以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
(第1実施形態)
本実施形態について、図1~図10を参照して説明する。図1は、空気圧補充の補助機能を有するTPMSの全体構成を示す図である。図1の紙面上下方向が車両1の前後方向、紙面左右方向が車両1の左右方向に一致する。この図を参照して、本実施形態におけるTPMSについて説明する。
図1に示すように、TPMSは、車両1に搭載されるもので、タイヤセンサ2、TPMS用の電子制御装置(以下、TPMS-ECUという)等を含む車載機3およびメータ4を備えている。
TPMSは、車輪位置を検出する車輪位置検出装置を含んでいる。この車輪位置検出装置は、TPMSに備えられる各タイヤセンサ2および車載機3を用いるとともに、ブレーキ制御用の電子制御装置(以下、ブレーキECU10という)からの情報を利用して車輪位置検出を行う。ブレーキECU10では、各車輪5a~5dに対応して備えられた車輪角度センサ11a~11dの検出信号から得られる車輪速度パルスを取得しており、車輪位置検出のためにその情報を車載機3に伝えるようにしている。
車輪角度センサ11a~11dは、一般的には車輪速度センサと呼ばれているものである。このセンサは、車軸と共に回動する歯車の歯位置に応じた信号を車輪速度パルスとして出力するものであるが、ここでは各車輪5a~5dの中心軸に対してタイヤセンサ2が存在する角度を取得するために用いていることから、“車輪角度センサ”と呼ぶ。また、各車輪5a~5dの中心軸に対してタイヤセンサ2が存在する位置の角度のことを単に“タイヤセンサ2の角度”と呼ぶ。また、以下では、4つのタイヤセンサ2を区別して説明する場合等に、4つのタイヤセンサ2をタイヤセンサ2A、2B、2C、2Dと表記することがある。さらに、4つの車輪5a~5dを区別して説明する場合等に、4つの車輪5a~5dを左前輪FL、右前輪FR、左後輪RL、右後輪RRと表記することがある。
図1に示すように、タイヤセンサ2は、各車輪5a~5dに取り付けられるもので、車輪5a~5dに取り付けられたタイヤの空気圧等を検出するとともに、その検出結果を示すタイヤ空気圧に関する情報をフレーム内に格納して送信する。車載機3は、車両1における車体6側に取り付けられるもので、タイヤセンサ2から送信されたフレームを受信するとともに、その中に格納された情報に基づいて各種処理や演算等を行うことでタイヤ空気圧検出を行う。タイヤセンサ2は、例えばFSK(周波数偏移変調)によりフレームを送信し、車載機3は、そのフレームを受信して復調することでフレーム内の情報を読取っている。
図2に示すように、タイヤセンサ2は、センシング部21、加速度センサ22、第1マイクロコンピュータ23、およびセンサ無線機24を備えており、図示しない電池からの電力供給に基づいて各部が駆動される。
センシング部21は、圧力センサ21aや温度センサ21bを備え、タイヤ空気圧に応じた検出信号や温度に応じた検出信号を出力する。加速度センサ22は、タイヤセンサ2が取り付けられた車輪5a~5dでのタイヤセンサ2自身の位置検出、つまりタイヤセンサ2の回転角度の検出や車速の検出を行うために用いられる。
本実施形態の加速度センサ22は、第1加速度および第1加速度とは異なる第2加速度を検出可能に構成されている。具体的には、加速度センサ22は、2軸加速度センサで構成されている。加速度センサ22は、例えば、車輪5a~5dの回転時に車輪5a~5dに働く加速度のうち、各車輪5a~5dの径方向、つまり周方向に垂直な双方向の加速度に応じた検出信号を第1加速度として出力する。また、加速度センサ22は、例えば、車輪5a~5dの回転時に車輪5a~5dに働く加速度のうち、各車輪5a~5dの周方向の加速度に応じた検出信号を第2加速度として出力する。
ここで、図3は、加速度センサ22から出力される第1加速度および第2加速度の変化の一例を示したタイムチャートである。図3では、第1加速度を実線で示し、第2加速度を一点鎖線で示している。図3に示すように、例えば、第1加速度が+1Gとなる場合に車両1の進行方向が切り替わる場合、第1加速度だけを監視しても車両1の進行方向の切り替わりが判別できず、タイヤセンサ2の角度を適切に検出することができない。
これに対して、加速度センサ22が第1加速度だけでなく第2加速度を検出可能になっていれば、第1加速度が+1Gや-1Gとなる場合であっても第2加速度に基づいて車両1の進行方向の切り替わりを判別することができる。すなわち、本実施形態のタイヤセンサ2は、自身の角度に加えて回転方向も認識可能になっている。
図2に戻り、第1マイクロコンピュータ23は、タイヤセンサ2の制御部を構成し、CPU、ROMやRAM等のメモリ、I/O等を備えたものである。第1マイクロコンピュータ23は、内蔵メモリに記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行する。メモリには、各タイヤセンサ2を特定するための固有の識別情報と自車両を特定するための車両固有の識別情報とを含む個別のID情報が格納されている。
例えば、第1マイクロコンピュータ23は、圧力センサ21aや温度センサ21bの検出信号を受け取り、それを信号処理するとともに必要に応じて加工し、それらタイヤ空気圧に関する情報を各タイヤセンサ2のID情報とともにフレーム内に格納する。また、第1マイクロコンピュータ23は、加速度センサ22の検出信号をモニタし、各タイヤセンサ2の角度や車両1の走行中であるか否かを判定する車両走行判定を行っている。そして、第1マイクロコンピュータ23は、フレームを作成すると、車両走行判定の結果に基づいて、センサ無線機24から車載機3に向けてフレーム送信を行う。以下、タイヤ空気圧に関する情報を単にタイヤ情報とも呼ぶ。
具体的には、第1マイクロコンピュータ23は、車両1が走行中に、所定のタイミングで繰り返しフレーム送信を行っている。第1マイクロコンピュータ23は、車両1が走行中であるか否かを加速度センサ22の検出結果に基づいて判定している。第1マイクロコンピュータ23は、加速度センサ22で検出される加速度が一定値以上になると、車両1が走行中であると判定している。一定値は、例えば、30km/h程度で走行中に発生する遠心加速度に相当する値としている。この場合、加速度が一定値以上であるか否かを判定することは、車速が30km/h以上かどうかを判定することに相当する。
また、加速度センサ22によって各車輪5a~5dの回転に応じた検出信号を出力させていることから、走行時には、その検出信号に重力加速度成分が含まれることになり、車輪回転に応じた振幅を有する信号となる。このため、この振幅に基づいて加速度センサ22の位置、すなわちタイヤセンサ2の角度を把握できる。
本実施形態のタイヤセンサ2は、第1マイクロコンピュータ23によって、加速度センサ22の検出信号に含まれる重力加速度成分に基づいて自身が存在する位置の角度を第1回転角度として算出する。例えば、第1回転角度は、タイヤセンサ2の車輪5a~5dの中心軸を中心として周方向の任意の角度を0°、例えばタイヤセンサ2が最下方位置に位置しているときを0°としたときのタイヤセンサ2が位置している角度として定義される。この場合、タイヤセンサ2が頂点に位置しているときが180°、水平位置に位置しているときがそれぞれ90°、270°として、第1回転角度を表すことができる。
前述したように、本実施形態のタイヤセンサ2は、自身の角度に加えて回転方向も認識可能になっている。すなわち、タイヤセンサ2は、加速度センサ22で検出される第1加速度および第2加速度に基づいて、車両1の進行方向の切り替わりを判定可能である。そして、タイヤセンサ2は、車両1の進行方向の切り替りに応じた第1回転角度を算出する。例えば、タイヤセンサ2では、車両1の進行方向が前進から後退へと切り替わると、進行方向が切り替わる前の第1回転角度に対して切り替わり後の第1回転角度の変化量を減算する。これにより、車両1の進行方向の切り替わりに起因する第1回転角度の信頼性の低下を抑制することができる。なお、タイヤセンサ2では、車両1の進行方向が切り替わっていない場合、進行方向が切り替わる前の第1回転角度に対して切り替わり後の第1回転角度の変化量を加算することで、そのタイミングでの第1回転角度を算出している。
