JP7488752B2 - 超硬合金工具 - Google Patents
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Description
Coを2.0~30.0質量%を含み、残部がWCおよび不可避的不純物からなる組成を有し、結合相を形成しているCo結晶粒のうちの面心立方構造を有する結晶粒の面積割合につき、その表面から深さ50μmまでの表面領域の値(A)が50.0~100.0面積%、その表面から50μmを超える内部領域の値(B)が30.0~90.0面積%であり、かつ、A/Bが0.70~3.33である。
(1)Cr3C2を0.2~3.5質量%および/またはVCを0.2~3.7質量%含有すること。
(2)Niを0.4~21.0質量%含有すること。
(3)前記内部領域において、ビッカース硬度が1500Hv以上であること。
(4)破壊靭性値が12.00MPa・m1/2以上であること。
(5)鉱山土木用ボタンビットのチップであること。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、数値範囲を「M~N」(M、Nは共に数値)で表現するときは、その範囲は上限値(N)および下限値(M)を含んでおり、上限値(N)と下限値(M)の単位は同じである。
まず、本実施形態に係る超硬工具の組成について説明する。
本実施形態に係る超硬工具の組成は、Coを2.0~30.0質量%含み、残部がWCと不可避的不純物である。Coの含有量をこの範囲とした理由は、2.0質量%未満であると、焼結時に緻密化が進行しづらくなって内部欠陥が残りやすくなり、その結果、組織としての均一性が損われ超硬工具の機械的強度が低下し、一方、30.0質量%を超えると、超硬工具の耐摩耗性が低下するためである。超硬工具が削孔工具(削孔チップ)のとき、Coの含有割合は、3.0~10.0質量%であることがより好ましい。
本実施形態に係る超硬工具は、Cr、V、Nb、Ta、Ti、Ni、Hf、Zrの1種類または2種以上を含有してもよい。これらの元素は、炭化物、複合炭化物、窒化物、炭窒化物として添加されてもよい。以下、これら元素について説明する。
本実施形態に係る超硬工具は、製造工程において不可避的に混入する元素を1.0質量%以下含有することが許容される。
本実施形態に係る超硬工具は、面心立方構造(fcc結晶構造)を有するCo結晶粒の面積割合が、その表面、すなわち、表面に存在する黒皮、塗装等の表面層に接する超硬工具本体の最も深い谷底(最も超硬工具本体の内部にある部分)を起点として、この起点からの深さが50μmのまでの表面領域の値(A)が50.0~100.0面積%、その表面から深さが50μmを超える内部領域の値(B)が30.0~90.0面積%であり、かつ、A/Bが0.70~3.33であることが好ましい。
なお、超硬工具が削孔工具(削孔チップ)のとき、前記表面領域の値(A)は60.0~97.0面積%、前記内部領域の値(B)は40.0~90.0面積%、前記A/Bは0.70~2.20が好ましい。
具体的には以下の「Co結晶粒の結晶粒界の画定と結晶構造の決定」の手順に従う。
<<Co結晶粒の結晶粒界の画定>>
電子後方散乱回折を用いた結晶方位測定によりCo結晶の結晶粒界を特定する。まず、工具表面に垂直な面(縦断面)を耐水研磨紙、ダイヤモンド砥粒を用いて機械研磨を行った後、イオンミリング装置を用いて断面イオン加工を行って、測定面を作製する。次に、結晶方位測定を、EBSD測定装置と、解析ソフトを用いて行う。EBSD測定装置の電子線の加速電圧は15kV、測定視野は20μm×30μm、結晶方位測定の測定点間隔(Step Size)は0.05μmとする。EBSD測定装置で得られたデータを、解析ソフトを用いて処理する。
ここで、測定した結晶方位は測定面上を離散的に調べたものであり、隣接測定点間の中間までの領域をその測定結果で代表させることにより測定面全体の方位分布として求めるものである。なお、測定点で代表させた領域(以下、ピクセルということがある)として正六角形状のものが例示できる。
本実施形態に係る超硬工具は、その内部領域において、ISO6507、またはASTM E385規定された方法により荷重490N(50kgf)で測定するビッカース硬度が1400Hv以上であることが好ましい。ビッカース硬度が1500Hv以上であると、前記超硬工具は、より一層、耐摩耗性、耐欠損性、靭性に優れる。
なお、ビッカース硬度の上限値は特段の制約がないが、後述する実施例の製造法では1550Hv程度が上限になる。
本実施形態に係る超硬工具は、破壊靭性値(K1c)が12.00MPa・m1/2以上であることが好ましい。破壊靭性値が12.00MPa・m1/2以上であると、前記超硬工具は、耐摩耗性、耐欠損性、靭性がより一層優れる。
