JP7449741B2 - 水膨張性シラン架橋ゴム組成物、水膨張性シラン架橋ゴム成形体、及び止水材 - Google Patents
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Description
両方式において、通信ケーブルの接続部は、水密性(止水性)を有するクロージャ(接続箱)で保護される。クロージャの一例を図1に示す。図1からわかるように、クロージャは箱本体11と蓋体12とからなり、箱本体11と蓋体12との接合面に、エチレンプロピレンゴム(EPゴム)等の弾性体からなるガスケット22等を配置することにより封止されている。
ガスケット等による水密性を向上させるため、適度の吸水性を有する水膨張材(通常、水膨張性樹脂材料)を含ませたEPゴムを加硫した水膨張性EPゴム組成物を用いて、ガスケット等は形成されている。このようなEPゴム組成物としては、特許文献1~3に記載の組成物が知られている。
更に、従来の水膨張性EPゴム組成物は、繰り返し吸水排湿させると、膨張収縮、とりわけ収縮の度合い(再現性)が変動して、復元性が低下する問題がある。そのため、繰り返し水に浸かる、クロージャ等への使用を想定すると復元性が十分とは言えず、改善の余地がある。加えて、クロージャ等への使用を想定すると、膨張の度合い(再現性)の変動、すなわち膨張性の低下も抑制されていることが好ましい。
(1)下記繰り返し性能試験により測定される、繰り返し吸水時体積膨張率差(Yw)が15%以下であり、かつ繰り返し排湿時体積収縮率差(Zw)が5.0%以下である、水膨張性シラン架橋ゴム組成物。
<繰り返し性能試験>
水膨張性シラン架橋ゴム組成物で形成した試験片(厚さ:2mm×縦長さ:50mm×横長さ:20mm)を、25℃でイオン交換水(使用量は試験片1つに対して200ml)に浸漬して24時間吸水させ、その後、大気圧下、60℃、無風状態の環境に24時間放置して排湿させる工程を1サイクルとし、この吸水及び排湿工程を20サイクル行う。排湿時には、前記試験片を、前記試験片の最大面を下にして設置して放置する。
前記繰り返し吸水時体積膨張率差(Yw)及び前記繰り返し排湿時体積収縮率差(Zw)は、1サイクル後の試験片及び20サイクル後の試験片について各体積を測定し、下記式1又は下記式2により算出する。
式1:Yw=((a1-b1)/a1)×100
Yw:繰り返し吸水時体積膨張率差(%)
a1:1サイクル目吸水後体積(mm3)
b1:20サイクル目吸水後体積(mm3)
式2:Zw=((a2-c2)/a2)×100
Zw:繰り返し排湿時体積収縮率差(%)
a2:1サイクル目排湿後体積(mm3)
c2:20サイクル目排湿後体積(mm3)
(2)エチレンゴムを30~100質量%含むベースゴム100質量部に対し、デンプン・アクリル酸グラフト重合体部分金属塩、オレフィン-無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール-アクリル酸共重合体、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸金属塩架橋物、ビニルエステル・エチレン系不飽和カルボン酸、ノニオン型ポリアルキレンオキシド、変性ポリアクリル酸架橋樹脂及びアクリル酸重合体部分金属塩架橋樹脂から選ばれる少なくとも1つ以上の水膨張材10~200質量部を含有し、前記ベースゴムがシラン架橋されてなる、(1)に記載の水膨張性シラン架橋ゴム組成物。
(3)前記水膨張材がノニオン型ポリアルキレンオキシドを含む(2)に記載の水膨張性シラン架橋ゴム組成物。
(4)無機フィラー3~100質量部と、前記水膨張材としてノニオン型ポリアルキレンオキシド15~60質量部とを含有する、(2)又は(3)に記載の水膨張性シラン架橋ゴム組成物。
(5)下記水膨張性シラン架橋性ゴム組成物のシラノール縮合硬化物からなる(1)~(4)のいずれか1項に記載の水膨張性シラン架橋ゴム組成物。
<水膨張性シラン架橋性ゴム組成物>
エチレンゴムを30~70質量%、ポリエチレン樹脂及びエチレン-α-オレフィン共重合体の樹脂の少なくとも一方を合計で10~50質量%、スチレンエラストマーを5~20質量%、並びにオイルを5~20質量%含有するベースゴム100質量部に対し、無機フィラー3~100質量部と、前記ベースゴムにグラフト化反応したシランカップリング剤1.0~6.0質量部と、シラノール縮合触媒0.01~0.5質量部と、ノニオン型ポリアルキレンオキシド15~60質量部とを含む水膨張性シラン架橋性ゴム組成物。
(6)(1)~(5)のいずれか1項に記載の水膨張性シラン架橋ゴム組成物を成形してなる水膨張性シラン架橋ゴム成形体。
(7)(1)~(5)のいずれか1項に記載の水膨張性シラン架橋ゴム組成物を使用してなる止水材。
また、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも一方の意味で用いる。
本発明の水膨張性シラン架橋ゴム組成物は、水膨張性を有するシラン架橋ゴム組成物である。
ここで、シラン架橋ゴム組成物とは、シラン架橋法により架橋されたゴムを含有する組成物(シラン架橋法により得られたゴム組成物)を意味する。シラン架橋法とは、通常、有機過酸化物の存在下で不飽和基を有するシランカップリング剤をゴムにグラフト化反応(単に、グラフト化反応ともいう。)させてシラングラフトゴムを得た後に、シラノール縮合触媒の存在下でシラングラフトゴムを水と接触させることにより、シランカップリング剤同士をシラノール縮合反応させて架橋したゴムを得る方法である。本発明においては、上記シラン架橋法以外の、シランカップリング剤を用いずに、有機過酸化物等を分解させて生じるラジカルによって重合体同士を直接架橋させる方法を、化学架橋法ということがある。
「水膨張性を有する」とは、水膨張性シラン架橋ゴム組成物が適量・十分な量の水を吸収、保持して、体積膨張状態を維持できる一方、体積膨張状態にある水膨張性シラン架橋ゴム組成物を乾燥(排湿)により体積膨張状態から元の状態(大きさ程度)まで排湿して収縮する(復元する)ことを意味する。ここで、十分量な水の吸収とは、実施例に記載の方法で測定される体積膨張率(Xw)が、好ましくは15%以上であることをいう。体積膨張率(Xw)については後述する。
繰り返し吸水時体積膨張率差(Yw)は水膨張性シラン架橋ゴム組成物の膨張性の指標であり、一方、繰り返し排湿時体積収縮率差(Zw)は水膨張性シラン架橋ゴム組成物の復元性の指標である。
具体的には、繰り返し吸水時体積膨張率差(Yw)は、水膨張性シラン架橋ゴム組成物について吸水(吸湿)及び排水(排湿)を1サイクルとして20サイクル繰り返した際の、吸水時の体積膨張率の差を表し、下記式1で算出される。この繰り返し吸水時体積膨張率差(Yw)は吸水及び排湿を1サイクルとして20サイクル繰り返した際の吸水時体積比率ということもできる。この吸水時体積膨張率差(Yw)が15%以下であれば、吸水/排湿を繰り返しても初期の吸水量を大きく低下させることなく膨張できる(吸水時の膨張体積が低下しすぎず、1回目の吸水時と近い膨張体積まで再現性よく膨張できる)。
一方、繰り返し排湿時体積収縮率差(Zw)は、水膨張性シラン架橋ゴム組成物について吸水及び排湿を1サイクルとして20サイクル繰り返した際の、排湿時の体積収縮率の差を表し、下記式2で算出される。この繰り返し排湿時体積収縮率差(Zw)は吸水及び排湿を1サイクルとして20サイクル繰り返した際の排湿時体積比率ということもできる。繰り返し排湿時体積収縮率差(Zw)が5%以下であれば、吸水/排湿を繰り返しても排湿時の収縮体積が小さくなりすぎない(1回目の排湿時と近い収縮体積にまで再現性よく復元できる)。
