添付図面を参照して、本発明による無線通信信号検出装置および無線通信信号検出方法を実施するための形態を以下に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、一実施形態による無線通信信号検出装置1を使用する環境の一構成例を示す図である。本実施形態では、2種類の無線通信システムで使用される無線信号が重畳して到来する環境において、これら2種類の無線通信システムのうちのより優先される無線通信システムの無線信号を検出する場合について説明する。
本実施形態による無線通信信号検出装置1および無線通信信号検出方法の基本的な動作原理は、例えば、以下のとおりであってもよい。すなわち、第1の無線通信システムにおいて周期的に発生する無通信期間を含む無線通信信号の構造を利用して、この無通信期間における受信電力が所定の閾値を超えたときに、第2の無線通信システムの無線信号を検出したと判定する。
図1の環境には、無線通信信号検出装置1と、第1基地局21と、第1端末22Aおよび22Bと、第2基地局31と、第2端末32とが配置されている。以降、第1端末22Aおよび22Bを区別する必要が無ければ、これらを単に第1端末22と記す場合がある。
第1基地局21と、第1端末22とは、第1無線通信システムに属する。以降、第1無線通信システムがTD-LTE(Time Division Long Term Evolution:時分割ロングタームエボリューション)方式によって無線通信を行う場合について説明するが、これはあくまでも一例であって、本実施形態を限定しない。この場合、第1端末22は、例えば、携帯電話やスマートフォンなどの移動体端末であってもよい。また、第1端末22の総数は制限されず、第1基地局21が複数であってもよい。
第2基地局31と、第2端末32とは、第1無線通信システムとは異なる第2無線通信システムに属する。以降、第2無線通信システムがFPU(Field Pickup Unit:フィールドピックアップユニット)方式によって無線通信を行う場合について説明するが、これはあくまでも一例であって、本実施形態を限定しない。この場合、第2端末32は、例えば、テレビ放送用の中継車であってもよい。第2基地局31の総数および第2端末32の総数は制限されない。
ここで、第1無線通信システムおよび第2無線通信システムが、同じ周波数帯域を利用する場合について考える。このような場合には、混信を防ぐために、一方の無線通信システムが無線通信を行う際には、他方の無線通信システムの無線通信を停止してもよい。
一例として、第1無線通信システムが定常的に無線通信を行っている中で、第2無線通信システムが短期的に無線通信を開始した場合について考える。このような場合には、第2無線通信システムを優先して、第2無線通信システムの無線通信が終了するまで、第1無線通信システムの無線通信を停止する制御が考えられる。
なお、もし第1無線通信システムが、複数の周波数帯域を束ねて利用するキャリアアグリゲーションなどの技術に対応していれば、これら複数の周波数帯域のうちの1つの周波数帯域の利用を停止しても、残りの周波数帯域の利用を継続することで、通信速度は低下したとても、無線通信そのものが停止する心配は無い。
本実施形態による無線通信信号検出装置1は、このような環境に配置されている。ただし、第1無線通信システムからも、第2無線通信システムからも、所望の周波数帯域を利用して無線通信を行っているかどうかを示す情報を受け取っていない。このような条件下でも、本実施形態による無線通信信号検出装置1は、第1無線通信システムが定常的に無線通信を行っている中で、第2無線通信システムの無線信号を検出できることを、以下に説明する。
本実施形態による無線通信信号検出装置1の構成要素について説明する。図2Aは、一実施形態による無線通信信号検出装置1の一構成例を示すブロック回路図である。図2Aの無線通信信号検出装置1は、バス10、入出力インタフェース11、演算装置12、記憶装置13、外部記憶装置14およびセンサ装置15を備えている。
図2Aに示した構成要素の接続関係について説明する。バス10は、入出力インタフェース11、演算装置12、記憶装置13、外部記憶装置14およびセンサ装置15に、電気的に接続されている。言い換えれば、入出力インタフェース11、演算装置12、記憶装置13、外部記憶装置14およびセンサ装置15は、バス10を介して、相互に電気的に接続されている。その他、外部記憶装置14は、記録媒体141に着脱可能に接続されている。
