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JP7473872B2 - ガラス物品の製造方法及びガラス物品の製造装置 - Google Patents
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JP7473872B2 - ガラス物品の製造方法及びガラス物品の製造装置 - Google Patents

ガラス物品の製造方法及びガラス物品の製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、ガラス物品の製造方法及びガラス物品の製造装置に関する。
ガラス物品の製造方法は、移送装置を用いて溶融炉で生成された溶融ガラスを成形装置まで移送する移送工程と、成形装置を用いて溶融ガラスから板ガラスなどのガラス物品を成形する成形工程とを含む(例えば特許文献1を参照)。
上記の移送装置には、その移送経路に沿って上流側から下流側に順に間隔を置いて複数の電極が設けられており、これら電極の間で通電することにより、移送装置の内部を移送される溶融ガラスが加熱される(例えば特許文献2、3を参照)。なお、移送装置には、例えば、清澄槽、攪拌槽、状態調整槽(ポット)などが含まれる。
特開2016-88754号公報 特開2012-101970号公報 特開2012-116693号公報
ところで、移送装置に含まれる攪拌槽などは、上下方向に延びる底付きの本体部と、本体部内の溶融ガラスを次工程に移送するために本体部の側壁の下部に設けられる流出部とを備えている。
このような構成の場合、本体部の底部周辺において溶融ガラスの流動性が不十分になり、本体部の底部周辺にガラス停滞層が発生しやすい。このガラス停滞層は、本体部の内部を正常に流動する溶融ガラスとは異なる組成の異質ガラスを含む場合がある。このような異質ガラスが、正常に流動する溶融ガラス中に混入すると、製造されるガラス物品の欠陥となり得る。したがって、高品質のガラス物品を製造する観点からは、本体部の底部周辺におけるガラス停滞層の発生を抑制することが望まれる。
本発明は、上下方向に延びる底付きの本体部の底部周辺におけるガラス停滞層の発生を抑制することを課題とする。
上記の課題を解決するために創案された本発明は、移送装置を用いて溶融ガラスを移送する移送工程を備えるガラス物品の製造方法であって、移送装置は、上下方向に延びる底付きの本体部と、本体部内の溶融ガラスを次工程に移送するために本体部の側壁の下部に設けられる流出部と、本体部内の前記溶融ガラスを排出するために本体部の底部に設けられる排出部と、底部に設けられる第1電極と、排出部に設けられる第2電極とを備え、移送工程では、第1電極と第2電極との間に通電し、排出部を加熱することを特徴とする。
このようにすれば、排出部の加熱によって、本体部の底部周辺の溶融ガラスの温度が上昇する。その結果、本体部の底部周辺の溶融ガラスの流動性が向上し、本体部の底部周辺におけるガラス停滞層の発生を抑制できる。
上記の構成において、移送装置は、第1電極よりも上流側で本体部に設けられる第3電極をさらに備え、移送工程では、第1電極と第3電極との間に通電し、本体部を加熱することが好ましい。
このようにすれば、本体部の加熱によって、本体部の内部の溶融ガラスを好適な温度に調整できる。
上記の構成において、排出部に供給する第1交流電流の最大値をA、本体部に供給する第2交流電流の最大値をB、移送装置への電流供給により第1電極に流れる第3交流電流の最大値をCとした場合に、第3交流電流が、(A+B+AB)1/2≦Cなる関係を満たすように、第1交流電流と第2交流電流との位相差を調整することが好ましい。
このように第1交流電流と第2交流電流との位相差を調整することにより、排出部に第1交流電流を供給する際と、本体部に第2交流電流を供給する際の両方で使用される第1電極(共通電極)に流れる第3交流電流の大きさを簡単かつ確実に増加させることができる。そして、第3交流電流が、上記の式の関係を満たすように、第1交流電流と第2交流電流との位相差を調整すれば、第1電極に流れる第3交流電流が大きくなり、第1電極の周辺の溶融ガラスを効率よく加熱できる。したがって、本体部の底部周辺におけるガラス停滞層の発生をより確実に抑制できる。
