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JP7499294B2 - 構造スリット部材及び壁躯体の構築方法 - Google Patents
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JP7499294B2 - 構造スリット部材及び壁躯体の構築方法 - Google Patents

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Description

本発明は、建物などの構造物の壁躯体の側縁に沿って配置される構造スリット部材、及びそれを使用した柱躯体に隣接する壁躯体の構築方法に関するものである。
特許文献1,2に開示されているように、鉄筋コンクリート造の建築物の柱や梁と壁との縁を切ることを目的として構造スリットが設けられることが知られており、地震発生時に建物の脆性破壊を防止する役割を担っている。
構造スリットは、1981年の建築基準法「新耐震基準」で耐震設計の一手法として盛り込まれており、主に鉄筋コンクリート造のマンションに広く採用されている。一般的な構造スリットは、コンクリートの側圧に対して一定の高さ(例えば1.0m-1.5m程度)までしか形状の保持や固定が難しく、構造スリットの両側にコンクリートを順々に打ち上げる施工方法が採用されている。
特開2007-186925号公報 特開2012-67495号公報
しかしながら、構造スリットの取り付け不良やコンクリート打設中の施工管理が適切に行われなかった場合に、構造スリットの曲がりやズレが生じ、施工後に是正が必要となることがある。
そこで本発明は、コンクリート打設中の施工管理の負担が軽減できるうえに、構造スリットに曲がりやズレが生じるのを防ぐことができる構造スリット部材、及びそれを使用した柱躯体に隣接する壁躯体の構築方法を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明の構造スリット部材は、構造物の壁躯体の側縁に沿って構造スリットを配置するための構造スリット部材であって、前記壁躯体の側縁に配置される帯板状の構造スリットと、前記構造スリットに沿って前記壁躯体の内部側にコンクリートによって長尺状に形成されるプレキャスト部と、前記プレキャスト部に端部が埋設されて前記壁躯体の中央側に突出される壁横筋と、前記構造スリットの貫通穴に連通するように前記プレキャスト部に埋設されるインサートとを備えたことを特徴とする。
ここで、前記インサートは、前記プレキャスト部の長手方向に間隔を置いて複数が埋設される構成とすることができる。また、前記プレキャスト部は、前記壁躯体の第1壁面の一部となる鉛直壁面を有するとともに、前記第1壁面に対向する前記壁躯体の第2壁面が形成される位置に露出する壁面がない構成とすることができる。さらに、前記プレキャスト部には、前記第2壁面を形成する壁型枠に接続されるセパレータの一部が埋設されるのが好ましい。
また、壁躯体の構築方法の発明は、上記したいずれかの構造スリット部材を使用した柱躯体に隣接する壁躯体の構築方法であって、前記構造スリット部材を前記柱躯体との境界となる位置に配置する工程と、前記インサートに対して、前記柱躯体側から挿入された中間支持材の端部を接続する工程と、前記プレキャスト部が配置されるとともに配筋がされた前記壁躯体の型枠の内側に、前記壁躯体の高さに至るまで連続してコンクリートを充填する工程とを備えたことを特徴とする。
さらに別の壁躯体の構築方法の発明は、上記したいずれかの構造スリット部材を使用した柱躯体に隣接する壁躯体の構築方法であって、前記構造スリット部材に対して前記壁躯体の配筋を行うことで壁用ユニットを製作する工程と、前記壁用ユニットを吊り上げて、前記構造スリット部材が前記柱躯体との境界に位置するように配置する工程と、前記インサートに対して、前記柱躯体側から挿入された中間支持材の端部を接続する工程と、前記壁躯体の型枠の内側に配置された前記壁用ユニットに対して、前記壁躯体の高さに至るまで連続してコンクリートを充填する工程とを備えたことを特徴とする。