上記のように、本発明の水膨張性シラン架橋ゴム組成物は、水の有無(吸水/排湿)に応じて体積を変化させることができ、さらに、吸水排湿を繰り返しても、膨張体積及び収縮体積をほぼ一定に維持できる。本発明の水膨張性シラン架橋ゴム組成物は、繰り返し吸水時体積膨張率差(Yw)及び繰り返し排湿時体積収縮率差(Zw)を兼ね備えることから、両者による作用機能が相俟って、繰り返しの湿潤乾燥によっても膨張性及び復元性の低下を抑制できる。
本発明の水膨張性シラン架橋組成物は、上述のように、繰り返しの吸水排湿によっても繰り返し吸水時体積膨張率差(Yw)及び繰り返し排湿時体積収縮率差(Zw)の低下が抑制されている。その理由は定かではないが、本発明の水膨張性シラン架橋組成物は、水膨張材がベースゴム中に均一に混合/分散され、保持されているため、水膨張材の性能の低下及び/又は膨張収縮の過程での水膨張材の流出(さらには、抜け落ちによる減肉)が抑制されていると考えられる。
繰り返し排湿時体積収縮率差(Zw)は、3.0%以下であることが好ましく、2.0%以下であることがより好ましい。その下限は、0%であることが理想的であるが、実際的には0.5%である。
<繰り返し性能試験>
水膨張性シラン架橋ゴム組成物で形成した試験片(厚さ:2mm×縦長さ:50mm×横長さ:20mm)を、25℃でイオン交換水(使用量は試験片1つに対して200ml)中に浸漬して24時間吸水させ、その後、大気圧下、60℃、無風状態の環境に24時間放置して排湿させる工程を1サイクルとし、この吸水及び排湿工程を20サイクル行う。排湿時には、試験片を、試験片の最大面を下にして設置して放置する。繰り返し吸水時体積膨張率差(Yw)及び繰り返し排湿時体積収縮率差(Zw)は、1サイクル後の試験片及び20サイクル後の試験片について各体積を測定し、下記式1又は下記式2により算出する。
式1:Yw=((a1-b1)/a1)×100
Yw:繰り返し吸水時体積膨張率差(%)
a1:1サイクル目吸水後体積(mm3)
b1:20サイクル目吸水後体積(mm3)
式2:Zw=((a2-c2)/a2)×100
Zw:繰り返し排湿時体積収縮率差(%)
a2:1サイクル目排湿後体積(mm3)
c2:20サイクル目排湿後体積(mm3)
繰り返し吸水時体積膨張率差(Yw)及び繰り返し排湿時体積収縮率差(Zw)は、いずれもベースゴムの組成(成分及び含有量)、無機フィラーの添加の有無及び添加量、水膨張材の種類及び添加量、シランカップリング剤の添加量、有機化酸化物の添加量等を調整することにより、上記範囲とすることができる。
繰り返し吸水時体積膨張率差(Yw)15%以下を達成するための条件は使用する材料等にもよるので一義的に定めることは難しいが、一般的には、以下の傾向にある。
ベースゴムの成分として、エチレンゴム等の柔らかいゴムを採用すると達成できる傾向にある。水膨張材を多く含有させることが好ましく、水膨張材の含有量を多くすると繰り返し吸水時体積膨張率差(Yw)は上昇する傾向にある。無機フィラーを多く含有させることが好ましく、無機フィラーの含有量を多くすると吸水時体積膨張率差(Yw)は低下する傾向にある。
繰り返し排湿時体積収縮率差(Zw)5.0%以下を達成するための条件は使用する材料等にもよるので一義的に定めることは難しいが、一般的には、以下の傾向にある。
ベースゴムの成分として、エチレンゴム等の柔らかいゴムを採用すると達成できる傾向にある。水膨張材を多く含有させることが好ましく、水膨張材の含有量を多くすると繰り返し排湿時体積収縮率差(Zw)は上昇する傾向にある。無機フィラーを多く含有させることが好ましく、無機フィラーの含有量を多くすると吸水時体積膨張率差(Yw)は低下する傾向にあるが、多すぎると上昇する傾向にある。
ベースゴムは、後述する有機過酸化物から発生したラジカルの存在下において、シランカップリング剤のグラフト化反応部位とグラフト化反応可能な部位(例えば、炭素鎖の不飽和結合部位、水素原子を有する炭素原子)を主鎖中又はその末端に有しているゴムを含有していれば、特に限定されない。
ベースゴムは、エチレンゴムを含有することが好ましい。
ベースゴムは、エチレンゴムに加えて、ポリエチレン樹脂及び/又はエチレン-α-オレフィン共重合体の樹脂、スチレンエラストマー、並びにオイルの少なくとも1種又はそれらの組合せを含有していてもよい。ポリエチレン樹脂スチレンエラストマー、及びオイルを組合せて用いることにより、優れた吸水性及び排湿性に加えて、排湿時及び吸水時の外観に優れた組成物を得ることができる。本発明において、シラン架橋法に起因する外観不良の発生防止と、吸水状態において発生する外観不良の発生防止とを可能として、優れた外観を達成できる。シラン架橋法に起因する外観不良は、シランカップリング剤同士の縮合等により形成されるブツ等による肌荒れであり、排湿状態において観察される。吸水状態において発生する外観不良は、組成物の表面が膨張して、又は組成物の成分が表面にブリードアウトして部分的に形成された凸部(突出部)による肌荒れである。この凸部は排湿時には消失する点で、シラン架橋法に起因するブツとは異なる。外観不良、特に、吸水時の外観不良が生じた場合、均一な表面状態でないため繰り返しの吸水排湿によりで止水性が保てない場合がある。さらに、外観不良が生じると、該当部分の除去が必要となる場合があり、歩留まりが悪くなることがある。
以下に、ベースゴムの成分について説明する。
エチレンゴムは、エチレン性不飽和結合を有する化合物を共重合して得られる共重合体からなるゴム(エラストマーを含む)であれば特に限定されず、公知のものを使用することができる。エチレンゴムとしては、好ましくは、エチレンとα-オレフィンとの共重合体、エチレンとα-オレフィンとジエンとの三元共重合体からなるゴムが挙げられる。三元共重合体のジエン構成成分は、共役ジエン構成成分であっても非共役ジエン構成成分であってもよく、非共役ジエン構成成分が好ましい。
ポリエチレン樹脂としては、エチレン(CH2=CH2)に由来する構成成分(-CH2-CH2-)を含む重合体の樹脂であればよく、公知のものを使用することができる。ポリエチレン樹脂は、エチレンの単独重合体、エチレンと5mol%以下のα-オレフィレン単量体との共重合体、及びエチレンと官能基に炭素原子、酸素原子、及び水素原子だけを持つ1mol%以下の非オレフィン単量体との共重合体からなる各樹脂が包含される。ポリエチレン樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンが好ましい。ポリエチレン樹脂は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
エチレン-α-オレフィン共重合体の樹脂としては、エチレンと炭素原子数3~12のα-オレフィンとの共重合体(上述のエチレンゴム、上述のポリエチレン樹脂に該当するものを除く)の樹脂が挙げられる。
吸水後の外観を突出部のない滑らかなものとする観点からは、ポリエチレン樹脂を用いることが好ましい。
ポリエチレン樹脂及びエチレン-α-オレフィン共重合体の樹脂の含有量は、特に限定されないが、ベースゴム100質量%中、これらの合計が、10~60質量%であることがより好ましく、10~50質量%であることがさらに好ましく、10~40質量%であることがよりさらに好ましく、10~20質量%が特に好ましい。ベースゴム中の、ポリエチレン樹脂及びエチレン-α-オレフィン共重合体の樹脂のそれぞれの含有率は、上記合計含有率を満たす範囲内で適宜に設定される。ここで、ポリエチレン樹脂及びエチレン-α-オレフィン共重合体樹脂の少なくとも一方を含有するとは、ポリエチレン樹脂及びエチレン-α-オレフィン共重合体の樹脂のいずれか一方のみを含有する態様と、ポリエチレン樹脂及びエチレン-α-オレフィン共重合体の樹脂とを含有する態様とを含む。これらの樹脂のいずれか一方のみを含有する場合には、その含有量が上記合計含有量の範囲内にあればよい。