上記の構成において、ガラス移送装置は、流出部に設けられる第4電極をさらに備え、移送工程では、第1電極と第4電極との間に通電し、流出部を加熱することが好ましい。
このようにすれば、流出部の加熱によって、流出部の内部の溶融ガラスを好適な温度に調整できる。
上記の構成において、排出部に供給する第1交流電流の最大値をA、本体部に供給する第2交流電流の最大値をB、移送装置への電流供給により第1電極に流れる第3交流電流の最大値をC、流出部に供給する第4交流電流の最大値をDとした場合に、第3交流電流が、(A+B+D+AB+2AD+BD)1/2≦Cなる関係を満たすように、第1交流電流、第2交流電流及び第4交流電流の位相差を調整することが好ましい。
このように第1交流電流、第2交流電流及び第4交流電流の位相差を調整することにより、排出部に第1交流電流を供給する際、本体部に第2交流電流を供給する際、及び流出部に第4交流電流を供給する際のすべてに使用される第1電極(共通電極)に流れる第3交流電流の大きさを簡単かつ確実に増加させることができる。そして、第3交流電流が、上記の式の関係を満たすように、第1交流電流、第2交流電流及び第4交流電流の位相差を調整すれば、第1電極に流れる第3交流電流が大きくなり、第1電極の周辺の溶融ガラスを効率よく加熱できる。したがって、本体部の底部周辺におけるガラス停滞層の発生をより確実に抑制できる。
上記の構成において、移送装置が、本体部、排出部及び流出部を有する攪拌槽を備えることが好ましい。
上記の課題を解決するために創案された本発明は、溶融ガラスを移送する移送装置を備えるガラス物品の製造装置であって、移送装置は、上下方向に延びる底付きの本体部と、本体部内の溶融ガラスを次工程に移送するために本体部の側壁の下部に設けられる流出部と、本体部内の溶融ガラスを排出するために本体部の底部に設けられる排出部と、底部に設けられる第1電極と、排出部に設けられる第2電極と、第1電極と第2電極との間に位置する排出部に電流を供給する電源とを備えることを特徴とする。
このようにすれば、上述の対応する構成と同様の作用効果を享受できる。
本発明によれば、本体部の底部周辺におけるガラス停滞層の発生を抑制できる。
本発明の第1実施形態に係るガラス物品の製造装置を示す側面図である。 本発明の第1実施形態に係るガラス物品の製造装置の攪拌槽周辺を示す断面図である。 本発明の第2実施形態に係るガラス物品の製造装置の攪拌槽周辺を示す断面図である。 本発明の第3実施形態に係るガラス物品の製造装置の攪拌槽周辺を示す断面図である。 本発明の実施例に係る第3交流電流の変化を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。なお、各実施形態において対応する構成要素には同一符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態では、ガラス物品の製造装置及びガラス物品の製造方法を例示する。本実施形態に係るガラス物品の製造装置は、溶融ガラスGmの移送方向の上流側から下流側に順に、溶融炉1と、移送装置2と、成形装置3とを備えている。また、本実施形態に係るガラス物品の製造方法は、溶融工程と、移送工程と、成形工程とを順に備えている。なお、ガラス物品の製造方法は、ガラス物品の製造装置の構成を説明する際に併せて説明する。
溶融炉1は、溶融ガラスGmを連続形成する溶融工程を実施するためのものである。溶融炉1における溶融ガラスGm(あるいはガラス原料)の加熱方式としては、例えば、通電加熱のみで加熱する方式(全電融方式)、ガス燃料の燃焼のみで加熱する方式、通電加熱とガス燃料の燃焼とを併用して加熱する方式を採用できる。
