JP7474207B2 - 空燃比制御装置 - Google Patents
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Description
本発明は、内燃機関において、排気中の酸素濃度に基づいて空燃比を制御する空燃比制御装置に関する。
従来、内燃機関の排気に接するように設けられた酸素センサの出力情報により得られる空燃比に基づき、内燃機関の内燃プロセスにおける空燃比フィードバック制御を行うことが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の技術では、酸素センサとして、検出部の内部抵抗に基づいて酸素を検出する抵抗型酸素センサが用いられる。この酸素センサでは、排気ガス中の酸素含有量を示す第1の値が、酸素センサの検出部の抵抗に基づいて決定される。また、酸素センサの温度を示す第2の値が、酸素センサのヒータ部分の抵抗に基づいて決定される。そして、第1の値及び第2の値の関数としての空燃比が、第3の値として決定される。
この技術によれば、第3の値を決定するための関数に、第1の値にリアルタイムで影響を及ぼす第2の値が含まれるので、酸素センサの温度によりその出力特性が変化しても、空燃比が精度良く検出される。
しかしながら、上記特許文献1の技術によれば、酸素センサの検出部の抵抗値及びヒータ部分の抵抗値に基づいて空燃比が算出されるので、各抵抗値が製造公差や経時変化でばらつくと、これらに基づいて得られる空燃比が大きくばらつくおそれがある。これに応じて、空燃比フィードバック制御の精度も大きく低下するおそれがある。
本発明の目的は、かかる従来技術の問題点に鑑み、酸素センサの製造公差及び経時変化による各抵抗値のばらつきに拘わらず、正確な空燃比フィードバック制御を行うことができる空燃比制御装置を提供することにある。
本発明の空燃比制御装置は、
排気脈動を有する内燃機関の排気に接するように設けられ、該排気のストイキメトリック近傍の酸素濃度において抵抗値が略ステップ(階段)状に変化する検出部を有し、前記検出部の抵抗値から求める検出値が前記検出部の温度と前記排気脈動とに応じる波高値を有したパルス波状を呈する抵抗型酸素センサと、
前記検出部の温度を推定又は検出する温度読取部と、
複数の空気過剰率値を、前記温度についての複数の第1目盛値、及び前記検出値についての複数の第2目盛値との対応関係を付けて示すデータマップを参照して空気過剰率を算出する過剰率算出部とを備え、
前記空気過剰率と、目標空気過剰率との偏差に基づいて空燃比フィードバック制御を行う空燃比制御装置であって、
前記データマップと、前記検出値がリッチ領域、ストイキ領域又はリーン領域の何れの空燃比領域に該当するかを判別するためのリッチ側閾値及びリーン側閾値を前記第1目盛値との対応関係を付けて示すルックアップテーブルとを記憶している記憶部と、
前記目標空気過剰率を前記ストイキメトリック近傍に設定して前記検出値の波高値を取得するとともに、前記波高値が前記空燃比領域の何れかに該当するかを点検する特性点検部とを備え、
前記点検により前記波高値が前記リッチ側閾値及びリーン側閾値に該当するように、アフィン変換の要領で前記データマップ及び前記ルックアップテーブルを較正する較正部を備えることを特徴とする。
排気脈動を有する内燃機関の排気に接するように設けられ、該排気のストイキメトリック近傍の酸素濃度において抵抗値が略ステップ(階段)状に変化する検出部を有し、前記検出部の抵抗値から求める検出値が前記検出部の温度と前記排気脈動とに応じる波高値を有したパルス波状を呈する抵抗型酸素センサと、
前記検出部の温度を推定又は検出する温度読取部と、
複数の空気過剰率値を、前記温度についての複数の第1目盛値、及び前記検出値についての複数の第2目盛値との対応関係を付けて示すデータマップを参照して空気過剰率を算出する過剰率算出部とを備え、
前記空気過剰率と、目標空気過剰率との偏差に基づいて空燃比フィードバック制御を行う空燃比制御装置であって、
前記データマップと、前記検出値がリッチ領域、ストイキ領域又はリーン領域の何れの空燃比領域に該当するかを判別するためのリッチ側閾値及びリーン側閾値を前記第1目盛値との対応関係を付けて示すルックアップテーブルとを記憶している記憶部と、
前記目標空気過剰率を前記ストイキメトリック近傍に設定して前記検出値の波高値を取得するとともに、前記波高値が前記空燃比領域の何れかに該当するかを点検する特性点検部とを備え、
前記点検により前記波高値が前記リッチ側閾値及びリーン側閾値に該当するように、アフィン変換の要領で前記データマップ及び前記ルックアップテーブルを較正する較正部を備えることを特徴とする。
この構成において、酸素センサの検出部の検出値は、内燃機関の排気脈動に応動した波高値を有するパルス波状を呈している。また、酸素センサの検出部の温度は上記波高に影響を与えており、例えば低温(100degC以下)では波高がほぼゼロ(酸素センサ不活性)となる。
而して本発明において、空燃比(空気過剰率)は、複数の空気過剰率値を上記検出値に関する酸素センサの検出部の抵抗値(センサ電圧値)及びヒータ部の抵抗値から求める検出部の温度値との対応関係を付けて示すデータマップを介して算出されるので、検出部の抵抗値又はヒータ部の抵抗値がばらつくと、これらの抵抗値に基づいて得られる空気過剰率も不正確なものとなり、適切な空燃比フィードバック制御に支障を来たすおそれがある。
そこで、本発明では、上記データマップにおける検出値と温度との対応関係が、正確な空気過剰率を算出するための適切な関係性を呈するように、目標空気過剰率をストイキメトリック近傍に設定して実際に計測した酸素センサの検出値の波高を、標準(中央値;メディアン)的な波高値を示しているリッチ側及びリーン側閾値と各比較点検をするとともに、その点検の結果に基づいて上記実際に計測した検出値の波高値がリッチ側及びリーン側閾値に合致する(波高の尖頭が閾値に重なる)ような対応関係を提供する上記データマップの第1、第2目盛値、ルックアップテーブルのリッチ側、リーン側閾値夫々をアフィン変換して求め、かくしてデータマップ及びルックアップテーブルを較正している。
したがって、本発明によれば、各抵抗値のばらつきに対応して較正されたデータマップ及びルックアップテーブルを用いて空気過剰率を算出することにより、酸素センサの各抵抗値のばらつきに拘わらず、正確な空気過剰率を算出して適切な空燃比フィードバック制御を行うことができる。
