JP7448329B2 - ガラスクロス、プリプレグ、及びプリント配線板 - Google Patents
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Description
プリント配線板に用いられるガラスクロスは、ガラス糸を経方向及び緯方向に平織することにより形成されている。そのため、ガラスクロスと樹脂組成物とから構成される絶縁体層では、糸が交わる部位でガラスの存在比率が高くなり、糸の重なりが無い部分、或いは糸が無い部分で樹脂の存在比率が高くなる。
通常、ガラスクロスのガラスの誘電率と樹脂組成物の誘電率との間には差異がある。そのため、ガラスの存在比率が高い部分を通過する伝送線路中の信号伝播速度と、樹脂組成物の存在比率が高い部分を通過する伝送線路中の信号伝播速度との間に差が生じることが知られている。このため、複数の信号を同期させる必要がある電子回路では、信号の到達時間にずれが生じたときに、信号処理に不都合が生じる可能性がある。
ここで、同じ絶縁体層に一対の配線を形成した場合、各配線を伝送される信号伝播速度は、上記のとおりガラスの存在比率が高い部位と樹脂の存在比率が高い部位との間における誘電率が異なるため、伝送線路とガラスクロスとの位置関係に影響を受けることが知れている。このため、特許文献1~3には、ガラスクロスと伝送線路との位置関係によって生じる伝播速度の変化を低減させる技術が提案されている。
具体的には、特許文献1には、線路幅をガラスクロスの糸の間隔の75%~95%にする技術が開示されている。
特許文献2には、ガラス糸の間隔と信号線路の間隔とを一致させる技術が開示されている。
特許文献3には、ガラス糸の間隔と配線幅の距離とを50%にする技術が開示されている。
また、プリプレグを製造する過程において、樹脂を含侵塗工する際に樹脂付着量をコントロールするために狭いスリットの中を通す工程にて、ガラスクロスには負荷が幅方向へ不均一に作用し、目曲がりが発生しやすい課題を有している。
特に低誘電化のためのガラス組成の制御、具体的には、ガラス組成中のB2O3配合量を増やす等のガラス組成の調整により、ガラス糸を構成するガラスの比重が軽くなり、ガラス糸の剛性が弱くなる傾向にある。ガラスの密度が小さくガラスの剛性が小さいほど目曲がりが顕著となる。
したがって、特許文献1~3に開示されているように、ガラス糸の配置を考慮した伝送路線により信号伝播速度差の軽減を試みる方法では、ガラス糸の目曲がりにより伝送線路とガラス糸の位置関係にずれ及び/又はバラツキが生じ、信号伝播速度を精密に制御することが困難である問題がある。
また、本発明は、上記ガラスクロスを用いた、複数の伝送線路の信号伝播速度差が軽減されたプリプレグ及びプリント配線板を提供することを目的とする。
また、本発明者らは、長手方向の緯糸の存在割合が特定範囲であり、且つ、緯糸の目曲がり量と緯糸の間隔とが特定の関係を満たす、低誘電ガラスクロスは、プリント配線版としたときに、緯糸に平行になるように配置された伝送線路が通過する絶縁体層におけるガラスの存在率の変化を小さく抑えられる距離を長くすることができるため、信号伝播速度の変動を軽減できることを見出し、本発明を完成するに至った。
[1]
複数本のガラスフィラメントからなるガラス糸を経糸及び緯糸として構成される、厚さ8μm以上16μm以下のガラスクロスであって、
式(1);
Y=F/(25000/G)×100 ・・・(1)
(式中、Fは緯糸の糸幅(μm)であり、Gは緯糸の織密度(本/25mm)である。)
で求められる、長手方向の緯糸の存在割合Yが、75%以上90%以下であり、
経糸の糸幅と緯糸の糸幅との和が、380μm以上500μm以下であり、
前記経糸及び前記緯糸を構成するガラスの密度が、2.10g/cm3以上2.50g/cm3以下である、
ガラスクロス。
[2]
幅25mm当たり5Nの荷重を経糸方向にかけた際に生じる経糸方向の伸び率と、幅25mm当たり5Nの荷重を緯糸方向にかけた際に生じる緯糸方向の伸び率との和が、0.50%以下である、
[1]に記載のガラスクロス。
[3]
複数本のガラスフィラメントからなるガラス糸を経糸及び緯糸として構成される、厚さ8μm以上16μm以下のガラスクロスであって、
式(1);
Y=F/(25000/G)×100 ・・・(1)
(式中、Fは緯糸の糸幅(μm)であり、Gは緯糸の織密度(本/25mm)である。)
で求められる、長手方向の緯糸の存在割合Yが、75%以上90%以下であり、
緯糸の目曲がり量が、緯糸の間隔(μm)の10倍の値を500mmで除した値以下であり、
前記経糸及び前記緯糸を構成するガラスの密度が、2.10g/cm3以上2.50g/cm3以下である、
ガラスクロス。
[4]
緯糸の目曲がり量が、緯糸の間隔(μm)の5倍の値を500mmで除した値以下である、
[3]に記載のガラスクロス。
[5]
緯糸の目曲がり量が、緯糸の間隔(μm)の2.5倍の値を500mmで除した値以下である、
[3]に記載のガラスクロス。
[6]
緯糸の目曲がり量が、緯糸の間隔(μm)の1.0倍の値を500mmで除した値以下である、
[3]に記載のガラスクロス。
[7]
経糸の糸幅と緯糸の糸幅との和が、380μm以上500μm以下である、
[3]~[6]のいずれかに記載のガラスクロス。
[8]
幅25mm当たり5Nの荷重を経糸方向にかけた際に生じる経糸方向の伸び率と、幅25mm当たり5Nの荷重を緯糸方向にかけた際に生じる緯糸方向の伸び率との和が、0.50%以下である、
[7]に記載のガラスクロス。
[9]
経糸方向の断面高さと緯糸方向の断面高さとの比が、90%以上110%以下である、
[1]又は[2]に記載のガラスクロス。
[10]
経糸の糸幅と緯糸の糸幅との和が、380μm以上500μm以下であり、
経糸方向の断面高さと緯糸方向の断面高さとの比が、90%以上110%以下である、[3]~[6]のいずれかに記載のガラスクロス。
[11]
10GHzの誘電率が5以下である、