スチレンエラストマーとしては、分子内に芳香族ビニル化合物を構成成分とする重合体からなるものをいう。このようなスチレンエラストマーとしては、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とのブロック共重合体及びランダム共重合体、又は、それらの水素添加物等が挙げられる。このようなスチレンエラストマーとしては、例えば、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、水素化SIS、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、水素化SBS、スチレン-エチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEEPS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、水素化スチレン-ブタジエンゴム(HSBR)、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン/ブタジエン/(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン/ブタジエン/無水マレイン酸共重合体、スチレン/イソプレン/(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン/イソプレン/無水マレイン酸共重合体、スチレン/エチレン/ブタジエン/(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン/エチレン/ブタジエン/無水マレイン酸共重合体、スチレン/プロピレン/イソプレン/(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン/プロピレン/イソプレン/無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。スチレン系エラストマーは、1種を単独で用いても2種以上を用いてもよい。
スチレンエラストマーの含有量は、特に限定されないが、ベースゴム100質量%中、5~60質量%以下であることが好ましく、5~40質量%であることがより好ましく、5~20質量%が特に好ましい。
ベースゴムが含有しうるオイル成分は、特に限定されないが、有機油が挙げられる。ベースゴムが有機油を含有していると、ブツ及び/又は突出部の発生を抑制して優れた吸水前及び吸水後の外観を有する水膨張性シラン架橋ゴム組成物を製造することができる。
有機油として、パラフィンオイル又はナフテンオイルが好ましく、機械強さの点でパラフィンオイルがより好ましい。
オイルの含有量は、特に限定されないが、ベースゴム100質量%中、30質量%以下であることが好ましく、2~30質量%であることがより好ましく、3~25質量%であることがさらに好ましく、5~20質量%が特に好ましい。
水膨張材は、水膨張性シラン架橋ゴム組成物に水膨張性を付与する。さらには、圧縮永久歪みを小さくする場合がある。加えて、水膨張材を添加したことにより、後述する製造方法におけるシラン架橋(シラノール縮合反応)の際に、水を取り込みやすい状態になり成形後のシラン架橋が容易になる場合がある。
水膨張材は、水を分子内に取り込みゲル化して膨張し、水が除かれると収縮する樹脂材料であれば特に限定されない。水膨張材として、通常の水膨張性樹脂を使用することができる。
本発明において、水膨張材等の化合物や重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で化学構造の一部を変更した化合物、誘導体等を包含する。
デンプン・アクリル酸グラフト重合体部分金属塩は、デンプンにアクリル酸をグラフト反応させた重合体について、そのアクリル酸を部分的に金属塩としたものである。塩を形成する金属としては、アルカリ金属が好ましく、ナトリウムがより好ましい。デンプン・アクリル酸グラフト重合体部分金属塩としては、デンプン・アクリル酸グラフト重合体部分ナトリウム塩等が挙げられる。
オレフィン-無水マレイン酸共重合体を形成するオレフィンとしては、エチレン、イソブチレン等である。オレフィン-無水マレイン酸共重合体は、塩でもよく、変性物でもよい。
ポリビニルアルコール-アクリル酸共重合体は、架橋されていてもよい。
カルボキシメチルセルロースは、セルロースの水酸基をカルボキシメチル化したものであり、ナトリウム塩であることが好ましい。
ポリアクリル酸金属塩架橋物は、ポリアクリル酸金属塩の架橋物である。塩を形成する金属としては、アルカリ金属が好ましく、ナトリウムがより好ましい。ポリアクリル酸金属塩架橋物としては、ポリアクリル酸ナトリウム架橋物等が好ましい。
ビニルエステル・エチレン系不飽和カルボン酸は、ビニルエステルとエチレン系不飽和カルボン酸の共重合体である。
ノニオン型ポリアルキレンオキシドとしては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリアルキレンオキシドを主鎖とする架橋物が好ましい。
水膨張材は、市販の水膨張材を使用することができる。
水膨張材は、架橋したもの、変性したものでもよい。架橋及び/又は変性した水膨潤材は、水膨潤材の分野で、一般的に用いられる架橋方法、変性方法によって製造することができる。
突出部の形成を抑制し、吸水後の外観の良い組成物を得る観点からは、熱可塑性の水膨張材を用いることが好ましい。上記突出部は、水膨張材が組成物の表面に露出した場合に、露出した水膨張材が吸水によって膨張することによって組成物表面に形成される。しかし、熱可塑性の水膨張材は、組成物中に均一に分散されやすく、吸水時に組成物が均一に膨張するため、突出部の原因となりにくい。
イオン性吸水性水膨張樹脂としては、特に制限されないが、ポリカルボン酸塩系樹脂、ポリアクリル酸塩系樹脂、カルボキシメチルセルロース系樹脂、ポリスルホン酸塩系樹脂等が挙げられる。
非イオン性吸水性水膨張樹脂としては、特に制限されないが、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリオキシアルキレン系樹脂等が挙げられる。
有機過酸化物は、少なくとも熱分解によりラジカルを発生して、触媒としてシランカップリング剤のグラフト化反応部位とベースゴムとのラジカル反応(ゴムからの水素ラジカル引き抜き反応を含む)によるグラフト化反応を生起させる働きをする。
有機過酸化物としては、ラジカルを発生させるものであれば、特に制限はなく、例えば、一般式:R1-OO-R2、R3-OO-C(=O)R4、R5C(=O)-OO(C=O)R6で表される化合物が好ましい。ここで、R1~R6は各々独立にアルキル基、アリール基又はアシル基を表す。各化合物のR1~R6のうち、いずれもアルキル基であるもの、又は、いずれかがアルキル基で残りがアシル基であるものが好ましい。
