以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。なお、本発明を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
図1に示す画像形成装置100は、画像形成部200と、転写部300と、定着部400と、記録媒体供給部500と、記録媒体排出部600と、を備えている。
画像形成部200には、4つの作像ユニット1Y,1M,1C,1Bkと、露光装置6と、が設けられている。各作像ユニット1Y,1M,1C,1Bkは、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されている。また、各作像ユニット1Y,1M,1C,1Bkは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの異なる色の現像剤を収容している以外、基本的に同様の構成である。具体的に、各作像ユニット1Y,1M,1C,1Bkは、表面に画像を担持する像担持体である感光体2と、感光体2の表面を帯電させる帯電手段である帯電ローラ3と、感光体2上にトナー画像を形成する現像手段である現像装置4と、感光体2の表面をクリーニングするクリーニング手段であるクリーニング装置5と、を備えている。露光装置6は、画像情報に基づいて感光体2の帯電面を露光して静電潜像を形成する潜像形成手段である。なお、図1では、1つの作像ユニット1Bkが備える感光体2、帯電ローラ3、現像装置4、クリーニング装置5のみに符号を付しており、その他の作像ユニット1Y,1M,1Cにおいては符号を省略している。
転写部300には、記録媒体である用紙に画像を転写する転写装置8が設けられている。なお、画像が形成(転写)される記録媒体は、紙(普通紙、厚紙、薄紙、コート紙、ラベル紙、封筒などを含む)のほか、OHPシートなどの樹脂製のシートであってもよい。転写装置8は、中間転写ベルト11と、4つの一次転写ローラ12と、二次転写ローラ13と、を有している。中間転写ベルト11は、表面に画像を担持してその画像を用紙に転写する転写部材であり、無端状のベルト部材で構成されている。各一次転写ローラ12は、中間転写ベルト11を介してそれぞれ別の感光体2に接触している。これにより、中間転写ベルト11と各感光体2との間に、中間転写ベルト11と各感光体2とが接触する一次転写ニップが形成されている。一方、二次転写ローラ13は、中間転写ベルト11を介して中間転写ベルト11を張架する複数のローラの1つに接触し、中間転写ベルト11との間に二次転写ニップを形成している。
定着部400には、用紙を加熱する加熱装置であると共に、熱により用紙上の画像を定着させる定着装置9が設けられている。
記録媒体供給部500には、用紙Pを収容する給紙カセット14と、給紙カセット14から用紙Pを送り出す給紙ローラ15と、が設けられている。
記録媒体排出部600には、用紙を画像形成装置外に排出する一対の排紙ローラ17と、排紙ローラ17によって排出された用紙を載置する排紙トレイ18と、が設けられている。
次に、図1を参照しつつ本実施形態に係る画像形成装置100の印刷動作について説明する。
印刷動作開始の指示があると、各作像ユニット1Y,1M,1C,1Bkの感光体2、及び中間転写ベルト11が回転を開始する。また、給紙ローラ15が回転することにより、給紙カセット14から用紙Pが送り出される。送り出された用紙Pは、一対のタイミングローラ16に接触して一旦停止される。
各作像ユニット1Y,1M,1C,1Bkでは、まず、帯電ローラ3によって感光体2の表面が均一な高電位に帯電される。次いで、原稿読取装置によって読み取られた原稿の画像情報、あるいは端末からプリント指示されたプリント画像情報に基づいて、露光装置6が各感光体2の表面(帯電面)に露光する。これにより、露光された部分の電位が低下して各感光体2の表面に静電潜像が形成される。そして、この静電潜像に対して現像装置4からトナーが供給され、各感光体2上にトナー画像が形成される。各感光体2上に形成されたトナー画像は、各感光体2の回転に伴って一次転写ニップ(一次転写ローラ12の位置)に達すると、回転する中間転写ベルト11上に順次重なり合うように転写される。かくして、中間転写ベルト11上にフルカラーのトナー画像が形成される。また、感光体2から中間転写ベルト11へトナー画像が転写された後、各感光体2上に残留するトナーやその他の異物はクリーニング装置5によって除去され、感光体2は次の静電潜像の形成に備えられる。
