期間保存しても高いレベルで維持することが可能となることを見出して、本発明を完成させた。
従って、本発明の速硬性モルタル組成物は、速硬性混和材とセメントと細骨材を含む速硬性モルタル組成物であって、前記速硬性混和材100質量部に対して、前記セメントを100質量部以上2000質量部以下の範囲内の量で含有し、前記速硬性混和材が、カルシウムアルミネートと、無水石膏と、無機炭酸塩と、オキシカルボン酸と、ミョウバンとを含み、前記カルシウムアルミネートは、Alに対するCaOの含有量がモル比で1.5以上2.0以下の範囲内にあって、ガラス化率が80%以上であり、前記無水石膏の含有量は、前記カルシウムアルミネートと前記無水石膏の合計量100質量部に対して35質量部以上65質量部以下の範囲内にあって、前記無機炭酸塩、前記オキシカルボン酸および前記ミョウバンの含有量は、それぞれ前記カルシウムアルミネートと前記無水石膏の合計量100質量部に対して0.1質量部以上であって、前記無機炭酸塩、前記オキシカルボン酸および前記ミョウバンの合計含有量は、前記カルシウムアルミネートと前記無水石膏の合計量100質量部に対して10質量部以下であることを特徴としている。
本発明の速硬性モルタル組成物によれば、速硬性混和材に含まれるカルシウムアルミネートとして、Alに対するCaOの含有量がモル比で1.5以上2.0以下の範囲内にあって、ガラス化率が80%以上であるものを用いるので初期強度が向上し、白斑の発生を抑制することができる。また、本発明の速硬性モルタル組成物によれば、速硬性混和材として、アルミン酸ナトリウムの代わりにミョウバンを用いるので、初期強度の向上作用と白斑の発生の抑制作用とが長期間にわたって低下しにくい。
ここで、本発明の速硬性モルタル組成物においては、前記速硬性混和材100質量部に対して、前記細骨材を200質量部以上1000質量部以下の範囲内の量で含有してもよい。
この場合、細骨材を上記の範囲内の量で含有するので、初期強度発現性に優れたものとなると共に、速硬性モルタル組成物の硬化に伴う硬化体の収縮(自己収縮)や、硬化後の水分の逸散に伴う収縮(乾燥収縮)が抑えられる。このため、硬化体のひび割れの発生を抑制することができ、硬化体の強度が高くなる。従って、この速硬性モルタル組成物は、断面修復材として特に有用である。
また、本発明の速硬性モルタル組成物においては、前記細骨材を、速硬性モルタル組成物の全体量に対して10質量%以上67質量%以下の範囲内の量で含有していてもよい。
この場合、細骨材を上記の範囲内の量で含有するので、初期強度発現性に優れたものとなると共に、水を加えた特の細骨材の流動性が向上する。このため、半たわみ性舗装における開粒度アスファルト混合物の空隙のように微細な空間内に対しても、細骨材が媒体となるので、良好に充填することができる。従って、この速硬性モルタル組成物は、舗装用注入材として特に有用である。
また、本発明の速硬性モルタル組成物においては、さらに、ケイ酸ナトリウムを前記カルシウムアルミネートと前記無水石膏の合計量100質量部に対して0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲内の量で含んでいてもよい。
この場合、速硬性モルタル組成物はケイ酸ナトリウムを上記の範囲内で含むので、初期強度がより向上する。
また、本発明の速硬性モルタル組成物においては、さらに、無水硫酸ナトリウムを前記カルシウムアルミネートと前記無水石膏の合計量100質量部に対して0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲内の量で含んでいてもよい。
この場合、速硬性モルタル組成物は無水硫酸ナトリウムを上記の範囲内で含むので、初期強度の向上作用と白斑の発生の抑制作用と共に、流動性が向上する。
また、本発明の速硬性モルタル組成物においては、前記ミョウバンがカリウムミョウバンであって、前記カリウムミョウバンの含有量が前記カルシウムアルミネートと前記無水石膏の合計量100質量部に対して0.2質量部以上6.0質量部以下の範囲内にあってもよい。
この場合、速硬性モルタル組成物はカリウムミョウバンを上記の範囲内で含むので、初期強度の向上作用と白斑の発生の抑制作用とがより確実に向上する。
また、本発明の速硬性モルタル組成物においては、前記ミョウバンが、無機粉末と前記ミョウバンとを質量比で20:80~80:20の範囲内の量で含む混合物として含まれていてもよい。
この場合、ミョウバンが無機粉末との混合物として含まれているので、速硬性モルタル組成物中のミョウバンが均一に分散されやすくなり、ミョウバンによる作用が得られやすくなる。
また、本発明の速硬性モルタル組成物においては、さらに、有機短繊維および炭素短繊維のうちの1つ以上からなる短繊維を、速硬性モルタル組成物の全体量に対して0.05質量%以上0.3質量%以下の範囲内の量で含んでいてもよい。
この場合、短繊維は補強材として作用するので、速硬性モルタル組成物を硬化させた硬化体はひび割れ抵抗性が向上して、疲労に対する耐久性が優れたものとなる。
また、本発明の速硬性モルタル組成物においては、再乳化粉末樹脂を、速硬性モルタル組成物の全体量に対して0.5質量%以上30質量%以下の範囲内の量で含んでいてもよい。
この場合、速硬性モルタル組成物は再乳化粉末樹脂を含むので、コンクリート構造物に対する付着力が向上する。
また、本発明の速硬性モルタル組成物においては、さらに、シリカフュームを、速硬性モルタル組成物の全体量に対して1質量%以上15質量%以下の範囲内の量で含んでいてもよい。