さらに、第1マイクロコンピュータ23は、車載機3から第1回転角度の送信を要求する要求信号を受信すると、要求信号の受信時の第1回転角度を要求信号の応答信号としてセンサ無線機24から車載機3に向けて送信する。具体的には、第1マイクロコンピュータ23は、要求信号を受信すると、第1回転角度をタイヤ情報等とともにフレーム内に格納し、当該フレームを要求信号の応答信号として送信する。
センサ無線機24は、第1送受信回路241および第1通信アンテナ242を備える。第1送受信回路241は、第1通信アンテナ242を通じて、車載機3と双方向に通信を行う通信回路である。第1送受信回路241は、BLE等の通信方式に基づいて無線通信を行う。BLEは、Bluetooth(登録商標) Low Energy の略称である。なお、第1送受信回路241は、BLE以外の通信方式に基づいて無線通信を行うようになっていてもよい。
第1通信アンテナ242は、車載機3との間で双方向に通信を行うためのアンテナである。タイヤセンサ2は、センサ無線機24を備えることで、タイヤセンサ2から車載機3への単方向の通信に限らず、車載機3との間で双方向に通信が可能になっている。
このように構成されるタイヤセンサ2は、タイヤ空気圧やタイヤ内温度を検出し、車両1が走行中の場合に、タイヤセンサ2の角度が所定角度になるタイミングで繰り返し、各タイヤセンサ2に備えられた通信アンテナ25を通じてフレーム送信を行う。これに加えて、タイヤセンサ2は、車載機3からの要求信号を受信する度に、要求信号の受信時の第1回転角度を含むフレームを要求信号の応答信号として送信する。
一方、車載機3は、車体6に備えられている。図4に示すように、車載機3は、車載無線機31および第2マイクロコンピュータ33等を備えている。車載機3は、CAN(Controller Area Network)等の車内LAN(Local Area Network)を通じて、後述するようにブレーキECU10から車輪速度パルスを取得することで各車輪5a~5dと共に回転させられる歯車の歯のエッジ数もしくは歯数で示される歯位置を取得している。以下の説明では、歯車情報としてエッジ数を例に挙げて説明するが、歯数とすることもできる。また、車載機3は、車内LANを通じて、図示しない舵角センサの検出値(すなわち、ハンドルの操舵角)を取得している。
車載無線機31は、第2通信アンテナ311および第2送受信回路312を備える。第2通信アンテナ311は、各タイヤセンサ2との間で双方向に通信を行うためのアンテナである。第2通信アンテナ311は、各タイヤセンサ2から送られてくるフレームの受信に加えて、各タイヤセンサ2への要求信号の送信にも用いられる。第2通信アンテナ311は、車載機3の本体内に配置された内部アンテナでも良いし、本体から配線を引き伸ばした外部アンテナとされていてもよい。
第2送受信回路312は、第2通信アンテナ311を通じて各タイヤセンサ2と双方向に通信を行う通信回路である。第2送受信回路312は、BLE等の通信方式に基づいて無線通信を行う。第2送受信回路312は、第2通信アンテナ311によって受信された各タイヤセンサ2からの送信フレームを入力し、そのフレームを第2マイクロコンピュータ33に送る入力部としての機能を果たす。第2送受信回路312は、第2通信アンテナ311を通じてフレームを受信すると、その受信した信号を第2マイクロコンピュータ33に伝えている。また、第2送受信回路312は、車両徐行中や駐停車中において、各車輪5a~5dの回転角度が所定の基準値の分だけ変化するタイミングで、タイヤセンサ2に第1回転角度の送信を要求する要求信号を送信する。基準値は、車輪5a~5dの一回転あたりの回転角度の変化量(すなわち、360°)よりも小さい値に設定されている。これにより、車輪5a~5dの一回転するまでの間に一回は車載機3から各タイヤセンサ2に向けて要求信号が送信される。
第2マイクロコンピュータ33は、車載機3における制御部を構成し、CPU、ROMやRAM等のメモリ、I/O等を備えたものである。第2マイクロコンピュータ33は、内蔵メモリに記憶されたプログラムに従って、車輪位置検出処理およびタイヤ空気圧検出処理を実行する。
車輪位置検出処理では、タイヤセンサ2が車輪5a~5dのいずれに取り付けられたものであるかを特定する車輪位置検出が行われる。具体的には、第2マイクロコンピュータ33は、ブレーキECU10から取得する情報および各タイヤセンサ2から取得する第1回転角度に基づいて車輪位置検出を行う。第2マイクロコンピュータ33は、ブレーキECU10から、各車輪5a~5dに対応して備えられた車輪角度センサ11a~11dからの出力信号である車輪速度パルスを所定周期、例えば10ms毎に取得している。
車輪速度パルスは、各車輪5a~5dとともに回転させられる歯車の歯位置を示す情報である。車輪角度センサ11a~11dは、例えば歯車の歯に対向して配置される電磁ピックアップ式センサによって構成され、歯車の歯の通過に伴って検出信号を変化させる。このようなタイプの車輪角度センサ11a~11dでは、検出信号として歯の通過に対応する方形パルス波を出力していることから、その方形パルス波の立上りおよび立下りが歯車の歯のエッジの通過を表すことになる。ブレーキECU10は、車輪角度センサ11a~11dの検出信号の立上りおよび立下りの数から歯車の歯のエッジ数、つまりエッジの通過数を車輪速度パルスとしてカウントしている。例えば、歯車に備えられた歯の数が48歯である場合、歯車が1回転する際にエッジ数は0~95の合計96個でカウントされる。そして、ブレーキECU10は、所定周期毎に、そのときの歯のエッジ数を車輪速度パルスとして第2マイクロコンピュータ33に伝えている。
第2マイクロコンピュータ33は、車輪角度センサ11a~11dから車輪速度パルスを取得し、取得した車輪速度パルスの変化量を各車輪5a~5dの回転角度に換算し、換算した回転角度を第2回転角度として検出する。車輪5a~5dが一回転する際の車輪速度パルスの合計が96個である場合、車輪速度パルスの1パルス当たりの車輪5a~5dの回転角度は3.75°となる。このため、車輪速度パルスの変化量に3.75°を乗ずることで、車輪速度パルスの変化量を各車輪5a~5dの回転角度に換算することができる。
ここで、本実施形態の第2マイクロコンピュータ33は、シフトレバーの位置情報(Dレンジ、Rレンジ)等から各車輪5a~5dの回転方向を認識可能になっている。すなわち、車載機3は、シフトレバーの位置情報等に基づいて、車両1の進行方向の切り替わりを判定可能である。そして、車載機3は、車両1の進行方向の切り替りに応じた第2回転角度を算出する。例えば、車載機3では、車両1の進行方向が前進から後退に切り替わると、進行方向が切り替わる前の車輪速度パルスに対して切り替わり後の車輪速度パルスの変化量を減算する。これにより、車両1の進行方向の切り替わりに起因する第2回転角度の信頼性の低下を抑制することができる。なお、車載機3では、車両1の進行方向が切り替わっていない場合、進行方向が切り替わる前の車輪速度パルスに対して切り替わり後の車輪速度パルスの変化量を加算することで、そのタイミングでの第2回転角度を算出している。なお、車載機3は、ブレーキECU10等からCANを通じて車輪速度パルスの積算値(上述の第2回転角度に相当する値)が定期的に伝えられている場合、その情報に基づいて第2回転角度を検出するようになっていてもよい。
第2マイクロコンピュータ33は、各タイヤセンサ2から送信されたフレームに含まれる第1回転角度、各車輪角度センサ11a~11dの出力信号に基づく第2回転角度に基づいて車輪位置検出を行っている。これにより、各タイヤセンサ2がどの車輪5a~5dに取り付けられたものかを特定する車輪位置検出を行うことが可能となる。なお、この車輪位置検出処理の具体的な方法については後で詳細に説明する。
