JP7471440B2 - 被覆工具及びこれを備えた切削工具 - Google Patents
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Description
本開示は、切削加工において用いられる被覆工具及びこれを備えた切削工具に関する。
現在、切削工具や耐摩耗性部材、摺動部材等の耐摩耗性や摺動性、耐チッピング性を必要とする部材の基体として、チタン(Ti)を主成分とするサーメットが広く使われている。
例えば、特許文献1では、工具本体への取り付け用貫通孔を有する表面被覆炭窒化チタン基サーメット製切削インサートが記載されている。特許文献1においては、負荷の高い切削においても異常損傷が少ないインサートを提供するために、取り付け用貫通孔の内面に金属シミダシ層を設けることが記載されている。
本開示の被覆工具は、硬質粒子と結合相とを含有するサーメットである基体と、基体の上に位置する被覆層とを具備する被覆工具である。被覆工具は、第1面と、第2面と、第1面および第2面の稜線の少なくとも一部に位置する切刃と、第1面の反対に位置する第3面と、第1面から第3面にわたる貫通孔と、を有する。貫通孔を構成する内壁は、少なくとも中央部に、基体の内部よりも結合相の含有率が高い結合相富化層を有する。中央部における結合相富化層の厚みT1は、内壁の端部における結合相富化層の厚みT2よりも厚い。被覆層は、少なくとも結合相富化層の上に位置する。被覆層は、立方晶の炭窒化チタンを含有する第1層を有する。第1層は、X線回折分析による炭窒化チタンの配向係数Tc(220)が3.0以上である。
<被覆工具>
以下、本開示の被覆工具について、図面を用いて詳細に説明する。但し、以下で参照する各図は、説明の便宜上、実施形態を説明する上で必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。したがって、本開示の被覆工具は、参照する各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。また、各図中の部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各部材の寸法比率などを忠実に表したものではない。これらの点は、後述する切削工具においても同様である。
以下、本開示の被覆工具について、図面を用いて詳細に説明する。但し、以下で参照する各図は、説明の便宜上、実施形態を説明する上で必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。したがって、本開示の被覆工具は、参照する各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。また、各図中の部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各部材の寸法比率などを忠実に表したものではない。これらの点は、後述する切削工具においても同様である。
切削加工において用いられる被覆工具においては、異常損傷が少ないことが望まれる。本開示は、異常損傷が少ない被覆工具及びこれを備えた切削工具を提供する。
本開示の被覆工具は、硬質粒子と結合相とを含有するサーメットである基体を有する。硬質粒子は、例えば、TiCN、TiC、TiN、(TiM)CN(Mは、W、Nb、Ta、Mo、Vから選ばれる一種以上)である。結合相は、NiやCoなどの鉄族金属を主成分とする。なお、主成分とは、構成成分のうち50質量%以上を占めるものである。
図1、2に示すように、本開示の被覆工具1の形状は、例えば、四角板形状であってもよい。図1における上面である第1面5は、いわゆるすくい面である。また、被覆工具1は、第1面5に繋がる側面である第2面7を有している。
被覆工具1は、第1面5の反対に位置する下面である第3面9を有している。第2面7は、第1面5及び第3面9のそれぞれにつながっている。
本開示の被覆工具1は、第1面5と第2面7とが交わる稜線の少なくとも一部に位置する切刃11を有している。言い換えれば、本開示の被覆工具1は、すくい面と逃げ面とが交わる稜線の少なくとも一部に位置する切刃11を有している。切刃11は、第1面5と第2面7とに連続する第4面を有する。第4面は、第1面5と第2面7との角部を斜め且つ直線的に削ったC面(チャンファー面)であってもよい。また、第4面は、第1面5と第2面7との角部を丸めたR面(ラウンド面)であってもよい。
