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JP7466889B2 - 複合シート - Google Patents
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JP7466889B2 - 複合シート - Google Patents

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Description

本発明は、複合シートに関する。
建築物に使用される膜材として、例えば、ガラス繊維からなるシート状織物の両面上にフッ素樹脂が積層された膜材が知られている。ガラス繊維織物は、密に織り込まれたガラス繊維からなるため、比較的優れた引裂強さを有している。しかしながら、織物の織組織は、基本的に経糸及び緯糸の二軸方向の繊維からなるため、織物を含む膜材の引裂強さには改善の余地がある。
一方で、こうした膜材を屋根材とした膜構造物には、建築物内部の熱環境及び明るさを考慮して、適度な透光率が要求されることがある。ガラス繊維織物は、織物の開口率が小さいため、高い透光率を達成するのは困難である。例えば、ガラス繊維織物を含む膜材の可視光透過率は10%~20%程度であり、要求される透光率を達成することができない場合がある。
特許第6096141号公報 特開平10-018146号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされ、適度な可視光透過率及び高い強度を有する複合シートを提供することを目的とする。
本発明の一側面によると、複合シートが提供される。複合シートは、多軸組布の芯材と、前記芯材の両面上に形成され、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体を含むフッ素樹脂含有層とを備える。複合シートの厚み方向について、波長360nm~740nmにおける可視光透過率は30%~70%の範囲内にある。複合シートの面内方向に対する引裂強さは350N~450Nの範囲内にある。芯材は、繊維及び接着剤を含む。繊維は、ガラス繊維、炭素繊維及びアラミド繊維からなる群より選択される少なくとも1種である。接着剤は、アクリル酸エステルの重合体、酢酸ビニルの重合体、及び、アクリル酸エステル及び酢酸ビニルの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種である。芯材の開口率は、50%~65%の範囲内にある。
本発明によると、高い可視光透過率及び優れた引裂強さを有する複合シートを提供することができる。
実施形態に係る複合シートの一例を概略的に示す断面図。 実施形態に係る三軸組布の一例を概略的に示す平面図。 実施形態に係る四軸組布の一例を概略的に示す平面図。 実施例及び比較例に係る複合シートの可視光透過率測定の結果を示すグラフ。 実施例及び比較例に係る複合シートの応力ひずみ曲線を示すグラフ。 実施例及び比較例に係る複合シートの引裂強さ試験の結果を示すグラフ。
以下、実施の形態について適宜図面を参照して説明する。なお、実施の形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施の形態の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術とを参酌して、適宜設計変更することができる。
膜材に高い透光率が要求される場合、フッ素樹脂のみからなるフィルムを膜材として利用することがある。樹脂の種類にもよるが、芯材を含まないフィルムは、芯材を含むフィルムと比較して高い透光率を示すためである。しかしながら、芯材を含まないフッ素樹脂フィルムは強度が低いため、一例によれば、一定の荷重を掛けるといわゆるクリープ現象が生じる。クリープ現象とは、荷重を掛けている間、フィルムが伸び続ける現象である。膜構造物を建築する際、膜構造物の強度を維持するために、クリープ現象が生じるほどの荷重を掛けることはできない。厳密に言えば、膜材の引張降伏点未満の荷重で施工する必要がある。引張降伏点未満の荷重で施工するためには、例えば、展張の基礎となる鉄骨又は木材の梁間距離(スパン)を短くする必要があり、膜構造物を建築するための費用が高くなるという問題がある。
実施形態に係る複合シートは、フッ素樹脂含有層のみならず、多軸組布の芯材を備えている。多軸組布とは、三軸又はそれ以上の方向に糸を配列させてなる組布である。各軸方向には、複数の糸群が、面内方向に沿って所定の間隔を開けて配列されている。多軸組布として、具体的には、例えば、三軸組布及び四軸組布が知られている。