中間転写ベルト11上に転写されたトナー画像は、中間転写ベルト11の回転に伴って二次転写ニップ(二次転写ローラ13の位置)へ搬送され、タイミングローラ16によって搬送されてきた用紙P上に転写される。そして、トナー画像が転写された用紙Pは、定着装置9へと搬送され、定着装置9によって用紙Pにトナー画像が定着される。その後、用紙Pは排紙ローラ17によって排紙トレイ18へ排出され、一連の印刷動作が完了する。
以上の印刷動作の説明は、フルカラー画像を形成するときの動作についてであるが、4つの作像ユニットのうち、いずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つの作像ユニットを使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
図2は、本実施形態に係る定着装置9の概略構成図、図3は、本実施形態に係る定着装置9を図2における上方から見た図である。以下、図2及び図3を参照しつつ、本実施形態に係る定着装置9の構成について説明する。
図2に示すように、本実施形態に係る定着装置9は、第1回転部材としての定着ベルト20と、第2回転部材としての加圧ローラ21と、加熱源としてのハロゲンヒータ22と、別の加熱源としての端部ヒータ27A,27Bと、ニップ形成部材23と、反射部材24と、ステー25と、熱移動補助部材26と、温度センサ19A,19Bと、を備えている。また、図3に示すように、本実施形態に係る定着装置9は、定着ベルト20を保持する一対のベルト保持部材28と、側壁部材としての一対の側板29と、を備えている。
定着ベルト20は、第1回転部材であると共に、用紙Pの未定着画像担持面側に配置され、用紙P上の未定着画像を定着させる定着部材である。定着ベルト20は、無端状のベルト部材によって構成されている。定着ベルト20は、その長手方向Z(図3参照)の両端に挿入された回転保持部材としての一対のベルト保持部材28によって回転可能に保持される。各ベルト保持部材28は、例えばフランジ状に形成されており、定着ベルト20の内側に余裕をもって挿入される。このため、定着ベルト20は、一対のベルト保持部材28によって非張架状態(ベルトにテンションがかからない、いわゆるフリーベルト方式)で回転可能に保持される。各ベルト保持部材28は、一対の側板29に取り付けられ固定されている。
加圧ローラ21は、第2回転部材であると共に、定着ベルト20の外周面に加圧される加圧部材である。具体的に、加圧ローラ21は、芯金と、芯金の表面に設けられた発泡性シリコーンゴム、シリコーンゴム、又はフッ素ゴムなどから成る弾性層と、弾性層の表面に設けられたPFA又はPTFEなどから成る離型層によって構成されている。加圧ローラ21は、バネなどの付勢部材によって定着ベルト20に対して加圧(圧接)され、定着ベルト20と加圧ローラ21との間に、ニップ部Nが形成されている。また、加圧ローラ21は、画像形成装置本体に設けられた駆動源によって回転駆動するように構成されている。加圧ローラ21が回転駆動すると、その駆動力がニップ部Nにおいて定着ベルト20に伝達されることにより、定着ベルト20が従動回転する。図2に示すように、未定着画像を担持する用紙Pが、図の矢印Y方向に搬送され、定着ベルト20と加圧ローラ21との間(ニップ部N)に進入すると、回転する定着ベルト20と加圧ローラ21とによって用紙Pが搬送されながら加熱されると共に加圧され、未定着画像が用紙Pに定着される。
