JP7460437B2 - 正極活物質、正極、リチウムイオン二次電池及び正極活物質の製造方法 - Google Patents
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Description
(1)前記被覆層は、Nb,Ta,Ti,Al,B,W,Zr及びGeからなる群から選ばれる少なくとも1種の被覆元素を含む酸化物を形成材料とする。
(2)前記被覆層の平均厚みは、1nm以上100nm未満である。
(3)前記被覆層のXPS分析結果から得られたSi元素比αと、前記被覆層のXPS分析結果から得られた前記遷移金属及び前記被覆元素の元素比の合計βと、から得られたα/(α+β)は0.02以上である。
Li[Lix(Ni(1-y-z-w)CoyMnzMw)1-x]O2…(1)
(ただし、MはFe、Cu、Mg、Al、W、B、Mo、Zn、Sn、Zr、Ga、La、Ti、Nb及びVからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、-0.10≦x≦0.30、0<y≦0.40、0≦z≦0.40及び0≦w≦0.10を満たす。)
本実施形態の正極活物質は、リチウム金属複合酸化物を形成材料とするコア粒子と、コア粒子の少なくとも一部を被覆する被覆層と、を有する。
(1)被覆層は、Nb,Ta,Ti,Al,B,W,Zr及びGeからなる群から選ばれる少なくとも1種の被覆元素を含む酸化物を形成材料とする。
(2)被覆層の平均厚みは、1nm以上100nm未満である。
(3)被覆層のXPS分析結果から得られたSi元素比αと、被覆層のXPS分析結果から得られた遷移金属、Al及びBの合計元素比βと、から得られたα/(α+β)は0.1以上である。
以下、順に説明する。
本実施形態の正極活物質に含まれるリチウム金属複合酸化物は、層状の結晶構造を有し、且つ少なくともLiと遷移金属とを含む。
Li[Lix(Ni(1-y-z-w)CoyMnzMw)1-x]O2 …(1)
(ただし、MはFe、Cu、Mg、Al、W、B、Mo、Zn、Sn、Zr、Ga、La,Ti,Nb及びVからなる群より選択される1種以上の元素であり、-0.1≦x≦0.30、0≦y≦0.40、0≦z≦0.40及び0≦w≦0.10を満たす。)
サイクル特性がよいリチウムイオン二次電池を得る観点から、前記組成式(1)におけるxは0を超えることが好ましく、0.01以上であることがより好ましく、0.02以上であることがさらに好ましい。また、初回クーロン効率がより高いリチウムイオン二次電池を得る観点から、前記組成式(1)におけるxは0.25以下であることが好ましく、0.10以下であることがより好ましい。
また、電池の内部抵抗が低いリチウムイオン二次電池を得る観点から、前記組成式(1)におけるyは0を超えることが好ましく、0.005以上であることがより好ましく、0.01以上であることがさらに好ましく、0.05以上であることが特に好ましい。また、熱的安定性が高いリチウムイオン二次電池を得る観点から、前記組成式(1)におけるyは0.35以下であることがより好ましく、0.33以下であることがさらに好ましく、0.30以下であることがよりさらに好ましい。
また、サイクル特性が高いリチウムイオン二次電池を得る観点から、前記組成式(1)におけるzは0.01以上であることが好ましく、0.02以上であることがより好ましく、0.1以上であることがさらに好ましい。また、高温(例えば60℃環境下)での保存性が高いリチウムイオン二次電池を得る観点から、前記組成式(1)におけるzは0.39以下であることが好ましく、0.38以下であることがより好ましく、0.35以下であることがさらに好ましい。
また、電池の内部抵抗が低いリチウムイオン二次電池を得る観点から、前記組成式(1)におけるwは0を超えることが好ましく、0.0005以上であることがより好ましく、0.001以上であることがさらに好ましい。また、高い電流レートにおいて放電容量が多いリチウムイオン二次電池を得る観点から、前記組成式(1)におけるwは0.09以下であることが好ましく、0.08以下であることがより好ましく、0.07以下であることがさらに好ましい。
また、電池容量が大きいリチウムイオン二次電池を得る観点から、本実施形態においては、前記組成式(1)におけるy+z+wは0.50以下が好ましく、0.48以下がより好ましく、0.46以下がさらに好ましい。
前記組成式(1)におけるMはFe、Cu、Mg、Al、W、B、Mo、Zn、Sn、Zr、Ga、La,Ti,Nb及びVからなる群より選択される1種以上の元素を表す。