本発明において、前記特性点検部は、前記内燃機関が停止した状態で、前記検出部の温度が該検出部の雰囲気温度に収束するに足る所定時間が経過した場合に、前記検出部の温度の基準値からのずれ量を取得する温度差確認部を備え、前記点検並びに前記過剰率算出部で用いる制御用の検出部温度として、前記検出部の温度を前記ずれ量に基づいて補正した値を用いてもよい。
これによれば、一旦加熱されて昇温した検出部の温度が酸素濃度センサの雰囲気温度に収束するに足る所定時間が経過してから、基準値からのずれ量に基づいて補正された制御用の検出部温度に基づいて制御が行われるので、より正確な空燃比フィードバック制御を行うことができる。
この場合、前記特性点検部は、前記制御用の検出部温度が所定値以下の場合に、前記検出部の抵抗値から求める検出値の所定時間内における平均値と前記リーン側閾値との偏差を取得する電圧差確認部を備え、前記点検並びに前記過剰率算出部に用いる制御用の検出値として、前記抵抗値から求める検出値を前記偏差に基づいて補正した値を用いてもよい。
これによれば、検出部温度が充分に低い所定値以下のとき、すなわち酸素濃度センサが不活性で検出値を示す電圧が動かない状態で、リーン側閾値との偏差が求められ、該偏差に基づいて補正された制御用の検出値に基づいて制御が行われるので、より正確な空燃比フィードバック制御を行うことができる。
この場合、前記複数の第1目盛値を拡大又は縮小することにより前記データマップ及び前記ルックアップテーブルを較正するための第1較正倍率値を記憶しており、時間の経過に伴って変化する前記制御用の検出値の波高のうち前記リーン側閾値に近い波高の尖頭と該リーン側閾値とを対比した場合に、該尖頭が前記リーン領域にある場合には前記第1較正倍率値を増加し、該尖頭が前記ストイキ領域にある場合には該第1較正倍率値を減少してもよい。
これによれば、検出値のリーン側閾値に近い波高の尖頭がリーン側閾値に近づくので、リーン側の波高値がリーン側閾値に該当するようにデータマップ及びルックアップテーブルを較正することができる。
本発明において、前記較正部は、前記複数の第2目盛値、前記リッチ側閾値及び前記リーン側閾値へと乗じることにより前記データマップ及び前記ルックアップテーブルを較正するための第2較正倍率値を有しており、時間の経過に伴って変化する前記制御用の検出値の前記波高のうちの前記リッチ側閾値に近い波高の尖頭が前記リッチ領域にある場合は第2較正倍率値を増加し、該尖頭が前記ストイキ領域にある場合は第2較正倍率値を減少してもよい。
これによれば、検出値のリッチ側閾値に近い波高の尖頭がリッチ側閾値に近づくので、リッチ側の波高値がリッチ側閾値に該当するようにデータマップ及びルックアップテーブルを較正することができる。
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る空燃比制御装置を備える4サイクル形式の内燃機関の主要部の構成を示す。この空燃比制御装置は、内燃機関の排気中の酸素濃度に基づいて得られる空気過剰率と、目標空気過剰率との偏差に基づいて空燃比フィードバック制御を行う機能を有する。
同図に示すように、この内燃機関の機関本体1は、吸入ポートに設けられた吸気管2と、吸気管2内に設けられてエアクリーナ4から吸入ポートに供給される吸気の量を開度に応じて調整するスロットル弁3とを備える。
スロットル弁3には、スロットル弁3の開度を検出するスロットルセンサ5が設けられる。吸気管2の吸入ポート近傍には、燃料を噴射する燃料噴射弁6が設けられる。燃料噴射弁6には、図示しない燃料タンクから燃料ポンプによって燃料が圧送される。
吸気管2には、吸気管2における吸気圧を検出する吸気圧センサ7及び吸気管2内の吸入空気の温度を検出する吸気温センサ8が設けられる。機関本体1の排気ポートに連結された排気管10内には、排気管10の排気中の未燃焼成分を低減させる触媒11及び排気中の酸素濃度を検出する酸素センサ12が設けられる。
機関本体1には、点火装置14に接続された点火プラグ13が固着される。ECU(電子制御ユニット)15が点火装置14に対して点火タイミングの指令を発することにより、機関本体1のシリンダ燃焼室内で火花放電が生じる。
ECU15には、スロットルセンサ5、吸気圧センサ7、吸気温センサ8、酸素センサ12、冷却水温センサ17、及び大気圧を検出する大気圧センサ20のそれぞれの検出値を示すアナログ電圧が入力される。また、ECU15には、上記の燃料噴射弁6が接続される。
ECU15には、さらに、クランク角度センサ19からのクランク軸18の回転角度位置を示す信号が入力される。すなわち、クランク角度センサ19は、クランク軸18に連動して回転するロータ19aの外周に所定角度(例えば、15度)毎に設けられた複数の凸部を、ロータ19aの外周近傍に配置されたピックアップ19bによって磁気的あるいは光学的に検出し、ピックアップ19bからクランク軸18の所定角度の回転毎にパルス(クランク信号)を発生する。
具体的には、クランク角度センサ19は、ピストン9が上死点に至る毎に、又はクランク軸18が360度回転する毎に基準角度を示す信号をECU15に出力する。
図2は、ECU15における主要な構成を示す。同図に示すように、ECU15に排気中の酸素濃度の検出信号を供給する酸素センサ12は、排気脈動を有する内燃機関の排気に接するように設けられて排気中の酸素濃度を検出する検出部としてのセンサ素子12aと、センサ素子12aに隣接してセンサ素子12aを加熱するセンサヒータ12bとを備える。
センサ素子12aは、内燃機関の排気がストイキメトリック近傍の酸素濃度である際に略ステップ状に変化する抵抗値を有し、該抵抗値から求める検出値がセンサ素子12aの温度と前記排気脈動とに応じた波高値を有するパルス波状を呈する。センサ素子12aとしては、本実施形態では、酸素濃度に応じて抵抗値が変化する抵抗型酸素センサであるチタニア型のセンサ素子が用いられる。
ECU15は、センサヒータ12bを制御するヒータ制御器22と、センサ素子12aの温度を示す温度値Tを算出する温度読取部としての温度算出部23と、センサ素子12aの出力信号を、排気中の酸素濃度を示す検出値としての電圧値VHGに変換する電圧算出部24とを備える。