[1]~[10]のいずれかに記載のガラスクロス。
[12]
経糸の単位長さ当たりの平均質量が、1.40×10-6kg/m以上1.60×10-6kg/m未満であり、
緯糸の単位長さ当たりの平均質量が、1.65×10-6kg/m超過3.00×10-6kg/m以下であり、且つ、
経糸の単位長さ当たりの平均質量に対する緯糸の単位長さ当たりの平均質量の比(緯糸/経糸比)が、1.20以上1.50以下である、
[1]~[11]のいずれかに記載のガラスクロス。
[13]
経糸及び緯糸の平均フィラメント数が、実質的に同じであり、且つ、
経糸の平均フィラメント径が、3.7μm以上4.3μm以下であり、
緯糸の平均フィラメント径が、4.2μm以上5.3μm以下であり、
経糸の平均フィラメント径に対する緯糸の平均フィラメント径の比(緯糸/経糸比)が、1.07以上1.40以下である、
[1]~[12]のいずれかに記載のガラスクロス。
[14]
経糸及び緯糸の平均フィラメント径が、実質的に同じであり、且つ、
経糸の平均フィラメント数が、45本以上70本以下であり、
緯糸の平均フィラメント数が、55本以上80本以下であり、
経糸の平均フィラメント数に対する緯糸の平均フィラメント数の比(緯糸/経糸比)が、1.25より大きく1.50以下である、
[1]~[12]のいずれかに記載のガラスクロス。
[15]
[1]~[14]のいずれかに記載のガラスクロスと、
マトリックス樹脂と、を有する、
プリプレグ。
[16]
前記ガラスクロスを構成するガラスの10GHzでの誘電率と、前記マトリックス樹脂の硬化物の10GHzでの誘電率との差異が、3以下である、
[15]に記載のプリプレグ。
[17]
前記ガラスクロスを構成するガラスの10GHzでの誘電率と、前記マトリックス樹脂の硬化物の10GHzでの誘電率との差異が、2以下である、
[15]に記載のプリプレグ。
[18]
前記ガラスクロスを構成するガラスの10GHzでの誘電率と、前記マトリックス樹脂の硬化物の10GHzでの誘電率との差異が、1以下である、
[15]に記載のプリプレグ。
[19]
[15]~[18]のいずれかに記載のプリプレグを有する、
プリント配線板。
また、本実施形態における誘電率とは、空洞共振器摂動法(摂動法空洞共振器/株式会社関東電子応用開発製)にて、10GHz帯で測定したときの値を示す。
(厚さ)
本実施形態のガラスクロスは、複数本のガラスフィラメントからなるガラス糸を経糸及び緯糸として構成される、厚さ8μm以上16μm以下のガラスクロスである。
厚さが16μm以下であることにより、多層プリント配線板の層数を増大させることが可能となり、多層プリント配線板の厚さを維持したまま、伝送線路の高密度化が可能となる。ガラスクロスの厚さは薄い方が好ましいが、厚さが薄くなることによって、構成するガラス糸を細い糸とする必要があり、ガラスクロスの強度の低下、及び目曲がりが発生しやすくなる。厚さが8μm以上であることにより、ガラスクロスの強度を保ち、目曲がりの発生を抑えられる。
本実施形態のガラスクロスは、長手方向の緯糸の存在割合が、75%以上90%以下である。長手方向の緯糸の存在割合は、緯糸占有率ともいい、式(1)から求められ、緯糸の糸幅を、緯糸の間隔で除した値Yである。
Y=F/(25000/G)×100 ・・・(1)
(式中、Fは緯糸の糸幅(μm)であり、Gは緯糸の織密度(本/25mm)である。)
緯糸の糸幅は、100mm×100mmの大きさのガラスクロスサンプルを表面から顕微鏡で観察し、全ての緯糸の幅を求め、その合計をそれらの緯糸の総本数で除算した平均値である。このとき、緯糸の糸幅がサンプル内で変動する場合は、最も幅が大きい箇所の幅をその緯糸の糸幅とする。
式(1);
Y=F/(25000/G)×100 ・・・(1)
(式中、Fは緯糸の糸幅(μm)であり、Gは緯糸の織密度(本/25mm)である。)
で求められる、長手方向の緯糸の存在割合Yが、75%以上90%以下であり、
経糸の糸幅と緯糸の糸幅との和が、380μm以上500μm以下であり、
前記経糸及び前記緯糸を構成するガラスの密度が、2.10g/cm3以上2.50g/cm3以下である、
ガラスクロスである。
上記ガラスクロスを、ガラスクロスPともいう。
本実施形態のガラスクロスPにおける、経糸の糸幅と緯糸の糸幅との和は、380μm以上500μm以下であり、好ましくは380μm以上480μm以下であり、より好ましくは400μm以上480μm以下である。
経糸の糸幅と緯糸の糸幅との和が380μm以上であることによって、経糸と緯糸との交錯点において、経糸と緯糸との接触面積が大きくなる。したがって、経糸と緯糸との摩擦面積が大きくなることにより相互の拘束力が強くなり、目曲がりが抑制される。
経糸の糸幅と緯糸の糸幅との和が500μm以下であることによって、経糸と緯糸との交錯点における経糸と緯糸との相互の拘束力が強くなり過ぎず、経糸と緯糸とが適度に動く余地がある。そのため、厚さ16μm以下の薄いガラスクロスにおいて、応力が加わった際に交錯点を基点に経糸と緯糸とが動くことにより応力が緩和され、シワの発生及び破断が抑えられる。
経糸の糸幅と緯糸の糸幅との和が380μm以上500μm以下であることにより、シワ及び目曲がりがなく、取扱い性に優れるガラスクロスが得られる。
本実施形態のガラスクロスは、幅25mm当たり5Nの荷重を経糸方向にかけた際に生じる経糸方向の伸び率と、幅25mm当たり5Nの荷重を緯糸方向にかけた際に生じる緯糸方向の伸び率との和が、0.50%以下であることが好ましい。
伸び率の和は、より好ましくは0.48以下であり、さらに好ましい範囲は0.45以下である。
ここで、ガラスクロスの伸び率とは以下のようにして求めた値である。
伸び率={(荷重時の間隔-無荷重時の間隔)/無荷重時の間隔}×100 (2)
Lガラスの1017スタイルのガラスクロスの荷重-伸び曲線は、経糸に比べ緯糸の伸び量が大きくなることが特徴であり、変位0-0.2%当たりまで傾斜が低く、次いで0.4%位まで漸次高くなり、0.4%以降は上方へスイングアップし一定の傾きとなる。