本実施形態では、溶融ガラスGmは、無アルカリガラスからなる。無アルカリガラスは、ガラス組成として、例えば、質量%で、SiO 50~70%、Al 12~25%、B 0~12%、LiO+NaO+KO(LiO、NaO及びKOの合量) 0~1%未満、MgO 0~8%、CaO 0~15%、SrO 0~12%、BaO 0~15%を含む。無アルカリガラスからなる溶融ガラスGmの電気抵抗率は、一般的に高く、例えば溶融炉1の加熱温度1500℃において100Ω・cm以上となる。
溶融ガラスGmは、無アルカリガラスに限定されるものではなく、例えば、ソーダガラス、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラス、アルカリ含有ガラスなどであってもよい。
移送装置2は、溶融炉1から成形装置3に向けて溶融ガラスGmを移送する移送工程を実施するためのものであり、溶融ガラスGmを移送するための移送経路(空間)を内部に有する移送管から構成される。ここで、移送管という用語には、管状構造を有するものの他に、槽状(容器状)構造を有するものも含まれる。
本実施形態では、移送装置2は、清澄槽4と、攪拌槽5と、状態調整槽(ポット)6と、これら各部を接続する接続管7~10とを備えている。つまり、移送工程は、清澄工程と、攪拌工程と、状態調整工程とを備えている。
清澄槽4は、溶融炉1から供給された溶融ガラスGmを清澄剤などの働きによって清澄(泡抜き)する清澄工程を実施するためのものである。
攪拌槽5は、清澄槽4で清澄された溶融ガラスGmを攪拌翼(スターラー)5aによって攪拌し、均一化する均質化工程を実施するためのものである。
状態調整槽6は、攪拌槽5で攪拌された溶融ガラスGmを成形に適した状態に調整する状態調整工程を実施するためのものである。状態調整槽6は、攪拌翼などの機械攪拌手段のない槽であり、移送装置2が上述のように複数の槽を有する場合、最も下流側に位置する。換言すれば、状態調整槽6は、成形装置3の直前で溶融ガラスGmの流量や粘度等を調整する槽である。
接続管7~10は、例えば白金又は白金合金からなる筒状体(例えば円筒体)で構成されており、溶融ガラスGmを横方向(略水平方向)に移送する。本実施形態では、移送装置2のうち、最上流部に位置する接続管7と、攪拌槽5と状態調整槽6を接続する接続管9とは、下流側が上流側よりも上方に位置するように傾斜している。
成形装置3は、上記の移送装置2で移送された溶融ガラスGmを所望の形状に成形する成形工程を実施するためのものである。本実施形態では、成形装置3は、オーバーフローダウンドロー法によって、溶融ガラスGmからガラスリボンGを連続成形する成形体を備えている。
成形装置3は、スロットダウンドロー法などの他のダウンドロー法や、フロート法などの公知の成形方法を実施するものであってもよい。
オーバーフローダウンドロー法の場合、成形装置3に供給された溶融ガラスGmは成形装置3の頂部に形成された溝部から溢れ出た溶融ガラスGmが成形装置3の断面楔状をなす両側面を伝って下端で合流することで、板状のガラスリボンGが連続成形される。成形されたガラスリボンGは、徐冷(アニール)及び冷却された後に所定サイズに切断され、ガラス物品としての板ガラスが製造される。
製造された板ガラスは、例えば、厚みが0.01~10mm(好ましくは0.1~3mm)であって、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどのパネルディスプレイ、有機EL照明、太陽電池などの基板や保護カバーに利用される。
図2に示すように、攪拌槽5は、本体部11と、流入部12と、流出部13と、排出部14とを備えている。
本体部11は、上下方向に沿って延びる底付きの筒状体であり、その内部に攪拌翼5aを備えている。この攪拌翼5aを軸まわりに回転させることで、本体部11内の溶融ガラスGmを攪拌可能に構成されている。
本体部11は、上部側壁に設けられる流入口15と、下部側壁に設けられる流出口16と、底部に設けられる排出口17とを備える。
流入口15には、横方向に沿って延びる筒状の流入部12が接続されている。流入部12の上流側の端部には、接続管8が接続されている。つまり、流入部12を通じて前工程(本実施形態では、清澄槽4)から溶融ガラスGmが本体部11内に移送される。