本実施形態において、リチウム金属複合酸化物の結晶構造は、層状である。リチウム金属複合酸化物の結晶構造は、六方晶型の結晶構造又は単斜晶型の結晶構造であることがより好ましい。
本実施形態の正極が有する被覆層は、Nb,Ta,Ti,Al,B,W,Zr及びGeからなる群から選ばれる少なくとも1種の被覆元素を含む酸化物を形成材料とする。
ラインプロファイルを用いた「コア粒子の表面」の規定方法については、後述する。
「コア粒子の外側」とは、後述の方法で規定されるコア粒子の表面よりも正極活物質の粒子表面側を意味する。
本実施形態の正極活物質が有する被覆層の平均厚みは、1nm以上100nm未満である。被覆層の平均厚みは、1.5nm以上であることが好ましく、2.0nm以上であることがより好ましい。また、被覆層の平均厚みは、50nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましい。
まず、コア粒子の表面の位置を特定する。
正極活物質について断面のSTEM-EDX分析を行い、被覆層には含まれずコア粒子にのみ含まれる遷移金属のうち、最も高感度に検出される元素、すなわち最も高濃度に含まれる元素を特定する。本明細書の説明においては、上記最も高感度に検出される元素がNiであることとする。
次いで、被覆層の表面の位置を特定する。
位置Cと重なって、粒子外側から粒子中心側に向けて、連続的に正の値が検出される被覆元素について、STEM-EDXの分析結果に基づくラインプロファイルを作成する。本明細書の説明においては、Nbのラインプロファイルを作成するものとする。
本実施形態の正極活物質が有する被覆層は、被覆層のXPS分析において、Si元素が検出される。
測定方法:X線光電子分光法(XPS)
X線源:AlKα線(1486.6eV)
X線スポット径:100μm
中和条件:中和電子銃(加速電圧0.3V、電流100μA)
例えば、Niの光電子強度としてはNi2p3/2の波形の積分値を用いる。
また、本実施形態の正極活物質は、上述の方法で測定した被覆層のXPS分析において求められる、「Si元素比α」に対する「被覆元素の元素比の合計A」の割合(A/α)が1.0以上10.0以下であると好ましい。被覆元素の元素比の合計Aは、詳しくは「Nb元素比と、Ta元素比と、Ti元素比と、Al元素比と、B元素比と、W元素比と、Zr元素比と、Ge元素比との合計」である。
次に、本実施形態の正極活物質の製造方法を説明する。本実施形態の正極活物質は、まず、粒子状のリチウム金属複合酸化物を製造した後に、粒子表面に被覆層を形成することで製造する。
本実施形態の正極活物質が含有するリチウム金属複合酸化物を製造するにあたって、まず、リチウム以外の金属、すなわち、Ni、Co、Mn、Fe、Cu、Mg、Al、W、B、Mo、Zn、Sn、Zr、Ga、La、Ti、Nb及びVのうちいずれか1種以上の任意金属を含む金属複合化合物を調製し、当該金属複合化合物を適当なリチウム塩と、不活性溶融剤と焼成することが好ましい。金属複合化合物としては、金属複合水酸化物又は金属複合酸化物が好ましい。
金属複合化合物は、通常公知のバッチ共沈殿法又は連続共沈殿法により製造することが可能である。以下、金属として、ニッケル、コバルト及びマンガンを含む金属複合水酸化物を例に、その製造方法を詳述する。
なお、本明細書におけるpHの値は、水溶液の温度が40℃の時に測定された値であると定義する。
上臼と下臼のクリアランスは、例えば、10μm以上200μm以下の範囲が好ましい。
リチウム金属複合酸化物は、金属複合酸化物又は金属複合水酸化物と、リチウム塩と混合し、得られた混合物を焼成するにより製造できる。
また、反応で生じる一次粒子が凝集して生じる凝集粒子を「二次粒子」と称する。
すなわち、反応で生じる粒子は、単粒子と二次粒子とからなる。
例えば、金属複合酸化物又は金属複合水酸化物が酸化又は還元されない条件(酸化物が酸化物のまま維持される、水酸化物が水酸化物のまま維持される)、金属複合水酸化物が酸化される条件(水酸化物が酸化物に酸化される)、金属複合酸化物が還元される条件(酸化物が水酸化物に還元される)のいずれの条件でもよい。
これらの不活性溶融剤を用いることにより、得られるリチウム金属複合酸化物の平均圧壊強度を本実施形態の好ましい範囲に制御できる。
本実施形態の正極活物質が単粒子及び二次粒子を含む場合、上述したリチウム金属複合酸化物の製造方法1から、以下の変更を行うことで、リチウム金属複合酸化物を製造してもよい。
リチウム金属複合酸化物の製造方法2においては、金属複合化合物の製造工程において、最終的に単粒子を形成する金属複合化合物と、二次粒子を形成する金属複合化合物をそれぞれ製造する。以下において、最終的に単粒子を形成する金属複合化合物を「単粒子前駆体」と記載することがある。また、最終的に二次粒子を形成する金属複合化合物を「二次粒子前駆体」と記載することがある。