傾斜が低い領域は、緯糸と経糸との交錯点において緯糸と経糸の間に隙間があり相互に十分な密着状態にないために、非常に弱い引張張力により緯糸が密着状態、すなわち締まった状態となるまで大きく引っ張られることが反映されている。次の傾斜が漸次高くなる領域は、経糸のクリンプ増加を伴いながら、緯糸のクリンプ解舒が進行している領域である。その後スイングアップし、傾きが一定となる領域は、緯糸自身が伸長する弾性変形が起こっている領域である。
Lガラスの1017スタイルのような従来のガラスクロスに対し、本実施形態のガラスクロスは初期変形域の伸び量が小さい。図2に実施例3で得られたガラスクロスCの荷重-伸び曲線を示す。本願発明のガラスクロスCは、緯糸方向においても5Nまでの伸び量が小さく、初期変形域の伸び量が小さく抑えられている。これは経糸と緯糸の交錯点において、経糸と緯糸の相互の拘束力が強いことを示唆している。
厚さの薄いガラスクロス、特に厚さが16μm以下のガラスクロスは、通常、その厚さを発現するためにフィラメント径が4.0μm以下、フィラメント数が50本以下と薄いガラス糸が用いられるため、経糸と緯糸の交差点における相互の拘束力が弱く、目曲がりしやすいが、ガラスクロスにおける伸び率の和が、0.50%以下であることによって、経糸と緯糸との交錯点における相互の拘束力を高め、目曲がりの発生が抑えられたガラスクロスとなる傾向にある。
一方、伸び率の和の下限は、好ましくは0.30%以上、より好ましくは0.33%以上、さらに好ましくは0.35%以上である。伸び率の和が0.30%以上であることによって、織物構造を有するガラスクロスは、ガラスクロスに加わった応用による歪が、ガラスクロスの構造が経糸と緯糸との交錯点を基点に可逆的に変化することによって緩和されて、シワの発生及び破断を抑えられる傾向にある。
伸び率の和が0.30%以上0.50%以下の範囲にあるとき、シワ及び目曲がりがなく取扱い性に優れるガラスクロスが得られる傾向にある。
式(1);
Y=F/(25000/G)×100 ・・・(1)
(式中、Fは緯糸の糸幅(μm)であり、Gは緯糸の織密度(本/25mm)である。)
で求められる、長手方向の緯糸の存在割合Yが、75%以上90%以下であり、
緯糸の目曲がり量が、緯糸の間隔の10倍の値を500mmで除した値以下であり、
前記経糸及び前記緯糸を構成するガラスの密度が、2.10g/cm3以上2.50g/cm3以下である、
ガラスクロスである。
上記ガラスクロスを、ガラスクロスQともいう。
本実施形態における緯糸の間隔とは、ガラスクロスを構成する緯糸同士の間隔であり、本明細書における緯糸の間隔には、糸幅自体も含まれる。ここで図3は、ガラスクロスにおける緯糸の間隔を表した模式図である。aは糸幅であり、bは緯糸の間隔である。
また、緯糸の間隔は、緯糸の織密度G(本/25mm)から求められ、具体的には、緯糸の間隔は、当該間隔の単位がmmであるとき25/G(mm)から算出することができ、当該間隔の単位がμmであるとき25000/G(μm)から算出することができる。
目曲がり量は小さい方が好ましく、目曲がり量は0であることが理想であるが、0超過であってもよい。
(式中、Nは、0~2であり、XN+1-XNの値が0である場合には、ZNは0であるものとする)
複数の経糸及び複数の緯糸からなるガラスクロス、又はプリプレグ、或いはプリント配線板を被試験サンプルとし、当該被試験サンプルの経糸方向をY方向とし、且つこのY方向に垂直な方向をX方向とし、当該被試験サンプルの両端にある第一及び第二の経糸のうち第一の経糸から第二の経糸へと伸びる緯糸に関して、第一の経糸と上記緯糸との接点を原点(0,0)、すなわち(X0,Y0)とするY軸及びX軸を定義する。また、第二の経糸と上記緯糸との接点を終点(X3,Y3)とし、当該X軸及びY軸上における上記緯糸の座標Yに関して最大値及び最小値をとる点の一方を(X1,Y1)とし、その他方を(X2,Y2)とし、この場合において、上記緯糸上に(X0,Y0)、(X1,Y1)、(X2,Y2)、及び(X3,Y3)がこの順に並ぶ。
なお、(X2,Y2)と(X3,Y3)とは、同一の座標を示しているため、Z2は、上記の式(I)に関して0の値をとる。
なお、(X0,Y0)と(X1,Y1)とは、同一の座標を示しているため、Z0は、上記の式(I)に関して0の値をとり、Z2も0の値をとる。
経糸の糸幅と緯糸の糸幅との和が380μm以上であることによって、経糸と緯糸との交錯点において、経糸と緯糸との接触面積が大きくなり、相互の拘束力が強くなり、目曲がりが抑制される。
経糸の糸幅と緯糸の糸幅との和が500μm以下であることによって、経糸と緯糸との交錯点における経糸と緯糸との相互の拘束力が強くなり過ぎず、経糸と緯糸とが適度に動く余地があるため、厚さ16μm以下の薄いガラスクロスにおいて、応力が加わった際に交錯点を基点に経糸と緯糸とが動くことにより応力が緩和され、シワの発生及び破断が抑えられる。
経糸の糸幅と緯糸の糸幅との和が380μm以上500μm以下であることにより、シワ及び目曲がりがなく、取扱い性に優れるガラスクロスが得られる。
本実施形態のガラスクロスは、経糸方向の断面高さと緯糸方向の断面高さとの比が、90%以上110%以下であることが好ましい。
経糸方向の断面高さと緯糸方向の断面高さとの比は、より好ましくは92%以上108%以下であり、さらに好ましくは95%以上105%以下である。
経糸方向の断面高さは、隣合う経糸が連続で4本以上入るようにガラスクロスの断面画像を観察した際のガラスクロスの断面高さである。同様に、緯糸方向の断面高さは、隣合う緯糸が連続で4本以上入るようにガラスクロスの断面画像を観察した際のガラスクロスの断面高さである。
経糸方向の断面高さと緯糸方向の断面高さとの比が90%以上110%以下であることにより、絶縁体層のガラス糸が存在する部位において、Z軸方向、すなわち厚さ方向のガラスと樹脂組成物との存在の均一性が良くなるため、信号伝播速度の変動が小さくなる傾向にある。