図2Aに示した構成要素の動作について説明する。バス10は、他の構成要素の間の電気的な通信を、直接的または間接的に仲介する。入出力インタフェース11は、外部との有線通信または無線通信を行う。演算装置12は、記憶装置13に格納されたプログラムを読み出して実行することによって任意の機能を実現する。記憶装置13は、演算装置12が使用するプログラムおよびデータを読み出し可能に格納する。記憶装置13は、演算装置12がプログラムを実行した結果として得られるデータを格納してもよい。外部記憶装置14は、記録媒体141からプログラムおよびデータを読み出し、また、記録媒体141にプログラムおよびデータを書き込む。センサ装置15は、所定の周波数帯域に含まれる無線通信信号の受信電力を観測する。
本実施形態による無線通信信号検出装置1の構成要素について、機能の観点から説明する。図2Bは、一実施形態による無線通信信号検出装置1の一構成例を示す機能ブロック回路図である。図2Aの無線通信信号検出装置1は、バス10、入出力インタフェース11、平均電力算出部121、特徴期間検出部122、閾値決定部123、判定部124、記憶装置13、外部記憶装置14およびセンサ装置15を備えている。
ここで、平均電力算出部121、特徴期間検出部122、閾値決定部123および判定部124は、図2Aの演算装置12が記憶装置13のプログラムを実行することによって実現する複数の機能を複数の機能部として表している。したがって、平均電力算出部121、特徴期間検出部122、閾値決定部123および判定部124は、演算装置12と同様に、バス10に接続されている。
なお、図2Bに示したバス10、入出力インタフェース11、記憶装置13、外部記憶装置14およびセンサ装置15については、図2Aの場合と同様であるので、さらなる詳細な説明を省略する。
本実施形態による無線通信信号検出装置1、すなわち本実施形態による無線通信信号検出方法について説明する。図3は、一実施形態による無線通信信号検出方法の一構成例を示すフローチャートである。図3のフローチャートは、第1のステップS01から第8ステップS08までの合計8個のステップを含んでいる。
図3のフローチャートが開始すると、第1のステップS01が実行される。第1のステップS01では、無線通信信号検出方法に係る初期条件を設定してもよい。第1のステップS01の後、第2のステップS02が実行される。
第2のステップS02では、センサ装置15が、所定の周波数帯域に含まれる無線通信信号の受信電力を観測する。センサ装置15は、所定のプログラムを実行する演算装置12の制御下で観測を行ってもよい。
センサ装置15は、受信電力を観測した結果に基づいて無線通信信号を復調できる程度の精度を有していなくてもよい。こうすることで、本実施形態による無線通信信号検出装置1では、比較的安価なセンサ装置15を使用することが可能である。
ここで、第1無線通信システムがTD-LTE方式で定常的に無線通信を行っており、かつ、第2無線通信システムが無線通信を行っていない場合について説明する。また、このような場合にセンサ装置15が観測する受信電力が由来する第1の無線通信システムの無線信号について説明する。
TD-LTE方式は、時分割多重方式の一種であり、端末から基地局へ向けて通信するアップリンク期間と、基地局から端末へ向けて通信するダウンリンク期間と、どちらの通信も行わない無通信期間と含む周期を、一定周期で周期的に繰り返して無線通信を行う。この周期をフレームと呼ぶ。
センサ装置15が受信電力を観測する期間は、1つのフレームの長さの数倍以上であることが好ましい。この係数を、2以上の整数Nとする。以降、係数Nが4である場合について説明するが、これはあくまでも一例であって、本実施形態を限定しない。なお、係数Nは、初期条件として第1のステップS01で設定してもよい。観測の結果は、任意のデータ形式で記憶装置13に格納されてもよい。
ここで、TD-LTE方式の無線通信信号の一構成例について説明する。
図4Aは、TD-LTE信号のフレーム4の一構成例を示す図である。本実施形態では、フレーム4の長さが10ms(ミリ秒)である場合について説明するが、これはあくまで一例であって、本実施形態を限定しない。
図4Aのフレーム4は、第0サブフレーム400から第9サブフレーム409までの、これらの番号の順に連続する10個のサブフレームに分割されている。サブフレーム400~409のそれぞれは、同じ長さを有している。本実施形態では、サブフレーム400~409のそれぞれの長さが1msである場合について説明するが、これはあくまで一例であって、本実施形態を限定しない。