ヒータ制御器22によるセンサヒータ12bの温度の制御は、不図示の電源(蓄電池)からセンサヒータ12bに供給される通電電流量IをECU15でパルス幅変調(PWM)制御することにより行われる。また、温度算出部23による温度値Tの算出は、たとえば、センサヒータ12bに印加されたヒータ電圧及び通電電流量Iの各値をECU15で読み取ってセンサヒータ12bの抵抗値を求め、該抵抗値を、ECU15に予め準備されたヒータ抵抗値及び温度値T間の対応関係を示すテーブルデータあるいは計算式によって換算することにより行われる。温度算出部23及び電圧算出部24における算出結果は、後述する過剰率算出部25の代替値演算部26に供給される。
また、ECU15は、クランク角度センサ19の検出結果に基づいて内燃機関の回転速度NE及び角速度NETCを算出する回転速度演算部27と、温度算出部23からの温度値T、電圧算出部24からの電圧値VHG、及び回転速度演算部27からの角速度NETCに基づいて空気過剰率λを算出する過剰率算出部25とを備える。
さらに、ECU15は、目標とする空気過剰率λcmdを触媒11における貯蔵酸素量の推定値等に基づいて算出する目標値演算部28と、回転速度演算部27からの回転速度NE、及び吸気圧センサ7からの吸気管2内の圧力PMに基づいて基本噴射量BJを算出する基本噴射量演算部29と、過剰率算出部25により算出された空気過剰率λを目標空気過剰率λcmdに一致させるべく、基本噴射量演算部29が算出した基本燃料噴射量BJを補正するためのフィードバック係数kを求めるフィードバック係数演算部30と、フィードバック係数k及び基本噴射量BJに基づいて噴射量Tiを算出するとともに、燃料噴射弁6を作動させる噴射量演算部31とを備える。
フィードバック係数演算部30においては、空気過剰率λと目標空気過剰率λcmdとの偏差に基づいたPID制御が行われてフィードバック係数kが演算される。噴射量演算部31によりフィードバック係数k及び基本噴射量BJに基づいて算出される噴射量Tiに基づき、これに対応する時間だけ、燃料噴射弁6が開弁される。而して、機関本体1のシリンダ燃焼室内には空気過剰率λと目標空気過剰率λcmdとの比較に基づいた上記PID制御のフィードバック係数kに応じた量の燃料が噴射される。
過剰率算出部25は、温度算出部23からの電圧値VHG及び温度算出部23からの温度値Tに基づき、電圧値VHGを、その温度特性を補償しつつ空気過剰率に対してリニアライズ変換したデータLDを用いて排気の空気過剰率λを算出するものである。ただし、この算出は、後述するように、電圧値VHGがリーン側閾値LREF以下の場合に適用され、電圧値VHGがリーン側閾値LREFより大きいときには、別の方法で空気過剰率λが求められる。
過剰率算出部25は、内燃機関のクランク角速度NETCに基づいて内燃機関のトルク値TQを算出するトルク演算部32と、上述のリニアライズ変換についての変換限界閾値を設定する限界閾値設定部33と、空気過剰率λの代替値Rを算出するのに必要なデータや、後述するデータマップ及びルックアップテーブルを記憶する記憶部34と、代替値Rを算出する代替値演算部26とを備える。
限界閾値設定部33は、変換限界閾値として、リーン側の変換限界域値であるリーン側閾値LREF及びリッチ側の変換限界閾値であるリッチ側閾値RREFを、電圧算出部24からの電圧値VHGについて設定する。ただし、チタニア型のセンサ素子12aは、温度が変化すると、出力値のダイナミックレンジ(センサ出力電圧の線形領域の最小値と最大値の各値)が変化するため、温度算出部23からの温度値Tに応じて変換限界閾値を変化させる必要がある。
図5を併せて参照して、該図5は、温度算出部23が算出する温度値Tに対応する図5において左右方向の第1目盛値G1と、電圧算出部24が算出する電圧値VHGに対応する図5において上下方向の第2目盛値G2とを有するとともに、電圧値VHG及び温度値Tを座標として対応付けられた複数個の前記データLDの数値が設定されているデータマップを掲出したものであり、しかも、リーン側閾値LREF及びリッチ側閾値RREFを求めるためのグラフ35、36に対応するルックアップテーブルの各一例をデータマップ上に夫々重ね合わせた図として示している。
すなわち、データマップは、複数の空気過剰率値を、温度値Tについての複数の第1目盛値G1、及び電圧値VHG(検出値)についての複数の第2目盛値G2との対応関係を付けて示すものである。ルックアップテーブルは、電圧値VHGがリッチ領域、ストイキ領域又はリーン領域の何れの空燃比領域に該当するかを判別するためのリッチ側閾値RREF及びリーン側閾値LREFを第1目盛値G1との対応関係を付けて示すものである。
このようなデータマップと、グラフ35、36に対応するルックアップテーブルとをECU15内の記憶部34に予め記憶しておくことにより、これらを用いて電圧値VHGをリニアライズ変換したデータLDと、リーン側閾値LREF及びリッチ側閾値RREFとを容易に取得して設定することができる。
グラフ35は、例えば、リーン領域とストイキ領域との境界としての空気過剰率λを1.02とし、この値となるような電圧値VHG及び温度値Tを座標とした上記データマップ上の点を複数点求め、これら複数の点の間をそれぞれ線補間で結んだグラフである。またグラフ36は、例えば、ストイキ領域とリッチ領域との境界としての空気過剰率λを0.98とし、この値に対応する電圧値VHG及び温度値Tを座標とした上記データマップ上の複数の点を求め、これら複数の点の相互間をそれぞれ線補間で結んだグラフである。
例えば、限界閾値設定部33は、グラフ35に対応するルックアップテーブルからは、温度算出部23からの温度値Tがt0である場合、その座標t0から導かれる電圧値v0を、リーン領域とストイキ領域との境界についてのリーン側閾値LREFとして設定することができる。同様に、グラフ36に対応するルックアップテーブルからは、温度算出部23からの温度値Tがt0である場合、その座標t0から導かれる電圧値v1を、ストイキ領域とリッチ領域との境界についてのリッチ側閾値RREFとして設定することができる。
また、記憶部34は、代替値Rの算出に必要なデータとして、電圧算出部24からの電圧値VHGが変換限界閾値LREF以下のとき、燃料噴射弁6による燃料噴射の実行時間Ti1、トルク値TQ1、変換限界閾値LREFに関する空気過剰率λbを記憶する。