三軸組布及び四軸組布の詳細は後述するが、三軸組布は、面内方向に沿って配列した経糸群と、経糸群と交わるように、経糸群上に配列した第1斜交糸群と、経糸群及び第1斜交糸群と交わるように、経糸群上、又は、第1斜交糸群上に配列した第2斜交糸群とを備えている。つまり、三軸組布は、互いに異なる3方向にそれぞれ配列した経糸群、第1斜交糸群及び第2斜交糸群とを含んでいる。これら糸群は、それぞれが密に配列しているわけではなく、所定の間隔を開けて配列している。即ち、三軸組布などの多軸組布は、各糸群が交差することにより形成される複数の開口部を有している。芯材の面内方向と垂直な方向に沿って可視光が入射した場合、可視光は、主にこの開口部を通過する。
複合シートが備えるフッ素樹脂含有層は、エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマ(ETFE:ethylene tetrafluoro ethylene)を含む。ETFEは、テトラフルオロエチレン(C24)とエチレン(C24)との共重合体であり、PTFE等の結晶性プラスチックとは異なり非晶性プラスチック特有のラメラ構造を有していることから、ETFEを含むフッ素樹脂含有層は可視光透過率が高い。
ETFEのエチレン:テトラフルオロエチレンの共重合モル比率は、典型的には1:1である。しかしながら、共重合比率は1:1に限定されるものではない。エチレン:テトラフルオロエチレンの共重合モル比は、例えば30:70~70:30の範囲内にあり、好ましくは50:50~60:40の範囲内にある。ETFEの共重合モル比がこの範囲内にあると、低ヘイズで高い光透過性を有する効果がある。
ETFEを含むフッ素樹脂含有層は、多軸組布である芯材の両面上に設けられている。フッ素樹脂含有層は芯材の開口部においても形成されているが、フッ素樹脂含有層の可視光透過率は高いため、芯材の開口部において多くの可視光を透過させることができる。
一方で、芯材を構成する糸の部分は、可視光透過性に優れてはいない。その結果、実施形態に係る複合シートは、その厚み方向について、波長360nm~740nmにおける可視光透過率が30%~70%という適度な透光率を達成することが可能である。即ち、波長360nm~740nmの範囲内であれば、いずれの波長においても可視光透過率が30%~70%の範囲内にある。なお、多軸組布を構成する各糸群に関して、それらが配列する間隔、即ち糸間の距離には特に制限は無く、複合シートの波長360nm~740nmにおける可視光透過率が30%~70%となるように各糸群を配列していれば、各糸群の配列の間隔は適宜設定することができる。
複合シートの波長360nm~740nmにおける可視光透過率が30%未満であると、複合シートを膜構造物に採用した場合に、要求される透過率を満たすのが困難である可能性がある。可視光透過率が70%を超えると、例えば、太陽光の透過率が高すぎて室内の温度が上がり過ぎる可能性がある。波長360nm~740nmにおける可視光透過率は40%~60%の範囲内にあることが好ましく、50%~60%の範囲内にあることがより好ましい。
複合シートの厚み方向についての可視光透過率は、日本分光株式会社製の分光光度計V-670、又は、これと等価な機能を有する装置を用いて、JIS R 3106:1998に準拠して測定することができる。この測定により、測定対象のシートに関して、例えば波長360nm~740nmにおける可視光透過率を測定することができる。
更に、芯材は、互いに異なる3方向、4方向又はそれ以上の方向にそれぞれ配列した糸群を備えているため、種々の方向に対する引裂強さに優れており、複合シートのクリープ現象を抑制することができる。そして、複合シートの引裂方向に応力が掛かる部分においても、別途補強するのを省略することができる。更に、この芯材を備える複合シートは、等方向性に優れるため、応力集中による複合シートの破損リスクを低減することが可能である。複合シートの面内方向に対する引裂強さは、例えば300N~450Nの範囲内にあり、好ましくは350N~450Nの範囲内にあり、より好ましくは400N~450Nの範囲内にある。複合シートの面内方向に対する引裂強さは、JIS L 1096 C法(トラペゾイド法)に準拠して測定することができる。
このように、複合シートは、適度な可視光透過率及び高い引裂強さを有するため、適用可能な建築物デザインの幅、及び、設計の幅を広げることができる。
図1は、実施形態に係る複合シートの一例を概略的に示す断面図である。図2は、実施形態に係る三軸組布の一例を概略的に示す平面図である。図3は、四軸組布の一例を概略的に示す平面図である。