このように構成された本発明の構造スリット部材は、構造スリットに沿ってコンクリートによって長尺状に形成されるプレキャスト部と、プレキャスト部に端部が埋設される壁横筋と、構造スリットの貫通穴に連通するインサートとを備えている。
すなわち、構造スリットの剛性を高めるために付加されたプレキャスト部は、壁躯体の外側からインサートに接続される中間支持材などによって支持できるうえに、壁横筋を介して後から充填される壁躯体のコンクリートと一体化できる。
このため、コンクリートの大きな側圧にも耐えられるようになり、一度に高くコンクリートを打設するなどして、コンクリート打設中の施工管理の負担を軽減することができる。さらに、構造スリットは、剛性の高いプレキャスト部に支えられるので、曲がりやズレが生じるのを防ぐことができる。
特に、プレキャスト部に埋設されるインサートが、プレキャスト部の長手方向に間隔を置いて複数が埋設されていれば、壁躯体の側縁に配置される構造スリットを、高さ方向に偏りなく支持させることができる。
また、壁躯体の一方の壁面側に露出する壁面がないプレキャスト部であれば、継目を設けることなく後から充填されるコンクリートで表面を覆うことができるので、屋外側の壁面の継目であれば必要となるシーリング材などの施工を行う必要がない。
さらに、プレキャスト部に壁型枠に接続されるセパレータの一部が埋設されていれば、プレキャスト部が配置された位置においても、壁型枠間をセパレータによって接続することができる。
また、壁躯体の構築方法の発明では、構造スリット部材を配置して、柱躯体側から挿入された中間支持材の端部をインサートに接続した後に、壁躯体の高さに至るまで連続してコンクリートを充填する。
このように、剛性の高いプレキャスト部が中間支持材によって支持された構造スリット部材を使用することで、壁躯体の高さを一度のコンクリート打設によって構築することができるので、コンクリート打設中の施工管理の負担を軽減することができる。
さらに、構造スリット部材を使用して、地組みなどで壁躯体の配筋を行うことで壁用ユニットを製作するのであれば、施工性が向上するので、より効率的に壁躯体を構築することができるようになる。
本実施の形態の構造スリット部材を使用した柱躯体に隣接する壁躯体を構築する工程の説明図である。 構造スリットが配置される建物の壁躯体及び柱躯体の概略構成を示した説明図である。 本実施の形態の構造スリット部材と壁配筋及び柱配筋との関係を説明する斜視図である。 一対の構造スリット部材を使用して製作される壁用ユニットの構成を説明する斜視図である。 柱躯体との境界付近を拡大して示した説明図である。 柱躯体の一方側にのみ壁躯体を構築する場合の本実施の形態の構造スリット部材の使用例を示した説明図である。 従来の柱と壁のコンクリートの打設順序を例示した説明図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態の構造スリット部材2を使用して、構造物となる建物1の柱躯体11及びそれに隣接する壁躯体12を構築する工程を説明する図である。また、図2は、構造スリット3が配置される建物1の壁躯体12及び柱躯体11の概略構成を示した説明図である。
大きな地震が発生した際に、ビルや集合住宅などの建物1の柱や梁のせん断破壊という脆性破壊を防止する目的で、図2に示すように、柱と壁の境界などに構造スリットが配置される。図示した構造スリット3は、柱躯体11と壁躯体12との縁を切る部材で、鉛直スリット、垂直スリット、耐震スリットなどと呼ばれることもある。
構造スリット3は、柱躯体11との境界となる壁躯体12の側縁12aに配置される。壁躯体12は、主要な構造部材とは異なる、袖壁、腰壁、垂れ壁などのいわゆる雑壁と呼ばれる躯体である。一方、図3に例示したように、梁躯体13と壁躯体12との縁を切る目的で配置される構造スリットは、水平スリット15と呼ぶこととする。
本実施の形態の構造スリット部材2は、図4,5に示すように、帯板状の構造スリット3と、構造スリット3に沿って長尺状に形成されるプレキャスト部4と、プレキャスト部4に端部が埋設される壁横筋51と、プレキャスト部4に埋設されるインサート6とを備えている。