サブフレーム400~409のそれぞれは、アップリンクサブフレーム、ダウンリンクサブフレームまたはスペシャルサブフレームのいずれかに設定される。アップリンクサブフレームの間、第1無線通信システムは第1端末22から第1基地局21へのアップリンク通信を行う。ダウンリンクサブフレームの間、第1無線通信システムは第1基地局21から第1端末22へのダウンリンク通信を行う。スペシャルサブフレームは、ダウンリンク通信を行う期間と、無通信期間と、アップリンク通信を行う期間とを含む。スペシャルサブフレームの詳細については、後述する。
本実施形態では、サブフレームの構成に係る設定の組み合わせが、合計7種類のコンフィギュレーションとして設定されている場合について説明するが、これはあくまで一例であって、本実施形態を限定しない。
なお、TD-LTE方式におけるこれらのコンフィギュレーションは規格化されており、既知である。以降、これらのコンフィギュレーションに係る情報が、本実施形態による無線通信信号検出装置1の記憶装置13に格納されている前提で説明する。
図4Bは、TD-LTE信号のサブフレームの一構成例を示す図である。縦方向に第0コンフィギュレーション#0から第6コンフィギュレーション#6までの合計7種類のコンフィギュレーションを示している。また、横方向に第0サブフレーム400から第9サブフレーム409までの合計10個のサブフレームを示している。各コンフィギュレーションおよび各サブフレームの交点には、両者の組み合わせにおけるサブフレームの種類が「U」、「D」または「S」で示されている。ここで、「U」はアップリンクサブフレームを示し、「D」はダウンリンクサブフレームを示し、「S」はスペシャルサブフレームを示す。
ここで、ダウンリンクサブフレームの後でアップリンクサブフレームに切り替わる組み合わせにおいて、両者の間にスペシャルサブフレームが配置されていることに注目されたい。また、これらのコンフィギュレーションの周期が、第3コンフィギュレーション#3~第6コンフィギュレーション#6では10msである一方で、第0コンフィギュレーション#0~第2コンフィギュレーション#2のように5msであってもよいことにも注目されたい。
図4Cは、TD-LTE信号のサブフレームおよび受信電力の時間変化の対応関係の一例を示す図である。図4Cは、上段のグラフと、下段の表とを含んでいる。図4Cのグラフは、センサ装置15が観測する無線信号の受信電力の波形の一例を示している。図4Cの表は、図4Cの波形に対応するサブフレーム400~409のコンフィギュレーションの一例を示している。
図4Cのグラフおよび表に共通する横軸は時間tを示し、その単位はs(秒)である。図4Cのグラフの縦軸は受信電力を示し、その単位はdBm(デシベルミリワット)である。図4Cの表において、「U」、「D」および「S」は、前述のとおり、アップリンクサブフレーム、ダウンリンクサブフレームおよびスペシャルサブフレームをそれぞれ示している。ここで、図4Cの横軸の開始時刻である「0.000」は、グラフの値が約-70dBmから約-45dBmまで急激に上昇する時刻であり、この時刻に合わせて時刻t00が設定されている。この後、サブフレームの長さである1msごとに、時刻t01から時刻t10までが連続して設定されている。
図4Cのグラフのうち、時刻t00から時刻t03までの期間は、受信電力の上限が比較的高く、第1基地局21が無線信号を出力するダウンリンクサブフレームに対応する。同様に、時刻t05から時刻t08までの期間も、ダウンリンクサブフレームに対応する。時刻t04から時刻t05までの期間は、受信電力の下限が比較的低く、第1端末22が無線信号を出力するアップリンクサブフレームに対応する。同様に、時刻t09から時刻t10までの期間も、アップリンクサブフレームに対応する。残る時刻t03から時刻t04までの期間および時刻t08から時刻t09までの期間は、受信電力の上限が比較的高い特徴と、下限が比較的低い特徴とを兼ね備えており、スペシャルサブフレームに対応する。
これらの対応関係から、図4Cの例では、観測された受信電力の無線信号が、図4Bに示した第2のコンフィギュレーション#2に対応することが読み取れる。ただし、図4Cの時刻t00から時刻t01までのサブフレームは、図4Bに示した第2のコンフィギュレーション#2の第3サブフレーム403または第8サブフレーム408に対応していることに注目されたい。TD-LTE方式ではコンフィギュレーションの切り替えは比較的まれであるので、本実施形態による無線通信信号検出装置1は、第1無線通信システムによって現在使用されているコンフィギュレーションを、予め把握していてもよい。