図1に示す複合シート1は、シート状の芯材2と、芯材2の両面上に形成されたフッ素樹脂含有層3とを備える。フッ素樹脂含有層3は、芯材2の表面上に形成された第1フッ素樹脂含有層3aと、芯材2の裏面上に形成された第2フッ素樹脂含有層3bとからなる。図1には図示していないが、第1フッ素樹脂含有層3a及び第2フッ素樹脂含有層3bは、芯材2の開口部20を介して融着している。開口部20は、図2及び図3に示しているように、各糸群が交差することにより形成される。
図2に示す芯材2は、面内方向に沿って配列した経糸群2aを含む。面内方向とは、例えば、複合シート1の厚み方向と直交する方向である。経糸群2aは、複数の経糸を含む。経糸群2aが含む複数の経糸は、好ましくは、互いに平行となるように配列している。経糸群2aが含む複数の経糸の間隔(糸間のピッチ)は、複合シートの用途に応じて適宜変更することが可能であるが、例えば、5mm~20mmの範囲内にある。複数の経糸は、隣り合う経糸と一定の間隔を開けて配列していることが好ましい。こうすると、複合シートの可視光透過率にムラが出来にくく、どの場所においても均一な透光率を達成することができる。
芯材2は、経糸群2aと交わるように、経糸群2a上に配列した第1斜交糸群2bを更に含む。第1斜交糸群2bは、経糸群2a上に積層されている。第1斜交糸群2bは、複数の第1斜交糸を含む。第1斜交糸群2bが含む複数の第1斜交糸は、好ましくは、互いに平行となるように配列している。ここでは、「交わる」という用語は、経糸群2aと、第1斜交糸群2bとが、少なくとも1つの交点を有することを意味している。第1斜交糸群2bが含む複数の第1斜交糸の間隔(糸間のピッチ)は、複合シートの用途に応じて適宜変更することが可能であるが、例えば、2mm~20mmの範囲内にある。複数の第1斜交糸は、隣り合う第1斜交糸と一定の間隔を開けて配列していることが好ましい。こうすると、複合シートの可視光透過率にムラが出来にくく、どの場所においても均一な透光率を達成することができる。
複合シート1を、当該複合シート1の厚み方向に平行な方向から観察した場合に、第1斜交糸群2bは、経糸群2aと55°~65°の角度をなすことが好ましい。言い換えると、第1斜交糸群2bは、面内方向において経糸群2aと55°~65°の角度をなすことが好ましい。第1斜交糸群2bは、図2に示しているように、経糸群2aと60°の角度をなすことがより好ましい。
芯材2は、経糸群2a及び第1斜交糸群2bと交わるように、経糸群2a上、又は、第1斜交糸群2b上に配列した第2斜交糸群2cを更に含む。つまり、第2斜交糸群2cは、経糸群2a上又は第1斜交糸群2b上に積層されている。図1~図3では、一例として、第2斜交糸群2cが経糸群2a上に積層されている場合を示している。
第2斜交糸群2cは、複数の第2斜交糸を含む。第2斜交糸群2cが含む複数の第2斜交糸は、好ましくは、互いに平行となるように配列している。第2斜交糸群2cが含む複数の第2斜交糸の間隔(糸間のピッチ)は、複合シートの用途に応じて適宜変更することが可能であるが、例えば、2mm~20mmの範囲内にある。複数の第2斜交糸は、隣り合う第2斜交糸と一定の間隔を開けて配列していることが好ましい。こうすると、複合シートの可視光透過率にムラが出来にくく、どの場所においても均一な透光率を達成することができる。
複合シート1を、当該複合シート1の厚み方向に平行な方向から観察した場合に、第2斜交糸群2cは、経糸群2a及び第1斜交糸群2bと55°~65°の角度をなすことが好ましい。言い換えると、第2斜交糸群2cは、面内方向において、経糸群2a及び第1斜交糸群2bと55°~65°の角度をなすことが好ましい。第2斜交糸群2cは、図2に示しているように、経糸群2aと60°の角度をなすことがより好ましい。
経糸群2a、第1斜交糸群2b及び第2斜交糸群2cが、面内方向において、それぞれ60°の角度をなすように芯材が構成されていることが好ましい。即ち、芯材は三軸組布であることが好ましい。この場合、芯材の単位面積当たりの体積(単位面積当たりの質量)が小さくても、面内方向において種々の方向に対する引裂強さに優れた複合シートを得ることができる。芯材の単位面積当たりの体積(単位面積当たりの質量)が小さいため、可視光透過率を高めるのが容易である。芯材として三軸組布を含む複合シートは、引裂強さのみならず、等方向性、破裂抵抗、剪断抵抗及び衝撃強度にも優れる。