タイヤ空気圧検出処理では、各タイヤセンサ2が取り付けられた車輪5a~5dのタイヤ空気圧の検出等を行う。具体的には、第2マイクロコンピュータ33は、車輪位置検出の結果に基づいて、各タイヤセンサ2のID情報と各タイヤセンサ2が取り付けられた各車輪5a~5dの位置とを紐付けして記憶する。その後は、各タイヤセンサ2からの送信フレーム内に格納されたID情報およびタイヤ情報に基づいて所定温度でのタイヤ空気圧換算値を算出することで、各車輪5a~5dのタイヤ空気圧検出を行う。そして、タイヤ空気圧検出結果に応じた電気信号をCAN等の車内LANを通じてメータ4に出力する。例えば、第2マイクロコンピュータ33は、各車輪5a~5dのタイヤ空気圧を示す信号をメータ4に出力する。また、第2マイクロコンピュータ33は、タイヤ空気圧を所定の判定閾値と比較することでタイヤ空気圧の低下を検知し、タイヤ空気圧の低下を検知するとその旨の信号をメータ4に出力する。これにより、4つの車輪5a~5dのタイヤ空気圧もしくはいずれかのタイヤ空気圧が低下したことがメータ4に伝えられ、メータ4を通じてそれが表示されるようにしている。
メータ4は、車室内に備えられた表示部として各種情報を表示する役割を果たすものである。メータ4は、電源オン時、具体的にはアクセサリー(以下、ACCという)スイッチもしくはイグニッションスイッチ等の発進スイッチがオンされているときを電源オンとして、電源オンの際に各種情報を表示する。メータ4による表示は、基本的には電源オンのとき行われる。
図1に示されるように、メータ4は、ドライバが視認可能な場所に配置され、例えば車両1におけるインストルメントパネル内に設置されるマルチインフォメーションディスプレイやナビゲーション装置のディスプレイ等によって構成される。メータ4は、例えば車載機3における第2マイクロコンピュータ33からタイヤ空気圧が低下した旨を示す信号が送られてくると、該当車輪を特定しつつタイヤ空気圧の低下を示す表示を行うことでドライバに該当車輪のタイヤ空気圧の低下を報知する。
ここで、タイヤセンサ2と車載機3との間の無線通信について説明する。タイヤセンサ2と車載機3とは、BLEに基づいて、互いに無線通信を行う。BLEに基づく無線通信では、単方向通信であるブロードキャスト通信と、双方向通信であるコネクション通信とが可能である。
ブロードキャスト通信は、コネクションレス通信とも呼ばれるもので、通信を開始する前に相手の状況を確認せずにデータを一方的に送信する通信方式である。ブロードキャスト通信は、相手との確認のやり取り等がないので制御が簡単になり通信速度を向上させ易いものの、TPMSのように複数の無線機で構成されるシステムにおいては電波の混信が生ずる虞がある。
一方、コネクション通信は、通信を開始する前に相手との間で仮想的なコネクション(仮想的な専用通信路)を確立し、確立したコネクションを通じてデータの送受信を行う通信方式である。コネクション通信は、例えば、1台のマスタ機が複数のスレーブ機とコネクションを確立し、マスタ機による制御により時分割で各スレーブ機と通信を行うことができるため混信が生じない。
車両走行中は、タイヤセンサ2から車載機3に向けて、ブロードキャスト通信によるタイヤ情報の送信が行われる。ブロードキャスト通信によるタイヤ情報の送信では、タイヤ情報と単方向コマンドとが格納されたフレームが、タイヤセンサ2から送信される。単方向コマンドは、ブロードキャスト通信、すなわち、単方向通信を示すコマンドである。ブロードキャスト通信では、タイヤセンサ2側で定められたタイミングで、タイヤ情報の送信が行われる。
一方、車両徐行中または駐停車中は、タイヤセンサ2から車載機3に向けて、コネクション通信を開始するための接続要求が送信される。すなわち、接続要求のコマンドが格納されたフレームが送信される。このフレームを車載機3が受信すると、車載機3は、接続手続きを行うためのフレームをタイヤセンサ2に向けて送信する。このフレームをタイヤセンサ2が受信することで、コネクションが確立される。すなわち、コネクション通信が開始される。このように、車載機3が接続要求を受信した場合、接続手続きを行うためのフレームの送受信が行われることで、コネクションが確立されるが、以下では、単に、車載機3が接続要求を受信した場合に、車載機3がコネクションを確立するという。このようなコネクション通信では、車載機3がマスタとなり、タイヤセンサ2がスレーブとなる。
コネクション確立時には、車載機3から第1回転角度(すなわち、タイヤセンサ2の角度)の送信を要求する要求信号が送信される。この要求信号をタイヤセンサ2が受信すると、タイヤセンサ2は、要求信号の応答信号として第1回転角度を含む角度情報を送信する。コネクション通信による角度情報の送信では、第1回転角度が格納されたフレームが、タイヤセンサ2によって送信される。これにより、車載機3は、第1回転角度を取得する。コネクション通信では、車載機3側で定められたタイミングで、第1回転角度の取得が行われる。
次に、本実施形態のTPMSで行われる車輪位置検出処理について図5~図10を参照しつつ具体的に説明する。車輪位置検出処理は、TPMSに備えられるタイヤセンサ2および車載機3を用いるとともに、ブレーキECU10からの情報を利用して行われる。本実施形態の車輪位置検出処理は、車速が規定速度以下となる際に実施される。
まず、車輪位置検出の概要について説明すると、車載機3側では、ブレーキECU10から各車輪5a~5dに対応して備えられた車輪角度センサ11a~11dの歯車情報を所定周期、例えば10ms毎に取得している。すなわち、車載機3は、図5に示すように、車輪角度センサ11a~11dから出力される車輪速度パルスをカウントする。そして、車載機3は、車輪速度パルスのカウント値(パルス数)を各車輪5a~5dの回転角度に換算し、換算した回転角度を第2回転角度として算出する。なお、第2回転角度は、各車輪5a~5dそれぞれで算出される。
車載機3は、各車輪5a~5dのうちの1つを基準車輪に設定する。車載機3は、各車輪5a~5dのうち、第2回転角度の変化量が最も大きいものを基準車輪に設定する。例えば、図6に示すように、作業ピットと来客駐車場との間で車両1を移動させるシーンでは、車両1の向きを操作するハンドルの操舵角(すなわち、ステアリング角度)を大きく変化させることがある。このような走行環境等では、各車輪5a~5dのうち、旋回半径が最も大きくなる車輪の第2回転角度の変化量が最も大きくなるので、旋回半径が最も大きくなる車輪を基準車輪に設定する。例えば、図7に示すように、車両1を左に旋回させる場合、各車輪5a~5dのうち、車体6の右前方に配置される車輪5bである右前輪FRの旋回半径が最も大きくなる。この場合、車載機3は、右前輪FRを基準車輪に設定する。なお、車両1を右に旋回させる場合、各車輪5a~5dのうち、車体6の左前方に配置される車輪5aである左前輪FLの旋回半径が最も大きくなるので、車載機3は、左前輪FLを基準車輪に設定する。
車載機3側では、車速が規定速度以下となる条件下で、基準車輪の第2回転角度が所定の基準値の分だけ変化するタイミングで、タイヤセンサ2に向けてタイヤセンサ2の角度を示す第1回転角度を要求する要求信号を送信する。基準値は、3.75°以上、且つ、360°よりも小さい値に設定される。本実施形態では、通信遅延に伴う回転角度の検出誤差を考慮し、基準値を30°に設定している。この「30°」は、車輪速度パルスのパルス数の8つ分に相当する。
タイヤセンサ2側では、車載機3側から第1回転角度の送信を要求する要求信号を受信する度に、当該要求信号の受信時の第1回転角度を要求信号の応答信号として送信する。具体的には、各タイヤセンサ2は、車載機3側から要求信号を受信すると、加速度センサ22の検出信号を監視することで車速および第1回転角度を検出する。そして、各タイヤセンサ2は、車載機3側からの要求信号の応答信号として第1回転角度を含むフレームを送信する。
