以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。図1は、本発明の一実施形態を示すタイヤ1のトレッド部2の展開図である。本実施形態のタイヤ1は、例えば、乗用車用の空気入りタイヤとして好適に使用される。但し、本発明は、このような態様に限定されるものではなく、重荷重用の空気入りタイヤや、タイヤの内部に加圧された空気が充填されない非空気式タイヤに用いられても良い。
図1に示されるように、本発明のタイヤ1は、車両への装着の向きが指定されたトレッド部2を有する。トレッド部2は、タイヤ1の車両装着時に車両外側に位置することが意図された第1トレッド端Te1と、車両装着時に車両内側に位置することが意図された第2トレッド端Te2とを有する。車両への装着の向きは、例えば、サイドウォール部(図示省略)に、文字又は記号で表示される。但し、本発明のタイヤ1は、このような態様に限定されるものではなく、車両への装着の向きが指定されないものでも構わない。
各種の規格が定められた空気入りタイヤの場合、第1トレッド端Te1及び第2トレッド端Te2は、正規状態のタイヤ1に正規荷重が負荷されキャンバー角0°で平面に接地したときの最もタイヤ軸方向外側の接地位置である。正規状態とは、タイヤが正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填され、しかも、無負荷の状態である。本明細書において、特に断りがない場合、タイヤ各部の寸法等は、前記正規状態で測定された値である。
「正規リム」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば"Measuring Rim" である。
「正規内圧」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。
「正規荷重」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば "最大負荷能力" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY" である。
各種の規格が定められていないタイヤや、非空気式タイヤの場合、第1トレッド端Te1及び第2トレッド端Te2は、標準使用状態のタイヤに標準使用荷重が負荷されキャンバー角0°で平面に接地したときの最もタイヤ軸方向外側の接地位置である。「標準使用状態」とは、タイヤの使用目的に応じた標準的な使用状態であって無負荷の状態を意味する。「標準使用荷重」とは、タイヤの実用において標準的に負荷される大きさの荷重を意味する。また、各種の規格が定められていないタイヤ及び非空気式タイヤの場合には、本明細書で説明されたタイヤの各寸法は、前記標準使用状態で測定されたものとして適用される。
トレッド部2は、第1トレッド端Te1と第2トレッド端Te2との間でタイヤ周方向に連続して延びる複数の周方向溝3と、周方向溝3に区分された複数の陸部4とを有する。
周方向溝3は、例えば、第1周方向溝5、第2周方向溝6、第3周方向溝7及び第4周方向溝8を含む。第1周方向溝5は、第1トレッド端Te1とタイヤ赤道Cとの間に設けられている。第2周方向溝6は、第1周方向溝5とタイヤ赤道Cとの間に設けられている。第3周方向溝7は、タイヤ赤道Cと第2トレッド端Teとの間に設けられている。第4周方向溝8は、第3周方向溝7と第2トレッド端Te2との間に設けられている。
タイヤ赤道Cから第1周方向溝5の溝中心線又は第4周方向溝8の溝中心線までのタイヤ軸方向の距離L1は、例えば、トレッド幅TWの0.20~0.35倍であるのが望ましい。タイヤ赤道Cから第2周方向溝6の溝中心線又は第3周方向溝7の溝中心線までのタイヤ軸方向の距離L2は、例えば、トレッド幅TWの0.05~0.15倍であるのが望ましい。なお、トレッド幅TWは、前記正規状態における第1トレッド端Te1から第2トレッド端Te2までのタイヤ軸方向の距離である。
本実施形態の各周方向溝3は、例えば、タイヤ周方向に平行に直線状に延びている。各周方向溝3は、例えば、波状に延びるものでも良い。