このような有機過酸化物としては、例えば、ジクミルペルオキシド(DCP)、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルオキシソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert-ブチルクミルペルオキシド等を挙げることができる。これらのうち、臭気性、着色性、スコーチ安定性の点で、ジクミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3が好ましい。有機過酸化物は、1種類を用いても、2種類以上を用いてもよい。
有機過酸化物の分解温度は、130~195℃であるのが好ましく、150~185℃であるのが特に好ましい。
本発明において、有機過酸化物の分解温度とは、単一組成の有機過酸化物を加熱したとき、1分間のうちある一定の温度又は温度域でそれ自身が2種類以上の化合物に半分分解反応を起こす温度(1分間半減期温度)を意味する。具体的には、DSC法等の熱分析により、窒素ガス雰囲気下で5℃/分の昇温速度で、室温から加熱したとき、吸熱又は発熱を開始する温度をいう。
有機過酸化物は、水膨張性シラン架橋ゴム組成物の調製時に、後述する配合量で使用することが好ましい。
無機フィラーは、特に制限されないが、その表面に、シランカップリング剤のシラノール縮合可能な反応部位と水素結合又は共有結合等により、化学結合しうる部位を有するものを好ましく用いることができる。この無機フィラーにおける、シランカップリング剤のシラノール縮合可能な反応部位と化学結合しうる部位としては、OH基(水酸基、含水若しくは結晶水の水分子、カルボキシ基等のOH基)、アミノ基、SH基等が挙げられる。
このような無機フィラーとしては、例えば、水和水、水酸基あるいは結晶水を有する化合物のような金属水和物等が挙げられる。金属水和物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、さらには炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミニウムウイスカなどのほか、水和水等を有する、水和ケイ酸アルミニウム、水和ケイ酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の無機酸塩又は無機酸化物等が挙げられる。無機フィラーとしては、金属水和物以外にも、例えば、窒化ほう素、シリカ(結晶質シリカ、非晶質シリカ等)、カーボンブラック、クレー、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化モリブデン、三酸化アンチモン、シリコーン化合物、石英、タルク、ほう酸亜鉛、ホワイトカーボン、硼酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、スズ酸亜鉛が挙げられる。無機フィラーは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
無機フィラーは、これらの中でも、金属水和物、タルク、クレー、シリカ、カーボンブラックからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
シランカップリング剤は、有機過酸化物の分解により生じたラジカルの存在下で、ベースゴムのグラフト化反応可能な部位にグラフト化反応しうるグラフト化反応部位(基又は原子)と、シラノール縮合可能な反応部位(加水分解して生成する部位を含む。例えばシリルエステル基等)とを、少なくとも有するものであればよい。このようなシランカップリング剤として、末端に加水分解性基を有する加水分解性シランカップリング剤が好ましい。シランカップリング剤は、末端に、アミノ基、グリシジル基又はエチレン性不飽和基を含有する基と加水分解性基を含有する基とを有しているものがより好ましく、さらに好ましくは末端にエチレン性不飽和基を含有する基と加水分解性基を含有する基とを有しているシランカップリング剤である。エチレン性不飽和基を含有する基としては、特に限定されないが、例えば、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシアルキレン基、p-スチリル基等が挙げられる。またこれらのシランカップリング剤とその他の末端基を有するシランカップリング剤を併用してもよい。
末端にグリシジル基を有するものとしては、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
上記シランカップリング剤の中でも、末端にビニル基とアルコキシ基を有するシランカップリング剤がさらに好ましく、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが特に好ましい。
シランカップリング剤は、そのままの形態で用いてもよいし、溶剤で希釈した形態で用いてもよい。シランカップリング剤は、1種類を用いても、2種類以上を用いてもよい。
シラノール縮合触媒は、ベースゴムにグラフト化反応したシランカップリング剤を水分の存在下で縮合反応させる働きがある。このシラノール縮合触媒の働きに基づき、シランカップリング剤を介して、ゴム同士が架橋される。その結果、加硫設備を用いなくとも優れた引張強度や小さな圧縮永久歪みを有し、必要により高温、高速で成形可能となり、従来の架橋EPゴムの製造方法よりも短時間で水膨張性シラン架橋ゴム組成物が得られる。
シラノール縮合触媒としては、特に限定されず、例えば、有機スズ化合物、金属石けん、白金化合物等が挙げられる。一般的なシラノール縮合触媒としては、例えば、ジブチルスズジラウリレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクチエート、ジブチルスズジアセテート、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ナフテン酸鉛、硫酸鉛、硫酸亜鉛、有機白金化合物等が用いられる。これらの中でも、特に好ましくは、ジブチルスズジラウリレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクチエート、ジブチルスズジアセテート等の有機スズ化合物である。
水膨張性シラン架橋ゴム組成物には、本発明の目的を損なわない範囲において、樹脂組成物において、一般的に使用されている各種の添加剤等を含有することができる。例えば、酸化防止剤、及びカーボンブラック等を挙げることができる。
上記好ましい態様は、次のように表すこともできる。すなわち、エチレンゴムを30~100質量%含むベースゴムのシラン架橋物と、シラン架橋前のベースゴム100質量部に対し、デンプン・アクリル酸グラフト重合体部分金属塩、オレフィン-無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール-アクリル酸共重合体、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸金属塩架橋物、ビニルエステル・エチレン系不飽和カルボン酸、ノニオン型ポリアルキレンオキシド、変性ポリアクリル酸架橋樹脂及びアクリル酸重合体部分金属塩架橋樹脂から選ばれる少なくとも1つ以上の水膨張材10~200質量部とを含有する水膨張性シラン架橋ゴム組成物である。
上記水膨張性シラン架橋ゴム組成物の別の好ましい一態様は、次のように表すこともできる。すなわち、エチレンゴムを30~70質量%、ポリエチレン樹脂及びエチレン-α-オレフィン共重合体の樹脂を合計で10~50質量%、スチレンエラストマーを5~20質量%、及びオイルを5~20質量%含有するベースゴム100質量部に対し、有機過酸化物0.01~0.6質量部と、無機フィラー3~100質量部と、前記ベースゴムにグラフト化反応しうるグラフト化反応部位とシラノール縮合可能な反応部位とを有するシランカップリング剤1.0~6.0質量部と、シラノール縮合触媒0.01~0.5質量部と、ノニオン型ポリアルキレンオキシド15~60質量部とを溶融混合して、架橋させてなる水膨張性シラン架橋ゴム組成物である。