この場合、シリカフュームはポゾラン作用を有するので長期強度発現性が向上する。さらに速硬性モルタル組成物を硬化させた硬化体は緻密化して、総細孔量が小さくなり、中性化の進行や塩化物イオンの拡散の進行が抑制されるので、耐久性が向上する。
また、本発明の速硬性モルタル組成物においては、さらに、合成ポリマー系増粘保水剤を、速硬性モルタル組成物の全体量に対して0.05質量%以上5.00質量%以下の範囲内で含んでいてもよい。
この場合、合成ポリマー系増粘保水剤は水と接すると微細な気泡を発生する作用があるので、合成ポリマー系増粘保水剤を含む速硬性モルタル組成物を硬化させた硬化体は、疑似的にエントレインドエアが導入されて、再乳化粉末樹脂添加による効果に加え、更に凍結融解抵抗性が向上する。
本発明によれば、長期間にわたって安定して、初期強度が高く、かつ白斑の発生が抑制された硬化体を得ることができる速硬性モルタル組成物を提供することが可能となる。
以下に、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態である速硬性モルタル組成物は、速硬性混和材とセメントと細骨材を含む。速硬性モルタル組成物は、速硬性混和材100質量部に対して、セメントを100質量部以上2000質量部以下の範囲内で含む。速硬性モルタル組成物は、さらに、短繊維、再乳化粉末樹脂、シリカフューム、合成ポリマー系増粘保水剤、凝結調整剤、防凍剤、減水剤などの各混和材を含んでいてもよい。
以下、本実施形態の速硬性モルタル組成物の各成分について説明する。
(速硬性混和材)
速硬性混和材は、カルシウムアルミネートと、無水石膏と、無機炭酸塩と、オキシカルボン酸と、ミョウバンとを含む。カルシウムアルミネートと無水石膏とは、モルタル組成物の硬化速度を速める速硬成分として作用する。無機炭酸塩とオキシカルボン酸とミョウバンとは、モルタル組成物の凝結時間や初期強度などを調整する凝結調整成分として作用する。
カルシウムアルミネートは、一般に、12CaO・7Al、11CaO・7Al・CaF及びCaO・Alなどの組成を有する化合物である。カルシウムアルミネートは、Alに対するCaOの含有量がモル比で1.5以上2.0以下の範囲内とされている。Alに対するCaOの含有量が上記の範囲を外れると、モルタル組成物の初期強度を向上させる作用や白斑の発生を防止する作用が得られにくくなるおそれがある。
また、カルシウムアルミネートは、ガラス化率が80%以上とされている。ガラス化率が低くなりすぎると、モルタル組成物の初期強度を向上させる作用が得られにくくおそれがある。ガラス化率は、80%以上99%以下の範囲内にあることが好ましく、特に90%以上99%以下の範囲内にあることが好ましい。
なお、上記カルシウムアルミネートのガラス化率(%)は、試料のカルシウムアルミネートのX線回折法により測定したX回折線パターンから、結晶質部分(ピーク)と非晶質部分ハローのフィッティングを行い、各積分強度を以下の式に当てはめてガラス化率を算出した値である。
ガラス化率(%)=100-(100×Ic/(Ic+Is))
Ic:結晶性散乱積分強度
Is:非結晶性散乱積分強度
カルシウムアルミネートは、ブレーン比表面積が3000cm/g以上5500cm/g以下の範囲内にあることが好ましい。カルシウムアルミネートのブレーン比表面積が上記の範囲内にあることによって、速硬性モルタル組成物の硬化速度を速めることができ、初期強度を向上させる作用が向上する。
無水石膏は、ブレーン比表面積が8000cm/g以上12000cm/g以下の範囲内にあることが好ましい。無水石膏のブレーン比表面積が上記の範囲内にあることによって、速硬性モルタル組成物の硬化速度を速めることができ、初期強度を向上させる作用が向上する。
無水石膏の含有量は、カルシウムアルミネートと無水石膏の合計量100質量部に対して35質量部以上65質量部以下の範囲内にある。カルシウムアルミネートと無水石膏を上記の割合で含有することによって、速硬性モルタル組成物の硬化速度を速めることができ、初期強度を向上させる作用が向上する。
無機炭酸塩は、アルカリ金属の炭酸塩あるいは炭酸水素塩であることが好ましい。無機炭酸塩の例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム、炭酸アンモニウムが挙げられる。これらの無機炭酸塩は、1つを単独で使用してもよいし、2つ以上を組合せて使用してもよい。
オキシカルボン酸の例としては酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、マレイン酸が挙げられる。これらのオキシカルボン酸は、1つを単独で使用してもよいし、2つ以上を組合せて使用してもよい。なお、オキシカルボン酸は塩を使用してもよい。塩としては、ナトリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩などの金属塩であることが好ましい。
ミョウバンはアルミニウムを含有し、従来の速硬性混和材で用いられているアルミン酸ナトリウムと同様に、アルミニウム補助剤として作用する。このため、速硬性混和材はアルミン酸ナトリウムを実質的に含有しないことが好ましい。
ミョウバンとしては、ナトリウムミョウバン(NaAl(SO・12HO)、カリウムミョウバン(AlK(SO・12HO)を用いることが好ましく、特に、カリウムミョウバンを用いることが好ましい。ミョウバンの平均粒子径は、1μm以上100μm以下の範囲内にあることが好ましい。