代替値演算部26は、電圧値VHGが変換限界閾値LREFを超えているとき、直前の燃料噴射の実行時間をTi2、直前のトルク値をTQ2として、次式(1)により代替値Rを算出する。
R=((Ti1÷Ti2)÷(TQ1÷TQ2))×λb (1)
R=((Ti1÷Ti2)÷(TQ1÷TQ2))×λb (1)
そして、過剰率算出部25は、電圧値VHGが変換限界閾値LREFを超えている場合には、上述のリニアライズ変換したデータLDとしての空気過剰率λに代えて、代替値Rを排気の空気過剰率λとみなす。
図3は、過剰率算出部25における空気過剰率λを算出する過剰率(ラムダ)算出処理を示す。なお、この過剰率算出処理を含むECU15による制御は、クランク角度センサ19からのクランク軸18の回転角度位置を示すパルス信号に基づき、内燃機関の行程に同期して実行される。
過剰率算出処理が開始されると、ステップS1において、トルク演算部32により、回転速度演算部27からのクランク角速度NETCに基づいて内燃機関のトルクTQを算出する。
なお、トルクTQの算出に際しては、内燃機関における吸気、圧縮、燃焼膨張、排気の各行程を有する内燃機関の連続する2つの行程の各々に対応した内燃機関のクランク軸の2つの角速度が算出され、これに基づき、内燃機関が発生する発生トルクが精度よく算出される(特許第6254633号公報参照)。
次に、ステップS2において、温度算出部23からの温度値Tに基づき、限界閾値設定部33により、図5のグラフ35、36に対応するルックアップテーブルを用いて、リーン側閾値LREF及びリッチ側閾値RREFを設定する。
次に、ステップS3において、電圧算出部24から電圧値VHGを取得し、該電圧値VHGを後述する電圧差確認部43で得られる偏差VDにより補正して、制御用の電圧値(検出値)VHGconを設定する。
次に、ステップS4において、ステップS2で取得した温度値T、ステップS3で取得した電圧値VHGconに基づき上述のデータマップ(図5)が走査され、かくして、電圧値VHGconの値をその温度特性を補償しつつ空気過剰率λへとリニアライズ変換したデータLDが取得される。
次に、ステップS5において、ステップS3で取得した電圧値VHGconが、ステップS2で設定したリッチ側閾値RREFよりも小さいか否かを判定する。小さいと判定した場合には、続くステップS6においてフラグF_DETECTをゼロに設定しつつステップS16に進み、上記データLDの値を空気率過剰率λ値LAMBDAとして設定し、図3の過剰率算出処理を終了する。
ステップS5において、電圧値VHGconがリッチ側閾値RREFよりも小さくはないと判定した場合には、ステップS7において、ステップS3で取得した電圧値VHGconが、ステップS2で設定したリーン側閾値LREFよりも大きいか否かを判定する。
ステップS7において、上記電圧値VHGconが大きくはないと判定した場合には、ステップS8において、ステップS2で取得したリーン側閾値LREFの電圧値lref及びリッチ側閾値RREFの電圧値rrefと、電圧値lrefに対応する所定のストイキ領域とリーン領域との境界としての空気過剰率λ値(この実施の形態においては、λ=1.02)と、電圧値rrefに対応する所定のリッチ領域とストイキ領域との境界としての空気過剰率λ値(この実施の形態においては、λ=0.98)と、ステップS3で取得した電圧値VHGとに基づき、電圧算出部24からの電圧値VHGを、酸素センサ12の温度特性を補償しつつ空気過剰率に対してリニアライズ変換したデータLDとしての空気過剰率λを算出し、ステップS9に進む。
図4を併せて参照して、上記ステップS8におけるリニアライズ変換したデータLDとしての空気過剰率λは、前記所定のストイキ領域とリーン領域との境界としての空気過剰率λを予め数値設定することが可能な変数#LLMD(たとえば1.02)、及び、前記所定のリッチ領域とストイキ領域との境界としての空気過剰率λを予め設定することが可能な変数#RLMD(たとえば0.98)であるとすれば、図4に示すようなグラフで表すことができる。該グラフの、図4において左右方向の横軸は電圧値VHGであり、図4において上下方向の縦軸は空気過剰率λである。したがって、例えば電圧値VHGがvhg1である場合、これに対応する空気過剰率λの値λ1は、次式(2)により算出することができる。
λ1=(((vhg1-rref)÷(lref-rref))×(#LLMD-#RLMD))+#RLMD (2)
λ1=(((vhg1-rref)÷(lref-rref))×(#LLMD-#RLMD))+#RLMD (2)
ステップS9では、燃料噴射弁6による直前の燃料噴射の実行時間Ti、ステップS1で算出したトルクTQをそれぞれTi1、TQ1とし、リーン側閾値LREFに関する空気過剰率λをλbとして記憶部34により記憶する。ほぼ同時に、前記記憶の有効時間を示すカウントダウンタイマー値TIMERをその所定の初期値である#TMINTでリセットする。続いて、フラグF_DETECTを1に設定するとともにステップS16に進み、上記ステップS8で取得したデータLDの値を、空気率過剰率λ値LAMBDAとして設定し、図3の過剰率算出処理を終了する。
このとき、λbとしては、ステップS8で取得したデータLDの値が記憶される。その際に、データLDの値の移動平均をλbとして記憶するのが好ましい。例えば、次式(3)で求められる空気過剰率λ(データLD)の指数移動平均λaがλbとして記憶される。
λa=LD×k1+λab×(1-k1) (3)
λa=LD×k1+λab×(1-k1) (3)
ここで、k1は移動平均係数であり、λabは記憶部34が記憶している前回制御周期での移動平均値である。移動平均係数k1としては、例えば0.34が用いられる。
また、このとき、記憶部34は、燃料噴射の実行時間Ti1及び前記トルク値TQ1として、それぞれ移動平均値を記憶するのが好ましい。例えば、燃料噴射の実行時間Tiの指数移動平均TiFLTが次式(4)で求められてTi1として記憶されるとともに、前記トルク値TQの指数移動平均TQFLTが次式(5)で求められてTQ1として記憶される。
TiFLT=Ti×k2+TiFLTb×(1-k2) (4)
TQFLT=TQ×k3+TQFLTb×(1-k3) (5)
TiFLT=Ti×k2+TiFLTb×(1-k2) (4)
TQFLT=TQ×k3+TQFLTb×(1-k3) (5)