車載機3では、各タイヤセンサ2側からの応答信号を受信すると、車輪5a~5dの位置を検出する処理の実行中における過去の応答信号の受信時から今回の応答信号の受信時までの間の第1回転角度の変化量を第1回転量として算出する。具体的には、車載機3は、各車輪5a~5dの位置を検出する処理の開始時から今回の応答信号の受信時までの間の第1回転角度の変化量の総和(すなわち、累積値)を第1回転量として算出する。車載機3は、例えば、初回の応答信号の受信時から今回の応答信号の受信時までの間の第1回転角度の変化量の総和を第1回転量として算出する。
また、車載機3では、車輪5a~5dの位置を検出する処理の実行中における過去の要求信号の送信時から今回の要求信号の送信時までの間の各車輪5a~5dの第2回転角度の変化量を第2回転量として算出する。具体的には、車載機3は、各車輪5a~5dの位置を検出する処理の開始時から今回の要求信号の送信時までの間の第2回転角度の変化量の総和(すなわち、累積値)を第2回転量として算出する。車載機3は、例えば、初回の要求信号の送信時から今回の要求信号の送信時までの間の第2回転角度の変化量の総和を第2回転量として算出する。
そして、車載機3は、第1回転量と第2回転量との差が所定の角度誤差の範囲内となる際に成立する誤差条件を満たす第1回転量を抽出する。そして、誤差条件を満たす第1回転量に基づいてタイヤセンサ2が設置される車輪の位置を特定する。
例えば、基準車輪の第2回転数の変化量(第2回転量)と基準車輪に取り付けられたタイヤセンサ2の第1回転数の変化量(第1回転量)との差は、所定の角度誤差の範囲内となる。所定の角度誤差は、1パルス当たりの回転量(本例では3.75°)に各回転角度の検出誤差や通信遅延を加味して設定される。本例では、角度誤差が第2回転量の値に対して±3°となる範囲に設定されている。
しかし、道路状況や旋回もしくは車線変更等によって各車輪5a~5dの回転状態が変動したりするため、車輪5a~5dの回転状態が完全に同じになることはあり得ない。つまり、基準車輪の第2回転量は、基準車輪に取り付けられたタイヤセンサ2の第1回転数の変化量(第1回転量)との差が小さく、基準車輪以外の車輪に取り付けられたタイヤセンサ2の第1回転数の変化量(他の回転量)との差が大きくなる。したがって、第1回転量と第2回転量との差が所定の角度誤差の範囲内となる際に成立する誤差条件を満たす第1回転量を抽出することによって、タイヤセンサ2が設置される車輪の位置を特定することができる。
車載機3は、右前輪FRの第2回転角度の変化量を右前回転量VFR、左前輪FLの第2回転角度の変化量を左前回転量VFL、右後輪RRの第2回転角度の変化量を右後回転量VRR、左後輪RLの第2回転角度の変化量を左後回転量VRLとして算出する。
そして、各車輪5a~5dの第1回転角度の中から左前回転量VFLとの差が第1所定誤差の範囲内となる第1回転量を抽出し、当該第1回転量の算出に用いる第1回転角度を検出するタイヤセンサ2の設置位置を左前輪FLに特定する。各車輪5a~5dの第1回転角度の中から右前回転量VFRとの差が第2所定誤差の範囲内となる第1回転量を抽出し、当該第1回転量の算出に用いる第1回転角度を検出するタイヤセンサ2の設置位置を右前輪FRに特定する。各車輪5a~5dの第1回転角度の中から左後回転量VRLとの差が第3所定誤差の範囲内となる第1回転量を抽出し、当該第1回転量の算出に用いる第1回転角度を検出するタイヤセンサ2の設置位置を左後輪RLに特定する。各車輪5a~5dの第1回転角度の中から右後回転量VRRとの差が第4所定誤差の範囲内となる第1回転量を抽出し、当該第1回転量の算出に用いる第1回転角度を検出するタイヤセンサ2の設置位置を右後輪RRに特定する。なお、第1所定誤差、第2所定誤差、第3所定誤差、第4所定誤差は、前述の角度誤差に相当するものであって、それぞれ同じ値(例えば、±3°)に設定されている。なお、第1所定誤差、第2所定誤差、第3所定誤差、第4所定誤差は、異なる値に設定されていてもよい。
ここで、図5の下方側には、左側から順に、各タイヤセンサ2A~2Dからの応答信号を初回に受信した際の第1回転角度および第1回転量、2回目に受信した際の第1回転角度および第1回転量、3回目に受信した際の第1回転角度および第1回転量を示している。
図5中に示す2回目の受信時の第1回転量によると、左前回転量VFL(=22.5°)との差が第2所定誤差の範囲(±3°)内となる第1回転量は、タイヤセンサ2Aの第1回転量(=22°)のみが該当する。右前回転量VFR(=30°)との差が角度誤差の範囲(±3°)内となる第1回転量は、タイヤセンサ2Bの第1回転量(=31°)のみが該当する。右後回転量VRR(=26.5°)との差が角度誤差の範囲(±3°)内となる第1回転量は、タイヤセンサ2Dの第1回転量(=26°)のみが該当する。左後回転量VRL(=19.5°)との差が角度誤差の範囲(±3°)内となる第1回転量は、タイヤセンサ2Aの第1回転量(=22°)、タイヤセンサ2Cの第1回転量(=19°)の2つが該当する。
このように、2回目の受信時には、左後回転量VRLと第1回転量との差が角度誤差の範囲となる第1回転量が2つ存在する。このため、2回目の受信時には、左後輪RLについて、タイヤセンサ2A、2Cのいずれに取り付けられているのかが特定できない。
一方、図5中に示す3回目の受信時の第1回転量によると、左前回転量VFL(=45°)との差が角度誤差の範囲(±3°)内となる第1回転量は、タイヤセンサ2Aの第1回転量(=44°)のみが該当する。右前回転量VFR(=60°)との差が角度誤差の範囲(±3°)内となる第1回転量は、タイヤセンサ2Bの第1回転量(=60°)のみが該当する。右後回転量VRR(=52.5°)との差が角度誤差の範囲(±3°)内となる第1回転量は、タイヤセンサ2Dの第1回転量(=52°)のみが該当する。左後回転量VRL(=37.5°)との差が角度誤差の範囲(±3°)内となる第1回転量は、タイヤセンサ2Cの第1回転量(=39°)のみが該当する。
このように、3回目の受信時には、左前回転量VFL、右前回転量VFR、左後回転量VRL、右後回転量VRRそれぞれとの差が角度誤差の範囲となる第1回転量が1つずつ存在する。すなわち、3回目の受信時には、第1回転量と第2回転量との差が角度誤差の範囲となる際に成立する誤差条件を満たす第1回転量が1つとなる。この結果に基づいて、車載機3は、タイヤセンサ2Aの設置位置を左前輪FLに特定し、タイヤセンサ2Bの設置位置を右前輪FRに特定し、タイヤセンサ2Cの設置位置を左後輪RLに特定し、タイヤセンサ2Dの設置位置を右後輪RRに特定する。つまり、タイヤセンサ2が取り付けられた4輪すべてを特定することが可能となる。
このようにして、各タイヤセンサ2A~2Dがいずれの車輪5a~5dに取り付けられたものであるかを特定する。そして、車載機3は、各タイヤセンサ2のID情報を、それが取り付けられた車輪の位置と紐付けて記憶する。これにより、車輪位置検出が完了する。
続いて、車輪位置検出を行う際に車載機3およびタイヤセンサ2が実行する具体的な処理について、図8および図9を参照しつつ説明する。図8に示す制御フローは、イグニッションスイッチIGがオフからオンに変化した場合に車載機3によって実行される。
図8に示すように、車載機3は、ステップS100にて、タイヤセンサ2からの接続要求やフレームを含む各種信号の受信を開始する。そして、車載機3は、ステップS105にて、車速が規定速度以上であるか否かを判定する。規定速度は、例えば、30km/hに設定される。例えば、ブレーキECU10で車輪角度センサ11a~11dの検出信号に基づいて推定車体速度の演算が行われていることから、その演算結果をブレーキECU10から取得することでステップS105の判定を行う。なお、ステップS105の判定は、車輪角度センサ11a~11dの検出信号以外の信号に基づいて実施されていてもよい。
ステップS105の判定結果が肯定判定であれば、車載機3は、ステップS110にて、タイヤ情報の受信、すなわち、タイヤ情報を格納したフレームを受信したか否かを判定する。この判定結果も肯定判定である場合、車載機3は、ステップS115にて、TPMS規定処理を実行する。この規定処理には、メータ4を通じた各車輪5a~5dのタイヤ空気圧の表示処理、タイヤ空気圧が低下した車輪がある場合にその旨をユーザ等に通知する処理等がある。