無機炭酸塩、オキシカルボン酸およびミョウバンの含有量は、それぞれ速硬成分(カルシウムアルミネートと無水石膏)の合計量100質量部に対して0.1質量部以上であって、それらの合計含有量が、速硬成分の合計量100質量部に対して10質量部以下となる範囲内にあることが好ましい。無機炭酸塩、オキシカルボン酸およびミョウバンの含有量が少なくなりすぎると、これらの成分を添加する効果が得られにくくなるおそれがある。一方、無機炭酸塩、オキシカルボン酸およびミョウバンの含有量が多くなりすぎると、相対的に速硬成分の含有量が少なくなり、速硬成分の効果が得られにくくなるおそれがある。無機炭酸塩、オキシカルボン酸およびミョウバンの添加効果を確実に得るためには、無機炭酸塩、オキシカルボン酸およびミョウバンの含有量は、それぞれ速硬成分(カルシウムアルミネートと無水石膏)の合計量100質量部に対して0.2質量部以上6.0質量部以下の範囲内にあることが好ましい。
速硬性混和材は、さらに、無水硫酸ナトリウム(無水中性芒硝)、ケイ酸ナトリウム、増量材を含んでいてもよい。
無水硫酸ナトリウムは、水に対する溶解速度が速く、水を加えた後の速硬性モルタル組成物の流動性を向上させる作用を有する。無水硫酸ナトリウムの配合量は、カルシウムアルミネートと無水石膏の合計量100質量部に対して0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲内にあることが好ましい。
ケイ酸ナトリウムは、アルカリ度調整剤として作用し、速硬性モルタル組成物の初期強度を高める作用を有する。ケイ酸ナトリウムとしては、例えば、メタケイ酸ナトリウム(NaSiO)、オルトケイ酸ナトリウム(NaSiO)、二ケイ酸ナトリウム(NaSi)、四ケイ酸ナトリウム(NaSi)を用いることができる。また、ケイ酸ナトリウムは無水物であってもよいし、水和物(例えば、NaSiO・9HO)であってもよい。ケイ酸ナトリウムの配合量は、カルシウムアルミネートと無水石膏の合計量100質量部に対して0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲内にあることが好ましい。
増量材としては、水が存在しない条件では速硬性モルタル組成物の硬化反応に寄与しない無機粉末を用いることができる。無機粉末の例としては、石英微粉末、石灰石微粉末、石炭灰微粉末、高炉スラグ微粉末などが挙げられる。
無機炭酸塩、オキシカルボン酸およびミョウバンなどの凝結調整成分を予め増量材と混合した混合物として、速硬性混和材に含まれていることが好ましい。凝結調整成分を混合物とすることによって、保存中の圧密による固結を防止(ブロッキング防止)することができるため、速硬性混和材中の凝結調整成分が均一に分散されやすく、凝結調整成分による作用が得られやすくなる。混合物は、無機粉末と凝結調整成分とを質量比で20:80~80:20の範囲内で含むことが好ましい。
速硬性混和材は、例えば、カルシウムアルミネートと、無水石膏と、無機炭酸塩と、オキシカルボン酸と、ミョウバンとを混合することによって製造することができる。混合装置としては、V型混合機、リボンミキサー、プロ-シェアミキサー等のセメント材料の混合装置として通常用いられている各種の混合装置を用いることができる。
混合の順序としては特に制限はないが、まず、カルシウムアルミネートと無水石膏とを混合し、得られた混合物に対して、無機炭酸塩、オキシカルボン酸、ミョウバン、さらに必要に応じて無水硫酸ナトリウムやケイ酸ナトリウムなどを加えて混合することが好ましい。無機炭酸塩、オキシカルボン酸、ミョウバンは、上記の無機粉末との混合物として加えてもよいし、カルシウムアルミネートや無水石膏と混合してもよい。
(セメント)
セメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、シリカフュームセメント等を用いることができる。セメントは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。セメントはポルトランドセメント、特に普通ポルトランドセメントを用いることが好ましい。
セメントの配合量は、一般に、速硬性混和材100質量部に対して、セメントを100質量部以上2000質量部以下の範囲内にある。セメントの配合量が上記の範囲内にあると、速硬性混和材による初期強度の発現性とセメントによる長期強度の発現性とに優れた速硬性モルタル組成物を得ることができる。
(細骨材)
細骨材は、速硬性モルタル組成物の硬化に伴う硬化体の収縮(自己収縮)や、硬化後の水分の逸散に伴う収縮(乾燥収縮)を抑える作用がある。細骨材は、砂であることが好ましく、粒子径が150~3000μmの砂であることがより好ましく、200~1500μmの砂であることが更に好ましい。また、粒子径が90~1000μmの砂であってもよく、更に90~200μmの砂であってもよい。砂の粒子径が小さくなりすぎると、速硬性モルタル組成物と水とを混合して調製したモルタルあるいはセメントミルクの撹拌性能及び硬化体の耐摩耗性が低下するとともにすべり抵抗性が低下するおそれがある。一方、砂の粒子径が大きくなりすぎると、モルタルあるいはセメントミルク中に砂が沈降し易くなるとともに、モルタルあるいはセメントミルクのコンクリート構造物への付着性や舗装体への注入性が低下するおそれがある。
