以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態に係る吸収性物品を説明する。ただし、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
[吸収性物品]
本実施形態に係る吸収性物品は、凹凸構造を有する立体賦形不織布が少なくとも一部に用いられている。本実施形態に係る吸収性物品としては、おむつ、生理用ナプキン、パンティーライナ及び尿取りパッド等が例示される。
これらの吸収性物品は、一般に、肌当接面を有する液透過性の表面材(トップシート)と、この表面材の非肌当接面側に配置された裏面材(バックシート)とを備えている。ここで、肌当接面とは、おむつ又はその構成部材における、着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌当接面とは、着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面である。また、高い吸収性を要求される吸収性物品の場合には、これら表面材及び裏面材の間に、吸収性コア及びこれを包むコアラップシートからなる吸収体を更に備えている。なお、各吸収性物品の基本構成は、種々の公知の構成を採用することが可能であるため、その詳細な説明を省略する。
本実施形態に係る吸収性物品に用いられる立体賦形不織布は、例えば、これらの吸収性物品の表面材、裏面材、立体防漏用ギャザー及びサブレイヤ等に用いられる。
例えば、本実施形態に係る吸収性物品がおむつである場合には、立体賦形不織布は、おむつの表面材、裏面材及びコアラップシート等に用いることができる。また、吸収性物品がファスニングテープを備えた使い捨ておむつである場合には、該ファスニングテープの基材シートや該ファスニングテープが係合するランディングテープ用シート等にも用いることができる。
また、本実施形態に係る吸収性物品が生理用ナプキンである場合には、立体賦形不織布は、生理用ナプキンの表面材、裏面材、コアラップシート及びウイングの基材シート等に用いることができる。
さらに、本実施形態に係る吸収性物品がパンティーライナ又は尿取りパッドである場合には、立体賦形不織布は、パンティーライナ又は尿取りパッドの表面材及び裏面材等に用いることができる。
[立体賦形不織布]
次に、本実施形態に係る吸収性物品に用いることが可能な立体賦形不織布10について、図1及び図2を用いて説明する。
立体賦形不織布10は、1つの繊維層からなる単層構造又は複数の繊維層からなる積層構造を有しており、少なくとも1つの繊維層が、その一方の面に複数の凸部12を有すると共に、凸部12間に位置する凹部14を有している。立体賦形不織布10の他方の面においては、一方の面における凸部12が凹部となり、一方の面における凹部14が凸部となっている。すなわち、立体賦形不織布10における一方の面と他方の面とは、互いに反転した形状となっている。なお、本明細書において、「繊維層」とは、一枚の不織布がその中に有する層構造を指す。例えば、立体賦形不織布10が複数の繊維ウエブを積層して作られたものである場合(積層構造を有する場合)は、各繊維ウエブに由来する層のそれぞれを繊維層と呼ぶ。
具体的には、図1及び図2に示す第1実施形態に係る立体賦形不織布10A及び図9(a)に示す第5実施形態に係る立体賦形不織布10Eは、1層の繊維層からなる立体賦形不織布10A,10Eであり、該立体賦形不織布10A,10E自体が凸部12及び凹部14を有している。
一方、図5に示す第2実施形態に係る立体賦形不織布10B、図7(a)に示す第3実施形態に係る立体賦形不織布10C、図7(b)に示す第4実施形態に係る立体賦形不織布10D、図11に示す第7実施形態に係る立体賦形不織布10G及び図13(a)~図13(c)に示す第8~第10実施形態に係る立体賦形不織布10H~10Jは、肌当接面側(凸面側)に配される表面繊維層20B,20C,20G,20Hと、該表面繊維層の非肌当接面側(裏面側)に配される裏面繊維層30B~30D,30G~30Jとを備えており、該表面繊維層20B,20C,20G,20Hが、凸部12及び凹部14を有している。
また、図9(b)に示す第6実施形態に係る立体賦形不織布10Fは、肌当接面側(非凸面側)に配される表面繊維層20Fと、該表面繊維層20Fの非肌当接面側(凸面側)に配される裏面繊維層30Fとを備えており、該裏面繊維層30Fが、凸部12及び凹部14を有している。
以下、単に「立体賦形不織布10」という場合には、特に断らない限り、第1~第10実施形態に係る立体賦形不織布10A~10Jの全てを包括するものとする。
凸部12は、第1の方向(図1に示すX方向。以下、「X方向」という)に沿って複数設けられると共に、X方向と直交する方向である第2の方向(図1に示すY方向。以下、「Y方向」という)に沿って複数設けられている。なお、本実施形態の立体賦形不織布10においては、図1に示すX方向が、後述する立体賦形不織布製造時の機械方向(MD)に一致し、Y方向が、立体賦形不織布製造時の幅方向(CD)に一致している。
具体的には、X方向(MD)に沿って配置された複数の凸部12からなる凸部列が、Y方向(CD)に沿って複数列設けられている。これらのY方向(CD)に隣り合う凸部列は、一方の凸部列における凸部12のX方向位置が、他方の凸部列におけるX方向(MD)で隣り合う凸部12同士の間に位置されるよう配列されており、これにより、複数の凸部12が平面視において千鳥格子状に配置されている。また、Y方向(CD)に隣り合う凸部列は、一方の凸部列における凸部12の一部と、他方の凸部列における凸部12の一部とが、Y方向(CD)において互いに重なるように配列されている。
凹部14は、X方向に隣り合う凸部12間及びY方向に隣り合う凸部12間にそれぞれ設けられている。これにより、凸部12及び凹部14は、X方向に沿って交互に配置されると共に、Y方向に沿っても交互に配置された千鳥格子状に配置されている。
なお、凸部12及び凹部14の配置は、図示した千鳥格子状に限定されるものではなく、例えば、複数の凸部12が平面視においてX方向及びY方向にそれぞれ直交的に格子状に並んだ配置等の種々の配置を採用することが可能である。このような直交的に格子状に並んだ配置は、肌と不織布が接触した際に、肌と不織布の間に直線状の隙間ができ、該隙間を空気の通り道とすることができる点で好ましい。
各凸部12は、全体として稜線が丸みを帯びた扁平な直方体又は截頭四角錐体となっている。具体的には、凸部12は、X方向に沿って延在しかつY方向に対向する一対の第1壁部12aと、Y方向に沿って延在しかつX方向に対向する一対の第2壁部12bと、各第1壁部12aの上辺及び各第2壁部12bの上辺と連なる頂部12cとを有している。
なお、本実施形態においては、第2壁部12bのY方向に沿った延在長さは、第1壁部12aのX方向に沿った延在長さよりも長いが、これに限定されるものではない。また、各凸部12の形状は、扁平な直方体又は截頭四角錐体に限定されるものではなく、例えば、凸部12の底辺が平面内において円状や楕円状、五角形状、六角形状、八角形状でもよく、また、厚み方向には蛸壺の口を底辺としたようなドーム状や、半球状、截頭円錐状でありうる。特にドーム状であることが構造的に潰れにくいため好ましい。
凸部12の周りの凹部14は、該凸部12を囲むように連続的に繊維融着部(エンボス部)が形成されていてもよいし、間欠的に繊維融着部が形成されていてもよい。後者の場合(間欠的に繊維融着部が形成される場合)には、液体の吸収時に凸部12から含浸した液が融着点により閉鎖されにくく、融着点近傍に液が残りにくいという利点がある。この場合において、1つの凸部を囲む融着点数は、任意に設定することが可能であるが、4個から12個であることが好ましい。このような個数とすることにより、上述した液の残りにくさと、表面繊維層と裏面繊維層との二層間の接合強度(融着点数が多いほど接合強度が増す)とを両立させることが可能となる。
凸部12は、図2に示すように、一対の第1壁部12a、一対の第2壁部12b及び頂部12cで囲まれた領域が中空領域となっているか、又は、該領域に繊維が充填された中実構造となっている。
具体的には、第1,第3,第5~第8,第10実施形態に係る立体賦形不織布10A,10C,10E~10H,10Jにおける凸部12は、一対の第1壁部12a、一対の第2壁部12b及び頂部12cで囲まれた領域が中空領域となっている。ただし、第6実施形態に係る立体賦形不織布10Fにおいては、凹部14内に繊維が充填された中実構造を有している。
一方、第2,第4,第9実施形態に係る立体賦形不織布10B,10D,10Iにおける凸部12は、一対の第1壁部12a、一対の第2壁部12b及び頂部12cで囲まれた領域に繊維が充填された中実構造となっている。
なお、本明細書における「中空領域」とは、実質的に不織布の繊維で満たされていない空間であり、具体的には、繊維密度が20本/mm2未満であることを指す。中空領域における繊維密度は、小さいほど好ましい。また、本明細書における「中実構造」とは、凸部12の裏面側が実質的に不織布の繊維で満たされた構造であり、具体的には、繊維密度が20本/mm2以上であることを指す。
[繊維密度の測定方法]
繊維密度は、立体賦形不織布10の断面を観察して、以下の手法により測定することができる。立体賦形不織布10を測定対象の部位(例えば、第2壁部12b間)を通るように厚み方向に切断する。走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製JCM-5100)を使用して切断面を拡大観察し、一定面積の切断面内の切断されている繊維の断面を数える。拡大観察は、繊維断面が30本から60本程度計測できる倍率(150倍以上500倍以下)に調節する。次に、1mm2当たりの繊維の断面数に換算し、これを繊維密度(本/mm2)とする。3カ所の測定結果を平均して、そのサンプルの繊維密度とする。
立体賦形不織布10は、断面方向(凸部12の突出方向と直交する方向)から見た場合における、凸部12の頂部12cの表面(凸部表面)と凹部14の表面(凹部表面)との平均高さの差hが、クッション性がよくなる点と、後述する圧縮時の変形量が大きくなり風合いが良くなる点から、0.5mm以上であり、2mm以上であることが好ましく、4mm以上であることがより好ましく、また、製品パッケージ内での圧力による潰れにくさの観点から、15mm以下であることが好ましく、10mm以下であることがより好ましい。このような嵩高の凸部12は、一般的なエンボス加工(凸ロールとフラットロールとの熱圧力による)では形成することはできず、後述する製造方法のようなウエブに対する賦形により形成することが可能である。
なお、本明細書において、「凸部表面」とは、凸部12が突出する方向側の面(図2における上面)を立体賦形不織布10の表面とし、その反対の面(図2における下面)を立体賦形不織布10の裏面とした場合における、凸部12の頂部12cの表面をいい、「凹部表面」とは、同場合における凹部14の表面をいう。また、「凸部表面と凹部表面との平均高さの差h」は、要するに、凹部表面を基準とした場合における凸部12の平均高さである。
[凸部表面と凹部表面との平均高さの差hの測定方法]
凸部表面の高さ、凹部表面の高さ及び凸部表面と凹部表面との平均高さの差hは、以下の方法により測定することができる。すなわち、まず、自動圧縮試験機(カトーテック株式会社製のKES FB3-AUTO-A)の圧縮測定により、圧縮方向における0.5gf/cm2時の、凸部12を含めた立体賦形不織布10の厚みを求める。この厚みを複数(例えば5つ)のサンプルについてそれぞれ求め、それらの平均値を凸部表面の平均高さh1(mm)とする。この凸部表面の平均高さh1には、凸部12だけではなく、凹部14のエンボス部15の厚みや、裏面繊維層30B~30D,30G~30Jの厚みも含まれている。
次に、立体賦形不織布10を鋭利なはさみ等でカットし、カット断面を走査電子顕微鏡(SEM)により観察することで、凹部14の断面厚みを求める。なお、裏面繊維層30B~30D,30G~30Jを有する場合には、該裏面繊維層30B~30D,30G~30Jの厚みも該「凹部14の断面厚み」に含める。この断面厚みについても同数(例えば5つ)のサンプルについてそれぞれ求め、それらの平均値を凹部表面の平均高さh2(mm)とする。そして、このようにして求められた「凸部表面の平均高さh1」から「凹部表面の平均高さh2」を差し引いた値を「凸部表面と凹部表面との平均高さの差h」とする。
