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JP7442425B2 - エネルギー吸収構造 - Google Patents
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Description

本発明は、両端部が支持されたパイプに衝撃力が加わった際、パイプが潰れつつ3点塑性曲げ変形することで衝撃力を吸収するエネルギー吸収構造に関する。
高エネルギーを保持する物体が衝撃的に内部空間を有する構造体にぶつかった場合、構造体内部にいる人の安全は脅かされる。例えば、火山爆発により噴石が人や建物に直撃した事例や、ビル建設等の工事現場においては作業者や通行人に上から落下物が直撃した事例を耳にすることがある。高エネルギーを保持する物体の直撃を避けるために、火山近傍の山小屋では、噴石シェルターの設置やアラミド繊維を使った屋根部の補強が行われている(特許文献1参照)。また、ビル建設等の工事現場では、歩道の上方にルーフを取付け、落下物の通行人への直撃を防ぐ等の対策が行われている(特許文献2参照)。
これらの対策を行う場合、構造体の屋根部の補強に使われる部材は、大きく、重量が重いものがほとんどであり、それらの運搬や設置は、火山の場合、ヘリコプターや重機を使用する。工事現場では重機を使用する必要があり、高額な設置費用が必要となる。重機を使わずに衝撃エネルギーを吸収できる構造体を、落下物の危険がある場所に設置することができれば、設置コストの低減を図ることが可能になる。例えば、人が運ぶことが可能な重量のエネルギー吸収構造体を並列に並べ、エネルギーを吸収することができれば、設置に重機を使用する必要はなくなり、設置コストの削減や、重機が使えない場所への設置が可能になる。
また、車の側突対策として、一般に、高強度材を素材としたドアインパクトビームがドア内部に収容されている。ドアインパクトビームは、焼入れ鋼管(パイプ)の両端がドア内部に固定された構造であり(特許文献3の図11参照)、パイプの曲げや座屈変形を利用して衝突エネルギーを吸収する。しかし、パイプの両端がドア内部に固定されているため、側突時にパイプは両端固定支持の3点塑性曲げ変形となり、両端が固定されたパイプの中程に衝撃力が加わった際、パイプの曲げ外側の部分に大きな引張歪が発生する。このため、パイプの破断ストローク(曲げ変形による衝撃吸収ストローク)が短くなり、衝突物体側や被衝突側への衝撃力が大きくなってしまう。例えば、衝突物が人間であれば、衝撃力が小さいほど、怪我をする確率は減少する。
また、特許文献4には、揺動するスイング部材を停止させる際、緩衝器に加わるラジアル方向の衝撃荷重を軽減する緩衝装置が開示されている。この緩衝装置によれば、衝突を受けたローラが回転しながらスラスト方向およびラジアル方向の力を受け、ローラが無い場合に比べ衝撃エネルギーを低減することができる。しかし、この衝撃力はスイングアームが変形するほどのエネルギーではなく、重量物が落下してきた場合の衝撃力に比べ極めて弱く、本構造では高衝撃力の緩和には十分な効果は望めない。そして、スイングアームとローラの接触は線接触であり、接触部の応力増加は避けられない。また、ローラはその中心にあるピンを軸として回転するため、ピンにも衝撃力(剪断力)が伝わってしまう。
特開2017-186773号公報 特開2016-211350号公報 特開2000-108663号公報 特開平7-158677号公報
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、両端部が支持されたパイプに衝撃力が加わって、パイプが潰れつつ3点塑性曲げ変形することで衝撃力を吸収するエネルギー吸収構造において、曲げ変形による衝撃吸収ストロークを可及的に長くして衝撃力を低減したエネルギー吸収構造を提供することにある。
上記目的を達成すべく創案された本発明によれば、両端部を支持されたパイプに衝撃力が加わった際、パイプが曲げ変形しつつ潰れることで衝撃力を吸収するエネルギー吸収構造であって、パイプの両端部に夫々設けられ凸状または凹状の円弧面を有する支持部と、支持部の円弧面と符合する凹状または凸状の円弧面を有し支持部を支持する台座部と、支持部の円弧面の中心と台座部の円弧面の中心とを通るように配置され、支持部と台座部とを夫々の円弧面に沿って回転自在に連結するピンと、を備えたことを特徴とするエネルギー吸収構造が提供される。