細骨材の配合量は、例えば、断面補修材として利用する場合、速硬性混和材100質量部に対する量として、200質量部以上1000質量部以下の範囲内にある。細骨材の配合量が少なくなりすぎると、硬化体の収縮低減効果が十分に得られないばかりでなく、モルタルの撹拌性能及び耐摩耗性が低下するとともにすべり抵抗性が低下するおそれがある。一方、細骨材の配合量が多くなりすぎると、初期強度発現性が低下するとともに材料分離が発生してブリーディングが発生しやすくなるおそれがある。一方、舗装用注入材として利用する場合、速硬性モルタル組成物の全体量に対して10質量%以上67質量%以下の範囲内となる量である。細骨材の配合量が少なくなりすぎると、硬化体の収縮低減効果が十分に得られないばかりでなく、セメントミルクの撹拌性能及び耐摩耗性が低下するとともにすべり抵抗性が低下するおそれがある。一方、細骨材の配合量が多くなりすぎると、初期強度の発現性が低下するとともに材料分離が発生してブリーディングが発生しやすくなるおそれがある。
(短繊維)
短繊維は補強材として作用する。このため、短繊維を含む速硬性モルタル組成物を硬化させた硬化体はひび割れ抵抗性が向上して、疲労に対する耐久性が優れたものとなる。
短繊維としては、有機短繊維および炭素短繊維を用いることができる。有機短繊維の例としては、PVA短繊維(ポリビニルアルコール短繊維)、ナイロン短繊維、アラミド短繊維、ポリプロピレン短繊維、レーヨン短繊維等が挙げられる。これらの短繊維は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。
短繊維は、繊維長が1mm以上10mm以下の範囲内にあることが好ましい。1mmより短いと十分な繊維補強効果が得られないおそれがある。一方、10mmを超えると繊維の抵抗により流動性が損なわれ、狭隘部や半たわみ性舗装への注入性が低下する等、施工性が阻害されるおそれがある。繊維径は、通常、5μm以上100μm以下の範囲内にある。
短繊維の配合量は、一般に、速硬性モルタル組成物の全体量に対する量として、0.05質量%以上0.3質量%以下の範囲内にある。短繊維の配合量が少なくなりすぎると、硬化体のひび割れ抵抗性が向上して、疲労に対する耐久性を向上させる作用が不十分となるおそれがある。一方、短繊維の配合量が多くなりすぎると、速硬性モルタル組成物と水の混合物の流動性が低下するおそれがある。
(再乳化粉末樹脂)
再乳化粉末樹脂は吸水性および透水性が低い樹脂であり、速硬性モルタル組成物を硬化させた硬化体に対して水を浸透しにくくする作用がある。また、再乳化粉末樹脂は、コンクリート構造物に対する速硬性モルタル組成物の付着力を向上させる作用がある。このため、再乳化粉末樹脂を含む速硬性モルタル組成物は、水に浸漬させた後の凍結融解抵抗性に優れ、コンクリート構造物に対する付着力が向上する。
再乳化粉末樹脂の例としては、酢酸ビニル/ベオバ/アクリル酸エステル共重合樹脂、酢酸ビニル共重合樹脂、酢酸ビニル/エチレン共重合、酢酸ビニル/アクリル共重合樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。これらの再乳化粉末樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。
再乳化粉末樹脂の配合量は、一般に、速硬性モルタル組成物の全体量に対する量として、0.5質量%以上30質量%以下の範囲内にある。再乳化粉末樹脂の配合量が少なくなりすぎると、速硬性モルタル組成物の硬化体の凍結融解抵抗性を向上させる作用やが不十分となるおそれがある。一方、再乳化粉末樹脂の配合量が多くなりすぎると、速硬性モルタル組成物と水の混合物の流動性が低下するおそれがある。
(シリカフューム)
シリカフュームはポゾラン作用を有する。このため、シリカフュームを含む速硬性モルタル組成物は長期強度発現性が向上し、さらにこれを硬化させた硬化体は緻密化して、総細孔量が小さくなり、中性化の進行や塩化物イオンの拡散の進行が抑制される。
シリカフュームの配合量は、速硬性モルタル組成物の全体量に対する量として、1質量%以上15質量%以下の範囲内にあることが好ましい。シリカフュームの配合量が少なくなりすぎると、ポゾラン反応による長期強度発現性や、速硬性モルタル組成物の硬化体組織の緻密化に拠る中性化抑制効果や塩化物イオンの浸透を抑制する効果が十分ではなくなるおそれがある。一方、シリカフュームの配合量が多くなりすぎると、速硬性モルタル組成物中の速硬性混和材の分量が相対的に少なくなり、初期強度発現性が悪くなるおそれがある。
(合成ポリマー系増粘保水剤)
合成ポリマー系増粘保水剤は、水と接すると微細な気泡を発生する作用がある。このため、合成ポリマー系増粘保水剤を含む速硬性モルタル組成物を硬化させた硬化体は、疑似的にエントレインドエアが導入されて、再乳化粉末樹脂添加による効果と同様に凍結融解抵抗性が向上する。
合成ポリマー系増粘保水剤の配合量は、速硬性モルタル組成物の全体量に対する量として、0.05質量%以上5.0質量%以下の範囲内にあることが好ましく、0.10質量%以上5.0質量%以下の範囲内にあることがより好ましく、1.00質量%以上5.0質量%以下の範囲内にあることが特に好ましい。合成ポリマー系増粘保水剤の配合量が少なくなりすぎると、速硬性モルタル組成物の硬化体の凍結融解抵抗性を向上させる作用が不十分となるおそれがある。一方、合成ポリマー系増粘保水剤の配合量が多くなりすぎると、速硬性モルタル組成物と水の混合物の流動性が低下するばかりでなく、過剰な気泡が入り強度を低下させるおそれがある。
(凝結調整剤)