水膨張性シラン架橋ゴム組成物の製造方法の詳細については、後述する。
上述の通り、水膨張性シラン架橋ゴム組成物は、繰り返し吸水時体積膨張率差(Yw)が15%以下(好ましくは10%以下)及び繰り返し排湿時体積収縮率差(Zw)が5.0%以下である。
上記特性に加えて、水膨張性シラン架橋ゴム組成物は、以下の特性を有することが好ましい。
繰り返し吸水時体積膨張率差(Ys)は、15%以下であることがより好ましい。繰り返し吸水時体積膨張率差(Ys)の下限は、0%であることが理想的であるが、実際的には0.5%である。
繰り返し排湿時体積収縮率差(Zs)は、5.0%以下であることがより好ましく、3%以下であることがより好ましい。繰り返し排湿時体積収縮率差(Zs)の下限は、0%であることが理想的であるが、実際的には0.5%である。
繰り返し吸水時体積膨張率差(Ys)及び繰り返し排湿時体積収縮率差(Zs)は、上述の繰り返し吸水時体積膨張率差(Yw)及び繰り返し排湿時体積収縮率差(Zw)と同様の方法で調整できるが、特に、水膨張材の種類及び添加量を調整することにより、上記範囲とすることができる。
水架橋性シラン架橋ゴム組成物は、材料の混合時間(特に、後述するドライブレンドの時間)の短縮が可能である。
水膨張性シラン架橋ゴム組成物は、水及び塩水への24時間浸漬後、24時間排出(乾燥)後の排湿量が0.5g/g以上であることが好ましく、1.0g/g以上であることがより好ましい。上限は、特に限定されないが、2.0g/gが実際的である。
上記吸水量は、JISK7223高吸水性樹脂の吸水量試験方法に準拠した、下記の方法により、また、排湿量は下記の方法により測定することができる。
[吸水量]
室温25℃でイオン交換水(純水)又は塩水5%(使用量はシートサンプル1つに対して200ml)に、水膨張性シラン架橋ゴム組成物を2mm×20mm×50mmに成形したシートサンプルを24時間浸漬後、イオン交換水又は塩水から取り出してすぐに、質量を計量する。
W=(e1-d1)/d1
W:吸水量(g/g)
d1:試料の質量(g)
e1:試料を所定時間浸漬し、水切りした後の質量(g)
[排湿量]
室温25℃でイオン交換水(純水)又は塩水5%(使用量はシートサンプル1つに対して200ml)に、水膨張性シラン架橋ゴム組成物を2mm×20mm×50mmに成形したシートサンプルを24時間浸漬後、イオン交換水又は塩水から取り出し、大気圧下、室温25℃、無風状態の環境に24時間放置、質量を計量する。排湿時には、前記シートサンプルを、シートサンプルの最大面を下にして設置して放置する。
Zw=(e2-d2)/d2
Zw:排湿量(g/g)
d2:試料の質量(g)
e2:試料を所定時間乾燥した後の質量(g)
水膨張性シラン架橋ゴム組成物は、膨潤性及び/又は耐水性が要求される製品、部品等の材料として使用することができる。このような製品、部品、部材等としては、例えば、パッキン、ガスケット等のシール材、止水材、止水に用いる装置の構成部材、水密性が要求される装置の構成部材(例えば、クロージャの端面板及びバックル)等が挙げられる。
水膨張性シラン架橋ゴム組成物は、部材の接合面に配置して、止水材として用いることもできる。
水膨張性シラン架橋ゴム組成物は、例えば、クロージャの構成部材として使用することができる。
クロージャの一例を図1に示す。図1に示すクロージャ1は、箱本体11と蓋体12とからなる。箱本体11及び蓋体12は、それぞれ内部が直方形状の空洞となっている直方体の一面を取って開口部を設けた箱状である。箱本体11は、底面、正面(面A)、正面に対峙する裏面、及び左右側面を有する。蓋体12は、天面、正面、正面に対峙する裏面、及び左右側面を有する。図1では、箱本体11と蓋体12とはそれぞれの開口部が相対するようにして示されている。箱本体11において、底面に対して鉛直方向を上下方向という。箱本体11は、そのA面に、通信ケーブル等をクロージャ内部に通すための貫通孔(図示せず)を有する2つの端面板21を有し、内部にケーブル接続分岐部(図示せず)を有する。箱本体11と蓋体12との接合面にはガスケット22が配されている。箱本体11と蓋体12とをガスケット22を介して接合させて、箱本体11の両側面上方に設けたバックル留め部24に、蓋体12の両側面に設けられた、可撓性を有するバックル23を係合させて閉じることによりクロージャ1内部を外部から遮断する。本発明の水膨張性シラン架橋ゴム組成物を、端面板21、ガスケット22、バックル23等に使用すると、ベースゴムがもともと有する弾性を利用した密着性に加えて、水を吸収した際には、体積が膨張することによる膨張圧により他の部材との密着性がより高まり、クロージャ1内部への水の浸入を防ぐことができる。加えて、水膨張性シラン架橋ゴム組成物は、繰り返しの湿潤乾燥による膨張性及び復元性の低下が抑制されているので、クロージャを使用しても、水密性が低下しにくい。
本発明の水膨張性シラン架橋ゴム成形体は、本発明の水膨張性シラン架橋ゴム組成物を成形してなるものであればよく、特に限定されない。水膨張性シラン架橋ゴム成形体の形状は、その用途に応じて設定することができる。成形のタイミングは特に限定しないが、シラン架橋前に行うことが好ましい。水膨張性シラン架橋ゴム成形体の製造方法及びその成形方法については後述する。
水膨張性シラン架橋ゴム成形体は、本発明の水膨張性シラン架橋ゴム組成物と同様の特性を示す。
成形体の例としては、上記水膨張性シラン架橋ゴム組成物の用途で説明した、部材等が挙げられる。例えば、クロージャのガスケット等とすることが好ましい。
また、水膨張性シラン架橋ゴム成形体は止水材とすることも好ましい。
以下、本発明の水膨張性シラン架橋ゴム組成物及び水膨張性シラン架橋ゴム成形体について、製造方法に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
上記グラフト化反応は、ベースゴムとシランカップリング剤のグラフト化反応部位とを反応させて行う。具体的な反応条件としては、後述する工程(a)の溶融混合条件が挙げられる。グラフト化反応は、無機フィラーの存在下で行うことが好ましい。
シラングラフトゴムと水との接触は、通常の方法により行うことができる。水と接触することにより、シラングラフトゴムにグラフト化反応したシランカップリング剤のシラノール縮合可能な反応部位がシラノール基となり、シラノール基が脱水縮合することにより、架橋が形成される。
このようにして、水膨張性シラン架橋ゴム組成物を得ることができる。
以下では、水膨張性シラン架橋ゴム成形体の製造方法の好ましい態様について説明をするが、成形工程以外の工程は、水膨張性シラン架橋ゴム組成物の製造方法と共通である。
工程(1):ベースゴム100質量部に対して、無機フィラー0~250質量部と、ベースゴムにグラフト化反応しうるグラフト化反応部位とシラノール縮合可能な反応部位とを有するシランカップリング剤1~15質量部と、有機過酸化物0.01~0.6質量部と、シラノール縮合触媒0.0001~0.5質量部と、水膨張材10~200質量部とを溶融混合して、溶融混合物として水膨張性シラン架橋性ゴム組成物を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた水膨張性シラン架橋性ゴム組成物を成形して成形体を得る工程