本発明に係るエネルギー吸収構造においては、パイプが角パイプであり、角パイプの下面にその角パイプの長手方向に沿って板材が配置され、板材の両端部の下面に支持部が設けられており、角パイプに衝撃力が加わって角パイプおよび板材が曲げ変形した際、角パイプの下面と板材の上面との摺動を許容するように、板材の両端部が角パイプの両端部に固定されていてもよい。
本発明に係るエネルギー吸収構造においては、角パイプの曲げ剛性が板材の曲げ剛性よりも低い、或いは、角パイプの断面係数が板材の断面係数よりも小さく設定されていてもよい。
本発明に係るエネルギー吸収構造においては、パイプが間隔を隔てて複数並設されており、夫々のパイプの支持部と台座部とを連結するピンがパイプ毎に独立していてもよい。
本発明に係るエネルギー吸収構造においては、複数並設されたパイプの長さが異なっており、各パイプの傾斜角度を揃えるため、各パイプの支持部と台座部とを連結するピンの高さが、パイプが短くなる程高くなっていてもよい。
本発明に係るエネルギー吸収構造によれば、両端部が支持されたパイプに衝撃力が加わってパイプが潰れつつ3点塑性曲げ変形する際、パイプの両端部が回転不能な固定端ではなく回転自在な自由端なので、曲げ変形するパイプの曲げ外側の部分に生じる引張歪を軽減でき、曲げ変形による衝撃吸収ストロークを可及的に長くして衝撃力を低減できる。
本発明の第1実施形態に係るエネルギー吸収構造の説明図である。 図1の部分拡大図である。 図2のピンを支持するブラケットの説明図であり、(a)はブラケットの正面図、(b)は縦断面図、(c)は背面図、(d)は平面図である。 第1実施形態に係るエネルギー吸収構造が衝撃力を受けてエネルギーを吸収する様子を示す説明図であり、(a)は衝撃力を受ける前のエネルギー吸収構造の正面図、(b)は衝撃力を受けた後の正面図である。 曲げ変形したパイプ(角パイプ)および板材の歪分布を示す説明図であり、(a)は角パイプと板材とが独立変形した場合(第1実施形態)の歪分布を示す説明図、(b)は角パイプと板材とが一体変形した場合の歪分布を示す説明図である。 図1のエネルギー吸収構造を複数並設した本発明の第2実施形態に係るエネルギー吸収構造を示す説明図である。 第2実施形態に係るエネルギー吸収構造の組立図である。 第2実施形態に係るエネルギー吸収構造の組立手順を示す説明図であり、(a)は第1手順、(b)は第2手順、(c)は第3手順、(d)は第4手順、(e)は第5手順、(f)は第6手順、(g)は第7手順、(h)は第8手順、(i)は第9手順、(j)は第10手順、(k)は第11手順を示す。 図1のエネルギー吸収構造を、パイプの長さを異ならせて複数並設した本発明の第3実施形態に係るエネルギー吸収構造を示す説明図である。 第3実施形態に係るエネルギー吸収構造の平面図およびブラケットの説明図である。 (a)は図9の部分拡大図、(b)はその組立図である。 図11(b)の部分拡大図である。 図12に示すピンを支持するブラケットの説明図であり、(a)はブラケットの正面図、(b)は側面図、(c)は平断面図である。 第3実施形態に係るエネルギー吸収構造の説明図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。 本発明の第4実施形態に係るエネルギー吸収構造を示す説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。係る実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(第1実施形態:エネルギー吸収構造)
図4(a)、図4(b)に示すように、本発明の第1実施形態に係るエネルギー吸収構造1は、両端部を支持されたパイプ2に衝撃力が加わった際、パイプ2が曲げ変形しつつ潰れることで衝撃力を吸収するものである。図1、図2に示すように、本実施形態に係るエネルギー吸収構造1は、パイプ2の両端部に夫々設けられ凸状の円弧面3を有する支持部4と、支持部4の円弧面3と符合する凹状の円弧面5を有し支持部4を支持する台座部6と、支持部4の円弧面3の中心3xと台座部6の円弧面5の中心5xとを通るように配置され、支持部4と台座部6とを夫々の円弧面3、5に沿って回転自在に連結するピン7と、を備えている。なお、本実施形態とは逆に、支持部4の凸状の円弧面3を凹状の円弧面とし、台座部6の凹状の円弧面5を凸状の円弧面としてもよい。