本実施形態の速硬性モルタル組成物では、上述のとおり、速硬性混和材の構成成分として凝結調整剤が平均粒子径5μm以下の微粒子として含まれているが、速硬性モルタル組成物の全体量に対する凝結調整剤の含有量が0.01質量%以上5質量%以下の範囲内となるように、さらに、凝結調整剤が添加されていてもよい。ここで、速硬性モルタル組成物の全体量に対する凝結調整剤の含有量は、速硬性混和材中に含まれている凝結調整剤と、速硬性混和材とは別に添加された凝結調整剤との合計量である。この場合は、速硬性混和材中に含まれている凝結調整剤と、速硬性混和材とは別に添加された凝結調整剤とによって凝結時間を調整できるので、環境温度および長期間の保存による速硬性モルタル組成物の凝結始発時間の変動をさらに確実に小さくすることができる。また、凝結調整剤を別に添加することによって、速硬性モルタル組成物の凝結始発時間を所要の時間に調整することができる。また、本実施形態の速硬性モルタル組成物では、速硬性混和材中に含まれている凝結調整剤は微粒子で水に溶解しやすく、通常は可使時間を十分に確保できるので、別に添加する凝結調整剤の量は少なくできる。
速硬性モルタル組成物の全体量に対する凝結調整剤の含有量が0.01質量%未満であると、凝結時間を調整する作用が不十分となるおそれがある。一方、速硬性モルタル組成物の全体量に対する凝結調整剤の含有量が5質量%を超えると、モルタルによる長期強度の発現性が低下するおそれがある。
速硬性混和材とは別に添加する凝結調整剤は、単独で速硬性モルタル組成物に添加してもよいが、無機粉末と凝結調整剤を予め混合した混合物として添加することが好ましい。無機粉末と凝結調整剤の混合物は、無機粉末100質量部に対して凝結調整剤を50質量部以上300質量部以下の範囲内に含有する凝結調整剤高濃度含有混合物であることが好ましい。凝結調整剤を凝結調整剤高濃度含有混合物として速硬性モルタル組成物に添加することによって、凝結調整剤を速硬性モルタル組成物中に均一に分散させ易くなる。無機粉末としては、セメント(特に、ポルトランドセメント)、石灰石粉末、珪石粉末、高炉スラグ粉末、石炭灰、フライアッシュ、粘土鉱物、カルシウムアルミネート粉末、無機硫酸塩粉末を用いることができる。無機粉末は、ブレーン比表面積が2500cm/g以上5000cm/g以下の範囲内にある微粉末であることが好ましい。ブレーン比表面積が、上記の範囲内にある無機粉末は分散性が高いため、この無機粉末を用いた凝結調整剤高濃度含有混合物は、速硬性モルタル組成物に均一に分散させ易くなる。凝結調整剤高濃度含有混合物に含まれている凝結調整剤の粒子径は、1μm以上500μm以下の範囲にあることが好ましい。粒子径が上記の範囲内にある凝結調整剤は、無機粉末への分散性が高く、組成が均一な凝結調整剤高濃度含有混合物を調製しやすくなる。
(防凍剤)
酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、亜硝酸カルシウムは水と反応して発熱して、水が凍結するような極低温の温度環境下において、速硬性モルタル組成物と水の混合物の凍結を防止する防凍剤として作用する。このため、防凍剤を含む速硬性モルタル組成物は、極低温の温度環境下においても、水と混練した速硬性モルタル組成物の凍結を抑制することができ、初期強度発現性が高くなる。
防凍剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。
防凍剤の配合量は、一般に、速硬性モルタル組成物の全体量に対する量として、1質量%以上10質量%以下の範囲内にある。防凍剤の配合量が少なくなりすぎると、防凍剤としての作用が不十分となり、速硬性モルタル組成物が凍結してしまい強度が全く出なくなるおそれがある。一方、防凍剤の配合量が多くなりすぎると、速硬性モルタル組成物と水の混合物において塩析作用が生じ、流動性が低下するおそれがある。
(減水剤)
グラウト材として用いる速硬性モルタル組成物は、減水剤を含んでいてもよい。減水剤は、グラウト材の流動性を改善し、自然流下によるコンクリート舗装版下の隙間へのグラウト材の注入を容易にする作用がある。減水剤としては、市販品のポリカルボン酸塩系高性能減水剤(商品名メルフラックス等)などを用いることができる。
減水剤の配合量は、一般に、速硬性モルタル組成物の全体量に対する量として、0.05質量%以上1.0質量%以下の範囲内にある。減水剤の配合量が少なくなりすぎると、減水剤として作用が不十分とあるおそれがある。一方、減水剤の配合量が多くなりすぎるとグラウト材の流動性が過剰となって材料分離を生じ、繊維がグラウト材の上面に浮いてくるおそれがある。
以上のような構成とされた本実施形態の速硬性モルタル組成物によれば、速硬性混和材に含まれるカルシウムアルミネートとして、Alに対するCaOの含有量がモル比で1.5以上2.0以下の範囲内にあって、ガラス化率が80%以上であるものを用いるので初期強度が向上し、白斑の発生を抑制することができる。また、本実施形態の速硬性モルタル組成物によれば、速硬性混和材として、アルミン酸ナトリウムの代わりにミョウバンを用いるので、初期強度の向上作用と白斑の発生の抑制作用とが長期間にわたって低下しにくい。
また、本実施形態の速硬性モルタル組成物において、速硬性混和材100質量部に対して、細骨材を200質量部以上1000質量部以下の範囲内の量で含有する場合は、初期強度発現性に優れたものとなると共に、速硬性モルタル組成物の硬化に伴う硬化体の収縮(自己収縮)や、硬化後の水分の逸散に伴う収縮(乾燥収縮)が抑えられる。このため、硬化体のひび割れの発生を抑制することができ、硬化体の強度が高くなる。従って、この速硬性モルタル組成物は、断面修復材として特に有用である。
また、本実施形態の速硬性モルタル組成物において、細骨材を、速硬性モルタル組成物の全体量に対して10質量%以上67質量%以下の範囲内にて含有する場合は、初期強度発現性に優れたものとなると共に、水を加えた特の細骨材の流動性が向上する。このため、半たわみ性舗装における開粒度アスファルト混合物の空隙のように微細な空間内に対しても、細骨材が媒体となるので、良好に充填することができる。従って、この速硬性モルタル組成物は、舗装用注入材として特に有用である。