図3は、芯材(多軸組布)の他の例として、芯材が四軸組布である場合を示している。この例では、芯材2は、経糸群2a、第1斜交糸群2b及び第2斜交糸群2cに加えて、緯糸群2dを更に含む。緯糸群2dは、複数の緯糸を含む。緯糸群2dが含む複数の緯糸は、好ましくは、互いに平行となるように配列している。
四軸組布における経糸群2a、第1斜交糸群2b及び第2斜交糸群2cの構成は、第1斜交糸群2bが面内方向において経糸群2aと45°の角度をなしており、且つ、第2斜交糸群2cが面内方向において経糸群2aと45°の角度をなしていることを除いて、図2において説明したのと同様である。
四軸組布において、第1斜交糸群2bは、面内方向において経糸群2aと40°~50°の角度をなしていてもよい。第1斜交糸群2bは、図3に示しているように、経糸群2aと45°の角度をなしていることが好ましい。四軸組布において、第2斜交糸群2cは、面内方向において経糸群2aと40°~50°の角度をなしていてもよい。第2斜交糸群2cは、図3に示しているように、経糸群2aと45°の角度をなしていることが好ましい。
緯糸群2dは、経糸群2a、第1斜交糸群2b及び第2斜交糸群2cのいずれとも交わるように、いずれかの糸群上に積層されている。図3では、一例として、緯糸群2dが第1斜交糸群2b上に積層されている場合を示している。図3において、緯糸群2dは、面内方向において経糸群2aと90°の角度をなしている。緯糸群2dは、面内方向において経糸群2aと85°~95°の角度をなしていてもよい。
多軸組布において、第1斜交糸群2b及び経糸群2aがなす角度と、第2斜交糸群2c及び経糸群2aがなす角度とは略同一であることが好ましい。略同一とは、例えば、これらの角度の差が0°~5°以内であることを意味する。この場合、複合シートの等方向性が高まるため好ましい。
多軸組布は、軸が多くなるにつれて、等方向性がより高まるため、引裂抵抗、破裂抵抗、剪断抵抗及び衝撃強度が向上する傾向がある。但し、軸が多くなるにつれて芯材の単位面積当たりの体積(単位面積当たりの質量)が大きくなる傾向があるため、可視光透過率を高めるのが困難になる傾向があり、また、複合シートの単位面積当たりの質量も増加してしまう傾向がある。複合シートを屋根材として使用する場合には、単位面積当たりの質量は小さい方が好ましい。つまり、複合シートは軽量であることが好ましい。しかしながら、例えば、各糸群の配列間隔(糸間のピッチ)を変更することにより芯材の開口率を調節することができるため、軸が多くなっても適度な可視光透過率、及び、複合シートの質量を達成することができる。
芯材の開口率は、複合シートに要求される可視光透過率及び引裂強さによって適宜変更することが可能であるが、例えば、50%~65%の範囲内にある。芯材の開口率は、例えば、多軸組布の軸数を変更するか、上記の通り各糸群の配列間隔を変更するか、又は、各糸のテックス番手を変更することにより調節することができる。開口率が過度に低いと、後述するフッ素樹脂含有層の透光率を高めたとしても、複合シートについて波長360nm~740nmにおける可視光透過率が30%未満となる可能性がある。開口率が過度に高いと、複合シート1の可視光透過率が70%を超える可能性がある。芯材2の開口率は45%~60%の範囲内にあることがより好ましい。
芯材2の開口率は、複合シートに対して、KEYENCE社製形状レーザーマイクロスコープVK-X100 解析アプリケーションVK-H1XAを用いることで測定することができる。この測定により、芯材の所定面積に対する開口面積の割合を測定することができる。
芯材2において、開口部20の1つ当たりの面積は、例えば、0.4cm2~2.0cm2の範囲内にある。
なお、各糸群が接する交点は、例えば、接着剤で固定されている。複合シートの引裂強さは芯材の引裂強さに依存するため、これら糸群が固定されていると、複合シートが伸びにくく、且つ、引裂強さが高まる効果がある。
接着剤としては、常温乾燥タイプのものであれば特に限定はされないが、アクリル酸エステルや酢酸ビニル等の重合体及び/又は共重合体をエマルジョンにしたタイプが好適に用いられる。
芯材2の厚みTは、例えば、150μm-450μmの範囲内にある。芯材2の厚みが過度に大きいと、複合シートの単位面積当たりの質量が増加する傾向にあるため好ましくない。
各糸群を構成する糸(繊維)の材質は特に限定されないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維及びアラミド繊維から選択されるいずれかである。各糸群は、一種類の糸のみを含んでいてもよく、複数種類の糸を含んでいてもよい。可視光透過率を高める観点からは、糸群を構成する糸の材質は、ガラス繊維であることが好ましい。