構造スリット3は、発泡スチロール、発泡ウレタン、ポリスチレンフォーム、フェノールフォームなどの材料からなる長方形板状の部材である。構造スリット3は、壁躯体12の高さと同程度の長さの長尺状に形成される。
構造スリット3は、図5に示すように、幅が壁躯体12の壁厚(150mm-230mm程度)より狭く、壁躯体12の壁厚方向の両側の端縁には、それぞれ枠材32が取り付けられる。両側に溝が形成された枠材32の一方の溝には、構造スリット3の端縁が嵌め込まれるとともに、他方の溝には、壁型枠72に固定される直方体状の目地棒33が嵌め込まれる。
図5に示すように、一対の壁型枠72,72の柱躯体11との境界となる位置には、上述した構造スリット3と枠材32と目地棒33とによって形成された仕切りが配置されて、壁躯体12や柱躯体11を構築するために充填されるコンクリートの流れは、この仕切りによって堰き止められる。
プレキャスト部4は、構造スリット3の長手方向(鉛直方向)に沿って、壁躯体12の内部側にコンクリートによって長尺状に形成される。プレキャスト部4には、構造スリット3の一面が密着するうえに、枠材32の一部が埋設されるので、プレキャスト部4と構造スリット3とは一体に扱うことができる。
本実施の形態で説明するプレキャスト部4は、平面視で異形の台形状に形成されているが、これに限定されるものではなく、平面視略台形や平面視略直角三角形などに形成することもできる。ここで図5に示すように、壁躯体12の一方の壁面を第1壁面121とし、それに対向する他方の壁面を第2壁面122とする。
プレキャスト部4は、第1壁面121の一部となる鉛直壁面41を有している。すなわち、壁躯体12の側縁12aは、プレキャスト部4の鉛直壁面41によって形成される。これに対して、壁躯体12の第2壁面122側には、プレキャスト部4の壁面は露出することがない。すなわち、第2壁面122側のプレキャスト部4の壁面は、平面視で柱躯体11側から壁躯体12の中央側に向けて先細る傾斜面42に形成される。
プレキャスト部4の傾斜面42の最も第2壁面122に近い位置でも、目地棒33の幅程度の離隔があるので、第2壁面122側に充填されるコンクリートによってプレキャスト部4の傾斜面42は覆われることになる。
このようにして断面台形状の長尺に形成されるプレキャスト部4には、水平方向に延伸される壁横筋51の端部が埋設される。すなわち、壁横筋51は、プレキャスト部4から壁躯体12の中央側に向けて突出される。壁横筋51は、プレキャスト部4の長手方向に間隔を置いて複数が埋設される。
また、プレキャスト部4には、図5に示すように、柱躯体11側となる構造スリット3の背面側に、インサート6が埋設される。このインサート6に対峙する構造スリット3の位置には、図4に示すように、貫通穴31が穿孔されている。すなわち、構造スリット3の貫通穴31に連通するようにインサート6が配置される。
インサート6は、図4に示した貫通穴31の位置から分かるように、プレキャスト部4の長手方向に間隔を置いて複数が埋設される。例えば、鉛直方向に200mm-400mm程度の間隔を置いて、プレキャスト部4にインサート6が埋設される。
このインサート6に対しては、柱躯体11側から挿入される中間支持材61の端部が接続される(図1参照)。中間支持材61は、鉄筋、セパレータ、全ネジなどの棒状材料によって形成することができる。また、中間支持材61は、1本の棒状材料によって形成されるものに限定されるものではなく、途中に継手があるなど複数の棒状材料を組み合わせて形成されるものであってもよい。
そして、インサート6に接続される中間支持材61によって、構造スリット部材2を支持させることができる。このため、コンクリートの側圧が大きくなる構造スリット部材2の下部におけるインサート6の配置間隔は、上部よりも密にすることが好ましい。
本実施の形態の構造スリット部材2は、インサート6にねじ込まれる中間支持材61によって、柱躯体11と接続されることになる。従来の構造スリットを設ける耐震構造では、柱と縁切りされる壁の転倒などを防ぐために振れ止め筋を配置する必要があったが、中間支持材61を介して壁躯体12が柱躯体11に接続されるようになる本実施の形態の構造スリット部材2を使用することで、中間支持材61に振れ止め筋の機能を持たせることができる。