本実施形態では、加圧ローラ21を中実のローラとしているが、中空のローラであってもよい。その場合、加圧ローラ21の内部にヒータを配置してもよい。また、加圧ローラ21が弾性層を有しない場合は、熱容量が小さくなるため、定着性が向上する。しかしながら一方で、未定着トナーを定着させるときに、ベルト表面の微小な凹凸が画像に転写されて画像のベタ部に光沢ムラが生じる可能性がある。これを防止するには、加圧ローラ21が厚さ100μm以上の弾性層を有することが望ましい。厚さ100μm以上の弾性層があることにより、弾性層の弾性変形により微小な凹凸を吸収することができ、光沢ムラの発生を回避することができるようになる。加圧ローラ21の弾性層はソリッドゴムでもよいが、加圧ローラ21の内部にヒータが無い場合は、スポンジゴムを用いることも可能である。ソリッドゴムに比べてスポンジゴムの方が、断熱性が高まり定着ベルト20の熱が奪われにくくなる点で望ましい。
ハロゲンヒータ22は、定着ベルト20の内側に配置され、定着ベルト20の内周面に光(例えば赤外線光)を直接照射して加熱する加熱源である。このような加熱源として、ハロゲンヒータ以外に、カーボンヒータ、セラミックヒータなどの他の輻射熱式のヒータを用いてもよい。また、電磁誘導加熱方式の加熱源を用いることも可能である。本実施形態では、2つのハロゲンヒータ22が定着ベルト20内に配置されているが、加熱源の数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
端部ヒータ27A,27Bは、定着ベルト20の長手方向両端部側をニップ部Nで加熱する一対の端部熱源である。端部ヒータ27A,27Bは、定着ベルト20の長手方向に互いに離れた位置に独立して配置されると共に、ニップ形成部材23に一体的に設けられている。
温度センサ19A,19Bは、定着ベルト20の外周面に対向するように配置され、定着ベルト20の表面温度を検知する温度検知手段である。温度センサ19A,19Bによって定着ベルト20の表面温度が検知され、その検知結果に基づいてハロゲンヒータ22や端部ヒータ27A,27Bの出力制御が行われることにより、定着ベルト20の温度が所望の温度(定着温度)となるように制御される。温度センサ19A,19Bとしては、例えばサーモパイル、サーモスタット、サーミスタ、NCセンサなど、公知の温度センサを適用可能である。また、温度センサ19A,19Bは、図2に示すような定着ベルト20に対して非接触に配置される非接触型であってもよいし、定着ベルト20に接触する接触型であってもよい。
ニップ形成部材23は、定着ベルト20の内側に配置され、加圧ローラ21からの加圧力を受けて定着ベルト20と加圧ローラ21との間にニップ部Nを形成する部材である。ニップ形成部材23は、熱移動補助部材26を介して定着ベルト20の内周面に接触している。ニップ形成部材23の材料としては、耐熱温度200℃以上の耐熱性部材を用いることが望ましい。具体的に、ニップ形成部材23の材料としては、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの一般的な耐熱性樹脂が挙げられる。このような耐熱性部材でニップ形成部材23を構成することにより、定着温度域で、熱によるニップ形成部材23の変形を防止することができるため、安定したニップ部Nの状態が確保でき、出力画質の安定化を図れる。
ステー25は、ニップ形成部材23の加圧ローラ21側とは反対側に接触して、ニップ形成部材23を支持する支持部材である。また、熱移動補助部材26も、ニップ形成部材23を介してステー25によって支持される。ステー25によってニップ形成部材23と熱移動補助部材26が支持されることにより、加圧ローラ21の圧力によるニップ形成部材23及び熱移動補助部材26の撓み、特に定着ベルト20の長手方向に渡る撓みが抑制され、均一な幅のニップ部Nが形成される。ステー25は、その長手方向の両端にて、各ベルト保持部材28に取り付けられ支持されている。また、ステー25は、各側板29に直接取り付けられていてもよい。ステー25の材料としては、剛性を確保するため、SUSやSECCなどの鉄系金属材料が好ましい。