スペシャルサブフレーム41の構成について説明する。図4Dは、TD-LTE信号のスペシャルサブフレーム41の一構成例を示す図である。スペシャルサブフレーム41は、図4Aに示したサブフレーム400~409のいずれか1つに対応する。したがって、スペシャルサブフレーム41の長さは1msである。
スペシャルサブフレーム41は、3つの時間領域に区切られている。これら3つの時間領域は、それぞれ、DwPTS(Downlink Pilot Time Slot:ダウンリンクパイロットタイムスロット)42、GP(Guard Period:ガードピリオド)43およびUpPTS(Uplink Pilot Time Slot:アップリンクパイロットタイムスロット)44であり、この順番で時間軸上に配置されている。
DwPTS 42の間、第1無線通信システムは第1基地局21から第1端末22へのダウンリンク通信を行う。UpPTS 44の間、第1無線通信システムは第1端末22から第1基地局21へのアップリンク通信を行う。GP 43は無通信期間であり、第1基地局21および第1端末22の間で無線通信は行われない。
スペシャルサブフレーム41のより詳細な構成について説明する。図4Eは、TD-LTE信号のスペシャルサブフレームのより詳細な一構成例を示す図である。図4Bの場合と同様に、縦方向に第0コンフィギュレーション#0から第9コンフィギュレーション#9までの合計10種類のコンフィギュレーションを示している。また、横方向に第1タイムスロットから第14タイムスロットまでの合計14個のタイムスロットを示している。各コンフィギュレーションおよび各タイムスロットの交点には、両者の組み合わせにおけるタイムスロットの種類が「D」、「G」または「U」で示されている。ここで、「D」はDwPTS 42を示し、「G」はGP 43を示し、「U」はUpPTS 44を示す。
言い換えれば、1つのスペシャルサブフレーム41は、時間軸上に14のタイムスロットに分割されており、最初の第1タイムスロットを含むいくつかのタイムスロットはDwPTS 42であり、最後の第14タイムスロットを含むいくつかのタイムスロットはUpPTS 44であり、これらの間に配置された少なくとも1つのタイムスロットはGP 43である。
図4Fは、TD-LTE信号のスペシャルサブフレームおよび受信電力の時間変化の対応関係の一例を示す図である。図4Fは、上段のグラフと、中段の表と、下段の表とを含んでいる。図4Fのグラフは、図4Cのグラフから抜き出した一部であり、センサ装置15が観測する無線信号の受信電力の波形の一例のうち、主に、時刻t02から時刻t05までの、特に時刻t03から時刻t04までのスペシャルサブフレームに対応する部分およびその前後の部分を示している。図4Fの中段の表は、図4Cの下段の表から抜き出した一部であり、時刻t02から時刻t05までの部分を示している。図4Fの下段の表は、図4Dの図を、DwPTS 42、GP 43およびUpPTS 44に対応する幅を、それぞれのタイムスロット数に合わせて時間軸上に変形することで得られる。
図4Fのグラフのうち、時刻t03から時刻t031までの期間は、スペシャルサブフレーム41のうちのDwPTS 42である。また、時刻t031から時刻t032までの期間は、スペシャルサブフレーム41のうちのGP 43である。また、時刻t032から時刻t04までの期間は、スペシャルサブフレーム41のうちのUwPTS 44である。
図4Fのグラフのうち、時刻t03から時刻t031までの期間は、受信電力の上限が比較的高いという特徴を有する特徴期間51、52、53を含んでいる。また、図4Fのグラフのうち、時刻t031から時刻t032までの期間は、受信電力の下限が比較的低いという特徴を有する特徴期間54を含んでいる。本実施形態の第3のステップS03では、無通信期間である特徴期間54を検出する。なお、特徴期間51、52、53を検出することについては、第2の実施形態として後述する。
図4Fの例における、DwPTS 42、GP 43およびUpPTS 44の長さの比率は、図4Eに示した第1コンフィギュレーション#1に対応している。TD-LTE方式ではコンフィギュレーションを変更することは比較的まれであるので、本実施形態による無線通信信号検出装置1は、第1無線通信システムによって現在使用されているコンフィギュレーションを、予め把握していてもよい。