また、図5に示すように、プレキャスト部4には、第2壁面122を形成する壁型枠72に接続されるセパレータ52の一部を埋設して、端部を突出させておくことができる。セパレータ52は、プレキャスト部4の長手方向に間隔を置いて複数が埋設される。例えば、鉛直方向に200mm-400mm程度の間隔を置いて、プレキャスト部4にセパレータ52が取り付けられる。
セパレータ52は、対向する壁型枠72,72間方向にプレキャスト部4を貫通しており、一方の端部が第1壁面121側に固定されるとともに、他方の端部が第2壁面122側に固定される。要するに、セパレータ52をプレキャスト部4から突出させておくことで、プレキャスト部4が配置された位置であっても、容易に対向する壁型枠72,72間をセパレータ52で繋ぐことができる。
さらに、プレキャスト部4には、図3に示すように、上端から上方に向けて壁縦筋53を突出させる。壁縦筋53は、梁躯体13との接続に使用される。図4に示すように、壁配筋123の上端も、壁縦筋53が上方に向けて突出している。
次に、本実施の形態の構造スリット部材2を使用した柱躯体11に隣接する壁躯体12の構築方法について説明する。本実施の形態では、図1又は図6に示すように、柱躯体11に隣接して壁躯体12を構築する場合について説明する。
柱躯体11の柱配筋111は、鉛直方向に延伸される主鉄筋の外側を囲むように、せん断補強鉄筋となる帯鉄筋が配筋される。また、平面視略長方形の帯鉄筋の内空を区切るように、せん断補強鉄筋となる中間帯鉄筋が架け渡される(図1,3参照)。
構造スリット部材2を所定の位置に据え付ける前に、壁躯体12の一方の壁面を形成する壁型枠72を組み立てておく。例えば図1に図示した柱型枠71に連続する図の上方の壁型枠72を、先に設置する。型枠(71,72)は、単管や桟木などを使って組み立てられる支保工7、せき板、セパレータ52などによって形成される。
そして、柱型枠71の内側には柱配筋111が組み立てられ、壁型枠72の内側には壁配筋123が組み立てられる。この壁配筋123の両側縁に、構造スリット部材2が設置されている。
構造スリット部材2及び壁配筋123の配置方法には、2通りの方法がある。第1の方法としては、まず、構造スリット部材2を柱躯体11との境界となる位置に配置した後に、壁配筋123を組み立てる方法である。
第2の方法としては、図4に示すような壁用ユニット20を地組みによって組み立てる方法である。例えば、作業ヤードに間隔をおいて横向きに置かれた一対の構造スリット部材2,2の間に、横筋と縦筋によって格子状の壁配筋123を組み立てる。作業ヤードなどの広い場所で施工できる地組みであれば、効率よく壁配筋123を組み立てることができる。
構造スリット部材2又は壁用ユニット20は、ホイストやクレーンなどで吊り上げられて、柱躯体11に隣接した位置に据え付けられる。図3は、柱配筋111に隣接して据え付けられた構造スリット部材2及び壁配筋123を例示した斜視図である。
図3に示すように、構造スリット部材2のプレキャスト部4から突出された壁横筋51は、鉛直方向に間隔を置いて壁配筋123の中に配置されており、この後に打設されるコンクリートによって、プレキャスト部4を壁配筋123された部分と一体化させることができる。
また、壁配筋123は、下の階の梁躯体13上に形成された床面に、水平スリット15を介して配置される。すなわち、壁躯体12と床面とは、水平スリット15によって縁切りされた状態になる。
柱躯体11との境界となる位置に配置された構造スリット部材2に対しては、図1に示すように、柱配筋111側から貫通穴31(図4参照)を通って、中間支持材61の一端がインサート6にねじ込まれる。
図1に示した建物1では、中間支持材61の他端も、柱躯体11を挟んで反対側に構築される壁躯体12用の構造スリット部材2のインサート6にねじ込まれる。要するに、中間支持材61によって、柱躯体11を挟んだ両側の構造スリット部材2,2の間隔は、保持されることになる。