本実施形態のガラスクロスを構成するガラスの密度は、2.10g/cm3以上2.50g/cm3以下であり、好ましくは2.15g/cm3以上2.45g/cm3以下、より好ましくは2.20g/cm3以上2.40g/cm3以下である。
従来より一般に用いられていたEガラスクロスの比重は2.54g/cm3である。ガラスクロスの誘電率、誘電正接を小さくするためには、ガラスの構成組成を変更する必要があり、低誘電ガラスはEガラスクロスと比較して、B2O3等の比較的比重の小さい物質が多く配合される。そのためガラスの密度が小さくなり、ガラス糸の剛性も小さくなる。また、密度が小さく剛性が弱いガラス糸を用いると、ガラスクロスにおいて目曲がり等の歪が生じやすい。
密度が2.10g/cm3以上であることにより、本実施形態の糸幅構造においては目曲がりの発生を効果的に抑えることが可能となる。
ガラスの密度を2.50g/cm3以下とすることにより、低誘電特性に優れる。
ガラスの組成は、適宜調整することができ、例えば以下の組成を有していればよい。
ガラスクロスのSi含量は、SiO2換算で、好ましくは40~60質量%であり、より好ましくは45~55質量%であり、さらに好ましくは47~53質量%であり、48~52質量%である。
ガラスクロスのB含量は、B2O3換算で、好ましくは15~30質量%であり、より好ましくは17~28質量%であり、さらに好ましくは20~27質量%であり、よりさらに好ましくは21~25質量%であり、さらにより好ましくは21~24質量%である。
ガラスクロスのAl含量は、Al2O3換算で、好ましくは10~20質量%であり、より好ましくは11~18質量%であり、さらに好ましくは12~17質量%である。
ガラスクロスのCa含量は、CaO換算で、好ましくは4~12質量%であり、好ましくは5~10質量%であり、より好ましくは6~9質量%である。
他の組成として、例えば、Mg、P、Na、K、Ti、Zn等が含まれていてもよい。
ガラスの組成は、ガラスフィラメント作製に用いる原料使用量に応じて調整することができる。
本実施形態のガラスクロスは、経糸の単位長さ当たりの質量が、1.40×10-6kg/m以上1.60×10-6kg/m未満であり、緯糸の単位長さ当たりの質量が、1.65×10-6kg/m超過3.00×10-6kg/m以下であり、且つ、経糸の単位長さ当たりの平均質量に対する緯糸の単位長さ当たりの平均質量の比、すなわち、緯糸と経糸との比(緯糸/経糸比)が、1.20以上1.50以下であることが好ましい。
経糸の単位長さ当たりの質量、緯糸の単位長さ当たりの質量、及び上記の平均質量の比は、好ましくはそれぞれ、経糸;1.40×10-6kg/m以上1.57×10-6kg/m未満、緯糸;1.65×10-6kg/m以上2.80×10-6kg/m以下、緯糸/経糸比;1.17以上1.79以下であり、さらにより好ましくはそれぞれ、経糸;1.40×10-6kg/m以上1.55×10-6kg/m未満、緯糸;1.70×10-6kg/m以上2.50×10-6kg/m以下、緯糸/経糸比;1.21以上1.62以下である。
さらに、緯糸のうねりが小さくなり、逆に経糸のうねりが大きくなる結果、緯糸と経糸とのクリンプ振幅が近づき、経糸のクリンプ振幅をガラスクロス厚みの50%以上80%以下、且つ、緯糸のクリンプ振幅をガラスクロス厚みの60%以上90%以下の範囲に調整できる傾向にある。
経糸の単位長さ当たりの質量、緯糸の単位長さ当たりの質量、及び緯糸と経糸との質量の比が上記範囲にあることにより、プリント配線板としたときの寸法安定性の異方性及び反りを防ぎつつ、引張張力が作用した際の「初期変形域の伸び量」を特定範囲に小さくすることができる傾向にある。
本実施形態のガラスクロスは、経糸及び緯糸の平均フィラメント数が、実質的に同じであり、且つ、経糸の平均フィラメント径が、3.7μm以上4.3μm以下であり、緯糸の平均フィラメント径が、4.2μm以上5.3μm以下であり、経糸の平均フィラメント径に対する緯糸の平均フィラメント径の比(緯糸/経糸比)が、1.07以上1.30以下であることが好ましい。
経糸及び緯糸の平均フィラメント径、並びに平均フィラメント径の緯糸/経糸比の範囲は、より好ましくはそれぞれ、経糸;3.8μm以上4.2μm以下、緯糸;4.3μm以上5.2μm以下、平均フィラメント径の緯糸/経糸比;1.08以上1.25以下であり、さらに好ましくはそれぞれ、経糸;3.9μm以上4.1μm以下、緯糸;4.4μm以上5.1μm以下、平均フィラメント径の緯糸/経糸比;1.09以上1.20以下である。
また、本実施形態において、経糸と緯糸の平均フィラメント数が実質的に同じ場合、経糸及び緯糸のフィラメント数は、60本以下とすることが好ましい。フィラメント数が60本以下とすることにより、ガラスクロス製造工程における物理加工により、フィラメントが拡散されやすく、ガラス糸束のZ方向のフィラメント分布を少なくできるため、ガラスクロスの厚さを低減しやすい。ガラスクロスの厚さを低減するためにはフィラメント数は少ない方が好ましいが、ガラスクロスの強度及び取扱い性の観点から、経糸と緯糸の平均フィラメント数が実質的に同じ場合、フィラメント数の下限は、好ましくは44本以上、より好ましくは46本以上、さらに好ましくは48本以上である。
経糸及び緯糸の平均フィラメント数、並びに平均フィラメント径が上述の範囲にあることにより、ガラスクロスの厚さを16μm以下に維持しつつ、プリント配線板の寸法安定性の異方性及び反りを防ぎつつ、緯糸方向の剛性を高め、目曲がりを抑制できる傾向にある。
経糸及び緯糸の平均フィラメント数、及びその比(緯糸/経糸比)の範囲は、より好ましくはそれぞれ、経糸;43本以上65本以下、緯糸;57本以上75本以下、平均フィラメント数の緯糸/経糸比;1.27以上1.45以下であり、さらに好ましくはそれぞれ、経糸;45本以上60本以下、緯糸;60本以上70本以下、平均フィラメントの緯糸/経糸比;1.30以上1.40以下である。