(支持部4)
図2に示すように、パイプ2は、角パイプ2からなり、角パイプ2の下面には、その角パイプ2の長手方向に沿って板材8が配置され、板材8の両端部の下面に、上述した支持部4が取り付けられている。支持部4は、板材8の両端部の下面に溶接やボルト締結等によって取り付けられた支持ブロック4aと、支持ブロック4aの下面に角パイプ2の長手方向と直交するように一体的に突設された円弧面3を有する支持凸部4bとから成る。この支持部4には、円弧面3の中心3xに位置して、角パイプ2の長手方向と直交するように、第1孔9が形成されている。
(台座部6)
図2に示すように、台座部6は、支持部4の円弧面3と符合する凹状の円弧面5を有する台座ブロック6aと、台座ブロック6aの下面に溶接やボルト締結等で取り付けられた基板6bと、基板6bに台座ブロック6aを挟むように取り付けられたブラケット6cとから成る。ブラケット6cには、このブラケット6cがボルト10で基板6bに締結されたとき、台座ブロック6aに形成された凹状の円弧面5の中心5xを通るように、第2孔11が形成されている(図3参照)。なお、台座ブロック6aと基板6bとは一体構造であってもよい。基板6bは、衝撃力を受け止める基台12(図4(a)参照)に取り付けられる。
(ピン7)
図2に示すように、台座部6の凹状の円弧面5に支持部4の凸状の円弧面3が載置された状態で、台座部6の第2孔11と支持部4の第1孔9とには、ピン7が挿通されている。ピン7は、支持部4の円弧面3の中心3xと台座部6の円弧面5の中心5xとを通るように配置され、支持部4と台座部6とを夫々の円弧面3、5に沿って回転自在に連結するものである。
これにより、図4(a)、図4(b)に示すように、両端部が支持された角パイプ2に衝撃力が加わって角パイプ2が潰れつつ3点塑性曲げ変形する際、角パイプ2の両端部が回転不能な固定端ではなく回転自在な自由端となるので、曲げ変形する角パイプ2の曲げ外側(図中の下側)の部分に生じる引張歪を、角パイプ2の両端が固定端の場合と比べて軽減でき、曲げ変形による衝撃吸収ストロークを長くでき、衝撃力を低減できる。
(角パイプ2、板材8の独立曲げ変形)
図1に示す板材8は、その両端部(両端開口の近傍部分、支持部4が取り付けられた部分)のみが角パイプ2の下面に溶接やボルト締結等によって固定されており、両端部以外の部分は角パイプ2に固定されていない。これにより、図4(a)、図4(b)に示すように、角パイプ2の中程(両端の支持部4同士の間の部分)に衝撃力が加わって角パイプ2および板材8が曲げ変形した際、図5(a)に示すように、角パイプ2の下面と板材8の上面との摺動が許容される。すなわち、角パイプ2に衝撃力が加わって角パイプ2および板材8が曲げ変形した際、角パイプ2の下面と板材8の上面とが摺動して、角パイプ2と板材8とが独立して曲げ変形するように、板材8の両端部が角パイプ2の両端部に固定されている。
この結果、図4(b)に示すように、角パイプ2に衝撃力が加わって角パイプ2および板材8が曲げ変形した際、図5(a)に示すように角パイプ2と板材8とは各々独立した曲げ変形となり、図5(b)に示すように角パイプ2および板材8が一体で曲げ変形する場合と比べ、一点鎖線で示す中立軸Nから外表面までの長さが短くなり、最大曲げ歪Eも減少する。すなわち、図5(a)に示す角パイプ2の中立軸N1からその外表面までの長さ、板材8の中立軸N2からその外表面までの長さが、図5(b)に示す角パイプ2と板材8が一体的に曲げ変形する場合の中立軸N3から外表面までの長さよりも短くなるため、最大曲げ歪Eが減少する。よって、破断曲げ歪までの曲げストロークを長くすることができ、エネルギー吸収量が増加する。
(角パイプ2、板体8の曲げ剛性)
図4(a)、図4(b)に示すように、曲げ変形される角パイプ2および板材8は、角パイプ2の曲げ剛性が板材8の曲げ剛性よりも低く設定されている。すなわち、板材8の板厚を角パイプ2の肉厚よりも厚くし、板材8の素材に角パイプ2の素材よりも高強度な材料(高張力鋼等)を用いることで、板材8の曲げ剛性を角パイプ2の曲げ剛性よりも高めている。