一方、ステップS105の判定結果が否定判定であれば、車載機3は、ステップS120にて、各タイヤセンサ2A~2Dからコネクション通信を行うための接続要求を受信したか否かを判定する。この判定結果が否定判定である場合、ステップS105の判定処理に戻る。
ステップS120の判定結果が肯定判定である場合、車載機3は、ステップS125にて、各タイヤセンサ2A~2Dとの間でコネクション(すなわち、仮想の専用通信路)を確立する。具体的には、車載機3は、接続手続きを行うためのフレームを各タイヤセンサ2A~2Dに向けて送信する。このフレームをタイヤセンサ2が受信することで、コネクションが形成される。
コネクションが確立すると、車載機3は、ステップS130にて、メモリに記憶された各車輪5a~5dの第2回転量をリセットする。そして、車載機3は、ステップS135にて、各タイヤセンサ2A~2Dに対して第1回転角度の送信を要求する要求信号を送信する。車載機3は、各タイヤセンサ2A~2Dから応答信号(第1回転角度含むフレーム)を受信すると、ステップS140にて、応答信号に含まれる第1回転角度を初期角度としてメモリに記憶する。
続いて、車載機3は、ステップS145にて、車輪速度パルスの変化量のカウント値であるパルスカウントをゼロにリセットする。そして、車載機3は、ステップS150にて、車速が規定速度以上であるか否かを判定する。この規定速度は、ステップS105と同様に30km/hに設定される。なお、規定速度は、30km/h以外の速度に設定されていてもよい。
ステップS150の判定結果が肯定判定である場合、車載機3は、ステップS155にて、各タイヤセンサ2A~2Dとの間のコネクションを切断し、ステップS105に移行する。これにより、車両走行中は、ブロードキャスト通信(すなわち、コネクションレス通信)によってタイヤ情報等を受信する。なお、コネクションが切断されると、タイヤセンサ2はスリープ状態に移行する。このスリープ状態とは、送信を行わない状態である。これにより、スリープ状態に移行しない場合と比較して、タイヤセンサ2の電力消費を抑制することができる。なお、タイヤセンサ2は、スリープ中でも定期的に空気圧のセンシングを行う。
ステップS150の判定結果が否定判定である場合、車載機3は、ステップS160に移行する。車載機3は、ステップS160にて、各車輪5a~5dそれぞれに対応する車輪角度センサ11a~11dから車輪速度パルスを取得し、取得した車輪速度パルスの変化量の積算値をパルスカウントとして算出する。そして、車載機3は、ステップS165にて、基準車輪の第2回転角度が基準値の分だけ変化したか否かを判定する。具体的には、車載機3は、パルスカウントが規定パルス(例えば、8パルス)に達したか否かによって、基準車輪の第2回転角度が基準値の分だけ変化したか否かを判定する。なお、車載機3は、パルスカウントを第2回転角度に換算し、換算した第2回転角度の変化量に基づいて第2回転角度が基準値の分だけ変化したか否かを判定するようになっていてもよい。
ステップS165の判定結果が否定判定である場合、ステップS150に移行する。ステップS165の判定結果が肯定判定である場合、車載機3は、ステップS170にて、各タイヤセンサ2A~2Dに対して第1回転角度の送信を要求する要求信号を送信する。車載機3は、各タイヤセンサ2A~2Dから応答信号(第1回転角度含むフレーム)を受信すると、ステップS175にて、メモリに記憶された初回角度および応答信号に含まれる第1回転角度に基づいて第1回転量を算出する。具体的には、第1回転角度から初回角度を減算した値を第1回転量として算出する。このようにして、第1回転量を算出した場合、車輪5a~5dの位置を特定する処理を開始してから今回の要求信号の受信時までの間の第1回転角度の変化量の総和が得られることになる。
続いて、車載機3は、ステップS180にて、各タイヤセンサ2A~2Dが取り付けられた車輪5a~5dの位置を特定する位置特定処理を実行する。この位置特定処理の概要については、図9を参照しつつ説明する。
図9に示すように、車載機3は、ステップS181にて、各車輪5a~5dの第2回転角度の変化量(第2回転量)と第1回転量との差を算出する。続いて、車載機3は、ステップS182にて、前述した誤差条件を満たす第1回転量が1つである否かを判定する。すなわち、車載機3は、第2回転量との差が所定の角度誤差の範囲内となる第1回転量が1つである否かを判定する。この判定結果が肯定判定であれば、車載機3は、ステップS183にて、前述の車輪位置検出処理で説明した通りの方法で各タイヤセンサ2A~2Dが取り付けられた車輪5a~5dの位置を特定する。なお、判定結果が否定判定であれば、ステップS183をスキップして処理を抜ける。
位置特定処理を実行した後、車載機3は、ステップS185にて、各タイヤセンサ2A~2Dそれぞれの車輪5a~5dの位置を特定したか否かを判定する。この判定結果が肯定判定である場合は、ステップS105に戻り、判定結果が否定判定である場合は、ステップS145に戻る。
次に、車輪位置検出を行う際にタイヤセンサ2が実行する具体的な処理について、図10を参照しつつ説明する。図10に示す制御フローは、タイヤセンサ2A~2D毎に個別に周期的に実行される。
図10に示すように、タイヤセンサ2は、ステップS200にて、加速度が一定値以上であるか否かを判定する。ここでいう加速度は、加速度センサ22の検出信号から得た遠心加速度と重力加速度の合計値のことを意味している。また、一定値とは、例えば、30km/h程度で走行中に発生する遠心加速度に相当する値としている。車両1が所定の速度よりも速い速度で走行中の場合、タイヤセンサ2は肯定判定する。車両1が所定の速度よりも遅い徐行中または駐停車中の場合、タイヤセンサ2は否定判定する。
ステップS200の判定結果が肯定判定である場合、タイヤセンサ2は、ステップS205にて、車両1が走行中に設定される定期送信周期毎にフレーム送信が行われるように、例えば60秒毎という走行中インターバルでタイマ設定を行う。そして、タイヤセンサ2は、ステップS210に進み、ブロードキャスト通信によるタイヤ情報送信を行う。すなわち、タイヤセンサ2は、タイヤ情報と単方向コマンドとが格納されたフレームを送信する。
その後、タイヤセンサ2は、ステップS215にて、加速度が一定値以上であるか否かを判定する。「加速度」および「一定値」は、ステップS200での説明と同じである。この処理は、ステップS220にて、走行中インターバルで設定されたタイマがタイムアップするまでの期間中に繰り返し行われ、車両1が走行を継続していることが確認される。そして、ステップS220でタイムアップしたら再びステップS205に戻る。
このように、タイヤセンサ2は、加速度センサ22が検出した加速度が一定値よりも大きい場合、走行中インターバルとして設定される定期送信周期毎に、単方向通信でのタイヤ情報送信を行う。
一方、ステップS200で否定判定された場合およびステップS215で否定判定された場合、タイヤセンサ2は、ステップS225にて、接続要求の送信時間を計測するためのカウンタをスタートする。そして、タイヤセンサ2は、ステップS230にて、接続要求の送信を行う。すなわち、タイヤセンサ2は、接続要求のコマンドが格納されたフレームを送信する。
続いて、タイヤセンサ2は、ステップS235にて、車載機3との間でコネクションが確立されたか否かを判定する。具体的には、タイヤセンサ2は、車載機3から送信された接続手続きを行うためのフレームを受信したか否かを判定する。
ステップS235の判定結果が肯定判定である場合、タイヤセンサ2は、ステップS245にて、車載機3からの第1回転角度の送信要求があるか否かを判定する。ステップS245の判定結果が肯定判定である場合、ステップS250にて、コネクション通信による要求信号に対する応答信号を送信する。すなわち、タイヤセンサ2は、第1回転角度を格納したフレームを送信する。その後、ステップS245に戻る。このように、タイヤセンサ2は、加速度センサ22が検出した加速度が一定値よりも小さい場合、一定時間、所定周期(例えば、60秒間、5秒周期)で、接続要求の送信を行う。これにより、コネクションが形成され、車載機3からの要求に応じて最新の第1回転角度が送信される。