また、本実施形態において、経糸及び緯糸の平均フィラメント径が実質的に同じ場合、経糸及び緯糸のフィラメント径は、3.8μm以上であることが好ましい。経糸及び緯糸の平均フィラメント径が3.8μm以上であることにより、ガラスクロスの剛性を強くすることができる傾向にある。ガラスクロスの剛性を強くするためにはフィラメント径は大きい方が好ましいが、ガラスクロスの厚さの観点から、経糸及び緯糸の平均フィラメント径が実質的に同じ場合、経糸及び緯糸の平均フィラメント径の上限は、好ましくは4.4μm以下、より好ましくは4.3μm以下、さらに好ましくは4.2μm以下である。
経糸及び緯糸として、含浸する樹脂に近い誘電率のガラス繊維糸を用いることにより、誘電率の不均一性をさらに軽減することができる傾向にある。ガラスクロスの誘電率は、誘電率の不均一性を軽減する観点から、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.5以下である。
X(R)3-nSiYn ・・・(2)
式(2)中、Xは、アミノ基及び不飽和二重結合基のうち少なくとも1つを有する有機官能基であり、Yは、各々独立して、アルコキシ基であり、nは、1以上3以下の整数であり、Rは、各々独立して、メチル基、エチル基及びフェニル基からなる群より選ばれる基である。
上記のアルコキシ基としては、いずれの形態も使用できるが、ガラスクロスへの安定処理化の観点から、炭素数5以下のアルコキシ基が好ましい。
強熱減量値が0.10質量%以上であると、ガラスクロスにシランカップリング剤が均一に表面処理され、ガラスクロスの風合いが固くなり目曲がりし難くなるので好ましい。強熱残量値が2.00%以下であると、ガラスクロスの風合いが適度に柔らかく保たれるので、シワが入り難く好ましい。ガラスクロスの強熱減量値は、JIS R 3420に記載されている方法に従い求める値である。
本実施形態のガラスクロスの製造方法は、特に限定されないが、例えば、シランカップリング剤の濃度が0.1~3.0wt%である処理液によってほぼ完全にガラスフィラメントの表面をシランカップリング剤で覆う被覆工程と、加熱乾燥によりシランカップリング剤をガラスフィラメントの表面に固着させる固着工程と、ガラスクロスのガラス糸を開繊する開繊工程と、を有する方法が好適に挙げられる。
加熱乾燥温度は、シランカップリング剤とガラスとの反応が十分に行われるように、好ましくは90℃以上であり、より好ましくは100℃以上である。また、加熱乾燥温度は、シランカップリング剤が有する有機官能基の劣化を防ぐために、好ましくは300℃以下であり、より好ましくは200℃以下である。
スプレー水で開繊する場合、水圧は適宜設定すればよく、ガラスクロスに存在するバスケットホールの総面積を調整するために、水圧は一定にすることが好ましい。ここで、水圧を一定にするとは、開繊を実施するために設定したスプレーの水圧と、実際の水圧の最大値、最小値との差を小さくすることを指す。開繊工程前後においても、加熱乾燥させる工程を有していてもよい。
本実施形態の一つは、本実施形態に記したガラスクロスとマトリックス樹脂と、を有する、プリプレグである。本実施形態のプリプレグは、目曲がりの少ない、厚さの薄いプリプレグであり、好ましくはプリント配線板用のプリプレグとして使用できる。
ここで、ガラスクロスとマトリックス樹脂との誘電率の差は、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.0以下である。上記誘電率の差は、小さいほど好ましく、上記誘電率の下限値は、0以上であればよい。ガラスクロスと硬化後の樹脂との誘電率の差を小さくすることにより、絶縁体層におけるガラスの存在率と樹脂の存在率とにバラつきがある場合でも、誘電率の不均一性を軽減することができ、信号伝播速度の変動を低減できる傾向にある。
マトリックス樹脂としては、上述のエポキシ樹脂の他に、ビスマレイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂ともいう)、官能基化ポリフェニレンエーテル樹脂等の熱硬化性樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、全芳香族ポリエステルの液晶ポリマー(LCPともいう)、ポリブタジエン、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂;又は、それらの混合樹脂等が挙げられる。誘電特性、耐熱性、耐溶剤性、及びプレス成形性を向上させる観点から、熱可塑性樹脂を熱硬化性樹脂で変性した樹脂であってもよい。
本実施形態の一つは、本実施形態のプリプレグを有する、プリント配線板である。本実施形態のプリント配線板は、当該プリント配線板においてガラス糸と伝送線路との位置関係のずれが小さく、複数の伝送線路の信号伝播速度差の小さいプリント配線板とすることができる。
ここで、ガラスクロスとマトリックス樹脂との誘電率の差は、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.0以下である。上記誘電率の差は小さいほど好ましく、上記誘電率の下限値は、0以上であればよい。ガラスクロスと硬化後の樹脂との誘電率の差を小さくすることにより、絶縁体層におけるガラスの存在率と樹脂組成物との存在率にバラつきがある場合でも、誘電率の不均一性を軽減することができるため、信号伝播速度の変動を低減できる傾向にある。
実施例及び比較例中のガラスクロスの物性は、JIS R3420にしたがい測定した。
ガラスクロスの経糸方向の伸び率、及び緯糸方向の伸び率は、JIS 3420に準拠した方法にしがって測定した。
また、ガラスクロスの目曲がり量は、JIS L1096に準拠した前述の方法にしがって測定した。