芯材上に積層されているフッ素樹脂含有層の透明性が高いため、例えば、観察者が、複合シート表面に対する垂線方向から複合シートの表面を観察した場合には、観察者は芯材の形状を知覚することができる。芯材を構成する糸としてガラス繊維を採用した場合には、観察者は、芯材を白色と認識し得る。芯材を構成する糸として炭素繊維及びアラミド繊維等を採用した場合には、観察者は、芯材を黒色と認識し得る。実施形態に係る複合シートは、観察者に対して芯材によって形成される模様を知覚させることが可能であるため、意匠性にも優れている。
各糸群を構成する糸(繊維)のテックス番手は、例えば、10~40番手の範囲内にある。複合シートが建築物の屋根材等に使用される場合には、テックス番手は30~40番手の範囲内にあることが好ましい。テックス番手が10未満である場合には、芯材としての十分な強度が得られない可能性がある。テックス番手が40を超える場合には、複合シートの単位面積当たりの質量が増加しやすい傾向があるため好ましくない。
フッ素樹脂含有層は、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)を含む。フッ素樹脂含有層はETFEからなっていてもよい。ETFEは、透明性、耐候性、防汚性及び機械的強度に優れることから、これを含むフッ素樹脂含有層を備えた複合シートは、高い可視光透過率が要求されるような建築用膜材での使用に適している。例えば、長期間に亘り屋外に暴露される用途に適している。
ETFEは溶融粘度が大きくないため、溶融成形が可能である。それ故、例えば、上述の芯材の両面上にETFEフィルムを配置し、これらを熱ラミネートにより融着することにより、芯材の開口部を介して2枚のETFEフィルムを溶融一体化させることができる。こうして、フッ素樹脂含有層と芯材とを強固に密着させることができる。
複合シートに関して波長360nm~740nmにおける可視光透過率が30%~70%を満たしている限り、フッ素樹脂含有層はETFE以外の他のフッ素樹脂を含むことができる。フッ素樹脂含有層に占めるETFEの重量割合は、例えば、60%~100%の範囲内にあり、好ましくは80%~100%の範囲内にある。ETFE以外のフッ素樹脂としては、例えば、メルトフローレートが10g/10min-25g/10minの範囲内にあるフッ素樹脂を使用することができる。他のフッ素樹脂は、例えば、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、パーフルオロエチレンプロペン共重合体(FEP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及び、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロペン-ビニリデンフルオロライド共重合体(THV)からなる群より選ばれる少なくとも1種でありうる。
複合シートが備えるフッ素樹脂含有層がETFEを含んでいるか否かは、熱重量(TG:Thermal gravimetric)分析の結果、及び、赤外分光法(IR:Infrared spectroscopy)の結果を併せて考慮することにより確認することができる。
芯材の片面上に形成されるフッ素樹脂含有層の厚みは、例えば15μm~250μmの範囲内にある。芯材の両面上に形成されるフッ素樹脂含有層の厚みの合計は、即ち複合シートの厚みであり、例えば、200μm~1000μmの範囲内にある。芯材上に形成されているフッ素樹脂含有層の厚みが過度に小さいと、複合シートの屈曲によって芯材が露出して耐久性が低下する可能性がある。複合シートの厚みが過度に大きいと、複合シートの柔軟性が劣る傾向がある。
芯材の厚み、及び、フッ素樹脂含有層の厚みは、例えば、複合シートの断面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscopy)により観察することで測定することができる。フッ素樹脂含有層の厚みは、芯材の開口部の位置におけるフッ素樹脂含有層の厚みである。
フッ素樹脂含有層の表面上及び/又は裏面上には、例えば、ドット状などのプリントを施すことにより、可視光透過率を調節することができる。複合シートの可視光透過率が過度に高い場合には、このようなプリントを施すことで可視光透過率を低下させることができる。
実施形態に係る複合シートは、上述した芯材を具備しているため、芯材を具備していないETFEフィルム単品の場合の引張降伏点以上の荷重での施工にも耐えることができる。