工程(3):工程(2)で得られた成形体を水と接触させて水膨張性シラン架橋ゴム成形体を得る工程
前記工程(1)を行うにあたり、下記工程(a)においてベースゴムの全部を溶融混合する場合には、前記工程(1)は、下記工程(a)及び工程(c)を有し、下記工程(a)でベースゴムの一部を溶融混合する場合には、前記工程(1)は、下記工程(a)、工程(b)及び工程(c)を有する。
工程(a):ベースゴムの全部又は一部と、シランカップリング剤と、有機過酸化物と、無機フィラーを含む場合には無機フィラーとを有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合して、シランマスターバッチを調製する工程
工程(b):ベースゴムの残部とシラノール縮合触媒とを溶融混合して、触媒マスターバッチを調製する工程
工程(c):シランマスターバッチと、シラノール縮合触媒又は前記触媒マスターバッチと、水膨張材とを溶融混合して、水膨張性シラン架橋性ゴム組成物を調製する工程
ここで、混合するとは、均一な混合物を得ることをいう。
上記態様では、水膨張材を工程(c)において混合しているが、上述の通り、水膨張材は、工程(a)又は(b)において混合してもよい。
シラン架橋性ゴム組成物は、シラングラフトゴム組成物とシラノール縮合触媒とを含有する組成物である。これらに加えてさらに水膨張材を含むシラン架橋性ゴム組成物を、水膨張性シラン架橋性ゴム組成物という。
さらに、水膨張性シラン架橋ゴム組成物は、水膨張性シラン架橋性ゴム組成物のシラン架橋物(シラノール縮合硬化物)をいう。
混合方法としては、ゴム、プラスチック等で通常用いられる方法であれば、特に限定されない。混合装置は、例えば無機フィラーの含有量に応じて適宜に選択される。混練装置として、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等が用いられる。
工程(a-1):少なくとも無機フィラー及びシランカップリング剤を混合して混合物を調製する工程
工程(a-2):工程(a-1)で得られた混合物と、ベースゴムの全部又は一部とを、有機過酸化物の存在下で有機過酸化物の分解温度以上の温度において、溶融混合する工程
このような混合条件として、好ましくは、有機過酸化物の分解温度未満の温度、より好ましくは室温(25℃)で、有機過酸化物と無機フィラーとシランカップリング剤との混合を行う。混合時間は、好ましくは1~10分程度に設定できる。
工程(a-1)の混合においては、上記分解温度未満の温度が保持されている限り、ベースゴムが存在していてもよい。
混合は、均一に混合できる方法であればよく、ゴムの溶融下で行う混合(溶融混合)が挙げられる。溶融混合は上記行程(a)の溶融混合と同様に行うことができる。その他の条件、例えば混合時間は適宜設定することができる。
この触媒MBは、シランMBとともに、工程(1)で調製される水膨張性シラン架橋性ゴム組成物の製造に、用いられる。
混合方法は、上述説明のように均一な溶融混合物を得ることができれば、どのような混合方法でもよい。
溶融混合を行うに先立って、シランMBと、シラノール触媒又は触媒MBと、水膨潤材とをドライブレンドすることができる。このような混合条件として、好ましくは10~60℃、より好ましくは室温近傍(20~25℃)で、これらの成分の混合を行う。混合時間は、使用する原料の種類、配合量、装置等により異なるため一義的に定めることは難しいが、好ましくは1~10分程度に設定できる。比較的短時間でドライブレンドを行っても、溶融混合後に、均一な溶融混合物を得ることができる。
この水膨張性シラン架橋性ゴム組成物中に含有されるシラン架橋性ゴムは、シランカップリング剤がベースゴムにグラフト化反応したシラン架橋性ゴムである。このシラン架橋性ゴムにおいて、シランカップリング剤のシラノール縮合可能な反応部位は、無機フィラーと結合又は吸着していてもよいが、後述するようにシラノール縮合していない。したがって、シラン架橋性ゴムは、無機フィラーと結合又は吸着したシランカップリング剤がベースゴムにグラフト化反応した架橋性ゴムと、無機フィラーと結合又は吸着していないシランカップリング剤がベースゴムにグラフト化反応した架橋性ゴムとを少なくとも含む。また、シラン架橋性ゴムは、無機フィラーが結合又は吸着したシランカップリング剤と、無機フィラーが結合又は吸着していないシランカップリング剤とを有していてもよい。また、シランカップリング剤と未反応のゴム成分を含んでいてもよい。
本発明の水膨張性シラン架橋ゴム成形体の製造方法において、得られた溶融混合物を成形して成形体を得る工程(2)を行う。この工程(2)は、溶融混合物を成形できればよく、本発明の製品の形態に応じて、適宜に成形方法及び成形条件が選択される。成形方法は、押出機を用いた押出成形、射出成形機を用いた射出成形、プレス成形機を用いたプレス成形、その他の成形機を用いた成形が挙げられる。射出成形が特に好ましい。
本発明のシラン架橋ゴム組成物の成形に際しては、プレミックス機能を有しない成形機を用いることも可能である。これは、上述の通り、シラン架橋法としたことにより、ベースゴムと水膨張材とが均一に混合されやすいためである。
この工程(3)の処理自体は、通常の方法によって行うことができる。シランカップリング剤同士の縮合は、常温で放置するだけで進行する。したがって、工程(3)において、成形体を水に積極的に接触させる必要はない。
水膨張材は、シラン架橋ゴム中に分散している。
さらに、水膨張性シラン架橋ゴム成形体の製造方法は、上記ベースゴムを上記のシラン架橋法により、成形及び架橋するものであるから、架橋反応を行うに当たりEPゴムの加硫設備を不要とし、EPゴムの加硫法に対して生産性を高めることができる。
一方、成形後には、架橋反応が容易に進行しやすく、架橋を均一に行うことができる。これは、水膨張性シラン架橋性ゴム組成物は、水膨張材を含有しているため、水分を取り込みやすく、シランカップリング剤のシラノール縮合可能な反応部位が加水分解する機会が増やされているためと考えられる。
得られた水膨張性シラン架橋ゴム成形体は、すべての面から単位面積当たり均一に吸水、排湿できる。
表1において、各例の含有量に関する数値は特に断らない限り質量部を表す。
<エチレンゴム>
エチレンゴム1:「ノーデル3720P」(NORDEL(登録商標)、ダウ・ケミカル社製、エチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネンゴム、エチレン含有量70質量%)
エチレンゴム2:「EP1045」(商品名、三井化学社製、エチレン-プロピレン-ゴム、エチレン含有量58質量%)
エチレンゴム3:「EP51」(商品名、JSR社製、エチレン-プロピレン-ゴム、エチレン含有量67質量%)
<ポリエチレン樹脂>
ポリエチレン樹脂1:「NUCG-7641」(商品名、NUC社製、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE))
<スチレンエラストマー>
スチレンエラストマー1:「セプトン4077」(商品名、クラレトレーディング社製、スチレンエラストマー(SEEPS))
<オイル>
オイル1:「ダイアナプロセスオイルPW90」(商品名、出光興産社製、パラフィン系プロセス油)
<有機過酸化物>
有機過酸化物1:「パーヘキサ25B」(商品名、日本油脂社製、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、1分間の半減期温度179.8℃)
<無機フィラー>
無機フィラー1:「FK621」(商品名、神島化学社製、水酸化マグネシウム)