また、本実施形態の速硬性モルタル組成物においては、さらに、ケイ酸ナトリウムをカルシウムアルミネートと無水石膏の合計量100質量部に対して0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲内の量で含むことによって、初期強度がより向上する。
また、本実施形態の速硬性モルタル組成物においては、さらに、無水硫酸ナトリウムをカルシウムアルミネートと無水石膏の合計量100質量部に対して0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲内の量で含むことによって、初期強度の向上作用と白斑の発生の抑制作用と共に、流動性が向上する。
また、本実施形態の速硬性モルタル組成物においては、ミョウバンがカリウムミョウバンであって、カリウムミョウバンの含有量がカルシウムアルミネートと無水石膏の合計量100質量部に対して0.2質量部以上6.0質量部以下の範囲内にあることによって、初期強度の向上作用と白斑の発生の抑制作用とがより確実に向上する。
また、本実施形態の速硬性モルタル組成物においては、ミョウバンが、無機粉末とミョウバンとを質量比で20:80~80:20の範囲内の量で含む混合物として含まれていることによって、速硬性モルタル組成物中のミョウバンが均一に分散されやすくなり、ミョウバンによる作用が得られやすくなる。
本発明の作用効果を、実施例により詳しく説明する。
本実施例において使用した使用材料の種類、組成及び略号を、下記の表1に示す。
Figure 0007442372000001
[カルシウムアルミネート粉砕物の作製]
下記の表2に示すカルシウムアルミネートクリンカーを用意した。カルシウムアルミネートクリンカー100質量部に対して、炭酸ナトリウム(N)1.0質量部と酒石酸(Ta)0.5質量部を加えて、混合粉砕機を用いて、ブレーン比表面積が4500cm/gとなるまで粉砕して、カルシウムアルミネート粉砕物を得た。得られたカルシウムアルミネート粉砕物の組成、ブレーン比表面積の実測値を、下記の表3に示す。
Figure 0007442372000002
Figure 0007442372000003
[本発明例1]
カルシウムアルミネート粉砕物をカルシウムアルミネート量として45質量部、無水石膏(CS)を55質量部となる割合でV型混合機に投入して10分間混合することによってカルシウムアルミネートと石膏の混合物を得た。得られた混合物100質量部に対して、カリウムミョウバン混合物(BK)を6.0質量部、メタケイ酸ナトリウム(MS)を0.6質量部の割合で加えて、さらに10分間混合して速硬性混和材(SA)を作製した。得られた速硬性混和材(SA)100質量部に対して、普通ポルトランドセメント(N)400質量部、細骨材(S)500質量部、凝結調整剤(SET)8質量部、減水剤(6681F)1.5質量部、消泡剤(14HP)1.2質量部の割合で混合して速硬性モルタル組成物を作製した。
[比較例1]
カルシウムアルミネートと石膏の混合物100質量部に対して、カリウムミョウバン混合物(BK)及びメタケイ酸ナトリウム(MS)の代わりに、アルミン酸ナトリウム(AL)1.0質量部を加えたこと以外は、本発明例1と同様にして速硬性混和材(SA)を作製した。そして、得られた速硬性混和材(SA)を用いたこと以外は、本発明例1と同様にして速硬性モルタル組成物を作製した。
本発明例1及び比較例1で作製した速硬性混和材(SA)の組成を、下記の表4に示す。本発明例1及び比較例1で作製した速硬性モルタル組成物の組成を、下記の表5に示す。
Figure 0007442372000004
Figure 0007442372000005
[評価]
本発明例1及び比較例1で得られた速硬性モルタル組成物100質量部に対して、水を18質量部となる割合で混合してモルタルを作製した。なお、速硬性モルタル組成物は、製造直後(製造後1日以内)のものを使用した。得られたモルタルについて、J14ロート流下時間、凝結時間、圧縮強度の各物性を、下記の方法により測定した。また、圧縮強度の測定で得られた材齢が28日の供試体の白斑の有無を確認した。各物性の測定は5℃、20℃、35℃の各環境温度で行なった。その結果を、下記の表6に示す。
(J14ロート流下時間)
土木学会規準JSCE-F 541「充てんモルタルの流動性試験方法」に準拠して測定した。
(凝結時間)
JIS R 5201「セメントの物理試験方法」に準拠して測定した。
(圧縮強度)
JIS R 5201「セメントの物理試験方法」に準拠して測定した。
Figure 0007442372000006
本発明例1及び比較例1で得られた速硬性モルタル組成物を、ビニール袋(容量:12L)に梱包し、ビニール袋の角部の4カ所にピンホール(孔径:0.5mm)を開け、温度30℃、湿度80%RHの室内に静置して保存した。3ヵ月保存後と6ヵ月保存後の速硬性モルタル組成物を用いて、上記と同様にモルタルを作製して評価した。なお、各物性の測定は20℃の環境温度で行なった。その結果を、製造直後の速硬性モルタル組成物を用いて作製したモルタルの結果と併せて、下記の表7に示す。
Figure 0007442372000007
表6の結果から、製造直後の速硬性モルタル組成物を用いて作製したモルタルについては、本発明例1と比較例1との間で明らかな差は見られなかった。また、表7の結果から、本発明例1では、製造直後、3ヵ月保存後及び6ヵ月保存後のいずれにおいても同等の物性を示すことが確認された。これに対して、比較例1では、保護期間が長くなるに伴って、J14ロート流下時間及び凝結時間が長くなり、圧縮強度が低くなり、白斑が発生しやすくなることが確認された。これは、比較例1の速硬性モルタル組成物に含まれるアルミン酸ナトリウムが、保存中に湿して溶解し、その作用が失われたことによると考えられる。