ここで、破壊靭性値の測定は、公知のものが使用でき、例えば、JIS R1607で規定された方法により測定する圧痕とクラック長から靭性値を算出するIF法、十分なクラック長が得られない領域ではSEPB法やSEVNB法を用いて測定を行う。
なお、破壊靭性の上限値は特段の制約がないが、後述する実施例の製造法では25.00MPa・m1/2程度が上限になる。
以下、実施例Aとして、超硬工具がボタンビット(BB036A)の削孔チップである場合を例として挙げて本発明を説明する。
すなわち、原料粉末の準備工程、配合・混合とプレス成形工程、焼結工程、加圧処理工程、バリ取り工程、再焼結工程を経て製造した。
原料粉末として、いずれも3.0μmの平均粒径を有するWC粉末とCo粉末、および、いずれも0.1~3.0μmの平均粒径を有するCr3C2粉末、VC粉末を用意した。
用意した原料粉末を、表1に示される配合組成に配合し、さらにパラフィンワックスを加えて、エタノールを85%含む溶媒中で24時間ボールミルを使って混合し、減圧乾燥した後、20%の圧縮率となるように、圧粉体にプレス成形した。
なお、表1に示す配合割合が、ボタンビット用削孔チップの組成である。
プレス成形した圧粉体を20Pa以下の真空中で、4℃/minの昇温温度で1350~1500℃の範囲内の温度に60分間保持して焼結し、焼結後、Arガスを使用して6℃/minの冷却速度で50℃まで冷却した。
次に、7℃/minの昇温温度で1320℃まで昇温し、900MPaの圧力で60分間保持してHIP処理を行った。その後、6℃/minの冷却速度で50℃まで冷却した。
また、HIP処理に代えて、焼結とHIP処理を同時に行うS-HIP処理を行った。S-HIP処理は、3℃/minの昇温温度で1350~1500℃間に真空加熱した後、その到達温度域でArガス雰囲気下の5MPaにて90分間の加圧をした処理を行った。その後は、3/minの冷却速度で50℃まで冷却した。
次に、必要に応じて以下(1)~(3)のいずれかのバリ取り加工を行った。
設備 振動式バレル研磨機
容量 20リットル
周波数 60Hz
研磨メディア 珪藻土
砥粒 #200のダイヤモンド砥粒
周速 1000m/min
ストローク数 90回/min
切込量 0.1mm
エア圧 0.3~0.2MPa
ブラストガン Φ19mm
アルミナ径 425~300μm(FA46)
単位面積当たりの処理時間 3~6s/cm2
1Pa以下の真空中で、5℃/minの昇温温度に1100℃まで昇温し、60分間保持して再焼結した後、15℃/minの冷却速度で50℃まで冷却した。
実施例1~7、比較例1~7のバリスティックタイプチップを図3に示すゲージ径Gが47.0mmのボタンビットのヘッドに、6個のチップ径Tが10mmの前記チップをゲージチップとして、3個のチップ径Tが9mmの前記チップをフェイスチップとして、それぞれ取り付けて、以下の削孔試験を行った。
打撃圧 20MPa
打撃周波数 93Hz
推力 8MPa
回転圧 7.5MPa
削孔長さ(1回当たり) 4m
削孔径 45mm
岩盤-軸圧縮強度 210MPa
10回の削孔(合計40mの削孔)が終了する毎に実施
(1)5回の削孔(合計20mの削孔)の終了毎に削孔チップの形状を観察し、
(2)ゲージ径測定治具を用い、ボタンビットのゲージ径Gが44mm未満になった時点
で摩耗、あるいは、チップ径の1/3以上の長さに欠損(部分的な欠損、全欠損のいずれか)の有無を目視で観察し、ゲージチップ、フェイスチップに関わらず9個あるチップのうちの3個以上に欠損が発生した際に寿命と判断し、寿命に至るまでの総削孔長さ(メートル)を測定した。
以下、実施例Bとして、一辺の長さが10mmの立方体形状の試験片を作成し、図4、5に示すラトラ試験を行って、同試験片の耐摩耗性、耐欠損性、靭性について評価を行った。
試験片の作成は、原料粉末の準備工程、配合・混合とプレス成形工程、焼結工程、加圧処理工程、研磨工程、再焼結工程を経て製造した。
原料粉末として、いずれも1.0μmの平均粒径を有するWC粉末とCo粉末、および、いずれも0.1~3.0μmの平均粒径を有するCr3C2粉末、VC粉末を用意した。
用意した原料粉末を、表4に示される配合組成に配合し、さらにパラフィンワックスを加えて、エタノールを85%含む溶媒中で24時間ボールミルを使って混合し、減圧乾燥した後、20%の圧縮率となるように、圧粉体にプレス成形した。
なお、表4に示す配合割合が、試験片の組成である。
プレス成形した圧粉体を20Pa以下の真空中で、4℃/minの昇温温度で1350~1500℃の範囲内の温度に60分間保持して焼結し、焼結後、Arガスを使用して6℃/minの冷却速度で50℃まで冷却した。
次に、7℃/minの昇温温度で1320℃まで昇温し、900MPaの圧力で60分間保持してHIP処理を行った。その後、6℃/minの冷却速度で50℃まで冷却した。