ここで、k2、k3は移動平均係数であり、TiFLTb、TQFLTbは記憶部34が記憶している前回制御周期での移動平均値である。この実施の形態においては、移動平均係数k1、k2、及びk3として、それぞれ異なる値を用いることができる。
次に、ステップS7において、ステップS3で取得した電圧値VHGconがリーン側閾値LREFよりも大きいと判定した場合には、ステップS10において、上述のカウントダウンタイマー値TIMERがゼロに到達しているか否かを判定する。そして、TIMERがゼロに到達しているならば、フラグF_DETECTを0にリセットする(ステップS11)。
次に、ステップS12に進み、フラグF_DETECT=1であるか否かを判定する。F_DETECT=1であるならば、記憶部34にリーン側閾値LREFに関する空気過剰率λb、燃料噴射の実行時間Ti1、及び、トルク値TQ1が記憶されていることを示すので、ステップS13に進み、代替値演算部26において、上述の式(1)により代替値Rを算出するとともに、データLDの値を代替値Rに設定する。
次に、ステップS14において、ステップS13で設定したデータLDの値が所定の上限値#LLMTよりも大きいか否かを判定する。ステップS13で設定したデータLDの値が上限値#LLMTよりも大きい場合には、データLDの値を上限値#LLMTに設定する(ステップS15)。この場合、上限値#LLMTとして、例えば1.25を用いることができる。
なお、上記ステップS12において、F_DETECT=0であるならば、記憶部34にリーン側閾値LREFに関する空気過剰率λb、燃料噴射の実行時間Ti1、及び、トルク値TQ1に関する有効な値が記憶されていないことを示すので、代替値Rを算出することができない。この場合も、データLDの値は上記上限値#LLMTに設定される(ステップS15)。
而して、上記ステップS13又はステップS15で設定されたデータLDの値は空気率過剰率λ値LAMBDAとして設定され(ステップS16)、これにより、図3の過剰率算出処理を終了する。
図3の過剰率算出処理が終了すると、ECU15は、図3の過剰率算出処理で算出された空気過剰率λ値LAMBDAを、上述のように、目標値演算部28からの目標とする空気過剰率λcmdに一致させるべく、フィードバック係数演算部30のPID制御により、燃料噴射弁6による燃料の噴射量を制御する。
図6は、図3の過剰率算出処理によって算出される空気過剰率λ値LAMBDAの変化の様子を模式的に示すグラフである。グラフの横軸は時間経過を示す数値であり、縦軸は空気過剰率λである。
図6におけるグラフ37は、図6において左右方向の横軸の、左端側から中央付近までの範囲において、実際の排気の空気過剰率λを一定の変化率で徐々に増加させ、且つ、続く上記横軸の中央付近から右端側までの範囲において、実際の排気の空気過剰率λを一定の変化率で徐々に減少させた場合において、それをECU15の電圧算出部24で読み取った電圧値VHGを、その温度特性を補償しつつ空気過剰率λに対して直接的にリニアライズ変換したデータを用いて空気過剰率λ値を算出した場合の空気過剰率λ値の数値変化を示す。
グラフ38は、同様に、上記横軸の左端から右端まで実際の排気の空気過剰率λを一定の変化率で徐々に増加乃至減少させた場合において、電圧算出部24からの電圧値VHGがリーン側域値LREFの電圧値lref以下であるときは、上述のデータマップ(図5)又は式(2)で電圧値VHGを直接的にリニアライズ変換したデータを用いて空気過剰率λ値を算出しているが、電圧算出部24からの電圧値VHGがリーン側域値LREFの電圧値lref(空気過剰率λの値1.020に対応)を超える場合には、上記電圧値VHGをリニアライズ変換したデータに代えて上述の数式(1)により取得した代替値Rを空気過剰率λ値としたときのその空気過剰率λ値の数値変化を示している。
斯くして、実際の排気の空気過剰率λが1.020以下の場合には、それに応答する電圧算出部24からの電圧値VHGは上記実際の排気の空気過剰率λに対して比例的(線形)に変化するため、実際の排気の空気過剰率λが1.020以下の場合には、グラフ37及びグラフ38は共に、上記実際の排気の空気過剰率λの上記一定変化に追従して直線的に推移しているが、排気の空気過剰率λが1.020を超える場合には、その状況下での非線形性を呈する電圧値VHGが急激に増加方向に変化するため、電圧値VHGを直接的にリニアライズ変換したデータに基づく空気過剰率λ値を示すグラフ37も同じく増加方向へと急峻且つ非線形に変化する。一方、グラフ38では、排気の空気過剰率λが1.020(上記#LLMD)を超える場合にも空気過剰率λ値LAMBDAが排気の空気過剰率λ(空燃比)に対して直線状に変化しており、実際の排気の空気過剰率λと連動している。
したがって、過剰率算出処理により、電圧値VHGがリーン側閾値LREF以下の場合には、上述のリニアライズ変換したデータを用いて空気過剰率λを算出し、電圧値VHGがリーン側閾値LREFを超える場合には、上述の数式(1)で空気過剰率λを算出する(グラフ38)ことにより、過剰率算出部25は、図6のグラフの全範囲にわたって実際の排気の空気過剰率λと連動し比例的に変化する空気過剰率λ値をフィードバック係数演算部30に供給できることがわかる。これにより、フィードバック係数演算部30によるPID制御の中断が抑制される。
ところで、製造公差等によりセンサ素子12a(検出部)やセンサヒータ12b(ヒータ部)の抵抗値がばらつくと、これらの抵抗値に基づいて得られる空気過剰率も不正確なものとなり、空燃比フィードバック制御に支障を来たすおそれがある。
そこで、過剰率算出部25は、上記の抵抗値のばらつきに応じて変化する電圧値VHG(検出値)の特性を点検する特性点検部40と、その点検結果に基づいて上述のデータマップ及びルックアップテーブルを較正する較正部41とを備える。
特性点検部40は、温度Tの基準値からのずれ量TDを確認して制御用の温度Tconを設定する温度差確認部42と、センサ素子12aの電圧値VHGの所定時間内における平均値VHGSTDとリーン側閾値LREFとの偏差VDを確認して制御用の電圧値(検出値)VHGconを設定する電圧差確認部43とを有し、設定した制御用の温度Tcon及び制御用の電圧値(検出値)VHGconとに応じて、ECU15に接続された酸素濃度センサ12の出力特性を点検するように構成される。