経糸に平均フィラメント径4.0μm、フィラメント数50本、撚り数1.0Z、単位長さ当たりの質量1.46×10-6kg/mのLガラスの糸、緯糸に平均フィラメント径4.5μm、フィラメント数50本、撚り数1.0Z、単位長さ当たりの質量1.83×10-6kg/mのLガラスの糸を使用し、エアジェットルームを用い、経糸93.5本/25mm、緯糸70本/25mmの織密度でガラスクロスを製織した。なお、ガラスクロスを構成するLガラス(組成:SiO2:51%、Al2O3:13%、CaO:8%、B2O3:23%)の密度は、2.30g/cm3であった。得られた生機のガラスクロスに400℃で24時間加熱処理し脱糊した。次いで、シランカップリング剤である、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン;SZ6032(東レ・ダウコーニング社製)を用いた処理液にガラスクロスを浸漬し、絞液後、120℃で1分乾燥し、さらに高圧水スプレーによる開繊を実施し、質量10.7g/m2、厚さ13μmのガラスクロスAを得た。
ガラスクロスAの経糸及び緯糸の糸幅は、それぞれ140μm、286μmであり、緯糸占有率は80%、経糸方向の伸び率0.22%、緯糸方向の伸び率0.27%、経糸方向の断面高さと緯糸方向の断面高さとの比は0.97であった。ガラスクロスAの目曲がり量は3mmであり、取り扱い性に優れるガラスクロスであった。
ガラスクロスAを、塗工試験用に幅650mmに加工し、エポキシ樹脂ワニスを用いてプリプレグ塗工を行った。なお、エポキシ樹脂ワニスは、低臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂80質量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂20質量部、ジシアンジアミド2質量部、2-エチル-4-メチルイミダゾール0.2質量部、2-メトキシ-エタノール100質量部を配合して調合した。ガラスクロスを3m/minの速度で搬送させ、エポキシ樹脂ワニスにガラスクロスAを浸漬し、樹脂含量が68質量%になるように隙間を調整したスリットを通して余分なワニスを掻き落とした後、乾燥温度170℃、乾燥時間1分30秒の条件で乾燥し、該エポキシ樹脂を半硬化(Bステージ化)させ、プリプレグAを得た。
該プリプレグAを550mm×550mmの大きさにカットし、次いでプリプレグAの両表面に厚さ35μmの銅箔を配置した後、175℃、40kgf/cm2で圧縮成型し基板Aを得た。得られた基板Aにエッチング処理を施し、幅200μmの銅箔の線が経糸と直角をなして配置されるように加工し、評価基板Aを得た。
該銅箔線の端から2cmの位置を基準とし、銅箔線と緯糸とのズレが、緯糸の間隔の0.5倍以内に収まる距離を評価した結果、70mmであった。
緯糸の織密度を75本/25mmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法によりガラスクロスの製織とそれに次ぐ処理を行い、質量11.1g/m2、厚さ14μmのガラスクロスBを得た。ガラスクロスBの経糸及び緯糸の糸幅は、それぞれ138μm、276μmであり、緯糸占有率は83%、経糸方向の伸び率0.19%、緯糸方向の伸び率0.25%、経糸方向の断面高さと緯糸方向の断面高さとの比は1.00であった。ガラスクロスBの目曲がり量は1mmであり、取り扱い性に優れるガラスクロスであった。
実施例1と同様に、評価基板Bを作製し、銅箔線と緯糸とのズレが、緯糸の間隔の0.5倍以内に収まる距離を評価した結果、202mmであった。
緯糸の織密度を78本/25mmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法によりガラスクロスの製織とそれに次ぐ処理を行い、質量11.2g/m2、厚さ14μmのガラスクロスCを得た。ガラスクロスCの経糸及び緯糸の糸幅は、それぞれ138μm、277μmであり、緯糸占有率は86%、経糸方向の伸び率0.19%、緯糸方向の伸び率0.23%、経糸方向の断面高さと緯糸方向の断面高さとの比は1.03であった。ガラスクロスCの目曲がり量は0.5mmであり、取り扱い性に優れるガラスクロスであった。
実施例1と同様に、評価基板Cを作製し、銅箔線と緯糸とのズレが、緯糸の間隔の0.5倍以内に収まる距離を評価した結果、415mmであった。
緯糸に平均フィラメント径4.0μm、フィラメント数67本、撚り数1.0Z、単位長さ当たりの質量1.95×10-6kg/mのLガラスの糸を使用し、緯糸の織密度を68本/25mmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法によりガラスクロスの製織とそれに次ぐ処理を行い、質量11.0g/m2、厚さ13μmのガラスクロスDを得た。ガラスクロスDの経糸及び緯糸の糸幅は、それぞれ150μm、287μmであり、緯糸占有率は78%、経糸方向の伸び率0.19%、緯糸方向の伸び率0.26%、経糸方向の断面高さと緯糸方向の断面高さとの比は1.06であった。ガラスクロスDの目曲がり量は2.5mmであり、取り扱い性に優れるガラスクロスであった。
実施例1と同様に、評価基板Dを作製し、銅箔線と緯糸とのズレが、緯糸の間隔の0.5倍以内に収まる距離を評価した結果、91mmであった。
緯糸の織密度を72本/25mmとしたこと以外は、実施例4と同様の方法によりガラスクロスの製織とそれに次ぐ処理を行い、質量11.3g/m2、厚さ13μmのガラスクロスEを得た。ガラスクロスEの経糸及び緯糸の糸幅は、それぞれ152μm、285μmであり、緯糸占有率は82%、経糸方向の伸び率0.20%、緯糸方向の伸び率0.25%、経糸方向の断面高さと緯糸方向の断面高さとの比は1.03であった。ガラスクロスEの目曲がり量は1.5mmであり、取り扱い性に優れるガラスクロスであった。
実施例1と同様に、評価基板Eを作製し、銅箔線と緯糸とのズレが、緯糸の間隔の0.5倍以内に収まる距離を評価した結果、157mmであった。