各周方向溝3の溝幅W1は、例えば、トレッド幅TWの4.0%~8.0%であるのが望ましい。各周方向溝3の深さは、乗用車用の空気入りタイヤの場合、例えば、5~10mmであるのが望ましい。
陸部4は、第1陸部11、第2陸部12、第3陸部13、第4陸部14及び第5陸部15を含む。すなわち、本実施形態のトレッド部2は、上述の4本の周方向溝3及び5つの陸部4で構成された所謂5リブのパターンを有している。但し、本発明は、このような態様に限定されるものでない。
第1陸部11は、第1周方向溝5と第2周方向溝6との間に区分されている。第2陸部12は、第2周方向溝6と第3周方向溝7との間に区分されている。第3陸部13は、第3周方向溝7と第4周方向溝8との間に区分されている。第4陸部14は、第1トレッド端Te1と第1周方向溝5との間に区分されている。第5陸部15は、第4周方向溝8と第2トレッド端Te2との間に区分されている。
図2には、第1陸部11の拡大図が示されている。図2に示されるように、第1陸部11は、タイヤ周方向に延びる第1縦エッジ11aと、タイヤ周方向に延びる第2縦エッジ11bと、それらの間の踏面11cとを含む。第1縦エッジ11a及び第2縦エッジ11bは、前記正規状態のタイヤ1に前記正規荷重が負荷されキャンバー角0°で平面に接地したときの踏面の縁として定義される。このため、第1陸部11は、踏面と側面とが曲面で連なるものや、踏面と側面との間に面取り部が形成されたものでも良い。
第1陸部11には、第1サイプ16、第2サイプ17及び横溝20が設けられている。図3には、第1サイプ16、第2サイプ17及び横溝20の拡大図が示されている。図3に示されるように、第1サイプ16及び第2サイプ17は、それぞれ、第1縦エッジ11aから延びている。横溝20は、第2縦エッジ11bから第1サイプ16と第2サイプ17との間に延びている。また、横溝20は、第1縦エッジ11aに達することなく終端している。横溝20の溝幅は、第1サイプ16及び第2サイプ17の幅よりも大きい。また、第1サイプ16及び第2サイプ17は、第2縦エッジ11bには直接連通することなく、横溝20に連通している。
本明細書において、サイプとは、前記正規状態のタイヤに前記正規荷重が負荷された状態の接地面において、一対のサイプ壁の少なくとも一部が互いに接触するような小さい幅で形成された切込みを意味する。サイプの幅は、例えば、1.5mm以下であり、望ましくは1.0mm以下である。なお、前記サイプの幅は、一対のサイプ壁が互いに平行に延びる部分における、サイプの長さ方向と直交する方向の幅を意味する。
本発明のタイヤは、上記の構成が採用されたことにより、優れたウェット旋回性能を発揮することができる。その理由としては、以下のメカニズムが推察される。
第1サイプ16及び第2サイプ17及び横溝20は、それぞれ、排水性を高めるのに役立つ。一方、第1サイプ16及び第2サイプ17に区分されたブロック片24は、第1陸部11に作用する接地圧の変化によって、僅かに動くことができる。これにより、例えば、直進時においては、ブロック片24がタイヤ周方向に動くことで第1サイプ16及び第2サイプ17の少なくとも一方が閉じ、互いに対向するサイプ壁同士が接触する。このため、第1陸部11の見かけの剛性が高められる。
また、ウェット走行時において第1サイプ16及び第2サイプ17が閉じたときには、それらの内部の水が前記横溝20を通って外部に排出されるため、優れた排水性も発揮される。さらに、ウェット旋回時においては、ブロック片24がタイヤ軸方向に動くことで、第1サイプ16、第2サイプ17及び横溝20内の水がより積極的に外部に排出される。本発明では、このような作用により、本発明のタイヤは、優れたウェット旋回性能を発揮できると推測される。
以下、本実施形態のタイヤ1のさらに詳細な構成が説明される。横溝20は、第1陸部11の踏面内で途切れる途切れ端20cと、第1サイプ16との第1連通部20aと、第2サイプ17との第2連通部20bとを含む。