凸部12の第1壁部12aと凹部表面との成す角度(第1壁部12aの傾斜角度θ)は、原反時の巻取り圧による不織布の巻潰れや製品パケージ圧による保存時の潰れにより凸部12の形状がドーム状になって、適度な風合いを有する観点から、30°以上であることが好ましく、80°以上であることがより好ましく、また、前述の平均高さの差hの高いものが得られ、また、製品パケージ圧による保存時に潰れにくい観点から、160°以下であることが好ましく、120°以下であることがより好ましい。また、凸部12の第2壁部12bと凹部表面との成す角度(第2壁部12bの傾斜角度θ)は、第1壁部12aの傾斜角度θと同様の観点から、30°以上であることが好ましく、80°以上であることがより好ましく、また、160°以下であることが好ましく、120°以下であることがより好ましい。
第1壁部12a及び第2壁部12bの傾斜角度θが小さいほど、すなわち第1壁部12a及び第2壁部12bが凹部表面に対して垂直に近いほど、凹部14から頂部12cまでの距離が大きくなり、高い凸部12が形成されるため、嵩高の立体賦形不織布10となる。
なお、凸部12の各壁部12a,12bの傾斜角度θが部分的に上記範囲外であっても許容される。例えば、各壁部12a,12bが波打った形状や、屈曲部分を有する形状であってもよい。傾斜角度θは、マイクロスコープを用いて、測定対象となる壁部(第1壁部12a又は第2壁部12b)と、頂部12cと、凹部14とを含む断面(例えば図2)において、目視される凹部14と壁部(第1壁部12a又は第2壁部12b)との成す角度を測定することにより確認することができる。
立体賦形不織布10に用いることができる繊維材料は、任意の一般繊維及び熱伸長繊維を用いることができる。繊維材料は、毛羽立ち及び強度の観点から連続繊維であることが好ましいが、これに限定されず、長繊維や短繊維であっても良い。
連続繊維は、製品部材の端面での繊維切断箇所や毛羽立ち部の一部の繊維の切断を除き、実質的に繊維が連続しているものであり、スパンボンド法に見られるものである。
長繊維は、有効長の繊維長を有するものであり、メルトブローン法に見られるものである。
短繊維は、77mm長以下の繊維であり、エアスルー不織布やスパンレース不織布、エアレイド不織布に用いられる。
未融着ウエブの供給方法としては、スパンボンド法(連続繊維)、エレクトロスピニング法(連続繊維)、スパンメルト法(熱風伸長と冷風延伸を組み合わせた方法、長繊維)、メルトブローン法(長繊維)、カード法(短繊維)、エアレイド法(短繊維)が挙げられる。特にスパンボンド法、カード法によるものが嵩高な立体賦形不織布が得られるため好ましい。また、これらの供給方法を組み合わせることも可能である。
繊維材料は、例えば、ポリエチレン(PE)繊維、ポリプロピレン(PP)繊維等のポリオレフィン繊維;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等の熱可塑性樹脂を単独で用いてなる繊維;芯鞘型、サイドバイサイド型等の構造の複合繊維等が挙げられる。このような複合繊維としては、例えば、鞘成分がPE又は低融点PPである芯鞘構造の繊維等が挙げられる。芯鞘構造の繊維の代表例としては、芯がPETを、鞘がPEを有するもの、芯がPPを、鞘がPEを有するもの、芯がPPを、鞘が低融点PPを有するもの等の芯鞘構造の繊維等が挙げられる。
繊維材料は、PE繊維、PP繊維等のポリオレフィン系繊維、PE複合繊維、又はPP複合繊維を含むことが好ましい。PE複合繊維は、PETとPEとを含む複合組成であり、PP複合繊維は、PETと低融点PPとを含むことが好ましい。より具体的には、芯がPETを、鞘がPEを有するもの、芯がPETを、鞘が低融点PPを有するものが挙げられる。これらの繊維は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いて、不織布を構成することができる。また、不織布には、コットン等の天然繊維やレーヨン、キュプラ等の再生繊維等の熱可塑性繊維以外の繊維が含まれていてもよい。
立体賦形不織布10を構成する繊維は、湾曲形状(U字状)を有している。本明細書において、「湾曲形状」とは、繊維の平均最小曲率半径が24μm以上であることをいう。通常、いわゆる「熱収縮による潜在捲縮繊維」(熱収縮により3次元螺旋捲縮をした繊維等)は、繊維の平均最小曲率半径が24μm未満であるため、「湾曲形状」を有しないと解される。本実施形態において、繊維の平均最小曲率半径は、製造工程において賦形時の熱による熱収縮応力が低いため上記平均高さの差hが高くなり、凹凸が明瞭になるとともに風合いに優れる観点から、24μm以上が好ましく、80μm以上であることがより好ましく、100μm以上であることが更に好ましく、また、嵩高なものが得られる観点から、500μm以下が好ましく、300μm以下であることがより好ましく、150μm以下であることが更に好ましい。
また、立体賦形不織布10の繊維が湾曲形状を有することにより、結果的に賦形時の熱による熱収縮応力が低いため、上記「平均寸法h」(平均高さの差)が高くなるという利点がある。また、融着点の形成時(エンボス時)において、立体賦形不織布製造時の幅方向(CD)の熱収縮を抑えられるという利点がある。
[平均最小曲率半径の測定方法]
平均最小曲率半径は、以下の方法により測定することができる。すなわち、対象とする繊維が見えるように立体賦形不織布10の表面、裏面又は断面から走査電子顕微鏡(SEM)により観察する。観察倍率は繊維径によって異なり、観察倍率(倍)=2000/平均繊維径(μm)として、この値の±50%の範囲の倍率にて観察する。例えば平均繊維径が20μmの場合、50倍~150倍にて観察する。上部側(電子線照射側)の繊維にフォーカスを合わせて画像を撮影する。無作為に選んだ異なる5か所について撮影する。次に一つの観察箇所の中で繊維の湾曲した状態について繊維が画像の平面方向に配されているものの中から、最も曲率半径が小さいものを選び、繊維太さの中心を通る仮想円を引いて仮想円の半径から最小曲率半径を求める。なお、繊維が屈曲している場合はその部分を拡大して最小曲率半径を求める。異なる5か所について最小曲率半径を求め、これを平均した値を平均最小曲率半径とする。
立体賦形不織布10を構成する繊維の平均繊維径は、吸収性物品の表面材に使用する場合は、体液の吸収後の表面材に残る量が少なくなることから、0.5μm以上が好ましく、8μm以上であることがより好ましく、12μm以上であることが更に好ましく、また、肌に接したときの風合いの観点から、30μm以下が好ましく、25μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることが更に好ましい。
[平均繊維径の測定方法]
平均繊維径は、以下の方法により測定することができる。すなわち、立体賦形不織布10の表面又は裏面から走査電子顕微鏡(SEM)により観察する。観察倍率は繊維径によって異なり、観察倍率(倍)=6000/平均繊維径(μm)として、この値の±50%の範囲の倍率にて観察する。例えば平均繊維径が20μmの場合、150倍~450倍にて観察する。上部側(電子線照射側)の繊維にフォーカスを合わせて画像を撮影する。1画像について、融着点と繊維の端部を除いた部分において、ランダムに選んだ異なる繊維における繊維の太さ(繊維の長手方向に垂直方向の幅)を10ヶ所測定し、平均した値を繊維径とする。異なるサンプル5点について同様に測定した値を平均して、平均繊維径を求める。なお、繊維断面が円形でない場合は不織布の厚さ方向の断面観察により、SEM画面に対して垂直に向いている繊維を10ヶ所選び、それらの断面形状から断面積を求め、それを円形に仮定したときの直径から繊維径を求める。
立体賦形不織布10の繊維は、平均最小湾曲形度が2倍以上であることが好ましく、4倍以上であることがより好ましく、また、10倍以下であることが好ましく、8倍以下であることがより好ましい。繊維の平均最小湾曲形度がこの数値内であることにより、繊維が圧縮時に折れ曲がりにくく、クッション性に優れ、厚み回復性も優れるという利点がある。
[平均最小湾曲形度の測定方法]
繊維の平均最小湾曲形度は、以下の方法により測定することができる。すなわち、まず、曲率半径を求めた繊維の太さ(繊維の長手方向に垂直な幅)を測定し、これを繊維径とする。そして、上記「平均最小曲率半径の測定方法」にて測定した「最小曲率半径」を「繊維径」で割った値(倍)を求め、これを最小湾曲形度とする。異なる5か所について最小湾曲形値を求め、これを平均した値を平均最小湾曲形度とする。
凸部12を構成する繊維の繊維径の平均変動値は、90%以下であることが好ましく、70%以下であることがより好ましく、60%以下であることが更に好ましい。ここで、「繊維径の平均変動値」とは、凸部12を構成する繊維の最大繊維径(MAX)から該繊維の最小繊維径(MIN)を除し、これを該繊維の平均繊維径で割った値を100分率で表したものである(すなわち、「繊維径の平均変動値」=(「最大繊維径(MAX)」-「最小繊維径(MIN)」)/「平均繊維径」×100)。このように、繊維径の平均変動値が90%以下であることにより、凸部12を構成する繊維に融着点の剥離跡が無く、指で表面をなぜたときの引っ掛かりの無い風合いの良い不織布とすることができる。また、このような融着点の剥離跡が無い凸部12は、油剤等を均一に塗布することが可能である。
[繊維径の平均変動値の測定方法]
繊維径の平均変動値は、以下の方法により測定することができる。すなわち、平均繊維径の測定と同様にして、1画像あたりにつき、融着点と繊維の端部を除いた部分において、繊維の最も太い箇所の繊維の幅(繊維の長手方向に垂直方向の幅)をD1、繊維の最も細い箇所の繊維の幅(繊維の長手方向に垂直方向の幅)をD2として測定する。得られた値から「(D1-D2)/平均繊維径×100(%)」として繊維径の変動値を求める。異なるサンプル5点について同様に測定した値を平均して、繊維径の平均変動値を求める。繊維の最も太い箇所及び最も細い箇所は融着部の剥離跡も測定対象とする。なお、繊維断面が円形でない場合は、前記平均繊維径の測定と同様にして、10ヶ所について断面積を測定し、繊維を円形に仮定したときの直径から繊維の最大値D1と最小値D2を求める。
各凸部12は、頂部12cにおける繊維同士の平均融着点数が0.1個/mm2以下であり、0.01個/mm2以下であることが好ましく、0個/mm2(すなわち、融着点無し=未融着)であることがより好ましい。凸部12の頂部12cにおける繊維同士の平均融着点数が0.1個/mm2以下である立体賦形不織布10は、同平均融着点数が0.1個/mm2を超える不織布、例えば同平均融着点数が30個/mm2程度のエアスルー不織布や同平均融着点数が0.4個/mm2程度のスパンボンド不織布を原反不織布として用いて賦形された立体賦形不織布と比較して、繊維の自由度が高く、風合いの良い不織布とすることができる。
[平均融着点数の測定方法]
凸部12の頂部12cにおける繊維同士の平均融着点数は、以下の方法により測定することができる。すなわち、不織布の凸部について、エアスルー不織布のように繊維融着点がランダムに点在する場合は、走査電子顕微鏡(SEM)により表面から観察する。観察倍率は繊維径によって異なり、観察倍率(倍)=2000/平均繊維径(μm)として、この値の±50%の範囲の倍率にて観察する。例えば平均繊維径が20μmの場合、50倍~150倍にて観察する。上部側(電子線照射側)の繊維にフォーカスを合わせて画像を撮影し、同様にする。無作為に選んだ異なる5か所について撮影する。次に融着点とみられる箇所の数を数え、この値を観察面積で割り、1mm2当たりの融着点数を求める。スパンボンド不織布やポイントボンドヒートロール不織布の場合は、マイクロスコープにより表面から観察し、20~30個程度の接合点が観察できる倍率にて計測し、1つの固まりの接合点を1つの融着点として数え、これを観察面積で割ることで1mm2当たりの融着点数を求める。なお、観察範囲境界に接合点が重なるものは、その個数を1/2した値を求め、その値に観察範囲境界に重ならない接合点の個数を足した値を用いる。融着点が連続接合線状である場合は、30mm角について、1mmきざみのメッシュ状に区切った際、1mm角内に少なくとも連続接合線が入るものの数を数える。この値をメッシュ数の900個で割り1mm2当たりの融着点数を求める。異なる5か所について融着点数を求め、これを平均した値を平均融着点数とする。