無機フィラー2:「ソフトン1200」(商品名、備北粉化工業社製、超微粒子重質炭酸カルシウム)
無機フィラー3:「サテントンSP-33」(商品名、BASF社製、焼成カオリン)
<シランカップリング剤>
シランカップリング剤1:「KBM1003」(商品名、信越シリコーン社製、ビニルトリメトキシシラン)
<シラノール縮合触媒>
シラノール縮合触媒1:「アデカスタブOT-1」(商品名、ADEKA社製、ジオクチルスズジラウレート)
水膨張材1:「アクアコークTWB」(商品名、住友精化社製、ノニオン型ポリアルキレンオキシド)
水膨張材2:「アクアリックCS 6S」(商品名、日本触媒社性、変性ポリアクリル酸架橋樹脂)
水膨張材3:「サンフレッシュST-500MPSA」(商品名、三洋化成社製、アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋樹脂)
実施例1~19及び比較例1~4において、ベースゴムの一部(95質量部)を工程(a)で用い、ベースゴムの残部(5質量部)を工程(b)で触媒MBのキャリアゴムとして用いた。
無機フィラーと、シランカップリング剤と、有機過酸化物とを、表1のシランMB欄に示す質量比で、室温(25℃)下で、混合した。得られた混合物とベースゴムの一部とを、2Lバンバリーミキサー(日本ロール社製)を用いて、有機過酸化物の分解温度以上の温度(180℃)において5分間にわたり溶融混合した後、材料排出温度130℃で排出し、ペレット化してシランMBを得た(工程(a))。得られたシランMBは、ベースゴムにシランカップリング剤がグラフト化反応したシラン架橋性ゴムを含有している。
得られたドライブレンド物を、射出成形機(東芝EC220-i6A220ton(商品名)、東芝社製、シリンダ長さ:1600mm、内径:35mm)に2000g投入して、シリンダ温度170℃、射出速度60mm/sで充填し、保圧時間30秒~60秒、金型温度40℃で保圧して、水膨張性シラン架橋性ゴム組成物のシート体(縦:240mm、横:180mm、厚さ:4mm)を得た。シート体の成形に要した時間は3分であった。水膨張性シラン架橋性ゴム組成物の、円柱状体(直径:30mm、高さ:12mm)は、上記シート体を円状型で打ち抜き、3枚を重ねて得た。
このようにして得られた水膨張性シラン架橋性ゴム組成物のシート体及び円柱状体を温度25℃、湿度55%、12時間放置することにより、水と接触させて、ベースゴムがシランカップリング剤により架橋したシラン架橋ゴムと表1に示す含有量の無機フィラーと水膨張材とを含有する水膨張性シラン架橋ゴム組成物の成形体(シート成形品及び円柱状成形品)を得た。
2Lバンバリーミキサー(日本ロール社製)を用いて、表1のシランMB欄に示すベースゴムの全部(100質量部)、無機フィラーを、表1に示す質量比で、室温(25℃)下で、混合した。得られた混合物を、2Lバンバリーミキサー(日本ロール社製)を用いて、180℃において5分間にわたり溶融混合した後、材料排出温度130℃で排出し、ペレット化してMBを得た。得られたMBは、常温の8インチロールで表1に示す質量比で有機過酸化物と混練し排出しペレット化した。このようにして得た有機過酸化物を含有するペレットと水膨張材を室温で1分間ドライブレンドして、ドライブレンド物を得た。
得られたドライブレンド物を、射出成形機(東芝EC220-i6A220ton)に投入して、シリンダ温度170℃、射出速度60mm/sで射出し、保圧時間30秒~60秒、金型温度40℃で保圧して、水膨張性ゴム組成物のシート成形品(縦:240mm、横:180mm、厚さ:4mm)を得た。シート成形品の成形に要した時間は3分であった。水膨張性ゴム組成物の円柱状成形品(直径:30mm、高さ:12mm)は、シート成形品を円状型で打ち抜き、3枚を重ねて得た。
このようにして、架橋していない、水膨張性ゴム組成物の成形体(シート成形品及び円柱状成形品)を得た。
表1のシランMB欄に示す成分を表1に示す質量比で、2Lバンバリーミキサー(日本ロール社製)を用いて、ベースゴムの全部(100質量部)、無機フィラーを、表1に示す質量比で、室温(25℃)下で、混合した。得られた混合物を、2Lバンバリーミキサー(日本ロール社製)を用いて、180℃において5分間にわたり溶融混合した後、材料排出温度130℃で排出し、ペレット化してMBを得た。得られたMBは、常温の8インチロールで有機過酸化物と混練し排出しペレット化した。このようにして得た有機過酸化物を含有するペレットと水膨張材とを、室温で1分間ドライブレンドして、ドライブレンド物を得た。
得られたドライブレンド物を、射出成形機(東芝EC220-i6A220ton)に投入して、シリンダ温度190℃、射出速度60mm/sで射出し、保圧時間20分(加硫工程)、金型温度40℃で保圧して、水膨張性架橋ゴム組成物のシート成形品(縦:240mm、横:180mm、厚さ:2~4mm)を得た。シート成形品の成形に要した時間は50分であった。水膨張性架橋ゴム組成物の円柱状成形品(直径:30mm、高さ:12mm)、シート成形品を円状型で打ち抜き、3枚を重ねて得た。
このようにして、化学架橋ゴム組成物の成形体(シート成形品及び円柱状成形品)を得た。
JIS K 7223に準拠して体積膨張率試験を行い、上記で得られた各シート成形品を構成するゴム組成物が水膨張性であるかを確認した。具体的には、シート成形品から横長さ20mm×縦長さ50mm×厚さ2mmの試験片を作製した。この試験片を、25℃のイオン交換水に浸漬し、24時間経過後、試験片を取りだし浸漬後の厚さ(mm)、縦長さ(mm)、及び横長さ(mm)を測定して算出した浸漬後体積と、浸漬前の体積から、以下の式によって体積膨張率(Xw)を算出して、下記評価基準にて評価した。
式3:Xw=((b3-a3)/a3)×100
Xw:体積膨張率(%)
a3:浸漬前体積(mm3)
b3:浸漬後体積(mm3)
- 評価基準 ―
体積膨張率(%)が、24時間後に35%以上であった場合を「A」、24時間後に15%以上35%未満であった場合を「B」、24時間後に15%未満であった場合を「C」とした。
上記体積膨張率試験の結果が評価「B」以上である場合に、本発明における「水膨張性」を示すシラン架橋ゴム組成物とする。
比較例2及び4は体積膨張率(Xw)が15%未満であり、十分な水膨張性を有していなかった。このため、比較例2及び4については、この試験以外の試験を行わなかった。
JIS K 7223に準拠し、繰り返し性能試験を行った。上記において得られた各シート成形品から厚さ:2mm×縦長さ:50mm×横長さ:20mmの試験片を作成した。この試験片を、25℃のイオン交換水(使用量は試験片1つに対して200ml)に浸漬して24時間吸水させ、その後、大気圧下、60℃、無風状態の環境に24時間放置して排湿(乾燥)させる工程を1サイクルとし、この吸水-排湿を20サイクル(合計960時間)行った。1サイクル目の吸水後及び20サイクル目の吸水後(いずれもイオン交換水からの取出直後)の試験片の厚さ(mm)、縦長さ(mm)、横長さ(mm)をそれぞれ測定して算出した各吸水後体積値を用いて、下記式1により繰り返し吸水時体積膨張率差(Yw)を算出した。また、1サイクル目の乾燥後及び20サイクル目の乾燥後の試験片の厚さ(mm)、縦長さ(mm)、横長さ(mm)をそれぞれ測定して算出した各排湿体積値を用いて、下記式2により繰り返し排湿時体積収縮率差(Zw)を算出した。
式1:Yw=((a1-b1)/a1)×100
Yw:繰り返し吸水時体積膨張率差(%)
a1:1サイクル目吸水後体積(mm3)
b1:20サイクル目吸水後体積(mm3)
式2:Zw=((a2-c2)/a2)×100