これにより、角パイプ2および板材8に上方から衝撃力を受けたとき、角パイプ2の座屈変形が誘発され、エネルギー吸収量が増加する。なお、板厚および素材の何れか一方のみを変更して曲げ剛性を調整してもよい。また、板厚や素材を調節して、角パイプ2の断面係数を板材8の断面係数よりも小さく設定しても、同様に、曲げ変形時に角パイプ2の座屈変形を誘発できる。
(作用・効果)
材料力学的に梁の3点曲げを考えると、梁(矩形断面板材)の表面が破断歪に達するまでの曲げストロークは、梁の両端が固定支持された場合は、梁の両端が自由端支持の場合の1/2である。一方、梁の表面が破断歪に達するまでの静的荷重は、両端固定支持は両端自由端支持の2倍になる。よって、弾性範囲におけるエネルギー吸収量は両端固定支持、両端自由端支持でも変化はない。しかし、物体がある速度で被衝突物である梁に衝突し、等加速度運動により速度がゼロになったと仮定した場合、衝撃力は減衰に必要なストロークに反比例するので、ストロークが2倍になれば衝撃力を1/2にすることができる。梁が衝撃力を受ける場合は、衝突物への影響を考える必要があり、剛体で衝撃エネルギーを受けるのではなく、同じエネルギーを吸収するのであれば、ストロークが長い方が構造体として好ましい。
本実施形態に係るエネルギー吸収構造1によれば、図4(a)、図4(b)に示すように、両端部が支持された角パイプ2に衝撃力が加わって角パイプ2が3点塑性曲げ変形する際、角パイプ2の両端部が回転不能な固定端ではなく回転自在な自由端となるので、角パイプ2の両端が固定端の場合と比べて、曲げ変形による衝撃吸収ストローク(破断歪に到達するまでの曲げストローク)を2倍に長くでき、衝撃力を1/2に低減できる。また、角パイプ2は、曲げ変形すると同時に座屈(潰れ)変形し、この座屈変形によっても衝撃が吸収されるため、衝撃吸収ストロークを更に長くすることができる。
破断タイミングに影響する曲げ歪は、「板厚/(2×中立軸の曲率半径)」で示される。本実施形態においては、図5(a)に示すように、角パイプ2と板材8とが各々独立した曲げ変形となるため、図5(b)の角パイプ2と板材8とが一体で曲げ変形する場合と比べ、中立軸Nから外表面までの長さが短くなり、最大曲げ歪Eも減少する。すなわち、図5(a)に示す角パイプ2の中立軸N1からその外表面までの長さ、板材8の中立軸N2からその外表面までの長さが、図5(b)に示す角パイプ2と板材8が一体的に曲げ変形する場合の中立軸N3から外表面までの長さよりも短くなるため、最大曲げ歪Eが減少する。よって、破断曲げ歪までの曲げストロークを、角パイプ2と板材8とが一体で曲げ変形する場合よりも長くすることができ、エネルギー吸収量が増加する。
本実施形態においては、図4(a)、図4(b)に示すように、曲げ変形される角パイプ2および板材8は、肉厚板厚や材質の調整により、角パイプ2の曲げ剛性が板材8の曲げ剛性よりも低く設定されている、或いは角パイプ2の断面係数が板材8の断面係数よりも小さく設定されている。これにより、角パイプ2および板材8に上方から衝撃力を受けたとき、板材8が曲げ変形で角パイプ2が曲げ及び座屈変形の組み合わせとなるように変形モードがコントロールされる。この結果、角パイプ2の座屈変形が誘発され、エネルギー吸収量が増加する。
図4(b)に示すように、角パイプ2に衝撃力が加わった際、その衝撃力は、支持部4の凸状の円弧面3と台座部6の凹状の円弧面5とによって面支持されるので(図2参照)、特許文献4の図1に記載されたものようにローラで線支持される場合と比べて面圧を低減できる。
また、図2に示す支持部4と台座部6とを連結するピン7が、支持部4の円弧面3の中心3xと台座部6の円弧面5の中心5xとを通るように配置されているので、図4(b)に示すように、角パイプ2に衝撃力が加わった際、角パイプ2の両端部の回転を許容しつつ、ピン7に加わる剪断力を可及的に小さくでき、ピン7の破損を防止できる。