被覆工具1においては、第1面5の外周の全体が切刃11となっていてもよいが、被覆工具1はこのような構成に限定されるものではなく、例えば、四角形のすくい面における一辺のみ、言い換えれば、4つの第4面のうちの一つに切刃11を有するものであってもよい。
本開示の被覆工具1は、第1面5から第3面9にわたり、基体3を貫通する貫通孔15を有している。図3に示すように、貫通孔15を構成する内壁17には、少なくとも中央部17aにおいて、結合相富化層19が存在している。結合相富化層19は、硬質粒子および結合相を含有し、基体3の内部よりも結合相の含有率の高い領域である。基体3の内部とは、基体3の表面から500μm以上離れた部分を意味する。結合相富化層19は、貫通孔15の内壁17の全てに存在する必要はなく、少なくとも中央部17aに位置していればよい。
中央部17aは、貫通孔15を深さ方向に9等分したときの真ん中である。また、端部17bは、貫通孔15を深さ方向に9等分したときの端である。
図3に示すように、本開示の被覆工具1において、貫通孔15を構成する内壁17の中央部17aにおける結合相富化層19の厚みT1は、貫通孔15を構成する内壁17の端部17bにおける結合相富化層19の厚みT2よりも厚い。中央部17aにおける結合相富化層19の厚みT1および端部17bにおける結合相富化層19の厚みT2とは、それぞれ平均値である。厚みT1および厚みT2は、被覆工具1の断面を金属顕微鏡や電子顕微鏡を用いて観察して測定するとよい。なお、端部17bにおいては、結合相富化層19が存在していなくともよい。
本開示の被覆工具1は、このような構成を有することで、ホルダ(図示しない)への固定の際に大きな力が加わる内壁17を起点として被覆工具1が異常損傷することが抑制される。
図6は、本開示の被覆工具1が有する被覆層の模式的な拡大図である。図6に示すように、被覆工具1は、被覆層30を有する。
被覆層30は、少なくとも結合相富化層19の上に位置している。被覆層30は、第1面5の上に位置していてもよく、また、基体3における第1面5以外の他の面の上に位置していてもよい。被覆層30は、切削加工における被覆工具1の耐摩耗性及び耐チッピング性などの特性を向上させる。
被覆層30は、第1層31及び第2層32を有する。第1層31は、第1面5の上に位置しており、立方晶の炭窒化チタンを含有する。また、第2層32は、第1層31の上に接して位置している。第2層32は、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)を含有していてもよい。
第1層31と基体3の間には、窒化チタン層33を有していてもよい。このような構成を有すると、基体3と第1層31との接合性が高い。
第1層31は、炭窒化チタン層34を有している。第1層31には、炭窒化チタンのほかにも、例えば、チタンの炭化物、窒化物、酸化物、炭酸化物及び炭窒酸化物を含有していてもよい。また、第1層31は、立方晶の炭窒化チタンを含有しているものであれば、単層の構成であってもよく、また、複数の層が積層された構成であってもよい。
窒化チタン層33および炭窒化チタン層34の主成分は、それぞれ窒化チタンおよび炭窒化チタンである。「主成分」とは、他の成分と比較して質量%の値が最も大きい成分であることを意味している。窒化チタン層33および炭窒化チタン層34は、それぞれ窒化チタンおよび炭窒化チタン以外の成分を含有していてもよい。
被覆層30は、第1層31及び第2層32のみによって構成されていてもよく、また、これらの層以外の層を有していてもよい。例えば、基体3及び第1層31の間に別の層が存在していてもよく、また、第2層32の上に別の層が存在していてもよい。
第1層31は、少なくとも結合相富化層19の上に位置している。第1層31は、結合相富化層19よりも硬度が高い部分を有する。このような構成を有すると、クランプ部における耐摩耗性が増す。第1層31は、CVD法やPVD法によって形成されるものであってもよい。