一方、図6に示した建物1Aでは、柱躯体11に対して、1方向にのみ壁躯体12が設けられるので、一端がインサート6にねじ込まれた中間支持材61の他端は、柱型枠71を支持する支保工7に定着させることになる。
このようにして柱配筋111及び壁配筋123を組み立てた後に、残りの柱型枠71及び壁型枠72を据え付ける。壁型枠72を据え付ける際には、プレキャスト部4においては、図5に示すように、突出されたセパレータ52の端部を壁型枠72に接続する。このようにして、場所打ちコンクリートを充填できる状態にする。
ここで、図7を参照しながら、従来の建物a1における柱と壁と梁のコンクリートの打設順序について説明する。この建物a1では、柱と両脇の壁との間に、構造スリットa2を介在させる。
まず最初に、柱の下部のコンクリートを打設する。コンクリートは、充填時には流動体であるため、図7の左側の壁の中央に部分的なイメージとして例示したように、打設高さに応じた側圧が構造スリットa2に作用することになる。
構造スリットa2自体は、発泡スチロールなどによって成形された剛性の低い板材なので、大きなコンクリートの側圧が作用すると、曲がったりズレたりする可能性がある。そこで、まずは柱の高さの1/3程度のコンクリートを打設する。
続いて、柱の左右の壁の下部にも、同程度の高さまでコンクリートを充填する。そして、柱及び左右の壁の中間部のコンクリートを打設し、その後に柱及び左右の壁の上部のコンクリートを打設する。そして、最後に梁のコンクリートを打設することになるが、コンクリートの打設工程は、10工程にもなる。
これに対して、本実施の形態の構造スリット部材2は、剛性の高いプレキャスト部4を備えているうえに、プレキャスト部4が柱躯体11側から接続された中間支持材61によって支持されている。
中間支持材61は、図4に示した貫通穴31に挿入されることになるが、プレキャスト部4の鉛直方向の端部だけでなく中間部にも配置されるので、全長に亘って均等に構造スリット部材2を支持することができる。
このため、図2に図示したように、2.5m程度までであれば、柱躯体11のコンクリートを連続して一度に打設することができる。また、柱躯体11の左右の壁躯体12に対しても、壁躯体12の高さに至るまで連続してコンクリートを充填することができる。
そして、最後に梁躯体13のコンクリートを打設することになるが、コンクリートの打設工程は、4工程で済むことになる。要するに、従来のコンクリートの打設工程と比べて、6工程も削減することができる。
次に、本実施の形態の構造スリット部材2、及びそれを使用した柱躯体11に隣接する壁躯体12の構築方法の作用について説明する。
このように構成された本実施の形態の構造スリット部材2は、構造スリット3に沿ってコンクリートによって長尺状に形成されるプレキャスト部4と、プレキャスト部4に端部が埋設される壁横筋51と、構造スリット3の貫通穴31に連通するインサート6とを備えている。
すなわち、剛性を高めるために構造スリット3に付加されたプレキャスト部4は、壁躯体12の外側からインサート6に接続される中間支持材61などによって支持できるうえに、壁横筋51を介して後から充填される壁躯体12のコンクリートと一体化できる。
こうしてコンクリートの大きな側圧にも耐えられるようになれば、一度に1.5mを超えるような高さまでコンクリートを連続して打設することができるようになるので、コンクリート打設中の施工管理の負担を軽減することができるようになる。
さらに、構造スリット3は、剛性の高いプレキャスト部4に支えられるので、曲がりやズレが生じるのを防ぐことができる。特に、プレキャスト部4に埋設されるインサート6が、プレキャスト部4の長手方向に間隔を置いて複数が埋設されていれば、壁躯体12の側縁12aに配置される構造スリット3を、高さ方向に偏りなく支持させることができる。
また、壁躯体12の一方の壁面(図5の第2壁面122)側に露出する壁面がないプレキャスト部4であれば、後から充填されるコンクリートで表面が覆われて継目が発生しないので、屋外側の壁面の継目であれば必要となるシーリング材などの施工を行う必要がない。なお、屋内側の壁面(図5の第1壁面121)については、防水を行う必要がないので、プレキャスト部4の鉛直壁面41を露出させればよい。