リチウム金属複合酸化物の製造工程においては、上述の工程で得られた単粒子前駆体と、二次粒子前駆体と、リチウム塩とを混合する。
また、本実施形態の正極活物質が単粒子及び二次粒子を含む場合、正極活物質が含有するリチウム金属複合酸化物は、リチウム金属複合酸化物の単粒子と、リチウム金属複合酸化物の二次粒子とをそれぞれ製造し、得られた単粒子と二次粒子とを混合することにより製造できる。リチウム金属複合酸化物の単粒子(第1のリチウム金属複合酸化物)と、リチウム金属複合酸化物の二次粒子(第2のリチウム金属複合酸化物)とは、上述したリチウム金属複合酸化物の製造方法1により製造できる。
次いで、上述のように製造したリチウム金属複合酸化物の粒子(コア粒子)の表面に被覆層を形成する。本実施形態においては、下記(1)~(3)を行うことにより、リチウム金属複合酸化物の粒子表面に被覆層を形成する。
(1)第1分散液に分散したアルカリ金属複合酸化物の粒子と、表面処理剤とを反応させ、第1の反応生成物を得る工程
(2)第1の反応生成物を分散媒に分散させた第2分散液に、Nb,Ta,Ti,Al,B,W,Zr及びGeからなる群から選ばれる少なくとも1種の被覆元素を含む化合物を加える工程
(3)被覆元素を含む化合物を加えた第2分散液に水又は塩基性水溶液を滴下し、第2の反応生成物を得る工程
(4)第2の反応生成物を乾燥させる工程
分散媒としては、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール、N-メチルピロリドン(NMP)、トルエン、アセトンを用いることができる。
次いで、工程(1)で得られた第1の反応生成物を分散媒に分散させ、第2分散液を調製する。第2分散液の調整に用いる分散媒としては、上述の第1分散液の調整に使用可能な分散媒と同じものを例示できる。
第3分散液において、被覆元素を含む化合物は、液中に均一に分散している。
本工程において用いる水は、Nb,Ta,Ti,Al,B,W,Zr又はGeの塩の加水分解と、加水分解によって生じる水酸化物の脱水縮合反応とを生じさせる。
なお、被覆元素を含む化合物の脱水縮合反応は、反応系が酸性である場合も進行しやすい。しかし、酸性環境であると被覆元素を含む水酸化物の加水分解も進行しやすく、被覆元素を含む水酸化物がリチウム金属複合酸化物の表面に付着する前に分散液中で加水分解する副反応が生じやすい。そのため、工程(3)は、触媒を添加して反応系をアルカリ性に制御することが好ましい。
本工程においては、工程(3)で得られた反応生成物を分散液から濾別し、反応生成物を乾燥させる。これにより、リチウム金属複合酸化物の粒子表面では、工程(3)で粒子表面に縮合した化合物(水酸化物)が酸化され、Nb,Ta,Ti,Al,B,W,Zr又はGeからなる群から選ばれる少なくとも1種の被覆元素を含む酸化物の膜が生じる。
各試薬の使用量と、正極活物質の被覆層の平均厚み、α/(α+β)又はA/αとのそれぞれの対応関係については、予め予備実験を行い、傾向を確認しておくと良い。
次いで、リチウムイオン二次電池の構成を説明しながら、本発明の一態様に係る正極活物質を用いた正極、及びこの正極を有するリチウムイオン二次電池について説明する。
本実施形態の正極活物質の用途として好適なリチウムイオン二次電池の一例は、正極及び負極、正極と負極との間に挟持されるセパレータ、正極と負極との間に配置される電解液を有する。
(正極)
正極は、まず正極活物質、導電材及びバインダーを含む正極合剤を調整し、正極合剤を正極集電体に担持させることで製造できる。
正極が有する導電材としては、炭素材料を用いることができる。炭素材料として黒鉛粉末、カーボンブラック(例えばアセチレンブラック)、繊維状炭素材料などが挙げられる。カーボンブラックは、微粒で表面積が大きいため、少量を正極合剤中に添加することにより正極内部の導電性を高め、充放電効率及び出力特性を向上させることができるが、多く入れすぎるとバインダーによる正極合剤と正極集電体との結着力、及び正極合剤内部の結着力がいずれも低下し、かえって内部抵抗を増加させる原因となる。
正極が有するバインダーとしては、熱可塑性樹脂を用いることができる。この熱可塑性樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVdFということがある。)、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEということがある。)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、四フッ化エチレン・パーフルオロビニルエーテル系共重合体などのフッ素樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂;が挙げられる。