[本発明例2~6]
本発明例1で作製した速硬性モルタル組成物に、有機短繊維としてPVA短繊維(PVA)を、速硬性モルタル組成物の全体量に対する含有量がそれぞれ0.05質量%(本発明例2)、0.1質量%(本発明例3)、0.5質量%(本発明例4)、1.0質量%(本発明例5)、3.0質量%(本発明例6)となる量にてそれぞれ添加し、混合して、本発明例2~6の有機短繊維含有速硬性モルタル組成物を作製した。得られた有機短繊維含有速硬性モルタル組成物100に対して水18質量部となる割合で混合して有機短繊維含有モルタルを作製した。
得られた有機短繊維含有モルタルについて、J14ロート流下時と疲労試験を行なった。疲労試験は、旧JSTM C 7104:1999「繰返し圧縮応力によるコンクリートの疲労試験方法」に準拠した方法により行なった。疲労試験の水準は、静的圧縮強度:50N/mm、上限応力比:65%、下限応力比:10%、繰返し速度:10Hzとし、供試体の寸法はφ50×100mmとした。その結果を、本発明例1の製造直後の速硬性モルタル組成物を用いて作製したモルタルの測定結果と共に、下記の表8に示す。
Figure 0007442372000008
表8の結果から、PVA短繊維を含む速硬性モルタル組成物を用いて作製した供試体(硬化体)の圧縮疲労耐久性は、短繊維の添加量が0.05質量%の場合でも大きく向上し、特に短繊維の添加量が0.1質量%以上になると格段に向上して、繰返し回数が200万回でも供試体の状況は健全となることが確認された。
[本発明例7~12]
本発明例1で作製した速硬性モルタル組成物に、再乳化粉末樹脂(P)を速硬性モルタル組成物の全体量に対する含有量がそれぞれ0.5質量%(本発明例7)、1.0質量%(本発明例8)、2.0質量%(本発明例9)、5.0質量%(本発明例10)、10.0質量%(本発明例11)、15.0質量%(本発明例12)となる量にてそれぞれ添加し、混合して、実施例7~12の再乳化粉末樹脂含有速硬性モルタル組成物を作製した。得られた再乳化粉末樹脂含有速硬性モルタル組成物100質量部に対して水を18質量部となる割合で混合して再乳化粉末樹脂含有モルタルを作製した。
得られた再乳化粉末樹脂含有モルタルについて、J14ロート流下時間を測定した。また、得られたモルタルを、ウオータジェットで目粗し処理を施したコンクリート平板の表面に、乾式吹き付け工法に塗布した。塗布した再乳化粉末樹脂含有モルタルを、材齢28日まで封かん養生して硬化させた。得られたモルタル硬化体の圧縮強度、および硬化体とコンクリート平板の付着強度を測定した。付着強度は建研式付着性試験機を用いて測定した。その結果を、本発明例1の製造直後の速硬性モルタル組成物を用いて作製したモルタルの測定結果と共に、下記の表9に示す。
Figure 0007442372000009
表9の結果から、再乳化粉末樹脂含有速硬性モルタル組成物を用いて作製した硬化体はコンクリート平板との付着強度が向上することが確認された。
[本発明例13~16]
本発明例1で作製した速硬性モルタル組成物に、シリカフューム(SF)を速硬性モルタル組成物の全体量に対する含有量がそれぞれ1.0質量%(本発明例13)、5.0質量%(本発明例14)、10.0質量%(本発明例15)、15.0質量%(本発明例16)となる量にてそれぞれ添加し、混合して本発明例13~16のシリカフューム含有速硬性モルタル組成物を作製した。得られたシリカフューム含有速硬性モルタル組成物に100質量部に対して水を18質量部となる割合で混合してシリカフューム含有モルタルを作製した。得られたシリカフューム含有モルタルを100×100×400mmの型枠に流し込み、試験体を作製した。作製した試験体の中性化深さ、塩化物イオン拡散係数、総細孔量を下記の方法により測定した。その結果を、本発明例1の製造直後の速硬性モルタル組成物を用いて作製したモルタルの測定結果と共に、下記の表10に示す。
(中性化深さの測定方法)
JIS A 1153「コンクリートの促進中性化試験方法」に準拠し、CO濃度5%の促進試験を実施して測定した。
(塩化物イオン拡散係数の測定方法)
土木学会規準 JSCE-G 572「浸漬によるコンクリート中の塩化物イオンの見掛けの拡散係数試験方法」に準拠して測定した。
(総細孔量の測定方法)
水銀圧入式ポロシメーターにより測定した。
Figure 0007442372000010
表10の結果から、シリカフューム含有速硬性モルタル組成物を用いて作製した試験体(硬化体)は総細孔量が減少し、これにより中性化の進行や塩化物イオンの拡散の進行が抑制されることが確認された。
[本発明例17~22]
実施例1で作製した速硬性モルタル組成物に、合成ポリマー系増粘保水剤(Ad)を速硬性モルタル組成物の全体量に対する含有量がそれぞれ0.05質量%(本発明例17)、0.10質量%(本発明例18)、0.50質量%(本発明例19)、1.00質量%(本発明例20)、3.00質量%(本発明例21)、5.00質量%(本発明例22)となる量にてそれぞれ添加し、混合して本発明例17~22の増粘保水剤含有速硬性モルタル組成物を作製した。得られた合成ポリマー系増粘保水剤含有速硬性モルタル組成物100質量部に対して水を18質量部となる割合で混合して合成ポリマー系増粘保水剤含有モルタルを作製した。