ここで、図2において、支持部4の第1孔9の孔径を台座部6の第2孔11の孔径よりも大きくし、支持部4の凸状の円弧面3が台座部6の凹状の円弧面5に着座した状態で、ピン7が手前側の第2孔11から第1孔9を通って奥側の第2孔11まで差し込まれたとき、そのピン7と第1孔9との間に所定の隙間(1~2mm程度)が形成されるようにしてもよい。これにより、支持部4の凸状の円弧面3が台座部6の凹状の円弧面5に常に着座した状態となり、図4(b)に示すように、角パイプ2に衝撃力が加わったとき、衝撃力の全てを支持部4の円弧面3と台座部6の円弧面5とで受けて面支持でき、ピン7に加わる剪断力を零にできる。
また、支持部4と台座部6とがピン7で連結されているので、角パイプ2に衝撃力が加わったとき、衝撃力によって角パイプ2が跳ね上がって、角パイプ2の支持部4が台座部6から離脱する事態を防止できる。
以上により、安全に高いエネルギー吸収が可能となる。例えば、ビルの高層階からの落下物や火山噴石物等に対し、3点塑性曲げ変形のストロークをできるだけ長くして衝撃力を吸収でき、衝撃エネルギー吸収力を向上できる。また、衝撃吸収でよく使用されるダイクエンチ材等の成形、加工が不要であり、特殊設備が無くても安価に製造できる。
また、図1、図2に示すように、このエネルギー吸収構造1は、第1サブアセンブリ品(角パイプ2、板材8、支持部4)と、第2サブアセンブリ品(台座ブロック6a、基板6b、ブラケット6c、台座部6)と、これらを連結するピン7とから構成されているため、各部品の重量が重くなく、重機がなくても人力で容易に組み立てることができる。よって、設置コストを削減でき、火山シェルターやビル工事用歩道シェルター等、重機が進入できない場所への設置が可能になる。
(第2実施形態:パイプ並設タイプ)
ところで、火山噴石やビル高層階からの落下物は、一般的にパイプ2の幅(径)よりも大きく、1本のパイプ2のみで衝突エネルギーを吸収することは難しい。そこで、第2実施形態に係るエネルギー吸収構造1bにおいては、第1実施形態のエネルギー吸収構造1を複数平行に並べることで、より大きな衝撃力に対応し、より大きな衝撃力作用面積に対応するようにした。
図6、図7に、第2実施形態に係るエネルギー吸収構造1bを示す。このエネルギー吸収構造1bにおいては、第1実施形態のパイプ2が間隔を隔てて複数並設されている。各パイプ2は、噴石等の衝撃力を受けたとき曲げ変形に加えて潰れて座屈変形するため、隣接するパイプ2同士の間隔は、座屈時に干渉しない間隔(例えばパイプ幅の1/3~2/3)に設定されている。また、夫々のパイプ2の支持部4と台座部6とを連結するピン7は、パイプ2毎に独立している。
第2実施形態のエネルギー吸収構造1bを構成する各部品は、第1実施形態のエネルギー吸収構造1を構成する各部品と同様の形状、構造および名称である。よって、各部品についての詳しい説明は省略し、複数のパイプ2を並設する際の組立手順のみについて説明する。
(組立手順)
先ず、図8(a)に示すように、台座部6として、細長い長方形状の基板6cに、長手方向に等間隔を隔てて台座ブロック6aが複数設けられたものを用意する。台座ブロック6aは、基板6bに下面からボルト締結されていても、基板6bに一体的に形成されていてもよい。隣り合う台座ブロック6aの間には、ブラケット6cを取り付けるための溝6dが形成されている。
図8(b)に示すように、基台6bの奥側の端部の溝にブラケット6eをボルト10で締結する。ブラケット6eには、このブラケット6eを基台6bにボルト10で締結したとき、台座ブロック6aの凹状の円弧面5の中心5xを通るように第2孔11eが形成されている。この第2孔11eは、図7に示すように、貫通孔ではなく窪み孔(座ぐり孔)であり、ピン7の脱落を防止する。
図8(c)に示すように、台座ブロック6の凹状の円弧面5に、角パイプ2の板材8に取り付けられた支持部4の凸状の円弧面3を載置する。支持部4には、凸状の円弧面3の中心3xに位置して、角パイプ2の長手方向と直交するように、第1孔9が形成されている。角パイプ2と板材8とは、第1実施形態と同様に両端部のみがボルト締結や溶接等によって固定されており、図4(b)に示すように中程に衝撃を受けたとき、図5(a)に示すように独立して曲げ変形するようになっている。