流出口16には、横方向に沿って延びる筒状の流出部13が接続されている。流出部13の下流側の端部には、接続管9が接続されている。つまり、流出部13を通じて本体部11内の溶融ガラスGmが次工程(本実施形態では、状態調整槽6)に移送される。
排出口17には、上下方向に沿って延びる筒状の排出部(ドレイン)14が接続されている。ガラス物品の製造時には、排出部14内で固化した固化ガラスGxによって排出部14は閉塞されている。一方、溶融ガラスGmの排出時には、排出部14内の固化ガラスGxを加熱して軟化流動させることにより、本体部11内の溶融ガラスGmが排出部14を通じて外部に排出される。
本体部11の底部(下端部)には第1電極18が設けられ、排出部14の下端部には第2電極19が設けられている。第2電極19の位置は、第1電極18よりも下方であれば、排出部14のいずれの位置であってもよい。ただし、排出部14の通電による加熱領域を拡大する観点からは、排出部14の下端部に第2電極19を設けることが好ましい。
各電極18,19は、例えば白金又は白金合金からなるリング状のフランジ部からなり、所定の位置で攪拌槽5の外周面に溶接等により接合されている。なお、図示は省略するが、各電極18,19は、後述する電流供給経路20を接続するための引き出し電極(例えば白金又は白金合金製)や、冷却機構(例えば水冷)をさらに備えている。
第1電極18と第2電極19との間には、これら電極18,19の間に位置する排出部14に通電するための第1電流供給経路20が設けられている。第1電流供給経路20には、第1電極18と第2電極19との間に電圧を印加する第1電源(電圧源)21が設けられている。第1電源21により電圧を印加することにより、排出部14には、第1交流電流i1が供給される。
このようにすれば、排出部14の通電加熱によって、本体部11の底部周辺の溶融ガラスGmの温度が上昇する。その結果、本体部11の底部周辺の溶融ガラスGmの流動性が向上し、本体部11の底部周辺におけるガラス停滞層の発生を抑制できる。
なお、このようなガラス物品の製造時における排出部14の通電加熱は、排出部14の固化ガラスGxが軟化流動しない程度、つまり、排出部14から溶融ガラスGmが流出しない程度とする。例えば排出部14の固化ガラスGxの温度を軟化点以下となるように通電加熱すればよい。一方、排出部14を通じて本体部11内の溶融ガラスGmを外部に排出する際は、第1電源21により供給する第1交流電流i1をガラス物品の製造時よりも大きくし、排出部14の固化ガラスGxを軟化流動させる。
(第2実施形態)
図3に示すように、第2実施形態では、攪拌槽5の変形例を例示する。なお、攪拌槽5の基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
本実施形態では、本体部11の上端部には、第3電極22が設けられている。なお、第3電極22の位置は、第1電極18よりも上流側であれば、本体部11のいずれの位置であってもよい。ただし、本体部11の通電による加熱領域を拡大する観点からは、第3電極22の位置は、本体部11内の溶融ガラスGmの液面Gsよりも上方であることが好ましく、本体部11の上端部であることがより好ましい。
第1電極18と第3電極22との間には、これら電極18,22の間に位置する本体部11に通電するための第2電流供給経路23が設けられている。第2電流供給経路23には、第1電極18と第3電極22との間に電圧を印加する第2電源(電圧源)24が設けられている。第2電源24により電圧を印加することにより、本体部11には、第2交流電流i2が供給される。なお、第1電極18は、第1電流供給経路20及び第2電流供給経路23の両方で使用される共通電極である。
このようにすれば、本体部11の通電加熱によって、本体部11内の溶融ガラスGmを好適な温度に調整できる。したがって、第1電源21により排出部14に供給する第1交流電流i1の大きさを小さくしても、本体部11の底部周辺におけるガラス停滞層の発生を確実に抑制できる。