図2において凹部14は、その四方が凸部12によって囲まれており、X方向に隣接する一対の凸部12の第2壁部12bの各下端縁部と、Y方向に隣接する一対の凸部12の第1壁部12aの各下端縁部とによって画定される底部を有している。凹部14は、図2に示すように、該底部の一部又は全部に、繊維同士が融着したエンボス部15を有している。凹部14の底部におけるエンボス部15の範囲は、融着強度と凸部の形状維持の観点から、底部全体の50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
なお、本明細書において、「エンボス部」とは、熱と圧力による融着部を意味し、融着とは、接合界面における少なくとも一方の繊維の樹脂が溶融し、他方の繊維に接着することを意味する。融着部では、繊維が潰れて扁平になったり、フィルム化したりする傾向にある。図2等では、理解を容易にするために、エンボス部15を黒塗りで図示している。
立体賦形不織布10の坪量は、凸部12の潰れにくさの観点から、4g/m2以上が好ましく、8g/m2以上であることがより好ましく、12g/m2以上であることが更に好ましく、また、適度なクッション性と曲げ剛性を有する観点から、100g/m2以下が好ましく、50g/m2以下であることがより好ましく、30g/m2以下であることが更に好ましい。
[摩擦特性]
立体賦形不織布10は、前記凹凸構造に起因して優れた摩擦特性を有している。
立体賦形不織布10は、表面摩擦係数の平均偏差値(MMD)が、適度な滑らかさを有すると感触が良いと感じる観点から、0.003以上が好ましく、0.005以上であることがより好ましく、また、表面摩擦係数の平均偏差値(MMD)が小さいほど、表面に凹凸があっても引っ掛かり等がなく、摩擦係数の変動が小さく滑らかと感じる観点から、0.008以下が好ましく、0.0075以下であることがより好ましい。
[摩擦特性の測定方法]
平均摩擦係数(MIU)及び表面摩擦係数の平均偏差値(MMD)は、以下の方法により測定することができる。すなわち、自動表面試験機(カトーテック株式会社製のKES FB4-AUTO-A)を用いて、直径0.5mmのSTEELピアノ線を用いた測定子により、測定子面積1cm2、荷重50gfにて、速度1mm/sにて、30mm長を往復移動させたときの摩擦力を測定する。解析距離は両端の5mmのデータをカットして20mm長とする。表面摩擦係数をMIU、表面摩擦係数の平均偏差値をMMDとして求める。測定面は表面側が測定子側となるようにし、測定方向は前記X方向とY方向として、その測定値を平均する。初期のサンプル張力は10gf/cmとする。それぞれの測定値はシートを5点測定して、その平均値とする。
[粗さ特性]
立体賦形不織布10は、前記凹凸構造に起因して優れた粗さ特性を有している。すなわち、立体賦形不織布10は、凸部12の頂部12cにおける表面粗さの平均偏差値(SMD)が、手で触った時の凹凸感を感じる観点から、3以上が好ましく、3.3以上であることがより好ましく、また、肌に優しい接触を維持する観点から、4.2以下が好ましく、4以下であることがより好ましい。
[粗さ特性の測定方法]
表面粗さの平均偏差値(SMD)は、以下の方法により測定することができる。すなわち、上述の自動表面試験機を用いて、直径0.5mmのSTEELピアノ線1本からなる幅5mmの測定子により、荷重10gf、速度1mm/sの条件下にて、30mm長を往復移動させたときの粗さを測定する。摩擦特性と同様に解析距離内について表面粗さの平均偏差値をSMDとして求める。測定面は表面側が測定子側となるようにし、測定方向は前記X方向とY方向として、その測定値を平均する。初期のサンプル張力は10gf/cmとする。それぞれの測定値はシートを5点測定して、その平均値とする。
[圧縮特性]
立体賦形不織布10は、前記凹凸構造に起因して優れた圧縮特性を有している。
すなわち、立体賦形不織布10は、凸部12における圧縮エネルギー(WC)が、手で押した際の変形量に対する抵抗力が適度になり風合いに優れる観点から、0.5gf/cm2以上が好ましく、1gf/cm2以上であることがより好ましく、また、反発力を抑えて適度な風合いを維持する観点から、1.8gf/cm2以下が好ましく、1.65gf/cm2以下であることがより好ましい。圧縮エネルギーWCは、その値が大きいほど、測定対象物がふんわりしていることを意味する。
さらに、立体賦形不織布10は、凸部12における回復エネルギー(WC’)が、手で押した際の戻りの反発性が適度になり風合いに優れる観点から、0.2gf/cm2以上が好ましく、0.6gf/cm2以上であることがより好ましく、また、反発力を抑えて適度な風合いを維持する観点から、0.9gf/cm2以下が好ましく、0.8gf/cm2以下であることがより好ましい。
そして、これら圧縮エネルギー(WC)及び回復エネルギー(WC’)から、圧縮のレジリエンスRC(WC’/WC×100)が求められる。このRC値が大きいほど、圧縮と回復の弾性応力においてヒステリシスが小さくクッション性が良いと感じ、適度な弾性を有する観点から、42%以上が好ましく、44%以上であることがより好ましく、また、RC値は100%に近い方が弾性が良いことから、100%以下が好ましく、100%であることが最も好ましい。
また、立体賦形不織布10は、凸部12における変形量が、より柔らかい感触を有する観点から、1.5mm以上が好ましく、1.7mm以上であることがより好ましく、また、特に上限はないが坪量が100g/m2以下の場合、変形量が小さい方が繊維間の距離が広くなりすぎることを防ぎ、クッション性や強度が優れる観点から、15mm以下が好ましく、10mm以下であることがより好ましい。荷重を加えたときの変形量は、その値が大きいほど、柔らかいと感じる。
[圧縮特性の測定方法]
これらの圧縮特性は、以下の方法により測定することができる。すなわち、上述の自動圧縮試験機を用い、速度0.05mm/s、測定子面積2cm2にて、圧縮荷重0.5~50g/cm2の範囲において、測定子によりシートを圧縮し、最大荷重を加えた後にただちに回復方向に移動させたときの厚みとその時の荷重を測定する。荷重が0.5g/cm2荷重下でのシート厚みをT0とし、50g/cm2荷重下でのシート厚みをTMとする。圧縮特性の線形性をLC、圧縮エネルギーをWC、回復エネルギーをWC’、圧縮のレジリエンスをRC(WC’/WC×100)、変形量を「TM-T0」として求める。測定面は表面側が測定子側となるようにする。それぞれの測定値はシートを5点測定して、その平均値とする。
[測定サンプルの準備]
上述した各測定にあたり、吸収性物品から立体賦形不織布10(サンプル)を準備する場合、ホットメルト接着剤で接着されているものについてはコールドスプレー等を用いて、立体賦形不織布10(サンプル)へのダメージが少ないようにして吸収性物品から立体賦形不織布10(サンプル)を剥がして準備する。また、走査電子顕微鏡(SEM)で観察する際に、導電性の低いものは、必要に応じて最小限のAuスパッタ蒸着を行う。なお、各測定において特に指定のない場合は、無作為に選んだ箇所を測定する。
以上説明したとおり、本実施形態に係る吸収性物品は、複数の凸部12及び該凸部12間に位置する凹部14を有する立体賦形不織布10が用いられており、この立体賦形不織布10が、以下の(a)~(d)の構成を備えている。
(a)湾曲形状を有する繊維からなる。
(b)凸部表面と凹部表面との平均高さの差hが0.5mm以上である。
(c)凹部14が、繊維同士が融着したエンボス部15を有している。
(d)凸部12の頂部12cにおける繊維同士の平均融着点数が、0.1個/mm2以下である。
そして、このような吸収性物品によれば、凸部12の頂部12cにおける融着点数が少なく、かつ、繊維が湾曲形状であるため、繊維の自由度が高く、これにより、柔らかな風合いを得ることが可能である。すなわち、本実施形態に係る吸収性物品では、繊維の自由度が高いため、撫でた際の摩擦係数の変動(表面摩擦係数の平均偏差値(MMD))が小さく、また、肌に接合部や融着部(エンボス部)が触れないため、ソフトな肌触りを有する。
さらに、本実施形態に係る吸収性物品では、凸部12側が肌当接面側となるよう、立体賦形不織布10を表面材やサブレイヤとして用いることにより、繊維の融着点が肌当接面側になく、繊維同士の交点に体液が残りにくいため、表面液残りが少ないという利点も有する。
特に、繊維同士が融着している個所は、繊維を融着させる際の熱により樹脂の分子配向が低下するため、剛性が低くなりやすい。これに対し、本実施形態に係る吸収性物品は、凸部12の頂部12cにおける繊維同士の融着が少なく又は存在しないため、樹脂の分子配向の低下を抑えることができ、また、凸部表面と凹部表面との平均高さの差hが0.5mm以上であり嵩高である。さらに、本実施形態に係る吸収性物品では、凹部14のエンボス部15の繊維はほぼ面内方向に配向しているが、エンボス部15近傍の繊維は厚み方向に曲がった状態で熱セットされているため、凸部12を支えることが可能であり、これにより、適度な剛性を有し、優れたクッション性を得ることが可能である。
また、本実施形態に係る吸収性物品は、このように優れたクッション性を有するため、例えば図2に示す立体賦形不織布10Aのように、凸部12の裏面側が中空かつ解放された解放中空構造であっても、繊維層自体の厚みにより中実構造に近い剛性を実現することができ、潰れにくく、液の吸収が早いという利点を有する。
さらに、本実施形態に係る吸収性物品は、凸部12を構成する繊維の繊維径の平均変動値が90%以下であることが好ましい。これは、凸部12を構成する繊維に、特許文献3のような熱点接着部の破壊跡(融着点の剥離跡)が無いことを意味し、このような融着点の剥離跡が無い立体賦形不織布10を用いることで、引っ掛かりの無い風合いの良い吸収性物品とすることができる。また、このような融着点の剥離跡が無い凸部12は、油剤等を均一に塗布することも可能である。
また、本実施形態に係る吸収性物品は、表面繊維層を構成する繊維が連続繊維から形成されている場合、毛羽立ちが起こり難いという利点も有する。
[立体賦形不織布の製造方法]
次に、本実施形態に係る吸収性物品に用いることが可能な立体賦形不織布10の製造方法について説明する。
立体賦形不織布10の製造方法は、複数の凸部及び該凸部間に位置する凹部を有する不織布の製造方法であって、複数の突起及び窪みを有する雄型を少なくとも用いて、繊維を用いた未融着ウエブに賦形加工を施す賦形工程と、前記賦形工程後に、複数ある前記突起又は前記窪みのうち、その一部又は全ての突起若しくは窪みに一致して、局所的に繊維を融着させることが可能なポイント融着手段を用いて、前記賦形工程により賦形された前記未融着ウエブの凹部の繊維の一部又は全てを熱融着させる熱融着工程とを含むものである。
以下、このような製造方法の具体例として、図3~図13を用いて第1~第10実施形態に係る製造方法を説明するが、これらの製造方法に限定されるものではない。なお、以下の説明において、「表面側」又は「凸面側」とは、立体賦形不織布10となった状態における凸部12の突出面側を意味し、「裏面側」又は「非凸面側」とは、その反対の面側を意味する。
[第1実施形態に係る製造方法]
まず、第1実施形態に係る製造方法について、図3を用いて説明する。なお、図3において破線で示されている構成は、第1実施形態に係る製造方法では用いない構成である。
第1実施形態に係る製造方法に用いられる製造装置100は、第1実施形態に係る立体賦形不織布10Aを製造することが可能な装置であって、図3に示すように、立体賦形不織布10Aの原料となる繊維を用いた未融着ウエブWを供給するウエブ供給部102と、ウエブ供給部102から供給された未融着ウエブWを搬送するコンベアベルト104と、コンベアベルト104により搬送される未融着ウエブWを加圧するニップローラ106と、未融着ウエブWに対して賦形加工を施す一対のロール(第1の噛合いロール108及び第2の噛合いロール110)と、第2の噛合いロール110により牽引される未融着ウエブWの凹部の繊維の一部又は全てを融着させるポイント融着手段112と、ポイント融着手段112により融着された融着部(エンボス部)を冷却させるクーリングロール114とを備えている。このように繊維を融着させることなく(融着部をいったん形成せずに)未融着ウエブを直接立体賦形する方式は、「ダイレクト賦形」と呼ばれている。
ウエブ供給部102、コンベアベルト104及びニップローラ106は、第1の噛合いロール108及び第2の噛合いロール110に向けて、繊維を用いた未融着ウエブWを供給及び搬送するよう構成されている。また、クーリングロール114は、ポイント融着手段112により融着され、不織布となった立体賦形不織布10Aを冷却させながら下流側に向けて搬送するよう構成されている。コンベアベルト104、ニップローラ106、クーリングロール114は適宜使用しない場合もあり得るが、安定的に生産する上でこれらを設けることが好ましい。このようなウエブ供給部102、コンベアベルト104、ニップローラ106及びクーリングロール114としては、種々の公知の構成を採用可能である。