正極が有する正極集電体としては、Al、Ni、ステンレスなどの金属材料を形成材料とする帯状の部材を用いることができる。なかでも、加工しやすく、安価であるという点でAlを形成材料とし、薄膜状に加工したものが好ましい。
以上に挙げられた方法により、正極を製造できる。
リチウムイオン二次電池が有する負極は、正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープかつ脱ドープが可能であればよく、負極活物質を含む負極合剤が負極集電体に担持されてなる電極、及び負極活物質単独からなる電極が挙げられる。
負極が有する負極活物質としては、炭素材料、カルコゲン化合物(酸化物、硫化物など)、窒化物、金属又は合金で、正極よりも低い電位でリチウムイオンのドープかつ脱ドープが可能な材料が挙げられる。
負極が有する負極集電体としては、Cu、Ni、ステンレスなどの金属材料を形成材料とする帯状の部材が挙げられる。なかでも、リチウムと合金を作り難く、加工しやすいという点で、Cuを形成材料とし、薄膜状に加工したものが好ましい。
リチウムイオン二次電池が有するセパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、含窒素芳香族重合体などの材質からなる、多孔質膜、不織布、織布などの形態を有する材料を用いることができる。また、これらの材質を2種以上用いてセパレータを形成してもよいし、これらの材料を積層してセパレータを形成してもよい。
リチウムイオン二次電池が有する電解液は、電解質及び有機溶媒を含有する。
なかでも電解質としては、フッ素を含むLiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(SO2CF3)2及びLiC(SO2CF3)3からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むものを用いることが好ましい。
(リチウムイオン二次電池用正極の作製)
後述する製造方法で得られる正極活物質と導電材(アセチレンブラック)とバインダー(PVdF)とを、正極活物質:導電材:バインダー=92:5:3(質量比)の割合で加えて混練することにより、ペースト状の正極合剤を調製する。正極合剤の調製時には、N-メチル-2-ピロリドンを有機溶媒として用いる。
以下の操作を、アルゴン雰囲気のグローブボックス内で行う。
上記の方法で作製したハーフセルを用いて、以下に示す条件で充放電試験を実施し、初回充放電容量と、レート特性とを評価する。
試験温度25℃
充電最大電圧4.5V、充電電流密度0.2C、カットオフ電流密度0.05C、定電流-定電圧充電
放電最小電圧2.5V、放電電流密度0.2C、定電流放電
試験温度25℃
充電最大電圧4.5V、充電電流密度1C、カットオフ電流密度0.05C、定電流-定電圧充電
放電最小電圧2.5V、放電電流密度0.2C,0.5C,1C,2C,3C,5C,10C
図4、5は、本実施形態の全固体リチウムイオン二次電池1000の一例を示す模式図である。図4は、本実施形態の全固体リチウムイオン二次電池1000が備える積層体を示す模式図である。図5は、本実施形態の全固体リチウムイオン二次電池1000の全体構成を示す模式図である。
各部材を構成する材料については、後述する。
本実施形態の正極110は、正極活物質層111と正極集電体112とを有している。
本実施形態の正極活物質層111が有してもよい固体電解質としては、リチウムイオン伝導性を有し、公知の全固体電池に用いられる固体電解質を採用できる。このような固体電解質としては、無機電解質、有機電解質が挙げられる。無機電解質としては、酸化物系固体電解質、硫化物系固体電解質、水素化物系固体電解質が挙げられる。有機電解質としては、ポリマー系固体電解質が挙げられる。
酸化物系固体電解質としては、例えば、ペロブスカイト型酸化物、NASICON型酸化物、LISICON型酸化物、ガーネット型酸化物などが挙げられる。
硫化物系固体電解質としては、Li2S-P2S5系化合物、Li2S-SiS2系化合物、Li2S-GeS2系化合物、Li2S-B2S3系化合物、Li2S-P2S3系化合物、LiI-Si2S-P2S5、LiI-Li2S-P2O5、LiI-Li3PO4-P2S5及びLi10GeP2S12からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