さらに本実施形態では、攪拌槽5には、第1交流電流i1と第2交流電流i2との位相差θを調整する位相調整部25が設けられている。位相調整部25は、第1電源21及び第2電源24に接続されている。第1電源21、第2電源24及び位相調整部25は、例えば三相交流電源により構成される。三相交流電源の場合、接続端子を適宜変更することにより(例えばTR、RT、RS、SRなど)、第1交流電流i1と第2交流電流i2との位相差θを調整できる。
例えば、位相調整部25は、第1交流電流i1の最大値をA、第2交流電流i2の最大値をB、第1交流電流i1及び第2交流電流i2の供給により第1電極18に流れる第3交流電流i3の最大値をCとした場合に、第3交流電流i3が、下記の式(1)の関係を満足するように、第1交流電流i1及び第2交流電流i2の位相差θを調整するように構成される。つまり、ガラス物品の製造方法では、移送工程(本実施形態では、移送工程に含まれる攪拌工程)において、第3交流電流i3が、下記の式(1)の関係を満足するように、第1交流電流i1及び第2交流電流i2の位相差θを調整する。
(A+B+AB)1/2≦C・・・(1)
ここで、i1=Asin(ωt+θ)、i2=Bsinωt、i3=i2-i1と定義する。なお、ωは角速度、tは時間、θは第2交流電流i2に対する第1交流電流i1の位相差である。位相差θは、第2交流電流i2の位相を基準としているが、これに限定されない。図3において各電流の向きを定義しているので、第1電極18の付け根(本体部11との接合部)を分岐点と考えた場合、分岐点への流入電流はi2、分岐点からの流出電流はi1及びi3となるため、第3交流電流i3は、キルヒホッフの法則より、上記のように「i2-i1」で表される。
この場合、第3交流電流i3は、三角関数の加法定理より、下記の式(2)で表すことができる。
i3=Bsinωt-Asin(ωt+θ)
=(B-Acosθ)sinωt-Asinθcosωt・・・(2)
さらに、式(2)は、三角関数の合成公式より、下記の式(2)’で表すことができる。
i3={(B-Acosθ)+Asinθ}1/2sin(ωt-α)
=(A+B-2ABcosθ)1/2sin(ωt-α)・・・(2)’
ここで、sinα=Asinθ/(A+B-2ABcosθ)1/2であり、cosα=(B-Acosθ)/(A+B-2ABcosθ)1/2である。
-1≦sin(ωt-α)≦1であるので、sin(ωt-α)=1のときに、式(2)’は最大値を示す。つまり、第3交流電流i3の最大値Cは、下記の式(3)で表される。
C=(A+B-2ABcosθ)1/2・・・(3)
このように第1交流電流i1と第2交流電流i2との位相差θを調整することにより、第1電極18に流れる第3交流電流i3の大きさを簡単かつ確実に調整できる。そして、第3交流電流i3が、上記の式(1)の関係を満たすように、第1交流電流i1と第2交流電流i2との位相差θを調整すれば、第1電極18に流れる第3交流電流i3が大きくなり、第1電極18や本体部11の底部周辺を効率よく加熱できる。このため、本体部11の底部周辺の溶融ガラスGmの流れが良好になる。つまり、本体部11の底部周辺におけるガラス停滞層の発生をより確実に抑制できる。
位相調整部25は、下記の式(4)の関係を満足するように、第1交流電流i1及び第2交流電流i2の位相差θを調整するように構成されていることが好ましい。
A+B=C・・・(4)
ここで、位相差θは、120°~240°(あるいは-120°~-240°)であることが好ましく、180°(あるいは-180°)であることがより好ましい。なお、式(1)の左辺は、θ=120°(あるいは-120°)のときの式(3)の値であり、式(4)の左辺は、θ=180°(あるいは-180°)のときの式(3)の値である。
第1交流電流i1の最大値Aと第2交流電流i2の最大値Bは、同じ値であってもよいが、異なる値であることが好ましい(例えば、B>A)。また、上記の式(1)又は(4)の関係を満たすように、位相差θとともに、第1交流電流i1の最大値A及び第2交流電流i2の最大値Bのうちの少なくとも一つを調整してもよい。
(第3実施形態)