反射部材24は、ハロゲンヒータ22から放射される熱及び光(例えば、赤外線光)を反射する部材である。反射部材24によってハロゲンヒータ22の熱や光が定着ベルト20に向かって反射されることにより、定着ベルトが効率良く加熱される。また、反射部材24は、ステー25とハロゲンヒータ22との間に配置されており、ハロゲンヒータ22によるステー25の加熱も抑制できる。このため、熱エネルギーの無駄な消費を低減でき、省エネルギー化も図れる。
また、反射部材24の機能を、ステー25に持たせてもよい。例えば、ハロゲンヒータ22に対向するステー25の対向面を鏡面処理することにより、ステー25が反射部材24の機能を兼ねるように構成することができる。この場合、反射部材24を別途設けなくてもよいので、小型化及び低コスト化に有利となる。
熱移動補助部材26は、ニップ形成部材23と定着ベルト20との間に介在し、定着ベルト20の熱量を主にその長手方向に移動させ、定着ベルト20の表面温度のばらつきを抑制する部材である。熱移動補助部材26は、樹脂製のニップ形成部材23よりも熱伝導率が高い高熱伝導材料によって構成される。熱移動補助部材26の材料としては、例えば、銅、アルミニウム、あるいは銀などを用いることができる。本実施形態では、定着ベルト20の内周面に接触(対向)する熱移動補助部材26の接触面(対向面)が、平面状に形成されているが、凹形状やその他の形状であってもよい。熱移動補助部材26の接触面が凹形状の場合は、これに倣ってニップ部Nも凹形状になり、定着ベルト20に対する用紙Pの分離性が向上する。
熱移動補助部材26は、定着ベルト20の内周面に接触しているため、定着ベルト20が回転すると、熱移動補助部材26は定着ベルト20に対して相対的に摺接する。このときの熱移動補助部材26と定着ベルト20との間で生じる摩擦抵抗を低減するため、定着ベルト20に対する熱移動補助部材26の接触面には、例えば、ダイヤモンドライクカーボン、PTFE、二硫化モリブデン、グラファイトなどのコーティング(低摩擦処理)が施されている。さらに、摩擦抵抗を低減するため、定着ベルト20の内周面には、潤滑剤が塗布されている。潤滑剤としては、シリコーンオイル、又は基油がシリコーンオイルであるシリコーングリス、フロロシリコーンオイル、又は基油がフロロシリコーンオイルであるフロロシリコーングリス、フッ素オイル、又は基油がフッ素オイルであるフッ素グリスのいずれか1種、又はこれらの組み合わせを含む液状の潤滑剤が好ましい。なお、熱移動補助部材26は、定着ベルト20の内周面に対し、低摩擦コーティング層や潤滑剤などを介して間接的に接触する場合に限らず、定着ベルト20の内周面に対して直接接触していてもよい。
ところで、上記のような熱容量の小さい定着ベルトを用いた定着装置においては、定着部材としてローラを用いた構成に比べて、加熱効率や省エネ性が向上する一方で、用紙が通過しない非通紙領域での温度上昇が生じやすい傾向にある。すなわち、ヒータの加熱領域の幅よりも小さい幅の用紙を連続して通紙した場合、用紙が通過しない非通紙領域では、定着ベルトの熱が消費されにくいため、蓄熱し、局部的に温度上昇しやすくなる。しかしながら、本実施形態に係る定着装置9においては、熱伝導率の高い熱移動補助部材26が定着ベルト20の内周面に対して長手方向に渡って連続して接触しているため、非通紙領域の熱が熱移動補助部材26を介して長手方向に移動して分散し、非通紙領域における局部的な温度上昇を抑制することができる。
このように、熱移動補助部材を用いることにより、非通紙領域における温度上昇を抑制できるため、小サイズ用紙の連続印刷の生産性(単位時間当たりの出力枚数)を高めることができる。しかしながら、熱移動補助部材を用いると、熱移動補助部材によって定着ベルトから熱が奪われやすくなるため、定着ベルトを所定の目標温度にまで加熱する際のウォームアップ時間が長くなる懸念がある。
また、非通紙領域における温度上昇の生じやすさ及び温度上昇の程度は、画像形成装置の生産性に応じて異なるため、機種ごとに適した熱移動補助部材を用いて、非通紙領域における温度上昇の抑制とウォームアップ時間の短縮との両立を図ることが好ましい。すなわち、生産性の高い画像形成装置においては、単位時間当たりのヒータの点灯率が高く、非通紙領域における温度上昇も顕著となるため、高い熱伝導率や比較的大きな熱容量を有する熱移動補助部材を適用することが好ましい。反対に、生産性の低い画像形成装置においては、非通紙領域における温度上昇が顕著とはならないので、熱容量の小さい熱移動補助部材を用いて、ウォームアップ時間の短縮を図ることが可能である。