第1の噛合いロール108(雄型)及び第2の噛合いロール110は、互いに噛合い可能な凹凸形状を周面に有しており、該凹凸形状が噛合い状態となるよう隣接して配置されている。すなわち、第1の噛合いロール108及び第2の噛合いロール110は、それぞれ複数の突起と窪みを有しており、第1の噛合いロール108の各突起が第2の噛合いロール110の各窪みと噛合い、第2の噛合いロール110の各突起が第1の噛合いロール108の各窪みと噛合うよう構成されている。第1の噛合いロール108は、図3中の反時計回りに回転するよう構成されており、第2の噛合いロール110は、第1の噛合いロール108と同じ周速度で、図3中の時計回りに回転するよう構成されている。第1の噛合いロール108及び第2の噛合いロール110は、両ロールの噛合い状態下に未融着ウエブWを介在させることで、未融着ウエブWに賦形加工を施すよう構成されている。
本実施形態においては、第1の噛合いロール108の周面に設けられた突起(凸部)によって、立体賦形不織布10Aとなった際の凸部12が形成され、第2の噛合いロール110の周面に設けられた突起(凸部)によって、立体賦形不織布10Aとなった際の凹部14が形成される。このため、第1の噛合いロール108の周面に設けられた突起は、上述した立体賦形不織布10の凸部12の配置と対応した位置に複数配置されており、第2の噛合いロール110の周面に設けられた突起は、上述した立体賦形不織布10の凹部14の配置と対応した位置に複数配置されている。
具体的には、第1の噛合いロール108の周面には、該ロール108の回転方向(MD)に沿って配置された複数の突起からなる突起列が、該ロール108の軸方向(CD)に沿って複数列設けられている。これらの軸方向(CD)に隣り合う突起列は、一方の突起列における突起の回転方向位置が、他方の突起列における回転方向(MD)で隣り合う突起同士の間に位置されるよう配列されており、これにより、複数の突起が周面上において千鳥格子状に配置されている。また、軸方向(CD)に隣り合う突起列は、一方の突起列における突起の一部と、他方の突起列における突起の一部とが、軸方向(CD)において互いに重なるように配列されている。
また、第2の噛合いロール110の周面には、第1の噛合いロール108の回転方向(MD)に隣り合う突起間及び軸方向(CD)に隣り合う突起間にそれぞれ突起が設けられている。第2の噛合いロール110の周面に設けられた突起においても、第1の噛合いロール108の突起と同様に、軸方向(CD)に隣接する突起同士の一部が互いに重なるように配列されている。すなわち、第2の噛合いロール110は、該ロール110によって形成される立体賦形不織布10Aの凹部14のエンボスパターンが、千鳥格子状であり、かつ、エンボス部15が軸方向(CD)に重なるように構成されている。このようにエンボスパターンが千鳥格子状で、かつ、軸方向(CD)に重なることにより、回転方向(MD)に伸びにくく、ポイント融着手段112(例えばシールロール)からの剥離強度に耐え得るという利点がある。
一つの凸部12に着目した場合において、該凸部12の周りに隣接する凹部14の数は、4個、6個、8個、・・・連続(1個に相当)等の任意の数に設定することができるが、特に、4個であることが外観と風合いが優れる点で好ましい。
凸部12の高さや、その底辺で囲われた領域の面積は、1種類のみでなく、2種以上異なるものとすることができる。2種以上の異なる高さの凸部12を形成した場合は、圧縮した際に高さの高い凸部12が先に荷重を受け、その後、高さの低い凸部12も荷重を受けて全体で潰れていくため、初期に柔らかく、圧縮量が増すにつれ徐々に硬くなるものにすることができ、柔らかさと潰れにくさを両立できる点で好ましい。
また、凹部14の面積や形状も1種類のみでなく、2種以上異なるものであることが同様の理由により好ましい。
2種以上の異なる高さの凸部12は、例えば、第1の噛合いロール108の突起の高さが異なるものを用いたり、該突起同士の間隔を異なるものにしたり、第2の噛合いロール110の突起頂部の面積や個数(例えば、凸部12に隣接した凹部14の数を4個と6個の2種類とする等)の異なるものとしたりすることで形成することができる。
凸部12の頂部の厚み方向の断面形状は、平面や凸状の湾曲形状がよく、頂部における面内方向の形状は、円形、楕円、三角形、四角形(長方形、正方形、ダイヤ形を含む)、五角形、六角形、等の形状をとることができる。
凹部14の底部の厚み方向の断面形状は、平面や凸状又は凹状の湾曲形状とすることができる。底部の面内方向の輪郭形状は、離散的なパターン(複数の凹部14の底部が互いに面内方向に独立しているパターン)においては円形、楕円、三角形、四角形(長方形、正方形、ダイヤ形を含む)、五角形、六角形、X字状、Y字状、S字状、不連続な格子状等の形状をとることができる。上記輪郭形状の内側は、融着部としてもよく、上記輪郭形状の内側に未融着部を別のパターンで設けることもできる。一方、連続的なパターン(複数の凹部14の底部が互いに面内方向に連続するパターン)を形成する場合においては、連続格子状や凸部12の周りを取り囲むような形で連続した融着部を形成することもできる。
第1の噛合いロール108及び第2の噛合いロール110は、両ロール108,110が噛み合った状態において、一方のロールの突起が他方のロールの凹部(突起間)の中央域に位置するように、両ロール108,110の噛合い状態が調整されている。ここでいう「凹部の中央域」とは、ロールの軸方向(CD)及び回転方向(MD)の双方に沿う中央域のことである。このように両ロール108,110の噛合い状態が調整されることにより、立体賦形不織布10の凸部12を対称性の良いものとすることができ、また、凸部12の形態安定性を高くすることができる。
また、第1の噛合いロール108及び第2の噛合いロール110は、両ロール108,110が噛み合った状態において、一方のロールの突起が他方のロールの窪み(突起間)の底面と接触しないように、両ロール108,110の噛合い量が調整されている。または、一方のロールの突起が他方の窪みの底部に接触するようにさせ、その面を融着部側としても良い。後者のように接触させる構成とすると、接合前に融着部の位置に相当する部分のウエブが事前に潰されることによって、ポイント融着手段112により融着された融着部の接合強度を高めることができる。
両ロール108,110の噛合い量は、それぞれのロールの突起頂部位置の半径を足した値から、各のロールの軸中心間距離を差し引いた値によって求められる。一つのロールにおいて突起の高さが多種ある場合は、平均の突起頂部の半径を用いる。具体的には、第1の噛合いロール108の凹凸形状と、第2の噛合いロール110の凹凸形状との噛合い量は、高さの高い凸部12を賦形することができ、これにより嵩高でクッション性の高い立体賦形不織布10とする観点から、1mm以上とすることが好ましく、2.5mm以上とすることがより好ましく、また、頂部12cにおける繊維本数が多い凸部12を賦形する観点から、12mm以下とすることが好ましく、4mm以下とすることがより好ましい。これにより凸部12の形態安定性を高くすることができる。
第1の噛合いロール108は、第2の噛合いロール110よりもロール表面温度が低いことが好ましい。第1の噛合いロール108のロール表面温度は、未融着ウエブWの構成樹脂の種類にもよるが、例えば構成樹脂のうち、最も低い融点を有する樹脂の当該融点よりも低い温度、例えば10℃~120℃低い温度とすることが好ましい。この加熱温度を採用することで、樹脂の溶融を防止しつつ、熱により未融着ウエブWの繊維を柔らかくして伸びやすくすることが可能となる。
また、第2の噛合いロール110のロール表面温度は、未融着ウエブWの構成樹脂の種類にもよるが、例えば単芯の繊維からなる場合(ポリプロピレン樹脂を主体とした繊維やポリエチレンを主体とした繊維等)は、構成樹脂のうち、最も低い融点を有する樹脂の当該融点よりも低いロール表面温度、例えば10℃~70℃低い温度で行うことが好ましく、例えば芯鞘繊維のような複合繊維からなる場合は、構成樹脂のうち、最も低い融点を有する樹脂の当該融点よりも高いロール表面温度、例えば5℃~80℃高い温度とすることが好ましい。
第2の噛合いロール110は、未融着ウエブWを吸引させるための吸引部を有することが好ましい。具体的には、第2の噛合いロール110の周面に設けられた多数の突起と突起の間に貫通孔(吸引口)を設け、該貫通孔を介してロールの内部から吸引することで未融着ウエブWを該ロール上に保持することが可能である。また、同時に未融着ウエブWの上から低風速(0.1~5m/s)の温風(ウエブ表面近傍にて40℃~160℃)や水蒸気(ウエブ表面近傍にて40℃~200℃)をロール側に吹き付けると高速時の遠心力によって繊維がロールから離れることを防ぐことができる点で好ましい。
未融着ウエブWの繊維表面温度は、ポイント融着手段112に至るまでに、構成樹脂のうち、最も低い融点を有する樹脂の融点よりも低い温度になるように加熱されることが好ましく、このように加熱されることにより、凸部12の繊維が融着せずに風合いを維持したまま、凹部14の繊維をポイント融着手段112によって強固に融着させることができる。なお、前記繊維表面温度は、熱の伝達効率によって温風や水蒸気の温度よりも低くなるため、温風や水蒸気の温度は前記樹脂の融点よりも高いことが好ましい。
このように、第1の噛合いロール108により未融着ウエブWを加熱しつつ、第2の噛合いロール110により吸引することにより、過剰な熱が未融着ウエブWに加わらないため未融着ウエブWの繊維の熱収縮が抑えられ、高さが高い凸部12を賦形することができ、これにより嵩高でクッション性の高い立体賦形不織布10とすることができる。
また、ポイント融着手段112よりも下流側にて第2の噛合いロール110による吸引がなされると、立体賦形不織布10の融着部が冷却されるため、賦形形状を繊維が保ったまま熱セットされる点で好ましい。立体賦形不織布10が第2の噛合いロール110の周面上に巻きかけられた状態における、ポイント融着手段112の出口点から立体賦形不織布10が第2の噛合いロール110から離れる点までの時間は、0.1秒以上であることが好ましく、上記熱セットが十分される点から、0.5秒以上であることがより好ましい。
さらに、吸引部を有する第2の噛合いロール110から立体賦形不織布10を剥離する際に、該ロールの貫通孔を通じてロール内部から外側に空気(又は冷風)を吹き出すことによって剥離させることが、剥離時に立体賦形不織布10がMD方向に伸びないため好ましい。このような構成は、例えば、前記貫通孔をロールの周方向位置によって、吸引口として機能させる部分と吹出口として機能させる部分とにロール内部で区切る機構とすることで実現することが可能である。後述する第4実施形態~第10実施形態においても、吸引部を有する雄型ロールや第2の噛合いロールから未融着ウエブWや立体賦形不織布10を剥離する際に貫通孔から空気を吹き出すことで安定的に剥離させることができる。
ポイント融着手段112は、第1の噛合いロール108及び第2の噛合いロール110の噛合い部位よりも下流側において、第2の噛合いロール110により牽引される未融着ウエブWの凹部と接するように、第2の噛合いロール110に近接して配置されている。このポイント融着手段112により、第2の噛合いロール110の突起に一致して、複数ある前記突起のうち、一部又は全てにおいて融着点が形成される。
ポイント融着手段112は、第2の噛合いロール110の突起配置(エンボスパターン)に応じて、MD方向に沿うストライプ状に未融着ウエブWと接し、該接した部分の繊維同士を融着する構成や、横縞状に未融着ウエブWと接し、該接した部分の繊維同士を融着する構成や、斜め格子状に未融着ウエブWと接し、該接した部分の繊維同士を融着する構成や、ドット状に未融着ウエブWと接し、該接した部分の繊維同士を融着する構成等の任意の構成を採用することができる。
MD方向に沿うストライプ状に未融着ウエブWと接する構成では、未融着ウエブWの縦方向(MD)の強度を高めることができ、横縞状に未融着ウエブWと接する構成では、未融着ウエブWの横方向(CD)の強度を高めることができ、斜め格子状に未融着ウエブWと接する構成では、未融着ウエブWの縦方向(MD)及び横方向(CD)の強度を高めることができる。また、ドット状に未融着ウエブWと接する構成では、厚みの厚いものとなりクッション性に優れる。