図4に示すように、第3実施形態では、攪拌槽5の変形例を例示する。なお、攪拌槽5の基本的な構成は第2実施形態と同様であるため、第2実施形態との相違点を中心に説明する。
本実施形態では、流出部13(図示例では、流出部13の下流端)には、第4電極26が設けられている。
第1電極18と第4電極26との間には、これら電極18,26の間に位置する流出部13に通電するための第3電流供給経路27が設けられている。第3電流供給経路27には、第1電極18と第4電極26との間に電圧を印加する第3電源(電圧源)28が設けられている。第3電源28により電圧を印加することにより、流出部13には、第4交流電流i4が供給される。なお、第1電極18は、第1電流供給経路20、第2電流供給経路23及び第3電流供給経路27のすべてで使用される共通電極である。
このようにすれば、流出部13の通電加熱によって、流出部13内の溶融ガラスGmを好適な温度に調整できる。したがって、第1電源21により排出部14に供給する第1交流電流i1の大きさを小さくしても、本体部11の底部周辺におけるガラス停滞層の発生を確実に抑制できる。
さらに本実施形態では、位相調整部25は、第1電源21、第2電源24及び第3電源28に接続されており、第1交流電流i1及び第2交流電流i2の位相差θ1と、第2交流電流i2及び第4交流電流i4の位相差θ2とを調整するように構成されている。第1電源21、第2電源24、第3電源28及び位相調整部25は、例えば三相交流電源により構成される。
例えば、位相調整部25は、第1交流電流i1の最大値をA、第2交流電流i2の最大値をB、第3交流電流i3の最大値をC、第4交流電流i4の最大値をDとした場合に、第3交流電流i3が、下記の式(5)の関係を満足するように、第1交流電流i1及び第2交流電流i2の位相差θ1と、第2交流電流i2及び第4交流電流i4の位相差θ2とを調整するように構成される。つまり、ガラス物品の製造方法では、移送工程(本実施形態では、移送工程に含まれる攪拌工程)において、第3交流電流i3が、下記の式(5)の関係を満足するように、第1交流電流i1及び第2交流電流i2の位相差θ1と、第2交流電流i2及び第4交流電流i4の位相差θ2とを調整する。
(A+B+D+AB+2AD+BD)1/2≦C・・・(5)
ここで、i1=Asin(ωt+θ1)、i2=Bsinωt、i4=Dsin(ωt+θ2)、i3=i2-i1-i4と定義する。なお、ωは角速度、tは時間、θ1は第2交流電流i2に対する第1交流電流i1の位相差、θ2は第2交流電流i2に対する第4交流電流i4の位相差である。位相差θ1,θ2は、第2交流電流i2の位相を基準としているが、これに限定されない。第3交流電流i3は、第1交流電流i1、第2交流電流i2及び第4交流電流i4の供給により、第1電極18に流れる電流である。
この場合、第3交流電流i3は、三角関数の加法定理より、下記の式(6)で表すことができる。
i3=Bsinωt-Asin(ωt+θ1)-Dsin(ωt+θ2)
=(B-Acosθ1-Dcosθ2)sinωt
-(Asinθ1+Dsinθ2)cosωt・・・(6)
さらに、式(6)は、三角関数の合成公式より、下記の式(6)’で表すことができる。
i3={(B-Acosθ1-Dcosθ2)
+(Asinθ1+Dsinθ2)1/2sin(ωt-α)・・・(6)’
ただし、r={(B-Acosθ1-Dcosθ2)+(Asinθ1+Dsinθ2)1/2とすると、sinα=(Asinθ1+Dsinθ2)/rであり、cosα=(B-Acosθ1-Dcosθ2)/rである。
-1≦sin(ωt-α)≦1であるので、sin(ωt-α)=1のときに、式(6)’は最大値を示す。つまり、第3交流電流i3の最大値Cは、下記の式(7)で表される。
C={(B-Acosθ1-Dcosθ2)
+(Asinθ1+Dsinθ2)1/2・・・(7)