一方、ステップS235の判定結果が否定判定である場合、タイヤセンサ2は、ステップS240にて、ステップS225でスタートしたカウンタがカウントアップしたか否かを判定する。すなわち、ステップS225でスタートしたカウンタの計測時間が規定時間に到達したか否かを判定する。規定時間は、例えば、60秒である。ステップS240の判定結果が否定判定である場合、タイヤセンサ2は、ステップS230に戻る。ステップS230が繰り返される場合の周期は、例えば、5秒である。
ステップS240の判定結果が肯定判定である場合およびステップS245の判定結果が否定判定である場合、タイヤセンサ2は、ステップS255にて、タイヤセンサ2の角度に変化があるか否かを判定する。すなわち、タイヤセンサ2は、第1回転角度の変化を検出したか否かを判定する。
ステップS255で肯定判定された場合、タイヤセンサ2は、ステップS260にて、接続要求の送信を行う。続いて、タイヤセンサ2は、ステップS265に進み、コネクションが確立したか否かを判定する。タイヤセンサ2は、ステップS265の判定結果が肯定判定である場合ステップS245に戻り、ステップS265の判定結果が否定判定である場合にステップS255に戻る。
一方、ステップS255の判定結果が否定判定である場合、タイヤセンサ2は、ステップS270にて、加速度が一定値以上であるか否かを判定する。「加速度」および「一定値」は、ステップS200での説明と同じである。
タイヤセンサ2は、ステップS270の判定結果が肯定判定である場合にステップS205に戻り、ステップS270の判定結果が否定判定である場合に、ステップS275に移行し、コネクションの形成中であるか否かを判定する。ステップS275の判定結果が肯定判定である場合にステップS245に戻り、ステップS275の判定結果が否定判定である場合にステップS255に戻る。
ステップS230、S235、S245、S250等の説明の通り、タイヤセンサ2は、加速度センサ22が検出した加速度が一定値よりも小さい場合、接続要求を車載機3に向けて送信する。タイヤセンサ2は、コネクションが確立された状態で、車載機3からの情報要求があった時に第1回転角度を算出し、算出した第1回転角度を要求信号に対する応答信号として送信する。すなわち、タイヤセンサ2は規定速度未満となり、且つ、車載機3とのコネクションが確立した状態で、車載機3からの情報要求に応じて第1回転角度を送信する。
以上説明したように、車載機3は、基準車輪の第2回転角度が基準値となるタイミングで車輪角度センサ11a~11dの出力信号に基づく基準車輪の第2回転角度の変化量を第2回転量として算出する。また、車載機3は、基準車輪の第2回転角度が基準値となるタイミングで要求したタイヤセンサ2A~2Dの第1回転角度の変化量を第1回転量として算出する。そして、第1回転量と第2回転量との差が角度誤差の範囲内である場合に成立する誤差条件を満たす第1回転量を抽出することで、当該第1回転量に対応するタイヤセンサ2の設置位置を基準車輪に特定する。
特に、本願のTPMSは、車載機3とタイヤセンサ2とが双方向に通信可能になっているので、車載機3側からの要求信号に応じたタイヤセンサ2からの応答信号の送信タイミングを把握することができる。これによると、従来とは異なり、タイヤセンサ2からの応答信号の送信タイミングに合わせて車載機3側での応答信号の受信タイミングを調整可能であるため、電波の混信の発生を抑制することができる。具体的には、車載機3とタイヤセンサ2との間でコネクションを確立した状態で、車輪位置検出を行うので、電波の混信は抑制される。
加えて、一回転当たりの車輪5a~5dの回転角度の変化量よりも小さい値に基準値が設定されている。これによると、車輪5a~5dが一回転する度に車輪の回転角度を検出するものに比べて、車輪5a~5dの回転角度を検出する頻度が増大する。この結果、車輪角度センサ11a~11dの出力信号に基づく第2回転角度の変化量と、タイヤセンサ2の第1回転角度の変化量との比較を高頻度に実施することができる。これらは、タイヤセンサ2が設置される車輪の位置を特定するまでの時間の短縮化に寄与する。
また、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態の車載機3は、誤差条件を満たす第1回転量が1つになるまで要求信号の送信を基準車輪の第2回転角度が基準値の分だけ変化する度に繰り返す。車載機3は、タイヤセンサ2からの応答信号を受信する度に、誤差条件を満たす第1回転量が1つであるか否かを判定する。そして、この結果が誤差条件を満たす第1回転量が1つである場合に、誤差条件を満たす第1回転量の算出に用いられる第1回転角度を検出するタイヤセンサ2の設置位置を基準車輪に特定する。このように、誤差条件を満たすものが1つになるまで、第2回転角度の変化量と、第1回転角度の変化量との比較を繰り返すことで、タイヤセンサ2が設置される車輪の位置を特定することができる。
(2)本実施形態の車載機3は、基準車輪以外の他の車輪についても、車輪5a~5dの位置を検出する処理の実行中における過去の要求信号の送信時から今回の前記要求信号の送信時までの間の第2回転角度の変化量を他の回転量として算出する。そして、車載機3は、他の回転量との差が所定誤差の範囲内となる第1回転量を抽出し、当該第1回転量の算出に用いる第1回転角度を検出するタイヤセンサ2の設置位置を他の車輪に特定する。これによれば、基準車輪以外の車輪に取り付けられるタイヤセンサ2についても、当該タイヤセンサ2が設置された車輪を特定することができる。特に、基準車輪の第2回転角度が基準値の分だけ変化するタイミングでのみ要求信号を送信しているので、各車輪5a~5dの第2回転角度が基準値の分だけ変化する全てのタイミングで要求信号を送信する場合に比べて、通信イベントの衝突を抑制できる。
(3)具体的には、車載機3は、左前輪FL、右前輪FR、左後輪RL、右後輪RRのうちの1つを基準車輪に設定する。車載機3は、車輪5a~5dの位置を検出する処理の実行中における過去の要求信号の送信時から今回の前記要求信号の送信時までの間の各車輪5a~5dの第2回転角度の変化量を算出する。そして、第2回転角度の変化量との差が所定誤差の範囲内となる第1回転量を抽出し、当該第1回転量の算出に用いる第1回転角度を検出するタイヤセンサ2が設置される車輪の位置を特定する。これによれば、左前輪FL、右前輪FR、左後輪RL、右後輪RRそれぞれに設置されるタイヤセンサ2の位置を特定できる。
(4)本実施形態の車載機3は、各車輪5a~5dのうち、車輪の回転角度の変化量が最も大きいものを基準車輪に設定する。これによれば、要求信号の送信間隔を短くして、車輪角度センサ11a~11dの出力信号に基づく基準車輪の回転角度の変化量と、タイヤセンサ2の第1回転角度の変化量との比較を高頻度に実施することできる。このことは、タイヤセンサ2が設置される車輪の位置が特定されるまでの時間の短縮化に寄与する。
(5)具体的には、車載機3は、ハンドルの操舵角が所定の基準角よりも大きくなる走行状態では旋回半径が最も大きくなる車輪を基準車輪とする。ハンドルの操舵角が所定の基準角よりも大きくなる走行状態では旋回半径が最も大きくなるものが、車輪の回転角度の変化量が最も大きくなるからである。
(6)本実施形態の加速度センサ22は、第1加速度および前記第1加速度とは異なる第2加速度を検出可能になっている。そして、タイヤセンサ2は、加速度センサ22で検出される第1加速度および第2加速度に基づいて、車両1の進行方向の切り替わりを判定可能であって、車両1の進行方向の切り替りに応じた第1回転角度を算出する。このように、車両1の進行方向の切り替わりに応じた第1回転角度を算出すれば、進行方向の切り替わりに起因する第1回転角度の信頼性の低下を抑制することができる。