温度差確認部42は、内燃機関が停止した状態で、センサ素子12aの温度Tがセンサ素子12aの雰囲気温度に収束するに足る所定時間が経過した場合に、温度Tの基準値からのずれ量TDを取得する。そして、温度差確認部42は、電圧値VHGの特性の点検並びに過剰率算出部25で用いる制御用の温度として、センサ素子12aの温度Tを、ずれ量TDに基づいて補正した値Tcon(この実施の形態においてはTcon=T+TD)を設定する。
上記の温度Tconを設定するための基準値Trefは、例えば、冷却水温センサ17により得られるエンジン温度に吸気温センサ8により得られる吸気温度を加えて2で除する{Tref=(エンジン温度+吸気温度)÷2}ことにより求めることができる。これにより、冷却水温センサ17及び吸気温センサ8の各読取での量子化誤差による影響を軽減して上記制御用の温度Tconを精度よく設定することができる。
この場合、制御用の温度Tconは常温下かつ始動前のエンジン温度及び吸気温度と同じになるように設定される。かくして、温度差確認部42は、上記のデータマップ及びグラフ35、36に対応するルックアップテーブルを、図5において左右方向(第1目盛値G1方向)へと実質的に平行移動させることになる。
続いて、電圧差確認部43は、センサ素子12aの上記制御用の温度Tconが所定値以下(例えば、上記基準値Trefに同じ)の場合に、センサ素子12aの抵抗値から求める電圧値VHGの所定時間内における平均値VHGSTDとリーン側閾値LREFとの偏差VDを取得する。そして、電圧差確認部43は、上述の特性の点検及び過剰率算出部25で用いる制御用の電圧値(検出値)として、前記抵抗値から求める電圧値VHGを偏差VDに基づいて補正した電圧値VHGcon(=VHG+VD)を設定する。
この場合、センサ素子12aの温度Tconが充分に低く酸素濃度センサが不活性となる状況では、電圧値VHGの波高がほぼゼロ(電圧値VHGが動かない状態)になるとともに、標準的な抵抗値を有するセンサ素子12aから読み取り可能な電圧値VHGrefは、上記グラフ35及びグラフ36と同一値になる(電圧値VHGrefとグラフ35、36が重なり合う)。すなわち、上記制御用の温度Tconが所定値以下の場合に、標準電圧値VHGrefはグラフ35(リーン側閾値LREF)に等しくなるので、制御用の電圧値(検出値)VHGconを設定するための基準値は、グラフ35に対応するルックアップテーブルを上記充分に低い温度Tconで走査することにより、求めることができる。また、上記の平均値VHGSTDは、例えば、5秒間の期間で多数回読み取った電圧値VHGの相加平均値から求めることができ、これにより、電圧値VHGの読取における量子化誤差による影響を軽減して偏差VDを取得するとともに、制御用の電圧値VHGconを精度よく設定することができる。
斯くして、制御用の電圧値(検出値)VHGconは制御用の温度Tconが所定値以下の場合のグラフ35(リーン側閾値LREF)と同じになるように補正される。これにより、電圧差確認部43は、上記のデータマップを、図5において上下方向(第2目盛値G2方向)へと実質的に平行移動させることになる。
実際にECU15に接続された酸素濃度センサ12の点検に際しては、特性点検部40は、目標値演算部28を通じて目標空気過剰率λcmdをストイキメトリック近傍に設定して電圧値VHGconの波高値を取得するとともに、この波高値が空燃比領域の何れかに該当するかを点検する。
また、較正部41による較正に際しては、上記点検の結果を受けて、上記データマップ及びグラフ35、36に対応するルックアップテーブルが較正される。
図7には、特性点検部40により、目標空気過剰率λcmdをストイキメトリック近傍に設定した状態で内燃機関に標準的な抵抗値を有する酸素濃度センサ12を搭載した車両を運転しながら得られた電圧値(検出値)VHGrefについて、その時間経過に伴う変化を表す電圧波形44が示されている。また図7には、検証用として臨時に併設した広帯域(ワイドバンド)空燃比センサの出力信号の波形を示す空燃比波形45が併せて示されている。
4サイクル内燃機関において、排気管内の排気及び当該排気に含まれる酸素濃度は脈動をしているので、図7に示すように、標準的な抵抗値を有する酸素濃度センサ12のセンサ素子12aから読み取られる電圧値(検出値)VHGrefの電圧波形44及び併設された空燃比センサの空燃比波形45は、時間の経過に伴い振動的に遷移する波高を有した波形として観測されるのであるが、特に空燃比波形45が、空気過剰率λが1.0となるレベルを跨ぐ図示の期間Pにおいては、元よりセンサ素子12aの抵抗値はストイキメトリック近傍の酸素濃度においてステップ(階段)状に急峻な変化をする特性を有していることから、電圧波形44の波高M(検出値の波高値)は同期間Pにおける空燃比波形45の波高と比して非常に大きく振動する波形として観測される。そして、このように大きく振動する電圧波形44の波高の遷移に沿うように、上記のグラフ36(リッチ側閾値RREF)及びグラフ35(リーン側閾値LREF)に対応するルックアップテーブルがそれぞれ設定されている。
すなわち、図示の期間Pにおいて、標準的な抵抗値を有する酸素濃度センサ12から得られる電圧波形44での各波高Mの尖頭のうち、図7において下方のリッチ側閾値RREFに近いリッチ側尖頭46は、多数のものがほぼリッチ側閾値RREF上に位置する一方、図7において上方のリーン側閾値LREFに近いリーン側尖頭47は、多数のものがほぼリーン側閾値LREF上に位置する。
換言すると、目標空気過剰率λcmdをストイキメトリック近傍に設定して図示の期間Pの状態を再現する如くに空燃比のフィードバック制御を実施しながら前記実際にECU15に接続された酸素濃度センサ12の電圧値(検出値)VHGconが表出する波高MをECU15で計測するとともに、その波高Mの尖頭がリーン側閾値LREF及びリッチ側閾値RREFと合致しているか否かを点検することにより、上記標準的な抵抗値での電圧値VHGrefの特性からの電圧値VHGconの特性ずれが如何ほどであるかを把握し、取得することができる。
斯くして、特性点検部40は、目標空気過剰率λcmdをストイキメトリック近傍に設定して空燃比フィードバック制御を実施しながら、ECU15に接続された酸素濃度センサ12の電圧値(検出値)VHGconについて波高Mの尖頭値を取得し、該波高Mの尖頭値がリッチ領域、ストイキ領域又はリーン領域の何れかに該当するかを点検するように構成される。また、この点検結果に基づいて、較正部41は、波高Mの尖頭値が前記リッチ側閾値RREF及びリーン側閾値LREFに適合するように、アフィン変換を施して前記データマップ及び前記ルックアップテーブルを較正することができる。