このように第1交流電流i1、第2交流電流i2及び第4交流電流i4の間の位相差θ1,θ2を調整することにより、第1電極18に流れる第3交流電流i3の大きさを簡単かつ確実に調整できる。そして、第3交流電流i3が、上記の式(5)の関係を満たすように、第1交流電流i1、第2交流電流i2及び第4交流電流i4の間の位相差θ1,θ2を調整すれば、第1電極18に流れる第3交流電流i3が大きくなり、第1電極18や本体部11の底部周辺を効率よく加熱できる。このため、本体部11の底部周辺にガラス停滞層が発生するのをより確実に抑制できる。
位相調整部25は、下記の式(8)の関係を満足するように、第1交流電流i1、第2交流電流i2及び第4交流電流i4の間の位相差θ1,θ2を調整するように構成されていることが好ましい。
A+B+D=C・・・(8)
ここで、位相差θ1及びθ2は、120°≦θ≦240°(あるいは-120°≧θ≧-240°)であることが好ましく、180°(あるいは-180°)であることがより好ましい。なお、式(5)の左辺は、θ1=θ2=120°(あるいは-120°)のときの式(7)の値であり、式(8)の左辺は、θ1=θ2=180°(あるいは-180°)のときの式(7)の値である。
第1交流電流i1の最大値A、第2交流電流i2の最大値B及び第4交流電流i4の最大値Dは、同じ値であってもよいが、異なる値であることが好ましい(例えば、B>D>A)。また、上記の式(5)又は(8)の関係を満たすように、位相差θ1,θ2とともに、第1交流電流i1の最大値A、第2交流電流i2の最大値B及び第4交流電流i4の最大値Dのうちの少なくとも一つを調整してもよい。
本発明は、上記の実施形態の構成に限定されるものではなく、上記した作用効果に限定されるものでもない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
上記の実施形態で説明した通電加熱方法は、複数の本体部を連ねた攪拌槽にも適用できる。この場合、隣接する二つの本体部の一方の上部と、他方の下部を接続管で接続することが好ましい。
上記の実施形態において、攪拌槽の流入部に電極をさらに設け、流入部の電極と本体部の第3電極との間でさらに通電してもよい。このようにすれば、流入部や本体部の上端部の加熱が促進される。
上記の実施形態で説明した通電加熱方法は、移送装置のうちの攪拌槽以外の部分にも同様に適用できる。
上記の実施形態では、成形装置で成形されるガラス物品が板ガラスである場合を説明したが、これに限定されない。成形装置で成形されるガラス物品は、例えば、ガラスフィルムをロール状に巻き取ったガラスロール、光学ガラス部品、ガラス管、ガラスブロック、ガラス繊維などであってもよいし、任意の形状であってよい。
以下、本発明に係る実施例について説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
本実施例では、図4に示した攪拌槽5において、第1交流電流i1と第2交流電流i2との位相差θ1、第2交流電流i2と第4交流電流i4との位相差θ2を変化させときの第3交流電流i3及びその最大値Cの変化をそれぞれ示す。なお、第1交流電流i1の最大値Aは500A、第2交流電流i2の最大値Bは3000A、第4交流電流i4の最大値Dは2000Aとした。このときの第3交流電流i3及びその最大値Cは、上記の式(6)及び(7)から求められる。その結果を図5及び表1に示す。
Figure 0007473872000001
図5及び表1から、第1交流電流i1と第2交流電流i2の位相差θ1、第2交流電流i2と第4交流電流i4の位相差θ2を適切に管理しなければ、実施例4~5のように第3交流電流i3の最大値Cが小さくなり、第1電極18及びその周辺の加熱効率が低下することが分かる。これに対し、第1交流電流i1と第2交流電流i2の位相差θ1、第2交流電流i2と第4交流電流i4の位相差θ2を適切に管理すれば、実施例1~3のように、第3交流電流i1の最大値Cが大きくなり、第1電極18及びその周辺を効率よく加熱できることが分かる。ここで、実施例1及び2では、第3交流電流i1の最大値Cが上記の式(5)の関係を満たし、実施例3では、第3交流電流i1の最大値Cが上記の式(8)の関係を満たす。
1 溶融炉
2 移送装置
3 成形装置
4 清澄槽