図8(d)に示すように、基台6bの溝6dにブラケット6cをボルト10で締結する。ブラケット6cには、このブラケット6cを基台6bにボルト10で締結したとき、台座ブロック6aの凹状の円弧面5の中心5xを通るように第2孔9が形成されている。この第2孔9は、図7に示すように、貫通孔である。第2孔11にピン7を差し入れる。ピン7は、手前側のブラケット6cの第2孔11(貫通孔)から支持部4の第1孔9を通り、奥側のブラケット6eの第2孔11e(窪み孔)の底に突き当たるまで差し入れられる。このように差し入れられたピン9は、図8(e)に示すように、ピン端面が手前側のブラケットの第2孔の内部に、ブラケット6cの板厚の半分の位置まで差し込まれた状態となる。
図8(f)に示すように、その隣の台座ブロック6aの凹状の円弧面5に、角パイプ2の板材8に取り付けられた支持部4の凸状の円弧面3を載置し、図8(g)に示すように、基台6bの溝6cにブラケット6cをボルト10で締結する。ブラケット6cには、図7に示すように、第2孔11が貫通形成されている。第2孔11にピン7を差し入れる。ピン7は、手前側のブラケット6cの第2孔11(貫通孔)から支持部4の第1孔9を通り、奥側のブラケット6cの第2孔11の中程に位置する奥側のピン7の端面に突き当たるまで差し入れられる。このように差し入れられたピンは7、図8(h)に示すように、ピン端面が手前側のブラケット6cの第2孔11の内部に、ブラケット6cの板厚の半分の位置まで差し込まれた状態となる。
同様の作業を繰り返し、図8(i)に示すように、最後の右端の角パイプ2の板材8に取り付けられた支持部4に形成された第1孔9に、ピン7を差し入れる。ピン7は、第1孔9を通って奥側のブラケット6cの第2孔11の中程に位置する奥側のピン7(図8(h)参照)の端面に突き当たるまで差し入れられる。このように差し入れられたピン7は、図8(j)に示すように、ピン端面が第1孔9から突出した状態となる。基台6bの端部の溝6dにブラケット6fを載置する。ブラケット6fには、図7に示すように、第1孔9から突出したピン7が差し入れられる第2孔11fが形成されている。第2孔11fは、貫通孔ではなく窪み孔であり、ピン7の脱落を防止する。最後に図8(k)に示すように、ブラケット6fをボルト10で基板6bに締結して、組立て完了となる。
以上の手順により、角パイプ2、板材8、支持部4から成る第1サブアセンブリ品を一つずつ台座部6に組み付けることができるため、重機無しで現地での組み立てが可能となり、組立性が向上する。また、角パイプ2が間隔を隔てて複数並設されているため、複数の角パイプ2によって広い面積で衝撃力を受けることができる。また、各角パイプ2が間隔を隔てて並設されているため、衝撃力によって座屈変形した隣り合う角パイプ2同士が干渉する事態を回避できる。ここで、ブラケット6cは、ピン7を支持することに加え、角パイプ2の間隔を保持するスペーサとしても機能する。なお、ピン7は、1本の長いピンを用いてもよい。その他、第2実施形態の基本的な作用効果は第1実施形態と同様である。
(第3実施形態:パイプの長さが異なるタイプ)
図9、図10に、第3実施形態に係るエネルギー吸収構造1cを示す。このエネルギー吸収構造1cは、第2実施形態のエネルギー吸収構造1bのパイプ2の長さを異ならせたものである。詳しくは、複数並設されたパイプ2の一端(図9の右端、図10の上端)は揃っており、他端(図9の左端、図10の下端)が段差状に配置されている。この構成において、各パイプ2を一端側から他端側に傾斜して配設する場合、段差状となっているパイプ2の他端側のピン7の高さが全て同じであると、短いパイプ2ほど傾斜角度が急になってしまう。
そこで、第3実施形態に係るエネルギー吸収構造1cでは、各パイプ2の傾斜角度を揃えるため、段差状となっているパイプ2の他端側において、各パイプ2の支持部4と台座部6とを連結するピン7の高さが、パイプ2の長さに応じて、パイプ2が短くなる程高くなっている(図14(a)、図14(b)、図14(c)参照)。これにより、複数並設された各パイプ2の長さが異なっていても、各パイプ2の傾斜角度を揃えることができ、ルーフ材としての機能性および意匠性が向上する。
第3実施形態に係るエネルギー吸収構造1cは、図9、図10において、パイプ2の端部が揃った側(図9の右側、図10の上側の端部)の構成は第2実施形態と同様であるので説明を省略し、パイプ2の端部が段差状の側(図9の左側、図10の下側の端部)の構成についてのみ説明する。図11(a)に第3実施形態に係るエネルギー吸収構造1cの部分斜視図を示し、図11(b)にその分解図を示し、図12に図11(b)の部分拡大図を示す。