また、HIP処理に代えて、焼結とHIP処理を同時に行うS-HIP処理を行った。S-HIP処理は、3℃/minの昇温温度で1350~1500℃間に真空加熱した後、その到達温度域でArガス雰囲気下の5MPaにて90分間の加圧をした処理を行った。その後は、3/minの冷却速度で50℃まで冷却した。
平面研削盤を使用し、#140砥石を用いて試験片の6面を研磨した。
1Pa以下の真空中で、5℃/minの昇温温度に1100℃まで昇温し、60分間保持して再焼結した後、15℃/minの冷却速度で50℃まで冷却した。
実施例11~15、および、比較例11~15の各試験片に対して、図4に断面の模式図、図5に側面の模式図を示すラトラ試験機を用いて、欠損率を評価した。
ラトラ試験の容器の寸法 内径φ110mm
長さ 200mm
ボール φ20mm アルミナボール(総質量 480g)
容器の回転数 250rpm
試験時間 180分
欠損率(%)=(試験前の質量-試験後の質量)/(試験前の質量)×100
以下、実施例Cとして、超硬工具が図6に示すような回転式切断工具(ロータリーダイカッター)である場合を例に挙げて説明する。
回転式切断工具は、原料粉末の準備工程、配合・混合とプレス成形工程、焼結工程、加圧処理工程、再焼結工程、研磨工程を経て製造した。
原料粉末として、いずれも1.0μmの平均粒径を有するWC粉末とCo粉末、および、いずれも0.1~3.0μmの平均粒径を有するCr3C2粉末、VC粉末を用意した。
用意した原料粉末を、表7に示される配合組成に配合し、さらにパラフィンワックスを加えて、エタノールを85%含む溶媒中で24時間ボールミルを使って混合し、減圧乾燥した後、20%の圧縮率となるように、圧粉体にプレス成形した。
なお、表7に示す配合割合が、回転式切断工具の組成である。
プレス成形した圧粉体を20Pa以下の真空中で、4℃/minの昇温温度で1350~1500℃の範囲内の温度に60分間保持して焼結し、焼結後、Arガスを使用して6℃/minの冷却速度で50℃まで冷却した。
次に、7℃/minの昇温温度で1320℃まで昇温し、900MPaの圧力で60分間保持してHIP処理を行った。その後、6℃/minの冷却速度で50℃まで冷却した。
1Pa以下の真空中で、5℃/minの昇温温度に1100℃まで昇温し、60分間保持して再焼結した後、15℃/minの冷却速度で50℃まで冷却した。
仕上がり面粗さ(Rz)が0.8μmとなるように、以下のような研磨加工を行った。
加工機:円筒研磨機およびマシニングセンター
砥石番手:♯140(荒加工)~♯1000(仕上げ加工)
図6に模式的に示す回転式切断工具を組み立て、
回転数 600rpm
押付圧力 1.5MPa
刃先突き出し量 1.5μm
として、10万回転毎に刃先の状態を目視により確認し、欠損が認められた時点までの累積回転数を寿命に至るまでの回転数とした。結果を表9に示す。表9において、寿命とは、寿命に至るまでの回転数である。
2 チップバリスティックタイプ(フェイスチップ)
3 ボタンビット
4 ラトラ試験機の容器
5 障害板
6 試験片
7 アルミナボール
8 ダイカットロール
9 アンビルロール
10 刃先
11 ベアラ
T バリスティックタイプチップのチップ径
G ボタンビットのゲージ径
R 回転方向
Claims (6)
- Coを2.0~30.0質量%を含み、残部がWCおよび不可避的不純物からなる組成を有し、結合相を形成しているCo結晶粒のうちの面心立方構造を有する結晶粒の面積割合につき、その表面から深さ50μmまでの表面領域の値(A)が50.0~100.0面積%、その表面から50μmを超える内部領域の値(B)が30.0~90.0面積%であり、かつ、A/Bが0.70~3.33であることを特徴とする超硬工具。
- Cr3C2を0.2~3.5質量%および/またはVCを0.2~3.7質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の超硬工具。
- Niを0.4~21.0質量%含有することを特徴とする請求項1または2に記載の超硬工具。
- 前記内部領域のビッカース硬度が1500Hv以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の超硬工具。
- 破壊靭性値が12.00Mpam1/2以上であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の超硬工具。
- 前記超硬工具は、鉱山土木用ボタンビットのチップであることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の超硬工具。
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