5 攪拌槽
6 状態調整槽
11 本体部
12 流入部
13 流出部
14 排出部
18 第1電極
19 第2電極
20 第1電流供給経路
21 第1電源
22 第3電極
23 第2電流供給経路
24 第2電源
25 位相調整部
26 第4電極
27 第3電流供給経路
28 第3電源
G ガラスリボン
Gm 溶融ガラス
i1 第1交流電流
i2 第2交流電流
i3 第3交流電流
i4 第4交流電流

Claims (7)

  1. 移送装置を用いて溶融ガラスを移送する移送工程を備えるガラス物品の製造方法であって、 前記移送装置は、上下方向に延びる底付きの本体部と、前記本体部内の前記溶融ガラスを次工程に移送するために前記本体部の側壁の下部に設けられる流出部と、前記本体部内の前記溶融ガラスを排出するために前記本体部の底部に設けられる排出部と、前記底部に設けられる第1電極と、前記排出部に設けられる第2電極とを備え、
    前記移送工程では、前記第1電極と前記第2電極との間に通電し、前記排出部を加熱することにより、前記底部において前記溶融ガラスの温度を上昇させることを特徴とするガラス物品の製造方法。
  2. 前記移送装置は、前記第1電極よりも上流側で前記本体部に設けられる第3電極をさらに備え、
    前記移送工程では、前記第1電極と前記第3電極との間に通電し、前記本体部を加熱する請求項1に記載のガラス物品の製造方法。
  3. 前記排出部のうち前記第1電極と前記第2電極との間に位置する部分に供給される第1交流電流の最大値をA、前記本体部のうち前記第1電極と前記第3電極との間に位置する部分に供給される第2交流電流の最大値をB、前記移送装置への電流供給により前記第1電極に流れる第3交流電流の最大値をCとした場合に、
    前記第3交流電流が、
    (A+B+AB)1/2≦C
    なる関係を満たすように、前記第1交流電流と前記第2交流電流との位相差を調整する請求項2に記載のガラス物品の製造方法。
  4. 記移送装置は、前記流出部に設けられる第4電極をさらに備え、
    前記移送工程では、前記第1電極と前記第4電極との間に通電し、前記流出部を加熱する請求項2に記載のガラス物品の製造方法。
  5. 前記排出部のうち前記第1電極と前記第2電極との間に位置する部分に供給される第1交流電流の最大値をA、前記本体部のうち前記第1電極と前記第3電極との間に位置する部分に供給される第2交流電流の最大値をB、前記移送装置への電流供給により前記第1電極に流れる第3交流電流の最大値をC、前記流出部のうち前記第1電極と前記第4電極との間に位置する部分に供給される第4交流電流の最大値をDとした場合に、
    前記第3交流電流が、
    (A+B+D+AB+2AD+BD)1/2≦C
    なる関係を満たすように、前記第1交流電流、前記第2交流電流及び前記第4交流電流の位相差を調整する請求項4に記載のガラス物品の製造方法。
  6. 前記移送装置が、前記本体部、前記排出部及び前記流出部を有する攪拌槽を備える請求項1~5のいずれか1項に記載のガラス物品の製造方法。
  7. 溶融ガラスを移送する移送装置を備えるガラス物品の製造装置であって、
    前記移送装置は、
    上下方向に延びる底付きの本体部と、
    前記本体部内の前記溶融ガラスを次工程に移送するために前記本体部の側壁の下部に設けられる流出部と、
    前記本体部内の前記溶融ガラスを排出するために前記本体部の底部に設けられる排出部と、
    通電加熱装置とを備え、
    前記通電加熱装置は、前記底部に設けられる第1電極と、前記排出部に設けられる第2電極と、前記排出部のうち前記第1電極と前記第2電極との間に位置する部分に電流を供給する電源とを備え
    前記通電加熱装置は、前記第1電極と前記第2電極との間に通電して前記排出部を加熱することにより、前記底部において前記溶融ガラスの温度を上昇させるように構成されていることを特徴とするガラス物品の製造装置。
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