具体的には、較正部41は、所謂アフィン変換の要領で、複数の第1目盛値G1及び複数の第2目盛値G2を拡大又は縮小することによりデータマップ及びルックアップテーブルを較正するための第1較正倍率値C1及び第2較正倍率値C2を備えている。
図8(a)~(d)を併せて参照しつつ詳述すると、較正部41は、時間の経過に伴って変化する制御用の電圧値VHGconのリーン側尖頭値47vとグラフ35(リーン側閾値LREF)に対応するルックアップテーブルとを対比した際に、例えば、リーン側尖頭値47vがリーン領域にある場合には第1較正倍率値C1を増加してデータマップ及びルックアップテーブルを図8において右側方向に向けて拡大し(図8(a)参照)、リーン側尖頭値47vがストイキ領域にある場合には第1較正倍率値C1を減少してデータマップ及びルックアップテーブルを図8において左側方向に向けて縮小する(図8(b)参照)。
すなわち、較正部41は、上記増加又は減少した第1較正倍率値C1をデータマップ及びルックアップテーブルの第1目盛値G1に乗じることにより、所謂アフィン変換の要領でデータマップ及びルックアップテーブルを実質的に拡大又は縮小することで較正をする。なお、第1目盛値G1の拡縮原点には、0ケルビン(マイナス273.15degC;絶対零度)を採用することができる。このとき、記憶部34に記憶されている複数の第1目盛値G1の較正前の値をTk(摂氏温度)とした場合、較正後の制御用第1目盛値Tkcalは、次式(6a)により求められる。
Tkcal=(Tk+273.15)×C1-273.15 (6a)
Tkcal=(Tk+273.15)×C1-273.15 (6a)
また、較正部41は、時間の経過に伴って変化する制御用の電圧値VHGconのリッチ側尖頭値46vとグラフ36(リッチ側閾値RREF)に対応するルックアップテーブルとを対比した際に、例えば、リッチ側尖頭値46vがリッチ領域にある場合には第2較正倍率値C2を増加してデータマップ及びルックアップテーブルを図8において下方向に向けて拡大し(図8(d)参照)、リッチ側尖頭値46vがストイキ領域にある場合には第2較正倍率値C2を減少してデータマップ及びルックアップテーブルを図8において上方向に向けて縮小する(図8(c)参照)。
すなわち、較正部41は、上記増加又は減少した第2較正倍率値C2をデータマップ及びルックアップテーブルの第2目盛値G2に乗じることにより、所謂アフィン変換の要領でデータマップ及びルックアップテーブルを実質的に拡大又は縮小することで較正する。なお、第2目盛値G2の拡縮原点には、上述の制御用の温度Tconが所定値以下の場合のグラフ35(リーン側閾値LREF)の値を採用することができる。
このとき、上記制御用の温度Tconが所定値以下の場合のグラフ35の値をLREFanchor、記憶部34に記憶されている複数の第2目盛値G2の較正前の値をVkとした場合、較正後の制御用第2目盛値Vkcalは、次式(7)により求められる。
Vkcal=(Vk-LREFanchor)×C2+LREFanchor
(7)
Vkcal=(Vk-LREFanchor)×C2+LREFanchor
(7)
なお、本実施の形態においては、上記第1較正倍率値C1及び第2較正倍率値C2の増加又は減少を行う場合に、所定の漸増率及び漸減率を介在して第1較正倍率値C1又は第2較正倍率値C2を漸増又は漸減させて徐々に較正完了状態へと移行させる移行処理を含むように較正部41を構成することができる。
以上のように、本実施形態によれば、目標空気過剰率λcmdをストイキメトリック近傍に設定した場合の電圧値VHGconの波高値がリッチ側閾値RREF及びリーン側閾値LREFに該当するように、データマップ及びルックアップテーブルを較正しているので、センサ素子12aやセンサヒータ12bの各抵抗値の公差(ばらつき)に拘わらず、正確な空気過剰率λを算出して適切な空燃比フィードバック制御を行うことができる。
また、温度点検部42によりセンサ素子12aの温度Tの基準値からのずれ量TDを取得し、温度Tをずれ量TDに基づいて補正しているので、より正確な空燃比フィードバック制御を行うことができる。
また、電圧点検部43により、センサ素子12aの温度が充分低い所定値以下のとき、例えば電圧値VHGの波高がほぼゼロで電圧VHGが変動しない状態で、電圧値VHGに対する補正値(偏差VD)を求め、これにより電圧値VHGを補正しているので、より正確な空燃比フィードバック制御を行うことができる。
また、特性点検部40及び較正部41により、リーン側尖頭値47vがリーン領域にある場合には第1較正倍率値C1を増加(漸増)させ、リーン側尖頭値47vが記ストイキ領域にある場合には第1較正倍率値C1を減少(漸減)させて、観測されるリーン側尖頭値47vがリーン側閾値LREFに近づくように、データマップ及びルックアップテーブルを較正しているので、より正確な空燃比フィードバック制御を行うことができる。
また、特性点検部40及び較正部41により、リッチ側尖頭値46vがリッチ領域にある場合は第2較正倍率値C2を増加(漸増)させ、リッチ側尖頭値46vがストイキ領域にある場合は第2較正倍率値C2を減少(漸減)させて、観測されるリッチ側尖頭値46vがリッチ側閾値RREFに近づくように、データマップ及びルックアップテーブルを較正しているので、より正確な空燃比フィードバック制御を行うことができる。
また、空気過剰率λに基づいてPID制御により燃料噴射量Tiを制御するに際して、排気中の酸素濃度を示す電圧値VHGがリーン側閾値LREFを超える場合には、上述の数式(1)により計算した代替値Rが空気過剰率λとみなされるので、PID制御の中断を抑制して制御精度を高め、排気ガス浄化等の効率化を図ることができる。