水素化物系固体電解質材料としては、LiBH4、LiBH4-3KI、LiBH4-PI2、LiBH4-P2S5、LiBH4-LiNH2、3LiBH4-LiI、LiNH2、Li2AlH6、Li(NH2)2I、Li2NH、LiGd(BH4)3Cl、Li2(BH4)(NH2)、Li3(NH2)I及びLi4(BH4)(NH2)3からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
本実施形態の正極活物質層111が有してもよい導電材としては、炭素材料や金属化合物を用いることができる。炭素材料として黒鉛粉末、カーボンブラック(例えばアセチレンブラック)、繊維状炭素材料などが挙げられる。カーボンブラックは、微粒で表面積が大きいため、適切な量を正極活物質層111に添加することにより正極110の内部の導電性を高め、充放電効率及び出力特性を向上させることができる。一方、カーボンブラックの添加量が多すぎると、正極活物質層111と正極集電体112との結着力、及び正極活物質層111内部の結着力がいずれも低下し、かえって内部抵抗を増加させる原因となる。金属化合物としては電気導電性を有する金属、金属合金や金属酸化物が挙げられる。
正極活物質層111がバインダーを有する場合、バインダーとしては、熱可塑性樹脂を用いることができる。この熱可塑性樹脂としては、上述の液系リチウムイオン二次電池で用いられるバインダーとして挙げた各材料を用いることができる。
本実施形態の正極110が有する正極集電体112としては、Al、Ni、ステンレス又はAuなどの金属材料を形成材料とするシート状の部材を用いることができる。なかでも、加工しやすく、安価であるという点でAlを形成材料とし、薄膜状に加工したものが好ましい。
負極120は、負極活物質層121と負極集電体122とを有している。負極活物質層121は、負極活物質を含む。また、負極活物質層121は、固体電解質、導電材を含むこととしてもよい。固体電解質、導電材、バインダーは、上述したものを用いることができる。
負極活物質層121が有する負極活物質としては、炭素材料、カルコゲン化合物(酸化物、硫化物など)、窒化物、金属又は合金で、正極110よりも低い電位でリチウムイオンのドープかつ脱ドープが可能な材料が挙げられる。
負極120が有する負極集電体122としては、Cu、Ni、ステンレスなどの金属材料を形成材料とする帯状の部材が挙げられる。なかでも、リチウムと合金を作り難く、加工しやすいという点で、Cuを形成材料とし、薄膜状に加工したものが好ましい。
固体電解質層130は、上述の固体電解質(第1の固体電解質)を有している。正極活物質層111に固体電解質が含まれる場合、固体電解質層130を構成する固体電解質(第1の固体電解質)と、正極活物質層111に含まれる固体電解質(第2の固体電解質)とが同じ物質であってもよい。固体電解質層130は、リチウムイオンを伝達する媒質として機能するとともに、正極110と負極120とを分けるセパレータとしても機能する。
以下の操作を、アルゴン雰囲気のグローブボックス内で行う。
上述の方法で得られた正極活物質0.222gと、導電材(アセチレンブラック)0.01gと、固体電解質(MSE社製、75Li2S・25P2S5)0.120gとを秤量する。正極活物質、導電材及び固体電解質を、乳鉢で15分間混合し、正極合材を作製する。
次に、φ15mmのペレット成型用金型(ラボネクト製)内に、固体電解質(MSE社製、75Li2S・25P2S5)を0.3g入れ、上下ポンチを金型内に押し込み、一軸プレス機で5MPaまで加圧する。
全固体電池用電池セル(宝泉株式会社製、電極サイズφ15mm用)を用いる。
筒状の絶縁体の内部に、上述の成型ペレットを正極合材層が下になるように入れる。さらに、上側の固体電解質層の上に、φ13.5mmで打ち抜いたリチウム金属(厚さ300μm)を負極として挿入する。
上記の方法で作製した全固体電池を用いて、以下に示す条件で充放電試験を実施する。
試験温度:60℃
(充放電1回目(初回))
充電最大電圧4.5V、充電電流密度0.01C、カットオフ電流密度0.002C、定電流-定電圧充電
放電最小電圧2.5V、放電電流密度0.01C、定電流放電
(充放電2回目)
充電最大電圧4.5V、充電電流密度0.10C、カットオフ電流密度0.002C、定電流-定電圧充電
放電最小電圧2.5V、放電電流密度0.10C、定電流放電
(正極活物質シートの製造)