しかしながら、機種ごとに異なる種類(性能)の熱移動補助部材を用いると、組み付け後に熱移動補助部材の組み付け状態やその種類を確認しようとした際に、熱移動補助部材が定着ベルトの内側に配置されているため、目視などにより外側から熱移動補助部材を確認しにくいといった問題がある。そこで、斯かる問題を改善するため、本実施形態に定着装置においては、熱移動補助部材の構成を以下のようにしている。
図4は、本実施形態に係る熱移動補助部材の斜視図である。
図4に示すように、本実施形態に係る熱移動補助部材26は、一方向に長く形成された板状の部材で構成されている。ここで、図4において、互いに直交する矢印A方向、矢印B方向、及び矢印C方向を、それぞれ熱移動補助部材26の長手方向A、幅方向B、厚さ方向Cとして、熱移動補助部材26の構成について説明する。なお、長手方向Aは、熱移動補助部材26が定着装置に組み付けられた状態で、図3に示す定着ベルト20の長手方向Z又は加圧ローラ21の回転軸方向に相当する方向であり、幅方向Bは、図2に示す通紙方向(記録媒体通過方向)Yに相当する方向である。
本実施形態に係る熱移動補助部材26は、本体部30と、本体部30の長手方向Aの両端から突出するように設けられた一対の突出部31と、を有している。また、本体部30は、定着ベルト20の内周面に直接的又は間接的に接触してニップ部N(図2参照)を形成するニップ形成部32と、ニップ形成部32の幅方向Bの両端から厚さ方向C(図2に示す加圧ローラ21側とは反対側)へ屈曲するように設けられた一対の屈曲部33と、を有している。
各突出部31は、ニップ形成部32よりも幅方向Bに小さい寸法に形成されており、ニップ形成部32から長手方向Aへ伸びるように設けられている。また、各突出部31には、熱移動補助部材26の種類を特定するための識別用の凹部34が設けられている。
図5は、本実施形態に係る熱移動補助部材が定着装置に組み付けられた状態を示す断面図、図6は、図5における上方から見た断面図である。
図5及び図6に示すように、熱移動補助部材26が定着装置9に組み付けられた状態では、各突出部31の少なくとも一部が、定着ベルト20の長手方向Zの両端20a,20bから外側へ露出する。すなわち、熱移動補助部材26における一方の突出部31の先端31aから他方の突出部31の先端31bまでの全長L1が、定着ベルト20の長手方向Zの一端20aから他端20bまでの全長L2よりも長いため、熱移動補助部材26の長手方向中央M1を定着ベルト20の長手方向中央M2に対応させて配置すると、各突出部31の少なくとも先端31a,31b側の部分が定着ベルト20の長手方向両端20a,20bよりも外側へ突出した状態で配置される。一方、熱移動補助部材26の本体部30は、全体的に定着ベルト20の内側に配置される。
また、ベルト保持部材28や側板29よりも定着ベルト20の長手方向中央M2側を「内側」とし、これとは反対側を「外側」とすると、熱移動補助部材26の全長L1は、各ベルト保持部材28の外側の側面28a,28b同士の間隔L3よりも長く、さらに、各側板29の外側の側面29a,29b同士の間隔L4よりも長く形成されている。このため、熱移動補助部材26が組付けられた状態では、各突出部31の少なくとも先端31a,31b側の部分が、各ベルト保持部材28の外側の側面28a,28bや各側板29の外側の側面29a,29bよりも外側へ露出した状態で配置される。