ポイント融着手段112としては、超音波によって加熱する超音波ホーン112a(図4(a)参照)や、加熱されたヒートロール(カレンダーロール)を採用することができる。また、ヒートロールとしては、周面がフラットなフラットロール112b(図4(b)参照)や、周面に凸構造113cを有する凸型ヒートロール112c(図4(c)参照)等を採用できる。
超音波ホーン112aは、図4(a)に示すように、第2の噛合いロール110の突起111と整合する位置に凸構造113aを有しており、該凸構造113aと第2の噛合いロール110の突起111との挟持により、未融着ウエブWの凹部の繊維を融着するよう構成されている。
フラットロール112bは、図4(b)に示すように、その周面と第2の噛合いロール110の突起111との挟持により、未融着ウエブWの凹部の繊維を融着するよう構成されている。
凸型ヒートロール112cは、図4(b)に示すように、周面方向(MD)に沿って延びるリング状の凸構造113cが軸方向(CD)に所定の間隔をおいて複数設けられている。この凸構造113cは、第2の噛合いロール110の突起111と整合する位置に配されており、該凸構造113cと第2の噛合いロール110の突起111との挟持により、未融着ウエブWの凹部の繊維を融着するよう構成されている。
ポイント融着手段112の加熱温度は、ヒートロール方式の場合、未融着ウエブWの構成樹脂の種類にもよるが、例えば単芯の繊維からなる場合(ポリプロピレン樹脂を主体とした繊維やポリエチレンを主体とした繊維等)は、構成樹脂のうち、最も低い融点を有する樹脂の当該融点よりも低いロール表面温度、例えば5℃~30℃低い温度で比較的高い圧力下(線圧として100~180kg/cm)で行うことが好ましく、例えば芯鞘繊維のような複合繊維からなる場合は、構成樹脂のうち、最も低い融点を有する樹脂の当該融点よりも高いロール表面温度、例えば20℃~100℃高い温度で比較的低い圧力下(60~100kg/cm)とすることが好ましい。超音波方式によるポイント融着手段による場合は、印加する電力と線圧によって同様に調整することができる。ポイント融着手段112の表面温度は、第2の噛合いロール110のロール表面温度に対し、10℃~70℃高いことが、風合いと不織布の強度を両立する点で好ましい。
このようなポイント融着手段112によれば、第2の噛合いロール110との協働により、エンボス部以外の繊維に熱を伝えることなく、未融着ウエブWの凹部のみをピンポイントに加熱することが可能となる。これにより、エンボス部以外の繊維が熱収縮せず、凸部12の頂部12cに融着点が少ない又は存在しない、柔らかい風合いの立体賦形不織布10を作製することができる。このような観点から、ポイント融着手段112としては、凸構造を有する超音波ホーン112a又は凸型ヒートロール112cを用いることが好ましい。
以上の構成を備える製造装置100を用いて立体賦形不織布10Aを作製するためには、まず、立体賦形不織布10Aの原料となる繊維を用いた未融着ウエブWをウエブ供給部102からコンベアベルト104上に供給し、該未融着ウエブWをニップローラ106により加圧しつつ、コンベアベルト104により第1の噛合いロール108及び第2の噛合いロール110間に搬送する。ここで、ニップローラ106は、強固に繊維を融着させるものではなく、未融着ウエブWを搬送できる程度に繊維同士を圧着させるものである。この際の圧着部のほとんどは、第1の噛合いロール108及び第2の噛合いロール110の噛合い時の引張張力により剥離する傾向にある。このように、剥離により圧着部が減ることで、繊維の自由度が増し風合いに優れるため好ましい。また、仮に圧着部の一部が残るとしても、当該圧着部は融着部ではないため、特許文献3のような熱点接着部の破壊跡(融着点の剥離跡)と異なり、引っ掛かりに起因する風合いの低下を引き起こすことはほぼ無い。
未融着ウエブWが第1の噛合いロール108及び第2の噛合いロール110の噛合い部に到達した後は、第1の噛合いロール108及び第2の噛合いロール110との噛合いによって未融着ウエブWに凹凸形状が賦形される(賦形工程)。賦形された未融着ウエブWは、第2の噛合いロール110の吸引力によって該第2の噛合いロール110の周面に密着し、該第2の噛合いロール110の回転により、凹凸形状が賦形された状態が保持されたまま更に下流側へ搬送される。
第2の噛合いロール110の牽引により、未融着ウエブWが第2の噛合いロール110とポイント融着手段112との間に到達すると、ポイント融着手段112と第2の噛合いロール110の突起との挟持により、未融着ウエブWの凹部の繊維が融着される。これによって、立体賦形された状態が安定化され、立体賦形不織布10Aとなる。
以上の第1実施形態に係る製造方法によれば、図2に示すような、凸部12の内部が中空かつ裏面側に向けて解放された、単層構造の立体賦形不織布(第1実施形態に係る立体賦形不織布10A)を製造することができる。
なお、製造装置100では、一対のロール(第1の噛合いロール108及び第2の噛合いロール110)であるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、一対以上のローラを用いることが可能である。
また、第1の噛合いロール108及び第2の噛合いロール110の凹凸形状を噛合わせる方法以外の他の噛合い方法としては、例えば、以下の(1)~(3)の方法が挙げられる。
(1) 千鳥格子状に配置された複数の突起が形成された雄型に対し、MD方向に間隔をおいた歯型のギア形状を有する他の噛合い手段を噛合わせることによって、雄型に対して未融着ウエブWをCD方向に連続的に押し込む方法。このような噛合い方法は、立体賦形不織布10AにCD方向に連続した溝部が形成される点で好ましい。
(2) 千鳥格子状に配置された複数の突起が形成された雄型に対し、軸方向(CD)に間隔をおいて配された複数の円盤状の他の噛合い手段を噛合わせることにより、雄型に対して未融着ウエブWをMD方向に連続的に押し込む方法。このような噛合い方法は、立体賦形不織布10AにMD方向に連続した溝部が形成される点で好ましい。
(3) 周面に複数の穴を有するロールに対し、該穴に一致するように複数の突起が配置されたロール(雄型)を噛合わせる方法。このような噛合い方法において、複数の穴を有するロールと前記ポイント融着手段112とにより未融着ウエブWの凹部を融着させた場合は、上述した連続的なパターンの凹部14を有する立体賦形不織布10A(凸部12の周りの凹部14が連続した平坦部を形成する立体賦形不織布10A)とすることができるため好ましい。また、これとは逆に、複数の突起を有するロールと前記ポイント融着手段112とにより未融着ウエブWの凹部を融着させた場合は、上述した離散的なパターンの凹部14を有する立体賦形不織布10A(凹部14の周りの凸部12が連続した平坦部を形成する立体賦形不織布10A)とすることができる点で好ましい。
[第2実施形態に係る製造方法]
次に、第2実施形態に係る製造方法について、図3を用いて説明する。第2実施形態に係る製造方法に用いられる製造装置は、第1実施形態に係る製造方法に用いられる製造装置100に対し、図3において破線で示されている構成を付加したものである。
具体的には、第2実施形態に係る製造方法に用いられる製造装置は、上述した製造装置100に加え、クーリングロール114よりも下流側に配された第2コンベアベルト117と、賦形かつ凹部が融着された立体賦形不織布10Aの裏面側(非凸面側)に対し、ホットメルトを塗布するホットメルト塗布部116と、該立体賦形不織布10Aの裏面側に裏面繊維層30Bを構成する繊維を供給する第2ウエブ供給部118とを備えている。
第2実施形態に係る製造方法は、第1実施形態に係る製造方法に加え、ホットメルト塗布部116により、立体賦形不織布10Aの裏面側(非凸面側)に対してホットメルトを塗布する工程と、第2ウエブ供給部118により、該立体賦形不織布10Aの裏面側に裏面繊維層30Bを構成する繊維を供給する工程を実行する。
このような第2実施形態に係る製造方法によれば、図5に示すような、表面繊維層20Bの凸部12の内部に裏面繊維層30Bが入り込んだ、二層構造かつ中実構造の立体賦形不織布(第2実施形態に係る立体賦形不織布10B)を製造することができる。このような第2実施形態に係る立体賦形不織布10Bは、中実構造であるため潰れにくいという利点を有する。なお、図5に示す白矢印は、ウエブ供給部102からコンベアベルト104に対する未融着ウエブWの吹付方向を示している。
[第3実施形態に係る製造方法]
次に、第3実施形態に係る製造方法について、図6を用いて説明する。第3実施形態に係る製造方法に用いられる製造装置200は、第1実施形態に係る製造方法に用いられる製造装置100と同様に、ウエブ供給部202と、コンベアベルト204と、ニップローラ206と、第1の噛合いロール208及び第2の噛合いロール210と、ポイント融着手段212と、クーリングロール214とを備えている。
一方、第3実施形態に係る製造方法に用いられる製造装置200は、第1実施形態に係る製造方法に用いられる製造装置100と異なり、第2の噛合いロール210とポイント融着手段212との間に、裏面繊維層30Cを構成する不織布を供給する裏面繊維層供給部(図示せず)を備えている。このような不織布としては、例えば、強度層としてのスパンボンド不織布や嵩高性を増すためのエアスルー不織布を採用することが可能である。
第3実施形態に係る製造方法は、第1実施形態に係る製造方法と同様の方法により賦形された未融着ウエブW(表面繊維層20C)の裏面側に、裏面繊維層供給部により不織布(裏面繊維層30C)を供給し、これら未融着ウエブW(表面繊維層20C)及び不織布(裏面繊維層30C)をポイント融着手段212により融着させる。
このような第3実施形態に係る製造方法によれば、図7(a)に示すような、表面繊維層20Cの凸部12の内部が中空で、かつ、表面繊維層20Cの裏面側に裏面繊維層30Cが積層された、二層構造かつ閉鎖中空構造の立体賦形不織布(第3実施形態に係る立体賦形不織布10C)を製造することができる。ここで、「閉鎖」とは、凸部12の周辺の底辺が表面繊維層20Cと裏面繊維層30Cとによって完全に密閉されている場合と、若干の隙間を有する場合がある。
特に、第3実施形態に係る立体賦形不織布10Cは、下層の不織布(裏面繊維層30C)を製造する際の融着点形成に伴い、下層の繊維間距離が上層の表面繊維層20Cに比べ短くなるため、吸収性物品の表面材に用いた際は体液の引き込み性が高く、上層に体液が残りにくい利点がある。また、表面繊維層20Cの繊維が熱伸長繊維を含む場合には、伸長により凹凸厚みが増し、風合い及び液戻り性に優れるという利点がある。なお、図7(a)に示す白矢印は、ウエブ供給部202からコンベアベルト204に対する未融着ウエブWの吹付方向を示している。
[第4実施形態に係る製造方法]
次に、第4実施形態に係る製造方法について、図6を用いて説明する。第4実施形態に係る製造方法に用いられる製造装置200は、第3実施形態に係る製造方法に用いられる製造装置200と同様の構成からなるが、裏面繊維層供給部が不織布ではなく未融着ウエブを供給するものである点において相違している。すなわち、第4実施形態に係る製造方法において、裏面繊維層30Dは、未融着ウエブを中間原料とする。
このような第4実施形態に係る製造方法によれば、図7(b)に示すような、表面繊維層20Cの凸部12の内部に裏面繊維層30Dが入り込んだ、二層構造かつ中実構造の立体賦形不織布(第4実施形態に係る立体賦形不織布10D)を製造することができる。このような第4実施形態に係る立体賦形不織布10Dは、中実構造であるため潰れにくいという利点を有する。また、第4実施形態に係る立体賦形不織布10Dは、表面繊維層20Cと裏面繊維層30Dの融着点(エンボス部15)が一致し、その他の箇所には融着点がないため、液残りに優れるという利点がある。また、表面繊維層20Cの繊維が熱伸長繊維を含む場合には、伸長により凹凸厚みが増し、風合い及び液戻り性に優れるという利点がある。なお、図7(b)に示す白矢印は、ウエブ供給部202からコンベアベルト204に対する未融着ウエブWの吹付方向を示している。
[第5実施形態に係る製造方法]
次に、第5実施形態に係る製造方法について、図8を用いて説明する。第5実施形態に係る製造方法は、後述する雄型ロール304の突起面積が小さい場合に好適に採用可能な方法である。なお、図8において破線で示されている構成は、第5実施形態に係る製造方法では用いない構成である。