前述した製造方法で得られる正極活物質と、Li3BO3とを正極活物質:Li3BO3=80:20(モル比)の組成で混合し、混合粉を得る。得られた混合粉に、樹脂バインダー(ポリプロピレンカーボネート)と、溶媒(1,4-ジオキサン)とを、混合粉:樹脂バインダー:溶媒=100:20:80(質量比)の割合で加え、遊星式攪拌・脱泡装置を用いて混合する。
正極活物質シートと、Li6.75La3Zr1.75Nb0.25O12の固体電解質ペレット(株式会社豊島製作所製)とを積層し、積層方向と平行に一軸プレスして積層体を得る。用いる固体電解質ペレットは、直径14.5mm、厚み0.5mmである。
上記の方法で作製した全固体電池を用いて、以下に示す条件で充放電試験を実施する。
試験温度:60℃
(充放電1回目(初回))
充電最大電圧4.5V、充電電流密度0.01C、カットオフ電流密度0.002C、定電流-定電圧充電
放電最小電圧2.5V、放電電流密度0.01C、定電流放電
(充放電2回目)
充電最大電圧4.5V、充電電流密度0.10C、カットオフ電流密度0.002C、定電流-定電圧充電
放電最小電圧2.5V、放電電流密度0.10C、定電流放電
後述の方法で製造されるリチウム金属複合酸化物の組成分析は、得られたリチウム金属複合酸化物の粒子を塩酸に溶解させた後、誘導結合プラズマ発光分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、SPS3000)を用いて行った。
被覆層に含まれる被覆元素は、STEM-EDXにより確認した。
具体的には、正極活物質の粒子を薄膜化して試料を調製した。次いで、得られた試料をCuメッシュ上にのせ、加速電圧が200kVの電子線を照射して、STEM-EDM分析を行った。測定で用いるCuメッシュは、測定結果に影響しない。そのため、通常STEM-EDXで用いられるCuメッシュであればいずれも用いることができる。
分析電子顕微鏡:ARM200F(日本電子株式会社製)
EDX検出器:JED-2300T(日本電子株式会社製)
加速電圧 :200kV
被覆層の厚みは、STEM-EDXにより求めた。
上述の条件でEDX分析を行い、被覆層には含まれずコア粒子にのみ含まれる遷移金属のうち、EDX分析結果において最も高感度に検出される元素について、粒子外側から粒子中心に向かってラインプロファイルを作成した。得られたラインプロファイルについて、粒子外側から粒子中心に向かって30nm以上連続して正の値を検出する範囲を確認し、当該範囲の粒子外側の始点を定めた。後述する実施例で作製した正極活物質では、「EDX分析結果において最も高感度に検出される元素」はNiであった。
下記条件で正極活物質の表面のXPS分析を行い、正極活物質の表面における元素のナロースキャンスペクトルを得た。
測定方法:X線光電子分光法(XPS)
X線源:AlKα線(1486.6eV)
X線スポット径:400μm
中和条件:中和電子銃(加速電圧0.2V、電流100μA)
上述の測定条件によるXPSの測定結果に基づいて、「Si元素比α」に対する「被覆元素の元素比の合計A」の割合(A/α)を算出した。
(リチウム金属複合酸化物の製造)
攪拌器及びオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、液温を50℃に保持した。
次に、撹拌器を備えた反応容器にエタノール1600mlを入れた後、エタノールにリチウム金属複合酸化物1を20gと、下記式(A)で表されるシランカップリング剤200μlとを加え、18時間撹拌した。得られた分散液は、本発明における「第1分散液」に該当する。
次に、撹拌器を備えた反応容器にエタノール36mlを入れた後、エタノールに反応生成物1を5gと、Nb(OC2H5)5を1gとを加え、撹拌速度400rpmで15分間撹拌した。
Nb(OC2H5)5は、本発明における「被覆元素を含む化合物」に該当する。得られた分散液は、本発明における「第2分散液」に該当する。
上述の(正極活物質の製造)において、用いたすべての材料の仕込み量を1.4倍にしたこと、及び濾別した固体を120℃で1時間真空乾燥させた後に、さらに、大気雰囲気下にて500℃で2時間熱処理したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の正極活物質2を得た。
Nb(OC2H5)5の代わりにTi(OC2H5)4を1g用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の正極活物質3を得た。
Nb(OC2H5)5の代わりにTa(OC2H5)5を1.4g用いたこと以外は実施例2と同様にして、実施例4の正極活物質4を得た。
リチウム金属複合酸化物1を比較例1の正極活物質C1として用いた。