(7)本実施形態の車載機3は、車輪5a~5dの位置を特定する処理を開始してから今回の要求信号の送信時までの間の第2回転角度の変化量の総和を第2回転量として算出する。また、車輪5a~5dの位置を特定する処理を開始してから今回の要求信号の受信時までの間の第1回転角度の変化量の総和を第1回転量として算出する。このように、第1回転角度の変化量の総和(累積値)を第1回転量とし、第2回転角度の変化量の総和(累積値)を第2回転量とすれば、そのようにしない場合に比べて、第2回転量との差が角度誤差の範囲内となる第1回転量を抽出し易くなる。
(8)本実施形態の車載機3は、車速が規定速度(例えば、30km/h)未満の状態において基準車輪の第2回転角度が基準値の分だけ変化すると要求信号の送信を行う。一方、車載機3は、車速が規定速度以上となる走行状態では基準車輪の第2回転角度が基準値の分だけ変化するタイミングであっても要求信号の送信を行わない。
車速が速い場合、ハンドルの操舵角が小さくなり、各車輪の回転角度の変化量の差が小さくなるので、複数の第1回転量の中から誤差条件を満たす第1回転量を抽出し難い。また、車速が速い場合、車輪速度パルスの取得タイミングによる誤差や通信遅延による誤差の影響が大きくなり易い。このため、車速が遅い場合に要求信号を送信することで、複数の第1回転量の中から誤差条件を満たす第1回転量を効率よく抽出することができる。この結果、非常に短距離で精度の高い車両位置検出を実現することができる。
(9)本実施形態では、車輪位置検出装置をTPMSに組み込んでいることで、タイヤセンサ2が取り付けられた車輪の位置を検出するとともに、複数の車輪それぞれのタイヤの空気圧を把握することができる。
ここで、図5中に示す2回目の受信時の第1回転角度によれば、左後回転量VRLとの差が所定誤差の範囲内となる第1回転量は2つある。そして、他の回転量(左前回転量VFL、右前回転量VFR、右後回転量VRR)との差が所定誤差の範囲内となる第1回転量は1つである。この結果によれば、タイヤセンサ2Aの設置位置を左前輪FLに特定し、タイヤセンサ2Bの設置位置を右前輪FRに特定し、タイヤセンサ2Dの設置位置を右後輪RRに特定することができる。そして、残りのタイヤセンサ2Cの設置位置については、既に特定された左前輪FL、右前輪FR、右後輪RR以外の左後輪RLに特定することができる。このように、4つのタイヤセンサ2A~2Dのうち3つのタイヤセンサ2の設置位置を特定できる場合、残りのタイヤセンサ2については、既に特定された車輪を除く車輪に特定すればよい。この場合、タイヤセンサ2が取り付けられた4輪すべてを短期間で特定することが可能となる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図11を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
上述の第1実施形態の車輪位置検出では、車速が規定速度未満となる条件下で、基準車輪の第2回転角度が基準値の分だけ変化するタイミングで要求信号を送信する。そして、基準車輪の第2回転角度が基準値となる度に、各車輪5a~5dについて第2回転角度の変化量を算出し、当該変化量および第1回転角度の変化量に基づいて車輪位置検出を行っている。
これに対して、本実施形態の車載機3は、図11に示すように、基準車輪の第2回転角度が基準値の分だけ変化するタイミングだけでなく、基準車輪以外の他の車輪の第2回転角度が基準値の分だけ変化するタイミングでも要求信号を送信する。例えば、右前輪FRの第2回転角度が30°となるタイミングに要求信号を送信する場合、右前輪FR以外の左前輪FL、右後輪RR、および左後輪RLの第2回転角度が30°となるタイミングでも要求信号を送信する。そして、各車輪5a~5dの第2回転角度が基準値となるタイミングで各車輪5a~5dについて第2回転角度の変化量を算出し、当該変化量と第1回転角度の変化量に基づいて車輪位置検出を行う。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態のシステムによれば、第1実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、車輪角度センサ11a~11dの出力信号に基づく他の車輪の第2回転角度が基準角度の分だけ変化するタイミングでも要求信号を送信する。これによると、他の車輪の第2回転角度の変化量と、タイヤセンサ2の第1回転角度の変化量との差が角度誤差の範囲内にある場合に、当該第1回転量に対応するタイヤセンサ2の設置位置を他の車輪に特定することができる。このため、基準車輪以外の他の車輪についての車輪速度パルスの取得タイミングによる誤差を低減することができる。また、車輪角度センサ11a~11dの出力信号に基づく車輪5a~5dの回転角度の変化量と、タイヤセンサ2の第1回転角度の変化量との比較を高頻度に実施することできる。このことは、タイヤセンサ2が設置される車輪の位置が特定されるまでの時間の短縮化に寄与する。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、図12を参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
本実施形態では、図8に示すステップS180の位置特定処理の処理内容が第1実施形態と異なっている。以下、本実施形態の車載機3が実行する位置特定処理について、図12を参照しつつ説明する。なお、図12に示すステップS181、S182、S183の処理は、図9に示すステップS181、S182、S183の処理と同じである。
図12に示すように、車載機3は、ステップS181にて、各車輪5a~5dの第2回転角度の変化量(第2回転量)と第1回転角度の変化量(第1回転量)との差を算出する。続いて、車載機3は、ステップS182にて、前述した誤差条件を満たす第1回転量が1つである否かを判定する。
この判定結果が否定判定である場合、車載機3は、ステップS184にて、誤差条件を満たさない第1回転量の算出に用いられるタイヤセンサ2を抽出する。そして、抽出したタイヤセンサ2を今回特定の対象となる特定対象車輪に設置されるタイヤセンサの候補から除外して、位置特定処理を抜ける。例えば、特定対象車輪が基準車輪である場合、誤差条件を満たさない第1回転量の算出に用いられるタイヤセンサ2を基準車輪に設置されるタイヤセンサ2の候補から除外する。
一方、ステップS182の判定結果が肯定判定であれば、車載機3は、ステップS183にて、特定対象車輪の候補として残ったタイヤセンサ2の設置位置を特定対象車輪に特定する。例えば、特定対象車輪が基準車輪である場合、特定対象車輪の候補として残ったタイヤセンサ2の設置位置を基準車輪に特定する。
その他については、第1実施形態と同様である。本実施形態のシステムによれば、第1実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態の車載機3は、タイヤセンサ2からの応答信号を受信する度に、誤差条件を満たさない第1回転数の算出に用いられる第1回転角度を検出するタイヤセンサ2を特定対象車輪の候補から除外し、残ったタイヤセンサ2を特定対象車輪に特定する。このように、誤差条件を満たさない第1回転数の算出に用いられる第1回転角度を検出するタイヤセンサ2を特定対象車輪の候補から除外すれば、毎回、全ての車輪に設置されるタイヤセンサ2の第1回転量を算出する必要がなくなる。このことは車輪位置検出処理の効率向上に寄与する。
(2)また、車輪位置を特定対象車輪以外の車輪に特定できたタイヤセンサ2がある場合、当該タイヤセンサ2を特定対象車輪の候補から除外することもできる。このようにすれば、車輪位置検出処理の効率を充分に向上させることができる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