第5実施形態に係る製造方法に用いられる製造装置300は、図8に示すように、立体賦形不織布10Eの原料となる繊維を用いた未融着ウエブWを供給するウエブ供給部302と、周面に凹凸形状を有する雄型ロール304と、雄型ロール304の凹凸形状に沿って未融着ウエブWが密着するよう、該雄型ロール304に対して未融着ウエブWを押し付ける、噛合い可能な歯形ロール306と、雄型ロール304により牽引される未融着ウエブWの凹部の繊維の一部又は全てを融着させるポイント融着手段308とを備えている。なお、歯形ロール306を用いないこともできるが、歯形ロール306を用いることで賦形性が安定し、平均高さの差hのばらつきが小さくなる点で好ましい。
雄型ロール304は、未融着ウエブWを賦形することが可能な凹凸形状を周面に有しており、図3中の反時計回りに回転するよう構成されている。雄型ロール304は、未融着ウエブWを吸引させるための吸引部を有しており、該吸引部の吸引力により未融着ウエブWを周面の凹凸形状に引き付けることで、未融着ウエブWに賦形加工を施すよう構成されている。吸引部は、雄型ロール304の窪みに設けられた貫通孔によってロール内を負圧とする構成を採用することができる。貫通孔は、雄型ロール304上に未融着ウエブWが保持されやすい点で、全ての窪みにあることが好ましい。本実施形態においては、雄型ロール304の周面に設けられた突起(凸部)によって、立体賦形不織布10Eとなった際の凹部14が形成される。このため、雄型ロール304の周面に設けられた突起は、上述した立体賦形不織布10の凹部14の配置と対応した位置に複数配置されている。
以上の構成を備える製造装置300を用いて立体賦形不織布10Eを作製するためには、まず、立体賦形不織布10Eの原料となる繊維を用いた未融着ウエブWをウエブ供給部302から雄型ロール304の周面上に吹き付ける。次に、歯形ロール306により未融着ウエブWを雄型ロール304の凹凸形状に沿って押し付けつつ、雄型ロール304の吸引部により該未融着ウエブWを雄型ロール304の周面に引き付ける。これにより、雄型ロール304の凹凸形状によって未融着ウエブWに凹凸形状が賦形される(賦形工程)。
賦形された未融着ウエブWは、雄型ロール304の回転により、凹凸形状が賦形された状態が保持されたまま更に下流側へ搬送され、該未融着ウエブWが雄型ロール304とポイント融着手段308との間に到達すると、ポイント融着手段308と雄型ロール304の突起との挟持により、未融着ウエブWの凹部の繊維が融着される。雄型ロール304の突起に一致して、複数ある前記突起のうち、一部又は全てにおいて融着点が形成される。これによって、立体賦形された状態が安定化され、立体賦形不織布10Eとなる。
このような第5実施形態に係る製造方法によれば、図9(a)に示すような、凸部12の内部が中空かつ裏面側に向けて解放された、単層構造の立体賦形不織布(第5実施形態に係る立体賦形不織布10E)を製造することができる。特に、第5実施形態に係る立体賦形不織布10Eは、第1~第4実施形態に係る製造方法のような一対の噛合いロールによる噛合い賦形ではなく、雄型ロール304上においてダイレクトに賦形されるため、繊維が延伸されておらず分子配向が低い。例えば、繊維の分子配向度においては、完全配向を1として複屈折より配向度を求めると、ポリプロピレンからなるスパンボンド不織布においては、噛合い賦形をした場合、延伸によって分子配向度は0.4~0.5程度となり、第5実施形態において噛み合い賦形をしない場合は0.3~0.45程度となる。このため、できたものの繊維径を同じものにした場合、噛み合い賦形をしない場合の方が剛性を抑えた賦形構造となり、柔らかいという利点を有する。なお、図9(a)に示す白矢印は、ウエブ供給部302から雄型ロール304に対する未融着ウエブWの吹付方向を示している。
[第6実施形態に係る製造方法]
次に、第6実施形態に係る製造方法について、図8を用いて説明する。第6実施形態に係る製造方法に用いられる製造装置は、第5実施形態に係る製造方法に用いられる製造装置300に対し、図8において破線で示されている構成を付加したものである。
具体的には、第6実施形態に係る製造方法に用いられる製造装置は、上述した製造装置300に加え、ポイント融着手段308よりも下流側に配されたガイドロール310及び第2コンベアベルト316と、賦形かつ凹部が融着された立体賦形不織布10Eの凸面側に対し、ホットメルトを塗布するホットメルト塗布部312と、該立体賦形不織布10Eの凸面側に表面繊維層20Fを構成する繊維を供給する第2ウエブ供給部314とを備えている。
第6実施形態に係る製造方法は、第5実施形態に係る製造方法に加え、ホットメルト塗布部312により、立体賦形不織布10Eの凸面側に対してホットメルトを塗布する工程と、第2ウエブ供給部314により、該立体賦形不織布10Eの凸面側に表面繊維層20Fを構成する繊維を供給する工程を実行する。
このような第6実施形態に係る製造方法によれば、図9(b)に示すような、凹凸構造(凸部12及び凹部14)を有する裏面繊維層30Fと、該裏面繊維層30Fの凹部14内に入り込んだ表面繊維層20Fとからなる、二層構造の立体賦形不織布(第6実施形態に係る立体賦形不織布10F)を製造することができる。第6実施形態に係る立体賦形不織布10Fは、表面側(非凸面側)に中実構造を有し、かつ、裏面側(凸面側)に解放中空構造を有している。図9(b)のような形態の場合、各種測定は表面側を測定面とする。
第6実施形態に係る立体賦形不織布10Fにおいても、第5実施形態に係る立体賦形不織布10Eと同様に、繊維が延伸されておらず分子配向が低いため、剛性を抑えた賦形構造となり、柔らかいという利点を有する。特に、第6実施形態に係る立体賦形不織布10Fでは、表面側に中実構造を有しているため、より一層潰れにくいという利点を有する。なお、図9(b)に示す白矢印は、ウエブ供給部302から雄型ロール304に対する未融着ウエブWの吹付方向を示している。
[第7実施形態に係る製造方法]
次に、第7実施形態に係る製造方法について、図10を用いて説明する。第7実施形態に係る製造方法に用いられる製造装置400は、第5実施形態に係る製造方法に用いられる製造装置300と同様に、ウエブ供給部402と、雄型ロール404と、歯形ロール406と、ポイント融着手段408とを備えている。なお、歯形ロール406を用いないこともできるが、歯形ロール406を用いることで賦形性が安定し、平均高さの差hのばらつきが小さくなる点で好ましい。
一方、第7実施形態に係る製造方法に用いられる製造装置400は、第5実施形態に係る製造方法に用いられる製造装置300に加え、裏面繊維層30Gを構成する未融着ウエブを供給する第2ウエブ供給部410と、第2ウエブ供給部410から供給された未融着ウエブを搬送するコンベアベルト412と、コンベアベルト412により搬送される未融着ウエブを加圧するニップローラ414とを更に備えている。
そして、製造装置400は、これら第2ウエブ供給部410により供給された未融着ウエブをコンベアベルト412によって雄型ロール404とポイント融着手段408との間に搬送するよう構成されている。なお、未融着ウエブに代えて、不織布を供給・搬送する構成としても良い。
第7実施形態に係る製造方法は、第5実施形態に係る製造方法と同様の方法により賦形された未融着ウエブW(表面繊維層20G)の裏面側(非凸面側)に、第2ウエブ供給部410等により未融着ウエブ又は不織布(裏面繊維層30G)を供給し、これら未融着ウエブW(表面繊維層20G)及び未融着ウエブ又は不織布(裏面繊維層30G)をポイント融着手段408により融着させる。
このような第7実施形態に係る製造方法によれば、裏面繊維層30Gに不織布を用いた場合には、図11に示すような、表面繊維層20Gの凸部12の内部が中空で、かつ、表面繊維層20Gの裏面側に裏面繊維層30Gが積層された、二層構造かつ閉鎖中空構造の立体賦形不織布(第7実施形態に係る立体賦形不織布10G)を製造することができる。また、裏面繊維層30Gに未融着ウエブを用いた場合には、二層構造かつ中実構造の立体賦形不織布が得られる。
第7実施形態に係る立体賦形不織布10Gにおいても、第5実施形態に係る立体賦形不織布10Eと同様に、繊維が延伸されておらず分子配向が低いため、剛性を抑えた賦形構造となり、柔らかいという利点を有する。特に、融着点(エンボス部15)が比較的大きくかつ平坦面に形成されるため、伸びにくく、加工時のテンションが加わっても凸部12の高さの低下が抑えられるという利点がある。なお、図11に示す白矢印は、ウエブ供給部402から雄型ロール404に対する未融着ウエブWの吹付方向を示している。
[第8実施形態に係る製造方法]
次に、第8実施形態に係る製造方法について、図12を用いて説明する。なお、図12において破線で示されている構成及び一点鎖線で示されている構成は、第8実施形態に係る製造方法では用いない構成である。
第8実施形態に係る製造方法に用いられる製造装置500は、図12に示すように、表面繊維層20Hを構成する未融着ウエブWを供給する第1ウエブ供給部502と、周面に凹凸形状を有し、窪みに吸引用の貫通孔を有する雄型ロール504と、雄型ロール504の凹凸形状に沿って未融着ウエブWが密着するよう、該雄型ロール504に対して未融着ウエブWを押し付ける歯形ロール506とを備えている。なお、これら第1ウエブ供給部502、雄型ロール504及び歯形ロール506は、第5実施形態に係る製造方法に用いられる製造装置300におけるウエブ供給部302、雄型ロール304及び歯形ロール306と同様であるため、その説明を省略する。
また、製造装置500は、裏面繊維層30Hを構成する未融着ウエブを供給する第2ウエブ供給部514と、第2ウエブ供給部514から供給された未融着ウエブを搬送するコンベアベルト516と、コンベアベルト516により搬送される未融着ウエブを加圧するニップローラ518とを更に備えている。なお、これら第2ウエブ供給部514、コンベアベルト516及びニップローラ518は、第7実施形態に係る製造方法に用いられる製造装置400における第2ウエブ供給部410、コンベアベルト412及びニップローラ414と同様であるため、その説明を省略する。また、未融着ウエブに代えて、不織布を供給・搬送する構成としても良い。
さらに、製造装置500は、歯形ロール506よりも下流側に設けられ、雄型ロール504の凹凸形状と噛合う凹凸形状を周面に有する噛合いロール508と、噛合いロール508により牽引される未融着ウエブの積層体(表面繊維層20H及び裏面繊維層30H)の凹部の繊維の一部又は全てを融着させるポイント融着手段510と、ポイント融着手段510により融着された融着部(エンボス部)を冷却させるクーリングロール512とを備えている。なお、これら噛合いロール508、ポイント融着手段510及びクーリングロール512は、第1実施形態に係る製造方法に用いられる製造装置100における第2の噛合いロール110、ポイント融着手段112及びクーリングロール114と同様であるため、その説明を省略する。
以上の構成を備える製造装置500を用いて立体賦形不織布10Hを作製するためには、まず、表面繊維層20Hの原料となる繊維を用いた未融着ウエブWを第1ウエブ供給部502から雄型ロール504の周面上に吹き付ける。次に、歯形ロール506により未融着ウエブWを雄型ロール504の凹凸形状に沿って押し付けつつ、雄型ロール504の吸引部により該未融着ウエブWを雄型ロール504の周面に引き付ける。この状態において、噛合いロール508に向けて未融着ウエブWを搬送する。なお、歯形ロール506を用いないこともできるが、歯形ロール506を用いることで賦形性が安定し、平均高さの差hのばらつきが小さくなる点で好ましい。
また、これと並行して、裏面繊維層30Hの原料となる繊維を用いた未融着ウエブを第2ウエブ供給部514からコンベアベルト516上に供給し、該未融着ウエブをニップローラ518により加圧しつつ、コンベアベルト516により雄型ロール304と噛合いロール508の間に搬送する。なお、未融着ウエブに代えて、不織布を供給・搬送しても良い。
雄型ロール504により搬送された未融着ウエブW(表面繊維層20H)と、コンベアベルト516により搬送された未融着ウエブ又は不織布(裏面繊維層30H)とが雄型ロール504及び噛合いロール508の噛合い部に到達した後は、雄型ロール504及び噛合いロール508の噛合いによってこれら表面繊維層20H及び裏面繊維層30Hに凹凸形状が賦形される(賦形工程)。賦形された表面繊維層20H及び裏面繊維層30Hは、噛合いロール508の吸引力によって該噛合いロール508の周面に密着し、該噛合いロール508の回転により、凹凸形状が賦形された状態が保持されたまま更に下流側へ搬送される。