第1層31は、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)分析によって、立方晶の炭窒化チタンの結晶面のうち、(220)面に最大ピークを有する。X線回折分析による炭窒化チタンの配向係数Tc(220)は、3.0以上である。このような構成を有すると、結合相富化層19と第1層31との密着する力が強くなり、結合相富化層19と第1層31との界面からの剥離が起きにくくなることで、剥離に起因する被覆工具1の異常損傷が抑制される。また、第1層31と結合相富化層19との間に他の層が位置する場合には、他の層と第1層31との密着する力が強くなり、他の層と第1層31との界面からの剥離が起きにくくなることで、剥離に起因する被覆工具1の異常損傷が抑制される。
配向係数Tc(hkl)は、下記の式によって算出される。
Tc(hkl)={I(hkl)/I0(hkl)}/〔(1/7)×Σ{I(HKL)/I0(HKL)}〕
Tc(hkl)={I(hkl)/I0(hkl)}/〔(1/7)×Σ{I(HKL)/I0(HKL)}〕
ここで、(HKL)は、(111)、(200)、(220)、(311)、(331)、(420)、(422)の全ての結晶面である。また、(hkl)は、各結晶面である。
I(HKL)およびI(hkl)は、第1層31の立方晶の炭窒化チタンのX線回折分析において検出される各結晶面に帰属されるピークのピーク強度である。
I0(HKL)およびI0(hkl)は、JCPDSカードNo.00-042-1489に記載された各結晶面の標準回折強度である。
上記の配向係数Tc(hkl)は、第1層31の平らな上面から測定すればよく、例えば、第2面7で測定するとよい。
また、酸化アルミニウムを含有する第2層32の例としては、α-アルミナ(α-Al2O3)、γ-アルミナ(γ-Al2O3)及びκ-アルミナ(κ-Al2O3)等が挙げられる。これらのうち、第2層32がα-アルミナを含有している場合には、被覆工具1の耐熱性を高めることができる。第2層32は、上記の化合物のいずれか1つのみを含有する構成であってもよく、また、上記の化合物のうち複数を含有する構成であってもよい。
第2層32に含有される酸化アルミニウムが上記の化合物のいずれであるかは、例えば、X線回折(XRD)分析を行い、ピーク値の分布を観察することにより評価することができる。
第1層31は、炭窒化チタン以外の成分を含有していてもよい。また、第2層32は、酸化アルミニウム以外の成分を含有していてもよい。例えば、第1層31は、酸化アルミニウムを含有していてもよい。また、第2層32は、炭窒化チタンなどのチタン化合物を含有していてもよい。このような場合、第1層31及び第2層32の接合性が向上する。
結合相富化層19は、基体3に比べて硬度が低く、引用文献1に記載されているような金属シミダシ層よりも硬度が高い。そのため、結合相富化層19は、金属シミダシ層よりも変形が抑制されている。
上述の構成を有するため、被覆工具1をクランプによってホルダに固定する際に、内壁17における中央部17aとクランプとの接触において、中央部17aにおける結合相富化層19の抑制された変形により、基体3にかかる局所的な力が小さいため、被覆工具1が割れにくく、異常損傷しにくい。
被覆工具1の大きさは特に限定されるものではないが、例えば、すくい面の一辺の長さが3~20mm程度に設定される。また、被覆工具1の厚みは、例えば1~20mm程度に設定される。また、図1においては、四角形状の被覆工具1を例示したが、例えば、三角形状や円盤状であってもよい。
また、図4に示すように、本開示の被覆工具1は、内壁17に繋がる拡径部21を有していてもよい。貫通孔15と拡径部21との境には段差がある。なお、図4に示す例では、拡径部21の内壁には、結合相富化層19が存在しないが、拡径部21にも結合相富化層19があってもよい。本開示の被覆工具1において、拡径部21は、貫通孔15に含まれない。拡径部21は、いわゆる、ざぐり面である。拡径部21の直径は、貫通孔15の直径よりも、300μm以上大きい。
中央部17aにおける結合相富化層19の厚みT1は、1μm以上であってもよい。また、厚みT1は、20μm以下であってもよい。このような構成によれば、被覆工具1の異常損傷が抑制される。厚みT1は、3μm以上であってもよい。また、厚みT1は10μm以下であってもよい。
端部17bにおける結合相富化層19の厚みT2は、0.2μm以上であってもよい。また、厚みT2は6μm以下であってもよい。このような構成によれば、被覆工具1の異常損傷が抑制される。
図5に示すように、中央部17aにおける直径R1は、端部17bにおける直径R2よりも大きくてもよい。このような構成を有すると、クランプと、内壁17との接触面積が大きくなり、クランプ力が増す。