また、記憶部34に記憶する燃料噴射の実行時間Ti1、トルク値TQ1、空気過剰率λbとして、それぞれの移動平均値を記憶するので、これらの計測値をデジタル値に変換する際の量子化ノイズ(誤差)を低減することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、上述の実施の形態では、第1較正倍率値C1をデータマップ及びルックアップテーブルの複数の第1目盛値G1にそれぞれ乗じることにより、所謂アフィン変換の要領でデータマップ及びルックアップテーブルを実質的に拡大又は縮小することで較正するもの(式(6a))であったが、本発明はこれに限定されない。例えば、データマップ及びルックアップテーブルを走査する制御用の温度に第1較正倍率値C1を乗じる構成であってもデータマップ及びルックアップテーブルを実質的に拡大又は縮小することが可能であり、このとき、記憶部34に記憶されている複数の第1目盛値G1の較正前の値をTk(摂氏温度)、較正後の制御用第1目盛値をTkcalとした場合に、データマップ及びルックアップテーブルを走査するための走査制御用の温度値Tcon(摂氏温度)は、次式(6b)により求めることができる。
Tkcal=Tk
Tcon=(T+TD+273.15)×(1/C1)-273.15
(6b)
Tkcal=Tk
Tcon=(T+TD+273.15)×(1/C1)-273.15
(6b)
上述の式(6a)あるいは式(6b)いずれを用いる構成であっても、実際に計測した電圧値(検出値)VHGconの波高値がリッチ側及びリーン側閾値に合致する(波高の尖頭が閾値に重なる)ように較正して正確な空気過剰率を算出し、適切な空燃比フィードバック制御を行うことができる。
また、上述の実施の形態では、温度Tconを設定するための基準値Trefを、冷却水温センサ17により得られるエンジン温度に吸気温センサ8により得られる吸気温度を加えて2で除する{Tref=(エンジン温度+吸気温度)÷2}ことにより設定しているが、これに限定されることなく、例えば、冷却水温センサ17により得られるエンジン温度又は吸気温センサ8により得られる吸気温度のいずれか一方のみから温度Tconを設定するための基準値Trefを算出するようにしてもよい。
1…機関本体、2…吸気管、3…スロットル弁、4…エアクリーナ、5…スロットルセンサ、6…燃料噴射弁、7…吸気圧センサ、8…吸気温センサ、9…ピストン、10…排気管、11…触媒、12…酸素濃度センサ、12a…センサ素子(検出部)、12b…センサヒータ、13…点火プラグ、14…点火装置、15…ECU(電子制御ユニット)、17…冷却水温センサ、18…クランク軸、19…クランク角度センサ、19a…ロータ、19b…ピックアップ、20…大気圧センサ、22…ヒータ制御器、23…温度算出部、24…電圧算出部、25…過剰率算出部、26…代替値演算部、27…回転速度演算部、28…目標値演算部、29…基本噴射量演算部、30…フィードバック係数演算部、31…噴射量演算部、32…トルク演算部、33…限界閾値設定部、34…記憶部、35~38、35b、36b、35c、36c、35d、36d、35e、36e…グラフ、40…特性点検部、41…較正部、42…温度点検部、43…電圧点検部、44…電圧波形、45…空燃比波形、46…リッチ側尖頭、47…リーン側尖頭、46v、47v…尖頭値。
Claims (5)
- 排気脈動を有する内燃機関の排気に接するように設けられ、該排気のストイキメトリック近傍の酸素濃度において抵抗値が略ステップ状に変化する検出部を有し、前記検出部の抵抗値から求める検出値が前記検出部の温度と前記排気脈動とに応じる波高値を有したパルス波状を呈する抵抗型酸素センサと、
前記検出部の温度を推定又は検出する温度読取部と、
複数の空気過剰率値を、前記温度についての複数の第1目盛値、及び前記検出値についての複数の第2目盛値との対応関係を付けて示すデータマップを参照して空気過剰率を算出する過剰率算出部とを備え、
前記空気過剰率と、目標空気過剰率との偏差に基づいて空燃比フィードバック制御を行う空燃比制御装置であって、
前記データマップと、前記検出値がリッチ領域、ストイキ領域又はリーン領域の何れの空燃比領域に該当するかを判別するためのリッチ側閾値及びリーン側閾値を前記第1目盛値との対応関係を付けて示すルックアップテーブルとを記憶している記憶部と、
前記目標空気過剰率を前記ストイキメトリック近傍に設定して前記検出値の波高値を取得するとともに、前記波高値が前記空燃比領域の何れかに該当するかを点検する特性点検部とを備え、
前記点検により前記波高値が前記リッチ側閾値及びリーン側閾値に該当するように、アフィン変換の要領で前記データマップ及び前記ルックアップテーブルを較正する較正部を備えることを特徴とする空燃比制御装置。 - 前記特性点検部は、前記内燃機関が停止した状態で、前記検出部の温度が該検出部の雰囲気温度に収束するに足る所定時間が経過した場合に、前記検出部の温度の基準値からのずれ量を取得する温度差確認部を備え、
前記点検並びに前記過剰率算出部で用いる制御用の検出部温度として、前記検出部の温度を前記ずれ量に基づいて補正した値を用いることを特徴とする請求項1に記載の空燃比制御装置。 - 前記特性点検部は、前記制御用の検出部温度が所定値以下の場合に、前記検出部の抵抗値から求める検出値の所定時間内における平均値と前記リーン側閾値との偏差を取得する電圧差確認部を備え、
前記点検並びに前記過剰率算出部に用いる制御用の検出値として、前記抵抗値から求める検出値を前記偏差に基づいて補正した値を用いることを特徴とする請求項2に記載の空燃比制御装置。 - 前記較正部は、
前記複数の第1目盛値を拡大又は縮小することにより前記データマップ及び前記ルックアップテーブルを較正するための第1較正倍率値を記憶しており、
時間の経過に伴って変化する前記制御用の検出値の波高のうち前記リーン側閾値に近い波高の尖頭と該リーン側閾値とを対比した場合に、該尖頭が前記リーン領域にある場合には前記第1較正倍率値を増加し、該尖頭が前記ストイキ領域にある場合には該第1較正倍率値を減少することを特徴とする請求項3に記載の空燃比制御装置。 - 前記較正部は、
前記複数の第2目盛値、前記リッチ側閾値及び前記リーン側閾値へと乗じることにより前記データマップ及び前記ルックアップテーブルを較正するための第2較正倍率値を有しており、
時間の経過に伴って変化する前記制御用の検出値の波高のうちの前記リッチ側閾値に近い波高の尖頭が前記リッチ領域にある場合は第2較正倍率値を増加し、該尖頭が前記ストイキ領域にある場合は第2較正倍率値を減少することを特徴とする請求項3又は4に記載の空燃比制御装置。
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