実施形態に係る複合シートは、一般的な膜材の施工に用いられるラップ融着法により施工することができるため、建築費用及び空間維持費用を低減することができる。或いは、意匠性が高いことを利用して、建築物等の美観を高める用途で複合シートを使用することもできる。
[実施例]
以下に実施例を説明するが、実施形態は、以下に記載される実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
芯材として、経糸群、第1斜交糸群及び第2斜交糸群の全てがガラス繊維からなる三軸組布(日東紡株式会社製 KT221H)を用意して、所定の大きさに裁断した。経糸群が含む全ての糸は面内方向に沿って略平行に配列していた。第1斜交糸群は、面内方向において経糸群と60°の角度をなすように、全ての糸が略平行に配列していた。また、第2斜交糸群は、面内方向において経糸群と60°の角度をなすように、全ての糸が略平行に配列していた。芯材の開口率は、52.5%であり、各糸群を構成している糸のテックス番手は40であり、各糸群に含まれる複数の糸の間隔は、いずれの糸群についても10mmであった。各糸群の交点は、アクリル系接着剤により接着されていた。
次に、厚みが約100μmのETFEフィルム(AGC株式会社製)を芯材の両面上に積層し、熱プレス機を使用して、2枚のETFEフィルムを溶融させ、芯材が有する複数の開口部を介してこれらを溶融一体化させた。熱プレスの条件は、成形時の温度を270℃~300℃とし、成形時のプレス圧力を5~18kgf/cm2とし、成形時のプレス保持時間を40~90秒とし、冷却時のプレス圧力を5~18kgf/cm2とし、冷却時のプレス保持時間を20~40秒とした。こうして、芯材とフッ素樹脂含有層とが接着した複合シートが得られた。得られた複合シートの厚みは、390μmであった。
なお、この実施例1では、熱プレス機を用いて芯材及び2枚のETFEフィルムを溶融一体化させたが、熱ラミネート機を用いてこれらを溶融一体化させてもよい。熱ラミネートの場合の条件は、例えば、熱ロール温度280℃~310℃、熱冷却ロール線圧5~18kgf/cm2、ライン速度1.0~4.0m/minとする。
(比較例1)
比較例1では、中興化成工業株式会社製のチューコーフロー(登録商標)建築用膜材FGT-800を複合シートとして用意した。この複合シートが含む芯材は、平織りで構成されたガラス繊維クロスであり、芯材の開口率は1.2%であった。芯材の両面上に積層しているフッ素樹脂含有層は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなっていた。複合シートの厚みは800μmであった。
(比較例2)
比較例2では、芯材を具備しないETFEからなるフィルム(AGC社製のアフレックス)を用意した。このフィルムの厚みは200μmであった。
<可視光透過率測定>
実施例1、比較例1及び2のそれぞれで得られたシートに関して、実施形態において説明したように、JIS R 3106:1998に準拠して可視光透過率を測定した。測定結果を図4のグラフに示す。図4に示す可視光透過率のグラフにおいて、横軸には測定波長(nm)、縦軸には透過率(%)を示している。このグラフでは、実施例1、比較例1及び2のそれぞれに係るシートに関して、可視光線域(ここでは波長360nm~740nm)についての可視光透過率を10nmごとに示している。
図4に示すグラフから明らかなように、実施例1に係る複合シートは、波長360nm~740nmにおける可視光透過率が30%~70%の範囲内にあったため、十分な透光性を有しており、且つ、室内の温度が過度に高まるのも抑制できると考えられる。
一方、比較例1に係る複合シートは、波長360nm~740nmにおける可視光透過率が20%未満であったため、十分な透光性が得られなかった。また、比較例2に係るETFEフィルムは、波長360nm~740nmにおける可視光透過率が80%を超えていた。こうしたETFEフィルムは可視光透過率が高すぎる上、後述するように、施工可能な荷重の範囲が狭いことが問題となる場合がある。
<クリープ特性の比較>
実施例1に係る複合シート、及び、比較例2に係るETFEフィルムに関して、クリープ特性を評価した。測定対象のシート及びフィルムを所定の大きさに裁断して、島津製作所社製の万能試験機を用いて、下記の通り引張試験を行った。試験条件としては、2mm/minの速度で測定対象を一軸に引っ張り試験、一定荷重120N/3cmとなった後、5分間維持した。図5では、測定対象のシート又はフィルムに掛かった荷重(N/3cm)を縦軸に示し、横軸には荷重に対応する変位量(mm)を示している。