反応生成物1の代わりに、リチウム金属複合酸化物1とNb(OC2H5)5とを反応させたこと、すなわちリチウム金属複合酸化物1に対してシランカップリング剤を反応させることなく、直接Nb(OC2H5)5とを反応させたこと以外は実施例2と同様にして、比較例2の正極活物質C2を得た。
(リチウムイオン二次電池用正極の作製)
後述する製造方法で得られる正極活物質と導電材(アセチレンブラック)とバインダー(PVdF)とを、正極活物質:導電材:バインダー=92:5:3(質量比)の割合で加えて混練することにより、ペースト状の正極合剤を調製した。正極合剤の調製時には、N-メチル-2-ピロリドンを有機溶媒として用いた。
以下の操作を、アルゴン雰囲気のグローブボックス内で行った。
上記の方法で作製したハーフセルを用いて、以下に示す条件で充放電試験を実施し、初回充放電容量と、レート特性とを評価した。
試験温度25℃
充電最大電圧4.5V、充電電流密度0.2C、カットオフ電流密度0.05C、定電流-定電圧充電
放電最小電圧2.5V、放電電流密度0.2C、定電流放電
試験温度25℃
充電最大電圧4.5V、充電電流密度1C、カットオフ電流密度0.05C、定電流-定電圧充電
放電最小電圧2.5V、放電電流密度0.2C,0.5C,1C,2C,3C,5C,10C
以下の操作を、アルゴン雰囲気のグローブボックス内で行った。
上述の方法で得られた正極活物質0.222gと、導電材(アセチレンブラック)0.01gと、固体電解質(MSE社製、75Li2S・25P2S5)0.120gとを秤量した。正極活物質、導電材及び固体電解質を、乳鉢で15分間混合し、正極合材を作製した。
次に、φ15mmのペレット成型用金型(ラボネクト製)内に、固体電解質(MSE社製、75Li2S・25P2S5)を0.3g入れ、上下ポンチを金型内に押し込み、一軸プレス機で5MPaまで加圧した。
全固体電池用電池セル(宝泉株式会社製、電極サイズφ15mm用)を用いた。
筒状の絶縁体の内部に、上述の成型ペレットを正極合材層が下になるように入れた。さらに、上側の固体電解質層の上に、φ13.5mmで打ち抜いたリチウム金属(厚さ300μm)を負極として挿入した。
上記の方法で作製した全固体電池を用いて、以下に示す条件で充放電試験を実施した。
試験温度:60℃
(充放電1回目(初回))
充電最大電圧4.5V、充電電流密度0.01C、カットオフ電流密度0.002C、定電流-定電圧充電
放電最小電圧2.5V、放電電流密度0.01C、定電流放電
(充放電2回目)
充電最大電圧4.5V、充電電流密度0.10C、カットオフ電流密度0.002C、定電流-定電圧充電
放電最小電圧2.5V、放電電流密度0.10C、定電流放電
(正極活物質シートの製造)
前述した製造方法で得られる正極活物質と、Li3BO3とを正極活物質:Li3BO3=80:20(モル比)の組成で混合し、混合粉を得た。得られた混合粉に、樹脂バインダー(ポリプロピレンカーボネート)と、溶媒(1,4-ジオキサン)とを、混合粉:樹脂バインダー:溶媒=100:20:80(質量比)の割合で加え、遊星式攪拌・脱泡装置を用いて混合した。
正極活物質シートと、Li6.75La3Zr1.75Nb0.25O12の固体電解質ペレット(株式会社豊島製作所製)とを積層し、積層方向と平行に一軸プレスして積層体を得た。用いた固体電解質ペレットは、直径14.5mm、厚み0.5mmであった。
上記の方法で作製した全固体電池を用いて、以下に示す条件で充放電試験を実施した。
試験温度:60℃
(充放電1回目(初回))
充電最大電圧4.5V、充電電流密度0.01C、カットオフ電流密度0.002C、定電流-定電圧充電
放電最小電圧2.5V、放電電流密度0.01C、定電流放電
(充放電2回目)
充電最大電圧4.5V、充電電流密度0.10C、カットオフ電流密度0.002C、定電流-定電圧充電
放電最小電圧2.5V、放電電流密度0.10C、定電流放電
Claims (22)
- リチウム金属複合酸化物を形成材料とするコア粒子と、
前記コア粒子の少なくとも一部を被覆する被覆層と、を有し、
前記リチウム金属複合酸化物は、層状の結晶構造を有し、且つ少なくともリチウムと遷移金属とを含み、
前記被覆層は、下記(1)~(3)を満たす正極活物質。
(1)前記被覆層は、Nb,Ta,Ti,Al,B,W,Zr及びGeからなる群から選ばれる少なくとも1種の被覆元素を含む酸化物を形成材料とする。
(2)前記被覆層の平均厚みは、1nm以上100nm未満である。
(3)前記被覆層のXPS分析結果から得られたSi元素比αと、前記被覆層のXPS分析結果から得られた前記遷移金属及び前記被覆元素の元素比の合計βと、から得られたα/(α+β)は0.02以上である。 - 前記被覆層のXPS分析において、前記Si元素比αと、前記被覆元素の元素比の合計Aとから得られたA/αが1.0以上10.0以下である請求項1に記載の正極活物質。