このように、TD-LTE方式では、フレーム4におけるGP 43の位置が各コンフィギュレーションによって規格化されている。したがって、本実施形態による無線通信信号検出装置1は、各コンフィギュレーションを予め把握したり、後述する第4のステップS04において無線信号の受信電力を観測した結果の波形から推測したりすることによって、各フレームにおける特徴期間としてのGP 43を検出することができる。ここで、図3のフローチャートを参照すると、第2のステップS02の後、第3のステップS03が実行される。
第3のステップS03において、平均電力算出部121が、第1の無線通信システムに由来する無線通信信号のうち、複数のフレーム4の間の受信電力の平均値を算出し、この平均値を有する平均フレームを算出する。
本実施形態では、比較的安価なセンサ装置15で観測した受信電力の平均値を、より高い精度で算出するために、N個のフレーム4の間で受信電力の折り返し平均を算出する。図5Aは、一実施形態による折り返し平均の対象の一例について説明するための図である。
図5Aは、第2のステップS02で受信電力を観測した結果の一例を示すグラフを含んでいる。図5Aのグラフの横軸は時間tを示しており、その単位はsである。図5Aのグラフの縦軸は受信電力s(t)を示し、その単位はdBmである。
図5Aの横軸の開始時刻である「0.00」に合わせて時刻t0が設定されている。時刻t0は、観測を開始した時刻であってもよい。その後、フレーム4の周期Tである10msごとに、時刻t1から時刻t4までが設定されている。観測を終了した時刻である時刻tEは、時刻t4の後に配置されている。言い換えれば、図5Aの例でも、センサ装置15が受信電力を観測した期間は、フレーム4の周期Tの4倍以上である。さらに言い換えれば、本実施形態において2以上の整数である係数Nは4に設定されており、センサ装置15が受信電力を観測した期間は、特徴期間であるGP 43が発生するフレーム周期Tの係数N=4倍より長い。
平均電力算出部121は、受信電圧の観測期間から、第1のフレームS1から第4のフレームS4までの、合計4個のフレームを抽出する。これら4個のフレームS1~S4は、観測結果の中で連続していてもよい。言い換えれば、平均電力算出部121は、受信電圧の観測期間から、フレーム4の周期Tである10msごとに連続する、第0時刻t0から第4時刻t4までの、係数N+1=5個の時刻t0~t4で区切られた係数N=4個の期間を、係数N=4個のフレームS1~S4として抽出する。
本実施形態では、これら係数N=4個のフレームS1~S4を対象として折り返し平均を算出する。図5Bは、一実施形態による折り返し平均値の算出方法を説明する図である。図5Bは、4個のフレームS1~S4にそれぞれ対応する4つのグラフを含んでいる。これら4つのグラフに共通して、横軸は時間tを表している。また、縦軸は対応するフレームS1~S4の受信電力s1(t)~s4(t)を示している。
ここで、それぞれのグラフの開始時刻は、それぞれに対応するフレームS
1~S
4の開始時刻t
0~t
3である。すなわち、第1のフレームS
1のグラフは時刻t
0から始まり、第2のフレームS
2のグラフは時刻t
1から始まり、第3のフレームS
3のグラフは時刻t
2から始まり、第4のフレームS
4のグラフは、時刻t
3から始まる。ここで、折り返し平均の対象となる4個のフレームS
1~S
4の開始時刻を揃えて、それぞれの開始時刻から同じ時間が経過した時刻tにおける受信電力s
1(t)~s
4(t)の合計を係数N=4で除算することによって、折り返し平均s
n(t)を算出することができる。この計算は、例えば、下記の数式「数1」で表される。
ここで、「t」は時刻であり、「s
n(t)」は折り返し平均であり、「N」は係数であり、「i」は各フレームの番号を示す変数であり、「T」はフレーム4の周期であり、「s(t+iT)」は時刻t+iTで観測された受信電力である。
図5Cは、一実施形態による折り返し平均値の算出結果の一例を説明する図である。