中央部17aにおける直径R1は、端部17bにおける直径R2よりも5μm以上、30μm以下大きくてもよい。このような構成を有すると被覆工具1の異常損傷が抑制される。
中央部17aにおける結合相富化層19の硬度は、10GPa以上、20GPa以下であってもよい。このような構成によれば、クランプピンが接触した際に、結合相富化層19が適度に変形し、クランプ力が増す。中央部17aにおける結合相富化層19の硬度は、被覆工具1の断面において、露出した結合相富化層19を、ナノインデンテーション法を用いて測定するとよい。
中央部17aにおける結合相富化層19は、貫通孔15の貫通軸側に結合相富化層19よりも結合相の含有量が多い金属層(図示しない)を有していてもよい。この金属層は、硬質層を含まず、金属のみから構成されている。このような構成を有すると、金属層が、後述するクランプと、結合相富化層19の間で緩衝材として機能するため、被覆工具1の異常損傷が抑制される。金属層の厚みは、0.3μm以上、2μm以下であってもよい。
<被覆工具の製造方法>
以下に本開示の被覆工具の製造方法を説明する。
以下に本開示の被覆工具の製造方法を説明する。
本開示の被覆工具の製造に用いられる原料粉末は、一般的にサーメットの製造で用いられるものである。
基体は、例えば、硬質粒子であるTiCNを40質量%以上、80質量%以下含有し、結合相であるCoを6質量%以上、30質量%以下、含有するものであってもよい。また、さらに特性向上のために、基体は、WC、TaC、NbC、Mo2C、VC、ZrCなどを含有してもよい。
上述の組成を有する原材料を用いて、焼成後に貫通孔となる空間を有する形状に成形する。その後、例えば、1400℃以上、1600℃以下の温度で焼成する。この焼成雰囲気をN2分圧雰囲気下としてもよい。
N2分圧を1kPa以上にすると、焼成後の結合相富化層の厚みは厚くなる。また、原料として用いる硬質粒子の平均粒子径d50を0.7μm以下とすると貫通孔の貫通軸(図示しない)側に結合相富化層よりも結合相の含有量が多い金属層を有する結合相富化層が得られる。
なお、上記の成形時に、成形圧が大きいと焼成時の変形を抑制することができる。一方、成形時に成形圧を小さくすると、内壁の中央部における直径R1が、端部における直径R2よりも大きくなりやすい。成形圧と変形の関係は、組成や焼成温度によって変化するため、種々組み合わせて調整するとよい。
例えば、焼成後に回転するブラシを貫通孔の両端部から貫通孔に挿入して貫通孔の内壁を研磨し、中央部における結合相富化層の厚みT1が端部における結合相富化層の厚みT2よりも厚くなるように加工する。なお、ブラシは貫通孔の両側から挿入してもよく、片方から2度に分けて挿入してもよい。
次に、基体の表面に、化学気相蒸着(CVD)法によって被覆層を成膜する。まず、基体の表面に、第1層における炭窒化チタン層を成膜する。水素ガスに、0.5体積%以上10体積%以下の四塩化チタンガスと、1体積%以上60体積%以下の窒素ガスと、0.1体積%以上3.0体積%以下のアセトニトリルガスとを混合し、第1混合ガスを作製する。この第1混合ガスをチャンバ内に導入しながら成膜開始時から、アセトニトリルガスを毎時0.4体積%増加させる。このとき第1混合ガスを、6kPa以上12kPa以下のガス分圧でチャンバ内に導入し、830℃以上870℃以下の温度域でMT-炭窒化チタンを含有する炭窒化チタン層を成膜する。
次に、第2層32を成膜する。成膜温度を950℃以上1100℃以下、ガス圧を5kPa以上20kPa以下とし、反応ガスの組成が、水素ガスに、5体積%以上15体積%以下の三塩化アルミニウム(AlCl3)ガスと、0.5体積%以上2.5体積%以下の塩化水素(HCl)ガスと、0.5体積%以上5.0体積%以下の二酸化炭素ガスと、0体積%以上1体積%以下の硫化水素(H2S)ガスとを混合して、第2混合ガスを作製する。第2混合ガスをチャンバ内に導入し、第2層32を成膜する。これにより、本開示の被覆工具1を得ることができる。
なお、焼成後の時点で、貫通孔以外の領域、例えば、第1面、第2面や第3面において結合相富化層が存在する場合があるが、必要に応じて結合相富化層を除去してもよい。
<切削工具>
次に、本開示の切削工具について図面を用いて説明する。
次に、本開示の切削工具について図面を用いて説明する。