緯糸の織密度を75本/25mmとしたこと以外は、実施例4と同様の方法によりガラスクロスの製織とそれに次ぐ処理を行い、質量11.8g/m2、厚さ14μmのガラスクロスFを得た。ガラスクロスFの経糸及び緯糸の糸幅は、それぞれ149μm、282μmであり、緯糸占有率は85%、経糸方向の伸び率0.20%、緯糸方向の伸び率0.24%、経糸方向の断面高さと緯糸方向の断面高さとの比は1.03であった。ガラスクロスFの目曲がり量は1.5mmであり、取り扱い性に優れるガラスクロスであった。
実施例1と同様に、評価基板Fを作製し、銅箔線と緯糸とのズレが、緯糸の間隔の0.5倍以内に収まる距離を評価した結果、165mmであった。
経糸、緯糸ともに平均フィラメント径4.0μm、フィラメント数50本、撚り数1.0Z、単位長さ当たりの質量1.47×10-6kg/mのLガラスの糸を使用し、エアジェットルームを用い、経糸、緯糸ともに93.5本/25mmの織密度でガラスクロスを製織した。得られた生機のガラスクロスに400℃で24時間加熱処理し脱糊した。次いで、シランカップリング剤である、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン;SZ6032(東レ・ダウコーニング社製)を用いた処理液にガラスクロスを浸漬し、絞液後、120℃で1分乾燥し、さらに高圧水スプレーによる開繊を実施し、質量11.1g/m2、厚さ14μmのガラスクロスGを得た。
ガラスクロスGの経糸及び緯糸の糸幅は、それぞれ133μm、224μmであり、緯糸占有率は84%、経糸方向の伸び率0.19%、緯糸方向の伸び率0.39%、経糸方向の断面高さと緯糸方向の断面高さとの比は1.14であった。ガラスクロスGの目曲がり量は7mmであり、目曲がりの大きいガラスクロスであった。
実施例1と同様に、評価基板Gを作製し、銅箔線と緯糸とのズレが、緯糸の間隔の0.5倍以内に収まる距離を評価した結果、23mmであった。
経糸に平均フィラメント径4.0μm、フィラメント数40本、撚り数1.0Z、単位長さ当たりの質量1.17×10-6kg/mのLガラスの糸、緯糸に平均フィラメント径4.0μm、フィラメント数50本、撚り数1.0Z、単位長さ当たりの質量1.47×10-6kg/mのLガラスの糸を使用し、エアジェットルームを用い、経糸、緯糸ともに95本/25mmの織密度でガラスクロスを製織した。得られた生機のガラスクロスに400℃で24時間加熱処理し脱糊した。次いで、シランカップリング剤である、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン;SZ6032(東レ・ダウコーニング社製)を用いた処理液にガラスクロスを浸漬し、絞液後、120℃で1分乾燥し、さらに高圧水スプレーによる開繊を実施し、質量9.2g/m2、厚さ14μmのガラスクロスHを得た。
ガラスクロスHの経糸及び緯糸の糸幅は、それぞれ124μm、215μmであり、緯糸占有率は82%、経糸方向の伸び率0.25%、緯糸方向の伸び率0.34%、経糸方向の断面高さと緯糸方向の断面高さとの比は0.97であった。ガラスクロスHの目曲がり量は10mmであり、目曲がりの大きいガラスクロスであった。
実施例1と同様に、評価基板Hを作製し、銅箔線と緯糸とのズレが、緯糸の間隔の0.5倍以内に収まる距離を評価した結果、13mmであった。
経糸、緯糸ともに平均フィラメント径4.0μm、フィラメント数50本、撚り数1.0Z、単位長さ当たりの質量1.47×10-6kg/mのLガラスの糸を使用し、エアジェットルームを用い、経糸、緯糸ともに85本/25mmの織密度でガラスクロスを製織した。得られた生機のガラスクロスに4.9N/mの張力下で高圧散水流による開繊加工(加工圧196N/cm2)方法を施した。その後400℃で24時間加熱処理し脱糊した。続いて、シランカップリング剤である、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン;SZ6032(東レ・ダウコーニング社製)を用いた処理液にガラスのクロスを浸漬し、絞液後、120℃で1分乾燥し、質量9.7g/m2、厚さ12μmのガラスクロスIを得た。ガラスクロスの化学的、物理的処理は特許文献4:特許第3756066号公報の実施例2の方法に準拠した。
ガラスクロスIの経糸と緯糸の糸幅はそれぞれ185μm、202μmであり、緯糸占有率は69%、経糸方向の伸び率0.27%、緯糸方向の伸び率0.42%、経糸方向の断面高さと緯糸方向の断面高さの比は1.06であった。ガラスクロスIの目曲がり量は8mmであり、目曲がりの大きいガラスクロスであった。
実施例1と同様に、評価基板Iを作製し、銅箔線と緯糸とのズレが、緯糸の間隔の0.5倍以内に収まる距離を評価した結果、17mmであった。
経糸、緯糸ともに平均フィラメント径4.0μm、フィラメント数40本、撚り数1.0Z、単位長さ当たりの質量1.17×10-6kg/mのLガラスの糸を使用し、エアジェットルームを用い、経糸、緯糸ともに94.5本/25mmの織密度でガラスクロスを製織した。得られた生機のガラスクロスに4.9N/mの張力下で高圧散水流による開繊加工(加工圧196N/cm2)方法を施した。その後400℃で24時間加熱処理し脱糊した。続いて、シランカップリング剤であるSZ6032(東レ・ダウコーニング社製)を用いた処理液にガラスのクロスを浸漬し、絞液後、120℃で1分乾燥し、質量9.0g/m2、厚さ11μmのガラスクロスJを得た。ガラスクロスの化学的、物理的処理は特許文献4:特許第3756066号公報の実施例2の方法に準拠した。
ガラスクロスJの経糸及び緯糸の糸幅は、それぞれ158μm、177μmであり、緯糸占有率は67%、経糸方向の伸び率0.17%、緯糸方向の伸び率0.37%、経糸方向の断面高さと緯糸方向の断面高さとの比は1.09であった。ガラスクロスJの目曲がり量は8mmであり、目曲がりの大きいガラスクロスであった。
実施例1と同様に、評価基板Jを作製し、銅箔線と緯糸とのズレが、緯糸の間隔の0.5倍以内に収まる距離を評価した結果、15mmであった。