Zw:繰り返し排湿時体積収縮率差(%)
a2:1サイクル目排湿後体積(mm3)
c2:20サイクル目排湿後体積(mm3)
得られた繰り返し吸水時体積膨張率差(Yw)及び繰り返し排湿時体積収縮率差(Zw)を、それぞれ下記評価基準にて評価した。
- 評価基準 ―
繰り返し吸水時体積膨張率差(Yw)が、10%以下であった場合を「A」、10%を越え15%以下であった場合を「B」、15%を越えた場合を「C」とした。
繰り返し排湿時体積収縮率差(Zw)が、2.0%以下であった場合を「A」、2.0%を越え5.0%以下であった場合を「B」、5.0%を越えた場合を「C」とした。
本発明において、繰り返し性試験(繰り返し吸水時体積膨張率差(Yw)、繰り返し排湿時体積収縮率差(Zw)測定)は、いずれも評価「B」が合格レベルである。
生産性の指標として、高速成形への適性を以下の方法により評価した。
各実施例及び各比較例において、成形加工時間が、3分以下であった場合を「A」(高速成形可能)、3分を超え20分以下であった場合を「B」、20分を越えた場合を「C」とした。成形加工時間は、上記実施例及び比較例の各調製方法において、ドライブレンド物を射出成形機に投入してからシート形状にして射出成形機から排出されるまでの時間とした。
本発明において、生産性は、評価「B」が本発明の試験の合格レベルである。
- 評価基準 ―
A:成形加工時間3分以下
B:成形加工時間3分を超え20以下
C:成形加工時間20分越
上記で得られた各シート成形品を25℃のイオン交換水に24時間浸漬後し、吸水後の外観を目視で観察した。表面が変形なく滑らかで突出部がないものを「A」、シート面20mm×50mmに目視で確認できる突出部が1~15個のものを「B」、シート面20mm×50mmに目視で確認できる突出部が15個を超えたものを「C」とした。
本発明において、外観は評価「B」が本発明の試験の合格レベルである。
上記各例で調製した水膨張性シラン架橋ゴム組成物の成形体、水膨張性ゴム組成物の成形体及び化学架橋ゴム組成物の成形体について、下記の方法により圧縮永久歪みを評価した。
JIS K 6262 A法に基づき、実施例1~19並びに比較例1及び3で製造した円柱状体(未架橋体)、比較例5~7及び比較例8で製造した円柱状成形品を射出成形後24時間放置し、この成形品の圧縮永久歪を測定した。24時間放置後の、実施例1~19並びに比較例1及び3で製造した円柱状体は、シラノール縮合反応が進行し、水膨張性シラン架橋ゴム組成物の円柱成形品となっている。2枚の圧縮板とスペーサ(厚さは円柱状成形品の厚さの75%)を備えた圧縮装置を利用して、円柱状成形品の厚さ方向に25%分の圧縮を加え(圧縮率25%)、その状態で、23℃で22時間保持した。その後、常温(23℃)にて圧縮を開放し、30分間の放置後(最終的な温度は23℃)、円柱状成形品の厚さを測定した。
円柱状成形品の、圧縮前後の厚さから、以下の式によって、圧縮永久歪みを算出して、下記評価基準にて、評価した。
式4:CS=[(t0-t2)/(t0-t1)]×100
式4中、
CS:圧縮永久歪み(%)
t0:円柱状成形品の圧縮前の厚さ(元の厚さ)(mm)
t1:スペーサの厚さ(mm)
t2:円柱状成形品の圧縮後の厚さ(圧縮装置から取り外して、30分後の厚さ)(mm)
圧縮永久歪みが、25%以下であった場合を「A」、25%を超え35%以下であった場合を「B」、35%を超えた場合を「C」とした。
本発明において、圧縮永久歪は、評価「B」が本発明の試験の合格レベルである。
これに対し、実施例1~19はいずれも、繰り返し吸水時体積膨張率差(Yw)が15%以下かつ繰り返し排湿時体積収縮率差(Zw)が5.0%以下であった。これらの水膨張性シラン架橋ゴム成形体をクロージャ等に用いると、繰り返しの湿潤乾燥によっても膨張性及び復元性が低下しにくいので、水密性を維持できる。加えて、成形加工時間が20分以下であり、生産性に優れていた。
11 箱本体
12 蓋体
21 端面板
22 ガスケット
23 バックル
24 バックル留め部
Claims (6)
- エチレンゴムを30~100質量%含むベースゴム100質量部に対し、デンプン・アクリル酸グラフト重合体部分金属塩、オレフィン-無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール-アクリル酸共重合体、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸金属塩架橋物、ビニルエステル・エチレン系不飽和カルボン酸、ノニオン型ポリアルキレンオキシド、変性ポリアクリル酸架橋樹脂及びアクリル酸重合体部分金属塩架橋樹脂から選ばれる少なくとも1つ以上の水膨張材10~200質量部を含有し、前記ベースゴムがシラン架橋されてなる、水膨張性シラン架橋ゴム組成物であって、
下記繰り返し性能試験により測定される、繰り返し吸水時体積膨張率差(Yw)が15%以下であり、かつ繰り返し排湿時体積収縮率差(Zw)が5.0%以下である、水膨張性シラン架橋ゴム組成物。
<繰り返し性能試験>
水膨張性シラン架橋ゴム組成物で形成した試験片(厚さ:2mm×縦長さ:50mm×横長さ:20mm)を、25℃でイオン交換水(使用量は試験片1つに対して200ml)に浸漬して24時間吸水させ、その後、大気圧下、60℃、無風状態の環境に24時間放置して排湿させる工程を1サイクルとし、この吸水及び排湿工程を20サイクル行う。排湿時には、前記試験片を、前記試験片の最大面を下にして設置して放置する。
前記繰り返し吸水時体積膨張率差(Yw)及び前記繰り返し排湿時体積収縮率差(Zw)は、1サイクル後の試験片及び20サイクル後の試験片について各体積を測定し、下記式1又は下記式2により算出する。
式1:Yw=((a1-b1)/a1)×100
Yw:繰り返し吸水時体積膨張率差(%)
a1:1サイクル目吸水後体積(mm3)
b1:20サイクル目吸水後体積(mm3)
式2:Zw=((a2-c2)/a2)×100
Zw:繰り返し排湿時体積収縮率差(%)
a2:1サイクル目排湿後体積(mm3)
c2:20サイクル目排湿後体積(mm3)
- 前記水膨張材がノニオン型ポリアルキレンオキシドを含む請求項1に記載の水膨張性シラン架橋ゴム組成物。
- 無機フィラー3~100質量部と、前記水膨張材としてノニオン型ポリアルキレンオキシド15~60質量部とを含有する、請求項1又は2に記載の水膨張性シラン架橋ゴム組成物。
- 下記水膨張性シラン架橋性ゴム組成物のシラノール縮合硬化物からなる請求項1~3のいずれか1項に記載の水膨張性シラン架橋ゴム組成物。
<水膨張性シラン架橋性ゴム組成物>
エチレンゴムを30~70質量%、ポリエチレン樹脂及びエチレン-α-オレフィン共重合体の樹脂の少なくとも一方を合計で10~50質量%、スチレンエラストマーを5~20質量%、並びにオイルを5~20質量%含有するベースゴム100質量部に対し、無機フィラー3~100質量部と、前記ベースゴムにグラフト化反応したシランカップリング剤1.0~6.0質量部と、シラノール縮合触媒0.01~0.5質量部と、ノニオン型ポリアルキレンオキシド15~60質量部とを含む水膨張性シラン架橋性ゴム組成物。 - 請求項1~4のいずれか1項に記載の水膨張性シラン架橋ゴム組成物を成形してなる水膨張性シラン架橋ゴム成形体。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載の水膨張性シラン架橋ゴム組成物を使用してなる止水材。
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