- 前記被覆層は、Nb2O5,Ta2O5、TiO2,Al2O3,B2O3,WO3,ZrO2及びGeO2からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸化物を主成分とし、
前記主成分は非晶質である請求項1又は2に記載の正極活物質。 - 前記遷移金属が、Ni、Co、Mn、Fe、Cu、Mg、Al、W、B、Mo、Zn、Sn、Zr、Ga、La、Ti、Nb及びVからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1から3のいずれか1項に記載の正極活物質。
- 前記リチウム金属複合酸化物は、下記式(1)で表される請求項4に記載の正極活物質。
Li[Lix(Ni(1-y-z-w)CoyMnzMw)1-x]O2 …(1)
(ただし、MはFe、Cu、Mg、Al、W、B、Mo、Zn、Sn、Zr、Ga、La、Ti、Nb及びVからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、-0.10≦x≦0.30、0<y≦0.40、0≦z≦0.40及び0≦w≦0.10を満たす。) - 上記式(1)において1-y-z-w≧0.50、かつy≦0.30を満たす請求項5に記載の正極活物質。
- 請求項1から6のいずれか1項に記載の正極活物質を含む正極活物質層を有する正極。
- 固体電解質をさらに含む請求項7に記載の正極。
- 請求項7又は8に記載の正極と、負極と、前記正極と前記負極とに挟持された非水電解質と、を有するリチウムイオン二次電池。
- 前記非水電解質が、固体電解質である請求項9に記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記正極は、前記非水電解質を構成する前記固体電解質と同じ物質を含む請求項10に記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記正極活物質層は、前記正極活物質と、前記固体電解質とを含む請求項11に記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記非水電解質を構成する前記固体電解質は、非晶質構造を有する請求項10から12のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記非水電解質を構成する前記固体電解質は、酸化物固体電解質である請求項10から13のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
- 第1分散液に分散したリチウム金属複合酸化物の粒子と、表面処理剤とを反応させ、第1の反応生成物を得る工程と、
前記第1の反応生成物を分散媒に分散させた第2分散液に、Nb,Ta,Ti,Al,B,W,Zr及びGeからなる群から選ばれる少なくとも1種の被覆元素を含む化合物を加える工程と、
前記化合物を加えた前記第2分散液に水又は塩基性水溶液を滴下し、第2の反応生成物を得る工程と、
前記第2の反応生成物を乾燥させる工程と、を有し、
前記リチウム金属複合酸化物は、層状の結晶構造を有し、且つ少なくともリチウムと遷移金属とを含み、
前記表面処理剤は、前記被覆元素に配位可能な第1の官能基と、前記リチウム金属複合酸化物に結合可能な第2の官能基とを有するシランカップリング剤である正極活物質の製造方法。 - 前記第2の反応生成物を得る工程において、前記塩基性水溶液を滴下する請求項15に記載の正極活物質の製造方法。
- 前記乾燥させる工程の後に、前記乾燥させる工程で得られた乾燥物を100℃以上800℃以下で熱処理する工程を有する請求項15又は16に記載の正極活物質の製造方法。
- 前記第1の官能基が、アミノ基である請求項15から17のいずれか1項に記載の正極活物質の製造方法。
- 前記第2の官能基が、アルコキシ基である請求項15から18のいずれか1項に記載の正極活物質の製造方法。
- 前記化合物は、前記被覆元素を含むアルコキシドである請求項15から19のいずれか1項に記載の正極活物質の製造方法。
- 前記化合物を加える工程と前記第2の反応生成物を得る工程との間に、前記第2分散液に単座配位子を加える工程をさらに有する請求項15から20のいずれか1項に記載の正極活物質の製造方法。
- 前記単座配位子がアセトニトリルである請求項21に記載の正極活物質の製造方法。
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