緯糸に平均フィラメント径4.5μm、フィラメント数50本、撚り数1.0Z、単位長さ当たりの質量1.83×10-6kg/mのLガラスの糸を使用し、緯糸の織密度を60本/25mmとしたこと以外は、比較例1と同様の方法によりガラスクロスの製織とそれに次ぐ処理を行い、質量10.1g/m2、厚さ12μmのガラスクロスKを得た。
ガラスクロスKの経糸及び緯糸の糸幅は、それぞれ135μm、267μmであり、緯糸占有率は64%、経糸方向の伸び率0.21%、緯糸方向の伸び率0.29%、経糸方向の断面高さと緯糸方向の断面高さとの比は1.09であった。ガラスクロスKの目曲がり量は6mmであり、目曲がりの大きいガラスクロスであった。
実施例1と同様に、評価基板Kを作製し、銅箔線と緯糸とのズレが、緯糸の間隔の0.5倍以内に収まる距離を評価した結果、31mmであった。
b:緯糸の間隔
Claims (19)
- 複数本のガラスフィラメントからなるガラス糸を経糸及び緯糸として構成される、厚さ8μm以上16μm以下のガラスクロスであって、
式(1);
Y=F/(25000/G)×100 ・・・(1)
(式中、Fは緯糸の糸幅(μm)であり、Gは緯糸の織密度(本/25mm)である。)
で求められる、長手方向の緯糸の存在割合Yが、75%以上90%以下であり、
経糸の糸幅と緯糸の糸幅との和が、380μm以上500μm以下であり、
前記経糸及び前記緯糸を構成するガラスの密度が、2.10g/cm3以上2.50g/cm3以下であり、
前記緯糸の糸幅が276μm以上300μm以下である、
ガラスクロス。 - 幅25mm当たり5Nの荷重を経糸方向にかけた際に生じる経糸方向の伸び率と、幅25mm当たり5Nの荷重を緯糸方向にかけた際に生じる緯糸方向の伸び率との和が、0.50%以下である、
請求項1に記載のガラスクロス。 - 複数本のガラスフィラメントからなるガラス糸を経糸及び緯糸として構成される、厚さ8μm以上16μm以下のガラスクロスであって、
式(1);
Y=F/(25000/G)×100 ・・・(1)
(式中、Fは緯糸の糸幅(μm)であり、Gは緯糸の織密度(本/25mm)である。)
で求められる、長手方向の緯糸の存在割合Yが、75%以上90%以下であり、
緯糸の目曲がり量が、緯糸の間隔(μm)の10倍の値を500mmで除した値以下であり、
前記経糸及び前記緯糸を構成するガラスの密度が、2.10g/cm3以上2.50g/cm3以下である、
ガラスクロス。 - 緯糸の目曲がり量が、緯糸の間隔(μm)の5倍の値を500mmで除した値以下である、
請求項3に記載のガラスクロス。 - 緯糸の目曲がり量が、緯糸の間隔(μm)の2.5倍の値を500mmで除した値以下である、
請求項3に記載のガラスクロス。 - 緯糸の目曲がり量が、緯糸の間隔(μm)の1.0倍の値を500mmで除した値以下である、
請求項3に記載のガラスクロス。 - 経糸の糸幅と緯糸の糸幅との和が、380μm以上500μm以下である、
請求項3~6のいずれか一項に記載のガラスクロス。 - 幅25mm当たり5Nの荷重を経糸方向にかけた際に生じる経糸方向の伸び率と、幅25mm当たり5Nの荷重を緯糸方向にかけた際に生じる緯糸方向の伸び率との和が、0.50%以下である、
請求項7に記載のガラスクロス。 - 経糸方向の断面高さと緯糸方向の断面高さとの比が、90%以上110%以下である、
請求項1又は2に記載のガラスクロス。 - 経糸の糸幅と緯糸の糸幅との和が、380μm以上500μm以下であり、
経糸方向の断面高さと緯糸方向の断面高さとの比が、90%以上110%以下である、請求項3~6のいずれか一項に記載のガラスクロス。 - 10GHzの誘電率が5以下である、
請求項1~10のいずれか一項に記載のガラスクロス。 - 経糸の単位長さ当たりの平均質量が、1.40×10-6kg/m以上1.60×10-6kg/m未満であり、
緯糸の単位長さ当たりの平均質量が、1.65×10-6kg/m超過3.00×10-6kg/m以下であり、且つ、
経糸の単位長さ当たりの平均質量に対する緯糸の単位長さ当たりの平均質量の比(緯糸/経糸比)が、1.20以上1.50以下である、
請求項1~11のいずれか一項に記載のガラスクロス。 - 経糸及び緯糸の平均フィラメント数が、実質的に同じであり、且つ、
経糸の平均フィラメント径が、3.7μm以上4.3μm以下であり、
緯糸の平均フィラメント径が、4.2μm以上5.3μm以下であり、
経糸の平均フィラメント径に対する緯糸の平均フィラメント径の比(緯糸/経糸比)が、1.07以上1.40以下である、
請求項1~12のいずれか一項に記載のガラスクロス。 - 経糸及び緯糸の平均フィラメント径が、実質的に同じであり、且つ、
経糸の平均フィラメント数が、45本以上70本以下であり、
緯糸の平均フィラメント数が、55本以上80本以下であり、
経糸の平均フィラメント数に対する緯糸の平均フィラメント数の比(緯糸/経糸比)が、1.25より大きく1.50以下である、
請求項1~12のいずれか一項に記載のガラスクロス。 - 請求項1~14のいずれか一項に記載のガラスクロスと、
マトリックス樹脂と、を有する、
プリプレグ。 - 前記ガラスクロスを構成するガラスの10GHzでの誘電率と、前記マトリックス樹脂の硬化物の10GHzでの誘電率との差異が、3以下である、
請求項15に記載のプリプレグ。 - 前記ガラスクロスを構成するガラスの10GHzでの誘電率と、前記マトリックス樹脂の硬化物の10GHzでの誘電率との差異が、2以下である、
請求項15に記載のプリプレグ。 - 前記ガラスクロスを構成するガラスの10GHzでの誘電率と、前記マトリックス樹脂の硬化物の10GHzでの誘電率との差異が、1以下である、
請求項15に記載のプリプレグ。 - 請求項15~18のいずれか一項に記載のプリプレグを有する、
プリント配線板。
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