図10、図11(a)、図11(b)に示すように、複数並設されたパイプ2の段差状に配置された側において、台座部6は、上方から見て斜めに形成された基板6bと、基板6bに斜めに間隔を隔てて配置された複数の台座ブロック6aと、各台座ブロック6aの間に配設された中間ブラケット6gと、基板6bの端部に配設された端部ブラケット6hとを備えている。台座ブロック6aは、基板6bに下面からボルト締結されていても、基板6bに一体的に形成されていてもよい。中間ブラケット6gは、基板6bにボルト10で締結されている。
図12に示すように、基板6bの上面には、図11(b)に示すように手前側(パイプ2が長い側)から奥側(パイプ2が短い側)に高くなるように段差面6xが形成されており(図14参照)、各段差面6xに、台座ブロック6aおよび中間ブラケット6gが取り付けられている。かかる段差面6xによって、中間ブラケット6gに取り付けられるピン7aの高さが、パイプ2が短くなるほど高くなる。段差面6x同士の段差縦壁6yは、中間ブラケット6gの奥行き方向の位置決め部材を兼ねている。
図12に示すように、基板6bに設けられた台座ブロック6aには、第1実施形態と同様の凹状の円弧面5が形成されている。基板6bにボルト10で取り付けられる中間ブラケット6gには、手前側の台座ブロック6aの円弧面5の位置に合わせてストレート孔13が形成され、奥側の台座ブロック6aの円弧面5の位置に合わせて段差孔14が形成されている(図13参照)。
図12に示すように、ストレート孔13は、中間ブラケット6gがボルト10で基板6bに締結されたとき、手前側の台座ブロック6aの円弧面5の中心を通るように形成されている。段差孔14は、ストレート孔13よりも高い位置に形成されており、中間ブラケット6gがボルト10で基板に締結されたとき、奥側の台座ブロック6aの円弧面5の中心を通るように形成されている。図13に示すストレート孔13と段差孔14との高さ差は、図14(a)に示す隣り合う段差面6xの高さ差と一致している。これにより、全ての中間ブラケット6gに同一形状のものを用いることができる。
図12に示すように、手前側の中間ブラケット6gの段差孔14に差し入れられたフランジ付きピン7aは、図14に示すように、支持部4の第1孔9を挿通し、奥側の中間ブラケット6gのストレート孔13に差し入れられる。ストレート孔13に差し入れられたフランジ付きピン7aの端面にはネジ孔(図示省略)が形成されており、そのネジ孔には、ワッシャ15を介してボルト16がネジ込まれる。これにより、フランジ付きピン7aが抜け止めされる。
また、図10に示すように、下側左端部の端部ブラケット6hには、ストレート孔11gが単独で形成されており、そのストレート孔11gに挿通されたフランジ付きピン7aの端面にボルト16で取り付けられたワッシャ15によって、フランジ付きピン7aが抜け止めされる。また、下側右端部の端部ブラケット6hには、段差孔11hが単独で形成されており、その段差孔11hに挿通されたフランジ付きピン7aのフランジによってフランジ付きピン7aが抜け止めされる。
第3実施形態に係るエネルギー吸収構造1cによれば、図9に示すように、複数並設された各パイプ2の長さが異なっていても、各パイプ2の傾斜角度を揃えることができ、火山シェルターやビル工事用歩道シェルターやマンションエントランス等のルーフ材としての機能性および意匠性が向上する。その他、第3実施形態の基本的な作用効果は第2実施形態、第1実施形態と同様である。
(第4実施形態:ルーフ材)
図15に、第4実施形態に係るエネルギー吸収構造1dを適用したルーフを示す。このルーフは、例えば、火山シェルターやビル工事用歩道シェルターやマンションエントランス等に用いられる。第4実施形態に係るエネルギー吸収構造1dは、第2実施形態に係るエネルギー吸収構造1bと、第3実施形態に係るエネルギー吸収構造1cとを隣り合わせて配設し、第2実施形態のエネルギー吸収構造1bの角パイプ2の上に、角パイプ2群に合わせて長方形状のルーフ板17を取り付け、第3実施形態のエネルギー吸収構造1cの角パイプ2の上に、角パイプ2群に合わせて台形状のルーフ板18を取り付けたものである。