横溝20は、例えば、一定の溝幅でタイヤ軸方向に対して傾斜し、第2縦エッジ11bから途切れ端20cまで延びている。横溝20のタイヤ軸方向に対する角度は、例えば、10~20°である。横溝20のタイヤ軸方向の長さL3は、例えば、第1陸部11のタイヤ軸方向の幅W2(図2に示され、以下、同様である。)の40%~60%である。このような横溝20は、第1陸部11の剛性を維持しつつ、ウェット旋回性能を高めるのに役立つ。
図4には、図3のA-A線断面図が示されている。図4は、横溝20の長さ方向に沿った断面図に相当する。図4に示されるように、横溝20の最大の深さd2は、第2周方向溝6の深さd1の60%~80%である。
横溝20は、例えば、途切れ端20cに向かって深さが漸減している。より望ましい態様では、横溝20の底面は、途切れ端20c側において円弧状に湾曲している。このような横溝20は、ウェット走行時、第1サイプ16及び第2サイプ17内の水を第2周方向溝6側に案内し、ウェット旋回性能をさらに高める。
図3に示されるように、第1連通部20a及び第2連通部20bは、それぞれ、途切れ端20cよりも第2縦エッジ11b側に位置しているのが望ましい。また、第1連通部20a及び第2連通部20bは、それぞれ、横溝20のタイヤ軸方向の中心位置よりも途切れ端20c側に位置しているのが望ましい。さらに望ましい態様として、本実施形態では、第1連通部20aと第2連通部20bとは、タイヤ軸方向の位置が同じである。このような構成により、ブロック片24がタイヤ軸方向に動いたときに、第1サイプ16及び第2サイプ17内の水がより強い圧力で横溝20側に排出され易くなる。
途切れ端20cから第1連通部20a又は第2連通部20bまでのタイヤ軸方向の最小の距離L5は、第1縦エッジ11aから第1連通部20a又は第2連通部20bまでのタイヤ軸方向の最大の距離L4の15%~40%である。このような横溝20は、ドライ路面での操縦安定性とウェット旋回性能とをバランス良く高める。
同様の観点から、第1縦エッジ11aにおける第1サイプ16の連通部16aから横溝20の溝中心線までのタイヤ周方向の距離L7は、前記第1縦エッジ11aにおける第1サイプ16の連通部16aから第2サイプ17の連通部17aまでのタイヤ周方向の距離L6の望ましくは30%以上より望ましくは40%以上であり、望ましくは70%以下、より望ましくは60%以下である。
第1サイプ16及び第2サイプ17は、分岐することなく前記横溝20へと延びているのが望ましい。これにより、第1陸部11の偏摩耗が抑制される。
第1サイプ16は、タイヤ軸方向に延びる横サイプ部26aと、タイヤ周方向に延びる縦サイプ部26bと含んでいる。第1サイプ16の横サイプ部26aと縦サイプ部26bとは、例えば、鋭角の折れ曲がり部で連なっている。同様に、第2サイプ17は、タイヤ軸方向に延びる横サイプ部27aと、タイヤ周方向に延びる縦サイプ部27bとを含んでいる。第2サイプ17の横サイプ部27aと縦サイプ部27bとは、例えば、鈍角の折れ曲がり部で連なっている。本実施形態では、第1サイプ16及び第2サイプ17に横サイプ部26a、27aが含まれることにより、ブロック片24がさらにタイヤ軸方向に動き易くなり、上述の効果がより一層高められる。
各横サイプ部26a、27aは、タイヤ軸方向に対して45°以下の角度で配されている。横サイプ部26a、27aのタイヤ軸方向に対する角度は、例えば、10~20°である。本実施形態では、第1サイプ16の横サイプ部26aと第2サイプ17の横サイプ部27aとが互いに平行である。さらに望ましい態様では、各横サイプ部26a、27aと横溝20とが平行に配されている。このような横サイプ部26a、27aは、第1陸部11の偏摩耗を抑制しつつ、上述の効果を発揮する。
横サイプ部26a、27aは、例えば、第1陸部11のタイヤ軸方向の中心位置を横切っている。横サイプ部26a、27aのタイヤ軸方向の長さL8は、例えば、第1陸部11のタイヤ軸方向の幅W2の55%~80%である。望ましい態様では、第1サイプ16の横サイプ部26aと、第2サイプ17の横サイプ部27aとは、タイヤ軸方向の長さが実質的に同じである。これにより、ドライ路面での操縦安定性とウェット旋回性能とがバランス良く向上する。
同様の観点から、横サイプ部26a、27aの深さは、例えば、横溝20の深さの80%~120%とされる。