前述のとおり、本実施形態による無線通信信号検出装置1を比較的安価に実現するため、その局部発信機にずれが発生する場合がある。具体的には、フレーム4の周期Tごとに受信電力を観測したサンプル数が一定ではない場合が考えられる。言い換えれば、第2のステップS02における観測のサンプリング周波数の逆数が、フレーム4の周期Tの約数ではない場合が考えられる。このような場合には、たとえ各種のパラメータを調節することによって折り返し平均の計算に用いるサンプル数を調整したとしても、受信電力の波形はずれてしまう。このずれを検出して補正することで、折り返し平均値sn(t)の精度を高めることができる。
本実施形態では、図5AのフレームS1~S4のうちのいずれか1つを基準フレームに設定する。基準フレーム以外のフレームを、便宜上、別のフレームと呼ぶ。別のフレームのそれぞれにおける開始時刻を適宜にずらしながら、基準フレームの受信電力と、別のフレームのそれぞれの受信電力との内積を算出する。別のフレームのそれぞれについて、内積が最大となる開始時刻のずれを採用し、図5A~図5Cを参照して説明した折り返し平均sn(t)を算出することで、その精度を高めることができる。
一例として、第1のフレームS1を基準フレームとした場合の、別のフレームS2との内積を計算する方法について説明する。ただし、これらの選択はあくまでも一例であって、本実施形態を限定しない。
図6A~図6Eは、一実施形態によるずれ補正を説明するための図である。図6Aは、図5Aの第1のフレームS1の波形を示している。図6Cは、図5Aの第2のフレームS2の波形を示している。図6Bは、図5Aの第2のフレームS2の開始時刻をt1より前にずらした場合の波形を示している。ここで、図6Bに示した第2のフレームS2の波形には、第1のフレームS1の一部が含まれていてもよい。図6Dは、図5Aの第2のフレームS2の開始時刻をt1より後にずらした場合の波形を示している。ここで、図6Dに示した第2のフレームS2の波形には、第3のフレームS3の一部が含まれていてもよい。
ここでは、便宜上、3種類の開始時刻における第2のフレームS2の波形を示しているが、実際にはより多くの種類の開始時刻に対応する第2のフレームS2の波形についての第1のフレームS1との内積を算出してもよい。
第1のフレームS1の受信電力s1(t)と、第2のフレームS2の受信電力s2(t)との内積は、例えば、各フレームの開始時刻から1フレーム周期Tが経過した後までの範囲に含まれる時刻tのそれぞれにおいて受信電力s1(t)および受信電力s2(t)を積算し、それぞれの積の総和を算出することで得られる。1フレーム周期T後までの範囲に含まれる時刻tのそれぞれは、例えば、受信電力s1(t)および受信電力s2(t)を観測したサンプリング周波数の逆数であるサンプリング周期ごとに選択されてもよい。言い換えれば、受信電力s1(t)および受信電力s2(t)のサンプリング値を用いて内積を算出してもよい。
図6Eは、図5Aの受信電力s(t)から抜き出した第1のフレームS1の受信電力s1(t)と、第2のフレームS2の受信電力s2(t)との内積の、第2のフレームS2の開始時刻のずれεによる変化の一例を示すグラフである。図6Eのグラフにおいて、横軸は開始時刻のずれεを示しており、縦軸は内積を示している。
図6Eのグラフにおいて、点ε1、点ε2および点ε3は、第2のフレームS2の開始時刻のずれεがそれぞれ点ε1、点ε2および点ε3である場合の、内積を示している。図6Eのグラフの例では、第2のフレームS2の開始時刻のずれがε2であるときに内積が最大になるので、第2のフレームS2の開始時刻t1を補正後の開始時刻t1+ε3に補正する。第3のフレームS3および第4のフレームS4のそれぞれについても同様に、内積が最大となる開始時刻のずれを算出し、開始時刻を補正する。
このように、補正後の開始時刻を用いることで、折り返し平均を高精度に算出することが可能となる。図7は、一実施形態による、1フレーム分の受信電力の高精度な折り返し平均の算出結果の一例を示す図である。ここで、図3のフローチャートを参照して、第3のステップS03の後、第4のステップS04が実行される。
第4のステップS04において、特徴期間検出部122が、平均フレームに基づいて、第1の無線通信信号のうち、第1周期で複数回発生し所定の特徴を有する特徴期間を検出する。
一例として、本実施形態では、特徴期間の検出を以下のように行う。まず、特徴期間検出部122は、1フレーム分の受信電力の高精度な折り返し平均の算出結果の波形から雑音を除去する。ここでは、雑音除去の効果が分かりやすいように、受信電力の実測値に基づく図7の波形ではなく、コンピュータシミュレーションに基づく波形を用いて説明する。図8Aは、一実施形態による雑音の除去を行う前の波形の一例を示す図である。より詳細には、図8Aの図は、コンピュータシミュレーションによって得られた、折り返し平均の算出結果である平均フレームの波形の一例を示すグラフである。図8Bは、一実施形態による雑音の除去を行った後の波形の一例を示す図である。