また、本実施の形態の壁躯体の構築方法では、構造スリット部材2を配置して、柱躯体11側から挿入された中間支持材61の端部をインサート6に接続した後に、壁躯体12の高さに至るまで連続してコンクリートを充填する。
このように、剛性の高いプレキャスト部4が中間支持材61によって支持された構造スリット部材2を使用することで、壁躯体12の高さを一度のコンクリート打設によって構築することができるので、コンクリート打設中の施工管理の負担を軽減することができる。
さらに、構造スリット部材2を使用して、地組みで壁躯体12の配筋を行うことで壁用ユニット20を製作するのであれば、型枠が接近した狭い場所で作業するよりも施工性が向上するので、より効率的に壁躯体12を構築することができるようになる。
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、前記実施の形態で説明した構造スリット3及び枠材32の材質や形状は例示であって、これに限定されるものではなく、様々な形態の構造スリットに本発明を適用することができる。
1,1A:建物(構造物)
11 :柱躯体
12 :壁躯体
12a :側縁
121 :第1壁面
122 :第2壁面
123 :壁配筋
2 :構造スリット部材
20 :壁用ユニット
3 :構造スリット
31 :貫通穴
4 :プレキャスト部
41 :鉛直壁面
51 :壁横筋
6 :インサート
61 :中間支持材
72 :壁型枠(型枠)

Claims (6)

  1. 構造物の壁躯体の側縁に沿って構造スリットを配置するための構造スリット部材であって、
    前記壁躯体の側縁に配置される帯板状の構造スリットと、
    前記構造スリットに沿って前記壁躯体の内部側にコンクリートによって長尺状に形成されるプレキャスト部と、
    前記プレキャスト部に端部が埋設されて前記壁躯体の中央側に突出される壁横筋と、
    前記構造スリットの貫通穴に連通するように前記プレキャスト部に埋設されるインサートとを備えたことを特徴とする構造スリット部材。
  2. 前記インサートは、前記プレキャスト部の長手方向に間隔を置いて複数が埋設されることを特徴とする請求項1に記載の構造スリット部材。
  3. 前記プレキャスト部は、前記壁躯体の第1壁面の一部となる鉛直壁面を有するとともに、前記第1壁面に対向する前記壁躯体の第2壁面が形成される位置に露出する壁面がないことを特徴とする請求項1又は2に記載の構造スリット部材。
  4. 前記プレキャスト部には、前記第2壁面を形成する壁型枠に接続されるセパレータの一部が埋設されることを特徴とする請求項3に記載の構造スリット部材。
  5. 請求項1又は2に記載の構造スリット部材を使用した柱躯体に隣接する壁躯体の構築方法であって、
    前記構造スリット部材を前記柱躯体との境界となる位置に配置する工程と、
    前記インサートに対して、前記柱躯体側から挿入された中間支持材の端部を接続する工程と、
    前記プレキャスト部が配置されるとともに配筋がされた前記壁躯体の型枠の内側に、前記壁躯体の高さに至るまで連続してコンクリートを充填する工程とを備えたことを特徴とする壁躯体の構築方法。
  6. 請求項1又は2に記載の構造スリット部材を使用した柱躯体に隣接する壁躯体の構築方法であって、
    前記構造スリット部材に対して前記壁躯体の配筋を行うことで壁用ユニットを製作する工程と、
    前記壁用ユニットを吊り上げて、前記構造スリット部材が前記柱躯体との境界に位置するように配置する工程と、
    前記インサートに対して、前記柱躯体側から挿入された中間支持材の端部を接続する工程と、
    前記壁躯体の型枠の内側に配置された前記壁用ユニットに対して、前記壁躯体の高さに至るまで連続してコンクリートを充填する工程とを備えたことを特徴とする壁躯体の構築方法。
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