このように、本実施形態に係る定着装置9においては、熱移動補助部材26の各突出部31の少なくとも先端31a,31b側の部分が、定着ベルト20やベルト保持部材28及び側板29の外側に配置されるので、各突出部31に設けられた識別用の凹部34(図6参照)がこれらよりも外側に露出した状態となる。このため、熱移動補助部材26を組み付けた後であっても、識別用の凹部34を簡単に視認することができる。識別用の凹部34は、熱移動補助部材26の種類ごとに位置や形状、個数などが異なっており、凹部34を視認することにより熱移動補助部材26の種類を特定することができる。これにより、組み付けられた熱移動補助部材26の種類の適否や、熱移動補助部材26の組み付け状態(組み付ける向きや位置)の適否を確認することができ、誤組み付けによる性能の低下を回避できるようになる。なお、突出部31は、外観上識別が可能であればよいので、識別用の凹部34を設けることに代えて、突出部31の色や光沢度(表面粗さ)を異ならせることなどによって熱移動補助部材26が識別可能であってもよい。
本実施形態では、熱移動補助部材26の突出部31がベルト保持部材28や側板29よりも外側へ露出するように配置されているが、ベルト保持部材28や側板29の一部が切り欠かれているなどにより、その切り欠き部などを介して熱移動補助部材26を視認できれば、熱移動補助部材26は必ずしもベルト保持部材28や側板29から外側へ露出した状態となっていなくてもよい。すなわち、熱移動補助部材26は、少なくとも定着ベルト20の外側へ露出した状態で配置されていればよい。
また、熱移動補助部材26の視認性を向上させる目的からすると、本発明に係る熱移動補助部材26は、その長手方向Aの一端のみが少なくとも定着ベルト20の外側へ突出するものであってもよい。また、熱移動補助部材26は、本実施形態のような一体成型された1つの部材でなく、分割された2つ以上の部材から成るものであってもよい。
以上のように、本実施形態に係る定着装置9においては、熱移動補助部材26の突出部31を外側へ露出させることにより、視認性を向上させ、熱移動補助部材26の種類やその組み付け状態などを確認することが可能である。しかしながら一方で、突出部31を本体部30から延長するように設けたことにより、突出部31を介して熱が拡散しやすくなるため、特に定着ベルト20の長手方向両端側で温度低下が生じる懸念がある。
そこで、本実施形態に係る定着装置9においては、突出部31が設けられていることによる熱の拡散を低減するため、熱移動補助部材26の長手方向Aに交差する方向の断面積を、定着ベルト20の内側に配置される本体部30よりも、定着ベルト20の外側に配置される突出部31において小さくなるようにしている。具体的に、本実施形態では、突出部31の幅を本体部30の幅よりも小さくすることにより、突出部31の断面積を本体部30の断面積よりも小さくしている。このように、突出部31の断面積を小さくし、熱容量を小さくすることにより、突出部31による熱の拡散を低減でき、定着ベルト20の長手方向両端側での温度低下を抑制できるようになる。
図7は、異なる形状の熱移動補助部材を用いた場合の定着ベルトの温度分布を示す模式図である。
図7において、実線は、図4に示す例と同じ構造の本発明の実施例を用いた場合の温度分布、二点鎖線は、図4に示す例の突出部31を無くし本体部30のみとした図8に示す従来例を用いた場合の温度分布、一点鎖線は、図4に示す例の突出部31を無くし本体部30を図4に示す全長L1と同じ長さになるまで延長した図9に示す比較例を用いた場合の温度分布である。また、図7に示す横軸のうち、領域α及び領域βは、図4、図8、図9の各例に示す熱移動補助部材26の領域α及び領域βに対応する部分である。特に、領域β中の領域γは、用紙上の最大画像形成領域が通過する領域を示す。
図7に示すように、比較例(一点鎖線)の場合は、本体部30を延長したことにより、本発明の実施例(実線)や従来例(二点鎖線)に比べて、定着ベルトの熱が長手方向両端側へ拡散しやすく、最大画像形成領域γの両端側で定着ベルトの温度が画像定着に必要な目標温度Tを下回っている。これに対して、本発明の実施例(実線)の場合は、従来例(二点鎖線)に比べて、突出部31を有する分、最大画像形成領域γの端部側において定着ベルトの温度が若干低下するものの、比較例に比べると温度低下を抑制することが可能である。このため、本発明の実施例では、最大画像形成領域γ全体に渡って画像定着に必要な温度Tを維持することができるようになる。