縦サイプ部26b、27bは、例えば、タイヤ周方向に対して45°未満の角度で配されている。縦サイプ部26b、27bのタイヤ周方向に対する角度は、15°以下が望ましい。本実施形態の縦サイプ部26b、27bは、タイヤ周方向に平行に延びている。また、第1サイプ16の縦サイプ部26bと第2サイプ17の縦サイプ部27bとは、タイヤ軸方向の位置が同じであり、互いに同一の直線上に配されている。これにより、2つの縦サイプ部26b、27bが協働してタイヤ軸方向の摩擦力を発揮し、ウェット旋回性能が向上する。
縦サイプ部26b、27bの最大の深さは、例えば、横溝20の最大の深さよりも小さい。また、縦サイプ部26b、27bの最大の深さは、横サイプ部26a、27aの最大の深さよりも小さいのが望ましい。具体的には、縦サイプ部26b、27bの最大の深さは、横サイプ部26a、27aの最大の深さの25%~50%である。このような縦サイプ部26b、27bは、第1陸部11の過度な剛性低下を抑制しつつ、ウェット旋回性能を高めるのに役立つ。
第1陸部11は、第1縦エッジ11a、第1サイプ16及び第2サイプ17に囲まれたブロック片24を含む。ブロック片24のタイヤ軸方向の長さL9は、第1陸部11のタイヤ軸方向の幅W2の60%~90%である。また、ブロック片24のタイヤ軸方向の長さL9は、ブロック片24のタイヤ周方向の長さL10の30%~70%である。
ブロック片24のタイヤ周方向の長さL10は、第1陸部11のタイヤ軸方向の幅W2よりも大きいのが望ましい。具体的には、ブロック片の24タイヤ周方向の長さL10は、第1陸部11の前記幅W2の1.30~1.50倍である。このようなブロック片24は、タイヤ周方向の剛性が高く、ドライ路面でのトラクション性能を高めるのに役立つ。
図2に示されるように、本実施形態の第1陸部11には、上述の横溝20、第1サイプ16及び第2サイプ17で構成された第1溝要素18がタイヤ周方向に複数設けられている。また、第1陸部11には、タイヤ周方向で隣り合う第1溝要素18の間に、第2溝要素19が設けられている。すなわち、第1陸部11には、第1溝要素18と第2溝要素19とがタイヤ周方向に交互に設けられている。
第2溝要素19は、第1縦エッジ11aから一定の幅で延びる定幅部19aと、定幅部19aから第2縦エッジ11bまで定幅部19aよりも小さい幅で延びる小幅部19bとを含んでいる。本実施形態の小幅部19bは、例えば、サイプとして構成されている。
定幅部19aのタイヤ軸方向の長さL11は、例えば、横溝20のタイヤ軸方向の長さよりも小さい。また、定幅部19aの前記長さL11は、横サイプ部26a、27aタイヤ軸方向の長さよりも小さい。また、定幅部19aは、第1陸部11のタイヤ軸方向の中心位置を横切っていない。具体的には、定幅部19aの前記長さL11は、第1陸部11のタイヤ軸方向の幅W2の25%~35%である。このような定幅部19aは、操縦安定性とウェット旋回性能とをバランス良く高めるのに役立つ。
小幅部19bは、例えば、第1陸部11のタイヤ軸方向の中心位置を横切っている。小幅部19bのタイヤ軸方向の長さL12は、横溝20のタイヤ軸方向の長さL3よりも大きい。具体的には、小幅部19bの前記長さL12は、第1陸部11のタイヤ軸方向の幅W2の65%~75%である。
第2溝要素19は、例えば、タイヤ軸方向に対して横溝20と同じ向きに傾斜している。第2溝要素19のタイヤ軸方向に対する角度は、例えば、5~25°である。
第2溝要素19の最大の深さは、縦サイプ部26b、27bの最大の深さよりも大きいのが望ましい。このような第2溝要素19は、ウェット路面でタイヤ周方向に大きな摩擦力を提供するため、ウェット路面でのトラクション性能を高めるのに役立つ。
図5には、第2陸部12及び第3陸部13の拡大図が示されている。図5に示されるように、第2陸部12には、第3周方向溝7から延びかつ第2陸部12内で途切れる複数の途切れ溝30が設けられている。本実施形態の途切れ溝30は、タイヤ赤道Cを横切る複数の第1途切れ溝31と、第1途切れ溝31よりも第3周方向溝7側で途切れる複数の第2途切れ溝32とを含んでいる。第1途切れ溝31と第2途切れ溝32とは、タイヤ周方向に交互に設けられている。