ルーフ板17、18の角パイプ2への取り付けには、ボルトナット等の締結手段が用いられる。ルーフ板17、18には、ルーフとして使用される建築材料や、金属系の板が用いられ、組立作業者が手で持てる重量となるように、板厚や大きさが設定されている。ルーフ板17、18と角パイプ2とは別材質でもよい。その場合、電触を回避するため、それらの間に絶縁材を介設するなど対策を施す。
第4実施形態に係るエネルギー吸収構造1dによれば、火山シェルターやビル工事用歩道シェルターやマンションエントランス用のルーフとして用いる際、意匠性に優れ、ルーフ板17、18によって、各角パイプ2同士の隙間からの雨や異物の侵入を防ぐことができる。その他、第4実施形態の基本的な作用効果は、第3実施形態、第2実施形態、第1実施形態と同様である。
以上、添付図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されないことは勿論であり、特許請求の範囲に記載された範疇における各種の変更例または修正例についても、本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。
例えば、図1に示す角パイプ2と板材8とは、同じ幅でなくてもよく、角パイプ2の幅が板材8よりも狭くても広くてもよい。角パイプ2は、アルミ押出材のような中空部にリブが入っているものでもよく、設定される衝撃力によって断面形状を日の字断面、目の字断面などから選定される。
本発明は、両端部が支持されたパイプに衝撃力が加わった際、パイプが潰れつつ3点塑性曲げ変形することで衝撃力を吸収するエネルギー吸収構造に係り、火山シェルターやビル工事用歩道シェルターやマンションエントランス用ルーフ等、重量物が衝撃的に当たった場合、その下方の内部空間の人間を安全に守るエネルギー吸収構造に利用できる。
1 エネルギー吸収構造(第1実施形態)
1b エネルギー吸収構造(第2実施形態)
1c エネルギー吸収構造(第3実施形態)
1d エネルギー吸収構造(第4実施形態)
2 パイプ(角パイプ)
3 凸状の円弧面
3x 円弧面3の中心
4 支持部
5 凹状の円弧面
5x 円弧面5の中心
6 台座部
7 ピン
8 板材

Claims (5)

  1. 両端部を支持されたパイプに衝撃力が加わった際、前記パイプが曲げ変形しつつ潰れることで衝撃力を吸収するエネルギー吸収構造であって、
    前記パイプの両端部に夫々設けられ凸状または凹状の円弧面を有する支持部と、
    該支持部の円弧面と符合する凹状または凸状の円弧面を有し前記支持部を支持する台座部と、
    前記支持部の円弧面の中心と前記台座部の円弧面の中心とを通るように配置され、前記支持部と前記台座部とを夫々の円弧面に沿って回転自在に連結するピンと、を備えたことを特徴とするエネルギー吸収構造。
  2. 前記パイプが角パイプであり、該角パイプの下面にその角パイプの長手方向に沿って板材が配置され、該板材の両端部の下面に前記支持部が設けられており、
    前記角パイプに衝撃力が加わって前記角パイプおよび前記板材が曲げ変形した際、前記角パイプの下面と前記板材の上面との摺動を許容するように、前記板材の両端部が前記角パイプの両端部に固定されている、ことを特徴とする請求項1に記載のエネルギー吸収構造。
  3. 前記角パイプの曲げ剛性が前記板材の曲げ剛性よりも低い、或いは、前記角パイプの断面係数が前記板材の断面係数よりも小さい、ことを特徴とする請求項2に記載のエネルギー吸収構造。
  4. 前記パイプが間隔を隔てて複数並設されており、夫々のパイプの前記支持部と前記台座部とを連結する前記ピンがパイプ毎に独立している、ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のエネルギー吸収構造。
  5. 複数並設された前記パイプの長さが異なっており、各パイプの傾斜角度を揃えるため、各パイプの前記支持部と前記台座部とを連結する前記ピンの高さが、前記パイプが短くなる程高くなっている、ことを特徴とする請求項4に記載のエネルギー吸収構造。
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