本開示の切削工具101は、図7に示すように、例えば、第1端(図7における上端)から第2端(図7における下端)に向かって延びる棒状体である。切削工具101は、図7に示すように、第1端側(先端側)にポケット103を有するホルダ105と、ポケット103に位置する上記の被覆工具1とを備えている。
また、図8に示すように、被覆工具1の貫通孔15(図1参照)には、クランプ107が挿入されている。図8に示す例では、クランプ107は、中央部17aに位置する結合相富化層19(図2参照)と直接または間接的に接触している。なお、間接的にクランプ107と結合相富化層19が接触するとは、結合相富化層19とクランプ107との間に金属層や被覆層が存在する状態を意味する。クランプ107が接触する結合相富化層19は、基体3よりも変形しやすいため、被覆工具1に局所的に強い力がかかりにくい。また、結合相富化層19を有すると、クランプ107と結合相富化層19との接触面積が大きいため、被覆工具1が切削時にポケット内で動きにくい。このような効果が相まって、本開示の被覆工具1は、異常損傷しにくい。切削工具101は、被覆工具1を備えているため、長期に渡り安定した切削加工を行うことができる。
ポケット103は、被覆工具1が装着される部分であり、ホルダ105の下面に対して平行な着座面と、着座面に対して傾斜する拘束側面とを有している。また、ポケット103は、ホルダ105の第1端側において開口している。
ポケット103には被覆工具1が位置している。このとき、被覆工具1の下面がポケット103に直接に接していてもよく、また、被覆工具1とポケット103との間にシート(不図示)が挟まれていてもよい。
被覆工具1は、すくい面及び逃げ面が交わる稜線における切刃11として用いられる部分の少なくとも一部がホルダ105から外方に突出するようにホルダ105に装着される。本実施形態においては、被覆工具1は、クランプ107によって、ホルダ105に装着されている。すなわち、被覆工具1の貫通孔15にクランプ107を挿入し、このクランプ107の先端をポケット103に形成されたネジ孔(不図示)に挿入してネジ部同士を螺合させることによって、被覆工具1がホルダ105に装着されている。
ホルダ105の材質としては、鋼、鋳鉄などを用いることができる。これらの部材の中で靱性の高い鋼を用いてもよい。
本実施形態においては、いわゆる旋削加工に用いられる切削工具101を例示している。旋削加工としては、例えば、内径加工、外径加工、溝入れ加工及び端面加工などが挙げられる。なお、切削工具101としては旋削加工に用いられるものに限定されない。例えば、転削加工に用いられる切削工具101に上記の実施形態の被覆工具1を用いてもよい。
以下に、本開示の被覆工具について、説明する。
基体は、以下のように作製した。TiCNを40質量%、TiNを12質量%、WCを20質量%、NbCを8質量%、Coを20質量%、その他不可避炭化物を含む原料粉末原料粉末にバインダーを添加した後、プレス成型によって、所望の形状に整え、貫通孔を有する工具形状の成形体を作製した。これらの原料粉末は、一般的に、サーメットの製造で用いられるものである。本開示の基体の組成も特別なものではない。その後、バインダー成分を除去した後、3kPaの窒素雰囲気で、1530℃の温度で1時間保持する条件で焼成し、貫通孔の内壁に金属層を有する結合相富化層を具備する基体を得た。その後、基体に対して前述の被覆層の成膜工程に基づいて被覆層を成膜した。
なお、いずれの被覆工具も第1面、第2面、第3面をブラスト処理して、結合相富化層を除去した。
ブラシによる研磨は、豚毛ブラシに0.1~3μmのダイヤモンド粉末と潤滑油を混ぜた研磨液を塗布し、この豚毛ブラシを回転させながら、貫通孔に挿入して行った。
結合相富化層の中央部および端部における厚み、中央部における直径R1および端部におけるR2は、基体を厚さ方向に貫通軸を含む面で切断して得られた断面で測定した。
また、被覆工具の断面を用いて基体の内部における硬度、結合相富化層の硬度を測定したところ、結合相富化層の硬度は基体の内部における硬度よりも低かった。
得られた被覆工具をホルダのポケットに入れ、被覆工具の貫通孔にクランプを挿入して、このクランプで被覆工具を固定した。そして、以下の条件で、切削試験を行った。
<耐欠損試験>
被削材:SCM435 4本溝(5mm幅)付き
切削速度:300m/min
送り:0.3mm/rev
切込み:0.5mm
切削状態:湿式