車両1の走行中にハンドルの操舵角を変化させると、前輪のうち外側の車輪の旋回半径が最も大きく(回転速度が最速)となり、後輪のうち内側の車輪の旋回半径が最も小さく(回転速度が最低)となる。また、外輪差によって、後輪のうち外側の車輪の旋回半径が前輪のうち外側の車輪の旋回半径よりも小さくなるので、後輪のうち外側の車輪の回転速度が前輪のうち外側の車輪の回転速度よりも小さくなる。さらに、内輪差によって、前輪のうち内側の車輪の旋回半径が後輪のうち内側の車輪の旋回半径よりも大きくなるので、前輪のうち内側の車輪の回転速度が後輪のうち内側の車輪の回転速度よりも大きくなる。このように、ハンドルの操舵角が変化する場合、各車輪5a~5dの位置と各車輪5a~5dの回転速度との間に一定の相関性が存在する。
これらを加味して、第1実施形態の車輪位置検出処理と同様の処理によって基準車輪と基準車輪に取り付けられるタイヤセンサ2との対応関係を特定し、他の車輪は、操舵角、各車輪5a~5dの位置、回転速度の相関性に基づいて特定してもよい。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態のシステムによれば、第1実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明し、第1実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
上述の第1実施形態の車輪位置検出処理では、基準車輪の第2回転角度が基準値の分だけ変化するタイミングで要求信号を送信することになっているが、この基準値は予め定めた固定値になっている。
ハンドルの操舵角が大きい場合、操舵角が小さい場合に比べて、単位時間あたりの各車輪5a~5dの回転数の変化量の差が拡大する。つまり、操舵角が大きい場合には、各車輪5a~5dの回転数の検出頻度を高めたとしても、タイヤセンサ2が設置される車輪5a~5dの位置を特定することができる。
これらを加味して、本実施形態の車輪位置検出処理では、基準値を操舵角に応じた可変値としている。具体的には、操舵角が所定の基準角よりも大きい場合は操舵角が基準角以下となる場合に比べて基準値を小さくする。なお、操舵角が小さく、略直進状態である場合には、各車輪5a~5dの回転数の変化量の差が殆どない。このため、例えば、操舵角が基準角よりも小さい場合には、要求信号の送信しないようしてもよい。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態のシステムによれば、第1実施形態と共通の構成または均等な構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態のように、操舵角が大きい場合は操舵角が小さい場合に比べて、基準値を小さくすれば、タイヤセンサ2の第1回転角度の変化量との比較を高頻度に実施することできる。このことは、タイヤセンサ2が設置される車輪の位置が特定されるまでの時間の短縮化に寄与する。
(他の実施形態)
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
上述の実施形態の車載機3は、車輪位置検出処理において、各車輪5a~5dのうち、第2回転角度の変化量が最も大きいものを基準車輪に設定しているが、第2回転角度の変化量が最も大きいもの以外を基準車輪に設定するようになっていてもよい。
上述の実施形態のタイヤセンサ2および車載機3は、BLEの通信方式に基づいて双方向に通信可能に構成されているが、BLE以外の通信方式に基づいて双方向に通信可能なコネクション通信を行うように構成されていてもよい。
上述の実施形態の如く、車速が規定速度未満となる際に車輪位置の検出を行うことが望ましいが、これに限らず、車輪位置の検出は、車速が規定速度以上の際に行うようになっていてもよい。また、車速が規定速度以上の場合は、従来の如く、単方向の通信(すなわち、ブロードキャスト通信)を用いた車輪位置の検出を行うようになっていてもよい。さらに、イグニッションスイッチIGがオフからオンに切り替わる度に、毎回、車輪位置検出処理を実行するようになっていてもよい。但し、タイヤセンサ2の電池寿命を考慮して、前回の車輪位置検出処理を実行してから所定期間経過後または所定距離を走行した後に次回の車輪位置検出処理を実行するようになっていることが望ましい。
上述の実施形態では、加速度センサ22が第1加速度および第2加速度を検出可能になっているものを例示したが、これに限定されない。加速度センサ22は、例えば、単軸加速度センサや3軸加速度センサで構成されていてもよい。加速度センサ22が単軸加速度センサで構成される場合は、車両1の進行方向の切り替わりを判別できない。この場合、車両1が停止する度に、進行方向が切り替わっていない場合に想定される第1回転角度および進行方向が切り替わっている場合に想定される第1回転角度それぞれを算出し、各第1回転角度を第2回転角度と比較するようにすればよい。
上述の実施形態の第2回転角度の変化量の総和を第2回転量として算出するとともに、第1回転角度の変化量の総和を第1回転量として算出するものを例示したが、これに限定されない。車載機3は、前回の要求信号の送信時から今回の要求信号の送信時までの第2回転角度の変化量を第2回転量として算出し、前回の要求信号の受信時から今回の要求信号の受信時までの第1回転角度の変化量を第1回転量として算出するようになっていてもよい。
上述の実施形態では、車速が規定速度未満の場合に、タイヤセンサ2からの接続要求が送信されるようになっているが、これに限定されない。例えば、車両1が作業PITに停車中に、専用ツールまたはタイヤセンサ2への物理的な入力によってタイヤセンサ2からの接続要求が送信されるようになっていてもよい。物理的な入力としては、例えば、空気圧調整に伴う急激な空気圧変化や、加速度センサ22で特定の振動パターンを検出したとき等が挙げられる。
上述の実施形態では、4つの車輪5a~5dを有する車両1に対して備えられた車輪位置検出装置について説明したが、さらに車輪が多い車両1についても、同様に本発明を適用することができる。
上述の実施形態の車載機3は、車輪角度センサ11a~11dの情報をブレーキECU10から取得するようになっているが、これに限らず、ブレーキECU10以外の他のECUから取得するようになっていてもよい。
上述の実施形態のタイヤセンサ2は、車輪位置検出処理において、タイヤ情報および第1回転角度を含むフレームを車載機3からの要求信号の応答信号として出力しているが、これに限定されない。タイヤセンサ2は、例えば、単に第1回転角度だけを含むフレームを応答信号として送信するようになっていてもよい。
上述の実施形態の車載機3は、各タイヤセンサ2A、2B、2C、2Dから第1回転角度を取得する際に、基本的には各タイヤセンサ2A、2B、2C、2Dと順番に通信を行っているが、これに限定されない。各タイヤセンサ2A、2B、2C、2Dのうち、車輪位置が既に確定しているセンサがある場合、当該センサに要求信号を送信して第1回転角度を取得する必要がない。このため、車輪位置が既に確定できたタイヤセンサ2については、全てのタイヤセンサ2A、2B、2C、2Dの車輪位置が特定するまで、第1回転角度の要求信号の送信を行わないようにしてもよい。この場合、各タイヤセンサ2A、2B、2C、2Dの車輪位置を特定する度に、タイヤセンサ2と車載機3との間に通信時間が短くなっていくので、通信遅延による誤差を低減することができる。
上述の実施形態のタイヤセンサ2は、車両1が走行中であるか否かを加速度判定によって行っているが、これに限定されない。タイヤセンサ2は、加速度センサ22の検出信号を利用して車速検出を行い、車速が規定速度、例えば、30km/h以上になると車両1が走行中であると判定するようになっていてもよい。なお、加速度センサ22の出力には遠心力に基づく加速度(以下、遠心加速度という)が含まれる。この遠心加速度を積分して係数を掛けることにより、車速を演算することが可能となる。
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウエア論理回路で構成されたプロセッサとの組み合わせで構成される一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。