噛合いロール508の牽引により、表面繊維層20H及び裏面繊維層30Hが噛合いロール508とポイント融着手段510との間に到達すると、ポイント融着手段510と噛合いロール508の突起との挟持により、表面繊維層20H及び裏面繊維層30Hの凹部の繊維が融着される。これによって、立体賦形された状態が安定化され、立体賦形不織布10Hとなる。
このような第8実施形態に係る製造方法によれば、裏面繊維層30Hが不織布である場合、図13(a)に示すような、表面繊維層20Hの凸部12の内部が中空で、かつ、表面繊維層20Hの裏面側に裏面繊維層30Hが積層された、二層構造かつ閉鎖中空構造の立体賦形不織布(第8実施形態に係る立体賦形不織布10H)を製造することができる。また、裏面繊維層30Hが未融着ウエブであるである場合、二層構造かつ中実構造のものを得ることができる。
第8実施形態に係る立体賦形不織布10Hは、噛合いロール508を用いることにより、第5実施形態に係る立体賦形不織布10Eよりも凸部12の高さが高いものとなり、肌触りにおいて変形量が増し、風合いが良くなるという利点を有する。なお、図13(a)に示す白矢印は、第1ウエブ供給部502から雄型ロール504に対する未融着ウエブWの吹付方向を示している。
[第9実施形態に係る製造方法]
次に、第9実施形態に係る製造方法について、図12を用いて説明する。第9実施形態に係る製造方法に用いられる製造装置は、第8実施形態に係る製造方法に用いられる製造装置500から第2ウエブ供給部514、コンベアベルト516、ニップローラ518及びクーリングロール512の各構成を排し、かつ、該製造装置500に対し、図12において破線で示されている構成を付加したものである。
具体的には、第9実施形態に係る製造方法に用いられる製造装置は、上述した製造装置500の第1ウエブ供給部502、雄型ロール504、歯形ロール506、噛合いロール508及びポイント融着手段510に加え、ポイント融着手段510よりも下流側に配されたコンベアベルト522と、賦形かつ凹部が融着された表面繊維層20Hの裏面側(非凸面側)に対し、ホットメルトを塗布するホットメルト塗布部520と、該表面繊維層20Hの裏面側(非凸面側)に裏面繊維層30Iを構成する繊維を供給する第2ウエブ供給部524とを備えている。
第9実施形態に係る製造方法は、第8実施形態に係る製造方法と同様の方法により未融着ウエブW(表面繊維層20H)を雄型ロール504及び噛合いロール508の噛合い部により賦形し、その後、ポイント融着手段510と噛合いロール508の突起との挟持により、表面繊維層20Hの凹部の繊維を融着させる。その後、ホットメルト塗布部520により、表面繊維層20Hの裏面側(非凸面側)に対してホットメルトを塗布する工程と、第2ウエブ供給部524により、該表面繊維層20Hの裏面側(非凸面側)に裏面繊維層30Iを構成する繊維を供給する工程を実行する。
このような第9実施形態に係る製造方法によれば、図13(b)に示すような、表面繊維層20Hの凸部12の内部に裏面繊維層30Iが入り込んだ、二層構造かつ中実構造の立体賦形不織布(第9実施形態に係る立体賦形不織布10I)を製造することができる。
第9実施形態に係る立体賦形不織布10Iは、第8実施形態に係る立体賦形不織布10Hと同様に、第5実施形態に係る立体賦形不織布10Eよりも凸部12の高さが高いものとなり、肌触りにおいて変形量が増し、風合いが良くなるという利点を有する。さらに、第9実施形態に係る立体賦形不織布10Iは、表面繊維層20Hのエンボス部15の裏面側に裏面繊維層30Iが積層されており、立体賦形不織布10Iの裏面側に融着点がないため、肌触りが良いという利点を有する。なお、図13(b)に示す白矢印は、ウエブ供給部502から雄型ロール504に対する未融着ウエブWの吹付方向を示している。
[第10実施形態に係る製造方法]
次に、第10実施形態に係る製造方法について、図12を用いて説明する。第10実施形態に係る製造方法に用いられる製造装置は、第8実施形態に係る製造方法に用いられる製造装置500から第2ウエブ供給部514、コンベアベルト516及びニップローラ518の各構成を排し、かつ、該製造装置500に対し、裏面繊維層供給部(図示せず)を付加したものである。
具体的には、第10実施形態に係る製造方法に用いられる製造装置は、上述した製造装置500の第1ウエブ供給部502、雄型ロール504、歯形ロール506、噛合いロール508、ポイント融着手段510及びクーリングロール512に加え、噛合いロール508とポイント融着手段510との間に、裏面繊維層30Jを構成する未融着ウエブ又は不織布(図12中、一点鎖線にて図示)を供給する裏面繊維層供給部(図示せず)を備えている。
第10実施形態に係る製造方法は、第8実施形態に係る製造方法と同様の方法により未融着ウエブW(表面繊維層20H)を雄型ロール504及び噛合いロール508の噛合い部により賦形する。その後、噛合いロール508により牽引されている表面繊維層20Hの裏面側に裏面繊維層供給部から供給された裏面繊維層30Jを積層させ、該積層体をポイント融着手段510と噛合いロール508との間に導入する。これにより、ポイント融着手段510と噛合いロール508の突起との挟持によって、表面繊維層20Hの凹部の繊維が裏面繊維層30Jの繊維と共に融着される。これによって、立体賦形された状態が安定化され、立体賦形不織布10Jとなる。
このような第10実施形態に係る製造方法によれば、裏面繊維層30Jが不織布である場合、図13(c)に示すような、表面繊維層20Hの凸部12の内部が中空で、かつ、表面繊維層20Hの裏面側に裏面繊維層30Jが積層された、二層構造かつ閉鎖中空構造の立体賦形不織布(第10実施形態に係る立体賦形不織布10J)を製造することができる。また、裏面繊維層30Jが未融着ウエブである場合、二層構造かつ中実構造の立体賦形不織布とすることができる。
第10実施形態に係る立体賦形不織布10Jにおいても、第8実施形態に係る立体賦形不織布10Hと同様に、第5実施形態に係る立体賦形不織布10Eよりも凸部12の高さが高いものとなり、肌触りにおいて変形量が増し、風合いが良くなるという利点を有する。また、第10実施形態に係る製造方法によれば、接着剤を有さないためラインが汚れにくく、安価に製造することができる。なお、図13(c)に示す白矢印は、ウエブ供給部502から雄型ロール504に対する未融着ウエブWの吹付方向を示している。
[吸収性物品の製造方法]
以上のようにして得られた凹凸構造を有する立体賦形不織布10(10A~10J)は、吸収性物品の製造ラインに導入され、公知の方法により吸収性物品が製造される。すなわち、吸収性物品は、以上の不織布製造方法(ウエブ賦形)により製造した立体賦形不織布10を他の部材に対してホットメルト接着剤等により接着することにより、製造される。
例えば、吸収性物品がおむつであり、該おむつの表面材として立体賦形不織布10が用いられる場合には、凸部12が肌当接面側に位置し、凹部14が非肌当接面側に位置するよう、立体賦形不織布10が吸収性物品に組み込まれる。また、立体賦形不織布10のMD方向が吸収性物品の長手方向と一致し、かつ、CD方向が吸収性物品の幅方向と一致するよう吸収性物品に組み込まれる。このように立体賦形不織布10を配することで、立体賦形不織布10の風合いを着用者に容易に知覚させることができる。
以上説明したとおり、本実施形態に係る吸収性物品の製造方法は、複数の凸部12及び該凸部12間に位置する凹部14を有する立体賦形不織布10を用いた吸収性物品の製造方法であり、以下の(a)及び(b)の工程を含んでいる。
(a)複数の突起及び窪みを有する雄型(上述の例では、凹凸形状を有するロール)を少なくとも用いて、繊維を用いた未融着ウエブに賦形加工を施す(賦形工程)。
(b)この賦形工程後に、複数の前記突起又は前記窪みのうち、その一部又は全ての突起若しくは窪みに一致して、局所的に繊維を融着させることが可能なポイント融着手段(上述の例では、ヒートロール又は超音波ホーン)を用いて、賦形された未融着ウエブの凹部の繊維の一部又は全てを熱融着させる(熱融着工程)。
そして、このような吸収性物品の製造方法によれば、賦形工程を行った後に、これとは別加工として、未融着ウエブの凹部の繊維のみをピンポイントで熱融着を行うため、凸部12の頂部12cにおける融着点数が少ない上述した立体賦形不織布10を作製することができる。また、併せて、融着により強度を確保すると共に、繊維の屈曲構造を形成することができる。これにより、柔らかな風合いを有する吸収性物品を作製することができる。
特に、特許文献1に記載された立体賦形不織布の製造方法のような、原反不織布に対して賦形を行う場合と異なり、未融着ウエブに賦形する場合、凸部の平均高さの差を大きくするために一対の噛合いロールの噛合い量を増やしても、繊維の自由度が高く、賦形による延伸によって繊維が切れることなく、毛羽立ちが抑えられる。
また、特許文献2に記載された立体賦形不織布の製造方法おいては、全体的に繊維融着点が存在するため、凸部における繊維の自由度が凹部よりも高い立体賦形不織布を得るという点において改善の余地があった。
さらに、特許文献3に記載された立体賦形不織布では、凸部に融着点の剥離部分が存在するため、風合いの観点において改善の余地があった。
これに対し、上述した各実施形態に係る製造方法によれば、繊維が融着していない未融着ウエブを賦形することにより、凸部12の平均高さの差hを大きくするために一対の噛合いロールの噛合い量を増しても、繊維間の摩擦よりも繊維強度の方が高いため、部分的な延伸時に切れにくく、毛羽立ちが発生しにくいという利点がある。また、賦形加工と熱融着とを別工程として行うため、雄型(例えば、凹凸形状を有する噛合いロール)に対する未融着ウエブの貼り付きを抑制することができるという利点がある。さらに、エアスルーに比べ、凸部12の繊維において熱の履歴が比較的少ないため、油剤の効果が低下しにくいという利点がある。
また、上述した各実施形態に係る製造方法によれば、繊維が部分的に延伸されていることにより、延伸部が細くなり柔らかい反面、潰れ等に対しては分子が延伸配向して折れ曲がりにくいため、潰した後、厚み方向に形状が戻りやすいという利点がある。
さらに、上述した各実施形態に係る製造方法によれば、繊維が融着していない未融着ウエブを賦形するため、厚み方向に配向する繊維が多くなり、巻潰れにくいという利点を有する。
以上のとおり、上述した各実施形態に係る製造方法により作製された立体賦形不織布10を用いた吸収性物品は、繊維の自由度を保つことで柔らかな風合いを実現しつつ、十分な強度を確保し、かつ、毛羽立ちを抑えることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
例えば、上述した各実施形態においては、一対のロールを用いて凹凸賦形を行うものとしたが、これに限定されず、一対以上のロールを用いて凹凸賦形を行っても良い。また、一対以上のロールに代えて、表面に複数の凹凸部が規則的に配置され、かつ互いに噛合い形状になっている平板状の第1の押し型(雄型)及び同じく平板状の第2の押し型を用い、それらの噛合い状態下に未融着ウエブを介在させて立体賦形させる構成としても良い。また、本願の凹凸賦形後に熱風によるエアスルー融着部を設けたり、水流交絡やニードルパンチのような機械交絡を付与したり、エンボスロールを用いてエンボス融着を追加することも可能である。
次に、本発明の吸収性物品の実施例を説明するが、これにより本発明が限定されるものではない。
[実施例1]
上述した第3実施形態に係る製造方法において説明した製造装置200を用いて、繊維ウエブから形成された表面繊維層と、同じく繊維ウエブから形成された裏面繊維層とからなる二層構造かつ閉鎖中実型の立体賦形不織布(図7(b)の立体賦形不織布10C参照)を作製した。表面繊維層を形成する繊維ウエブは、ホモポリプロピレン樹脂の連続繊維からなる未融着ウエブ(繊維径は表1参照)を用い、裏面繊維層を形成する繊維ウエブは、ホモポリプロピレン樹脂の連続繊維からなる未融着ウエブ(繊維径18μm)を用いた。また、第1の噛合いロール208のロール表面温度は、50℃であり、第2の噛合いロール210のロール表面温度は、120℃であった。第1の噛合いロール208及び第2の噛合いロール210には、それぞれ吸引部と吹出口が設けられていた。第1の噛合いロール208の突起と、該突起に対応する第2の噛合いロール210の突起との噛合い量は、3.5mmであった。ポイント融着手段212は、ヒートシールを用い、その表面温度は、150℃であった。得られた立体賦形不織布に親水油剤を塗布した。
花王株式会社製メリーズテープ型おむつMサイズ(2019年日本製造品)を用い、上記の立体賦形不織布の凸部が肌面側になるようにしてホットメルトを用いて表面材を貼り変え、これを実施例1の吸収性物品とした。