評価方法:10000回の衝撃を加えた後のチッピングや欠損の状態の有無について判断した。
被削材:SCM435 4本溝(5mm幅)付き
切削速度:300m/min
送り:0.3mm/rev
切込み:0.5mm
切削状態:湿式
評価方法:10000回の衝撃を加えた後のチッピングや欠損の状態の有無について判断した。
なお、表1における全ての試料の第1層は、X線回折分析による炭窒化チタンの配向係数Tc(220)が3.5であった。本開示の被覆工具の構成を有さない、試料No.1、2、9は、異常損傷が発生した。本開示の被覆工具は、異常損傷が抑制された。また、被覆工具がホルダによく保持されており、加工した被削材の面粗度も良好であった。
以上説明した、本開示の被覆工具及びこれを備えた切削工具は、一例であり、本願の要旨を逸脱しない限り、異なる構成を有していてもよい。
1・・・被覆工具
3・・・基体
5・・・第1面
7・・・第2面
9・・・第3面
11・・・切刃
15・・・貫通孔
17・・・内壁
17a・・中央部
17b・・端部
19・・・結合相富化層
21・・・拡径部
T1・・・中央部における結合相富化層の厚み
T2・・・端部における結合相富化層の厚み
R1・・・中央部における直径
R2・・・端部における直径
101・・・切削工具
103・・・ポケット
105・・・ホルダ
107・・・クランプ
3・・・基体
5・・・第1面
7・・・第2面
9・・・第3面
11・・・切刃
15・・・貫通孔
17・・・内壁
17a・・中央部
17b・・端部
19・・・結合相富化層
21・・・拡径部
T1・・・中央部における結合相富化層の厚み
T2・・・端部における結合相富化層の厚み
R1・・・中央部における直径
R2・・・端部における直径
101・・・切削工具
103・・・ポケット
105・・・ホルダ
107・・・クランプ
Claims (9)
- 硬質粒子と結合相とを含有するサーメットである基体と、前記基体の上に位置する被覆層とを具備する被覆工具であって、
該被覆工具は、
第1面と、
第2面と、
前記第1面および前記第2面の稜線の少なくとも一部に位置する切刃と、
前記第1面の反対に位置する第3面と、前記第1面から前記第3面にわたる貫通孔と、を有し、
前記貫通孔を構成する内壁は、少なくとも中央部に、前記基体の内部よりも前記結合相の含有率が高い結合相富化層を有し、
前記中央部における前記結合相富化層の厚みT1は、前記内壁の端部における前記結合相富化層の厚みT2よりも厚く、
前記被覆層は、少なくとも前記結合相富化層の上に位置し、
前記被覆層は、立方晶の炭窒化チタンを含有する第1層を有し、
該第1層は、X線回折分析による前記炭窒化チタンの配向係数Tc(220)が3.0以上である、被覆工具。 - 前記厚みT1は、1μm以上、20μm以下である請求項1に記載の被覆工具。
- 前記厚みT2は、0.2μm以上、6μm以下である請求項1または2に記載の被覆工具。
- 前記中央部における直径R1は、前記端部における直径R2よりも大きい、請求項1~3のいずれか一つに記載の被覆工具。
- 前記直径R1は、前記直径R2よりも5μm以上、30μm以下大きい、請求項4に記載の被覆工具。
- 前記中央部における前記結合相富化層の硬度は、10GPa以上、20GPa以下である、請求項1~5のいずれか一つに記載の被覆工具。
- 前記中央部における前記結合相富化層は、前記貫通孔の貫通軸側に前記結合相富化層よりも前記結合相の含有量が多い金属層を有する、請求項1~6のいずれか一つに記載の被覆工具。
- 前記被覆層は、前記結合相富化層よりも硬度が高い部分を有する、請求項1~7のいずれか一つに記載の被覆工具。
- 第1端から第2端に亘る長さを有し、前記第1端側に位置するポケットを有するホルダと、
前記ポケットに位置する請求項1~8のいずれか一つに記載の被覆工具と、
該被覆工具の前記貫通孔に挿入されたクランプと、を有する切削工具。
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| JP2012245581A (ja) | 2011-05-26 | 2012-12-13 | Mitsubishi Materials Corp | 表面被覆炭窒化チタン基サーメット製切削インサートおよびその製造方法 |
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