雑音の除去は、例えば、区間平均化処理によって行ってもよい。すなわち、折り返し平均の算出結果である平均フレームの波形に含まれる、それぞれの時刻における数値を、それぞれの時刻から所定の期間が経過するまでに含まれる数値の平均値に置き換えることで、区間平均フレームが得られる。ここで、所定の期間は、例えば、フレーム4の周期Tの5%~10%などであってもよい。なお、雑音の除去が不要である場合には、この処理を行わなくてもよい。以降、区間平均化処理を行った場合について説明する。
次に、特徴期間検出部122は、雑音を除去した後の区間平均フレームに対して、GP 43の区間長で移動平均化処理を行う。すなわち、区間平均フレームの波形に含まれる、それぞれの時刻における数値を、それぞれの時刻からGP 43の区間長が経過するまでに含まれる数値の平均値に置き換えることで、移動平均フレームが得られる。
図8Cは、一実施形態による移動平均を行った後の波形の一例を示す図である。図8Cの横軸は時間tを表し、その単位はsである。図8Cの縦軸は、受信電力の移動平均であり、その単位はdBmである。図8Cの波形に含まれる点P21は、図8Bに示した期間T21に対応している。同様に、図8Cの点P22および点P23は、それぞれ、図8Bの期間T22および期間T23に対応している。ここで、図8Cの波形の最小値点である点P21が、図8Bに示したGP 43である期間T21に対応している。これは、図8Bに示した区間平均フレームにおいて、無通信期間であるGP 43における受信電力が最も低いからである。このことは、図8Cのような移動平均フレームの波形の最小値点P21を検出することで、区間平均フレームにおけるGP 43の開始位置を検出できることを示している。また、このことは、受信電力の観測結果である波形におけるGP 43の開始位置を検出できることを示している。
次に、特徴期間検出部122は、GP 43の開始位置と、既知であるGP 43の区間長とに基づいて、GP 43の終了位置を検出する。ここで、誤差を考慮して、開始位置および終了位置を、GP 43の中心から見て理論値の8割程度または9割程度の位置に設定してもよい。
第4のステップS04の後、第5のステップS05が実行される。
第5のステップS05において、閾値決定部123が、無線通信信号電力の閾値を決定する。この閾値は、第1の無線通信信号とともに第2の無線通信信号が重畳して到来しているかどうかの判定に使用される。本実施形態では、後述する第6のステップS06において、第1無線通信システムの特徴期間であり無通信期間でもあるGP 43の期間中に、この閾値を超える受信電力が観測された場合に、第2の無線通信信号が検出されたと判定する。
したがって、本実施形態の閾値は、例えば、GP 43における第1の無線通信信号の受信電力の平均値に、所定の余裕を加えた値として決定してもよい。または、第2のステップS02を複数回実行してGP 43における受信電力の平均値を複数回算出し、これら複数の平均値に基づいて閾値を決定してもよい。
さらに、過去に算出した複数の平均値を記憶装置13に格納し、これら複数の平均値に基づいて閾値を複数回決定して記憶装置13に格納し、これら複数の閾値に基づく判定の正誤を示す情報を、入出力インタフェース11を介して外部から受け取って記憶装置13に格納してもよい。この場合、結果的に誤判定だった確率に基づいてより安全な閾値を決定してもよい。
別の可能性として、比較的安価なセンサ装置15のクロック精度が不安定である場合には、GP 43の検出範囲にDwPTSまたはUpPTSが部分的に含まれてしまう可能性が考えられる。図9は、一実施形態による、無通信期間の検出精度の誤差について説明するための図である。図9は第1のグラフG91から第4のグラフG94までの合計4個のグラフを含んでいる。これら4個のグラフG91~G94に共通して、横軸は時間tを示しており、縦軸は受信電力を示している。これら4個のグラフG91~G94に共通して、枠90は、GP 43を検出した結果である範囲を示している。第1のグラフG91ではGP 43が精度よく検出されているが、第2のグラフG92、第3のグラフG93および第4のグラフG94では枠90の中にDwPTSまたはUpPTSが部分的に含まれている。このような場合、第1のグラフG91の観測結果だけを用いて閾値を決定してもよいし、第2のグラフG92、第3のグラフG93および第4のグラフG94の観測結果における枠90を、図9の矢印の方向にずらす処理を加えてから閾値を決定してもよい。