[実施例2]
上述した第1実施形態に係る製造方法において説明した製造装置100を用いて、繊維ウエブから形成された単層構造かつ解放中空型の立体賦形不織布(図2の立体賦形不織布10A参照)を作製した。繊維ウエブは、ホモポリプロピレン樹脂の連続繊維からなる未融着ウエブ(繊維径は表1参照)を用いた。また、第1の噛合いロール108の温度は、50℃であり、第2の噛合いロール110の温度は、120℃であった。第2の噛合いロール110には、吸引部が設けられていた。第1の噛合いロール108の突起と、該突起に対応する第2の噛合いロール110の突起との噛合い量は、3.0mmであった。ポイント融着手段112は、ヒートシールを用い、その表面温度は、145℃であった。得られた立体賦形不織布に親水油剤を塗布した。
上記の立体賦形不織布を用い実施例1と同様にして作製した吸収性物品を実施例2の吸収性物品とした。
[実施例3]
上述した第3実施形態に係る製造方法において説明した製造装置200を用いて、繊維ウエブから形成された表面繊維層と、スパンボンド不織布から形成された裏面繊維層とからなる二層構造かつ閉鎖中空型の立体賦形不織布(図7(a)の立体賦形不織布10C参照)を作製した。表面繊維層を形成する繊維ウエブは、ホモポリプロピレン樹脂の連続繊維からなる未融着ウエブ(繊維径は表1参照)を用い、裏面繊維層を形成するスパンボンド不織布の繊維は、ホモポリプロピレン樹脂の連続繊維からなるスパンボンド不織布(繊維径は18μm、ひし形のドットエンボスを使用)を用いた。また、第1の噛合いロール208の温度は、50℃であり、第2の噛合いロール210の温度は、120℃であった。第2の噛合いロール210には、吸引部が設けられていた。第1の噛合いロール208の突起と、該突起に対応する第2の噛合いロール210の突起との噛合い量は、3.5mmであった。ポイント融着手段212は、ヒートシールを用い、その表面温度は、150℃であった。
上記の立体賦形不織布を用い実施例1と同様にして作製した吸収性物品を実施例3の吸収性物品とした。
[実施例4]
上述した第10実施形態に係る製造方法において説明した製造装置500を用いて、繊維ウエブから形成された表面繊維層と、同じく繊維ウエブから形成された裏面繊維層とからなる二層構造かつ中実構造の立体賦形不織布(図13(b)の立体賦形不織布10I参照)を作製した。表面繊維層を形成する繊維ウエブは、ホモポリプロピレン樹脂の連続繊維からなる未融着ウエブ(繊維径は表1参照)を用い、裏面繊維層を形成する繊維ウエブは、ホモポリプロピレン樹脂の連続繊維からなる未融着ウエブ(繊維径18μm)を用いた。また、雄型ロール504のロール表面温度は、40℃であり、歯形ロール506のロール表面温度は、40℃であり、噛合いロール508のロール表面温度は、115℃であった。雄型ロール504及び噛合いロール508には、それぞれ吸引口と吹出口が設けられていた。雄型ロール504の突起と、該突起に対応する歯形ロール506の突起との噛合い量は、4mmであった。雄型ロール504の突起と、該突起に対応する噛合いロール508の突起との噛合い量は、3.5mmであった。ポイント融着手段510は、ヒートシールを用い、その表面温度は、150℃であった。得られた立体賦形不織布に親水油剤を塗布した。
上記の立体賦形不織布を用い実施例1と同様にして作製した吸収性物品を実施例4の吸収性物品とした。
[実施例5]
上述した第3実施形態に係る製造方法において説明した製造装置200を用いて、繊維ウエブから形成された表面繊維層と、同じく繊維ウエブから形成された裏面繊維層とからなる二層構造かつ閉鎖中実型の立体賦形不織布(図7(b)の立体賦形不織布10D参照)を作製した。ポイント融着手段212に離散的な突起(頂部は平坦なもの)を有するヒートシールを用い、第2の噛合いロール210の突起とヒートシールの突起が一致するようにして突起間で融着部を形成し、ポイント融着手段212の表面温度は、145℃であった。それ以外は実施例1と同様にして立体賦形不織布を得た。
上記の立体賦形不織布を用い実施例1と同様にして作製した吸収性物品を実施例5の吸収性物品とした。
実施例1~5における各立体賦形不織布について、坪量、繊維形態(繊維種別、繊維形状、平均最小曲率半径、平均繊維径及び平均最小湾曲形度)、凸部の繊維(融着点の剥離跡、最大繊維径、最小繊維径、平均繊維径及び繊維径の平均変動値)、凸部表面と凹部表面との平均高さの差h、並びに、融着状況(凸部の平均融着点数及び凹部のエンボス有無)を上述の方法により測定した。繊維形状については、平均最小曲率半径が24μm以上のものを湾曲形状とし、それ未満のものをコイル状とした。
なお、測定にあたっては、上述の方法により吸収性物品から立体賦形不織布を取り出し、この取り出した立体賦形不織布を測定対象とした。
図14は、実施例1のSEM画像であり、図14(a)は、凸部12の表面からのSEM画像であり、図14(b)は、厚さ方向の断面写真である。繊維形態の最小曲率半径は、画像中の一番小さい曲率を有する繊維について近似円を描き(図中の破線部)、その半径から求めた。その繊維の繊維径を測定し、異なる5か所のSEM画像から求めた値をそれぞれ平均した。凸部の繊維おいて、融着点の剥離跡の有無は、SEM画像から繊維の太さや繊維の形状から判断した。凸部の繊維の最大繊維径、最小繊維径は、画像中でフォーカスがあっているものの中で最も太い繊維と細い繊維を選んでその幅から測定した。
実施例1~5における各立体賦形不織布の測定結果は、それぞれ下記表1のとおりであった。
[比較例1]
スパンボンド不織布から形成された表面繊維層と、同じくスパンボンド不織布から形成された裏面繊維層とからなる二層構造かつ閉鎖中空型の立体賦形不織布を作製した。表面繊維層を形成する繊維ウエブは、ホモポリプロピレン樹脂の連続繊維からなるスパンボンド不織布(繊維径は表2参照、ひし形のドットエンボスを使用)を用い、裏面繊維層には、ホモポリプロピレン樹脂の連続繊維からなるスパンボンド不織布(繊維径18μm、ひし形のドットエンボスを使用)を用いた。第1の噛合いロール108の突起と、該突起に対応する第2の噛合いロール110の突起との噛合い量は、2.5mmであった。その他は実施例1と同様にして立体賦形不織布を得た。
上記の立体賦形不織布を用い実施例1と同様にして作製した吸収性物品を比較例1の吸収性物品とした。
[比較例2]
スパンボンド不織布から形成された単層構造かつ解放中空型の立体賦形不織布を作製した。表面繊維層を形成する繊維ウエブは、ホモポリプロピレン樹脂の連続繊維からなるスパンボンド不織布(繊維径は表2参照、ひし形のドットエンボスを使用)を用い、第1の噛合いロール108の突起と、該突起に対応する第2の噛合いロール110の突起との噛合い量は、2.5mmであった。その他は実施例2と同様にして立体賦形不織布を得た。
上記の立体賦形不織布を用い実施例1と同様にして作製した吸収性物品を比較例2の吸収性物品とした。
[比較例3]
スパンボンド装置を用い、特に噛合い賦形は行わずに、未融着繊維ウエブから形成された表面繊維層と、同じく繊維ウエブから形成された裏面繊維層とをポイント接合し、二層構造かつ閉鎖中実型の立体賦形不織布を作製した。表面繊維層を形成する繊維ウエブは、ホモポリプロピレン樹脂の連続繊維からなる未融着ウエブ(繊維径は表2参照)を用い、裏面繊維層を形成する繊維ウエブは、ホモポリプロピレン樹脂の連続繊維からなる未融着ウエブ(繊維径18μm)を用いた。接合パターンは実施例1と同様とした。噛合い賦形を行っていないため、平均高さの差hの値が小さいものとなった。
上記の立体賦形不織布を用い実施例1と同様にして作製した吸収性物品を比較例3の吸収性物品とした。
[比較例4]
エアスルー法による不織布から形成された表面繊維層と、潜在捲縮性繊維を用いた熱収縮ウエブから形成された裏面繊維層とからなる二層構造かつ閉鎖中実型の立体賦形不織布を作製した。表面繊維層を形成するエアスルー不織布の繊維は、芯にポリエチレンテレフタレート、鞘にポリエチレンを用いた芯鞘複合型短繊維を用い、裏面繊維層を形成する熱収縮ウエブの繊維は、ポリエチレンとポリプロピレンからなる潜在捲縮性のサイドバイサイド複合型短繊維を用いた。両層をポイント接合後、熱収縮させ立体賦形不織布を得た。
上記の立体賦形不織布を用い実施例1と同様にして作製した吸収性物品を比較例4の吸収性物品とした。
[比較例5]
スパンボンド不織布から形成された単層構造かつ解放中空型の立体賦形不織布を作製した。表面繊維層を形成する繊維ウエブは、ホモポリプロピレン樹脂の連続繊維からなる比較例2と同じスパンボンド不織布(繊維径は表2参照)を用いた。また、第1の噛合いロール108の温度は、50℃であり、第2の噛合いロール110の温度は、130℃であった。第2の噛合いロール110には、吸引部が設けられていた。第1の噛合いロール108の突起と、該突起に対応する第2の噛合いロール110の突起との噛合い量は、1.5mmであった。その他は実施例2と同様にして立体賦形不織布を得た。立体賦形不織布には凸部に繊維の融着点の剥離跡が見られた。
上記の立体賦形不織布を用い実施例1と同様にして作製した吸収性物品を比較例5の吸収性物品とした。
表2に示される凸部の平均融着点数は、融着点の剥離(ちぎれ)により、一つの融着点が2つ以上に分かれたため、比較例2に比べ増加した。
比較例1~5における各立体賦形不織布の坪量、繊維形態(繊維種別、繊維形状、平均最小曲率半径、平均繊維径及び平均最小湾曲形度)、凸部の繊維(融着点の剥離跡、最大繊維径、最小繊維径、平均繊維径及び繊維径の平均変動値)、凸部表面と凹部表面との平均高さの差h、並びに、融着状況(凸部の平均融着点数及び凹部のエンボス有無)は、それぞれ下記表2のとおりであった。
なお、これらの各物性は、吸収性物品から上述の方法により立体賦形不織布を取り出し、この取り出した立体賦形不織布について上述の方法により測定した。
図15は、比較例1のSEM画像であり、図15(a)は、凸部を表面から観察したものであり、図15(b)は、不織布厚み方向における断面写真である。融着点の箇所を〇で示した。融着点は、ひし形をしておりこれを一つと数えた。平均融着点数は、マイクロスコープにより表面から観察して測定した。
また、図16は、比較例4のSEM画像である。図16(a)は、凸部を表面から観察したものであり、図16(b)は、裏面から観察したものであり、図16(c)は、不織布厚み方向における断面写真である。融着点として認識できる箇所を〇で示した。平均曲率半径(図中、破線部)は、凸面側、裏面側それぞれについて測定した。裏面側は、平均曲率半径が20μmとなっており、コイル形状になっていた。
[評価]
実施例1~5及び比較例1~5で得られた各立体賦形不織布について、摩擦特性(平均摩擦係数(MIU)及び摩擦係数μの平均偏差(MMD))、粗さ特性(表面粗さの平均偏差(SMD))、並びに、圧縮特性(圧縮特性の線形性(LC)、圧縮エネルギー(WC)、回復エネルギー(WC’)、圧縮のレジリエンス(RC)、圧力0.5gf/cm2における厚み(TO)、50gf/cm2時の厚み(TM)、変形量(TO-TM))を上述の方法により測定した。
また、実施例1~5及び比較例1~5で得られた各立体賦形不織布について、クッション性、手で押したときの変形量及び滑らかさ等の複合的な要因による官能評価により、比較例2で用いた本願の加工前の汎用スパンボンド不織布を1点、花王株式会社製メリーズテープ型おむつMサイズ(2019年日本製造品)から表面材を剥離した立体賦形不織布を3点とし、点数が高いものほど風合いが良いとして5段階で評価した。評価は男性3名、女性3名の研究員により、ブラインド式で行った。得られた値は平均値の小数点以下を四捨五入した値とした。なお、クッション性は、主に圧縮のレジリエンス(RC)が関係し、圧縮のレジリエンス(RC)が大きいほど、圧縮と回復の弾性応力においてヒステリシスが小さく、クッション性が良いと感じる傾向にある。また、手で押したときの変形量は、その値が大きいほど、柔らかいと感じる傾向にある。さらに、滑らかさは、主に表面摩擦係数の平均偏差値(MMD)が関係し、表面摩擦係数の平均偏差値(MMD)の値が小さいほど、表面に凹凸があっても引っ掛かり等がなく、摩擦係数の変動が小さく滑らかと感じる傾向にある。
実施例1~5の各立体賦形不織布について得られた結果は、以下の表3のとおりである。
また、比較例1~5の各立体賦形不織布について得られた結果は、以下の表4のとおりである。
表3及び表4に示す結果から明らかなように、実施例1~5で得られた立体賦形不織布は、比較例1~5で得られた立体賦形不織布に比べ、風合いが優れていることがわかる。