得られた合成ポリマー系増粘保水剤含有モルタルについて、J14ロート流下時間と材齢2日の圧縮強度を測定した。また、得られた合成ポリマー系増粘保水剤含有モルタルを用いて、凍結融解試験を実施した。試験方法は、JIS A 1145「コンクリートの凍結融解試験方法」に準拠して300サイクルまで行い、50サイクル目の動弾性係数を100%とした相対動弾性係数を測定した。その結果を、本発明例1の製造直後の速硬性モルタル組成物を用いて作製したモルタルの測定結果と共に、下記の表11に示す。
Figure 0007442372000011
表11の結果から、合成ポリマー系増粘保水剤の添加量の増加に伴ってモルタルのJ14ロート流下時間が大きくなること、すなわちモルタルの粘度が高くなることが確認された。また、合成ポリマー系増粘保水剤の添加量が0.05質量%以上のモルタルを用いて作製したモルタルの硬化体は、300サイクル終了後の相対動弾性係数が50%以上であり凍結融解試験における凍結融解抵抗性が向上した。特に、合成ポリマー系増粘保水剤の添加量が0.10%以上の場合は、300サイクル終了後の動弾性係数が70%以上となり凍結融解抵抗性がより向上した。さらに合成ポリマー系増粘保水剤の添加量が1.00%以上の場合は、300サイクル終了後の動弾性係数が100%であり、凍結融解抵抗性が格段に向上することが確認された。

Claims (13)

  1. 速硬性混和材とセメントと細骨材を含む速硬性モルタル組成物であって、
    前記速硬性混和材100質量部に対して、前記セメントを100質量部以上2000質量部以下の範囲内の量で含有し、
    前記速硬性混和材が、カルシウムアルミネートと、無水石膏と、無機炭酸塩と、オキシカルボン酸と、ミョウバンと、メタケイ酸ナトリウムと、石英粉末とを含み、
    前記カルシウムアルミネートは、Alに対するCaOの含有量がモル比で1.5以上2.0以下の範囲内にあって、ガラス化率が80%以上であり、
    前記無水石膏の含有量は、前記カルシウムアルミネートと前記無水石膏の合計量100質量部に対して35質量部以上65質量部以下の範囲内にあって、
    前記無機炭酸塩、前記オキシカルボン酸および前記ミョウバンの含有量は、それぞれ前記カルシウムアルミネートと前記無水石膏の合計量100質量部に対して0.1質量部以上であって、前記無機炭酸塩、前記オキシカルボン酸および前記ミョウバンの合計含有量は、前記カルシウムアルミネートと前記無水石膏の合計量100質量部に対して10質量部以下であることを特徴とする速硬性モルタル組成物。
  2. 前記速硬性混和材100質量部に対して、前記細骨材を200質量部以上1000質量部以下の範囲内の量で含有することを特徴とする請求項1に記載の速硬性モルタル組成物。
  3. 断面修復材であることを特徴とする請求項2に記載の速硬性モルタル組成物。
  4. 前記細骨材を、速硬性モルタル組成物の全体量に対して10質量%以上67質量%以下の範囲内の量で含有することを特徴とする請求項1に記載の速硬性モルタル組成物。
  5. 舗装用注入材であることを特徴とする請求項4に記載の速硬性モルタル組成物。
  6. 前記メタケイ酸ナトリウムを前記カルシウムアルミネートと前記無水石膏の合計量100質量部に対して0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲内の量で含む請求項1~5のいずれか1項に記載の速硬性モルタル組成物。
  7. さらに、無水硫酸ナトリウムを前記カルシウムアルミネートと前記無水石膏の合計量100質量部に対して0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲内の量で含む請求項1~6のいずれか1項に記載の速硬性モルタル組成物。
  8. 前記ミョウバンがカリウムミョウバンであって、前記カリウムミョウバンの含有量が前記カルシウムアルミネートと前記無水石膏の合計量100質量部に対して0.2質量部以上6.0質量部以下の範囲内にある請求項1~7のいずれか1項に記載の速硬性モルタル組成物。
  9. 前記ミョウバンが、前記石英粉末と前記ミョウバンとを質量比で20:80~80:20の範囲内の量で含む混合物として含まれている請求項1~8のいずれか1項に記載の速硬性モルタル組成物。
  10. さらに、有機短繊維および炭素短繊維のうちの1つ以上からなる短繊維を、速硬性モルタル組成物の全体量に対して0.05質量%以上0.3質量%以下の範囲内の量で含むことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の速硬性モルタル組成物。
  11. さらに、再乳化粉末樹脂を、速硬性モルタル組成物の全体量に対して0.5質量%以上30質量%以下の範囲内の量で含むことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の速硬性モルタル組成物。
  12. さらに、シリカフュームを、速硬性モルタル組成物の全体量に対して1質量%以上15質量%以下の範囲内の量で含むことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の速硬性モルタル組成物。
  13. さらに、合成ポリマー系増粘保水剤を、速硬性モルタル組成物の全体量に対して0.05質量%以上5.00質量%以下の範囲内で含むことを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の速硬性モルタル組成物。
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