途切れ溝30は、例えば、タイヤ軸方向に対して傾斜している。途切れ溝30は、タイヤ軸方向に対して第1陸部11に設けられた横溝20(図2に示す)と同じ向きに傾斜している。途切れ溝30のタイヤ軸方向に対する最大の角度は、横溝のタイヤ軸方向に対する最大の角度よりも大きいのが望ましい。途切れ溝30のタイヤ軸方向に対する角度は、例えば、35~55°である。このような途切れ溝30は、ウェット旋回性能をさらに高めることができる。
図6には、図5のB-B線断面図が示されている。図6に示されるように、途切れ溝30は、例えば、第3周方向溝7から第2周方向溝6側に向かって深さが漸減している。途切れ溝30の最大の深さは、第1陸部11に設けられた横溝20の深さの80%~120%である。本実施形態では、途切れ溝30の深さと横溝20の深さとが同じである。これにより、第1陸部11と第2陸部12と間で摩耗の進行が均一となり、偏摩耗が抑制される。
図5に示されるように、第2陸部12には、第2途切れ溝32から第2周方向溝6まで延びる接続サイプ33が設けられているのが望ましい。このような接続サイプ33は、ウェット性能を高めるのに役立つ。
第3陸部13には、第3周方向溝7から第4周方向溝8まで傾斜して延びる複数の傾斜横断溝35が設けられている。傾斜横断溝35は、例えば、タイヤ軸方向に対して第2陸部12に設けられた途切れ溝30と同じ向きに傾斜している。このような傾斜横断溝35は、ウェット走行時、途切れ溝30とともに溝内の水を第2トレッド端Te2側に案内し、ウェット性能を高める。
傾斜横断溝35は、例えば、タイヤ軸方向の両側に配された2つの緩傾斜部35aと、これらの間に配された急傾斜部35bとを含んでいる。急傾斜部35bのタイヤ軸方向に対する角度は、緩傾斜部35aのタイヤ軸方向に対する角度よりも大きい。緩傾斜部35aのタイヤ軸方向に対する角度は、例えば、15~25°である。急傾斜部35bのタイヤ軸方向に対する角度は、例えば、40~50°である。このような傾斜横断溝35は、ウェット路面におけるトラクション性能と旋回性能とをバランス良く向上させる。
図7には、図5のC-C線断面図が示されている。図7に示されるように、第4周方向溝8側の緩傾斜部35aの深さ、及び、急傾斜部35bの深さは、第3周方向溝7側の緩傾斜部35aの深さよりも小さい。このような傾斜横断溝35は、ドライ路面での操縦安定性を維持しつつ、上述の効果を発揮する。
さらに望ましい態様では、第4周方向溝8側の緩傾斜部35a及び急傾斜部35bには、溝底で開口して傾斜横断溝35の長さ方向に沿って延びる溝底サイプが設けられる(図示省略)。このような溝底サイプは、ドライ路面での操縦安定性とウェット旋回性能とをバランス良く向上させるのに役立つ。
図5に示されるように、傾斜横断溝35の第3周方向溝7側の端部をタイヤ軸方向に平行に延長した領域が、第2陸部12に設けられた途切れ溝30の第3周方向溝7側の端部と重複しないのが望ましい。これにより、第2陸部12及び第3陸部13の偏摩耗が抑制される。
本実施形態の第3陸部13には、複数の第1途切れサイプ36及び複数の第2途切れサイプ37が設けられている。第1途切れサイプ36は、第3周方向溝7から延び第3陸部13内で途切れている。第2途切れサイプ37は、第4周方向溝8から延び第3陸部13内で途切れている。このような第1途切れサイプ36及び第2途切れサイプ37は、第3陸部13の剛性を維持しつつ、ウェット路面でのトラクション性能を高めるのに役立つ。
図1に示されるように、第4陸部14には、例えば、複数の第1外側ショルダー横溝41及び複数の第2外側ショルダー横溝42が設けられている。第1外側ショルダー横溝41は、例えば、第1周方向溝5から第1トレッド端Te1まで延びている。第2外側ショルダー横溝42は、例えば、第1トレッド端Te1から延び、第4陸部14内で途切れているのが望ましい。