第5のステップS05の後、第6のステップS06が実行される。
第6のステップS06において、判定部124が、無線通信信号電力が閾値を超えたかどうかを判定する。ここで比較される無線通信信号の受信電力は、閾値の決定に使用された受信電力とは別であってもよい。つまり、現在観測された受信電力を、過去に観測された受信電力に基づく閾値と比較して判定を行ってもよい。
判定の結果が「No」であった場合、すなわち無線通信信号の受信電力が閾値以下であった場合には、第2の無線通信システムに由来する無線通信信号の受信電力は検出されなかったと考えられる。この場合には、第6のステップS06の後、第2のステップS02を再度実行してもよい。
判定の結果が「Yes」であった場合、すなわち無線通信信号の受信電力が閾値を超えた場合には、第2の無線通信システムに由来する無線通信信号の受信電力が検出されたと考えられる。この場合には、第6のステップS06の後、第7のステップS07が実行される。
第7のステップS07において、入出力インタフェース11が、判定の結果を外部に報知する。一例として、入出力インタフェース11は、第1の無線通信システムに属する第1基地局21に、第2の無線通信システムが無線通信を行っていることを報知してもよい。第1の無線通信システムに属する第1基地局21は、この報知を受けて、第2の無線通信システムと競合する周波数帯域の使用を停止してもよい。
本実施形態の変形例として、無線通信信号検出装置1は、第6のステップS06における判定の結果が複数回「Yes」となってから、判定の結果を外部に報知してもよい。こうすることで、誤報の確率を下げることができる。
本実施形態の変形例として、無線通信信号検出装置1は、第6のステップS06における判定の結果が「Yes」となって判定の結果を外部に報知した後に判定の結果が「No」になった場合に、その判定の結果を外部に報知してもよい。この場合、第2の無線通信システムが無線通信を終了したと考えられるので、第1の無線通信システムは第2の無線通信システムと競合する周波数帯域の使用を再開してもよい。
本実施形態の変形例として、無線通信信号検出装置1は、例えば、第2のステップS02の観測と、第3のステップS03から第6のステップS06までの処理とを、同時に行わなくてもよい。言い換えれば、本実施形態によれば、例えば、第2のステップS02の観測と、第3のステップS03から第6のステップS06までの処理とを、交互に行ってもよい。このような観点から、すべての処理を並列に行う場合と比較して、より安価な演算装置12を採用することが可能となる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、無通信期間であるGP 43の受信電力に基づいて閾値を決定し、この閾値を用いて第2の無線通信システムに由来する無線信号の検出を判定した。本実施形態では、無通信期間とは別の期間の純電力に基づいて閾値を決定し、同様の判定を行う。
図10は、TD-LTE信号のスペシャルサブフレームに含まれる、無通信期間の直前のDwPTSの位置の一例を表す図である。図4Eを参照して説明したとおり、TD-LTE方式ではGP 43の直前にDwPTS 42が配置されている。この構成を利用して、GP 43を検出できればその直前のDwPTS 42も検出できる。その結果、図4Fに示した特徴期間51、52、53における比較的高い受信電力に基づいて、第6のステップS06の判定の基準となる閾値を決定することができる。
ここで、GP 43の直前に配置されているDwPTS 42の全体における区間平均を算出してもよいし、このDwPTS 42のうち、受信電力が比較的高くなっている部分である、図4Fに示した特徴期間51、52、53だけを抽出して区間平均を算出してもよい。特徴期間51、52、53に対応する部分を抽出する方法としては、例えば、第6のステップS06の判定に用いる閾値とは別の閾値を事前に決定し、受信電力がこの別の閾値を超えることを条件に抽出を行ってもよい。
以上、発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。また、前記実施の形態に説明したそれぞれの特徴は、技術的に矛盾しない範囲で自由に組み合わせることが可能である。