比較例2に係るETFEフィルムは、一定荷重積載後にクリープ現象が生じていることが読み取れる。
図5内の点Yは、比較例2に係るETFEフィルムの引張降伏点である。比較例2に係るETFEフィルムを施工する場合、引張降伏点Y以上の荷重を掛けることはできないため、例えば、施工可能な荷重の範囲が線分Xで示している狭い範囲に限られてしまう。そうすると、膜構造物を建築するための費用が高くなるという問題がある。
比較例2で使用したフィルム単体はクリープ特性を有するため、建築基準法により引張降伏点以下の荷重でしか施工できないが、実施例1に係る複合シートは1300N/3cm程度までの荷重を掛けて施工可能であるため、膜構造物等の建築に掛かる費用を抑えることができると共に、建築物のデザインの幅を広げることが可能である。
<引裂強さ試験>
実施例1及び比較例1のそれぞれに係る複合シートに対して、JIS L 1096 C法(トラペゾイド法)に準拠して引裂強さを測定した。試験速度は50mm/minとした。得られた結果として、図6に、実施例1及び比較例1に係るシートの引裂強さを比較したグラフを示す。図6では、横軸に試験時のストローク(mm)を示し、縦軸に引裂強さ(N)を示している。
引裂強さを算出する際は、それぞれの例について、最大点5点平均を算出した。その結果、実施例1の引裂強さは437Nであった。また、比較例1の引裂強さは340Nであった。即ち、多軸組布として三軸組布を備える実施例1に係る複合シートの引裂強さは、平織りのガラスクロスを備える比較例1に係る複合シートと比較して引裂強さに優れていた。
以上の結果から明らかなように、実施例1に係る複合シートは、優れた引裂強さを有する上に、十分な可視光透過率を有していた。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載した発明を付記する。
[1] 多軸組布の芯材と、前記芯材の両面上に形成され、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体を含むフッ素樹脂含有層とを備える複合シートであって、
前記複合シートの厚み方向について、波長360nm~740nmにおける可視光透過率は30%~70%の範囲内にある複合シート。
[2] 前記芯材の開口率は、50%~65%の範囲内にある[1]に記載の複合シート。
[3] 前記フッ素樹脂含有層は、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体からなる[1]又は[2]に記載の複合シート。
[4] 厚みが200μm~1000μmの範囲内にある[1]~[3]の何れか1項に記載の複合シート。
[5] 面内方向に対する引裂強さは350N~450Nの範囲内にある[1]~[4]の何れか1項に記載の複合シート。
1…複合シート、2…芯材、2a…経糸群、2b…第1斜交糸群、2c…第2斜交糸群、2d…緯糸群、3…フッ素樹脂含有層、20…開口部。

Claims (4)

  1. 多軸組布の芯材と、前記芯材の両面上に形成され、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体を含むフッ素樹脂含有層とを備える複合シートであって、
    前記複合シートの厚み方向について、波長360nm~740nmにおける可視光透過率は30%~70%の範囲内にあり、
    面内方向に対する引裂強さは350N~450Nの範囲内にあり、
    前記芯材は、繊維及び接着剤を含み、
    前記繊維は、ガラス繊維、炭素繊維及びアラミド繊維からなる群より選択される少なくとも1種であり、
    前記接着剤は、アクリル酸エステルの重合体、酢酸ビニルの重合体、及び、アクリル酸エステル及び酢酸ビニルの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であり、
    前記芯材の開口率は、50%~65%の範囲内にある複合シート。
  2. 前記フッ素樹脂含有層は、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体からなる請求項1に記載の複合シート。
  3. 厚みが200μm~1000μmの範囲内にある請求項1又は2に記載の複合シート。
  4. 前記芯材は、ガラス繊維からなり、前記複合シートの厚み方向について、波長360nm~740nmにおける可視光透過率は50%~70%の範囲内にある請求項1~の何れか1項に記載の複合シート。
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