第1外側ショルダー横溝41は、例えば、第1周方向溝5に連通する細溝部41aを含んでいる。望ましい態様として、本実施形態では、細溝部41aが第1陸部11に設けられた第2溝要素19の定幅部19aと第1周方向溝5を介して滑らかに連続しているのが望ましい。なお、「周方向溝を介して滑らかに連続している」とは、周方向溝の一方側のエッジに連通する溝又はサイプをその長さ方向に沿って延長した領域と、周方向溝の他方側にエッジに連通する溝又はサイプをその長さ方向に延長した領域との周方向溝内における最小離間距離が2.0mm以下の態様を意味する。本実施形態では、細溝部41aと定幅部19aとの前記最小離間距離が0となっている(すなわち、前記領域同士が重複している)。このような溝の配置は、ウェット性能をさらに高めることができる。
第4陸部14には、第1周方向溝5から第1トレッド端Te1まで延びる複数の外側ショルダーサイプ43が設けられている。外側ショルダーサイプ43は、例えば、第1陸部11に設けられた第1サイプ16又は第2サイプ17と第1周方向溝5を介して滑らかに連続している。これにより、各サイプが適度に開き易くなり、サイプのエッジが大きな摩擦力を発揮し易くなる。
第5陸部15には、複数の内側ショルダー横溝45と、複数の内側ショルダーサイプ46が設けられている、内側ショルダー横溝45は、例えば、第4周方向溝8から第2トレッド端Te2まで延びている。内側ショルダーサイプ46は、例えば、第4周方向溝8から第2トレッド端Te2まで延びている。
内側ショルダー横溝45は、例えば、第4周方向溝8を介して第3陸部13に設けられた傾斜横断溝35と滑らかに連続しているのが望ましい。また、内側ショルダーサイプ46は、第4周方向溝8を介して第3陸部13に設けられた第2途切れサイプ37と滑らかに連続しているのが望ましい。このような溝及びサイプの配置により、ウェット旋回性能がさらに向上する。
図8には、本発明の他の実施形態の第1陸部11の拡大図が示されている。図8において、上述された構成と共通する構成には同一の符号が付され、ここでの説明は省略される。図8に示されるように、この実施形態の第1サイプ16及び第2サイプ17は、第1縦エッジ11aから横溝20まで、タイヤ軸方向に傾斜して直線状に延びている。第1サイプ16及び第2サイプ17は、例えば、タイヤ軸方向に対して25~50°の角度で傾斜している。この実施形態でも、上述の効果を発揮できる。また、この実施形態では、第1サイプ16及び第2サイプ17に折れ曲がり部が含まれていないため、第1陸部11の耐摩耗性能が向上する。
以上、本発明の一実施形態のタイヤが詳細に説明されたが、本発明は、上記の具体的な実施形態に限定されることなく、種々の態様に変更して実施され得る。
図1の基本パターンを有するサイズ225/45R18のタイヤが試作された。比較例として、図9に示される第1陸部aを有するタイヤが試作された。図9に示されるように、比較例のタイヤの第1陸部aには、第1サイプb及び第2サイプcが横溝dに連通しておらず、第1陸部aを横断している。比較例のタイヤのパターン要素は、上述の事項を除き、図1で示されるものと実質的に同じである。各テストタイヤのウェット旋回性能及び操縦安定性がテストされた。各テストタイヤの共通仕様やテスト方法は、以下の通りである。
装着リム:18×8.0
タイヤ内圧:前輪220kPa、後輪250kPa
テスト車両:排気量2000cc、後輪駆動車
タイヤ装着位置:全輪
<ウェット旋回性能>
ウェット路面からなるサーキットで上記テスト車両を走行させたときのウェット旋回性能が、運転者の官能により評価された。結果は、比較例を100とする評点であり、数値が大きい程、ウェット旋回性能が優れていることを示す。
<操縦安定性>
ドライ路面からなる一般路を走行したときの操縦安定性が、運転者の官能により評価された。結果は、比較例を100とする評点であり、数値が大きい程、操縦安定性が優れていることを示す。
テストの結果が表1に示される。
テストの結果、実施例のタイヤは、優れたウェット旋回性能を発揮していることが確認できた。とりわけ、図2に示される実施形態(実施例1~9)だけでなく、図8に示される実施形態(実施例10)でも優れたウェット旋回性能が発揮されていることが確認できた。以上の通り、本発明では、ウェット旋回性能を向上させたタイヤを提供できることが確認できた。
上述の効果に加えて、実施例1~10のタイヤは、操縦安定性が維持されていることも確認できた。