このように、本発明の実施例においては、突出部31を設けて従来例よりも全長を長くすることにより、視認性を向上させつつ、長くする部分(突出部31)の断面積を小さくすることにより、定着ベルトの長手方向両端側への熱の拡散を低減し、定着ベルトの温度低下を抑制することができる。従って、本発明によれば、熱移動補助部材の視認性の向上と定着ベルトの温度低下の抑制との両立を実現できるようになる。また、定着ベルトの長手方向両端側への熱の拡散を低減できることにより、定着ベルトを所定の目標温度まで加熱する際のウォームアップ時間の短縮も図れるようになる。
なお、図4に示す熱移動補助部材26においては、本体部30が長手方向Aに渡って同じ断面形状で構成されているため、突出部31は本体部30のいずれの断面に対しても断面積が小さくなるように構成されている。しかし、本体部30の断面形状は、長手方向Aに渡って同じである場合に限らず、変化する場合であってもよい。そのような場合、突出部31の断面積は、その全体に渡って本体部30の少なくとも一部の断面の断面積よりも小さければよい。
また、本実施形態に係る定着装置9においては、ステー25や側板29が金属材料で構成されているため、熱移動補助部材26がステー25や側板29に直接接触していると、定着ベルト20の熱が熱移動補助部材26を介してステー25や側板29へ不要に流れてしまうことが考えられる。特に、ステー25や側板29は熱容量も大きいため、これらの部材へ熱が流入すると、ウォームアップ時間が長くなったり、定着ベルト20の温度が低下したりする虞がある。そのため、本実施形態においては、定着ベルト20の熱が熱移動補助部材26を介してステー25や側板29へ不要に流れていかないように、熱移動補助部材26がステー25及び側板29に対して直接接触しないように配置されている。
具体的には、図2及び図5に示すように、熱移動補助部材26は、ステー25に対して樹脂製のニップ形成部材23を介して間接的に接触している。すなわち、熱移動補助部材26と金属製のステー25との間に、金属よりも熱伝導率の低い樹脂製のニップ形成部材23が介在することにより、ニップ形成部材23が断熱材として機能し、熱移動補助部材26からステー25への熱の移動を抑制することができる。また、側板29に対しては、図5及び図6に示す貫通孔35が設けられていることにより、熱移動補助部材26が貫通孔35を通して非接触状態で配置される。
このように、本実施形態においては、熱移動補助部材26がステー25や側板29に対して直接接触しないように配置されていることにより、熱移動補助部材26からステー25や側板29への熱の移動が抑制され、定着ベルト20の熱の拡散を低減できるようになる。これにより、定着ベルト20の熱効率が向上し、ウォームアップ時間の短縮や温度低下の抑制を図れるようになる。
また、定着ベルト20の温度を最大画像形成領域の幅方向に渡って均一な温度に維持するには、定着ベルト20の長手方向中央を基準とする左右の温度偏差を小さくすることが好ましい。そのため、本実施形態においては、熱移動補助部材26を、定着ベルト20の長手方向中央M2(図5、図6参照)を基準に対称な形状となるように配置している。これにより、長手方向中央M2を基準に一端側と他端側で定着ベルト20から移動補助部材26へ移動する熱量が均等になるため、定着ベルト20における左右の温度偏差を高度に低減できるようになる。
なお、熱移動補助部材26の各突出部31は、互いに略同一の熱容量であれば、必ずしも完全に対称な形状でなくてもよい。従って、各突出部31に設けられる識別用の凹部34の位置や形状、個数などは左右で異なっていてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
上述の実施形態では、定着ベルトが一対のベルト保持部材によって非張架で保持されるフリーベルト方式の定着装置を例に説明したが、本発明は、定着ベルトが複数のローラなどに掛け回されて張架される構成にも適用可能である。また、本発明は、加熱装置の一例である定着装置に適用される場合に限らない。例えば、インクジェット式の画像形成装置において、用紙を加熱して用紙上のインク(液体)を乾燥させる乾燥装置などの加熱装置にも本発明を適用可能である。